第59話 やらないか

 前衛3人でオークソルジャー2体を押さえつつ、オークアーチャーの攻撃を後衛に及びそうなものも含め防いでいます。前衛の一人は大きな透明の防護盾を持ち、体ごとぶつかりモンスターを食い止め、もう一人の前衛はダメージを与えるというよりはモンスターの集中力を削ぐように剣で薄く斬りつけたり目や関節を狙ったりして動きを阻害するように立ち回り、もう一人の前衛はオークソルジャーにダメージを与えつつ、時々飛んでくるオークアーチャーの矢を防いでいます。


 後衛の二人もタイミング良く声をかけながら魔法を撃ちます。マコトとアキラとシズクの魔法に見慣れていると少しパッとしませんが、モンスターにダメージを与えるのに十分な威力がありながら、ある程度の早さもある魔法です。


 そして、最も目を見張るものがあったのが、ショートソードを装備し顔の殆どを覆うような覆面をした遊撃です。戦場全体がしっかりと見えているようで、オークアーチャーが矢を放とうとしたタイミングで礫をうち妨害したかと思えば、前衛が攻撃を捌ききれず攻撃を受けそうになった時にオークソルジャーの背後から攻撃をしてモンスターの攻撃を阻止したり、気が付けばオークアーチャーの死角から忍び寄り仕留めたりしていました。


 大きな怪我もなく無事戦闘が終わったようです。それぞれがベストを尽くす良いパーティだと思ったのですが、遊撃の人だけが役立たず呼ばわりされています。どうやら、遊撃の人が気配を消して行動していたため、戦闘に集中していたパーティメンバーには認識できていなかったようです。仕事が正当に評価されないのは哀しいことですが、よそのパーティの事なので口出しできませんね。


 さて、それでは気を取り直して、僕達の番ですね。


 前のパーティがダンジョンの穴に全員入っていくのを確認してから、僕達も穴へと近づきます。すると、まるで斧のような肉斬り包丁を持ったオークソルジャー3体と、角のついた兜を被り肩当てをつけシミターを持ったオークナイトが穴から出てきました。エリアボスはランダムなところがあり、その階層のモンスターの傾向から大きく外れる事はありませんが、毎回同じモンスターが出てくるとは限りません。今回はオークアーチャーがいない変わりに、オークナイトが出てきました。オークナイトはオークソルジャーの上位種になりますが、オークアーチャーが出てくるよりは良いでしょう。何せ、僕達のパーティは飛び道具に弱いですからね。飛び道具に対しては個々に対応しているのが現状です。レベルが上がった僕とマコトとアキラなら自分に飛んできた矢ぐらいならなんとか対応できますが、シズクには難しいのではないでしょうか。一度飛び道具対策を話し合った方が良いでしょう。


 こちらを認識したオーク達がオークソルジャーを先頭に突っ込んくると、モンスターが穴から出てきた時から準備していたマコトとアキラの魔法が放たれる。マコトとアキラの魔法が命中し足が止まったところに少し遅れて放たれたシズクの【火魔法】が炸裂する。モンスター4体を包む巨大な炎の奥に何かが揺らめくのが見えたような気がしたので数歩前に出て待ち構る。気のせいだったかと思い始めたところへ炎を突っ切りオークナイトがシミターを振りかぶり襲いかかってきました。振り下ろされるシミターを右手のバールのようなもので受け止め、流し、L字部分を使い絡め跳ね上げ、左手のバールのようなもので頭部を打ちつけ兜を跳ね上げる。バールのようなものを手離し大きく体勢を崩したオークナイトを再び炎の中へと投げ飛ばす。炎の中に潜んでいた時のダメージもあり、今ので止めとなりオークナイトは光の粒子となって消えていく。それを見ながら跳ね上げたシミターと兜が落ちてきたところをキャッチし、


 ジュッ


「あうち!」


 取り落としたシミターと兜はオークナイトと一緒に消えていきました。アイテムを取り逃すは、手に火傷を負うしで、締まらない終わりになってしまいました。


「モンドさん、大丈夫ですか?」


「少し、火傷してしまいました」


 手の火傷をマコトに魔法で癒してもらっている間にアキラとシズクがドロップ品を回収してくれています。


「あ、アキラさん、コレなのですが」


「何?」


 何か珍しいアイテムでもあったのか、シズクがアキラに報告しています。


「あの、アキラさん、コレって…ゴニョゴニョ…」


 シズクは何故かアキラに小声で報告しています。それを聞いたアキラは喜んでいるのか、シズクの脇に手を入れ持ち上げるとその場でくるくると回り始めました。


「目、目が、回ります…」


「アキラ、何かありましたか?」


「高級食材があった」


 モンスターから食材がドロップすることがあります。ここに来るまでにも、オークからオークロース肉のブロックを手にいれています。


「高く売れそうですか?」


「せっかくだから食べる」


 どうやら今日か明日にでも珍味が食べられそうです。


 僕の火傷がマコトの魔法により治り、ドロップ品も集め終わったので次の階層へ行くため、穴の中に入りました。


 5階層は森エリアのようです。


 マコトが周囲を探知しましたが、どうやら近くにモンスターや他のパーティはいないようです。探索の区切りとしてはちょうど良い時間なのですが、回りに何もいないということで、少しだけ周囲を探索しました。その甲斐もあって薬草の類いは見つかりませんでしたが、自然薯を発見することができたので、少し時間をもらい掘り起こします。ステータスが上がっているおかげで、思っていたより短い時間で手に入れる事ができました。


 今日も無事探索を終え、ダンジョンから出てくることが出来ました。昨日の事を考え、帰路はわざと遠回りをし、そのついでに自然薯のお裾分けをするために、近所のじいさんの家へ立ち寄りましたが、どうやら留守にしているようです。


「ここまでは大丈夫みたいですね」


「昨日の今日だから大人しい」


 マコトとアキラが周囲を確認していますが、怪しい気配はないようです。もう少し遠回りをして様子を見てみましたが問題なさそうなので家へと帰ってきました。


 家に入り、手洗いをした後、リビングで一息ついていると帰り道の間ずっと神妙な顔をしていたシズクが覚悟を決めた表情で口を開きました。


「あ、あの、モンドさんとアキラさんとマコトにお願いしたいことがあります!」


 おそらくは自分が狙われていることについて何か話をしたいのでしょう。僕達も真剣に話を聞く姿勢になります。


「私と一緒にDウェイバーをやりませんか!?」



Result

 魔石 B 10個

 魔石 C 6個

 魔石 D 1個

 魔石 B赤 1個

 武器 ゴブリンの短剣 1本

 武器 ゴブリンの短弓 1本

 武器 オークの肉切り包丁 2本

 防具 オークナイトの兜 1個

 アイテム 河童の傷薬 2個

 素材 大型野犬の皮 1枚

 素材 鳶の羽 2枚

 スキルオーブ 4個



NAME:馬場 主水


LEVEL:15 → 16


STATUS

 STR:20 → 21

 DEX:25 → 26

 VIT:17 → 18

 AGI:21 → 23

 INT:25 → 26

 MND:30 → 31


SKILL

 【激運】

 【手力男】

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