無人島 2話


真夜であり無理に起こされたせいでまだ眠い


「隣に燃え広がるような距離でもありませんね」


この一言だけ残して私は自分のコテージに戻る事に

皆も眠かったようで特に気にする様子も無く帰る様子が見えた

爆発の大きな音は最初だけで今は炎が燃えるだけのゴウゴウしか聞こえない


翌日に見にいけば屋根が崩れている


野次馬が集まっている現場に合流した


「おはようございます」

「とりあえず館へ行きませんか?」

「……誰?」


11人目かと思うほどに変わった姿だったので驚いた

すると別の女性が答えを話す


「私は美容師でして、彼の髪を切ってみたんです」

「配達員の正装は髪を伸ばして縛りますがもう関係ありませんから」

「中々の出来だと思いますよ」


館に行くとシェフが準備を丁度終えていた


「カメラマンの彼はどこに?」

「今朝から見てませんね、呼んで来てもらえますか?」

「部屋は2階でしたね」


寝室へ行ってコンコンと扉を叩くも返事は無かった

ゆっくり扉を開けると『永遠の眠り』についていた

包丁が刺さってベッドに寝かされており、出血量から見て死んでいるのは明らか


美容師と配達員も共に死体を確認してテーブルへ戻って来た


「亡くなってましたね」

「包丁が刺さっていましたがシェフさん何かしりませんか?」

「今朝にはもう包丁が在りませんでしたよ」

「これでシェフさんが犯人なら裏の裏で面白いぐらいです」

「霊安室まで運ぶには彼は大きすぎますね」

「それと昨夜の鍛冶でお医者様のコテージが爆発しました」

「だから彼がいないと、納得です」


料理が二人分余ってしまったなとシェフが寂しそうにしていた


「花でも供えておきますか」

「表に自然に咲いた花がありましたから私つんで来ますね」

「先に食事をどうぞ、冷める前の方が美味しいですよ」


皆それを聞いて席について食事を始めた

昨日よりも温かいからか出来が良く感じる

スープに関しては苦手なポタージュ系にも関わらず全て飲み干した


「皆さん犯人って検討ついてるんですか?」


配達員と美容師が顎に手を当てて考えを話し出す


「実はあらかじめ用意されていただけで島に誰もいませんでした、というのは?」

「包丁が使われていますからあり得ないでしょうね」

「寝込みだから女性の力でも出来そう」


私にも視線が集まった


「女性とか以前に私に犯行は可能ですよ」

「と、いうのは?」

「バスケットボールチームのキャプテンでしたから力があるんです」

「たしかに力がいる作業も貴方なら出来そうですね」


デザートのアイスが溶けだしたので口に入れた


「今日で二日目なのにペースが早いな」

「シェフとしては腕前がふるえなくて残念だったりしますか?」

「少し思いますが何も起きないよりはいいのかもしれませんね」


食事も終わったが少しの間メインホールで雑談をした


「バスケでキャプテンだ何てすごい方ですね」

「美容師だって技術職でしょう、私には出来ませんよ」

「私ほどの腕前ならば日本中に沢山いますから」


ふとキッチンにまだ入っていない事を思いつき中へ

食器を下げていた田舎で農業をしているという男と目が合った

そういえばまだ話をしていない


「こんにちは」

「どうも、食器洗いのお手伝いです?」

「いいですよ」


そのつもりは無かったが人数もいれば皿を洗うのも大変そうだった

異常事態でも助け合える方が自分好みだったので手を貸す事をを決めた

食器を拭いて棚にしまう作業を担当した


「僕はシェフの方が最初に死ぬかと思っていました」

「それはどうしてです?」

「口封じです」

「話されたくない事があったのですね」

「彼があらかじめ島で用意した事などは犯人にとって都合が悪そうですから」


包丁が使われたりしたので、分からなくはない


「そういえば農家だそうですけど何を作っていたんですか?」

「平凡な物ですよ、人参や玉葱に芋と面白くはありません」

「最近はニュースで新しい農法について見ますね」

「私はテレビを見ないので家にテレビが無く世間の事はあまり知らないのです」

「新聞もみないんですか?」

「どうにも世論が苦手でして、パソコンも携帯も持っていません」

「よく生活できましたね?」

「田舎でひっそりと生活していたので贅沢をしなければ暮らせますよ」

「無農薬ですか?」

「……いいえ」








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