第10話 学園

学園では魔法の講義を受けることにした。




魔法の基礎から実技にいたるまでを習得するためだ。




魔法には大きく分けて二種類ある。物理魔法と幻想魔法




物理魔法は物理の法則に従って火炎をおこすと大気の魔素が消費するというものだ。




魔素は産まれ持った才能によって幾多にもわかれ、個人個人にユニークな属性を付与させている。




主人公の場合はニート属性が適応されており”働いたらまけ”のデバフを受けている。




練度をあげるにつれて覚えられる魔法も増えていく仕組みとなっている。




幾度か登場しているアッパーとよばれる薬物は物理魔法と幻想魔法の間にうまれた劇物で魔力増幅と魔族化促進の作用がある。




「覚える事がおおすぎるんじゃぁ~まなびとうないぃ~」




「主よ、ここは耐え忍ばれよ」




ニート属性が付与されていることにショックをうけたアイリは講義をうけることできえるのではないかと考えた。




「ニートの定義がきになるところぞ!」




「アイリさん食堂へいきましょう」




雪姫にさそわれランチにいくことになった。




食堂でリザードマンの尾ヒレかつ定食をごちそうになったアイリは属性についての講義をうけることにした。




「属性とは先天性の物でかえることはできないとされています。後天的についた属性の場合は変える事が可能であります」




アイリのニート属性は後天的な物なので変える事も可能というわけだ。




「では、みなさんの属性を確認してみましょう」




教授はそういうと腕にはめたブレスレットのクリスタルをなで、ステータス画面を起動させた。




名前 ハインツ・ヴェルン




職業 教授




属性 火炎




装備 古びれ魔力をおびた万年筆  




練度 将軍II






アイリは自分のステータスを確認する




名前 アイリ




職業 学徒




属性 勇者




装備 ぼっさん 灼熱のリング 金剛石の指輪  




練度 騎士






アイリは勇者属性を獲得していた。




「きたこれ!」




「おぉお勇者の属性がつくとはさすが金等級の冒険者といったところかの」




「さすがですわアイリさん」




雪姫はアイリを可能な限り愛でた。




「やめれ~」




「ふっさすがはリーダー!勇者とは我と反目しあう属性よ!七天魔王っ・・・」




ラムゥトはテツオの口を覆うように手をかざした。



魔法学園が存在する都市は研究が活発に行われている事から研究都市とよばれている。




研究都市では様々な実験をおこない失敗と成功を繰り返していた。




スチームと魔力の混合幻想魔法もその一環から産み出された物だ。




水蒸気間の燃料を破邪の玉で代替することで永久的に活動し、また小型化が可能となった。




スチームで駆動するスチームバイクが開発されたのは破邪の玉のおかげともいえた。




「ひゃっは~早いぜ!汚物は消毒だぁ~」




世紀末ごっこをするアイリ。




「今回の授業はスチームバイクをつかった狩猟です」




「ひゃっはーそっちにいったぞ!」




ハニートードの狩猟を開始すると、遊び感覚で得物を追いかけはじめたアイリ。




「ゲロゲロ」




ハニートードは皮膚に甘い蜜を分泌する蛙型の魔物で食材と錬金の材料としても重宝されている。




アッパーの材料としても使うので国が学園の授業もかねて採取させているのだ。




「げろげろやでぇ~こんなんつこてる薬つかうとかぞっとしないな」




「主よ裏にまわりましたぞ」




「あいあいさ~~」




ハニートードを30匹捕獲することで授業は終了した。




「素晴らしい成果ですね」




そういって現れたのはアッパー事業を統括している下弦だ。




「これでアッパー製造も捗るというものです」




「国が薬を売ってるのは良くないと思います」




単刀直入に意見したのはアイリだった。




「いろいろとあるのですよ。心の弱い人間には糧となる物が必要なのです」




下弦の側には一糸乱れぬ隊列を組んだ兵隊たちがいる。




「やめろっていっとるんじゃけどなぁ」




剣に手をかけようとしたその瞬間




「これ以上の狼藉はたとえ雪姫殿のご友人とて容赦せん」




「主よ落ち着かれよ」




険悪なムードの中テツオはダークプリーストの印を結んでいた。




「我がダークヒーリングで全て癒してしんぜよう」




「ヒイイイイイイイイイイリング」




暗黒の光がアイリ達をつつみこむ。




「癒えていくクッ」




「これはなんだ・・・っくいえていくっ」




下弦は黒歴史がいえていくのを実感していた。




「特別な力をもっているようだな」




感心すると下弦はパーティーに招待するといいだした。




「王の傷もいえるやもしれぬ」




「薬のことはどうな――」




ラムゥトがさえぎった。




「喜んでうけいれましょう」




アイリは不貞腐れながらバイクをふかすと王国のほうへとむかっていった。




パーティは豪華絢爛といった会場で魔石がシャンデリアのように煌めいていた。




壁には漆塗りで黒と白のエレガントな装飾がなされまるで宮殿のようだった。




食卓にはリザードマンの尾ヒレかつやハニートードの酢漬けなど一風かわった料理がならべられていた。




「んまぁああい」




アイリはふてくされながらも料理をほうばった。




この料理が下弦の薬でかせいだものだとしっていたからだ。




「なかなかどうして美味しい料理だ」




ラムゥトも舌鼓をうっている。




「味はきにいられましたかな」




そう尋ねてきたのは王みずからだった。雪姫がよりそっている。




「国王陛下みずからおこしになるとは光栄の極み」




「よい、頭をあげい無礼講ぞ」




「陛下!この料理最高~!」




「ハニートードの酢漬けですかな」




「オロロロロロロロロ」




吐瀉物をまきちらすアイリ。




「なんちゅーもんを用意しとるんや」




「おやっおきにめされませんかな」




当然である。蛙の酢漬けなどくえたものではなかった。




「こちらはいかがな」




差し出されたのはマスタードスネークの串焼きだった。




「くえるかっーい!」




「これはこれで美味ですな」




ラムゥトは好き嫌いせずにむしゃむしゃと食べている。




「よいくいっぷりじゃな」




「どれもっともってこさそう」




王が合図すると様々なげてもの料理が並んだ。




「オエエエエエエエエエエエエ」




セセラギバッタの煮つけにジャンボコオロギの蒸し焼きだ。




「失礼ですわよアイリさん」




ほっぺたをつねりながら言う雪姫。




「やめ、やめいやめーい」




「ウルルン滞在記の気分や」




「なんですかなそのウルルンとやらは」




「きにせんといてや」




料理のセンスがえげつなかった。




「シェフをよべ!!」




「こんな冷え切ったトードくえるわけなかろうが」




シェフをよびだすといちゃもんをつけはじめた。




「食べれるわけないでしょうが!」




「食もほどほどにして本題にうつろうか」




そういうと暗幕がおりてきてスクリーンに映像が投影される。




帝国との戦争の歴史がうつしだされ、最後にこう綴った。




「帝国をほろぼさず、吸収せよ――」




「アイリ殿には帝国吸収の指揮をとっていただきたいのだ」




「むむ。げせませんぞ。上弦が指揮をとるはずではなかったのですか」




下弦は上弦がしきをとると聞いていたのでハトが豆でっぽうをくらった顔をした。




「よは王国の今後を憂いておる」




「世襲制は廃止しようとかんがえておるのじゃ」




「民の声に耳をかたむけ共に生きていこうと考えておる」




(民主主義かな?)




「多数で決をとることとする」




「マジックボードにおのが信念を刻みこみ投票するのだ」




魔力で文字が刻まれるマジックボードに個々人の投票権を記すというものだ。




マジックボードは手をかざすと魔力を吸引しはじめる。




魔素の本流にそって文字をうかべていく。




賛成という文字をつくりあげると、反対という文字もつくった。




「こうしておのが意見を刻み込み過半数をこえた場合のみ可決する」




「勝手に話をすすめないでいただきたい」




そういって話をとめたのは王国継承第一位の上弦だった。




上弦は世襲で王国をつぎたがっていたのだが王はサディスティックな一面をもつ上弦を心配し次期国王は民主主義にのっとってきめることにしたのだ。




「私が決めたことだ。勝手に等と傲岸不遜な発言は慎め」




王と上弦はなにやら因縁にもにた何か確執があるようだ。




「投票だよ~選挙がはじまるよ~」




選挙がはじまると国民総出の開催市がはじまった。




「我こそはダークプリーストのテツオ!選挙に立候補するぞ!」




「ヒイイイイイイイイイイリング!」




「あぁ癒えていく我の黒歴史のぞきみ日和の歴史が~」




「おおう王が元気をとりもどしているぞ!」




王は病んでいた。過去の自身の歴史が物語っている黒い部分の話だ。




「ダークプリースト様!あなたが癒してくれた傷はえもいえぬ悦がありますぞ」




「我輩のステータスをみるがよい!」




名前 テツオ




職業 ダークプリースト




属性 孤高




装備 マンティコアの鼻毛ブレスレット 




練度 騎士Ⅱ






テツオは地味に強かった。




「なんかはらたつなテツオ」




「テツオ!応援してるぞ!」




「鼻毛のブレスレットすてろー!汚いぞ!」




様々な民衆の声がきこえるなかダークプリーストの株はうなぎのぼりだ。




「ぐすん・・・ぐすん・・・そんなにいわなくてもいいじゃないか」




テツオのハートは絹豆腐で出来ていた。




「王もテツオを応援しているぞー!」




「おおぉ陛下自ら応援している!」




先代王も傷が癒えたことからテツオを応援しているようだ。




「私、上弦が当選したあかつきには皆さまに何一つ不自由をさせない国として自身と共に成長していく所存であります」




上弦も演説に加わってきた。




アイリは上弦のブーイング係として民衆にまぎれて噂をながしはじめた。




「薬は上弦と下弦がつくってながしているぞー」




「なんだってー!」




「とんでもねえやつだ」




「猥談オジサン事件も関係してるらしいぞー」




「なんだ猥談オジサンってー!」




先日女児に対して猥談を語り掛ける事件が多発していたのだ。




「けしからん奴だ!」




「そんな事実はいっさいありません。皆さん落ち着いてください」




「信じられるか―!」




「卑猥よ!卑猥だわ!」




「好き勝手いいよってからに・・・!」




みるみるうちに顔色をかえてキレそうになる上弦。




「民衆の声に耳をかたむけるのが私たちの務めだと考えております」




理性でおさえながら上弦は演説を続ける。




「帝国との戦争を長引かせるわけにはいきません。民は消耗しきっています!」




「そのとおりだー!」




アイリは噂を流しつつも演説の応援をしていた。




「俺は上弦様に一票だー!」




「私もよ!」




一人なびくと大勢が上弦に賛同しつつあった。




「奴隷問題についてはどうお考えかー!?」




アイリのするどい質問に上弦は口をつぐんだ。




趣味で奴隷を買いあさっていた上弦にはサディスティックな黒歴史があった。




「プンプンにおいますぞ黒歴史の香りが!」




テツオは鼻をひくつかせると上弦のもとまでかけよった。




「こやつめ相当な黒歴史をかかえているとおもわれる」




「えええい小賢しい!」




演説の邪魔をするなとのけられ、警備員につまみだされるアイリ達。




演説でにぎわっていた広場には市場がでており物色することにした。




古びれた懐中時計が展示されている雑貨屋をみつけると、センスがいいので中にはいることにした。


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