第23話 筆記試験

 筆記試験は午前2時間で90問、午後も2時間で90問の全部で180問、5択のマークシート方式で合格ラインは7割以上である。


 2個目のスキルオーブも【幸運】でした。ここまでくると本当に幸運なのかと疑問に思ってしまいますね。使用すると【強運】スキルが【激運】に変わりました。試験が終わってからにでもナイスシニアに報告するとしますか。


 しかし、この時の僕はわかっていなかったのです。スキルの恐ろしさというものを……


 試験当日、僕達はとある商業大学に来ています。筆記の最終試験は近隣の他のギルドと合同なのでかなりの数の人が大学に集まっています。教室に入り、受験番号表の数字に従い席に着き周りを見てみますが、知っている顔はほとんどありませんでした。不正防止のため同じギルド同士の人が固まらないようにしているのでしょう。最後の悪あがきとして試験開始まではテキストを読み込むとしましょう。


 午前の試験が終了しました。ヤマは張ったところや最後にテキストを読み返したところがばっちり出ていました。山代担当官の講義では、ダンジョン内では役に立たないから、と言って省略されたところも少しありましたが、それでも今回のは結構自信がありますね。お昼ご飯と気分転換を兼ねてコンビニにでも行きますかね。


 廊下を歩いていると聞き覚えのある声が聞こえてきました。


「モンド、見つけた」


「モンドさん発見です!」


 後ろからかけられたアキラさんとマコトの声に振り向きます。


「モンドさん、ありがとうございます!モンドさんが教えてくれたとこがばっちり出ました!」


「モンド、すごい!ありがとう」


「マコトとアキラさんが頑張ったからですよ。僕は少しお手伝いをしただけです」


「アキラ」


「えっ!?」


「ウチもマコトと一緒がいい…」


「えーっと、アキラ…」


「うん!」


「ちょっと!!ボクもいるのに二人でいい感じのフインキにならないでよ!!」


 アキラに名前呼びを強要されているとマコトが抗議しながら右腕を抱え込む。


「じゃあ、ウチはこっち」


 そう言うとアキラが左腕を抱え込む。


 2つの幸せな感触に…思考が…停止する…。


 ハッ、なにやら周りから凄まじいプレッシャーが…怨嗟の呪詛まで聞こえてくる…


「二人はお昼まだだよね!とりあえず外に行こう!」


 この場に居続けることに危険を感じ急いで外へと向かう。


 コンビニでサンドイッチとコーヒーを購入し、大学敷地内にある中庭のベンチで、コーヒーは好きだけどブラックでは飲めないからカフェオレを買うんだけど、砂糖はいらないから単純にコーヒーに牛乳か豆乳を入れただけのやつを販売してくれないかなぁ、とどうでもいいことを考えつつ軽く食事をとる。食後は3人で開始10分前くらいまで簡単な勉強会をしてから教室へ戻りました。


 教室に入ると一斉に視線が集まります。視線に質量でも持たせたのかというくらいプレッシャーがかかりますが、スイッチを切り替えたおじさんのメンタルを舐めないでもらいたい。これくらいのプレッシャーはすでに経験しています。


 午後の試験もヤマを張ったところや先ほどの短い勉強会でやったところが多く出題されていてこの調子なら危うげなく僕だけでなく、一緒に勉強会をしたメンバーも合格できそうですね。


 無事試験も終わり、帰宅する前に一度ギルドに寄りますかなどと考えながら廊下を歩いていると、


「モンド、見つけた」


「モンドさん発見です!」


 後ろからかけられたアキラさんとマコトの声に振り向きます。


 あれ?これって?何と言いますか…デジャブ?


「モンドさん、またまたすごいのです!教えてもらったところがばっちりです!」


 そう言いながら右腕を抱え込むマコト。


「ウチはこっち」


 と言いながら左腕を抱え込むアキラ。


 2つの幸せな感触に…思考が…停止する…。


 ハッ、なにやら周りから凄まじいプレッシャーが…怨嗟の呪詛まで聞こえてくる…


「帰りにギルドに寄っていくので、少し急ぎますね!」


 身の危険を感じたので、急いでその場を離れるのでした。

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