(2)
私は監禁されていた建物の地下駐車場に連れて行かれた。
「装甲塗装チェンジ。モード119」
その時、私をここまで連れて来た2人組が、ほぼ同時にそう言った。
「えっ?」
さっきまでオレンジ色だった2人の強化装甲服は……かすかな緑色っぽさが有る白へと変っていた。
「な……なんだ?」
冗談じゃない。
私にとっての「真の日本」だった「伝統文化地域」は、自称「狭義の日本」より科学技術が5年は遅れている……そう言われていた。
「真の日本人」の多くは、そんなのは自称「狭義の日本」によるプロパガンダだと思っていたが……。
「ど……どうなっているんだ? 何故、装甲の色が一瞬で変った?」
「これから病院に向かいますので、それに相応しい色に変えました」
「はぁ?」
「ですので、一般のレスキューやテロ・災害時などの非難誘導の際には目立ち易いオレンジ色にして、病院に出入りする場合には……」
「え……えっと……何と言えば良いか……その……差し支えなければ、どう云う原理で……」
「えっと……あの……まさか、『伝統文化地域』には……その……こう云うモノは……?」
「無い。そんなモノは無い。少なくとも私は見た事も無い」
「ですが……この装甲の表面の色や模様を変える技術は……一〇年以上前の時点で実験段階の成功、七〜八年前には安価に大量製産する方法が確立された筈ですが……」
ど……どうなってるんだ?
「ええ、もうすでに……海外のファッションショーでも、この技術を使った服が発表されてるそうですが……」
私が混乱している最中に、地下駐車場に停車している白いバンの内の一台から2名の人物が出て来た。
強化装甲服の2名よりは流石に軽装だが、目にはカメラ付きのゴーグル、口と鼻は簡易型の防毒防塵マスクらしきもので覆われている。
着ているのは、オレンジ色のツナギと白いハーフコート。
「これより、藤田正一氏を病院まで輸送します」
その内の1人が、彼らの司令部らしき場所と無線通話を行なった。
「では、こちらの車に乗車願います」
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