第60話 上手にできました!

Result

 モンスター素材 オークのロース肉 1kg

 モンスター素材 オークのバラ肉 1kg

 モンスター素材 オークのハラミ肉 500g

 ダンジョン産 自然薯 2kg


「Dウェイバーですか?」


「はい、このパーティならぜっっっったいイケましゅ!!」


 勢いのあまり噛んでしまったようです。


「しかし、僕達ができるくらいの事なんて、他の人達もできるでしょうから、配信をしても他の人との差別化が出来ないのではないですか?」


 アキラもウンウンと頷いています。


「いや、大丈夫です!私の目から見ても、3人はだいぶ人間辞めてますから!」


「へ!ボクも!」


「当たり前でしょ。一番不思議なのがマコトだよ!モンド様とアキラさんは何か武術をやってたってのは前に聞いたけど、マコトはそういうのどっかで習ったわけじゃないんでしょ」


貴重な参考文献マンガを基にキビシイ修行をしたんだよ!」


「漫画を真似して、それを再現するなんて普通できないから!ボクシング漫画と剣客漫画を参考にあの二刀流の六連撃を完成させるとか意味がわかんないよ」


「あれはまだ完成じゃないよ。六連だとマンガじゃ負けちゃってるから、その倍は目指してるんだ」


 マコトはもともとバレエをしていたそうなので、その時に体幹が鍛えられたのでしょう。戦闘中も体の軸がぶれることなく動いており、特に回転を利用する動きには目を見張るものがあります。その反面、回転の動きには敵に背を向け、視線が切れるタイミングも生じるため、魔法の探知により敵のいる場所を把握しているとはいえ防御面に関しては僕達のフォローが今はまだ必要となります。


「はぁ、あんたはそのキビシイ修行とやらでそのうち○○○波とか出しちゃうわけ」


「それならもうできるよ!石穿水衝拳!なんちゃって」


 そう言ってマコトが拳を突き出すと、小さな水の塊がピースをした手の形になりフヨフヨと飛んでいき、シズクの鼻先でパチンッと弾けました。


「それはただの【水魔法】じゃない!!」


 シズクはまだ、僕とアキラに少し遠慮をしているところがありますが、年の近いマコトに対しては心を開いているようで、よくじゃれあっています。


 リビングで一休みを終え、僕達は夕食の準備にとりかかります。僕は早速、手に入れたばかりの自然薯の3分の2をすりおろし、残りは料理に使うとのことでアキラに渡しています。アキラとマコトも今日手に入れた肉を取り出し調理を開始します。シズクはテーブル周辺の片付けや使わなくなった器具の片付け、お皿の準備をしています。


「えーと、何の話でしたっけ。あ、そうそう、Dウェイバーのお願いをしてたんでした。モンド様とアキラさんは自分の事をたいしたことないように言ってましたが、お二人の自己評価は何でそんなに低いんですか?」


「稽古とはいえ、今だに一度も勝てたことがない人がいますからね。そもそもその人に勝てるイメージがわかないですしね」


「まだまだ、師匠には遠い」


「前に言ってた、上には上がいるの人とアキラさんの師匠ですか」


 すりおろした自然薯にマコトが作ってくれただし汁と卵を加え、すり鉢とすりこぎでしっかり混ぜます。とろろが滑らかになったところでご飯にかけます。


 オーク肉のロース、バラ、ハラミを使う分だけサッと下茹ですると少し分厚めにそげ切りにしてキャベツやパプリカ、舞茸等と一緒に甘辛く味付けし炒めると、肉三種の回鍋肉が完成しました。それを大きめの皿に盛り付けてテーブルの中央に乗せます。


 残っていた自然薯をレンジで5分程温め、チョッパーで細かくする。そこにサバ缶とキュウリとニンジンを加え、マヨネーズで和えると自然薯のポテトサラダの完成です。


「「「「いただきます!」」」」


 まずは回鍋肉からいただくとしましょう。オーク肉は初めてですがこれは美味しいですね。豚肉といった感じですが、いつもスーパーの特売で買っているものと全然違います。肉の部位の違いによって、食感や味が変わるのも良いですね。肉だけで食べるのも美味しいですが、野菜と一緒に食べても美味しいですね。キャベツのシャキシャキした食感と甘味と一緒に食べる肉やパプリカの甘味と苦味と一緒に食べる肉もすごく美味しいですね。ただ、モンスターの肉という事で駄目な人は駄目かもしれませんね。


 とろろご飯も大変素晴らしいです。とろろが絡み付いたご飯は口に入れるとするすると喉元を過ぎていくのですが、口の中には芋と出汁の香りと味がふんわりと残り余韻を楽しめます。あまりにスルリと食べれてしまうので、気が付けば何杯もお代わりをしてしまいました。自然薯だからなのか、ダンジョン産の食材だからなのか、あるいはその両方なのか、普段家や食事処で食べるとろろより濃厚に感じました。


 自然薯のポテトサラダは、じゃがいものポテトサラダとはまた違う味や食感が楽しめ、美味しくできていました。メインの回鍋肉やとろろご飯程主張することなく、それでいて存在感はしっかりとあり、これぞ付け合わせという感じでした。


「「「「ご馳走さまでした!」」」」


 アレが美味しい、コレも美味しいと賑やかにとっていた夕食も終わり、後片付けをしようとするとマコト達が自分達がするから先にお風呂に入って欲しいとお願いされました。それは流石に申し訳ないので逆に僕が片付けるので先にお風呂に入ってくれと言うと、家主を差し置いて先に入るわけにはいかないと頑なに断られました。その配慮ができるのなら、皆さんに家に帰ってもらった方が僕の心の平穏のためになるのですが、などと思いながら片付けをお任せして先にお風呂をいただきました。


 お風呂から上がるとすっかりキレイに片付けが終わっていました。リビングで談笑しながらのんびりしているとマコト達も全員お風呂を入り終えたようです。シズクがDウェイバーについて熱く語っていますが、どうやらだいぶ眠気が強いようで壊れたラジオのようにしゃべっては動きを止め、またしゃべっては動きを止めを繰り返すようになったので今日はもう寝ることになりました。


 リビングで寝る準備をしていると、いつも寝室を使わせてもらってばかりだから、今日は僕に寝室を使ってくれと言われました。その配慮ができるのなら以下略…


 久しぶりに寝室の布団に入ると、自分のものではないとても良い匂いがすることに気が付き、落ち着かなくなり、ヨーガをして心を落ち着かせていたら気が付けば1時間程たっていました。


 体もほぐれ良い感じに眠気が襲ってきたので布団に入り直します。コレくらいの事で心が乱されるなんて、若い子達と一緒にいるせい…でこちらの心が若返って……しまったのか………ZZZ

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