1. 黄昏-15

「あ、やっぱり天川くんだ! ごめんね。待たせちゃった?」


「あ、ううん。大丈夫、だけど……」


 僕は思わず隣を見る。もうそこには何もなくなっていた。


「花火、やっとゆっくり見れるね」


「そうだね。行こうか」


 僕は半ば強引に公園の外に寺田さんが行くように誘導した。どうやら彼女のことは見てなかったようだ。いや、そう信じたい。やはり寺田さんを彼女に引き合わせるのはまだ早い。


「ごみ捨てておいてくれたんだね。ありがとう」


「いや、そのせいで混乱させちゃって、こっちこそごめん」


「……いいんだよ」


 小さな声で何かをつぶやいたようだが、僕は聞こえなかったふりをした。

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