第21話 ついに一人目のヒロインが登場しました!! 出番まで長かったですね。文句は作者に言って下さい。ラミーニアの過去を考えると胸が締め付けられますね

『……この子の両親は?』


『獣人族の村が襲われた時に殺されています……』


『そうなると、身寄りもないよね』


『はい、村ごと襲われていますので』


 うつろな表情をしているわけだ……


『一緒に連れて行く……っていう選択肢はありなのかな?』


『私は、女神として、全ての人々を助けたいと思っています。しかし、私だけでは助けることができませんので、選択肢はウルクにあります』


 それはそうだ。


 アリーセス自身で何とか出来るのであれば、既にラミーニアを救済しているだろう。


 その上でアリーセスに答えをゆだねようとした。


 見捨てることはできないけど、自分では重荷を背負いたくない……

 

 そんな心の声が聞こえたような気がした。


 偽善者ぎぜんしゃだなぁ。


 そうも思った。


 でも――


「僕の名前はウルクっていうんだけど、君の名前は何て言うの?」


 少しかがんで、女の子の目線に合わせて話しかけた。

 アリーセスからは聞いているが、本人からも聞いておかないと名前で呼べない。


「な、名前は……、ラミーニア……です」


 ラミーニアが小声でそう言った。

 アリーセスから聞いた名前でちゃんと合っている。


「いい名前だね。ラミーニアは、これからどうする予定なの?」


「……これからですか? 今の私には、何もありません。家もなく生きる目的もありません……」


『一応、ロワイアントナーガ国には、身寄りのない人々を預かる養護施設や教会はありますが……、ウルクの心は決まっているようですね』


『ああ』


 そう、いくら考えたって正解なんてない。

 僕の気持ちをそのまま伝えて、後はラミーニアが判断すればいい。


「よかったら、一緒に来ない?」


「え?」


 ラミーニアが驚いた表情をしている。


「実は、僕も、この世界リゼラミアのこと、分からないことがたくさんあって……。世界リゼラミアのことをもっと知りたくて冒険をしているんだ」


「そうなんですか?」


「ラミーニアには、多くの辛い過去があったかもしれない。けど、僕らが見ていない世界の中には、そんな辛い過去も消し去るくらい素敵な世界があるかもしれない。一緒に冒険をしながら、そんな世界を探せないかなって……」


「辛い過去を消し去るくらいの素敵な世界……、そんな世界が?」


「まあ、あるかもしれないし、ないかもしれない、実際は冒険してみないと分からないんだけどね」


 そう言いながら苦笑する。


「ウルクさん……」


 うつむいていたラミーニアが少し顔を上げた。


「……探してみたい」


「え?」


「私も、そんな世界を見つけてみたいです」


 ラミーニアが勇気を振り絞(しぼ)るように答えた。


「じゃあ、決まりだね。これからもよろしく、ラミーニア」


 僕は思わず彼女の頭をなでていた。

 すると、ラミーニアの目から一滴いってきの涙がこぼれ落ちた。


「はい、こちらこそ、よろしくお願いします」


 ラミーニアが涙をぬぐって微笑む。


 虚ろだったラミーニアの表情に、光が少し戻ったようにも見えた。

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