うらしま太郎第6話
浅野浩二
第1話うらしま太郎第6話
うらしま太郎第6話
1994年(平成6年)、の、5月1日のことです。
この年、松本サリン事件が、起こりました。
1994年の、6月27日、から翌日、6月28日、の早朝にかけて、長野県松本市北深志の住宅街で、化学兵器として使用される神経ガスのサリンの散布により7人が死亡、約600人が負傷したのです。
戦争状態にない国において、サリンのような化学兵器クラスの毒物が一般市民に対して無差別に使用されたのは、世界初の事例でした。
当然、警察は、総力を挙げて、犯人をつきとめようとしました。
ある浜辺の村に、うらしま太郎、という青年がいました。
1994年(平成6年)、の、5月1日のことです。
うらしま太郎、は、漁師で、その日も、漁港に向かいました。
(さあ。今日も、うんと魚をとるぞ)
と、元気を出して。
うらしま太郎、は、漁港に向かう、いつもの浜辺を歩いていました。
すると、どうでしょう。
うらしま太郎、は、びっくりしました。
なぜなら、村の子供たちが、寄ってたかって、大きな亀を、いじめていたからです。
「やーい。やーい。ドン亀」
と、子供たちは、囃し立てて、棒で、巨大な亀を、叩いていました。
うらしま太郎、は、当然、子供たちを、注意しました。
「こらこら。君たち。そんな、可哀想なことを、するものじゃないよ」
と、うらしま太郎、は、子供たちを諌めました。
すると。
「うわー。逃げろー」
と、子供たちは、うらしま太郎、に、叱られて、蜘蛛の子を散らすように、逃げていきました。
「ああ。ありがとうございました。もう少しで、いじめ殺される所でした」
亀は、助けてもらった、お礼を言いました。
「あ、あの。お名前は?」
亀が聞きました。
「私は、うらしま太郎、と言います」
うらしま太郎、は、答えました。
「うらしま太郎さま。ぜひ、助けて下さった、お礼をしたいと思います。ぜひとも、私と一緒に、竜宮城へ、行ってもらえないでしょうか?私は、亀蔵と言って、竜宮城にいる、乙姫さまに、仕えている、乙姫さまの、家来なのです」
亀は、そう言いました。
「わかりました。有難うございます。私も、ぜひ、竜宮城に行って、乙姫さまに、会いたいです」
と、うらしま太郎、は、言いました。
「それでは、私の背中に、お乗りください」
亀に、促されて、うらしま太郎、は、大きな、亀の甲羅の背中に乗りました。
亀は、海の中に、入ると、スーイ、スーイ、と、泳ぎ出しました。
亀の背中に乗って、海上を走るのは、なかなか、快適でした。
水上バイクに、乗っているような気分です。
「うらしま太郎さま。竜宮城は、海の底にあります。これから、海の中に、潜ります。しかし、ご安心ください。龍神、(海の神)、の、神通力によって、うらしま太郎さまは、海中に入って呼吸しなくても、大丈夫です」
亀は、そう言いました。
うらしま太郎、は、ホントかな、と思いましたが、亀を信じることにしました。
そして、亀は、海の中に、潜水していきました。
亀の言った通り、うらしま太郎、は、海中に入って、呼吸が出来なくなっても、苦しくならず、平気でした。
海の中では、様々な魚が、泳いでいます。
やがて、きれいな、お城が見えてきました。
「うらしま太郎さま。あれが、竜宮城です」
亀が言いました。
「乙姫さまー。ただいま、帰りました」
竜宮城に着くと、亀は、大きな声で叫びました。
すると。
「はーい」
という、声が聞こえました。
そして、竜宮城の戸が、開きました。
そして、美しい女性が顔を現しました。
「お帰り。亀蔵」
と、美しい女性は、亀に言いました。
「乙姫さま。ただいま、帰りました」
亀が、言いました。
「あら。こちらの方は誰?」
乙姫が、うらしま太郎、の方を見て、亀に聞きました。
「乙姫さま。この方は、うらしま太郎さま、といいます。この方は、私が、浜辺で、子供たちに、いじめられている所を、救ってくださったんです」
亀は、乙姫に、そう説明しました。
「そうだったのですか。うらしま太郎、さま。それは。それは。どうも、ありがとうございました。この亀は、亀蔵と言って、私の大切な家来です。ぜひとも、お礼をしたく思います。さあ、どうぞ、お上がり下さい」
そう言って、乙姫は、うらしま太郎に、恭しく、頭を下げました。
うらしま太郎、は、乙姫を見て、驚きました。
あまりにも、美しかったからです。
「これは、これは、乙姫さま。お目にかかれて光栄です」
と、うらしま太郎、は、恭しく、深くお辞儀しました。
「さあ。どうぞ、お上がり下さい」
乙姫は、うらしま太郎、の、礼儀正しさ、に、喜んだのでしょう。
ニコッと、微笑んで、言いました。
「それでは、お邪魔いたします」
そう言って、うらしま太郎、は、竜宮城の中に、入りました。
竜宮城の中は、地上と同じように、海水ではなく、空気で満たされていました。
「浦島さま。家来の、亀蔵を助けて下さってありがとうございました」
乙姫は、あらためて、うらしま太郎、に、礼を言いました。
「いえ。人間として当然のことをしたまでです」
うらしま太郎、は、謙虚に言いました。
「優しい方なんですね」
乙姫は、また、ニコッと、微笑みました。
その晩は、乙姫は、手によりをかけて、うらしま太郎、のために、豪勢な料理を作りました。
豪勢、と言っても、その料理は、全部、魚料理でした。
乙姫は、海の中で、暮らしているので、それも、無理はありません。
それでも、うらしま太郎、は、「美味しい。美味しい」、と言って、乙姫の作った魚料理を食べました。
「お味はいかが?」
という、乙姫の少し自慢げな質問に対し、うらしま太郎、は、
「最高の美味です」
と、答えました。
うらしま太郎、は、「最高の美味です」、とは、言ったものの、本心では、「温かい、ご飯や、肉、や、野菜も、欲しいものだな」、と思っていました。
しかし、乙姫を失望させたくないので、それは、言わず、「美味しい。美味しい」、と、だけ言いながら、食べました。
食後。
乙姫は、鯛、や、ヒラメ、を、大勢、呼びました。
「さあ。あなた達。うらしま太郎、さま、の、おもてなし、です。踊りなさい」
乙姫は、鯛、や、ヒラメ、に命じました。
乙姫は、魚と話が出来るのです。
「はい。乙姫さま。わかりました」
そう言って、鯛、や、ヒラメ、は、優美な踊りを、うらしま太郎、に披露しました。
その夜は、うらしま太郎、は、乙姫と、巨大な、真珠貝の、中の、フカフカの、ベットで、手をつないで寝ました。
もちろん、乙姫とセックスすることは、出来ません。
なにせ、乙姫は、下半身が、魚なのですから。
しかし、そういう物理的な理由も、ありますが、うらしま太郎、は、ジェントルマンシップを持っていたので、というか、ストイックなので、いきなり、抱きつく、という趣のないことは、したくなかったのです。
こうして、うらしま太郎、は、竜宮城、で、乙姫と、一緒に、楽しく暮らしました。
どのくらい、の日が、経ったのかは、竜宮城、には、時計がないので、わかりません。
しかし、竜宮城、には、テレビも、パソコンも、何もなく、だんだん、うらしま太郎、は、退屈になってきました。
その上、料理は、毎日、魚料理ばかりです。
それに、家族のことも、漁の仕事のことも、自分がいなくて、大丈夫かな、と心配になってきました。
それで、ある時、うらしま太郎、は、乙姫に、
「乙姫さま。長い間、有難うございました。私は、出来ることなら、もっと、ここに、いたいのですが、家族や仕事のことが、ずっと気にかかっていました。そろそろ、村に帰りたいと思います」
と、申し出ました。
乙姫は、
「そうですか。それは、とても残念です。私も、楽しかったです。しかし、うらしま太郎、さまも、家族や仕事のことが、心配でしょう。別れは、惜しいですが、どうぞ、亀に乗って、村へお帰り下さい」
と、親切に言いました。
「どうも有難うございます」
うらしま太郎、は、乙姫に、感謝して、握手しました。
うらしま太郎、が、亀の背中に、乗ろうとすると、乙姫は、
「ちょっと、待って下さい」
と、うらしま太郎、を、引き留めました。
そして、きれいな玉手箱を、差し出しました。
「うらしま太郎、さま。楽しい日々を送らせてもらった、お礼です。たいした物では、ありませんが、受けとって、下さい」
と言いました。
「中には、何が、入っているのですか?」
うらしま太郎、が、聞きました。
「うらしま太郎、さま。まことに、申し上げにくいことなのですが、そして、おわびしなければ、ならないのですが、竜宮城、での、1日は、地上での、50日、に、当たるのです。なので、玉手箱を、開けると、うらしま太郎、さま、は、一気に、50歳、歳をとって、老人になってしまいます」
と、乙姫は、言いました。
うらしま太郎、は、首を傾げました。
「それなら、玉手箱を、開けなければ、いいじゃないですか?」
と、うらしま太郎、は、乙姫に、言い返しました。
「それは、そうですが。何かの役に立つかもしれないと思います。どうぞ、持ち帰って下さい」
と、乙姫は、言いました。
うらしま太郎、は、玉手箱を、開けなければ、歳をとることもないのに、どうして、玉手箱を、乙姫は、渡したのだろうと、疑問に思いながらも、親切な、乙姫の、忠告なので、玉手箱を、持って帰ることに、しました。
そして、うらしま太郎、は、玉手箱を、持って、亀の背に乗って、海の中を、陸に向かって進み、そして、元の、村に、もどりました。
村は、少し、様子が、変わっていましたが、それほど、変わっては、いませんでした。
近くに、いる村人に、今は、平成、何年の何月何日、なのか、聞きました。
すると、村人は、訝しそうな目で、うらしま太郎、を、見て。
「今は、1995年(平成7年5月1日)、ですよ」
と、朴訥に答えました。
うらしま太郎、は。
(そうか。それなら、オレは、一年間、竜宮城、で過ごした、ことになるな)
と、感慨深そうに、つぶやきました。
しかし、村人の様子が、変です。
村民は、うらしま太郎、に、おびえているような、様子で、急いで、近くの警察署に駆け込みました。
すると、すぐに、警察官が、出てきて、うらしま太郎、の、所に来ました。
そして、うらしま太郎、を、にらみつけました。
「ちょっと、任意で、聞きたいことがある。警察署まで、同行してもらえないか?」
と、警察官は、言いました。
うらしま太郎、は、
「はい」
と言って、警察署に、生きました。
警察官は、しばし、うらしま太郎、の顔を、じっと、見つめていましたが、
「警視庁に、行ってもらえないかね?」
と、言いました。
うらしま太郎、には、何のことだか、さっぱり、わかりませんでした。
しかし、ともかく、うらしま太郎、は、
「はい。行きます」
と、答えました。
すぐに、うらしま太郎、は、パトカーで、警視庁に、輸送されました。
(オレは、何かの事件で、疑われているのだろう)
と、うらしま太郎、は、漠然と、感じました。
しかし、一体、何の事件かは、全くわかりません。
パトカーは、警視庁につきました。
うらしま太郎、は、取調室に、入れられました。
取調室は、薄暗く、裸電球と、机一つがあるだけで、うらしま太郎、は、机の前の椅子に、座らされました。
やがて、二人の検事が来て、机を挟んで、うらしま太郎、と、向き合うように、座りました。
「私は、主任検事のAという。あなたに聞きたいことがある」
と言いました。
「はい。何でも、正直に、答えます」
と、うらしま太郎、は、言いました。
取り調べが始まりました。
「あなたの名前は?」
「うらしま太郎、です」
「歳は?」
「25歳です」
「職業は?」
「漁師です」
「ところで、あなたは、去年の、5月1日から、今日の、5月1日まで、どこに、いましたか?」
うらしま太郎、は、言いためらいました。
竜宮城、に、いました、と言っても、信じてもらえない、ような気がしたからです。
しかし、検事は、
「さあ。答えて下さい」
と、威圧的に、うらしま太郎、に、詰め寄りました。
なので、うらしま太郎、は、仕方なく、
「竜宮城、に、いました」
と、答えました。
「竜宮城、だと?それは、どこにある?」
「海の中です」
「何をねぼけたことを言っている」
検事は、うらしま太郎、を、にらみつけました。
うらしま太郎、は、一体、自分は、何の容疑で疑われているのか、知りたくなりました。
それで、
「検事さん。一体、私は、何の犯罪で、疑われているのですか?」
うらしま太郎、は、聞きました。
「あんたは、去年の、6月27日の、松本サリン事件と、今年の、3月20日の、地下鉄サリン事件を、知っているだろう?」
検事は、言いました。
「はっ。何ですか。それは?」
うらしま太郎、は、首を傾げました。
「とぼけるな。去年の、6月27日の、松本サリン事件と、今年の、3月20日の、地下鉄サリン事件、は、テレビでも、新聞でも、大々的に、報道されて、日本人は、みな、知っているはずだぞ」
検事は、怒鳴りつけました。
「何ですか。その、松本サリン事件と、今年の、3月20日の、地下鉄サリン事件、というのは?」
うらしま太郎、は、聞き返しました。
うらしま太郎、は、去年の、5月1日に、竜宮城に行きましたから、松本サリン事件、も、地下鉄サリン事件も、知りません。
「とぼけるな。二つの事件とも、オウム真理教が、無差別テロとして、サリンを撒いた事件だ」
検事は、怒鳴りつけました。
「あっ。あの、変な、オウム真理教ですか。麻原とかいう人が教祖の。あの宗教集団が、サリンを撒いたんですか?」
うらしま太郎、は、始めて、知って、驚きました。
「そうだ」
と、検事は、うらしま太郎、を、にらみつけました。
「これを見ろ」
検事は、そう言って、写真を、うらしま太郎、に、見せました。
それは、地下鉄サリン事件に、関わった、オウム真理教の、幹部の一人でした。
うらしま太郎、は、1990年(平成2年)に、第39回衆議院議員総選挙に、立候補した、その、オウム真理教の幹部S氏を知っていました。
なぜなら、うらしま太郎、は、その幹部に、顔が、とても、似ているので、「お前。オウム真理教の、S氏に、似ているなー。そっくりだぜ」、と、漁師仲間から、からかわれていましたから。
「これで、もう、わかっただろう。お前は、S氏に、そっくりだ。お前は、去年の、松本サリン事件と、今年の、地下鉄サリン事件、に、関わっておきながら、その後、韓国か、どこかへ、逃亡して、おおかた、プチ整形でも、したんだろう。しかし、プチ整形しても、地顔が、完全に、他人の顔になることなど、出来ないからな。顔の雰囲気は、はっきり、残っているぞ」
と、検事は、言いました。
「え、冤罪だ。私は、S氏ではない」
うらしま太郎、は、叫びました。
「そう言うんなら、去年の5月1日から、今日まで、1年間、どこに、いたか、アリバイを示せ。お前は、一年間、どこにいたんだ?」
検事が、聞きました。
「竜宮城、に、いました」
うらしま太郎、は、正直に答えました。
「そうか。では。その、竜宮城の住所を言え」
「竜宮城、は、海の中です。どこの海域なのかは、私には、わかりません。それに、海の中には、住所など、ありません」
「なにを、寝ぼけたことを言っている」
検事は、鬼面で、うらしま太郎、を、にらみつけました。
「検事。もしかすると、この男は、頭がおかしいのかも、しれませんよ?」
もう一人、主任検事の隣に座っていた副検事が、主任検事に、言いました。
「ふーむ。そうだな。ここまで、支離滅裂なことなど、まともな、人間なら、言うはずがないからな」
と、主任検事は眉を顰めました。
「いや。もしかすると、こいつは、支離滅裂なことを、言って、精神障害者を装っているのかもしれんぞ」
と、主任検事が言いました。
「そうですね。その可能性は、否定できませんね」
副検事が言いました。
(ああっ。このままでは、オレは、犯罪者にされてしまう)
うらしま太郎、は、心の中で、焦り、嘆きました。
と、その時。
うらしま太郎、は、自分の、無実を、証明できる、物を思いつきました。
玉手箱です。
玉手箱を、開けると、自分は、老人になってしまいますが、冤罪で、死刑になるよりは、マシだ、と、うらしま太郎、は、咄嗟に、判断しました。
「検事さん。私が、持っていた、玉手箱、を、持ってきて下さい。あれが、私の無実を証明してくれます」
うらしま太郎、は、強い語調で、訴えました。
「ああ。あれか。あの箱か。あれは、押収品として、預かっている」
「あれを、持ってきて下さい。そうすれば、私の無実が証明できます」
「どうして、あの箱で、お前の無実が、証明できるのだ?」
「それは、開けてみれば、わかります」
うらしま太郎、は、執拗に、食らいつきました。
「そうか。お前が、そんなに、言うなら、持ってきてやろう」
そう言って、主任検事は、副検事に、目を向けました。
「おい。あの、箱を持ってこい」
「はい」
そう言って、副検事は、取り調べ室を出ていきました。
しばしして、副検事は、玉手箱を、持って、取調室に帰ってきました。
「さあ。持ってきたぞ。お前の、無実を証明してみろ」
主任検事が言いました。
「はい。わかりました」
そう言って、うらしま太郎、は、玉手箱を、開けました。
すると、モクモクと白い煙が、玉手箱から、出てきました。
「うわっ。何だ。こりゃ」
二人の検事は、驚きました。
しかし、それ以上に、二人の検事には、驚いたことがあります。
それは、今まで、目の前にいた、若者が、いなくなり、かわりに、白髪の老人が、いたからです。
二人の検事は、動揺しました。
「一体、これは、どういうことだ?」
主任検事が言いました。
「わかりません。全く、わかりません」
副検事が言いました。
「と、ともかく、このことは、決して、マスコミに発表しては、ならない。テレビのニュースにも発表してはならない。こんな、白髪の老人が、25歳の、S氏だ、などと言ったら、検察は、完全に、国民の、笑いものにされる」
主任検事が言いました。
「そうですね。村木厚子事件。鈴木宗男事件。三井環事件。小沢一郎の、陸山会事件、以来、国民は検察を信用しなくなってきていますからね。これ以上、検察の、威信が、失墜するのは、何としても、食い止めねばならないですね」
副検事が言いました。
「あんた。何がなんだか、わからないが、とにかく、あんたは、無罪放免だ。疑ってすまなかった」
主任検事が言いました。
こうして、うらしま太郎、は、釈放されました。
うらしま太郎、は、心の中で、乙姫に、「ありがとうございました。乙姫さま」、と、言って、晴れ晴れとした心もちで、家に帰りました。
家に帰る途中の浜辺で、うらしま太郎、は、1年前に、竜宮城、に、連れていった、亀が、いるのを見つけました。
亀は、うらしま太郎、を、見ると、こう言いました。
「うらしま太郎、さま。実は、乙姫さま、は、うらしま、さま、が、竜宮城、に来られた後に、松本サリン事件が起こったのを知りました。そして、地下鉄サリン事件が、起こったのも。そして、乙姫さまは、人間社会の、検察の横暴さも、知っていました。乙姫さまは、このままでは、うらしま太郎、さまは、死刑にされてしまう、と、焦りました。なので、うらしま太郎、さまを、守るには、玉手箱を、渡すしかない、と、苦渋の決断をなされました。死刑にされるよりは、竜宮城、で、楽しんで、そして、老いてしまっても、死刑にされるよりは、老いた方が、まだ、救われると、判断なされました。乙姫さまも、悩まれたのです。どうか、乙姫さまを、許してやって下さい」
と、亀は言いました。
「そうだったのか。そんなこととは、知らなかったな。乙姫さまに、(どうも、有難う)、と、伝えて下さい」
と、うらしま太郎、は、言いました。
「有難うごさいます。うらしま太郎、さま」
と、亀は、一礼して、海の中へ潜っていきました。
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