第25話 設立5年前のふたりの事情

 財団設立5年前のある日、真千子と隆史は離婚した。


 二人は真千子の同僚である養護教諭鈴子すずこのセッティングした食事会で知り合い、食べ歩きが共通の趣味だったため意気投合し、知り合って半年でスピード結婚した。


 しかし、真千子は剣道部の顧問を務め、休日も遠征で休みはなく、隆史はSATから刑事一課へ移動となり、夜勤や捜査で休みが合わなくなり、次第に心が離れていった。隆史はすれ違いを無くしたいと思い、真千子に仕事を辞めて家庭へ入るようにお願いをした。

 高校教師となって3年目の真千子は生徒の成長していく姿に喜びとやりがいを感じていて、まだ教師を続けたいと言い、結局離婚となった。


 隆史は別れ際に


「君は強い女性だけれど、本当に困ったときは呼んでほしい。必ず僕が力になる」


そう言い残して去っていった。

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