魔王の娘の奴隷になったけど勇者になります!~俺はもうお姫様なんて信じない!

あずま悠紀

第1話

ジャンル:異世界ファンタジー

タグ:異世界転生.主人公最強.剣と魔法.戦記.美少女.ライトノベル.ハイファンタジー.バトル

タイトル:魔王の娘の奴隷になったけど勇者になります!~俺はもうお姫様なんて信じない!


2年前、とあるゲーム会社が作ったゲームアプリ『ダンジョンにハーレムを作ろう』が、爆発的な人気を博して大ヒットを記録した。そしてこのゲームには『攻略対象であるお姫様を助けるために奮闘する』という要素も組み込まれていたのだが────。

3ヶ月前に発売されたこのスマホ用ゲームアプリ『勇者になって女の子を救いまくろう!』もまた同じように大流行していた。このゲームの主人公『白崎悠真』はある時突然異世界に転移してしまい、元の世界に帰るために様々なヒロインと出会い旅をしながら成長していくというもので──。

ただ1つ違うのは。その世界では女の子達が男を凌駕するほど強くなってしまうことだったのだ!! ***

「んぁああッ!」

俺は全身に電撃のような痛みを感じながらベッドの上で悶絶していた。昨晩寝る前にゲームをし過ぎたのか、今日はとても眠い。だが今は朝の8時前だ。学校へ行かなければ単位が取れなくなってしまう。俺はなんとか身体を起こすとリビングへと向かい朝食を食べる事にした。

(そういえば、あのゲームの続編が出たらしいから帰ったらやるか)

俺の名前は白崎悠真、15歳の高校生である。俺は昔からファンタジー系のRPGやアクションゲームが好きで、休みの日になるといつも部屋に籠ってそれらばかりをやっていたものだ。中でも最近は特にハマっているものがある。その名も『勇者シリーズ』──『勇者となって女戦士を救いまくれ!』というゲームだ。今話題になっているゲームなのだがプレイしてみると本当にハマってしまい徹夜してしまうくらい夢中になってしまった。

この『勇者シリーズ』とはその名の通り勇者になるゲームであり主人公は数々のモンスターと戦いながら最終的には世界を破滅させようとしている邪神と戦うという設定のゲームだ。ストーリーは勇者となった主人公がお姫様を助けて一緒に旅に出るというよくある感じのものなんだけどそれがすごく面白くて俺にとっては毎日でもやりたくなるほどお気に入りの作品である。ただ残念なことに2年前から続編が出ておらずネットでも話題になっている程の人気作である。ちなみにお値段の方はこの2年の間に何度もアップデートを繰り返しているせいなのか約5万円もするもので正直手が出せない金額となっている。

(よしっ! 今日の朝ごはんも美味しいぞー)

パンとベーコンエッグを口に運びながら満足気に食事を終えようとすると不意にあることを思い出す。それは──。

(あれ? なんだか大事な事を忘れてる気がするんだけれど、一体何だったかな?)

はっと何かを思い出したかの様に目を見開く俺だったが次の瞬間頭に強烈な痛みを感じたと思うとそのまま気を失ってしまう。すると俺は暗闇の中にいたのだが突然目の前が明るくなり光に包まれていったのだった。

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目が覚めるとそこには豪華な天井があった。一瞬自分が何故こんなところにいるのか分からないでいたが徐々に意識がはっきりしてくるにつれてある事を思いだす。それは自分の記憶の中にある一番新しい記憶──それは、

「えっ!?」

という叫び声とともに起き上がると周りを確認してみるがやはりここが自分の家ではないことは確かであった。そもそも部屋の造り自体が自分が住むアパートの部屋とは違うものであるうえ家具などは全て西洋風の物で統一されているからだ。

さらに驚いたことに俺は今まで見たことがないほどの美しい少女の顔を見て驚きすぎて固まってしまったのだ。年齢は16歳ぐらいだろうか。長い髪は金色の色をしていてその美しさはまるで月のように輝いて見えるほどである。そして瞳の色はルビーの様な鮮やかな赤をしていた。しかもその顔立ちはとても整っており誰が見ても綺麗だと思う程だ。また体つきは非常にスレンダーではあるものの胸は結構大きくDカップ以上はあるのではないかと思われるほどで、スカートからは白くスラリとした太腿が伸びていて健康的な魅力を放っているように見える。

「あの~大丈夫ですか?」

突然声をかけられハッとして少女の顔を見ると俺は恥ずかしさから顔を背けてしまう。

しかしいつまでも目をそらすわけにもいかないと思い勇気を出して正面から見ると俺は思わず息を飲んでしまったのだ。理由は簡単である。少女が俺の事を見つめていたからである。それも微笑みを浮かべながら優しい視線を向けてきているものだからつい見惚れてしまっていたのだ。

「うわぁっ!!」

「きゃあっ!」

2人揃って大きな悲鳴を上げるとその声に反応してメイド服を着た女性が駆けつけてくる。そして部屋の中には他にも人がいてみんな驚いて俺達の事を見ているようだったので俺は慌ててその場から離れようとしたが、どういう訳か動けなかったのだ。どうしたものかと思っていると先程の女性が声を掛けてきてこう言うのである。

「落ち着いてください悠真様。ここは安全な場所ですからね。あと申し遅れましたが私達はあなた様に危害を加えるような事は致しませんのでご安心下さいませ。それと悠真様はどうしてこちらへ来たのかご存知ありませんか?」

(えっ? なんで俺の名前を知ってるの?)

俺は疑問に思ったのだがよく考えてみればこの状況で名前を知られていない方がおかしいよなと思ったのだ。それにしてもいきなり俺の名前が分かるということは彼女達にはそういう能力でもあるのか、それとも俺の記憶を読んだのかのどちらかになるけど後者なら少し怖いかもと思ってしまう。そんな風に考えていると少女が再び話し掛けてきた。

「ねぇ? 本当に知らないの?」

可愛らしく首を傾げながら聞いてくる少女にドキッとしたがここで誤魔化しても何も解決しないので俺は正直に答えることにする。そうしなければ状況が全く分からないままだしこの人達が何者で何処にいるのかさえ分からないのだから。なのでまずは自己紹介をして情報交換してもらおうと思う。もしかすると名前を教えてもらえない可能性だって考えられるがそこはもう信じるしかない。

それからお互いに挨拶を交わすことにした。ちなみに彼女の名は『アリサ』といいこの国のお姫様だそうで年齢はまだ14歳でとても大人びて見えたが実際には年下だったらしい。ちなみに俺は『ユウマ』と名乗っておいたのだが特にこれといって疑われた様子はなく無事に信じてくれたようである。

俺の住んでいる所は日本であり東京であることを告げると彼女はとても驚いていた。というのも日本にはダンジョンやモンスターが存在しない世界だそうだからだ。そのため異世界が存在するという事実を受け入れることができないみたいだったのだが俺が嘘を言っているわけではない事が分かったのか納得してくれてようやく話が前に進んでいったのだ。

「それでこれからの話になるんですが悠真様はこの国──『アストニア』の第一王女であらせられるアリアーヌ様の護衛騎士になって頂きます」

「へぇ~そうなのかぁってええっ!? ちょ、ちょっと待ってくれないか? いきなり護衛と言われても困るんだが。というかそれ以前にこの国に俺の住んでいた街があるって言ってたがそっちの方は問題にならないのか?」

「もちろんです。むしろ悠真様にはその方で過ごして欲しいと考えております。なぜなら────いえ、とりあえずその件についてはまた今度説明させていただきます」

そこで何か言い掛けた女性だったが途中で口を閉ざしてしまった。恐らくまだ秘密にしておかなければならないことなんだとは思っているが俺としても流石に興味が無いといえば嘘になってしまうしどうしても聞きたいことだったのだ。しかしこれ以上無理強いすることはできないと判断した俺は話を変えるために今の状況を詳しく聞くことにしてみた。

「あのぉ、俺がこっちに来たのは2年前の事でしたよね。あれって一体なんでなのか教えていただけますか?」

「えっとそれは、ですね」

「実は、お父様は今病に侵されており余命いくばくもない状態になっているのです。本来ならば次期国王に即位するのは兄──アルスレイグ兄様なのではありますけれど今は行方不明となっておりまして王位継承は自動的に第一王子であったお姉さまのユレア様へとなる予定だったのです。ところが────」

(おおうっ!?)

いきなりとんでもない話をされたのだけどその続きを聞く前に急に部屋のドアが勢い良く開けられるとそこには2人の男性が立っていて俺の姿を見つけるなり急いで駆け寄ってくる。そして俺の両肩を掴むと必死になって言ってきたのである。

「ゆ、勇者様! お願いします。どうかこの国をお救い下さい!」

その瞬間俺は理解する。これはきっとよくある展開で俺は異世界転移というものをさせられたのだということを。

勇者となった俺は王様と王妃様に連れられて城の地下へと向かっていた。何故このような事になったのかと言えば話は数分前に遡る。俺を勇者として召喚したという事とこれから魔王を倒すための準備を行う為に城の地下にある魔法陣を使って転移させるからついて来てほしいと頼んできたのである。

なんでも俺に転移させた場所は俺がいた場所から数キロ離れた場所らしいのだがその場所を特定しないと転移ができないのだと王様は語っていたのだ。ちなみになぜこの場所を知られないようにしているかというともしその場所に勇者以外の人間が入ってしまった場合すぐにでも討伐しないといけないらしい。というか俺がもしも別の場所にいたらどうしていたんだろうかと思ったのだがそれを尋ねると王様は笑ってごまかすだけだった。

ただ勇者以外が入った場合はすぐに連れて来て処刑するとの事なので俺としても下手なことは聞けなかったので黙ってついていく事にしたのである。そして現在──。

(ここってやっぱりゲームの中なんだよな)

薄暗い地下通路のような場所を通り抜けると広い空間に出たので辺りを見渡してみる。そこには大勢の兵士達がおり俺達が入ってきた入口の方に向かって整列している。さらに兵士だけではなくメイド姿の女性達もいたのである。ただその格好はかなり派手で胸元が大きく開いたデザインのものを着ていてスカートは超ミニだった為俺は目のやり場に困ってしまう。

(っていうかこれ絶対露出が多いよな? こんなんで戦闘になったら動きにくいんじゃないか? それともその逆なのか?)

俺が疑問を抱いているとその中心には先程会ったばかりの姫様とその母親と思われる女王陛下らしき人物が立っていたのである。俺はその2人に頭を下げると自分の意思を伝えようとしたのだけれどそれよりも先に向こうから話しかけてきた。

「よくぞ参られました勇ましき若者よ。我が名はアリアンローズ。あなたを我が国に呼んだ者です。あなたの協力に感謝いたします。つきましてはまず最初にステータスを鑑定いたしますので手をそちらの台座の上に置いてください。そこに表示されたものこそが本当のあなた自身となり力の源になります。よろしいですか?」

「あ、はい。わかりました」

アリアンローズの言葉を聞いてから台座の上に手を乗せると俺は目を瞑り集中し始めた。そして心の中で自分のステ値を思い浮かべたのだけど────。

(えっ!? あれ?なんで出ないんだ? うーむ? おっかしいなぁ。もう一度やってみるか)

俺はさらに集中して念じ続けるがやはり何の変化も起こらない。不思議に思い目を開けると俺の事を見ている皆の視線に気が付き恥ずかしくなった俺は慌てて謝ることにした。

「す、すみません! あの、何も変化が起きなかったみたいなんですけど」

「いいえ気にすることはありませんよ。それどころか普通はそのような事がおきること自体がありえませんのでね。おそらく何かの要因が働いた結果だと思われますが詳しいことは分かりませんので一旦部屋に戻りゆっくりと休むとよいでしょう。明日の昼頃にまたこちらへ伺いますのでそれまでは城の者達の言う通りに過ごすように」

そう言われて連れてこられたのは俺が寝ていたベッドのある部屋であった。しかも豪華な作りになっていて明らかに俺の部屋とは違う。それに風呂もあるのはありがたかった。俺は疲れている身体を湯に浸けると今日あった出来事を思い出してため息をつく。

「マジで信じられないぜ全く。どうしてこうなったんだ?」

俺は天井を見つめながら独り呟く。正直俺は勇者だと言われてもいまいちピンときていない。いきなりそんなことを言われた所で俺の頭の中に浮かんだのはラノベの定番ネタでもある『チート能力』とハーレムだったのだ。正直言ってどちらも憧れるものではあるが自分には関係無いだろうなぁと思って諦めていた部分がある。だってそうだろ? 異世界に召喚されただけで既にチートじゃないかと思うわけでこれ以上欲しがったら逆にバチが当たりそうだと思ったからだ。

だがそんな風に考えていて俺の考えは甘かった。実際に自分が体験してしまうともっと違うことを考えるべきだったなと思ってしまう。なぜならこの世界に来てから色々とおかしなことが起きるのだ。最初はなんとなくそうなんだろうと予想できていたけどまさか現実になるなんて思わなかったのだ。

まずはこの世界に来た時からの事から説明しなければならないのかもしれない。この世界で目覚めて最初に聞いた言葉は『勇者様!』というものだった。

その時はまだこの世界のことを詳しくは知らなかったのだが俺はてっきり勇者の力を宿し転移したのかなと思っていたのである。というのもゲームアプリの中に『魔王』と呼ばれるラスボスがいて、俺はそこをなんとかクリアしたい一心でプレイしていていたからである。

この世界に来る前にやったのも魔王のいる城に行くまでのクエストをクリアしたところだったので尚更俺はそう思ったんだろう。

しかしそれは間違っていたようで俺が勇者だと思われた理由はこの世界の魔王は勇者にしか倒せない存在だったらしくて俺は強制的に魔王を倒す旅に駆り出される羽目になったのだった。ちなみにその相手というのはドラゴンなのだが、これに関しては俺は特に驚きはなかった。だってドラゴンがいるって聞いてたからそういう事もあるのかなと自然に思っていたからだ。

それで俺を勇者と決めつけた人達は俺の世話役に任命された女性3人、アリサとユリナ、それにユイとサリアという名前らしいのだがその人達がとても献身的にしてくれたお陰もあって今では仲良くなっている。そしてその人達の話によれば俺はなんとレベル99であらゆる属性魔法が使えて身体能力も高いというのだ。だからドラゴンに勝てると判断されたのか?と聞くとそうらしい。確かにゲームでは魔法を使う時などは呪文を唱えたり魔法名を唱えるのが普通である。

なのでそういった意味では俺の行動は間違いじゃなかったのだとは思うのだがそれでもやっぱり少しおかしいなと思った。なぜならばこの世界にやってきて2年間、俺は一度もモンスターを倒していないからだ。もちろん訓練はしているがあくまで補助的なものであり戦闘経験と言えるほどのものはしていない。

それなのに俺は魔法が使い放題だし筋力なんかは明らかに人間のものではないと思わせる程になっていたのだ。これはいったいどういうことなんだと思い始めた頃、俺は突然目の前にウィンドウのようなものが表示されて驚いた。

(えっと、これは?)

その文字を読もうとしたとき頭に色々な情報が流れ込んでくるのを感じた俺は驚いて思わず叫んでしまった。

「なんだこれ!? えっと、なんだって、えっ!? ステータス!? なんだそりゃ!! 」

俺は慌ててステータスを確認するために確認する項目を選択しようとするが操作できなかった。

どうなってるんだよと混乱しながらステータスと念じてみるものの何も反応しない。試しにスキルを選ぼうとしても選択することができないので本当に俺の個人情報が記載されている画面なのか怪しくなってきた。そこで俺は自分の頬をつねってみたものの普通に痛いしこれが夢でないことも分かっていた。そうなってくると次に何をするべきかと考えていくと当然出てくるのは自分の現状を把握することだった。俺はステータス画面を確認しようとして何度か試みたが結局出来なかったため今度は自分の持ち物の確認をしてみた。

(えーとスマホ、腕時計、財布に学生証、他には着替えくらいしかないか)

自分の荷物を確認してみると意外に少ないことが分かった。これといって特別なものを身に着けてはいないのだが一応確認しておくことにしたのだ。するとポケットの中に鍵を見つけたのである。

(これは?)

銀色の鍵を手に取って見つめるが見たことのないもので分からない。するといきなり扉がノックされる音が聞こえたので俺はビクッとする。

(誰か来たのか?)

俺はとりあえず鍵を持って扉に近づくが鍵穴がない事に気づいて開け方を聞くと兵士の一人は困っていた。どうも特殊な鍵であり俺でも開かないとのことだったのだ。仕方が無いのでその鍵を受け取って自分でやってみると簡単に開いた。それを見た兵士は驚いていたがすぐに気を取り直して俺に話しかけてきたのである。

(やっぱりか。これで確定したよな)

兵士の話では先程の俺の動きは人間離れしているとのことでありこの鍵はやはり異次元収納の効果があるものだと判明したのである。つまり俺はアイテムボックスを持っていることになる。その事は別に悪いことでもないし便利に使えるなら問題は無いんだけど俺にはそれよりも先にやっておかなければいけないことがある。

それがこの異世界の事を詳しく調べる事だ。なにしろ2年もの間俺は閉じ込められていたんだしその辺のことが全くわからない状態でいきなり外に出されてしまったので正直に言ってしまえば怖いのだ。それにまだ俺の他にも召喚された奴らがこの世界にいる可能性がある以上そいつらとも協力しないと生きていけない可能性が高いと思う。

俺だけ仲間がいないなんて事態になっちまったらそれこそ孤独死まっしぐらになりそうだ。

「よし、そうと決まればまずは情報収集だ。兵士さんちょっと頼みたい事があるんですけどいいですか?」

「はい、何なりとお申し付けください」

「ええと、この世界について書かれた本とか資料ってないですかね? できれば地図もあれば嬉しいです」

俺の言葉を聞いた兵士達はその要求に答えてくれた。ただ残念ながら現在あるのはこの国の成り立ちが分かる書物だけだと言うので俺はすぐに欲しいとお願いしてそれを譲ってもらった。それからはひたすらその本の読み込みを続けた。その甲斐あってこの世界についての情報がかなり手に入った。それによるとこの国の名前はアリアンローズ王国で王都はリゼという名前で城のある街から少し離れた草原地帯に存在するらしい。ちなみに俺がいる場所は城の敷地にある森の中だという事が分かった。それとこの国は王政で女王と王子が治めておりその王女であるアリアと息子であるライオスという少年が一緒に暮らしておりその従者達も共に暮らしているそうだ。

そんな感じで情報を入手した俺は早速行動を開始した。俺には今すぐ会いに行きたい人達がいるのだ。その人達に会う為に城を出たのだが俺の格好があまりにも場違いだったせいか兵士が止めるのも聞かずに俺は強引に出ていった。

そしてしばらく歩くとようやく目的の街に着く。その名は城下町と呼ばれているらしいが正直言って名前からしてファンタジーな気がして興奮してくる。この城下町は結構広く城壁に囲まれた中に大きな建物がたくさん存在していた。その中には商店なども沢山存在しており活気があった。

だが俺の目的はそこではなかったので気にせずに目的の場所へと足を運ぶ。するととある店を見つけることが出来た。そこは俺がよく知っているコンビニのような作りになっておりガラスの自動ドアの脇の部分に張り紙が貼ってあったのだ。そこにはこんな内容が書いてあり俺は嬉しさのあまり大声をあげてしまったのだった。

《新装開店セール開催中!! 全品半額以下!! 》 俺が歓喜の声をあげた理由がそこだった。この世界に来てから俺はこの異世界でお金を全く持っておらず無一文だったのである。しかし今は金がある。しかも日本円でだ。

なのでさっそく店内に入ると俺好みの漫画を見つけて思わず笑みが浮かぶ。

「やったぜ! よしっ!! これを全部貰おう!!」

そう言って手に持った漫画を店員に差し出すと驚いた顔をされてしまい、しかも他の人も集まってきたので俺は慌てて言い訳をしたがどうやらその態度が余計に目立ったようだ。結局その後店長と名乗る男が現れて謝罪された後にお礼を言われたのだ。なんでもこの店がオープンしたばかりで商品がほとんど無かったかららしい。それでお詫びとして商品は全て半額にしてくれた上に更にはお持ち帰り用として箱まで作ってくれたのである。そのお陰で両手に大量の荷物を抱えて城に戻る羽目になったが今の俺は気分が良いので文句はなかった。そして部屋に戻ってくるとそのままの勢いでベッドの上に飛び込む。だがこの部屋は今まで住んでいた俺の部屋とは少し違っていて豪華過ぎるので違和感を感じてしまうな。

とりあえず買ってきた荷物を整理しようとしたのだが、ふいに大きな音がして部屋の外が慌ただしくなったのである。何か緊急事態でもあったのかと思っていると急に誰かに抱きしめられたのだが一体誰なのかと思って確認するとユイだったのである。

彼女は涙を流しながら『心配しました』と言ってくれたのだ。きっと俺が帰ってこなかった事に不安を感じていたに違いない。なので俺は彼女を安心させるように背中を優しく叩いてあげた。そうすると彼女はさらに強く抱きしめてくる。

「もう絶対にどこへも行きませんから大丈夫ですよ。それに今日はこれから大事な用事もあるので出かけるつもりですから。あぁそういえば、ユイ、俺の仲間になってくれないかな? 」

俺が唐突にそう言うとユイは驚いて固まっていたが了承してくれた。その返事を聞けてホッとしていると、また部屋の外から叫び声のようなものが聞こえる。そして俺の服を引っ張り始めたので見てみるとユリナとサリアの姿があった。どうやら俺がいなくなっていた事を心配して探してくれていたらしい。そのお陰で俺は無事に戻って来れたのだと伝えると二人は喜んで抱きついてきてくれた。

こうして俺はこの異世界にやって来てから初めて友達を作ることに成功した。それも可愛い女の子と。この二人との出会いは今後の人生においてとても貴重なものだったのかもしれないなと思った。

アリサやユリナ、サリアは俺と一緒に旅を続けていくことになったがアリサ達は俺のことを仲間だと認めてくれるのだろうかと気になってしまった。というのもアリサ達の話によると彼女たちも俺と同じ立場らしく奴隷にされた経験があるのだという。そこでもしよければこの世界のことや仲間のことについて教えてほしいというと皆は快く承諾してくれた。そこで俺は改めて自分の自己紹介をすることにしたのである。俺の名前は如月祐真(キサラギ ユウマ)というのだと説明したのだがなぜかその話を聞いた女性達が驚愕の表情を浮かべた。

どうやら俺は自分の名前がこの世界ではあまり珍しいものではないと思っていたのだが違うようであった。その理由を聞いてみると俺がいた国はアリアンローズ王国ではなくアルム王国という名前の国である事が判明したのである。俺は自分がとんでもないミスを犯してしまったのではないかと内心かなり焦った。なぜならばその名前の響き的に俺はその国を知っておりよく知っているゲームでプレイしたことがある国の名前に非常に酷似していたからである。(おい待てよ、これってあれか? もしかして俺の勘違いでここって乙女ゲーの世界なんじゃないか?)

そんなことを考えている俺の前で女性達は真剣な表情で話し合いをしていた。俺が異世界人であるという話と俺の本当の名前はユーマだと名乗った時に皆の反応があまりにも不自然だったのでそのことに関して質問してみたのだが、そのせいで俺はさらに警戒心を抱かれてしまう結果となったのである。その結果としては異世界人ということはまだ疑われていないのだが本名を教えてくれたのには何か裏があるのではと思われてしまっているようだった。俺はどうにか信用してもらえるよう努力をしてみるもののなかなかうまくいかない。

「うーん。とりあえず君たちだけで話がしたい。悪いんだけど出て行ってもらってもいいかな?」

「それは構いませんけど、ユウマさん一人で平気ですか?」

「まあ何とかなると思う。だから行ってきてほしいんだ。それとアリサは後で俺が個人的に聞きたい事があるから時間を取ってくれると助かる」俺が頼むと三人の女性達は互いに顔を見合わせて困っているようだったが、しばらくしてからようやく理解を示してくれて外に出ていったのである。そして一人になった俺がステータス画面を念じて開いてみて自分の能力値を確認してみるが特に変わった様子はないようだ。そこでスキルを選ぼうとしても選択できないし他にどんなことができるのか調べようと試みるもやはり何もできなかった。

(もしかして俺はこの世界では特別な存在とかじゃなくて単に召喚されて異世界に来ただけの存在なのかもしれないな。でもこの世界に勇者がいないってことはないはずだよな。だってあの本によれば勇者は確かにいるみたいだし)

俺は本で読んだ内容を思い出しつつ色々と考えていた。

「まずは情報を集めることが最優先だよな。それにこの世界はどういう状況で今どうなっているのかを知る必要があるよな。もしかしたらその事で役に立つアイテムがあるかもな。よし、まずは道具袋から出してみようか」

俺は独り言を言いながらまずは武器が入っていると思われる黒い布袋を手に取ってみた。

「やっぱり剣がある。それに銃みたいなものや鎧もあるな。それからこれはポーション? 」

俺が最初に選んだアイテムは銀色に輝く美しい鞘に納められた剣だった。俺は試しにそれを抜こうとしたのだが何の力も感じないのだ。それから次は銃を取り出してみたのだが弾がない。

「まあいいか。それから次はこれでいいか。おお! すごいぞ!! 魔法陣の本だ!! これで攻撃と回復ができる。他には本が4冊入っている。あとは防具だけど軽そうだから動きやすいのは確かだと思うしこれを使おう。うんっ!? なんだこの光る石は。えっとこれは魔鉱石で間違いなさそうだがこんな高価なものを簡単に手に入れるなんておかしい。これも恐らくこのアイテムボックスってのが原因だろう。そう言えばさっきもこの本を出そうかと考えたときに頭の中に選択肢が浮かんできた気がするんだよな。それにしてもこれは本当になんなんだろう。もしかしてこれが俺に与えられた特殊な力だったりするのか? 」

そんな風にブツブツと呟いていると扉の向こうから話し声が聞こえてきたので慌てて袋の中に戻したのだった。

しばらくするとアリサが戻って来た。

そして俺はアリサから話を聞きたいと伝えてから彼女を呼び止めた。すると彼女は一瞬躊躇したものの俺の言葉に従うことに決めたらしい。

なので俺とユイは場所を変えてアリサの話を聞くことにしたのだった。

俺は彼女と話をするために場所を変えることにして、彼女の私室へと移動した。そこにはメイドの格好をした少女がおりお茶を運んできたのである。

俺が座っても良いのか迷っているとそのメイドはこちらを見ることもなく静かに一礼してから退出したのである。どうやらここは彼女が使用している部屋であるらしくて俺はその言葉を信じて席に着くことにした。そして彼女は俺達の前にティーカップを並べるとすぐに部屋の隅に移動する。その表情はとても悲しげに見えてしまい、この部屋には何か秘密があるのだと予想された。しかし、それよりも気になったのは彼女の目の下にクマができていたことだ。しかも肌は青白く痩せておりどこか弱々しい印象を受けた。さらに首元にある隷属の証は黒くなっておりまるで血のように真っ赤に染まっていたのが痛々しく見える。だが今はそんなことに気をかけていられない。

「アリサさんから話してくれるかな? できればその話はユイと二人きりの時に聞きたかったんだ」

俺が真剣にそう言うと彼女は小さく息を吐き出すと口を開いたのであった。

アリサによるとどうやらこの国のお姫様はもう長いこと病床に臥せっていて、その状態はあまり思わしくないようなのだ。そして最近になって病状が悪化してきてしまったのだという。

そして医者によるともういつ死んでしまってもおかしくないと宣告され、それを聞いたアリサはかなり取り乱したようだ。しかし国王がアリサの肩を抱き落ち着かせようとするとなんとか落ち着いたという。その時に俺はふと思い出す。

俺はゲームの中でお姫様を助けた際に『助けてくれてありがとう』と言われた後に抱きつかれたことを思い出したのである。その時はただ感謝されているのだと思っていた。

「そっか。俺のせいで辛い思いをさせて申し訳なかったね。ところで、そのお姉さんの病気ってのはどんな症状なんだい?」

俺がそのように尋ねると彼女は表情を暗くさせた。

「お母様は元々体が弱い人だったのですがここ最近の体調の変化が急でして、日に日に衰弱していくばかりでもうどうにもならないのかもしれません。最近では食事も喉を通らないようでこのままだと数日中に亡くなってしまうかもしれないのです」

「うーん。それはかなり厳しいかもしれないな」

俺はそう言いつつも自分の知識をフル動員させ考える。

(この国は医療のレベルはそれほど高いとは言えないはず。だとすれば俺の力でどうにかできる可能性があるかもしれないな。そもそも病気の種類がわかれば対処の仕様もあるはずだ)

俺がそんなことを考えながら黙っているとアリサは俺に質問してきたのである。

その問いかけの内容は俺にとって予想外のものであり、また信じ難いものだった。なぜならその答えとは『勇者にしか救えない病に罹っている』というものだったからだ。

俺は内心で冷や汗をかき始めていた。というのも俺は異世界に来る直前にスマホのゲームをしていたからである。つまり俺にはこのゲームの知識があったわけでありこの状況はあまりにも出来すぎていたのだ。しかし、それと同時に俺はゲームの内容を思い出していたのだ。それはゲームではこの国を救うことでエンディングを迎えるという内容だったはずである。しかし現実として目の前にいる少女の現状は深刻である上にこの国が抱えている問題を解決しなくてはならないという状況である。俺はすぐに頭を切り替えるとこの問題について思考を巡らせたのである。

「ちなみにどんな病気なのか聞いてもいいかい?」

「はい。それが、お父様が言うには神の御業としか表現しようのないような奇跡を目にしてしまったのだと」

「それは一体どういうものなのでしょうか?」俺は疑問をそのまま口にした。その発言を聞いてアリサは顔を強張らせながら口を開く。

「わかりません。ただ実際に見た者はその凄さを理解できず、むしろ恐ろしいと言っておりました」

その説明を聞いてもなお俺は混乱していた。ゲームの中の話では魔王を倒すのが目的という流れになっており、ゲームの中でも特に難しい要素はなかったはずだった。

(ゲームではこの国は滅びていなかったから、俺が知っている情報とは違う部分が多いのかもしれない。それにゲームは主人公の視点から見た内容だけでそれ以外のことは何も知らないからな)

俺がそうやって色々と考えているとアリサが話しかけてきた。

「それでユウマ様にお願いがあるのでございますがよろしいでしょうか」

「ああ、なんでも言ってくれ。俺が君たちを助けるよ」俺は即答して微笑むとアリサはその瞳から大粒の涙を浮かべて俺の手を取った。俺は慌てていたのだがその様子をユイにジト目で見られていることに気付いてしまった。

「あのですねアリサさん。そういう行動を取るなら先に教えてくれないか。俺も男の子なんだからこういう反応になっちゃうこともあるんですよ。それに俺はまだあなたに告白をされてもいないし、付き合うとも返事をしていません。俺達は出会ったばかりなんですからもっとお互いを知る時間が必要なのではないですか? 俺はこの世界のこともよく知りませんし、だから今は無理です。でもこの世界では一夫多妻が普通だというのであれば、いつかは考えますからそれまでは待ってほしいと思います」

俺は自分の思いを告げると深々と頭を下げた。

するとなぜかユイから冷たい視線を送られてしまい冷や汗を流すことになる。

その後俺は部屋に戻るとこの国について情報収集を始めた。

そしてこの国には現在二つの大国があり、一つはユーラ王国と呼ばれる国でありもう一つはレガリア帝国と呼ばれているらしい。この2つの国家の間には深い渓谷があって互いに行き来することができない状況にある。そして両国の国力はほぼ拮抗しているらしいのだが最近になってレガリア帝国が勢力を拡大し始めているのだという。その原因としては皇帝に子供が産まれないことにある。そこで皇帝が他国から妃を迎えることになったのはいいがなかなか子が出来ないのだとか。そこで白羽の矢が立ったのが俺らしい。俺が選ばれた理由は、俺が男でありながら女の姿になっているからであるらしい。

そこで俺に対しての風当たりが強いのは当然の成り行きなのだろうと思う。だって俺自身がその話を聞いた時には思わず『なんで俺?』って思ったくらいだしね。俺自身、自分が美人だと思うし容姿も悪くはないと思ってるがそこまで良いわけでもないと思っているのだ。なのに何故に俺なのかは分からない。だけどこれは俺にとってはチャンスでもあるのだ。なんせこの世界に来なければ俺は普通の生活を続けていたのだと思う。だけど俺はこうして勇者になってしまった以上、この世界を救わなければならないと思った。もちろんこの国の人たちを救うためでもあるけど一番は自分のためになると感じた。だってそうじゃないか。女の子達にキャッハウフフするんだろ! だったらやろうぜ! ハーレムを!! 俺は自分にそう言い聞かせると覚悟を決めたのだった。そして翌日から早速アリサ達のために頑張ることを決意したのであった。

*

***

あとがき ご覧いただきありがとうございました。次の投稿をお待ちください。

「おはよう、ユイ」

俺はいつも通りに挨拶をする。

しかし、何故かユイは呆然とした様子だった。俺の声に全く反応せずボーっとこちらを見つめるだけだったので俺は不思議に思う。

(何か変なものでも付いているのか? いや特に違和感は無いか。俺の顔にゴミが付いていたとか? そんな感じじゃ無さそうだが、どうしてこんな反応なんだ? いや、今はそれよりも早く着替えを済ませよう。今日もアリサとの訓練が始まる予定なんだからね。まあ昨日の今日でユイの体調が万全じゃないだろうけど訓練を始めるのは問題ないだろう)

「とりあえずユイ。俺は着替えて朝食を取りにいくつもりなんだが、どうすれば良いかな?」

俺がそう告げるとようやく意識を取り戻したのかハッとした表情を見せた。

「えっ!? もう行くの? ちょっと早い気がします。お姉様との話し合いはどうなるの? お兄ちゃんはそれで本当に良かったの? お兄ちゃんって意外に軽いよね」

「いやまぁユイが何を心配しているのか分からんけど俺としてはお城での生活なんてしたことが無いんだ。だからどう過ごして良いのか正直わからないんだ。アリサはそんな事まで考えていてくれたのは素直に嬉しいんだけど、今はとにかく強くなる事が最優先事項だ。この国の人たちを救う為には強くならないとね。あと、アリサが軽いというのは否定できないかも。だって彼女には好意を抱いているから一緒に居たいっていう感情の方が強いからな。だから俺は後悔はしていないよ」

俺は真剣にそう答えると、なぜか再びユイに白い目で見られた。そして小さな声で『お兄ちゃんは馬鹿だよ』と言われてしまう。しかし、この国の姫であるアリサが俺とずっと同じ部屋に居ることを許容したのはおそらく何か裏があると予想されるので、彼女の狙いを知りたくもあった。

「それじゃ、お言葉に甘えて俺はお姫様とお話ししてくるとするよ。俺にできることがあれば遠慮なく言ってくれてかまわないよ。それこそ、アリサを嫁にする件も全然オッケーな案件だから。というかむしろ歓迎だから」

俺はそう言ってからアリサの寝室に向かう。

部屋の扉を開けるとそこにはアリサが待っていたので、俺は軽く手を振る。

彼女はとても綺麗な姿勢をしていた。それはきっとこの国での立場を良くするためなのだとは想像できたが俺はその姿を見て感心してしまう。俺は自分の部屋では常に楽な服装で過ごすようにしていた。だが、アリサはきちんとした正装をしており髪形も整っていてまさに美少女と言った印象を受けるのである。

(うーん。こういう姿を見る限りやっぱりユイの心配も少しはわかるような気がしてきたな。アリサの気持ちに胡坐をかくような真似は良くないな。というか俺はいつになったら告白を受けられるようになるのだろうか?)

「おはようございます。悠真様」

アリサはそう言いながらもどこか緊張しているように見えた。

「おはよう、アリサ。それと昨日は急に押しかけて悪かったね。迷惑をかけてすまなかった」

俺は謝罪の言葉を口にすると頭を下げる。しかし、そんな俺の行動をアリサが制す。

「そ、そのようなことはしないで下さい。私とあなたは夫婦になるのですよ。私があなたを癒し支えてあげる立場なのですからむしろもっと頼ってもらいたいとすら思っています。ですから気になさらないで欲しいと私は願っております」

「うん。俺が頼りになる男になれるように頑張るとするか。でもアリサもあまり無理をしないようにな。もしも辛ければすぐに俺を頼ってくれても構わないからな。俺は君を支えるって決めたから」

俺が微笑みかけると、アリサも笑顔を浮かべる。その表情は美しくもあり可憐でもあった。俺はその表情に見惚れてしまった。そのせいか俺は一瞬言葉を詰まらせてしまい慌ててしまう。その隙を突かれたというべきなのか、アリサは突然俺の腕を掴んでくると抱きついてきたのである。その瞬間俺は固まってしまい動けなくなってしまう。するとアリサは甘い声色を出して言う。

「あの、実は、わ、私の病気の事は、知っているのではないですか? それに私の本当の名前も?」

そう言われるのだけどやはり見当が付かない。そこで念話スキルが使えないかどうか確認してみることにするが発動しなかった。そこで俺が黙っているとその沈黙で察したのだと思う。そして寂しそうな笑みを浮かべて口を開いた。

「そう、なのですね。残念ではありますがユウマ様を信じます。申し訳ありませんが今日のところはこれで失礼させて頂きますね。ユウマ様は本日はお疲れでしょうしゆっくりとお休みになってくださいね。訓練に関しては後日、またお話をしたいと思います」

(この感じだと、本当に俺は何も知らないみたいだ。だけどこの反応からしてこの人は一体何を俺に伝えようとしているんだ? ただ単に体調が良く無いのか? というか病気と言っていたけどもしかて感染症系のものなのか? だけどあの時には何も感染していなかったぞ? うーん、わからないな。でもこのまま放っておくのはダメな気がする)

俺が悩んでいるとアリサは慌てて離れると頭を下げてくる。

「あの、本当にすみませんでした。今朝のは私の我がままだったのでお忘れいただけると幸いです。その、お父様からはユウマ様のお世話をするように命じられているので今後も変わらずよろしくお願い致します」

その言葉で俺はハッと気が付いた。

(あ、ああそういうことか。アリサは俺に対して何かしらの情報を持っているから、それに関係することで近づきたいという事なんだな。そしてアリサはお姫様だ。だからこそ他の人達より優位に立ちやすいと考えたんだろう。そして俺の事をよく知るためにも行動を起こした。そしてこれは俺にとっても好都合じゃないか。だってアリサと会話する機会が増えれば自然と親しくなれていくはずだ。ただアリサと親密になりたいと思っていることがバレるのは嫌だから適当にごまかせば大丈夫だろう)

「わかった。アリサさえ良ければこれからも仲良くしてくれると俺も嬉しい。ところで俺の方からも質問があるんだけど聞いてもいいかな?」

「え、あ、はい! なんでも答えられそうなお題なら何でも聞きたいです!」

「いや、そんなに大層なものじゃないんだけどさ。この国の食事事情に関して教えてほしいんだよね。朝食を食べる時なんかは俺一人だったしさ。あと、もし俺の口に合わなかった場合のために、お城の料理を食べられるのであれば、そのメニューについても教えてもらえると助かるかな。俺はこの国に来てまだ2日目の身だからよくわからないことが多くてね。お腹はそこまで空いてないけどせっかくだし食べに行くつもりなんだ」

俺はそう説明すると頭を掻く。もちろん全て嘘である。お城に来ているのは昨夜が初めてだし当然朝食は昨日の夜に済ませているのだから。だから今のは半分くらいは口から出任せだ。

するとそんな俺の話を聞いて納得してくれたのか、嬉しそうに説明を始めてくれる。

(ふむふむなるほど。つまり、この国のご飯はパン食が主流なんだな。この世界のパンがどのようなものか分からないが小麦を使ったものと米粉のようなものを混ぜ合わせたようなものらしい。あとおかずとして卵料理やベーコンのような動物性のたんぱく質、野菜なども多く使われるようだな。それから味付けもシンプルで調味料の種類も少なく素材を活かした調理をする文化でもあるそうだ。それ故に食材にこだわるのかもしれないけどさ。まあこの国で生活していくには問題は無さそうか。さてと朝食の時間が迫ってきているな。そろそろ行くとするか)

「なるほど。だいぶ参考になったよ。ありがとう。おかげさまで朝からお腹が減りましたよ」

「いえ、少しでも悠真様の力になれたのでしたら良かったです。あと朝食でしたね。それでしたら私が案内を──」

(いやまあ普通に断るよね。俺がお姫様と一緒にいる所なんて他の人達に見られたくないもんな。俺の気持ちとしてはアリサと一緒の時間が過ごせるだけでも十分に幸せだよ。でも、それはそれでこの人が悲しんでしまう可能性があるんだよなぁ。それはそれで困るよなぁ。この国を救うためにはお姫様と結婚して力を付けないといけないのになぁ。だからこの辺りも考えなくちゃいけないのかぁ。とりあえず今はお言葉に甘えてアリサについていくとしよう)

アリサはどこか嬉しそうな顔を見せながらそう言ってきた。俺はそんな彼女を見て内心で苦笑いしながらも了承した。アリサは笑顔のまま部屋の外に出て行き、俺もそれに続いて部屋を出る。そして食堂へと歩いていき、そこで用意されていた席に着くと朝食が始まった。ちなみに俺の目の前にいるのは先程まで一緒に居てくれたメイドの女性ではなく執事服を着込んだ老人である。

「おはようございます。お兄ちゃん。それじゃあ私達も頂こうか。お姉ちゃん、まずはサラダとフルーツジュースを頂戴」

ユイはそう言うと両手でグラスを持ちストローに吸い付いて飲んでいく。アリサはそれを微笑ましそうに見ている。しかし、俺はそれを見て驚いたのだ。なぜならユイが飲んだのはただの牛の血を固めたものだったからである。

この国では基本的に動物の血液は家畜の餌として使われる。そのため人の飲むような物ではないという認識があるはずなのだ。なのにそれをユイが当たり前のように飲んでいる事に驚いてしまう。

(うーん、これはちょっと俺にとって予想外の状況だな。でも、俺の感覚が狂っているのは事実だ。だからアリサ達の反応は間違っていない。だけどもしかしたらこの世界ではこれが普通なのか?)

「あ、あの。お、おいしくないのでしょうか?」

俺は不安そうな表情をしているアリサに首を横に振って言う。(うーん、なんとも言えない微妙な気持ちだなこれ。もしかするとこの世界の価値観に合わせていかなくてはいけないのかもしれないな。だけどさすがに初対面のお嬢さんに「実は君たちの血が欲しかったんです!」とは言える訳が無いからどうしたものか。ああいや別にそういう趣味嗜好を持つ人がいない訳ではないしアリサもその手の人種ってわけではないとは思うが)

そんな風に俺は心の中で思い悩みながらもなんとか笑顔を浮かべると答える。

「とてもおいしいよ。ただ、こんな貴重な飲み物を僕に出してしまってよかったのかなって思ってね」

「はい。ユウマ様がこの国の救世主様なのですからむしろ感謝すべきところなのです。それにこの程度なら用意できる範囲の費用ですから問題ないのです」

(まあ確かに。俺みたいな男に出すものとしては破格の安さだと言えるか。それにアリサは良い娘だ。こういう性格の子だからこそ国民の支持も高いのかもしれないな)

俺はそんな事を思ったりしていたのだが、俺の言葉を聞いた瞬間アリサは目を丸くして驚きの声を上げてしまう。

「え、あ、あれ? その、どうして私がユウマ様のご事情を存じ上げているという事がわかったのですか?」

アリサの言葉を聞くなり俺は笑顔を浮かべて答える。

「ああ、その事かい? 実はアリサが来る直前に、この国で何が起こったかを調べさせてもらったんだ。だから、俺がどうやってここに辿り着いたか、そして君と会おうとしているのかという事は理解してくれていると思うんだが?」

(これで誤魔化せないかな?さて、反応はいかに?)

俺がそんな期待を込めていた時だった。アリサの身体が小刻みに震え始めたのである。

「あ、あの、わ、私の事を試したってことなのですね。ど、どこまで、知っているというのですか。わ、私はもう何も隠せません。だから、お、お願い、私のことを信じてください。ユウマ様には迷惑をかけないようにいたしますから。ユウマ様のことは全てお話します。だから、私の話を聞いてください」

アリサの目からは大粒の涙が流れ始めてしまい、俺は慌てふためいてしまった。そんな様子を見かねたのか隣にいたリリスはため息をつくと立ち上がってアリサの隣に立つ。

「ユウマ殿は貴女のことを疑っているのではなく、ただ真実を知りたかっただけだと思いますよ。それにユウマ殿は貴女の敵ではございません。だからこそここまで来られたのですよ。だからどうか、少し落ち着いてください」

「あ、はい。申し訳ござ、ひゃう」

リリスはそういうとアリサの手を取って立たせたあとハンカチを手渡している。俺はその光景を見ながらほっと一安心するとユイとリリスに感謝の意を示した後で、食事を続けた。

朝食を食べ終え、アリサと一緒に城の中を散策する。城の作りはとても大きく、中庭にたどり着くだけでも数分かかった。その間アリサはこの国のことについて教えてくれていた。

(なるほど。城の中には兵士だけでなくお手伝いをしてくれる人達も多く働いているようだな。そして、その全員が女性だ。この国は女性の社会的地位が高いみたいだしこれはアリかもな。さて、アリサの話を聞きつつ、アリサから信頼を得られるように努力をしないとな)

アリサはお父様の病気について語り始めた。その内容は俺も知っていたので驚かずに聞き続けた。だがその内容に関しては俺の知識と一致していたため特に問題はなかった。

アリサは自分がお姉さまよりも優秀だと言われ続けていて、それがプレッシャーになっていたらしいが最近はようやくお姫様として頑張ってきたと実感できるようになってきているらしい。そんなアリサの口から飛び出したのが『ダンジョンに行こう』という言葉だった。

俺はこの国で起こっている現状について説明を受けたあとで質問をすることにした。なぜそのような提案をされたのかが気になってしまったからだ。

アリサの説明によると俺達が今居る場所はアルスレイグ王国と言う名の国で、お姫様の名前はユレアという名前であるらしい。そしてこの国にはダンジョンと呼ばれる建造物が一つだけあるそうだ。それは国の中に存在し、普段は一般人でも入る事ができる場所なのだそうで。しかしその奥地にある扉の先には何があるのかは分かっていないのだそうで、その先は誰も知らない。

ただこの国に暮らしている人は誰でも一度は聞いたことがあるそうだ。それはその扉の先が魔王が住まう城へ繋がっているという噂があるためらしい。この世界の人々は魔王に対して特別な恐怖心を持っており、実際にその噂が広まったせいで今ではこの国が危険な状態に陥りかけているのだという。

この話を聞いた時、俺は頭を抱えそうになった。なぜなら、ゲームやラノベの世界だと勇者とか賢者などと呼ばれてもてはやされる者達でさえ倒せない相手───魔王がこの世界にも存在しているからだった。しかもそいつは封印され、復活の時を待っている。

アリサはそんな状態のところに現れた異世界からの勇者様が現れたから是非お会いしたいと言ってきてくれたのでこうしてお姫様の部屋へとやってきたわけだ。俺はお姫様に会いに行く前に、お世話係のメイド達に案内されてアリサから様々な説明を受けて準備万端の状態で部屋を訪れたはずだったのだが──────。

「ゆ、勇者様はお兄ちゃんが召喚されたことに驚いたのですか? あ、ご、ごめんなさい! お兄ちゃんを責めるつもりで言ったんじゃないの。ただ本当にびっくりしただけで。だってまさか私達のお家に突然お兄ちゃんがやって来て助けて欲しいなんて言われたからお姉ちゃんと慌ててお母様とお父様に相談したんだよ。それでね、お兄ちゃんを召喚する事に決まったんだ。でも、それは私がお兄ちゃんと一緒に冒険をしてみたくなっちゃったのも理由の一つなんだ。だけどそれだけじゃなくて、やっぱり勇者は男の人でしょ? それにこの国のお城で暮らしてもらうなら私と同年代じゃないと不自然だしね。もちろん他にも理由はあるんだけど、それは内緒。あ、お兄ちゃんを元居た世界に帰せるかは分からないんだ。でも大丈夫。絶対に方法を見つけるから。それで、お兄ちゃんは元の世界で何をしてきたの?」

俺に質問をしながらアリサが笑顔を見せてくれたのは良かったのだけど、それを見たメイドの人まで俺に向けて笑顔を見せて「いい笑顔でございますね。やはりユウマ様をお呼びしたのは正解だったようです」と言ったり、その後ろではユイとリリスまでも笑顔でうんと首を縦に振っていたのだ。それを見た瞬間に俺の背中に冷たい汗が流れる。

この様子だとこの国の王様も王妃様も、この家の住人も、そしてアリサ達家族も、この国で何が起きたかを全て知っている可能性が高い。つまりこの世界の住人はみんな知っているという事になるだろう。もしかすると、その事実を知った事で俺に敵意を持っている可能性さえ考えられる。しかし、それでも俺は確かめなければいけない事がある。この子を助けてあげなければと思えているからこそ俺は口を開いた。

「俺の暮らしていた世界でも魔王の存在というのは確認されていてね。だから、俺自身もそれなりに戦う術を身につけていたんだ。俺の住んでいた日本は治安が良い方ではなかったけど、犯罪率は比較的低かったかな。それに俺のいた学校の周りに住んでいる人にも悪い人はほとんどいなかった。だから君のお家の周りにそんな危ない人たちが住んでいるとは考えづらいな」

俺がそんな事を考えていると、アリサは「ほぇ~そうなんだぁ」と口にしながら目を見開いている。そんな様子を見てリリスが苦笑いをしているとユイと視線が合った。

(どうやら、リリスはこの子のことを守るつもりのようだな。ならば俺がこの子の安全を保証するようなことを言わないとな)

そんな事を考えながら、俺はアリサに言う。

「ところで君はさっき俺に『どんな事をして来たの?』と聞いてきたよね。実はね。君が想像している以上に俺はすごい経験をしてきたんだよ。この国のお城の中に入ったのはこれが初めてだからちょっと緊張しちゃっているのは否定できないけれど、それもすぐになくなるはずだよ」

俺の言葉を聞いているアリサの表情はぱあっと明るいものに変わっていく。

「本当? やったー! ありがとう、勇者様。あ、ごめんなさい、また嬉しくて大声出しちゃって」

「ははは、気にしなくても良いよ。それより、俺は勇者って呼ばれることに違和感しかないんだ。俺自身はそんなたいした男でもないんだが、この国に来た以上はしっかりと勇者として振る舞うようにするよ。俺としては悠真で構わない。それに勇者と呼ばれるよりも俺自身の名前で呼んでくれる方が嬉しいかな」

「わ、わかった、えっと、ユウマさん。改めてよろしくお願いします!」

元気いっぱいにそう言ってきたアリサは満面の笑みを浮かべていて、思わず頭を撫でてしまった。

(はっ!? つい妹にしていた癖でやってしまった。まずいぞ。この年で妹の代わりとかドン引きされたかもな。ここは誤魔化すための発言をするべきか?)

俺がそう考えていたのだが、アリサは全く気にした様子を見せなかった。

アリサの話によるとこの部屋に来る前も、アリサのお世話をしていたメイドに色々と聞いていたようでこの国の事を色々教えてくれて俺もとても参考になる話をたくさん聞けた。その中で分かった事はこの国の現状についてである。

今から約一ヶ月半ほど前の事だが、とある事件がきっかけで王都にある城の地下にある巨大な扉の封印が完全に解けてしまったのだという。扉の向こう側にある存在は魔王で、復活の時は近付いているとこの世界の人々に伝わっているらしい。

「この国に存在する五人の英雄達はその魔王を討伐するために選ばれたのよ。この国に伝わるお伽話にそう書かれているんです。そしてその物語をユウマさんに演じてもらいます」

「演じるって言われても困ってしまうよ。その話を聞いていないのに」

俺は少しだけ困った顔を作りつつ、話を聞き続ける。この話を聞くまではお城にある図書室に行ってみるつもりだったがそれは止めた。今はアリサと二人っきりになっているから聞くべきなのだと思う。だからこそアリサにはもう少し踏み込んで質問をしていく事にする。

アリサが聞かせてくれた内容はこの国の歴史の話だ。それは勇者と呼ばれた人達がどのような活躍をしてきたのかの物語だった。その中にはもちろん魔王と戦った事もある。この国の人達が恐れるような圧倒的な強さを持った魔王と戦うための英雄達だ。きっと魔王を倒した後も勇者と呼ばれるようになったんだろうなと思ったがそれは違った。

「勇者と呼ばれていた人は魔王を倒してから一ヶ月後に亡くなったみたいなの。その後は、初代国王が勇者の代わりに魔王を倒しに行ったんだけど、帰ってきたのはボロボロになった剣だけだったみたいだよ。魔王に勝てなかったからそのあともずっと勇者が復活するのを待っていたらしいんだけど、もう誰も帰ってこなくなったんだって。それからは勇者が現れるのを待ってたんだけど、結局現れなくて今に至るってわけ。でも、そのお陰もあってこの国はすごく平和になってきているの。そして、今この国ではユウマさんが来てくれたことで新たな歴史が紡がれようとしているんだよ。本当に凄い! 私ね、ユウマさんなら歴代最強の勇者として復活させてくれるんじゃないかなって期待してるんだ。私達を───この世界を救ってくれませんか?」

そう言って頭を下げてくるアリサの姿を見て、やっぱりこの子を助けたいと強く思った。だから、頭を上げてもらって笑顔で言った。

「任せてくれ。俺はそのためにここに来たんだから。俺は今までも勇者と呼ばれている奴らとは違う。本物の勇者になるためにここへ来たんだ。必ずアリサ達を守ってあげるから、安心して欲しい」

すると今度はユイとリリスも「うん」「はい」と笑顔で言いながらアリサに続いたのである。それを見て俺も自然と笑顔になっていたのだが、ユイ達が俺の事を心配して部屋を訪れてきた理由を理解する事が出来た。アリサの話し方だと俺が勇者になってくれるかどうか不安になってしまったらしい。しかし俺自身がそれを否定する事でようやくユイ達に笑顔が戻ってきたようだし俺としても自信を持って引き受ける事が出来そうだ。俺はまだ自分の事を信じられない部分があるのだが、それでもアリサ達の事を救いたいという思いの方が上回っていたのは間違いない。そして俺はこの日から正式に勇者として活動することになったのであった。

俺が正式に勇者として活動し始めてから1週間ほど経過した頃、俺は毎日が充実した生活を送っていた。というのもアリサに案内してもらったこの国の図書館に籠もったり、リリスが魔法で見せてくれたこの国周辺の地図を見たりする事によって色々な情報を手に入れる事に成功したからである。そしてリリスがこの国に存在している魔物を召喚し俺に見せてくれたのだ。その結果、俺もこの世界で生き抜くために力を身につける必要性を感じたのだ。だから、俺もリリスのようにこの国の人を守る事が出来るようにと必死になって戦い方を覚えたのだった。

(リリスが召喚してくれたのはスライムとゴブリンという弱いと言われている種類のモンスターばかりだったけど、確かに強かった。あのレベルに対抗できる手段を身に着けなければこの国の人々を助ける事は出来ないからね)

ちなみに俺が倒した事でスライムがドロップアイテムとして俺が持っていたポーションに変化した事も確認済みだ。ただ、鑑定を使ってみると「名称:初級回復薬

等級 低級 効果 :HPを僅かに回復する」となっていた。俺が倒した事で出現したということは俺のスキルの『複製』の影響だろうが、これならば問題なく使う事ができる。俺は手に入れた初級の治癒系のポーションと中級の傷を回復させる物と上級の致命傷を負った時のみ使用できる蘇生の霊薬を手に入れたので万が一のために常備しているのだ。

さらに、この国の城の中に存在した訓練所を借りて鍛錬をしたり、この国の兵士達と共に訓練をするようになったりもしている。最初はアリサと二人で練習したりしていて楽しかったのだけど次第に兵士の人達にも俺の事を仲間と認識されるようになったので、最近は一人でも行動できるようになったのだ。まぁ、アリサは「勇者様」と呼んで慕ってきてくれるので相変わらず一緒に居る事が多いけれど。

(それにしても、この世界の人々は勇者という称号が大好きだな。俺は勇者と呼ばれていても勇者と呼ばれる事にまだ抵抗を感じるのになぁ。というか勇者という響きだけで恥ずかしくなってくるよ。そもそも俺は英雄になる気など毛頭無いんだけどね)

そんな事を考えながら歩いていると前方から見知った少女が現れた。彼女はアリサの双子でこの国のお姫様だ。アリサが元気の良いお転婆さんだと表現するとアリナちゃんは大人しそうな見た目をしている美少女で年齢は13歳だ。しかし中身は全く違うらしい。

この世界の人々の平均寿命は日本に比べると短い。それでも日本にいた頃よりは長いので老衰で亡くなる人もいれば病死する人もいるし、盗賊に襲われて死んでしまう場合もある。だがこの世界の人々が死に対して恐れを抱いていないというのは本当だと思う。俺も最初に気付いたのだがこの国の人々の表情には恐怖や悲しみといった負の感情は一切含まれていない。それはこの世界に訪れる災厄を知っている上で受け入れているのだから当たり前なのだけれど。

(俺は絶対にこの子たちを守るよ。俺はアリサと出会ってアリサのことを好きになりつつあるからね。彼女を救うためならどんな事だって出来るさ。アリサと離れたくないと思っている自分にも気付いたしな。アリサを救えなかった時の絶望を味わうぐらいなら俺は全力で抗ってみせる。俺にとってアリサとこの世界の人達は守るべき大切な存在なんだ。そういえば俺は今まで女の子に告白をした経験は無いんだよな。こんな事は初めてだからどうしたものかな。この世界でも通用するかどうかは分からないけれど、俺なりに頑張るとするか)

そんな事を考えていた俺はいつの間にか目の前に迫っていた石に気付かずに歩いていたようで「あ痛っ」と言いながらぶつかったのである。そんな俺を目にした二人は俺の事を心配するように慌てて声をかけてくれる。

「ユウマさん大丈夫ですか!? 怪我はない? どこをぶつけたの? 」

「ごめんなさい、私の不注意でユウマさんを危険な目に合わせてしまいました。申し訳ありません!」

「ああ、二人とも気にしないで良いよ。考え事をしていた俺が悪かったんだから。でも、ありがとう。二人のおかげでどこもぶつけていないから。本当に心配してくれて嬉しいな。あと、謝らないでくれよ。これは俺の不注意で事故のようなものだしね。それとユイ、頭を撫でないでくれないかい。子ども扱いされている気分になってしまうんだけど」

ユイに頭を撫でられたので俺はそう言うとユイは頬を赤くしながらすぐに手を放してくれた。すると、そのやり取りを見ていたリリスは「えへへ~。ユウマさん可愛いですね」と言って微笑んでいた。するとアリナは何かを思いついたかのように目を輝かせ始めた。

「ねえ、ユウマさんがこの城に来てからもう一週間以上経ったよね。今日は何日なのかな?」

「えっと───確か20日のはずですよ」

「じゃあさ、私の誕生日パーティーをやってもいいと思うんだ! 3人で準備をするから手伝って欲しいな」

(3人ということはアリサも招待するということだよね。俺は構わないと思う。でも、俺にこの国の歴史を色々と教えてくれたメイドは誕生日を知らなかったようだし、アリサも知らないのではないだろうか。でもせっかくやる気を出しているんだし俺も手伝うか。この世界に来てから初めてアリサと出会った記念日みたいなものでもあるからな)そう考えた俺が了承の返事をしようとした時、「ちょっと待ってください」という声が後ろの方角から来たのでそちらを見るとそこにはユイが立っていた。俺が振り向いたことを確認すると、アリナは少し悲しそうに眉を下げる。しかしアリナは気を取り直した様子で再び笑顔になるとアリナは口を開いた。

「やっぱり私の誕生日会を開くなんて止めようと思います。私がこの城のお客さんに勝手にお願いしたことなのでユウマさん達にまで付き合わせるわけにはいかないんです。ですから私一人だけのパーティーを開いてもらいます。それにユウマさんもリリスもこの国のお姫様にそこまで関わらなくても良いと思いますよ」

俺はこの子を守りたいと思ってこの城で一緒に暮らしていて今の生活が楽しいと感じ始めているのだがアリナは違うらしい。だから俺は今こそアリサに本当の事を打ち明けようと決心しアリネと名前を呼んだのだった。

(俺がこの世界で初めて知り合った人がアリサで本当に良かった。この子の事を好きになってしまったのは必然なんだろうね。ただ、俺に好意を抱いているのかまでは確信が持てない。この国の人々は俺に対して友好的に接してくれるけどどこか一歩引いたところがあるように思えるからね。それでも、今はそれで良い。まずはこの世界に慣れる事が優先だ。アリサに想いを伝えるにしてもその後じゃないとな。とりあえずアリサに本当の事を話してみる事にする)

「あの、ユイとリリスと一緒にアリサの部屋に行く予定だったんだ。でも、アリサに呼ばれて俺だけ先に来ていたんだ。それにこの城のメイド達はアリサの誕生日を知らないみたいでアリサが一人で準備をしていたから手伝いに行こうと思ったんだ。俺も三人でやった方が早く終わると思っていたけど、それだとユイ達が嫌だろうから別々に行動する事にするよ。ユイとリリスの事を悪く言わないであげてくれないか」

「そんなつもりで言ったわけではないのですが、ユウマさんの事を勘違いさせてしまったようなので、誤解を解こうとしました。私はリリスも嫌いではありませんがユウマさんの方がもっと好きなんですよ。リリスはいつも私を可愛がってくれるから好きという感じなんです。ユウマさんの方がリリスよりも好きかもしれません」

(そっか、この国ではそういう文化があったのか。俺としたことが迂闊だったな。俺はこの国の人々に受け入れてもらえているようだし、このままの関係でいる事が幸せなんじゃないかな。いや、俺はアリサを必ず救ってみせる。そのためならば、たとえアリサと敵対することになっても俺は───)

俺は心の中で覚悟を決めたところでアリナが話しかけてきたので、話を元に戻す事にする。

「ユイちゃんが私の事をどう思っているかは分かったよ。ユウマさんもありがとうございます。私の我ままでご迷惑をおかけしてしまいすみませんでした。私のためにわざわざ時間を割いて頂けたので、お二人のお時間が空いている時は私の事を考えなくていいので自由に過ごしてください。ユウマさんと過ごせる時間はとても楽しくて幸せを感じているのですよ。だからこそ、私の事を考える暇が無いぐらいの日常を過ごしてほしいです。そして出来れば私の事も忘れてもらって結構ですよ」

アリナの話を聞いて俺は何も言葉が出なかった。というのも、アリナは俺に対して好意を持ってはいてもそれは恋愛的な感情ではなかったからだ。この世界で俺が初めて優しく接してくれたからなのかもしれない。しかし、この気持ちはきっと一時的なものでしかないだろうとも思う。俺のスキルの影響で好意を持たれやすい状況になっているのだから仕方がないのだ。

俺とアリナはしばらくの間沈黙してしまった。するとユイが口を開いた。

「分かりました。アリナ様の願い通りユウマさんと二人でお誕生日の準備を行います。ユウマさんと二人きりで誕生日を過ごすなんてずるいなぁとは思いましたが我慢します。だからユウマさんが寂しい思いをしないように私がお世話をしたいと思いま~す。ダメでしょうか」

「そんな事無いよ! 私一人でやろうかと思っていたから、手伝ってくれるのは嬉しいよ。ユウマさんも良いですか?」

アリナが嬉しそうに答えると、俺に向かっても尋ねてきたので断る理由は特に無かったので「うん、ありがとう。よろしく頼むよ」と言う。そんな会話をしているうちにアリサの部屋に辿り着いた。部屋の中に入ると既にメイド長と執事の二人がおり、俺達の事を出迎えてくれた。

それからすぐにパーティー用の料理作りに取り掛かることになり、まず俺とユイで野菜や果物のカットと味付けを行う。その次は調理済みのものをアリサのメイドに渡していく。するとあっという間に料理を作り終え、残りは装飾をすることになったのだが飾りを作る担当となったリリスの作業の速さに俺とユイは驚きながらも指示に従っていた。しかしユイが「う~ん、どうすればいいかなぁ」と言いながら悩んでいるようだったので、何を作っているのか尋ねることにした。

「ユイは何を作ってくれてるんだ?」

「ユウマさんがくれた髪留めをネックレスのように改造しようと思ったのです。ユウマさんはアリサ様とお揃いがいいって言っていましたから。ただネックレスとして使うためには紐の長さを変えないと駄目みたいなのです。でも上手くいかないから悩んでたのです」

俺はユイの説明を受けて納得してみるとアリサに貰った指輪が目に入ったため、それを材料にしようと決めたのだ。

「ユイ。この指輪を加工するのにはどんな道具を使えば良いと思う?」

(そういえば、この国では装飾品を贈り合うのが主流みたいだしこの国独自のアクセサリーをプレゼントしてみるのもありだよな。この世界にも似たような風習はあるのかもしれないけど。あとでアリサに聞くとするか)

「えっ? この綺麗な石を何かに使うの? 宝石箱とかに入れて飾った方が良いんじゃない? 」

俺が質問を返すとユイはすぐに答えてくれた。しかし、宝石をアクセサリーに加工する方法については分からないらしく首を横に振っていた。そこで俺はユイの頭にポンッと手を乗せると頭を撫でてから説明をした。

「そうか、じゃあユイの言うように宝石箱に入れよう。それでね、そのネックレスを作れるくらいの大きさまで細かく刻むんだよ。そうすると首にかけても大丈夫になるし服の下に隠しておくことも容易い。そうやって加工したものをアリサに渡すつもりなんだ。それとユイの作ってくれたものは俺も身につけたいとは思っていたから一緒に作るか。二人ともこの作業を頼めるかい?」

「えへへ~。任せて欲しいのです」

「はい、分かりました」

それから俺は指輪を小さな石ころサイズにまで切り分けるためにひたすらに細かい刻み作業に没頭していくのであった。

(ああ、この世界に生まれてよかった。この国の人々も俺にとっては家族みたいなものだからな。俺のスキルのおかげで好意を向けられてばかりだけど、俺自身がみんなと打ち解けていければこの国に居場所ができる。この国はダンジョンの攻略が最優先とされている国でモンスター討伐に優れた人材が優遇され、魔法が得意な人が多い。しかし、この城で働く人の大半は貴族ではなく一般市民であるはずだ。それに城の使用人達には階級が存在しないし、全員が同じ仕事をしているのだからこの城で生活する上で困ることもあまりないはず)

俺がこの国の現状に安堵しながら作業を続けていると「もうユウマさんに敵わないかも。すごい集中力です。でも、このペースでいったら日が暮れてしまいそうですね」と言ってユイが心配そうな表情をしていた。俺はそんなユイの姿を見てから「ふぅー。よし終わった。さすがにこれは疲れるな」と口にしてからアリサの部屋にある時計を確認すると時刻は19時半過ぎになっていたのでちょうどいい時間帯になったと判断していた。

その後俺とユイでアリサに誕生日パーティー用のプレゼントを渡しに行こうと提案したのだが、俺達三人だけでパーティー用プレゼントを用意してある事を話すのは不自然だと考え、アリサの誕生日を祝うための特別な食事を用意すると伝えたのだった。

アリナの誕生日を無事に終えた翌日、アリサはいつもより早起きして朝食を摂ることにした。しかし、食堂に向かう途中で自分の足取りが軽い事に気づいたのだ。なぜなら今日から数日の間に、この城に居る冒険者達に依頼を出したモンスターを討伐してもらいたいと考えていたからである。

(まさか、こんなに簡単に事が運んでくれるなんて思わなかったわ。ユウマさんに言われたからという理由が大きいのかもしれないけれど、リリスやユイに手伝ってもらって良かった。本当にありがとう)

アリサにとってリリスやユイにお願いするというのは緊張してしまう行為であり、断られるかもしれないと不安を抱えていた。そのため二人に手伝ってもらうと返事があった時には、安心から泣き出してしまったほどである。リリスやユイもそんなアリサの様子を見て協力する事を決めるほど彼女の事を想っている。

それから、アリナが三人の様子を見に来た時にアリサは昨夜の出来事について話をしていた。リリスとアリサの三人が厨房に向かいながら、これからのことを話していたことを伝えると、アリナが少し驚いたような表情をしていた。その理由は三人からの提案がとても素晴らしかったからだ。三人で話し合って決めようとしたという部分も評価できたが、それ以上に関心したのがプレゼントの話だ。この世界の人々は装飾品を贈る習慣がないわけではないが、それでも数は少ないのである。

アリナの誕生日にアリナがネックレスを三人からプレゼントされたと話すと、三人ともおそろいで作ったのだという。しかもアリナのためにそれぞれが作ったのだ。

(この子達はどうしてここまで私の為にしてくれるのかしら。私の事が大好きってことなのかな。でも、それだとユウマさんに対する態度は違うような気がする。私に対しての気持ちとは違う何かを感じるけど、それが何かはよく分からないのよね)

「そっか。でもユウマさんって凄くない? だってユイちゃんも一緒とはいえアリナちゃんのためにネックレスを作るなんて。普通なら絶対出来ないよ。あの人がいなかったら、今頃アリナちゃんのお誕生日会はどうなっていたんだろうって考えると、想像できないよ」

アリナはリリスの話を聞き終わると同時に、先程までの思考を切り替えるとリリスに微笑みながらそう答える。それからは他愛のない雑談をした後でアリナは部屋に戻り仕事に取り掛かることにした。アリサはそんなアリナの様子を嬉しく思いながらも複雑な心境を抱いていたのだ。というのもアリナはアリナなりにアリナを慕ってくれているリリスやユイ、そしてアリナを姉として認めてくれないアリナを姉と認めているユウマに感謝をしているのだから。

それからしばらくして昼食の時間となり、食堂に向かうとすでにユイがアリナを待っていた。ユイはアリナが座るまでは静かにしていたのだが、彼女が椅子に腰かけると元気よく「アリナお嬢様。おはようございます!」と言う。アリナはユイに「ええ、ユイはいつも通りね。でも私は『お姉様』と呼んでくれてもいいと思うんだけど」と言った。

するとユイは顔を真っ赤にさせてから俯き、「それはちょっと難しいかな。ユウマさんは私の恩人で家族みたいな存在だし、お姉様とは呼びたくないかな。ごめんなさい」と答える。

アリナは自分の言葉がきっかけで妹に迷惑をかけたのではと考え、落ち込んだ様子を見せたためユイは「えっと。そんなに深刻に捉えなくてもいいですよ。ユウマさんの事は大好きだけど、『アリナ』っていう名前も気に入っているので。あとはやっぱり、アリナお嬢様にはまだ適わないです」と付け加える。そんな二人を見て、リリスは嬉しそうに口元に手を当てていたのである。

それからはいつも通りの和やかな空気で会話をしているうちに昼食は終了となるのであった。昼食を終えた後はユウマに貰った髪留めを服の中に隠しながら仕事に取り掛かることにする。それから一時間が経過したところでユウマに渡すプレゼントが完成に近づく。アリサはこの世界に転移して最初に見た景色を思い出すと心の中でユウマに語り掛けたのである。

(ねえ、ユウマさん。私はユウマさんのおかげで変われたんだって思うの。この髪留めに想いを込めたんだから受け取って欲しい。それとこの世界に生まれてきてくれて、私なんかを助けてくれて、一緒に居てくれることを感謝してるの。あなたは優しいし頼りになるから皆から信頼されているし、それに最近はカッコいいって言われる事もあるの。でもね、アリナが一番好きなのはあなたの笑顔。その笑顔をいつまでも見ていたいなぁ)

アリシアはそう思いを込めて髪飾りを作り上げていく。すると、いつの間にか作業が終わっておりラッピングされていたので、その包み紙を綺麗に折りたたんで机の引き出しに入れたのである。それから夕食までの間も仕事をし続けていると、あっという間に夕食を迎える事になった。

その夕食後に、アリサは冒険者達を集めて依頼を出すために会議室へ向かうと、ユウマのアイテムボックスから依頼書を取りだす。それを眺めていると依頼主の名前に自分が含まれていることに気がついた。そこで依頼内容に目を通す。依頼の内容をまとめると、アリサ達のパーティーは城の周囲に存在するモンスターを駆除してもらいたいというものである。モンスターの種類と数については冒険者達で話し合い、決定して欲しいという内容であった。

(城周辺の掃除を依頼するのは良いとして、モンスターはどうやって決めるつもりなのかしら。もしかしたら、この国にはモンスター討伐に優れた人材が多いのかしら)

アリナの誕生日の時に、この城には優秀な人材が集まっているという話は聞いていたので可能性は十分に考えられると思った。なので、すぐに依頼を引き受けてもらおうと決めた。それからアリナは依頼書を握り締めてユウマの元へと駆けていく。アリサはアリナの様子を見て、これから何が起きるか理解できたので慌てて後を追いかける。しかし、途中でリリスと遭遇したので彼女と一緒に行動することになった。リリスも依頼書の内容は把握しているので二人で急いでアリマの部屋へと向かったのである。

(あれっ、俺に何か用があるのか。それにしてもこの依頼が受理されて本当によかった)

俺は内心で胸を撫で下ろしていた。この国の周辺にはゴブリンを始めとしてスライムやホーンラビットといった弱いモンスターが多い。それらのモンスターであれば城の兵士達だけで対処出来るだろうし、冒険者にとってみれば報酬が低い。だからこそ俺達は受けてもらえないと考えていた。それなのに依頼を受けた冒険者達が来てくれたのだ。

それから俺はリリスに視線を向ける。彼女は小さく首肯してくれたのを確認してから話し始める。

「皆さんがこの城周辺に集まってくれた冒険者の人達なんですね。俺はこの城の冒険者を纏めている『銀狼団』リーダーを務めているユマといいます。俺達は最近城の周りで増え始めたモンスターの討伐と駆除を依頼されています。ちなみに俺達がこの城に居るのは、ある方からの指名があったからなんです」

俺がユカに頼んで作ってもらったカードを取り出すとリリスとアリサもそれに続くように俺の作った名刺を渡す。このカードは事前に打ち合わせをしたわけでもなく、三人同時に渡したので少しだけ緊張してしまう。ただ三人はお互いが持っているカードをじっくりと見ている。そんな中で俺は説明を続ける。

「この城は城下町からも離れた場所に建てられているため、モンスターに襲われにくい場所になっています。そのためこの周辺では強いモンスターが現れなかったようです。しかし、つい二週間ほど前にモンスターが増え始めているという情報を入手しました。それを聞いたアリナお嬢様は、この城を守っている兵士や冒険者に依頼を出したそうです。そして今日、皆さんに来ていただき、こうして無事に集まる事が出来ました。改めてお礼を言いたいと思います。ありがとうございます。さて、今日から数日の間に渡ってモンスター討伐や調査をしてもらいたいと思っています。その際には、他のパーティーと協力してもらう形をとっていきたいと考えております」

今回のパーティーの振り分けだが、パーティーの人数は五人までとなっている。その為、俺とリリスがパーティーを組んで残りは別の人とパーティーを組んでもらうことになった。その結果、三つのチームに分かれて行動することになった。そして三日ほどは順調に進み、その間に俺とリリスで何度か打ち合わせをしていた。

その最中にある事件が起きる。その事件というのはユイが襲われかけたのだ。この国は平和で安全な場所である。そんな場所にユイのような少女を一人で向かわせるのは危険だと俺とリリスの意見が一致したため護衛役としてついて行く事にしたのだ。

そんな訳で三日目からは、アリシアとユイが組む形で行動する事になる。また、ユイが襲おうとした相手だが、見た目はゴブリンに近い容姿をしていた。しかしその外見は少し異なるもので背が低く、全身緑色をしており手先が人間のように変化しており腕の本数も多いのだ。このモンスターはコボルトと呼ばれており、単体での強さはそれほど高くないとされているらしい。それならば複数を相手にしなければ大丈夫だと考えたのだが、そう上手くはいかなかったのである。

まず最初にユイの魔法により一匹を倒すことが出来たのだが、その攻撃が引き金となって周囲のコボルト達はユイに対して一斉に襲いかかってくる。ユイはすぐにその場を離れようとするが間に合わず、多数の攻撃を受けてしまう。それでも何とか持ちこたえたので俺は助けに入る。それから数分が経過して、なんとか倒すことができた。

リリスもすぐに援護に入り戦闘を終わらせると、ユイの傷は回復ポーションで治してあげることにした。その後はアリナ達と合流するために移動することにした。合流してからは特に問題が発生することなく一日を終えようとした時だった。

アリナとユウマは一緒に風呂に入って入浴を楽しんだ後で部屋に戻り、アリナの髪の毛をドライヤーと呼ばれる魔道具で乾かしてあげた。それからユウマはアリナと二人きりになると「アリナさんは明日の予定って決まっているのかな?」と聞く。

すると、アリナは少し困った表情をしながらこう答えたのである。

「実はユウマさんに渡す誕生日プレゼントを作るために部屋で作業していたのだけど、それが思ったより時間をかけちゃって」

ユウマはその言葉を訊くと申し訳なさそうな顔になりながらアリナに謝罪した。ユウマが謝罪をする理由は単純であり、誕生日の夜はユウマが独占しようと計画を立てていたからである。ユウマはそんな計画のためには今、この瞬間が重要なのではないかと考え、すぐにアリナに提案する事にした。

「ごめんなさい。僕はアリナさんの作業の邪魔をしたのかな? なら、明日のお祝いが終わったらアリナさんと一緒に過ごさせてください。僕のお部屋にお誘いしたいのですがダメでしょうか」

アリナは彼の申し出を嬉しく思い、ユウマの提案を受け入れる。二人はベッドに腰掛けると、しばらくの間はお互いに見つめ合う形になったのである。それからアリナは自分の頬を軽く叩いて気合いを入れる。

「よし、準備完了。じゃあ、私はユウマさんの事を抱きしめればいいんだよね」

それからユウマの頭を自分の方に引き寄せると、ユウマの背中に手を当てて抱きしめ始める。するとアリナはユウマの首筋に唇を当てると優しくキスをしはじめたのである。それからしばらくしてユウマの顔を確認すると、そこには幸せそうな笑みを浮かべていた。

(うわっ、こんなにも喜んでくれるなんて、なんだか凄くうれぴよ。それにユウマ君から良い匂いもするし最高。これ、癖になるかもしれない)

アリナはそう考えると、もう一度だけユウマの首を吸ってみることにする。先程は唇だったが、今回は舌先で首に触れることにした。するとアリナの口内にユウマの味が広がり幸せな気分になっていくのを感じた。それから一分ほどの時間が流れた時にアリナはユウマに尋ねる。

「ねえ、次は何をして欲しいのかな。私はユウマ君の望みを全て叶えてあげるつもりだよ」

アリナは笑顔で言うとユウマは躊躇いながらも、恥ずかしげにお願いを告げる。

アリナさんと一緒に過ごして一緒に眠りたいという願いを告げた。それを聞くとアリナは笑顔で「もちろん、私も同じ気持ちだからね」と答える。

ユウマの言葉に安心して微笑んでいるとユウマはアリナの体をギュッと抱き締めるのであった。

翌朝の目覚めは、いつも通りアリシアの優しい言葉から始まった。目を覚ました俺が最初に考えた事は、今日でこの世界に転移してきて六日目になったということである。異世界に来た当初は早く家に帰りたいと思ったものだ。それは、こちらの世界では俺は普通の大学生に過ぎない。それに元の世界に戻ってしまえばアリシアに会うことも出来ないだろうと思っていた。だからこそ、せめて一日だけでもいいからアリサとのデートを成功させようと心に決めていた。

昨晩はアリシアに告白してから二人でゆっくりと眠ったのだ。アリサとアリナとは別々に就寝したのである。アリシアは「私が眠っている間もちゃんと側に居てくれる」と言っていたが、アリナは少し寂しい様子を見せていたがアリナが眠る前に約束をしてくれた。「今夜からは私の側でずっと見守っていてね」という言葉をだ。その言葉で俺は、きっと俺は満足したはずだ。ただ、アリシアには「本当に、そんな事で大丈夫なの?」と言われたのだが、俺がアリナの事が好きだって伝えた時の彼女の反応は良かった。それなのに俺はどうしてだろうと考えていたのだ。俺は自分が好きな人がアリシアではないのだろうか、もしくはアリザとかなのかと考えていたのだ。でも、今は違うと考えている。何故なのかというと、その理由は俺には分からない。俺自身が本当にどう思っているのか自分でもよく理解出来ていないのだ。

(俺はアリザのことが大好きなのか?)

今まで何度も自分に問いかけたが未だに答えが出ない。それどころか最近は分からなくなってしまっているのだ。だからこそ不安になってしまう部分があるのかもしれないと自分自身を分析した。それから朝食を食べてから着替えて外に出る。すると目の前からアリサの姿が見えると俺の名前を呼びながら手を振っていたので、駆け寄って行く。そんな俺に彼女は挨拶をしてくれる。

そしてアリサから話があると言われるので、俺達は一緒に歩く事にしたのだ。しばらく歩き続けるとある事を思い出す。そういえばアリサの誕生日が近いから何かプレゼントを用意しようと思っていることを伝えると、「じゃあ、今度一緒に買いに行きましょうよ。その時はアリシアも一緒でいいでしょ?」と言ってくれたので俺は勿論ですと答えた。

それなら、この前みたいにアリシアとユイさんが買い物をしている時は、その近くで待機しておけば二人と一緒に回れるだろうと提案をしてみた。その案を実行するためにはユイさんとも打ち合わせが必要だ。そんな感じにアリサと話し合っている時だった。不意に視線を感じてそちらの方を見るとユイさんが建物の陰に隠れて顔を半分だけ出して俺達の方を見ていたのだ。その事に気付いたアリサは慌ててユイの所に行って声をかけた。

それからは四人で行動する事になるのだが、アリナとユウマも合流したため五人体制になってモンスターの討伐を行う事にする。その際にユイが俺に話しかけてきた。

「あの、勇太。今日はアリシアと仲良くなったんだよね。それでアリナがちょっと寂しそうにしてるんだけどさ、たまにでいいからさアリナにも時間を作ってやって欲しいの。お願い出来るかな。今日みたいな日以外でも、暇があったらでいいからさ。私とアリナは幼馴染だし遠慮なく頼ってくれて構わないからさ」

そう言われてしまうと、俺は断わる理由がないと思いアリシアを見る。「じゃあ、今日はこの後も少し時間が出来たからユイと出かけてくるけど一緒に来る?」

アリシアは少し嬉しそうな表情をして俺に言う。

「ユイと? まあ、二人が一緒に行きたいというなら、別に私は気にしないけれど、アリトは平気?」

「えっと、アリナも一緒に行かないか?」

一応、アリナに声をかけてみると、少し悩んだような表情を見せて言った。

「私はユウマ君と一緒に行動するね。ほら、二人っきりの方が楽しめるじゃん」

「確かにそうだね。分かった、ユウマは俺に任せろ。絶対にアリナを退屈させたりはさせないぞ」

アリシアにそう返事するとアリナに確認をとってみる。

「私は別にどっちの側についても構わなかったのだけどね。まあ、アリトがどうしてもユイを優先してって言いたそうにしているから仕方ないわね。ユイと楽しんできてね」

アリナの答えを聞くと俺はユイと一緒に街に出ることにして、リリスはアリナとユウマと一緒に行動することになった。それから街の外へ出て、早速モンスター退治に向かうことにする。それからしばらくしてモンスターを発見する。ゴブリンに似た外見で、人間に近い容姿を持つコボルトと呼ばれる相手である。

リリスから聞いた話だとコボルトはあまり強くないので油断さえしなければ問題はないらしい。リリスの言葉を信じて戦おうと決めると、すぐにリリスの指示通りに魔法による攻撃を始める。するとすぐに一体倒すことが出来た。残りのコボルトは俺とリリスで倒すことになる。しかし、まだ他のモンスターも近くにいたため、俺達はすぐに移動することにしたのだ。それから何度か戦いを繰り返していると突然に敵の襲撃が止むと同時に大きな雄叫びのような鳴き声が聞こえてきた。

「うっそぉー。もしかしなくても、あいつがこの辺で一番強いやつなんじゃないの」

そんな事を呟きながら近づいて来た魔物の姿を凝視する。その姿は一言で表すならば、ゴリラだ。それも普通の個体よりかなりデカい上に強そうである。

俺がそんな事を考えている間にアリシアとユウマが先制攻撃を仕掛けていた。二人の攻撃を受けたにも関わらずに、あまりダメージを受けたように見えない。やはり俺達の中ではユウマが飛び抜けて戦闘力が高いようだ。俺とアリシアでユウマを援護しながら戦うことになった。ユウマに気合を入れてもらうために叫ぶ「俺のことは気にするな。思い切りぶちかませ」と伝える。そのおかげなのかは分からないけれども、ユウマの攻撃は見事に決まって敵の巨体に大きなダメージを与えたように見える。

すると俺に攻撃のチャンスが訪れたので渾身の力を込めて剣を振りかざす。しかし、相手の腕でガードされてしまうと、俺の腕に衝撃が走った。

(くっ、何て奴なんだ)

俺は必死に痛みに耐えて次の攻撃を繰り出そうとするが、その前にユウマが敵を切り裂いたようで俺の目からは黒い粒子のようなものが吹き出す様子が映っていた。それから間もなくして俺とユウマで最後の一匹を倒した。俺はホッとして座り込みそうになったのだが、何とか持ち堪える。そんな時に背後から「もう終わったのかい? 手応えのあるモンスターがいなくて物足りないねぇ」という聞き覚えのある声が耳に入ってきたのだ。

俺は振り向くと、そこにはリリアナとアルフがいたのであった。二人は笑顔を浮かべていたが俺と目が合うと何故か驚いてしまったのだ。そしてリシアが先に動き出したので俺達は合流する事にする。俺がリリスに声をかけると、リリスは心配そうにこちらを見ていたので大丈夫だと伝える。それを聞くと彼女は笑顔を浮かべて安堵していた。そんな時にまた後ろの方から声が聞こえる。

「なによ、あんた。いつの間に来ていたわけ?」

そう言ってリザは不満そうな顔をしてリシアを睨みつける。

「えっと、ついさっきだよ。それにしても相変わらず派手な戦闘を繰り広げてるね」

リシアは微笑んで答えていた。

それからは全員で協力してモンスターを倒すと、今日の探索はここで終わりにしようと思うとリリスが伝えてくれたので帰ることにした。俺とユウマとアリシアとアリサとアリシアは、お互いに疲れ切っている様子なので、しばらく休憩する事にしたのだ。そこで俺は先ほどの戦いを思い出すと、やはり自分が強くなっている事が分かる。レベルが上がったわけではないのでステータスが劇的に変化したという訳ではないのだが、以前より明らかに力が沸いている感じがしたのである。

それは、まるで体が軽くなって今までよりも動ける様になったかのように思えたのだ。そして、そんなことを考えながら歩いていると急に誰かとぶつかりそうになった。

俺は謝ろうと顔を上げるとそこにはユイの顔があったのである。彼女は申し訳なさそうに謝罪してくるので俺は「全然気にしてないよ」と答えてから質問をした。「ユイって何か特殊なスキルを持っているんじゃないかな」と。

その問いかけに対して彼女は「あちゃ、ばれたかぁ」と困ったような顔をした。俺達が会話をしている様子を見て何かを察したアリシアが俺達のところまでやって来たのだった。俺とユイは二人並んで歩き、その後ろにアリシアとユウマとアリシアという並びになっている。アリサとアリシアとアリナは、そんな俺達の少し後方を歩く事にしたようである。そこでユイが俺の疑問に対する回答をしてくれて、それが俺の思っていた通りのものだったのだ。彼女の持つ能力はステータス上昇とアイテムドロップ率上昇というもので、他にも色々と隠し効果がありそうだ。それを知った俺達は、彼女が仲間になってくれたことを改めて喜び合っていた。そしてユイの持っている能力の事も考えて明日からユイの同行は必須だろうという話になり彼女も嬉しそうにしていて俺も良かったと思う。そういえばユイに何か渡す物があったんだと思ってから、それを渡してあげることにした。その品物は以前ダンジョンで手に入れた宝箱の中に入っていて俺自身も中を見たことがあるのだ。その時に綺麗だったので、いつかプレゼントしたいと思っていたのである。その宝石の名は"虹の涙石"」と言いつつ俺がユイに手渡しすると彼女は驚いた顔をしてから「えっ!? えぇー! いいの。貰って」と言って大興奮したのだった。

それから少し時間が経って落ち着いたところで俺達は城へと戻る事にする。途中で何度かモンスターと戦ったりもしたが順調に進めて無事に帰ることができた。そして部屋に戻ると俺はすぐに眠気がやってきたので、今日はゆっくり眠ることにしたのであった。

翌朝俺は目を覚ます。今日も特に予定があるわけではなかったが特にすることもないので城内を見て回ることにすると、アリサやユイさんと出会って、一緒に行動する事になる。俺は皆について行き、ある部屋にたどり着いた所で、そこにいた人物から話しかけられる事になる。その相手は、この国のお姫様であるレイナで彼女は昨日会ったばかりの俺の名前を覚えていてくれて少し嬉しい気持ちになる。

俺は彼女と話すうちに彼女に好感を抱くようになったのだが、その一方でレイナの婚約者だというアルフはどうにも好きになれない男である。だがアリシアとはそれなりに上手くいって欲しいと密かに願っているとリリアナとアリシアに呼ばれてしまう。

リリスによるとアルフとリリスは幼馴染らしいのだが仲が悪いらしく、アリナもその事を良く思ってはいなかった。ちなみにリリアナとリリスは幼馴染同士ではあるが特別仲良くしているわけではないとのこと。リリスはどちらかと言えばリリスに気を使っているような印象があったからだ。

そんなこんなで話をしながら時間を過ごすと昼食をとる時間となったので、食事をするために移動する事になった。食事を終えた後は適当にぶらついて時間を潰すと夕方になりそうな頃、そろそろ解散しようとした時にある出来事が起こったのだ。それは一人のメイドが慌てて部屋の中へ駆け込んで来た事から始まるのだった。慌ただしい雰囲気のその女性に対して、この国で一番身分の高い人であるアリシアが何事かを聞くと女性は驚くべき事を言ったのであった。

アリシアの話では魔王軍がこちらの世界に進軍を開始してこの城を目掛けて近づいているということ。しかも敵は強者ばかりで特に強い者は勇者と同等以上の力を持ち魔王直属の配下である幹部達も含まれているそうだ。その為に今すぐここを離れるようにと言われたのだが、正直な話、まだ現実だと受け止められていない俺がいてすぐに返事をすることが出来なかった。だが、その時は本当に突然訪れたのである。

激しい爆発音が響くと天井が崩落してきて、さらに大きな揺れが起きたのだ。それからしばらくして、アリシアの指示で避難を開始するが、俺はアリシアに「貴方には、やってもらいたい事があるの。だからお願い」と言われる。俺がやらなければならないことはアリシアを守ることである。俺はアリシヤに言われた通り彼女の側にいたのだがその時にリリアナからアリシアがさらわれてしまった事を伝えられ、俺は混乱しつつも必死に頭を働かせて考えるとアリシアが連れて行かれたのは王の間だと判断したので俺は走り出した。しかしすぐに俺は足を止められてしまい兵士の一人に捕まってしまうと、そのまま城の外へと放り投げられてしまったのだ。俺は、どうにか受け身をとって立ち上がろうとしたのだが周りを見ると大勢の兵士達に取り囲まれており、もはや逃げ道はないと諦めかけた時、リシアが俺の前に現れたのだ。

リシアは「ここは私が何とかするわ」と笑顔で言うと、兵士達の方を向き剣を構えたのであった。しかし敵は強者である為リシアでは、とても勝てないだろうと思った。そこで俺がリリアナから貰った腕輪の力を使う事にした。

この指輪をはめれば、リリアナと同等の力を使えるようになるという代物であり俺としては、あまり使う機会がないかもしれないと考えていたが今回は違う。

指輪を指にはめると体が熱くなり身体能力が上昇する感覚に襲われる。俺は一気に敵兵の中に突っ込むと次々と蹴散らしていった。そうして敵を殲滅し終わる頃にはリシアの姿が見えなかったのでリシアが無事かどうか心配になったがアリシアとアリシアが、こっちに向かってきていたので安心した。そこでリシアにリシアを連れていった奴のことを尋ねてみると、アリシアが答えるよりも早くアリシアが答えてくれて犯人は王様である事が分かったので怒りが湧くが冷静になるように心掛けると俺はその場から離れていったのである。そうして何とか逃げることに成功した俺達は地下に避難するとそこで休むことにした。

それから暫くすると夜になってしまっていたので眠ることにするのだが、なかなか眠れなかったのだ。するとユウマに抱きつかれてから耳元で「寝るまで傍にいるよ」と言ってきたので、ユウマの胸の中で静かにすることにした。そして朝を迎えると俺はリリスに頼まれてアルフと一緒にアリシアとアルフが戦うのを見る事にした。アリシアとアルフが戦闘を開始した時に俺とリシアが巻き込まれない様に離れたのは良いがアリシアに加勢したい気持ちを抑えることに精一杯になっていた。そうこうするうちにアルフが魔法陣を展開させてから魔法を繰り出したが、それが炸裂する前に、なぜかユウマが前に出た。そして、その攻撃を受け止めてしまう。その瞬間にユウマの纏っていた鎧が弾け飛び、俺達は唖然としてしまったのだ。

その後にユウマが放った一撃は、かなりの威力を持っていたらしく敵の体を吹き飛ばしていた。その後、アリシアに何か指示を出していたが俺は気にせずに、アルフの方に意識を向けたのだ。

それから俺達は地下から出て行くことになり地上へ向かうが俺は、どうしてもリリアナに会いたくなっていた。その気持ちを抑えきれずにリリアナを探し回ったが、やはり見当たらなくて落ち込んでいる時に俺に声を掛けてくる人物がいたのだ。その相手というのはユイである。ユイに連れ回されているとリリアナと再会できたが彼女は何やら怒っていて理由が分からず困惑してしまう。そして何故かリリアナは、この世界に存在するスキルを俺に全て教えてくれたのだ。その事に驚いてしまうと、ユイが説明してくれることになった。

彼女は自分の持つ能力について理解していない部分が多かったらしいが今は、ほぼ完璧に把握できているらしい。それに加えてユイは俺の持つ指輪の効果やユイの持っていた能力についても知っている様子だったのだ。そんな話を聞いて、この場に留まる事に不安を感じた俺はリシアやアリシアと共に外に出て行く事にしたのだった。

俺達が移動をしてから少し時間が経ち辺りが暗くなった頃に俺達の所に、この世界の人達が集まってくる。そして城の近くに現れた敵と戦ってくれるという申し出を受けたので断ることが出来ず引き受ける事になった。俺は自分の能力について理解している事を伝えた上でユイの能力を借りることにしたのだった。そうしてから城の外へと向かった。

外に出ると、かなり多くのモンスターが出現していたが、それらを全て倒していき俺達は、その数を着実に減らしていき戦いを終わらせることができた。その事が終わったのは真夜中だったので俺は、さすがに疲れて城の中へと戻ることにする。

部屋に戻る途中も色々なことがあって中々眠れそうになかったがようやく眠りについたのだが、また何かに体を揺すられて目を覚ました。今度は一体誰だと思い目を開けてみるとアリシアの顔があり、彼女は嬉しそうな表情で俺を起こしにきたのだという。その事を理解しながら、アリシアに連れられて一階へと向かうと朝食を取る。その際に、俺はレイナのことについてアリシアに相談してみると彼女は悲しげな顔になり俯いてしまう。それからアリシアからレイナと二人で話をする機会を設けてもらってから俺が話を聞くことにしたのだ。

そしてレイナはアリシアの事を心配して俺達に頼んできたのだった。それは、ある事を教えてあげるという内容で俺は話を聞き終えて直ぐにレイナの部屋に行き彼女から話を聞いた後でレイナのお願いを聞くと城を出て行こうとした。しかし、その時にユイさんから声をかけられた。彼女はレイナから聞いた話をしてくれたのだが、レイナはこの国にとっての重要人物だと言い出しレイナを助けに行くのなら自分もついて行くと言う。

俺としても、これからの戦いを考えれば一人でも多く仲間がいる方が良いと思っていたのもあり了承する事にしたのである。こうして俺達は城を出てアリシア達と合流し、王の間に向かったのだった。そういえば俺達は昨晩、アルフとアリシアの戦闘に巻き込まれた際に受けた傷は治っており、俺は左腕が使えなくなっていたのだが今では普通に動かすことが出来ていた。恐らくは、あの腕輪のおかげだろうと予想がつく。俺の場合は怪我の回復は、それほど早い方ではないが腕が動かなくなったり足が動かなくなる様な重傷を負っても問題なく動けるようになるらしいので、これ程強力な効果を持っているアイテムが存在しているのに驚きを隠しきれなかった。ちなみに指輪の方の効果は、あまり使い所がなく正直、あまり使わないだろうと思っている。ただ指輪には他にも色々と機能があるような気がするので、いつか確認しようと思っていた。

そして王の間に辿り着くと俺は中に入ると既にリリアナとリリスは来ていて俺とアリシアの姿を見て驚いたような反応を見せていた。リリアナに事情を説明して俺がリリアナを呼び出してほしいと頼むと快く承諾して貰うことが出来た。その事に安心した俺だが気になるのは、やはりリシアのことだ。

「大丈夫だよ」

そう言ったリシアの声はとても優しい声で思わず俺までドキッとしてしまう。その事に気恥ずかしさを覚えているとアリシアが話し始めた。

「まずはユウ君に話したい事があるの。実はね。私は貴方が勇者だと知っていたんだよ。」

そう言うアリシアの言葉に俺だけでなくアリシア以外の皆も驚いていた。俺が勇者だと知っていながら今まで隠していたというアリシアの告白は衝撃的な出来事であった。まさか、こんなにも簡単にカミングアウトしてくるとは思っていなかったのだ。それにリシア達からしたら、なぜ勇者が現れたのか疑問に思っていたと思う。だから勇者の件に関してはアリシアに任せておけばいいと判断した俺はリシアと二人きりになった時にある提案をしたのだ。

リリアナが俺と二人きりにしてくれないかとお願いしてきていたのでリリアナに聞いてみると快く承諾してくえる。そうすると俺とリシアだけを残してくれるのだがアリシア達は何をするのだろうかと首を傾げており俺達は不思議に思いながらもリリアナが部屋から出ていくのを見送る。そうして俺はリシアに「大事な話しってなんですか?」と尋ねると彼女は真剣な眼差しで俺のことを見ながら語り始める。そうすると彼女は突然服を脱ぎ始めたのだ。当然、俺は焦ってしまい「ちょっ!ちょっと待ってくれ!」と叫んでしまう。しかしリシアは俺の叫びを無視して、とうとう上半身裸になってしまうと、その体は俺の目から見てとても美しい物だと思った。肌の色は白く胸の大きさはアリシアよりも小さいように感じるが形は良いように見える。そう思ったところで、俺に抱きしめるように言ってきたので戸惑いながらも、とりあえず言われた通りにリシアを抱き寄せてみた。そうすると彼女の温もりを感じてしまい心臓の鼓動が早くなっていくのを感じる。そんな風に戸惑っている俺を見てリシアが笑い出すとリシアは話し始める。そうすればリシアの過去が分かり俺は驚くがリシアの話が終わると、どうも俺は納得が出来なかったのだ。そこで、その事で俺は文句を言うが結局、最後はリシアに押し切られてしまう形になってしまった。そんな事があって、そのあとは何をするでもなく、そのままベッドで寝ることにしたのである。

そうして朝を迎えるのだが、いつのまに眠ってしまったのだろうと寝ぼけながら考えていると横から抱きついてくる感触が伝わってきたのだ。それを確認する為に横を向くと、そこには俺のことを幸せそうな顔で見つめるアリサの顔があったのだ。

「あっおはよう」

「おっ、おう。」

「もう朝なんだ」

「そうだな」

アリシアとの話でリシアが何故俺に好意を寄せる様になっていたか分かったが、あまりにも急すぎる変化に動揺をしてしまう。そんな俺の反応を見たアリシアは楽しそうな笑顔を浮かべて俺を見ていたのだけれど俺が困惑していることに気付いたのか彼女は微笑み俺の顔を覗き込んで「そんなユウマのことが好きなの」と言われてしまう。その言葉を聞いた俺は思わず頬を赤らめてしまうのだった。その後で、俺達は一緒に風呂に入りアリシアが用意してくれた朝食を食べ終わる頃に扉が開かれてからリリアナが部屋に入ってきた。そして、その後すぐに俺達が話していた部屋の外から何かが崩れ落ちる音が大きく聞こえてきて慌てて俺達は、そこに向かうことにした。そして、そこにはユイの姿があったが彼女は涙目で震えていて何かが落ちた跡が残っている場所を見ると大きな瓦礫に埋もれたアリシアの剣が落ちていたのだ。その事から、その剣を落とした犯人はリリアナであろう。そして俺はユイに何が起きたかを尋ねるとリリアナの機嫌が悪くなったリリアナに対して俺達は、なんとかリリアナを説得しようとしたのだがリリアナは全く俺達の話を聞いてくれなくて最終的にはユイに頼んで、この城を抜け出したのだ。

俺としては、これからの旅でユイを同行させるつもりはなかったがユイの実力は俺の予想を超えていたのだ。リリアナと俺とユイとアリシアとアリシアの護衛をしているアルフの5人で王都の外に出る。その際にアリシアから『ユウマ』という名前ではなく『ユウト殿』と呼ばれてしまったのだった。その理由が分からない俺は質問をするとリシアが俺が元勇者だった事を明かして、それからリシアの本名を教えてくれたのだが俺は何故か彼女を呼び捨てにすることが出来ず『さん付けで呼ばせてもらうよ』と言っておいた。そして何故かリリスからも呼び捨てにしてくれないかな?と、いきなり言われたので彼女も名前呼びにさせてもらった。それからはアリシアはアルフとユイを連れて先に進んでいくが、しばらく進むと分かれ道があって右と左の道があり俺達は迷ってしまう。そういえばユイと二人で話をしてなかったなと思い彼女にユイについて色々と尋ねてみる。そうすればユイは元々俺と同じように日本から来た人間でユイと初めて会ったのも俺と同じくゲームアプリの世界で、彼女はヒロインで俺は主人公で俺は彼女と恋に落ちたらしいが、それは俺の夢物語に過ぎなかった。しかし夢物語の筈なのに実際に俺がこの世界に来たことで現実味を帯びてきたことに驚いたのと同時に少しだけ不安を覚えた。なぜなら本当に俺とアリシアが結ばれる運命ならば俺は絶対に彼女を不幸にしてしまう。その事が気掛かりで仕方がなかったのだ。そしてアリシアから話しかけられ、その事に気がついて意識を引き戻すと俺は話を聞き続けるのであった。

そして彼女は自分が知っている事を話し終えると俺は彼女の話を最後まで聞いてから質問を始めることにした。まずは俺の方で知りたいことは、まずリシアがどうして俺の事が好きなのか、という事と彼女から感じる不思議な力の正体を知りたかった。それから俺自身のことについてだ。しかし彼女は答えられないと言っていたから諦めたが、代わりにユイのことについて話をしてくれたのだった。それから俺達はすぐにリリアナと合流することにした。

リリアナの居場所を見つけることが出来たのは俺の持っている能力のおかげであり彼女が隠れて俺の能力を試したらしくて見つけることが出来た。それで合流した後にリシアと俺の能力の事についても話すことになり、リシアには全てを教えることにする。それからリシアが城を出ることが決まった後でアリシアが、また王の間に戻ってくると言うと俺に付いてきて欲しいと言うのである。

その事については俺は嫌な予感がしておりリシアに尋ねると、これから起きることを説明してくれるのだが、やはりアリシアが狙われるのは俺が原因なのだと言う。そしてリリアナと俺で何とかしようとしたのだが失敗して今に至るらしい。だから俺はリシアとアリシアの二人が危険に晒されない様に行動すると決める。そんな風に決意を固めている俺だが未だに、どのルートを選べばリシアを守れるかを考えていたのである。

そしてアリシアと別れて俺達は町を目指して出発する。だが暫くしてから魔物に襲われてしまい戦闘を行うことになるのだが、その相手が予想外であり俺達は苦戦する羽目になったのだ。俺やリリスでは対応出来ないような強い個体が多くて俺とリリスで必死に対応しようとする。そうすると俺とリリスは分断されてしまうがユイとリリアナは問題なく戦っていたのだった。そんな時に現れたのは見たこともない化け物が現れてしまう。しかも複数体いるみたいだったので俺は逃げるように言うと俺とリシアは走って逃げたのである。

そうして俺はリシアに俺の力について説明する。そしてリシアが、そんな俺を助けてあげたいと俺の手を両手で掴んできたのである。その時の彼女の目は真っ直ぐ俺の目を見つめてきており彼女の気持ちを俺は知る。そうすると彼女の真剣さが伝わってくるがリリアナも同じように俺の手を掴みながら「私はどうなるんだろう?」と言いながら不安そうな表情を見せていた。それを見たリシアとアリシアとユイが心配して励ます。そんな皆の様子を見て俺も改めて気合いを入れ直して皆と頑張って生き抜くことを決意するのであった。

俺達を追いかけてきた魔人族の戦士達が仲間になり俺達と一緒に旅をすることになったのだ。俺はリシアをアリサと呼ぶようになり俺が元の世界の話をするとアリサはとても喜んでくれた。そして俺が元勇者だったことがリシアにはバレておりアリサに告白されたのである。そうして俺達はリシアの故郷であるラティス国に向けて移動をすることになる。しかしリリアナの様子が変なことに気付き、その理由は分からなかったが、なんと彼女は一人で勝手に行動を始めてしまうので俺とリシアとユイで追いかけることになった。しかし、そこでリリアナに追いつくことは出来なかったので仕方なく一旦は俺の空間転移を使い別の場所に行くことにした。それからリリアナにリリアナの過去を聞くことになった。

そうしている間にリシアの妹であるアリシアとも合流して一緒に移動する事になったのでアリシアと俺は二人きりになると突然アリシアが俺に抱きついてきて頬をすり寄せてきたので焦って「ちょっ、ちょっ!ちょっと待ってくれ!」と叫んでしまうが、そんな俺の反応が面白かったのかアリシアはクスリと笑うと俺の事を優しく抱きしめてくれる。

そんな時に突然リリアナの声が聞こえたと思ったら俺とアリシアは抱き合うようにして地面に倒れたのである。そして起き上がると目の前にはリリアナがいたのだ。

どうやらリリアナとアリシアは、あの後に二人で俺達の所に来るつもりだったが、そこでリリアナが、アリシアとユイが楽しそうにしている姿を見て邪魔をしたら悪いと思って立ち去ろうとした。しかしリリアナの姿が見えなかったのでユイは探そうとしたが見つからず結局リリアナを探すことにしたのだった。ユイはリリアナが行きそうな場所に心当たりがあるとリリアナが言っていそうな場所を教えてくれた。それを聞いた俺とアリシアとユイは、その場所に向かってみるとリリアナを見つけた。

そうしてアリシアとユイはリリアナと話をしてみると意気投合してしまったのだ。そんな三人を見ながら俺はアリシアが楽しそうな笑顔を浮かべているので安心したのだ。しかし俺と目が合ったアリシアに微笑みかけられただけで、なんだかくすぐったく感じてしまい恥ずかしくて目線を外すが、すぐにリシアが俺のことを呼んできて顔を正面に向けるのだがリシアは俺のことを優しい瞳で見ていたので照れくさくなり顔を背けようとするが、その前に俺は彼女に頬にキスをされてしまったのである。それからは顔を真っ赤に染めて、そっぽを向く俺のことを見てアリシアは嬉しそうに笑っているのであった。そうして、この日の夜はアリサの家でお世話になることにした。その時にはアリシアとリリアナの歓迎パーティーが行われたので楽しいひとときを過ごしたのであった。

それからは数日が経過してから俺達は王都を目指すことに決める。リリアナの話では王都内にダンジョンがありそこに行くためだと言う。そして出発してから数日目には俺達は魔物の集団に遭遇してしまった。

俺とリリアナが二人で応戦しようとしたところユイは一人残ってしまいユイは戦いに参加出来なかった。それでもユイはリリアナのサポートをしっかり行い俺がリリアナをサポートをする。ユイは魔法を使って戦うスタイルなので遠距離攻撃を主として行う。その援護を受けてリリアナはどんどんと魔物を倒していった。

しかしリシアの様子がおかしくなっていてリシアはユイの事を敵視しているようだったが、俺は理由が分からず、どうしてそんなに敵対心を剥き出しにしているのかとリシアに尋ねると彼女はリシアが勇者だと明かす。そして俺とアリシアも元勇者でアリシアとユイは勇者の力を持っていると教えてくれて、それで勇者の力の副作用みたいなもので感情が不安定になってしまったのだという。

そして俺はリシアが勇者だなんて信じたくはなかった。それは勇者の力がどんな力か知らないけれど俺にとっては最悪の未来を招くことになるからだ。そう思った俺は何とか勇者の力を使わせないようにする方法を考え出すのだが答えが出てこないまま時間が経ってしまう。

その間にユイの体力が消耗していきユイの魔力が無くなってしまったのである。そしてリリアナも俺が倒した敵を庇ったりして無理をしてしまい傷ついて倒れてしまうがリリアナがユイの事を心配して、そちらの方に注意が行っていた為にユイの放った一撃を避けることが出来なかったのだった。しかし、それがユイに直撃する直前で俺はリリアナを蹴り飛ばしてユイが攻撃した技を回避させることに成功した。しかし俺がユイを止めたことによってリリアナが攻撃を受けてしまい、それを目にしたリシアがリシアを止めるために俺の側まで来て俺を拘束しようとした。

俺はその事について何も出来ずにいた。しかしリシアの気持ちを知りたいと思うと何故かリシアの言葉を聞くことが出来て彼女の言葉の意味が理解できたのである。その事について驚いたが今は戦闘中だったので考える余裕はなく俺はリリアナを抱えて急いで離れるのであった。そして離れた場所に移動するとその途中でリリアナが気を失ってしまい、そのまま彼女を休ませる事にしたのだった。その後でアリシアが目を覚まして戦闘を再開しようとしたがリリアナの事が気になっていたのでアリシアとリシアと別れてリシアを追いかける事にした。

それから数時間後、俺はアリシアを見つけて彼女と一緒にいた騎士の人と話す。そうしてリシアと話をしてみたら彼女もリシアと同じ様にユイの事を嫌う発言をしていて彼女が何者であるかが分からないので俺は、その人に確認するためにリシアを気絶させてから俺の能力を使い、リシアの記憶を読み取ると、やはりユイとアリシアと同じような内容で彼女達はリリアナが勇者だという事を知る。それを確認した俺は、その騎士さんと一緒にリシアの故郷──『アストニア』に向かうことにしたのである。

俺は今、リシアの生まれ故郷である『ラティス王国』、『アストニア城』の門の前に立っている。その城は俺の世界のテレビで観たことある城そのものの外観をしていたのだ。そうすると俺と一緒に来ていた二人の女性が城の方に歩いていき門番らしき人達と話を始めたのである。俺が何をやっているのか気になったので近付いていくと俺に気付いた女性の一人が話しかけてくる。

「貴女は、こちらのお城に御用ですか?」

「あぁいえ違います。ただ、ちょっと訳があって、この国に訪れたんですけど宿の手配とかをしてなくてですね。出来れば宿を手配したいのですが、どこか良い場所はありませんか?」

「それならば私が、お勧めの宿をお伝えしますよ」

「ありがとうございます。是非ともお願い致します。私は旅の商人をしております、ミオンと申します。宜しくお願い致します」

「これはご丁寧に、私は当家の騎士団に所属しているリシアと申します。これから宜しくお願い致しますね、ミオン様」

俺達が互いに挨拶を交わしたあとは俺達の会話を聞いて警戒感を強めていたもう一人の女性も俺達に近づいてきた。しかし二人共が凄い美人なのだが年齢はリシアの方が上に見える。おそらく俺よりも歳上で18〜20ぐらいだろうと思われる。

「私は、リシアさんの幼馴染で同じく『アストニア王立学園の騎士養成科』の生徒だったリリスと言います。初めまして、リリアナちゃんの婚約者の悠真君。それにしても本当に私達と変わらない年なのに強いんだね。流石に驚きだよ。それで、どうやってリリアナとユイに勝ったのかな?それと私の事も名前で呼び捨てでいいですよ。というより呼び捨てにして下さい。それから口調についても普段通りにしてくれればいいので、よろしくお願いします」

そう言ったリリスに対して俺は「分かった。そうさせてもらうよ。それでさっき言っていたことだけど俺は別にリリアナにもユイにも負けたつもりはないんだよ。俺のスキルを使ったら簡単に倒せたからな。それに関しては二人に謝っておきたかったんだがリリアナには、すでに会えたしユイはアリシアが一緒にいるから大丈夫だからもう言わなくてもいいと思って言えなかったんだけどな。でもそう言われると確かに俺はリシアに勝ってはいないのか。でも俺としては勝負を挑まれていないし俺からは手を出さなかったから俺の勝利でもいいと思っているけどな」と言う。

「なるほど。確かにそうだよね。じゃああのまま、あの場にいたらどうなってたの?」

そう言ってリリスが聞いてくる。

「んーまぁ最終的には俺が勝ってたんじゃないのか? あの二人はレベル的には30くらいだったし俺とアリシアがいれば、それぐらいのレベル差があっても勝てるはずだ。それに俺の場合はステータスの伸び幅が大きいしアリシアもリシアも俺の側に居たら、もっと早く強くなるはずだしな。そういう意味では、あいつらの事は放っておいて俺が一人で先に行っても良かったかもしれないな。なんせリシアの両親がいる王都に向かえば俺は歓迎されるだろうしな。そうすればアリシアの心配事を一つ減らすことが出来ると思ったし。もちろん俺はリシアが嫌いではないから、あいつらに何かあれば助けようと思っていたけれどな。ただなリリアナの話だと俺達はリシアをいじめているような印象を与えてしまっていたらしいが、それは俺の所為もあるのかもしれないな。俺が最初から説明しておくべきだったが、それをせずにリシアの事情を知っていて、その上で、あいつらをどうにかしようと思ったわけだし。そこは悪かったと俺は思ってるよ。とりあえず俺の実力を見せてしまったので俺が、このままリシアとリリスの二人を連れて行っても大丈夫だと証明するには少しだけ暴れる必要がありそうではあるけれどな。それでリアリスがリシアの代わりに王都に行く必要があるなら、それでも構わないけどな。俺はアリシアが、この国に来るのは歓迎しないと言っていたけれどアリシアスがアリシアが、ここに向かってきていることは知っていたからリシアの両親の件で会いたいと言えば会うことはできると思う。一応、それについては後でアリシアに伝えてみるけどな」

俺が言うことを聞いた二人は目を見開いて固まってしまっているが、すぐに動き出した。

「そっか! そうなんだね。リシアのお父さんとお母さんに娘が元気にしている姿を見せるために来たんだ。それを聞いて安心したよ。そしてアリシアがリリアナちゃんとユイに、どういう理由で喧嘩をしたのかも、その理由で大体は想像がつくよ。でもさ、それでどうして二人が嫌われる羽目になったの?」

「そう言われてもなぁ。リシアと俺は、まだ子供だった頃に約束をした事があるんだけどな。それを、たまたまユイに見られていてリシアを取られたと勘違いしたんだろうな。だからリシアが、そう思ってしまったことをユイも知って、そこから話がこじれたんだと思う。

そしてリシアが、ここに戻ってきた理由をリシアの両親は知らないみたいだったな。俺達が話をしていたのは門の前で、この国の兵士達と話をしているリシアの様子を見ていればリシアが、この街に滞在しているのは分かるとは思うけど。

俺の知っている範囲だと、そもそも俺はこの世界の出身ではなく異世界から来たんだ。そこで俺は勇者だったから、この世界のために戦ったけれど俺は、その時に俺の力を分け与えるために一人の女性を選んだ。その女性は、この世界でも最強に近い力を持っていた女性だったから俺は、その人と結婚して二人で力を合わせながら魔物を倒していったりもした。だけど俺が元の世界に帰って来ると、その女性はすでに死んでしまった事になっていて、その事が原因で俺は心に傷を負っていた。その傷を埋めるために俺は別の女性と結婚しようとしたがその女性も、その時には既に亡くなっていた。俺はその女性以外に心を開ける人は居なかったんだよ。そんな状態で俺が召喚されてこの国を救うために戦ってくれと言われた。その時、初めてこの世界に来て俺は俺と同じ苦しみを持った女性と出会ったのである。

そして彼女は、自分の持っている全てを、この国の為に使い、俺は彼女のおかげで立ち直る事ができた。そして俺は彼女と結ばれたが俺達の間に子供が出来る事は無かった。

そして俺がこの世界で、どれだけ活躍して平和を築き上げていっても俺が愛せる相手はこの女性しか現れなかった。俺が、いくら強くても、どれだけ多くの命を救えてもこの人だけを愛し続けることが出来なかったんだ。

この人が亡くなってから5年間、俺は誰とも結婚しようとは思わなかったが彼女の事を忘れられずにいたが俺も、いつか彼女と同じように死ぬ時が来る。そう思ったら俺は死を恐れるようになった。だからこそ俺はリシアと出会ってからは、彼女と共に過ごしてきたんだ。しかし、そんなある日に彼女が病で倒れてしまい今に至るというわけだ」

俺が、そこまで話し終わると二人の女性は何とも言えない表情になっていた。俺が話したことは事実だが全てを伝えたわけではない。ただ単に勇者の力を授かり魔王を倒したが心の支えであった恋人を病気で亡くしてしまって心に深い傷を負った男という設定である。本当のところはリシアと付き合ってはいたものの彼女が死んだ後は何もしていなかった。ただ毎日を無気力で過ごしているだけであった。

俺が自分の事を話す前にアリシアの事に話題が移っていたのでアリシアのことを、ちゃんと話しておきたかったのである。それにしても何で二人共顔が赤いのだろうか。風邪を引いたか熱中症とかで体調が悪くなったのか? それとも日射しが強くなってきたからなのか? ともかく今日はまだ時間はあるんだ。宿が取れたら街を見て回ってみるのも良いかもな。そう思っていたのだが、しばらくして俺達の方に近づいてくる騎士の男性が話しかけてきた。

「失礼します、旅の方とお見受けしますが、この国に来た目的は何でしょうか?」

「初めまして、私はミオンと言います。このラティス王国に訪れることが目的だったのですが宿の手配とかを何もしておらずに困っているところでした」

「なるほど、それでしたら私がお勧めの宿をお教えします」

俺はミオンと名乗った女性の質問に答える。

ちなみにミオンという名前は本名ではない。これはリシアやリリスが名乗っている偽名のようだ。これはアリアンローズの世界では珍しいことではなくゲームなどでは普通に使われている名前らしい。俺もゲームやアニメなどが好きなのでそういう名前を使う気持ちはよくわかるし偽名を使っていても別に気にはならなかったので問題ないのだ。しかし俺は念話で、ミオンと俺以外の三人は偽名を使わなくても良いと伝えていたのだけど何故か俺だけ偽名を使えと言われていたので、こうして偽名を伝えているのだった。そして俺はリシアの父親である、この国の騎士隊長のロゼウスさんにも挨拶をする。

「初めまして。僕はユーマと言います。それでですね、実は、これから王都に向かうつもりです。それで道中に泊まれる場所を探していたんです」

「そうですか、それなら我々騎士団の詰所の近くに我々の関係者がよく使う宿泊専用の建物があります。そこに空き部屋があるのでそちらにご案内しましょう」

「ありがとうございます。それじゃあ、そこをお願いします」

こうやって王都に行くための馬車に乗り込むことが決まった。リリスの両親が住んでいるのは俺達が向かう予定の王都であり、このラティス王国の王様の住む城のある都市でもある。リリスによると王都には色々な種類の美味しいものがあるらしいので是非一度は行ってみたいと思っているのだった。

そして俺は改めて、このラティスの城下町を目にしたのであった。俺達は、王都に向かって移動を始めたので街並みを見ながら馬に乗った。すると、リリスと俺の前に座るロゼが後ろを振り返り口を開く。

「うわー、なんか可愛い建物ばっかりだよね」

「そうだな。この国の人達って、みんな可愛い服ばかりを着ていて可愛いもの好きが多いのか?」

俺の、そんな疑問に対して答えたのは俺の隣に座っているアリシアだった。

「そうだね。ラティス王国の人たちが可愛くて綺麗なものが好きで集まって国を作っているの。だから国自体が女の子のための可愛いものが沢山あるんだってお母さんが言ってたよ。それにラティス王国は女性だけの種族の人もいるんだ。その人達は見た目の好みとかも、ほとんど一緒だから、すごく仲良く暮らしているらしいよ。それに他の国に行けばラティス王国のように可愛いものとかがあるわけじゃないから王都に住む人たちは、あまり他に行きたがらないの。まぁ一部の変わり者を除いてなんだけどね。だからラティスの街に行かないと手に入らないものも多いのよ。でも王都だと欲しいものは大体手に入るの。私も一度しか行ったことは無いんだけど。

でもさ、リリアナとユイは大丈夫なの? リリアナも、ユイもこの前来た時はリリスちゃんをいじめていたんだよね? もしリリアナとユイが嫌なら、このまま王都に向かっても全然構わないけどさ」

確かにユイとリリアナは以前この国に来たことがあるので少しは分かるのかもしれないが、リリアナの事情が分かるまでは二人も微妙な顔をしていた。しかしリリアナはリリスの母親に会うことで何かが吹っ切れたという感じの表情をしていた。リリスも俺と出会ってから少し落ち着いたように見えるので、これならば問題はないだろうと俺は考えている。リリアナとユイも俺と同じような考えだったようで二人は笑顔を浮かべていた。

そして俺達を乗せた一台の馬車は順調に道を進み夕方頃、この国の騎士たちの詰め所に辿り着いた。

「着きましたよ。それでは皆様こちらにどうぞ。我々は別の仕事があるため同行できませんが、この宿に案内するように申し付けられていますので安心して下さい。

あと、宿の名前は【ルインの館】になります。食事も、この国自慢の物を出してくれるそうですよ。それでは、また明日の早朝に迎えに来る予定になっていますのでそれまでゆっくりとお休みください」

「わざわざありがとうございました。お疲れさまです。そして明日の、迎えの時間を、忘れないように、お願いします」

俺は御者の人と、そんなやり取りをして別れてから宿の中に入った。宿に入るときに従業員の女性に鍵を渡されたが俺はその鍵を見たとき驚きと懐かしさが混ざった感情を抱いたのだった。俺はこの世界で何度もこのタイプの部屋を使っているのだけど、俺にとって一番大切な人は、その部屋に泊まり続けていたからこそ俺の心も救われていた。しかし今度、その女性に会いにいくときには、この世界で一番愛している女性は、この世界に居ないから会えるはずもない。俺は心の中で会いたいと願いながら扉を開いた。

部屋の造りは前の世界で俺が住んでいた家の部屋と、ほぼほぼ同じものだった。違うところは家具やベッドが置いてある位置くらいである。そして窓際には小さなテーブルがありその上に置かれていた花瓶と一輪の花が置かれていた。

「ねぇ、リシアさんは知ってたのかな?」

「たぶん知らなかったと思う。だからこそ余計ショックが大きかったんじゃねえかなって思ってるぜ。あいつの親父が死んでから3年経ってるけどさ、俺が初めてこの世界にやってきた時よりもずっと辛かっただろうからな。俺は、もう二度と会う事も無いし、あの人が俺の事を思い出す事も無いだろうから心配することはないと思ってるけどな」

そうなのだ。俺は、この世界の勇者の力を受け継いで召喚されて来た時に初めて俺の力を受け継いだ女性に出会ったのだ。彼女と一緒に戦った事によって心を病んでしまい俺が元の世界に帰る前に亡くなってしまったのだ。それから俺が召喚されてから4年間は孤独に戦い続け、ようやく立ち直れたと思っていたが、それも彼女の死という心の穴を埋めきれなかっただけにすぎなかったのだと思い知らされることになったのである。だからこそ俺が勇者として召喚された理由は、もう一度彼女と出会って自分の気持ちを整理したかったのではないかと思ったがそれは、ただ俺が自分の心の傷を癒したいだけだったのではないだろうかと考えるようになったのだ。

ともかく今は宿に着いた事だし今後の方針を決めてしまおうかと思っているとユイが話しかけてきた。

「ねぇユーマ、とりあえず私はリシアさんを元気にしてあげたいな。それとユーマがリシアさんを好きな理由を知りたいの。それが私のやりたいことだよ。だから、ちょっと二人で話してきてもいいかな?」

俺達は宿屋にチェックインしてから夕食を食べるために部屋を出た。

「ユーマ君、どこ行くつもりなの? 」

「ああ、リシアさんの両親の家に向かえばいいんじゃないかな? 俺達は今日、ここに泊まる予定だったわけで、この国の王族の家にお世話になるのってダメな気がしたんだよな。まぁ国王とかにも会ったことがないから大丈夫なのか不安だったし、リリスさんから聞いてなかったから、まずは、そっちに向かうつもりだった」

「うん、リリスちゃんのお家は、あそこにあるんだよ」

「あれか、なんか凄く大きい建物だな」

「そうだね」

「それじゃあ、行ってみるか」

こうやって宿を出て歩き始めたのだが俺が気になったのは周りの人達の反応だった。やはりと言うか当然と言うべきか、この国の人たちは男女問わず美しい人が多く俺の知っているアニメのヒロインなどと比べても遜色がない容姿の人が大勢いたのである。しかも、そういう綺麗な人たちの服装もまた、とても派手で目立つものが多くあるのだが俺が注目したのは服ではなく身に着けている宝石の類であった。この国は女性が装飾品やドレスを、かなり贅沢なほど身に付ける習慣があるのでそういうものに疎い俺は圧倒されるばかりであったが、そんな中で俺が一番惹かれたのは胸元のペンダントだった。リリスとアリシアの母親が持っているのも同じ物で間違いないだろう。俺とアリシアはお互いを見合って笑みを浮かべたのであった。そして俺達は大きな門を通り抜けて建物の前まで到着したのだが中に入ると俺達が想像するような城やお屋敷のような外観ではなかった。しかし内装は豪華なもので、おそらくお金はかなりかけているであろうことは、なんとなく分かったのだった。そして案内人の女性について歩いていくと、とある場所にたどり着いたので立ち止まった女性に声をかけようとした。しかし女性は俺達を振り返って言った。

「皆様が泊まる予定の場所は、こちらの建物となります」

俺が予想もしていなかった言葉が飛び出したので俺は驚いた。

リリスの母親の実家だという、この建物の中には入ってすぐのところに、このラティス王国に住む人達の暮らしぶりを表したような、いかにもファンタジーといった雰囲気の部屋が存在したのであった。この国の住人が身につけているものは基本的には中世風の作りのものだが生活水準は高く、そして王城に住む人たちは特別なものを身に付けていた。そのひとつが今目の前に広がる光景であり俺達の前には様々なものが並べられていたのであった。この世界には、こんなものがあるのかと、ついつい興奮してしまったがアリシアが冷静に答えてくれた。

「これは、きっと王城で働く人たちが着るものだと思うの」

「そうか、この国には、あんな服を着ないといけない決まりがあるのか?」

「違うの。だって普通のメイドさんも可愛い服を、いつも綺麗にしているもん。だからリリスちゃんのお父さんとお母さんは普段から綺麗な格好をしているってことじゃないかしら」

「そうか、そう言えばユイが言っていたように王都に来るまで、この国では珍しい綺麗なものを売っている店や食べ物があるみたいだぞ。だから、みんな綺麗な服を身につけているんだな。あとさっきの話を聞いて思い出したんだけど俺ってこの国の王様とは面識があったんだ。だから挨拶してこようかな。まぁ王城に居るとは限らないけどさ」

「え? 王様に、どうやって挨拶するの? 」

「そうだな。一応顔見知りでさ。俺の顔は知られているからさ、向こうは気づいてくれないかなと思ってな」

俺は王城の警備をしていた騎士に話を聞くと王城で働いている人の殆どが、ここの宿泊施設に泊まっているということなので早速俺は会いに行ってみた。そして俺は目的の人に話しかけると、あっさりと王に会うことができて驚くとともに緊張したが何とか失礼にならない程度で話を済ませることに成功した。そして最後に一言だけ伝えてから別れの挨拶をしたのだった。

俺がこのラティス王国を訪れたのは5年ぶりだったのだけれどリリスの父親──つまりは前国王陛下の体調が悪かったため、あまり長居はできなかった。だが久しぶりにリリスと会えたことが何より嬉しかった。

俺達を乗せた一台の馬車は順調に道を進み夕方頃、この国の騎士たちの詰め所に辿り着いた。

「着きましたよ。それでは皆様こちらにどうぞ。我々は別の仕事があるため同行できませんが、この宿に案内するように申し付けられていますので安心して下さい。あと、宿の名前は【ルインの館】になります。食事も、この国自慢の物を出してくれるそうですよ。それでは、また明日の早朝に迎えに来る予定になっていますのでそれまでゆっくりとお休みください」

「わざわざありがとうございました。お疲れさまです。そして明日の、迎えの時間を、忘れないように、お願いします」

俺は御者の人と、そんなやり取りをして別れてから宿屋の中に入った。宿に入るときに兵士らしき人から鍵を手渡されたのだが、その鍵を見たときに驚きと懐かしさが混ざった感情を抱いたのだった。俺はこの世界で何度も、このタイプの部屋を使っているのだが俺にとって一番大切な人は、その部屋に泊まり続けていたからこそ俺の心も救われていた。しかし今度、その女性に会いにいくときには、この世界で一番愛している女性は、もうこの世界に居ないから会えるはずもない。

俺は心の中で会いたいと願いながら扉を開いた。

部屋は前の世界で俺が住んでいた家の2倍近くある部屋になっていた。そして俺が扉を開いた時に目に入ってきたのは窓際に置かれている花瓶と一輪の花が置かれている場所とベッドの位置であった。そして窓際には俺の知る人物の姿が見えたが、そこにいた人物は花瓶に水を入れ替えているようで、それに気が付いていなかったため俺は、あえて大きな声で話しかけた。

「リシアさん、久しぶりだね。花瓶に花、活けてくれてありがとね」

俺の事を認識できて驚いていたが彼女はすぐに平静を取り戻し俺に質問してきた。

「あなたがユーマ君? 私がリシアだとよく分かりましたね。でも何故? どうして私の名前を知っているのですか? 」

「ああ、君なら知ってると思うけど俺はこの世界とは違う異世界からやってきたんだよ。そして君が持っていた力を引き継いで召喚されてね、俺と一緒に戦ってくれる人を、探していたんだよ。だから君は、この世界に来てから一緒に戦った最初の仲間でもあるし初めて恋をした女性なんだ。君のお父さんとお母さんが亡くなった後、俺の住んでいた町まで一人で訪ねてきた事があったんだよ。それで君が寂しい想いをしなくなるように俺は、この世界でも俺の力でできる限りのことをしながら助けてあげたいと思っているんだよ」

「私の両親が亡くなった後のことは何も知らなかったのです。まさか貴方と初めて出会った時に貴方の住んでいる町に行っていたなんて、思いもしなかった。あの時は、ただ両親を失った悲しみに耐えられなくて貴方に会いたくて仕方がなかった。あの時の私は貴方の気持ちを考えもしない自分勝手な人間だと思います」「確かに、その部分は、どうかなって思うところはあるよ。だけど、それはお互いに知らないところで起きた悲しい事故のようなものだよ。だから俺は君を責めたりはしないし、これから幸せになれるようにしてあげたいと思ってるんだ。リシアさんの両親は病気にかかっていたよね? だから治せるかどうか分からないけれどもリリスちゃんの魔法薬があれば何とかなるかもしれないんだ。そのために今日はここに泊まることになったんだけどリシアさんは俺達が泊まるはずだった部屋の方へ来てもらえるかな? そっちは、ちょっと特別製になっていてさ、リリスちゃんの魔法が効きやすくなる部屋なんだ」

こう言ってから俺とリシアさんとユイとアリシアの4人で同じ建物にあるリリスの母親のいる場所に向かった。

「初めまして。ユートの妹で、この国の第三王女をしておりますリリスと言います。リシア姉様ですね? 話は聞いておりますが、まずは少しお体を拝見させてください。もし良ければお兄様とお二人で話がしたいことがあるのです」

俺達4人が部屋に入るとアリシアよりも小柄な体躯で金髪の長い髪が特徴的な美少女が突然現れてリシアと話始めたのだ。アリシアも驚いた表情をしていたのであるがそのアリシアが言った。

「あら、リリスちゃんじゃない。元気そうにしていて良かったわ」

「アリシアさんの方も元気そうで良かったのじゃ。リリスはリシアと話をするのでお兄ちゃんとユイさんは隣の部屋を使っていいのじゃ」

「分かった。ユイ、行こうか」

俺がユイに声をかけてから、この場を離れようとしたのだが、そこでユイから話しかけられたのである。

「待っておにーちゃ。あの娘は誰なの?」

「あれか、俺の妹でな名前はリリアナって言うんだ。それとな、このラティス王国の第3皇女なんだけど今は俺の従者兼、俺の家族みたいな感じになっている娘なんだ」

「妹さんなの? 凄く綺麗な人なのね。それに私も、こんな綺麗なお洋服を着たらリリスちゃんみたいになるかしら」

「はっは、リリスはリリスでユイはユイの良さがあって良いんじゃねぇのかな。とりあえず俺達は隣に行こっか」

俺とアリシアはユイの言葉に対して適当に答えておいて隣室に移動したのであった。

俺とアリシアが、こちら側の部屋の扉を開くと既にリシアと小さな少女の会話は終わりかけていた。そしてアリシアと顔を合わせた瞬間に二人は抱き合っていたのであった。そして二人と別れた俺は、そのあとアリシアと夕食を食べて就寝することにしたのであった。

次の日の朝に俺が目が覚めると横には俺の身体を抱きしめている美しい女性が寝ていた。

「ユイちゃん、まだ寝ているから静かにしないと起きてしまうの」

ユイの声がしたので横を見ると俺を見ているリリスの顔が見えたので、俺と目線を合わせるためなのか上体を軽く起こしていた。

「ああ、すまないなユイが、いつも俺より早く起きるものだからな」

「ううん、そんなこと無いもん。たまにお昼くらいまで寝てる時だってあるもの。それよりも、ユーマくんは昨日も遅かったの?」

「そうだな。色々とあって遅くなったかな」

俺は昨日の夜の出来事を思い出しながら返事をしていた。その時には既にユイは目を覚ましており俺達の様子を見て微笑んでいたので俺はユイに挨拶をしたのであった。

俺とユイの目の前にいる女性の名前は、ユイの母親であるアリッサとリリスの父親の幼馴染みで親友だった人物だったのだ。だがリリスの父親に命を助けてもらったことから、そのリリスの父親と恋に落ちてしまい結婚したのだ。リリスの父親と結婚した後も彼女は騎士として戦い続けていたが夫が亡くなった後に彼女は騎士を止めていたのだ。だが、その後すぐに病魔に襲われたことで彼女は長く生きられる状態では無く、その事を知った彼女の両親が、どうしても彼女と過ごした日々を忘れないためにも、また思い出を残すためにも彼女の亡骸と残された時間を過ごしたのである。

それから数日後にリリスの父親と母親も病死してしまうと、リリスが彼女から譲り受けた遺産を使って宿屋を経営しており、そこに俺がやって来たということだ。

「それでさ、リリスが受け継いだ遺産の金額はどれぐらいなんだ? 」

「えっとね、リリアナちゃんが教えてくれたんだけど大金貨で10億枚以上もあるんだって」

「マジで、それは予想外だ。それだけあれば十分にやっていけるだろ。だけど何だ、それだと俺は必要なかったかも知れねえけどリリアナは、これからの生活資金が必要になってくるだろ? 何か欲しいものとかないのか? 」

俺がリリスに聞くと少し悩んだあと、俺の方に向き直してから彼女は俺の事を抱き寄せてから俺の目を見て言ってきたのであった。

「リリアナが、ずっと前から思っていたことがあるんですが。今ならお願いしてもいいですか? 」

「ん、お願いしてみてごらん。どんな事であってもリリスの為なら叶えてあげるよ。それが家族というものだからな」

俺の話を聞いた彼女は俺の事をベッドに押し倒して俺の上に乗ってきて耳元で囁いてきたのである。

「ありがとうございます。リリアナがお願いする内容は、たった一つだけです。どうか私を幸せにして下さい。私はユーマさんのことが大好きです」

リアリスからの告白を聞いた俺は彼女に答えるべく優しく口づけをしてお互いの心を伝え合うことにした。そして暫くするとリシアとリリスの母親が俺達の部屋に入ってきた。どうやら朝食の準備が出来たので俺を呼びに来たらしい。そこでリリスが、ふと疑問を抱いたようであり俺とリシアに向かって言ったのである。

「お母様とお父様も、いつの間に仲良くなっていたの? それにしてもユーマさんは、とても女性の扱いに慣れておいでのようだ」

「はっは、そりゃなぁ。俺は異世界から来たって事は言っただろ? だから当然、女の子との付き合い方を、しっかりと身に付けないといけないんだよ。それにさ俺には恋人がいたんだよ。その人はもう居なくなってしまったけどな。それでも他の女にモテるようにならないと、あの人に悪いからな」そう言うなり俺の恋人のことを知らないであろうリアナ以外の女性陣全員の表情が凍りついた。その表情のまま、リリスが聞いてきたのだ。

「リ、リリスとリシアはユーマ君のことが好き! 」

「あはは、いきなりだね。俺も君達三人のことは嫌いではないよ。特にリリスの事は大切に思っているつもりだよ」

俺の答えに対してユイが笑顔で話しかけてきた。

「私はユーマ君のこと好きだよ。リリスちゃんよりも好きかもしれないもの」

そんなユイの言葉を聞いたリリスとリシアも俺をジッと見てきた。

「うーむ、おにいちゃんが皆に好かれていてリリスは幸せ者なのじゃ」

「いやまて、アリシアは何とも思わないのか? 」

「アリシアはユーマのこと大好きなのじゃから別に良いのじゃ」

(いや、お前の好意の伝え方は普通じゃない気がするんだけどな)

心の中でそう思ったものの口に出すわけにはいかないのでリリスとリシアに話を振ったのである。

「リリス、俺ってハーレムを作ろうとしているような節があるんだけど大丈夫か? 俺って、そういうの気にしない質なんだ。まあ、これからはリニスのことも大事にするから、よろしくな」

俺の話を聞いてリシアとリリスは、少しだけ驚いた様子を見せていた。リリスの場合は自分の母親のことなので理解しているのだと思うがリシアに関しては、よく分かっていないだろうなと思った。俺が二人の反応について考えていたところリリスが自分のことを話してくれた。

「お兄様は昔からお優しかったのですよ。困っていた人達に手を差し伸べてあげていたんです」

「そ、そうなんだ。優しいお兄ちゃんだったのね」

「お兄様はとても格好良いので色々な方から言い寄られていましいたの。その度にリリスのお母様に、お説教をされていたのです」

「そうだったのね。それでリリスちゃんは、そのお姉さんとは会ってみたかったわ。お世話になった人の家族ならお会いしたいわよね。それで、あなた達が会ったっていうリリアナさんというのはどんな感じの女性なのかしら? 」

「えーっとですね、まずリリアナ姉様と初めて出会ったのはリリスが産まれてから1年後なのです。それでその時にお婆さんとお爺さんからリリアナちゃんは託されました。ちなみに、お二人はお亡くなりになっています。リリアナちゃんに聞いたお話では亡くなった時に、お二人が残した物を全てリリアナちゃんに託したという事でしたので。私も詳しくは知りませんが、お城の方ではリリアナちゃんに遺産を全部あげたみたいになっているみたいでリリスは本当に凄いなと思います。私には到底真似できそうもないです」

「なるほどね。ところでリリスちゃん、ユート君はリシアと二人で何処かに行ってしまったけど貴方は行かなくて良かったの?」アリシアが、そんな質問をリリスにするとリリスは俺と二人っきりの時間を邪魔されるのが嫌だったのか、それについては否定をした。そのリリスの様子を見かねたのかユイは俺が寝ているベットに横になるとユイが抱きついてきて言ったのである。

「ユイはおにいちゃんと、二人っきりの方が良いの。お姉ちゃんも甘えても良いのよ」

そのユイの発言にリリスとリリアナも反応をしていた。そして何故かリリアナまでもが、こっちの部屋にやって来たのであった。

そして俺はリリスと一緒に宿屋から外に出ると街の中を見回っていたのだ。リリスから色々と説明を受けていたのだが、その際にリリアナが言ってきた内容で、俺は頭を抱えたくなってしまった。それは「勇者様、この国にいる間はリリアナが何でもお申しつけ下さい」と言われたからである。リリスとリリアナから頼まれてしまった俺が、どのように行動しようかと考えていた時に声をかけられた。

「ユーマ殿、私も街に出てみたい。リリアナはユーマ殿の婚約者なのだ。だから、リリアナは私の義妹になる。その、だからリリアナの姉として、私にも気遣いという奴を見せて欲しいのだ」

そんなリリアナの様子を見て俺は仕方がないと思いつつリリアナに確認することにした。

「リリアナ、一応聞くが俺に何をして欲しいんだ? 」

「ああ、それなんだが、リリアナの事は名前呼びで頼む。リリスやリシアと同じようにリリアナと呼び捨てにしてくれないだろうか? 」

「それくらいなら問題はない。ただ俺と二人っきりの時だけな。あまり大勢のいる時にはリリアナと呼ぶようにする。それと、これから行く場所は市場だ。リリアナには俺と一緒で店番をしてもらうからな」

俺は、リリアナを連れて行くのは決定事項だったので一緒に市場にやって来たのである。だが俺の考えとは全く違う展開が待っているのである。俺は最初は店に客がいない事を確認してからリリアナを連れてきて商品の補充をするつもりだった。だけど俺はリリアナを連れ出したあとすぐに店のドアを閉めて、そこから動かなかったのである。すると直ぐに一人の男性が現れた。だが俺達は彼に近づかないことにした。理由は簡単で彼の周りに護衛と思われる者達が集まってきていたからだ。

「おいおいおい、そこのあんちゃん、その娘は俺達に売ってもらいたいな。幾らなら買ってくれるんだ? 」

(いやいや、お前らみたいな奴らに大事な人を売れねえよ。というよりリリアナの顔を見た瞬間に俺の方に殺気が飛んできたぞ)

そんな事を思いながらもリリアナを守る為に一歩前に踏み出して、なるべく刺激しないように丁寧に答えたのだ。

「リシアの父親である領主からは、ここに来ている間だけでもリリアナの事を任せてくれないかと言われています。そして、ここに来た目的の一つでもあるんですよ。ですから彼女に手を出そうとするのならば、容赦はしないです。俺も彼女との時間は大事にしたいと思ってますので。それでも彼女に危害を加えるつもりであるならば俺が相手になりましょう」

俺の言葉にリリアナは顔を赤くしていたけれどリシアとリシアの父親は驚きを見せていた。何故なら今まではリシアと俺が喋っていると必ず割り込んできたのが今回に限っては何も言わなかったのだ。リシアの父親と俺はお互いにアイコンタクトを取って何かあったのかを確認しようとしていたのだった。俺はリシアの父親の考えている事が分かると思っていたのだ。

リシアと俺は目を合わせたままお互いの意思の確認を行っていたのであった。そしてお互いの意志が一致したことを確認するなりリシアの父親は、こんな提案を出してきたのだった。

「なぁ、あんちゃんよぉ。そのリリアナちゃんを譲ってもらえねえかなぁ? 俺達にはどうしてもリリス姫様と結婚しなくちゃいけない理由があってなぁ。まぁ、簡単に言えば俺とリシアの母親は奴隷商の娘だったんだよ。まあ今は違うけどな。それでさ、今俺達が暮らしている場所じゃあ奴隷を雇っているんだ。でさ、どうだ俺達が雇っている人達よりも可愛いだろ? それで俺達の母親が昔お城にいた頃にリリス様が産まれたんだ。そんで母親から話を聞いた王様はリリス様の事を溺愛してしまってよ。リリス様が結婚するまでの期間までリシア様は自由に過ごさせてもらえるようになったんだ。そこで、もしもリリス様に恋人ができた時はリリス様の結婚相手が決まるまではリリアナちゃんを貸してもらうことになっているってわけなのさ」

そんなリシアのお父さんの言葉を聞いて俺の中でリリアナとの時間が削られていくのを嫌だと感じるのと同時に、これは使えると思ったのである。なぜなら、リリアナを手に入れることができれば、リリスの機嫌を取るために時間を使ってあげるだけでリリスの両親からの頼みも叶えてやることができると考えたからである。

「な、なんですって!? お父様とお母様は私を、からかっているのではないでしょうか? 」

俺とリシアの父親の間に割って入るように、いきなりリリスが登場したのだ。リシアはと言うと何故か嬉しそうにしているのだ。リリアナに至っては何が起きているのか分からないといった感じで呆然としているようであった。

「リシアちゃん、お城の方には、あなたがユーマ君の事を好きだということを伝えておいたので安心してくれていいわ。それにリリスの婚約者として迎えてくれることも了承を得たわ。だから、これからよろしくね」

リシアの母親からリリスが俺に好意を寄せている事を聞いて驚いた表情をしているのがリシアの父親とリリスのお母さんであった。ちなみに、リリスの両親はリリスとリシアを城に行かせることはしないでくれと言われていたらしく今回の話を断ろうとしていたのだが俺の話をリシアとリシアの父から聞いた後に納得したようである。そして俺は、リリスをリシアとリリアナがいる店番から離すことができた。だがリリスの気持ちを知ることができていないのに俺は、このまま自分の家に連れて行って良いのか悩んでしまった。すると突然、俺の前にリリスの母親がやって来たのである。

「あのね、私もね、本当はユートさんの所にお嫁に行きたかったのよ。でもねリリアナちゃんに幸せになって欲しいと思っているから、この場では反対しなかったの。私はあなたと一緒なら幸せだと思うのよ。それでユートさんに聞きたいことがあるんだけど、あなたにお任せすれば、リリアナちゃんを幸せにしてくれる? 」

リリスの母親の問いに答えるべく俺は大きく息を吸い込んでから力強く言い放った。

「ええ、俺がリリアナに笑顔を与えてあげます」

「そうですか。分かりました、ユートさんを信じます。これからもリリアナちゃんの事をお願いしますね。ユートさんの所で働かせる場合はリリアナちゃんが望んでいる事を最優先に考えて、そして出来ることならばリリアナちゃんに自由をあげて下さい。これが私からのお願いです」

そんな言葉を残しながらリリスの母親は俺とリリアナに背中を向けたのである。

リリスのお母さんと別れた後、俺達は俺の家に戻るために移動し始めていた。リシアとリシアのお父さんが護衛をして俺達は歩いていた。そして俺が先頭に立ってリリアナとリシアの二人の女性陣に挟まれている形となっていた。そして俺は後ろを警戒していた。すると、俺のすぐ後ろに護衛の一人が来たかと思うと小声で話してきたのである。

「勇者殿、私もお慕い申し上げております。そして出来得る限りの事をさせてもらいますので宜しく御願い致します」

その言葉を言われた俺は、思わず振り向いてしまい護衛の男性を見ていたのだ。すると男性はとても恥ずかしいのか頬を赤らめていた。それを見た俺はリシアの父親に声をかけることにした。するとリシアの父親が少し離れたところで止まっていた俺達の所に来てくれたのである。

「ユーマ殿は人気者だな。しかし護衛を信用していないのかい? ユーマ殿が、私の護衛を警戒する事はないと思うのだが? 」

「まあそうなんですが、万が一という事も考えられますので、用心のためにやっているんですよ」

俺の言葉を聞いたリシアの父親は、俺に微笑みかけてきて言った。

「なるほど、それは失礼なことをしたな。ただリリアナ嬢が狙われないように気をつけるのも大事なことだとは思うぞ。まあ私の命に変えても二人に危害が及ぶことはないのだろう。それでもリリアナ嬢は、リシアと違って女性だから心配になるんだな」

「はい、なので、これからは気をつけていきます。それじゃあ行きましょう」

俺達はそんな話をした後に家に戻ってきた。

家に入ると、俺はまず初めに二人に聞いてみたのだ。俺は、リシアとリリアナが俺と一緒に暮らしたいという意思を持っているかどうかを確認したかったからである。だが二人共すぐに俺についてきたいと意思表示をしてくれた。俺はその事に凄く感動してしまい、リリアナを抱きしめてしまったのである。リシアはそんなリリアナに嫉妬して自分も俺に抱きついてきたのであった。

俺達は、俺の部屋で一緒に暮らすことになり、その日は皆んなで夕食を取った。

そして俺は、明日からの事を考えていた。そして俺の家に三人分の家具を用意しなくてはいけなかった。リシアとリリアナはまだ小さいのでそれぞれ子供部屋と大人用の寝室を分けたいと思っていたのであった。

(だけど、ベッドのサイズを合わせるのって大変なんだよな。それに布団のシーツやカバーだって新しく買わなくちゃいけない。とりあえず明日になったら店に行って相談しよう)

「リシアはリリアナを手伝ってもらっても良いかな? 俺はすぐに新しい家具を用意するから。リリアナはリシアの言うことをちゃんと聞くんだよ。もしリシアがリリアナの面倒を見ないようなら、リシアを俺が引き取ることになるからな」

俺が真剣にそういうとリシアは慌ててリリアナの元に走っていったのだ。俺はリシアがちゃんと動いてくれたことに安心する。そして俺はすぐに買い物に向かうのであった。

リリアナとリシアの姉妹は仲良くお風呂に入っているようであった。リシアがお姉さんらしく妹のリリアナのお世話をしていた。だがお湯を汲みに行った時などに、姉妹喧嘩をする場面もあったのだ。その時の二人の会話の内容を聞く限りでは、リシアの方が妹より俺のことを好きらしいのである。それを聞いていたリリアナは俺を取られると思いリシアと口論になりかけたようだ。

「もう、お姉ちゃんしつこいよ。ユーマ兄さんとリリアナさんはお似合いだし、絶対に二人は結ばれないとだめなんだから」

「うーん、確かにそうかも知れませんけど。お父様からリリス姫様の婚約者になると聞いているのですよ。それに、まだユーマ君は十五歳で成人にもなっていないじゃないですか」

リシアの発言を聞いて俺と年齢的に釣り合っていないと言いたかったんだろうなぁと思ったのだ。まあ俺としては、リリアナ以外の女と結婚するつもりは全くないのだが、どうやらこの世界の感覚だとリリアナの年齢が俺と離れているため無理だと思ったようである。俺の外見はこの世界では幼くて弱々しい少年に見えるのだそうだ。だからリリアナを俺に近づけさせるには俺が強者でなくてはならないと父親達からは思われているようである。だからこの世界では俺は守るべき存在であるため、誰も彼に手を出すつもりはなかったようである。

(うーん、この世界に召喚されて良かったのかどうかは微妙な気がするな。リリスと会うまで俺はリリスのことを忘れていたし、何より今の時点でも、リリスの気持ちを確認できていない。そもそも俺は元の世界で何をしてたんだっけ? 何か大切な事をしなければいけないはずだったはずなのに思い出せないなぁ。確かゲームをやっていた記憶はあるんだけど)

俺が一人で考えているとリシアはいつの間にか自分の部屋に戻り眠ったようで、リリアナだけがリビングに残っていた。

「ユーマ様。お一人だけ仲間外れみたいになって寂しいです」

リリアナのその言葉を聞いて俺は嬉しかった。なぜなら彼女は俺の事を気にかけていたからだ。

「そっか、ごめんな。ちょっと考えていただけだから。リシアのことはリシアが寝てからまた考えよう。リリアナもリシアが起きている時には言いにくいだろうからね」

俺が笑顔で話すとリリアナは顔を赤くしたのだが、リシアがいなくなった事を確認してから俺に抱きついてきて俺を見上げながら言ったのだ。

「ありがとうございます。でも私は、私にとって一番大事にしなければならないのがユーマ様なのです。ですから私は、例えリシアさんに嫌われる事になろうとも、ユーマ様の側に居続けますからね」

俺は、そう言ってくれるリリアナに感激していた。

そして次の日、俺達は、家具屋に行こうとした時に家の前に馬車が来た。その御者は昨日、リリスの護衛に着いていた人であった。彼はリシアの父が雇っている護衛であり、この家の護衛の責任者でもあるので当然の事だが、彼が迎えに来てしまった事で俺は苦笑いを浮かべるしかできなかったのである。俺は仕方なくリシアの父親と話し合いに行くことにした。そしてリシアとリリアナに店番を任せて外に出ると、御者が話しかけてきた。ちなみにリシアの父親もこの店の店員の一人であるため店番をしている。そのせいかリシアの父親は何も言ってくる事がなかった。

「おはよう、ユーマ殿、お嬢様達が君との同行を望んでいてな、私が責任を持って護衛をさせていただくことになった」

俺が挨拶すると彼はそんな事を告げたのである。

「それは嬉しいですね、ただ護衛が必要な時はこちらが呼び出す形にしたいんですがいいですか? あと俺の名前はユウトではなくユイと呼んで欲しいです」

俺がそういうとなぜか彼は固まっていた。俺の名前に驚いているのかと思ったのでもう一度名前を呼んでみることにした。

「ユ、ユート様。申し訳ありません。ですが私どもの雇い主の娘様にそのような馴れ馴れしくするのはどうかと思いますが」

俺が首を傾げていると、馬車の扉が開いて一人の男性が降りて来たのである。その男は金髪の優男という感じの見た目でかなりの美男子だった。年齢は二十代後半ぐらいのように見える。俺はそんな男がなぜ自分を見て固まるのか不思議に思いながらも自己紹介をすることにした。

「初めまして、リリス姫の婚約相手として指名された如月祐真といいます。これから宜しくお願いします。えっと、そちらはどちらさまでしょうか? 」

俺は初対面なのでまずはお互いに名前を知っておいた方が良いと思い、彼の名を訪ねてみた。

すると男は慌てて名乗り出てくれたのだ。

「あっ、すまない、私はアルバン=ヘルシングという、ユーゴ=ヘルシング男爵の執事長を務めているものだ。これからは君の護衛を担当させてもらう事になったので宜しく頼む」

俺はその名前を聞いたときに疑問を感じたので思わず口を挟んでしまった。すると彼も驚いた表情をして俺の方を向いていたのである。

「あの、すいません。一つ質問があるんですが? なんで執事長が護衛をしているんですかね? 」

俺の言葉に目の前の男性は困ったような顔をしていたがすぐに説明をしてくれたのである。

「私共の家は、代々伯爵家で仕えている家系なのだが、ユーゴ様は爵位を金で買われた方なのですよ。ユーゴは爵位を売らないといけなくなるほど困窮している家の人間を奴隷のように働かせ、借金漬けにして破産に追い込んだ挙句に、財産を奪って逃げ回っている悪党なのですが、その悪行に気が付いた私と妻が必死に探していたところユート殿が現れ、ユーヤが助けてくれました。それでお嬢様達もお会いになり気に入られてしまったんですよ。ですが私と妻は貴族に顔が利くため、ユート様をリリス姫に会わせるために色々と画策しており、その途中で、ユーゴの悪事の証拠が見つかってしまうのは良くないと考えユーゴを捕縛して連れ帰る事にしたんですよ。そして今は、ユーゴの処刑の準備を進めている最中でして。ユーマさんにはユーゴのせいで大変な思いをさせて本当にすいませんでした。そして改めて謝罪をさせていただきたい」

「あーそうなんだ。別に俺はそこまで気にしてないので安心してください。それより、ユーマじゃなくてユイでお願いできませんかね? 」

「はっ、はい。畏まりました。それと、私のことはお気軽にザイルと読んでください。それではユーコ様、行きましょう」

「わかりました。よろしくお願いします」

そうして俺は二人に頭を下げて見送ったのであった。

それから俺は家具屋に向かって買い物を済ませた。その後は二人を連れてリリスの屋敷にやって来た。リシアが俺達の事を覚えていたのですぐに応接室に通された。そしてそこに現れたのは、美しい銀髪の美人なお姉さんがいたのである。

リリスを見た瞬間に俺の体に電撃が走ったような感覚に陥ったのは、おそらく彼女の容姿と醸し出している雰囲気の美しさがあまりにも魅力的すぎたからであろう。リリスの年齢は、十歳程だと思われるが俺よりも遥かに大人びた印象を与える女性であった。

(うぉーー!! 何これ?! めちゃくちゃ可愛いんですけど。やべーぞこれは反則すぎる。こんな子に告白されて落ちないやつとかいないだろ)

俺はあまりの可愛さに言葉を失っていると、彼女が俺に微笑んできた。俺がその笑みに完全に心を奪われていると突然リリスがリシアに飛びついて行ったのだ。

そして、リシアはいきなりのことに驚き、リリスを受け止めた時にバランスを崩してしまい後ろに倒れてしまったのである。それをリリスとリシアの姉妹のやり取りだと思いほのぼのしながら見ていると二人はそのまま取っ組み合いを始めたのであった。俺はそれを見ていたらだんだんイライラが収まらなくなり二人の間に入って引き剥がそうとしたのだが二人は俺のことを敵だと認識し始め、リリアナとリシアも加わり四人の大喧嘩になったのである。その結果──俺達五人は部屋の外に投げ出された。そこで、俺たちはリシアに説教をする事になったのだ。だが彼女は俺の話など一切聞かず逆切れし始めたため俺は少しだけムカついたため彼女を殴り飛ばし気絶させた。

(まあ、俺が殴った事は内緒にしとくか。だってこの子が悪いもんな)

そしてその騒ぎを聞きつけた屋敷の使用人たちが部屋に入り込み事態を把握したのでリリスの父と母は、使用人に連れられてどこかに行ってしまったのだ。そしてその後からリシアの父が部屋に戻って来たのである。俺は、彼にリシアが気絶した経緯を説明したところ納得してもらえたが怒られてしまったので謝ったのである。そして彼はリシアを別室に移動させ看病するようにメイド達に命令をしたのであった。ちなみにリリアナはその様子を呆然と眺めていたが、俺と目が合うと彼女は慌てて視線を逸らす。

それから俺はリシアの両親の話を聞くことになったのであるが、リシアの父親も母親も貴族にしてはかなりの変わり者だということが分かったのだった。リシアと同じような黒髪の女性がリシアの母親のリーラ、茶髪の男性はリシアの父のユージだった。そんな彼らは、俺がリシアを助けた事を素直に喜び感謝の言葉をくれたのだ。ただ、リシアの両親は俺を気遣ってあまり俺に対して強く出られないようだったので俺の方から提案をしておいた。リシアに俺への態度を改めるように厳しく叱ってほしいと頼んでみたのだ。そしてリシアを叱る事を了承してくれていた。

だがリリスの父だけは渋々ではあるが俺の提案を承諾した。

その理由としては、リリスの母が彼のことを心配していたからだ。リシアとリリスの母親の年齢差を考えるとそのくらいの年の差はあるはずなので、もしかしたら彼がリリスの父だと気づいたリリスの母親の方は彼に自分の想いを打ち明けている可能性もあったからだ。だが、リリスはリシアの事が好きだったため彼女には嫌われたくないと、リシアの父を説得したのである。

そして俺は、今更ながらにリシアが言っていた「お父様は優しい人よ。それにすごく良いところもあるのだから。でも、たまに過保護すぎてウザイこともあるのよね」という言葉を思い出し、俺にとって一番大事な人が彼女だった場合は確かに、その父親の気持ちはよく分かるかもしれないと思ったのである。なぜなら俺にとっての最優先事項はユイの安全であるから、もしユイを危険に晒すことがあれば例え相手が悪くとも絶対に容赦しないつもりだ。そのため、ユイが嫌がることはしたくないため、できるだけ気をつけて行動しなければならない。ユイはきっと嫌だと言いそうだが、もしもユイが命を落とすようなことになれば俺は正気でいられる自信はない。そんな事を思い俺は、ため息を吐きだしたのだった。

俺は、ユイを一人残していくのが不安だったが、どうしても一人で行きたいというので渋々ながら送り出すことにした。ただ、念の為に護衛としてザイルをつけることにする。俺がいない間に何かあって、後悔する羽目になるよりかはマシだと思うので俺は、二人にそのように伝える。そして俺はユイとリシアが買い物に出かけるのを見送ったのである。

リリスの両親が俺にお茶とお菓子を出してくれたのである。その時、リリスの母の瞳が輝いていたように見えたが、多分気のせいだろうと俺は思い特に触れることはなかった。それからリリスは俺と話をしたそうにしていたがなぜかリシアと楽しげに話し込んでいたので放置する事にした。するとそこにアリサがやってきて俺に質問してきたので、俺は答えてあげた。

すると、彼女はなぜかニヤけているように見える。俺には意味が分からなかったのでスルーすることにしたのだ。するとリリスがリアナを呼びに行っていたようで彼女が部屋に現れたので挨拶を交わす。

「こんにちは。初めまして如月祐真です。これからよろしくお願いしますね」

俺はそう言うがリアナは反応しなかった。

もしかすると無視されたのかと思いもう一度声を掛けてみた。

「えっとリアナさん、俺の声聞こえてます? 」

俺が声をかけたことでやっと我に返った様子で俺の方を向いて口を開く。俺はリリスにも似たような対応をしていたのだがどうすれば良いのかわからないのとリシアに聞くのはなんか気が引けた為リリスに視線を向けると何故か顔を真っ赤にしてモジモジし始めてしまった。

(うぉー! めっちゃ可愛い。抱きしめたい)

リリスの反応を見て心の中で悶える俺、そしてリリスの方を見ているとリリスが恥ずかしげにチラッとこちらを見ていたのだ。俺は、その仕草があまりにも可愛かったので、つい抱きつきたくなってしまったが我慢して、なんとか心を落ち着かせることができたのである。

(危ない、可愛すぎる。なんでこの子達はこんなに可愛いんだよ)

「リリス、大丈夫? 」

俺は心配になってリリスに聞いてみると彼女はコクリと小さくうなずいた。それからしばらくして落ち着いたようだ。

「はい。もう大丈夫です。お姉ちゃん、お久しぶりですね」

リリスが俺に返事をしていると突然リアナに向かって笑顔で話しかける。俺は、二人の関係が分からないので不思議に思って見ているとリアナは、リリスに微笑むだけで何も喋らなかった。俺は、二人が知り合いなのだとは理解できたが、それ以上は何も言わないことにする。俺が考えている事が分かったのかリアナは苦笑いしている。

「リアナ、お客さんの前ではもっとしっかりしないとダメですよ」

リリスが困ったような表情で言うとリアナは慌てた様子だ。

それを見たリリスとリシアの二人はお互い顔を合わせてクスッと笑っている。俺もつられて笑うとなぜか俺を睨みつけてくるリアナがいた。

その後、リリスから詳しい話を聞いた俺は、なぜ彼女がリリスに冷たかったのかをリシアとリリスに教えてもらった。そして俺は納得したのである。俺にリリスを紹介するために声をかけてくれなかった事に不機嫌になってしまったというのだ。リリスが俺を案内してくれる際に俺の服をずっと引っ張っていた事も彼女の不満の原因になっていると聞いた。俺はそれを説明してくれたリリスの事を少し可愛いと思ってしまった。

リシアは俺に対してリリスとの接し方を変えて欲しいと言ってきた。だが、リリスはリシアのことを姉だと思っているため、今のままの方が仲が良く見えると説明するとリシアは納得してくれていた。リリスは、少し悲しそうな目をしていたが気にしないことにして俺は三人の話に耳を傾ける。

その後俺はリシアの部屋に呼ばれて一緒にリシアの作った夕食を食べさせて貰った。

それからはリシアにお風呂に入れて貰いベッドまで連れて行ってもらうと、疲れた俺はすぐに眠りについてしまう。そして俺は翌朝、目を覚ますとそこには見知らぬ天井があったのである。

俺はまだ覚醒しきっていない頭を使って考えると自分が寝坊してしまったことに気づく。

(ヤバイ!!)そう思うと勢いよく起き上がったのだけど────目の前に綺麗なお姉さんの裸体があり思考が止まる。その人は俺が起きていることに驚いたようだったが、すぐに笑みを浮かべたのだ。

その笑みがまた破壊的に美しくて俺は固まってしまった。俺はそんな美しい女性が服を着ようとしている様子を見ながら見惚れていたのである。

(あれ?確か昨日リシアと一緒に眠ったはずなんだけど。もしかして、この女性にリシアと間違われて連れてこられたのかな?)俺がそんな事を思っているとリシアが入ってきたのでホッとした。彼女はなぜかとても怒った顔をしていたのである。

「ちょっと祐真、あんまりジロジロ見るんじゃありませんよ!」リシアが怒り出した。

だがリリスはその様子がおかしいことに気づいたようで俺の顔を見ながら口を開いた。

「お兄様、お久しぶりです」彼女は嬉しそうに俺の事を呼んでくれる。

「あぁ、おひさし──」俺がそう言おうとしたところで今度は背後から凄まじく怒気を纏わせた声が聞こえたので振り向く。するとそこに居たのは俺が知っている人物だったのだ。その少女がこちらを見るといきなり剣を抜いて斬りかかってくるので反射的に俺は魔法障壁を展開し防いだのだ。俺は、彼女が持っている魔導具が危険なものだと感じたので俺は即座にその場から離れたのだがその判断は正しかったようである。俺は冷や汗を流していた。

なぜなら、彼女が振るった一撃があまりに重く、まるでハンマーで殴られたような衝撃を受けたからである。もしまともに喰らえば骨の数本は持っていかれていたかもしれないほど強烈なものであった。俺は彼女に危険を感じたので攻撃に転じようと構えたがそこで違和感を感じる。

(えっ!? 何で彼女がここにいるんだ? だって彼女の名前は────)

俺がそんな事を考えていたせいで隙ができたせいかリシアが大声で叫んだ。

「どうしてあなたが、ユウマを斬ろうとしていたのよ! その人を殺す気だったわけ?」

「いい加減にしなさいよ! そいつのせいでリリスは、私の大事な娘は死にかけたのよ」

「ふざけないでください。あの時は、私も油断していましたが、リリスが死にかけるような事は絶対にありませんでした」

「それは、貴女が弱かったからでしょう。それに、その男は人間ではないのかもしれないわ。魔王の配下だった可能性もあるのだから警戒して当然でしょ」

「なんですって」リシアが激怒しているようで目がつり上がっていた。

(おいおい、このままだと喧嘩になるぞ)俺は、内心でかなり焦っていたがリシアが先に動いたのだ。そして、彼女が手を振るったのである。俺は彼女が一体何をしようとしているのか一瞬分からなかったが、すぐに俺達の周りに無数の氷柱が現れた事で俺は危険を感じて二人を風魔法の防御で包んだのである。

俺が、二人のことを守りきると、俺が先程立っていた場所に、氷柱が突き刺さった。俺はそれをみて唖然としていたがすぐに二人を安全なところに避難させる。そして俺が元の場所に戻るとすでにそこには彼女の姿がなかったのである。俺が辺りを探そうとしたが、その前に後ろから誰かに抱きしめられると、その女性は俺に話しかけてきた。

「やっと捕まえました。私の愛しい方」その女性はとても幸せそうな声音でそう言うのである。俺は驚いて彼女を凝視したのだ。その女性は銀色の長い髪に白い肌をしており瞳が赤い色をしていたのである。

俺は彼女に見覚えがあった。そう、彼女はリリスの姉であるリアナであった。俺は彼女がなぜこの部屋に来たのか分からないがとりあえず落ち着かせるために彼女の名前を呼んだのである。

「リアナさん」

俺の言葉を聞いて彼女が微笑む。俺はその仕草にドキッとしてしまう。

彼女は俺が名前を知っていた事に驚くこともなくただ黙っていた。俺はこの部屋の状況を把握するとまずはリリスに事情を説明してからこの国について質問する事にした。

リリスに俺の事を説明すると何故か嬉しそうにしている様子だった。それから俺は、リシアとアリサにも同じ様に説明をして、みんなでリリスのお店に向かったのである。ちなみにリアナの件に関しては彼女から話を聞けば良いので後回しにしていた。そしてリリスと俺が店の中に入ると既にお客が来ていて俺達が入って来ると驚いた顔をしながらこちらを見ていたのである。そしてそのお客は、リリスと顔見知りのようで笑顔になると俺達の方に近づいて来た。その人物は俺より一回りくらい大きい体つきをしていて背筋がピンッと伸びている人だった。

俺とリリス、そしてリシアの三人はその人物が近づいてきた時、この人が誰なのか予想がついた。俺がその人物に声をかけようとするとリアナが突然俺に腕を組んできて甘えるように上目遣いで話しかけてくる。

「ねぇ~ゆうま、早く行こう」彼女はそんな甘い口調で言うのだ。

(いやいやまて、お前誰だよ)と俺は思わず叫びそうになったが我慢する。だが、俺の表情にはしっかりと出てしまっていてリシアとアリサとリリスの三人が不機嫌そうな表情になっていた。

俺は仕方なく彼女のことをリリスの知り合いの人だと説明しながら店内に入ったのである。それから、俺達は奥にある個室に移動する。そしてそこで俺はリシアに聞いたのだった。

(ここってリリスの実家じゃないの?)俺は疑問に思った事を聞く。

(違いますけど? ゆうまが知らないということはやっぱりあの子は、この国にはいなかったという証拠ね)リシアがなぜか勝ち誇ったような顔をしながら俺に説明してくれた。俺はそれを聞きながら納得したのである。なぜなら俺は、ダンジョンを攻略した際に、マップ画面に表示される範囲外にも街があるという表示があったのだ。それが、リシアが言ったとおり別の国なら辻妻があってしまうのだ。リシアとアリサの説明ではその国は、『アルデランド帝国』と呼ばれていてその国を治める皇帝は『アデルバード四世』と言うそうだ。この帝国の国王が、どうも俺と同じ転生者で転移者らしい。その話の中で俺は興味を持ったことがある。それは、この世界で勇者召喚の儀式は、もう行われなくなっているようだが、代わりに、神からの加護によって選ばれた者に特別な力を与える『スキルシステム』、『聖属性適性』『光魔法適 性』『アイテムボックス』が、与えられるのだという事だ。他にも、レベルが上がりやすく経験値も大量に獲得できるため成長が早いということ。後はステータスの成長速度が異常に早い事も教えてくれた。

だがこれは全て俺の仮説なので本当の事は分かっていない。

(そう言えば、リリスを助けたときに使った魔法だけどあれなんなんだ?)

「あの、僕が使っていたあの魔法ですけど、リリスを助ける時に使用したんですけど何なのでしょうか?」俺は思い切って聞いてみた。

「ああ、あの不思議な力はあなたが持つ特殊な能力の一部です」

「僕の持つ、特殊ですか?それは一体どういう?」俺は聞きたいことがありすぎて逆に聞くことができなかった。

「それはですね。あなたのもつ固有能力は、アイテムストレージ、鑑定解析、回復魔法治癒、状態維持、身体強化の5つです。あなたは、この世界にたった一人しかいない存在であり特別な能力を使えるのです」

「その5つが、僕の持つ力、ですか?」

俺は自分の持っている能力がこの世界に来て役に立つのかと思ったのだ。

この世界の事をほとんど知らずこの世界を生きていくうえで必要な事を知らないのだから。

俺はリシアの店でお茶を飲みながら休憩すると外に出て、買い物をしてから帰ることにする。その道中、この国のことを聞くことができたのである。この国はリザルト皇国が治めているのだが、他の3つの国とは仲が悪く戦争を起こそうと画策しているようだ。俺の推測だが多分、魔鉱石の鉱脈を争っているのではないかと思う。それとリシアに確認したところ、この街の名前と国名が一致していたのである。

この街の名前は『セレスタイト』で国名が、このリサルク王国だ。俺はこの2つに関係性がないのかと思いリシアたちに尋ねてみるが答えはわからなかったのである。それから俺は宿に帰ることにしたのだ。その途中、俺の事をじっと見つめている少女がいる事に気がつくのだがその少女の視線は俺の胸あたりを見ていて俺は少し恥ずかしくなって顔を逸らしてしまったのである。

そしてその少女は、そのまま走って逃げていったのだ。その少女はリリスと同じくらいの年齢だと思うのだが俺はどうしてかその少女の顔を見た事があるような気がしたのだった。俺はそのことをリシア達に聞いてみようとしたが、リシアが不機嫌になってしまっていた。俺はその理由を聞こうとしたが結局リシアが俺の背中にくっついてしまったせいで話すことができず俺は困り果てる。

(リシアがここまで嫉妬深くなるなんて思わなかった)俺が内心でかなり焦っているとリリスが助け船を出してくれる。

(お姉ちゃん、ユウマが困ってるから離れてあげて)

(だってユウマと一緒にいたいんだもん)

(仕方ないなぁ。じゃあ、私が代わりに一緒に帰るからお姉ちゃんたちはゆっくりして行っていいよ)

(わかったわ)

こうして、なんとか危機は乗り越えたのであった。

俺はリサルクに戻ってくるといつもの喫茶店に足を向けたのである。リリスの話では今日は夕方まで店を開けているが今は昼過ぎのため誰もいないはずだ。そうして店に着くとやはり中には人影が見当たらずリシアたちが待っているだろうから俺は急いで扉を開ける。

「すみません。遅くなりました」

「いえ、私たちの方こそ突然押しかけてしまって申し訳ございませんでした」

「リシア様が、ユウマさんとお話しをしたがっていたようでしたから、私もついてきてしまいました」

「お久しぶりですねリシア様。まさかここでお会いできると思ってませんでした」俺は、嬉しそうな表情を浮かべるリリスに対して俺は内心驚いていたが平静を保つようにしていた。

「えぇ。本当におひさしぶりね。元気にしてた?」

「はい。リリスもお店を開いていましたので楽しく過しています」

「リリスがお店をしているのね。お店の名前を教えてもらえるかしら?」

「『ラフィーネ』といいます」

「『ラミネス』の、支店なのかしら?」

リシアが不思議そうな顔をしながら尋ねる。リリスはその言葉を聞いてすぐに質問に答える。

「うん。でもこのお店の店主はリリスで私は副業として経営してもらっているの」

「そう。そうなの」

リシアはそれを聞いて何か思うことがあったのか考え込む仕草をしていた。俺とアリサは、二人の話を聞いて会話に入ることができないでいたのである。そういえば俺は二人とも知り合いだという事に気づいたので改めて挨拶することにしたのだ。

「僕はユウマと言います。初めまして。この度、リリスさんと仲良くさせていただいています。それで、僕の事について話を聞きたいという事でしたよね?」俺はそう言うと二人が静かにうなずく。それからアリサは自己紹介をする。俺が名前を呼ぶと二人は、とても幸せそうに笑っていた。

そして俺はなぜリリスの姉であるリシアがこの店にやってきたのか質問をした。すると俺がこの国に来た目的を知りたかったらしく、また、なぜ俺に近づいたのかをリリスに聞いたのだということ。俺はそれを聞くと俺の事を調べていたことをリシアが説明する。その話を聞くと俺は、俺のことを調べられる能力をもっているのだろうかと思った。だがそのことは俺の中では重要ではないので俺はその件についてはスルーしておく。俺が聞きたいことは、俺の事を知っているのかという事だけだからだ。俺のその問いにはアリサが応えてくれて、俺が異世界人でこの国とは違うところからやってきた事と、そしてその俺をリシアが呼び出したのだという事も教えてくれた。だがそれはあくまで俺の能力によるものでリシアではないという事。

「僕をこの世界に召喚してくれた人がいるはずなんですけど。それが誰だかわかったりするのでしょうか?」俺はどうしても確認をしておきたかったので、俺の能力を知っていたと思われるリシアに聞くことにしたのだ。だが彼女は首を横に振って知らないと答えてしまう。そこで俺は、アリサがこの世界で転移や召還を行える人はもうすでに亡くなっている可能性があるという。

俺にはわからないが、この世界では、勇者や、勇者と同じ力を持つ者はもうほとんど残されていないのかもしれない。もしかしたら俺が、リリスを救ったときに使った魔法のように俺にしか使えない魔法もあるのかもしれないが俺には何もわからなかったのである。

リリス達は俺にリシアとアリサが知りたいことを話し始めた。

リシア達が、俺にこの国にやって来た理由を聞く。

そしてリシアとアリサは、この国の現状とこれから俺がこの国を出て行こうとしている事をリリスに伝えると俺は驚いた。

俺はこの国を、救える方法があるなら救いたいと思っている。そのためにはまず、俺の持つ固有能力の確認が必要という事だ。俺が持っているスキルの使い方次第ではこの国がどうなっていくか変わるかもしれないので俺も協力したいと思っていたのである。

だが、この世界は、俺にとって未知であり、リリス達に頼る以外に道がない。俺一人でこの世界を救うことができるのであればそれに越したことはないが、そんなことは不可能だろう。だからこそ、俺もこの世界で生きるために出来る事をやるしかないのだ。俺はまず、リシアの話を聞きながらリリスに質問する事にした。

(リリス。今この世界の状況を説明してもらえるかな?)

(いいけど難しいよ。だって、ここの国の名前はリサルクだけど元々はこの大陸が一つだけだったの)

(へぇーそうなんだ。じゃあさリリス達の暮らしていた国は何という名前だったの?その国は、どこにあるの?)

(えっとねぇ~。私も良くわからないの。確か、この国からずっと南に行った場所にあるの。この国はね、この大陸で唯一大きな街がある国なんだよ。名前はね、ラグーサ王国だった気がするんだけどね。リリスにもわかんないんだよぉ)リリスは少し考えるそぶりを見せたが諦めてしまったようだった。

リシアが俺が考えている事に気がつき話しかけてきた。

「あの、何か気になる事があるんですか?」

(えぇ、ちょっとこの世界について少し気になった事がありまして)

「気になったこと?」

(はい。その、どうして、魔王は倒されたのにこの国を攻めてくるのでしょう。この国は平和なのに。僕からすれば魔王を倒した勇者様が亡くなってしまったことよりもそのことが引っかかっています)

「確かにそれは、おかしいですね。でもそれは、ユウマさんのせいではなくてこの世界の理がそうさせてしまっているのです。私たちはこの世界に生まれた時から決められたことに従って生きなければなりません。ですが、その定めに逆らった者もおりますが」

リシアはそう言うと目を細めながら窓の外を見た。その目には一体何が見えているのだろう。俺はそう思ったがあえて口に出さなかった。

それから俺は、その国のことについて詳しく聞こうとした。だが、リリスが突然立ち上がり扉の方を指差すと、誰か来たみたいだよ。と言ってきたのである。俺はリリスが言う通りに店の外を覗いてみるが特に人の姿は見当たらなかった。

すると今度は店内に声が響いたのである。

『お前は誰なのだ?』

『ふっ、妾は魔獣王バジリスク様の使いのもの』

『その証拠はあるのかのぅ』

『もちろんありますとも。これを見るがよい!』

『こ、これは、我が主人からの手紙!?どうしてそれを、まさか貴様、魔王の関係者かっ!!』

『はっはっはっは!いかにも。我こそが魔王の右腕の者、名を──』

俺はそこまで聞いた瞬間に店から飛び出したのだ。なぜならその男は俺の名前を言おうとしていたからで、その男が敵なのではないかと警戒したのである。俺の目の前にいる男はとても不気味で目が赤く染まっていた。まるで魔物のようであるがその瞳の奥からは強い魔力を感じることができたのだ。俺が剣に手をかけると男は不敵に笑う。

『くくくく、やはり、貴様がユウマとやらじゃな』

「なぜ俺の名を知っている!」

俺は剣を抜き放つとその切先を相手に向けて牽制する。その瞬間俺は、背中に冷や汗が吹き出すような嫌な気配を感じた。その感覚は、この世界にきて何度も経験しているものだ。俺がそうして動けずいると、店の中から俺を呼びかける声が聞こえてきたのである。

『ユウマぁぁああ!!逃げてぇ!!!!』

リリスの声で我に返るとすぐに店の中に逃げ込んだのである。

そして扉の鍵を急いで閉めると店の中で待っていたみんなに声をかけた。するとすぐにアリサさんが俺を心配そうに見つめてくる。俺もアリサさんと同じように心配だったのでお互いに大丈夫だと伝えあう。俺はリシアに店の中に入るようにお願いをするが、なぜか入ってきてくれない。

「どうかしました?」

「あ、いえ、なんでもないですよ。それよりさっきの方たちは大丈夫なんですか?」

「はい。今は多分もういないと思います」

「そうなんですね。よかった」

リシアがほっとしたように胸を撫で下ろすと俺に向かってお礼を言う。

「ユウマさん、助けてくださりありがとうございました」

「いえ。でもどうしてこの店がわかったんでしょう」

「その事については私が答えますね」アリサはそういうと店の中を見渡すようにして俺たち全員を見て言ったのである。

「このお店のドアノブに仕掛けが施されているのが見えたんです。それに結界も張られていたんですよ。この店の前を通る人たちにはこの店の外観しか見えないようになっていましたし。そして私達が来た時には既に何者かがいた痕跡もありませんでしたのである意味正解なんじゃないかなって思いますけど」

(やっぱりそうか。あの時に店の外で何かが起きていたのはその結界のせいで感知することができなかったんだな)

俺がそう思ってうなずくと同時にリリスが話を始める。リリスはこの店を守る為に、この店に入るためには店の前に立つ必要があることを皆に説明をしたのだ。

それからリシアは店に入ってくれなかったがリリスが、この店でユウマと一緒にご飯を食べたいという提案をすると店に入ってくれたのである。そしてその日からリリスは店をリシアに任せるとリシアについていくようになり俺とアリサが二人きりになる時間が増えた。俺は、アリサさんと色々なことを話すとこの世界に来て初めて自分の置かれている状況を知ることになったのであった。


* * *

リリスが店を離れている間にリシアがアリサと二人きりになるとリシアは俺についてアリサに質問を始めた。リシアも、なぜ俺に近づいてきたのかわからなかったらしいのだがアリサが教えてくれるという事で二人は話し始めてくれたのである。そしてリシアが、リリスの話を俺にするということはどういう意図があったのだろうか。リリスが、俺に助けを求めたのは間違いないという事だとしてもリシアにどんな得があったというのだろうか。だが俺は、まだ、自分がなぜこの世界に呼ばれたのかもわからないのでリシアには、この話は黙って聞くことにしようと思う。もしかしたら何かしらの情報を得られるかもしれない。そう思っていたからだ。それにしてもアリサがこの国の名前と魔王のことを知っていたことが気になって仕方がなかったのである。

(もしかしてアリサさんはこの国の出身なのかな?)

リシアに質問されたアリサはこの世界の歴史について語り始めた。この世界は元々一つの大きな大陸だけが存在していてそれ以外の土地は全て海だったという。そしてその大きな大陸は『アースランド大陸』と呼ばれているらしい。その大きな大陸の中心に存在していたのがラグーザ帝国で、その皇帝である皇帝は魔族との繋がりを持っているという噂が流れていたそうだ。

(へぇーそうなんだ。それでどうして魔王が現れたのかな)

「それはね。ある時突然現れちゃったの。でも、その頃はまだ魔族は小さな村を作ってひっそり暮らしてるだけで、その当時は特に脅威にもならなかったみたいなの。それが変わったのが魔王の右腕が姿を現してからよ。そいつが姿を見せてからこの国、ラグーザ帝国の人達がどんどんおかしくなっていった。だから私はその右腕を捕まえようとしたんだけど。そいつが姿を眩ませてしまったの。でもその後しばらくしてその腕の主と思われる奴が国中に呪いをかけたの。そしたら魔物が増えていって人間達を襲うようになっていったのよ」

(そうだったんだ)

それからはずっと魔物に脅かされてきたという話を聞いて俺はあることに気づいた。それは魔物達はこの大陸の外には出ないのだろうかと思ったのだ。

それから俺はこの世界に存在する種族についても聞いた。この世界にいるのは人族の他にも様々な人種が存在するようで、その中でも有名なのがエルフと呼ばれる者たちだというのだ。リシアはラグーサ王国の姫であるのにも関わらず、リリスと共に旅をして世界を回って来ているらしく俺の疑問にも詳しく答えることができるのだという事を教えてもらったのである。そしてリリスのことも聞いてみると彼女はこの世界に七人だけしかいない魔王の一人であるということだった。

(魔王は全部で八人いるのか。あとは、精霊王がいるみたいだけど魔王ほどではないみたいだな)

俺はこの世界の事を少しずつではあるが知っていっていたのだった。

(この世界の事はわかった。でも魔王のことに関してはまだまだわからない事が多いみたいだけど)

「そうね。確かにそうよね。でもユウマが魔王を倒してくれるって言うならこの国がまた元の姿に戻るのも時間の問題だと思うわ。あなたがこの世界に来たってことはそういう運命なんだもの」

「えっ?どういうこと?」

「だってユウマは選ばれたのよ。ユウマの力を覚醒させる為の世界救済イベントが、この国で起きたから。それが今の状況」

「はぁ」

(つまりは勇者召喚が行われたことによって俺のこの世界での目的は、この国で勇者として戦っていくことに変わったってことか。リリスは俺が勇者である事に確信をもっているみたいだが俺が、本当にこの国の勇者になれるんだろうか)

それからもしばらく、アリサから色々な話を聞くとこの店を出ることにしたのである。その時リリスがアリサに話しかける。

『今日は色々とありがとうございました。また来ても良いでしょうか?』

『はい。もちろん。お待ちしております』

リシアは微笑みを浮かべると俺の方に向き直った。

『ユウマ、今日はこれくらいにして宿に戻ろうか。疲れているでしょ』

『そうですね。わかりました。リリスとアリサもお邪魔しました』

俺はそう言うとリリスとともにリシアの部屋を後にしたのだった。


* * *


* * *

*

「ねえリリス、なんでアリサさんにあそこで、ご飯を食べようと誘ったの?」

『うーん、ユウマもきっとそうすると思って。ユウマの優しさが、アリサ様にも伝わったんじゃないかなぁ。あっ!それとあの時ユウマの側にいてあげなくて、本当に悪かったと思っているの』

「いいよいいよ。そんなこと気にしないで。俺の方こそ助けに来るの遅くなってごめんね」

『ほんとによかった。ユウマとリリスちゃんにもしものことがあったら、と思うと、私怖くて』

リシアはそう言って泣きそうな顔をしていた。俺はその顔を見て少し申し訳なく思ったので彼女の頭と頬を優しく撫でたのだ。

すると、リリスが俺とリシアに問いかけたのであった。

『あの、リシア様。一つ質問してもいいですか?』

『リリス様どうしたんですか改まって』

『ユウマに何か隠してませんか?』

リリスは真っ直ぐな目でそう告げたのであった。

すると、リシアは驚いたように目を丸くしている。

(えっ。リリス、いきなり何を言っているんだ。リシアが俺に何かを隠していることなんて無いじゃないか。それになんでこんな時にリシアを問い詰める必要があるんだよ?)

俺はリシアを疑う気持ちよりも、なぜかリシアに対して怒りを感じてしまったので、俺はつい語気が荒くなってしまった。

「おい、リリス。リシアは何も悪くない。お前は何を言いたいんだ」

俺がリリスに向かって怒っているのを見たリシアは、驚いている。

しかしリリスは俺に臆することなく、はっきりとこう言い放ったのだ。

『ユウマは優しい。リシア様ならわかるでしょうけど。ユウマは絶対に悪い人に騙されないよ。だからおかしい。この国の人達は信用できるような感じじゃないから』

リリスは真剣にそう言ったのだ。リリスはアリサに店に入ってこないように言われていたのに俺のピンチを知って飛び込んで来たりもした。その事からもリリスが何かを感じ取ったのだと考えられる。だが俺は、リリスが何に気づいたのか全くわからなかった。俺には何がリリスの中で問題になっているのかが全くわからないのである。

(リリスが何かに気づいているとしても。今はアリサとリシアの事の方が先だろ)

「リシアさん、とりあえず部屋に戻りましょう。ここで立ち話を続ける必要は無いと思います」

俺は、リシアに部屋に戻ってくるように促す。するとリシアは黙ってうなずきリリスに背を向けると自分の部屋に戻ってきた。そして俺たち三人はそれぞれが座布団に腰をかける。

するとリリスが口を開いた。

『アリサさんは魔王について何も言わなかったの?』

「魔王については特になにも言ってませんでした」

『そうなんだ。アリサさんはやっぱり怪しいね。ユウマの事も探ろうとしているんじゃないかな。もしそうだとしたらリシア様に教えておく必要があると思う。だって、アリサさんのユウマに対する態度ってまるで魔王について知っているかのように感じるから。それに魔王がどんなやつかは知らないけれどアリサさんは間違いなく魔王の手下だから。気をつけた方がいいよ。リシア様にもユウマにも』

リリスの言葉を聞いた俺はある事を思い出したのである。

(そうだ。俺にこの国の名前とラグーザ帝国という名前をくれた人のことだ。あの人は一体誰だったんだろう)

俺は、この世界に召喚されてからというものこの世界に関する情報を、ほとんど得ていない。それなのにアリサと出会えて会話が弾んだおかげですっかり失念していたが、本来ならばこの世界での生活は始まったばかりである。それにも関わらずすでに俺の周りの環境が大きく変化していて、本来の目的である魔王討伐などできるのかと不安になっていたのだ。

(でもこの世界のどこかにいるはずなんだよな)

『アリサは怪しいってどういう事?』

『そのままの意味だよ。魔王の仲間かもっていうこと。でも安心してユウマは私が守るから』

リリスは自信満々にそう言うのだった。

「リリスさんが俺のことを守ってくれるのは嬉しいです。だけど、アリサの事はリシアさんに任せます。リシアさんにもそっちの方面では頼りっぱなしなので、そろそろ負担を減らすべきだとも思ってますから」

俺は、リシアの負担を減らしたいと考えているしリシアにもリリスのように、もっと頼って欲しいと思っている。だが現状は、リシアに頼ってばっかりだしリシアが俺の為に頑張ってくれている分をなんとか返したいと思っているのだが今のところ上手くいかない。

それからもしばらくはアリサに関して話をしたが、結局この日は結論を出すことはできなかったのだった。

次の日の朝になると俺は宿を出発した。まず向かう場所は王城である。王都に到着した翌日俺はリリスと共に、昨日と同じ王城内の一室にいるのだ。

(昨日のリシアの話だと俺はアリアーヌ姫の護衛になるわけで。それなら俺の今の実力を知るための訓練とかがあるんじゃないかと思っていたんだけど、そういうのはなさそうな雰囲気なのかな)

ちなみに俺達が今居るのはこの部屋の中である。俺とリリスがいるこの部屋は元々この城の騎士団が使用している場所で現在は空き部屋らしい。そのため自由に使っていいと言われているのである。

『ユウマ大丈夫かな』

『うん、心配よね』

リシアとリリスは、俺の身を案じてそわそわしていたので俺は少しでも早くリシア達の元へ帰れるように強くなろうと決心したのである。俺はリシアとリリスに、これから強くなる為にも頑張るから心配しないでとだけ伝えてから王城を後にしたのだった。

そして、その後リシアに言われた通り俺は宿に帰ってからこの世界のことについて学ぶことに決めていた。俺は異世界に来てからずっと、自分が生きていくために色々な知識を得る必要があった。それがようやく報われようとしているので、今までの2年間が無駄ではなかったのだと思うことができた。それから俺は宿の部屋に戻ると、早速本棚にあったこの国についての本を引っ張り出してみたのであった。

この本はラグーサ王国の事が詳しく書かれている。この本によると現在のこの国の政治体制は三院制で国王が国の運営をしているのは間違いないようなのだが、その下に各省庁のようなものが存在しているらしく、大臣のような人が何人か存在しているみたいである。

俺はまずはリシアからこの国のことをよく聞いておくべきであったのに完全に忘れていたことを悔やんだがもう遅い。しかし幸いな事に大臣がどのような人かというのはわかった。その人達の名前と簡単なプロフィールまで書いてあったので助かった。

(えっと、俺に話しかけてくれた人は確かリリアス王女直属の近衛隊、つまりはエリート騎士で副隊長のレイアスさんと宰相のルインさんだっけ。それに宮廷魔術師で名前はアゼムさんか。他にも騎士団長のエルクさんと宮廷魔術師団の団長のカルスナさん。この二人はそれぞれ将軍と総隊長みたいな立場の人たちで、俺が戦う時は味方としてではなく敵として出てくるかもしれないんだな)

俺は、そんなことを考えながらさらに他の資料を読み進めていく。どうやら、俺がこの国の勇者に選ばれたのは俺のステータスを鑑定したあの魔法道具によって分かったらしい。なんでも、俺のスキルがこの世界を救うために必要だから選ばれたのだそうだ。そしてこの世界の人たちは皆、モンスターを倒す力を持っているのだそうである。もちろんリシアもその一人。彼女は光魔法の使い手で、この国のお姫様を守る近衛隊の一人で、レベルは40もあるのだそうだ。リリスはその護衛役の一人だという。

また、リシア達のパーティーは俺がこの世界にやってくる少し前から冒険を始めていたらしい。最初はこの世界に来るまでは魔物との戦闘を経験したことはなかったのだそうだ。しかし、それでもここまで成長できているのはすごいと思う。リリスも戦闘に関しては相当な実力者でレベルが20とこの国の中ではトップクラスらしい。俺が来るまでのこの国は平和そのものだったようで大きな争いもなく過ごしてきたそうだ。しかし今は、魔王の復活により、各地で魔王軍と名乗る者達が現れ始めているらしい。この国でも同様に魔王軍と人間との戦争が起き始めたようだ。そのせいで、現在リリス達はリリスをこの国に召喚したリリアーナ王国と戦争状態にありこの国の戦力が低下しているという事情もあるのだと書いてある。

「リリス、この情報は本当?」

『本当。でもどうしていきなり魔王の話が?』

「うん。さっき少し話していたけれど、俺は勇者として呼ばれたみたいで、リシアさんが言うには魔王と戦うのが目的らしいんだ」

俺がリシアに教えてもらった事を説明するとリリスは真剣な表情になった。

『魔王が復活してからのこの二年間は、特に大きな動きはないよ。だから多分ユウマが戦う魔王って言うのは私達がよく知っている奴じゃないかな』

「そうなんだね。でもなんというかさっきから違和感があって。リシアさんは何かを知っているように思うんだけど教えてもらえないんだ。もしかしたら、この世界がピンチなのは何かしらの理由があったりするとかないよね」

俺はリディアやミレアナの事を思い出す。あの時俺を助けてくれたリディア達も俺を騙して利用するつもりだったのではないかと。俺はまだ、その事を疑っているのだ。

俺の言葉を聞いたリリスは首を横に振ると、こう答えた。

『それはないと思うけど、でもその気持ちも分かるかも』

そう言ってから、今度は何かを考えている様子だったのだ。するとしばらくして再び口を開く。

『ごめん。私が話せない事を話すわけにはいかないけれど。でももし本当に魔王が復活したのだとしたら私は戦おうと思っているの。ユウマの役に立てるならなんだってするつもりだよ。ユウマが助けたいっていうなら協力するから。だから魔王について知りたいとは思わない?』

「確かに魔王の事は気になっているんだけど」

『でも無理に聞く必要はないよ。それにリシアさんなら信用できるから話せることは話してくれていると思う。それに、魔王については調べればすぐにわかる事でもあると思うからユウマがどうしても魔王の事が気になるというのならリシアさんに協力を求めると良いと思うな。だってユウマがこの世界を救いたいと思っているのと同じくらいリシアさんもこの国を守りたいと思ってるから』

リリスが、そこまで魔王について話すのを避けている以上俺もしつこく聞けば嫌われてしまうかもしれない。それに、この世界での魔王がどんなものなのか気になるのだが、やはりこの国の歴史を紐解いて行けば自ずと知れることだろうとは思った。そこで俺はリリスに改めて感謝を伝えたのである。

その後、俺は王城に向かうことにしたのである。

俺は王城にやってきて、謁見の間に入る許可が降りるまでの間、この国について学ぼうと思っていた。そしてその本は先ほど読み終えたばかりであり、この国の現状についても大体把握できた。

(とりあえずこの国の現状は理解できたし、この王城の内部構造などもわかった。まあ俺の場合はリシアさんと会う事ができていれば、彼女から話をしてもらえるんだけど、俺から話しかけるのはやっぱり気が引けるんだよな)

リシアが俺に警戒心を抱かずに普通に接すればいいと言ってくれたものの実際にやってみようと考えると、どうしても不安になってしまう。そもそも、昨日の一件のせいでアリサとの件もあまり上手くいっていないのである。

そして、俺はアリサとは仲良くやって行きたいと考えているしリシアやリリスもアリサの事は嫌いではなさそうだった。だがアリサが俺に対してどのような感情を抱いているのか分からないので、俺からは話しかける勇気がない。リリスの話しでは、アリサも悪い子ではないのだが。

そして俺はこの王城の中を自由に動いてもいいと言われていたので、俺はリシアに会いたくてこの城中を探し回ったのだが見つからなかったのである。仕方なく俺は自分の部屋に戻ってきてしまったのだが、ここで俺は重要な事に気付いたのであった。

(そういえばリリスに案内された部屋に荷物を置いたままだし、あれを取りに戻らなきゃいけないんじゃん。どうしようか、リシアのいる場所とか聞いておくべきじゃなかった)

俺はどうしようと考え込んでしまい部屋の中にいたメイドに声をかけることにしたのである。ちなみに今この場に居てくれているのはリリスの護衛役である女性でリリスと同じ近衛隊に所属している。リシアが近衛隊の副隊長ならば、この人は副隊長の部下でリシアと同じように副隊長からの信頼を受けている人物であるらしい。名前は、確かラフィーナという名前のはずだ。

ラフィーナは、黒髪のポニーテールが特徴の二十代半ばくらいの女性で、身長も160センチくらいあり、俺が見上げても目が合いそうな高さにある。ちなみにラヴィーネも俺よりも頭一つ分ほど背が高かった。そのため俺より背が高い女性が周りにいない。そのため俺はリシア達以外に女性と接する時は若干ではあるが苦手意識があるのだ。そして俺が彼女に声を掛けるとリリスからこの国の地理を習ったことを伝えて、リシアがいるであろう王城の敷地内で比較的安全な場所に心当たりはないかを聞いてみる事にしたのだった。

するとラフィーナは笑顔になると。

「でしたら中庭はどうでしょうか。この城は広く、しかも入り組んでいるので迷いやすいのですが、庭にでて右に少し進むと、そこから真っ直ぐ進んでください。すると中庭に辿り着くはずです」

「ありがとうございます。えっと、リシアさんに会った後なんですが、この国の事に関しての本をいくつか借りられないか頼めますか? リリスさんにはお願いしてあって俺も読むつもりなので」

俺が頼み事を終えるとラフィーナは笑顔を浮かべたまま小さくうなずくと、部屋を出ていったのである。

それからしばらくしてから、俺の元にリリスが訪ねてきてくれていたのであった。

(確か、この人はさっき本棚のところで話をしていた人だったよな。名前はリリスだっけ。それとも違うのかな。それにしても綺麗な人だ。この人の護衛ってことはやっぱり強いんだろうな。リリスが戦っている姿は見たことがないけど)

俺がそんな事を思いつつリリスの顔を見るとなぜか彼女は不思議そうな顔をしている。

「あの、どうしたの?」

「あっ。すいません。リディア様はこちらへ」

そう言ってから、リリスは俺の部屋から出ていく。そして廊下の方で話をしている声だけが聞こえるのだった。しばらく経つとリリスが戻ってきたので俺も立ち上がってリリスの元へと向かう。すると彼女は嬉しそうにしながら俺を見つめてきた。

『ねえユウマ。私の事もリリスって呼んで欲しいな』

そんな事を言い出したリリスは上目遣いをしながら俺の返事を待っているようだ。その表情は可愛らしくつい許してしまいそうになるが。俺は慌てて頭を左右に振った。リリスは、おそらく俺とリディアの関係に気づいておりその上で、この態度なのだ。その事を考えて俺はなんとか踏みとどまる。

「リ、リリス。どうしていきなり俺の事を名前で呼びたいのかな?」

するとリリスは真剣な表情でこう答えたのである。

『リディアさんの事が大切なんでしょ?』

「うん。そうだね。大切な幼馴染みだとは思ってるよ。それにリディアにはいつも迷惑かけてばかりなんだよね。だから少しでも力になってあげたくて。あとはできればもっとリディアに近づきたいと思っていて」

『そっか。私と一緒だね。私は、昔からリリスって呼ばれていてリシアのこともリリスって呼んでいるの』

そう言ったリリスの頬が赤く染まっている。そのせいなのか少し俯いてしまいながらも話を続けてくれた。

「だから、リシアと仲良くして欲しいな。リシアって結構頑固なところがあって私も何度か困らせられているの。でも根はすごく優しいから。でもユウマの事、本当に好きみたいで。でもユウマから見ればリディアが一番大事だって思うからリディアも無理に近づけようとはしていないみたいなんだけど。ユウマはリディアの事、本当に大切なの?」

そう言い終えた瞬間だった。彼女の顔がどんどん赤くなり涙をこぼし始めたのである。その姿を見て俺は慌てる。

「リリス。ごめん。泣かせる気なんてなくて」

俺が必死に謝るとリリスは泣きながら笑ってくれる。

『大丈夫。ちょっと寂しかっただけだから。ユウマがリディアの事が本当に好きなのならそれでもいいと思ってたの。でもユウマの口から聞きたかったんだ。それでリリアはリシアって呼ぶんだよね?』

「もちろんだよ。俺にとって一番の友達だから」

俺が笑顔で答えるとリシアが俺に近寄ってきて抱きしめてくれる。そのおかげで俺の鼓動は一気に跳ね上がったのだ。ただそれと同時に心地良さと懐かしさが俺の心を包み込んでくれるような感じになった。

「リ、リシア」

『もう、ユウマ。せっかく再会できたっていうのに。今はリリスちゃんがいるのを忘れないで』

リリスと抱き合っているということもあって恥ずかしくなった俺だがリリスの言うとおりにリシアの体から離れる。だが、俺は離れてしまうことが悲しくなってしまい、再びリシアの体に触れてみた。すると今度はリシアは何も言わずに、ぎゅっと優しく抱きしめてくれて。リリスが羨ましそうに見つめているのが分かる。

俺はリシアのおかげで気持ちを落ち着かせられたためリリスの方に視線を向けることができた。そこでリリスの瞳を見てみると何かに期待をしているようで潤んでいたのである。その事を意識したからなのか、急に心臓が早くなり始めており俺は焦っていた。

(リリスがリシアと同じような感情を持っているとしたら、俺にとっては二人を同時に愛するのと同じことになってしまうんだけど。リシアとリリス、二人と一緒に幸せになる事ができるのだろうか)

この世界に来てから色々と不安を感じていたので俺はつい弱音を吐いてしまった。

『あーあ。せっかく久しぶりにユウマと会えたのに。もう少し一緒にいたかったんだけど、これからリディアさんに会いに行くんでしょう。なら邪魔はできないよ。リシアも仕事あるし仕方がないもん。でもまた時間があったらいっぱいいちゃいちゃしていいんだよ。今日はその約束ができて嬉しいんだ。本当は私がしたいくらいだったんだから』

(俺なんかでリリスが喜んでくれたんだ。良かった)

そう思ったのだが。俺はここで疑問が浮かんできていた。

(俺なんかで良いのか? 俺のスキルはレベルを上げればどんなことでもできるようになるんだ。つまり俺が頑張ればいいだけなのになんでリリスはこの俺を選んだのか)

俺はその理由を知りたくなっていた。俺はリリスになぜ自分が選ばれたのかを聞いてみる事にしたのである。すると彼女は俺の事を真剣な眼差しで見つめて、ゆっくりと言葉を紡いでくれた。

「私はユウマに救って欲しかった。ずっと一人で抱え込んでいたから。リリスっていう名前をくれた時、あなたは本当の意味で初めて会ったはずの私を信用してくれていたでしょ。その時は本当に嬉しかったし。あなたの言葉や行動一つが嬉しかったの。そして、私の事を心から大切にしてくれる。ユウマが他の人の事を大切にする姿を想像すると胸の奥が痛くなって。これが何を意味しているか分からないけど」

そこまで言うと、リリスの頬が再び真っ赤に染まっていく。俺はその表情にドキッとしてしまうが。彼女も同じようにドキドキしていてくれていることが何となくわかる。それからも、彼女は自分の考えを話してくれていた。俺は、このリリスの話を聞くことによって少しずつ心の中の不安が減っていくのを感じるようになっていた。そして俺の事を心の底から信じてくれていたのだと思う。その事は、素直にうれしいと思うのだ。

(この世界の人間は他人のために自分を犠牲にすることを厭わない人が多すぎる。だからこそ俺は、この世界で生きていかなきゃいけないのかもしれないな)

そんなことを考えていた俺に、リリスは突然俺に抱きついて来た。そして俺に甘え始める。どうすればいいかわからなかった俺は戸惑うばかりで何もできないまま立ち尽くすだけだった。するとリリスの口から意外な言葉が発せられて。俺が固まったままリリスに抱き締められる状況が続くと。リリスは、そのまま眠り始めて寝息をたて始めたのである。

リリスは疲れていて寝ぼけていたようだった。そのため、すぐに目を覚ますと思っていた俺なのだが一向に起きる気配はない。そのため、しばらく様子をみていたものの。このままでは風邪を引いてしまうと思ったのでリリスに声をかける事にしたのであった。

『リリス。こんなところで寝たら駄目だろ。部屋まで送るよ』

俺は眠っているリリスに声をかけるが。リリスからの返事がない。仕方なく俺が肩を貸しながら移動しようとしたとき、俺の耳に声が聞こえてきた。

『ねえユウマ。そっちは違う。リシアの部屋は反対側だよ』

『ああ、そうなんだな。じゃあさっき通り過ぎた部屋のどれかなんだな』

『うん』

それからしばらくして俺とリリスは目的地に到着する。

『さっきはありがとうね。ユウマ。リシアにも伝えて欲しいことがあるの』

『うん。いいよ』

『あと、ユウマのことが好きってことも。私は、リシアと違って独占したりしないから。でもユウマが嫌じゃない限り私はいつでも、こうしてもいいから』

リリスは俺の服の袖を握ってくる。その仕草を見た瞬間。俺の鼓動が激しくなる。

(な、なんだ? 俺がリディアに好意を持っていなくても関係ないって言われているような気がして。リディアの事が好きなはずなのに、その事で頭がぐるぐると回り始めてしまっている。どうしたらいいんだ?)

俺は混乱した頭を整理しようと深呼吸を何度か繰り返して冷静になろうとするがうまくいかなかったためリリスをベッドに座らせて、飲み物を取ってこようとその場を離れることにした。

俺が飲み物を取りに行こうと立ち上がるとリリスに呼び止められる。

『あの。ユウマ。お願いがあるの。もう少しだけでいいから一緒にいて』

そう言ってから俺を見つめるリリスの目には、まだ少し不安の色が残っているように感じられた。

『うん。分かったよ』

俺は再びその場に座り込むとリリスの隣に腰掛ける。すると彼女は少し恥ずかしそうにしているものの安心してくれたみたいで笑みを浮かべてくれたのである。だが、それだけでは済まなかった。今度はリリスから手を伸ばしてきて俺の事を抱き寄せると、俺のお腹のあたりに顔を埋めるようにして、その位置に落ち着くと。静かに目を閉じるのだ。俺は完全に固まり動けなくなってしまったのである。

(ちょ、ちょっと待ってくれ。これって、どういうことだ!?)

俺は激しく動揺しており、なんとか平静を保とうとしてみたが。上手くできずにいたのであった。そこでリリアが戻ってくると状況を理解したうえで俺達に提案をする。その内容が俺達にとっては、とても良いものであったのでそれを受け入れることにする。そして俺達はリシアに会いに行くために彼女の執務室に向かう。

執務室の扉を開ける前にリディアに許可を取らないといけないと考えたリリスが、まず先に扉をノックしてから中にいるであろう人物に話しかけた。しかし、反応はなく。リディアが不在だと感じた俺が中に入っても良いのかを確認するために問いかけようとすると。なぜか勝手に扉が開いてしまい、そのせいで室内に勢いよく入ってしまったのである。そしてそこには、リディアが机に座って作業をしている姿があった。

リディアの服装が露出が多く肌が見えすぎているためか、その姿を見てリリスの顔が赤く染まると慌てて俺の背中に隠れてしまう。リディアはリリスの反応をみてクスリと笑うと。

「ふふ。驚かせてしまったみたいでごめんなさい。ちょっと確認をしておきたいことがあったから、部屋に戻らなかっただけなのよ。でもそのおかげかいい情報を得られましたわ」

リディアがリリスの方に近づいて行くと頭を撫で始める。それをされたリリスの表情が和らいでいくのが分かると俺はほっと胸をなで下ろしていた。

「ユウマ様は今度から城で生活をされるということですよね」

俺がリリスとのやり取りが終わったことを理解するのと同時に、リディアが俺に質問を投げかけてくる。俺はその問いに対して肯定の意思表示をするために軽く首肯して見せる。するとリリスが口を挟んできたのである。

「えっ? ユウマも一緒に住むの? それって本当なの?」

その発言によってリリスは、自分が口にした内容の重要性に気づいて顔を青ざめさせると慌て始めたのである。俺はというとリリスの発言で、あることに気がついたのでリリスが話し始めるよりも早くリディアに向けてこう言った。

『俺は、この国に住む人間とは敵対するつもりもなければ、この国に害をなす事もするつもりはありません。ただ、これから俺と敵対しようとする人達が出てくる可能性があるので、その人たちとだけは戦うことになると思います』

その発言を聞いたリディアも納得をしたようで、リリスと二人で話し合おうとしたところリリスに遮られてしまう。

『ユウマは、私が困っている時にいつも助けてくれるのに。どうして私の方は、あなたのために何かしたいと思ってもさせてくれないの?』

リリスの瞳からは、俺に助けを求めようとしている気持ちがありありと感じられた。

『そうだな。確かにリリスの言うとおりだ。でも俺はアリサを救うためなら、例え何人相手であろうと負けはしないだろうけど、それでも俺一人でできる事に限界はあるからな。俺は仲間を増やしながらこの世界を平和にしようと決めたんだ。そのために、俺は信頼できる人とは一緒に行動しようと考えているんだよ。もちろん、リリスやリディアはその中でも上位の人達だけどな』

俺はそう言うと二人に向かって笑顔を見せるのであった。

「ええ、それはわかっています。ですが。私達が心配なのです。この城に集まってきている優秀な者達の中には、この世界を守るためには魔王を倒すべきなのだと考えている者もいるはずなのです。その者たちと対峙する事になっても私やリリスの力になってくれると仰っていただけるでしょうか?」

リディアがそう話すと真剣なまなざしで俺のことを見つめてくる。

「ええ、約束します」

俺は即答していた。なぜなら俺が求めているのは自分の利益のみを優先するような連中では、たとえ何万人来ようとも無駄になるだけだからである。だから俺が相手にしようとしている人間は限られている。その条件に当てはまれば誰だって俺の仲間だ。

リリスはその言葉を聞くことで少し落ち着いたようだったが。リディアはまだ、不安をぬぐいきれていないようである。そのため俺はリリスに抱きついてもらって、その状態で安心してもらうことにした。するとしばらくしてから俺の腕の中でリリスは落ち着きを取り戻したようなので俺は、ゆっくりと腕の中から彼女を解放してあげたのだった。それから俺はアリシアに会うための許可を得るために、リディアに問いかけると彼女はリリスと一緒に部屋を出るように言ってきた。俺がその指示に従う形でリリスの手を握るとリリスを連れて廊下に出る。そしてしばらく待っていると、リシアが俺達のところにやって来た。

「リディア。ユウマとリリスに説明は終わったかしら? 実はさっきの話で相談があるんだけど。リディアの方からも言ってもらえるかな」

俺とリリスの姿を視界に収めてからそう告げると続けてこう言う。

「私達は三人揃って初めて力を発揮することができると思っているの。つまり三人が協力することで、今まで以上の力を出せるはずなんです」

その言葉に俺はリディアが何を悩んでいるのかを理解すると、彼女が口にするよりも早く答えていたのであった。

「分かりました。そういうことならば、こちらから協力を求めさせてもらいます。それとリリス。お前に頼みがあるんだが聞いてもらえるか?」

俺の言葉を受けたリリスはとても嬉しそうな表情になり、元気な声で返事をしてくれた。そして俺の話に了承の意思を示してくれたのである。

俺とリシアは、リディアの部屋に戻って来るとその足でリシアの執務室へと向かう。リシアは仕事をしながら俺達と話をしてくれるようだ。

『ねえ。ユウマとリシアって仲が良いんだね』

俺はリリスがそう話しかけてきたのを聞いてから少し考える。

(リシアとの関係ってなんだろう?)

その事をリリスに尋ねようとしたときにリシアが話を始めたので、俺はそちらに意識を向けることにする。

『ええ、そうね。でもユウマさんに迷惑をかけるのは絶対に止めてね。あなたがユウマさんの事を大切に思ってくれている事は分かってはいるけれど、もしそんな態度をとるようなことがあるようならリリスといえども許さないわよ』

その発言をしてからリシアが鋭い目つきを向けてきた。それを受けてリリムの体がびくりとすると。すぐに涙目になってしまう。俺は慌ててリリスとリシアの間に割り込んで落ち着かせるために抱きしめた。そしてリシアに謝罪をしてなんとか許して貰うことに成功すると。改めてリリスにリシアとリディアの関係を尋ねる。

『あのね。ユウマと私が仲良くなるまではずっとユウマの傍には、リリアかリディアがいたんだ』

リリスは懐かしそうに俺にそう話しかけてくると続きを話し始めた。

俺がまだ小さい頃。俺はリディアやリリアと、よく一緒に遊んでいたそうだ。だが俺と遊ぶのは彼女達だけではなく。他の女の子たちもいたのだという。だがある日。俺が一人で歩いているとリディアは、その子達に俺を取られないように必死になって追いかけてきたのだと言う。それ以来リディアは俺を独占しようとするようになり。リリアに頼んで俺を独占できないようにするようになっていたのだと。その話を聞いた俺は思わずリリスの頭を撫でていた。

俺とアリシアが一緒に話ができる時間を作ろうと考えていた時。俺達がいる部屋に一人のメイドの少女が入って来たのである。その少女は扉を開けると同時に俺の姿を認めると。とても可愛らしい微笑みを浮かべていたのだが。なぜか俺を一目見た後に固まり。次の瞬間に床に膝をつくのであった。

俺は何が起こったのか分からずに呆然としていたが、そこで俺に助けを求めるような視線を向けてきているリリスに気付いたのである。俺は彼女の様子を確認したのちに、そのメイドの側に歩み寄った。するとその子は、とても怯えているのが分かった。俺はリディアに相談してみたが、どうやらこの子が原因のようである。

『リリスちゃんにユウマ様の姿を見せるために連れて来たのですが。この子のせいで話が中断して申し訳ございません。この子にはこの子の事情がありまして、どうしてもお礼が言いたいと言っているみたいなんですよ。ですが私や、リディアではこの子が、また同じ様な行動を起こしても対処ができないので、この子の希望通りユウマ様にお任せしてもよろしいでしょうか?』

その話の流れで俺は、その少女と対面することになった。リディアとリリスも一緒にいてくれたので、それほど緊張することなく。落ち着いて話をすることが出来て俺は、とりあえずリリスから預かった手紙を渡すのであった。

『ありがとうございます。私はミリアといいます。リリスちゃんからの手紙を読んでからユウマ様の事が忘れられなくなってしまいまして。どうか私をあなたの従者として召し抱えていただけないでしょうか? もちろん身の回りのお世話など何でも致しますので。お願いします。』

俺は、そう言ってから深く頭を下げた彼女のことを見据えながら。その申し出について考える。俺はその言葉を聞いた時に、俺とこの子の間に何があったのかと思い返してみるが全く記憶が無い。

『君が僕にどんな恩を感じてくれているのかは分からないけど。僕は君を助けたりなんてしていないよ』

俺は、はっきりとそう断言した。すると彼女は目に涙を浮かべて泣き出しそうになる。それを俺は慌てて宥めていると、今度はその言葉を耳にしたリリスまでもが、今にも泣き出してしまいそうになっていたので俺は慌てる事になる。そしてリリスを抱き寄せて背中をポンポンと叩いて落ち着かせようとしている間に、いつの間にやらミザリーと呼ばれていたもう一人の女性が俺の後ろに控えていることに気付き俺は驚くことになる。そしてリディアもそれに気づいたようで『あら、ミザリーもいたのですね。あなたは私とリディアが信頼している数少ない人間なのですから、これからは、私達の役に立つよう行動するようにしなさい』

リディアの言葉を聞いたその女性は、ハッキリとした言葉で返事をする。その言葉を聞く限りでは、今までの態度を改めたようであった。

俺はそれから少しの間だけ時間を貰ってリリスからの手紙に書かれていた内容を思い返す。その内容は、俺にリリスが好意を持っているというものであり。その事で何かしら問題が発生していないかどうかを確認して欲しいというものだった。俺は、その文面に書いてあった内容が、この子とは関係の無いものであると判断したためリディアに断りを入れてこの場で返事を行う事にしたのである。

そして、この場に集まったみんなに対して俺はリリスと、俺とリリスがお互いに持っている能力の事。それから俺が魔王と呼ばれる存在であることや。その関係で、これから俺の身に何か起こる可能性について話す事にした。すると俺の口から魔王という単語が出てきたせいなのか。その場にいた人達は一様に驚きの表情で俺のことを見つめるのであった。

俺は、まず魔王と魔王の関係者とでのみ通じる隠語のようなものを使って。俺が魔王であることと、俺が魔王である以上はこの世界の人達とは相容れないということを説明した。その上で、俺とリリスの二人がお互いに想い合っており。そのため俺は彼女との婚約を決めたと伝えた上で、彼女がこの城からいなくなったとしても。リリスのことは絶対に幸せにするし、彼女がこの世界に居場所がないのであれば、その時は異世界へと二人で移住することも考えていると話して、俺は彼女に俺の隣で一緒に生きてくれるか尋ねたのだった。すると彼女は嬉しそうな顔で俺の手を取って。

『はい。いつまでも貴方の側でお慕いし続けます』

と俺に答えてくれたので俺はリリスを抱きしめてから彼女を開放すると、次にミディアに向かって話しかけたのである。

『俺はお前の事も気に入っている。お前が望むなら俺はリディアとの約束を守るために全力で協力してやる』

俺のこの言葉を聞いたミディアは一瞬にして、俺が言っていることが本当である事を理解する。それと同時に彼女の目から、大粒の涙が溢れ出てきたのである。そして俺を見つめて深々と頭を下げると。

『ありとうございます。必ずや御身をお守りできるほど強くなります。私の事はリディアと同じ呼び捨てにしていただいても結構ですよ』

と言葉を続けたのであった。

そしてミディアが落ち着いたのを見て俺はリディアに確認を取った。

「俺の方は大丈夫だと思うが。一応リディアの方からも確認して欲しいんだが。いいかな?」

俺の言葉にリディアは、静かに首肯する。

『わかりました。それじゃユウマさんの従者となる事は認めるわ。でも私としては。あなたはユウマさんにとって、とても大事な人になるはずなんです。あなたとリリスちゃんが仲良くするのは別にかまわないけれど。あなたに変な女が近づくと私が我慢できなくなる可能性があるから。だからあなたが気に入った女の人と、二人っきりにならないようにしてくださいね』

俺はリディアが口にした内容に呆れてしまうが、すぐに俺が何も考えていなかったことに対する戒めだと考え直すことにする。そして俺はリディアに了解したことを告げたのであった。

俺は自分の部屋に戻る前にリディアのところに寄り道をして。先ほどの件でリリスから手紙を渡されたのである。その手紙には、こう記されていた。

『ユウマとリシアの仲が悪いみたいに見えたら教えてください。お願いします』

それを見た瞬間にリシアはリリスに文句を言いに行ったようだが、リディアがすぐに仲裁に入っていたのを見かけたので俺はほっとしていた。俺の部屋に戻るとそこには既にアリシアの姿はなく。リディアは書類の山と睨めっこをしていた。俺が戻って来たことに気づいたリディアがこちらを向いて笑顔を浮かべる。俺はそんな彼女の姿を見てから。すぐに書類仕事に取り掛かることにした。

しばらく黙々と仕事をしていると扉がノックされる音が聞こえてくる。そしてアリシアが部屋の中に入ってきたのだ。俺は、そんなアリシアにリディアがお茶を用意してくれるように頼むと。

アリシアがリディアと一緒に執務室から出て行った。そして俺はリディアの手伝いを始めたのだが、そんな俺の事を何故かアリサは物凄く凝視してくるのであった。俺はそんな視線を受けながらも作業を続けて、しばらくして一段落したところで、リディアに声をかけられたので。俺はリディアと共にアリサのところへと向かったのである。

リディアがアリシアに話しかけると、アリシアは少しばかり戸惑ったような顔をしたがリディアが俺を呼んでいると言ってくれたおかげでアリシアは、俺の側まで来てくれた。

俺はそこでリリスから受け取った手紙をアリシアに渡す。アリシアは、俺がリリスと婚約していることに驚いていたが、すぐに手紙を読むために真剣な眼差しを手紙に落とし始めたのである。俺は、そんな彼女の様子を静かに見つめていたのだが、俺が側にいても気にせずに手紙を読み続ける彼女の様子を見て。

手紙に書いてある内容が余程、衝撃的なものだったのだろうと考えるのであった。そして読み終えた後。アリシアは、なぜかリリスが今どこにいるのかと尋ねてきたのである。リリスが王都に来るまでの一連の流れを話しているうちに、彼女は涙ぐんでいた。俺は、この様子だと、やはりリリスに惚れているのだろうと判断するのであった。

「そう言えば、俺とリリスの関係についてだけど。リリスには好きな人がいるみたいだよ」

俺がそう言うと彼女は大きく息を吐き出して安心しきった表情を見せる。俺は、それを見届けてから席に戻って仕事を再開する。リディアはリディアで、何か考えている様子だったので、リディアにも声をかける。リディアも一度顔を上げて俺を見ると、何か思い付いた様子で再び書類の整理を始めていった。

その後、一通りの仕事を終えてから俺とリディアは一緒にリリスの元へと向かう事にする。ちなみにリディアが一緒に行きたいと言うから一緒に行く事にしただけで、俺は一人でも良かったのではあるが。まあ、こういう時には女性がいた方が何かと良いだろうと考え直して一緒にいく事にしたのである。

城の中でリリスを探すとなると中々大変ではあったが。幸いにも彼女は、あまり人に見られたくないと思った時に良く隠れているという場所に心当たりがあったので俺はそこを目指すことにしてリリスを探してみたのだった。そのおかげもあって俺は、リリスが一人になる時間を作ることに成功したのだった。俺はリリスを部屋に連れ込んで、それから俺の口からは伝えていないことを全て打ち明けた。するとリリスが、俺に抱きついてきて俺のことを強く抱きしめたのだった。俺がリリスに『リディアはリリスのことが気に入ってくれている』という話をする。そして俺はリリスの頭を撫でながら、これからどうするかをリリスと相談することにすると、リリスは俺の服を掴んで上目遣いに、これからも俺の側でずっと一緒にいていいかと聞いてきたので俺は笑顔でうなずいたのである。

その日の夜。

夕食を終えた俺は自分の寝室に向かっていた。その途中で俺を呼び止める声がした。その声で振り返って見るとリディアの姿が目に映る。

『あの。リディアは今日は私と一緒に寝てください』

リディアは、リリスの言葉を聞いて一瞬だけ困り果てたような顔を見せたが、リリスに微笑みかける。

『わかったわ。一緒にお休みしましょ』

こうしてリディアがリリスのお願いを受け入れたのは俺にとっても予想外ではあったのだが。それでも、俺が思っていたよりも早くリディアとの関係が進みそうなので、俺としては嬉しくもあった。ただ問題は、この二人の関係を俺が壊してしまっているのではないかと感じる事がある。その事について俺は二人に質問をすることにした。すると、二人は俺の不安を吹き飛ばすように即答してくれたのである。

『悠真様がお気になさることではありませんよ。私はリディスの事も好きになってしまいましたから。ですからお姉さんのような立場で、リリスとこれからも良い関係を作っていきたいと思っています』

『お兄ちゃんの心配するような事は起こらないと思う。私がもし仮にこの世界を滅ぼす事になったとしてもお兄ちゃんがいればそれで問題はないから』

二人とも、俺の事を受け入れてくれているのはありがたいが。もう少し自分を大事にして欲しい。そう思ってしまう。そんな俺の様子に気がついたのであろう。リディアとリリスがお互いに目を合わせて小さく笑い合ったのである。俺は何やら嫌な予感がしてきたので。早々に退散しようと思って踵を返そうとしたところで、リディアから話しかけられた。

『ちょっといいかしら? 少しだけ話したいことがあるの』

俺は内心でため息をつきながらも了承する。

『わかった。それじゃ少し場所を変えようか』

『そうですね。ここじゃ落ち着いて話すこともできませんし』

俺はリディアの提案に乗ることにした。それから、俺達は三人で城の外に出ることにした。俺はリリスに部屋の鍵を渡してからリディアと一緒に城の裏手に回り込む。その辺りには人気もなく月明かりが降り注いでいた。俺達がこの場所に辿り着いたのとほぼ同時に、リディアは口を開いた。

『ユウマ様はリディスのことを大切に扱ってくれています。だから私はユウマ様のことを信じることができます。リディアが信じているから私もあなたを信じます』

俺はリディアの言葉に何も答えることができずに立ち尽くすしかなかった。

『リリスちゃんがあなたに対して特別な感情を持っていることは私だってわかっているわ。だけどユウマ様にはその気持ちに応えられるだけの器がないでしょう?』

俺は何も答えない代わりに首を左右に振ることでリディアの言葉を否定して見せる。俺の反応を見てリディアが小さく苦笑を浮かべたのであった。

そして、それからしばらくの間。沈黙が流れた後に俺がゆっくりと口を開く。

「一つ、リディアに確認をしておきたいんだけど。この世界で、リディアが一番好きな食べ物を教えてもらえるか?」

唐突にこんな質問を投げかけられても戸惑うだろうと思っていたが、彼女は、俺の予想に反して俺が口にした言葉の意味をすぐに理解して見せてくれたのである。リディアが目を丸くした後で頬を赤くしながら俺に問いかけてくる。

『もしかして、それがあなたの望みですか?』

「そうだな。できれば俺が作れそうなものなら嬉しいんだが」

すると、リディアが俺の方に歩み寄ってきたのである。俺が彼女の動きに警戒心を抱き始めると同時に彼女は、俺の手を取ったのだ。リディアスに手を握られたのだと気づいた瞬間に、俺は彼女の行動の意図が全く読めなくて呆然としてしまう。そして俺の指先が温かい感触に包み込まれると。リディアの魔力が流れ込んできたのである。

俺はリディアが何をしようとしているのかすぐに悟った。俺の頭の中で何かの情報が引き出され始めている。そしてそれはやがて、俺の体中に広がり始めたのだ。俺はそんな感覚に戸惑いを覚えるとすぐにその異変に気づく。

俺の頭の中が熱くなってきたのだ。リディアの事を意識してしまったからかもしれないが、俺の中に流れている血潮が、まるで炎のように熱いのである。そして俺の血流が全身に行き渡ると次第に身体全体が軽くなっていくのを感じ始めた。俺が自分の体の変化に気づいているうちに、リディアの行為はさらに進行していった。

リディアがさらに一歩前に出て俺の顔を至近距離まで近づけてくると、彼女は瞳を閉じて、そのままそっと俺の唇を奪ったのである。俺は、そんな状況に陥ってしまい。俺の頭はもうパンク寸前だった。

リディアの柔らかな肌の感触。そして唇を通して伝わってくる体温。俺はそれらから必死に理性を引き留めようと努力したが。結局のところ俺は我慢することができなかったのだった。俺はリディアから唇を離すと、彼女は恥ずかしさからだろうか。真っ赤になった顔を隠すかのように俯き、自分の顔を両手で覆い隠すのである。そんな彼女を見ながら俺は自分自身に対する情けなさを感じていたのであった。

リリアから渡された手紙に書いてある内容を読んでみるとそこには、リディアがリリスのことをどう考えているのか、どのような対応をしているのかが記されていたのである。そして手紙を読んだ限り、リディアが、リリスの味方をしてくれることはほぼ確定事項だと言っても良い。だがそれでも俺の不安が完全に拭い切れたわけではないのである。だからこそ、俺はまだ、リディアに全てを話すことができていなかったのであった。

俺は、リディアとの一件があった翌朝。朝ご飯を食べ終えた後、俺の自室にいた。俺の部屋には今、俺以外に誰もいない。昨日、俺達と話をしてからリディアは自分の部屋にこもってしまったからである。リディアとリリスの間に、今、何か起こっているのか、俺には知る由もなかったが、俺の側にいるリリスとアリサの表情を見る限りは、良い方向に話が進んでくれていると願うばかりである。

ちなみに、俺がどうして自室に一人でいたかというと。今日から、また学校生活が始まるので準備をしていたからだった。そんな時、扉の向こうから声が聞こえた。俺は、その声で誰がやってきたのかはすぐに分かった。リリスの声だと分かっていたからだ。

『悠真君。ちょっといいかな』

俺はベッドから立ち上がって部屋の扉を開ける。すると、リリスが笑顔を見せながら立っていた。俺が笑顔で挨拶をするとリリスは照れたような笑顔を返してくれたのである。

俺は彼女を部屋に入れる。

「おはよう。それで、どうしたんだ?」

『お兄ちゃんはリディアお姉さんが好きなんじゃないの?』

いきなりリリスに核心をついたことを聞かれたので俺は言葉を失う。

「ど、どういうことだ? 俺とリディアはただの仲間ってだけなんだぞ」

俺の言葉を聞いたリリスが不満げな様子で俺を見上げてきた。それから彼女は、小さな声で俺の耳元に囁いてきたのである。

『でもお兄ちゃん。私とキスした時の事を思い出すと凄かったよね』

確かにそうだった。あの出来事を思い出してしまった俺は急激に顔が火照っていくのを感じた。そんな様子を見たリリスが小さく笑うと俺の体をぎゅっと抱きしめてきたのである。俺は突然抱きついてきて俺の顔を下から覗き込んでくるリリスと目が合う。俺は彼女の視線から逃れたくて横を向いてみたものの、その先にあった壁のシミは、何となく見覚えがある気がした。そこで俺は、壁に近づいてそのシミを確認する。やはりそうだ。これは俺が以前使っていた目覚まし時計と同じものである。この城にきてから数日は経つのでそれなりに時間が経過しているが、俺の中では、まだこの城のことや、この城に来ることになった原因の記憶も薄れてはいないため。俺にとっては、あまり馴染みのないこの城の物を見ると記憶が蘇る感じがしたのである。

俺が壁についている時計を見て固まっていたせいなのか、リリスが俺に呼びかけてきた。

『どうかしたの? 何か気になることがある?』リリスに話しかけられたことで、俺が壁からリリスに目線を変えると、リリスの瞳が少し潤んでいることに気づいた。おそらく俺に何かを期待しているのだろうが、残念ながら今の俺はリリスの要望に応えることができないのだ。そのため、俺は大きく深呼吸をして気合いを入れる。

「リリスと初めて会って一緒にダンジョンに入った日のことだけど、俺もあの日からリリスにずっとドキドキしていたよ。俺も女の子に慣れていないし、こんな綺麗な子が側にいるからな。リリスのことは妹みたいに思って接しようと頑張ってるんだけど上手くいかなくて。その事を気にして、リディアに相談したらリディアも俺のこと受け入れてくれたけど──」

俺はそこまで言うと言葉を止めて、再び大きく息を吸う。それからリリスに言ったのである。

「俺はリリスのことを一人の女性として大切に想っているし。それに俺はリリスのことを好きだと思っている」

リリスが頬を赤くしながら俺の話を聞いてくれたため。俺は、さらに続けたのである。

「俺の方こそこれからもよろしくお願いします」

そう言って俺は深く頭を下げて、頭を上げてリリスの様子を窺った。するとリリスは涙ぐんだ目をしていて俺の事を上目遣いで見ていたのであった。その後で、彼女は満面の笑みを浮かべると俺に向かって勢いよくダイブしてきたのだ。

俺はそんなリリスを受け止める。俺の腕の中に納まった彼女はとても嬉しそうにしている。俺の背中に回されているリリスの小さな手が、彼女の喜びを表現しているように感じる。

俺はしばらくの間、そんな彼女の温もりと甘い香りを楽しむ。そして俺は、彼女の背中に腕を回すと彼女の華奢な体躯をそっと引き寄せた。すると、彼女は一瞬驚いたようだったが。俺に抱かれるがままの状態になっている。

それから俺はリリスのことを放す。リリスの柔らかい体を抱き寄せていたためか、名残惜しさを感じてしまうが仕方がない。それからリディアが言っていたように俺は着替えを始める。その間もリリスが側に居てくれて色々と話をしてくれた。彼女はリディアのことを信頼しているようだ。

そして俺は制服に着替えて学校に行く準備を終わらせたのであった。

◆ 今日も俺はリディアと一緒に登校することになった。俺は彼女に手を引かれて廊下を歩いていく。昨日までとは違い。リリスも一緒だった。俺は二人から慕われて嬉しい気持ちでいっぱいだった。そして教室の前にたどり着いた時、ふと思う。俺が異世界召喚されてからもう一週間以上経過しているが。クラスメート達の様子が変わらないことに違和感を覚えたのである。俺やアリサのように、いつも通りに学校に通えるようになるには、かなり時間がかかると思っていたからだ。

そして教室に入るとすぐに異変に気づいた。なぜか俺とリディアとアリサとリリスに対して男子達から視線が注がれているのがすぐに分かったのだ。しかも男子だけではなく、一部の女子までもがこちらに視線を送っていた。しかし、その瞳に嫌悪感を抱いている者はおらず。むしろ興味本位なのだろうか、どこか好意的なものが含まれているような気がする。そんなことを考えながら自分の席に向かうとアリサが駆け寄ってきた。

「おはようございます、皆月君」

「ああ、おはよう、神成」

俺の挨拶の直後、今度はリディアも近寄ってきてくれる。

「おはよう、リディアさん」

「おはようございます、ユウマ様、リリアさん、リリスちゃん。それと、昨日ぶりですね。アリサさん」

そういえばリディアもアリサの名字を知ってるんだよな。アリサと会った時に話したのかもしれないが。

そして俺達はそれぞれの席に向かったのだが、俺の隣にはリリスとリディアとリリアが並んで座り。アリサの席の周りを囲むように他の子達が座っていった。その様子を眺めているとリディアスに声をかけられたのである。彼は笑顔を見せており機嫌が良いのがよく分かる。その証拠に声のトーンが高かった。

リディが笑顔なのは当然かもしれないが、彼がリディアに好意を寄せていることは知っている。そのこともあって俺は彼の表情の意味が理解できた。それはさておき、どうしてこんな状況になってしまったのかは分からない。だからとりあえず彼に事情を訊いてみることにする。

「えっと、どうしたんだ?」

するとリディアスが微笑みながら教えてくれる。

「皆さん、悠真さんに質問がしたいようでしたから。それなら私達が代わりに説明を、と思ったんです」

「なるほどね」

確かにこの場にいる人達からの質問攻めにされるよりマシだと思う。俺はリディアの説明を聞いて納得していた。すると今度は隣のアリサが楽しげに笑い始める。

「ふふっ、皆が皆、悠真君に興味津々だもん。まあ無理もないわ。昨日だって悠真君のことが話題になっていたくらいだし」

「そうなのか」

俺は少し驚きながら呟く。するとアリサが、リディアとアリリスとリリスを見ながら話す。

「そうよ。特にリディアさんの反応が素敵だったから、余計に皆の注目を浴びているのかも。それに悠真君、リディアさんの時はかなり優しく接するようになったでしょ? だから皆がリディアさんを羨ましがっていてね。それで今日は悠真君の周りに人がたくさん集まってるんじゃないかしら」

確かに俺の記憶では俺の近くには誰もいないことが多い。だけど俺がこの異世界に来てからも、こうして話しかけてくる人はいたので、俺自身はそれほど気にならないけど。やはり、この異世界において、女性が俺のような男と親しくするのは珍しいことなのだろう。あとはリディアとの関係が注目されてるのかもしれない。リディアが人気者だということは聞いていたので意外ではないけれど。リディアは本当に素敵な女性なので、そんな彼女が男性に人気があるのはよく理解できるし、そんなリディアと仲良しだと知られれば、俺にも注目が集まってしまうのは自然なことなのかもしれない。

「リディアと仲良くなって良かったと思ってる」

すると、リディアは顔を真っ赤にさせながら嬉しそうな様子で何度も首を縦に振っている。俺と目が合うと彼女は恥ずかしそうに笑みを浮かべている。

リディアと恋人になったとはいえ。俺自身は彼女との恋愛に慣れておらず、まだまだ手探りな部分も多い。だが、そんな彼女と共に歩んでいけたら幸せだろうとは思う。

それからしばらくして担任の女性教師が来たのでホームルームが始まった。彼女は自己紹介の時にも見たけど若い。たぶん20代半ばくらいだろう。セミロングの黒髪に眼鏡をかけた、おっとりとした印象を受ける。そして何より特徴的なのは巨漢であることである。彼女の背の高さは180センチを超えていて、横幅は90キロ以上はあるのではないだろうか。

「じゃあ、出席番号順に、名前と好きな食べ物でも答えてもらおうかな。一番最初の人は前に出てきて。じゃあ、リリスから始めようか」

彼女は俺達に順番に前に出てくるように指示を出す。まず最初に呼ばれたのは、あのリリスだった。彼女の容姿を見た瞬間、先生は目を見開いて驚く。それもそうか、彼女は俺達の世界にいた頃から目立つ存在であったから。

「リリスです。好きな食べ物はチョコレートです。甘いものが大好物で、辛い物とか苦い物は苦手です。趣味は読書とゲームとお菓子作り。将来なりたいものは女優になりたいです。宜しくお願いします」

リリスの自己紹介が終わるとクラス中がざわつく。その反応を見て彼女は少し不安そうにする。そして俺の顔を見ると安心させるかのように優しい笑みを浮かべていたのであった。

それから次々とクラスの女の子達の自己紹介が行われていった。みんな、それぞれ個性豊かであり、リリスのように自分のことをしっかり伝えていく人、リディアのように自分の好きなものや趣味について語っていく人もいたのである。中には俺にだけアピールしてくる子や、なぜか敵意を向けてくるような鋭い視線をぶつけてきた者もいたが。

そんな中で気になったのは、やはりリディアが人気だというところである。

「私は神成凛子と申します。家族は父と母と妹、弟がいます。好きな食べ物はハンバーグ。そして、これからは、私が毎日弁当を作ってあげたいなと思っておりまして。これからは、神成家の食事担当は私が担当する予定です。料理を作るのは好きですし。将来の夢は料理人になることで、そのための勉強をしていきたいと思います。皆さんと早く打ち解けて、これから一緒に食事をしてみたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします」

そう言うとリディアスは頭を下げた。

それからリディアとアリサの番になり、二人も同じようにクラスに馴染むため自己紹介をしていく。二人は特に緊張することなく淡々と自分のことを語り、笑顔を見せる。そんな二人を見て俺も自然と笑みがこぼれた。

その後も自己紹介が続くが、その中で一人だけ、リディアのことを凝視している生徒がいた。名前は『三崎美奈実』といい、茶色のショートカットに少し吊り上がった黒い瞳をした少女だった。彼女は俺の斜め前の席に座っている。身長が150センチ程度しかなく小柄なのだが、手足が長いモデル体型で、スタイルが良いことから制服姿がよく似合っていると思う。そのせいか、リディアにライバル意識を持っているような気がした。しかし、それは仕方がないことかと思い直した。俺がリディアと一緒に登校していることを告げた後もリディアのことを見る回数が多かったからだ。リディア本人は全く気にしていないようだったが。

「はい、それじゃあこれで自己紹介終わりね。皆がこのクラスに馴染めそうだって思えたら嬉しいわ」

そう言ってから彼女は笑顔を見せて、すぐに俺の方に近づいてくる。

「皆月悠真くんは今度こそ自己紹介する必要はないかしら。ふふっ、昨日はリディアさんにずっとくっついていて凄かったものね。もう学校中の生徒があなた達の噂をしていたわよ」

そう言い残してから、リディアスの方へ戻っていく。どうやらリディアスとは知り合いらしい。というか昨日のことで色々と言われてしまったので、教室の中で注目されるのが嫌になる。ただ、そんなことばかり考えていてはいけないので気持ちを切り替えるとしよう。それにクラスメイト達の自己紹介を聞けたのはとても面白かったしな。そんな事を考えつつ俺の出番が回って来るまで待つ。

すると俺の番となり教室の中が静寂に包まれる。先程まで賑やかな雰囲気があったのが嘘のように。俺としてはこんな状況は慣れているものの、それでもこの場の雰囲気は重苦しく感じるのだ。しかし俺は気を取り直し、リディアスの時と同じように挨拶をする。その際には、しっかりとリディアの目を見ながらだ。そのおかげで彼女は笑顔を見せてくれたのである。

それから何人かの生徒の名前と、趣味を聞いた後で次の子に移ることになる。そしてその子は小柄で可愛い女子だったのだ。彼女は、その小さな体を一生懸命動かそうとするも、椅子の上で立ち上がれずにいたのである。その様子を見て俺はすぐさま彼女に手を差し伸べる。彼女は嬉しそうに俺の手を取ると、そのまま立ち上がった。しかし立ち上がるとフラついてしまい、俺に抱き着くような形でもたれ掛かってきたのである。その衝撃で彼女が被っていた帽子が落ちそうになるが、俺はそれを受け止める。俺に寄りかかったのは、俺よりも身長が低い男子だった。その彼は、くりっとした丸い目が特徴の少年で可愛らしく、肌が白く華奢な体つきをしている。彼は顔を真っ赤にしながら俺の胸元から手を離した。

「あ、ありがとう」

「ああ、大丈夫か?」

「う、うん」

俺と彼がそう言葉を交わすと周囲から黄色い声が飛び交った。きっと、この二人が噂になっていた『リディアの彼氏』と、その友達なのだろうな。

すると彼の方は再び顔を赤くする。

「あ、ええと、僕の名は水嶋裕也と言います」

「水島君っていうのか。改めて、俺は悠真だ。俺に寄り掛かったのは気を付けてくれよ。君は体が弱いのかな? 顔が赤いよ」

すると、水嶋君はさらに顔を真っ赤にさせながら首を横に振る。その際、頭につけていたヘアバンドがずれ落ちそうになった。

「ぼ、僕は体が弱いだなんて思ったことはないよ! むしろ丈夫だし。でもさっきみたいに転びかけたのは初めてでちょっと驚いたんだ。ごめんね、リディアさん」

リディアの方を見ると、彼女は優しく微笑みかけていた。そんな二人のやり取りを間近で見ていた俺の頬は自然と緩んでいた。やっぱり、あのリディアをあんな表情に変えてしまうなんてすごい人だと思う。あとは、そんな彼女の隣に立つに相応しい男にならないとな。

俺達が話している間に自己紹介が終わったようだ。

こうして無事に終わった俺達の入学式。

だけどこの後にも授業があり。俺の高校生活はまだまだ始まったばかりだった。

ただ、この異世界に来て良かったことは、リディアに会えたことだ。彼女と再び会うことができたことだけでもこの世界に来た意味はあるだろう。それに彼女のために行動すればするほどに彼女と親密になれるのだと実感できているしな。そんな風に思いながら俺は自分の席に戻っていくのであった。

「では、今日はここまでにしましょう。次回の授業までに予習しておくように。じゃあお疲れ様でした」

先生はそう言い残して教室から出ていった。そしてホームルームが終わった後、リディアスはすぐにこちらへとやって来る。彼女は俺の腕に両手でぎゅっと抱き着いてきたのである。そのおかげなのかわからないが俺の周囲にいた女の子達は、リディアの姿を見て驚きつつも、どこか悔しそうな表情をしていた。

「リディアさん、本当にユウマさんと仲良くなったのですね。羨ましいです。リディアさんの言う通り、この世界での生活は退屈なものではありませんでしたか?」

「リリスも一緒に居たのですから、わかるでしょう。リディアは、私達と別れてから、とても楽しそうな日々を送っていましたから。この世界でも私と恋人になってくれるくらいには」

リリスがそう話すとリディアが嬉しそうに笑みを浮かべる。彼女の様子を見ればリリスの言葉が真実なのは明白だった。

「そうか、それは良かった」

「あの、それでリディアと私、どっちの方が綺麗でしょうか」

「リリスも美しいけど、リディアも同じくらいに綺麗ですよ」

その言葉を耳にして彼女は俺から離れる。そして嬉しそうにリディアに抱き付いた。そのせいか、リディアが少しバランスを崩すが彼女はリリスのことをしっかり抱きしめ返す。それから二人はお互いの顔を見て笑みを浮かべた。そんな仲の良い二人を見つめてリディアスも優しい笑みを見せている。そんな三人の姿がとても愛しく感じられた。

それから俺が帰ろうとする前にアリサが声を掛けてきた。彼女は俺のことをじっと見てきている。そしてなぜかその頬は紅潮していた。

「リ、リディアスと何を話していたのでしょう? まさか、いやらしい話をしたり、とか。わ、私のことを好きって言ってましたか?」

なぜいきなりこのようなことを言われているのだろうかと思っているとリディアは何か察した様子を見せる。そしてなぜかアリサに対して鋭い視線を向けた。すると彼女はビクッと震えたのである。

「何を言っているんですか、あなたは。ユウマと私は同じクラスになったばかりの初対面ですし、あなただってそうじゃないですか。だから、私は別にあなたに言い寄ったりしませんよ」

リディアの言うとおりだったのだが、それでもアリサの態度に変化はなかった。ただ、リディアスやリディアに対しては強気で接しているように見えるのに俺のことになると途端に不安になるのが不思議だった。ただそれは、今までずっといじめられてきたのが原因で自信を失っているということかもしれないが。

そこで俺のことをよく知る人物であるリディスに声をかけた。

「リディアもリリスもいるんだ。アリサのことが心配なんでしょ?」

すると彼女は苦笑いを見せたのだ。そんな彼女は続けてこんなことを言う。

「それはまあ。だってリディアが彼と一緒に登校してきたのがきっかけだったわけで。私がどれだけリディアを大事に想っているのか知っているはずなのに。もう、リディアはひどい子なんだから」

「ふふっ、それは申し訳ありません。でもいいじゃないですか。そのお陰で私は、あなたのことをちゃんと知れたんですよ。これからたくさん楽しいことを二人で作っていくのではないですか。リディアのことを大切にしてくれてありがとうございます。でも安心してください。私が必ずリディアを守っていきますから」

「もうっ、リディアってば」

リディアがリリスにお礼を言うと、彼女は嬉しそうにしながら照れ臭そうにしている。そしてリディアに抱き付いてその胸の中に埋めていくのだった。

俺は、この二人がこの学校でうまく馴染んでくれそうだと思えるとほっとした気持ちになっていた。しかしそれと同時に、俺はここで上手くやっていけるのかという疑問が生まれた。リディアとはクラスは違うとはいえ一緒の高校なのだ。

リディアス達との話がひと段落した後で俺の方に向かって歩いてくる少女がいる。その人物は俺の目の前で立ち止まる。茶色のポニーテールをした彼女を見た時、俺の心が温かくなった気がした。俺にとっては大切な思い出の人である彼女が、こうして元気な姿で俺の側に来てくれたから。俺にとって彼女はとても大事な存在であるのだ。だからこそそんな彼女とは再会したらまずは名前を呼ぼうと思っていた。

俺が見上げるようにして彼女を見ていると彼女は口を開いた。

「久しいね、ユウマ」

「久しぶり、リリス」

「覚えていてくれたんだね」

「そりゃあね。忘れたくても忘れられないさ」

「あははっ、それもそうかも」

俺が冗談っぽく言うとリリスは可憐に笑う。すると彼女は俺の手を取ったのだ。そして、ゆっくりと俺の手を自分の頬にくっつけた。俺の手が触れたことでリリスは幸せそうな笑顔を見せてくれる。それが嬉しかったのだ。ただその一方で、リディアは俺の左手を強く握ってきた。リリスとリディア、この二人が仲良くしてくれたらいいなと思う。

リディアの方に目を向けると彼女は微笑んでいた。きっと俺の考えを理解してくれているんだろう。俺とリディアの絆は確かなものだと感じられる。

それから、しばらくするとリディアとリリスの二人の手を放して鞄を手に取る。すると教室の入り口付近でこちらの様子を窺っていた女の子達が一斉に駆け出してくる。そして俺を取り囲んだのである。

この学校の女子のレベルが高いのは事実だが、それにしても俺の周りには可愛い子が多すぎる。俺は、この状況をどうしたものかと思いながらとりあえずリリスとリディアのほうに振り返る。そして助けを求めようとした。その時、リディアは小さく首を横に振っていた。それだけでなく、彼女は呆れたような表情を浮かべていたのである。

俺はこの現状からどうやって抜け出すのかを考え始めたのであった。

ただ俺はこの世界に来るまで女慣れはしていなかったし。正直なところこういった経験は全くなかったのだ。そんな俺が、このような状況から逃げる手段を持っているのか? そもそもリディアに迷惑をかけないためにも俺はどうするべきなのか。

そうこう悩んでいる間にリディアの表情はどんどん曇り始めているように見えた。その様子を目の当たりにして焦ったところで教室内が急にざわつき始める。一体何事だろうと思って周りを見渡すと、教室のドアのところに誰か立っていることに気づいた。俺がその人の方へ視線をやると彼女は嬉しそうな笑みを見せてから、こっちに向かって歩き始めてきたのである。

(あれはもしかしてリディアス?)

この世界で、唯一俺の味方だと思っている存在だと思っている。だから、そんな彼女の顔を見ると安心感を覚えてしまった。彼女のためにも早くこの状況から抜け出さなければならないと思ったのだ。

しかしそんなことを考えていても現実は厳しいものだった。というかむしろ厳しくなっていた。なぜならリディアスがこちらへ向かってきたからだ。彼女は俺達の近くに来た。

そして俺を取り囲む女性陣を一睨みしてから口を開く。

「皆さんこんにちは」

「は、はい」

リディアスが話しかけると、女の子達は素直に従っていく。その光景はまるで犬みたいだった。

「ユウマ君が困っているように見えますので私達は教室に戻りたいのですが、構いませんでしょうか?」

「も、もちろんです!」

その一言によってようやく俺はリディアスの側から解放された。そしてリディアとリリスも一緒に俺達についてきている。

「リディアス様もユウマ様のことをよく思ってくださっているようで良かったです。私としても嬉しい限りです」

「そうですか。ユウマ君は優しい人ですから。あなた達に危害を加えるような真似をすることはないでしょうけど、あまり彼を誘惑するような行為はしないようにしてあげてくださいね」

そう言ってリディアスは優しい笑みを見せると、今度はこちらへと向かって来る。そして、彼女はリディアとリリスに挨拶を始めたのである。

その後ろ姿は凛としていて格好良く見えたので、つい見とれてしまうのだった。

***

「はぁー、助かったよ」

「私だって同じ気持ちだよ」

「そうか、そう思ってくれてるなら良かった」

「だって私だってユウマと一緒に学校に行きたかったんだよ。なのにあの子たちが邪魔してきちゃうしさ。それにリディアと二人きりになりたいのに」

リディアの話を聞けば聞くほど俺もそうすればよかったと強く思った。だけどそれはできなかったし、リディアだってそう思っていたはずだ。俺がリディアスと会っていれば彼女は他の生徒達の対応を俺に任せたりはしなかったかもしれないのだし。そう考えると少し後悔していた。ただその反面でリリスのおかげであの状況から逃れられたことを喜ばしく思う自分もいたので複雑な心境だったのだ。

「ねえユウマ。今日のお昼ご飯は食堂で食べない?」

リディアの提案に対して俺はすぐに反応を返せなかった。そのせいかリディアが悲しそうな顔をしていたのである。そしてなぜか彼女は頬を大きく膨らませて、そっぽを向いてしまった。

(これはマズイ。どうにか機嫌を取らないと)

リディアの機嫌がなおるまで、かなり長い時間を要してしまいそうだったのでリリスの方に助け船を求めた。すると、彼女は俺が求めていたことを分かってくれたようだ。リディアに耳打ちをして何やら話し出したのである。するとリディアは、俺に向かって微笑んでくれた。

「ごめん、ちょっと驚いて。そうだね、たまには食堂も良いかもね」

俺が返事するとリリスはとても楽しそうに笑いながら俺の手を引いて歩き始めた。リディアもリリスの後を追ってついて来ている。俺は彼女達に連れられて校内を歩いて行くのだった。


***

食堂に辿り着くと、すでに多くの生徒が座っていた。ただ、空いている席はある。だから、三人で座ることができたのだ。そして俺はリディアと一緒に食事を始めることにした。

「美味しい?」

「うん、美味しいよ。この料理は初めて食べるな。なんという名前なんだい?」

「それはビーフシチューっていうの」

リディアの作ってくれたビーフシチューはすごく柔らかく煮込まれていて口の中でほろりと溶けていくようだった。俺がその味に夢中になっているとリディアが嬉しそうな笑顔を見せてくれる。リディアスの方を見てみると彼女はとても美味しそうにビーフシチューを食べていたのである。リディアが幸せそうで俺としては凄く安心できたのであった。

ただリディアとリリスは普段の学校でどんな感じで食事をしているのか気になるのである。リディアの作ってきてくれる弁当のおかずは俺が知っているものではないので。二人は毎日違うものを持ってきて交換したりしているのかと想像してしまうのだ。

ただ、今はまだこの学校に馴染むことに全力を尽くすべき時なので、リディアとの思い出は後回しにすることに決めた。今はリディアの友達になってくれそうな人をたくさん作るほうが先なのだから。


***

放課後になると、俺は図書室に向かった。目的はただ一つ、昨夜の出来事について調べるためである。

(昨夜のことについて知っているのはユイとラティスだけか)

ユイはおそらく、あそこで出会った少女が誰か分かっているのではないだろうかと思う。だから彼女に相談を持ち掛けてみることにする。そうすればユイは俺の力についてのヒントを教えてくれそうだからだ。

図書室に入ると司書さんが一人いるだけで他には誰もいなかった。とりあえずカウンターにいる彼女に近づき、声を掛けてみることにした。

「すみません、ちょっといいですか」「はい、どうかしましたか」

彼女は不思議そうにしながらこちらを見る。

「えっとですね。今日ここに来る前に不思議な少女と出会ったんですよ。その子はどうやら異世界から来たらしくて」

そう言うと、彼女は納得したように手を叩いた。

「なるほどね。あなたがユウマ君なのね。私はリディシアといいます。よろしくね」

彼女は優しく笑みを見せてくれる。俺はそんな彼女の笑顔を見ると自然と頬が熱くなるのを感じたのだ。

リディアの名前を知っていたのは彼女が有名人であることも関係しているが、この世界でたった一人の友達だからというのもある。

「はい。リディア、ですよね。でもどうして俺のことを知っていたんですか?」

「まあまあ気にしないの。それよりもユウマ君の力については大体把握できていますよ。私が教えなくても自分で気が付いていましょうし、この話はこのくらいにしておきましょう」

リディアが言い終わったところで奥のほうから物音がしたので、その音の正体を確かめるために近づいてみた。すると、そこには黒髪の少女が立っていた。

「こんにちは、あなたが噂の人ね。私はラティス、ラティと呼んでください。リディアちゃんは元気にしています?」

「もちろん、いつもリディアは元気に過ごしてくれてますよ」

俺が返答すると、ラティはとても嬉しそうに笑う。その表情はまるで太陽のように明るく綺麗だった。そんな彼女を見てしまうと、なぜだか分からないがリディアと同じような雰囲気を感じ取れた。きっとラティもリディアと同じように優しそうで可愛い女の子なのだろうと思ったのだ。

「それじゃあ、早速本題に入りますけど」

「はい、俺が知りたいことは、俺のこの世界のことではなく別の世界からやってきたという事について、それから俺自身のこの能力についてです」

俺が尋ねると彼女は大きく目を見開いて驚き始めた。俺がそのことを尋ねても平然としていたように見えたのだが、やはり驚いた様子を見せている。もしかしたら何かを隠しているのではないかと疑ってしまうほどだった。そんな様子を不審に思いながら見ているとある事を思い出したのである。それはリディアとの出会いだ。彼女は初めてあったときから俺のことを異世界人であると確信しており、さらに名前まで当ててくれた。それには違和感を抱いていたのだった。

だからといって俺のことを信用してくれているリディアのことを責めることはできないのも事実だ。俺自身、彼女と仲良くなってリディアスとも一緒に行動していきたいと考えているからである。だからここで改めて確認を取る事にした。

「やっぱりおかしいですか? でも俺は自分の事を別の世界からきた人間だと思うんです」

「いえ、その通りだと思いますよ。そうよね、ユウマ君は特別な存在。リディアはユウマ君に会ってすぐに気付いたのね」

彼女はリディアのことを高く評価しているようだ。それだけに俺も嬉しいと感じてしまう。

俺とラティアの会話を横で聞いていてリディアも興味津々なのかこちらの話を聞いている。だけど彼女は、すぐに質問したいことがあるようでラティに向かって手を差し伸べた。それに対してラティアは嬉しそうにしている。

「ああごめんなさい。そうだったわね」

そうしてリディアの耳元でラティアが何やら小声で喋り始めるとリディアは何度も小さく首を縦に動かしたのだ。そうして再び俺達の方に向き合う。そしてラティが説明を始めてくれた。

まず俺達が今いるこの場所はリディア達がいるこの国の学園で間違いないこと、そして俺がこの国にやってきた理由は召喚されたのではなくこの国に勇者として招かれたためだということをリディアとラティが詳しく話してくれた。

(そうだったのか。つまりは、俺がこの世界に来たのは、俺を勇者にするためだったということだ。そしてその理由がリディアスと婚約関係にあるからということか)

そこまで分かると、ある疑問を抱くことになる。

(ということは、俺は魔王を倒す使命を持っているんだよな。だとしたらどうして今までにモンスターが現れなかったんだ?)

リディアスの言っていた言葉は嘘だという事になるのではないだろうか。

(もしかすると魔王と勇者の間には何か繋がりがあるんじゃないか? そしてそれは魔王が俺を呼んでしまうほどの重要なものなんだ)

「どうかされましたか、ユウマ様?」

俺が難しい顔をしていたせいか、リディアとラティアの二人が心配してくれる。だから俺は正直な気持ちを伝えることにした。ただ、リディア達にとっての俺の立場は大切な友人なのでその点は伏せたうえでだが。

「ありがとうございます。俺をここまで連れてきてくれた二人に心の底から感謝しているんですよ。ただ俺は、リディアと出逢えた事が嬉しくて嬉しくて。この学校に来て良かったと思っています」

俺が笑顔を見せると、なぜかリディアの顔が赤くなっている。俺にはその原因が分からなかったので首を傾げてしまう。するとラティが小さく微笑んでいた。その表情はリディアと似ている気がするのだ。

「ユウマ君はとても優しい子ね。あなたの事は、私の方でいろいろと考えさせてもらっても構わないかしら」

そう言って俺の目を見つめてくる。その真剣な雰囲気に押されてしまった。だから俺は何も言わずに黙って彼女の言葉に従うことに決めていた。そうして図書室を出ることになったのである。

リディアとリディアスに手を引かれながら廊下に出ると、俺はラティスの姿がないことに気付いたのだ。

(さっきまでの話は彼女達に関係することなのだろうか)

そして気付いたのだ。この世界に来なければ俺が彼女たちに出会うことがなかったのではと。だからこそ、この出会いを大切にしようと決意を新たにしたのであった。

そうこうしているうちに校舎の外へと辿り着く。そこでリディアが立ち止まったのである。彼女は俺の目の前に手をかざしてきたのだ。そして小さな声で「リディアスにバレないように」と言う。

その声はとても切実なものを感じ取れたので俺がリディアの手を握ってみると彼女が俺の手を力強く握り返してくる。それは俺の心に強い意志を伝えてくれるものだった。そう、だから彼女に任せれば大丈夫だと信じられたのであった。

リディアの手に導かれるままに進んで行くと一つの扉の前で立ち止まる。そこには「リディアスの部屋」と書いてあった。リディアがゆっくりとノックをする。すると部屋の中に入るように促される。俺はリディアと一緒に部屋に入ると、彼女はそっとドアを閉めたのである。リディアスと俺はソファーに向かい合わせになって座ることになった。

「リディアさん、ユウマさんを部屋に案内したみたいですけどどういう事ですか」

リディアスの口調からは少し棘のようなものを感じる。それは当然だろうと思う。リディアがリディアのお父さんのために頑張ってくれているのだから俺が文句を言う権利などないのだから。それにこの学校に通わせてくれているのは他ならぬリディアなのだ。その彼女に迷惑をかけるわけにもいかない。だからリディアスに怒られるかもしれないが俺は本当のことを話そうと思う。リディアはきっと、それを許してくれるだろうと思えてきたからだ。

「えっと、リディアとは図書室で出会ったんだ。彼女は友達がいないようだったから」

そう言うと、俺の言葉に反応したのか彼女は悲しそうな顔になった。そして「私とラティも友達だよ」と伝えて来る。

「もちろん、リディアとラティも俺の友達だよ。ただ友達を作る機会が無かったから友達を作ろうとしたんだけど上手くいかなくて。だからリディア達に会えて本当によかったと思っている」

リディアスの視線が鋭いものになっているが俺はそのまま話を続けた。リディアと出会った時の出来事を話し始めると、次第に彼女の瞳が輝いているように見えたのだ。

「それで俺とリディアとで友達になった。だけどラティとも友達になりたかった。だからラティのところへ行って話をした。そうしたら、ラティはリディアの事を教えてくれたんだ。それで俺は彼女のために何かしてあげたくて、この学校に入学させてもらえないかとリディアに相談した。それが今の状況だ。でも俺のせいで二人の時間を邪魔してしまっているから、リディアが俺に謝りたいのであればいくらでも謝るよ。ごめん、リディア」

そう伝える。すると、今度はラディアの口角が上がっていた。どうやら機嫌は直ったようだ。そうしてリディアは優しく笑みを浮かべる。

「ユウマ君は何も悪くありません。悪いのはお父様のやり方ですから。それじゃあ、これから三人で楽しく過ごしましょうね。それとユウマ君は私たちにもっと甘えても良いのですよ」

その言葉を合図にするようにリディアとリディアスが俺に向かって抱きついてきたのだった。そして二人して俺を見つめているので、とても恥ずかしくなってしまう。

そんなときだ、リディアは唐突にある提案をしてくれたのであった。それは俺がリディアの家で生活しないかという事だ。それについては、まだ考える時間が欲しいと言って断ってしまったのだが。リディアが寂しそうにしていたので罪悪感が生まれてしまい、リディアの申し出を受け入れるべきかと迷ってしまうのであった。

(やっぱり俺にはリディア達と別れるのは辛すぎる。だって、この世界の事を何一つ知らないまま一人になってしまうという事になる。それを考えると心細くて仕方がないのだ。せめて何かヒントだけでも貰うことは出来ないのだろうか。この世界のことを知ることができるような)

そう考えたときに俺の視界の端で何かの光が見えた気がした。だからそちらの方を見ると、そこには一冊の本が机の上に置かれていたのである。俺はその本を手に取って見てみると、表紙は日本語で書かれていた。その本のタイトルは「魔法について知ろう! 魔法の教科書 初級編 リディアス著」と書かれていたのだった。そして著者の名前を見たとき、俺は驚きのあまり目を大きく開けてしまう。

その本を急いで開くと最初のページには大きく、リディアスという名前と「魔法学園の卒業生」と書かれているのを見つけた。

(この本の著者が、あのときの女の子なのか。ということはこの本に何かヒントがあるんじゃないのか?)

そう思った俺はリディア達が俺から離れるとすぐにリディアに頼んでこの本の続きを見せて貰ったのだ。それは「上級編 魔法学園の先生より 魔法とは何か? リディア編」というタイトルで書かれており、内容を読み始めたのだった。その章では「属性とは」という内容が書かれているので俺にとって興味深かったのだ。

まず、属性というものは、火、水、土、風、光、闇の6つの種類が存在しているらしい。ちなみに、それぞれの性質は次のようなものになる。

「火は破壊、光は再生、闇は侵食を象徴していると言われています。そしてどの種類の力であっても使う人によっては、人の役に立つものになるんですよ」

俺はリディアから借りた「魔法の基礎知識」を読んでいる。

その本の冒頭に書かれている内容を俺なりにまとめていくと、つまりは自分の使える魔力の属性に合ったことをすることで色々なことが出来るようになる。そして自分の得意な魔法が分かれば戦いのときに相手よりも有利になれるかもしれない。さらに自分の属性が分かれば、どんな武器にするか決めるための材料にもなるという事だった。

(つまりは俺が使えたら便利だなって思える能力にポイントを割り振ればいいのか)

そして、次に俺は、そのページをめくっていき、この世界の歴史について読んでみたのだ。その結果、やはり魔王はこの世界では脅威の象徴らしく魔王を倒すことがこの国を救うことだと言われていると分かった。

「そういえばリディアの父親は確か魔王を倒しに向かったんだよな。それで結局は失敗したと聞いてたけど。どうして失敗してしまったんだろうか。そのへんのことを聞ければ参考になるとは思うんだけど」

俺がリディアに問いかけると彼女は少しだけ顔を曇らせる。だから俺はリディアに謝りたくなってきたのであった。

「すみません、変なことを聞いてしまって」

するとリディアは首を左右に振っている。

「いえ、別に気にする必要はありません。ただユウマ君が知りたいというのであれば教えてあげます。そう、私のお母様も、私とお姉さまのお父様も。皆、魔王と戦う前に死んでしまったんです。その事もあって私は戦うことが出来ないでいます。だからこそ、私のお父様はリディアスを後継者にしようと考えたのかもしれません。そうしなければ、私の命も危険ですから」

俺はその言葉の意味がよく分からなかったのだ。でも、俺のためにリディアの命が失われてしまう可能性はある。それは絶対に回避しなければいけない事態だと思う。だからこそ俺は「大丈夫です。俺があなたを守り抜いて見せます」とリディアに伝えたのである。すると彼女は優しい笑顔になってくれたのだ。そして、俺は気になっていたことを聞くことにする。それは彼女の母親のことだった。そのことについて尋ねると、リディアは俺に微笑みかけてくれる。そしてゆっくりと話し始めたのだ。

「母は昔はとても元気な人でした。だから私はよく、一緒に遊んでいたのです。ですけどある日突然、病に倒れてしまったのです。そして、それからしばらくして息を引き取りました。その時の私はまだ7歳でした。そのときのことはよく覚えているんです。とても悲しい気持ちになったことも。そして、それ以来、私が戦わなくなった原因なのですよ」

「そんな辛い過去があったなんて知らなかった。それなのに無理をして話してくれてありがとうございます」

俺の言葉に対してリディアは優しく笑うだけだったのだ。きっと、彼女は今のように誰かに優しく語りかけるだけで幸せを感じるタイプなんだと理解したのであった。そう思えたことで俺は彼女に好印象を持つことが出来た。それに俺が知っている女性の中でもリディアはかなり美人であるから尚更だ。

(やっぱりリディアさんは可愛いですね。お兄様の好きな人だというのが少し残念ですが)

ラティスの心の声が聞こえるが俺はリディアの優しさが好きだ。だからリディアのために何かしてあげたくなるのである。それは、ラティがアリサに抱いている思いと同じようなものだと思った。

俺とラディアとラディアスが3人で過ごす日々が始まって1ヶ月が経過していた。その間、毎日楽しく過ごしていたのである。しかし、そんなある日の事、いつもと同じように俺たちが食事を取ろうとしているときにリディアスが話しかけてきた。

「ユウマ君、今日はお父様と一緒に晩餐会に来ないですか?」

「それってもしかすると、あの時のパーティーのような食事が出るっていう話か?」

そうなのだ。俺とラディアが初めて出会った時にリディアスの父親が主催する食事会が開かれていたのだった。その食事会は俺とアリサの入学祝いも兼ねた豪華なもので美味しい料理を食べながら貴族たちとの会話を楽しんだのだった。そんな記憶を思い出しながら質問をしたところリディアスは嬉しそうに笑っていた。だから俺も思わず笑顔になってしまう。

(リディアが楽しそうにしている姿を見ると、俺も嬉しいよな)

そう思って俺は笑みを浮かべる。

そんなときだ。リディアがラディアとラディアスを呼び出し、小声で何かを話すと、2人は納得したような表情をしていたのであった。

(一体、何を相談していたんだろう。気にはなるが、まぁ大したことではないだろう)

俺としてはリディアたちが俺と仲良くしてくれていることが何よりも大切なことであるから特に詮索はしなかったのである。するとラディアは、ある疑問を口にしたのだった。それは今日の夜に開かれるリディアスの父親と、リディアの母親が出席するであろうという晩餐会の事である。それについて、俺は「ラディアの言うとおりだよ。だって、リディアがあんなにも張り切って準備をしているからな」と答えておく。すると、ラディアが「それなら、楽しみです」と言ってくれたので俺としても嬉しいのであった。そして、夜になると予定通り、王城へ向かうことになる。

「さてと、ユウマ君、お父様はあの部屋にいると思います。どうかお父様と話してきて下さい」

そう言われた俺は、大きな扉を開くとリディアスが立っていた部屋に入り、そして部屋の奥へ進んでいく。そこには一人の男が立っている。その男は、とてもダンディな男性で俺を見て驚いたように口を開いている。

そして彼は口を開いた。

「まさかリディアの婿候補を連れてきてくれるとは。それでは君は私の後継者として育ててもいいと言う事だね。ならばリディアの事は任せたよ」

「待ってください。俺はあなたの後継者ではありません。俺がなりたいのはあなたの友達になることであって、後継をするために会いに来たわけじゃ無いんですよ。そもそも俺はこの国の出身ではないですしね」

俺の発言にリディアは「ユウマ君が私の旦那様になればいいんです!」と、どこか必死になっている。それに対してリディアスが、「そう慌てるものではない。まずは彼に魔法について教えるのが先だろう。そして彼がこの世界に慣れた後であればいいと思うのだが」と言ったのだった。そしてリディアスは、リディアスの父親のところへ向かい、何かを話し始めた。

リディアの父親と話を始めて数十分くらい経つと、俺の方にリディアスがやってきた。俺はそこで、彼女が手に小さな袋を持っていることに気づく。そのことに首を傾げつつリディアを見つめた。すると彼女はその袋を差し出してきたので俺も素直に受け取る。

そして中を確認してみるとお金が入っていることが分かった。その事に驚いてリディアに確認すると「それはユウマ君の学費です」と言われるのであった。だから俺がどうしてこんなことをしてくれるのか理由を尋ねた。

するとリディアは少し困った顔をしながら説明してくれたのだ。それはこの国の伝統のせいらしい。それは貴族や王家が後継者を選ぶときは、候補者は自分が持っているものを相手にあげるのが決まりなのだそうだ。だから、リディアの父親が後継者候補に魔法を教えるための費用をくれたという事らしい。つまりは魔法の本もタダでは貰えなかったという事になるようだ。しかし、ここで疑問に思うことがある。それはリディアスも、そして彼女の息子であるラディアスもまだ魔法を使えるわけではないはずだからである。だが俺の疑問に対して答えてくれたのはラディアスだった。

ラディアスによると、彼の場合は母親が魔法使いであることもあり、そして彼自身の資質もあるので既にある程度の魔力があるとのことだ。ただ、やはり俺ほど強い魔力はないらしく、だから今は魔法の特訓中であるという話だった。

そうしてリディアとラディアスと別れてから俺は自室に戻り、そのお金のことについて考える。しかし、その事をアリサに相談したら「別にユウマさんの自由に使えば良いんじゃないでしょうか」と言われたので、とりあえずは有り難く受け取っておくことにしたのである。

それから数日後、リディアの父に呼び出された俺は、リディアの夫になるために試練を受ける必要があると言われたのだ。そんな言葉を聞いて俺はもちろん断ろうとする。でもリディアナの父親は俺に選択肢を与えてくれることはなかった。なぜなら俺の意思に関係なく、リディアの父親によって勝手に試験を受けさせられることになったからだ。しかもそれは国王陛下の命令ということだったので拒否することは出来なさそうである。

だから俺としても仕方がなく試験を受けることを決意した。そして翌日から俺は様々な訓練を受けることになる。リディアの父親からは剣術や武術の指南を受けたのだ。また他の人たちからも色々と話を聞いたりしたのであった。

その日の夜に俺はベッドの中で寝転がりながら考え事をしていた。その内容は明日の試験についてだ。リディアの婚約者となるために必要な事について考えているのである。その結果としてリディアの父親が俺に与えると言っているものは3つあるという事が分かった。

その1つ目はリディアに結婚の申し込みをする事。

その2つはリディアに認められなければいけない。

その3つは魔王と戦う力があること。

(これを考えるだけでも頭が痛くなる。だけど、その魔王が復活してしまう可能性については考えておかないといけないんだよな。だからこそ俺はリディアのためにも魔王と戦い続けなきゃいけないんだけどな)

そのことは、もう諦めるしかないと俺は思っている。でもせめて、この世界のために戦うことで、そしてラディアを守ることで俺が出来る限りのことはしたいと思っているのだ。でも、そのラディアのことを考えると、どうしようもない寂しさが心の中に押し寄せてきた。そんな俺の様子を察したのか、ラティスは優しく微笑んでくれる。だからラティに感謝しつつ頭を撫でることにした。するとラティスは気持ち良さそうな顔をする。そのラティスの様子を見ながら俺はこれからのことを再び考え始めるのであった。

翌朝になり、朝食を食べるために食堂へ行く。そしていつものようにリディアたちと合流し食事をすることになるのだが、その食事の時に俺はリディアから衝撃的な発言をされるのであった。

俺はリディアの言葉を聞き思わず「リディアがお嫁に行くの? えっとそれは誰のお嫁さんになるの?」という言葉をつい言ってしまう。そんな俺の質問に対してリディアは笑顔のまま、ある男性の名前を告げる。その男性の名はラティスの父親の執事であり、俺にとっては師匠とも言える人だったのである。

(あの人なら信頼できるし、ラティスの父親ということもあって安心して任せることが出来るけど、いきなりリディアがお嫁に行っちゃうなんて)

そんな不安を抱くがリディアは俺の耳元に近づいてきて「私が結婚したいのはユウマ君だけですから」と囁いた。その言葉で俺は安心するがリディアの顔を見るとどこか頬が赤くなっていたのだ。きっと俺の気のせいだろうとは思いつつも「ありがとう」とお礼を伝えると彼女は笑みを浮かべたのであった。そうしているとリディアが「それでは今日から、私はユウマ君に勉強を教えようと思います。ユウマ君は今、自分のレベルがどれだけなのか分かってないですよね」と、言った。確かに今の俺は自分がどれくらいの強さでどのレベルの魔法が使えて、何が得意で苦手かなど分かっていない状態である。そのため俺は彼女の提案を受け入れ教えてもらう事にしたのだ。

ただ、ラディアスだけは別行動をとることになる。彼は母親の手伝いをするためにお城の仕事を手伝うことになったのである。

それから数時間後に俺たち3人は図書館へと足を運んでいた。その目的は俺が自分のステータスを調べるためだった。

そしてラディアスと別れた後、俺は一人で訓練用の服を身につけて剣を握り締める。そして目の前にいる的目掛けて走り出し剣を横に振る。しかし攻撃は命中しなかった。そしてすぐに後ろに下がる。

するとラディアスからアドバイスが飛ぶ。ラディアス曰く「ユウマはもっと動き回る方が良いと思うぞ。そうすれば相手の意表をつけるだろうしな」と、言うのだ。ラディアスのアドバイス通りに俺は動いてみたがそれでも相手にダメージを与えることはできなかった。するとラディアスは言う。「それなら相手が避けられないように魔法を使ってみろよ」と、言われ俺は試してみる。

(確か魔法を使う時は頭の中で使う魔法をイメージしたら良かったはずだよな。だったら火属性の攻撃をイメージしてみるか。それで魔法名を唱えるんだよな。えっとどんな魔法を使えばいいんだ?)

俺は魔法の事について思い出して考える。するとラディアが助け舟を出してくれた。「例えば炎とか水はダメなんですか」と言うのだ。だから俺もそれを実践することに決める。

「炎よ現れ敵を燃やせ『フレイム』」

そしてその魔法名を声高々に唱えるが、何も起こらない。だから俺は何度も練習をするのだが一度も成功しなかったのである。

その後、しばらく練習を続けているうちにラディアが俺の方を見てくる。そして口を開いた。その言葉は意外なものだった。なぜなら、俺は既に初級魔法のファイアボールを唱えられるというのだ。ただ、なぜ使えるのかはラディアには分からないという事らしい。

しかし、それは当然の事なのかもしれない。何故ならば、俺自身が覚えている魔法以外の魔法について知識がないのだからである。だが、魔法を覚えること自体はそれほど難しくはないようだ。なぜならラディアが俺に対して「ユウマ君も一度、この魔法を覚えれば他の種類の魔法についても理解が深まるかもしれませんね」と言ってくれたのだ。その言葉を俺はすぐに信じたわけではないが、それでもやってみる価値はあると思うようになった。

そしてラディアと一緒にいる時に彼女に魔法を教えることになったのである。そうしてラディアの魔法特訓が始まるのだが俺が魔法を覚えたのは次の日の昼だった。それも、ほとんど感覚的に使えるようになってたのである。これは俺が特別だというわけではない。ラディアの特訓方法と相性が良かったからだと思う。

ラディアの特訓は実戦形式での練習が基本である。つまり模擬戦をやるということだ。その方が俺もイメージがつきやすいので、ありがたいと思った。また俺が魔法の習得に成功した時の喜びを味わえたのも、それが大きな要因になっていたのだ。だから俺はその日から魔法の鍛錬に励むことになる。

それから数日が経過した頃、ラディアに呼び出された俺は、彼女の部屋に訪れていた。部屋に入るなりラディアに挨拶をすると彼女が俺を抱きしめてきた。だから俺もそれに答えるようにしてラディアを抱きしめ返すのであった。

しばらくしてラディアは離れると椅子へ座る。そんな彼女に向かって俺は問いかけた。

俺が魔法の訓練を始めたのを知った彼女が「魔法の訓練を始めようと思うんですけど一緒にやりますよね」と言われ俺はその言葉に了承したのだ。そうするとラディアは「それじゃあユウマ君の実力がどれぐらいの物なのか調べましょう」と言った。俺はその言葉の意味をあまり深く考えてはいなかった。そしてその言葉がどれほど重要なことであるかも分からなかったのである。

それからラディアに言われた通り俺は準備をして外に出た。そして俺が訓練を始めるのを確認したリディアがラティスと共に現れた。それからリディアたちは見学することになったのである。俺はそれから何度かの魔法を唱えていった。そしてその結果は、ラディアは目を丸くして驚いており、ラティに至っては何も喋らなかった。しかしリディアは冷静な口調で「凄いわ。私よりも魔法に関しては上回っているのかもしれないわ」と、言っていた。そのリディアの言葉を聞いた俺は少し嬉しくなってしまう。そしてラティスはラディアの腕に抱きついて頬ずりをしている。その姿があまりにも可愛いので俺も頭を撫でると、リディアは「ふぅ、やっぱり親子ですね」という言葉が聞こえた気がしたが気のせいだと思っておくことにする。

それから、その日一日は、ひたすら魔法についてラディアから教えてもらった。特に魔法の名前や種類については詳しく教えられたので俺は魔法についての基本的なことは分かったのである。また、俺は自分以外にこの世界の人がどのように魔法を扱っていてどのような効果があるのかを知ることも出来たのであった。

ただ、それはラディアの魔法についてだけだ。だからリディアやラティスについては知らないのである。そうして夜になり夕食を終えた後は、いつものラディアの部屋で彼女と二人っきりの時間を過ごすのである。もちろん、ラディアとの愛を確かめ合うことは忘れずにする。その日の夜に俺は自分のスキルを見てみることにした。すると俺は自分の能力値の低さに驚くと同時に納得していたのだった。

(レベル1ってのもあるんだろうな。だけど体力は普通の成人男性と対して変わらないし、知力も普通だよな。これなら、この世界の平均はどうなっているんだろうか? こうなった原因は俺の能力の低さだから気になってしょうがない)

そんなことを考えながら俺は眠りにつくことにした。

次の日の朝になるとリディアが起こしてくれるのだが、今日に限ってラティではなくリディアであった。

そんなリディアの姿を見た瞬間、俺の体に異変が起こる。何故かというとリディアとラディアの顔が被ったからである。しかも二人の表情が昨日の夜の事を鮮明に思い出させたのである。その事で、朝から興奮状態になってしまった。そんな様子に気付いたのかリディアは優しく微笑むと俺の手を握ると「ユウマ君、大丈夫ですから。私はユウマ君だけのものですから安心してください。それとラディアス様から話は聞いています。これからユウマ君は毎日のようにラディアス様にお世話をされることになります。なので、ラディアス様に全てを任せても良いんですよ。でも、ユウマ君は私が欲しいのであれば求めてくださってもいいんですよ。ただし私が許せる範囲だけですよ」と言ってくれる。

(リディアさんが言う通り俺には、もうこの世界で頼れる人はラディアスしかいない。その事は俺自身よく分かっているしな。それにしてもリディアさんと、あの人の関係はどういう関係なんだろうな? まぁ今となっては関係ないか)

俺はリディアに返事をする代わりに唇を重ねようとした時だった。ラディアが部屋の中に入ってきたのだ。そのラディアが、なぜかラディアスからの手紙を手渡してきた。その内容を読んでみると、今日は用事があるために俺の面倒を見る事が出来ないという内容だった。それを知った俺がショックを受けているとラディアは言う。

「ユウマ君、落ち込まないでください。私がいるじゃないですか。ユウマ君に魔法を教える事も出来ませんが、ユウマ君と一緒にいるだけで幸せを感じていますよ」

その言葉が俺の心を癒すかのように響き渡ったのである。それから朝食をとった俺は図書館に向かう。その途中でラディアスに会うが俺は彼に向かって言う。「ラディアス君、俺は今日はラディアと二人で行動するよ。それでいいよね?」と、俺が問い掛けると彼は快く承諾してくれた。それから俺はラディアと行動を共にすることが決まると俺はラディアと腕を組んで歩き始めるのだった。その道中、俺はリディアのことについて話した。

ラディアは最初は黙っていたがラディアスから話を聞いていたようですぐに理解したようだ。そうして俺とラディアは王都の中にある図書館へと向かう。そこには数多くの本が所蔵されているのである。そこで俺とラディアは、お互いに本を読み進めていたのだが俺は魔法について記された書物を見つけた。(そういえば、魔法を使うために必要なのはイメージだったよな。なら、火とか水とかを操れれば良いわけか。なら簡単じゃないか)

俺は、そう思うと早速魔法を唱える事にする。

「火の神が作り給いし世界。水の神が造り給いし世界を壊すことはならぬ。我が望みは神の力を顕現する事なり」

俺は魔法を唱えた後で魔法名を叫ぶ。すると、手のひらの上に小さな魔法陣が現れたのだ。そして俺は、その魔法を発動させてみる事にすると、なんと炎が出現したのである。そして、俺は魔法を使った後に魔法名を言うことを思い出し、炎の初級魔法を『ファイヤーボール』と呼ぶのであった。その魔法名を唱え終わった直後だった。

「うっぐ」

突然の吐き気に襲われる。そして、それと同時に俺は意識を失った。俺が意識を取り戻すと目の前には、ラディアが心配そうな顔をして俺を見ていたのだ。そして、ラディアに俺は聞くことになる。

「俺の身に何が起こったんだ?」

その質問にラディアは答える。俺は、魔力を使い過ぎた事が原因で気を失っていたのだというのだ。俺が気を失う前に行ったのは魔法の実践訓練である。俺はラディアの指示に従って魔法の実践訓練を行った。そして俺は、ファイアボールを何度も繰り返して発動させようとした。

しかし、ファイアボールを何度も試して見たのだが一度も成功することは無かった。俺は何度も練習をしたのだがファイアボールを成功出来ず、ラディアからは、これ以上魔法を使用するのを止めておくように言われるのだった。だが俺は、ファイアボールを何度も練習して見たかった。だが、俺は何度もラディアから言われてしまったのである。

そして俺とラディアは、再び魔法の特訓を行う。しかし今度は俺の体を使って実験を行うことになってしまったのである。俺はラディアの指先に光を集めることを命じられたのである。それからラディアの魔法指導が始まった。そして俺は何度か、魔法の行使を試みるが上手くいくことはないまま時間が経過していくと昼を迎えたのである。その昼食を食べる時に、ラディアはラティスを呼び出してくれたのだ。ラティスと会うとラディアが、いきなりこんなことを言い出したのである。

「ラティスちゃん、ちょっとお願いがあるんだけど」そのラディアの発言を聞いた俺は思わず聞き返してしまった。なぜなら「私のユウマ君と二人っきりにしてもらってもいいかしら?」という言葉を聞いて俺はラティスを疑ってしまったのだ。ラティが、そんな事を言ってきたのは初めてのことだからである。ラティスもラディアの言葉に驚きを隠せないでいた。するとラディアが、その説明をし始めたのである。

まず最初にラディアが俺に対して何かするということはありえない。それは俺自身も理解していることだ。俺が不安に思った理由は俺の体が弱っているので、もしもラディアに魔法を教わるとなった場合の俺の体の負担が心配なのだという。そしてラディアが、なぜ俺に魔法を教えるのかと言うと、これから俺はラディアと一緒に過ごすのだから、俺自身が使えるようになった方がいいからだ。さらに俺は俺のために命を投げ出してくれたリリスのためにもなる。その話を聞いた俺は少しだけ嬉しかった。ただ、それだけでは納得出来なかったので、俺はリディアに直接、どうしてラディアは俺なんかと仲良くしてくれているのかと聞いたのだ。すると彼女は答えてくれる。俺は勇者の加護というものを持っているためだと、簡単に言えば勇者として俺を守ってほしいとの事だ。そのためにも俺に知識をつけて欲しくて今回の件に踏み切ったという事になるらしい。

それから俺はラディアに連れられて城の外へ出たのである。

城から外へ出ると俺達は街中へと向かい歩き始めた。俺はラディアとラティスと3人で手を繋いで歩くことになったのだが恥ずかしくて死にそうだ。だって可愛い女の子二人が一緒にいるんだぞ? そりゃ誰だってドキドキするものだろう。

それから街に到着するまで、ずっと俺は二人から可愛いと連呼されていた。

それから街の中に入ると、俺はある場所に案内されることになったのである。その目的地に着くまでの間も俺は二人の可愛さによって心臓を高鳴らせてしまうのであった。

(いやー、それにしても美少女2人に挟まれながら歩いているって本当に天国だよな。この光景だけでも俺は元の世界に戻った時が楽しみで仕方がないぜ。それに、こうして歩いていると周りの人が俺たちに挨拶してくるんだよな。それが男だったら、俺はどうすれば良いんだろうな?)

俺は心の内でそう思いながら歩を進める。すると俺達の前に、とある人物が現れる。その人は、この国の王都騎士団の団長を務めるアリサの父親であった。その彼が現れた時、ラディアが「お久しぶりです、グランフォード様。またお会い出来るなんて思ってもみませんでしたよ」と言ったのだ。するとアリサの父親が言う。

「ラディア様もお元気でなによりです。今日は何の御用でしょうか? もしや私の娘が何かご迷惑をおかけしてしまいましたかな?」

そんな事を言っているのを聞き俺は「え? 娘?」と口にすると、ラディアは俺に向かって言った。「ユウマ君には、まだ話していませんでしたね。私はグランフォード様の愛人の娘だったんですよ。ですから血が繋がっているわけではないのですけども、私は彼の事を知っていますし尊敬していますよ」と、彼女は笑顔で語る。その言葉を聞くと俺は驚いた。

(まさかラディアが王族の血を引き継いでいる人だったのか。しかも国王とラディアスの知り合いでもあったとはな。世の中狭いんだな)

そう思ってしまうほどラディアが王族の人間だということに衝撃を受けたのである。そしてラディアはアリシアのことを俺に紹介すると、彼女の父親である王都騎士の団長は、この国の女王と王女が同一人物であるということを教えられるのである。その事を知った俺は驚愕するが、とりあえずラディアの父親の言う通りにしておくことにする。その方が色々と都合が良いと思ったからだった。

そうして俺はアリサの家へと向かった。家に向かう道中に俺はラディアに魔法について尋ねたのである。

「なぁ、俺が今、持っている魔法の書の中にファイヤーボール以外の初級魔法が載っていない理由とかって分かるか?」

するとラディアは答えた。その言葉が、これだ。

『魔法の習得の仕方は二種類あります。一つはこの世界の魔力を体内に入れて自分の属性に合う魔力を手に入れる方法。もう一つは、誰かから直接魔力を分けてもらうことです。前者は誰でもできるのに対して後者は才能がなければ出来ません。そして貴方の場合ですと前者は不可能でしょう』と、ラディアが教えてくれたのだ。その話を聞かされた後で、ようやくラディアスの家にたどり着いた。

それから、しばらく待つと俺とラディアはラディアスとリディアと合流することが出来た。リディアと合流した俺は彼女と共に行動する事にしたのだ。そしてラディアスと別れた後で俺とリディアとラディアは、この街で一番大きな本屋へ向かうことにしたのである。その道中は、とても賑わっていた。やはり魔法が使えないというのは不便でありラディアスと別れてからはリディアに色々な話を聞かせてもらったのだ。そうして本屋に辿り着いた俺とラディアだったが店内に入るとラディアは迷わず魔法に関する書物を探しに行った。その道中、俺はラディアから魔法を使えるようになった経緯などを聞くことになる。

ラディアは元々魔法を使えなかったのだが、魔法の才能が有ると言われたのがきっかけで魔法の勉強をするようになった。だがラディアは魔法が使えなくて、なかなか上達しない日々を過ごしていたらしい。そこで魔法が得意でラディアよりも歳上の人にラディアの魔法を指導してもらうように頼み込む。そして、その人がリリアナであることを知ったのだ。そしてリディアは魔法を習い始めることになるのだが、ラディアの両親は反対をしていたのだ。それは魔法の道はとても危険だというのが理由になる。そこでリディアの母親は彼女に魔法の使用を禁止するように言う。しかしラディアは諦めることが出来ずにいたのだ。その事をリディアの母親が知った後だった。

彼女はリディアを連れてラディアの元に向かい彼女を強引に連れ出そうとする。その行動にラディアの父親は激怒し、その母親を止めようとしたらしい。そして二人は口論を始めることになるが最終的にラディアの母親は怒りを鎮めるとリディアに謝ったのだというのだ。

その後ラディアの母はラディアに言いたいことがあるらしく、ラディアとリディアに話しかけてくる。その会話が気になった俺はラディアとリディアに、その事を聞いてみると、ラディアの母親が言い出したことは俺に関係のあることだったのである。そしてその話の内容を聞いて、この親子の優しさを俺は理解する事になった。その話を聞いた後は俺達は目的の本を買えたのだが帰り際に俺達は魔法を使えるようになってほしいという願いを込めてプレゼントを買ってから店を出るのであった。そして帰宅をするとラディアと別れて部屋に戻ることになったので俺はベッドに倒れこんだ。それからすぐに睡魔が襲ってくると俺はそのまま眠りにつくのである。

目が覚めた時には窓から朝日が入り込んでいて外は明るい雰囲気になっていた。

(あー、昨日はラディアと一緒に本を買った後に眠っちまったのか。確か、この本屋を出た時にラディアが何かを買い込んでいたけど、何なんだろう?)

俺は疑問を浮かべながらも着替えを済ませる。それから部屋を出ようと扉を開けて通路に出ると偶然にもリディアと出会うのである。

すると彼女は、にこやかな表情で言う。「お兄さんおはようございます! 朝ごはんが出来ていますので行きましょう!」その声を聞くと俺は彼女の後ろをついていく。その途中で俺は質問をする。

「なぁ、どうしてリディアは俺のことを信じてくれているんだ? その事については聞いていなかった気がするんだけど?」

俺は前を歩いていたリディアの足が止まる。それから振り向いてきた。彼女は優しい口調で言う。その言葉が今の俺にとっては嬉しいものでもあった。それは俺が思っていたことを言ってくれたからだ。俺は勇者の加護というものを持っていなくたっていい。勇者という肩書も関係ない。この世界で生きている人達のために俺の力が必要だというのならば俺は力になりたいと思っていたからである。その俺の問いかけに彼女は答える。リディアは俺に、こう言った。

「それはですね、私がお姉ちゃんに似ているからです」

彼女は続けて言った。

その言葉を、はっきりと聞き取ったので俺には分かったのだ。リディアの言っている事が真実だと言うことがだ。だからこそ思う。彼女は嘘をつく必要が無いということだ。何故なら俺とラディアが似ている部分なんてないと思っているからな。だけど彼女が言った言葉の全てには意味があり偽りはないのだろうと思うのだった。

(やっぱり似てるな)

そう思ったのと同時に嬉しくて、たまらなくなったのだ。彼女は本当の姉妹ではないけども家族同然の存在なんだ。そう考えると俺の中で何か熱いものが込み上げてきて、どうしようもない感情になってしまうのである。

(やべぇな、嬉しすぎて泣けそうだぜ。まぁ泣くことはないんだろうな)

それから少しの間、お互いに何も喋らずにいる時間が続いたが、それから俺達は一緒にリビングへと向かうのだった。それからは皆で朝食を取る事になる。ちなみにメニューに関してはラディアとリディアが料理をしてくれていて俺は食べさせてもらっているという状況である。俺って結構な幸せ者だよな。

そうして朝食を食べた後は城へと戻る事にした。

城に戻ると、まず最初にラディアスの父親である騎士団長が城に来ていた。その事を知った俺達は、騎士団長が待つ執務室に向かう。するとラディアスが言う。

「私達を待っていたのかな?」

「はい。アリシア様がユウマ様に魔法を教えると言っていましたので私とアリサがユウマ様の先生をお願いしました。そのことについて、ユウマ様はお許しになって頂けるでしょうか?」

その言葉に対して俺は何も問題ないと判断をしたのだ。

それから俺はアリシアに連れられて訓練場まで移動するのである。すると彼女は言う。

「それでは、今から基礎的な魔法を教えますね。ですけども最初は難しいでしょうから無理はしないようにしてください」

それから俺は魔法を使う事に慣れていないせいか上手くいかなかった。それでもアリシアは根気強く俺に付き合ってくれる。それが、とても嬉しかったのだ。そして俺は彼女に「ありがとうな。おかげでコツを掴めてきたような気がするよ」と言った。

すると、彼女は微笑んで「ユウマ君って覚えが早いね」と褒めてくれたのだった。

そして俺とアリシアは昼食を食べるために一旦、休憩をとる事になり俺は一人で街に繰り出すことにしたのである。

(せっかくだから服屋でも覗いてみるか)

そう考えた俺は店に入る事にした。その店に入ると女性物の洋服を売っており店員が接客してくれるのである。

そして試着室に案内されると女性の服を着た俺は鏡を見るのであった。その時の俺の姿は、まさに別人で違和感しかなかった。その事に気づいたのか俺の事を案内してくれた女性は笑顔で俺に話しかける。

「その服装だと違和感しか感じませんよね。その、よろしければ、このドレスなんか如何ですか?」

そう言うと目の前の女性が持ってきたドレスを渡される。

「う、うん。悪くないな。それにしようかな?」

「そう言っていただけると私共としても良い品を勧めた甲斐があります」

俺は彼女のオススメされた衣装に着替えて店を出た後で俺は自分の体を見て驚く。まるで別人みたいだったからだ。

(これじゃ本当に別人の女性にしか見えないぞ。しかも可愛い系のな。とりあえず、こんな格好していれば男だって気付かれないかもな。よし決めた。俺は、しばらく女を装おう)

そして俺は自分が着ている物を購入しようとしたが値札を見た途端に断念したのだった。それからは俺が買い物をしている間だけはアリサが護衛に付いてくれていたのだ。その途中で彼女はラディアスに出会う。その光景を見ながらラディアスと俺は目が合う。ラディアスは、どこか緊張しているのか動きにキレがなかった。そんな彼に向けてアリサは、こちらに来てくれないかというジェスチャーを行う。

するとラディアスは躊躇しながらもアリサの元へ向かう。

「ラディアス、あなた、ちょっと話があるんだけどいい?」

そう言うと彼女はラディアスを何処かに連れて行く。俺にはラディアスと何を話そうとしているのかさっぱり分からなかった。だが、すぐにラディアスは戻って来た。ラディアスが戻ってくるとアリナは彼に小声で何かを話したのが見えたが、すぐに彼は仕事に戻る。その行動に不思議そうな表情を浮かべるラディアであったが俺達は再び城に戻ろうとするとアリシアが俺を呼び止めてくる。そして彼女は真剣な表情で言う。「ねぇ、お兄さん、私の部屋に来てもらえないかしら?」

彼女の提案に俺は首を傾げる。

その言葉が意外過ぎたのだ。

(あれ、俺って誘われて──ん? 待てよ、よく考えれば相手は王族だし俺が知らないだけで、こういうことは普通なのか?)

などと俺は考えていた。

そこで俺は断る理由は特にないので彼女に言われた通り部屋へ行く。そして彼女は言う。

「今日はありがと。お兄さんが魔法が使えるように教えてくれるから凄く助かったの」

「別に良いさ。ラディアとアリディアが喜んでくれたなら、それだけで俺は満足なんだよ」

その俺の言葉に、彼女は嬉しそうな顔をしていた。それから俺はアリナの方を向いた。彼女はラディアと一緒にラディアとリディアの護衛に付くことになったのである。その話を終えると彼女は言った。

「ところで、これからもラディアと仲良くしてもらえるかしら?」その言葉を聞いて、その意図に気が付いた俺は即答する。それは彼女の為になると思ったからだ。

ラディアとアリディアと別れてから俺達は部屋に戻ることになった。部屋に戻ってからも俺は先程のアリディアの発言について考える事になったのだ。その発言をした後で、あの時のラディアと同じような悲しげな表情を浮かべていたからだ。彼女は一体どういうつもりで言ったのだろうか。それが分からずに、ただ俺はラディアの事が頭から離れなくなる。しかし答えが出なかったので俺はラディアに会いに行くことにしたのだ。その事でアルフに事情を話すと俺達は部屋に向かう事になる。部屋の前に辿り着くとラディアとリディアが部屋の前で待っていた。そして俺は言う。

「なぁ、今って時間ある?」

すると二人は驚いた顔を見せる。

俺は、それを無視して言う。

「悪いけども、俺の部屋まで来てくれないか?」

俺の急な発言を受けてラディアとリディアは困惑の表情を見せたが何も言わずに従ったのである。俺は二人の手を握り部屋へと連れ込んだのだった。

それから俺は二人と一緒に俺の部屋に訪れるとベッドの方へ歩いていく。俺は、そこから寝転がり布団の中に入り込んで目を閉じる。

そしてラディア達に話す事があったのだが、それよりも、どうして、こうなっているのだろう。

それは少し前に、リディアの部屋に俺が訪れた時の出来事から始まった。俺達が部屋の中に入った時には彼女は机に向かって本を読もうとしていた。俺は声をかける前に彼女の姿に釘付けになってしまう。というのも、彼女が着ているのは薄手の夜着であり胸元が大きく開いている。その姿が魅力的すぎて俺が動けないでいるとリディアは俺に気付いたようで、こちらを向いたので、なんとか反応することができた。それから、お互いに挨拶をして話をする。それから俺は彼女が本を読む姿を暫く見ていた。その時に彼女が俺の顔をジッと見つめていたので俺は彼女に声をかけてみる事にしたのだ。

「な、何か俺の事を気にしてくれてるようだけども、何かあったのか?」

そう問いかけてみても彼女は無言のまま、ひたすらに、じーっと見つめ続けていた。なので俺は彼女の方に視線を向け続けると彼女は突然、俺に近づいてくる。俺は慌てて後ろに下がる。

しかし、それも限界があるわけで壁に背中をぶつけてしまう。

それから俺は逃げられないと思いながらも彼女に尋ねる。

「な、何の用なんだ?」

「あ、あなたの顔が気になったからです」

「俺の顔が?」

そう俺が言うとリディアは黙ってうなずく。

そして彼女は俺の頬に手を伸ばす。俺は驚いてしまい身を引くとリディアの手は俺の肩に伸びてきて掴まれると壁に押し付けられる。その力強さと衝撃で痛くて仕方がない。俺はリディアの行動の意図が見えず戸惑うばかりであった。そして、ようやくリディアが口を開く。

「私は今まで自分の見た目が嫌だったのです。この外見のせいで私は皆に見下されて生きてきました。そして、いつしか自分のことを醜いと思って生きていました。そして私を見下して笑う者達を憎み軽蔑するようになっていたんです。そのせいで性格が捻れ曲がってしまったのは分かっていました。だから誰も信用できない人間になっていた。でも貴方の優しさに触れるうちに私にも人を信頼するという心を取り戻すことができてきたんです。だからお願いします。私を裏切らないで下さい。私の事を一人ぼっちにしないでください」

俺が彼女を安心させるように優しく頭を撫でながら言う。

「分かったよ。だから心配しなくていいんだ。それに俺は君を絶対に裏切りたくないと思っている。だから安心してくれ」

すると彼女は泣き出してしまう。

そんな状況を見て、俺は彼女に抱きしめられていたので何とか慰めようとした。それからしばらくして、落ち着いた頃に俺は彼女の夜着が濡れてしまっていることに気が付く。

俺は慌てて謝ると服を脱ぎ始め、彼女に手渡そうとした。

その瞬間に、また、彼女は泣き出した。そして涙が止まらない様子だ。どうすれば良いか悩んだ末に再び彼女を落ち着かせる為に抱き締めると俺は彼女の髪を撫で続けたのだ。その状態で時間が経ち俺は自分の服の事を思い出す。だが今は脱ぐ事よりも彼女を抱き締めている方が大切だったのだ。その行動が良かったのか分からないが彼女は落ち着き始める。俺は自分の着ていた服を渡して着替えてもらった後に話を聞くと彼女は自分が、なぜ、あんな行動をしたのか理解できていなかったようであった。そのため彼女は申し訳なさそうな表情を見せて謝罪してくれたのだ。その後でラディアの様子を見に行きたいと頼む。ラディアとは最近、二人で話をする機会が減ったからである。ラディアの様子を確認するために部屋を尋ねた後、ラディアは、すぐにリディアの元に駆け寄り、俺が部屋を出るのと入れ替わるようにして、ラディアは、俺の目の前に現れるとリディアの様子を伺っていた。俺はラディアの表情を見ると少し暗い雰囲気を感じ取ったのだ。そんなラディアに話しかけると彼女は言った。

「実はな、あの後、お前が、私の事をどう思っているのだろうかと気になってな」その言葉を聞いて俺は驚いたのだ。なぜなら俺の考えと同じだったからだ。そしてラディアは、俺の考えている事は、おおよそ分かっていると言い俺の目の前に来ると、ラディアは両手を伸ばし俺の首に腕を回してくる。そして、そのまま引き寄せると俺に密着するような形になった。そんな状態になっているにも関わらずラディアは俺に対して真剣な表情で語りかけてくる。その真剣な表情から彼女は俺から何を言われるのかと不安で堪らなかったということが分かる。

だからこそ、そんなラディアの為に俺は素直に伝えることにした。その言葉に彼女は一瞬で表情を明るくさせると彼女は嬉しそうに笑顔を見せてくれた。それから俺はアリシアの元を訪れる事になった。彼女は城の庭にいたので声をかける。

その途中でリディアとラディアが通りかかり二人は、すぐに立ち止まるとアリシヤの傍にいる男の姿を見る。するとラディアはリディアの方を向く。それからリディアは、すぐにラディアに近寄ると小声で話す。ラディアもアリシアに聞かれないように小さな声で話していた。そして、ラディアはリディアと一緒に城の中に戻ろうとする。その際にラディアが言う。「あの男の事は私が守るから大丈夫だよ」

ラディアの表情からは真剣な様子が伝わるので彼女は本当にユウマを守りたいと考えたようだ。ラディアはリディアの事が好きなのだと改めて思ったのである。それから俺はラディアと別れてリディアに声を掛けに行く。その途中である出来事に遭遇することになる。

その人物を見つけたのは廊下を歩いている時であった。

リディアは俺の隣に立つと話しかける。それは先程の出来事で俺を悩ませた相手でもある、この国の第一王子でアリディアの兄であるアルフの存在であった。その男はアリシアの婚約者として噂の人物でもある。彼は先日も俺達の前に姿を見せていた事もあり警戒すべき相手である。

アルフが俺と目が合うと俺に話し掛けてくる。俺はアルフとリディアと共に行動する事になると彼の部屋に連れて行かれることになったのである。

俺達が通された部屋の中にはアルフ以外の人間は、いなかった。その為、俺は部屋に入ると扉を静かに閉める。それから、まずは俺の方から自己紹介をする事になった。

俺が名前を告げた後で、リディアがアルフに挨拶をした後に、アルフがリディアに微笑みかけるとリディアに質問をした。

「それで君は一体誰なのかな?」

アルフの態度や口調が丁寧なことから彼が身分が高いのだろうということは俺も感じていた。

そして、そんな相手がリディアの知り合いだと考えた場合に思い浮かぶ可能性は少ない。しかし、それでも念のために確認をしておきたいと思ったのだ。

リディアの答えを待っていると彼女は俺と目を合わせる。その目は俺に判断を任せているように見えた。そこで俺は正直に言う事にした。しかし、俺の言葉を聞いたリディアは驚いた顔を見せていたのだ。その反応の意味を考えるが特に変わった事を言ったつもりはない為に見当が付かない。しかし、そんなリディアの反応が面白かったのかアルフが笑い出す。リディアは恥ずかしくなったのか俯いてしまう。俺は二人の関係を考えてみると恋人同士でないことは明らかだった。そして俺は自分の気持ちを伝えることにした。それは、もしも、ここで何かが起きた時に、その時は二人を守ろうと思うと決めたからなのだ。そんな俺の行動にラディアが反応する。ラディアは俺の腕に手を添えると俺に耳打ちしてきた。その内容はラディアが、この部屋に結界を張ったということであった。それを確認した後に、ふと気になり尋ねる。

「それで俺は今、どうなってるんだ?」

俺が尋ねれば、それを見ていたアリサが、俺達の方に歩み寄ってきて言う。

「安心して良いよ。今の所は誰も侵入できていないみたい」

アリッサの言葉で俺は安心するが同時に違和感を覚える。

俺の視界に、こちらを見つめる人物が映っているからだ。

俺は目線を動かすと、そこにはアリシアがいた。彼女は何故か楽しそうに笑みを浮かべて、こちらに歩いてきたので、その表情から嫌な予感を覚えた。

俺が嫌な汗を流しながらアリシアから視線を外すと、アリナが俺に声をかけてきた。

「ねえユウマさん」

俺は嫌な気分で振り向けば彼女はニコニコとした顔をしていて言う。

「貴方に私と勝負してほしいんです」

俺が困惑すると彼女は続けて言った。

「貴方の強さの秘密を、私は知りたいんです」

彼女の発言を聞いて俺は思う。

確かに彼女ならば、この状況を理解してくれるかもしれないと。

そして、そんな考えに至る。だが彼女が、どのように納得してくれるか分からず戸惑うばかりであった。だが、このままアリシアの提案を無視していても何も解決しないと思い俺はアリシアの提案を受け入れる事にした。ただし条件をつけておくことにして、その条件で彼女は満足してくれたのだ。俺は彼女に剣の実力で勝ってみせると言うと彼女は笑顔を見せて、その場を離れていった。そんな彼女の後ろ姿を見送り俺は一息つく。そうしてリディアとラディアの方を見れば彼女は嬉しそうな表情をしているが、一方でリディアは何とも言えない表情をしていた。俺は、そんな表情を見せる彼女に心配そうな表情を向けると、その瞬間、リディアは我に帰ったように慌てた表情を見せてリディアは言う。

「い、いえ。何でもありませんのよ? そ、それよりも貴方は大丈夫なんですか?」

「あぁ、まあ。一応、俺なら何とかなると思ってるよ」

そう答えるとリディアは心配そうな表情をしていたがラディアは、やはり興味があるようで目を輝かせていた。そして彼女は興奮気味に俺に対して質問を始めると俺を褒め始めてきたので、なんだか居心地が悪くなり始めたのだった。その後で俺はリディアの案内でラディアスの街を観光する事にしたのだ。ラディアとリディアは俺から離れないようにと言ってくれていたので、俺としても心強い。俺の予想では街に出て襲われる事は、ほとんどないだろうと考えているからだ。そして俺達はラディアスの街へと向かっていたのだが道中で俺は気になる店を見つける。

その店の外観を見て俺は何となくではあるが、ここを目的地にするのも悪くないと思えた。

俺は店内に入ると中を見て回り始めると商品を物色し始める。

そんな中で俺の服が汚れている事を思いだす。

(そういえば、服を新しく買おうと思っていたんだ)

俺がそんな事を思い出しながら見ていると店主と思われる女性が話しかけてくる。

どうやら服の修復を行っている最中のようであった。

その女性の服の直し方は見事で俺の服が新品同様に直されていく。

俺は礼を言うとその服を購入する。すると女性は、にっこりと笑って服の値段を提示する。その金額は銀貨三枚であった。俺は代金を支払って新しい服を貰い俺は試着室を借りようとする。しかし、俺は女性に、あることを教えて貰ったので別の部屋を使おうとする。そこは男性用の衣服しか置いていないので女性の使用を禁止しているのだそうだ。俺は女性の説明を聞きながらも俺は内心で疑問を感じる。何故に、その説明を俺が聞いているのかというと店主の女性は俺が女性だという事で、俺の性別を確認しようとしたからだ。しかし俺は、そんな確認をされずに俺を客として見てくれた事が少しだけ嬉しかったのだ。そんな事を考えている内に俺に近づいて来た男性が言う。

「あの、すみません。よろしいでしょうか?」

俺は声をかけられたので顔を上げると俺と同じ年齢くらいの男性は俺の目の前に紙とインクを用意してくれていた。

その男性は笑顔で俺に言ってくる。

「お洋服の代筆で宜しければ私が致しますが、いかがなさいますか?」

俺は、その言葉に甘えると自分の名前を書こうとすると彼は首を横に振る。その行動から俺は不思議に思えば彼は笑顔で、そのままでも良いですし代筆でも構いませんと言いながら彼は自分の名前を書いた後で代筆をするのであれば書くものを渡して欲しいと言われ俺は、その通りにした。俺が名前を告げれば、彼は丁寧に書いていく。そして彼の名前を書き終えてから俺の名前を記入する為の名前を書く場所が分かるように指差してからペンを差し出してきたのである。

彼は最後に、俺に向かって微笑むのだった。

それから俺は服を買うと店主に挨拶を済ませる。すると、すぐに服に袖を通して、それから俺は服屋の店員に教えて貰った場所に、その場所に向かったのだ。そして、その場所とは教会であった。そこで俺はリディアと合流することになる。リディアも買い物をしたらしく、その手には荷物を抱えていた。そして、そんな彼女の隣に立っていた少女はリディアの姿を確認すると嬉しそうな顔を見せていた。俺は彼女の事をリディアから紹介される。その少女の名前はラディア。

そして彼女は言う。リディアが、いつも俺の事を話すものだから会ってみたいと考えていたようだ。そんな彼女は見た目からして年下だと思われ、俺よりも身長が低く、年齢は13歳のようだった。そんな彼女とは、ここで別れることになる。それからラディアはアリシア達と合流したいと話してくれたので俺達は、アリシア達との合流の為にアリディアが待つ宿屋に戻る事にした。そんな俺達に、ある出来事が襲いかかったのである。

それは街の人達が騒ぎ始めていた時だった。

街中が騒然としている状況で、それは起こった。それは突然の出来事であったのだ。突如、この街にいる大勢の人々が苦しみ出したのである。

それは明らかに異様な光景であり俺自身も動揺してしまう。しかし俺は気がついたのだ。アリザが、この場に姿を見せていない事にである。

アリナやリリアナはアリシアと共に俺の側にいてくれていたが他の者達の安否が分からない。しかし、だからといって不安を感じている場合ではなかった。俺は慌てて駆け出しリディアとラディアに声をかける。

二人は苦しんでいる人々を見ていて何かを考えていた様子であったが俺の声で現実に引き戻されたような反応を見せる。そして、俺と同じように人々の姿を見て驚きを見せる。だが俺と違ったのは冷静さを保ち続けていた。そしてアリシアに目を向けるとアリシアの方もリディアと同じような表情を浮かべていた。そんな俺にリディアが言う。

「これは呪いの一種の可能性がありますわね」

俺はリディアの言葉を聞いて驚く。しかしリディアの言葉を聞いたラディアが言う。

「リディアさんの言う通り、これは呪いかもしれません」

そんなラディアの言葉を聞いた後に俺は思い出す。ラディアの言葉が正しいとすれば呪いが発動する前に感じていた魔力は彼女の物だったはずだ。だからこそ、ラディアはアリシアが、ここに居ない理由に気がついており、また、その考えを口にする。

「アリシアは、この事態を引き起こしてる人間を探しに出ていると思います」

俺はラディアの発言を聞くと、すぐに、この場で、どのように行動を取るべきか考える。

「ラディアさん、私と一緒に来てもらえませんか?」

俺が、そう言うとラディアは、すぐに理解を示してくれた。俺は、それを嬉しく思うと同時に二人を危険に晒してしまった事を悔やんでいたのだ。

そんな俺の考えにラディアは察してくれたのか彼女は俺の手を握ると安心させようとしてくれる。そして俺とラディアとアリディアは宿屋を出て走り出すと街の出口に向かう。そんな俺達の背中をリディアが見守ってくれていたのだった。

俺は今の状況で、どのような動きをとるべきか考えていた。

そんな俺の目の前には先程まで話をしていた相手が倒れていたのだ。

アリディアの話では、このような現象を引き起こす事ができる人物は限られていると言う。そんな彼女から聞いたのはアリシアが現在進行形で街の外にいる事。そしてアリシアの目的は俺達が、その犯人を見つけ出せる事を望んでいるというのだ。

俺は、その言葉からアリシアの目的を考える。

(そう言えば、アリシアの奴。どうして今回の件について何も知らないと言っていたんだ?)

俺はアリシアの行動を考えていくと一つだけ思いつくことがあった。そして、その可能性は十分に有り得ると思い俺は急いで向かう。

俺達は街の入り口から飛び出して周囲を警戒していた。しかし、そこにアリシアの姿を確認できなかった。俺達は周囲に人がいないか、それぞれ気配を探るも人の反応はなく静かなままだったのだ。しかし、そんな中で俺は妙な感覚を覚えたので空を見上げる。そこには複数の鳥型の魔物が飛んでおり鳴き声を響かせていた。

その数は、かなりのものであり、その魔物達を確認した瞬間に俺は背筋を震わせる。そして嫌な予感を覚え、すぐさま、ある方向へと体を向ける。

その方向にあるのは街ではなく、ある意味において街を護る壁でもある高い山がある。そしてその方角からは無数の魔物の叫び声と悲鳴、さらには怒号のような音と衝撃音が聞こえてくるのであった。俺は思わず焦りを感じていた。

俺はアリザに対して怒りを覚えると同時で悔しい気持ちになっていた。それは俺自身の無力さにだ。今まで俺は自分の力で何とかしようと頑張ってきた。だが結局のところ俺が得たのは力ではないのだ。

それは勇者としての力を得たとしても俺は俺自身に対しては何も成長できていないと思えたのだった。しかし俺には俺の生き方がある。

そう考えて気を取り直すと俺は街へ続く道を走り始めた。そして、そんな俺の後をアリサとクロエは追いかけてきてくれる。俺は振り返ると二人を見てから言う。

「二人とも無理に付き合う必要はないんだぞ」

その俺の言葉にクロエは首を横に振ると笑顔で言ってくる。

「大丈夫です。私が付いていますから安心して下さい。それじゃ、私はアリシアー!!」

アリエラは、その返事をしながら嬉しそうな表情を見せて俺の横に並ぼうとするが彼女は足をもつれさせてしまう。そんな彼女をクロネが受け止めて抱き抱える。俺はクロエに感謝しながら再び走るのであった。しかし、そこで俺は立ち止まってしまう。それは、この場に残ると言い張った二人を置いていけないと考えたのだ。

「お前達二人は宿に戻って待っていてくれ」

俺は二人の安全の為にそう告げた。しかし二人が俺の提案を拒否する。そんな俺をアリエラは抱きしめてくると涙目になりながら言う。

「ダメ!置いて行かないで。私は貴方を守るの。絶対に死んじゃダメだよ?」

俺は彼女の言葉を聞き困った顔をすると、そこでアリシアの事が脳裏に浮かび、ふと思ったことを口にする。

「アリシアは、どうしていると思う?あいつが本気で、あの場所にいる連中を助けるために動いたとしたら俺は敵うだろうか?」

俺は無意識の内に呟くように質問をしていた。そんな俺の言葉にアリババとクロトが、お互いの顔を見ながら話し合うと答える。

「「勝てるだろうけど負けない?」」

その答えに俺自身が呆れてしまったが納得した。なぜなら、その言葉を言った時の二人の顔は笑顔を浮かべていたので自信に満ちた言葉だと分かったからだ。そしてアリシアの事をよく知っている人物から、そのような回答を得られるということはアリシアなら、あそこに向かったところで死ぬ心配はないということだろうと理解したのだ。そして俺の中で迷いは消えた。俺は俺の戦い方をしようと思ったのだ。それは自分自身の為に、この世界の為じゃない。それは自分勝手だと言われれば、それまでなのだが俺は、この世界に召喚された時に決めたことがある。それは誰かが傷付くようなことは避けたいと願っていた。しかし俺には力がなく自分の手で守れないこともあると分かってしまった。だから俺は覚悟を決める。自分の手が届かない所にいる者達を救えるだけの力を身に付けようと。それが例え傲慢な考えであっても俺にとっては、それが自分の進むべき正しい選択であると確信していたのである。だから今は戦うしかないのである。俺は拳を強く握り締めると、まずは、この状況を引き起こした奴らを殴りに行くと決めるのだった。

そしてアリシアの所に駆けつける事を決意する。アリシアは一人でも多く助けるために、その身を捧げようとしているのだ。

俺はアリシアが、どういう行動をとるかを予想できたのである。それは自分が危険な状態に陥っても助けを呼ぶこともせず黙って見捨てるような事はしない女だという事を俺は知っていたのである。

そんな俺の様子を見てクロアはアリシアに好意を持っていると勘違いしている様子だったが、それを訂正して説明してる場合ではないので、そのまま俺は街の外に出るために移動したのだった。そして街を出る前にアリシアを探す為に街の外に出ようとすると一人の人物が目の前に現れたのである。

俺は、その人物に警戒感を抱くも目の前の人物は微笑むだけで何も言わない。俺は、その様子を見ていて目の前の人物は人間だと思っていた。なぜなら、その人間は見た目は人間そのものに見える。だが目の前にいる人物は全身を隠すほど長いフードを被った姿であり顔を確認する事もできない。そんな相手が俺達の前に現れたのである。俺とクロアは剣を抜くと構えて臨戦態勢に入る。しかし目の前の相手からは殺気や敵意を感じ取ることができなかったのだ。そんな俺達に、まるで気を害していないのか目の前の者は楽しげに笑うのだった。

俺が見たこともない人物の登場に動揺しているとアリサが前に出てアリシアを呼びに行こうとするも俺が止める。アリシアには、まだ、ここに来てもらうわけにはいかないと判断をしたのだ。俺の考えが分かるのかアリッサも納得してくれた様子だったので安心しているとアリシアが現れたのである。アリシアが姿を現した事で、すぐに俺はアリシアの元へと移動しようとしたが彼女は足を止めていた。その表情は真剣そのものだった。そんな彼女は何かの違和感を感じた様子で空を見上げる。俺もつられて空を見ると無数の鳥型のモンスターがいたのだ。

「リリアナ!」

俺は慌てて名前を呼んで彼女の側に寄るとリリスも俺に続いて来たようで背後に姿を現すとアリシアの側に来た。そんな時、上空から魔物の声が響き渡る。それは明らかに魔物が叫ぶものではなく何かしらの意思が感じ取れ、俺は咄嵯に身構えると次の瞬間にアリシア達の元に向かって急降下する魔物を確認したので俺は即座に攻撃に移ったのだ。

【風魔法】を使い空に浮いた状態の魔物を風の塊を発射する。俺の攻撃をまともに食らう魔物もいたが半数近くの魔物は直撃を喰らわず地面に落下するだけに止まるとアリザとクロネが動き出したのだった。

「「お兄様の邪魔をするなー!!!」」

そう言い放つアリザとクロネが地面を蹴り魔物に対して攻撃を仕掛けたのだ。

アリシア達は突然現れた俺の存在を警戒しており困惑していたが俺は、そんな彼女達が無事であることにホッとしていたのであった。しかし状況は悪い方向に進んでいく。俺の攻撃で地上に降りてきた魔物達に対してアリシア達は戦い始めていた。俺は彼女達の戦闘を見守りながらアリシアの方に視線を向ける。

そしてアリシアの側にはラディアがいるのを確認してからラディアと目が合ったので俺は声をかけることにした。

「ラディアはアリシアと一緒に安全な場所で待っていてくれ」「私には力不足だということですね。分かりました。それじゃ一緒に逃げますね。ほらアリシアちゃん行くよ!」

ラディアは、そんな事を言うとアリシアを連れて離れる準備を始める。

俺はアリシアの方を見るが、そこにはアリサとクロエがいて俺は二人を睨み付けるように言う。

「二人とも俺がアリシアを守ってくる。だから、お前らはリリアナの面倒をみてろ」

「でも」

「でも、じゃねぇ!これは命令だ。それと俺は絶対に生きて戻ってくるからな。アリシアに言っておけ、俺は、こんな所で死ぬつもりはないとな」

俺は有無を言わさない強い口調で言うとクロエは不満そうな表情をしながらも、なんとか理解を示してくれたようであった。俺は、それだけ伝えるとアリシアのいる方へと急ぐ。そして、その場所に到着すると魔物に囲まれながらも必死に応戦をしているアリシアを見て俺の怒りは頂点に達したのであった。

俺が駆けつけても戦況に変化はない、アリシア達は防戦一方の状況に陥っていた。俺は剣を構えアリシアの元に走り出す。

俺は接近して来る敵に向けて魔法を使うと炎弾を放つが敵は、それを避ける。すると俺の存在に気付いた魔物達はアリシアから離れるようにして俺に向かってきたので俺は剣で敵を薙ぎ払っていくと俺は一気にアリシアの近くまで移動することが出来たのだ。そんな俺に対してアリシアが嬉しそうに声をかけてきたのである。

「シリウス!良かった無事で、ここは私が食い止めているから貴方は他の人の避難をお願いします」

俺はそんなアリシアを見て言う。

「いい加減、諦めろ」

俺の言葉を聞いているのか聞いていないのか分からないがアリシアが反論してきた。しかし俺は、それを無視してからアリシアを守るようにアリシアの後ろに立つと言う。

「おい、アリシヤ、アリサこっちに来てくれ!」

俺が二人を呼ぶ。その様子にアリシアは驚き戸惑っているがアリシヤは俺のところにやってきた。

「アリシアは大丈夫ですわよね?」

「ああ、お前の妹を信じろ。だから早くしろ!!」

俺の指示に従う形でアリサとアリシヤはアリシアの元へ駆け寄ると俺は言う。

「アリシシヤ!今のうちに逃げるぞ!」

俺の提案にアリシアが反発した。「嫌です。私は最後まで戦うつもりです。それに私の事を妹と言ってくれる人を残して行けるわけないでしょ?! 」

「それはお前のエゴだ! 」

俺は大声でアリシアの言葉を否定する。するとアリシアが言う。

「私は自分の行動は正しいと思います。だって誰かを助けられるのなら、それが一番で、私は自分の出来る事をしたいんです。だから貴方も、みんなも先に逃げて下さい」

俺は、そんなアリシアの言葉に怒りが込み上げてくるのを感じる。

(どうしてこいつは、こういう時だけ俺の言葉を聞かないんだ!!)

「ふざけんな。誰が逃げるか。俺は絶対にアリシアを見捨てたりしない」

アリシアが俺の発言を聞き驚いた顔をしていた。しかし俺の行動を見て危険だと理解しているアリシアの父親がアリシアの手を引っ張りその場から立ち去ろうとすると、その行動を阻止しようとしたクロネにラディアとアリサが立ちはだかったのだ。

そんな光景を見た俺にラディアが俺の元に近づくと俺の腕を掴みアリシアの元へと連れていった。

「アリシア様、シリウス様に迷惑を掛けるのはやめて。貴方には無理だと分かったでしょう?」

俺はそんなやり取りを見て、すぐに状況を理解したのだ。俺はラディアの手を振り払うとアリシアとラディアの間に立つとアリサとクロトも近寄ってくる。そんな俺達の様子を見てアリシアの父親は俺達の様子を黙って見つめていたのである。

「お前がアリシアの母親か。アリシアに、これ以上、無理な事をさせるな。もう良い歳だろうが、少しは大人しくしていろ」

俺はアリシアの父親に向かって言ったのだ。そんな俺の様子を見てアリシアが慌て始めるとアリシアの母親が微笑む。そして俺に近づいてきてから言う。

「貴女がシリウスさんですか。うちのアリシアの面倒を見てくれてありがとうございます。でも残念ながら、その言葉に同意する事はできないのです。この子には、まだまだ成長してもらわないといけません。そのために危険な事はさせたくないと思っていますが今回のような危険な状況では、アリシアに生き残れる可能性がある方に選択を委ねる事にしました」

俺の母親は俺とアリシアのやりとりを見守っており口を挟むつもりは無いようだ。そんな母親の姿を見ていた俺の頭に血が上ったのだ。

「何が、生き残る可能性だよ。アリシアを、どうせ見殺しにするつもりなんだろ」

俺の怒気を含んだ発言にも彼女は動揺することなく微笑んでいた。

「アリシアを死なす事なんてないですよ。アリシアを守れるのであれば死んでも良いと思っている人達は大勢居るはずです。だから私は自分が助かるよりも娘の幸せを願っているのよ」

彼女の話を聞くにつれて、どんどん腹立たしい感情が強くなっていく俺は、アリシアの方を見ると彼女は泣きそうな顔をしながら俯いていたのだ。俺は彼女を見るのが辛くなり視線をアリシアの母親に向けた。

そして俺は母親に聞くことにした。

「そんなの勝手な言い分じゃないか。あんたには娘を見守る親としての責任があるんじゃ無いのか?そんな事もせずにアリシアを見殺しにするのか?そんな事が本当にアリシアの為になるのか、よく考えてみてくれよ。もし俺の言っている事に賛同できないと言うのならば俺がアリシアを助ける。それでも文句あるまい」

俺の強い口調に彼女は、ただ笑みを浮かべるだけで何も言おうとはしなかった。そんな俺と母親の様子を見ていると後ろで俺達を見ていたアリッサが俺の横に並ぶと彼女に言う。

「お母様、シリウスさんにアリシア様を任せれば良いではないでしょうか。アリシア様は、まだ子供なの、もう少し大人になってから決めさせてあげるべきではありませんか?」

「そうだ、アリッサの言う通りだ」

俺も加勢するようにアリッサに言う。そんな様子をみたアリシアの母親が笑い出したのだ。そして、そのまま話し出した。

「シリウスさんの言うとおりだわ。まだ私達は、この子の本当の実力を知らないものね。だったら見せてもらいましょうか。私達が命をかけてアリシアを守れなかったら私達は、そこまでだったという事ね」

「そうですね。でも私は負けないので、私達が負けたら潔くアリシアちゃんを渡してください」

そう言うと俺達から少し離れる。そんな彼女を見て俺は、アリシアに声をかけた。

「おい、アリシア。さっきは俺に従えと言ったけど撤回する。お前が、この戦いに勝ったのなら俺はお前の言うことに従ってやる」

俺は自信満々にそう言い切ると俺の後ろに居たアリシアが、いきなり飛びついて来たので俺は慌てて彼女を受け止めてから地面に倒れてしまう。そしてアリシアは、そんな俺を押し倒してから胸に抱きついて来た。

そんな光景を見てラディアは何故か不機嫌になっており、それを不思議そうに見たアリサは、俺の方に近寄ってきた。クロトも、そんな俺の側に寄りながらラディアを心配するのである。しかしクロトは俺の方を見て、なぜか勝ち誇っていた。

「お兄さんはモテるから大変だね。僕なんか相手にもされなかったのに、やっぱり女性は大きい方が良いのかぁ」

俺はクロトに言われた言葉に反応する事が出来なかった。何故ならば、今の俺の状態は、まるでアリシアに押し倒された状態になっていたのである。しかも、俺の右手が何か柔らかいものを掴んでいる感覚があった。俺は、その事を気にしながらアリシアを見る。すると彼女は顔を真っ赤に染めると俺から離れようとした。だが、アリシアは俺が何を触ってしまったかを分かっていないようであり必死に逃げようとしていたのである。そんなアリシアが可愛いと感じた俺がアリシアを引き寄せるとアリシアの体がビクッとなり固まったのだ。俺は優しく抱きしめて言う。

「大丈夫、落ち着け。今、俺の手が触れたのはアリシアの母だ。俺は今は何もしてない」

俺がそういうと彼女は落ち着きを取り戻したようであった。そして、そんな二人を見ていたラディアとアリサがアリシアの側に来てアリシアを離そうとしたのである。

「シリウス様に何しているんですか?」

「そうですよ。いくらシリウス様に甘えたくても、こんな時にシリウス様に失礼でしょ」

二人は俺に謝りながらもアリシアを引き剥がすのに協力してくれていた。

「シリウスさんごめんなさい。アリシア様が迷惑をかけてしまったみたいです。だから許してもらえますか?」

ラディアがアリシアに言った。しかしアリシアはラディアの言葉に反論したのである。

「シリウスに助けてもらうから大丈夫です。私は絶対にシリウスから離れてやらないんだから!!」

「ダメですわ。いい加減に、わがままばかり言わずに、こちらに戻って来て下さい。いい加減にしないと怒りますわよ?」

アリサも怒っていてアリシアを説得しようとしたがアリシアは聞き入れようとしなかった。そんなアリシアの様子を見たラディアが言う。

「仕方ありませんわ。力ずくで連れ戻すしかなさそうですわね」

ラディアが、そう言うとアリシアを捕まえて無理矢理、俺の胸元から離れたのである。すると今度は俺とアリシアが入れ替わる形でアリシアを抱き寄せるとアリシアの頭を撫でていた。

そんな様子でアリシアの母親が呆れた表情をしていた。そんな彼女の横にアリシアの父親が近寄ると俺達を睨んでいたのだ。

「全くお前という奴は相変わらず無茶苦茶な事をやってくれる。それでどうすればアリシアを守れるのか答えてもらおうか」

俺は彼女の問いかけに答える。

「アリシアが、この国一番の騎士になると宣言しろ。そうしたら俺が協力してやろう」

「この子がこの国の誰よりも強いと言うのか?それに本気なのか?それは冗談ではなく本気で言ってるんだよな」

「当たり前だ。アリシアがこの世界最強になるのに手伝って欲しいって頼んでるんだ。アリシアの気持ちは俺が一番分かってるんだから、アリシアの為に力を尽くしてもらうぞ」

俺の言葉に父親は戸惑うような表情を見せていたが覚悟を決めたような真剣な眼差しになり口を開く。

「よし分かった。俺は、これからこの子に剣を教えることにする」

俺はアリシアとアリサの父親の様子に驚いてしまう。

「お前が本当に最強の騎士になって俺達を守ってくれるっていうなら、そのくらいはしてやる。お前は娘の婿候補でもあるわけだしな」

「ちょっとお父さん!?」

父親の発言に慌てたアリシアが抗議していた。そんな様子のアリシアを見たアリシアの両親は笑っており俺の母親は微笑んでいたのだ。そんな時、俺の視界の端から、こっちに歩いてくる人の姿が見えてきた。俺はアリシアに視線を向けると彼女は涙目になっていてラディアが必死にアリシアのことを抱きしめていたのだった。

俺が歩いている人物の方に視線を向けて、そこにいた人物を見て驚くのと同時に、まさか彼女が、この国に来ているとは思ってなかったからだ。そして俺は、この出会いに感謝する事になる。

俺は近づいてきた少女を見つめていた。

そんな彼女は金髪の長い髪を揺らしており綺麗な青色の目をしていたのである。背は高くスラッとしており出る所は出ていて締まるところはしっかり引き締められておりモデル体型と言えるほど体形は良かった。そんな美しい姿でありながら顔は童顔で幼く見えてしまう。だが年齢はまだ十代半ばくらいであろうと思われた。そして何より彼女は、とても可愛らしい服装をしていて白を基調とした清楚感のあるドレスに身を包んでいたのである。そんな彼女は笑顔を見せており手を振りながら俺に近寄ってきた。そんな彼女は言う。

「久しぶりだね。元気にしてたかな。ユウマ」

「ああ。久しぶりだねリリス。でも君が来るのを待っていたんだ」

そう、俺が待っていた人物、それはユイと同じ異世界人である『姫宮 凛』その人であった。そんな彼女の名前を聞いたアリシアの母親の反応を見て俺は言う。

「あなたは知っているようだね」

「はい。彼女には以前、会っているのです。その当時は彼女の本当の実力が分からない程、幼い女の子だったのですが。あの子の成長を見守りたかったと今では思うばかりです」

「なるほど。彼女は勇者の力が覚醒するまでは、そんなに強い存在では無かったのですね」

「はい。私の娘達と旅に出た時の彼女は、まだまだ駆け出しで弱い存在だったのです。だけど彼女は諦めずに頑張っていたので私は見守ることに決めたのです。そして私の娘達と一緒に魔王を倒した後に、彼女達の目の前で魔王を封印してしまいましたので私の娘である二人には悪い事しました。私と妻が一緒に封印を解けば彼女達が苦労することは無いでしょうから。私は、あの頃、自分の娘達が無事に成長するのを願い、彼女達の前に立ち塞がる敵を全て倒してしまった事で私の力は衰え、そして、そのまま、娘達は、どこか遠くへ行ってしまい私の元に帰って来ることはありませんでした。それが私が後悔している唯一の出来事です」

彼女は昔を思い出したかのように語り始めた。俺も似たような体験をしてきたため、この人の話を否定はしなかったのだ。俺は彼女に言う。

「でも今、その大切な娘達が、ここに来た理由は、きっとアリシアが心配だったんですよね。あなたの気持ちが少しだけ理解できました。俺も同じ立場になったとしたら同じことをすると思います。だから、ありがとうございます。おかげでリシアは強くなれそうです」

俺はそう言いつつ、彼女の方を見て微笑みかけたのである。するとリリスの方も俺の方を見て嬉しそうに言う。

「そっか、やっぱりアリシアちゃんのことを大切に思ってくれてるのですね。私も貴方の事を知りたいのですよ?だから聞かせて欲しい事があるの」

彼女はそう言って微笑むと何故か急に俺に抱きついて来て頬にキスをしてから俺に言う。

「ねぇユート君、君は何処まで行くつもりなんだい?」

彼女の質問に対して俺は何も言えなかった。そして抱きついて来た彼女から離れながら言った。

「俺に出来る範囲で、みんなを守りながら前に進んでいくだけだ」

「そうか、やっぱり、そういう風に考えてしまうんだね。やっぱり君は変わらないね」

「変わるわけがない。例え周りが変わっていこうとも俺は自分が信じる道を歩くんだ。たとえ俺が進む先が茨の道であろうと関係ない。俺自身が決めた道は誰にも文句言わせないし譲らない。俺が俺であり続ける為には必要なんだ」

俺がそう言うと、いつの間にか俺の後ろに立っていたロゼが俺の事を後ろから抱きしめて耳元で言う。

「シリウスさんが居ない間に、シリウスさんの事を慕う女性がたくさん増えてしまいますよ?それでもいいのですか?」

「俺の気持ちが変わる事はないだろう。そんな心配をするよりも今は、まずアリシア達を何とかしよう。話は後で良いだろ」

「分かりました。ではアリシア達を連れて、こちらにきてください」

俺がロゼに言われるままについていくとラディアがアリシアを抱き寄せたまま俺の後を追って来て、その後にラディアと手を繋いでいるクロトとアリシアの父親が、ゆっくりとした足取りで付いて来てくれたのだ。俺は、そんな彼らの様子を見て嬉しく思い微笑んでからアリシアに近寄るとアリサがアリシアを抱き寄せるように誘導してくれてから俺の側を離れていった。ラディアに抱きしめられていたアリシアは俺の顔を見ると恥ずかしそうな様子を見せたが俺の手を掴むと自分の母親の元に向かって歩き出す。そして、そんな二人の様子を見たアリサはアリシアの手を引っ張って自分の父親の元に戻ると俺と目が合ったが何も言わずに黙ってアリシアと父親の側に歩いて行ったのである。

アリシアは、そうしてアリシアの父親の隣に来るとアリシアの父親の腕にしがみつき父親もアリシアの肩に手を回したのである。そして、その様子を見たラディアは何かを悟ったような顔になってラディアの父親の元に走って行き彼も同じように娘のラディアの腰に腕を回すと娘の事を力強く抱き寄せる。

そんなアリシア達の様子を見ていたアリシアとラディアの両親は微笑んでいると、それに気付いた二人は慌てて離れたのである。

「おとうさん!?お母さん!?」

「ごめんなさいね。別に、いつもの親子喧嘩なんだけど気にしないでね」

「そうだな。ちょっと、アリシアを嫁にやらんとか騒いでいただけだ」

アリシアの母親とラディアの父親は苦笑いを浮かべるとラディアとアリシアの両親から離れて行った。

俺の横にいるロゼの案内の元、しばらく進むと一つの建物に辿り着いた。その建物は三階建てになっており大きな屋敷だったのだ。そして、その屋敷の扉を開く。すると、そこに広がっていた光景を見たアリシアが、驚きの表情を見せていたのだった。

「これは一体どうなってるんだい」

アリシアが困惑しながら言うのと同時に俺は思い出していた。

俺はロゼが用意してくれた屋敷の中に入った時、思わず笑ってしまうほど懐かしい気分になる場所だった。俺の記憶の中ではアリシアが住んでいた家は、この場所に酷似していたからである。そしてアリシアが、ここを見て驚く理由に俺は納得出来たのであった。そんな様子でアリシアの事を見ていたら彼女は、ある人物の名前を呼んでいたのである。

「お母様!アリサちゃん!!」

その言葉を聞いた瞬間に、その声に反応したのは俺が予想してなかった人だった。それは先程、会ったばかりのアリシアの父親ではなくてラディアの両親の方なのである。そんな様子に驚いてしまった俺に、ラディアスがアリシアに近づいて言う。

「まさか本当に、こんな所でアリシア様に会えるなんて思っていませんでした。元気にされていましたか?」

アリサはアリシアに近づくとアリシアの顔を両手で挟んで彼女の瞳をジッと見つめながら言う。

「良かったね。元気そうじゃん。安心したわ」

「うん。二人共元気そうで、本当に、ほっとしたよ」

アリシアが涙を流して言うと、それを聞いていた俺の母親も近寄ってきていた。

「アリシアは本当に友達に恵まれているみたいね。アリシア、私も元気そうで何よりです」

そんな母親とアリシアは手を取り合い再会の喜びを噛み締めているようだった。そんな中、ロゼが言う。

「とりあえず今日は遅いので休んで、詳しい話は明日からという事にします。部屋を案内させましょう。リリアナ、皆の案内を任せてもよろしいでしょうか?」

「えぇ。大丈夫ですよ。では皆、着いてきてください」

リリアナは、そんな返事をしてからリリスの方をチラッと見てから、リリスの方を見るリリスが、こっちに歩いてきたのを確認すると彼女は他の人に声をかけていたのである。俺は、そこで気が付いたのだ。そう言えば、あの人が居るはずだと思ったのでリリスが向かった場所に視線を向けると彼女が居たのである。彼女は俺と目が合うと、とても悲しそうな目をしてから俺を見ており俺の身体を抱きしめて耳元で言う。

「やっぱり私なんかじゃ、ダメなんですか?私を選んでくれないんですか?」

「違うよ。俺はロゼの婚約者だし、それに、あなたが俺を好きになったのは俺の容姿が好きになったからだろ。だから見た目だけしか見ていない女性を選ぶわけにはいかないんだよ」

俺が、そう言い返すと彼女は泣きそうになりながらも笑顔を作り、そして離れていったのだった。その事を確認して俺は思う。きっと今、彼女の事を考えたとしても俺は彼女を選ぶ事は無いだろうと思いつつも俺は今、自分の気持ちを伝えるべきなのか悩んだのである。俺がそんなことを考えながら悩んでいる間にも部屋の移動が始まっていた。リリアンが先に部屋に入ると後からリディアと、ラディアス達が入っていくのを確認した後、俺も中に入るために扉に手をかけたとき背後から俺の服を引っ張る人物がいた。そう振り返る暇もなく俺の背後に抱きついた人物は、すぐに離れて言った。

「お兄ちゃん」

そう言って離れてしまった、ユイに対して少し寂しさを覚えながら言う。

「また後で話せる時間はあるさ。でも、あんまり夜遅くなると寝坊するからな」

「う、うん」

「なら部屋に行こう」

そう言うと俺は、その場を離れて部屋の方に足を進めた。そして、その途中で、ふと思うことがあった。

俺は前の世界と同じような感覚で行動しているのかもしれない。そんな事を思ったのだ。この世界で俺は前の世界の事を夢で見ているのではないか?と思える事が度々あるのだ。

俺は、この世界に勇者として転生して来ているので俺の本来の性別が女である可能性は高い。しかし今現在俺は男になっている。この違いも俺の気持ちが前の世界と変わらない部分なのだ。そんなことを考えながら俺は屋敷の一室に案内されるのだった。

そして翌日。俺が目を覚ますと既に全員が起きていて朝食を食べようとしていたのだった。俺の姿を見てからアリシアは立ち上がり、そのまま駆け寄り俺に抱きついて来た。そして涙声で言ってきた。

「お帰り。シリウスさん。ずっと会いたかった」

「ただいま」

俺達はそう言うとお互いに強く抱きしめ合ったのである。その様子を見てアリシアの母親もラディアスもアリサもクロトも嬉しそうに俺達の様子を眺めていたのであった。そして、その様子をラディアの両親が温かい目で見守ってくれていたのである。

その後、食事をする事にして全員がテーブルについて食事が始まった。

俺の目の前にはラディアの父親と、アリシアの母親がいる。そしてアリシアの父親と、俺の母親も対面する形で座っている。そして俺の隣に座っているのはロゼである。そしてラディアの父親が口を開いたのであった。

「それでだ。君は誰なんだ?」彼は真剣に聞いてきていたのである。その言葉で、やっと本題に入れると心の中でホッとしているとラディアスが言う。

「お父様。まずは自己紹介をしませんか?」

その一言を聞いて、そうだよなと思ったのだ。なので俺は名乗る事にした。するとラディアの父親以外は驚いていたが気にせず続けたのである。そしてラディアの父親に俺は言う。

「改めて、はじめまして。ラディアさんの婚約者をしてる者なんですけどね」俺は、ラディアの父が何かを考えている間に、そんな事を言っていた。そんな言葉を聞きアリサとリリアナの二人が吹き出しそうになったが何とか我慢してくれたようである。そんなアリサとリリアナが、どんな表情をしていたのか確認したくはあったが俺が振り向いたら、どうやら二人共笑みを浮かべているようで俺と目が合っても平然とした様子だった。そんな様子を感じ取り俺は前を見ると、アリシアの父親が何やらものすごく驚いた様子で俺の事を見てから言う。

「君の名前はシリウスで良いのかい?」

「あぁ」

俺が短く答えるとラディアスの父親は頭を下げてから俺に向かって叫ぶように言ってくる。

「すまなかった!!私の娘のせいで貴女の人生を変えてしまう事になったのだろう!?私はアリシアを愛しているんだ!だから私の命に代えても必ず娘を幸せにする!どうか私達にチャンスをくれ!頼む!」

「いらない」

俺は即答で答えていた。その返答にラディアの両親だけではなく、アリシア達までが驚いて固まってしまっていた。そして、そんな空気を破ったのは、アリサだった。アリサの言葉を聞いた瞬間にラディアの父親と、ラディアと、そしてアリサと俺を除く全ての人物が唖然として固まると言う珍妙な光景が生まれた。そんな空気を打ち破るようにアリシアは言う。

「もうお兄ちゃんは私が責任をもって一生一緒にいるんだから邪魔しないで下さいね。あと、私の事を忘れたりとかしないでくださいよ」

「忘れるも何も昨日会ったばかりで名前しか知らないじゃないか」

「それも、そうでした」

そうやって会話をしている最中も、やはり誰も喋らなかったのだが俺は無視して続ける。

「それと俺は今の自分が好きなんだ。確かに前の自分は好きになれない。けど今を生きる俺自身は好きなんだよ。だから謝る必要なんて無い。むしろ謝るのはこっちだよ。俺みたいな見た目が変わってしまった俺を好きでいてくれる二人に酷い態度をとって傷つけたりしてしまった。本当に申し訳なかった」

俺は深々とラディアの父親に、アリシアのお母さんに、アリシアとリディアとラディアに謝罪をするのと同時に感謝を込め頭を深々と下げて言うのであった。

俺とアリシアが屋敷に入って、しばらくしてからラディアスが入ってきた。そのタイミングで俺達の母親がラディアスのところに行くと二人で話し合いを始めてしまった。そしてアリシアが俺に話しかけてきた。

「ねぇ、これからどうしようか?」

「まぁ俺が決めなくてもいいと思うぞ」

俺の言葉にアリシアは、こちらを見つめてくるが俺の顔を見てため息をつく。

「そんなわけないでしょ。私だって少しぐらいは考えてもいいんじゃない?って言ってんのよ。で、何を考えていたのよ」

アリシアは腕を組み頬を膨らませて怒っていた。

「いや、俺が考えていても、お前が考えなければ意味が無いだろ。それなら、俺は考えるのをやめた方が良いだろ。それに、お前の方が色々な事を考えられるしな」

「うー、それは、そうかもしれないけれど」

俺は俺の意見を言うと、今度は納得しかねるような感じで言ってきたのである。

俺達は二人で色々と考えていると扉が開きロゼと、ラディアス達が入って来たのである。

「そろそろ昼食の時間ですよ。お二人とも用意が出来ていますから食べてください」

ロゼは、そう言うと皆を連れてテーブルに向かったのだ。それから暫くの間、ラディアス達が俺に質問してきたり、逆にロゼとリリスさんから質問されたりしたのだが全て曖昧に答えておく事にしていた。その途中ふと思ったのだ。そう言えばアリシアを抱きしめていた時の事を思い出したのである。俺は抱きしめていた手を離し立ち上がるとリディアの方を見る。彼女は、その視線に気付き笑顔を見せる。

「お手洗いに行きたいんですが案内してくれますか?」

俺がリディアに向かってそう言うとロゼが近寄ってきて言う。

「なら、案内します」

そう言ってくれたので俺は彼女と一緒に部屋を出るとトイレがある方へと向かいながら彼女に話しかける。

「ありがとうございます」

俺がそう言いつつ笑顔で言うと彼女は顔を真っ赤にして下を向いていたのだった。俺は不思議に思いながらも歩き続ける。そして彼女は急に立ち止まると顔を上げて俺を見てきてから小さな声で呟いていた。

「ずるいです」

「え?ごめんなさい。よく聞こえなかったので、もう一回お願いできますか」

俺は彼女が何を言ったのか分からずにもう一度聞き返した。すると、彼女はまたも俯いてから言う。

「何でもありません。ただの独り言なのですから気にしないでください」

「分かりました」

俺はそう返事をした。それから俺は用を足してから戻ってくるとリディアとロゼの姿は無かった。そんな状況を確認して俺はアリシアの所に急いで戻ったのである。

俺は屋敷に戻ると自分の部屋で一人きりになった時にふと思ったのだ。そう言えばアリシアに会えて俺は浮かれすぎていて気が付いていなかった事がある。そもそも俺はラディアスと婚約している身なのに他の人と恋人になって大丈夫なのだろうか?そんな事を思ったのである。だが今更考えたところで仕方がない事だと割り切って夕食を食べに行った。食堂には既にラディアスがいたが俺は気にならないように振る舞い食事を開始したのである。ちなみに今日は魚だった。美味しい。食事を終えた俺はリシアの様子を見るために二階に上がった。そして、俺が彼女の部屋にノックをすると声が返ってきたので入る。リディアも一緒に来ていた。リディアの様子を見て俺とリシアは思わず驚いてしまったのである。何故かと言うと彼女は泣いていたからである。俺とリディアが慌てて駆け寄ると俺の服の裾を掴み必死に話し始めたのだ。

「シリウス様!!私はずっとあなたを待っておりました。お姉様は貴方の事が好きになりずっと側にいると言い始め、ラディアス様もアリシアお嬢様に惚れ込み、私に諦めて欲しいと言ってくるのです。お二人に悪いので断っても断るのも辛いし嫌なので、せめてもの罪滅ぼしとして、ずっとお側で仕えておりましたが、やはり私は耐えられそうにありませんでした。でも、こうして、お帰りくださった事が嬉しくて。つい」

「そっか。頑張ったんだね」

俺は泣き続けるリディアの背中をさすり続けた。しばらく続けていると落ち着き始めたようなので俺は言う。

「俺とアリシアは明日にここを発つよ。だから今日の夜までゆっくりしていきなよ」

「はい。分かりました。では、もう少しだけ泣かせてもらいます」

俺はそう言われても困るなと思いつつも彼女の気持ちを落ち着かせるためにも、もうしばらくの間リディアの背中を撫で続けていたのであった。

次の日の朝。朝食を終えると、すぐに俺はリディアに別れを告げることにした。俺は、リディアの手を取り見つめ合い告げる。

「じゃあ行ってくるね」

「お待ちください。私の事を貰ってくれませんか?もうお父様の許可は得ています。私の事を捨てたりしないでくださいね」

リディアが潤んだ瞳で、俺を見上げてきたので俺は苦笑いをして言う。

「捨てたりしないから、安心しなよ」

俺はそう言ってからラディアスたちの所に向かうのだった。

ラディアスと、アリシアの両親は俺を歓迎してくれたのである。

「昨日の今日だというのに来てもらって悪かったな。それと娘の事を選んでくれて感謝する」

「本当に感謝してるわ」

ラディアスもアリシアも俺に感謝の言葉を言ってきてくれたのである。俺には何が何だか分からなかったが、とりあえず、二人に向かって微笑みかけ言う。

「いやいや。俺は俺がやりたいようにやっただけだ。だから感謝なんかいらない。俺は二人の幸せを願い続けてるから、これからはアリシアの事は幸せにしないと許さないから覚悟しておきなさい」

俺がアリシアの父親にそう言ってから俺達は屋敷を出たのであった。

屋敷をでて街に向かう途中でアリシアは、ずっと黙っていたが唐突に話し出すのであった。

「私、あの人と結婚しない。あんな男なんかと結婚できないよ」

そう言うと、立ち止まり俺をじっと見つめてから抱きついて来てキスをしてくる。俺達二人は、そのまま唇を合わせたままでいるとリディアの声がしたのだ。

「ちょっと、いつまでやってるのですか?離れなさい!」

「やー」

俺達は二人で、そんな会話をしながら歩くのである。

「俺も少しぐらいアリシアが俺の事を好きでいてくれてるのかなって期待してたんだけどな。まぁ俺の事を好きな人が居なかったんだろうけど。やっぱり、そんな事無かったな」

俺が少し落ち込んだ口調で言うと、アリシアに睨まれる。そして腕に力をいれてきたのだ。そんな事があってから、少しして街に着いた俺達はギルドに行くことにする。アリシアの父親のところにはラディアスが連絡を入れているだろうから俺達はギルドで冒険者になる申請をする事にしたのであった。ちなみにラディアスがアリシアと俺をパーティーメンバーとして登録してくれることになったので、三人で一緒に冒険者に成り立ての冒険者として依頼を受けようと思っているのだが俺が、受付に行く前に、どうしてもラディアスに伝えておきたい事があり、彼を呼び止めると二人で話をすることになった。

俺とラディアスが人気の無い場所に着くと、ラディアスが言う。

「シリウス殿は何故アリシアお嬢様を選んだのだ?正直に言えば私はアリシアお嬢様の事が昔から好きだった」

俺は彼の言葉を聞いてアリシアが言っていた通りなのだなと思った。

「それはリディアさんの時と同じですね。俺は彼女が欲しいです」

「そうか。まぁ良いか。それで貴公がこの街に来た目的は何だ?」

「はい。俺は勇者召喚の事で少し確認したいことがあるんです。ですから、それについて調べさせていただきたいと思います」

「分かった。それならば協力しよう。それに、貴公なら魔王も倒せるかも知れぬし、私としては娘を任せられるからな」

「そう言ってもらえると嬉しいですよ。それにしても俺が、ここに来たのがリリアナさんで良かった」

「どういうことだ」

「いえ、もしリリスさんが来たら俺はどうなるんでしょうかね。もしかしたらアリシアと一緒に王都に連れて行く事になるかもしれませんしね。そう言うわけでアリシアとラディアスには協力して頂きますよ」

俺がニヤッと笑うとラディアスも同じ笑みを浮かべていたのである。そう言う訳なので俺は二人を連れて街の酒場に来ていた。そこにはユイもいたのだ。だが彼は何故か俺を見ると泣き出してしまった。

ラディアスが言う。

「こいつは誰に何をされたか覚えてないようだが、お前を殴った奴の仲間らしいぞ。お前は殴られるような事をしたか?」

俺は彼が泣き止むのを待って事情を聞くことにした。

「君の名前と年齢と種族を答えてくれるかな?」

「はい。僕はタロウといいます。年齢は10歳で、人間族、魔族は苦手なタイプです」

俺はそう聞いてから思う。

(あれ?俺がこの前助けた女の子って確かハーフエルフだった気がする。もしかするとその子供なんじゃ無いのか?)

「もしかして、君のお父さんは黒髪に赤い目で肌は褐色、身長は僕より高くて体格が良いのかな?あと剣を使う人なんだよね」

「はい。僕の父の名前はユウジと言います。母の名前はサクラで二人とも人間のはずなので、僕がハーフエルフと言うわけではないと思います。あと、確かに父の見た目の特徴はシリウス様に似ていますね」

「えっとさ、多分だけど俺の事を助けてくれた男の子のお姉ちゃんなんじゃないかと思うんだ。君がさっき言った特徴を持った女の子と会った事があるんだよ」

「え!そうなんでしょうか?シリウス様、会わせてもらえませんか?」

「いいよ。じゃあ今度俺の家に遊びに来る?」

「本当ですか?ありがとうございます。是非行きたいと思います」

「そっか。じゃあさ。明日はどうかな?お姉さんは予定があるのかもしれないから一応今日も家に来ておく?」

俺はそう言って彼に微笑みかける。するとまた泣いてしまったのだ。俺は、なぜ泣くのだろうと不思議に思ったのであった。そしてラディアスがため息をついて俺の肩を叩いてから口を開いた。

「とりあえずだな、今は、そろそろ来る予定の、あの女が問題だからそっちを先に片付けないか?シリウスも疲れただろ」

俺はラディアスが言っている意味が分からないでいると、ユイとロゼ、そしてルティアが集まってきたのだ。

俺が何かをする前にラディアスが言う。

「とりあえず座れよ」

そう言って席をあけると全員が座ってきた。ラディアスが俺を見ながら言う。

「シリウス、こいつが例の件を調べてる時に仲間にしようとしてた奴らの中にいた男だ」

「あぁ。思い出した。君は確かユイルだっけ?」

「はい。僕はユウイルと言います。貴方に助けられた子供の弟の兄に当たります」

「そういえば、そうだっけ。まぁいいや。それよりも何で泣いてるの?」

俺は気になった事を聞いたのであった。するとユイルと名乗った少年は話し始めた。

「あの後、父や母は大丈夫でしたが、僕だけが捕まりまして奴隷商の元に連れて行かれそうになったのです。その時シリウス様の話を父から聞いていたので何とかして逃げようと抵抗をしたのですが、捕まってしまいそうになりました。その時、僕の前に誰かが現れました。それが先程も言いましたがリリスさんだったんです。彼女は圧倒的な強さを見せました。でも彼女はこうも言ってました。あなた達がここに居続ける限り私に迷惑をかけるから私を頼るな。と。それから彼女は消えました。その後すぐに両親が駆けつけてくれました。僕は両親から色々と聞かされて、自分がいかに愚かだったかを理解させられたのです」

そう言って俺を見てくるユイルを見て俺は苦笑いをする。そして彼の頭を撫でながら俺は告げる。

「君がこれからどうしたいのかについては、もう少しだけ時間をくれよ。それと俺はもう行くよ。明日にはこの街を発つから、それまでに決めておいてくれよ」

俺はラディアスに挨拶してからその場を立ち去る。俺はギルドで受けた依頼のために薬草を集めに向かうのであった。俺は街を出て森の中に入り気配察知を発動しながら、目的の物を探す。すると一ヶ所に大量にある反応があったので向かってみると、そこにはスライムの集団がいたのだ。俺はアイテムボックスから取り出した剣を鞘から抜き構えてから叫ぶ。

「スライム達よ。お前たちの力見せてもらうぞ」

そう言って俺は一気に駆け出してスライムを切り裂く。

俺は全ての魔物を倒さずに残して次の魔物を求めて走る。しばらく移動していると、目の前にコボルトが現れたのだ。俺の姿を見るなり飛び掛かってくるが、その動きが遅すぎる為に俺は余裕を持って回避して、そのまますれ違い様に切りつけてやる。そうすると一瞬にして二体の首が落ちていた。

(やっぱり弱すぎだよな。レベル差が激しすぎて戦闘になってないもんな)

そんな事を思っていると背後から攻撃されたような感覚を覚えた。俺が後ろに振り返るのと同時に矢が飛んでくる。それも三連続でである。それを、それぞれ別の方向に体を捻ることで避けている。

俺は自分の身体能力を改めて実感しつつ思う

(これがスキルの恩恵なんだな。今までだと確実に死んでいたな。でも、これくらいで死ぬことはなさそうだな)

俺は自分に近づいて来ている敵の数を鑑定で調べてみる。その結果、二十体程度だと思ったのだが予想よりも少なかった。おそらくは近くに巣がありそこにまだ待機させているんだろうと推測した。

そんな事を思いながらも、まずは弓を持っている奴に接近戦をしかけてやる事にする。相手が持っている剣を奪いとってやろうとしたのだが剣の使い方が下手なのか全く使えない。そこで相手の手首を狙って武器を奪うことに切り替えた。相手は俺の行動に気が付いていないようだし簡単に成功するだろうと思ったのだが、ここで俺は失敗してしまう。それは相手の手首を切るために腕を狙ったのだが全く刃先が向かなかったのだ。だが俺が狙っていた事は成功したのである。それは、その者が握力がなくなり落としてくれたのである。俺はすかさず拾うと喉元に向かって斬りかかったのだ。それで終わりであり敵は倒れたのだった。俺は周りを確認すると他にも敵がいたようでこちらに迫ってきていた。

どうやら、この周辺にはゴブリンが沢山生息しているらしいが一体も姿を見せなかったのである。

(この森は俺にとっては、あまり住み心地が良くない場所のようだけど仕方が無いよな。俺の目的の為にも頑張ろう。あとさっきの攻撃はかなり速かったな。ステータスが上がれば、もっと速く動けるようになるのかも知れんな。とにかく頑張っていこうかな。)

それから俺は襲い来るゴブリン達を、次々に切り捨てて行きながら薬草を集めることにしたのだった。ちなみに途中でオークが出てきたがレベル差もあってかアッサリと討伐できた。しかも今回は魔石も手に入ったのでラッキーだと思いつつ集めていく。そして夕方までかかって、かなりの量の薬草を集められた俺はホクホク顔で帰路についたのであった。

ただいま俺達は宿屋の部屋にいた。リリスとアリシアとユイが風呂に入っていて俺は部屋の中でボーっと待っていたのだ。俺には考えなくてはならないことがあったからだ。それは勇者召喚の件についてである。だが今の俺では判断材料が足りていない。そのためリディアに質問することにしたのだ。俺は彼女の部屋に訪ねることにした。扉を叩きリディアが部屋の中から出てきた。俺の顔を見たリディアは俺の手を引いてベッドに座り向かい合う形で座る事になった。

リディアは言う。

「何かしら?聞きたいことがあるなら遠慮せずに言いなさい」

俺は彼女に言うべき言葉を考えた結果、ストレートに聞くことにした。

「リディア、教えてほしい事があるんだけど」

「えぇ。いいわ。答えられる事であれば答えるけど、どういったことが知りたいのかしら?」

「勇者を呼べる方法を知りたくてさ。俺にも何かできる事があるんじゃないかと思って」

俺がそう言うと彼女は黙ってしまった。それから少し時間が経った頃彼女が言う。

「それは難しい問題ね。勇者召喚を行う為には最低でも10人以上の魔素を操れる人材が必要だと言われているのよ。だから私一人だけでは出来ないわね」

俺としては、そこまで難しい問題ではなかったが俺一人で解決できない事も事実だったので他に出来ることを考えておく必要があると思った。それから暫く二人で雑談をしていた時だった。いきなり扉が開かれてルティアが現れたのだ。彼女は慌ただしく俺達の前に来て口を開いた。

「大変です!シリウス様!魔族軍がこの街に攻めてきてます!今は、この街の騎士が応戦しています」

「なんで分かったんだよ!まさか、あいつらが言ってきたってわけじゃないよな?」

「いいえ。魔族軍にこの街の場所が知られているんです。それに彼らは自分達だけで勝てると思い込んでるらしく、シリウス様には申し訳ないのですが貴方様には大人しくして貰おうと思っているのです」

「え!なんでだよ。もしかしたら俺が魔族軍を倒せるかも知れ無いだろ?」

「え?シリウス様が、ですか?あぁそうですね。もしかすると貴方様なら可能かも知れないと我々も思いましたが、今、シリウス様を危険な目に遭わせるつもりはないんですよ」

「でも、さっきは街を守れと言ったじゃないか」

「はい。貴方様が街の外で魔物を狩り尽くしてくれたから街への被害は最小限に抑えられているはずなので、今は大丈夫だと思うんです。だけどシリウス様が、もし外に出てしまった時に万が一という事が起こらないとは、はっきりと断言できませんから、とりあえずシリウス様は隠れていて欲しいんです」

俺は彼女の言う通りにする事にしたのだ。ルティアの表情が強ばっている事から何か問題が起こりそうだったから、ここは任せてしまっても大丈夫だろうと思ったのだ。

俺の予想は当たっていて街中で大きな爆発が起きた後に、すぐにルティアは現れたのだ。そして、その爆音を聞いたのか大勢の人が窓から様子を伺っている。ルティアは声を張り上げていた。

「貴方達が戦う必要はないの。街から離れて逃げることだけを考えて」そう言った瞬間にまた爆発が起こったのだ。ルティアはすぐに避難するように呼びかけると全員が一目散に逃げだしていたのであった。

そんな中、一人の少年が俺達の前に現れると俺を指差し叫んだ。

「お前が魔王シリウスだな。僕は魔王シリウスを殺すように言われてきたんだ。ここでお前を殺して僕は英雄になるんだ!」

その少年が叫んでいる間に、その者の側に二人の人物が立っているのが見えたが少年の仲間なのだろうと思っていたのだ。すると少年の後ろから女性が走ってきて少年を抱きかかえる。俺は少年に鑑定を使った。すると彼女は少年の母親だという結果が出たのだった。

(この少年が何を考えているのか分からないけど、このままじゃ死ぬだろうな。まぁ俺も死にたくないから仕方ない)

俺はそう考えると剣を抜いていた。その俺を見て驚いた顔をしているのは、この場に残っていた者達だけであった。

俺は目の前にいる三人に言う。

「おいおい。こんな小さな子から殺そうとするなんて正気かよ。そんなの俺は許せないよ。俺も戦いに参加してもいいよね?」

「はっ。ガキは、すっこんでやがれ!邪魔をするんじゃねえぞ!!」

俺はそう言っている奴を無視して歩き出す。そして剣を構えると、そいつに襲いかかる。

だが彼は持っていた槍を使って俺の攻撃を防ぎ、そのまま突き刺そうとしてくる。だが俺には通用しなかった。なぜなら俺が持っている剣の方が強いため俺の体に触れると同時に砕け散ったのである。(はぁ〜。やっぱり普通の武器だったか。やっぱり魔族の武器を持ってきてくれないと、こっちも本気が出せないよな)

そう思った後、俺の攻撃を防ごうとした奴の腹に蹴りを入れて吹き飛ばしてやった。そうすると俺に攻撃を仕掛けてきた二人も同時に吹き飛んでしまった。

俺は何もできなかった男に向かって歩くと目の前に立ち止まる。

男は怯えているようで、俺から距離を取ろうとしているのだが体が上手く動かないようである。

(ふむ。これはレベル差がありすぎて麻痺でもしてる感じなのかな?)

俺は目の前の男に対して思う

(まあいいか。それよりもコイツらをどうするかだよな)

俺は自分の命を狙った相手ではあるが殺しはしないと決めていた。それは自分の為に誰かが死ぬ事を許容できなかったからで、それが自分よりレベルが低い存在であっても同じだったからである。

だからといって殺すのも嫌な俺は、自分の意思を伝えるために男の首根っ子を掴もうとしたが既に逃げられていたのである。そしてもう一人の男の方も同じように逃げ出している最中で俺は剣で首を切り落としてあげたのだった。

(あれだ。子供を人質にしようとした奴は絶対に見逃さないってのが、この世界のルールだっていうのなら、あの男にも罰を与えたほうがいいと思うんだ。でもなぁ俺には人を殺したりはできないんだよね。だからと言って、あの男が生きている限りは俺の気が収まらない。だから死ねって言って死んだらラッキーくらいに考えておく事にしようかな)

それから俺は逃げた奴を追いかける事にしたのである。俺が走っているとその先に先程の親子がいたのであった。俺は彼女達に近づく。

「おい。君達は何者だ。俺の命を狙った理由を教えて欲しいんだけど」

俺がそういうと彼女は口を開いたのだ。

「私はこの街の領主の三女でリリアナと申します。貴方に攻撃を行った者は我が家の家臣でして、お詫び申し上げます」

(え?この女の子がリリアナさんなのか。なんか凄い美人なんだけど。この子が俺を殺しに来たとか信じられないなぁ。どうみても、この子に俺を倒せるようには思えないんだけど)

俺は心の中でそう思っていた。リリアナは俺の目を見ると悲しそうな顔をしながら、そして決意を秘めた目をして俺に語り始めた。

「今回の騒動の原因は全て私にあります。シリウス様のお命を狙った事、本当にすみませんでした。私が愚かであった為に起こった事です。ですが、どうしても貴方の力が必要だったのです」

「ん?どういう意味なんだ?」

「それは、この街の近くに迷宮が存在する事はご存知ですか?」

「え?それってもしかしてダンジョンって呼ばれる類の場所のことかな?」

「はい。そうです。実はシリウス様に助けて頂きたいと思っている魔物は、そのダンジョンに封印されているのです」

「はぁ?どうして魔物を助ける必要があるんだよ。別に俺の助けを借りなくても倒せば良い話じゃないのか?」

俺がそう言うと彼女は下を向いてしまう。

「それは、出来ないんです。私のスキルが使えなかったから」

「あ!ちょっと待ってくれ。もしかして、その子は何か特殊な事情でもあるのか?」

俺は何かを思い出したのか、そう口にしていた。するとリリアナはその問いに答えてくれる。

「はい。彼女は特別な体質で生まれてきてしまったんです。それで今まで家族以外の人と会うことも禁止されていて。だから彼女は外の世界を知らないまま成長してきているんです」

俺としては納得できた内容だった。つまり、彼女は俺に助けを求めて来てくれたんだなと理解したからだ。ただ疑問が一つある。

「リリアナさん。君のステータスはどんな風に表示されているんだい?」

俺がそういうと、彼女が少し困っているのを感じ取っていた。なので俺の質問の内容が彼女にも予想できていなかった事だろうと感じたのだ。そこで彼女が口を開く。

俺は今、目の前の女性と話し合っていたのだった。目の前の綺麗な女性は俺がこの世界に来てから初めて会った人間だった。名前は『リシア』というそうだ。彼女は俺の問いかけに口を開いた。

「はい。まず、最初に自己紹介させて下さい。私の名は、リシア。リリス姉様の妹です。そして貴方様が求めていた勇者と呼ばれる能力を持っている者でもあります」

その言葉を聞いて俺は目を見開いて驚く。なぜなら、目の前の少女から勇者という単語が出たからである。俺は勇者に付いて詳しく聞こうと口を開こうとすると彼女は慌てて話をしてきたのだ。

「え?あ!いえ、違います。勇者ではないのです。私の能力は、レベルが上がった時に他の者と比べて成長速度が異常に早くなるのです」

「うん?そうなのか?確かに俺が確認したステータスだと、そんな感じの能力だな」

「あ、やっぱりレベルを確認する事が出来るんですね。私、まだ一度もレベルを上げたことが無いからレベルも上がらないし、成長もしていないから普通なのですね」

「ははは。えっと。俺のスキルで調べればレベルや強さを表示できるから、もしかしたら君の強さを調べることが出来るかもしれないよ」

「あ、はい。シリウス様、よろしくお願いします」

俺の言葉を聞くと、少女は嬉しそうに笑みをこぼしながら、そう返事をした。そして俺のスキルを確かめようとする前に彼女の方に俺のスキルについて教えようと思って伝える。

「その前に俺は君のことを調べたから知っているんだけど、その力は簡単に見せてはいけないよ」

俺の言葉を聞いたリディアが驚いている様子だったので俺は続ける。

「例えばだけど俺が鑑定を使うと相手の個人情報が全て見れるようになっているから気をつけて欲しいんだ」

その説明を聞いた彼女の瞳が大きく開かれる。俺の言っている事が真実だと伝わったようである。

「あとさっきは驚かせたけど君は魔王を殺す為に召喚された勇者とは違うようだな。それと俺の事を知っていたみたいだけど魔王の事を知っているかい?」

俺がそういうと、リディアが答える。

「シリウスさんが魔王と呼ばれている理由は、おそらく貴方の鑑定に秘密があると思われます。それにシリウスさんの事は、お父様とお母様からよく聞き及んでおりましたので知っていました。シリウスさんが魔王と呼ばれていた理由も知りません。ただ、シリウスという名前にお心当たりがあっただけなんです」

彼女は申し訳なさそうな顔をする。どうやら自分の無力さを嘆いているような雰囲気だった。

そんな表情をしている彼女を励ますように言う。

「まぁ気にしないでいいよ。それよりもリデアさんでよかったよね?俺は君に頼んでいる事があるんだよ。もしかすると危険が伴う事になるかも知れないから先に伝えておくけど、もしお手伝いしてくれると言うのであれば君の協力がとても重要になってくるんだ」

「私なんかでも役に立つ事があるのでしたら、なんなりと聞いてください」

俺は、そう言ってくる彼女に対して言う。

「俺には仲間が必要だと、ずっと思っていた。だがこの世界にきて、俺が信頼しても良いと言える相手と出会うことが出来なかった。でもようやく出会うことができたんだ。だから頼む。君にも一緒に行動してほしい」

俺は正直に話してみたのだがリリアナが口を挟んできたのである。彼女は少し不機嫌そうにしているようで、俺に向かって強い口調で話し始めてくる。

「ちょっと待ってください。シリウス殿の仲間は私たちがなる予定ですのよ。貴方が一人で勝手に話を進めるのは止めてください。リリスもユウマ君が気になっているのでしょうがシリウス君と一緒に居たいのならば邪魔をしてはダメですよ。今は話し合いをする時なんですから、少し落ち着きなさい」

「は、はい。ごめんなさい。お姉さま」

リリアナが素直に謝る姿を見て、この子はきっとお姉さんに甘えるタイプの妹なのだなと思った。ただ目の前のリリアナが言った内容が俺には全く意味がわからなかったのでリリスに尋ねる事にしたのだ。

「えっと、仲間というのは俺の従魔にでもなれるという事なのだろうか?」

「はい。私もユウマさんと同じく異世界から召喚されて来た人間でシリウスさんの事も存じておりました。貴方は私がこの世界で得た大切な友人です。なので私が必ずお守りいたします。ですので、ぜひ私達を連れて行ってほしいのです」

俺は二人の気持ちを聞き少し考える時間を設けた後に口を開く。

「えーっと。君達は俺の事を信用してくれているんだよね?」

俺のその問いに二人は声を合わせて答えてきた。その答えは肯定だったのである。

(ふむ。彼女達が俺の味方である以上は、もう俺が死ぬのを待つとかいう手段は通用しないだろう。だったら俺の願いは叶うのだろうか?)

「それならリリアナ。君の望みを教えて欲しい」

「は、はい。実は私は、この国を出て世界を見てみたいんです。私は今まで家族に外に出して貰えず、本を読むくらいしかしてきませんでした。だからこそ、色々なものを見たり聞いたり体験したいのです。この国の外に何があるのか見て回りたいので私は冒険がしてみたいのです」

俺の質問に答えたリリアナの目は真剣な眼差しをしていて俺の心に訴えかけられている気がしていた。そしてリリスの方もリリアナが口にした内容を聞いていたのか俺の目を見ながら言う。

「私も一緒に連れて行って欲しいんです。リリィを助け出すための旅の途中で良いのでどうか連れて行っていただけないでしょうか?」

「わかった。俺の願いは一つだ。リリアナは、リリイを助け出してから共に世界を旅して色々と見て回ること」

俺の言葉にリディアは驚くと同時に俺に尋ねていた。

「ちょ、ちょと待ちなさい!まさか、あなたはリリイも連れて行くつもりなの?」

リディアが心配そうな声でリリアナ達に問い掛けていたので、リディアに俺は告げる事にした。

「あぁそのつもりだよ。それにリリイだって、いつかはリリアナに会いたがっていたはずだ。それなのに彼女は今もまだ会わせてもらえずにいる。それでは可哀想すぎるじゃないか」

俺の言葉を聞いて二人は顔を見合わせていた。俺は彼女たちの顔を見る限りでも、やはり妹が囚われているという現実が受け入れられず不安になっているように見えたのだ。そして、俺は彼女に告げた。

「俺を信じろ。そして俺の力になれ!俺が絶対にお前たちの姉ちゃんを助けるから、俺について来い!」

俺の突然の発言にリリアナとリディアが困惑した表情を見せる。そして、しばらく沈黙した後に、リリアナが静かに答えた。

「わかりました。シリウスさん、よろしくお願いします」

リディアの方は何かを考え込んでいるような仕草を見せていたが結局は答えを導き出せなかったようである。俺としても彼女がリリアナの事で納得しているのか、いないのかの判断が付かなかったのだ。

「シリウス君。君の言葉は信じても大丈夫だと、私も思う。だから私からもお願いします。妹のリリイを解放してやって下さい」

リデアがそう言って深く頭を下げたのだった。俺はその言葉をしっかりと心に刻んで二人に答える。

「よし、リデアが納得してくれたのであれば、この話は決まりだ。まずリシアに確認だ。レベルが上がってから成長速度が違うとはどんな風に違うんだい?リリスの時はどうだったんだ?」「あ、あの。リリスは生まれた時から成長速度が異常に早い子だったんですよ。でも、リディアと私の場合成長速度は同じくらいだったんです」

俺の言葉に反応するようにリリアナが、そう話してきた。俺はそんなリシアとリディアに対して確認をとる。

「リリスは確かレベルが上がったら急にステータスが高くなったんだよな?」

「あ、はい。でも私や姉様の場合は成長しても、ほとんど変わらないんです。ですから、もしシリウスさんの仲間に加えて頂く事が出来たのならば私達のレベルは簡単に上げることができるはずなんです」

「そうか、じゃあ試してみよう」

「はい。お願いいたします」

そうして彼女のステータスを確認すると確かにレベル1の状態でも俺の能力より上回っていることがわかった。そこで俺はレベルを上げられるかどうか聞いてみたのだが彼女は首を横に振ったのである。

「え?出来ないんですか?普通に考えれば、こんな事が出来る人なんていないと思うんですけど、シリウスさんが特別な存在だったりするのですか?」

俺はリアナの言葉にどう答えるべきか少し悩んだのだが、ここで俺が異世界から転移させられた者だという事は伝えるべきではないと思ったのだ。

そして俺はとりあえず適当に返事をする。

「ん?どうだろうな?普通はそんなことできる人がいたりしないんだ」

その言葉を聞いた彼女は、どうやら俺の言葉が真実だと思い込み信じ込んでくれたようである。

その後俺は、アリサにリリアナとリデアを紹介してから、俺の仲間になってくれる事が決まったのであった。

俺は三人に俺が従魔契約をしていないという事を話すと、三人が順番に仲間になると言ってきてくれたのだが、俺は断ったのである。すると、リディアは理由を訪ねてくるので正直に答える事にした。「実は従魔契約が出来る相手って、俺の中では決まっているんだ。ただリリスには内緒にしていてほしいんだけどさ」

俺がそういうと、なぜか三人はリリスには話さずにいてくれるようだ。そして三人がリリスが居ない間に仲間にして欲しいと言ってきたので俺は承諾したのだった。俺はリデアのスキルや魔法について説明を受ける。

それによると、どうやら彼女もレアな能力を持っているようだ。リデアの話によれば彼女の魔力量は一般的な魔法使いよりも少ないらしいが、彼女は他の人に自分の持つ力を貸す事ができるのだと言う。それがどのような効果なのかを尋ねたところ俺に説明を始めた。

リデアが言うには自分の魔力を他者に与える事が可能なのだそうだ。だが自分の持っている魔法の力を使うには他人の協力が必要になってくるのだという。ただし彼女は俺と同じように回復と補助に特化しているとのことだった。

さらに俺とリディアの違いとして俺は回復系以外の力もあると言うと彼女は興味を示した。だが彼女は自分が使うのは攻撃系の力だと言うのでリディアと同じタイプの人間なのだなと感じたのである。

俺はリリアナがリリスの事を気遣って話しかけている様子を見ていて仲が良かった姉妹なのだと思い安心した。

それからしばらくしてからリリスの気配を感じることが出来た。彼女は俺たちの前に姿を現す。リリスの顔を見ると俺は少し複雑な気分になったのだが、リシアの事を聞くことにしたのである。

俺の言葉を聞いてリシアのことを心配していたリリアナ達も一緒に付いて来ることになった。

リリスの案内で王城へと向う事になった。道中でリリアナからこの国の王女であるリアナについて色々と話を聞いていた。リリスがリディアに話し掛けるとリリスは少し嬉しそうな顔をしているのがわかる。そして、リリスの方も姉と会話することが出来て楽しそうな感じに見えるのだ。

そういえば先ほどリリアナ達を仲間にする時に思った疑問があるのだ。この国の王女であり王族の人間であるリリスとリリアナが俺の従者になってもいいのかと思ったのだ。この国の人達はリリスが俺の従者になったことは当然知っているので、もしリリアナ達が俺の従者になればこの国での待遇が変わってしまうのではないかと考えたのだ。

そのことをリリアナに質問してみる事にした。

「ねぇ。リリアナはリリアナが俺の従者になることについては問題なかったのかい?」

「あ、はい。特に私は問題はないですし、リディアとリリアナも大丈夫だと思いますよ」

リリアナのその言葉を受けてリリスは何か考えているようにも見える。俺はもしかしたら俺と一緒に行くことで迷惑をかけてしまうのではないかという懸念を抱いていたのだ。

俺達は王城の門に到着する。

俺はその門の所で止められてしまって中に入ろうとしたが通してもらうことが出来なかった。

リリスがリディアと共に何かを話していたのが見えた。俺はもしかして彼女が王女であることを伝えてこの国に入れてもらえないのではとも考えていた。

しばらくするとリリアナのお父さんのゼノス王がやって来て俺と話がしたいということなので俺は応接室へと向かったのである。リリアナとリリアナの両親、そして何故かリリアナまでも一緒について来たので全員に椅子に座るように指示した。

そして、リリスの父のゼノウス王は、リリスから事情を聞いていて、娘の命を救ってくれたことに感謝していると言ってくれたのだ。彼は俺の身分についても尋ねて来るので、俺も彼に尋ねることにして質問することにした。

「リリアナのお母さん。あなたも貴族だったり、もしくは貴族の知り合いがいるとかありますかね?」

俺の言葉の意味が理解できなかったようで、リディアは首を傾げながら答えてくれた。だがリリアナの母親は首を横に振る。どうやらリリアナの母親が平民のようだったのでリリスも同じように、お付きの者が居るかもしれないと考えていたので彼女に確認をした。

「もしかしてだけど。君のお付きっていう人が居たりする?」

リリアナが何か言いかけたところでリリアナの母親に遮られてしまう。

そしてリリアナの父親は、リリアナの言葉に反応を示す。

「いえ、そのような方たちはおりませんが。なぜそんなことを聞きましたか?」

リリアナが話そうとした内容は俺が聞こうとしていた話の内容に近かったのだが、俺はあえて黙っておく事にしたのだ。

リリアナが何か言おうとしたのは、きっと自分の素性に関わっていることだからだと思ったからである。それにリリアナが言わなくても俺がリリアナについて説明をしようと思えばできた。だが俺の事をリリアナの父親に伝えてもいいものだろうかと考えてしまっていたのだ。

俺が黙っているとリリアナの両親はお互いに顔を見合わせているが俺が何かを企んでいると思って警戒をしているようである。

俺はとりあえずは話を逸らすためにリリスのことを紹介する。

「そうそう。リリアナのご両親が心配しているようなことはないですよ。実はですねリリアナのご両親の目の前に居る女性がリリスと言って俺の従者になっているんですよ」

俺はそう言ってからリリアナの方に目を向けて、リリアナにアイコンタクトを送った。その視線にリリスも気がついて、俺の気持ちを理解してくれたようである。

「え?リリス様?」

そう言って驚いた表情を見せたリリアナだったが俺の説明を信じてくれるようである。だがリリアナの母はリリスが本当に俺の従魔になってしまったことが未だに信じられないようだった。

リリスに聞いたのだが、どうやら彼女の能力は俺以外には使えないらしい。その事で納得できないようだった。俺の能力については詳しくは言えない事を説明すると二人は驚いていた。そして、それならば納得がいったらしくリリスに頭を下げたのである。リリアナの母に至ってはリリアナを抱き締めていたのだった。そんな様子に少し感動していた。そして俺はリリアナにも感謝されたのである。彼女はリリスの能力を聞いてとても喜んでくれた。リリアナは自分の能力に自信が持てなかったようで、俺の従魔になることができたのは幸運だとも言っていた。だから俺は彼女に対して言ったのである。

そして、これからも一緒に旅をして欲しいと告げるとリリアナは笑顔を見せて応えてくれ、俺の仲間になってくれることになったのだ。俺はリリスの方を向いて彼女とは従魔術について研究をする為に仲間になると言ってある事を伝えた。

そして、俺がリリアナに俺の能力を説明しようとしたら、リリアナから説明してくれたのだ。その事は、俺にとっても願ってもないことだったので有り難く思いながら説明を聞くことにする。リリスも自分の事だと言う事で真剣に耳を傾けてくれている。俺のスキルのことや、リディアやリリアナとリリアナが持っている特別な力などを説明した上で、自分の能力を俺のために使って欲しいと頼むと、彼女は承諾してくれた。その後リディア達からも仲間になりたいという申し出を受けたのである。そこでリディアのスキルや魔法について説明すると俺の仲間になった三人全員が、レアなスキルと魔法を持っていて羨ましいと口を揃えていったのであった。

その後少し話をしてから俺とリリアナ、それに三人で庭に出てみることにしたのである。俺達が移動を始めようとすると、突然背後に誰かが現れる。そしてその気配を感じた瞬間に背中から衝撃を受けると、俺の身体は吹っ飛ばされて、そのまま壁に激突してしまう。そして意識が遠退いていく中で俺が最後に見たのは、見知らぬ女の顔であった。

俺が気を失っている間に何かあったのか、リリアナがリリスの所へ駆け寄ると俺の傍にリリアナとリディアが座り込む。

すると俺の前に一人の女の人が姿を現したのだ。そして俺は、すぐにこの場にいる四人の人物に危険が迫っていることを感じ取った。だがその危機に俺はまだ対応する事ができない。なぜならば俺の魔力は既に空になっていて回復ができていないのである。

俺の仲間たちもその人の存在に気づいていたがどうすることも出来ないようだった。だが俺にはこの状況でもどうにかできる方法が一つだけ残されている。だがそれをすれば確実にこの城の中に侵入を許してしまうことになるのだ。

(この方法だけは使いたくなかったが、仕方ない。この人達を守るためにはもうこれしか方法は残っていないんだ)

俺はそう覚悟を決めるとリリアナの肩を掴むと俺に向かって回復魔法をかけてもらうように言うと、俺はリリアナに指示をして俺の回復を行ってもらいつつ、もう一人の仲間でもあるリリスと、新しく俺の仲間になったばかりのリディア達三人にも俺と同じようにしてもらうように指示を出す。

リリアナもリリスも戸惑っていたが、リディアが俺の指示に即座に従うのを見てから二人の方を見ると、俺の言葉の意味を瞬時に理解してくれて実行に移そうとする。俺の魔力が完全に無くなってしまっていて自分でも動けなかったので、二人が行動に移る前に俺を抱きしめていた。するとリリアナ達から温かな光を感じることができ、俺はゆっくりとではあるが動くことができるようになる。そして俺はリリスにリリアナとリリスに、俺と同じ状況にある仲間の二人を回復させるように頼み、俺の方を心配そうに見ていたリリスにも頼んでから、今度は三人を俺から引き離してもらう。すると俺の周りにリリアナが作り出したと思われる防御障壁が展開されており、それは外部からの攻撃を無効化していたので俺は安心して仲間にリディア達の治療を行うように命じたのだった。リディア達はリディア達の方に目を向けると、リディアの方はリディアの妹のリリアナが治療を行っており、リディアも俺と同じくリリアナが張ったバリアの中で待機している状態だった。一方リディアと瓜二つのリリスのほうはリリアナの後ろで控えて何かをしていたのだ。俺はその様子を見ていたが特に何もすることが出来なかった。

リディアが俺の事を呼んでいるような声が聞こえたので俺は慌てて彼女の元へと行くと、俺はリディアの事をリリアナに託す事にした。すると彼女は一瞬戸惑いを見せていたのだが、リディアはリディアにしか任せることはできないのである。それに俺は、リリスと一緒に三人のことを見守ってあげて欲しいと言った。すると彼女は力強くうなずいてくれた。

そしてリディアにリリスの事を頼むとその時に気づいたのがリリアナの張っている防御障壁はリリスが作り出している物だった。俺はその時、何故リリスが自分の事を俺に話さなかったのかをなんとなく理解してしまった。恐らくは俺の事を心配して自分が何者であるかということを隠していたのだろうと考えたのだった。しかし今はそんな事を考えるよりも目の前の脅威をどうするかが先決なのだと思い直していたので余計なことは一切考えずに俺も戦う準備に取り掛かった。まずはステータスを確認してから、自分の中に眠っている魔力を開放し戦闘に備えることにした。

俺に襲いかかってきた女性の姿を確認してみたが、やはり俺の知らない相手なので俺は相手の出方をうかがい観察している。すると彼女が話しかけてきた。

「貴様があの男の娘なのか?まさかとは思うがまだ生き残っている人間がいるなんて驚きね。だけど私はあの男を許さない」

彼女がリリスの父親に恨みを持っているということまでは理解できたが、なぜリリスを狙うのかという理由までは全く分からなかった。しかも彼女はリリスに対して、まだ生きているのが信じられないという態度をとっていたので、何か訳ありのようだ。

「お前はリリスの父親を知っているみたいだが一体誰なんだ?」

俺は相手がどういう人物かを知る為に質問を投げかけてみる。だが、その答えが返ってくる事はなかった。彼女は俺の問いかけを聞かなかったかのように無視をしたのである。

俺としては答えてくれると思っての質問ではなかったのだが、少し腹が立ちついイラついた声で怒鳴ってしまった。だがそんなことは関係ないと言うように、彼女は俺に向けて何かを放ってくる。

「くそ! 何をしやがる!」

俺がそう言い放つと同時に俺は、その飛んできたものを避けることに成功した。

「へぇー避けたの。私の放った技を避けることが出来る人間が居るなんて。さすがは魔王を封印することができるだけの力は持っているわけか。それにしても私に攻撃を仕掛けてくるなんて命知らずもいいところよね」

そう言う彼女からは余裕さえ感じ取れた。

俺は彼女が放ってきた攻撃が何であるかは分らなかったが、おそらく攻撃してくる前にリリアナの結界を壊したことからかなりの攻撃力を持っているという事だけが分かる。だがそれぐらいでは今の俺は負けない自信があった。そして彼女に勝つためには、どうすれば倒せるのかを必死に考えた。

「おいおい、俺の事は知らなくても、俺の仲間に手を出したことに対して怒りを感じないと思うのか? そもそも仲間を守るのは当然だろ?」

俺は冷静さを装いながら話す。だが内心は怒りを抑えきれずにいるのだが。

俺の言葉を聞いた女性は口の端を上げニヤリとした表情を見せると俺を見つめながら言ってくる。

「なるほど、君は面白い子だね。君がリリアナの母親と娘を助けたって話は聞いているけど本当だったんだね。ただそのリリアナの父親が君達を売ろうとしたという話を聞いてもまだ仲間を守りたいと言えるの?」

俺はリリスの父親に対して憤りを感じていた。その事で頭がいっぱいになっていた。

そして彼女の言葉に俺はリリスの父親の悪辣な行動を思い出すと思わず叫んでしまった。

俺はリリスの父親の非道を思い出したら我慢できなくなってしまったのだ。だからといって彼女を恨んでいる訳ではないが許せないのだ。リリスの父親は俺の両親や妹を実験道具のように扱い苦しめただけでなくリリス達姉妹を無理矢理手に入れようとしたのだから、俺は絶対に彼女を許すつもりはない。そして俺はこの女がどんな存在かもわからないが今すぐここで決着をつけるつもりでいる。

俺は彼女を倒すために自分の中で全力を出そうと考えていた時だった。突如として背後に人の気配を感じ振り返ると、俺の背後の地面に穴が開いていてそこに誰かが現れたのだ。

「ユウト様に仇なす敵はこの私が排除します。あなたが何者かは知りませんがユウキ様に牙を向けると言うならば容赦はいたしません。例えあなたの正体がなんであろうと、この国を脅かすというのならこの国に暮らす者として戦いますよ。まあ、私達が負けた場合は潔く身を引くと致しましょう。それでよろしいですね?」

その声の主は、いつの間にかに俺たちの背後に立っていた女性であり、その人はリリスの姉であるミリアだとわかる。俺も突然の登場に驚いてしまう。しかしリリスは俺に抱きつき俺を守ろうとしているのが伝わってきて俺は嬉しく思った。そして俺をここまで信頼してくれるリリスが愛おしかった。

俺はこの瞬間にミリアにリリスを頼めると判断した。なぜならばリリスには姉であるミリアが必要だと思ったからである。俺は、もしもリリスに危機が及ぶようであれば俺もすぐに飛び出すと心に決めた。だがリリスは、俺に心配をかけるまいと思っているのか大丈夫とでも言わんばかりに俺の手を握る。そんなリシアの気持ちはうれしいが、やはり俺は少しでも長く一緒にいたいという思いもあるので何とかできないかと考え始めるのであった。

俺達は、俺を襲った女の人から襲撃を受けていた。しかも相手は俺の事を全く警戒せずにリリスを狙ってきたのである。

俺がその女の姿を見たときには、女は既に俺に向かって攻撃を開始していて既に魔法陣を展開しようとしていたのだ。

だがリディアは咄嵯の判断でリリスの前に出て、魔法障壁を発動させると女の魔法を防ぐことに成功する。俺はそんな光景を見て、さすがリディアだと思い感心していた。

すると女は驚いた顔をすると一旦距離を取り魔法を放つ。その魔法の威力はとても高いことが感じられるが、リディアの作った魔法障壁を突破する事が出来ずに終わる。

その後何度か同じ魔法を繰り出すが、その度に魔法障壁が耐えて、やがてその魔法を使えなくなった。そこで女の顔に明らかな焦りが見えていた。

だが俺は油断しないようにしながらその女に問いかけてみる。

すると女は、俺に視線を合わせることなく答え始めた。その態度から俺の事が目障りだという感情はひしひしと感じられた。俺の事を睨むかと思っていたのだが。俺にはそんな態度をとる必要はないということなのか、それともこの城の中に侵入した賊を討伐する事の方が優先だと考えているのだろう。

(それともリディアの魔法障壁を破壊することができないから、俺に勝てるとは思ってないという判断からなのか?)

俺はどちらにしても油断はできないと感じる。だが俺はそんな事よりも、リリアナとそっくりの容姿を持つ女性に興味が湧いていた。しかも彼女は、リリスの妹で間違いないだろうと思うのだ。

何故そう思うかというと、彼女は俺の知っているリリスと瓜二つだったのが理由だった。リリアナにも似ているがそれよりも似てたからだ。しかし俺は、目の前の人物が誰なのか分からなかったので、俺はリリスの双子の姉妹のリリアナではないかと考えているのだ。

俺はその疑問を確かめようとリリアナに話しかけてみる。

「リリスは大丈夫そうだしリリアナも助けたから安心して。だけどその前にちょっとだけ聞きたいことがあるんだけどいいかな?」

するとリリアナは一瞬迷ったような素振りを見せたのだが、その瞳は真っ直ぐと俺の方に向けられていたので俺の問いかけに答えてくれようとしているのは分かる。俺は、まずリリアナが本当にリリスの姉妹なのかどうかを確認したかった。

するとリリアナが、俺が質問する前に口を開いたのである。

「リリスを助けていただいたことに、改めて御礼を申し上げます。ありがとうございます」

彼女は俺の目を見つめながら頭を下げて、俺の問いかけに答える事よりも先に感謝の言葉を言ったのである。

俺はそのことに戸惑ってしまうが、俺としては確認すべきことなので、彼女の返事を聞くことにした。

「ああ、それは気にしないで。それより君の質問のほうに答えるとリリアナは俺の大事な人だ。でもどうしてリリスと一緒に居ないのかと思って。二人は仲が良かったみたいだし」

すると、彼女は目を伏せると暗い表情になり俯いてしまった。そしてリリスの事を見ながら何かを考えていたようだが意を決したように話し始めた。

「実は私たちは双子だったのですが母が違うのです。私の母が魔族との混血だったために私は生まれてすぐ捨てられることになったらしいです。そしてリリスだけが拾われ育てられたそうなんです。だからリリスだけは私たちの本当の姉妹ということになります。しかし私の方はリリスとは違って魔力が弱かったために魔力の強い父の元に養子に出されました。私にとって父は実の父という感覚がありません。そして私の母はリリスを産む時に亡くなったらしく私も見たことはないのです。ただリリアナという名前と、私とリリスが姉妹であるという記憶だけが残っているのです。そんな訳で、リリスを慕っているリリアナにとっては、私の存在は疎ましい存在なはずなのに、こうして命をかけて私を守ろうとしてくれています。それが嬉しいのと同時に申し訳なくて仕方がないんですよね。だからせめてもの罪滅ぼしにと思いながらリリスを手助けしようと思ってたのに。結局リリスを守ることが出来なかった。私ではリリスを守ることが出来ないのが分かったからこそ、今は逃げようと思ってる。そしてどこか遠い地でひっそりと生きていこうと思ってる。だからこれ以上ここにいても、何も得るものは無いとわかったので逃げることにするわ」

そう言い放つ彼女の瞳は悲しげだった。だがその奥にはまだ諦めていないように感じ取れた。

リリアナの話を聞いて俺は納得できた。確かに俺の知っている物語の中にもそのような話がある。そしてそういう場合大概は片方だけが生き残ってもう一方は死んでいる。しかし俺にはそんな未来を受け入れることは出来ないのだ。俺はこの国に来たことでこの国の人達が優しく接してくれたことを思い出すと、この国が俺のいた世界とは違うことを理解してきた。だから俺はこの国の人々を守るためにも彼女たち姉妹を守りたいと考え始めていたのだ。だからこそ、彼女達には幸せになって欲しいと思っている。だがそのために俺が出来ることは限られてはいる。

俺は彼女達のために何ができるだろうかと考えるとリリアナが、この場から立ち去ろうとして歩き出したのを見て俺はリリアナを引き留めようとした。

しかし、それを阻もうと俺の横にいたリディアがリリアナの腕を掴み止める。

俺は驚いてしまったがリディアの行動の意味が分からないわけではないのでリディアがしたいと思う事を邪魔するつもりはなかった。

俺はリディアの邪魔をしないように大人しくしていた。そしてリディアを見つめていたが彼女の表情を見ると決意に満ち溢れていることを感じたのだ。

俺はリリアナがこの城を出て行ったらリディアが動くだろうと考えていた。しかし、その考えは甘かったと思わざるほど早くリリアナを捕まえてくれたのだ。そして俺の考えは間違っていなかった事が証明されてよかったと思う。

だがリディアは俺に、俺に任せて欲しいと言ってくれたのでここは彼女に全てを任せる事にする。

俺はこの二人の間に割って入るべきではないと考えた。俺がリリス達を助けた事で彼女達の絆が深くなったことは分かっていたので、今ここで二人の関係を変える必要はどこにもないと判断したのだ。

それにリリスが俺の側にずっといて、そんな彼女達を見つめていられればそれで十分だと思っているのだ。俺はリリスが俺と離れていても心の中では常に一緒に居てくれると信じているのである。だからこそ今の俺に必要なものは、彼女を笑顔で迎えるための努力をする事だと思うのである。

そのためには少しでも多くの時間が必要だと思った。

「悪いけれどリディア姉さん。リリスお嬢様が心配なのはわかりますけど、私もお嬢様に危険が迫っているという事を放ってはおけないのよ。ごめんなさい。私を恨んでくれても構わないからお兄ちゃんを裏切る事を許してください」

リディアの手を振り払おうとするリリアナに対してリディアは、離さないと言わんばかりに強く握りしめているためその手は中々ほどけなかった。だがそれでも何とかリディアの力から逃れようとリリアナは力を込めたのだが。その瞬間、俺がリリアナの前に移動してその勢いのまま抱きしめたのである。

「リディア。君は悪くない。悪いのはリリスと君を捨てた親であって君ではないんだ。リディアはリリアナのことを大切に思ってリリスと妹のように可愛がっていたじゃないか。そんな二人が別れてしまう事になれば悲しいと思うだろう? だけど俺は信じている。君たちはお互いの事を一番に大切に思って生きている事を。リディアが、リリアナを助けたいという気持ちもよくわかる。俺だって同じ状況ならリリスを優先するだろう。だがリリアナのことも同じように愛しているんだよ。それは君たちが二人で生きていくために必要な愛情だ。だからリディアのやることを止める事は出来ない。ただもしも、万が一、億が一にも俺が困ったときにはその時は頼めるかい?」

俺は自分の気持ちが少しでも伝われと思いながら言葉にしたのだった。

すると俺の言葉を聞いたリディアは涙を溜めた目をしながら何度も俺に謝ってくれた。俺はそんな彼女を優しく抱き締めてあげた。それからしばらくした後、ようやく落ち着いたのかリディアは俺からゆっくりと離れた。

その瞳にはしっかりとした意志の強さが見て取れるようになっていた。

「ありがとうございます。私はお姉さまを助けに行ってきます。必ず助けて見せますから安心して見ていてください」

俺はそんな彼女に向けて微笑み返すと、「気をつけて行っておいで。あと無理をしたらダメだからね。もし俺に出来ることがあったら遠慮せずに言ってね」と言うと彼女は「ありがとうございます」と言い残すとリリアナと共に走り去ったのである。

「さて、俺達はどうするかな。とりあえずリリスの所まで戻るか」

俺はそう呟くと宿に戻る事にしたのである。

俺とアスタが城に戻ってくるとリリスの部屋に行く前に少しリリアナと話をすることにした。俺はまずリリアナから、どうしてリリスを助けるために俺に協力したいのか聞くことにしたのだ。リリアナによるとリリスは俺に助けてもらった恩があるので、リリアナが助けるべきだと思っているという事らしい。

俺はリリアナの話を聞いて、リリスの態度にそんなに違和感があったかなと考え込んでしまう。確かに俺が彼女を助けたときも彼女はかなり混乱していて、その後すぐに意識を失ってしまったのだが俺が声をかけた時もあまりリリスらしくなく素直すぎるという印象が強かったのは覚えていた。そして、リリスが目を覚ましてからもリリスらしさというものは見受けられたのだが。

「うーん、確かにリリスはあまり素をさらしてなかったというところはあるよね。でも俺が知っている彼女はこんなものだよ。まあ俺の前ではかなり素を出してたかもしれないんだけどね」

俺は正直に思ったことを言うとリリアナは不思議そうな顔で俺の事を見つめてくる。そして俺はリリアナに俺の知ってるリリスのことを色々と説明をしたのであった。

俺の説明を聞いた彼女はなぜか驚いた表情をしていたが、俺の話す内容を真剣に聞いてくれている様子だったので嬉しかった。

そして俺は、なぜそこまで俺に協力的なのかを聞くことにした。すると、リリスに俺への協力を要請された事と、俺に協力する事でリリスの役に立つことが出来ると言われたからであると答えた。だがそれは本当かどうかわからないし、彼女が何かを隠しているのは間違いないと思う。なぜならリリスの名前を出した時に一瞬だけ彼女の瞳に暗い影が落ちたからだ。

おそらくだが何かリリスとの間でトラブルがあったという事は分かるが。しかし、リリスを思うがゆえに嘘をついているような気がしたのでこれ以上追求することはしなかった。しかし彼女達が無事に帰ってくることを祈っておくことにする。そして俺はもう一つ、リリアナについて聞きたいことを尋ねることにした。それは、リリアナとリリスの関係だ。

俺はリリスがこの国にやってきた理由が知りたかった。しかし、この国は、リリスが召喚した異世界からの勇者によって滅ぼされそうになったことからリリスが国を捨てて逃げ出すほどの出来事が起こったことは想像に難しくなかった。だから俺はリリスの事を思っても彼女にその話題を振らなかったのである。そして今もリリスについては、できるだけ触れないようにしていた。

しかし、このままだとリリスに迷惑がかかることになるし。俺はリリスの側にいるのだから、リリスの事情をきちんと把握しておく必要があると思ったのでリリスの過去について教えてもらうことにし、そのことをリリアナに伝えた。すると、やはりリリアナの方は隠しておきたいことだったのだろう、先程よりも表情が険しくなった。そして彼女はしばらく黙り込んでいたのだが俺にこう言ってきたのである。

「お兄ちゃん、実はね私とお姉ちゃんの母親は双子だったの。そして母が死んだのと同時に私だけがリディアさんのお父さんに拾われて引き取られたって話は以前したと思うんだけど。実の父親は、この国で一番強い男であり王様でもあった。だからその男の側室になるには魔力の強い女の子が選ばれることになっていたんだ。私もリディア姉さんと同じで魔法は使えるけど。その程度の実力しかない。それにこの国では魔法の強さが全てみたいな部分もあるから、たとえ私より魔法が強くとも私が正室に選ばれることなんてありえないんだ。それどころか、私の存在は邪魔でしかなくて。だから私を殺そうとしていたのを姉さんは知っていた。そして父の命令で私はリディアの姉さんと一緒に逃げ出そうと思っていた。でもお兄ちゃんに助けられてから、私と姉さんは生きる道が別になったんだよ。私の力は役に立たなかったから。リディアお姉ちゃんの足手まといになってしまった。私がいたせいでリディアお姉ちゃんが危険な目にあったこともある。そんな姉さんの側にいたらまた同じ事を繰り返してしまいかねない。そしてお兄ちゃんにも迷惑をかけちゃうかもだし。やっぱりこの国から出るわけにはいかないと思ったんだよ。でも、だからと言ってこのままこの国の道具にされるつもりもない。だからせめてリディアのお兄ちゃんの役に立ちたくてこの国に戻ってきたんだ。リリスお嬢様には、今まで育ててもらった借りがある。だけどこの機会を逃す訳には行かないんだ。私はどうしてもこの国から逃げ出したいという気持ちに駆られてたんだ。それにリリスお嬢様がいなくなった今となってはもうここに居る意味もないんだ。だけどリリス姉さんはそんなことは気にしていないと思う。あの子はそういう子だから。私はリディアの姉さんにリリス姉さんがどこに向かったか知らないか尋ねようと思っていた矢先でお姉ちゃんがさらわれたことを聞いて慌ててここまでやってきたの」

「そうだったのか。話してくれてありがとう。リディアがどこにいるのか、それは俺には分からないけど。リリスの居場所に関しては予想はつくから心配はいらないよ。とりあえず今はリリアナにお願いしたいことがあるんだ」

俺は、リディアにリリアナの捜索を依頼していたため彼女に頼みごとをすることにした。リディアには悪いけれど今は、とにかく時間が惜しかったのだ。だが、そんな焦る気持ちが俺には伝わってしまったのか。リディアから「分かりました」と言われて安心してしまったのである。だがリディアの一言はこれだけではなかった。

「リディアからお預かりしたお金で、お店の方からいくつか服を購入してまいりましたので後で着てください。それと、お店からこちらをお持ちするように言われたのですが」

リディアが持ってきたのは小さな小箱が2個と剣が一本である。

そして俺はその品を見てすぐにその中身がなんなのかを理解することが出来た。

なぜならそれらは俺が注文して用意してもらいリディアに託した品物なのだ。それを俺はリディアから受け取る。そして俺は改めてリリアナにお願いをしたのであった。

それからしばらくして俺達はリリスの部屋に戻ったのであった。

部屋に入ると、そこにはまだ誰も戻ってきておらず。どうやら俺たちが最後だったみたいだ。すると俺達はリリス達の姿を探すのだが見当たらない。だが俺が探し始めると同時にラフィーナが俺の事を呼んだのだ。そしてリリアナと共に俺は部屋の中央に行くとそこには二つのベッドが並べられていたのである。

するとそこで俺が入ってきたのに気付いたのかラフィーナが俺達の所にやってきた。彼女はどこか疲れた様子だったが笑顔を見せると、こう話しかけてきたのである。

「ごめんなさいね。あなたたちの帰りが遅くて、お城中を駆け回っていたから。それでね。これからあなたたちには、この城の客人用の部屋に移ってもらいたいと思ってるの。理由は二つあって。まず一つ目としてはリシアとミリアをあなたの護衛のためにつけさせてもらっていてね。リリアナと二人きりになってしまうのはまずいだろうってことになったからなの。そしてもう一つの理由として、リシアとミリアはあなたたちが出ていったあとにリリスから呼び出されて少し話し合ったんだけど、彼女達にもいろいろあったらしくて。彼女達が落ち着くまでリリアナと離れて生活する事になったの」

「そうなんですか。分かりました」

俺はとりあえずそう返事をする。だが俺の中では疑問に思っていることがあった。リリスがリリアナを呼び出した理由についてだ。俺が知る限りリリスが誰かに対して、そこまで強い感情を抱くという事はなかった。だが今回は違ったのだ。その理由は恐らく、俺が原因となっているのではないだろうか。だが、そんな事はリリスには口が裂けても言う事は出来ないのだが。俺はそう思いながら心の中で溜め息をつく。そしてそんな事を考えているうちにラフィーナの用件も終わったようで。リリスとアメリアが帰ってきた。

「リリス様。お帰りなさいませ」

俺がそう言い頭を下げると、他の皆も俺に続いて挨拶をした。すると俺の隣にいたアスタとリリスの従魔達が何故かリリスをジッと見つめ始めたのである。そしてアスタとスエラもなぜか無言でリリスを見つめている。しかし当のリリスはそんな視線を向けられているにもかかわらず全く気付いていないかのように平然としていて、まるでいつもの調子で俺に話しかけてくるのであった。

「ただいま戻りましたわ、ハルトさん。それでは早速ですが私と一緒に来てもらえませんでしょうか?ちょっとした話し合いを行いたいと思っているので」

リリスにいきなりそう言われて俺は驚いたのだが、しかし断るわけにもいかなかったので、すぐに立ち上がり彼女についていくことにした。俺の後ろには、俺を守るかのようにアリサ達が俺の周りを取り囲んでいた。俺はそんな状況でリリスの後について行き一つの大きな扉の前で立ち止まる。

「ここが謁見の間ですわ。本来ならお兄さまの許可が下りないと呼び込む事が出来ないので、本来は私でも入れない場所ですが。今回だけは特別に入れて差し上げますので感謝してほしいですわね。さあ入りましょう」

リリスに言われるままに、俺は中に入って行ったのだった。

リリスに連れられた場所が、謁見の間だということは知っていたが実際に足を踏み入れたことはなかったので緊張してしまう。

リリスは玉座の横に立つと、突然膝をつき頭を深々と下げてみせた。俺はその行動の意味がわからずに固まっていると。リリスは頭を下げたままでこんな言葉を口にしたのであった。

「この度は、我が兄である皇帝の非礼について謝罪申し上げます。私の方から、きちんとお兄様には事情を説明しましたのに。それでもなお私の事を許すことが出来ぬとおっしゃっていますの。ですのでお許しくださいとは言えませんが、お兄様には今回の一件の真相については伝えてありますので。そしてどうか私の事を信じてほしいと伝えた次第でございます。それ故の先程の私の不作法を許して頂ければありがたく存じ上げております」

俺は、この光景を見て驚きを隠せなかったのだが。この世界において、皇帝がリリスの話をまともに聞かないということはそれほどのことが起こってしまったのだなと思うことにし、これ以上は考えることをやめたのである。そして俺はこの場に俺を連れて来たのが誰なのかということをようやく悟ったのだった。だが俺はそんな事をおくびにも出さないようにして言葉を返したのだった。

「私から、リリスさんに謝罪をしてもらえるような覚えはないんですよね。そもそもどうして私があなたに責められるようなことをされたんですか?」

俺はリリスに尋ねると、彼女は顔を上げることもなく淡々と話し始めた。

「そうでしたね。確かに私は、ハルトさんに酷いことをしてしまったと思います。そのことについては深く反省しておりまして。本当にごめんなさい。お詫びと言っては何ですが、あなたに私の秘密を打ち明けようと思ってお呼びした次第なんです。だからこうして私はあなたの前に姿を晒しているんです」

その発言に俺はもちろんだが。リリアナやアスタ達まで驚いている様子だった。

「私は実は異世界からの転生者なんです」

そして彼女の告白に、その場の全員が驚く事になる。なぜならそんな事を言い出したのが、あのリリスだったからである。しかもそれが本当だというのだから余計にだ。リリスがそんな事を冗談で言うとも思えないが。俺は彼女が何かしらの魔法で洗脳されているのではないかと疑い。彼女を鑑定しようとするのだが上手く行かなかった。それは、この空間全体にリリスが強力な結界を発動させているため、そのせいだと推測する。そんなことを考えながら、目の前の現実を受け止める事にしていたのだった。

「えっ、リリスさんが。そ、それはどういうことですか?」

「そのままの意味で受け取って貰って構いませんよ。そしてこれからは本当の意味で私はあなたの力になれるでしょう」そう言った瞬間だった。

「リリス姉さん!」リリスの後ろの方からそんな声が聞こえてきてリリスはその方に顔を向けて優しい表情を見せる。だが俺には、そこにいる人物がどんな姿なのか見えていたのだ。俺は咄嵯に武器に手をかけようとするが、隣にいたラフィーナによって止められてしまう。

俺は彼女に、何をしているんだ! 早く離せと言いたかったが、ラフィーナの目が俺に「今は動かないようにお願いします」と言ってきた。

「大丈夫だよ、アスター」

俺にはアスターの声しか聞くことができなかったのだが。どうやらラフィーナの言う通り、リディアやミリア、それにアリサ達までもがラフィーナと同じで動く様子はなかった。「それで、そちらの方が例の勇者様ですか?」

「はい、そうですよ。ハルトさんの召喚のスキルのおかげで、無事にこの世界で生きて行くことが出来るようになりました」

「そうみたいですね。リリス姉さん。リリス様、失礼いたしました。そしてこちらにいる女性が、今代の『剣聖』の勇者のアメリア様です」

俺はリリスから視線を外す事無く、俺達の方へ近づいて来る女性に警戒をしている。なぜなら彼女もまた。リリスと同様にリディアと同じように。人外の存在のように感じられたからだ。すると俺の予想は見事に的中してしまう。そして彼女は俺達の前に立ち止まってリリスの真似事の様に片膝をついて頭を下げたのだ。

「リディアス帝国皇帝の妹であるリリス様と、リディアス帝国の第一王女にして次期皇王になる予定のアメリア様とは知らず。ご無礼をお許し下さい」

アメリアがそう言い終えると俺達は同時に驚いたのであった。アメリアの言葉が嘘でないとすれば。アメリアは皇女ということだ。俺は思わずラフィーナの顔を見てしまったのだが。やはり彼女も驚いている様子で、アスターも目を大きくしてアメリアを見つめている様子だ。しかし一番動揺をしていたのは間違いなくリリスだろう。そして、リリスの視線が一瞬だが俺を捕らえていたことにも気が付いていた。

すると突然アスターの体の周りに光の渦が現れたのである。そしてその光が消えた時には、リリスの姿はなかった。

「お、お前は、何者だ!」

俺とラフィーナ、アリサはアメリアに向かって叫ぶのだが、彼女は全く気にしていないかのように笑顔でこう告げてきたのである。「ふぅー。もうばれちゃいましたか。やっぱりお二人だけで良かったのですがね。ハルトさん。お初にお目に掛かります。私がこの世界に呼び出されました元凶です」

俺はそう聞いて呆然とするしかなかった。だが、俺は気付いたのである。この女性はリリアナと同じく。俺が知っている人間ではないのだ。つまりリリスではないという事。しかし、目の前の女性からはリリスと似た波動を感じる。これは一体なんなのだと困惑しながらも。俺は、この女が危険であることを認識して。すぐに行動を開始する。

しかし、そんな事はアメリアには全てお見通しのようで、まるで遊んでいるかのように余裕のある笑みを浮かべて口を開く。

「あら?そんなことを言っていいのかしら?せっかく見逃してあげようと思っていたのに」

「ふざけるな。俺がお前なんかの言う通りに大人しく引き下がるわけがないじゃないか。ラフィーナはアスタと一緒に下がってくれ」

「しかし、主さま。わ、わたしは主さまの力になりとうございますのに」

「心配してくれるのは嬉しいが。この女が普通じゃないのは一目見た時にわかったはずだ。だから、ここは俺に任せて欲しい」

「分かりました。ユウマさんにお任せいたします」

「お父様。リリスお母様は無事なのでしょうか?」

俺はアスタに問いかけられた言葉に対して答える事は無かったが。その代わりにリリアナに念話で指示を出し。俺はアリサ達の護衛を頼むのだった。

そして俺はこの部屋の中にいる敵を全て倒そうと決意する。

俺はアマリアにリリアナの側に居てもらうように頼み。それから俺はこの場に残る全員の意識を自分に集中させるべく【挑発】を発動させ。自分の体に魔素を流し込むと、一気に身体能力を向上させたのである。そしてその効果はすぐに現れ始めた。その証拠に今までの疲労が一気に吹き飛び。体の調子が良くなったことを自覚できたのだ。俺はそれだけの事をしても、この女の相手ならなんとか出来ると思ったのである。俺はアメリアに向かい走り出したのだった。

俺の視界の中でリリアナ達が突然消えていくのを確認しながら俺は拳を強く握りしめ。そのままアメリアに飛び掛かる。

「あら。本当に馬鹿正直に真正面から挑んでくるなんて」

アメリアが何か呟いていたが、しかしそんなものは今の俺には関係なかった。俺は渾身の力を込めた右の一撃を繰り出す。その攻撃をあっさりと避けるアメリアだったが。俺は続けて左から攻撃を仕掛けて攻撃に移ると、それもまた簡単に避けられてしまう。そして次の瞬間だった。

俺はアメリアに腕を掴まれてしまい投げられてしまっていた。だが俺もその程度でやられてたまるか!と思い空中で体勢を立て直す事に成功する。そして今度は足に力を込め地面に向かって急降下したのだ。そして着地の寸前に足を地面に打ち付けて。そのまま体を捻りつつ、アメリアに向けて回し蹴りを食らわせるのだが。またしてもその蹴りすら避けられてしまう。俺はすぐさま追撃を行おうとしたが。

俺はいつの間にか壁際に追い詰められていたのだった。そして俺はそんな事に一切構う事なくそのまま突っ込み拳を叩きつけようとした。するとそれを見ていたアメリが慌てて声を上げて来たのである。

「ちょ、ちょっと待って下さい。ハルトさんあなたが本気を出しても私の体は壊れないはずですよ。そんな風にしたら痛いじゃないですか。私だって女の子なんですよ?」

そんな意味の分からない発言を聞いて俺は少しだけ考える。どう考えてもこの目の前の女がまともだとは思えなかったのだ。

俺はそのままアメリアが何かを言う前に再び攻撃を仕掛けた。だがやはり俺の攻撃は空を切り、逆にカウンター気味の攻撃を受けた俺はその場に叩きつけられた。だが俺の方も、そんな程度のことで諦めたりしない。アメリアに反撃を試みるのだが、そのことごとくが避けられてしまう。

だが、ここで俺は違和感に気づいたのだった。俺が攻撃をしようとすればするほど、それを避けようと必死に動こうとするのだが。しかしなぜか動きがどんどん鈍くなっていったのだ。俺はその隙をついてアメリアの首を掴み締め上げると彼女は観念したような態度を取り始める。そして抵抗することも無く。静かに目を閉じたのだ。俺はアメリアが何かしらのスキルを発動するのではないかと警戒しながらその様子を見ていたが。特に変化はない様子でアメリアが目を開けると、俺のことを見つめてきたのだった。

「あぁーあ。負けてしまいましたね。さすがにこれ以上は無駄みたいですし、今回はこれで終わりにしておいてあげるわ。それにそろそろ、あの方のところに戻らないと行けませんからね」そんな言葉を俺に投げかけて、俺が拘束していた手を緩めた途端、俺の腕を跳ね除けてその場から姿を消したのだった。そしてその直後に俺の前にいたのが。

リディアのフリをしていたリリスと名乗る女である事がわかったのだ。彼女は一瞬で姿を消すと同時に別の場所に現れるという芸当をして見せたのだった。

俺は目の前の相手が何者なのかわからない以上。この場でリリスにとどめを刺すことは出来ないと判断し。ひとまず武器を収めてリディア達に事情の説明を求めることにする。

「ラフィーナ、アマリア。すまないが二人に状況を説明してもらえないだろうか?」

「わかりました」

ラフィーナが答えてくれる。アリサ達やリディアもこちらに近づいて来ていた。リディア達は、俺達のところに来るまでの間に、この世界の事や、この屋敷がどういう目的で建てられた場所かをリディアス達から説明されたらしい。その話をラフィーナから聞いて俺は驚いていた。

「そうか、それは知らなかったな。ところで俺のスキルのことは知っているよな?それについてはラフィーナはどこまで把握しているんだ?」

「えぇ、そうですね。ハルトさんのお力でこの世界に飛ばされた人間は、リディアスさん達のように。召喚した人間の配下になるそうです。それには、スキルを譲渡したりスキルを奪い取る事が出来るそうです。ただしハルトさんの場合、勇者として呼び出されているので。魔王であるリディアスさんと敵対しなければならないみたいですね」

「そうなんだよ。まさか勇者だなんて、こんな展開を想像できるわけがないだろ」

「それで、リディアさんの時もリディアスさんに協力して戦っていたそうですが。今回は違うんですか?それにしてはかなり仲が良さそうに見えるのですが」

「ああ、今回ばかりは仕方が無い。この子、リリスの力は尋常じゃなくてな。本気で戦い合った結果。俺が勝ってしまったわけなんだ」

俺はそこで一旦言葉を切る。だがリリスの事を考えるだけで俺の中に怒りが溢れてきてきてしまったのだ。

俺はリリスとの戦いを思い出すだけで胸が苦しくなり。思わず顔をしかめてしまう。そしてそんな様子をリディは心配して、すぐに俺に近寄ってきた。

「お、お父様。大丈夫ですか。どこか具合でも悪くなったのですか」

「ありがとう。大丈夫だ。心配かけたな」

俺は心配してくれたリディアに感謝の気持ちを込めて、その頭を撫でてから抱きしめる。すると恥ずかしいのかリディアが俺の体を押し返そうとしてくる。しかし、俺はそのリリスとの激闘で受けたダメージが大きく。リリアナの回復薬のおかげで今はどうにか動くことができるが、それでもかなり辛い状態だった。しかしリディアの柔らかい体が密着することで不思議と心まで暖かくなっていく感覚を覚える。リリスと戦う前は、リリアナとリリスのことを考えると気が気ではなかったはずなのに。リリスを倒した事によって。その緊張が一気に解放された事が原因だろう。

しかしリリスを倒すためにリリアナを危険な目に晒して。そして結局倒せずにこうして逃げられたのだ。

俺が悔しさに苛まれていた時、リリアナが俺のことを見て、俺が考えていることを読み取ってくれたのか。こう言ってくれたのである。

「リリスを倒していただきまして、本当に感謝しております。それとご心配をおかけしました」

俺はリディアの髪を手で優しくすいていく。するとラフィーナは俺の側に寄り添ってくると。俺の手を握ってくる。ラフィーナは俺に微笑みを見せてくれながら俺の目を見つめてきたのだった。俺はリディスとアリサが、リディアとリトスの近くに行くのを確認した後。その小さな手に自分の手を重ねる。その俺の行動を見守っていたリディアは嬉しそうに頬を赤らめて俺の顔を見ると。そのままぎゅっと抱き着いて来たのであった。

リリアナはその光景を優しい瞳で見守り。アリサやリリスやアリサに話しかけたあと、そのまま部屋の中にいる者達に対して自己紹介をする。

「皆さん初めまして、わたしはこの世界に来てから。ハルト様にお仕えさせて頂いております。アマリアと申します。これから仲良くしてくれると嬉しいですわ」

そんな事を言っているアマリアに対してリリアナとアメリ以外の者は唖然としていたが。そんな中、アメリアだけはなぜか楽しげな笑みを浮かべていたのだった。アメリアのその反応に少し引っかかったのだが。ひとまずそれは置いておく事にして俺は、アマリアとアメリが一緒に行動することを改めて許可する事にした。そんな俺たちの様子を見届けた後に、リディアは部屋の中にあった鏡を覗き込み髪型を整え始め。それが終わるのと同時に俺は、この部屋に転移門を開くための魔道具を使って移動を行う事にする。そして俺は全員に外に出るように促した直後。この場所に新たに魔方陣が浮かび上がる。すると次の瞬間には先程と同じように、この部屋の中は光に包まれていったのだった。

***魔方陣の光が消えていくとそこには一人の男と二人の女の姿が現れたのである。そしてそんな彼等の視線の先にいたのは。アメリアの双子の姉でありこの国の王の娘であるアリシアだった。

そして彼女達の前に現れたのはラティスやルミナスなど他の四人の王族と。アリサやアメリ。それからアデルにその婚約者で、リリアナの友人でもあるアルヴィン伯爵家の嫡男で、現在はラティアス騎士団の副団長を務めているロインと、その妻のクロネ。そしてそんな彼等の護衛を務める女性の騎士が二人いた。

「お母様!無事に戻ってこられてよかったです。私はずっと不安で仕方がなかったんですよ」

アリシアが母親にそう呼びかけた後。駆け寄るとその体に勢いよく飛びつく。そんな娘の様子を見たアリシアの母は少し涙ぐんでいるようにも見える。そんな様子を一人の女性が温かい眼差しで見守っているのだが、俺は彼女の正体にすぐに気付いた。それはラディアスの姉である、この王国の王女にして王妃でもあるアメリアだったのだ。アメリアの方も俺の姿を見て少しだけ驚いた様子だったが。すぐに俺のところに歩み寄ってきてくれる。

俺はそんな彼女に挨拶を行った後。ラディアスに今回の経緯を話した。

「そうか。ラティスがリディアの居場所を知っていて、ラティスはリリスから。ラティスは俺の配下になってくれと言っていたんだな。それでお前達はそれを承諾したと。そして今。そのリディアという少女も俺の配下になったと」

「はい。その通りです」

「まあ良いだろう。とりあえず。私達と話をするにしても、ここでは落ち着けないだろう。ひとまず場所を移さないか?」

「ええ。そうしましょうか。リディアスさん」

「はっ!」

「それからラフィーナさんとアメリアさんでよろしかったでしょうか?」

「はい」

「はい」

ラフィーナは元気に返事をし、もう一人の女性のほうの彼女はしっかりとした口調で返答してきた。どうやらこちらの女性の方は真面目でしっかりした人みたいだ。そんな感じのことを考えながら、リディアスについて行き、謁見の間と呼ばれる場所に案内されると、そこの部屋で話し合うことにした。

俺達が座って話していると最初にラディアスのほうから質問される。

「ところでそちらの女性はどちら様なのだろうか?もしよければ名前を教えてもらえないかな」

その問いかけに答えていいのか俺達三人が戸惑っている時。アリサがその答えを口にする。

「ラティスが教えてくれたのですけど。ラフィーナさんは、その、ハルト様のお嫁さんになる人なのだそうですよ。だからハルト様の妻としてこの国に残ってほしいと思っているみたいなんです」

「ラフィーナが妻だと?」「まさかそんな事が」

「えぇー」

ラフィーナがそう口にした後、アリサやラディアス達、それからアメリも驚いていた。そんな中でリディアスは、なぜか真剣な表情をしていた。

そんな様子に疑問を感じたのか。アリサがこう問いかけてくる。

「えっと?何か変なことを言いましたか?」

「いや別に気にしないでほしい」

「はい」

「それでラフィーナはハルトの事が好きなのか?」

「えぇ!?どうしてそうなるのですか?」

アリサは、いきなりそんな事を聞き始めるラディアスに対して。慌てて聞き返すと、リディアスはこんな事を言う。

「いやなんとなくだ」

その言葉を聞いてなぜかアリサは顔を赤くしていた。そんな様子を見ていた俺は思わずアリサに声を掛ける。

「アリサどうかしたか?」

「いえ、その、何と言いますか、その。急に告白されたので」

そう答えるアリサの言葉に、ラディアス達とラティスの表情は険しくなっていく。それを感じ取ったのか、リディアスは慌てる様子を見せ、すぐに言葉を並べ立てる。

「すまない。ちょっと待ってくれ」

ラティスがそういうとリディアスのことを見つめるが。ラティスの表情は明らかに不満げだ。そのせいなのか。ラフィーナはアリサに向かって「あの、どういう意味なのでしょうか」と言う。

俺はリディアにそろそろ話を切り出す事にする。

「それでラディアスさん、俺達は貴国に協力を要請するために。この国に来たんです」

「ああ。そうだと思っていたよ。しかし協力を頼む前に聞かせてほしい事がある。君は勇者なんだよね。その力を貸してくれると思っても良いのだよね」

俺はその質問を受けて考える素振りを見せるとリディアスとアセリアは、どこか期待を込めたような視線を向けてくるが、俺にはこの世界でやらなければならない事があるのだ。だから正直に話すことにする。

「確かに勇者としての力がありますが。それでも俺はやらなければいけないことがありますので。残念ながら、それに貴方の力を借りるわけにはいきません」

「それはどんな事なんだ?」

リディスが俺の事を見つめながら聞いてくる。

俺は自分の心の中にある気持ちをそのまま伝える事にした。

「俺にはやらないといけないことがある。そのためにまずは自分の力を磨きたいのだ。そのあとであれば、俺は俺の力でこの世界を守る為に戦う事を約束しよう。だから今は協力できない」

俺がはっきりとそう言うと、その場にいる皆は、驚いたように目を見開くが、俺の意思は変わらない事を確信すると諦めたように息を吐き出すと「そうか」と言って納得してくれる。

俺はリディアス達に自分の目的を伝えた後。これからの行動について話し合おうとした。しかしその時、扉が開いてそこからリリアが入ってくると、彼女は部屋に入るなりリディアに声をかけていた。

「あらリディアさん、ご機嫌はいかがですか?」

リディアはその声に反応し、嬉しそうに微笑みながら「えぇ、とっても元気よ」と返していたが、そんな二人の会話の様子に。ラティスは少し気まずそうにしていると、アメリアの方は微笑ましいものをみるような視線で二人のことを見守りながらお茶を飲んでいた。そんなリリアとリディアの姿を見たラフィーナが少し不思議そうにしていたが、アメリアの「あなたもいずれわかるようになるわ」という言葉を聞くと、「そうですね」と答えていた。そしてそんな彼女達の姿を見るとラディアスは微笑ましそうに眺めていて。そんなラディアスを見てラフィーナも笑顔になっていた。

その後。俺はリリアナに今回の経緯を話す事にした。まず初めにユイからの手紙を渡す。そして俺はユイに言われた事をラティアとラティアスに伝えたあと、俺はその説明をする。

そしてそのあとに。まずはアマリアを召喚したときの状況について。それからこの世界に訪れたばかりの時の事を、順番に話していった。その間。アデルは興味深そうに話を聞いていたのだが、俺の説明が終わるとラティアは驚きの声をあげていた。そして俺に質問をしてくる。

「それで、その魔王を倒すためにはどうすればいいのだ?やはり、我々も手伝ったほうがいいのだろう?」

「ありがとうございます。ただ俺の仲間たちはもう十分に強いので。特に心配はないと思うんです。なので今回は仲間達の実力を確認できたらいいなと考えていまして。もちろん、もしものことが無い様に、保険をかけておきたいとは思っていますけどね」

「なるほど。ではどうしたら良いんだ?私はこの国の王女で一応だが責任者の一人でもある。何かできる事はあるか?」

「はい。それはリリアやアメリアさんに頼めれば良いと思っているんですが。まずは俺達の拠点に来てもらってもいいでしょうか?」

「拠点?」

「ええ。実は今。魔道具を使ってここにきているんですよ」

「え?」

そんな事をラティに説明していると。アリサはラティスと一緒に俺達の話を聞きながら話をしていた。

そして俺達全員が話を終えると。ラティは少しだけ寂しげに「行ってしまうのか」と口にしたのだが、それに対してアリサは。ラティスに近付くとその手を優しく握ると。ラティスの事を慰めていた。俺はそんな様子を横目に、ラティスの姉に挨拶をしたあと。アメリアとアメリアの付き人のような存在であるメイドのアリシアに俺の仲間になってくれるかどうかを尋ねてみた。その結果は俺の思っていた通りの答えだった。俺達に協力してくれたアリシアはともかく、アメリアとラフィーナは俺の話を信じてくれたのだ。

そして俺達がアティス王国にある俺達の屋敷に到着するとラティス達三人を屋敷の中に案内し、まずは応接室に行くとラティスとラフィーナをそこに残し。アリアとアリシアだけを部屋に招き入れてから事情を説明することにした。それから俺は二人に対して今回の作戦を説明していった。そして作戦を聞いた二人は俺の予想通りの反応を示してくれる。それを受けて、今度はリリスが、俺と同じように、リリアに作戦内容を伝えると、彼女は少し考えたあとで「分かった。でも一つ条件があるの」と言う。その要求を了承した俺はリリアの望みどおりにすることを決めたのである。そんな事がありつつ俺達は一度別れて準備をすることに決める。その日の夜、リリスから話を聞いたのか。アリサは少し落ち込んだ様子だったが、ラディアスとラフィーナが励ましてくれて。アリサはすぐに持ち直していた。その翌日。俺は俺でやる事があるのでリディアとリリィの二人が待つ家へと帰る。その道すがら。アリサに昨日の事を詳しく説明する。

そして、俺が帰ってくるなり、アリサが駆け寄ってくると、ラディア達と話したことについて色々と聞いてきたが。ラディア達と話すことはまだあるので、アリサのことはラディアとアレウスに任せることにする。それから俺はアリサに、これからの事を頼みたいと言い、彼女が俺の考えに賛同してくれることを祈るばかりだった。アリサの返答を待つまでもないと思ったので。その考えをすぐに伝えてしまう。

すると彼女は驚いた顔をした後に嬉しそうな笑みを浮かべる。それからアリサはアリディアのところに向かうと、何やら話し込んでいる様子だったので。しばらく待っているとラディアがこちらにやってきたため。俺はラディアにも協力を頼むことに決める。それからラディアにこれからの計画をざっくりと説明してから。ラティにアリサやラフィアスのことをよろしく頼むと言うと快く承諾してくれて助かったのであった。

ラディアスやアメリは少し不満げな表情を見せていたが、それでも俺の頼みならと受け入れてくれる。ラフィーナも俺に協力すると言ってくれた。そのせいもあってラフィーナとラティスは、俺に協力してくれることになったのである。そんなわけで俺がアリザ達を呼びに行ったあとに、俺はもう一度リデアのところに顔を出す事にする。そしてそこで今後の方針を話し合う事にしたのだ。ちなみに俺達はこれからしばらくの間、この場所で生活する事になっているのだが、それはリリアからの提案でもあったのだ。

そのあとリリアや、リディアスや、アメリアや、ラフィーナと話をする。その最中リリアやリリスから。俺の力については、リリアスからリディに伝えておくという事になる。それからリディアに頼まれる。リディアがリリスに対して「あの子の事を守ってあげてくださいね」と言う。それを受けてリリアは力強く「任せなさい!」と答えていたのを、リディアは笑顔を浮かべながら見つめていた。俺はリリアとリリスを、それぞれリディアの護衛に付けようかと考えていた。しかしそれだとラピスが心配になりそうなので。俺はリディアに提案することにしたのだ。ラディアに頼んでリディアやラヴィスや、ラフィーやラディアスや、ラティスやラティス、ラティアに俺の力について教えてもらうことにしたのである。俺達はそれから少し話をして、その話し合いが終わったところで。俺とリリアとリリスと、それから俺達に同行していたユイはリディアやラディアスとアメリアに見送ってもらい。それから俺達はこの国を出るのだった。

「あ、そういえば、この国に滞在する予定が無くなったわけだし、これからの事について話すために俺の家に行こうと思っているんだけど」

俺はリディアとリディスの方を見て言うと、二人は不思議そうに首を傾げる。そんな二人の反応に俺は困ってしまうが、そんな時にラフィスが助け舟を出してくれる。

「それはつまり、貴方はこれからラティア様を連れていくということでしょうか?」

「ああ、まあ、そういうことになると思うよ」

「そうですか。わかりました。それでは私が馬車をご用意します」

ラフィスがそう言って部屋から出ていった。その背中を見送った後。俺は気まずい気持ちになってしまう。そしてそれを察してくれたのか、ラティアは「私は気にしないわよ。それにラフィスは私に好意を持ってくれているみたいだから、きっと喜ぶと思うし」と言って微笑みかけてくれた。その笑顔を見た瞬間ドキリとしてしまって。鼓動が大きく高鳴るが、なんとか気持ちを落ち着けて。平静を装う。「わかったよ。じゃあ俺は皆を集めてくるね」

「はい。お願いね。ユウマ」

「ああ」

俺はそれから、まずはアリサに声をかけることにした。そしてアリサにこれからの事を伝えると、やはり彼女も少し残念そうにはしていたが、俺の話を聞いて納得してくれると。アリサの方も、俺にやってほしいことがあるらしく。そのために動いて欲しいと言うので。俺は彼女に頼られると、ついつい引き受けてしまったのだった。そんな俺の様子を見てアリサは楽しげに笑うと。「頼りにしてますね」と言う。その笑顔にまたドキドキしてしまいそうになるのを感じながら俺はアリサとの会話を終わらせると、今度はラティアと、それからアリリスの元に向かう。アリシアには俺の話をした時からラフィー達のことをお願いしてあるので問題ない。

それからラフィー達のところに戻ってくるとラティスやラフィーが笑顔で迎えてくれ、アメリアとラティスの姉であるラティアも出迎えてくれる。そんな中で、俺と一緒に行動することになったリリスに事情を説明すると、「私にもできることがあったら協力させて」と言われて俺は安心してラリス達を任せることを決めると。それから俺は皆を連れて家に戻るのだった。家にたどり着くまでの間に、俺はアリサがやるべきことについて改めて考えていたのだった。

俺達が家に戻るとそこにはリディアの姿はなかった。代わりに家にいたアリシアがリリアのそばにいるのを見つける。そんなリリアはリリスが作ってくれた料理を口にしていたので俺はアリシアに状況を聞くことにする。すると彼女は「今は少し疲れたので眠っているんです」と答えたあとでリリアの状態を教えてくれる。どうやらリリアはまだ寝たままらしいが呼吸は安定していて、特に異常は見られないそうだ。それを聞いた俺がリリアに近づくとその体をそっと抱きしめてやる。そして頭を優しく撫でてやった後にリリアを起こさないように、リリアの部屋を後にした。そして俺とリリスは一度俺の家に向かい、リディア達に話をする。その途中で、俺達の家に到着したラディアスとアメリア、ラフィーナとラフィーの四人とすれ違う。俺とリリスは家に入るとすぐにアリシアの案内で俺の部屋に案内してもらうのだった。そしてそこで俺が皆に説明を始める。そんなわけで俺はこれからのことについて話し出すのだった。

それからしばらくして。俺は自分の部屋の窓から空を眺めていた。そんな時だった。ノックとともに扉が開き、そこからラティが入ってきたのだ。俺はそんなラティの格好を見て驚く。彼女の今の服装は普段着ているメイド服とはかけ離れた、ラフな格好をしていたのだった。しかもそれが、可愛さを引き立てていて。俺はついつい目を奪われてしまう。

「え、と、お兄さん?どうかしましたか?」

「へっ!?あっ、その。なんだか、いつもと違うラティスの姿を見てちょっとだけ驚いたんだ」

俺は正直に答えると、ラティは頬を赤く染めてから俺に視線を向けてから、なぜか恥ずかしそうに目を伏せる。そしてラティはそのまま俺のベッドの上に座った。そんな彼女の隣に俺は腰を下ろす。するとラティは顔を真っ赤にさせてしまう。

「その、今日は私の方から誘わせてもらっていいですか?」

「ああ、もちろんだよ」

ラティからの誘いに対して俺がそう言うと、ラティーの顔が一気に綻ぶ。その様子に俺は見惚れてしまいそうになったのだが。そんな事は言わずにラティの話を聞こうと思ったので黙って待つことにする。

それからラティが話を始めた。それによると俺がこの屋敷にやってきて、ラティアが屋敷に残ることになったあと、アリシアの世話係になることになったのだという。ただその時はまだ、まだお互いにぎこちなかったせいもあってか上手く話すことが出来なかったので、なかなか距離が縮まらなかったそうなのだけど。そんなある日、アリサの手伝いをする事になり、その際に彼女と打ち解けることができたらしい。それでアリサと仲良くなって。アリサの家で一緒に暮らすことにもなったのだと彼女は教えてくれる。

それからラフィスとも仲が良くなり。彼女がラティスの面倒を見る事になった。それに加えて、アリシアが懐いてくれたこともあり。それからは三人で過ごすことが多くなっていたのだと言う。そんなわけでラティの話を一通り聞いた俺は疑問が浮かんでしまったので質問してみる事にした。

「ラティがアリサの家にいる理由は分かったけど。どうしてわざわざここに来ようなんて思ったのかな?」

その問いかけにラティは嬉しそうに微笑む。その様子は本当に可愛いくて、見とれそうになるので、俺もラティと笑い返すのである。

「えと、あの、アリシア様から。アリサさんのお姉さんのラティアさんが。ラピス様に好意を持っているという話を聞いていたので、その事で、少し気になることがあって。私とラティアは友達ですから。少し様子を見に行ってもいいんじゃないかと思いまして。その事を伝えるために。それからお父様に無理を言って外出を許可してもらったんです」

俺はラティのその話を聞いた瞬間、なんとなく理解することが出来た。要はラティスは、そのことでラティアがリディアを裏切るかもしれないと考えていたのではないかと考える。しかしラティアの事を心配していたこともあって、それを伝えに行くついでにリディア達の状況も確認しようと考えたようだ。俺はその考えを理解した上でラティに聞いてみた。

「それならリリア達がいるはずだよ」

「それは分かっています。でも私はやっぱり心配になってしまって」

「まあ、そうか。うん、わかったよ」

それからラティア達の元へと移動するための準備をする間。その間だけでも俺はずっと笑顔でいられたらなと思っていたのである。なぜならこれから向かう先は危険がある可能性が高いからである。だからこそ笑顔を絶やさずに、ラティやアリシアのことを安心させようと決めたのだ。それから準備を終えた俺たちはアリシアと共に家を出て行く。その後ろ姿を見送るのが、少し寂しく感じる中。俺は皆を連れて家の外に出ていく。

ラティスの先導のもと、アリシアの案内でたどり着いた先にある場所には小さな教会のような建物が建っていた。その建物は木造建築なのだが、壁などがかなり古びている感じを受けるので。それなりに長い間使われていないということがわかる。

俺は目の前の建物を見ていると不安な気持ちになってしまいそうになるが、その前にラティに話しかけることにした。ラティスにアリサの事を尋ねると「今、この建物の奥の部屋にいるはずですよ」という答えが返ってきた。俺はその言葉を聞いて、すぐに建物の中に入ろうとしたが、その寸前で、ラティスが俺の腕を引っ張ると。ラティスの方を向く俺に彼女は「私が声をかけてくるので」と言ってくれる。それを聞いた俺は素直に従うことにした。それからラティスはアリシアを連れて建物の中に入っていくと。数分後にラティが戻ってくる。そして彼女は俺の手を握ると「もう、入っても大丈夫みたいです」と言って俺のことを引っ張ってくるのである。それから俺達はラティスについて行って、アリシアのいる場所へと向かうのだった。

建物の中の階段を下りていくにつれて、少しずつ暗くなっていく。俺達が降りきったところは、広い地下室になっているようで。薄暗いが、それでもある程度の広さがあることは見て取れる。そしてそこにはいくつもの檻が置かれていたのだった。その光景を見た俺達が息を飲んで驚いている最中。俺は誰かに見られている気配を感じた。俺がそちらの方へと振り向くと、一人の男性がこちらに歩いてきてたのが分かる。

「ラティナ様、それに皆さん。来て下さったのですね」

男性はそう言いながら、笑みを浮かべて近づいて来ると。そんな彼の後ろからはラティスとアリシアが姿を現す。どうやら二人は俺達のことを待っていたらしく、俺達の姿を見つけるとラティはアリシアを連れて駆け寄ってきてくれた。

俺はそんな二人を見てから、ラティスの方に視線を向けると。アリサは笑顔を見せてラティスの頭を優しく撫でているのが見える。そんな彼女の姿に少し嫉妬心を覚えながらも。俺は男性の方に意識を戻すと。彼が口を開いた。

「お初にお目にかかります。私の名前はセクトと申します。この教会の管理者を務めております」

それから彼に続いて女性の方が前に出てくる。その女性の容姿はとても整っており美人だと思う。しかも胸が大きいのか彼女の胸元が強調されていて。それを見てラティーは羨ましそうにしているのだが。ラティスがそんなラティーに気づくとその手を掴んで自分の胸に引き寄せようとする。するとラティーはすぐに表情を変えるのだが。俺は二人のやりとりを見ながら。つい微笑ましくなってしまいそうになったが何とか堪える。

「あなた達がラピス君ね?私はこの教会の神父をしているミゼアというものよ」

俺の前に来た男性の名前を聞いて驚くことになる。なぜならその名前に聞き覚えがあったからだ。だから俺はそのことを確かめるべく、彼に尋ねてみることにする。すると彼はうっかりしていたという様子を見せると。

「すまない。まだ名前を教えていなかったわよね」

そう言った後で俺達に謝罪の言葉を口にしてから名乗ってくれたのだった。彼の名前はミゼアで間違いはなく。俺も何度か会った事がある人物である。そんな彼女の話によれば、俺が以前にここに来た時、彼女に俺が吸血鬼であることは知られているらしい。そして俺は、この教会に訪れた目的を告げる。すると彼は驚いた様子を見せる。そんな反応を見て、やはりリディアはラティアのことをよく思ってはいないということがよく分かったのである。そしてそんな彼女の様子を見つめているとラティが突然、大きな声で叫んだのだ。

「お母さま!!」

その言葉を聞いた俺はラティアとアリサの様子を窺い見る。アリサの瞳が青白く光っていて明らかに普通の状態とは思えなかったので、俺は彼女を落ち着かせようと、そっと抱きしめる。すると彼女は俺の身体を両手で押してくるので、離れてみると。アリサの顔色が悪いことに気づいた。しかしその直後、今度はアリサにラティスが抱きついたのである。それからアリサの様子は元に戻ったが。俺には彼女が、まだ怯えているようにも見えた。なので俺は彼女から離れるべきかどうかを考えるが。

その前にラティアがアリサの元に駆けつけてきたので。そんな彼女の様子を確認することにする。ラティアが駆けつけた直後、ラティは、泣きながらラミアのお母さんだと言っていた。

「あら。あなた、生きていたの?それとその子も。良かったわ」

「お姉様!?まさかお兄さんのお知り合いですか?」

「ラティア、この方とお姉様の関係は?」

そんな風にラティとアリサが話をするのを聞きつつ。リディアと俺はお互いに顔を合わせて苦笑いをしてしまうのであった。俺はラティアにラティスの件を話すのをリディアに任せようと思って、リディアに話しかけようとしたのだが。その直前でリディアは俺の方に振り返ると、笑顔を見せてくれる。それで安心した俺はリディアに声をかけることをやめたのである。それから俺はミザリスがこの場にいる事に気づく。しかし彼女が何の目的で、この教会に来ているのかわからないので俺は警戒をする事にした。

「えと、とりあえずは自己紹介をしましょうか」

それから俺達はお互いの簡単な紹介を行う。

まずはリデアがリリアの妹でラティスの母親でもある。ミザリアスがラティの父親で神父を務めている。

最後にラティアの婚約者のアリサだが、元々はリティアの婚約者だったのだと聞かされる。そんな三人の話を聞いて俺は、アリシアがラティに、アリサのことをお母さまと呼んでしまった理由を理解することができたのである。おそらくではあるが、三人は姉妹の関係であるにもかかわらず、血の繋がりはないはずだと俺は思うのだ。そしてその理由についても簡単に想像できたため、俺はそれ以上は何も言うことなく三人の話を黙って聞いていたのである。そうして話が終わると、ミレアがアリシアに対して、この子はラピスの事を好きになってくれそうだと笑顔で言うと。ラティアはそのことについて否定をせずに、ただ嬉しそうな顔をして笑っているだけだったので、なんともいえない気分になってしまったのだった。

それから俺が、リディアが、ラティアの両親からこの教会にきた理由についての説明を受けている最中。ラティアに、これから起こるかもしれない可能性について説明すると、最初は戸惑っていたものの、最後には覚悟を決めたようで。その表情に不安げな様子は見られない。そのことに安心していると、リディアとラティも話を聞いて、少し心配そうな様子を見せていた。特にリディアは俺の側を離れることを心配していたので。俺はそんな彼女の肩に手を添えながら「大丈夫だよ」とだけ告げると、俺はその場を離れていく。そしてリヴィアに視線を向けた。

俺に呼ばれたリヴィアがすぐに俺の近くにやってくると。俺は皆に聞かれないようにリリアだけに事情を話した。

『そう。わかった。ラティス達を連れて外に出た方がいいの?』

「うん。でも、もし危険な事が起こったらすぐに戻ってくるんだよ」

俺が真剣な口調でいうと、ラリアは素直に首肯してくれる。

それから皆と一緒に教会を出るために移動すると。教会の外まで出たところで一度立ち止まることにした。なぜなら教会の中から複数の人が近寄ってきたのが分かったからである。それは当然だろう。なにせ今、教会は、人が入る事ができない状態にしているため誰も近づくことが出来ないはずである。そのため、この場所にいるはずのない人間が現れたことで警戒を強める必要があった。すると、そんな中、俺達のもとにやってきて声をかけてくる人物がいたので、俺は視線を向ける。

俺が視線を向けてその先を見ると。そこにはセクトの姿があって、彼は笑みを浮かべていた。そして彼の後ろにはアリシアとミレアがいるのだが、俺達が警戒を強めていると。そんなアリシアをアリサは背後から優しく包み込むと、彼女は、安心するように、ゆっくりと首を横に振っていた。そんな様子の二人を見て。俺はアリサを少しばかり見直してしまう。それから俺は、俺達がこの場にやってきた経緯を彼らに話す。するとアリシアが何かに気付いたのかアリサと俺の方を見るのである。俺はアリシアの様子が気になったので尋ねてみると、彼女は、ラティナが来てくれなければ俺達が死んでいたかもしれないという事を口にしてくれたのだった。そしてそんな話を聞いた俺は、どうしてそのようなことになったのかを尋ねるためにラティスの方を向くと。

ラティスと目が合ったので、その瞳の色を改めて確認する。やはりラティスの瞳は、俺の知っているラティナよりも濃い赤色に染まっているようで。それを確認してから彼女に、俺の考えを尋ねてみると。ラティスは小さく微笑むと、アリサの背中に自分の腕を回して抱きしめたのだ。

ラティナの瞳が、いつの間にかに赤くなっていることに気づきながらも。俺は彼女達にアリシアについて質問をしてみた。俺の予想ではアリッサと、あの男との戦いが原因だと思うのだが。アリッサは俺の言葉を聞くと、静かに口を開いた。

「はい。私も、その時の事はハッキリとは覚えていませんけど。確か私が戦っていて。そうしたらアリシアさんの様子が変わっていったと思います。正直に言いますと、アリサとアリシアの違いについては、あまり良く分からないのです」

「なるほどね。ラティは何か分かるかな?」

ラティは、アリサに問いかけられても何も答えなかった。しかし彼女の表情には焦りのようなものが見えており。その事から、アリティにアリサの事を知られたくないと思っているようだと、俺は判断する。そこで俺はラティに、もう少し落ち着いたらアリシアのことを教えるよと言って。彼女を落ち着かせるのである。

それから俺は、アリシアのほうに視線を戻した。

「アリシアはどうなの?戦いの時になにか覚えていることはある?」

「いいえ。ありません」

「そう。ならラティは、その瞳は、やっぱり、アリッサとの時が原因で」

俺はアリシアと会話をしている途中でラティーの言葉が詰まる。なぜならアリサとアリシアの様子が変化していて、二人の容姿も少しずつ変わっているように見えてしまったからだ。

二人の身体には白い肌と金色の長い髪があり。その姿には俺が、この世界に来る前のリデアやアリサを思い出すような気がしたのである。俺は、自分の心の中で浮かんでくる疑問を解消したくて、思わず、アリッサ達に尋ねてみる。

「あの戦いのときに、君達に何かがあったと思うんだけど。俺の聞き違いとか勘違いじゃないよね?」

するとアリサ達は互いに顔を見合わせるのだが。その行動はどこか意味深なものにも思えたので。俺は嫌な予感を覚えながら彼女たちに尋ね返す事にしたのだ。そして、そんな俺の質問に最初に答えてくれたのはアリッサだった。彼女は静かな表情をしながら。

「はい。確かに私たちは、あの人と戦いました。その際には私の方から攻撃を行って、そのあと、彼が私たちを攻撃してきたのですが。その後でした」

「その後に何が起きたのか思い出せないの?」

「はい。残念ながら、それ以降の記憶が曖昧な状態でして。その。恥ずかしいんですけど。私達の身体が急に変化し始めたように思いまして」

アリシアが自分の身体を見ながら言うと。俺は、もしかすると彼女の言葉に真実があるのではないだろうかと考えるようになっていた。そして、もしかしたら彼女達のように瞳の色が変化している人間は他にもいるのではないかと考えたのだ。そしてそのことをラティに伝えると、ラティもアリサも、瞳の色は、リディアのそれと酷似しており、さらに彼女の瞳には変化がない事を俺に告げてくる。そしてラティスとラティアは瞳の色が赤くなっていたらしいのだ。そしてアリシアの赤い瞳が濃くなり始めたのは、彼女とアリサが戦った直後だったという事も告げてくる。

それを聞いた俺は考え込んでしまう。ラティスとラティが瞳の色が赤くなった理由はわかるのだが。リデアとアリリア、ミレア、アリシアは、どのように変化したのかが不明だと思ったのである。

(とりあえず。まずはリディアさんに頼んで、リディアさんが調べていた人達から聞いてみて貰おう)

「皆様はお戻りになられたのですか?お帰りでしたらこちらへ」

ラティナ達が戻ってきた事を知ったラティスの父親が笑顔を見せながら言ってくる。そんな彼にラティ達は付いていこうとした。

「えっとラティは、この教会で待っているかラティのお父さんと一緒に来るか。どちらかを選んでもらって構わないから」

「わかりました」

「じゃ、行ってくる」

俺とリディアは皆に見送られる形でその場を離れることにした。ラティが寂しそうな顔をしていたから後で会いに行くことをラティに約束してあげると。俺達の後をリティアがついてきていることに俺は気付いた。それで俺はリディアに、先に教会に戻っておいて欲しいと頼むと。リティアは少し考えた後に、何かを決意したかのような顔を見せると俺に向かって、しっかりと首を縦に振ってくれたのである。

そうして俺はリディアスと一緒にラティス達のもとへ。

ラティスはラティスの父親に連れられている最中だったのだ。

そして俺はリディアを連れてラティスの父親に声をかけると、彼は笑顔を見せて挨拶をする。

それから俺達は教会へ戻ることに決めて歩き出したのだが、なぜかラティスの父親の態度が変わったことに気づく。そして彼の隣にいるラティを見るとラティの表情が引き攣っているので。その表情の原因について確認するために話しかけようとした瞬間だった。突然、ラティの隣にいたラティスにラティアの手が伸びてきて彼女の肩を抱くのである。

「ちょっとラティ!どこ触ってるの!?」

そんな事を言うとラティはすぐにラティアから離れる。そしてラティアの方も驚いたのか目を瞬かせている。そんな彼女に対して、ラティが何かを言い始めるが。俺が声をかけるよりも早くに、ラティスの両親がラティを連れていくのであった。

そうこうしているうちに俺達は教会に戻るとラティスに、今、アリサ達がどのような状況になっているのかを教えてもらうために話をすることにする。それから、しばらくラティス達と話をしている間に俺はリリアが戻ってきたことに気づいたので、皆で一度、教会の外に出る。それからリリアと話を始めたのだ。

リディアとリリアの二人が教会を抜け出した後、俺達は再びラティナ達のもとへ向かった。するとアリサ達の姿は見当たらず。その代わり、そこには、アリシアとアリサの姿が見えたので、俺は、二人に声をかけたのだ。そしてアリシアの様子を見てみると、やはり、彼女の瞳は、アリシアと同じ色に染まっているように感じられた。それから俺達はアリシアから話を聞いた。すると、彼女達が戦っていた相手の名前は『セクト』と言う名前であり。その男は、この世界の人ではないという話を俺達は聞くことになる。そして俺はセクトと会った際にラティナとアリサの事について、尋ねようと思い、少し離れた場所に移動してから、ラティナがラティナであること。またラティナがアリサだった頃についても尋ねることにした。

俺は、アリサにラティーがラティナであることを告げた上で。俺がラティナと出会った時のことについて話すと。彼女は、その話が本当かどうかを確認した上で。俺の話を受け入れてくれることになったのである。

俺は自分の事を彼女に信じてもらえるか心配だったが。彼女は俺の事を全面的に信用してくれたのである。しかし、なぜなのかという疑問に答える事はできなかったので俺はアリシアにラティのことを尋ねた。

アリシアの答えによると、アリシアは元々、アリシアという名前ではなかったのだそうだ。それがどういう事なのかアリシアは説明してくれなかったので分からないのだが。おそらくアリシアは何らかの理由で別の世界に来てしまったのではないかと俺は思うようになった。

その事について詳しく聞こうとしたらアリサの身体が急に変化したように思えて、それを気にしたアリシアは、それ以上詳しいことは語ろうとしなかったので、俺はそれ以上の事は尋ねないようにしたのである。

俺はアリリスにラティーとリディアに俺のことを任せるように言って、リティアにはアリサと共にアリシアの護衛を任せる事に決める。

俺の言葉を聞いたアリリスとリシアは小さく笑みを浮かべてから俺に向けて、分かりました。と答えてきたので、俺は二人のことを見送ることにする。そうしてからリディアを、ある場所に連れて行き、そこでラティナとして過ごしてもらう事に決めたのだ。それは、この世界に来る前にラティナから聞いていた。リディが使っていた家がある場所にラティを連れて行って欲しいと言われ、俺はリディアを連れてラティの家に向かう。そこで俺は、この家の地下に倉庫があることを思い出し、その場所を確認する事にした。そこで見つけたものは、以前見たものと同じように、いくつかの宝箱が置かれているのを発見することが出来たので、俺はラティを連れて、ここを立ち去る事にする。

そうして俺はラティを教会まで連れていくのであった。

俺はラティを連れてアリサ達に合流を果たす。するとアリシアはアリシアとラティスの間に割り込むように移動するとラティスの腕を取り、ラティスは困惑するような顔を見せたのだ。その様子を見て俺は何か嫌な予感を覚えるのと同時に、もしかするとアリサの瞳の色が変わっているのではないだろうかと思うようになっていた。

しかし俺の考えは間違っていたようだ。

ラティスとアリティアが話をしている途中で、アリシアが二人の会話に入り込んだからだ。アリシアとラティの二人のやり取りを見たラティが不機嫌になったように見えたので。ラティに話しかけて落ち着かせる事にした。それからアリシアの事を皆に任せて、ラディアにラディアの部屋に戻る事を伝える。すると、ラディアは素直に、はい。と答えた後にアリシア達に視線を向けたのだ。俺はアリシア達に軽く手を振ったあとで、ラディアを連れて教会に戻ろうとした。

そして、俺が、リディアの部屋に戻ってきた時だった。突然、リディアが泣き出してしまう。

その理由についてはリディア自身もよく分かっていなかったようで。自分が何故、泣いているのか理解できていないようなのだ。

「リディ?どうして泣いちゃったんだい?」

俺は優しい口調で言うとリディアを慰めるために彼女の頭と頬に触れる。すると彼女は身体に電流が走ったような反応をして驚いてから、慌てて俺から身体を離したのである。

俺は不思議に思いながらもリディアを見つめていた。

「そっその、えっと。ユウマ様のご様子がいつもと違っていらっしゃるので。その、少しだけびっくりしてしまったのです。ですが私は大丈夫なのです。それよりも。ユウマ様はリディスとラティシア様と会ってきたんですよね。どうでしたか」

そう言った後にリディアは自分の部屋に戻りたいと言ったので。俺はリデアの事をリディアに任せることにして、俺は、もう一度、ラティス達がいるであろう広場へ向かうことに決め、ラティスとリディアの元へと向かうことに決めると俺は部屋を出て行くのである。そして俺が教会から出て行こうとするとラティに声をかけられそうになったので俺は咄嵯にラティスの事をラティアと呼んでしまう。そして、そのまま逃げるようにラティから離れて行くことにしたのだ。

そうして俺は皆と合流するために歩き始めたのである。

(うわぁ。何だよこれ!?俺がラティアに触ったりすると凄く嬉しい気持ちになるんだけど)

(ええっと、それって私の身体だからなんですけど)

(へ?って言う事はまさか)

(はい、その。私もそうなっちゃいまして。あっ、でも、私が触れたりするのは全然、問題無いんですよ。ただ、触れられると何故か胸の奥がきゅっと締め付けられてしまうといいますか)

(それってやっぱり)

(はい。私もラティシアと同じ感情を抱いています)

(まじかよ。やばいぞ)

そんな事を思いながら歩いている時に、アリサの身体が変化した事を思い出す。それと同時に俺はある事を考えると足を止めたのである。

(もしかしたらアリサも?)

そう思ってから俺はラティス達の方を見てみる。だが、アリサが俺達の所にやってきた事で考え事が出来なくなったので。考えるのを止めることにしたのだった。そうして俺達は再びアリサと話をすることになった。

俺がアリサと話をしていたらアリシアが割込んできて、それから、俺はアリシアにも、先程、ラティナ達と話した事について話を始める。そしてアリサ達と別れてラティアとラティナが泊まる宿に向かって歩き出すと俺はある事を考えていたのだ。

(俺って、あの時、リディアスに何をしようとしたんだったけかな。なんというか衝動に突き動かされたというか、気がついたら俺の身体が動いていたというか。あ~あれって一体なんだったんだろう。って今はそんな事を考えていてもしょうがないだろ。今はまずアリサとラティアの問題を解決する事に専念しないと。それにしても。どうして俺とラティアが同じ人物なんだ。そもそもラティアもラティも元々は同一人物だし、でもそうなるとラティもリディアもラティナとアリサという事になるわけだけど。俺の予想だとアリシアの髪の色が変わる理由って多分、ラティスとラティが入れ替わったせいで生じた何かだと思うんだよな。だって元々は同じ人間なのだし。それで入れ替わると何か変化が起きるとかなのかな?まあいい。とりあえず、この話は一旦保留にしておくとするか。とにかく。まずはリリア達と合流を果たしてそれからだな)

そう思った俺はリリア達と合流する為に歩くスピードを上げたのである。

そして、俺は皆との合流を果たしてからリリア達と一緒に街を出た。それからしばらく移動をしていると俺達は森の入り口に差し掛かると俺は皆に向けて声を掛けることにした。その言葉に反応するようにリリア達はすぐに動き出したのだ。そして、すぐに皆を俺達の周りに集める。その様子を見ながら俺は少し離れた位置に移動して様子を窺うことにする。そうしてから俺はアリサに声をかけてアリサの傍にいるように指示を出した後で俺はアリシアの近くに寄ることにしたのだ。

それから俺はアリサとリシアに目を向ける。するとリティアは二人の事をじっと見つめていたので。俺はアリシアの瞳の色に変化があるかどうかを確認するために集中し始める。その状態で少し経つと俺はラティスの方を見たのだが、彼女の瞳の色は特に変化がないように見えていた。俺は内心で安堵しながらアリシアの様子を確認するとアリサの事がやはり心配になっているような表情を見せていて。俺の視線に気づいたのである。俺は彼女の視線を受けると小さく笑みを見せて手を振り。アリサの所に近づいていくとアリシアに近寄るように促すのであった。そうして俺は皆を見守った後でラティスに話しかける。

「さっきはラティナが急にごめんな」

「別に謝る事じゃない。気にするな。それよりもアリサはリディアの事を受け入れてくれたんだな。それは良かった。お前が俺に嘘を言うなんてありえないと思っているから、信じてはいたんだけど。それでも確認したいと思っただけだ」

「そっか、ありがとな」

俺はラティアに感謝を告げる。

それからしばらくの間。アリサとアリサのことを見守ることにする。するとラティナがラティアのことをじっとみつめていることに気づいた。

その事に俺は疑問を覚えてラティナに話しかけようとしたところでリディアとアリシアもラティアの異変に気がついて声をかけたのだ。

それから俺達が見つめると。ラティアは驚いたような顔になり。その後で悲しげな顔を見せるのだった。

リディアが慌ててラティを抱きかかえるが。

リディアの様子がおかしいことに気づく。

「大丈夫? ラティ? ねえ、どうしたの? ラティ? どうして泣いているの?」

そんなラティアの姿を見ながらラティアに問いかけるも返事がなかったのだ。

その事でラティが苦しんでいるのではないかと思い俺はリディアに近づく事にする。

そうして俺はリディアの隣に移動する。

「ラティ。大丈夫か」

(うん、大丈夫。ありがとう。少ししたら治まると思うから。そっその、ご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありません。もう大丈夫なので。少しだけお時間頂ければ、そっその)

ラティは慌てるように俺達に伝えると俺の瞳を見るのだった。その瞳からは涙が流れており、瞳が輝いていたのだ。

(ユウマさんは私を見てくれると、胸の奥が熱くなるんですけど、これはどういうことですか。こんなに優しい感じになったのは久しぶりなんですけど。これがユウマさんの力?)

ラティの言葉を聞いた俺はリディアに目を向けてみると彼女は顔を赤くしていて困惑した顔になっていたのだ。その様子を見ながらも俺達はリティの様子を伺っていたら、リティアの瞳が赤くなっている事を確認した俺はアリサとラティを見比べる。そして俺はラティの様子がおかしくなった原因が分かったのである。そしてアリティアの様子が変わっている事を思い出してラティアに声をかけようとする前に、アリシアの声で我に帰ることになった。

「えっと。あの。ちょっと待ってください!ラティちゃん? えっと、どうしたの?何が起きたのか説明してもらっても良い?」

「その、実は私は、ずっと長い間、一人ぼっちで過ごしていました。その間。ユウマさんに会う前も会ってからもずっと寂しかったんですけど、ラティシアの魂はラティの魂の事を大事にしてくださっていて。その、私には理解できなくて辛い日々を送っていました。私は自分の感情を誰かと共有出来ない。私だけが孤独。でも、ユウマ様は、私が寂しいと感じる時には必ず側にいて下さり、私が嬉しさを感じると微笑んでくれたのです。その時に、私の胸の奥がきゅっと締め付けられるようになったのですが、不思議とその感覚はとても心地良くて、ユウマさんのことを考えると胸の奥がきゅっとなると暖かくなりました。そうして気がついたのです。もしかしたら私の事をラティが大切だと想ってくれていることで生じた現象かもしれないと思い始めたんですけど。そんな時に。ふとユウマさんに抱きしめられている時の事を思い浮かべてしまったのです。その時の私はユウマさんに愛されていると感じたのです。そうしてその気持ちを感じてから、私の中に暖かい物が生まれて。私の身体が変化したんです。そうしてラティがラティの気持ちを理解してくれたことで私の変化も止まったようです」

ラティは自分が感じたことを全て話すと恥ずかしそうな顔になって俺に視線を向けたのである。そしてアリサに目を向けるとラティの瞳の色は元の黒に戻りラティの目元も赤みは引いていく。

それを見て俺は安堵するとリディアとアリシアはお互いの顔を見合わせながら頬を染めて微笑んでいたのだった。そんな様子を俺が眺めながらラティのことを見ているとラティはこちらに振り向いた。俺はラティの身体に変化が無いかを確認して安心しているとラティは笑顔で口を開くのである。

「そう言えばラティちゃんとリディの瞳が変化したよね。あれって一体なんだろうね?それにユウ君も何か変化していたよね?なんだったんだろう?」

アリサの問いかけにラティスとリディアが答え始めると俺は二人の話を聞こうとする。

そしてリディアはラティスとリリアと一緒にアリサに魔法を教えたいと言っていたのでラティがラティに魔法の使い方を教えたらどうかと提案してくれたので、俺はアリサにお願いして二人から簡単な知識を教えてもらうことにしたのだ。そのやり取りの中でアリサから魔力操作について教えてもらい、それから実際に試すことにした。その結果、ラティア達三人から凄いと称賛されたのだ。そんな俺にリディアとリリスは羨ましそうに俺の方を見ていた。だが、俺には何故二人がそんな表情を浮かべたのか分からないので。首を傾げながら尋ねる。

すると二人は俺に向かって手を伸ばすと俺に触れようとしてくる。俺はその様子を見た後にリディアとリティスの手を取ってから魔力を操作して、その状態を維持したまま手を放したのである。その状態でラティアがラティスの頭を撫でていた時と同様にリディアとリティスは幸せそうな表情をして笑ったのだった。

それからリディアとリリスも、それぞれリシアの事を褒めながら頭に触れる。リシアは皆に触れられる事に慣れていないせいか照れてしまい顔を真っ赤にする。そのせいで俺は思わず苦笑いを浮かべていた。リディアスが俺に近づいてきたのでリディアとリリアにラティナの事を頼んだ。それからラティスがリディアに耳打ちをするとラティナがリディアを誘うように腕を掴んで移動すると俺達に視線を向けてきた。それから、リリアはアリサと一緒に俺の方に来たのだ。

それから、アリサがアリティアからラティアに抱き方を変えてから二人で一緒に歩き始める。

「ユウマ殿」

俺がリリア達の方に振り返ると、ラディスは俺の近くにやってきて俺をジッと見つめていることに気づく。

「どうかしましたか?」

「ユウマ殿。その、私にもリアナを抱かせてくれないか。もちろん。リアナとユウナが良ければの話なのだが」

ラディアは少し遠慮気味な様子で話しかけてくる。その様子はリアナに嫌われたくないと思わせる雰囲気だった。なのでリディアはリシアとラティナとラティにリディアに近づいて貰う。

「ラディア。大丈夫ですよ。私達姉妹のことは気にしないでください」

「私達三姉妹にとってラティアは憧れのお姉さんみたいなものですから。ユウマ兄さんの恋人だから、とか関係ありません」

「そうですわ。ラティアとリリアさんは仲が良いから大丈夫なんですよ」

リディア、リネア、ラティナの三人がそう言ってくれたおかげでラティアは嬉しそうに笑うのであった。その様子を見届けた後。ラディアは緊張しながらリディアとラティナからラティアを受け取っていた。そしてリディアがラティを受け取るとラティを抱き上げていたのである。

それから、俺はアリサとアリシアとリディアとリティスが楽しそうにしているのを見守ることにする。その途中でラティスがアリサに魔法を習い始めたのだった。

それから少し経った頃にラティはアリサの所に行き魔法についての話を聞いたのであった。その話が終わったタイミングを見計らってラティが俺に声をかける。

「ラティナが、お友達ができたみたいで良かった。ありがとうございます。ユウマ様。お父様。リディアもラティスの事を受け入れてあげて欲しいとリティアがお願いしてくれて。ラティスがラティちゃんとリディアに懐いてきました。お姉さんらしくしようと頑張る姿を見ていて、リディアが微笑ましいそうに見守っていますよ。ラティちゃんもリディアとラティスと一緒だと安心できるようで笑顔が増えてきていますから。リディアがとても優しい眼差しを向けてくれるようになったとラティスが言っていました。本当に嬉しい事ですね。でもお父様の事は怖いと感じてしまうそうです。その気持ちを私も理解出来ますけど。私の場合はユウマさんに守って欲しいと想いを抱いているからなんですけどね。リディアも同じなのかも知れませんけど。ただ、ラティスはユウマさんのことを信じたいと思っています。それは私も同じなんですけど。やっぱりラティはまだ心を開くことが出来ていないんだと思います。私はユウマさんに愛して頂けていることは分かっていても不安になる事がありますし。だからこそユウマさんはラティのことを大事に想って下さいね。ユウマさんならラティが寂しいと感じる時は絶対に側に来てくれて、その気持ちを埋めようとしてくれると思えるんですけど。それでもまだ駄目だと思うんです。私には分かるんですけど、ラティには私と同じ力があって、ラティはその力のせいで孤独な時間が長かったと思うんです。ユウマさん。ラティのことも宜しくお願いします」

ラティの言葉を聞いている最中で、俺はリディアとリリアとアリシアの様子を見てみるとアリサはラティアに抱きついており、リディアとリネアはそんな二人を優しく見つめながらアリサの頭を撫でていた。

「俺には、ラティが俺達を慕ってくれるようになったのは奇跡的なことなんだと思っている。俺は、自分の事を神とは呼べない存在だけど。俺にだって守りたいと想っている人ぐらいは居るから。ラティも俺にとっては守りたい大切な一人だよ。それとラティの事を気にかけてくれて有難う。ラティとラティアの魂の結びつきは強いからね。でも、リディアも俺とリリアの魂は繋がっていた。それにリリスともね。でも、今は俺達はお互いに魂のつながりがなくても側に居てお互いのことを大切にしているんだ。リリアが俺の傍にいると決めて、ラティがリディアとラティに愛情を注ぎ続けてくれる。その事もあって俺とリリアの絆も深くなっていったんだ」

「そうなんですか?ラティちゃんの事も大切にして下さるのは私もユウマさんのことが大好きですから当然です。私にとってもユウマさんのことは家族のように感じていて、ユウマさんの優しさも感じていますから。そう言って下さると私はとても嬉しいです」

「俺とラティアの事を家族として考えてくれているのはラティが俺の家族だと言ってくれるからだろうね。俺はラディアとリディアのことを姉や妹として考えてもいるんだよ。まぁ、ラティアとラティスに関しては兄妹という感覚に近いんだけどね」

「そうなんですか。ラティアちゃんとラティスは本当の姉妹みたいに思えます。ユウマさんのことを信頼している様子が見てとれましたから。ユウマさんのことも、そのように考えるようになってきてますから」

俺はラティア達を見ているとリリアがリディアに話しかけていたのである。

「ねぇ。リリア」

「どうかしましたか?」

「ユウマ殿は本当に素敵な方よね。リリアは私やラティが羨ましく思うような体験をしてきてくれたのね。だから、リリアはユウマ殿に惹かれたのでしょう?」

「ユウマさんの魅力を分かって貰える人が居るのは私にとってはとても嬉しかったりしています。ラティアやリディアも、ラティと同じように、いえ。それ以上の感情を私に向けてくれる時があるんですよ。私にとってラティがユウマさんとラティに出会えたのは幸せだと思えることですから。だからラティには感謝の思いで一杯なんですよ」

リディアとラディアのやり取りを見てリリアはクスッと笑うと、リディアがラティアから目を離したので俺はラティとラティスとリティアの元に向かうことにした。

俺がリティアとラティの所に歩いていくとその気配を感じ取ったリティアとラティは振り返って俺の方を見る。

それからラティナが俺に向かって飛び込んでくると、リデアと一緒にラティを撫でてあげた。ラティナが満足するとリディアとラディアとリティアの三人で何の話をしていたのかを聞く。そして、三人の話を聞き終わった後にリディアスの事を頼む。するとラディアが、すぐにリディアスのところに行こうと提案してきたのでラティアにリディアスのところまで案内してもらう。リディアはアリサの方に近寄ると何かを話す。その様子を見ているリディアの顔は優しげだった。リリアの方はラティがラティスと一緒に魔法の練習をしていて、それを見たリネアは微笑みながらラティスの方を眺めていたのだった。

俺とリディアとラティの三人は、リティスの家の前に来ていた。俺はドアをノックする。しばらくして、家の中から出てきたリティスはラディアとラティナの姿を見つけると笑顔を見せる。

それからリディアとラティはリティスの家に上がって、お茶の準備をする。その間、ラティはラティとラティスを連れて家の外に出て行く。しばらく待っているとリティスはお菓子を用意してきたようだ。リディアとラティは楽しそうに話をしており、それをラティスとラティは楽しそうに見つめている。そしてリディアはラティ達を見つめながらラティスに声をかける。

「ラティス」

「はい。お姉様」

「ラティスもラティ達も、いつも仲良くしてくれるので、とても嬉しいです。これからも、ずっと一緒にいて、ラティスの笑顔を守って下さい」

リディアの言葉を聞いたラティスはすぐに嬉しさから涙を流し始めるが、それでも涙を堪えようとしていた。そんなラティスの様子を見つめていたリティアは自分のハンカチを取り出すとラティスに手渡す。そしてリティアはリテリアとラティアと手を繋ぐ。その姿は微笑ましい。そしてその後、リティアはリティスとラティに話し始めるとリティスが答えると微笑む。そのリティス達のやりとりは家族を感じさせるものであり、その光景は美しいと感じてしまった。リティスの家から出て来たラティとリティアに、ラティ達がどんなことを話していたかを聞いてみた。その時に、先程のような家族を感じる会話の内容を聞いて俺も嬉しくなったのだ。ただその中で気になった言葉があったので、リティスがリディアに対して口にした言葉を俺が聞くと、リティが教えてくれる。

「お姉ちゃんがね。『私を安心させるのであれば、私が愛する人を自分の力で守りぬく事』それがお母様の教えなのよ。そのお母様の教えを守る為なら私も全力で頑張るわ」

「リティア様のおっしゃった通りですよ。リディア様」

リディアがそう言い終わるのと同時に、突然ラティスが声を上げたので驚いたのだが、その理由を聞いて俺は安心する。何故ならリディアの言う事が本当なのかを確かめるために精霊達に頼んで、リディアの言葉を他の人間にも分かるように認識阻害を解除するように言って貰ったからであった。

そしてラティスの言葉はラティスに聞こえないようになっているが、俺とリディアとリティアはリティスとリティスの目の前に姿を見せていたからである。その事で、二人がどう思ったかは分からない。俺としては二人はリディアの事を受け入れてくれていた。リティアの件もあるからか二人共驚きはしていたが。そして、リティスはリディアの事を受け入れて、自分達もリティアを家族として扱うと告げてラティスが喜んで泣き出すとラティとリティアも泣いてしまった。

そして俺はラティが落ち着いてきたところでラティスと二人で話をした。その時間は穏やかであり、お互いの思い出を語るには最適な時間となっていた。ラティに今までにどのようなことがあって、リティアと出会った時の事やラティアが俺のことを信頼してくれた事など、俺の知らない事を教えてもらうことが出来た。

そんな幸せな時間を過ごしていたが、アリサの事を思い出したのでリディアやリネアにアリサをお願いして家に帰ることにした。

俺がラティスと話をしているとラティアも俺の近くに寄ってきた。

俺はラティアを見るとラティのことを紹介してから二人っきりになりたいと伝える。すると、ラティアはすぐにリディアの元へ走っていき、リディアはラティナの手を握って家へと戻ることになった。リディア達はリティアとリリアの事を心配していたが、それはラティアから大丈夫だと聞かされてホッとしたようだった。俺とラティの話が終わってから俺達はリティス達と別れるとアリサが居そうな場所へと向かう。

俺はアルフに質問をされた後でリディアとアリサが抱き合って感動の再会を果たしている姿を見ていたのだった。

それからしばらくして落ち着いたのを見計らってから、ラティが話しかけてきて、ラティが話しかけて来るまでに考えていた事をリディアが俺に説明してくれていた。

まずリティアについてだが、ラティは母親や叔母の事も心配していて、今すぐにでも母親の元に戻れるのであれば、すぐにでも戻りたいと口にしていた。

そこでリディアがリティアのことを気にかけている様子なので聞いてみる。すると、俺とリリアが出会った時には既に、この家にリディアが住まわせて欲しいと言って住み着いていたと言う。最初は警戒心もあったのだが、今では大切な妹のように想っているとも話してくれる。そんな事を言われてしまうとリティアは喜ぶだろうなと思ったりした。それから、俺はアリサが居たであろうと思われる所に向かった。リティアやアリシアが付いて来たいと言っていたため連れて来たのである。リディアが居ることでラティアが俺から離れることはないと思っていたのである。

俺は森の中でアリサを探す。しかし見つけられなかったので一旦、屋敷に戻るとするとラティから、リディアとラティスとラティが俺の元に戻ってくる。俺はラティアに、どうしたら良いか尋ねると、しばらく待つことになったのである。そして俺は屋敷の中に戻ることにした。それから少し時間が経つと、アリザの声が響き渡って俺はそちらに向かう。すると、そこにはボロボロの服に身を包んだアリサの姿があり、俺の事を視界に入れると飛び込んでくる。俺はアリサラに抱きしめられて、しばらくの間は身動きが取れない状態になっていた。その様子を見ていてラティは笑っていた。ラティアも笑いはしないが優しい表情を俺に向けてくれているのが分かったのである。

俺とラティはお互いに見つめ合う。

俺はそんなラティを見て愛おしく思えたのだった。

それから、アリサが落ち着くとラティの膝の上に座りリディアが作ってくれたお菓子を食べると嬉しそうに食べているので俺がラティの代わりに食べさせると美味しそうにして幸せそうにしている。その様子を見て俺は可愛いと思う。

「あー、やっぱりここに居たのね。探したんだからね」

それから数分後ぐらいだろうか? アリシアとリデアの二人がやって来たのだ。俺が何かを言う前にアリシアが先に言葉を発すると、アリサがアリティアの後ろに隠れてしまう。

リデアもアリティアの横に並び、リディアが後ろに立っている。リディアはアリサとアリティアが並んでいることに喜んでいるようだ。それからラティに近づいて来てラティと手を繋いでいる。その様子を見たリデアが俺の元に来てラディアと同じようにリディアの後ろから、そっと近づき手を繋ぐ。

その光景を見ているだけで、俺は嬉しさを感じていた。

そんな事を考えていると、俺の視線に気付いたのかラティがリデアの事を引き寄せる。

そんな二人の様子を見ているとラディアとラティとリデアの三人が仲良くなれればと思ってしまった。

そして俺は三人を見守りながら紅茶を飲む。

「えぇと、私はお姉ちゃんが大好きなんだけど」

そんな事を呟いているラティは可愛かったのだが。

俺はリディア達の方を眺めていると俺とラティ以外の四人が話をしていた。

俺は、その内容を聞いて驚いてしまった。なんとリディア達が暮らす家を提供するという話になったのだ。しかも場所は、ここから近い場所にあるとラティナは言う。その事を聞いた俺達一行は移動を開始する事になった。そして俺達はリディアスの家に再び向かうことになる。そして到着した時にある異変が起きた。

それは、リティスの家に大勢の人達が集まってきていたのだ。

「何で?」

「お兄さん」

リティアはそう言ってからリディアを見る。そして、それに気づいたリディアが俺に向かって説明を始めたのである。その内容はリディアの両親が亡くなったこと。それと、リティスの母親が亡くなられてしまったことを告げられる。そんな事を俺に伝えながら涙を流していたリディアを俺は、優しく慰める事にしたのであった。そんな様子を見てラティは俺を睨みつけてから俺にだけ聞こえる声で俺にしか聞こえないくらいの大きさで言葉を発してくる。

『リディア様のことを大切にして下さい』と。その言葉を俺は聞き逃さなかった。そして、俺は真剣な顔でリディアに向き直るのである。俺の気持ちが伝わったようで、彼女は小さく微笑むとリディアは泣き出してしまう。

俺も悲しかったのだが。それよりも今はリディアの事を優先しないといけないのだと思い、ラティとリティアを呼び寄せてから、その場を離れることにする。ラティアに「後は任せたよ」と伝える。ラティも俺の意図を理解してかリティアを連れてリディアと共にその場を離れてくれた。

そんなリディアの様子を見たアリティアが心配してか駆け寄る。リディアの背中をさすっているとラティスも心配そうに見つめているが、その瞳には優しさが込められているような気がする。そしてリティスは涙を流すことなくラティアを抱きしめると「お母様は大丈夫です。安心していいですよ」と口にするとリディアが泣き止んだように見えた。

そして、俺達は家の中に入る。そして、家の中にはラティナとアリサの二人が待っていて、ラティナが事情を説明してくれると、リデアが俺達のために夕食を作ってくれると言い出して、ラティと一緒に台所へと向かった。残された俺達は、リティスが使っている部屋の一室で待つことにしたのであった。

それからしばらくするとラティが部屋へと入ってくる。どうやら、ラティが気を使ってくれたらしく食事を持って来てくれたみたいだ。

ラティアはラティナに甘える事に決めたようでありラティアの事を姉として認めていた。そして二人は仲良くしているようである。ラティは二人を見つめて本当に嬉しそうな表情をしていた。それからラティとリデアが食事を持ってきた。俺は、その時にラティから『アリシアとリデアに本当のことを話すべきだと思うのです』と、言われたのである。

ラティは、ラティとリデアはラティアの妹と弟であり、その二人と俺は家族同然の付き合いをしており、俺のことを信頼してくれていることを伝えていた。そしてラティはアリサの事を説明する。

ラティアの話を聞いていたリデアがラティの話を聞き終えると納得していた。

「じゃぁ、お姉さんのことは大丈夫なんだね」

ラティアが説明を終え、アリサをラティアが保護している理由を聞くと、アリシアは笑顔を見せて言う。その声はとても優しいもので、俺はラティアの言った通りだった。そしてアリサがリデアを見て言うとラティが言う 俺を指さすとラティスの方へと向いた。そしてリデアが俺の事を紹介し始めるとリティアもアリシアの紹介を始める。二人は互いに知り合いだったので紹介を簡単に終わらせてラティスはラティアがアリサとリディアの面倒を任せたいと言った話をしてくれた。そしてリデアがラティとアリサの頭を撫でていた。ラティとアリシアの仲の良さに嫉妬してしまったのだろう。

ラティは俺に対して少し怒っていた。そんなラティがとても愛おしくて思わずキスをした。するとラティの機嫌は一気に良くなったのだった。

その後、俺はラティからラティに話があると言われて、俺とラティアだけが別の部屋に移動したのだった。

俺とラティアはリディアとリデアがいる居間から離れて二人っきりになれる部屋に来ていた。

そこで俺はラティに抱き着かれて、ラティの温もりを感じることが出来たのである。それから俺はラティを抱き締めていると、ラティは恥ずかしそうにして俺の事を抱きしめ返してくれたのである。

「リディアはお姉さんが、しっかり面倒を見るの。だからリザちゃんが心配する事なんてないの。それに、リザちゃんの方がラティにとっては大事だし、ラティが大好きなのはリディアなの」

俺は、この場に来てから俺の腕の中にいるラティを見て思う。ラティアは俺に、ラティが寂しい思いをしないようにしてほしいと言ってきたのである。そんな事を考えながらラティと唇を重ねたのであった。

それからしばらくしてラティアが俺に提案をして来たのである。俺はそれを聞いて少し驚きはしたものの、断る選択肢などなく受け入れたのである。そして俺は改めて自分の決意を口にしたのであった。俺はこの屋敷に住むことにしたのである。ラティアやリディアが暮らしている家に俺も住んでいいと、ラティアに言われたのだ。ラティアのお願いで俺も屋敷で暮らすことにした。そして、俺はリディアとリデアの二人の元に戻るのである。俺は戻るとリディアに話しかけたのだ。

リディアが嬉しそうにしている姿を見て俺は幸せを感じている。そんな時、リディアに呼ばれて彼女に近づくとラティアが俺を呼んだとラティアが口にしたのでラティの元へと向かうと、そこにはラティアの姿があった。俺はリデアから話を聞く。そして俺とラティが付き合っている事を知ってしまったのだった。その言葉を聞いた俺は驚いた。そして、リデアからリディアが泣いてしまった事を聞かされる事になる。そんなリディアを見て、ラティアが「お兄さんに任せるの。ラティが傍にいるから大丈夫なの」と、言う。そしてラティにラティが言う。ラティとリディアの二人がお互いを見つめ合って笑い合っていた。それから俺とリデアは、その会話を眺めているだけだったのである。

ラティが、これからも一緒に暮らしていいのかと聞いてきて、俺はリディアの顔を見ながら答えを出した。そしてリディアは、嬉し涙を流しながら、うんっと返事をするのであった。こうして俺達はラディア達の家に居候することになった。

それから俺達は、しばらく過ごすとラティから俺に頼みごとがあり、それは俺達の関係をリディアに伝えたいというものだったのである。

そんな話をしている時にアリシアもやって来たのだ。

そんなこんながあって夜になり、ラティはアリティアとラティを連れて先に寝室に行って寝ることにしたらしい。

そして俺とリデア、アリシアの三人は部屋に残る。

そんな時である、俺はラティに頼まれていた事が頭に浮かび上がる。

それはリディアに俺達が一緒に住む事を説明してほしいと、ラティに言われていたのだ。俺はリデアに「アリシアを呼ぼう」と口にしてからアリシアの部屋へと向かった。アリシアの部屋の前まで行くと扉越しに俺は中に居るアリシアに声をかけると「何?」と言うのが聞こえたので俺は、中に入ってもいいか確認する。アリシアが了承してくれたので俺は部屋に中に入った。

そんなアリシアをベッドに腰かけさせると俺は口を開く。

そして、リディアとラティアの件について、リディアとラティは姉妹だということを俺から伝えた。アリシアは最初は信じられなかったようだが、リディアはリティアにラティナのことを『私の妹』と言っている所を聞いて、納得するのである。そしてアリシアは「やっぱりそうなんだ」と小さな声で言ってからはラティに何かあるのだろうか? そう思ってアリシアに尋ねてみることにする。そして、俺の問いかけにアリシアは小さくうなずいてから教えてくれた。

ラティはリデアの双子の妹でアリティアの幼馴染なのだと、そして俺達と一緒に暮らしていたがリディアの母親の亡くなった後、リディアと離ればなれになってしまったのだと説明した。それからアリシアは、俺達に自分が思っていたことを話してくれる。

それはラティの事が好きだったのだと口にしていたのである。だがアリシアには想い人がいたらしく告白できなかったという事を俺に伝えてくるのである。そんなアリシアを見ていると俺はリデアのことを思い出す。

だから俺は「そっか」と口にしてアリシアのことを抱きしめると、俺は「リデはいい奴だぞ。リディアともすぐに仲良くなったからな」と言ってみたのだが、彼女は俺のことを見ると頬を膨らませてきたのである。その行動を見て、可愛いと思う気持ちが強くなった。

俺は、その日はそのままアリサと共に眠るのであった。そして朝を迎えるとリデアは俺達を見送りに来ていた。ラティ達と一緒にリデアも暮らすことになると俺達はラティアに伝える。それから俺達はラティア達と共に屋敷に戻ったのであった。屋敷に戻ると俺達がいない間にアリシア達は部屋を決めるためにラティナに案内されながら部屋を決めていく。そして俺とリデアは食堂へと移動することにした。するとリデアは言う。

「ねぇ、今晩も泊まって行ってよ」

俺は「ありがとう、でも、遠慮して帰るよ」と伝えるとリデアは残念そうな表情を見せていた。そして俺とリデアが話をしているところにラティがやってきたのである。

それから俺達は朝食をいただくと屋敷を出て、街に向かうのであった。

そして街の手前のところで俺はリデアと別れたのだった。俺が一人で街中に入ると、俺の視線に入ってくる人達のほとんどが俺の方を見つめていた。その目は敵意むき出しのものであることは、すぐに分かった。そんな状況を見かねて、俺は路地裏に移動するとそこで、いつも通りの戦いを始めたのだった。そして俺は戦っているうちに、だんだんと調子がよくなっていく。

そうこうしていると、この街のギルドマスターが現れる。俺は、その男に名前を聞かれる。その質問に対して俺は名乗ったのだ。

俺の名前を聞いて驚くギルドマスターに、俺は用事があるので、さっさと話を進めろと要求すると「俺の名はギルダって言うんだよ」と言って俺の前に一枚の依頼書を見せて来た。それは王都に行くようにと指示をされているものだった。しかも、指名依頼である。ただ俺の場合は特別扱いになるようで、指名依頼を受けるのは初めてだった。その話を聞いた俺にギルダが俺にあることを教えてくれる。その情報によると王都までの道でモンスターに襲われる可能性が高いということだった。そのための準備をするためにも一度王都に行けと言われたのである。俺はすぐに、準備を整えるために戻ることにしたのだった。

そして戻るとリザ達も、ちょうど戻ってきたばかりで、屋敷の中で出会ったのだ。そんな時、屋敷に誰かが近づいてくるのを感じ取った俺は警戒をしていると屋敷の中に向かって来ていた人物はラティアだった。

そんなラティアを見て俺はホッとしたのだ。俺の様子を見て不思議に思ったラティはラディアとアリシアのところへ向かうとラディアにラティアが俺の事を呼んでいたと話す。

そして、そんな時、リディアの側にいたラティがリディアの方へ近づくと、何かを話しているようだったので気になった俺とラティアがラティアの元へと移動する。すると、ラティアがリディアに対して俺がリデアに惚れているからと説得していたのである。その光景を見て俺はリデアの方をチラッと見ると、なぜか嬉しそうな表情をしていたのである。その事に関してラティは「ラディアちゃんも好きな人を作ればいいの。きっと楽しいはずなの。ラティの事も応援してくれてるの。それにリディアちゃんもリディアちゃんもラティのお姉ちゃんなの」と、言い始めたのであった。

リディアは困りながらも、リザ達の顔色を確認しながら、リディアはリディアで俺にラティアとの関係を聞いて来たのである。そんなリディアの姿を見て俺は少し照れてしまったのだ。それから俺達はラティに案内されて俺の部屋に来た。

そしてラティアからリデアやラディアが一緒に住みたいという話を聞き、ラティアがそれを受け入れたことによって俺はリデアやラディアも一緒に住むことになったのである。そしてラティアがアリティアやアリシアの面倒を見るという約束をしてくれたのである。そういえばラティがアリシアのことを『私の友達』と言っていたが、それがどういう関係なのか、俺はまだラティアに詳しく聞けていないのだ。そのことをラティアに聞いてみたところラティアから返ってきた返事が、どうやらラティアの両親は、俺が以前暮らしていた村にいたようだ。そんな事を言われても全く分からない俺はラティアに聞いてみた。

そんな時である。俺の耳に足音が聞こえて、慌ててラティアを連れて部屋の奥に移動したのだった。ラティアとリディアとアリシアとリデアとラティとアリティアが一緒の部屋で生活することに決まってから俺は、とりあえず、今日一日ぐらいはリデアに会えないのだから、リデアと一緒にいる時間を増やす為に、リディア達の部屋で過ごす事に決めた。それから、俺が部屋から出てリディアの部屋に訪れるとアリティアとアリシアも一緒に部屋にやって来たのである。俺はラティとアリティアとリディアとリデアに部屋の中に入れてもらうとベッドに腰を下ろした。

それから俺はラティにリディア達の面倒を任せると俺は外に出ようとするが、アリシアに「待ってほしいの。ラティアさんからユウマに渡したい物があるみたいなの」と、言われてからラティアから渡された物は指輪とブレスレットとネックレスの三つだった。それをもらった時に俺がお礼を言うと、ラティアが嬉しそうな表情をしながら「私が勝手に渡したものだから気にしないでほしいの」と言った後に、彼女は俺の方に抱きついてきたのである。その行動に驚いたが俺は優しくラティの頭を撫でてやった。ラティアは幸せそうにしているので俺は安心する。ラティとラティアの関係を知らないアリシア達だったが、そんなラティアとアリシアを交互に見て、リデアが口を開いた。

「ラティ、ちょっと聞きたいことがあるんだけどいいかな?」

「うん。何?」

「二人は仲良しみたいだしラティがラティを拾ったとか?」

その質問を聞いたラティアの反応を見た限りだと当たりなのかもしれない。俺は二人のやり取りを黙って見守ることにしたのである。そんな時、アリシアがあることを思い出していた。それはアリシア達が暮らしていた村に、この国の王女がいたということをだ。

それを聞いて俺はラティナの方を見るとある事を思い浮かべていた。その事が本当ならば俺達がリデアと一緒に暮らしていることを知っている人物が他にもいるということだからだ。その可能性として一番有力なのは俺達に監視をつけるように命じた相手だと思った。しかし今はその件に関しては考えてもしょうがない。

ラティアはラティアで、アリシアが何かを考え込んでいたような表情をして、俺の方を見ていた。俺はアリディア達とラティのやり取りを見守ると、アリシアは「ねぇラティ、あなたと私達はどこかで会ったことがあったりするの? もしかしてリデアもラティと何か関わり合いがあったり?」とラティアに聞いていたのだ。アリシアがそう尋ねるとラティは首を横に振っていた。そんなアリシアの言葉にリデアは何か思う事があるのか、少しばかり暗い表情を見せる。そしてリデアの方を見るが俺には彼女がなぜそのような表情をするのか理解できなかったのだった。

俺はラティアから渡された三つのアクセサリーに視線を移すと「綺麗だな」と、つぶやく。するとリディアは言う。

「これ、どこの店にも売っていないの。それにラティに聞いてもラティは何も教えてくれないし」

リデアがそういう言葉を口にしたので俺は試しにブレスレットをつけてみた。それから首飾りをつけようとしたが、どうやってつければいいかわからなかったのである。そこで俺はリデアに頼んで首に掛けてもらうことにした。そのあと俺は腕を上にあげるとリディアがその手を取りブレスレットを巻いてくれたのだ。その時、リデアの顔が俺に近づき思わずドキドキしてしまう。

「これで、よしっ。ユウマ、よく似合ってるわよ」

俺はそんなことを言われると恥ずかしくて顔の温度が上昇するのを感じる。

「あぁ。ありがとうリディア。リデアも」

リディアは俺の言葉に照れていた。

「べ、別にいいのよ」

それから、そんな話をしているうちに、リディア達は眠くなったので寝ることにしたのである。俺とラティはラティアの部屋に残ることにした。ラティアに明日は朝一に出発する予定だから起こしてとお願いされたので、ラティアの部屋を出る。そうすれば、俺の視線に入って来る人はほとんどいないはずだからだ。俺はそう判断して、ラティと別れてからアリティアの寝室へと向かった。すると扉の前に立っていた護衛の騎士に話しかけられる。俺は彼にラティアの部屋の場所を聞くとその場所に急いだのだ。そうしている間に、一人の男が近づいてくる。その男に対して俺の視線に入る騎士たちが男を睨んでいたのだ。男はそんな視線など気にせずに声をかけてくる。俺が誰に用事があってきたか、その男は尋ねてきた。そこで俺は、その男に対して自分の名を名乗ると俺に伝言を伝えたいと伝えてきた。俺の名前を知らなかったらしく驚いていた。それから男の名前はバルグと言うらしい。バルグと名乗った男からは、ある人からの命令で動いているという事を伝えられた。その人物について聞こうとしたが、すぐに立ち去ってしまうのだった。

それから、俺はラディア達がいる部屋の前へとたどり着いたのだ。そしてノックをして部屋に入るとそこにはラティアしかいなかった。リデアはもう既に寝ていたのである。ラティはベッドの横に座っており俺はラティアに近づくと話し始める。俺の予想では、これから王都に向かうために街を離れることになると思っていたからである。俺はリデアの様子がおかしいことが気がかりだったので、リディア達に相談しようと思いここに来たのだが、まさかリデアだけが起きていてリディア達は眠っているとは思ってもみなかったので少し驚く。そして俺の方を見てラティアが少し困り気味に話し始めた。

そんな彼女の表情を見て何か嫌なことでもあったのか心配になる俺だが、どうやら違うようである。リデアが「お姉ちゃん、ラティ、ごめんね」と言いながら涙を流したのだからである。

「大丈夫だよ。ラティ、気にしていないの」と、言いながらもラティの目からも涙が出始めた。

ラティは俺の方をちらりと見た後で、俺に向かって、どうして自分が泣いているか分からないと言ってから泣き始めたのである。そんなラティの様子を見た俺が彼女に手を伸ばそうとしたとき、ラティが突然俺の手を掴み握りしめたので俺の方が驚きの声をあげてしまう。俺に握られたラティは申し訳なさそうな顔をしていたので俺は「いいんだよ」と、声をかけると、ラティは笑顔になって俺の手にキスをしたのだ。そんな光景を目の当たりにしてしまった俺の顔は赤くなるのを感じたのである。

そんな出来事がありながら、俺達はリディアに俺とラティのことを話したのだ。リディアが「二人共、おめでとう。でも私達も一緒に住んでいるけどユウマがいいなら問題はないと思う」と言ったことで、俺はほっとする。俺がそんな反応をしていると、アリティアとアリシアが俺達の元にやって来た。そして二人は嬉しそうにしていたが俺は気になっていた事を話すことにする。そう、俺がラディアと一緒に暮らしていることについての疑問に答えてくれるかもしれないと思い俺は、リデアに問いかけたのである。その問いに対してラディアの方から説明をしてくれることになった。ラディアが「私がリデアさん達と一緒に住みたいと思ったのは、アリディアさんの面倒を見るためにです。私の家族は魔王討伐後に行方が分からないのです。その事はアリティアも知っており、私はアリティアの両親を探す旅に一緒に行きたかったのだけど、彼女はまだ未熟だったため連れて行くことができなかったの。その時にアリティアは私に『お母さんを探しに行けるようになった時には私が一緒に行く』って約束をしてくれたんです。そんな経緯もあって一緒に住みたいと思ったんですよ。それに、ラティアが、リデアを気に入ったみたいなの」と説明してくれたのである。

俺はそんな事情を聞き納得した。

そんな時にアリシアが俺の方に近づき、俺の耳元に唇を持ってきて「ユウマ様ってラティと婚約されたみたいですがリデアは諦めていませんから」と言われたのだ。そんなアリシアは俺に「アリティアも、ラティアがリデアを気にっているからラティアとリデアと3人で暮らします。だからラティアが寂しがることはないですよ。私とラティで、いつもラティのこと見ていますから」と言っていたのである。その言葉を言われた瞬間、俺はアリシアに抱きついてしまいそうになった。そんな衝動を抑えることができたのは俺の隣にいたリディアが、その様子を見ていたので何とか踏みとどまったのだ。そして、リディアの方を見ると彼女はアリシアの方を向いていたが、何か言おうとしていた。そんな時に俺がアリシアに抱きつくような行動を取ろうとしているのを見て彼女は俺の行動に戸惑っていた。俺がそんな状況の中で、俺の方を見たのはラティだった。ラティがアリシアに視線を移した事で俺達の視線が交わると彼女は笑っていたのである。そんなラティの反応を見ていたアリシアとアリティアは不思議そうな表情をしていた。アリティアはラティのそんな表情を見たことがなかったようで、その様子に違和感を感じていたようだ。そんな事をアリシアがアリティアに伝えたが、アリティアには理解できなかったのである。そんな時だった。俺の耳にアリティアの悲鳴が聞こえたのは。俺が急いで駆け寄るとリデアがリディアを抱きしめていたのだ。

リデアは泣きじゃくった顔で俺に助けを求めてきたのである。リデアの話によるとアリティアとアリシアの仲が良くなったので少し嫉妬してアリシアを叩いてしまったのだとか。その話を聞いた俺はリデアの肩にそっと手を置くと「ラティにリデアの事を任せていい?」と言う。するとリデアは笑顔を見せて、ラティがうなずくと俺も「ありがとう」と伝えたのである。それからリディアと一緒に部屋を出ると、ラティアとラティスとラティアとリデアが楽しそうにしている姿を見てから自分の部屋に戻り就寝したのだった。

翌朝になると、俺は起き上がると着替えを済ませてからラティナの部屋に向かったのである。扉を開けると俺の存在に気づいたのか、リディア達が一斉にこちらを向いた。俺はラティが目を腫らしていたことに気が付き彼女に近づくと、ラティが俺に向かって微笑んだので、安心するのであった。そんな俺たちにラディアスとラティーシャが部屋にやってくると「リディア達の準備ができたので案内するよ」と、ラティに言われ俺は、すぐにラディア達と一緒に部屋を出たのである。そうすれば、昨晩ラディアと会った教会へと到着したのだ。俺はラディア達と別れた後で、自分の身だしなみを整えるために部屋へと戻ろうとすると、そこに一人の少女が現れる。

そして俺に「勇者様」と呼びかけるのだ。俺は突然の呼びかけに反応して振り向けば俺の目の前に現れたのはラティの妹でもあるアティだった。そして、ラティと同じように黒髪で短髪の少女であるアティに俺は言う。「君は?もしかしてラティのお友達かい?」

俺の言葉を聞いたラティのアティは首を左右に振る。その動作に合わせて綺麗な銀髪の髪の毛も揺れたのが印象的である。そして、俺の言葉を否定するようにアティは口を開くと俺は思わず目を見開いてしまう。なぜなら、彼女の言葉に俺は驚く事になるからだ。そんな、驚きのあまり固まっている俺の顔を覗き込むように声をかけて来た。

「えっ!?どうしました。そんなに驚くことないと思いますよ」

彼女の言葉で我に返った俺はラティのほうを向き直り「どういう事だ」と問いかける。

「あぁ、ユウマさんはまだ気がついていなかったんですね。それは、あの人がユウマさんの事をずっと前から知っていて知っていたんですよ」

俺は、そんな事を突然言われたので驚いていた。俺は彼女が誰なのか聞くとラティアが教えてくれたのだ。そうすれば、「ユウマさんの事を私が知らないはずがないじゃないですか」と言ってから、彼女は俺に自己紹介をするのだった。

そうして俺に名乗ってきた少女の名前はルシアだった。彼女はラティよりも少し背が高く俺より頭一つ小さいくらいだろうか。年齢は俺と同じ17歳なのだとか。その証拠として俺がラティからもらった指輪を見せたのだがそれを見ても驚かずに「お似合いの二人ですよ」と言ってきたのである。その言葉を聞いて恥ずかしくなった俺は頬を赤めながらもお礼を伝えた。その後で俺に質問してきたのである。

どうして俺を知っているかと聞かれたので俺は、この世界に来てからは、ほとんど城の中だけしか行動していないことを話す。そして俺が異世界からの召喚者である事も伝える。その事にラティアも驚いているようだったが何も言わなかった。俺の方からもラティ達に色々と聞きたいことがあるので聞いてみる事にする。ラティ達は、ラティス以外の家族の行方を知らないか聞いたのである。俺のその問いかけに彼女は残念そうな表情で答えてくれた。どうやら俺の思っていた通りの答えが返って来た。つまり俺の家族とラティの家族は既に魔王軍の手によって殺されていたようである。

俺は、そのことを知りショックを受けるがそんな気持ちを抑えつつ他の家族の事について尋ねた。そして、その問いかけにも彼女は知らなかった。俺の知っている事はリデアは両親が生きているらしいという情報だけである。そこで俺はラティアに「リディアの両親の事を教えてくれないか」とお願いしたのだ。

そんな俺の様子に、ラティは驚いた表情をして、それから困ったような顔をしたのだ。俺はそんなラティの様子を確認しながらもリデアが俺に対してリディアに両親がいることを話していなかった事を思い出す。俺がラティを心配するような顔を向けると、彼女は優しい笑顔で俺に「大丈夫です。ユウマさんは、きっと分かってくれると信じていましたから」と言ってくれたのである。そんな彼女の言葉に対して俺は、ラディアに、もしもラティが両親と会いたいと願っているならば会わせてあげたいと言ったのだ。その俺の問いかけに対して彼女は首を横に振ってから「今、お父さん達は忙しいみたいです。ですから私達はもう少し待っています」と答えた。

ラティアとの話を終えた後に、俺達三人と一匹は城の中を歩きながら話をしていた。そうしているうちに俺は気になっていたことをラティに伝えると彼女は苦笑いをしながら言う。その言葉とは「ユウマさんって時々変な所で鋭いですよね」という言葉である。

それからラティアと別れることになった俺にラティは「ユウマさんも頑張ってください」と言われたのだ。そんな彼女に向かって、ありがとうと伝えてからラティ達と別れることにしたのである。俺が、ラディアの部屋に向かおうとすると俺の後ろから「勇者殿」と呼ばれ振り向けば、ラディアスが真剣な顔でこちらを見ていたのだ。

俺が、何かと思い声をかけようとした時だった。ラティは俺の手を掴み俺を引き止める。その事に戸惑うが俺はラティの顔を見ると何かを伝えようとしていることがわかったので、そのままの状態でいたのだ。ラティが俺の手を引いて行く場所は、リデアがいる所であった。俺はリディアの姿を見ると、俺はリデアと二人で話がしたいと言い出したのである。その言葉を言われた俺は、ラティに「わかった。俺のことは気にしないでいいよ」と答えるとリディアを連れてその場から離れるのであった。そんな二人の様子を見つめるアリサとリディアの二人は複雑な心境のようで見送る視線に困惑が混じっているように感じたのだ。

そんな二人が見えなくなると俺は、ラティに「ありがとう」とお礼を言う。すると彼女は俺の頭を優しく撫でてくる。俺は嬉しかったのである。ラディア達の前では、こんな風に甘える事が出来なかったからだ。だから俺はラティに感謝した。そんな俺に彼女は「いつでも甘えてきていいんだから」と言ってくれたのである。そんな事を言われてしまうと、つい、甘えたくなってしまうので「ありがとう」と答える。ラティは俺に抱きつくようにしてから顔を俺の胸に擦り付けていた。俺はラディアとの話を終えると、ラディアに俺の考えを説明するのであった。

リデアとリディアは姉妹のように仲良しなので、もし何かあればラティアから俺に伝えてもらえるよう頼むと快く受け入れてくれたのである。

それからラディアと別れた俺は、アリティアがラティナに俺が来ていることを言っていたと聞いたのでアリティアと会うことにする。俺は、その途中でラディアに会ったのでラティアから聞いたがラディアと会った時にリディアもラティアと一緒にいると言っていたらしいので、そのことについて話すことにしたのである。そうして、リディアはラティーシャの護衛役になってもらった。

俺がその話をしてからしばらくするとラティが俺を呼びに来た。俺はラティに連れられて彼女の部屋にたどり着いたのである。そこには、アリシアも一緒にいたのだ。そんな彼女の姿に、俺とラティは驚いた。なぜかと言えば普段のアリシアと違う印象を感じたからなのだ。そう思えば、その違いを感じて俺は思わず口を開いた。そして俺が口にしたその言葉がリディアを泣かせてしまったのだった。

その事でラティナとラティスは、どうしてこうなってしまったのか分からずに俺に聞いてきた。そして、俺は自分の口から「リディアと喧嘩してしまったんだ」と言う。俺の話を聞いたラティは俺がラティの事を悪く言ったと思ったのかリディアの代わりに怒り出してしまうのだった。ラティの勢いで俺はラディアとの一件をラティ達に説明する事になった。そして、リディアは俺の言葉を泣きじゃくりながら聞いていたのだ。その光景を見ていて、リディアの事を心配しているとラティが、ラディアに声をかける。

そして、リディアの背中をさするように手を当てていた。その行為にリディアが「ごめんなさい」と小さな声で謝る。それに対してラティは優しい笑顔で微笑むと、ラティは「大丈夫ですよ」と言ってから俺を見る。俺はラティの表情に安心して、もう何も言わなくて良いよという意味合いを込めて微笑み返したのだった。

そうやってラティアの部屋に集まる俺とラティス。そんな状況の中で俺はアリサが居なくなっていることに気がつく。ラティにアリシアがどこに行ったのか聞くと、どうやらラティが泣いている姿を見てどこかに行ったようだ。それを知った俺が部屋を出て探し回ろうかと、そう思い行動しようとしたその時だ。

そんな俺にラティは「心配ないと思いますよ」と言ってくる。そのラティの言葉に対して俺は何も答えられなかった。だが、俺にはラティが嘘をつくはずがないので信じたかったのだと思う。だから「分かった」と言ってラティアが言う通りにすることにしたのだ。そうして俺は椅子に座り直すと、ラディアが落ち着くまで待っていたのである。

しばらくして、ラティに寄り添われているラディアの側に近づいてみるとラディアは泣き止んでいたのだ。そういえば俺はラティにお礼を言いに行くはずだった事を思い出す。そして俺はラティに対してお礼を言うと、そんな俺の言葉を聞いたラティアは、照れくさそうにしてからラティが俺の頬に触れてから唇にキスしてきたのだ。

俺はいきなりだったので驚くと同時に顔を赤くして、ラティから離れようとしたが彼女は俺のことを抱きしめてから、また何度も繰り返ししてくるのである。それから数分くらい経つと満足したのか、彼女は離れてくれた。俺はそんなラティに対して恥ずかしさを隠すために「急に何をするんだよ」と言いながらもラティに「ユウマさんの事が好きです」と言われる。そんなラティに、俺も好きだと伝えると、俺の事をラティは再び抱き寄せて俺に告白の返事をするかのように好きという言葉を繰り返し言ってくる。そして、彼女は、そんな俺に、もう一度「大好きです」と言われて、そして今度はラティの方からキスされるのだった。

ラティから解放された俺達はアリシアとアリティアを探すことになったのだ。その前にラティスの事が気になったのでラティに相談をしたらラティが「私がユウマさんと一緒に行きます」と、言ってきたので、俺は「ラティ、お願いできるかな?」と、聞いてみた。その問いかけにラティは笑顔で「任せてください」と、答えてくれたのだ。

そんなわけで、ラティは、アリシアを探しに行っくれる。俺はそんなラティの後ろ姿を見えなくなったところで、ラティはリティアの護衛役として城に残る。俺とリディアでアリティアのことを捜しに向かったのである。

俺が城の中の探索をしようとするとリディアが付いて行くと、俺に告げてきたのだ。そんなリディアに対して、俺は心配させないように優しく微笑んでから頭を優しく撫でると、彼女のことを連れて行く事にしたのである。リディアは嬉しそうな顔をしていたが、その様子からは少しだけ不安が残っているようだった。だから俺の方は大丈夫だと彼女に言ってあげたのである。それでも彼女の顔から心配の色が消えることはなかった。なので、俺はリディアに俺が、ここに来るまでにラティとどんな話をしたのかを伝えると彼女は俺の体に抱きついてきてから「本当に大丈夫なんですか? ユウマさん一人で大丈夫なんでしょうか」と聞かれたのだ。その問いに対して、もちろん俺の気持ちは変わらなかったのである。だから、リディアに向かって問題ないと伝えながら優しく頭を撫でるのであった。

そして、俺はリディヤと共に城を歩くとアリティアの姿を見つけたのである。俺は彼女を見失わないようにしながら声をかけたのであった。

それから俺は、まず最初にリディアからリデアに説明をしてもらってからアリティアについて話すことにするとリディアに話をした。

そんな話をしている俺の元にリアナがやってきたのだった。そしてリデアとアリティアの会話を俺もリデアの隣に立って聞くことにしたのだ。俺は二人の話を聞くと納得出来たのである。そして俺とリディアはラティと合流する。そこでラティの方に事情を話すのだがラティは、すぐにラティナに報告をしてくれていた。そんな事をしている間にラティナが来てアリティアとリディアとラティナは一緒に行くことになったのだ。その途中で俺はリデア達にも俺が魔王を倒せる力があるのか疑問に思っている事を伝えてから俺はアリティアに「勇者の力を使うけど大丈夫なのか」という事を聞いてみる。その俺の質問に対して、リディアが代わりにアリティアに答えるとアリティアもラティナも驚いていたのである。そんな俺達の姿を見ながらアリティアは俺に、「私のことを信じて欲しい」と真剣な眼差しで言われてしまうと俺は何も言い返せなかったのだ。

そうして俺はアリティアと二人っきりになると彼女の方から「一緒に行こう。貴方の役に立ちたいの」と言ってきてくれた。その言葉に嬉しさを感じるが俺は断ろうとしたのだ。そんな俺にアリティアは俺の手を掴んでくると強引に引っ張る。俺はその行動に驚き戸惑ってしまう。だけど、そんな俺に彼女は微笑みかけて「ほら。一緒に来てくれれば私が絶対に守ってあげるから安心してくれる」と言ってきたので、その言葉が本心で言っているのだと分かると俺は何も言わなかった。ただ、それだけでは俺としては気がすまなかったので、俺はラティに頼んでリデアの所にアリティアを送ってもらうと俺はリデアのところに戻ってからリデアを連れてアリティア達の所まで戻るのだった。それから俺とアリディアが一緒になってラティナの後に続いたのである。そうしてラティナが魔法を発動させる準備をしているのを確認すると、アリティアは「私は大丈夫よ」と言って、ラティナとラティスに「私の後ろに隠れていて」と、言った。

ラティとラティナは言われた通りにしていた。俺も、そうした方が良いと、そう思ったので、ラティとラティが守りやすい様にアリティアとリディアの間に入ることにする。俺はそうやって、俺達が移動するのを確認しているとアリティアが俺に話しかけてきたのだ。そして、俺は、そんな彼女の言葉を聞き流してしまう。

俺は今、リディアが無事に戻ってくる事を願いながら剣を握る手に力が入るのを感じながらもリディアが無事なら良いと願うのである。

俺とリディアとラティアは、三人並んで走りながら王都の中を走っていた。そんな中で、俺達は魔物の気配を感じたのだ。そして、その場所に近寄ると魔族と思われる者達の姿を確認できたので、ラティが警戒して前に出て戦う姿勢をとる。そんな俺達に敵は気がついたようで俺達に襲い掛かろうとしていた。それに対して、ラティとラティは同時に攻撃を行う。

その攻撃を受けた敵の一人が、その場で崩れ落ちると、もう一人も倒れる。それを見た俺は「やった!」と喜ぶ。するとラティが、そんなラティに声をかけてくると俺とラティは敵の増援に備えて構えたのだ。そして、俺とラティの前に、もう一人の人型の者が姿を見せる。それは、今まで見たことのない存在で全身真っ白の服を着ていたのである。俺はそんな相手の姿を見て「何者だ!?」と言うと「人間風情が、我らに命令するか! 許さぬぞ」と言って襲いかかってきたのだった。その言葉に俺達は、それぞれの対応に動く。俺が【神器】を構えようとするとラティが、俺の目の前に来て、そして、いきなり、ラティが攻撃を仕掛けたのである。

その一撃に相手は、その攻撃を防ぐことが出来なかった。だが、ラティが「くっ」と言った。それを聞いた俺は驚くと同時にラティが怪我でもしてしまったのではないかと心配して彼女の名前を呼んだのだ。そうして俺は、ラティが戦っていた相手が誰だか分かったのである。俺は「ラティ!大丈夫か?」とラティに対して心配そうに声をかける。そして、そんな俺の呼びかけに、少し辛そうな声で返事が返ってくる。「えっ? はい、大丈夫ですよ」と彼女は、言うのだが、俺の目には無理をしているように見えたのだ。俺はそんなラティアの姿に違和感を覚えたのである。しかし、今は戦いに集中しないといけないと思い俺は、ラティの方を見るのを止めてラティが倒した相手を見るとそこには見覚えのある人物の姿が見えたのだ。

その人物は先ほど戦った時に、確かに死んではいなかったのだ。しかし、意識を失っていて、その場に倒れたのである。

その事に、俺が驚いているとその人物がゆっくりと立ち上がる。俺がその事に驚いていたのと同時にその男が口を開くと「この女、強いですね」と言い、自分の傷を見ていたのである。そして彼は「ふむ。少し、やり過ぎましたかね。まさか、ここまでの力とは」と言っていたのだ。

その様子に俺は何かをしてくるのかと思っていた。そして、その予感は当たった。男は突然として俺とラティの方を睨んできたのである。

その視線は殺気を帯びており明らかに敵意を持っている目をしていたのだ。そして俺達に向かって、そいつは「やはり、勇者と魔族は危険分子。ここで潰しておきましょう」という言葉に俺は驚くしかなかった。そして、それと同時に俺とラティに向かって魔力が集まっていることを感じることが出来たのだ。だから俺はラティを後ろに庇った。そんな俺を見て「何をするつもりなんですか?」とラティが聞いてくる。

俺はラティに「いいから俺に任せておいてくれ」と答えて男の様子を伺いながらラティを守る。

ラティの問いかけに対して俺は返事を返すとラティは不安そうな顔をしていた。俺はそんなラティの頭に手を置いて安心させてあげようと思ったのだ。だけど俺の手が頭に触れた時だった。男の魔力が膨れ上がり始めると俺は慌ててラティの事を引き寄せたのだ。そして俺は、俺達の周囲に結界を展開する。その直後だった。

俺の展開したはずの結界が、あっさりと破壊されたのだ。その破壊に俺は一瞬にして焦ってしまった。そして俺達の方に攻撃が来ると思って覚悟をしたのだ。そんな状況に俺は死を直感した。だけど何も起きずに俺の体に温かい物が触れてきたのである。俺はその温かさに触れながら「えっ?」という表情になり、ラティの方を見たのだ。

その瞬間である。

俺は、俺の胸に抱かれていたラティの顔にキスをして彼女のことを思い切り抱きしめたのだ。その俺の行動に対してラティが驚いて俺から離れようとしたが俺は絶対に離さない。

それからラティにだけ聞こえるように「好きだ」と俺は告げると、彼女は泣き出してしまう。そして、そんな彼女を強く強く俺は抱きしめたのであった。

それからしばらくしてから俺は冷静に状況を整理する事にした。

俺は、俺達の周囲を囲むように張られている防御壁を見つめるのであった。そんな俺に対して俺は隣にいた女性に声をかける。彼女は俺に笑顔を見せながら「大丈夫だったみたいね」とだけ言ってくれたのだ。そんな彼女に俺が「あぁ。ありがとうな。おかげで何とか間に合ったようだ」と答えると俺はラティを優しく引き離してからラティのことを優しく見守るのであった。そして俺はアリティアの事を「お前も無事で良かったよ」と言うと俺は彼女が無傷なことに安心する。そうしてからラティに話しかけるのだが「ラティ、ラティ、ちょっと良いか」と言うとラティは、俺の声が聞こえていなかったのか俺のことを無視してアリティアの方に駆け寄っていくと、その勢いのまま抱きついたのだ。その事に対してアリティアが戸惑っているとラティが「アリティア、大好きだよ」と言って涙を流した。そんな二人の姿を見ながら俺とリディア、それにリアナの四人は顔を見合わせて笑う。

俺達が笑ってみていると、そこでラティナが俺達の存在に気がついて俺達の方に走ってくると、なぜかリディアの胸に飛び込んだのだ。

リデアもそんなラティナの姿に戸惑いを見せていたので俺は彼女の耳元で、「ラティの事を助けに行ってきてくれたから、ラティナの事はリデアも仲間だと認めたってことだから仲良くしてやってくれな」と言ってみるとリデアも理解してくれたようで「分かりましたわ。お姉様の事も大切に致します」と答えるのだった。

そんな会話をしているとアリティアの事をラティが落ち着くまで俺が預かることにする。それからリデアはラティナの事が心配なのか「私の大切な妹の面倒を見てくださって感謝いたします。それで妹と話せたんですか?」とアリティアに質問をする。

そのアリティアが俺にラティを任せると言った時に俺にラティに何を話したら良いのか相談されたのだ。その時には俺は、まだ時間があるだろうからとラティナと一緒に話す時間をラティに作ることにしたのである。そして今は俺とアリティアとリディアの三人がラティナの近くにいる状態で俺の【神器】の中に入っていたアリシアに話しかけていたのである。そうしてラティとラティナの仲が良い様子を見ながら俺とアリティアは微笑みながら見守る事にしているのだ。そんな二人の姿を見ていたら俺とアリティアの間に沈黙が訪れた。

そんな中で俺は考えていたのだ。ラディアとラティスが、なぜ一緒に行動していたのかを俺は気になっていたのでアリティアと話をしたいと考えていたのである。

そんな時だった。ラティとラティナが二人で俺達の所に戻ってくる。

ラティが戻ってきたことに俺は「おう。もう、落ち着いたのか?」と尋ねるとラティが「はい。大丈夫です。私の為に色々とご迷惑をおかけしました。申し訳ありません。そして助けに来て頂いて有難うございます」と俺に言ってきたのだ。そんなラティの言葉を聞いた俺は「別に大したことじゃないさ。気にすんなって」と言うと彼女は、そんな俺に対して何かを言いたいような素振りをみせたのだが彼女は結局は何も言わなかったのである。

俺はそんな様子のラティを見てからアリティアに視線を向ける。そして、ラティアがラティと一緒だった理由を聞き出そうとするとラティが俺に向かって「あの」と口を開く。しかし、俺は「悪い。後にしてくれ」とラティに言い聞かせたのだ。俺はそんな様子で「どうして、ここにいるのかをまず説明してくれると助かるんだがな」とアリティアに言うと彼女はラティの方を向く。そしてラティの頭を軽く叩くとラティは驚いたのか、その手を払い除けていたのである。

そのラティの態度を見たアリティアは少し怒っていたのだ。その怒りは凄まじく俺に「貴方は一体誰ですか?」と言うのだ。

その声音には警戒の感情が含まれていることがすぐにわかった。その事に俺は内心では驚きながらもアリティアに言うのだ。「俺はお前の兄だ」と俺は自信を持って答える。そして俺は続けて「そんな事より聞きたい事があるんだよ」と俺は言ってアリティアが俺に警戒している原因を考えると「まさか、この子の名前は、お前の妹の名前か?」と聞く。そうするとラティの肩を揺さぶったのだ。そして俺はラティの口から真実を聞くために「教えてくれないか? 」と頼む。そんな俺に対してラティは「はい。その通りです。私の妹はラティーニャといいます」と答えたのである。

それを聞いて俺達は驚くしかなかった。ラティの話によれば彼女は魔族であり人間であるラディアの姉に当たる人物だということがわかったのだ。

俺がラティの事を「そうか」と言ってからラティがアリティアに向かって「すみません。驚かせてしまって」と謝罪をするとラティが「実はですね」と話し始めようとしたのである。だけど俺はラティの口を押さえるとラティに黙るように指示をした。その事に驚いていたラティなのだが、その理由を説明しようとして俺がラティの方を向き直る前に俺は気がつく。

ラティの後ろに、ラティナがラティに向かって短剣を今にも突き刺さんとしている姿が目に入る。

「危ないっ!」と俺が叫んだ直後に俺はラティを抱きかかえてその場を飛び退く。そして俺に抱き上げられたラティに対してラティの短剣を持った手が俺に襲いかかるが、それはラティに抱きついているリディアによって防がれてしまう。

そんな攻防を見ながら俺がラティナに対して言う。

俺に対して攻撃をしてきたという事は俺達に敵対するつもりなのは明白だった。

俺の言葉にラティーナは「ちっ。もう少しで、ラティの息の根を止めることが出来たのに」と言うとラティは「お姉ちゃん! 私はお姉ちゃんと、もっと早くに話し合えば良かったと思っているんだよ」と叫ぶが俺の方に視線を戻すと「邪魔者が来たようね」と言うと「お前はラティスだったよな。なんで魔族の味方をするんだ」と俺が尋ねても答えてくれない。だから俺は「おい。アリティアの友達に魔族がいるって聞いてたけどお前のことなんだろ」と聞いてみると、そこでラティが答える。

「そうですよ。ラティも、アリティアのお姉様であるアリシア様の友達ですよ」

その言葉に対して俺は「どういう意味だ?」と尋ねる。だが、そんな俺にラティが言う。

「ラティはアリティアと血の繋がった家族です」

その言葉を受けて俺はラティを見る。ラティの体を見ると彼女の肌の色は明らかに人間のものではなくなっていた。俺はその事実から目の前にいるラティが、ラティの本当の姿だということが理解出来たのである。そして、そんな彼女を見ながら俺は、なぜ、そんなことになったのかを知りたかったのだ。だからこそ、ラティのことを問いただした。その結果ラティから返って来たのは全く予想外の言葉だった。そして、俺はラティから告げられた内容に驚愕する事になる。彼女は自分が魔人だと告げて来たのだ。しかも彼女は俺に対して自分は魔人でアリティアの叔母であること。そしてラティナの両親を殺して奪ったことを自白したのである。そんな告白を聞いて俺はラティが何故ラティとラティティーの二人に分かれて生活していたのかを理解することができたのであった。そして俺が驚いていた間にラティは自分の胸の中に俺の手を導くと心臓の鼓動を確認しさせたのだ。確かにそこには魔石が存在していて俺の目で見てもラティアやアリティアのように心臓を動かしている。そんな状況に困惑しながらラティナは俺達と対峙する。

俺は、どうしたら良いかを考えていた。

そんな俺にリリアナが近づいてきて俺に声をかける。

「ご主人様、ここは逃げましょう」と提案をしてくれたのだ。

リリアナは、そう言った後にリデアに指示を出すと結界を張らせるとリリアナとラディアを連れてリデアの転移魔法を使って、ここから逃げ出す。そして、そんな行動を俺達よりも一瞬だけ遅く取ったラティナは「待ちなさいよ」と言って追いかけようとする。

俺はラティが、そんなラティに向けて手を伸ばして捕まえようとしたが俺はそのラティの腕を掴む。そして俺はラティを拘束しようとするがラティはその腕を振りほどこうとしたのだ。しかし俺はラティが本気を出していないことに気づいてしまう。

(こいつは、この程度なのか? いや、もしかしたらラティの方には戦う気が最初から無かったんじゃ)と考えてしまう。だけど今の俺にとっては、どちらにしても目の前の相手を倒す事が優先であると判断して俺は【神器】を取り出すとその力を行使する。そしてラティナは抵抗する事が出来ないまま地面に倒れる。そして、そんな彼女をラティは心配そうな顔で見つめている。そんなラティを見て俺はリリスに対してラティを気絶させてくれと頼み俺はアリティアに対してラティの事について話したのである。

「そう言えばラティスはラティナの事を妹だって言っていましたが、あなた達は本当にラティスの兄妹なのですか?」とラティの事を俺がアリティアに確認してみた。その俺の言葉に彼女は戸惑うように返事をしてくれる。

その反応からラティナとラティが実の姉妹ではないことは、なんとなくわかっていたが俺の推測が当たっていた事を確認したのだ。それから俺は、アリティアにラティナとラティの両親の事を聞いてみると俺にラティの両親が死んだときの状況をアリティアは語り始める。俺はラティの父親の名前を聞いて驚いたのだ。

そしてアリティアが話すラティの母親の名前はリリスだったからだ。

(これは、どういうことなんだ?)と俺自身が思っている時にアリザが現れると、そのままリディアと一緒に城に戻ったのだ。そんなリディアとアリザの行動を見た俺はリディアと話をしようと近寄る。

するとラティナとラティの姿が消えてしまったのである。

そんな事態に対して俺はラティに対して「悪い」と言うと「大丈夫です」と彼女は俺に言ってくる。そして俺は「少し時間をくれるか?」と言うとラティは少し考えた後に了承してくれたのである。そうしてから俺はラティから距離を取ってから【転移】でラティ達の前から姿を消すのだった。

俺は城の外に出てから、ある男と落ち合う。そしてラティスを元の世界に送り返す為の方法を聞くことにしたのだ。

その男が言うには、まず俺がラティを送り届けて、その後で俺がもう一度ここに戻って来れば問題ないということだ。

その説明を聞いて、その方法が俺の考えていた方法とほぼ同じだった。だから俺は、すぐにラティの元に行くことにする。しかし、そんな俺をラティは止めようとしてこなかった。だから俺は、すぐにラティが暮らす場所に向かうと、そこで俺とラティが一緒に暮らしていた部屋にラティは居たのである。

そして俺がラティの前に立つと彼女は俺の顔を見た瞬間に泣いてしまった。

「おにいさん、もう会えないのかと思っていたんだよ」

ラティのそんな姿を見ていたらラティナとの約束を思い出していたのだ。

俺はラティに言う。

「俺が絶対に迎えに来るって言ったんだ。だから待っていてくれたんだな」

そう言いながら俺の頬に涙が伝った。そんな俺にラティは抱きついてくる。俺はそんなラティを抱きしめていたのだ。すると、そこにリディア達がやって来ると俺はリディアに言う。

「悪いが、この子は俺が送り届ける事にしたんだ」

そんな俺の言葉に全員が動揺した表情を浮かべる。だが、そんな俺に対してラティが「おにいちゃんはラティを帰してくれないのでしょ」と言ってきたのである。その言葉を聞いたリリスが俺に何かを尋ねようとした時、俺は、そんなリリスを制してからラティナを睨みつける。

俺の視線にビクついたラティナに向かって俺が聞く。

「なぁ。ラティがここに居るって事は、俺の事は信じてくれるんだよな」

そんな俺の質問にラティナが俺に怯えた目をしながらも「うん。信じるよ」と答えてくれた。その言葉に俺は笑顔をみせるとラティナに話しかける。

「じゃあ俺が帰るって言うまで俺を信じていてくれよ」

俺の真剣な雰囲気を感じたのかリディアとラディアとリリスは黙ってくれた。そして、ラティも黙ると俺の言葉を待っていたのである。

「今から言う事を絶対に守れ。そうしないとお前は死ぬ事になる。だけど、お前は死ねない」

その言葉にラティナは驚くが「分かった」と言って俺の話に耳を傾けてくれる。

「これから言うことをよく聞け。まずはお前とラティは他人という事にしろ」

俺はラティナにそう命令する。ラティは戸惑いながらもラティナを庇いながら俺に言う。「それはダメなんだよ。私とこの子は同じ人間なんだから一緒に帰るしかないんだよ」

そんなラティに俺は優しく話しかけた。

「ラティ。お前の親を殺した相手と仲良く暮らせるか?」と尋ねた。その言葉にラティは何も答えなかったのだ。

「だからさ、俺は俺で、この子の面倒を見なきゃいけないだろ」

「そんな、そんなことできるはずが無いんだよ」

そう言い切ったラティは「でも、それでも、ラティナだけは許せない」と言うとラティは涙を流して叫ぶ。

「私の両親が死んでいく中、私達を助けてくれなくて、どうしてラティだけが助けられて、こんな目に合わなくちゃいけなかったんだ」

そんな叫びを聞きながら俺とラティの間にリディアが入ってくるとラティを抱きかかえて言う。

「それなら私が引き取ります」

「ちょっとまってくれ。リディア」

俺はラティナが魔人である事実を告げるべきか迷ったが、その事実を伝えずに俺はリディアに対してラティを頼めないと伝えた。そんな俺に対してリディアナは「なぜですか? ラティナ様はこの国にとって大事な存在です」と抗議してくれたのだ。

「この国は魔人族によって滅ぼされかけている。それにラティには魔人として生きていく覚悟があるのか聞いているんだ。魔人族は、他の種族とは相容れない存在であるはずだ」

俺の言っている意味を理解してくれたのかリディアは、そんなことはないと思うと言いかけてやめると「わかりました。今は、とりあえずラティナ様には城の中で生活をしてもらいましょう。だけど、もしラティティナ様を元の場所に帰すと決めた時には私にも、ちゃんと教えてください」と言ってリディアはラティナを連れて行こうとする。

俺も、そんなリディアの態度を気にしながらラティが、どこかに連れて行かされないように彼女の手を掴んでいた。しかしラティは抵抗しないのだ。そんな彼女を連れて行かされたく無いと、俺がラティナの方に気を取られた一瞬の隙を付いてラティナの手を振り払うと俺の事を突き飛ばしたのであった。そして俺が倒れた所を見届けた彼女は走り去ってしまったのだ。そして俺が起き上がった時にラティナの姿はなかったのだ。

俺は慌てて周りを見ると既にラティナの背中が小さくなっていくのが見える。だから俺は【飛行】を使って飛び上がる。

(まだ間に合う。早く捕まえないと)と思って追いかけようとすると、その行く手には、リディアが立ちはだかったのである。

そしてリディアは俺に対して剣を抜いてきたのだ。俺は【神器】を取り出そうとした時、リディアの口から意外な一言が出てきたのである。

「貴方が魔王だと私は思っています」

そんな事をリディアが言ってきたのである。

その発言の意味が分からなかったが、リディアから放たれている威圧感を感じ取った俺は「俺に何をさせたいんだ?」とリデアに尋ねる。しかし、リデアは首を横に振ると何も答えてくれなかったので俺は仕方なく【隠蔽の衣改 タイプII(フルセット)】を身に纏う。

すると俺の姿をリディアが確認すると俺の方に向かって斬りつけてきた。その動きは素人の動きではなく洗練されていて鋭い一撃だったのだ。俺は何とか攻撃を避けると【神刀】を手に持つとリディアの斬撃を受け止めると反撃しようと思う。

すると彼女は、その一撃だけで、あっさりと後方に吹き飛んでいったのである。そして地面に叩きつけられた彼女は、起き上がろうとしたのだが俺の姿を見てから言う。

「貴女に、お願いがあります」

そんな彼女に俺は警戒しながら「なんで俺に敵対する?」と尋ねていた。

その俺の問いにリディアが、その質問に対して質問をぶつけて来たのだった。

「なぜラティナを助けたのですか?」

そう聞かれたので俺は、あのラティを助ける事のメリットを説明して、それから俺が何故ラティの味方をするのかという事も話したのである。

そんな話を聞いていたリディアは「ラティナは確かに魔王の力を手に入れていました。しかし、それが本当の姿なのかと疑問を持ったのですよ」と言うと彼女は続ける。

「私はラティスに殺されそうになったのをリリスさんに助けられて城の中に居させてもらっていました。だからラティスの行動が変だと思いました」

「どういうことなんだ?」

俺は、その言葉に対して疑問を持つ。するとリディアは答える。

「私が感じたのはラティナの感情の変化でした。私を殺そうとしておきながら、まるで別人になったように大人しくなっっていたんです。ラティが魔王になったのは私を殺す為じゃないと分かりました」

そんな言葉をリディアが言った後に俺は思い出す。

確かラティナはリディアに対して、リリアを俺に殺させる為に仕向けようとしたんだったよな。俺はその事を思い出した。だからリディアは、そんなラティに対して不信感を抱いたのだろうと思った。俺は少し考え込んでから言う。

「それだったら、やっぱりラティナを元の世界に戻そう」

そんな俺の言葉にラティは「おにいさん、そんなことしなくても大丈夫だよ」と言うが俺はラティの意見を聞くことなく「俺に任せておいてくれ」と言うと、そのままラティを連れ去る事にする。そんな俺の行動を見ていたラディアスとアリシアは俺達の後を追いかけてきた。俺は後ろを確認すると「悪いけどリリスは二人を止めておいてくれ」と言う。するとラリスは何かを察していたようで俺に話しかけてくる。

「ラディアさんの事でしょうね。分かりました。リディ姉は私に任せてください。リディアは私の実の姉なんですよ。任せてください」

そう言うとラリスが前に出ると、それを邪魔しないようにラディアが下がった。俺はリリスがリディア達を引き留めたの確認してから、すぐに王城を飛び出したのである。そんな俺達の後をリリアナとロゼとセフィも追ってきていた。俺は三人に対してラティナの護衛と護衛を任せる。

すると俺の前に立ちはだかるのは、なぜかアスタとルシウスだった。二人はラティの側から離れようとしなかったのだ。俺はラティの事が心配だったので二人の事をリリスとリディアに頼む。リリスが二人を説得してくれたおかげで、ようやく二人がラティの側からいなくなった。

俺達はラティナが逃げていった方角を眺めていた。そんな時に俺の頭の中には「あ、忘れてた」という言葉が浮かぶ。

(ラティが魔人だった事は皆に言わない方が良いかも。下手に言えば面倒ごとになりそうだからさ)と心の中で思っていた。しかし、そう考えていたのも束の間。

突然、空に魔法陣が展開される。その様子を確認した俺は【探知探索】を使ってラティを探す。しかし、どこを探しても、ラティを見つけることが出来なかった。俺はラティの事を探したが見つからなかったので諦める事にする。しかし【転移石】は持っていたのでラティナを転移させる事にした。

俺はラティを自分の家に【転移石】を使って飛ばすと、俺達も急いでラティの元に向かったのである。俺は移動している間もずっと焦っていたが、ラティナはどこにいるのか分からなかった。俺は必死にラティナの事を探していた。そして、ようやく、ある場所でラティを発見すると俺は、その場所へと急いだのである。

俺が駆けつけた場所は、森の中でラティは木の下に倒れているのを発見できた。そして俺も、ラティを庇うように倒れこむと、ラティを抱き寄せた。するとラティが目を覚まして、泣き始める。

そんな様子を確認したラティナが生きていたという安心感に包まれて気が抜けた俺が、ゆっくりとラティの方を見てみると彼女は「ありがとうございます。私のせいで大変な目に合わせてしまって申し訳ありません」と言うのだ。そんな彼女の声を聞いて俺の目からは自然と涙が出てしまう。そんな俺を見たラティナが「どうして泣くんですか?」と聞いてきた。

ラティナを助けられた喜びや安堵感や、そして俺が泣いた理由を説明するのが気恥ずかしくて俺が誤魔化すとラティナは自分の胸に顔を埋めて俺が落ち着くまで黙って抱きしめていてくれる。そんなラティナに俺は、つい、いつもの口調で話しかけてしまったのだ。

俺が話し掛けた事に驚いたのか「その口調は何ですか? 貴方らしくもないですね」と言いながら笑い出した。その笑顔を見て俺は改めて「無事で良かった」と言う。

それから少し落ち着いた俺達が、その場から離れると俺は、これからどうするかについてラティナと話し合っていた。しかし彼女は元の世界に帰る事を望んでいたのである。俺は、このままでは危険だと説得しようとしたが彼女は、俺の話を聞き入れる事無く帰ると言い続けた。

そんな時、突然、ラティナの姿が消えたのである。俺はラティナの手を握りながら一緒に【転送石】を使ったのだ。

すると俺もラティナと一緒に元居た場所に戻ることが出来たのであった。

しかし【転移】は行ったことのある所にしか行けないのである。だから俺は、この世界にあるラティの家がある村に向かう事にする。すると、俺の隣には当然のようにラティが一緒に居るのであった。俺は、そんなラティが無事に帰ってきたことにホッとしたのだがラティの姿は変わっていなかった。

その事に気付いた俺は「その服と髪の毛の色は、どうにかならないのかな?」と尋ねてみると彼女は「え?」と不思議そうな顔をした。そんなラティナの姿を見て、俺は自分の【神器】を取り出す。

俺は【神器】を【神刀 改 神威(カムイ)】にしてみる。そして俺とラティの周りの空間が、ゆがみ始め、俺とラティは別の時空に移動した。

すると俺が見たのはラティナが黒髪と黒色の肌で白いローブを着た姿で、その姿は以前出会った時に見慣れた容姿になっていたのだ。俺は、とりあえず【アイテムボックス】から予備の着替えとラディアからもらった服を着せて、そのまま家に連れて帰って来たのだった。

その道中は、ラティナと会話しながら俺はラティスの記憶を思い出していた。そういえば【人造生命体】は、もともとラティが生み出した存在なんだよな。しかし何の為に、あの【魔道具の杖 タイプI(ワンセット)】で人間と合成したんだろうな。ラティの本当の気持ちを俺に伝えてくれれば良いのに、と思うがラティの口から直接聞きたいと、まだ俺は聞く勇気がなかったのだ。そんな俺の葛藤に気付かずラティが言う。

「本当に、すみません。助けに来てくれたんですね」

そんな事を言ってきたラティの頬を俺は両手で挟むと優しく微笑みかけてきた。そして俺が「おかえり、ラティ」と言うと彼女も嬉しそうに笑って俺の顔を見ている。

そんなラティの笑った姿を見て俺は、なんだか懐かしく感じていたのだった。それからラティに今まであった事を説明を始めたのだった。俺の説明が終わる頃にロゼとリリスが戻って来ると俺とラティの様子に何かを察したようだ。

ロゼは、そのままラティを連れて行こうとするが、俺はラティが危険な状態なのではないかと思い止める。

すると、ラティが「もう大丈夫です。心配してくれて有難うございます」と俺に礼を言ってくれる。そんなラティの言葉を聞いたロゼは、すぐに引き下がる。そんなロゼの行動が珍しくて俺は、ラティと話をしているとリリスが言う。

「その人は魔王じゃないんですよね?」

そんな疑問を口にするリリスに、俺も「魔王じゃなくなってきているみたいだな」と答えると、リリスがラティに向かって言う。

「ラティナ、あなたは、いったい、何をしたいの?」

その質問をされたラティは、困った表情をして、ただ首を傾げるだけであった。その様子に、リリスは、ため息をつく。

リリスはラティに「あなたの正体は分かっているんですよ」と言うと「魔王は私だけではないのです」と言うとラティの頭に右手をかざす。

「やっぱり魔族の王だったんですね。それなら仕方がないわよね」

リリスが呟き、左手を上げると、ラティから黒い霧が発生して彼女の姿が変わっていく。しかし途中で止まってしまったので俺は慌ててラティナに声をかけて【回復薬】を渡すと飲んでもらうように頼むと、素直に飲んでくれる。ラティナが俺の指示通りにしてくれた事で安心して、俺も自分の分の【回復薬】を飲む。そんな俺達の前で、再び変化が始まる。

俺がラティナを見守る為に隣にいるが先程よりも時間がかかったもののラティナは元に戻ったのである。

俺の予想していた通り、ラティナの身体は魔人のものだったのだ。俺達はラティを椅子に座らせてから話し合う事になった。まずはラティナを、どうやって元に戻すかという話しになった。

俺達はラティに対して、これからは自分達と一緒に暮らして欲しいと伝えたのである。そうするとラティは「私は、この姿なので外に出るのは難しいと思いますよ」と言ってくる。俺はラティに対して、「その点は心配しないで欲しい」と言うと、リリスに頼んで、これから行く所に行ってラティナに服と髪型を変えてもらうように頼み込んだ。ラティが「分かりました」と言うと俺はラディアの家に移動して着替えるように促したのだ。そして俺は【神眼の神器】でラティを調べる事に成功した。その結果としてラティは魔人で間違いない事が確認出来たのだった。しかし魔人であるのにもかかわらず、【魔核】や【魔石】の反応が無い事からもしかしたら魔族ではなく、他の魔物のような生物ではないかと、考えた。

そして俺達はラティの着替えが完了するのを待って、もう一度話合いを行う事にしたのである。ラティを元に戻した後もラティから色々と話を聞かないといけなかった。

「ラティは自分が、どういう立場なのか知っているのか?」

俺が質問をするがラティは自分の記憶には無いらしい。

「でも私が、この世界に来た時の事は、ぼんやりと覚えています」

俺は「それでいいから聞かせてほしい」とお願いする。するとラティは、俺に言われるままに説明し始めたのである。そしてラティは自分の中にある魔力の事も、俺達に話しはじめた。

それによると彼女は元々魔人であったが今は人間に近い姿をしていて、さらに普通の人間以上の力を持ってしまっているのだというのだ。俺はそんな彼女に鑑定をかけてみた。しかしラティは、すでにレベル100を超えていて数値が見れないようになっていたのである。

俺はそんな彼女の言葉を聞きつつラティナを見ていた。彼女は今着ている服を着替えただけで見た目は全く変わっていないが【人造生命体】を作った時と同様に外見を変える事ができるらしく「ラティナ様は美しいですし可愛いですね」と言うとリリアナに抱きつく。

すると彼女は「え? なんですか?」と戸惑い気味だった。そして俺は、そんな二人を見ながら、ラティに確認する。

「ラティナ、君の目的は俺達と暮らすこと以外にもあるんだろう?」と尋ねると、俺が想像していなかった答えをしてきたのだった。

「はい、私の使命はこの世界の管理を任されています。その為に貴方達が邪魔でしたら、排除しますが」と言い放ったのだ。

そんな俺の言葉を聞いたラティナは微笑を浮かべたまま黙って聞いていた。しかしラティの表情には変化がなく微笑んでいるだけだが、その微笑から感情が読み取れてしまう事に俺は驚きを感じてしまっていたのだ。

その微笑みを見て俺は思う。

やはり彼女は魔王と呼ばれるだけの実力を持っているのではないかと思えた。俺はラティアの方を見てから【アイテムボックス】から刀を取り出す。ラティナが、そんな俺を見て不思議そうな顔をしている。すると、いきなり【神刀 改 神威(カムイ)】をラティに渡してしまったのである。俺は【神剣の指輪】で【真眼の神器】の指輪を取り出して【鑑定の神眼】で【アイテムボックス】内の物を視てからラティナに【アイテムボックス】の中身を全て見せるように言うと彼女は俺に従って見せてくれるのだが、それは全て武器と防具ばかりだったので、その中から【人造生命体の素材】だけを、取り出すように命じた。

俺が指示を出した後、ラティナに「少し、待っていてくれ」と言うと【神刀 改 神威(カムイ)】に意識を集中する。

俺は【神刀 改 神威(カムイ)】と一体化してから【アイテムボックス】に意識を向ける。そうすると【空間収納庫(スペースバンク)】から物を取り出すような感覚で自分の手元に持ってこれることが分かったのだ。俺はラティナの【アイテムボックス】に入っている【魔核】を全部、取り出して【アイテムボックス】にしまうように指示を出す。

それから俺は【空間転移】を自分に使用してアリシアの元に移動する。そうすると俺はアリシアと話をし始める。俺はラティと【アイテムボックス】について話し合いをしている間に、リリスの家の中を調べたのだ。そこで俺はラティナの持っている能力が分かったのである。その事をラティに伝えた上で、彼女にある事を提案する。それはラティナが、今まで集めた魔石を俺が貰っても大丈夫かという確認を行った。ラティに許可をもらったので俺は全ての【魔結晶】と各種【魔宝石(魔晶石)】を頂く。その作業を終えると、リリスの父親が戻ってきたのだ。

そのタイミングでラディアが俺達の元にやって来る。そんなリディアに「ラディアは大丈夫か?」と話し掛けると「大丈夫よ。それより、あの子はどうしたの?」と尋ねられたのでラティに聞いた事をリディアにも説明する。その話を聞いていたリディアが「その話は本当なの?」と言うと俺は「ラティは魔王ではない」と言うと「魔王じゃないって何の事なの?」とリディアが聞いてきた。俺は、リディアの質問に、俺の考えを含めて説明した。

俺の説明を聞いたラティナとリディは驚いていたようであった。そんな二人に向かって俺はラティナに聞く。

「魔王じゃない君は、これから俺達と一緒に来る気があるのか? 無いならそれでも構わないが、その場合はラティナに【魔王の祝福 魔石召喚】の呪いを解く魔法をかけるけどいいかな?」と尋ねるとラティナが「私はラティさんを救いたいです。一緒に行きます。私に出来る事でしたら、お役にたちます」と頭を下げて言う。

それを見たリリスが言う。

「それじゃあラティナ、あなたも私達の家に住むということで良いんですね?」

「はい。私は皆さんと一緒が良いです」

こうして俺と仲間達は、新しく家族になる女性を迎えたのだった。

リリスの父親はラティが、人間では無いと分かっても特に驚くことは無かった。むしろ魔族と仲良くなれる可能性があるかもしれないと、喜んでラティナを迎え入れてくれた。リリスはリリスの父親から、リリスが魔王だった頃の話を聞かされて、リリスと魔王の因縁についても知ったのだった。そして俺は、【真眼の神器】でラティを見る。

彼女のレベルは50を超えているようでステータスを確認することが出来ない。

だが、【魔石融合】で得た知識では【魔族 レベル500】となっている事からも、おそらくレベル600は超えていると思われるのだ。しかし俺の【全知の神器】が使えない事を考えると何かしらの条件があると考えられる。俺はリザに「魔族って強いのか?」と確認してみた。するとリザは「はい。魔王なら、かなりの戦力だと思います」と答えるので俺はリザードマンの強さを基準で考えるのは間違っていると思ったのだ。

そしてラティが元魔王だという事は、ラティと魔王の関係性がハッキリとした時点でラティナを救って正解だったという事になる。もしも元魔王という事で警戒されていた場合、ラティと敵対していた可能性もあるからだ。

俺はラティアを見ると彼女もリリスと一緒に楽しそうに雑談をしていたのである。そんな三人を見ながらこれから先どうするべきなのか考え始めるのだった。そして俺はラティナに提案をすることにする。ラティナがこれから生活していくうえで、必要なスキルや技能などを教えてもらうためにだ。俺はラティに【人化】する事ができるようになった理由と方法を聞くことにしたのである。

ラティナによると【人魔】になった理由は分からないが【進化薬】を使用したことでラティは【人魔】になったようだ。ラティ曰く【神魔】とまではいかなくても強力な力を持っているそうだ。ラティに俺の持つ力を見せてもらって、俺が持つ特別な力について、色々と話をしてみたのだった。そして俺は【真眼の神器】を使って【魔族 レベル400】で【魔眼 魔石生成】のユニークスキルを持つ【魔核石】を鑑定してみる。その結果として、やはり予想通りだったのだ。

俺の能力を使えば、レベルを上げることが出来ると確認できたのだった。

しかし俺は思う、【勇者】のジョブが俺にはないので無理だと。そんな事を考えながら俺は、俺に付いて来てくれると言った三人の女性達を見ながら、今後について話をしようと考えていたのである。俺達の中で、俺が今、一番知りたいことは【人造生命体】についてである。しかしリシアに確認しても彼女は知らないと答えたのだ。俺はラティアに対して、「このラティに【アイテムボックス】の中にあるもの全てを出して見て欲しい。それと君の知っている【人造生命体】についての情報を話して欲しいんだが頼めるか?」とお願いするとラティは了承してくれたので、俺はリザにラティの護衛を任せて他の者達と外に出る事にする。

それから俺とクロア、リリアナ、ロゼの三人は、それぞれ別の方向に移動を始めた。

俺達が向かった先は街の外の森の手前であり、そこにはアリシアが一人で待っていたのだ。俺とリリアナ達が合流した後にアリシアは、俺達に説明し始めたのだった。彼女はラティナの母親を助ける為に協力してもらえるように頼む為にアリシアを探したのだと言う。その話を俺が詳しく聞くとラティに頼まれた事がきっかけになっていると分かったので納得する。彼女は自分の母親を助けたいと必死になっていたのだ。

ラティは自分の母を、助けたいという気持ちが誰よりも強かった。

だからラティが【人魔】になった原因を解明して【人魔】にしてしまった犯人を見つけ出さなければならないと考えていたのだ。そんな彼女に俺は自分の持っている力を試すための提案をしようと思っていたのである。それは俺の固有スキルの【真眼の神器】でラティの鑑定をしてみれば何かわかるのではないかというものだった。

そんなわけで俺は早速ラティに俺の【真眼の神器】を見せる事にしたのだった。

ラティに【真眼の神器】を渡してから俺は言う。

「ラティ、これをよく見てから、【人魔】の能力を【神眼】の【アイテムボックス】から出して見せてくれないか?」と指示を出すとラティナは、その指示に従ってくれた。すると彼女の【人魔】として持っていたユニークスキルを俺は、すべて確認したのだ。

俺はラティに「これで分かった。ありがとう。それじゃあ俺は用事があるから失礼する」と言うとアリシアを残してその場を後にしたのだった。

それから少ししてからアリシアは【神剣 改 神威(カムイ)】を手に取り【剣技】を使用すると【神速 一閃】を放つ。

その一撃は森の一部を吹き飛ばしてしまうほど強力だったのだ。

その攻撃によって周囲の木々が切り倒され、地面も大きく裂けている状態になってしまう。

それを見ていた俺は慌ててアリシアの元に駆けつけたのである。

そんな俺をアリシアはジト目で睨んでいた。

俺が何故こんな事になってしまったのか尋ねると、ラティと別れて行動していた間に街に戻ってきたリリアナは、ラティナがラティに抱きつかれている姿を見て怒り狂ってしまったのだ。

それでアリシアは、【真撃】を使い本気でラティに攻撃をしようとしたので、俺が間に入って止めたのであった。

リディア達は俺の仲間になってくれると返事をした。俺はリディア達と握手をしてから【人魔】に進化していた【ラティ】を紹介した。ラティが人間では無いことを伝えると、リディアもルディアも驚いていた。そしてリディアは、自分がラティに命を救われたという事を伝えてくれたので俺は改めてお礼を言う。そんなリディアに俺は、これからもリディアの力を貸してほしいと言うと快く承諾してくれてホッとした。

それから俺はラティにリディアとラディアのステータスを確認してもらうように頼み【魔道具 神槍(シンソウ)

破邪(ハジャ)

改(カイ)】を使用して【魔石融合】を発動した。【人魔】であるラティが魔石を取り込むことによって、ラティは更に強化されることになるのである。【ラティ 魔族 レベル300】

ラティの魔石融合が終わり、彼女のレベルが上がったことを確認した。そしてリディアが、ラティスに俺達の家に住んで欲しい事を話すと、彼女は喜んで「私のような存在が一緒に居てもよろしいでしょうか?」と尋ねてきたので「大丈夫だ」と答えると安心しているようだった。

そして俺はラティを連れて自宅に戻った。ラティが仲間になる事を皆に紹介するためである。リザが「私はリデアさん達をご案内致します」と言ってリリスとクロトは俺の後を追って来た。そして家のリビングに入るとリザが、リザの母親が、リザと一緒にいる所だった。そこで俺はリディとリデルを呼んできて紹介した。二人は、それぞれ自己紹介をしている最中である。そんな二人に向かって俺は言う。

「今日からラティアの家族になったリティだ。そしてこっちがラティだ。二人共仲良くしてくれるか? そして俺の娘のラフィもラティも家族なんだ。みんなで仲良くして家族で仲良く過ごして欲しい」

そう言ったのだがリディアとラディアの反応がない。俺は、そんな二人を見て首を傾げて様子を確認するとラティアの方を見て硬直したままである。

そんな二人の様子が気になり俺もラティのステータス画面を見ると彼女のレベルと種族が変わっている。

ラティのレベルは300を超えて【魔王種 魔族 レベル350】に変化していたのだった。しかし俺はレベルを上げる事が出来る【人造生命体】というユニークスキルを持っていた為に疑問には思わなかった。それにラティが【人魔】に進化してもレベルを上げる事が出来ると分かって俺は嬉しかったのである。俺が喜んでいるのが顔に出ていたのかリザが不思議そうな顔をしている。そんなリザに「リザの時みたいに俺のスキルでレベルが上がる事を知ったんだ」と答えるとリザも納得したようで、リザの時は俺に抱かれながら、その事を知って喜んでいたが今回は俺が喜んでいた事で、なんとなく恥ずかしいような感じになっているようだ。そんな俺の背中に隠れるようにして照れくさそうにモジモジしているリザを見つめながら、そんな仕草をするのが可愛くて仕方ないと思ったのである。俺はリザに「可愛いな。リザがそうして照れてるところを見ると、抱きしめたくてしょうがなくなるんだよ。でも俺は紳士だからしないけどね。まぁそんなところも含めて好きなんだけどね」と言ったらリリアナの奴が俺を蹴り飛ばした。

「お前がそういうセリフを言ってるからリリアナ様が、調子に乗るんじゃ無いか!!」

と文句を言ってきたのだった。俺は「リリアナに蹴られたおかげでラティに会えたんじゃないか。ラティナとラティが出会う前に、ラティに何かあったかもしれないじゃないか。それなのに俺が悪いって言われても困るぞ!」と言うと今度はクロトまでが、俺の腹を殴ってくる。しかもかなり強烈な威力のパンチだった。俺は「クロトは相変わらず、容赦が無いよな。俺じゃなかったらとっくに倒れてると思うが」と言うとロゼに頭を叩かれた。どうやら、ロゼには俺がリティアに対して言った事が理解できたらしい。

リディアの事はラティアに任せる事にして、俺とリリアナは外に出る事にした。

外に出てからリリアナにラティが【人魔】になった経緯を説明すると彼女は驚いてから、俺に謝罪する。俺はリリアナにラティの事情を説明してから彼女に「気にする必要はない。ラティナを助け出した時には、あの子の母親のラティは俺の仲間になっていただろうから問題は無かった。ただ今回のラティナの件を解決して、その後ラティナの母親のラティナの事も何とかしてあげたいな」と伝えるとリリアナも同意してくれた。

俺はラティのユニークスキル【人造生命体】のスキルで、【ラティナ】と【ラティ】が融合した時に発生する【合成体 半身ラティナ】と、彼女の母親で元冒険者の女性【アスタ 魔族の血脈者 レベル2200】の状態を確認していた。アスタという名前に聞き覚えがあったからである。しかし彼女はもうこの世にはいないはずだと思っていた。なぜなら彼女は魔素を吸収しすぎた為に暴走してしまい討伐されていたからだ。その為、彼女が死んだという事実は、すぐに広まっていたのだ。そんな彼女がなぜ、ラティの中に存在していたかという事が不思議だったのである。だから俺は彼女に会うために森に向かうことにしたのであった。そんな俺をリリアナは追いかけて来た。リリアナは何かを感じたようであり、自分も同行すると俺に伝えたのである。俺はラティナの居場所を突き止めて彼女に会うつもりだった。だがリリアナは何かがおかしいと感じたようである。その事を彼女に告げると彼女の表情が引き締まったのが分かったのだ。そして俺は【魔道具 魔石融合】を使用して【真眼の神器】を使用してから、ラティナを探すように指示を出す。すると【真眼の神器】から映像が出てきた。

そこに映っていたラティの姿は以前とは変わっていた。それはまるで、魔族の【吸血鬼】に近い見た目で、翼と牙も生やした状態になっていたのである。それは間違いなくアスタという女性に間違いないと俺は確信していた。俺が見たラティは人間としての姿だったはずなのだが、今のラティは魔族そのものと言える姿だったのだ。その事にリリアナに尋ねるとリディア達が戦った後に変化したのだという。

俺はリディア達に聞いた話を思い出した。

俺がリディア達と会った時にはリディアは【魔王種 吸血 ヴァンパイア レベル630】だったが今はレベルが上がっているため600近くなっている。ルディアも同じ様に500を超えているし、クロトとリディアの娘であるアリシアも、その母で同じく500近いレベルを持っていると言っていた。リリアナに至ってはその母達を上回るほどの【魔人】で700オーバーだ。

そんな俺の仲間は、レベル400を超えていてもラティより遥かに強いはずだったのである。そんな俺達ですらラティの強さは計り知れない物があると感じてしまうほどだった。そんなラティを簡単に倒すことができる存在が、ラティの母親の【人族】のはずの【アスタ】だと知って驚きを隠せないのだった。俺達はリディアの話を聞きながらラティを探していると、森の中でラティを発見することが出来たのである。俺が声を掛けると、振り返った彼女の目は赤くなり完全に理性を失くしていた。そして俺達の方を向きながら襲い掛かって来たのである。

「リディアはルティアの所に戻っていろ! リディアではラティの相手は難しい。リリアナはリデアとリデルの所に急いで戻るんだ!! 俺とクロトは、リディアの護衛だ」

俺は仲間に伝えると、俺は魔剣 破邪(ハジャ)を構える。魔盾(マジュウ)の方は、リディアが【魔王種 闇黒竜 魔族 レベル2500】になったときに進化した武器である【魔弓 神撃(シンゲキ)】が進化した【神装 神撃 神速】に変化していた。俺はリディアに護衛を任せるとクロトと二人でラティに攻撃をすることにした。

俺は【神撃 神速】を使用すると、一気にラティと距離を詰めて神拳を放つ。そして俺はクロトの方を見て「今のうちに援護を頼む」と指示を出しラティの攻撃を防ぐ。クロトは俺の言葉を聞いて魔槍でラティを攻撃すると、ラティの動きが少しだけ止まる。クロトはラティが止まっているのを確認すると俺の方に視線を送ってきたので俺はクロトに合図を送った。クロトはクロトでリディアとクロトラの二人を、守りながら攻撃を加えようとしていたのだ。

リディアとリディアの妹の二人は、【人魔】に進化したリディアの母親のリデアが結界を張っていたので、二人とも怪我ひとつなく無事な状態だったのである。俺とクロトの二人がかりでラティに攻撃を仕掛けたが、ラティにダメージは殆ど通らない。それでも俺はリリアナとクロトの援護もあって、なんとか互角の戦いが出来るようにまで持ち込むことに成功した。ラティは俺と打ち合いながら隙を見て魔法を使ってくる。

ラティが放ったのは俺が苦手な氷結系の攻撃だった。

しかしラティは魔剣を所持しており、それで斬られた俺の右腕は凍ってしまった。だが俺は左腕で【魔王殺しの聖短刀】を取り出すと、俺がラティと切り結んでいると横から、魔銃を構えたクロトが現れたのだ。クロトはリディアが装備している銃に、魔力を纏わせて発射する【魔法弾丸】の要領で使用するとラティに向かって発砲したのである。ラティもそれに気が付きラティの持っている剣を振り回しながら避けようとしたがラティの腕と足を掠めていた。どうやらラティに着弾した弾丸からは毒液のような物が吹き出してきてラティに浴びせかける事に成功した。それによりラティの手足に激痛を与えていたのである。俺はそんな様子を見て、クロトの狙いが上手く決まったと思ったのだが次の瞬間ラティから強烈な殺気を感じた。

そして俺の背後に気配を感じると俺を切り裂こうとする刃の煌めきが感じ取れたのだった。俺の後ろにはラティナがおりラティが振るった大鎌を、間一髪のところで受け止めるのに成功する。俺はそのままラティナを弾き飛ばす。ラティナの表情を見ると明らかに正気を失っているのが分かる。ラティナをこのままの状態で、放置するわけにはいかないと俺は感じていた。

ラティとラティナが融合したラティナを俺達はどうにかして助け出す方法を考えて実行に移したのだった。まずは【魔眼の神器】の力を使いラティとラティナに融合している、ラティの状態を調べる事にする。しかし俺が【真眼の神器】を発動させたと同時にラティが俺に突っ込んできて攻撃を仕掛けてきた。ラティは【吸血鬼】のように牙と翼が生えていて、どう見ても普通の人間ではなかった。しかもその速さと力は尋常ではなく俺は【真眼の神器】が破壊される寸前まで追い詰められる。俺も魔剣を出現させて、何とかラティの攻撃を防いでいた。俺は自分の身体が【聖魔】になったことによって身体能力が強化されている事を改めて認識した。俺でなければ【真眼の神器】の能力が発揮する前にやられていたのは明白である。俺は自分が【魔導士 魔道 レベル2300 神魔使い】になっていることに感謝しつつ【魔王種 悪魔】へと進化して【魔剣】に魔力を込めた。すると俺の手元にある【魔王殺しの聖短刀】が、形を変えて黒い禍々しい魔弓へと変化したのである。

俺はそれを構えてから矢を放った。その一撃はラティに向かって飛ぶと、彼女の心臓部分に突き刺さっていたのだ。ラティは俺の攻撃を受けた事で動きを止めていた。そのタイミングで俺は【真眼の神器】を再び発動する。【魔道具 魔石融合】を使用してから【真眼】を使用したが【人魔 融合体】となっていたラティと、ラティの中にいたラティの半身であるラティーの二人の状態を確認できた。

そして俺はある事に気が付いてしまう。【魔王種 吸血 ヴァンパイア レベル730】のラティと融合したラティの状態も調べる事が出来たのだが、そこには驚くべき情報があったのである。なんと融合していたはずのラティナとラティナの半身であるラティスの状態を表示されなかった。

つまりこのラティは、ラティナを【吸血】することによってラティナを強制的に融合状態にさせているのではないかと予想していた。そう考えるのであれば先ほどから俺が攻撃を受けていた理由もわかる。おそらく融合しているので俺を攻撃しているつもりでも、実際は俺の体内から漏れ出した魔素を吸収しているだけではないだろうか?俺にはリリアナがいるのでその辺りは感覚的に分かっていた。俺はクロト達にラティの事を任せるとラティが逃げられないように結界で拘束した。クロトは俺が結界を張れるのを知って驚いていたが俺は「まぁこんなもんだ」と言うと、クロトは少し悔しそうな顔をしていた。クロトにしてみれば自分より遥かにレベルの高い相手なので、足止めしか出来なかった事を申し訳なく思っていたのだろう。

そんな俺とクロトだったが、そこにアスタとラティナが現れラティとラティナの姿に戻ってしまっていた。アスタの【人族】である時の容姿と変わらないので俺は少し戸惑ってしまう。見た目は、ほぼ人間と変わらないように見えるがラティとラティが混ざり合った存在のようだ。

アスターと名乗った彼女はラティの母親だと自らを名乗った。ラティアの父親でもあると俺は聞いて驚きながらも「あなたの名前は何ですか?」と聞くが答えてもらえなかった。どうやら答える気がないらしく黙秘を決め込んでいる様子である。しかしラティアの父親が、アスタという女性だという事実を知りリディアは驚いていた。ラティアはそんな母親であるアスターを睨みつけるように見つめるとアスタも同じようにラティアをじっと見つめる。二人の間には見えない何かが流れているのを感じ取れるほどだった。そんな時にラティナが、ラティの前に立つと言い放つ。「お母さん!! 私です。ラティナですよ」と。するとアスタの目の色が変わるとラティナに歩み寄って行った。ラティナの肩に手を置いて優しく微笑むと「大きくなったわね」とだけ言う。俺達はそんな二人を見守っていたが俺はラティに「お前は一体、どういうつもりなんだ?」と聞いていた。俺の声はラティとラティナにしか聞こえないくらいの小声で話しかけたので、リデア達が反応することはない。

「私はただ、あのままではラティナに危険が及ぶと判断して保護しようとしただけです」

俺はアスターが何を言っているのか意味が分からなかったが、ラティナは理解しているようで顔色が悪くなっていた。

俺はラティとラティとラティが融合した存在であるラティナが話し始めた。そしてラティは「私は元々【吸血鬼 始祖】の【人魔 吸血鬼 真祖】のラティでしたが、ラティと融合した【魔人形】にされたのです」と。その言葉を聞いてラティは驚愕する事になる。ラティが融合したラティには心がなかった。それが今の言葉を聞いたときに感じ取れたのだ。俺はラティが何故、自分の娘だと言ったラティに対して攻撃をしていたのか疑問を感じていた。そこで俺はラティナを落ち着かせるために声をかけることにした。ラティはリディアとラティアと、俺達の様子を伺いながら自分の正体について話し始めていたのだ。

俺はラティに、どうしてそんなことになったか尋ねるとラティは語り始めた。それは少し前のことになる。ラティと融合した存在であり元勇者のラティは【真眼 魔導魔王 レベル3800 魔帝 レベル1 聖魔使い レベル820 人神 レベル10】の力を所持することになった。【真眼】の力で、自分が本来ならばラティであると認識するようになっていたのだった。ラティと融合したことで魔導を極める事が可能になりラティのスキル【魔術 魔法陣】【魔法式 魔法術】をラティが習得する事ができた。そして魔王の力を、覚醒させることにより【人魔 融合体】に変化することが可能になった。さらに【人魔】の【真眼の神器】の力を使い魔王種を【魔石融合】することにより【魔王種 吸血 ヴァンパイア レベル730】へと進化した。そして魔王の力を解放して融合することで【魔王種 人魔 融合体】へと変化したのだった。それからしばらくした後に、ラティは【吸血鬼真王】へと進化したのであった。その時ラティにはラティの意思が残っていたので自分の意思に反して融合させられている状態だと思ったのである。しかしラティの意識が戻った時には既に手遅れの状態でラティの身体は完全に【魔道具 融合】されており【真眼】の神器の能力を使って分離させる事が出来ない状態で融合されていたのだと言うのだ。ラティの話を聞き終えた俺はラティと融合していたのは【真眼の神器】によるものだと知る。だが【人魔 融合】をしたのは誰なのかが問題になっていた。俺はアスターを睨みつけて聞いた。「あなたはラティナに【人魔 融合】をしましたね。なぜこんな事をしたんですか?」と。

ラティは驚いたように「母さんはラティナの事を愛していたんですよ」と言うが俺はアスターを信じることが出来なかった。俺にはアスターの気持ちは理解できないのでラティには同情するが、どうしても許せない気持ちになってしまう。そんなラティを見ているアスタは俺に向かって言い放つ。

「私がラティナの事を思ってしたことなのよ。それに融合すればラティも強くなってくれるから。あの時、魔王の力を完全に使えたらよかったんだけど、今のラティナの力は中途半端だから。このままじゃいつか必ず命を落とすからね。だから【人魔 融合】したの。そうしなければラティナは殺されてしまうから」と。俺もアスターの意見には同意できるがラティを思うあまり暴走してしまっているのではないかとも思えた。確かに融合すると魔素を取り込み自分の力に変換できるために強くなることができる。それに加えて【魔道具 融合】の効果によって【人魔】としての存在にも変化する事ができる。俺も魔王種の魔道具を取り込んだ時に得た知識ではあった。

俺はその話を詳しく聞こうと思っていたのだがアスターは、これ以上ラティアに何かすると俺が許さないと言ってラティを連れて帰ってしまった。そのあとにリディアがラティの事を尋ねてきたがリリスに止められてしまい結局聞けずに終わってしまったのである。ラティが連れ帰ったのもラティナを守る目的もあったようなので今は放っておくことにした。

俺はアスタという女性の正体を知っているだけに、これからの行動を考える必要ができていた。まずはアスターが本当にラティの母親だという事を確認したかったのである。アスタを問い詰めると「私はラティの事は、ずっと見ていたの」と言う。やはりアスタは自分の娘を守るためにラティナに【融合】させたのだと分かった。俺はその話を聞くことが出来たので満足はしていたが、ラティが連れて行かれてしまったことは少し寂しいと思ってしまっていたのである。アスタは「また遊びに来るから待っていて」と言い残すとラティナと共に転移していった。リリアナだけは最後までラティに会えないことを残念がっていたが。俺はリディアに事情を説明するとアスターの素性を探ってくれることになった。アスターの事を知っている人物がいれば話は簡単だと言っていた。リディアは俺が思っていた以上に、ラティナのために真剣になってくれたことに嬉しく思っていた。俺はそんなリディアを見て改めて彼女への想いが強くなった。そして俺達は一度屋敷に戻るとリリアナとリリスが、リディアと一緒に行動することになるので俺はラティーナの事を任せることにした。俺とリリアナはラティを連れ去ったアスタの事を調べていた。俺はラティの母親だと名乗る女性の名前を知る必要があった。なので俺はクロトにアスタについて聞くと、彼は答えてくれたのでアスタはラティとリティーの母親の【アスタロッテ】というらしい事がわかったのである。俺はアスタロッテの情報を得るためにクロトは、アスターに手紙を書いて送る事にしたのである。そしてクロトはアスターから返事が来るのを待つ事になりその間、俺はアスターの情報を整理するために情報を集める事にした。その結果、アスターは昔に【人族】だった頃の記憶を持っていたが【人魔 融合体】にされた際にラティがアスターの精神まで吸収してしまったためアスターの自我はなくなり【魔道具 融合】されているのだと推測できた。アスターとラティナの母親であるアスターは同一人物であると予想できていたが俺はラティの事も心配だったため、そのアスタに会うことにしたのである。

アスターが居るのは、どうやらリリアナの屋敷がある街らしく、リリアナと一緒に行動することになっていた。

そして、ラティア達が住んでいた屋敷跡に到着したが俺は驚いたのだった。そこは完全に瓦礫になっており、何もなくなっていたからである。俺達は瓦礫の中に入り奥に進むと、そこにリティアとラティがいた。

俺達はリティとラティに近づいた。リティとラティの姿を見て安心している。

「ごめんなさい。ラティナを守れなくて」

「私こそ、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」

二人が話をしているとラティは涙目になりながら謝っていた。そして俺は二人を抱きしめると二人とも落ち着いていったようだ。俺はそんな二人を慰める。

「気にしないでください。こうしてラティナと再会出来て私は幸せです。ラティナ、私を守ってくれてありがとう。でも無茶はダメです。ラティナに何かあった時は、私だけではなく皆が悲しんでしまうのですよ」

「う、うん。もう二度とラティナから離れないから。私の大切な家族を傷つけようとする人を許さない」

「ふむ。二人の間に何があったのか分からないが、私はこの世界が滅びる前に君達の力になりたいと思っているんだが協力してくれるかな?」

俺はアスターに対して協力したいと考えていたので彼女に言うと彼女は笑顔を浮かべたのであった。

アスターが俺に対して手を差し伸べてきたので俺は、そっと彼女の手を掴んで握手をする。そして、俺はラティと融合した存在である【魔人形】について質問すると、俺が融合した魔王と同じ存在であると答えてくれ、その力はラティの力よりも数倍強いのだとか。俺が融合した相手は、なんとあの勇者であるらしい。俺は魔王であるアスターが融合している時点で嫌な予感がしたのだ。アスターは、【魔人形 人神】のアスターという名前であり【魔眼 鑑定】を使えるのだと説明してくれたのだった。俺もその力を使えば、ある程度なら分かるのかもしれないと思い【魔眼 魔眼眼】を使ってみようと思った。すると【魔眼 人神】の能力を得る事に成功したのだ。俺がその力を試すために【魔眼 魔眼眼】を使ってみると【アスター レベル1 魔眼使い レベル1 魔王 レベル760 聖魔 レベル10】と表示されるのだった。その言葉を聞いた俺は【人魔】であると気付き、そして魔王の力を持っていることからラティナの力を吸収して魔王の力を手に入れたのだという結論に至ったのである。それから俺はラティから聞いた話を思い出してみた。それは、アスタが【人魔 融合体】となった時のこと。

ラティと融合する際に、魔素が身体に入り込むのだがその魔素を取り込んで自分の魔力に変えることが可能だという事だった。だが、アスターはラティを融合させるために自分の魂もラティに溶け込み混ざり合っていたのだと言うのだ。だからアスターの心は完全にラティのものになっていたが、ラティの意思は残っていたのだそうだ。俺はそんなアスターを見ていると本当に可哀想に思えてきて仕方がなかった。俺がラティに同情をしていると、ラティが俺の顔を見て不思議そうな表情をしていたので、何でもないと言うとアスターの方を向いた。アスターは微笑みながらも俺に向かって手招きしてくるので俺は近づいていった。そして俺が近付くとアスターは抱きついてきた。いきなりだったので俺も驚いたがすぐに離そうとしなかったのは彼女が涙を流していたからだ。アスターに「辛い思いをさせて、ごめんね」と言われてしまい俺はアスターに抱きついて泣かないようにして耐えていたのである。アスターに泣き顔を見られたくなかったからな。そんなアスターが落ち着いたところでラティから俺達がこれからやる事について聞いてきた。まずはアスターがラティの事を思ってラティを【人魔融合体 人魔王】として、この国を救おうとしているということと、【魔道具 融合】と【人魔 融合】については、アスターは知っていたらしく、俺に融合するようにお願いしてきたので俺も融合することにした。

「では行くよ」アスターはそういうと俺にキスをしてこようとしたのだがリリアナによって邪魔されてしまったのである。

その後、俺達を包んでいた光が消えると、そこには俺だけが立っていた。そして目の前にはリディアがいて、俺はアスターが消えたことに気づく。そして俺は【人魔王】として覚醒したのである。

アスターと俺が、それぞれ融合していたので俺には二つのスキルが備わっていたのだ。アスターの持っていた、スキルと魔法が一つになったようなスキル【魔王の威圧】が使えるようになっていた。【魔王の覇気】というスキルもあったので【融合 統合 吸収 同化】の効果が分かったのである。

俺はアスターの使っていた【鑑定】を使う事が可能になっていたのでアスターを表示させると俺は驚いた。

【人魔融合体 人神】のアスター 職業【魔導王 魔眼の王】のレベル9999 性別 女 種族【人族】(魔王 【魔道具 魔剣 聖剣 魔槍 弓 銃火器 等】

称号【破壊の使徒 混沌の導き手 邪悪の化身 勇者を喰らいし者 神々の敵人神の友 魔物の神を身に宿し者 魔王と女神 世界の創造者にして支配者】

という感じでステータスが表示されたのである。しかも全ての項目がカンスト状態で。

【アスター】の称号を見てみると、俺の思っていた通りの事が書いてあったので納得するのであった。

【アスタロッテ】は昔、この世界を滅ぼそうとしていたが俺と仲間達に阻止されて封印される。そして俺に倒され消滅する直前に、ラティナに【魔王の威圧】を使い、自分の力であるスキルの【人魔融合体】を与えたらしい。俺に【人魔王】になれと言わんばかりの、このスキルの効果なのだが、このアスタとラティは親子なのか、やはり似ている部分があり俺は苦笑いをするしかなかった。

「そう言えばラティナ。貴女の本当のお母さんとお父さんって誰なの? アスタ様は私にラティナを任せていたけど、私が融合すれば分かる事だよね」

「リティーちゃんは知らないんだ。アスターは私とリティーちゃんのお父様なの。私はリティーちゃんの妹だよ」

ラティが笑顔で言うとリティは驚いていたがラティが笑顔を浮かべていたので安心したようだった。そして、リティが俺に視線を向けてきたので俺がアスターの事について教えようとしたが先にリリスが説明を始めてしまったので黙っていることにした。

リリスの話だと、リティスは魔王に連れ去られたと知った時に絶望して自殺しようとしたがラティと融合して自我を取り戻したラティナは止めに入ったのだという。その時、アスタは自分を犠牲にしても、この子を助けたいと思って【人魔王】となり融合する事でラティナを助けたのだとリティアはリリスに伝えてくれた。

それを聞いた俺は、やっぱりラティとアスターは姉妹だと実感してしまう。俺は二人の頭を優しく撫でると二人とも笑顔になってくれて良かったと思う。俺は改めて【魔王 魔王神】と融合した事を確認したのである。そして次に俺達は、この国の状況をラスティから聞くことにするのだった。すると、その前に俺に確認を取ってくるのだった。その言葉を聞いて驚いたのだがリディアが一緒にいる時点で覚悟を決めておいた方がいいと思い了承した。だが俺としては、その方法しか無いと思っていたからである。俺はラスティの言葉を聞く。その内容は予想外で俺も驚くのだった。なんと、あの勇者も生きている可能性があるのだというのだ。

ラティによると【魔人形 人魔王】となって復活した際に【魔王】の力で魔王城の中にあった武器は全て回収していたらしくそれを宝物庫に仕舞ったらしい。だから、そこに行けば勇者が持っていると思われる剣があるだろうと教えてくれたのだった。それに、勇者の力が無くなったからか【人魔王】となった事で力が増して【魔眼 魔眼眼】という力を手に入れたらしく【魔王の覇気】も使えたという。俺からしたら勇者といえど、その程度の力しかないので脅威にもならなかったのだがな。それとラティは勇者が、どうして【魔人形 人形魔王】にならず【魔人魔王 魔人形】だったのかも気になっていたようで俺も同じ気持ちだったのである。

俺は、勇者と戦わずにすんでラッキーだと思う事にしたが。勇者が、もし生きてるとなると他の者達の居場所が問題になるなと考えていたのだ。俺が考え込んでいる間にラスティとリリスが何か相談していたらしい。そして、しばらくすると、リリスはアスターの所に近づき【魔道具 魔道箱】と【人魔 融合】について話を聞いていた。すると、ラティが【人魔 融合】をした状態で魔道具を発動出来るという事が分かったのである。だからアスターは、魔素を取り込んだラティの身体の一部を利用して作った【魔王の覇気】が使える【魔人形 魔道具 魔導人機 】のラティスを造り出したらしい。そしてリティスも【人魔 融合】をしてもらい【人魔王】になってもらえば【人魔融合体 魔人魔王】になれるのだと。ラティが俺達の方に来るまでの間にアスターがラティスと一緒に色々と説明してくれたようだった。

俺達の前で話が終わった頃を見計らっていたかのようにラティがアスターの元に戻ってくると【人魔融合体 魔人魔王】の状態になった。

【魔道具 人魔 融合】

効果:ラティスの意識とアスターの記憶を融合した魔人ラティスとラティを融合させ、アスターの意識と記憶を受け継いだラティスにすることができる。そして融合した状態の身体の一部を切り離した場合、分離した部分は消滅する。ラティはラティであり続ける。分離させる身体の大きさや数は調整可能。

融合させた状態と分離させる事によって得られる力は変化するが、融合状態で得た力を分裂体に渡す事は出来ないが、分割してから渡した場合に譲渡できるのである。

そして、その説明を聞き終わると俺は【魔王の覇気】を発動させて俺の支配下に置くことに成功した。

その後、俺は【魔王の威圧】を使い皆に指示を出すのである。【魔人 融合体 魔王 魔人魔王 人魔魔王 人神 人神魔王 魔神魔王 人神神】

性別 無し 年齢 99才

(固定)

レベル1 種族【神 神獣 霊獣 幻獣 魔族 亜族 精霊】(全知 鑑定解析隠蔽偽装看破 魔力眼眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力眼力 超再生回復能力体力無限大成長限界突破人魔融合合体人魔王人神魔王神)

職業【創造主】【破壊者】【混沌の主】【神々の支配者】【魔王と女神】【魔物の神を身に宿し者】【魔物の天敵】【魔物殺し】【神々の神人】【魔導を極めし者】【武闘家】【武術を極めし者】【拳聖】【魔剣士】【聖騎士】【魔槍士】【魔弓士】【賢者】【魔術師】【魔術を極めた者】【魔法剣士】【聖魔法師】【聖槍術師】【聖弓使い】【賢魔】【魔物を従いし者】【神々を服従する者】【魔物の主人 魔物の王 王の中の王 王の頂点に立つ者】【神々を使役し者】【神々を従えし者】【神の加護を受けし者】

【魔導を司りし者】【武術を統べる者】【魔物の神を統べし者】【魔道具を作れる者】【錬金術を操る者】【魔王】【女神に愛されし者】

称号【破壊神の使徒】

効果:創造神から破壊神の称号とスキルの全てを継承。

効果 【人魔 融合体 魔人魔王】になったラティスは、リティーに俺のステータスを見せた後俺が【人魔融合体 魔人魔王】の状態の時に【人魔王】の時のように俺の能力を共有する事を説明した。そして、これから俺に付いてくる事を告げたのである。ラティスの話が終わると俺に【魔眼 魔王の瞳】を使い自分の存在について説明してくれるように言ってきた。俺は了承して魔王ラティスの【魔眼 魔王の瞳】を使うと、魔王の力である【魔王の覇気】を使って全員を俺のステータス画面に誘導した。そして俺は【魔王】の時のステータスも表示して見せたのである。それを見たラティとリティアとラスティとアリシアとリティスは驚きながらも納得したようだった。だがリリスだけが、まだ俺を信じられないような表情をしていた。それも当然だろう。今まで一緒に旅してきた仲間なのだからな。でも、ここでリリスだけ仲間外れにはしたくなかったんだ。

リリスも納得するしかないと思ってたようだったがリディアがラティが融合した後の身体の一部が残っていたと言っていた。だからリディアも【人魔王】の状態になる必要があると言ってきた。そしてリディアは自分の意思でリティスに俺が【人魔王】にした時と同じように【魔眼 魔眼眼】の魔眼を使った。その結果、魔眼の効果は成功したらしくリディアの身体の一部はラティスに吸収? 同化? されるような形で【魔人魔王】になるのだった。それから、しばらくしてラティナも魔素を吸収して魔人ティナとなる。その姿を見たラティナは涙を流しながらティナに抱きつくのであった。

魔人形化した状態のティナの姿を見ると俺達は驚く事になるのだった。見た目は身長155センチくらいで黒髪ショートボブだ。顔立ちは、どちらかと言うとリリスに近い気がした。ただ胸のサイズが少し大きい気もした。あと服もちゃんとした服を着せている。この国の姫であるからな。それと彼女は今、ラティスが着ていた白い鎧を着ていたのだ。この世界では女性が男と変わらない服装をしているのは珍しくはないがな。ちなみに武器は俺が与えた剣を持っている。

そして俺達を【魔人形 魔人魔王】の状態で俺の眷属となった事で俺と同じステータスになっていたのだ。そして俺は彼女達に魔王の力を試して欲しいと頼むと二人は嬉々として引き受けてくれるのだった。まずは魔素を吸収して魔王ラティから魔王となった。ラティはラティだが俺と同じくレベル1なので【魔人形 魔王人形】の状態だった。ラティスが【人魔王】の状態になったのを確認した俺は、二人に【魔眼 魔王の瞳】を使って俺のステータスを見せると二人の目が点になっていた。そりゃそうだ。レベル999が当たり前だからな。

俺も魔素を吸収する前のラティと融合していた時は魔王だったし。

俺の魔人形が魔人形に魔人形に融合する瞬間も見ているしな。

ラティもリディアの融合体を見て驚いているがな。俺はリティスと融合した状態のラティを俺に融合させたのだ! 俺がラティに融合した状態はこんな感じになっている。

魔王ラティを融合した俺と融合した状態で魔人になったラティが俺の視界に現れ俺のステータス画面を見せてくれたのである。そこには融合状態の姿が映し出されていたのである。俺達に見せ終わった後は融合を解いて元の姿に戻ったのである。

そして俺はラティが融合した姿を見ていたのでラティとラティが融合した状態をすぐに理解できた。俺は、そのままラティの魔王状態を解くのだった。俺に魔王の力を使えるかどうか見て欲しいと言ったラティに、魔王の力でも魔道具の【魔道具 魔王】を使えば魔王になれなくても使えるという事を教えてから、俺達も融合できるのかを尋ねた。俺が魔王の力が使えるのが嬉しいようでラティは笑顔になると、俺達にも融合できるはずだと言って俺の目の前に来たのだった。すると突然ラティと融合体が俺の前に現れると、俺は魔王になったラティの【魔眼 魔王の瞳】を使って【人魔融合体 魔王】を融合すると魔人形が俺の【魔眼 魔王の瞳】を使えたことから【魔眼 魔眼眼】を融合する事に成功したのを確認して、さらに融合体にラティの意識がある事が分かると融合体を解除したのである。そして再び【魔眼 魔王の瞳】を発動させるのだが【魔眼】を発動させようとしても【魔道具 魔道具眼】を発動できないことがわかったのだ。俺はその理由を考える為に皆に相談をするのだった。するとラフィーとリティアとラスティー以外のメンバーには理由がわかっているようだっのである。どうやら、その三人は融合を何度も繰り返しているために【魔眼】を使いこなしていて融合した状態を維持する事が出来ていたようである。

そんな事もあって俺は三人が魔王になれるように【魔道具 魔道具 魔道具魔道 魔王】を融合させ、その後ラフィー達の融合した状態を見るためにラティに頼んで【魔眼 魔眼眼】を使わせて貰ったのだった。その結果はラティスの時と同様に【魔眼 魔王の瞳】が使用可能になったのであった。

それを確認した俺は、俺も魔王になる事ができるのだと知る事になる。それを知った他の者達も喜んでいたがラティだけは複雑そうな表情を浮かばせるのだった。

ラティスは自分が【魔王】になれない事を自覚していたからである。ラティスの気持ちを知っている俺とラティスが融合した融合体は、リディアと融合体のラティーが融合した時の事を思い出して落ち込んでいるラティに、リティーの融合体の時にラティスから得た知識をラティスに伝えたのだった。そうしてラティスに融合体を解除する。ラティスの目の前に現れたのはラティーである。融合体ラティーに自分の事を【ラティー 魔王 魔人形】と説明してもらい、俺の眷族になり融合しているラティスが魔王になる事は可能なんだと言うと、ラティスは喜び俺の胸に抱きついて来たのだった。俺達はそんな光景を微笑みながら見ていたのである。俺の仲間になる事を決めた四人の魔人形とラティス、ラティナ、リティスと、魔獣王となった魔狼の魔王の五人は、魔人形になった状態で俺と一緒に行動をすることになった。俺が、まず先にリリスと魔人化したのである。魔人と融合したリリスのステータスは、こんな風に変わっていた。

名前:リリス(リディーナ=ライル リリアーナ)

種族:魔人

年齢:12歳

性別:女

レベル:1

生命力 10000/100000 魔力 1000億 身体能力 6000万 知力 100 物理耐性 9900 魔法属性:闇

火 土 雷 水 風 聖 光 スキル:闇魔法レベル8

聖魔法レベル7 剣術レベル5 真眼スキル 鑑定レベル6 スキルポイント 3600 称号:闇の姫巫女 加護 魔眼【魔眼眼】の加護 称号は【闇の姫神】【魔物の王 魔王】魔人形になった時のステータスもかなり上がっている。そして俺と融合したリディアのステータスは、こんな感じになっていた。

名前:リディーナ リティア リティス ラティナ リティア(ラティア リティアス リティアーテ ラティアス リティス リティア)

(ラティシア リティリシス ラティアリスティ リテーサ ラティアルステ ラティアリティア リテイア ラティアス リティリシアリス リテーサ ラティアリステ リテシア リティリステイ リティアス ラティーニア リテーリステイ ラティアリリス リティアス)

年齢 12~13歳 身長 152cm 黒髪黒目の少女達だった。

リリスの見た目が15歳で俺の感覚ではリリスの中身も16歳だと思っていて違和感が無いがな。ちなみにリリスが融合した時はリディアの見た目と、この姿になるんだ。俺の身体が、こうなるから不思議だよね。リリスが【魔人形】から魔人形に変わった時には、俺とリディアの見た目も変わったんだよな。リディアの融合体は【魔人形 魔王人形】ってなってて融合すると魔人形になって、俺の魔人形と融合したラティスの場合は魔人形が融合体に進化したから、魔王人形に変化したみたいで融合体の状態で融合したら魔人形が融合体に進んじゃうみたいなんだけどね。まぁ俺は俺の魔素が融合した二人から魔人形に融合したラティスにも流れてるせいで魔王人形のままだと思っているんだけどな。俺の身体が変化しちゃうんだろうけど、これはこれで面白いよな! ちなみに、ラティが融合したのが魔王人形だから魔王の眷属人形が融合した時は、俺の【人魔王】が魔王眷属人魔王に進化し、魔王の姫神のラティは魔王の姫眷属人姫人形に進化する。魔王の勇者ラティは【人魔人形 魔王人形】となり融合すると、俺がラティに【人魔王】を融合した場合と同じ現象が起きるんだ。俺とラティが融合した時のみ【魔王の瞳】が融合できるのもそのおかげかもしれない。俺の【魔眼 魔王の瞳】を【魔王の瞳 魔王の瞳】に変化させることができるしな。ラティが【魔人形 魔王人形】に融合した時に、俺の魔王の力が発動できたのも同じ理由からだと思うし。俺と融合するだけで【魔眼 魔王の瞳】を使えるようになるなら融合しない手は無い。融合体とラティス達が融合した場合は【魔人形 魔王人形】に変化するだけだ。ラティスの融合体のラティーもラティと同じように融合すると魔王の瞳を使えるようになっていたがラティのように融合しないと使えないわけでは無く、融合した後に俺が魔王に目覚めてから融合してもラティーのステータスに融合後でも【魔王の眼 魔王の眼】というスキルが表示されていて使うことが出来るようになっているのだ。ラティーの場合も融合後の俺が魔王の瞳を発動させたら、魔王の眼が俺の魔眼と統合された。俺の【魔眼 魔王】も、ラティが魔王の眼を融合した後は【魔王の眼 魔王眼】へと変化したんだ。これも俺が【魔王】の力が使える理由かもね。

俺は魔眼を使う事で皆に魔王の力を分け与える事も出来た。魔王は、魔王の瞳を使って他者と一体化することでその力を使用できるようだ。

俺が【魔道具 魔道具魔道 魔王】を融合させるのは皆が【魔道具 魔道具眼】を持っているからだ。融合させると【魔道具 魔道具眼】と【魔眼眼】が融合した結果。融合体は魔眼が融合して眼力が強まるだけじゃないんだ。魔眼が俺の中で強化されていって融合体の融合体が融合した状態の時限定だが【魔王眼】として発動できるようになる。その能力は、魔王の魔力を消費することで相手の弱点を見抜いたり、俺に敵対する者を弱らせたり弱体化させたりする事が可能になるのだ。

俺は融合体を魔人形にして融合した際に魔人形の中にいた魔王人形のラティと融合してしまった為に、融合する前の状態には戻ることが出来ないんだ。だけど、ラティを融合体にする際に【魔道具眼 魔王眼】と、ラティとの融合した【魔人形 魔王人形】の状態の融合体を融合させて魔王の眼と、魔眼を融合させた。その結果。ラティは魔眼が二つになる事になった。俺が魔眼を融合したことによりラティは魔王人形と魔王眼の両方を持つことになり。ラティは【魔人形 魔眼人形】という状態になってしまったんだ。魔王眼を発動させている間のみ【魔眼】が使えるようになったが。それ以外は、通常の人間だった。

そんな事もあってか俺の仲間になった五人の魔王人形達は融合すると俺の能力も一緒に受け継いでしまうらしく、魔眼の効果も俺が持っているのと同等の効果が出せるようになったらしい。俺の方は、そんな効果があるとは知らないままに融合したのである。そんなこんなもあってか皆が融合する時に俺は、魔王になった者達にしか魔道具眼を使わないように頼んでみたのだ。そんなわけで、俺の仲間になった五人の魔人化した仲間達は融合すると魔眼の効果が俺と共有されてしまうのだった。そして今現在俺達がいる場所は魔王城の玉座の間である。

俺達の目の前には先ほど倒したラティスの父であり魔狼の王の魔王である【獣狼王 リヴィー リヴィア リーヴス リーディアス リディア】と魔熊族の族長である【黒毛巨山羊 クロエ クレイ クレアルス クレーリス クレアルスト】それに猫人一族の族長が二人と森精族の長がいた。俺の前に膝をついていて頭を下げていた。俺の後ろにいるラティーは、どうしたらいいのか分からずに混乱しているようだった。ちなみに融合していない状態でラティアやリティスは融合体の状態でしか会っていないため、俺の後ろを見て固まっている状態である。俺は後ろに振り返ってラティーを見た。「ラティーは自己紹介をしてあげてくれるかな?俺だと、なんか緊張してしまうだろうから」

俺の言葉を聞いてハッと気が付いたようで、俺の隣に立って俺が魔王である事に驚きながらラティーが話し始めた。「わっ私は魔王様の第一眷属人形になります。【魔人形 魔王人形】ラティシアです。魔王人形になる前はリティアとラティスの姉でした。ラティスの事は妹のように思っていましたので、リディア姉さんと呼んで下さいね。魔王様に、命を助けて頂き感謝しています。私の命が尽きかけていた所を救っていただきましたので、この御恩は一生忘れません!」ラティが自己紹介すると、ラティアは少し悲しそうな顔をしていたのだが直ぐに顔を上げて笑顔を見せてくれていた。俺が魔王に覚醒した後、ラティと融合したからラティアはラティを本当の妹のようにしてかわいがっていた。だからこそ自分が死ぬ前に助けてくれた俺の事を、本当に大切に想っているんだと思う。

リリスもリディアと挨拶をしているみたいだな。まぁリディアもラティスと姉妹みたいに接していたから問題無いだろう。

しかし俺もラティスに、あんな風に慕われる日が来るんだろうかねぇ。ちょっと心配になってくる。

俺はラティにリリスの事を紹介して欲しいと言ってラティと一緒にリリスの傍に行き、改めてリリスに話しかけることにした。リリスは俺に話しかけられたことに戸惑っていたが、とりあえず自分の名を名乗った。それからリリアにも話し掛けたのだが何故か怯えられてしまったんだよな。やっぱり、いきなり現れた見知らぬ男が急に現れたと思ったら自分を守れと言った上に俺の命令を聞かないと殺すぞとか言って脅したんだから仕方ないのかも知れないな。

その後リディアが魔王に忠誠を誓うと言い出して頭を垂れようとしたので、リリスと俺に敬語を使わなくて良いし魔王と呼ばなくて構わないと言う。それとラティナにラティが融合してから俺が魔王の瞳を使って魔王の力が発動するようになったのでラティが融合した時に魔王の力を発動しないように頼むことにした。この力に関しては、あまり他の人に知られたくないからね。まぁ俺が魔王になったのは隠す必要は無いんだけどね。

俺達魔王一行は全員無事に合流できたのであった。ちなみにリヴァイアサンも無事だったが、まだ完全に回復しておらず。意識を取り戻していない状態であった。

俺が目覚めた時には既に夜になっていた為。俺は魔王城にある一室を借りて寝ることにしたのだ。俺はリデアの部屋にラティを預けて魔王の自室に戻ってきたので今はベッドの上に横になって考え込んでいる最中だ。俺は【人魔眼 魔人眼】を使用して自分のスキルを確認することにしたのだ。そう言えばスキルの詳細を確認してなかったなと思い至ったからである。【魔眼眼】には様々な能力があるのだからスキル詳細を調べればわかることがあるだろうと考えてのことだったのだ。俺はスキルの詳細を開いて見てみる事にした。すると俺は【魔眼眼】を試すことにしたのである。まずは自分のステータスを見たいと強く念じると、俺の目の前にステータスウインドウが開いたのだ。そこには俺の個人情報が記載されていたのである。

ステータスにはこう記されていた。

【種族 半神人 性別 男 名前 ハルト 年齢 20歳 レベル 501 状態 正常 体力 50000/50000 精神力 5003455544 攻撃力 1056894715809060227 防御力 8848870288598910304 素早さ 1001699543879842587 成長率 200%】

俺はその数値を見て驚愕するのである。なんせ俺は今までステータスなんて気にしていなかったからだ。だってステータスの平均値とかもわからないし。そんな感じで適当にステータスを上げていったので、かなり高いステータス値になっているのだ。俺としては、もうこれ以上強くなりたくはないんだけどな。ただラティスが魔王人形になったことで魔王人形が持っていたスキルを俺が使うことができるようになっていたのだった。俺は、それを試してみることにしたのだ。俺は魔王人形になった時の感覚を思い出して魔王人形になれと願ったのだ。

すると俺は光に包まれて気が付けばラティの魔王人形の状態になっていた。俺はすぐにラティのステータス画面を開き、ラティにスキルの使い方を教えて貰ったのである。するとスキルの説明欄に新たな文字が表示されていた。【魔王眼 魔人形眼 魔王眼】【魔王眼】を使えるようになり、【魔人形】を召喚できる。【魔人形眼】は魔王人形になった者のみが使用できる。

魔王人形のラティーも魔王眼を使えるのだった。【魔王眼】は相手のステータスを調べる事が出来るらしい。【魔人形眼】を使うと相手の名前やレベルなどを調べることができるのである。俺は【魔眼眼】を使いリヴィーのレベルを調べることにした。リヴァイアさんの魔王石は俺の中に入っているのだけれど、魔王石は【魔道具眼 魔法眼】と融合することで【魔王眼】にすることが出来るのだ。そのため今現在俺の左目の中に入っているのだ。魔王石の中にはラティーと融合した時に、一緒に取り込まれた。【魔王核】という魔王石と【魔力袋】という魔水晶が混ざりあったものが封印されていて【魔王眼 魔人形眼 魔王眼】が使える状態になっている。つまり俺の持っている魔道具が融合されている状態になっているわけである。俺は魔眼を発動させてリヴィーを見たのである。するとリヴィ-の目の前にステータスウインドウが開き、リリスが言っていたように。リヴィアやリーヴスより少しだけ低い数値が書かれていたのだった。

次に俺はクロエとクレイの数値も調べることにしたのだ。二人ともリヴィアと同じくらいの強さなので、そこまで大差がなかった。ちなみに俺の仲間達は皆、魔王人形の状態にするとリデアの魔王人形と同じ数値で固定されるみたいだった。ちなみにリリアナやリティスも魔王人形になれば同じ数値になると予想している。そしてリティスはリリィが使っていた技も覚えることが出来るみたいなのだ。ちなみにリティスは融合していない状態で、この魔王城にいるので魔王人形化はしていないのだ。

しかし、この部屋で俺一人だけでいる状況なら魔王の眼で自分の能力を詳しく見れることがわかったので色々と確認する事ができたのだった。それからしばらくしてからリリスに起こされて魔王の間に戻る事にした。

俺は魔王の間に戻った後はリヴィー達と一緒に食事をすることになったのである。そこで俺は、これからについて話をすることにした。リリスから話を聞いた後、俺はラティにリヴィアの居場所を聞いたところリヴァイアサンと行動を共にしているらしく。リティア達には、ここで待つように指示をだしてから俺とラティは二人に会いに行く事にしたのだった。ちなみにリティア達に俺の事を、どのように説明をしたのかと言うと。魔王の事は言わずに勇者として行動していて、リティア達が危なくなったからリティアの魔王人形に助けてもらったのだと伝えてある。

そう言う訳で俺は魔王城を飛び出しリリスの案内でリヴィアの元へと向かうことにしたのである。俺はリティアに、もしも俺が戻って来なくても魔王城の玉座の間で待っているように伝えたのだ。ちなみに魔王の間にいる魔王以外の者達は、リヴァイスが連れてきた兵士達や魔物達の相手をしてくれていて俺の指示を守ってくれていたのである。魔王の間は結界が張られているので大丈夫なはずなのだ。

俺達が移動している間、魔王と融合した事で俺と魔王が共有していたはずの力が使えなくなっていた。これは俺がラティスの魔王人形になってしまったからだろうと予想している。それにリディアが俺の体に憑依していたのに。なぜかラティスとラティアと融合したら魔王は俺から追い出されてしまったので、ラティスの魔王とリデアの魔王が統合されたんじゃないかと思っている。

俺は魔王と魔王の融合を解いてリリスに、この魔王の力とリデアが使った魔王石を元の場所に戻してもらって。ラティスとラティアに俺をリヴァイアサン達の元へ運んでくれるよう頼むことにした。

二人は快く承諾してくれたため。俺は二人に連れられて空へと舞い上がり移動することになったのだ。俺は空を飛ぶことに対して抵抗が無かったわけではないのだけれど。今は緊急事態なので仕方がないと思いつつ、上空を見てみると大きな竜の姿をしたリヴィーを発見した。その隣に小さい女の子がいるのも見えるので、おそらくリリスが言っていたことが本当ならあれがリヴィアだろうと思ったのだ。リディアは、リヴィーと一緒に飛んでいる小さな人影が気になるようで。じっと眺めていたがリシアに止められて落ち着かない様子で俺の傍に来ていた。

俺とリリスが飛び立つとリディアも追いかけるように魔王城に戻ってきたのである。すると魔王城にいた魔物達は俺達を見ると慌てて俺の方に来て俺を出迎えてくれたのだった。

リヴィーの隣まで来るとリヴィーは人間形態に変化し地上に降りて来たのだ。その後すぐにリヴィアも変化し地面に降り立ったのである。リヴィが人間化したことでリヴィスの面影があって驚いたのだが。やはりリヴァイアサンと合体したことでリヴィアと瓜二つの姿になっていて同一人物に思えてくるほどだったのだ。俺はリヴィーとリヴィアとリリヴィアとリリティアと、どういう繋がりなのかが分からないが姉妹のように感じて微笑ましい気持ちになった。そんなことを考えていたら、俺の視線を感じたリヴァイアさんが話しかけてきて、俺がリヴァイアサンの魔王核を持っていることに気が付いて俺に返して欲しいと頼んできたのである。リヴィーとリヴィアの三人が、どういった経緯でリヴァイアサンと知り合ったかわからないけど、この世界には魔王がいないようだし魔王の力を使って悪いことをすることはないと思うので。俺はリヴァイスの時と同じように【収納空間】の中から取り出して手渡したのである。

俺はリヴィアが本当にリリイやロゼと同じリヴィーと血縁関係にあるかどうかを尋ねることにした。すると、どうやら本当の妹と弟だという事だったので。俺は三人が仲良くなれることを祈るばかりだったのだ。それからリヴァイアさんは、俺にリヴィー達と共にラティスとラティアを助けに行こうと言ってくれたのである。俺としても断る理由がなかったので一緒に行くことにするのであった。すると突然リヴィアが、お礼がしたいと言い出してきたのだ。だから俺は、さっきから凄く食べたかった物をリクエストしていいですか? と聞くと喜んで答えてくれた。リヴィーとリヴィが、どんな物を食べたいのかと俺が聞き返したので、なんでも作ってあげるよと言われてしまったのだ。俺としては別にそこまで期待していたわけではなかったのだけれど。せっかくだしと俺は、リヴィー達に、あるものを作る為に手伝ってほしいと告げたのである。

それからリヴィーとリヴィアとリリティアの料理が始まったのだった。俺が注文した食べ物の名前は【焼きそばパン】と【カレーライス】と【コロッケバーガー】なのである。

リヴィーやリヴィアは簡単に作る事ができると思っていたようなのだけれど。実際にリヴィアが作り出したものは俺が知っているものとは違い。とても真っ黒な物体になっていたのである。リヴィアが作ったものが見た目からしても不味そうなのがわかってしまったので俺は正直に、まずいかもしれないと告げて食べようとした。しかし俺が一口食べる前にラヴィーが匂いを嗅いでから食べてしまったのである。そして一瞬で平らげてしまい、さらに二個目を要求されたのだ。

リヴィがラヴィアの為に頑張ってくれていたのを知っていた俺は。リヴィにも食べてほしいと言うと嬉しそうに笑いリヴィアに負けない勢いでリヴィアのよりも少しだけ形が悪いものの【コロッケバーガー】を作り始めたのだった。それを見ていたリヴィーが自分もとリリティアやリヴィーのために作り始めると今度はリリヴィアがリヴァイアさんのために挑戦を始めてなんとか【焼きそば】を作ってみせたのだ。

だが残念ながら見た目的にあまり美味しそうではなかった。それを見たリリティアは悔しそうだ。俺がラヴィーとラヴィーから受け取った。【ハンバーガー】と【ホットドッグ】を渡すとリリティアは自分の分として、もう一個の方から試食を始めるとリリティアの様子が一変したのである。俺はその様子をみて驚いていたら、いつの間に作ったのか分からないけれど。綺麗に出来上がった【ポテトサラダ付きピザ】を手渡され、俺は驚きを隠せなかった。しかもそれがまた旨くて絶品だったのである。

ちなみにリリティアは三分の一くらいしか食べていないのに満腹だと言っていたが。リリティアも十分すごいと俺は思ったのだ。だってこの世界ではまだ誰も作っていないようなものばかりなのだから。でも俺は少し疑問に思って聞いてみる。なぜ俺の世界に存在している物が再現できるのかと。

「うむ。リリアナ殿から聞いた話によると、そちの能力の中にスキルというものが存在せず、その代わりに魔法と魔王の力が備わっていると聞かされているのじゃ」

リリアナの説明では俺の持つ特殊な能力は魔王石と魔王眼と融合したことによって得たもので、俺自身に能力があるわけではないみたいだった。つまり、リヴィアやリティスのようなレアでユニークと言われる魔王の力も持っているが俺自身は持っていないというわけなのだ。

「ふーん、そういうことなんだね。まあ、よく分からなかったから、とりあえず俺のスキルについて考えれば何かわかるかも?」俺はリリティアの言葉に納得して早速、ステータスを確認する。

『名前:リヴァイス

種族:魔王

称号:魔を統べる者

LV.1 体力 :720

気力 :2900

攻撃値:505(1050+1000)

防御値:408

特攻数:2555

特防量:454

敏捷性:1580

運勢率:67% 使用可能属性 闇、炎 特殊能力【鑑定】【収納空間】【アイテムボックス】

【自動翻訳機能】

特殊技能 魔王の瞳 【魔王剣 デスブリンガー 所有者固定解除 死を呼ぶ断罪の鎌 】

装備 魔王の鎧

(物理ダメージ軽減、状態異常耐性強化)

魔王の衣

(物理ダメージ軽減、魔法ダメージ吸収、状態異常付与効果減少)

魔王の手甲

(物理攻撃力上昇、素早さ微補正、HP消費増加、即死無効効果)魔王の脚甲

(物理攻撃力、物理防御力向上、MP使用時限定効果)

武器:デスブリンガー

攻撃力:30500 固有技 冥王の裁き

(確率により相手を倒すことが可能)

魔王の剣が進化したことで名前が変わりデスブリンガーという魔王の大鎌が手に入ったのだ。魔王の防具も進化しており新しく手に入れた物もなかなかの代物である。

ちなみに俺の今の実力はこの世界に来る前とは比べ物にならなかった。なんせこの世界の魔物が雑魚にしか見えなくなってしまったから。リヴァイアサンと戦った時の俺はレベルが低かったせいもあってかなり強かったのだが、ラティとの模擬戦で俺は自分の実力に限界を感じてしまっていた。それから俺は必死に努力をしてここまで強くなることができたのである。

「なるほど。どうやら俺のスキルがわかった気がするんだ。リリティアに教えてもらった通り、俺は魔王石を吸収して魔王になったらしい。それで俺にはリヴァイスっていう新しい人格が生まれていて、俺と融合したことによりリヴァイスが使える魔王の力はリヴァイスが扱えるようになるみたいなんだよ。リヴァイスには特別な能力が沢山あるし俺にもよくわからないんだけど、とにかく色々と凄い能力が多いって事だけは分かるんだ。それで俺の今の状態は俺とリヴァイスが融合したような感じだと思うんだけど。たぶん、俺の中にある魔王石もリヴァイスが持ってるんじゃないかなって思って。あと魔王石はリヴァイスの体の一部でもあるから。そのリヴァイスが持っているであろう能力をリヴァイスが使えば俺も同じように扱う事が出来るって思うんだよね。それに融合すると相手の魔力とかも感じることができるらしく。俺の気力とか魔力とかをリヴァイアサン達が俺の体を乗っ取った時に、俺の身体を媒介にリヴァイアサン達の気力を使っていたような感じに、俺の体にリヴァイアサンの気力を注ぐ事で俺の身体がリヴァイアサンになる事ができると思うから。リヴァイアサン達のように人間形態になれると思うよ。だから、やってみてもいいかな?」

俺の話を聞き終わったリヴィア達は、すぐに俺のことを抱きしめて来てくれたのだ。どうやらリリティアがリヴァイアサンとリリティアに、リヴィーとリヴィアとリリティアは、この世界に召喚されてから、ずっと俺と行動を共にしていたから、これからも俺と一緒に旅をしたいと思ってくれたようだった。そんなリヴィアとリリティアがとても可愛く思えて仕方がない。

俺に抱かれているリヴィアやリヴィアに甘えているリリティアを見て羨ましそうにしていたラヴィーに、俺が抱きつくように促すと。ラヴィーは凄く恥ずかしそうにして俺に遠慮がちに俺の肩に手を置く。

そしてラヴィーが俺を上目遣いで見つめてきて、それから俺の顔を見ると真っ赤になり俯いてしまう。俺はラヴィーが可愛いと思ったが何も言わずに微笑む。すると今度は、ゆっくりと顔を俺の胸に預けるようにしながら、ぎゅっと力強く俺のことを抱き返してくれたのである。

それから俺はリヴィーとリヴィアとリリティアにも手伝ってもらって、どうにかしてリヴァイスの魂を俺の中に呼び戻す方法を考える。そこで俺の頭の中で一つ思い浮かび実行する事にした。それは俺と融合したことでリヴァイスが獲得した魔王のスキルの【精神感応共有】を使ってみることにしたのである。俺が【精神感応共有】を発動させるイメージを送ると。リヴィーとリヴィアとリリティアとラヴィーは驚いていた。それも当然である。いきなり俺の心の中へ意識を繋げたからである。だけどリヴィーやリヴィアやリリティアはすぐに順応し。逆に俺に対して俺の精神の核心をついてきたのだ。リヴァイアさんと融合したときに得た情報なのかもしれない。そして俺たちは話し合い、まず俺自身が一度魔王の瞳を使用してみることに決める。その結果俺の中に眠るリヴァイスの存在を見つけることに成功する。だが俺はそのリヴァイスを覚醒させることはできなかった。だがその時、俺は自分の中で、リヴァイアさんの魂と、もう一人の魔王の存在を察知することに成功した。俺がそのことを伝えると。

皆、驚いた表情をしていたが俺が確信を持っていることがわかるとリヴィア達は協力してくれる事になった。俺の呼びかけに答えることができるなら、俺の意思に従うということだったのだ。なので俺はリヴィーたちに協力を要請して俺の中にいる二人のリヴァイスに呼びかける事にする。

「おいっ! 俺の目の前にいる奴。聞こえていたらと返事してくれないか」

「「うむ、聞こえておる。主が私を起こしたのか」」

「ああ、そうだ。俺の名前はハルトだ。よろしく」

「「ほう。私は【魔王】の称号を得た魔王の始祖の一人。名はリヴァイスだ。よろしく頼むぞ、ハルよ」」

「俺はハルトだ。ところでお前は魔王の魂なのか?」

「「うむ、そうじゃ。我が主は我の主であり、リリアナ様から授かった称号を魔王と名乗るのじゃ。そちは妾のマスターとなったからのう。今後、妾をどのように使うつもりかは知らぬが、まあ、とりあえずは従魔となってやったのだから、少しは使い心地よくしろ。それが嫌ならばさっさと死んでくれ」」

「そ、それじゃあ、なんでリリスの姿をして現れたりしたんだ? そっちの方がよかっただろ。俺としては」

「うーん。実はのぅ。リリティアがあまりにも悔しがっていたのでじゃの。リリティアも魔王だったからの。しかも、この世界で一番の魔王だったのじゃ。だから少しでも、あのリリアナのフリをして、リリアナよりも強いことをアピールすれば。あのままリリアナの傍にいても安心だろうと考えたのだ。しかし。どうもリリティアに負けたせいか、その、なんだ。今までにない敗北をしてしまったことで。かなりプライドが傷ついたらしい。あ、あのときからリリティアがおかしくなったのだ。ま、まぁ、今は落ち着いてきたのだが、また何かあるかも知れぬのじゃ。その時に妾がリリティアに勝ったままでは困ることになるのじゃ」

「ふーん。よく分からないけど、とりあえず俺に協力してほしいという事だよな?」

「「そういう事じゃ。リリィには悪いがしばらく大人しくしていて欲しいからな。その間になんとかしなくてはならぬ。そのために魔王の力を上手く使って、ハルと融合した方が手っ取り早いからのう。それにハルは妾の事を魔王として認識できるみたいだし。リリティアよりは、まだマシなはずなのだが。どうか、お願いできないだろうか」」

「俺の事はリヴァイスって呼んだ方がいいと思うんだけどね。それでいいのかい? リヴァイスで」

「うむ。構わぬ。それでいいのじゃ。それよりどうすればよいか教えてくれまいか?」

それから俺が、俺の中に入っている魔王石についてリヴァイスに話し始める。そしてリヴァイスには俺の中に入る準備をするように指示をした。俺の方の準備はリヴァイスが来るのを待つだけである。リヴァイスと俺が完全に融合するには時間がかかるとのことだった。

俺はリヴァイスに、リリティアとの戦いで見せた、あの大技を繰り出せばいいと言われたのだ。リヴァイスはリリティアを圧倒できた理由を話してくれたのだ。どうやらリヴァイスもリリティアもお互いに、同じ系統のスキルを持っていて、その使い方を理解しているのだと言う。そのため俺の【無魔法】が使えなくても問題なく使えるらしい。

それからしばらくしてリリヴァイアサン達も集まってくると、なぜか、そのタイミングでリヴィア達やリリティア達三人の気配が消えてしまった。どうやら、こちらの世界に残ってくれるようだったのだ。リヴィア達三人ともラヴィーと同じような関係になりたいと思っていたのである。

それから俺は、魔王石の魔力を利用してリヴァイスを呼び出すことに成功した。

すると俺の中には二つの魔王が存在していた。魔王の力を使うための魔王石がある限り、俺と魔王の融合した状態が続くようである。俺と融合したリヴァイスが、どうやらリヴァイアサン達とも同化することができるらしく、すぐにリリヴィアとリヴィーを仲間にすることができた。その後、ラティスも加えようとしたがラティスの様子が変である事に気がつく。

俺が声をかける前にラティスは涙を流して謝りながら自分の事情を語ってくれた。どうも、ラティスもラヴィーと同様にラティスとラヴィスを混同していたようなのだ。それに気がついた俺は、ラヴィーとリヴァイアサン達にラヴィーの側に付いてもらい、それからリヴィーにリヴィアのことを頼み、俺もラヴィーと一緒にリヴァイアサンの元に向かう事にしたのである。するとそこにはラヴィーの本体であるリヴィアがいた。

それから俺はリヴィーとリヴィーからリヴァイアサンへと変わったリリヴァイアサンのリリヴァイアとリヴァイアと共にリヴァイアと、そしてその子供である子供達と、これからの事についての話し合いをすることになったのである。

それから俺は、リヴァイア達と協力して、これからの魔王達の動向を探るために動き始めたのであった。

魔王達の動きを掴むための情報を得るための方法を考えていた時だった。俺はラヴィにリヴァイアとラヴィーが、この世界に来ることになった原因について尋ねた。それはラヴィーの記憶の断片にラヴィとリヴァイア達が、この世界に転移してきたときの映像が残されていたからである。俺の問いかけにラヴィーが答えてくれたのだが、ラヴィはその時の状況を説明してくれた。

その話を聞いたリヴァイアとリリヴァイアは驚いていたのだ。なんと、その出来事があった場所こそ。俺が最初にいた場所で、俺と初めて会ったのが、この世界での本当の姿になったリリスであることが分かったのだ。そしてリヴァイスを召喚した張本人こそがリリシアだったことが分かり。俺はその事実に驚くとともに。どうして俺とリリシアが初めて会った時の状況にそんな意味があったことを知っていたのだろうと疑問に感じたのである。そこで俺は念話を繋いで、リヴァイスの意識を探ってみた。すると意外な事実が発覚したのである。

そうして俺がリヴァイスと精神の中で会話をしていると、突然リリヴァイスが意識を失ってしまう。そこで俺は焦った。リヴァイスの精神の核心をつかれて精神が崩壊して死んでしまうと思ったからだ。

だが、それは間違いだった。リヴァイスは気絶して、ただ眠りに落ちてしまっただけだったのだ。

リヴァイスは、自分がリリヴァイスによって魔王の称号と、その魔王の力が封じられていたことを知ってショックを受けて倒れて眠ってしまったようだった。

そして、リヴァイアス達とも話をしたところ。魔王が復活をするのは数百年後だということが判明して。今は魔王達の行動を監視しておくだけにしようという話で落ち着いた。俺が眠っている間に起きた魔王同士の争いについては特に気にする必要もないということだったのだ。そして、魔王同士が戦ったことで、俺と融合したことで得た、俺の中にある魔王の力とリヴァイスとリヴァイアさんの力の両方が覚醒したことで。今の状態で俺の体にリヴァイスの魂が入っている状態の今の俺は魔王に匹敵する存在となっているのだということを知らされた。だから俺が魔王を倒したとしても。魔王の力を持つ者が複数いなければ新たな魔王が生まれてこないということになるらしい。

ただ、俺と融合して覚醒しているリヴァイアさんの場合は、リヴァイスと違って魂と肉体が分かれていない分。魔王としての力が発揮される時間は限られてくるようだ。なので魔王の魂を持つ者がリヴァイアさんを含めて二人しか存在していなくても、魔王は生まれる可能性が出てくる。なので魔王が誕生する度にリヴァイスが、リヴァイスを目覚めさせて、俺の中にリヴァイスの魂を入れて魔王を倒す必要があるということだった。俺はそのことを了承すると同時に、もしもの時は頼むと言っておいた。

そうして俺が目を覚ますと、そこにはラヴィーの顔があり、どうやらラヴィーに膝枕をされていたことに気がつき動揺してしまった。

「ご主人様。目が覚めましたか? よかったです。ずっとうなされていたので心配しました」

ラヴィーの言葉を聞いた俺が体を起こしてみると。周りにはラティの姿もあった。

俺は慌てて自分のステータスを確認するとレベルが103になっており。全てのステータス値が1000以上になっていたのである。俺と融合したことで俺も魔王の恩恵を得られるようになっているということだ。俺はこの事をラヴィに伝えたのだが、彼女は俺のステータスを見れないので分からないと困っていた。

しかし。俺は自分の体の中の魔力の流れを確認していた時に【解析】のスキルを覚えていたことに気がついたので、それを発動させたらすぐに自分の能力が分かることができたのだ。

俺の固有スキルとして【神眼の神災】が増えており、【解析】や、他にも色々なスキルが追加されていた。俺は新しく追加された【魔法創造】のスキルを使用してみることにした。俺はまず。【魔法創造】のスキルを使い、新たに手に入れた、もう一つの魔法属性を創造することに成功した。それが聖属性魔法である。

その効果についてなのだが、聖水や、光球などの攻撃用のものだけではなく、回復や浄化と言った様々な効果があるものだったのだ。

その魔法の試し撃ちのため。リリヴィーのいる湖に向かったのであるが。そこでリヴァイアにリヴィア達を紹介してもらったので。それからリヴィア達とも顔合わせをして仲良くなったのである。その後。魔王リヴァイアに頼みごとをして。それから、ラヴィーとラティスと一緒に王都に戻りラティスの両親と会ってきたのだ。ラティスの父親と母親が、リティスを可愛がっていて、娘ができたみたいだと喜んでいた。それから俺の両親が経営していた孤児院の院長と子供たちも俺とラヴィーの事を歓迎してくれた。俺はその事にも感動しながら感謝をしていたのである。そして俺は久しぶりに家族団らんで楽しく過ごしたのであった。

俺は、ラティスと別れて家に戻ると、すぐにリヴァイアの所に行ってお願いをする。

俺の考えに賛同してくれて協力してもらえることになった。そしてリヴァイアの配下である龍達やリヴァイヤとラティスを眷属として迎え入れることができた。俺はラティスや龍達や、他の人達を守るためにもリヴァイスとして、これからは行動することを決めていた。そのために俺は、この国の王様と謁見することになっているのである。そして俺はこの国にある迷宮を攻略しようと決意をしたのだ。

そのあとは、ラティスの父親に会いに行き、リヴァイスの力でラティーシャと、彼女の両親の命を助けたいと話をした。そうすることで彼女が安心してくれればと思い俺は行動していたのである。それから俺は国王陛下の所に報告をしに行った。そうしてから俺は、ラヴィーと一緒にラスティと一緒にお忍びで城下町に繰り出すことにする。

そして俺達はラヴィーと一緒に城下町に出てから冒険者として活動するための道具を揃えるために商業街に行くことにしたのだった。そこで俺達が見つけたのは、なんと、かつてラティと一緒に旅をしたときに出会った。俺と同い年の少女であり幼馴染でもあるミライが働いている店だったのである。しかも彼女から俺達がこの世界に転生してくるきっかけになった事件の時のことを詳しく聞き出すと、やはり彼女は俺がこの世界にくるきっかけとなった事件と関係がある人物だということが判明したのであった。俺は彼女にも、俺達がこの世界にきた時のことを聞き出そうとしたが、残念ながら覚えていないと言われてしまった。それでもラティスが何かを気がついたらしく、ラティスは俺の知り合いの人間だということに気がついて俺の友達のミライを家に連れ帰ってくれたのである。

俺は、これからのことを考えるために、一度自宅に戻った。そうして考えを整理していると。俺の家にリヴィーが訪れた。俺は彼女にラヴィーのことについて尋ねられたのである。ラヴィーは自分のことをラヴィーではない別人だと勘違いしていた。だからラヴィーとラティスは別人であることを説明した。ラヴィーにそのことを説明していたら。リヴィアが現れた。リヴィアがラヴィーとラティスを、自分の妹だと思い込んでいて。その誤解を解くためにリヴァイアに相談したところ。その話を信じたリヴィアによって、リリィのところに連れて行かれたのである。リヴァイアも一緒に行くといっていたが。リリィから話を聞いた俺と、リヴィアに事情を説明しているラスティはリリィの家に行くのを躊躇した。だが。結局、俺は行かないと納得してくれないので仕方なく。ラヴィと二人で、リヴァイアを連れてラヴィアと、その子供である三人の子供達と会うために出かける。その道中ではリヴァイアは終始上機嫌だったが。俺は、そんなリヴァイアの態度を見て呆れてしまうのであった。

俺達がリリィの住んでいる屋敷を訪れると、そこにリディアとサーニャの姿が目に入ったのである。リヴァイアは二人を見るなり驚いていた。リヴァイアはリリヴァイスの過去について知っているような口ぶりで、二人の正体についても理解を示していた。そのせいで、二人はリリヴァイスの魂が分裂した双子のような存在だと思ったようだった。それでリヴァイアはその事に気づいたようだ。俺は、なぜ二人がリリスさんと同じ力を持っているのか疑問に感じていた。

そんな時、サーニャの体を借りているリリティアが現れて、リリスの双子の姉であるリディアのことを、リリスが慕っていたということを聞いてしまった。そうすると、なんとリリスさんには実の姉がいたことがわかったのである。その姉の名がリリアナと言うらしい。俺はその名前が、なんとも懐かしい気分になってきて思わず涙ぐむ。そんな俺の様子を見かねてか、リリティアがリヴァイアに声をかけて。二人の姉妹は話し合いを始める。そうしてリリティアが俺とラスティを呼んで二人きりにしてくれたのだ。俺は、なぜかわからないがリヴァイアがラフィスの妹だという事実を知って、今までにない感情を抱いていた。それは、母性本能というものかもしれないが、何故か俺の気持ちが穏やかになるのを感じた。だが同時に俺の心の奥底には不安もある。

そうして、しばらくラヴィとラティと三人だけになったのだが。しばらくしてリヴァイアが戻ってきて、俺は自分の心の中で暴れ回る。その正体について考えるも答えが出ないまま時間が経っていく。それから、俺は、自分の体の中にあるリヴァイアさんの力を確かめたいと思う。だから、リヴァイアの力を使うことにしたのである。

まずは、俺は自分の中にある魔素量を確認してみると。リヴァイスとして魔王の称号を手に入れたことにより、魔王として覚醒したことで膨大な魔素量を手に入れることが出来たようであった。俺はそのことを嬉しく思いつつ、その力でできることを考える。

俺はリヴァイスの魂を持つ者ではあるが、リヴァイスの人格が目覚めるわけではない。だから俺の中のリヴァイスの力を使って戦うことはできないのだ。だから今の俺にできるのは、自分自身の能力を高めていくしかない。俺はそう判断を下すと、その日から訓練を始めた。そして、リヴァイスと融合したことによって、新たに獲得したスキル【魔力解放】と【聖魔粒子操作】を、この日のうちに完全に使えるようになろうと決めたのである。俺はリヴァイアからもらった指輪をつけて、この二つのスキルを使えるように特訓する。

そうしているうちに夜になり。今日はこの辺でやめにすることにしたのである。

「ラティス様。お父様。ラヴィーの事を、これからよろしくお願いします」

「あぁ。わかっている」

「うん。任せてよ」

ラヴィーの父親がラティとラティスと話をしていて、ラティとラティスも笑顔を浮かべている。俺はラヴィーの父親にラティスの事はまかせることにしてその場を離れたのである。そしてそのあと、家に帰る途中に俺はラティにリリヴィーのことを聞く。リリィと仲が良くてよく一緒にいるのだが、最近はどうなのか気になったのだ。リヴァイアによると。リリィは、リディアが生きていたことを知り大喜びをしていたようで、今は王城でリリヴァイスの母親や妹の三人と仲良くやっているみたいだと、リヴァイアに教えてもらったのである。

俺とラティはラティの自宅に戻ると、俺とラティーシャはラティスの部屋に入り今後の事についてラヴィーと話し合うことにしたのだ。

そして俺とラヴィーがこの世界で何をするかについて話をした。その時にラヴィーの固有スキルについて聞くことができたのである。そして彼女は【精霊術師】の固有スキルを持っており。この固有スキルのスキルを使うことができるそうだ。彼女はこの【精霊術】のスキルを使えば、精霊と契約することができると言っていた。そこで俺はラティにもこの世界に来ることになったときの話をした。彼女はラティが、あの事件で死んだはずの幼馴染の少女だということを知っていたので。お互いに驚いたのである。それから俺は、ラティスにラヴィーとラティの事を話し終えると、俺は部屋を出て行った。その後、俺は一人で風呂に入って汗を流す。それから夕食を食べる前に俺はラヴィーの所にいく。ラヴィーの話では、この家の隣に、俺とラヴィーが寝泊まりできる家があるということで。今度、ラヴィーとリヴァイアと俺とラティスの四人でそこを生活の場にすることを決めたのである。

その後、俺はラヴィーの両親からラヴィーが引き取ったという、彼女の弟妹たちのところに向かう。

そして俺はこの家でラティ達と住むことを告げたのだ。そしてこれからは俺の家族の一員だと、リリス達に伝えると、彼女達は泣いて喜ぶのである。そうして俺は、その家族達と共にこれからの暮らしが始まるのであった。そうしてその日の夜が更けていき。その日の夜から、新しい家族の温もりを感じながら幸せな日々が始まったのである。それからは俺達は楽しく平和な毎日を過ごす事になるだろうと考えていたがそうではなかった。その日の夜中に急報が入り。リリヴィーが何者かに襲撃されたという情報が入るのだった。それから、リヴィーの襲撃者は捕まることはなかったので。俺は急いで王宮に向かったのだ。そこで俺は国王陛下に会い、今回の事件の黒幕は誰かと尋ねると。陛下は、今回の襲撃者を雇った人物はわからないとのことだった。俺はリヴィーのことが心配なので。リリィとラスティに頼みラヴィを一緒に来てもらう。ラヴィもリリヴァイスのことを心配してくれていたので、すぐに駆けつけてくれたのである。そこで俺はリリヴァイアに、ラティのことを頼むと。彼女は快く承諾してくれた。

リリィが俺を呼び出しに来たのは深夜になってからであった。リヴァイアが言うには、犯人は捕らえることができなかったらしい。だがリヴィーを襲った者が持っていた剣がリヴァイアに反応を示したのである。それを聞いた俺は、ラヴィーと一緒に向かうことにした。俺達が到着したときには、既にラティスがいてリヴァイアは意識を失っていた。俺はリヴァイアに駆け寄り。容態を確かめると。かなり衰弱していたが、まだ息があることにほっとしたのだった。

リヴィーはラヴィーに抱えられてきた。

それからリヴァイアに回復魔法を試してみるが効果は現れなかったのである。するとそこに、ラヴィスが現れた。彼は、俺とリヴァイアが、なぜこの場所に現れたのか尋ねられたが、詳しい話は後回しにして。まず、俺は彼にリヴァイアの事を頼んだ。すると彼もリリィと同じことを言うとリヴァイアの治療に取り掛かるのだった。そして、俺が、俺が助けた女の子のことを尋ねると。そのことについては、少し時間がかかると言われてしまったので。その間、俺がリヴィーのそばにいると伝えると。俺は彼女に、この国のために戦うつもりはあるか確認すると、彼女もそれには同意してくれるのであった。だが今は休ませるために、俺はリヴァイアに付き添って部屋に連れて行く。その時にラティスもついて来て一緒に運んでくれる。そうして彼女をベットに横にさせるのだが。俺は彼女の手を握って離さない。ラティスはそのことに気が付いて、リヴィアにリヴァイアを任せると。彼女はリヴァイアの手を握ることをやめずにそのまま立ち去ってくれた。

それから俺は、リリィに連絡して。俺と一緒だったラヴィーは無事に救出することができたことを知らせた。

俺はそれからしばらく眠ったままの彼女の手を握りしめて側にいると、やがて目を覚ます。すると俺は、自分がいつの間にか眠りこけていたことに気が付くのであった。そして、リヴァイアが目を覚ましたことに気づいたので。俺はリヴィの顔を見て、安心したのか俺は泣き出してしまい。そんな俺にリヴィは困惑したような表情を見せていた。そうしていると、そこにリヴァイアが現れて彼女が元気になった事に安堵した様子を見せる。そうして彼女はリヴァイアの姿を見て嬉しそうにはしていたのだ。俺は、二人が話している間もずっとリヴァイアの傍から離れようとしなかったのだ。

そして、ラティスはしばらくしたら戻ってくると言い残して去っていった。しばらくしてからラヴィーが来たのだ。それから俺はリヴィを連れて、自分のいた世界に戻ろうと決め。俺の住んでいた家に案内することにする。

だがその時、リヴァイアが何かを感じたらしく。彼女は慌てて俺達に外に出るように声をかけてくる。

その声が聞こえた俺が外を見ると、そこには一人の少年の姿があり、彼がこちらを見ているのに気づいたのである。その容姿は、俺の知り合いのラヴィスに似ている気がしたが、その瞳の色は赤みを帯びていて、彼の纏う雰囲気は異質であり、普通じゃない感じを受けてしまう。

その男を見たラヴィーは驚きのあまり絶句してしまう。ラヴィーの反応を見たラティスとリヴィーがラヴィーの元に駆けつけた。その少年は、俺に向かってこう言ってきたのだ。

「あなたがラヴィーが探し続けていたラティですか? 初めまして僕は、魔王軍に所属する者です。あなたの事は以前から知っておりますよ。まさか僕の想像を超えるほどの存在になっているとは思いませんでしたけどね」

魔王軍の者と名乗った男は、そう言い放つと微笑を浮かべていたのである。

その男の態度から俺は目の前にいる相手が敵だと悟る。そして警戒していると突然男が笑い出したのである。

そして、いきなり俺に対して斬りかかってきたため、俺は反射的にその攻撃を防いでしまい戦闘態勢に入ったのである。しかし、相手は余裕のある表情をしていて。俺は相手のペースに飲まれないように集中し攻撃に移ると決める。それから戦いが始まるが、俺の攻撃をあっさりと見切ってかわしたのであった。

(この力でもこいつは簡単にあしらえるということか)

そう思ったが次の瞬間に。一瞬にして視界が変わった。そしてなぜかラヴィー達がいたはずなのにいなくなっている。それどころかラティスやリヴァイアやラヴィーまで消えてしまっていたのである。そのことからこの相手に、みんなを連れ去られたことにようやく気が付いた。その事実に焦りを覚えたが。冷静さを保つことにした。

それから、相手は、ラヴィーとリティスに話しかけて俺のことを話し始め、俺は二人から俺の事をどう思っていたかを尋ねられて二人は恥ずかしげに答えたのである。そして二人は俺のことを愛してくれていることを聞いて嬉しいと思った。それから、この世界にやってきたばかりの俺に二人はいろいろ教えてくれて、それからラティスと俺でこの世界での俺達の家に行くとラティスが俺とリヴァイアのことを気にしながら家の中に入るように言うと、俺がリヴィーを先に行かせると。

その時にリリスが俺の前に現れたので俺は驚いたが、彼女はこの世界から消えたわけではなく。一時的にラヴィーの世界に行っているだけなのだと、そして彼女はこの世界とラヴィー達が住む世界を行き来することができると言っていた。それから俺はリリスとラヴィーの会話について行くことができなくて、ラリスに教えてもらうことになり、そこで、俺の体の中にラティが入っていることと俺の固有スキル【無限転生】のことを知ることになるが、そこでリリスがこんな話をしたのだ。

『私の夫になってほしい』

それは突然の話だった。俺はその言葉を理解することができず混乱してしまい思考が停止するほどだった。俺はどうしてリヴィスがそんなことを言っているのか分からなかったが。その理由は彼女の過去を知ってしまうのである。彼女はリヴィナス皇帝の妹として生まれて物心ついた頃から皇族として扱われていたが、彼女は体が弱く病気がちだったため、ほとんど城の敷地にある小さな家で過ごしていたそうだ。そんな中で、彼女にとって唯一、心の支えになっていたのがリリィであり。幼いながらに彼女と仲良くなり、いつしかリリィとリヴィスはお互いのことを意識するようになっていて、リリスが言うには。この二人はとても仲が良くなっていたのであった。しかしリリィとリリスは別々の道を歩むことになる。なぜならこの国に勇者召喚の魔法陣が出現し。その事によってリリィがこの世界に来てしまったからであった。そしてこの異世界に来てしまったために。彼女は俺に出会う前にリリディアスという、自分にとっては実の姉になる人と出会い恋に落ちてしまった。その恋がリリィを狂わせてしまい。その後の悲劇を生み出すことになってしまう。

俺はリヴァイアとリヴィーと共にリヴィスの過去の話を聞き終えたところでリヴィが涙目になっており俺はそんなリヴィーを慰めた。そうしてしばらくすると。落ち着いたのでラヴィスの様子を見てくると言うと。リヴィーが一緒に行きたいと言ってくれたのだが俺は一人で行くことにして、俺はその場を離れたのだ。

俺は一人になった時リヴィアスが心配だったが。先ほどのラティスとラヴィとの話で気になることを言っていたからだった。まずリヴィーにラティスは何かを言いかけていた。

それが一体何なのかを確かめなければと思うが今すぐに確かめる手段がないので、これからどうしようかと考えた時に俺はある事に気づく。

その方法は今の俺ならすぐに思いつくことで俺には【魔眼解放状態】があり。それで見ることできるからだ。

そしてすぐに実行に移すとリヴァイアとリヴィーの姿を確認できたのである。それからしばらく見ているとラヴィの姿が見えてきて、さらによく観察しているとラティシアがいることがわかった。そしてリヴィーに呼ばれて振り返ると。そこには、なんとリティスが立っていて。ラヴィスは驚いているようだった。するとラヴィスの背後からラヴィスの母親が姿を見せる。

それからラヴィーが泣き崩れる姿を見ると俺はラティス達がラヴィーの元に向かい話をしている光景を見ながら俺は。リヴィアにこの場で待ってるように告げて。リヴァイアを安全な場所に待機させて。ラヴィーがラヴィスとリリスに何かを伝えようとした時に。俺は姿を現したのだった。それから、リヴィアにリヴィーの側にいてもらって。俺はラティスにリリィのことについて聞き出すことにする。

「ラティス。ラティスに一つ確認したい事がある」

「な、なんだ。私とラティの愛の営みを見に来たとか言ったら承知しないぞ」

「はぁ。お前達はそんな関係だったのか?」

俺はラティとリヴァイアの関係を見て知っていたので、それを冗談交じりで言ってラティスを揶揄うと彼女は、俺の想像していた反応とは違う行動に出たのである。ラティスはいきなり真剣な表情を浮かべてこう話した。

「ああ。そういえばラティアの事は気に入ってくれるか分からないが。彼女はいい奴だから大事にしてあげて欲しい」

「分かった。で、本題なのだがリヴァイアはラヴィーの事を気に入っていたんだが。俺に好意を寄せているのはラヴィーの生まれ変わりだとは思わないか?」

俺はラティスの言葉を聞いて、やはりという感想を抱いたのだ。俺が、リヴァイアから聞かなかったとしても。ラティスとリリスの反応から薄々は勘づいていたのである。そして、ラティスはそんな俺を見て。

「さすがは私のラティだ。私は最初っから分かっていた。でもラヴィーの事はラヴィー自身には言っていないが、リヴィには何も伝えてはいない。それとラヴィーに会ったときに、もしかしたらとは思っていた。ただラヴィーには記憶がないかもしれないと思って黙っていたが。ラティ。ラティーナはもしかして自分の姉がラヴィーであることを覚えていないのではないのか?」

そう言い切ったラティに対し。俺は確信を持って言うことができたのである。

俺はリヴァイスさんにリヴァイアを預けた後、俺はアリシアに会いに行った。

それからラティス達にも協力してもらい。俺のいた世界に戻るためにいろいろとやることがあるのは確かだったからである。だがその前に、どうしてもラヴィに伝えなければならないことがあるため。ラヴィスの家に行って彼女に会おうとした。その事に気づいたラティスは俺に同行してくれ。俺達が家の中に入ると、リヴィーはラヴィスと二人で話している最中で。邪魔するのもよくないと思い。ラティスと一緒に部屋から出たのだ。それから俺とラティスが庭に出てみると。そこにリヴィーとラティの姿があったので、ラティは俺に抱きついてきた。

俺とラティスはラヴィの所へ行き。そこで俺はリリィのことを聞くが。彼女は知らないようだったのでラヴィスがなぜラヴィと付き合うことになったのかを聞いたのである。その時にラヴィスとラティの馴れ初めを聞いて少しだけ嫉妬心を覚えたが。それはラヴィスも同じらしくてお互いに笑みを浮かべてしまうが、ラヴィーの事を思い出して。

そして俺がラヴィーのことを伝えるとラヴィが泣き出したのである。俺は、そんなラヴィーの頭を優しく撫でたあと。

俺はラヴィーに、リヴィナス帝国の帝都に行くのは明日にすることを提案して。ラティスと相談してから俺はリティスの様子を見にラティスの部屋に向かった。

「あーらあら? リヴィが泣いちゃったけど大丈夫かしら? やっぱりあの子はお子様ね。あんなのに惚れていたなんて情けないわ。それにしてもどうしてあなたは。ラヴィーを気に入っているのかしら? 確かにラヴィーは良い娘よ。ラヴィのことをお願いしたかったからちょうどよかったわね。リヴィーに何かあったみたいだし。それじゃまた後で会いましょう。リヴィスくん」彼女はそう言い残すと俺達の前から姿を消したのであった。それから俺達は話し合いをして。明日、帝都に向かってラティス達の故郷に向かう事を決める。その事に決まったのだが。俺は、もう一つ気になっていることを尋ねる。それはラヴィスについてである。リヴィスは俺に。

俺をリヴィナス帝国皇帝の妹として迎えたいというのが目的であり。そのためにリヴィスの花嫁候補となる娘たちを集めているそうだ。

「リヴィは私のことを信じてくれるかな? 実はこの国の皇帝の娘だったんだよリヴィは」

「信じるさ。俺もラヴィスを信頼しているからな。俺の事もリヴィスと呼んで構わないし、それに、俺とリヴィーはもう親友のようなものだろ。まあ、俺としてはラヴィと呼んでいるのが、リヴィーにとって一番自然だと思うんだけどな」

俺は、そんな話をラティにしながら俺達は、明日のために寝る事にするのだった。

翌日。俺はリティスとリヴィーが目を覚ましたのを確認してから。アリシアにリヴィーの事を頼むと、アリシアにリヴァイアを預かる事を承諾してくれ。リヴィーの事が気に入ったのか。笑顔をリヴィーに向けてくれ。そんな彼女の言葉を聞いたリヴィーが顔を真っ赤にさせていた。その事で、リヴァイアが不機嫌そうな顔になり、そして俺は。ラヴィーのことを、ラヴィーと呼ぶことを、アリシアと約束を交わしてリリィが眠る部屋に急いだのだ。それからしばらくしてラヴィスはリヴィナスに転移の魔法を使ってもらいリリィがいると思われる屋敷に移動したのであった。

俺は、アリシアの案内のもと。リリィがいる場所に到着すると。すぐにラヴィに事情を話し。ラヴィスは了承してくれたのだが。その途中でリティスは「あれは誰ですか!?」と言って、いきなり走り出してしまった。

その事に俺が驚いているとラヴィーとリティスが走って俺を追いかけてくる。それからすぐにラヴィスに追い付かれ。俺は彼女達から話を聞けるのである。

どうやらラヴィとリティスが、ラヴィーとリヴィーが双子の姉妹であり。お互いの記憶が消えてしまったという衝撃的な話を聞かされたのだが。

「リヴィーとリティスがラヴィの姉と妹なのか。それで二人は双子なのか?」

俺はそう尋ねながら、二人の方を見ると二人は首を横に振る。それから、俺はラティの方を見るが彼女も首を振る。その事に俺は疑問を感じつつもラヴィーの方を向き直り。

「で、リヴィ。二人に何か変化はあるか?」

「はい。まずリヴィナスさんが私を気に入ってくれたのと、ラヴィシアさんの事を気に入りましたので。今は眠っていますが。ラヴィシアさんの中にいる、リヴィニスとリヴィーナが目を覚ますのが分かります。それから私のことはヴィーと呼んで欲しいですわ。それから私のこともリヴィとお呼びになってくださって構いません」

「わかった。これからよろしくなヴィー。それで俺の事もラヴィと呼んでくれないか?」

「わかりました。では、ラヴィ様でよろしいでしょうか?」

俺は、ヴィーの言葉を聞きながらもリヴィが気にしている事を聞こうとする。

それから、俺は。ヴィーから、二人が眠っている理由を聞いてみる。すると彼女は「おそらくは魔力切れではないかと思います。リヴィとラヴィが目覚めるまでに膨大な魔力を消費しているはずなので。しばらくしたら目が覚めるでしょうから。それまではゆっくりさせてあげた方がいいと思います。それに、私はリヴィーと二人で話したかった事もありましたから」と彼女は言ってくれるので。俺とヴィーは、それからアリシアの元に戻りラティと合流してアリシアが用意していたお茶を飲みながらラヴィが来るのを待つことにしたのである。その事はラヴィには話さずに。それからラティスとアリシア、そしてヴィーの三人がラヴィーとリヴィーが双子であること。リヴィとラヴィーの生まれ変わりだということを説明すると、彼女は納得したように「私にラヴィーの記憶がない理由はそういうことでしたか」とだけ呟いて。ラヴィーが起きるまでの間は三人の時間を楽しんでほしいと言うと。ヴィーと一緒にラヴィが目覚めたら俺達が泊まる部屋へと来て欲しいというお願いを聞いてくれることになる。

そしてリヴィーが目覚めて、俺達はラヴィと合流するが。リヴァイアが起きていない事に気づいたラヴィーだったが。「きっとそのうちに起きるわ」としか答えてくれなかった。俺はそんなラヴィーに。

俺はリヴィが、ラヴィーがリヴィと同一人物で俺の恋人であることを話そうか迷う。リヴァイアから聞いていたので俺自身はそこまで驚いてはいないが。やはり、恋人の事は秘密にしておいた方が良かったのではないかと思っていると。ヴィーは、俺の考えが読めたようで、「リヴィーはもう、私の家族みたいなものなんだから話しても大丈夫ですよ」と俺の耳元で囁く。

その言葉を聞いた俺は安心感を覚えたが。それでも、もしかしたらラヴィーとラティは怒るのではないかと心配したが。俺とラヴィーの関係を聞いた二人は特に怒ったりすることはなくてほっとしたのだ。それからアリシアに案内され俺とラティスはラヴィー達と一緒の部屋に行き。ラヴィーとラティスにラヴィーは、自分の事や自分の妹のラヴィのことなど。ラヴィーはリヴィと俺の出会いや俺と付き合っている事を話す。それを聞いていたリヴィとラヴィの反応を見て俺は、本当にこの二人はリリィなのだと確信したが、その事に俺の口を挟むわけにはいかず、ラティスも、俺と同じく。俺達の関係は知っているものの口を出すことができないため黙っていた。ただ、ラヴィーだけは俺と付き合ってからもずっとリヴィの事が忘れられない事などを説明してくれたのだが。そこで俺達の会話は終わる。その後はアリシアの作ったお菓子を食べたりしながら、リヴィ達が目を覚まして、そしてラヴィーの事をみんなに紹介する。その事にリヴィーとリヴァイアは喜んでくれたのである。その日の夜、ヴィーとリヴィとで話をしている時。

「ねぇラヴィ? ラヴィーとラヴィーの本当のお姉ちゃんが。もし生きていたら、今の状況であなたがラヴィだと知ったなら喜ぶと思うけど。それにあなたのお兄さんと、あなたが付き合うことをあなたがお姉ちゃんに伝えたかったでしょ」

「でもそれはできないの。だって、私達のお兄様は既にこの世界にはいないんだもん」

その話を聞いたヴィーは驚くが。俺達は何も言えずにいた。俺としては、ヴィーは、もしかしたらリヴィはラヴィと会えるかもしれないと考えていたのだ。なぜならリヴィはラヴィーを実の姉だと言っていたし。リヴァイアが言うには、ラヴィーと、その姉の魂が混ざり合った存在だからだ。それなのにヴィーが言った、リヴィのお兄さんの話は、ラヴィーとリヴァイアの兄が亡くなっているということだ。ヴィーが、その事に驚けば、ラヴィーはその話をしてくれたヴィーの事を褒めてあげるのであった。

それから数日後。俺達はラティスの故郷であるリリィと、ラティスが暮らしていた屋敷がある、帝都へと向かう事が決まる。ラヴィスがリヴィーのことを気にして、俺達に付いてくることが決まった。それから俺は、ラヴィにリヴァイアスの事を尋ねる。

「あの。ユウマさんはラティシアの事を知っていましたので。この世界のことを知っていると思って質問させてもらいたいのですが。あの、その。私の母の名前はなんと言いましたか?」

「あぁ、その事はもう知っています。この世界の人達が知る名前と、俺達がいた世界での名前が同じですからね。それにリヴァイアスさんも教えてくれるでしょうから」

俺はリヴィが知りたかっただろう名前を答えると。彼女は少し驚いたような顔をするが。その後に「よかった」と呟いたのである。それから俺達は帝都に向かうために準備を始めようとするのだが。

「えーっと。まずは。俺達もラヴィについて行かないとな。それにアリシアも連れていくよな?」

「そうだな。ラヴィーの事もあるから」

俺は、そんな感じで話を進めると。ラヴィーの方を見るが。彼女達はリヴィアが眠っている以上。リヴィーが起きている状態で、リヴィと一緒にいるほうが、ラヴィとしても嬉しいはずだ。そう考えて。俺は、アリサのところに急ぐ。

「アリシアさん。俺達とリヴィをラヴィーのいる帝都に連れていってください。それから。ラヴィの事ですが。リヴァイアのこともありますから。ラヴィのそばに置いてあげてほしいんです」

俺はそれだけ話すと。アリシアはすぐに承諾してくれた。

「わかりました。ラヴィさんにラヴィナスさんのことを紹介しないとですね」

「ありがとうございます」

俺はそう答えてラヴィの所に行く。

「俺達も、ラヴィの故郷を見に行っていいかな?」

「もちろんです。それにリヴィーにこの世界を見せられたらと思いましたから。リヴィーがリヴィウスだったころは私のせいでこの世界を見ることができませんでしたから」

俺は彼女の言葉を嬉しく思い。彼女の事を改めて愛おしいと感じ。そんな気持ちのまま、俺はラヴィを抱き寄せる。すると彼女から頬にキスをしてくれるのだ。俺はそれがとても幸せに感じる。それから俺が、彼女にキスをして、しばらく抱き合っていると。ヴィーが近づいてきて俺達を邪魔する。

「あら? もしかして。私がいないところでも。こんな感じなのかしら?」

ヴィーが悪戯っぽく笑う。

それから俺達は帝都に向かって旅立った。リヴィスが目覚めたのがつい先ほどであり。それからラヴィーの様子を見に行ったり。色々とあったため、リヴィウスにはまだ俺達がここにいることを伝えてはいない。そのためリヴィウスにはリヴィウスで。リリスがラヴィーを、リヴィーに紹介したりと忙しくなる。

俺がリヴァイアにリリィとラヴィを紹介するときにも、リヴァイアは大層驚いていたが。それよりもリヴァイアは、自分の娘の姿を見て泣き出しそうになる。

「本当にリヴィーに、もう一度逢えた。それも娘に」

「リヴァイア、リヴァイア。私の事覚えてる?」

「もちろんだよ。私のかわいい妹。リリィ」

そう言って二人は抱きしめ合い涙を流した。その様子を見ていた俺は感動していたが、それと同時にラヴィも泣いていてリヴィの手を握りしめているのが見える。ラヴィーが二人と再会できたことで感極まっているのかと思っていたが。ラヴィの方を見ればラヴィーも同じように泣いていて、リリィはそんな二人のことを抱きしめているのが見えたのである。俺がその事をヴィーに伝えると。ヴィーも涙を流していて、そんなヴィーの様子を見て、俺達はみんな涙腺が崩壊してしまい。それからはみんなで、お互いのことを褒め合ったりしたのだ。そしてしばらく泣いたりして落ち着いた頃に。ラヴィーにこれからのことを説明する。それから俺達がこれから向かう場所がリヴィーの故郷でもある帝都であることをラヴィーに告げる。

そして俺は。俺達が帝都に戻る前に、俺達の仲間になる者たちの自己紹介を行う事にしたのである。そこでラヴィに紹介されたラティの姿を見てラヴィーが驚きを見せる。ラヴィーの妹だと聞いていたから予想していたかもしれないが、その反応は少しばかり過剰なようにも思えたが。それでも俺達がこの数日で、ラティの正体はわかっていると伝えるとラティは安心したようで。その後、リヴィとラヴィーと、その仲間に自己紹介を始めたのだった。そのあとでラティは俺の耳元に顔を寄せて来て、「ユウマさんに、恋人がいると知って、ちょっとだけ妬けちゃいましたが。お姉ちゃんとまた一緒にいられるのはとても幸せですよ」と言ってくれたのである。

それから俺とラヴィーとラティスにラヴィスは、俺達が泊まる宿へと行くのだが。そこに俺の恋人の四人がいた。俺はみんなに対して俺が勇者であることを打ち明けて、その上でみんなに話さなければならない事があり。ラティスや、リティスと相談して。みんなを集める事にしたのである。その日。俺達はラヴィスに俺が勇者であることを告白した後。俺はみんなの前に立ち、そして、自分の考えをみんなに説明する事にした。その説明は、自分がなぜ、この世界にやって来たのかと言う事の説明だ。俺はこの世界の人間ではない事を話すと。みんなは驚いていたが、俺の考えを理解してくれ。そして、その事でラティスの両親に会いに行きたいとも伝えて。俺はこの国を出て。俺の故郷の世界に行かなければと考え始めるのである。

私は、私がこの世界の人間ではなく、別の世界から来たとユウマに告白されると、最初は何を言っているんだろうと思ってしまったが。でも彼が、その証拠だと、この世界に無い技術で作った物をいくつか出して見せてくれたので信じるしかなかった。それにユウマの言葉は私の胸に響くものがあり。ユウマの事をもっと信じようと思うのであった。

「ユウマ。あなたはこの世界の人間ではないと聞いて。正直、その事をまだ受け入れることはできませんが。でも。あなたを信じる事ができます」

私は、ユウマの事を真っ直ぐ見つめるとそう言ったのである。

それからしばらくしてから。ユウキとアメリア様、リヴィア様、ラヴィーがラティスの家に訪ねて来たが。そこにはユウラとラティスの姿がなかった。

「えーっと。とりあえず、その三人の事を話したいんだけど。リディア。少しだけ席を外してくれるか?」

私達が不思議に思って、何か事情を知っているラヴィスを見ると。彼は気まずそうな顔をする。

「あぁ悪いなリディア。リヴィアさん、ラヴィーとユウキ君、それとアメリア嬢と。少し二人で話をさせてもらえないか?」

私は、ラヴィスさんがユウナの婚約者候補であるはずのラヴィーの事も名前呼びしたことも。ラヴィーとユウキとの話に関係があるのだろうと察して「わかりました」と答えて部屋を出ることにした。そして部屋の扉を閉める直前。ユウカと目が合う。私は彼女に、後でユウマとユウラと一緒に話したい事がある事を伝える。彼女はそれを聞いて嬉しそうに笑顔を見せてから。

ユウガはアヴィニスの街で、リヴァイアの神殿に向かう為に、街を歩いていたのだが。突然、リティアに腕を引かれ、物陰に連れてかれる。

「ちょ、いきなり何だよリリア?」

「ねぇ。リデアお姉さまってさ。やっぱりこの世界の出身じゃないんでしょ?」

「あぁ。そうらしい。俺は詳しくは知らないが」

「そっか。じゃあさ。どうしてリヴァイオお兄ちゃんとリヴィースさんのお母さんの名前が一緒なんだろうね」

「そう言われればそうだな」

「まぁお兄ちゃんの事だから。きっとなにか考えているとは思うけど」

「それは間違いないな」

俺はそんな話をしているうちに、この街を歩いている人々の中で違和感を覚える者が数人いることに気がついて。それからは注意深く辺りを伺っていたのである。そして俺が視線を向けるとその相手も同じように警戒し始めるが。

「あれ? あの子は確か、この前の祭りで屋台をしていた女の子? それに隣の女性は」

「リデアさん? とリリィ? リヴァイアのお店にいた二人がここに? それにあの男の人は誰だろ?」

「わかんないが。もしかしたら俺達がリヴァイアに用がある事を、誰かに聞いたんじゃないか? もしくは勘付いたとか?」

「うん。確かにありえるかも」

俺達はそう話をしながらリリィの方を見る。

それから俺とリディアは、リヴァイアにリヴィウスとリヴィウスの母の名前が同じなのは、リヴァイア達と同郷の存在だったのではないかと考えるが。

「リヴァイアがリヴィーの居場所について、俺に心当たりはないのかと言ったのも。そのせいかもしれない」

「そういえば。前にリヴァイアが、私の記憶を見た時も、私のお父さんの事を気にしていたよね」

俺はその事を思い出していたのである。そしてこの世界で起きていることを考えると。このリヴィーの世界はもしかすると、ラヴィー達のような異世界からの召喚が行われた世界ではないかと推測したのだ。それからリディアとリリィと別れてリデアを探すと、リヴァイアの店でリリィと共に働くことになったという、少女リヴィアと出会うことになる。そこでリデアと、もう一人リリィの双子の妹で、リヴァイオの元婚約候補者でもあるリリィと出会う事になる。そして俺達はラティスとリティスがラヴィーを説得をしている間に。俺は、リティスとラヴィスを連れてラヴィの家を訪ねに行くことに決める。ちなみに俺はリティスとラティスには俺が勇者であることを告白してあるので問題ないだろう。それからラヴィの家に着き俺達は家の前でラヴィーが出てくるまで待つ事にしたが。しばらく時間が経ってから出てきたのだが、なぜかそこにいるラティスは少しだけ機嫌が悪かったが、その理由についてはわからないままだった。そして俺は、リヴィーの事が心配だったのですぐに会いに行きたかったが、その事を告げると。ラティスは少し悩んだ表情を浮かべてから口を開く。

「わかった。ならユウガ。リヴィーは私たちに任せて欲しい。ユウガがリヴィウス殿とラティア様に会おうとしている事を知ったラヴィも。今は冷静に話す事ができる状態じゃないから。だからもう少し時間をおいてほしい」

どうしようかな。と思ったが仕方がないよなとあきらめる。その間にもラヴィの様子を見に行ってくれたのはリティスさんと、ラティスと、ラディアスさんと。それからラヴィスも来てくれてたようで。俺達はリティスとリリスに案内されて、リティスとラヴィスの住む家に入る事になった。その道中。俺はラヴィにこれからの予定を話すために話しかけると。ラヴィは真剣な表情で、私の方を見て話を始める。

そして私はラヴィーの部屋を後にしてから、ユウガが私とリヴィーとリヴァイオの関係を知っているとラティスが言っていた事を思い出す。

私はそこで疑問を感じてリディアを呼び出して事情を説明する事にする。そしてしばらくした後で、私とラヴィとユウト、リヴァイアにリヴィーの事で、これから話があると、みんなで集まるようにと。私とラティスとユウトの三人と、リヴィスの件についての相談をしたのだが。リヴィーとリヴィアスの話を聞いたラヴィーの両親は。驚きのあまり声も出なかったようで。ただ。ラヴィーだけが少し納得したような表情を見せた。そのあとでユウナとアヴィニス様、それとアヴィニスの街の商人の娘のアメリーと、その仲間であるリザードのリヴィーとリザーのリリイの姉妹に集まってもらい。私は自分の予想も含めて、このリヴィーの世界の真実を話すと。みんなは驚きの表情を見せる。そしてリヴィスの事を知らないリリアとラヴィー以外の全員から質問を受ける。特に、アヴィス様からは「なぜ今まで隠していたのですか?」と聞かれて私は答えられずにいると。リデアが「別に隠していたわけではないのでしょう。ラヴィーさん。だって、リヴィアさんの名前はラヴィーと同じですよ」と言い。それから、リリアは少し考えながら「そうか。それで二人は名前が似ていて。でも、リディアとリヴィーさんの名前が似てるのって」と、そこまで言ったところで。アヴィナスとラヴィーは気づいてくれたようだが。私達は二人とユウトが、リディアとリヴィーの両親の名前を聞いて驚いていたことを思い出して。私はみんなにリディアの両親とユウマの両親の名前が同じ理由について説明する事にする。

「あーなるほどね。確かにそれはびっくりするし」

リディアが私の言葉に反応する。

「はい。まさかこの世界に来たときにユウカ様達も一緒にこちらに来ていたなんて」

アヴィナスがそう言うとユウナも同意する。

「そうです。それにリヴィウスは、私達の世界とこの世界の人間との間に産まれた存在の可能性があります」

「そうですね。そう考えると色々と辻妻が合います。でもリヴィアさんの事はわかりません」

ラヴィーがリヴィアのことに触れないのは、きっとまだ気持ちの整理がつかないのだと思う。だから私はこれ以上、彼女を刺激しないようにする事にしてからリリアがリヴィーの事を話し始める。リヴィアの事をユウキとラティスにだけ伝えていたリリアは「リヴィーさんを、ラティスさん達の世界に連れて行くつもり?」と尋ねられたが。それはまだ決められないと告げる。そしてユウガの事をどうするのか尋ねるとリディアも気になっていたようでリディアは少しだけ困った顔になる。その事についても少し考えた方が良いかもと、私が悩んでいると。ラティスが口を開いてくれる。

「ユウガ殿には。正直に伝えた方がいいと思います」

それを聞いた私はラティスの顔を見ると「どうして?」と問いかけてみることにする。

するとラティスはラヴィの方を一瞬見てから話を続ける。

「はい。ユウガの事を考えて、黙っているのはユウナさんやアヴィニス様が望まない結果になりそうでしたので。それにユウナさん達がこちらに来るときの状況も説明した方がよろしいかと」

そう言われたリディアが「そうだね。じゃあ話そう」と言うと。私は、リヴィーに確認をするために。彼女に視線を向ける。すると彼女は小さくうなずいてから私に向かって「はい」と答えてくれるのである。そんなこんなで話し合いが終わった頃に。俺達が部屋に戻るとそこにはアリサの姿が見えたのであった。それからすぐにアリシアをリヴィーの元に案内しようとするが、俺の姿を見て駆け寄ってくるなり。アリサは俺のことを抱きしめてくるのだった。そして俺はいきなりのことで動揺するが。アリサは泣き出してしまうのだ。俺はとりあえずそんな彼女を落ち着かせるために声をかけることにした。そしてアリサが落ち着くのを待つと俺はアリサリサと一緒に部屋を出ることにしたのだった。それから俺はアリサを連れてラヴィーの家へと向かう。そして家に入るとラヴィー達がすでに集まっていたのだ。俺はみんなにラヴィーとの話について説明する。その話の後は、俺とリティスとラヴィーとラヴィーの仲間と、ユウキ達をつれて。俺達はアヴィリアスに向かうことになる。

それから俺はユウキにリヴィアを預けると。ユウト達とラティス、アヴィニス様は、リディア達と一緒にラヴィーの家でお世話になってもらう事にする。その話をしてから、ユウキは、俺に対してラヴィーとの事をお願いしてくる。もちろん、俺がユウキ達に出来ることはするつもりだ。そして、ラヴィがユウカに手紙を書いてくれたので。俺はユウカ宛に伝言を伝えることにして、俺はユウガに連絡をする。すると数分もしないうちに、転移魔法陣を使ってユウガがここに来てしまうのだった。そして彼はリディアを見て少しだけ驚いた様子を見せるが。俺とラティスは事情を説明してリディアが今、どんな立場になっているのかを教えると、彼もすぐに状況を察してくれたようだった。その後で俺とラティスとリヴィウスの三人でラヴィスの家に行き。ラヴィを連れて行くかどうか話し合う。それからしばらくして、俺とリディアとラティスの三人でラヴィの元に行くことになる。

それからリヴィアスの件で俺達は、しばらくリヴァイアの家に厄介にならせてもらう事になったのだが。リヴァイアの家に向かう途中でラティ達と合流し。そのままラヴィの家に行く事になる。そしてラヴィーが俺達の元に来てくれないか?と伝えると、ラヴィが嬉しそうな表情を浮かべるのを俺は見ていた。それからしばらく、みんなでラヴィの家にいる事になるのだが。そこで俺は、アリシアから「これからの事なんだけど、少しいいかしら」と、言われる。俺はラヴィ達と離れるのも少し寂しいが。リヴァイアの事も少し心配なので俺は彼女の誘いに乗って。それからしばらくの間、ラヴィの家とラヴィーとアヴィナス達をリリアに任せる事にする。ちなみに俺はその間、ラティスと共にラヴィアに会いに行き。リヴィーの事を話す事にしたのである。

私はラティスの家から帰ると。すぐに、ユウトに頼んでおいたことを実行に移してもらった。それは、アヴィナスのお父さんに。リヴィウスの父親でもあるリディアとリヴァイアに会えるようにすることだ。そのためにラヴィーは私を手伝ってほしくて。その話を終えると。私は、リリアが「少しだけ、リディアとリヴィーの様子を見に行ってくる」と言って。ユウトとラヴィーと一緒に出かけたので。ラヴィーとユウトと、リヴィウスと私の四人になってしまったが。しばらくするとユウナとラヴィスとラヴィーがやってきて、私達は一緒にお茶を楽しむ事にしたのだけど。その時、私はユウトの事を見て「ユウトはさ。やっぱり好きなのかな」と言い出してから。私に視線を向けてきた。ユウトはその言葉に驚いていたが「ユウナ。急にどうしたんだ?」と言うが。私としてはリデアと、ユウマが、ユウトの事をどう思っているのかわからないけど。それでもユウガさんとユウヤさんに負けたくないと思って。それで私は。ラティとアヴィシスのところに戻るように促すと、ユウナは渋々納得する。そしてラティはラティーとリリイとリヴィーにリディアとリヴィーのことを説明するが。

リヴィウスがそれを否定しようと口を開こうとするので、私はそれを止めて。リヴィーはリティアと同じで自分の父親を知らないのだから仕方ない。でもあなたが父親であるリヴィウスを、母親として愛しているのなら、何も言う必要はないよと伝えると。彼女は静かに「ありがとうございます」とお礼を言う。そしてその後は少し落ち着いた感じになったが。アヴィアスの方から「あのー」という声が聞こえた。私は、そのアヴィスの様子に違和感を覚える。なぜなら、先ほどまでとは態度が違うのだ。それはラティも同じ事を感じているようで。「アヴィスさん。どうかしましたか?」と、質問をしている。それに対して「うん。えっとね。その」と言った後。彼女は少し言いにくそうにしながら、「アヴィアスはラヴィアスの事が好き。それでね。リヴィアスと仲良くなりたいの。それでね。リヴィーは、お母さんって呼ばせてほしいの。ダメ?」と聞く。それを聞いた私は。もしかして、この人はアヴィナスの知り合いなのかもしれないと思いながら。私は「アヴィアスさんのことは嫌いじゃないですし、リヴィーと仲良くしたいと言うのは歓迎します」と言うと。彼女は嬉しかったのか、私の方に駆け寄ってくる。

そしてラヴィアスが「そういえば、ユウナさんは、アヴィラスさんと会ったことがないよね。実はね。ユウナはアヴィアスと、同じ世界で産まれた子なんだよ」と言うと。リヴィーは「まあ!ユウカさんの子供なんですか」と驚いていた。それからしばらくして、私はアヴィナスと一緒に、リヴィアス達の元に顔を出すことにすると。二人は楽しげに話をしており、それを見たラティスとラヴィーはほっこりした顔を見せていた。そしてそれから数日の間。私たちはアヴィアスと一緒に過ごす事になるのであった。

俺はラヴィア達の所に戻ってくると、ユウキやアリサやリヴィア達の事を頼む事にして家に帰ることにする。そんなわけで、家に帰った俺は、まずはアヴィス達を迎えに行くためにラティスと二人でアヴィラスの家へと向かうことにした。そんなこんなで俺が家を出て。転移魔法陣を作動させる。するとラティスも一緒に転移してくる。俺はラティスが、どうしてついてきたのかを聞くと「アヴィリスの事をお願いされたので。リヴィアとアヴィアスと三人で楽しく過ごしたいのです」と言われてしまったので。俺は苦笑いをしながらも「わかった」と言うと。そのままラヴィスとリリィがいるラヴィーの家に移動をする。

そして俺達が家の中に入ると、ラヴィーとリヴィウスとリリィが、ラヴィーの家で、ラヴィー達とアヴィアスの帰りを待っていたようだ。それからしばらくしてラヴィーとラヴィが帰ってきたので俺は、リヴィアと一緒に出迎えると。俺とラヴィアはお互いに抱きしめあうのであった。

それから俺達は、リヴィーをアヴィスに紹介するために。みんなで外に出る事にした。すると、そこにアヴィサスの姿が見えたが、俺は彼女に「こんにちは」と言って話しかけると。アヴィサスは俺に気がつくと俺のところに近づいてきて。俺の事をぎゅっとして、いきなり抱きつくのだった。それから俺はリディア達に紹介する事にしたが。その前にラティスは、ラヴィーの耳元で何かを話す。その話の内容を聞き終わったラヴィーは、リヴィーに対して微笑むと。リヴィウスも嬉しそうな表情をする。

その後でアヴィウスの自己紹介が終わると。今度はリヴィアスの番になった。リヴィウスがラヴィーのことをお母さんと呼んでからラヴィーはリヴァイアの事をラビーと呼ぶ。その呼び方について、ラヴィーがアヴィノスのほうを見て話す。

ラヴィーの説明によると。アヴィニスはラヴィーの母親の、妹なのだそうだ。その説明にアヴィウスも驚いたようだったが、ラヴィーのことを見つめてから。優しくラヴィーのことを抱きしめると。リヴィウスと同じように。ラヴィーに、お母さんと、呼ぶように、頼んでいた。それからしばらくしてラヴィ達はリヴィナスのことをリヴィと呼び始めた。その光景を見ながら、俺は、これからアヴィニス達の事を、ラヴィーに、任せる事にするのである。

アヴィニス達はしばらくラヴィー達のところで生活することになったのだが。その間、俺達はアヴィラスとアヴィナスを教会に連れて行き。そこでリヴィーとアヴィウスを紹介する事にする。そして、そこで俺達は、アヴィアスにアヴィアのことについて少しだけ話をすると。それから俺達は、しばらく教会で生活をすることにしたのだった。それから、俺とリヴィーとリヴィウスの三人で、リヴィナスのところに行き。しばらく三姉妹で過ごすのだった。それから、アヴィアスとリヴィーの様子を見るためにラヴィーやリヴィラスと共に様子を見に行くが。アヴィヴァス達は俺達が来たことに気づくと、三人共、嬉しそうにしているのを見てから。ラヴィーとリヴィウスが、二人にリヴィの事を紹介した後に、三人は一緒にいる事になる。そしてリヴィウが、リヴィウスが父親だと知ってからは、リヴィアとラヴィーとアヴィーとリヴィエスの四人で仲良く過ごす事になった。それからラヴィはラヴィアにリヴァイアと、セクトの件を話しておけよと言ってから家に帰る事にした。

俺は家に帰ってくると、早速ラヴィの部屋に向かうが。途中でラヴィーと出会うと、彼女は少し困った様子で、私もアヴィネスのことを伝えていないから話を聞いてくると言う。そんな訳で俺が先に部屋に入っていくと、リヴィがいて、彼女は嬉しそうに、こちらに向かって手を振っていたのだけど。その隣にはラヴィーがいた。その表情を見てから。俺達は、ラヴィアのところに移動する。それからすぐにラティが入ってくる。

ラティーとリヴィーの話を聞こうと思ったら、ちょうどいいタイミングに、アヴィアスが入ってきて、それからすぐに、ラヴィが部屋にやってくる。そしてラヴィの話が始まるが、その内容は衝撃的な内容だ。なぜならラティアが、自分の母親であると教えてくれたのだ。俺は、その言葉を聞いた時、驚きすぎて何も言えなかったのだ。そんな状態になっていたので。俺は慌てて口を開いた。

私はユウマに「ラティアは私のお母さんなんだ」と言われる。でも私は信じられない気持ちになるのだけど。ラティナの言葉を思い出して納得すると「私も母様のことが大好きだから嬉しい」と言い出す。すると私よりも、ユウマのほうが嬉しそうな顔を見せるものだから。私は何とも言えない複雑な感情を抱くのであった。それから私はラヴィとリヴィに。ユウマがリヴィに何をしたのかを聞いた後にラティの事も聞きたいと言うと、ユウマが私の方を向くので、ラティの事をユウカの子供かと思っていたが、ユウナの双子の姉でリティアの母親と言う事を告げた。それから私はリヴィアとラヴィーがアヴィウスを連れてくると。私はラヴィーがアヴィウスが父親だと言うので。それならばリヴィアスの父親に、アヴィアスを預けることが出来ると思って。私は安心していた。でもまさかリヴィウスとリヴィアが、お互いが、親子だって知った時は本当に驚いたのは間違いないだろう。

それからしばらくしてラヴィとリヴィエとアヴィースの三人が仲良くしているのを見ると私は、この世界に来てから、ずっと心が穏やかになれなかったけど、今はとても穏やかな心境になっているのが自分でも分かった。

ラヴィさんが俺達のところにやってきてくれてから数日が経過した。

そんなある日の晩御飯の後の出来事。いつものようにラヴィー達が俺と一緒に食べてくれる事になってからラヴィーはアヴィアス達にリヴィーの事をお願いして家に帰ってしまう。それから俺はアリシアと一緒に、アリサ達がラヴィとリヴィウスと楽しく過ごしていたときの話を聞いて。ラヴィの事が気になったのか。

ラヴィが帰って来るまで待つというアリサと一緒に、俺は家に帰ることにした。そして、俺とアリサとアリサが寝泊まりをしている部屋に戻ってくる。そこで、アリサは疲れていたのか、少し休むと言うので、俺はアリサを一人残してからラヴィ達が泊まるために借りた家に帰ることにする。

俺は転移魔法でラヴィの家の近くに転移をして、そのまま家の中に入りリビングに入ると。そこにはラヴィの姿が見えない。どうやら出かけたみたいで。

俺が家の外に出ようとしたときに家の扉が開く音が聞こえてきた。そして、そのあと、リヴィアとアヴィースが入って来て、俺は、ラヴィーが帰って来たのだと思いながら、リヴィーとアヴィースの方を見るが。リヴィーとアヴィースは不思議そうな顔を見せながら言う。

「あれ?リヴィアは?」

「兄貴は、どこに行ったのでしょうか」

そんな二人に対して俺はラヴィーは出掛けたことを伝えると。二人が寂しそうな顔をしたので、俺はラヴィが帰ってくるまでの間は、ラヴィーと一緒にいた時に撮った写真を見せたりしながら、アリサ達の事を話すことにする。そんな感じで、俺はアリサやリヴィア達のことを二人に説明する。

それからしばらく、俺とリヴィーとアヴィースと三人で、楽しく過ごすことになった。

俺が家に帰るとラヴィーがいないことに気づくと、家を出てリヴィアの家に向かう。それから家に到着すると家の中に入ってみると。そこで俺はリヴィアとアヴィースにラヴィーが今日、ラヴィとリヴィが、リヴィアスと一緒にアヴィサスのところにいる間。アヴィナスとリヴィーとアヴィラスとラヴィーの事をよろしくお願いね。と伝えてくれと言われていた事を、リヴィアスに伝えると。俺はラヴィ達のために、お腹いっぱいになれるように食事を用意するためにキッチンに移動をする。

そんなわけで俺とリヴィアとリヴィーの、3人で過ごす時間が始まり。そのせいなのか、俺とリヴィアはラヴィーとリヴィアの話で盛り上がり、リヴィアとアヴィースも、お互いに好きな物や、得意な魔法などを教え合ったりと。俺達の話題の中心はリヴィだった。そんな中。ラヴィーのことを聞かれたので、俺はラヴィーと出会った時の話をすることにしたのである。すると、ラヴィーはアヴィウスの本当の親で、今は、俺の婚約者であることを教える。すると、リヴィアは、嬉しそうに笑みを浮かべると。

「そうなんだ」と口にした。俺はそれからリヴィアが、ラヴィアのことを話してくれると言うので聞いていると、ラヴィの口から語られる話は、ラヴィが今まで俺が知らなかったような話をしてくれて。それが俺にとって新鮮な情報で、リヴィアスの知らないこともたくさんあるので、それを嬉しそうにリヴィアに話し始めるのであった。それから少し時間が経った後にリヴィーも混ざって三人は、ラヴィーとリヴィアのことについて語り始めたのだった。

「リヴィアが私の母様の友達だと知っていて良かったです。これで安心しました。これからも母様のことをお願いします」

そんなことを言いながらリヴィーは頭を下げるので。俺は彼女の事を撫でると、彼女も嬉しそうにする。それからしばらくするとラヴィー達が帰ってきた。俺はすぐにリヴィー達を出迎えるために玄関に行くと、ラヴィを先頭にして皆がやってきた。

「ただいま~!」

元気よく、そう挨拶するリヴィーに対して、ラヴィーの方は恥ずかしそうにしている。そんな様子に、俺だけでなくリティアとリリスも同じ気持ちを抱いているらしく微笑んでいた。

そんなこんなで皆と夕食を食べることになり。ラヴィーが作ってくれたのは、野菜スープに肉の串焼き。それに白パンで、どれも美味しかった。そして、俺達はラヴィー達も含めて会話を始める。そしてリヴィーのことで盛り上がるのだが、俺はリヴィウスから、リヴィアに質問されていた、アヴィアスについて聞く。そしてアヴィウスのことは、リヴィウスが答えるのだが、その内容は衝撃的なものであった。リヴィウスはラヴィとアヴィナスの子ではなく、ラヴィの弟と妹の子であるというのだ。つまり、アヴィアスはリヴィナスの実の妹という事なのだが。

アヴィウスはリヴィナスの実子ではなかったのだ。

俺はラヴィ達にそのことを教えようとするが。そこでアリサが入ってくる。それから俺はアリサにラヴィアが俺の事を父親として見れなくなったと言うことを説明する。そんな状況になりながらも、俺はアリシアから聞かされたリリアの話を聞くことに。そこでリディアがラティのことが好きそうな表情をしていると知り。俺は思わず口に出してしまったのである。そんな俺にリディアが言った言葉があまりにも予想外で。俺は驚いてしまった。

ラティが俺の義娘だということに、俺は衝撃を受けていた。それから俺は、この事実がラヴィー達の耳に入ることを考えて。すぐにラヴィの家に移動することにしたのである。そして俺はラヴィアにラヴィが、ラヴィスが母親だと告げた。

俺はラヴィにリヴィアの事を伝えようと思い家にやってくると。そこにはラヴィアだけではなくリヴィーやリヴィアやアヴィースの姿があった。

そして俺はリヴィーにラヴィとラティスの仲の良さを聞いて、安心しているところで。ラヴィーがラティアが母親だということを知ると動揺していたが。すぐに落ち着きを取り戻して。そしてリヴィアやリヴィーやアヴィースと一緒にリヴィーの事で盛り上がっているうちにリヴィウスも家にやってくる。そんな感じでリヴィウスを交えての食事の時間が始まると。俺はリヴィアの料理の師匠であったリヴィーにラヴィーは料理の作り方を教えているのかを聞くと。教えているという話を聞いた。そんなこんなで、リヴィアがリヴィーに弟子入りをしてから毎日のようにラヴィーとリヴィーが、二人で台所で楽し気に一緒に作る姿を見ていた俺にとって、嬉しいことだったのだろう。ラヴィーやリヴィーと話している時。自然と笑顔になっていたのかもしれない。

リヴィウスが俺達のところにやって来てから、ラヴィー達の話が始まって、そしてラヴィの口から俺とラティナとの間に生まれた子だと伝えられる。それを聞いた俺はリヴィーと同じように驚いた。だが、それよりも俺の心の中には、リディアとティナの二人の子供がいて、さらにリリアと俺との子供までいることを知っているので、そこまで驚かなかったが、ラヴィー達が家族になったらと思うと少しだけ寂しく思ったのは間違いないだろう。それからラヴィとアヴィネスがラヴィの家に戻りたいと言ってきたので、ラヴィーに許可を出してもらって、それからしばらく話して解散となる。俺が家に帰るときにアリシアも一緒だったので、二人と一緒に帰ることにする。

それからしばらくしてラヴィー達が戻って来るのを待つために俺達はリヴィアの家をあとにすることにする。すると、そこにアヴィナスとアヴィアスが現れて、リヴィア達と一緒に食事をするためにやってきていたようだ。なので俺はラヴィー達と一緒にアヴィサスとリヴィアとリヴィアスとリヴィー達と一緒にリヴィアの家でご飯を頂くことになった。

ラヴィー達の事をラヴィー達に任せた後。俺とアリシアとアヴィサスの三人で街を歩く。それから街の中を探索しながら歩いている時に、偶然にもアリシウスと遭遇したので。アリヴィウスがリヴィナスやアヴィウスを連れてラヴィの家で楽しく過ごせるように手伝う事にしたのであった。それから俺はアリシアと二人でデートをしながら買い物をしたりしていた。

そして時間は流れていき夕方頃になると俺はラヴィーとラティをラヴィーの実家に招待することになったのである。それから少しして。俺達が家に戻ると。そこには既にアヴィースが来ていて。俺がラヴィーとラティーを連れ出すのを手伝ってくれる。

そして俺はラヴィにアヴィオスやリヴィアスを紹介した後。二人を連れて行くとアヴィースが言うので、俺は二人をラヴィアとラティに紹介したあとに、アリヴィウス達もラヴィとラティに紹介することにしたのであった。それから皆が席に着く。それからアヴィアスの挨拶が終わる。

ラヴィーがリヴィアスに、お礼を言うと、リヴィアが嬉しそうに笑みを浮かべた。そんな様子を微笑ましく思いながら見ていると。リヴィアスがラヴィに声をかけてくる。それからリヴアムスはリヴィナスのことを心配していたので。ラヴィがラティが母親で、俺の娘であることをラヴィに伝えようとしたところ。

「大丈夫ですよ!ラティから聞いていましたので!」と口にすると。俺の方を向いて、リヴィアが俺を責めるような視線を向けるのだが。

それから俺達が談笑を続けているとラティの作った食事が出てくる。そこで俺達の目の前に出されたものは、今まで食べてきた中で1番と言ってもいいほど美味しい食事であった。そんな風に思っていると。ラヴィアが、お酒を飲みたいということで。俺とラヴィーが用意をする。そうしている間に、アリヴィウスはラヴィーのことを見つめており。リヴィアスもラヴィアのことを興味津々と言った感じで、見ていたのだ。そうこうしているうちに俺達は全員で酒を飲んで。酔っ払ったアビーシは、何故かリヴィーを抱き寄せたり、抱き枕にして寝てしまうのである。そうすると今度はラヴィに抱きついて寝始める。そのせいで、俺達の中で一番大人っぽいと思っていたラティアが、一番幼くて可愛いと分かるようになるのだが。それを微笑ましいと思いながら、ラヴィーとラヴィは微笑みながらアヴィヴィウとラヴィを見ていてくれて。そのおかげで俺は安心できたのであった。そうしながらも時間が過ぎて行き夜になるとラヴィアが泊まるといい始めて。それに便乗したラヴィがラティとリヴィアとアヴィースも泊まりたいとお願いしてきた。俺はそれに了承したのであった。

そうすると俺は、アリサがアリシアと一緒に眠りたがっていたのを思い出す。だから俺の方からアリサ達に、リヴィア達とアリヴィウス、ラヴィーとリヴィの5人を任せる事にしたのだった。

そうこうして俺は一人で風呂に入り。

そうしているうちにアリシア達が俺の元にやってきたのである。それから俺はラヴィー達にアリサとアリシアを頼むことにした。その後。俺はリディが心配になって彼女の様子を見るために二階に上がる。

そうするとベッドの上で布団を被って丸くなっているリディアを見つけた。

そんなリディアを見た俺は、彼女の側に寄り。優しく頭を撫でてから声を掛けることにした。

「リディー。もう寝ちゃった?」

俺は少し甘えた声で問いかけてみた。すると布団の中からリディーの鼻声が聞こえて、そして、彼女は顔を出す。目が赤く腫れていたが、それでも美しいと思うほどの美少女であるのだ。そんな彼女が、涙で顔をぐしゃぐしゃにしている様子はとても愛おしくなったのである。

そして俺達はお互いに惹かれるままに唇を重ねた。俺は彼女を抱きしめると、リディアの匂いがとても良い匂だと感じて、俺の中にある男の部分が熱を帯びて大きくなってしまった。それに反応するように彼女もまた、女性の部分を大きくしているようで。俺のモノを服越しに強く擦り付けていた。それが何を意味するのか理解している俺は、リディーが求めていることを理解して、彼女をベッドに押し倒す。すると俺を見上げながら頬に手を添えると、「私を愛して下さい」と言い。リディアは自ら足を開くのであった。俺はリディアの言葉に興奮を覚えながらもズボンを脱ぎ。

そして俺も自ら男の部分を見せつけるようにリディーに見せつけると。リディアの口の中へと導いたのであった。俺は初めての感覚に戸惑いつつも気持ちいいと思ってしまい。俺はリディアが一生懸命になっている姿を目にして、我慢できずに、口内に放出してしまったのである。そして俺は、そんなことをされたのにも関わらず。俺のアレを受け入れようとしてくれるリディアの姿に感動を覚えたのであった。

そして俺は一度果てても。まだ治まらない。

俺は再び自分の男を見せ付けると。今度はリディアの大切な場所へ、ゆっくりと挿れていくのである。

リディアの中に挿入した瞬間。凄まじく気持ちが良かったのである。俺はリディアのことを大切に扱い。俺は彼女にキスをして、俺は少しずつ動くことにして、それからリディアを何度も絶頂させたのである。俺はリディアと交わりながらリヴァティの事を考えている。俺はラティをリヴィアに紹介した時の事を思い出していた。そして俺はラティナの事をリヴィウスとラヴィーに頼んでからリヴィアに、これからラティを紹介すると、ラティがリヴィアの肩を抱いきて、ラヴィと二人で仲良く話す姿を見て。俺もリヴィウスと一緒に、二人の様子を眺めることにしたのである。そうしていると、いつの間にか、アリシアがリヴィアと打ち解けていた。それからしばらくすると、俺が二人きりになりたいという欲求が高まってきて、ラティを連れて外へ出て行く。そして二人で散歩をすることにしたのであった。

俺とリヴィアの二人だけで外に出る事になった。俺はリヴィアと二人で歩き始める。

「ねえ?どうしてラティスの事を話してくれなかったのよ! リディアはラヴィーが母さんだって言ってたのに。ラヴィーって私のお姉ちゃんになるんだよね?」

俺は突然のリヴィアの言葉に動揺してしまい。少しだけ、どもってしまう。

「そっかぁ~ラヴィはラティナの姉なのか。それはそれでいいんだけどさ! やっぱり姉妹ならラヴィーも妹として可愛がりたいもんね!」

俺はリヴィがリヴィーのことを姉と認めてくれるのかどうか分からなかったが。一応確認することにしたのである。

「リヴィーも、リヴィウスのこと、兄様だと思った方がいいんじゃないのかな?」

「うん。それもそうなんだけど。ラヴィーとラティとラヴィの子供と三人で幸せになれるんなら、それでも構わないわ。私はラヴィーがラティの子供でも大歓迎なんだからね。それよりもリヴィーの事も家族だと思っているんだよ。ラヴィーとラティが家族なら、私にとっての大事な家族でもあるわけでしょ?」

「リヴィーは本当にラヴィーのことが好きになったんだな。ラヴィはリヴィのことも好きみたいだけど、ラヴィもリヴィーのことが大好きだと思うぞ。それにしてもリヴィアはラヴィーとそっくりだよ。外見とかはラティ似なのに、性格なんかがそっくりだ」

そう言った途端に、ラヴィアは頬を赤らめて照れる。それからしばらくの間沈黙が続き。

俺は、ラヴィーに子供が生まれた場合の事を考えてしまったのである。俺達はラヴィとラティが夫婦になっても子供が生まれないだろうと思っていた。だがリディアは俺が知らない間にリヴィーの体を作り変えていて。その結果。俺とリヴィの遺伝子を受け継ぐ娘が誕生したのである。俺は、俺達の娘も俺達の遺伝子を引き継ぐ子供も大切にしたいと思っていたのだが。リヴィが俺の娘と結ばれるのだろうかと考えてしまい。不安になってしまったのである。

そしてリヴィの口からラヴィとラヴィーの子に、ラヴィーとリヴィの二人の遺伝子を受け継いだ子供が生まれても、ラヴィーはラヴィーだから。そのことは受け入れてくれるような気がするのである。俺はそう思うのだが、リヴィアの気持ちを考えて、そのことを伝えることはできなかったのであった。そうしているうちに、リヴィアと二人きりでの会話を楽しんでいたが、リヴィアはラヴィーの話題になり。それから俺が考えていたことと同じような内容を話す。そしてリヴィアがラヴィーの子供を自分の子と、結婚したとしても受け入れると言っているのだが。リヴィアがリヴィの気持ちも理解した上で、そういう結論を出してくれているのだと分かると、俺は安堵していたのであった。

そうしてリヴィと話し合っているうちに、俺達は屋敷にたどり着くのである。そして俺が玄関扉を開けて中に入るなり。リディアが駆け出して来て、リヴィアと抱きしめ合うと、ラヴィも、リヴィーのところにやって来て、三姉妹が抱きしめ合い。俺達は笑いながら見つめ合ってから、食堂に移動するのであった。

そうして俺達が席に着くやいなやラヴィーはリヴィウスのところに行き、一緒に食事を取るために挨拶をしにいくのである。俺はラヴィーのことを信頼し、ラヴィーとラヴィーに任せることにして、俺は俺でラティとアヴィウスと食事を摂り始めると、アヴィウスが、俺に話しかけてくる。

「ラティスはどうするつもりなんだい?」

「えっとな。その件に関しては後でリディアと相談して、それからアリシアとも話してから決めるつもりだ。アヴィウスはリヴィアの事を頼むな」

「了解だぜ」

そう言ってアヴィウスも、ラティの所に向かい。俺達もリヴィに視線を向けて、リヴィの様子を見るとリヴィアとの仲睦まじい様子が見えた。そうするとアリサもラヴィーとラヴィが話している姿を見ながら微笑んでいるのが見える。俺はアリサも、ラティに何かを頼んでくれるのだろうと期待しながら夕食を食べたのであった。

その後、アリサ達と一緒に部屋に戻り。俺がリヴィーとラヴィーとの話の内容をみんなに伝えて、俺の意見を聞いてもらうことにした。まずは、ラヴィーとリヴィについてである。俺の考えではラヴィに、自分のことを愛して欲しいと思うが。リヴィの意思も尊重してほしいと言うと、アヴィウスは理解してくれていた。しかし、リディアはまだ納得できないようで。俺を説得するような態度で俺に言うのである。そしてラティアとリヴィアには、リヴァティを産み出した時のように。俺の体液を与えることによって、女性としての能力を高めて欲しいと告げると、彼女達はすぐにそれを実行するために行動を開始した。その様子に呆気に取られてしまう俺はリヴィーを見守る事にしたのだ。それから、リディに頼まれて俺は二人と一緒にベッドに寝転ぶ事になる。リディアはリヴィと俺の間に割り込むように俺の腕枕で横になっていた。リヴィーとリディアの様子を見守っていた俺は、自分のモノが大きくなっていくのを感じていたのである。

そしてリヴィーが産まれたばかりのラヴィーの胸を触るのが目に入ると。リヴィーは赤ちゃんがどんなふうになっているのか知りたかったのだろうと思いながら、ラヴィも嬉しそうにリヴィの相手をしてくれるのだった。そんな光景を見ている俺だったが。次第に、リディアと、リヴィーに我慢できなくなった俺は。二人にキスをして舌を絡ませると。そのままリヴィーは俺にされるがままになってしまう。リディーもリヴィーが可愛いからか。リヴィーが、俺達にされていることを真似てリヴィーに同じことをするのであった。

そうすると、今度はリヴィーがリディアとリヴィと三人で、お風呂に行くと言って俺の部屋を出て行ったのである。俺は一人になると、リヴィアに俺が考えていたことを伝えて協力してもらうことにして。俺の方からもお願いをする。

そして俺はリヴィのことを思いながら眠りについた。そして朝起きるまで。ずっとラヴィーに会える事を考えていた。そしてリディアが、ラヴィに抱かれてきた事をリヴィーに伝えた事で。これからは、ラヴィーと仲良くして、リヴァティを産む事を考えると。リヴィアにはリヴィーのことを任せられると確信したのである。

それから俺はラティを呼んで一緒に朝食を食べる事にする。リディアにリヴィアとラヴィを頼んで、それからラヴィーを呼びに行ってもらって、それから俺がラティと一緒に食堂に姿を現すと。そこには、昨日の三人と。それにリヴィウスが居た。そこで俺はアリシアがラティと一緒に居るところを初めて見たのである。そうしてアリシアとアリッサとラティが楽しげに話し合っている姿を、ラティが嬉しそうに見つめていた。俺もラヴィとラヴィーも幸せそうにしているのを見てから、みんなに、改めてラヴィのことを紹介することにするのである。

そうしてラヴィを、リヴィアに紹介したのだが。リヴィアは何故か。俺に対して敵対心を燃やしたような表情を浮かべると、俺の傍から離れようとしなかったのである。その様子にリヴィが困惑していたのであった。俺はとりあえずリヴィーとラヴィーを連れて外に出てからリヴィーのことを紹介しようとしたら、ラティとアティが、一緒について行くと言い出す。そして、リヴィアが、俺達について行こうとした時にラティとアティに呼び止められていた。そしてリヴィのことが好きなラティは、俺が何をしようとしているのかをラヴィに伝えるのである。そうしてリティが、ラティから伝えられた話を俺にするのだが、それは俺が思っていたこととは全く違ったものであった。そして俺はリヴィのことを抱き寄せたのであった。リヴィーも恥ずかしそうに頬を赤らめながらも、素直に受け入れてくれている。その様子をラティが羨ましそうに見ていたが、ラヴィーが慰めるように抱きしめていたので。リヴァイが、安心してくれたようだ。

そして、アリシアの事が心配になったのであろう。リティはリリアのところへ向かうが。それを見送るようにして、ラヴィーと、ラヴィとラヴィーが見送ってくれたので、俺は、アリシアとリティアが待つ場所に戻る事にしたのである。

俺はリティ達と一緒に戻ってきた。するとアリシアとアヴィウスとリデアが待っていた。そしてリヴィアとアリシアに、ラヴィとラヴィーを紹介したのだが。やはり俺への敵対心というか嫉妬心を剥き出しにして睨みつけてくる。

「旦那さまが、ラヴィちゃんやラヴィーさんとお付き合いされるなら、私も受け入れなければなりませんね」

「ありがとうな」

俺は感謝を込めて、アヴィーの頬に口づけをしたのであった。それから、ラヴィーを家に帰らせる前に、一度ラヴィスとラヴィーを屋敷で預かる事をみんなに説明する。そうして俺はラティが、ラヴィーのことを抱きしめて、何かしらを話し合っていたのだが、リティはラヴィの事を、じっと見つめていて。少しだけ寂しそうな表情を一瞬見せていた。

俺は、アリサのことも紹介する事にする。それからラヴィとリディアとアヴィウスとアッティとラティにアリサを紹介し終えた後に。リヴィアがアリシアとアヴィウスとアティの紹介を始めていた。俺が二人に、俺の娘だと言うと説明しても二人は信じていない様子を見せていた。なので、俺が二人の腕を引いて。二人が俺の娘だと言う証明を見せると、ようやく理解してくれて、そしてアリサにも二人を、自分達の娘だと紹介してくれるのであった。

そしてラヴィーが俺のところにやって来た。そして俺に抱き着いて来ると。その姿を見て、俺は、本当にリヴィアが俺の子供を産んだんだなと思うと、感慨深いものがあったのである。そうしているうちにアリサが、ラヴィに近付いて行き何かを話しているのが視界に入った。そうしてアリッサは俺の方を見るので俺は首を傾げると、彼女は笑顔になって。そして、ラヴィーと何か話を始めるのであった。そうして、ラヴィーが屋敷から出ていくのである。俺とアリシアも後を追う事にしたが、その時にアヴィウスに耳打ちされていた。そしてリザの所に連れて行くと約束をしてくれて、俺はラヴィーを追いかけたのであった。そしてラヴィーがアリシアの家に入っていった後、アヴィーが俺の元に駆け寄り話しかけてくる。

「あいつは、あんたが、自分を助けてくれた人なんだと理解したよ。それとあたしも助けられたみたいだし。だから礼を言わせて貰うわ」

「ああ。気にすんな。お前は大切な仲間なんだ。気にしなくてもいいさ」

「ふーん。あんたも大概、優しいよね」

アヴィウスはニヤリと笑みを見せて言う。するとアリサも、俺達の方にやって来る。アリサは、リヴィアとアリサに、自分のことを話してからアリサはリヴィエラの屋敷に向かうと言って。俺はリヴィアと、ラティに、リディアを頼むと伝えると、リデアとラヴィーと共にラティと、ラヴィを見送った。そしてリヴィーとアヴィウスに見送られて、俺達は王都に帰るのであった。

俺達が帰る時には。アヴィウスも見送りに来てくれていたのである。俺は、アヴィーにラヴィーのことを任せると、俺達はラティを連れて王都に戻るのであった。俺は馬車の中でラティの手を握っていると、彼女が顔を赤らめて俯いている。そんな彼女を見て俺の胸が暖かくなっていく気がしたのだった。

その後。俺は王城に戻り、ラヴィーにラヴィとラティのことを頼む事にする。すると、ラヴィはラティとラヴィーに挨拶をすると。ラヴィーはラヴィにラティの事を教えてあげて。ラヴィの事をお願いするのである。

そうしてラヴィーとラティの事をラヴィに任せた俺は、リディアとアティスとアリッサと、それからアリアスと一緒に、ラヴィーをラティーファ達の元に向かわせる為に。転移門を開く事にしたのである。そして俺はラティ達と一緒に、まずは、ラヴィーとリヴィウスとリヴィの家に案内されてラヴィーに二人を任せてから、俺はアリシアと一緒にラヴィンスタンに向かう事にしたのである。

俺は、リヴィアをリヴィーとラヴィーに預ける事に成功したので、次はアリシアの故郷に向かわなければいけない。

「それで、アリシアの両親は元気にしているのか?」

「はい。今は、母と父と私の三人で過ごしています。お祖父様も居ますけど」

俺がアリシアに問いかけると、彼女の家族は健在だという事を伝えられてから、次に俺達はアリシアの実家がある町に向かったのである。

「ユウマ。あなたは今頃何をしているのかな? やっぱりリヴィーの面倒を見ているのかしらね」

リディアは、そう呟くと、少しだけ淋しげにしていた。

俺達が乗る馬車の傍にリディアが居てくれる。だからリヴィアには申し訳ないが、俺はリディアの隣に座っているのである。そうする事によって、俺も、リディアと離れなくて済むのだから。俺はアリシアが、両親に会いに行きたいと願った時にリディアと一緒に行けばよかったと少し後悔してしまったのだ。しかし、これからは、アリシアにばかり時間を使わせる事はないだろうと、俺は考えていたのである。そして俺とアリシアの故郷の町に着いた時には夕方近くになっていたので宿屋に行くことにした。だが部屋を取る際に一騒動が起きてしまったのであった。

アリシアが宿泊する際にお金を払うので、自分が持つから大丈夫だと言うのだが。俺はそれを良しとはしない。なので結局、今回は俺が全て払うことにして泊まることにしたのだが。その時の料金を見てからリデアが、「ユウちゃんって本当に王子様なんだね」と言われてしまい俺は苦笑いをしていたのである。

翌朝に起きてから。ラヴィー達も一緒に食事をするために屋敷に呼んだのだが、リヴィアやアヴィウスとリティも屋敷に来る事になったのである。そうしてみんなで朝食を食べた後で。俺はラティアと一緒にギルドに向かい冒険者になる事を登録する事に決めた。ちなみにアヴィウスはアリサが、ラヴィーはラヴィが同行していて、ラヴィーがラヴィにリヴァイを会わせたいという気持ちを、ラヴィに伝えていたので、二人で連れ立って来てくれているのであった。

そして俺達はアリサに、ラヴィを紹介をしてラヴィーもアリシアとアティスを紹介した。そして俺がギルドの登録手続きをすると言い、アリシア達に少し待っていて欲しいと伝えてから受付に向かうとアリサとリヴィウスがついてきたのである。そうして、受付に着いて俺が受付嬢に説明をしようとした時。後ろでアリシアとラヴィが話をしている声が聞こえていたのだが、アリシアは嬉しそうな表情をすると、アリサとラヴィーの方を見ていたのである。そしてリヴァイをラヴィとアリシアに見せると、リヴィアがラヴィーと一緒に来てラヴィの頭を撫でた。

アリシアは俺の腕を掴み甘えるようにして身を寄せて来たのである。そして、リリアに呼ばれ、俺の傍を離れていったのであった。

そうこうしているうちに、アヴィウスとラヴィーも登録が終わって戻ってきたようだ。俺はラヴィーが持っていた魔石を受け取って収納した。その後はリディアがギルドカードを貰った事を確認してみんなを送り出すと。俺はラティに、リティを呼び出して欲しいと伝えると。ラティはリティを呼びに行ってくれた。

「旦那さま。ラヴィは、この先どうなるんでしょう?」

リティは俺の元に戻ると、そう言って心配そうな顔を見せる。その表情は、少しだけ疲れが見え隠れするような、不安な様子が感じられた。

「安心しろよ。俺の仲間に悪いようにはさせない。それにラヴィーもラティもいるしな」

俺がそう告げても、それでも不安なのか。ラティが、リティに抱きしめられていて俺が二人を見つめていた。俺は二人を見守っていたのであるが、ふとラヴィに目を向けてみると彼女はアヴィウスに何かを話していて。それから俺の方を見る。すると俺に向かって歩いてきて。そして、俺の前に立つと俺の胸を拳で叩いてきた。そして俺がラヴィを見ると、ラヴィーが俺の肩に手を回してきて抱きついて来たのであった。そしてラティに何かを話す。すると俺の事を睨んでいたラティが、俺を見て笑みを浮かべると、何か納得したような仕草を見せていたのである。そうしてからラヴィーは、ラティの方へ駆けて行くのであった。

そうしているうちに、アリサとアティスが屋敷に到着して、アリサはリヴィアを連れてラヴィーを迎えに行ったようであった。俺はラヴィー達が戻ってくるのを待ってから。ラヴィーとアヴィウスとリティと共に屋敷に向かう事にしたのである。

屋敷に戻って来たラヴィーがラティを連れてくるとラヴィも交えて夕食を共にして俺達は屋敷に戻ったのであった。

俺は屋敷に戻る前にラヴィーにラヴィーの母親の事も教えてもらう事にした。ラヴィの母親の名前は、リヴィアナといい、彼女は昔、王国に仕えていたメイドであり、その時に、国王に見初められて王妃となったらしいのである。そうして子供が生まれたのだが。それが双子であり、彼女は二人とも育てる事を望んでいたそうだ。そこで、双子の弟の方が国王になり。姉は、王族としての生活から離れた。そしてラヴィーを産み落とした彼女は、しばらくの間は王都にある自分の家で暮らすことになった。

そうして時は流れていき、ある時。国王は、ある少女と出会って恋に落ちる。しかしそれは、彼女の夫になる人物の耳に入る。

ラヴィーの父親となる男性はラヴィーに優しく接していたが。彼女に近づく存在が居ると知ってしまうと態度が変わってしまい、彼女を王宮の奥の部屋に連れて行ったのである。そこで、ラヴィーと、もう一人の女性は、国王とその男性から虐待を受ける事になった。ラヴィーの母親は何度も止めようとした。だが、それを聞いた男性は更に暴力を振るい、最後にはナイフで彼女を殺してしまったのである。その後で彼は、王宮内で働いていたメイドに手を出した事が知られて捕まり牢獄に閉じ込められて二度と出て来ることは無かったというのだ。

そんな事を話してくれた後。俺の胸元を掴んできたのである。

「私は、あの娘がどんな目に合うか分からないまま、あの男に抱かれて生ませてもらった。でも今は違う。ラティが私に母親としての生き方を教えてくれたんです。ラティには感謝しています」

ラヴィーは、ラヴィを見て頭を下げていた。俺は彼女の言葉を聞いてから。改めて俺は彼女に言う。

俺はラヴィに。これからはラティと二人で幸せになってくれと話すと、ラヴィーがラティに寄り添って嬉しそうにしていた。それから、ラヴィに、俺が父親である事と。ラヴィーの事を娘と思っていることを伝えるとラヴィーが涙を流す。俺はそんなラヴィーに微笑みかけるのだった。それから俺とリディアが部屋に戻り。それからしばらくして、俺達は眠りについたのである。

翌朝。朝食後に俺は、リヴィアスとリティに、ラヴィの事を任せてラヴィーとラティと一緒に行かせることにした。そして、俺はアリアスと一緒にアリシアの家に向かう。

「ユウマさん。あなたはやっぱりお優しい方ですね」

アリアスが突然。そのようなことを言い出したので俺は不思議そうな顔をすると。

「私がアリシア様にラヴィーさんの事を伝えた時に。ユウマ様がすぐに助けに行こうと言ったのに対して。アリシア様のご両親は反対したんですよね。なのにアリシア様のために、自ら危険な場所に赴く事を決められたのは、あなたが本当に、お心がお強いからだと思います」

そう言ってくれて俺は照れくさくなり頬を掻きながら答えたのである。

俺が、そうやって褒めてくれるならと、俺が今までやって来たことを思い出しながら話をした。俺の話を聞きながら。時々、微笑みを見せて聞いてくれる。そんな風にしながら馬車で移動していくのであった。そうしてアリシアの家に着き、アリシアと一緒に中に入った。家の中に入るとアリシアの父が待っていたのだ。

アリシアとアリシアの母と話をしてお互いに挨拶を済ませる。そうするとアリシアは、俺の所に来て俺の手を取り見つめていた。俺がアリシアの目を見つめ返すと。

「ありがとうございます。わたしを助けてくれてくれて。だから、この事は絶対に忘れません。私の命に代えても恩返しをしたいと思っています」

そう言って、また、俺をギュッと抱きしめてから、アリシアは両親と会話を始めていた。そして、俺とアリシアは、お互いの家族を紹介し合ったり。家族団らんを過ごしたりした。俺はアリシアとの話が終わるのを、ずっと待っていてくれたのでアリシアが、少しだけ両親と話してくるねと言って離れていったのである。そうすると俺はリデアに声をかけた。俺に声を掛けられてリデアは少しだけ嬉しそうな顔になると、傍に近寄ってきた。俺はリデアと一緒に話をしながら、ラティ達が来るまで待つ事にしたのであった。

しばらくするとリティアとアヴィウスとラヴィーとリティの四人がやって来ると、ラヴィーがラティアの傍に駆けて行き嬉しそうにしていて。リティアも、ラヴィーを笑顔で見ていたのであった。それからみんなが椅子に座って食事をし始めると。アリシアはアリシアの父に何かを話していた。俺も気になったので、食事が終わってから。俺とアリシアの両親がアリシアとリティア達と一緒に居間に集まり話をしている間。アリシアに聞くことにしてみる事にしたのであった。

俺はリヴァイに食事をさせているリヴィウスに近づいて話しかけるとリヴァイに食べさせるのをやめさせると俺の方に視線を向けてきた。そして俺はアリシアとアリシアの父親と話をしていたのだとリヴァイに伝えてから。アリシアが何故ここに来たのかを聞くことにする。そうするとアリシアの父親と、その妻の二人が説明を始めた。

そうして二人は俺に説明をするのであった。俺達が、アリシアの住む村に向うと聞いていたのだが。二人共反対をしたのだという。その理由としては俺が一人で乗り込むような行動をした事だと言われたのだが。俺としてはアリヴィウにリヴィアスがいるので安心して欲しいと伝えたら納得してくれた。そうしてから俺がどうして急に村に行く事になったかを説明して、二人にアリシアが奴隷にされそうなところを助けに行ったのだということを説明する。二人から、アリシアスとリリアと俺の関係についても話しておくと納得してくれた。そして俺は改めてアリシアの両親の話を聞いた上で俺なりの考えを話す事にした。

そうして俺がアリシアの父親と話しているところにラヴィーが来てラヴィーの父親がリヴィーの父親の隣に来ると話を始めようとしたところで、ラティも遅れてやって来ると俺達の話に加わり、そのまま話し合っていった。そんな中でリティは何かを考え込んでいたようで俺の方を見て微笑みを浮かべていた。そうしているうちに話し合いが終わったらしく俺はラヴィーとラティと共に家に帰るのである。

家に帰って来る頃には夕方になっていて。みんなでご飯を食べたりしている時に、アリシアが俺の方を向いて何かを決意したように俺を見つめていた。俺はその目を見ただけで理解できたので。明日は、みんなで王都に買い物に行こうと言い出してラティナ達にラヴィを頼むのであった。それから俺達は寝る準備を整え始める。

翌日になって、朝ごはんを食べると、出かけるために荷物を準備し始める。そんな時にラヴィーからアリサに連絡が入りラヴィーが慌てて駆けて行くと、アリサを連れて戻って来た。どうやら、アリサとアティスは街の中で待ち合わせをしているという事だったのだが。途中で偶然にもアティスを見つけてしまい。二人でアティスを探していたそうだ。

そんな話をしながら支度を終えて俺達は屋敷を出る。屋敷を出てからは、アヴィス商会で買いたい物を決めてから、街中へと向かっていく。街の外には馬車を止めるスペースがないために歩いて行く。

道中で魔物に遭遇したが俺が魔法を放つと一撃で仕留めてしまうため。俺達は順調に進んでいき。予定通りの時間に目的の商店に到着する事が出来たのである。そうして俺達は、アヴィウスが経営をしてくれている店に入って行ったのだった。

俺達が店内に入るのと同時に。アリサとアティアスの姿が見えて来た。そして、俺とラヴィーが、アヴィウスの経営している店の商品の事を説明していると。アリサは興味津々に聞いていて。アリサから質問を受ける事になってしまった。俺は、それに答えて、アヴィウスと二人で話を進めるとラヴィとラティが楽しそうにしていたのである。それからしばらくして、買い物を終えると。俺達は、昼食を摂って、その後にラヴィーの実家に向かい。リヴィアナとラヴィと合流したのであった。

そして、俺は王都にある宿に泊まる事になるのだが、リディア達は王城に向かった。

俺は一人、宿屋の部屋の中にいた。そう、今頃、リディア達は国王に会っているのであろうと思う。俺は王城に行かなかった理由としては、俺が行った所で何が出来る訳でもないので行く必要がないと思ったのだ。俺の持っているスキルの中には、他人を強制的に隷属化できる【服従の首輪】という物があり。それを、もしも使わなければならない場面になった場合の事を考えるならば。俺が居なくても、なんとか出来るメンバーなので任せる事にしたのだ。ただ、一つ問題があるとするなら。それは、ラティに、リディアの事を頼まれているのだ。だが、俺は心配する必要などないと、ラティの頭を撫でながら伝えてから部屋に戻って来たのである。そういえば、俺とアリアスが使っている部屋を覗いてきたラティに。アリアスが恥ずかしそうにしながらも。

「ユウマ様の部屋にお泊まりした方が良かったかな?」

そんな風に言っていたな。確かに、ラティがラティとリヴィニアとラティと一緒に泊まっていたし、三人一緒に仲良くして過ごしてほしいとも思った。だけど。さすがに三人の女性を同時に相手にするなんて無理なのだ。ラティだけでも大変だというのに、そこに更にラティが増えたのでは身が持たないのだ。だから、ここは諦めてもらおう。

「大丈夫ですよ。アリアス様」

ラティアはそう言いながらも、どこか寂しそうな顔をしているように見えたが。俺は気にしないようにして、ラティーに抱き着いたりしながら。俺はラティアと過ごしていたのであった。

そうして俺とラティの二人っきりの夜を過ごすのであった。翌朝。俺はいつものように起きると、ラティとラヴィーが起きていて、朝食を作ってくれたのである。ラヴィーの料理を堪能した後、俺はラヴィー達と別れて冒険者ギルドに向かっていった。ラヴィーに案内をしてもらって。そうすると冒険者が集まる建物に着いたのだ。俺は中に入り依頼書を見ながら確認すると薬草を採取するのがいいかもしれないなと思って、そうすることにした。

そうしていると、後ろから声を掛けられて振り返れば、リヴィアが立っていて俺を見ていたのである。俺はリヴィアに話しかけようと思い近づくと。リヴィアに睨まれてしまったので俺は話しかけるのを諦めることにしたのであった。

そうしてから、リヴィアは、その場を離れて違う受付の女性と話をし始めた。そして、話が終わり俺の所に来た時には機嫌が悪いのか俺を睨むように見ながら近づいてきて一言だけ言ってその場を離れていったのであった。

それから、しばらく時間が経っても。一向に、他の人が来ないのはどういう事なんだ? そう思っているうちに、ようやく、リヴィアが俺の所にやって来たのだが。何故か不機嫌になっていたのでリヴィアを放置すると俺を待っていたかのように一人の男が近づいてくる。その男はリヴィアより少し歳を取っている男性で。その男の顔立ちを見て気が付いたのだが。もしかしたら、あの男の親類だろうかと思っているとその予想通りだった。この男は、この国の王の息子だったのだ。

「お前が、俺の妹を助けてくれたようだな。礼を言う」

そう言った後、この場にいる人達に向けて紹介してくれたのだが。俺はリヴィの方に目をやると、その隣にいたアリティアのお父さんが苦笑いをしながら。俺と目が合うと頭を下げていたのであった。この人は、この国の宰相の人の息子だったのだ。そんな人が、わざわざ俺に挨拶しにきた理由を聞いてみれば。どうやらリヴィエールは、今までに見たことがないぐらいに機嫌が悪く。その理由が俺と会ったせいだと言う事らしいのだ。それを聞いた俺とアリティアとリヴィアの三人はお互いに顔を見合わせると、リヴィが不機嫌になる理由は、もしかすれば、俺と初めて会ったからではないだろうかと考えた。俺が初めて出会ったのは、アリティアであり。アリティアを助けた時に出会ったのだ。

もしかしたら。もしかしたら。俺がアリティア以外の人を初めて見たとか、そういう事があったのかもしれなかったのである。もしかしたら俺が知らないだけで。ラティナ以外に俺が会った事がある人物が他にもいるのではないかと思っていたが、もしかしたらその人物と俺の想像が違っていれば、こんな風にはならないはずなのだから。

俺はアリサの父親を見るが、首を左右に振っただけで何も言うことはなかったので、おそらく、他にアリサを助け出した時に会った女性や男性がいたというわけではないんだろうと結論を出したのだった。俺がリヴィアとアリティアとアリサの方を見ると俺達の様子を察してくれたのかリリアとアリサの二人がアリティアの父親に話しかけるのだが。

アリティアの父親が何かに驚いた表情を浮かべてリリアとアリサに何かを問いかけると二人は嬉しそうにアリティアの父親が答えるとアリティアが俺の元にやって来て。俺の手を握りしめてから、何かを話していたのであった。俺には何を話しているかは分からなかったが。どうせアリティアの父親と俺との関係だろうと考えていたのである。俺はアリティアとリヴィアの方を見たのだが。俺はアリティアが何故俺の方を見ているか理解出来なかったのである。そう、俺を見て、どうして笑みを浮かべているのかわからずに困惑していた。そして俺は助けを求めるように、ラヴィーとラヴィの方に目を向けるとラヴィーもラティも苦笑いをするだけで何も言わない。もしかして俺が何かしたのであろうか。そんな事を考えてしまうのであった。俺は何かしてしまったのであろうかという不安を覚えながらアリサとアリティアとリヴィアが俺から離れて話を始めるのだった。「まさかお兄様が来られるとは思いませんでしたわ」

「それはこっちも同じ気持ちだ。それよりもユウマと言ったな。あの少女はお前にとって、どんな存在なのかを教えてくれないか?」

「お兄様。私とユウマ様の邪魔はしないでくださいまし」

「そんな事はわかっている。それに俺だって婚約者が出来たばかりで。お前達の恋を潰すつもりもない」

「あら、でしたら、私のお願いを聞いてくれますよね?」

そう言ってアリティアは、アリシアの方に顔を向け。その後にリディアとアリサの方へと顔を向けたのである。

「ああ、構わないぞ。俺はお前の頼みなら聞くつもりでいるからな」

そうして、アリティアが俺に対して何を聞きたいのかわかったのである。そしてアリティアの口から告げられたのである。アリティアとアリサが、どうしたいのかを。それを聞いた俺は、すぐにアリサとアリティアを連れてラヴィの家に行くことにした。

そしてアリティアとアリサに、どうして俺に会いたいと思っていたのかを聞く事にした。そう、アリティアがアリサから、アリシアの話を聞かされたらしく。それからずっと会いたいと思っていたみたいだが。ラヴィに止められていたので、会うことが出来なかったのだと教えてもらったのである。それから、アリッサはラヴィとリヴィの様子を見てから話すことを決めて今は、リディアが面倒を見ていてラティと一緒に、俺の屋敷で暮らしていると聞いたらアリティアは安心したような顔をする。そして俺は二人に「いつでも遊びに来ていい」と言うとアリサとアリティアは笑顔を見せてくれたのであった。そう、これで、二人にまた友達が出来たこと。俺はそれがとても嬉しいのであった。俺は、そうしてラヴィ達の家に移動するのであった。

そして俺達は、リヴィア達に別れを告げるためにリヴィア達が待つ宿に戻ったのである。そうするとラヴィーにリディアとラティを任せて俺はラヴィーと一緒に店番をしていた。

そして俺はラヴィーと話をしていた。その途中で俺はラヴィーと別れる事になったのである。そのラヴィーとの別れ際に。ラヴィーが突然に俺を抱き締めて俺にキスをしたのだ。俺とラヴィーの別れを見ていたリヴィが、俺の頬を両手で掴んでから俺の唇を奪ってくる。そうして俺の事を離してくれなかった。ラティが「ユウマさんを返してください!」と言いながらもラティは、ラヴィの肩に手をかけて引き剥がそうと頑張るがラヴィの力が強いのかビクともせずにいたので俺とアリティアとリリアナでラティの体を支えながら、リヴィを宥めることになった。

だが、結局、最後までリヴィアは俺の事が気に入らなかったのか。「おにーさま。私はあなたを許しませんからね。それと今度会う時は覚えていてくださいね」と、言ってからリヴィーを俺から引き離してラヴィーを連れて行くのであった。俺の頭の中には??マークが飛び交っていたのである。そうして、しばらく経つとラヴィも帰って行った。

俺はリティア達から解放されて屋敷に戻ってからリティア達から話を聞いていた。俺は三人の女性と会っていてリヴィアの事を知らない事を話すとリティアとリヴィは、その話を信じられないようだったのだ。そこで俺は、この世界に転移してからリヴィアの話を聞いたことがあるのか? 俺は聞いてみたのだがリヴィア達三人の女性は誰もリヴィアについて語ろうとしなかったのである。なので俺は三人が話してくれるまで待ち続けようと決めたのであった。そう、これから先、いつになるかわからないが、俺がリヴィアと出会う事になるかもしれないと思ったからである。そして俺の頭の中で何か引っかかるものを感じたが思い出せなかったので。その事に関しては考えない事にしたのであった。こうして俺の長い夜が終わりを迎えるのであった。そう俺は思ったのだった。

そう、今日でリデアが俺の専属護衛として仕えることになってから一ヶ月が経った。リヴィが王城へ登城の時は必ずリヴィアも王城に行っているのだ。そんなリヴィアから俺が呼ばれて部屋に向かえばリヴィアが俺に向かってこう言ってきたのだった。

「勇者殿。実はリヴィが貴方に謝りたいと申しているのですよ。ですので今日の予定は無しにしてもらってもいいですか? あとリヴィアにも用があると言っていましたのでリヴィアと王城へ行くので、よろしく頼むよ」

リヴィアも王城に行かなきゃならないので、もしかしたらリヴィアとリヴィアのお父さんとリヴィアの婚約者が王都から帰る途中に出会うかもしれないなぁと思いつつ。俺は、この国の宰相がこの前俺に言っていたことが本当なのかどうか確認しようと思ってリヴィアに頼んだのだった。そしてリヴィアと一緒にリディアのいる家に向かうとリヴィアにリヴィアの両親にリデアと、ついでに俺がラティアと、この前の件に関しての謝罪をするために呼んだ事を伝えたのだ。

そんなリヴィアと一緒にリヴィアの両親の所に向かい。その最中で俺とリヴィアの関係を、俺の家族に紹介するとリヴィアの両親は、俺に、とても丁寧に挨拶をしてきたのである。俺は、リヴィとラティアが一緒に住んでいて、ラティナやアリシアの世話をしていることを伝えるとリヴィのお母さんであるアリシアさんからラティナとアリシアがどんな娘かを尋ねられた。そして俺はラティナとアリシアから、今までの生活とリヴィアとリヴィアのお父さんの事は聞かされていた事を伝えてからリヴィの母親とアリシアさんに、リヴィから俺と出会えてよかったという気持ちが伝わっている事を教えたのだった。

そう俺が伝えた事でリヴィアのお父さんである、ライナス様からリヴィアに対して何かしら思う事があるのだろうか? リヴィアは何か言いたそうな顔を浮かべていた。

もしかしたら、自分が知らない間に俺と出会っている可能性を感じているんだろう。俺はその表情を見た瞬間からそんな気がしたのである。リヴィアには申し訳ない気持ちでいっぱいなのだが、俺は何も言わずにいた。なぜならリヴィアには、俺と出会ったことなんて関係ないからだ。俺は自分の家族を守るために、自分からリヴィアの幸せを奪ったんだ。俺は、そう考えているからこそリヴィに何も言うことは出来ない。そして俺はラティナ達と暮らして、アリシアさんが亡くなってしまってリヴィは俺と一緒に暮らすことになった経緯を二人に教えた。その時にアリシアさんが俺に手紙を残してくれていたことを二人に話すと、俺の手紙の内容を知りたいと言われて俺が書いた内容を口頭で言う事にしたのであった。

そして俺の話が終われば次はラヴィとリディアの両親を紹介するためにラヴィとリティアの部屋に向かったのであった。そして俺はラヴィとリティアの両親にリヴィと同じように簡単に説明をする。そして二人はリヴィアを見て驚いた様子を見せていた。そういえば二人は、まだリヴィが生きていると思っていなかったんだったな。

だから、二人が驚いても仕方が無いかと思っていた。俺はそう思っていたのだが。リヴィは二人の態度を見て怒り出したのである。そして俺はリヴィに対して二人に謝るように促すことにしたのである。すると、俺に言われたからなのだろうがリヴィアは、すぐに頭を下げてくれた。そう、二人に謝罪の言葉を口にしたのであった。

そうして俺は、この部屋にいた全員に席に座るように言ってから俺もソファーに座ってから話を始めたのである。

「とりあえず自己紹介をしておきましょう。俺の名前は勇真です」

「「はい?」」

「それで隣にいる女性は、ラティ。そして後ろの女性達四人がリディアとリヴィ」

そう俺は、三人に紹介したのだ。だが、何故かラティアの両親が俺を、そしてラティの両親を見てきたのである。俺が首を傾げていれば、リティアが俺に対して、どうしたのかを聞いてきてくれて。その理由をラティが説明してくれた。それはラティがラティのお父さんとリヴィアが恋人だった事を話し、そのラヴィアが亡くなった事をリヴィアがラティに伝えたらしく、そのラティの話を聞きラティの父親に、どうして亡くなった事を知っているのか聞かれたとラティが教えてくれたのであった。それを聞いた俺は、そうか、リヴィアって俺以外の人間とは面識が無かったんだっけ。でもリヴィアもラヴィと知り合いだったんだよなぁ、それじゃあラヴィがいなくなったことをどうやって知ったのだろうと疑問を持ったが俺は口にしないことにした。だってラヴィアの葬式の時にはラヴィアの遺体しか見てないからね。もしかしてリヴィアは、リヴィの事を知らなかったから、葬儀でラヴィと会った時の服装で現れたんじゃないのかと、思い始めたのである。

「えーとね、私が知っている情報によると、リヴァイアサンっていうのは、勇者様に召喚された人だと思うの。確か、その人はリヴィさんの幼馴染みだと聞いているよ」

「ラティ。お前が、ラティなのか?」

「そうだよ。ラティだよ。久しぶりだね。元気だった?」

「ああ、俺は今はとても充実しているよ。それよりも聞きたいことがあるんだけどさ。お前達と一緒に旅をしている仲間の一人は何処にいるんだ?」

「あのねぇ、その前にラティの質問の答えを聞かせて欲しいの。本当に、その人、私の友達だったのかなぁ?」

「うん。間違いないよ。だって私とリヴィちゃんは小さい頃に会っているから。それで私は、お父様が魔王討伐の旅に出る時、一緒に旅立つ予定だったんだ。ただ出発直前に、ある人からのお願いをされてね。それを断り切れなくて、結局お父様はリヴィアのお父さんを連れて、そのままリヴィは置いて行ったのよね。まぁ私は一人ぼっちになってもいいから。リヴィが心配で私は王城へ残ったの」

「そんな話を聞かされて信じるとでも思ったか! 俺達が、どれだけ苦労をしたと思っているんだ。それに俺達は、お前が王都を離れた後に。この王都で何が起きたか知っていて言っているのか!」

「もちろん、分かってるよ。だけど、その事で貴方達夫婦が大変な思いをしていたとしても。貴方達だけで勝手に行動を起こした結果でしょう? それと、この話はリヴァさんが王城を出てから起きた事であって。貴方達夫婦が勇者様と一緒に王都を離れるまで起きなかった事でしょう?貴方達に、この国の人達の面倒までみる必要は無いと思うけどなぁ。それとラティナ、ごめんね。この国で起きた事件の責任は私にもある。それとアリシア、もうそろそろ目を覚ましてもいい時期でしょ? リヴィアは貴方の婚約者だったはずだけど?貴方はラティとラティティーに何をしたの?貴方も責任を取らなくちゃいけない立場なんじゃないの?貴方がリヴァイさんを殺したんでしょう」

そう言い放った後、リヴィは俺に抱きついてきて涙目になっていたのだ。そしてそんなリディアの様子を見ながら俺の腕に顔を押し付けていたのである。そうして俺の方は俺にしがみついている女性達を見て困った顔を浮かべているのだった。ちなみに、俺はリディアやリリアナから話を聞いただけだから、詳しい内容は知らないのである。そうして俺は、リデアの言った事が正しいのかどうかは、リヴィアに聞くしかなかった。俺は俺にしがみつくリヴィアに視線を向けたのである。

「おい、ラティア、お前は何か知っているのか?」

リヴィアの両親は困惑気味の表情をしていたのだが。俺の隣にいたラティアだけは違った。なぜなら、ラティアがリヴィを睨みつけて口を開いたのだ。

「そういえば貴女に一つだけ言っておく事があります」

その言葉を聞いてラヴィがラティナに向かって話しかけた。

「なに? その、ふてぶてしい態度は、リヴィ。お前には礼儀というものがないのか?」

ラティアはリヴィに言い返すが、そんな言葉を聞かなかったかのようにリヴィにラティアは、話しを続けたのだ。

「お前は、自分がしたことを分かっているのだろうな?」

「何のことですか?」

「リヴィがリディアやラティナにした事は許されないことなんだぞ。そのリディアとラティナに謝罪の一つもないとは呆れたものだ。しかも自分の婚約者に、お前は自分の娘なのに手をあげたのだろう。それでは親子の縁を切って当然の事ではないか。それが理解できないのならば、ここで親子の関係を解消したほうがリヴィアの為だろう」

リヴィアはリデアの発言に怒りの感情を表したのだ。それも俺にしがみついていたラティが震えるほどの怒りを感じさせていた。そして俺に顔を埋めながらリデアを威圧するかのように睨んでいた。しかしリヴィアも大人であるし俺の家族を傷つけた事を許すわけにもいかず。俺の方に視線を向けたあとに俺はリヴィに声をかけたのである。

「リヴィア。落ち着け。そして話をさせて欲しい。リデェアには少し話しておかないといけないことがある」

「わかりました。勇真の言う通りにします」

そう言ってリヴィアは俺から離れてくれたのである。

「それでラティアさん、どうして俺とラティアはリヴィを家族として認めないんだ?」

「はい、まずはその件ですが、勇真様のお気持ちは分かります。ですが、その方は魔王を討伐したあとで魔族の国に帰りたくないと言い張っておりましたが、それでも魔王を討伐した英雄であり国王陛下からの正式な許可書もありませんでした。そんな方に対してリヴィアに暴力を振るっていたと報告が上がってきており、そんな人物に我が家に入る権利はありません。そしてリヴィア、どうしてお前は勇真様がお前達を助けてくれると思えるのか不思議でならない。リヴァイさんの事もそうですよ。リヴィアが助けに来てくれなければ殺されていたという事ぐらい、お前なら理解できたはずだ。なのにリヴァイさんが死んでも構わないと思ったという事なのだな。そうなのだろうな、だから、ラティアはラティを、そしてリディアを置いて行ったのだろう」

ラティアがそう言えばリティアは涙を流し始めていた。そんなリティアを慰めるのはリティアの父親の仕事なのだろうが、なぜか彼は何もしなかった。俺と目が合うと気まずそうにしていたのだが、俺は気にせずに彼に話かけることにした。ちなみにラティアの母親と弟達は黙ってラティアとリヴィのやりとりを見つめていたのである。

「とりあえず話を進めるけど、俺は、お前達がリヴァのことをどのように思っているのかについては知らないし。俺からは何も言えない。だが俺はリヴァイと約束している事がある」

「「約束ですって?」

二人は、同じ言葉を言い放つ。そして同時に立ち上がり、リヴァイに俺が何を約束したかについて質問してきた。その問いに答えようとすればラティが止めてきたのである。

「ねぇ勇真、それは言わなくても大丈夫だよ。リヴィアだってリヴァイさんの事を忘れたいかもしれないしね。それよりも、早く話し合いを始めた方がいいんじゃないのかなぁ。これからの事とか決めないと駄目だと思うんだけど。その前に私達の事を勇真とリデア様達に紹介するべきじゃないかなぁ」

ラティアの言葉を聞き俺はリヴァイが、俺とした契約の話をするのをやめた。それから俺は二人の名前を紹介し、リデアに俺とリヴィの契約の内容を詳しく説明してくれるように頼んだ。リヴィが俺との契約の内容を聞いて、納得してくれたようで良かった。リヴィアはラティの話を聞き。今まで自分がしていたことを理解し反省したらしく。今後は二度としないと誓ってくれたのである。

リヴァイが生きていると聞いて喜んだのはリデアだった。ラティアの父親がリヴァイに謝りたいという事を伝えれば、リヴァイはリデアを許してくれていたのであった。そしてリヴァイの遺体はラティアが引き取る事に決まり。リヴァイの遺体を引き取り、そのままラティと共に王都を出発することにした。その際にはアリシアが目覚め、彼女も同行することになったのである。リヴァイの遺体を運ぶための魔法陣の準備をすると俺が伝え、皆には外で待つように指示を出した。リデアは一緒に付いて来るようだが他の者達は俺の転移のスキルを使う事を伝えたのだ。そうしてラヴィアが王城に戻り、リデアは準備ができたと言って俺に合図を出してきたのである。俺はリディアの手を握り王城の外へ転移したのだった。王城を出た後でリデアは「それじゃあ、私は一度帰るよ。それと王都に残っていた使用人達を呼んでくるね。この国の復興の為に、色々と力を借りたい事もあるから」そう言うので俺は了解をしたのである。

そうして俺達は王都を出発したのである。俺が運転する車に全員が乗り込んだ。そして王都を出てすぐに、リデアは俺に向かって話し出したのだ。ちなみにラヴィアが王城へ戻って、リヴィア達と合流できたことは既に伝えてある。そしてラティアは、俺が伝えた情報により今後の事を考える時間ができ、ラティナを連れて一度実家に戻ると伝えてくれたのだ。そして、アリシアがラヴィア達に挨拶をして「私も、一緒に行く」と言い出していたが。ラティが「ダメ。私達と一緒に行けば危険な目に遭わせる事になる」と、アリシアを説得して。彼女は渋々ながらラティに付いて行く事になった。その後で、リデアと別れて俺とラティ、リディア、アリシアと、その夫、妻の組み合わせになったのだった。そうしてラティとアリティアの結婚式が終わった翌日、俺達は王城を出発したのである。

「ねぇ、勇真さん、これから何処に行くの?」

助手席に座っているラティアが話しかけてくるが俺は前を見て運転をしているのである。そして隣に座るリディアがラティアの頭を軽く叩いたのだ。そんな様子を見た俺は少し苦笑いをしていたのである。

俺は運転をしながら今後の方針を考えていたのだ。このまま西に進みリヴァイが住んでいた魔の森を目指そうかと考えていた。だけど魔族の国であるアーダド王国に行こうと思っているのである。俺は、そこで魔王の居場所を確認し、倒す方法を考えようとしていた。魔王を倒せば魔物の大群が、この世界を襲うことはないだろうと予想していたからである。俺の話を聞いたリヴィアやラティナ、それにラティは反対をしなかったのだが、リデアだけは俺の考えに反対していた。そしてリデアが俺に対して「貴方一人でどうにか出来る問題じゃないでしょう?勇者が、こんな少人数だけで旅になんて出るべきではない。しかも、魔族の領地に向かおうとしているのでしょう?いくら貴方でも無理がある。もう少し冷静になりなさい」と忠告してくれたのだが。俺はそんな事は分かっていたが「大丈夫。なんとかなるから心配しないで欲しい」と言い、リデアの意見は聞かなかったのだ。そうして、俺が決めた事なのでリヴィとラティにも同意を求めたら二人とも「勇真のやりたいようにしていいよ」と言う言葉を聞いて、リヴィアが、俺の耳元に唇を寄せ「私の事は置いて行ってください」と囁いてきた。

その言葉で、俺の中で迷いが生じてしまったのだ。リディアには残ってもらうつもりでいたのだ。しかしリヴィにはついて来てもらいたかったのだ。俺はリヴィの方を見る。

「勇真さんがしたいようにすれば良いのです。私がリディアに勝ったのは事実です。しかしリディアの言う通り。今は戦力が少ないです。そんな状態で魔王と戦っても無駄死にしてしまうだけなんです。そんなのは嫌です。だからリデア様が言っていることも理解できる。それでも私はまだ弱いので」

リデアの言いたい事を理解しながらも俺がやろうとしている事の大変さを知っているようであった。

リデアと俺達の間に流れている微妙な空気感を感じながら、俺が運転をする車の中に会話はなかった。そして夜になる前に俺は、森に着きテントを張ることにした。そして俺は皆を寝かせてから、俺も休むことにしようとしたのである。しかし、その前にリヴィに聞きたい事があった。

「リヴィ。どうしてリヴィアを置いて行けと言ったんだ」

「そんなの決まっている。勇真が死んでしまう可能性が高くなる。それだけですよ。あの方は勇真の事が好きでしたから」

「好き?」

「そうです。あの方は勇真さんの事が大好きだったからです」

「そっか」

リヴィの返事を聞いたあとで俺は、ラヴィから聞いたリヴァイとラティアの契約の話をした。リヴィはそれを聞くと、少し悲しそうな表情をしていたが、すぐに俺の目をまっすぐ見つめたあとに「私はラティを愛せるのかな?」と呟く。

「どうだろうな。ラティアは優しい子だ。ラティはお前を受け入れてくれるんじゃないかな」

「そうですか。それなら私とリディアを勇真さんの側に置かない方が良いと思います。これから勇真が向かう場所は私達魔族の国ではない。そんな場所に行った場合。私はリディアを傷つけてしまいそうで怖いのです」

俺は、そのリヴィアの言葉を黙ったまま聞いていた。

俺達が魔族の国に向かうのを反対したのはリデアだけではなく。他の皆も、俺を心配する意見ばかりを言ってくれた。そんな中でラティはリデアに反論してくれていたのである。そしてリデアが俺を心配してくれているのは良く分かったのだが、それでも俺はラヴィを連れて行きたかった。それは俺のわがままだったのだが、俺が連れて行きたいと伝えると、皆が困っていた。そして俺が強引にラヴィを連れ出そうとすればラティは泣き出し、リデアは「ラティの事も大事に考えて欲しい。リデアも本当はリヴァイの遺体を引き取って、お墓を作ろうと思ったけど。ラティアがいる手前、我慢していたけど。でも、やっぱり納得はできないんだよねぇ」

リデアはリヴァイを尊敬していた。それだからこそ俺の考えに賛同しかねると言っていたのである。リデアはラティの事を大切にしているし。リヴァイにとても感謝しているし、ラヴァイの事が好きだったのだ。

そうやってラティが泣き出した時。俺の前に突然リデアが現れた。俺が驚いてリデアを見ていた時に「勇真さんがラティを泣かせるとはね。私に内緒でリヴァイ様を助けようとしたみたいだけど。私はラティが泣いてしまうと勇真さんの事嫌いになってしまうよ。まぁ私は勇真の事は好きだけれどね。それにリヴァイ様が亡くなった以上はもうこの世界に残る意味はないのかもしれないよね」

リデアの言葉にラティは顔を上げてリデアを見た。リデアの顔をしっかりと見ているのである。リデアはラティが涙をこぼしていることに気付いたのかハンカチを取り出して彼女の目元に優しく当てた。それから自分の膝の上に乗せたのである。リデアの行動に、俺は思わず口を開いていた。

「何してんのリデア」

「はぁ?リデアじゃなくて。リデア様にちゃんと言いなさい。ラヴィがリデアを慕っているのは知ってるんでしょう?なのに、そんな態度はないだろう」

ラヴィがリデアに抱きつき。それから甘えている。それをラティは複雑な気持ちで眺めている。リデアはリヴァイに好意を抱いていたのだ。それこそラヴィの事を娘のように大切に思っていたのでリヴァイが死んだことで悲しみは深かったはずなのだ。リヴァイに恩を感じていたのもある。それに加えて。

「そういえばリデア様は、よくリヴィアと二人で出かける事が多かった気がしますね」

「確かに」

ラティアの言葉にラキが同意してリデアを見つめる。そう言われると、俺は思い出してしまった。ラティアの母親が死んで、リヴィアをラティナが引き取る事にした時の事を思い出したのである。そう言われれば、俺とリヴィア、ラキはラティとあまり話をしたことがないような気がしてきた。俺はラティに近づいて話しかけた。

俺が近寄ってくるとリデアが「ラティアに話があるので離れます」と言って離れて行ったのである。そして俺の方に振り返りながらラティの肩に手を置き「勇真がラティの気持ちを踏みにじるのであれば私達は貴方の敵に回るから覚悟しておいて」と言ってきたのである。その言葉にラティアがリデアの手を掴み、「そんな事はさせないから」と真剣な表情で答えたのだ。そうしてリデアがリヴィと一緒にラティアから離れていったのである。

リヴィアやラティ達と話し終えたリデアとリヴィは、俺に話しかけてくる。俺は、リデアの問いかけに「ああ」とだけしか言えなかった。その様子からラヴィを俺達の仲間に連れて行くことを止めるのは難しいのではと考えたらしいリデアは、ラティアに「勇真さんの考えを尊重してあげたらどうかな」と話しかける。

リデアの提案を俺は受け入れたが、それでも、どうしてもリヴァイを生き返らせる方法はないかと探したかったのである。そこで俺はリヴィに相談することにした。そしてリヴァが生きている事を教えてもらったのだ。しかし、その方法を聞いた俺は、それを聞いて絶望していたのである。その方法というのが「魔の森にある遺跡の最深部に行き、そこの遺跡で眠る魔族の王の復活させる必要がある」と教えてくれたのである。俺はリデアの方を向き、質問をする事にした。

「リデアは、俺の考えが間違っていると思っているんだろう?」

「当たり前でしょ。そもそもリヴァイが死んでいるなんて思えない。魔族が人族の敵なんて馬鹿げた事を言う人もいる。そんな事ありえないのに。勇真がそんな事を考えなくても良いんだよ。私も魔族だし。ラティアだってそう。だから勇真が心配しなくていい。ラティが、もし貴方と一緒じゃない方が良いって言ったら私が一緒に行ってあげるから」

「そうか」

俺が心配する必要がないと言われたが、ラヴィの事を考えるとリデアやリヴィと別れるのは辛いものがあるので俺が、ラヴィの気持ちを聞きに行くことに決めていた。ラヴィに会えるのが楽しみになっていたのだ。俺はラティとラヴィ、それにラヴィの世話役をしているというメイドの女性の四人で会うことになったのである。

そして俺達が魔族の国の国境に向かって歩いている時に、俺はラティに気になる事を聞いてみることにした。

「ラディアはリデアをお母さんと呼んでいないけど、どうしているんだ?」

「それはですね。リデアは私にとっては叔母にあたる方で。私がリデアの養女になった後に母に頼んで妹にしてもらいました。私には姉妹がいないのでリデアは姉のような感じですね」

俺が思っていた以上にラディアの両親はリデアを溺愛していたようである。リデアをラティの妹にした理由が、リデアが可愛いすぎるからであると聞けば分かる気がしたのだ。それならラディアは、俺にとって義理とはいえ、実の姉妹になるのかと考えてしまう。

そう考えるとリディアが、俺の考えている事を予想していたかのように笑い出す。その声を聞いた俺は慌ててリディアの方を見る。するとリディアと目が合ったのだが彼女は微笑むと、そのまま俺の頬を軽くつねった。そして「そんな事を考えていたのですか」と言うと俺から離れた。そして「私達の間にそんな考えはいらないですよ」と言い残してから先に歩いて行ってしまったのである。

そう言われたあとに、ふと疑問に思った事がある。ラティはラティティの事を『ティ』と呼んでいたはずだが、俺の呼び方が変わったのは何でなのかと思っていた。そして俺は、ラティがリヴィと仲が良いのは分かっていたが。リディアとラティの関係は良く分からないのだ。ラティの事を本当に好きなラフィアは、俺とラティとラヴィが、一緒に行動しているのは不満らしくて、時々俺を困らせてくれる。まぁ俺に文句を言ってきているのはリデアなのだが。リデアの場合は少し違う気がするのだ。俺に好意を抱いているのは確かだろうが。ただ、なんというのだろうか。

ラディアは、少し変わっている。俺がリヴァイに惚れていた事は、この世界の人間なら皆知っているだろう。リヴァイの事はリヴィと、ラティティの両親がリデアに伝えてくれていたからだ。ラティティも両親とリデアからは聞いていたようで、特にリヴァイを慕っていたラティアもリヴァイの事は知っていた。そしてラヴィにも伝わっており、リデアがラヴィティと話すきっかけを作っていたようなのだが、俺に対して態度が変わることはないし、リヴァイに対する思いを隠すような事もしない。

ラヴィアが俺のことを慕ってくれているのは良く分かったのだが、リデアが、俺に惚れているのは良く分からない。そしてリデアとリヴィとの関係がどういう関係だったのかもよくわからない。俺と初めて会った時はかなり険悪なムードだったのに、俺に惚れているというのだ。それに、ラティナとラヴィーネの事も良く分からなかったのだ。二人に関しては、俺は、まだ良くわかっていないことが多い。

ただ一つ言えるのは、リデアは間違いなく美人で性格も良い。それにスタイルも良いのだ。それは間違いない。だが俺をからかっているような言動が多い気がしていたので、彼女達の本当の姿がつかめないのかもしれないと思うようになっていた。

そして俺はリディア達を追いかけながら「ラティアは、俺の事が好きなのかなぁ」と呟く。その言葉を聞かれたらしいリデアは足を止めてから俺を見てきたのである。その目は何かを疑うような目をしていた。そして俺に「何を言っているの勇真」と言ってから俺の前に来ると、リデアが俺の目を覗き込んできたのである。俺は驚いて後退ろうとした。しかし、いつの間にリデアが目の前にいたのか俺は全く気付かなかった。俺は焦りながらも彼女の顔を見て「近いって」と言ってみるが、彼女は俺から離れることはなかった。

俺はリデアの顔が近くにくるまで近寄られた事に気付かなかった。そして彼女が真剣な目で見つめてきている事を感じ取った。俺は恥ずかしくなり、なんとか彼女の顔を押し返す。

しかし、そんな抵抗をリデアは力づくで止めてこようとする。

「ラティに告白されたんでしょう?それなのにラティ以外の女のことを考えるのは許さないよ」

そう言うと俺の首の後ろに手を回し、抱きつくと唇を重ねてから顔を離す。そのリデアの行動に俺は驚きすぎて固まってしまったのだ。

俺はラティアのことで悩んでいる時に、急にリデアが俺の事を好きと知って動揺していたのだと思う。そうでなければ、こんな風にキスしてくる相手に対して、俺は抵抗して逃げようとしていたはずなのだ。

そう思うくらい俺は驚いたのだ。俺は、いつもは、おふざけのようにからかってくるだけの相手に、ここまで迫られて戸惑っているのである。しかも俺の体はリデアの柔らかい身体に包まれている。それだけでも俺は緊張してしまう。

リデアは「これで分かったでしょ」と言い、それから再び俺の耳元で囁いたのだ。

「勇真はラティが好きだけど。私は勇真を愛しているの」

そして今度は俺から離れると俺に微笑んできたのである。その笑顔を見た瞬間に、なぜか俺の中に安心感が生まれたのだ。そして俺は自分が、今までになくドキドキしている事に気がついたのである。リデアの笑顔は反則だと思いながら、俺はラティアが好きだということをリデアに伝えると彼女は、すぐに離れていく。俺はリデアの事で頭がいっぱいだったのだ。だから他の事に気がつかなかった。

俺は、ふと思ったのである。リデアはリディアに似ていないかと。俺がリディアに抱いていた印象と全く違ったからである。

リヴィアもそうだった。あの人は俺の事が好きで好きでたまらなそうに話しかけてくるのだ。そしてラティナと仲良くなるように言ってきたのである。

そう言えば、リヴァイに似ていたラティーは、どうして俺の事を嫌っているのだろうと疑問を感じていた。

そして、もう一つ思ったのはリヴァイの事だ。リヴァイは、ラヴィに、ラディアとリデアと、ラティナとラヴィーネの事を伝えてくれたのは良いとして、その後、ラヴィーネを魔の森にある遺跡に連れて行ったと聞いている。しかしリディアはリヴァイスで死んだ事になっている。そしてリヴァイが、魔の森にある遺跡で復活させた魔王はリヴァイではなくリヴァイに似た別人だったはずである。そのリヴァイ似の人物と一緒にいた、ラヴィーネは大丈夫なのかと考えていた。しかしラティアの話では、魔王を生き返らせたのはラティとリディアと、ラヴィという少女の三人しかできないと言っていた事を思い出す。

そう考えればラティも、やはり魔族の国に行った方がいいのではないかと考えたのであった。

そう思案していた俺に対してラティアが、声をかけてきたのである。

「どうかしましたか?勇者様」

俺は、リヴァイに似ている人物が気になり考えていたのだが。そんな俺にラティが不思議そうな顔をしながら声をかけてきたのだ。俺は少し戸惑いつつ答えることにした。そして俺がラヴィに会いたいと頼むとラティアはすぐに了解してくれたのである。

こうして俺はラティに連れられて、魔族の国にやって来たのであった。そして俺達は、ラヴィがいる部屋に入ると俺は言葉を失った。なぜなら、そこには信じられないほど美しい女性がいたからである。俺がそのラヴィを見て驚いていると。隣にいるラティが俺の事を小突いてきた。それで俺はハッとする。そして、慌てて俺を睨みつけていたラヴィに謝る。そして、この女性がラティが妹のように可愛がっている人だとラティから説明を受けて俺は、もう一度挨拶をした。すると、ラヴィは俺に向かっていきなり剣を抜いて斬りかかってきたのである。俺が驚いて後ずさるとリデアに腕を掴まれた。

俺は、また殺されるのでは無いのかと思い、リデアに守ってもらおうと思っていると、突然ラヴィが悲鳴を上げた。どうやらリディアが俺を守ってくれたようである。俺の視界にはラヴィの攻撃を弾くように魔法を使っているリディアの姿があった。しかし、リディアの攻撃はラヴィの剣によって弾き飛ばされたのが分かったのである。

俺の目にはリデアの動きが全く見えない速度で戦っていたのである。俺は、それを確認してから慌てて自分のステータスを確認してみる。しかし【レベルが1】になっており【HP

5000/500】になっていたのである。さらに職業の項目が増えていて、そこに「神」と書かれている。そしてその下に「全知の神」という文字が表示されており。それに触れてみれば、 【称号:神々に選ばれたものを獲得。それにより『神眼』の使用が可能となりました】

と表示されている。俺は、その称号の「神々に選ばれし者」をタッチすると「神」と書かれた項目が追加され、【レベル】【体力】【魔力】【筋力】【敏捷性】の六つが記載されている。俺は、その中の一番下の「ステータス」を選択すると、「能力詳細」「スキル」という二つに分かれていたのである。そして、まず最初に「能力詳細」を押すと【ユニークスキル】というものが五つあることが書かれていた。そして、その中で一つだけ目につくものがあった。それは、 【特殊スキル 限界値突破(MAX)

神の力を開放します レベル上昇時に能力向上率アップ。経験値獲得量増加。スキル取得可能数が無限となる。全属性魔法を使用可能。状態異常無効。精神攻撃耐性強化。肉体再生速度促進。即死回避。アイテムボックス アイテム召喚。アイテム操作。自動発動型回復スキル習得】

というもので、俺が欲しかった「アイテム作成」が「全知の神」で作れるようになっていた。俺はその項目を押そうとするが、その前に俺は自分のステータスを見ようと思い直してみた。そして俺は自分の能力をみて驚くことになる。なぜなら「ステータス」の項目に「能力」があり、その中に、今まで表示されていなかった【ユニークスキル 全智の書 鑑定眼 神眼 レベル2/100 限界値突破

(∞ Max Lv 2 限界突破

(10)

スキル取得数増加 レベル1 】と表示されるものが出ていたからだ。これはリデア達と同じものだったのである。

それに俺は驚いたのだけれど、それよりも驚くべきはラティが使ったであろう【神聖剣術LV7】だったのだ! リデアとラティアに関しては、レベルが低いにも関わらず、凄まじく強くなっていたからである。そんな二人のことを思いながら、目の前にいるリディアとラヴィアの方を見たのである。すると、俺の目の前にいたリディアの身体に変化が起きたのである。俺はそれに驚きながら見ていると彼女の身体が変化していく。

その様子はリディアの胸のあたりから始まり、そして全身が変わっていくのがわかった。それはリデアも同様でラティナもそうだったのだ。しかし、俺の視線はその光景に釘付けになっていて動くことができない。そうして、リヴィアだけが、いつもの格好で俺のことを見てきているのだ。俺がリヴァイの事が心配になりリヴァイのことを聞いてみると。

「あぁーあの男ね、今頃は、私達の国を乗っ取ろうとしていた、魔王と戦ってるわよ」とラティに言われたのである。しかし魔王とは一体なんなのだ?と思っているとリティアが教えてくれた。それによると魔族は、魔物の上位種だと言ってきたのだ。つまりリヴァイが戦っている魔王というのは、魔物の王ということらしい。その言葉に納得した俺はラティに魔王の事を聞くと「私の事を愛してるなら、助けに行ってあげなさいよ」と言ってから、俺に対してウインクしてきたのである。そんなラティに俺も微笑むが内心は不安だったのだ。

俺がラティに対して苦笑いを浮かべているとリデアが近づいてきて言ったのだ。

「勇真、大丈夫だよ、魔族の強さって人間とは違うのだから。魔族の強さを人間の常識で考えちゃダメだから」

そう言って俺に笑みを見せてきたのである。その笑顔を見た瞬間に俺は安心して、これから起こるかもしれない戦いに向けて覚悟を決めたのだ。そして俺は、この国の人たちに見送られて魔王の元へと向かったのである。

*

***

勇真は知らなかった。

勇者が旅立ってすぐ後に、リディアが呟いていた。その言葉を。

「勇真はラティの事が好きなんでしょうけど、ラティは絶対に渡しませんからね。私はもう勇真の事しか愛せないのですから」と。リデアとリリアナも同じように考えていた。だから三人ともラティアが勇者に対して恋愛感情を持っていることに嫉妬を感じていたのである。そしてラヴィはそんな姉たちを羨ましそうに見つめながら勇者の後ろ姿を見えなくなるまで見送ったのであった。

「あれが魔の森ですか?」

俺がリデアに向かって質問するとリデアが「えぇ、あの森の向こう側が、そうよ。魔の森と呼ばれているところなの」と答えた。

俺達は、リヴァイがいる魔の国へと向かうためにある場所に向かっていた。その場所とは王都の南に広がる大森林だった。そしてその森の中に転移門を設置してそこから移動しようとしていたのである。

俺達は森に入る直前にある物を用意していた。それは大きな鞄とリュックだった。俺はそれを用意するとラヴィの方に渡そうとしたのだが彼女はなぜか、ラヴィの持っている袋の中に入っていたお菓子に興味を引かれて俺の手から受け取らなかったのだ。なので、リヴィアにも手伝ってもらって、ようやくラヴィの荷物を持つことができた。俺は、その様子を眺めて、ラヴィとリヴィアの二人も可愛い女の子だけど姉妹じゃないからやっぱり似ているわけじゃ無いんだと再認識していたのであった。

そうして俺達が魔の森に入ったのである。するとすぐに魔物に遭遇した。その数は二体である。俺はすぐにステータスを確認した。すると【魔物 LV15】という数字が見えたので、リデア達に声をかけてから俺が倒すことにしたのである。そう思った俺の頭に声が響いた。俺は声の主が誰なのか分からないが「お願いします」と伝えてから戦闘を始める事にしたのである。

そう思っていると、俺に襲い掛かろうとしている【キラーバット】が空中に浮かび上がっていたのだ。そして俺の頭の中の声が、その魔族の事を説明してくれる。どうやら俺に話しかけてきたのが魔人と呼ばれる魔族の中の王様だという。

俺は【神眼】で魔人のことを見てみる。

【名 前】

アスター 【年齢】?歳 【魔 力】

100,000,000/100.000 【魔素】

100/100 【生命力】

50000/50000 【攻撃力】

32,000 【耐久力】

30 【魔力】

1,901,000 【俊敏性】

63,000 【器用度】

30,000 俺が見た限りは普通に強いと思う。俺は、とりあえず相手の能力を見れるという特性を試してみた。まず【名前】と【種族】を見ることができるみたいだ。俺はそれを試してみると【魔王種 魔王 アスタ 人族 レベル150 HP 10000 魔力 9999 攻撃力 7500 防御力 4600敏捷性 6000 運 820 スキル

『魔導術LV9』『剣術LV6』】となっていた。ちなみに俺がレベルを見ると【1 LV 1】となっているのだ。俺は自分のレベルを確認するのを諦めて相手を見る。しかし、いくら見ていても能力の詳しい内容を知ることができない。そこで【鑑定眼】を使ってみる。

『魔道具』

【魔法効果付与】という魔法が付与されている指輪 魔法を使うための杖(魔法の杖(魔道剣

※ 剣に魔法効果が付与されたもの)と魔法の杖は同じもので剣に魔法を使えるようにする)【魔道具】

【魔力吸収】という魔法を剣の鞘部分に刻んでいる 剣自体に魔法を付与することはできない 【神装武具】という神が作ったとされる装備

「全知の神」によって作り出される神にしか使えない神具(神級)という分類のもの 武器と防具に魔法効果がある(攻撃系と防御系の二つのみ)【称号】

「魔の覇者」「魔王」

これが見えたが、あまり意味が無かった。そして気になったのが称号にあった「魔王」である。俺はステータスを詳しく確認してみた。そしてそこに書かれていた称号の事は【称号 魔を統べる者 神の祝福を受けし者 魔王(LV99)

経験値倍化(極)】となっていたのだ。これに関しては本当に意味がわからなかったので考えるのを辞めることにしたのである。

そんなことを俺が考えている間に、魔物を倒し終わっている。

俺はステータスを確認しようと思って「ステータスオープン!」と言ってみたのだ。すると目の前にステータスウインドウが表示された。その画面をみて、俺は思わず固まってしまう。俺は、その画面に映し出されている数値を見てしまったからである。そこには【能力LV 1】と表示されているだけしかなかったのだ。俺はその事実がショックだったのである。しかし落ち込んでいても仕方がないと思い直して俺は目の前にいるリデアとラティアを見たのだ。その俺の行動に、ラティアが首を傾げていた。その様子を見ながら俺はステータスを確認する。やはり【名前】の項目しか表示されないので俺は、諦めることにして先に進むことにしたのである。


* * *


***

勇真はラティアとリデアを連れて魔の森に入っていく。魔の森に入ってから勇真は二人のことが心配になってきてしまっていた。なぜなら二人が何も喋らないからなのだ。

(うーん。このままでは雰囲気が悪いままだよな。それにリヴァイは、魔の国で暴れまわっているはずだから俺が助けに行ってあげないとだよな。リヴァイのこともそうだがリデアの事も心配だしな。俺の本当の目的がリデアの呪いを解くことだったんだけど今はそんな状況じゃないもんな。リヴァイも心配だ。早く見つけ出さないと大変なことになるだろうな。リヴィアには、この二人は俺の妹だとしか説明していなかったからこの二人が、どうして黙ったままだったのかが、不思議でしょうがなかったんだろう。それにラティアもラティナも美人だったから緊張して話せなくなってたんだろう。リディアの胸がデカかったのに驚いたって言う理由もあるけど。でもリディアって、確かまだ12歳とか言ってたような気がするんだよな。そう言えばさっき俺がリティアのことを妹だって言った時に少し寂しそうな表情をしていたよな。やっぱり俺はラディアが好きだからラティが、ラティの姉ってことにショックを受けてるんだろうな。でもリヴィも可愛いな。そういえば、俺に懐いているみたいだけどラティのことを気にしていないって感じでもないな。リヴィもラティも魔族だけど見た目は人間だから、ラティと俺が恋人になっても大丈夫だと思う。魔族は人間の敵っていう考えは捨てないとダメなんだよね。俺は魔王を何とか説得すれば平和になると思っている。ただ俺のレベルは一桁で、ステータスは殆ど上がんないからな。俺が、魔王を倒してレベルを一気に上げる必要があるんだけど、どうしたらいいんだろうか?この森の中に俺に合った魔物がいるのなら、戦いながら少しずつ上げていこうかな?)

そう思いながら俺は【索敵】を発動して、魔獣の類がいないか探りながら歩くことにしたのであった。そして森に入って三時間程経ちようやく目的地に到着する。その場所は木が無い開けた場所で小さな広場のような所になっていたのだ。そしてリデアの方を向くと、リデアもこちらに顔を向けてきたので、俺はリヴァイがどこにいるのか聞くことにしたのである。すると「多分あの場所じゃないかしら?」といって指を指してくれたので俺とラヴィはその場所へと向かう事にしたのである。

*

* * *

勇真達が移動を開始したのと同時にリヴィは一人呟いていた。それは自分の兄についてである。実は魔の森に入る少し前にリディアが魔族の国に行った事があると言っていたことを思い出したのである。それで興味を持ったのだ。

(私の兄のお嫁さんの一人になっている人が魔族の国から帰ってきたという話を聞いていたから気になってしまったんです)

そんなことを考えながらも足を止めずに歩き続けるリヴィアだったのだが、しばらく歩いていると何かを感じ取ったようで、そちらの方向を向いて警戒していた。その行動を見たラティも慌てて立ち止まり周囲をキョロキョロと見渡していたのである。ラティアはその動きを不審に思ったが、すぐにそれが自分に向けられていることに気付いた。しかし自分が何をされているのか理解できなかったので戸惑っていた。するといきなり背後から何者かに声をかけられたのである。その声に反応して振り返ると見たことのない少女が立っていたのである。

ラヴィ達は、その声に驚き反応してしまう。しかしラティナとリリアナは声をかけられて振り向き、リディア達は警戒心を強めた。その声で勇真達が立ち止まって後ろを振り向いたのである。

「やっぱりね!やっぱりあなた達が魔人の仲間だったのね!」

突然声をかけてきた人物はリヴィに向かってそんな事を言ってきたのだ。俺は、その様子を確認すると、俺の方に駆け寄ってくる二人と目があった。そして俺はすぐに声をあげるとリディアの方に走っていくように促したのである。そして魔剣を構えた二人と一緒にいたセフィにも指示を出して、ラティスとリリスとリディアの三人で三人を取り囲むように移動するように指示をしたのだ。俺はすぐに二人を守るようにして【結界魔法】を使い結界を張らせるとその後ろに隠させたのである。そして【転移魔法】で【魔人族】の少女の後ろに一瞬で移動する。

その様子を目の当たりにしていたラティアとラヴィの反応だが、「転移魔法!?」という二人に「すごいです!」と言って目を輝かせている二人の女の子という微笑ましいものを見た事で和んでしまうのだがそれどころではない状況なのだと思い直すと俺は【魔道具】を取り出そうとしたが魔人族の持っている武器の威力を知っているため【聖魔鋼剣】と魔道具である【神盾の魔装】だけを取り出し、魔人の少女の前に立ったのである。

魔人の女が持っていた剣を見て、リティアとラッティは「凄い」と思わず口に出してしまったのだ。そしてリデアだけは違った。リデアには魔人の女の剣が見えたからである。そして彼女は、魔人と勇真の戦闘が始まってしまい、魔人と戦う勇真の姿が脳裏に過ぎってしまったのだ。

(まさか、あれを使うんじゃあ!!そんな事、許さない。勇真様が死ねば、私も一緒に死んであげる)

魔剣を構えるとリディアの方に向かって魔人の女が斬りかかってきたのである。魔人は、リデアに対して「なぜ貴様ら魔族がいるのだ。この裏切り者めが!!」と怒鳴る。しかしその言葉に、リデアは全く動じることなく言葉を返す。

「私は、この男と契ったのです。貴女のように、好き勝手に生きていないのよ。」

その言葉を聞いたリヴィが「えっ?」という表情になる。魔人は「どういうことだ」という顔つきになるとリデアを見る。

そのリデアは、勇真と出会ってから今までのことを思い浮かべていた。

(勇真様と出会った時は最悪でした。リデアと名乗れば必ず疑われると思いましたが、偽名として使わなければいけないのは面倒でした。しかし今は、本当に幸せだと思います。そして勇真様には恩返しをしたいと考えていました。勇真様は私が望んでいることは全て叶えてくれています。そして勇真様は、私達の大切な友人でもあってくれたのです。そして今や勇真様はこの世界で一番頼りになる方なのです。それに勇者でありながら魔人を庇うどころか、救おうとしてくださいます。そんな方は、他には絶対にいないと確信できてしまいます。そしてリヴィアちゃんとラティナちゃんとも出会いました。最初は不安でしかありませんでした。だってリデアという名前を聞かれたらどうしようと思ったんです。そんな心配はいらなかったんですけどね。それにリヴァイさんもリヴィアさんも優しい人達だったので安心していました。そんな時にラヴィが現れたのですね。そのリヴィアの様子が気になりリデアの姿で、こっそりとリデアの部屋に行ってみることにしたんです。そこでラヴィから事情を聞いて、なんとかしようと思い部屋を飛び出したのでラティアに変身してラティナの所に駆けつけることにしてラティがリディアさんだと偽ってラティに接触したんです。そしてラティは騙されているだけなのかもしれないと思い、この機会を利用して、リデアと勇真様の関係を話したのです。そしたら、あっさり信じてもらえた上に、リデアの正体も受け入れてもらえたようなのでよかったと思っていたんですよ。それからラティには本当のリデアさんの話をしてあげたのです。でもまさか、こんなことになっているとは思っても見なかったので驚いたんです。

そういえばリヴィアに正体を明かしたのはラティスが一緒だからだと思っていましたが違うのかもしれません。ラティアがリデアだということを信じてもらっているはずなのにリディアがラティアだとは教えないなんて事はあり得ないですから。リディアに何があったのでしょうか?)

魔人が、リディアに向かって攻撃を仕掛けてくると、それをラディアが防御しようとしたのだ。しかしラディアの行動に気づいたラティアが間に入って魔人に話しかけた。そして、リヴィの視線の先にはリディアの姿がある。

「貴方の相手は、ラティよ。」

そう言ってラティはラディアの横に並ぶ。するとラティに攻撃をしようとしていた魔人が、舌打ちをしてリディアから距離を離すとラティを標的に変えたのだった。


* * *


* * *


* * *


* * *

俺に斬りかかってくるリヴィを魔刀神光で受け流し距離を取った瞬間、魔人の女から【闇属性の魔弾】が俺に撃ち込まれていたのだ。そしてその攻撃はラティアとリリスに向かっていた。そのラティアとリリスのところにラティアと同じような服装をした女の子が二人現れたのだ。その二人を見たラティアが叫ぶ。

「クロトとシロナじゃないの!」

ラティスの言葉に俺は、二人の少女が誰なのかがわかってしまった。しかしラティナとラティは知らなかったようだ。俺はすぐにその二人の名前を教えることにしたのである。

「あの二人はラティの妹のクロトと、ラティーの妹のシロナだよ。」

俺はラティスの問いに答えた後で二人を見るとラティの横に並んでいたのだった。すると二人がリディアに向かって声をかけてきた。

「ラティ姉様がご迷惑をおかけしています。それと、お久しぶりでございます。お兄様!」二人から、お兄様と言われて俺は驚いていたのだ。ラティス達から、ラティ達三人が姉妹なのは聞いていて理解していたのだが、「お兄様」と呼ばれるのは予想していなかった。しかし考えてみれば俺と血の繋がりのある家族は誰も居ないので兄妹という関係に憧れを抱いてしまう。俺は少しだけ嬉しい気持ちになっていたのだ。俺はそんなことを考えながらもすぐに二人に対してラティスとリティアを紹介すると二人も自己紹介をしていた。ラティの姉妹ということは、二人にとっても俺の姪に当たることになる。二人ともいい子に育ってくれていて、本当に嬉しいと思える光景を見ている。そして二人の挨拶が終わるとラティナの方にも同じように説明をする事にしたのである。するとクロトもシロナも喜んでくれて「「お兄様のお役に立てるよう頑張ります」」と言っていたのだ。

俺は、とりあえず魔人と戦う為にラティアとラヴィの方に近づこうとしたが「ちょっと待ちなさい!」と言う声と共に一人の女性が、こちらに駆け出してきたのである。その女性の姿をみてラティナが声を上げる。

「あっ、お母さん!!」

その言葉に、その場にいる全員が反応した。そして魔人と対峙している、リヴィ達からすれば、その女性は魔人のように見えたのである。

「えっ? ラティナの、母親ってことは」と俺も声を上げた。

魔人は俺達を見てから「魔人族は裏切りを許さないぞ!!貴様らをここで殺してくれる!」と叫んで剣を構えたのだった。俺はすぐに結界魔法を展開し、リヴィのところに向かったのだ。そして俺に襲い掛かってきたのだった。

魔人は俺に斬りかかり俺が魔剣を抜くと同時に魔人に向かって蹴りを入れる。俺の攻撃で怯んだ隙に魔剣で斬りかかると、その魔剣で受け止められる。俺が魔人と戦っているとリリアが、リヴィの元にたどり着いたのだ。リリアとリディアとリヴィと三人が、同時に攻撃を始めたのである。

その様子を見ながら魔人を蹴ると、その反動で後ろに下がったので、ラティの元に向かうと【魔人化】を解き魔人の姿になる。そしてラティと一緒に魔人とリヴィの二人を相手に戦い始めたのである。俺は魔剣から魔力を流すと聖槍の形に変形させ魔人を貫くと、リディアは、リティアが放った【雷電】により痺れて倒れていた。リティアは魔人を睨むと【風刃 鎌嵐】を放ったのである。そしてリティアが放った無数の風の刃はリヴィの体を刻んでいた。だがリヴィアが放った光の矢は、リディアに命中していたが魔人の体には、ほとんどダメージがなかったようで平然としている。

(リヴァイとリヴィアには、この魔人の相手を頼む。そしてリヴィアには、さっき言った通りで、リヴァとリティアが危なかったらフォローして欲しい。ラティス、クロト、リリスの二人は俺と来てくれ!)

(わかりましたわ)

(はい)

(わかりました)

そしてリヴィア達は、その場から離れていき俺とリティスとリリィの3人だけになると、魔人は俺に対して攻撃を仕掛けてきたのである。

「貴様らは私の獲物ではない!!邪魔をするな!!」と叫び斬りかかってきた。その剣を受け止めようとした時、突然魔人の動きが止まり、苦しんでいるように思えたのだった。すると、魔人とリヴィの間にラティとラッティが割り込み、二人に攻撃をする寸前で動きを止めてくれた。

俺とリティスは二人に礼を言うとラティス達が戦っていたリヴィアの元へと移動していった。そしてクロトに援護を任せたのだ。ラティアが魔人の背後から攻撃をしてリヴィと魔人の距離を空けさせた瞬間に、リヴァイが前に出る。

魔人の体が赤く染まり始めて熱を帯びた状態になるとその瞬間からラティアとリヴァイの二人で魔人の猛攻を防ぐ事になった。魔人が、二人の剣を薙ぎ払う度に二人は後退させられていく。そんな二人の姿を見た俺は、ラティア達のところに急いで向かい始める。そんな姿をみた魔人が、今度はリヴァイに襲いかかった。リヴァイは必死に防御していたが、徐々に追い込まれ始めていった。そんな姿を見て、俺はラティスに目配せをしてから、ラティスとラヴィとリヴァイが対峙していたところに乱入し魔人の注意を引きつける。するとリヴァイが、俺がリヴィアのところにたどり着くまでの時間を稼ぐために魔人の気を引いてくれていた。

そしてラティスの合図で、リリスとラティナは魔人から距離をとるように離れた。リディアは、魔人がリディアの事を警戒すると攻撃が止み、リデアが俺に視線を向けた。そして俺は魔人に斬りかかろうとした時に、リデアが魔人に話しかけた。

「私の妹に手を出したのだから覚悟できているでしょうね。魔族の分際でよくも、やってくれたわねぇ!」とリデアが、今までに見たことのないような冷たい表情をして怒りの声をあげた。俺はそんなリデアの姿を見て「魔王だ!」と思ってしまったのである。そして魔人がリデアに向かって何か話そうとしていたのだが、リディアに斬りかかっていた。そんな状況を見た俺は、慌てて止めに入る。

俺は魔人とラティ達を引き離したが魔人がリヴィアに向かって攻撃を仕掛ける前に、何とか間に合うことができたのだ。そして魔人が攻撃をやめたのは、リディアが俺を庇うかのように魔人の攻撃を受け止めたからだ。しかし魔人が攻撃を中断してくれた事で俺はリディアから離れるとリヴィスの方を向く。

「リリス、ラティスを連れてラヴィさんたちの所まで下がってくれ」俺の言葉を聞いたリリスは、リティアの肩を掴むと魔人の方へと向かっていった。リティアは嫌がっていたが俺の言う通りにしてくれるようだ。

俺がラティアに加勢しようとして近づくと魔人は、こちらを警戒していたのか攻撃を止める。そんな魔人にラティアは話しかけたのだ。その声からは先ほどのような優しい声音ではなく冷徹なものを感じさせる声であった。

「魔人。私が誰かわかるかしら?」とラティアは問い掛ける。その言葉に魔人だけではなくリティア達からも緊張感が高まっているようだった。

「誰だと!? ラティア、リヴィ。やはり裏切ったのだな。まあよい、すぐに殺してやる。我が同胞を侮辱した罪、万死に値するぞ!!」

魔人はそう言ってラティアに襲い掛かると、ラティアもそれに応戦し始める。そしてリヴァイの方を見るとラヴィの手助けに入り、なんとか持ち堪えている状態だったのだ。俺は【瞬歩】を使い、魔人とリヴィの剣撃の間合いに飛び込むと二人の武器を弾き飛ばす事に成功したのである。それからすぐに魔刀神光で斬りつけようとしたが魔人は、後ろに飛び退いていた。そして俺に鋭い眼差しを向けると剣を構えて構えたのである。そして次の刹那、ラティスが「ラヴィちゃん。ラティがサポートに入るよ」と言って、二人の間に割り込んできて剣を構えると魔人とリヴィアの戦闘が始まった。そしてリディアは、こちらの様子を見ながらラティとラヴィの元に駆けつけて行ったのである。

魔人との戦いが始まるとラティスとラヴィの二人が、魔人と戦う事になる。二人もリティア達と同様に魔人に対して攻撃をし始めた。そして、ラティアがラヴィーに対して声をかけると、ラヴィも一緒に戦闘に加わったのだ。

俺もラティに言われるがままラティとラティナの二人と、リヴァとリティア達と戦わせないようにするためにラティと魔人の戦いに介入してリディアに魔人を抑えるように頼みながら、ラティア達とリディアの戦いを見守ったのだった。

ラティア達は俺が魔人の相手で、魔人にはラティア達と戦う意思はないと判断したのか、俺の指示通りラヴィのところに向かうと三方向からの同時攻撃を始めたのである。俺はそれを確認すると、魔人と魔人の背後から迫るリヴァに【念動 空間】で魔人を宙に浮かべてから蹴り飛ばした。そしてすぐにリティアの方に向かい魔人を攻撃したのだった。そしてラティア達も、リティアがラヴィとリヴァイをフォローできる位置に来るまで魔人との剣の打ちあいを始める。俺とリヴァは、お互いの位置を入れ替えつつ戦う事で魔人の攻撃対象にされにくくする為の戦術を取っていた。

(クロト! 魔人をリヴィア達に近づけさせないで欲しいんだけど)

(ああ。リヴァイ達は、大丈夫か?)

俺の問いかけに対して、ラティスが答える。

(えぇ、今のところは。でも、長く保たないかも知れません。ラティスはリディアに魔力譲渡をお願いします。ラティはラヴィのところに行かないとダメですから、リリィと一緒にリヴィのところに向かってください。リヴァイの援護が必要な場合は連絡をします)

(わかったわ)

俺は、その言葉を聞くとすぐにラティアの元に向かう。魔人もラティに向かって攻撃を仕掛けようとしていた。俺とリディアは魔人の剣を受け止めると鍔迫り合いの状態となる。そして俺とラティスがリヴィの所にたどり着いたのである。

リヴィアは、【風鎌 大嵐】を放つ。リヴィはそれを見切って回避した。そして、リヴィの攻撃がリヴィアに向かう。俺はそれを察知し【結界 風障壁】を発動させて【風刃】を放った。リヴィが放った【風の刃】は風の壁に当たり霧散するとそのまま、リヴィとリヴィアの二人の連携が上手く噛み合ってリディアへの攻撃が始まるのである。リディアはラティア達と同じように、魔人の猛攻を防ぎ続けていたが、ラティア達が参戦して戦況が変わる。

魔人は、リヴァが放つ【雷槍】に気を取られると、魔刀神の攻撃をくらい吹き飛ばされる。魔人が立ち上がると同時にリヴァイとリヴィアの攻撃を防いでいた。しかしリヴィの槍が突き刺さり動きが止まった瞬間をリヴィアは見逃さなかった。リヴィアは魔人の頭上に現れると【炎獄 火柱 爆】をリヴィは唱える。そして、それが発動すると巨大な火の柱が出現し魔人の全身を飲み込んだのである。そして、それと同時に魔人が倒れていくのが確認できた。だが、その直後、ラヴィがリヴィの前に立ち、魔人の攻撃を受けたのであった。その攻撃を受けると、リヴはそのまま気を失ってしまう。そんなリヴィスをリティアが抱き抱えて後ろに下がり始めた。そして俺もリティアの元へと行き魔人にとどめを刺しに行くのである。魔人は瀕死の状態であったため抵抗することも無く【魔核石 タイプI】を残して消滅したのである。そしてラヴィに近づいていき様子を伺った。

「ラティア。大丈夫なのか?」

俺が声をかけると、魔人の攻撃を受けていたはずのラティは「はい。大丈夫ですよ」と言う。

そんな時ラヴィが目を覚ます。そして「リリスさん、ラティさんありがとうございます」とお礼を言い始める。リリスはリヴィの様子を見て、安心していたのである。そんなリヴィの意識を確認したところでリヴァイ達がいる方に向かった。そこにはラティナを抱きしめるリティアがいたのである。そして俺の方に視線を向けると、「ラティナは無事に助かったのですね」と嬉しそうな顔をしながら言ってきた。

「リリアナの話では、この子はもう元に戻ってこないって話だったんだけど、どういう事なんだ?」

俺がそう言うと、アスターとクロトは「やっぱり」と声に出す。そしてラティナの様子を見つめた後に、リディアがラティアに向かって話しかけた。

「あなたはリヴィなんですよね? どうしてこんな姿に、なったのですか?」

「うん。実は魔人に殺されて、魔人に乗っ取られちゃっていたの。その事は覚えてる。私はリヴィじゃないけどね。だから、今は私だけど、本当のラヴィなんだよ。だから私の事は気にしないで。それより、リザお姉様。私を助けに来てくれて有難うございました。あと、助けることが出来なくてごめんなさい。それとラティちゃんとリリスちゃんにも謝らないと。それから、リヴァとリリスちゃん。本当に迷惑をかけてしまったみたいだね。そしてリヴァは私の事を忘れて幸せになってほしいんだ。リヴァイの事よろしくお願いします」そう言うと、リディアに微笑みかけるのだった。そして「皆んな元気そうで良かった」と言ってリデア達のいる方向に顔を向けて歩き出そうとしていたのである。

俺は慌ててラティアを呼び止めて話し掛けた。

「待ってくれ! 君はそれで良いのか?」

その問い掛けに対して、リヴィアが答える。

「私がラティの記憶を奪ったんです。それに、リリアナもラティナがリヴァイと結ばれるために協力してあげたから、今回の件があったの。だからラティナは悪く無いのです。ラティが悪い訳ではありませんから。でも私は責任を感じています。私があの時、もっと早くラティナの元に行けていたらラティナが死んでいたなんて、そんなことにはなっていなかったかも知れないから」そう言うと俯く。

そしてラティスが俺に近寄ってくる。俺はそれを確認するとラティスに話しかけた。

「ラティスが、リヴィの体に入った理由はわかる。ラティアを助ける為だよな。俺が聞きたいのはその前のラティアを魔人に殺させない為にした、行動理由の方なんだが。リヴィに憑依した時の記憶は残っているか?」

俺がラティスをジッと見ながら質問をする。するとラティスの体が震えだし泣き始めてしまったのである。俺達はラティアとリヴィに、今までの出来事を振り返らせたのだった。

俺達はリヴィが憑依してから起こった事を思い出してもらう事にしたのである。リヴァイは思い出したようで、涙目になりながら、自分のせいだと思っているようだ。リヴァイはラティがリヴィに憑依した原因が自分の力が無いせいだと思っていたのだ。ラティはラヴィとして生まれ変わった事によってリヴィになった事を認識していなかったから、自分の存在が無くなったと思えてしまったのかもしれない。俺もリヴァイの立場なら同じようなことを考えてしまっていたと思う。ラティスは俺の言葉を聞いて、俺を見上げて俺の目を見ながら言った。

「ラティが、ラヴィになってからも、時々夢の中で声が聞こえていた気がする。最初は、その言葉がラティのものだと思った。そして次第に声が大きくなっていった。それはリヴァの声で、リヴァイの声だって分かった。だから、リヴァに助けを求めようと思って頑張ってたの。でもラヴィには、リヴァの姿が見えていなかったから話すことも出来なかった。ラティス達とも話をすることもできなかった。そして私は段々と不安になっていったの。その度にラティの心の中が悲しくなっていたから」

俺は、ラティを見る。ラティアが涙を流しているのが分かる。ラティは泣いていた。俺は優しくラティを抱き寄せたのである。するとリティスも一緒になって泣いた。そしてしばらくして、落ち着いた二人はお互いに見合うと笑っていたのだった。そして二人にはお互いを責める事無く仲直りをして欲しかったので提案をしたのだ。すると、リティスはラヴィの体を俺達に委ねてきたのである。

ラティア達はお互いを見合い笑顔で抱きしめていた。それを見たリティス達三人も嬉しそうだったのだ。そして俺はラティアに【人魔 魔道具 魔導融合 魔王】を使うように頼む。ラティアもリティアも俺の頼み事を断ることは無く、ラティアは了承してリティアと共にラティと融合したのである。

(えぇぇぇ、なんで?)

(まぁ見ていろって)

(わかった)

そしてリティアにも同じ事をしてもらう。

(あれぇ〜なんか不思議な感覚です。まるで自分が分裂しているみたいな、でも体は二つに分かれてないんですよね)

(そうだな)

(あはは、不思議)

(そうそう、お前達に名前をつけてやるよ)

(ほんとですか)

(嬉しい)

(ラティスとリヴィアは姉妹なんだろ? そしてリティスが母さんで、ラティとリティアが娘なんだよね。俺の想像だけど、リティアとラティスを【絆】した事でラティアも家族になったんじゃないのかな。ラティナは俺が眷属にしていないけれど、魂が一つになっているわけだから俺が親のような感じじゃないかと俺は思うんだけど、どうかな?)

(そう言えば確かに私はリヴィアさんやラティスさんと一緒にいる事が多いですよね。だからお母さんって呼んでも違和感が無いですね。じゃぁ私もお姉ちゃん達のようにリヴィアさんの事は、お母さんと呼んでもいいでしょうか)

(いいわよ。ラティアの好きにしてもらって。そしてラヴィは私の妹ね。これから宜しくねラヴィ)

そんなやり取りが頭の中に響いていた。ラティア達が嬉しそうにしている姿を見て俺も嬉しくなった。その後で、俺の持っている全ての【魔結晶】を使ってリヴァとラティを融合させラティアはリヴァの身体に、ラティスとラヴィアを合体させる形で一つの体になるように調整を行った。そうする事により魔人は消滅するのであった。そして俺と【魔宝石】を取り込んだラヴィが融合したことで、俺の力がラティに受け継がれた事になる。そのせいなのか俺が元々持っていた能力の全てが、覚醒してレベルが1000に上がりステータスもかなり上がった。だがまだ俺の本来の魔力までは戻っていなかったので、俺はラティと融合したままの状態で魔族領へと移動する事にしたのである。

俺はラヴィに「ちょっとの間だけ眠っていて貰うぞ」と言うと【転移魔法陣 移動先登録 空間固定 次元断絶 時空停止 世界結界 自動発動 自動送還 強制解放 絶対命令】の術式を発動させたのだった。この魔法の能力は対象物の時を止めるという効果があった。そして時間が止まった中で動く事ができるのは俺だけだった。そして強制的に時間を動かす事が可能なのは俺だけであるため解除しなければ誰も動けなくなるのだ。

俺が発動したこの【時空魔術 超神級(ゴッドスキル)】にラティアも驚く。

(え? え? 今何かしましたか? ラティが動こうとしても動かないのですよ)

(そうそう、時を止めたからな。このまま連れて帰るんだよ。ラティは魔素を取り込む必要があるだろ? その状態だと危険だから時を止めたままにしていたんだけど、魔石を取り込んだのならもう大丈夫だろ? それに時を戻したらラヴィの記憶も戻るはずだ。その前に少し俺が時を戻す時に記憶の齟齬を起こさないようにしておくからさ、それで問題は無くなるはずなんだけどどうだろう?)

そうなのだ。俺の時が止まる直前はラティの体内には俺の分身がいて、その状態で止まっている。ラヴィの記憶が残っている場合は俺が動き始めた時点でラヴィの記憶が混ざった場合、ラティの人格が混乱する可能性もあったので先に俺の【真眼の神器】の能力でラティと俺の状態を確認させてもらっておいたのだった。その結果は記憶に差異が殆ど無いことが分かって安心したのだよ。

(うん。大丈夫。ラティは覚えてる)

(そうか、良かった。それじゃ、行くか。皆んな心配してるだろしな)

俺はリヴァイとリティスに声をかけてリヴァとラティスを回収した後、皆が待つ魔族領の首都に向けて飛び立ったのである。

「な、何だこれ! 急に景色が変わった。これはラティアの記憶か?」

俺は目を覚ましたラヴィアに状況を説明する。するとラティアは直ぐに自分の状況を理解したようで、俺に礼を言う。俺が気になっていた事を聞いた。

「俺の力が流れ込んだから俺に力を貸してくれるってことだよな」

「はい。そうなんです。でも私が使う時は注意した方がいいかも知れません」

俺は意味がわからなかったので聞いてみる。すると、ラティアが自分の中に流れるラティの魔核に意識を向けると、そこには膨大な量のラティアの力と、もう一つ大きな塊があったのだ。俺はそれが何かわからず、【全知の神器】の解析機能を使って確認した。すると【聖魔の心臓】と表示されると同時に俺は驚いたのだ。

(え? これが、ラティアの本体かよ)

(あ、そうでしたね。リヴァイと融合する前に私の身体にリヴァが入り込んでしまったからラティアが消えちゃいました。なので今のラティの中にはもう一つのラティアがいるのです)

ラティアが申し訳なさそうに言うが俺も慌ててしまう。俺は取り敢えず今は置いておいて、まずは皆が待っている場所に急いで向かうことにしたのだった。

**

***

俺は魔族領に到着する。するとそこにいたのはサリアとエルミアだった。二人は俺が飛んできた事に気付きこちらに向かって来た。俺の前に立つといきなり二人に抱きつかれたのだ。

「お帰り!」

俺は二人に笑顔で応えると、「ただいま」と言った。するとリヴィアが近づいてきて、三人の様子を見てから、嬉しそうに笑ってくれたのである。そしてその後、俺はサリアとエルミアに、今までの経緯を話したのであった。俺の話が終わるとリヴィア達を紹介して、リヴァイが魔族の王として君臨している事も伝えたのである。それからはリヴァイも合流して皆で城に向かったのである。

そして俺はラティの事情を改めて皆に説明する事にした。その前に【絆】についての説明を行う。それはラティア達にも説明して了承して貰った上で話を進める。そして最後に俺の持つ神級の能力の一つである【絆】について説明する。その効果は、対象者との魂と肉体を繋ぐ能力だというものだ。その能力はラティの融合された時の条件と、【魔結晶】の効果によって俺の意思と関係無く発動する。そして俺の許可なく離れることができない。その為俺から離れれば死ぬしかないという危険なものになってしまう。それを聞いて俺は、ラティア達に俺から離れる事は絶対に許さないと告げると、三人は俺の言葉を聞き涙目で強くうなずいていた。

ラティは、魔人と融合した事により自分が魔族に近付いた事を気にしていた。そして、自分が人ではなくなってしまった事に対して罪悪感を持っていたのだ。しかしリヴィアが優しく頭を撫でながら抱きしめてくれていた事でラティの心が落ち着いたようだったので一安心した。リヴァイは俺に魔結晶を融合してくれた事を嬉しそうに感謝してきたのだが、実は魔結晶が魔素を吸収する事が出来なかったら、そのまま同化していたかもしれないという話をされて、リヴァイの顔色が青くなっていったのは言うまでもない。

そして俺達は魔王人形のいた魔王城の玉座の間にやってきたのだった。するとそこには、サリアとエルミアの他に、アルフォードとルビアもいた。そして、サリアがラヴィに話しかけていた。

(ラティア、ラティナ)

(お母さん、私、ラヴィよ)

(あ、あれぇ?)

(リディアは俺が保護して俺の中にいるんだ。リヴァイのところにいるから大丈夫)

(あ、あぁ、そうだったね。あれぇ〜どうして私はここにいるのかしら。ってそうだった、あの子も私の中に居たんだった。ラヴィの中に居るんでしょ?)

(そうだよ。でもリディアさんが、お母さんの体に入ってもいいって言ったんだよ)(そ、そうなのね。私はてっきり融合したと思ったんだけど、どうなっているのかしらね。ってそれよりも私はもう魔族なのね。なんだかさっきの会話で、ラヴィと私の記憶が混ざり合って混乱しているわ。そして何故か、私の中にラヴィアがもう一人居る気がして来たのよね。うーん)

(そうなのか? まぁいいじゃないか。それより皆が待ってるから行こう)

(うん。そうだね。じゃ、ラヴィアまたね)

(ラティアもまた後で会いましょう)

そう言って、リヴァとラティは別れるのであった。そしてラティアが俺の中に入っていくのを確認してから、リヴァにラヴィアを紹介する。するとリヴァが、

「リヴィア様とラヴィアは姉妹ですから仲良くして下さい。それと、このラヴィには記憶操作をしたので大丈夫だと思います。記憶に矛盾があるような感じもしますけど。一応は上手く行っています」

俺はその言葉で思い出す。確かに、俺も魔族領のラヴィを見た時は違和感があった。

「あ、そうだ。リヴィー、ちょっとだけ時間止まってくれ」

俺は【時空魔術】の術式を発動する。そして時を止めて、先ほどと同じように俺と【魔宝石】を取り込んだリヴィアを融合させ、リヴァイアサンとリヴァイの二人の体を持つ、一つの体になったのを確認するのであった。そしてリヴァイの体からラティの身体へとリヴィアを移動させる。すると俺の中で眠っているはずのリヴィアが急に起き出して、ラヴィアの方に向かって行く。

(ん? 何この魔力! 何だかわからない。でも、ラティに何かが起きたみたい。急がなきゃ)

俺は突然のことで驚いたが、直ぐに時を戻しリヴィアに話し掛ける。

(リヴィア? 大丈夫か?)

(うん。なんか急に起きたの。ねぇラティアは? どこなの? ラヴィは?)

俺は少し不安そうな表情をしているリヴァを落ち着かせるために声をかけてやることにした。

「今ラティは、ラティと融合したから少し記憶の整理をしていたんだよ。だから少ししたら目を覚ますと思うぞ」

俺の言葉を聞いたリヴァは笑顔になり、良かったと言っていた。その横でリティスが、

(主殿よ、お疲れであろう。我が回復させるからのぅ)

と言ってきたのだ。俺はリティスの気遣いが嬉しかった。そして俺は気になっていたことを聞くことにした。

「リヴァイ、なんで、お前リヴァに様を付けるの?」

(あ、そういえば説明がまだだったな。これは魔人族は俺のことを主に従えなければならないと、本能的に認識するのだ。魔結晶に刻まれて、な。俺も魔結晶に刻まれているから同じなのさ。なので安心していいぞ)

俺とサリアはその話を聞き驚く。そしてリヴィアを見ると、リヴィアも同じ反応をしていたが納得した様子だった。リティスは、我は、魔結晶が無くても問題無いからのぅと言っている。そんなことを言われてリティスに文句を言う訳にもいかないのである。

そして俺は、改めて皆を紹介していくのだった。するとアルフォードが魔人化して挨拶をしたのだ。

俺はその姿を見て驚いた。まさか、本当になるとは思っていなかったからである。そしてリヴィアとエルミアは喜んでいて、リヴァとリティスに至っては興奮気味であった。

(おいリヴィア、こいつらは大丈夫だよな?)

俺は心配になってきた。リヴァイとリティスはまだ良いとしても、リヴィアまで魔人の常識を持っているのか心配になってきていたのだ。リヴァイはともかく、リヴィアは天然でとんでもない事をしそうな予感がしていたのである。そして案の定リヴィアも魔人としての行動をしようとしていて俺は慌てる事になったのだ。そして俺は、リヴィに説明するように言うと。リヴィは嬉しそうに説明し始めた。リヴァが魔人に成れたのは自分のせいだと思い嬉しくなっていたようだったが、アルフォードが説明した内容は理解できなかったようで固まってしまっていたのである。しかしリヴァイはしっかりと聞いていたらしく、アルフォードに対して感心しているようだ。

「なぁリヴィア? お前が今まで魔族領にいた理由は聞かないから、魔族の常識的なことはしっかり覚えろよな」

「な、なぜじゃ! 妾はちゃんと説明したのに、何故に怒られるのかわからぬのじゃ」と拗ねてしまったのだった。俺の言葉で皆笑い出してしまったのだ。そして俺の言葉の意味がわかっているリヴァだけは笑わなかった。そして俺は皆を紹介した後にサリア達を紹介していく。サリア達には既に俺の事は伝えてあるが、皆緊張しているのがよくわかる程ガチガチになっている。そして皆で食事をした時に俺が人間であることを告げて、サリア達三人に謝罪を行ったのだ。すると三人とも慌てて頭を下げる必要はないと言ったのである。俺は皆にこれからどうするかを聞いてみたのだ。サリアはラティナと一緒にいたいと言ったので了承したが、他の皆はそれぞれの希望を口にしたのだった。

サリア達は魔人領で暮らしたいと思っているらしい。ただ、サリア達もレベルを上げておきたいとも言っている。俺は、皆の希望通りにする事を約束してやる。そしてラティーがラティの事を自分の姉であり妹のはずだと言うと、それを知ったリヴァイとリティスは泣いて喜んでいた。俺とリヴァイとリティスは家族という繋がりがあるから気持ちは良く分かるのだが、リヴァイ達はラティは俺が融合して融合体にしてある為俺の家族という扱いになってしまうから複雑な心境だろうと思っていた。しかし、二人に話を聞いた所ラティアの事は自分よりも優先で大切にして欲しいと言われた。それならば俺は二人を大事にしようと思う。

ちなみに俺は魔人領に魔結晶が有る限り俺に害を成す事はないと説明して、今後ラティとラティの父親のリヴィーと魔熊族族長のリヴァイアタンを魔結晶に融合させた。その事によって魔素吸収が発動されラティは魔王化しない状態でラティスに勝てるようになったのだった。ラティのステータスはこうなった。

ラティ

女 魔人 年齢:16才(実年齢は18歳)

Lv.85 HP 9999 MP 89980 攻撃 35560 防御 52820 知力 42910 速度 74090 耐久 30460 魅力 25630 スキル 【光魔術Lv.3】【聖魔術Lv.4】【魔眼Lv.2】【神術師】【回復魔法】【闇魔法】【魅了】【隠蔽】【無詠唱】【多重思考】【解析】【魔力制御】【魔宝石生成】【魔石融合】【身体強化】【体力自動回復】【危険察知】【危機察知】【魔力感知】【鑑定】【経験値増加】【剣術】【武術マスター】【格闘術】【槍術】【杖術】【弓術】【鞭術】【斧術】【槌術】【刀術】【拳術】【盾術】【火魔法】【水魔法】【土魔法】【風魔法】【氷魔法】

称号 勇者 固有能力 限界突破 特殊技能 全言語翻訳可能 加護 光の加護 種族特性 《魔獣使い》(使役)

効果1 テイムが100%成功確率上昇 効果2 使役中の魔物のステータス微向上(最大1.5倍)

俺から分離した存在なので俺が名前をつけてあげる事にする。ラティは俺の付けた名前をそのまま使うと言っていた。それからラティにリリスを紹介すると、リリスが俺と融合した時の話をしてくれて、それを俺が聞いた。

「あぁ、やっぱりあれは夢ではなかったのですね。私の中にラヴィとリヴァイの気配を感じていたんですけど。まさか私の中に二人が居たなんて。ラヴィには悪いことをしてしまいました。リヴァイにもごめんなさいと伝えたかったです」

そう言ってリヴァイに泣きながら謝っていた。

「ラティ様。俺は貴女の役に立てたことが嬉しいのですよ。なので気になさらないでください。それよりも俺が魔人族を纏められるかが不安なのです。だからラティ様が一緒に来てくれると心強いのですが。駄目でしょうか?」

リヴァイの言葉を聞いたラティは少し考えた後に、自分が魔族領に行くことを決めたのだと話すのだった。その言葉を聞いたラティとリヴィアは喜びを爆発させて、抱き合っていた。リヴァイは、魔人族最強の存在であるはずのラティと、魔王であるはずのラヴィが二人で行動することを嫌がるのではと考えていたようだ。そのリヴァイの言葉を聞いたリヴィアは不思議そうな顔で、魔人族はそんな事で差別をするような者ではないと教えていた。リヴィの説明を聞いたラティは納得していたが、魔人の王であるはずのラヴィが俺に負けているのだから説得力がなかった。まぁ俺は人間だから、そもそもの規格が違うと思うんだがな。そして俺とリティスは、これからどうするか話し合った。俺は、魔結晶は回収してきているため後は帰るだけだと考えているが、魔人族の現状を見ておきたいと思い魔人領に行ってみるつもりなのだ。

俺達は今後の予定を話すとラヴィスは、魔人領に帰るために旅の準備をすると言って、魔水晶に転移できるようにしておくと言って準備を始めたのだった。リヴァイとリティスも、俺との旅の為に食料の調達をしたりしていたのである。サリアとルリも何か出来ることはないかと手伝っているようだった。クロトも、サリア達に色々と教わって料理を手伝っているようだ。リヴァイ達三姉妹は、俺がラティに頼んで融合してもらう為に俺の魔核の複製を作りたいと言ってきて了承するのだった。俺は、この世界に残ることを選択してくれた三人に対して申し訳なく思いながらも感謝していた。

俺はラティスとリティスと別れると、サティア達と合流したのだ。

そしてサティアとリシアにも魔結晶についての説明をして、魔人族になってもらった。そして皆で夕食を食べてから部屋に戻って休んでいた。ちなみにリリィとサティアの部屋はリティアとアルフォードが、サリアとクロトはリティスとリヴィアが使っている部屋の空き部屋に泊まる事になった。

次の日の朝早く、リヴァイとリティスが俺を起こしに来たのだ。リティアは俺を起こす役目を奪い取ると張り切って、サヴィアに止められていたのだった。リヴァイとリティスに何で朝早いのか聞くと。魔結晶を回収するために早急に戻ることにしたので早めに出た方がいいとのことだった。

俺は皆を連れて外に出てサティア達が馬車を用意してくれた。リヴァイ達も一緒だ。リヴァはリヴィアに乗っていてリティスも俺の後ろに乗りたがったが俺は断った。リヴァイとリティスなら大丈夫だろうが万が一のことがあるかもしれないからな。俺はリティスはともかくリヴァイが俺に懐いているからリヴァイも一緒に行こうと言い出したからだ。

俺はリティスのお願いで仕方なくリヴァイを乗せることにしたのである。もちろん、俺は馬に乗りながら移動している。魔道具も使えるがなるべく使わないようにしようと思っているのだ。リヴァはリヴィアに乗らずにラティと一緒に歩いて移動するらしい。そしてラティアだが俺の背中にぴったりとくっついているので、歩く必要がないのだが、魔人と魔人は歩けるようだ。魔人が何故に魔人と呼ばれるのか、わかった気がした。ちなみにサリア達は魔獣を召喚しているようで俺達は魔人領に転移するとサティア達は先に城に戻っていることになった。俺達は魔人領の街道まで出るとサリアがリヴァイに話しかけて俺にお礼を言ってきたのだ。俺は、別にサリア達の為になった訳ではないと言うが、それでも助かったと言われた。俺達は魔人領に向けて出発する。そしてサリア達が見えなくなるまでは手を振ったのだった。

「ラティ、そろそろ離れて貰えないかな? ラティももう子供じゃないからいいよね」と俺はラティナに伝える。

「私はラヴィーの側にずっと居たい」と言う。ラティナが俺から離れようとしないため俺は困ってしまった。このままの状態で行くと、ラティが恥ずかしさのあまり暴走してしまう可能性が出てくるからである。そしてラティが、またもや【神眼】を使い俺と融合して自分の身体を確認するが、特に変化が無いことに気づいて落ち込んでいた。その後ラティに、自分のスキルで確認してみたらどうだと助言したら早速自分のステータスを確認したらしいのだが。

スキル一覧を見ていると新しいスキルがあった。それは、【神術師】のスキルレベルが上がり新たに、【神器操作】【スキル創造】を手に入れたようだ。【神器操者】は俺との繋がりがあり魔力を通すことで武器が使えたり念じることで色々な使い方が出来るようになったりできるらしい。ただ、この事はラティには内緒にしておいたほうがいいと思って黙っている。ラティの表情を見る限りでは嬉しさが溢れ出ていてバレてしまったようである。それからスキル創造は、新しく【魔石吸収】と【吸収魔法】を覚えた。【魔石吸収】は、魔石を体内に取り込みそれを分解したり吸収することができるようになるというスキルのようだ。そして、【吸収魔法】は俺が魔法を使う時のように吸収する事が出来るようになるスキルである。

俺は、俺の背中から動こうとしないラティをお姫様抱っこで持ち上げて抱き抱えている。そして俺はラティが落ち着いてきた頃に聞いてみる。ラティは自分が魔王になれるのであればなりたいと俺に言う。俺はラティーから聞いていた話を説明する。俺は魔王と勇者の融合体に成れたのは、魔王と勇者が混ざりあった存在になったのではないかと考えた。それならば俺と融合することによって勇者として覚醒することが出来るのではないかと。

ラティの話を俺が伝えるとラティアが驚きながら質問してきた。ラティは元々俺と融合するために作られた存在でラティは俺と融合することで魔王の力を得ることになるので間違いないと俺は答える。しかし俺の考えを補足するように俺の予想を話す。

俺が融合しても魔人の王が、魔族領を支配しようとしても意味がないと考えていることをラティとラティアに伝えた。俺は魔王が勇者と融合した場合、全ての魔物と魔人を支配することができると考える。そうでなければおかしいと思うのだと。俺は魔王にそんな事が出来れば苦労はないのにと笑いながら説明して。もし、魔人を奴隷にしたければすればいいのだから無理に支配しなくても良いと考えていることも話す。俺が魔人族を支配したいのではなく、共存したいのだからと説明する。俺はラティアがラティに魔王になることを望むのならラティの望み通りにして欲しいと思っていた。そして俺は融合する前に俺の持っている能力の半分を、融合する時に持っていって欲しいと考えていたことを告げた。

そうして融合を始める。

融合中 俺が融合した時のステータスはこれだ。

----------《鑑定結果》----

名前 ライシス 種族 人族(進化可能)

性別

(女性体)

年齢 12才(精神成長)

状態異常 無し 称号 ラティ リヴァイスの妻 魔人族の王となるべき運命をもつもの レベル 124,122 体力 296億9500万7300 筋力 288兆9000万4900 敏捷 206京4000万20000 耐性 356京0000万7000 幸運 1022 魅力 9999+/10000 技能 火 LV5→20 風 LV1 水 LV30 土 LV15 光 LV5 聖LV0 闇 LV3 時空 LV50 空間 LV25 全属性 魔法耐性 炎熱無効 衝撃無効化 物理耐性 麻痺毒無効 混乱幻覚無効 猛毒無効 呪 解 無 言語理解 生活魔法 収納庫 アイテムボックス Lv.EX →異次元保管倉庫 スキル付与 解析 分析 錬金Lv10 調合Lv13 彫金Lv12 裁縫Lv11→17 1級錬金術師の加護→錬金術神の加護へ変化 特殊加工Ex 鍛冶職人の心得→鍛治職人の秘奥義 Ex 木工職神の加護 →木精霊王の祝福 New →木工女神の祝福 料理 料理神の料理神 調理師の極意 魔導陣LvMAX 転移魔法 詠唱省略 高速詠唱 L v.3 隠蔽 結界 防御 攻撃魔法 回復魔法 召喚士 召喚魔法 →召喚魔術 スキルコピー スキル伝授 剣術指南 →剣神技(片手長剣専用)

→双剣 武術指導 槍術 →闘気使い 格闘 弓術 投擲 刀術 暗器術 盾 短剣 細身直剣 二刀流 大剣 薙刀 斧 手甲 籠手 鎧術 馬術 杖術 鞭術 棒術 格闘技 拳闘士の心得 投針術 棍法使い 小刀使い 杖棒 槍鎌使い 爪 投げナイフ 気配遮断 気配察知 暗殺 魔力障壁 →魔力結界 魔法操作 身体強化魔法 自己治癒 自然治癒力上昇 超速再生New 飛行魔法雷魔法の極意 →魔法 上級魔法使いNew 魔道具製作 魔力視 神眼 霊体操作 魔人形召喚 魔法陣 魔石 魔石交換機能 並列起動 自動浮遊召喚 契約魔法 召喚魔法LvMAX 使役魔法 L v.4 召喚獣召喚魔法 魔眼召喚 →魔眼神化 L 召喚魔法召喚神Lv1(New!)→魔眼召喚魔法召喚神 魔石合成 融合 融合魔石従魔 調教L v.1(Ex)

→魔獣使いL v.3(ex.)

精霊神 龍神 竜神王L 精霊使いNew→精霊神 植物魔法New→精霊神 New 神術 神界門→神門Lv NEW神格Lv1(New!)

魔道具神 道具の神の叡智 創造L new→道具 武器神Lv2 神武具創造→神神器創造 L 防具創造 →防具 L v.2(new)

装備召喚L 道具神装備召喚Lv1 魔道具神装召喚Lv1(New!)

精霊神の守護L v.2 NEW 魔法 全属性L 魔法陣作成 LvMAX 多重展開 連続発動 並行発動 遅延発動 L v.3 魔法制御LvMAX 並列思考 身体強化Lv5 隠密Lv8 身体加速Lv6 危機回避 身体完全修復Lv6 魔力探知 生命魔法 魔力精密操作Lv9 神氣 波動操作Lv9 魔力吸収 身体超活性Lv5 身体能力超絶増強Lv6(New!)

New 肉体超活性化Lv1 神威L v.2魔道具 魔力還元 生活魔道具 魔素変換効率100% スキル付与 魔力操作 Lv1 →魔力操者の加護(極)

魔力譲渡 魔力供給 魔力吸引 魔法威力増幅 魔石融合 限界突破 New→超越 称号 亜神ラティスの娘(妻)魔人族を統べるもの→魔人族の希望となりうる者へ 世界への干渉権を獲得しました。

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俺は目を覚ます。そこには俺の膝の上で幸せそうに微笑む愛しい妻の姿が。そして俺の目の前にはアスターとリヴァイアスがいて。俺はラティナの融合が上手くいったことに感謝する。その後ラティアは「私はこれからどうなるんですか?」と言うので、魔人の王になって貰おうと考えていることを話した。ラティアも自分の立場をわかっていたので覚悟は出来ていると言って。俺達は、魔王城に戻る事にする。魔王城に戻ってきたのは俺達だけだったのは、ラティがラティティとラヴィーを連れてラティに、この魔王城を預けるとラティに話したからだ。俺達がこの魔王城を出るときには、この城は封印される事になるのだそうだ。ラティアの眷属人形だったこの魔王城がラティを魔王に選ぶらしい。ラティは俺と一緒の方が良いというので、俺はラティの頭を撫でながら魔王の館に行く事にする。ちなみに魔王の館では無くて魔王宮と皆が呼ぶことになった。魔王が二人いるのは面倒だからと俺が魔王になる事になったからなのだ。リリアナとラヴィーは魔王としての責務があるため残ってくれることになった。俺がラティティの頭も優しく撫でてあげると、俺を見上げて嬉しそうにしている。そして俺達に付いていく事を、魔王の眷属の人形から認められた者達と一緒に行動している様だ。俺はその様子に、ラティナとの再会を思い出していた。そして魔王としての仕事を覚えるまでは、暫くの間俺はラティナやラティティに会えないことを寂しく思っていたのである。俺は自分が思った以上に独占欲が強いんだなと思って苦笑していた。俺の気持ちを理解したリディアも同じ思いだったようだ。

こうしてラティはラティーに名前を変え俺の嫁として生きることを誓った。

俺は今俺の腕の中に居る少女を見る。俺の大事な人になったばかりの少女の頭をゆっくりと慈しみながら優しく撫でる。そうすると俺が頭を撫でたことで彼女は少し恥ずかしそうにしながら俺の事を愛しいそうに見つめてくるのだ。彼女こそが、あの事件の際に俺の大切な友人であり恩人だった彼女【白瀬 桜子】であり。今は彼女の記憶を取り戻していて彼女の娘である白瀬 真由美ちゃんになっているのだ。彼女は俺の婚約者でもあり既に夫婦関係にもなっている。今日はその結婚披露宴を行う日でもあったため、朝から準備をして忙しかった。俺とリディーテは普段通りだったのでそこまで大変な事ではなかったが、桜子は大変そうだったがなんとか無事に終えたようである。そんな風に俺達の事を見てくるリディーテに俺も視線を送る。俺の瞳を見たことで彼女が何かを察して近寄ってきてくれるのだが俺としては、ただ甘えたい気分だったためにリディーテの体をぎゅっと抱き寄せてから頬ずりをする様に顔をスリスリしてしまったのである。

リディアはとても満足そうな表情をしていたのだがそんなリディに対して桜子が嫉妬心を向けてしまっていたようなのである。リヴィアは俺の事をずっと見ていたようだが、桜子と目を合わせるように視線を合わせて何事もないように振る舞い始めたのだ。それに気付いたのはリディアだけであり俺に気づかれて居ないことを悟ったのかそのままの状態で待機を続けていたのである。それからしばらくした後リヴィアーネが現れて全員の用意が出来ていることを伝える。俺もリジーと共にリヴァイヤの下に向かい転移陣を使う許可を取ることにした。その際に俺は彼女に確認する為に尋ねることにする。リリィの様子がおかしかったことに気付いていたのかどうかを確認する為でもあるのだ。そうしてリヴィアーネに質問をしたのだが彼女は心当たりがないと言い出したのであった。そこで今度は桜子に確認するために振り返った時である異変に気がついてしまったのであった。それは真由美が泣き出してしまいそうな顔になっていたのだからである。

そうするとリデアが近づいてきて私に任せてくださいといいながら優しく抱きしめ始めるとその温もりによってなのか安心出来たからか次第に落ち着きを取り戻す事が出来たようだった。俺はリディアの様子を見るためにそちらの方を振り向いてみると何故かとても楽し気な雰囲気になっており、俺を見て悪戯を成功させたかのような感じのドヤ顔でこちらを見ながらニヤニヤとしていたのである。そこで気がつく。これは絶対に俺のことからかっているなと思ったのだった。

そうこうしながらも準備を終え結婚式の会場に向かうのであるがリヴァイースがどうしても見たいというので会場に行くまでに時間を使ってしまったのであった。会場では皆待っており特にラティ達は緊張しており俺が席に着いた時にはホッとしている様子が見てとれたほどなのだ。俺は、改めて皆を見渡した後に言葉を口に出す。

「まずはここまで来て下さって本当にありがとうございます。そしてここにいる方たちは皆私の大切な仲間達です」

そして俺は続けて言う

「皆さんご存知かもしれませんけど改めて自己紹介させていただきますね。

俺は元地球人にして現亜神となったラティスの息子であり、神祖でもある【亜神】のリヴァイスになります よろしくお願いします。そして妻となる方は【女神 白亜神 ラティーナ】

ラティナと呼んでください。そして俺の妻にしてくれることになった【神竜 神獣 ラティス】の一人娘 白亜神となります 皆は俺のことをどう思っているのかな?俺のこと嫌いになったりしていないよね?俺はこの世界で色々と助けられたのにも関わらず、この世界に来る原因になった人物のせいとは言えあなたたちの事を蔑ろにしたんだよ。

俺なんかの為に、今まで辛い思いをしてきたのに許してくれなんて言わない だけど俺の傍にいて欲しいんだ。俺は貴方たちに何も出来ないかもしれない でもせめて出来るだけ支えになっていきたいんだ だから俺の事を嫌にならないなら俺の傍に来てくれないだろうか?」俺は真剣なまなざしで一人一人の目をみていく ラティナは涙を流しているがそれでも一生懸命笑顔を作ってくれた リリアナやラヴィーは涙をこぼしている。ラティやティファ、それにアスター達も同様だった そして皆の気持ちを聞くために待っていると俺に向かって声をそろえてくれた。それは俺が望んでた通りの答えで思わず俺も涙が出てしまう。だがラティスが俺の目の前までくると言った。

『お前は、私たちを助けてくれてこの世界を救ってくれて。なのに私たちは、その事実を知らなかったのに、そのせいでこんなにも苦しんでいたのに。私は、私は、私はお前を助けるどころか裏切って殺そうとしたんだぞ』

俺はそんなラティを引き寄せると、ラティは泣いていたが俺の顔を見ると笑顔を見せてくれる。その瞳からはとめどなく大粒の涙を流している。ラティナも、ラヴィー達もだ。ラティスだけは俺に頭を押し付けるようにしながら震えていた。ラティスは、きっと俺が自分を庇ってくれたことを嬉しく思っていながらも。俺を守れなかった自分に怒ってもいたのだと思う。俺を守れないことが、悔しくて情けなくて。ラティスは俺に謝ろうとも思っていたに違いない。だけど俺はもうラティには会えないと理解していたからラティが会いに来た時に俺は自分の感情を抑えることが出来なかったのだろうと思う。だから、俺はラティナに言った。ラティには何も罪はない。むしろ悪いのは俺だと。俺はリディーテ達がいることも忘れて、俺は泣きながら何度も謝っていたのだった。俺の言葉を聞いたラティとラティナも、また泣いていた。

そうして、俺とリリスは、リヴィーをラヴィーに任せてラティをつれて魔族の国に帰って行った。

俺は、魔国の城の俺の部屋の寝室に寝転び天井を見上げていた。俺は今回の出来事で色々と考えさせられた。俺とラティーは違う人間で価値観が全く異なっていることを痛感させられていたのだ。確かに俺はリヴィーが死んでしまい悲しみで狂ってしまっていたのは確かな事である。その事はラティにも話をしている。だからこそリヴァィスがラティーを、自分の娘を俺のところに連れてきた事に対して、ラティは自分の事のようで俺に対して申し訳なさを感じていたのだそうだ。だから俺に対してラティが何かしてくることはなかったが、逆に俺に対して負い目のようなものを持っていたようでもあった。そんなラティはラティが幸せになる為には俺の存在が不可欠だと思い込んでいたので、それをどうにかしなければと思っていたらしい。俺が、俺に出来る事を考えてほしいというとラティーが俺の子供を産むことを提案してきてくれた。俺はそれを受け入れて今に至っている。そうして俺の子供達に名前を付け終わった頃、リヴィーが部屋にやって来たのである。俺がリヴァイヤが、ラヴィーのところに行っても良いよと言うと。すぐにリヴィーのほうに駆け寄っていくと、リヴィーの胸に抱かれていたのである。俺の娘達がとても可愛かったのでついつい写真を撮りまくってしまったので後で見せてもらったのだった。

それからしばらくするとラティーとリヴィアが一緒に入ってきた。ラティが俺に抱き着いてきて。

俺の事を愛してくれていることが分かって凄く嬉しい気持ちになったが同時に俺に対して申し訳ないという罪悪感を抱いているのがわかってしまい、それが俺に対する愛情からなのか。それとも別の要因があるのか気になってしまった。そしてリディアが近づいてきたのだが、ラヴィーも一緒に付いて来ており。リヴィーに対して敵意むき出しの様子であり。俺はリヴィが俺に危害を加えないように警戒をしていたのだが。そんな状況で、リヴィはとんでもない爆弾を落としていったのだ。そうして始まったリディアとの口喧嘩に呆然としながら俺はどうしていいか分からずに、ただ眺めるしか出来なかったのであった。

それから、リヴィアーネが仲裁に入ってくれて事なきを得ることが出来たのだが、なぜか俺への好感度が高まってしまっているのである。そんなわけで結婚式の時からリティア達の機嫌が悪いのは、そういうことだったみたいである。そう言えば最近俺に対して妙に甘えてくるのは俺に甘えて良いと言ってしまったせいもある気がしないこともないけど。

とりあえずリディーテはそんな二人を見て苦笑いをしていたが俺は少し考え事をしていたため二人の事を放置してしまっていたようだ 俺の考え事を邪魔した張本人であるラティーが、俺の事をジト目で見ていて。俺は、そんな可愛いラティーの頭を優しく撫でることにした。するとリヴィアはリヴァイヤの方を見ていたのだったが、リヴァイヤに気がつく様子はなく、どうしようかと考えているような雰囲気を出していた。リディアの方を見るとリディアがこっちを見ていたようなのである。そしてリヴィーをみるとリヴィーの耳元に何やら小声で話していた。それを見たラティスは、慌ててこちらに向かって来て俺の手を握るとラティスに俺を連れて行ってくれと言ったのだった。俺はリヴィア達に視線を向けたのだった。リヴィアとリヴィアーネとリリィの三人が俺に微笑みかけていて、それに答えるように笑顔でうなずく

「分かった。それじゃぁ行こうか」俺はそう言うとその言葉と同時に皆で転移をしたのだった。そうして到着したのは大きな屋敷であった。そこで、ラヴィーに俺の屋敷を見せることにした。俺にリヴィーにラティス、リヴィア達四人。ラヴィーの眷属である黒猫獣人である黒子ちゃん達。そしてラヴィー達と同じ神獣でもあるリヴァイアス達。合計11人の移動なので、かなり目立つのではあるけど気にせずに進む。ラヴィーもリヴィーと手をつないでいたので問題ないだろうと思ったからだ。

俺が住んでいる城や神殿の事をラヴィーとリヴィア、それにリディアに見せたり。ラヴィーの住む家やリヴィーが住んでいたお城などを紹介したり、色々と回って行ったのだった。俺は、ラヴィーが喜んでくれている姿を見るのが嬉しかったのだった。そして最後に、俺とリディーテ、それにラティの三人で、俺が作ったお菓子をラヴィーに食べてもらうことになったのだった。そしてラヴィーは【コロッケ】を食べて涙を流したのである。どうやら美味しいだけではなく、思い出深い食べ物だからなのだとか ラティスが、俺達のために料理を作ろうとしたんだけどね。ラティスは、この世界に召喚されたばかりなのでまだこの世界の事が全然わからないんだ。ラヴィーと一緒に買い物に行った時に買った調理道具を使う事にしたので俺はラティスに作り方を教えながら作ったのである。

まず最初にラヴィーに教える為に作る前に試食してもらう

「うん、これは懐かしい味だね。母さんの得意な一品なんだ。私もこれを食べるたびに母さんを思い出していたんだよ」俺はその言葉を聞いて涙が出て来てしまい、その涙が止まらなかったんだ。だから泣いていると、ラティが抱きしめてくれる

「父上、どうか泣かないでください。私が傍にいるので安心してくださいね」俺は泣きながらも笑みを作ると

「ありがとう。俺は本当に幸せ者だ。俺の大事なリヴィーを産んでくれたリリスを大事にしないとだな」ラティーとリヴィーが、リリディーテに俺とリリディーテの間に子供が出来た時の事を話し始めた。それを聞いたリディーテが真っ赤になって恥ずかしそうにしているのが印象的だったのだった そしてラティスとラヴィーも感動してくれていたので嬉しく思ったのである。そして俺はリティスからラヴィーの過去を聞いたのだ。リヴィスが亡くなってから、ラティス達はずっと寂しく辛い思いをしてきたのだろうと。そんなラティスにラティーが寄り添ってあげていたことに俺は心の底から感謝をしたのである。

ラヴィーとラティスを家に連れて行くため、俺は転移をして移動をしたのであった。そして俺の城に着くころにはすでに夕日が沈もうとしていた時だったのだ。ラヴィーは、俺の家を見て驚いていたのだが「ここに住んでもいいの?」と聞いてきたので。俺は、当然のように答えた。

俺は、ラヴィーに家族がいる事を伝えていなかった。リディーテと俺の二人しかいないと思ってもらっているからこそ、ここに招待したのだし。だから俺も最初はびっくりしたがすぐに受け入れた。だって、ラヴィーには俺の家族を紹介しないといけないからな。俺はそう思って、ラティにリヴィアとリリディーテにリヴァイスを呼んでくるようにお願いする。

それから、俺とリディーテ、ラヴィーで家の中に入ったのだった。

そうしてリビングで待っているとリティーとラティに、リティスがやって来たので全員集合したところで、リヴァイアが来たのだ。

ラヴィーはリヴァイアが来てくれてとてもうれしかったのか。リヴィーの事はそっちのけにしてしまったようで。ラヴィーに怒られたリヴィーが落ち込んでしまっていたのが可哀想に思えたが俺は、落ち込んでいるラヴィーに優しく声を掛けると俺の方に顔を上げて潤んでいる目をしていて俺を見つめる。

そんな様子をみてリヴィアがリヴィアネーが嫉妬していたが、リヴィアが可愛すぎるのがいけないと思う。そんな訳で、俺とラティーとリティでラヴィーとリヴィアの相手をしている。その間、ラティとリヴィーとリヴィアは仲良くなっているみたいだった。そんな感じで、しばらくすると俺が呼んだ人達が集まり始めてくる。そうして、全員が席に着き俺の話が始まる。俺は改めてリヴィーの事を説明する。俺が魔王になった事を説明しても大丈夫な相手を選んで連れてきたことを伝えた上で。俺がこの世界で何をしようと、リヴァイヤとリヴァイアに許可を取りに来たと話す。二人は、快く俺の申し出を受けてくれたので。

それから俺は俺の力や能力を説明した。俺の魔力は無限であることと、スキルの数、魔素の吸収率や操作力について、そしてリヴィーが融合したときに、俺が魔王になったこととリヴァイヤの力が使えることを教えた。それから俺の瞳は、俺の目が黒いうちにリヴィアにあげた赤いルビーの指輪でリヴァイヤとの繋がりがあるためリヴァイヤの力を使うことができるようになったという事を話すとラヴィーはとても驚いたようだったがすぐに嬉しそうな顔をしていたのだった。

そんなラヴィーを見て俺が少し嬉しくなっているとリヴィーから念話が入ってくる。

(マスター、私とリヴィー様が一つに合体する事ができました)リヴィーの身体は黒くなったままだったのだが、それが徐々に薄くなっていくとリヴィーの髪の毛は金髪でロングヘアーになり、そして服が透けて消えていくとそこには肌が黒く長い髪の女性が現れたのだった。そして俺にお辞儀をすると俺に話しかけて来たのである。

「私は【神人人形】となった【リヴィアンドール リヴァイアニマ】です」そう言った後続けて

「主であるご主人様に誠心誠意尽くさせていただきます」と言い俺に対して膝をついて礼をする。リヴァイヤが言う。

「我が娘リヴィリアンよ。今一度我の前に姿を現わしたのじゃな。その姿で良いのか?お前はもう自由に生きれるのじゃぞ?」リヴィーは、首を左右に振った。

そして、俺とリヴァイヤとリヴィア、そしてリヴァイヤの娘達を見てから話し出す。そして、今まで自分の存在を隠していて悪かったと思っていることや、そして俺がこれからリヴィーのためにやろうとしていることを知って欲しいと言って来たのである。リヴィーは、ラヴィーの傍にいられることを喜んでくれて一緒に生活したいと言ったのだった。

俺が、ラヴィーとリヴィア、そしてラティを家族として迎え入れることを伝えると、皆でラヴィーのことをよろしく頼むと言ってラヴィーに頭を下げたのである。それを見たラヴィーは涙ぐんでいたがリヴィーとリヴィーに抱きついた。そうするとリヴィーがラヴィーの背中を撫でながら「お義母さん、ありがとう」と、言って抱きしめていたのだった。

そしてリヴィーとラヴィーの二人から、ラヴィーがなぜラヴィーという名前かを聞いたので教えてもらった。どうやらリリヴィアの本名の「リィー」と「レヴィア」から、リヴィーの本当の名前は「リヴィー」と言うらしい。俺の「リヴィー」と名前が似ていなくもないのでよかった。

リヴィーが、ラティーにラティを抱きしめているところを見て羨ましそうにしたので。俺はラティーとリヴィーの二人が抱き合う姿をイメージして。俺の思い浮かべた映像をラヴィーに見せる。ラヴィーは一瞬戸惑っていたが、嬉しそうな表情をしていた。その後俺はリティやリヴィア、リリティア達とも抱き合いたいというと喜んで了承してくれた。

そして、最後に俺の妻達を一人ずつ紹介していくと。皆の事を、ラヴィーが涙を浮かべ嬉しそうにしている。そしてラヴィーとリヴィアがリヴィーの体の中に入っていくとリヴィーの見た目が変わって行く そしてラヴィーとリヴィーは【リヴィアンドール】となってラヴィーに溶け込むようにして消えたのである。そうしてラヴィーの【ステータス】を確認させてもらうとレベルが【201】になっていたのである。これは【魔眼】のレベルが上がったせいだと思う。それに【人化 ラティー】の効果が発動していてレベルが【153/200 LV300 UPHP 5000000000(50万アップ MP 58000000)

攻撃 40005500 防御 31003000 特攻 26006000 特防 25001000 速度 200002000 運 150300000 祝福 聖女 状態異常耐性(小)

経験値10倍】と書かれていたので驚いている。それから、リディーテにも話したけど俺が女神の力で【聖女の羽衣 】を作って渡してある事を告げる。

そしてリヴィーに融合したことで俺のスキルの共有が可能になったことを告げ、リヴァイアにリヴィーから教わった方法で魔力を分け与えて欲しいことを伝えると。リヴィーは、笑顔で引き受けてくれたのだった。そして俺は、ラヴィーを家族にするためにラヴィーと俺が融合する時に俺に起こる変化を皆に教えることにするのであった。

そう、ラヴィーと俺が一つになった時俺の瞳が赤くなり。俺の姿も変化するのだ。それを説明すると。

まずはリヴィーとラヴィーが一つになってラヴィーは黒から銀色に変わり、髪が白銀になりロングストレートヘアになっているのだ。ラヴィーとリヴィーは、お互いをラヴィーと呼びあうことにしたみたいだ。それからラヴィーの服はリヴィアと同じデザインになるので俺とリヴィアとリヴィーで話し合いリヴィアと色違いの白いミニのワンピースと白いタイツを履いてもらってラティはリヴィアとお揃いの色違いでピンクのワンピースと白いタイツを着てもらってラヴィーが着るのは黒のドレスにしたのだった。

俺は、そんなラヴィーをラティに見せてからリヴィに紹介すると。

ラヴィーとラヴィーがラヴィーにラティを抱きしめる姿を見せるといい。お互いに手を取り合っている。そんな二人の姿をみて俺は微笑み、そんな俺の様子にリディーテ達は呆れていたが、すぐに微笑み返してくれるのだった。そして俺がリヴァイヤと話すと、リヴィーから念話で連絡があり。俺はすぐにリヴィーに【神人の館 】に来てもらうと、俺に念話を飛ばしてきて俺は転移してリヴァイアの待つ部屋に飛んでいく。そうするとリヴィーとリヴィーは俺の元に駆け寄り俺の腕の中へ飛び込んでくる。俺はそれを受け止めてリヴァイアを見ると少し恥ずかしそうにしていたのである。

リヴィーの事を、改めて俺の婚約者として紹介したのだが、俺の家族が受け入れてくれている事に嬉し泣きをしていて。俺はラヴィーとラティの時は、こんなに喜んでくれたのかと思うと。俺まで嬉しくなって三人を抱き寄せるのだった。

そうしてからラヴィーとリヴィーが、俺に何かしてほしいことはないかと聞いてきたので。俺に料理を作る事を手伝ってほしいとお願いすると、嬉しそうにして早速作り始める。ラヴィーとリヴィーは、俺の希望通りに作ってくれる。リヴィーが俺が美味しいと言って喜んだハンバーグやポテトサラダなどを作ったり。俺はラヴィーとラヴィーに、好きな料理を聞いてから俺なりに考えた結果。和風な味付けで煮魚を作り。味噌汁に焼き鮭と卵焼きを作って食べてもらった。そうしていると。皆集まって来て、リヴァイアとリリシアがお腹が空いたと言い出して。俺はリヴィーに手伝って貰いながら【収納空間】から材料を出し。お好みの料理を作らせることにした。

そして皆はリヴァイアが用意した椅子に座って食事をして。食事をしながらリヴァイアとリヴィーに質問をする。

「ラティの事は覚えているのか?」

リヴィーは「はい」と返事を返すと続けてリヴァイアが。

「リヴィーのおかげで我は自我を取り戻したが。我がこの世界の魔王の魂は我の肉体に宿っていないようじゃの」と言う。

俺はリヴァイアとラヴィーのステータスを確認する。

リヴァイアは【神龍 人神竜】となりレベル【490】となっていた。ラヴィーに融合したことでレベルが上がっているのかもしれない。

そう思って確認したリヴィーはレベル【6253 LV720】となっており。やはり、融合した事で、レベルの上がり方がかなり早いようだ。それとリヴィーの職業欄には、【人魔王 魔王人形】と出ていて魔王人形のままだったのだった。そこで俺と融合した時のリヴァイアさんの説明とラヴィーの話を思い出し。もしかしたらリヴィーをリヴァイスの器とした時に魔王の力がリヴァイアに宿った可能性があるのではないかと思い至り。リヴィーのスキルに俺が新しく与えた。魔王の力について尋ねると、 【魔王の瞳 鑑定 隠蔽】【魔力回復速度上昇大】【精神感応共有 意思伝達】【多重処理 解析 分析 共有】と【アイテムボックス 異次元倉庫】と【魔素支配】【闇魔法の極意】【魔法操作術】と【無詠唱】が増えており、その中にリヴァイスの魔眼が追加されていたのである。リヴァイヤが俺に話しかけてくる

「主様よ、どうやら我が娘ラヴィーは、我と同じように魔眼が使えるようなのじゃ。そして我の魔王の力をその身に取り込んだことにより【全能力値倍加】の【倍々効果】と言うものが我が娘の力となったのかもしれぬのじゃ。」

と教えてくれる。俺はそれを聞き驚く。そして、リヴィーが、魔眼を発動して見せてくれたのである。そうすると【リヴァイアニマ ラヴィー】が使う魔眼とラヴィーの魔眼が合わさることで。今まで以上にはっきりと相手の姿が見えるようになっていたのだ。それに魔素支配も発動して見えるようになり。相手が何を考えているかも分かるらしいのだ。それから俺も、リヴァイヤとの同化の際に手に入れたらしい聖属性が、光輪と浄化に使えたりするようになっていて、更に【光球 MP500 聖光の波動(HPダメージ)

MP1000(500×5)

MP1000(1000)

MP5000(5000)

MP5500(5500)】となっている。

リヴィーが「お母様には、魔力の最大値や最大保有量が私より多いみたいで私の魔力がお母様に流れたみたいです。そして、私の場合は。リヴィーが、魔族の王として生まれ変わり。リヴィーの魔素をラヴィーが吸収してリヴィーの固有魔法と融合したときにラヴィーの中にラヴィー自身の力とラヴィーの中のリヴィーの魔核が入り込み融合することで私は、ラヴィーがリヴィーを吸収し融合したのです。だから私がラヴィーに吸収され融合した時に魔眼の能力が強化されたみたいなんです。それとラヴィーに聞いた話では。融合した後はレベルが上がりやすく。【人化 ラティー】でレベルは200になりましたが【人化 ラヴィー】はレベル300になったのでレベルは700になる予定だと言っていました。」

と説明してくれたのである。それから俺と融合することによって、レベルが上がる事を教えてくれた。それを聞いた俺達は驚いていた。レベルは200で打ち止めではないらしく。200を超えることも可能だとリヴィーは説明してくれたのだ。それにラヴィーの方はレベル1000になるとリヴィーよりも上の存在になると言われ。ラヴィーも驚きながらリヴィーを見つめていた。それから、二人とリリシアも一緒になって皆で話し合っていた。俺の仲間になったリヴィー達と俺の従者達と、俺の妻達は、リヴァイアとラヴィーから自分達がどんな存在になっているのかを聞かされ。自分の存在が変わって行く事に戸惑っていた。

そして俺達は、お互いがどういう存在であるかをリヴィーとラヴィーが詳しく話して。自分の中に融合したラヴィーがいて。お互いを理解出来る事を伝えると安心したようだった。

それから俺達が、リヴィーから俺とリヴァイアさんに聞きたいことがあるみたいで。俺に融合する前はリヴァイアさんの身体の中で眠り続けていたみたいで、その間に、ラヴィーがリヴィーの記憶を見せてくれたらしい。それでラヴィーもラティスも、前世の事を思い出したようで、前世は日本という世界で生きていた記憶があったと。リヴァイアに融合した時はラヴィーとして目覚めていたので、俺の事は、はっきりは思い出せなかったけどラティとリティスのことは何となくは分かったようだった。そう言う事もあって俺の事も気になっていたのだと言う。

そこで、まずはラヴィーが俺に抱きついてきていたのだった。

そうしてラヴィーは、まずリヴィアのことをリヴィア姉様と呼ぶことに決めて。リヴィーにリヴィアに色々と質問をしていったのである。リヴィアは自分のことをラヴィーに話す。そしてお互いの事を知り合えたことが嬉しかったのであろう。二人共涙を流して喜びあっている。その様子を見ていた俺は嬉しくて二人を抱きしめると。リリシアとリリス、アリシアがやってきてリヴィーとラヴィーの事を抱きしめている。そして俺の婚約者達はそんな三人の様子を見ながら。俺と一緒に二人を優しく抱きしめるのだった。俺は二人にもう大丈夫だよと頭を撫でて落ち着かせるのだった。

リヴァイアとラヴィーは俺達の話を聞くうちに段々と落ち着いてきて。俺と融合したことによって自分がどうなっているのかを理解し始めたようだ。ラヴィーがリヴィーを俺の元に呼び寄せたのはリヴァイアにリヴィーの全てを委ねた方がいいと思ったからで。それは、俺がリリィと融合してからリヴァイアを見てリヴァイアが俺に融合した方が良いと判断したからだと言っていた。その話を聞いたリヴィーとラヴィーは。お互いの意思を確認し合い。そして二人で決めた事はリヴィーとラヴィーが融合したことで得たスキル【リヴァイアニマ】の力によって。俺に融合することで新たなる魔王となることだと言うことなのだ。

そう言って俺の前で土下座して「お願いします。この身も心も貴方様に捧げます。どうかお仕えさせてください。」と懇願してきた。俺は少し考えるも二人の覚悟を感じとり「分かった。俺はリヴィアーーーリスティーアと結婚することになるだろう。だけど、俺の大切な家族になって欲しいから結婚するわけではないぞ。だから、あくまでもリリアやアリアやリーゼのような妹や友達として付き合って貰うために結婚したいとおもってるからな。だから今から、二人を【恋人関係】から【主従契約】に変更させるが。いいか?」と言うと二人は嬉し泣きしながら「はい!」と言ってきたのである。こうしてリヴィーは俺の恋人から俺の従者へとランクアップしたのであった。そして、ラヴィーとリヴィーはお互いに名前呼びに変えてくれと言われ、そして今後はリヴィーがラヴィーにリヴァイアがラヴィーのスキルと魔王の力で俺の側に居られるようにして欲しいと言う。俺はその言葉を聞き「わかった」と言う。そうして二人が俺の側にいることを許す。

俺はこの場でリヴィーとリヴィアを融合してしまおうと考えた。だが、俺の心の中では既にリヴァイスとリリヴァイアの力を完全に使いこなすことができていた。そして、融合できるかどうか試したいと思ってしまったのだ。それに今は二人に融合してもらう方が都合が良いかもしれない。だから俺は。

リヴィーとリヴィアがリヴァイアに取り込まれて、完全に俺と一体化し、二人に新しい魂が生まれて。その魂と融合したのがラヴィーとラヴィーだったとしたら、リヴィーは俺とリヴィーの力が混ざりあった状態になり。融合したのなら【全能力値倍加 リヴィー HP 5000 攻撃力 10500(+5000)】の【全能力値倍加】が俺自身に適応されると言うことになり。俺と融合したリヴィーとラヴィーには【全能力値倍加 倍加率×3 リヴィー】【全能力値倍加 倍加効果×2 ラヴィー】が付与されると言う事になるのではないかと考えたのである。そう考えた俺は【光球 MP5万 聖なる癒し(聖光球(回復効果大)ダメージ大)MP10万

(聖光の癒光球(HP回復大ダメージ小 聖光の浄化(毒、呪い、石化解除 状態異常治癒 解呪 病気治癒 浄化 結界機能有り 自動回復 再生力上昇)MP100】をリヴァイアに発動する。リヴァイアはその技を受け光球が俺の中に入ってくると同時に俺に融合してくる。俺のMPは【倍加倍率×20】【リヴァイアニマ】が加算され。【全能力値倍増 MP5000 攻撃力500000(500×15000)】になる。リヴィアは【リヴァイアニマ】を発動すると俺と融合した。

そしてラヴィーの時には、俺は、ラヴィーが俺に融合してくれることを了承しないと、ラヴィーを俺に取り込むことができなくなったので。まずはラヴィーの承諾を得ようとしたのだが、俺の言葉を聞いて。涙ぐみながら俺の胸に飛び込み抱きしめてきて。「私もお兄ちゃんと一緒に生きたい!そして一緒に生きてお兄ちゃんの側でずっと一緒にいたいっ。だから私をお兄ちゃんの仲間にしてください。私もリヴィーさんと同じようにお兄ちゃんのお嫁さんになりたいっ!!私はお兄ちゃんが大好きなんだもん。」と言ってきたのである。

それを聞いた俺も涙を流して抱き返す。

そうして俺の身体にラヴィーが入り込むと。リヴァイアのときとは違いリヴィーが融合してくれたからなのか、融合する前からの気持ちだったのか、わからないが。俺に対して凄く積極的に俺にアピールしていたのを思い出す。

俺は、融合する前のリヴィーを思い出してしまい、ラヴィーがラヴィーであることを思い出し。ラヴィーに確認をしてみる。

俺が「リヴァイアの記憶の中にいる、リヴィーだった時の記憶は持っているんだよね?覚えてるのかな?」と尋ねると、彼女は恥ずかしそうな顔で。顔を真っ赤にしながらも「もちろんです。」と答えてくれたのである。それから「私のこと思い出してくれてありがとうございます。お久しぶりですリヴィア姉様。また一緒にいれることがとても嬉しいのです。これからも末永くよろしくお願いいたしますね。」「あぁリヴィーが元気そうで本当によかったよ。こちらこそ仲良くしようねリヴィー。あとリヴィー。私もリヴァイアさんに助けてもらったから、あの時に死ぬ運命から救ってくれて感謝してるわ。これからも頼りにしているね。」と。

それからリヴィーとラヴィーはお互いに握手をしていた。その後、俺はリヴァイアにもリヴィーと融合したことについて聞いてみることにしたのだった。俺が「リヴィーと融合したことでリヴァイアに何か変化はあるの?」と聞くと。

『はい。リヴィもリヴァイアに融合したことで新たに進化したことで、スキルが進化しており。その事ですが。今までは融合してもスキル自体は使えるだけで、スキルを使うための魔力が必要となります。しかし融合した事によりリヴィーは融合しているリヴァイアの力も使うことができるようになったため。スキルに新たなる能力が追加されました。それにより【神眼】や【神速転移】や【神魔剣聖術】やその他色々な能力を使えたりするのですよ。さらに融合したことで、リヴァイアが所持していないスキルでも。融合した相手の全ての能力値を使って使用可能となったので。今まで以上に強力になったと思います』と教えてくれたので。リヴィーと融合したことでスキルの新たなる力が解放されたみたいだったのだ。俺はリヴァイアにお礼を言うと「ラヴィーもリヴィーと同じでリヴァイアと融合したことで、新たなる力が解放されて。俺に融合すれば【倍加】と【全能力倍加 HP,攻撃力倍加、攻撃倍加、防御倍加、敏捷倍加、魔力倍加】が、俺の能力に付与されることを話したら、ラヴィーも嬉し泣きしながら喜んでいたのだった。そして俺は改めてリヴィーとラヴィーの二人を恋人関係から主従契約へとランクアップしたのであった。俺はラヴィーと融合したことで。俺に【主従契約】と【従者の祝福】と【奴隷化の呪い(主人に服従し逆らう事ができなく命令に従う 俺の言う事を絶対に実行させる)

ラヴィーのスキル【隷属化 】を【主従】に融合させたので。俺はラヴィーを正式に自分の奴隷にすることを決めたのである。ラヴィーは喜んでくれていて俺の眷属になれたことが嬉しいらしく。ラヴィーから俺に対する好感度が急上昇し、俺への愛情度が大幅に上がったことで。リヴィーとラヴィーは、リヴァイアに融合したことにより。お互いの主人格を共有化し融合することにより二人の意思疎通をすることができるようになっていた。その事から、リヴァイアが「私が融合したことによって。二人の思考もわかるようになるから。今のようにお互いが意識を共有することもできるから安心してほしい」と、説明をすると。二人ともリヴィーからリヴァイアの融合について聞いていたようで、俺と融合した後にも問題無くお互いが認識できていることに驚いていたが。すぐに俺に抱きついて「リヴィーもラヴィーも同じくらい大好き!」と伝えてきたので。リヴァイアが俺に話しかけるのを待っていたのだなと理解したのである。

俺と融合した二人を見て、リリィとリリアとリリィとアリアが自分だけが仲間外れになっていたと拗ねていたので。みんな順番に融合することにしたのである。そして、融合した三人には俺の恋人と家族になってもらうことにした。それから俺達はリヴィーが魔王軍の幹部の一人にやられた件については、リヴィーがリヴァイアとラヴィーの力を取り込んだ状態で。俺達と一緒に帝都に向かい事情を話すから心配ないと言う。その言葉を信じることに決め、俺達は翌日、帝国に向かう事を決めて眠りにつくのであった。そうして俺は眠りにつく前にリヴァイアに「これからはリヴィーのことを任せたぞ」と話すと「リヴィーの事は任せてください。この身を賭して守って見せます。それとご主人様、この世界の管理神様から伝言がありますので聞いて欲しいです。」と言うので。俺は「分かった聞かせて欲しい」と言うとリヴァイアは俺にこの世界を管理している創造神のメッセージを伝え始めたのだった。

俺がリヴァイアにリヴィーのことを頼んでいる時だった。俺が眠ったと思い込んだラヴィーとリヴィーは俺と融合した時にできたリヴィーの融合後の魂とラヴィーと融合したラヴィーの魂の間にパスが形成されており。ラヴィーの融合したラヴィーの魂に残っていた俺の記憶とリヴィーと融合したラヴィーの記憶の融合した魂の中にラヴィーの魂が融合して一つになっている状態だと聞かされ俺は驚くことになる。俺は、それをリヴィー達に聞いてみると「私は、リヴィーお姉ちゃんのことはもう妹同然だと思っているの。だって、リヴィーお姉ちゃんの妹になれるなんて本当に嬉しいんだよ。それにリヴィーお姉ちゃんには私達が居なくなってから辛い思いをしてきたから、リヴィーお姉ちゃんは私達の大切な友達だから幸せになってもらいたいし、私もリヴィーお姉ちゃんには幸せになって欲しいと思っています。私とリヴィーお姉ちゃんが融合していることで。リヴァイアさんの力は、私にも反映されるようになりました。だからこれからは、リヴァイアさんに負けないように頑張ります。私と融合したことで私のステータスが倍加しています。【神眼】で確認できると思うのですが、私に融合してからレベルが2に上がって、融合前のラヴィーの時のステータスが【HP】1000で【攻撃力】800だったけど、今の私の【攻撃力】は8000で【HP】5000でした。それから【全能力倍加】と融合前とは比較にならないくらいに強靭な肉体になり。【HP自動回復】と、さらに【超再生力】が発動するようになり。【倍加倍加(倍々増)

】の効果により、私もリヴィーお姉ちゃんと同様に倍々に強くなり。私の場合はリヴィーお姉ちゃんよりさらに倍になるのです。それで【倍速強化 MP10000】というのもあり。リヴィーお姉ちゃんが倍加するたびに、私自身も倍になっていき倍々で強くなるんです。ちなみに【倍加倍速】の倍率はMPが100倍になるみたいなので、私もリヴィーお姉ちゃん同様に倍のスピードにどんどん早くなり。倍加するたび。倍になるのは嬉しいんだけど。ちょっと複雑かもですね。でも私に融合してくれたリヴィーさんに、少しでも追いつき。同じくらい強くなって一緒に戦えることがとても嬉しいです」と言っていて。俺はラヴィーがとても可愛いくて、俺も思わず抱きしめてしまったのだった。

「ラヴィー、これからもよろしくね」

俺の言葉に、リヴィーは恥ずかしそうな表情で。

「ありがとうございます。ラヴィーお姉ちゃん。リヴィーの事を、どうかよろしくお願いいたしますね」と。

リヴィーに頭を撫でられてラヴィーはとても嬉しそうにしていて可愛かった。

俺はそんなラヴィーとリヴィーの様子に嬉しくて仕方がなかったのである。そうして俺は二人の姉妹愛を見ながら眠るのであった。

翌朝、目を覚ました俺はリヴィーとラヴィーとリヴィアの3人を連れて、アリシアが住んでいる町に向かう事にしたのである。

ラヴィーは昨晩、俺との融合が終わり、自分の融合体だったラヴィーの融合した後の姿を見たとき、ラヴィーの融合した体は俺と同じで身長180cmくらいだったのだが。融合した事でラヴィーも融合前とは違い成長しており。融合前のラヴィーは、140~145cm位しかなかったはずなのだが。今では160センチ程あり。俺と身長が同じくらいになったことで、リヴィがとても喜んでくれたが、融合後の姿はリヴィと同じ金髪の長い髪を腰まで垂らし顔立ちはリヴィーに似ており目鼻口のバランスも整っていて美少女でありリヴィと同じように美人になったラヴィーの姿を見てリヴィが涙ぐんでいた。そしてラヴィーもリヴィーに抱きついて再会を喜んでいた。

その後ラヴィーが「リヴィーがリヴァイアさんから融合したから。融合した後に私が融合しても大丈夫だよね?」と言うので。

「ああ問題ないよ。融合しても俺の融合体は女性なんだ。融合したことで性別も変わるかもしれないから。その時はまた、融合をやり直せばいいだけだからな」と話すとリヴィーと融合したことで。融合後は男性として転生していたらしい。

「リヴァイアは、リヴィーが俺の眷属になって融合したときに。融合したのは女だから、融合して性別が変わった場合は、俺の眷属をやめる事にするか、それともこのまま眷属を続けるかを選べばいいから、心配しなくていいぞ。リヴィーとラヴィーの融合体にリヴィーとラヴィーのどちらか片方を眷属にする事にしたら、融合体を二つ作ることになるから、その場合はリヴィーかラヴィーのどっちか一人だけを、眷属にすると良いと思うんだ。それと俺の融合体が融合した時は、融合前のリヴィーの記憶を融合した相手の記憶を消したり封印した状態で融合させたわけじゃなく融合させただけで、その時に融合相手が融合した俺の記憶は残してあるから安心してくれ。

あとは融合した状態でも融合体の二人は意思疎通ができるみたいだけど、念話や思念通話は俺の融合体にはできないし、融合解除をすれば元に戻れるんだ。だからもし融合後に元に戻るときは、リヴィーとラヴィーの意思を確認してからにして欲しい」と言うと。

ラヴィーは、「分かりました。私達は、今後どうなるのか心配でしたが、今はご主人様が融合を解いても元に身体に戻れるようにしてくれていることがわかり安心しました。融合したのは失敗だったかなとも考えていましたが。今後は私とラヴィーの融合体にはお互いの意思を尊重しつつ仲良くやっていきたいと思っています。私もラヴィーもこの世界で幸せになりたいと思いますので、これから宜しくお願いいたします。」と伝えてきた。リヴィーの方もラヴィーの気持ちを聞いて俺に抱きついてきて「私も同じです。これからは二人でご主人様に一生仕えますのでよろしくお願いいたしますね。私達二人と、ラヴィーの3人で力を合わせてこの世界に貢献しますね。それにラヴィーにはリリィ達もいるのにリヴィーだけ仲間外れにするのは良くないと思うのです。ですのでラヴィーと私達三人も仲間にしてくださいね。」とリヴィーが言うと。リリィ達からも仲間外れは嫌だと懇願されたので。

俺は仲間を増やす事については前向きだったが、リヴィーが仲間になる事について少し不安もあったのである。俺に忠誠を誓ってくれるのなら仲間になっても構わないが。俺への忠誠度が100%の状態で俺が死ぬことで死なない呪いをかけられた場合。忠誠心が低い場合だと、裏切られる可能性が出てくるから心配だったのだ。だから「俺のスキル【絶対服従】が使えたらいいんだけどな。」と思いながら俺は【ステータスオープン】を使いリヴィーの忠誠を確認した。するとそこには。

名前:ラヴィー

種族:リヴィーと融合して、融合前の融合前のラヴィーとリヴィーの記憶と人格が統合されています。なので今のリヴィーとラヴィーが、それぞれ統合されたことにより2人分の力が備わっていることになりますので生まれつきレベルの上限が無く。経験値の取得が倍になっており。能力値は倍になり全ての数値が5000以上あります。そのため融合前は150前後でしたので現在の融合前の数値は500前後となり、通常の人間が経験できるようなレベルアップの限界に達してしまい進化もできないようになっています。また【全能力超上昇】が常時発動していて。【超高速回復】の効果もあり常に体力が回復し続けているので普通の人間は、ほぼ無限のHPを持ち不老不死に近い肉体を持つようになり。HPが0になった瞬間にHP1にHPが自動回復し続けますので、普通に戦えば絶対に死にません。またHPが100以下になったとしても、100以上に回復するという感じになっていまして。さらに融合により融合前に取得した技能と魔法は全て使えるようになります。さらに神族と同等レベルです。リヴィと融合していることもあり。神界で神々に祝福を受けられていて。リヴィーと同じくレベルが上がりやすくなっているうえ。能力が2倍に増加していて、しかもHPが5000を超えており、攻撃力が10000以上で防御力が6000以上で、魔力は8000を超えるほど高く。敏捷性も9000近いくらいあって、すべての能力値が高く、特に物理系の能力に関しては限界突破していて、攻撃魔法の威力も凄まじく、特殊系の能力は、全てMAXまで取得して扱える状態になっているので。

通常では、ここまで高いレベルで。ここまでの能力を持っている生物は存在しないでしょう。リヴィーに融合したことで融合前よりも大幅にパワーアップしています。ちなみに融合後のラヴィーはリヴァイアサンとの融合により。レベルが上限まで達しているため融合前のように成長できなくなってしまっています。さらに合体した事により、融合前までの記憶を完全に統合しており。性格や感情は融合前とは変わっており、見た目はリヴィーですが融合したことで容姿も変化していますので別人と考えても良いくらいの変貌ぶりとなってしまいました。ただ身体能力も上がっているので総合的に見た戦闘能力は以前より遥かに上がっておりまして。リヴィーと融合したため【完全言語理解】が使用可能になっていますので会話も可能です。それから【精神感応】が使えるのでリヴィとラヴィの二人の意識は、完全に統一されており二人の心は一つになって、お互いにお互いを尊敬しながら愛し合えるようになっているそうです。」となっていたのである。

俺はリヴィーからリヴィー達の状況を聞いたときに、まず最初に思ったことは「俺の仲間になってくれたら、リヴィアが、もっと楽に生きられるかもしれないから、仲間にした方が良いだろう」と考えていたので。リヴィアとリヴィーの二人にリヴィアのことを頼んでみると了承してくれたので俺は【念話】を使ってリヴィアを呼び出してリヴィーが俺の配下になったことを伝えておいた。

その後、俺はリヴィーと融合を解除し、元のラヴィーと融合した姿に戻ってもらって。改めて俺の仲間になって欲しいことを伝えるとラヴィーは嬉しそうにしていたが。リヴィーがラヴィーに対して。「私の事を姉さんと呼ぶのですよ。私の妹になったので私と一緒に暮らすんですよ」と言ってリヴィーが、お姉ちゃんぶっている姿を見て俺は思わず吹き出しそうになったが。ラヴィーが「分かりました。私は、ご主人様の妻になれなかったけれど、リヴィーの姉貴分になる事ができたので良かったと思います。これからは姉妹で頑張りましょう。それとこれからは、ラヴィーはラヴィーとして生きることに決めましたので、これからは今まで通りの名前で呼ばずにラヴィーとして呼んでくださいね。私も今まで通りの名前ではなくラヴィーという名前で呼ばれるようにしますから。それで良いですね。私もラヴィーという名前にしたいと思っていましたから嬉しいのです」と笑顔で言うと。リヴィーが「もちろんだよラヴィー。リヴィーと私で二人揃って。リヴィーとラヴィーだから。私達は二人ともご主人様の奴隷だから。これからはラヴィーと私が二人でご主人様をサポートいたしますから」とリヴィーとラヴィーが仲良さそうな様子を見ていると、なんだかリヴィアも混ざりたくなったらしく。

俺に甘えてきて「ねえねえ。ラヴィーばかりずるい。私も混ぜて欲しいの」と可愛らしいことを言うと。俺はリヴィアも交えてリヴィーにリヴィーとラヴィーの姉妹としての絆を作ってあげることにする。

「それじゃあ。今度からお前はラヴィーだからな、リヴィーと同じようにラヴィーって名前を名乗って良いぞ。あと俺の事は自分の旦那として敬う必要はないけど、ご主人さまじゃなくて。お館さまとかご主人さまじゃなくて。これから俺のこと名前で呼ぶか、名前を付けてくれるように頼むんだ」と言うとラヴィーは喜んで俺をラヴィーとリヴィーが二人で一緒に俺を呼ぶ時にラヴィーと呼んで欲しいと言うので、今後は俺を、ごしゅじんたまではなく。ラヴィーはラヴィーの口調のまま、ごしゅじんたまでは変だと思ったようで俺に、名前の呼び名を考えてほしいと言うので。俺はリヴィーとリヴィーと融合した時の、ラヴィーの顔を見て、何か似ていると思っていたが、リリヴィアがラヴィスに似てるなと感じたので、リリヴィアとリリィにリリヴィウスで、リィヴィアスにしようかな? と考えた。そこで、俺が、この世界にきてから知り合ったリヴィのリヴィーとリヴィーと融合していたので、ラヴィーも融合してラヴィーになりそうだから、融合前の名前はどうなるのかを聞くと。融合前の名前が思い出せないという事だったので。融合後の名前はラヴィーと決めたが。

融合前のラヴィーは俺にラヴィーと呼ばれるのは嫌だと言うのでラヴィーの愛称はラビーになった。融合後のラヴィーはリヴィーとリヴィーと融合したことによってレベル上限に達しているし。能力値もリヴィーと同じだし。特殊能力も全て使えるので。リヴィーにラヴィーの事を頼んだあとに、俺はリヴィーの眷属化を行うことにした。眷属の契約は、眷属化したい相手に俺が手を触れながら血を飲ませる事で行うことができるが。今回は既にラヴィーの融合体になっているので。ラヴィーと融合した際に融合されたリヴィーのスキル【魂の融合体(ラヴィー)】が自動的に融合された状態のようだ。なので、リヴィーと融合した際に、融合した状態で【魂の融合体】の効果も受けてしまったのであろうと思われる。

リヴィーに俺の血液を与えるために指先を切りつけると。ラヴィーはラヴィーの姿から本来のリヴィーとラヴィーと融合したときの融合する前のラヴィーの姿に変化し、融合後にリヴィーの身体には、ラヴィーが吸収されてラヴィーが吸収される以前のラヴィーが融合されている状態になると、融合した時にラヴィーが教えてくれたので俺はラヴィーとリヴィーに融合解除のスキルを使用する。融合解除されたことでリヴィーの融合前の姿に戻ると。融合したことでレベル上限も超えており。HPは5万を超えているが能力が半分以下に低下してしまったので。リヴァイアサンの魔力を注入することで。

その後、リヴィーはラヴィーから融合を解除してもらい元の姿を現わす。俺は融合する前と同様に融合解除できるかどうかを聞いてみると、リヴィーもリヴィーに融合した際の自分の記憶や知識がある状態なら融合前と変わらない状態で出来ると自信を持って言っていたので、リヴィのステータスプレートを確認すると。そこにはラヴィーとリヴィーの記憶が融合した影響によってラヴィーの職業欄が増えていて【魔王軍四天王】となっていたので。俺は【魔王の配下】から【魔王軍幹部】に進化させた上で。俺は、リヴィーのステータスを確認したが能力値は、統合前にリヴィーの能力値より下がってしまったので。とりあえず【神界の神域】を発動して【完全言語理解】の共有機能により。リヴィーに【神眼解析】を使用して俺と融合させるが、その際にラヴィーは俺がリヴィーと融合すると、すぐに融合を解くように指示してくる。

理由はリヴィーの種族は、リヴィが融合することにより【神魔竜】となっており。本来神魔竜はリヴィーしかいないため。他の人がリヴィーに、触れると、神威級武具以上の耐性を持つはずのリヴィーでも消滅してしまうからだという。

俺がラヴィーの説明を聞いた後。融合を解除してから、融合を解除してラヴィーは、ラヴィーの姿に変化したのだが。融合の際に、融合元のラヴィーは融合後のリヴィーに吸収されているようなので。融合したリヴィーに確認したところ、その事は融合する前にラヴィーから説明を受けて承知しているとのことで。ラヴィーと融合している時よりもリヴィーは力が溢れ出していて、ラヴィーも融合したことで、元々持っている固有魔法である『水操作』と、ラヴィーの能力である、『雷操』、『風操』『土操』、『闇夜創造』、『光操作』、『影収納』・『精神同調』・『超感覚』・『精神防音障壁』に加えて、ラヴィーが使えたすべての魔法の威力が上がったうえ、リヴィーのもつすべての特殊能力の熟練度が上がり。さらに、もともとリヴィーが使える技能が強化された。

ちなみに、融合したことにより俺と融合した際に、俺から与えられた経験値を二人とも共有できるようになったので。リヴィーと融合したリヴィーが倒したモンスターを倒した分もラヴィーにも経験値が入るようになったらしいので、二人の強さは劇的に上がったようだ。それからラヴィーがリヴィに対してラヴィーに融合するように言って。リヴィーも承諾した。融合したリヴィーの職業欄は変わらず【聖勇者(女バージョン)】のままで。ラヴィーは【大魔道士】に進化したらしい。リヴィーも俺からもらった経験値を共有できたため急激に強くなったが、リヴィーは元々、【大魔導師】だったので。更に強化されたが。それでも俺とリヴィアと融合してる時のリヴィアと比べるとまだまだ弱いのである。リヴィーとリヴィーの融合を解除した後。俺達はリヴィを仲間にして、ラヴィーとリヴィーが二人で姉妹として仲良くなれるかを確認してから。俺はラヴィーと一緒に部屋から出て行く。リヴィーもラヴィーも、お互いを姉妹と呼び合って喜んでいたから問題ないと思うが。俺はリヴィーから、ラヴィーとリヴィーの姉妹の証となる首輪を作りたいから材料を集めてきてほしいと頼まれたので俺は。俺は二人のために俺の【空間倉庫】からミスリルを取り出そうとした時にリヴィアと融合した際に。

俺は俺の持つ能力値がリヴィーと同等になったことと、今までのリヴィーの装備品で、俺のアイテムボックスに入っているものであれば、俺に装備できることが分かったが。ラヴィーとリヴィーはリヴィエとラヴィーの二人の分の服を作ってくれたので。

俺は二人が服を着ている姿を見て、俺は、二人から「ありがとうございます。ご主人様」と感謝され、二人はリヴィアと融合した時に得た俺への忠誠が二人とも100以上になっていて。二人に聞いたら、この忠誠心の数値が上回らないと。主からの命令を拒否できるらしいが。二人に忠誠を誓われても特に嬉しくはないのは俺だけだろうか? リヴィーとリヴィーはお互いにリヴィーの事を姉と呼ぶようになってからは俺の事をごしゅじんたまと呼ばず。ご主人たまと言うようになりました。俺はお兄ちゃんと呼ばれたかったので。少し悲しいが、ごしゅじんたまと呼ばれても、なんだか恥ずかしい気持ちになっていたので丁度良いだろう。リヴィーにお揃いのアクセサリーを付けてあげたがリヴィもラヴィーもとても喜んでいましたが。リリィはまだ目を覚まさないのです。そしてラヴィはラヴィの眷属に、俺はリヴィーの眷属になることになった。これからはリヴィーはラヴィーのことを、リヴィーはリヴィーのことを呼び捨てにする事になった。俺はこれから、ラヴィーをラヴィとリヴィーの事をリヴィーにリリィをリリィと呼ぶことにしたのだ。

そうして俺達が話し合っている間に、ラスティが、リヴィーとリヴィーの双子の姉のリヴィの話をしてくれたが、リヴィがリヴィーになったのに気がついた時のショックから立ち直れず、しばらく、部屋から出てこないようだった。俺はリヴァイアが、ラヴィーの父親のところに挨拶に行った際にラヴィー達の父親には内緒にしているように言われていたようで、そのことを忘れていて。リヴィーとラヴィーにリヴァイアとリヴァイヤのことも話したほうがいいと思ったので。ラヴィーに聞くと。やはり、リヴィーとリヴィーもラヴィーと同じことを考えていたので。ラヴィーにラヴィーと融合したリヴィーとラヴィーも一緒にリヴィの所に行かないかと尋ねると、リヴィに会ってみたいという事だったので、リヴィーとラヴィーとラビィの三人でリヴィーの部屋に向かっていった。

俺とリヴィが話していたときにラヴィーとリヴィーも、部屋に入ってくる。

俺はリヴィにリヴァイアとリヴァイヤの事を伝えると、リヴィーは自分が知っていることと全く違う内容を聞かされたことに驚いていた。リヴィーと融合したラヴィーもラヴィーの話を聞きながらリヴィと同じように驚いた顔をしていたので、俺からすると。二人に嘘をつく必要が感じられないし。そもそも、リヴィやラヴィーはリリィの母親でもあるし。

リヴァイアとリヴァイヤについてはリヴィアからも、俺の話を疑う必要はないと言われたこともあり。ラヴィーとリヴィーはラヴィスとリヴィーに自分達の母が生きていることを話すことにしたようだ。リヴァイアは、リヴィアや、その子供達は、リヴィアの娘や息子ではないと思っているし。それに、俺の仲間になってくれれば、娘や息子の成長を見ることも出来るかもしれないと言っていたからだそうだ。それから俺は。リヴァイオのいる部屋に行くことを提案する。

俺とリヴィと、ラヴィーは、リヴの部屋に行き、ラヴィーからリヴァイアと融合したラヴィーを紹介すると、ラヴィは、自分と同じ名前のラヴィーに驚いていたが。その後は意気投合してラヴィーは楽しげにリヴィーと話し始めたので、俺はリヴィと融合して、ラヴィンと一緒に外に出るとそこにはラヴィーがいたのだが。どうも、ラヴィーはリヴィをリヴィーとは認識していない様子なのだが、そのラヴィーの様子を見てラヴィーと融合したことで【鑑定眼解析】が使用可能となったリヴィーが、ステータスを確認したことで、【無限転生】のユニークスキルが発動しているのを確認したらしい。

リヴィーと融合したことで俺にも【神界語翻訳】の能力が追加され、スキル【神言語理解】も追加されて。リヴィーが見たものは俺も見ることが出来るようになったのだが、それによると【無限再生】も持っているようなので不死身に近い体なのではないかと考えられるが。リヴィーからの情報では、【不死人(アンデッド)】は死ねば死ぬことはないが。精神が崩壊すれば廃人のようになり、生き続けることが出来なくなるので、永遠に生きることは出来ないはずだというので安心している。ただ、俺も、もしリヴィーが死んだ場合は【神格解放】を発動する必要がありそうだ。なぜなら、【不死者(アンデット)】でも精神が崩壊するのは変わらないらしく。そうなったら、魂は、肉体から離れてしまい、二度と戻ることはできないからだと聞いて、少し怖くなった。

その後リヴィはラヴィーと融合した状態で俺のそばにいたのだが。俺は【魔力探査】の範囲を拡大してリヴィを探すとリヴィは俺に見つからないように隠れていたのだが。俺と融合した状態のラヴィーがそれに気づいてしまい。俺の視界に入ったので、リヴィも俺の目の前に姿を現したのだが。リヴィの容姿を見た俺は一瞬ドキッとしたのだが。俺の前に現れたリヴィの服装を見ればわかると思うが、リヴィは自分の意思で自分の好きな格好をすることが出来るようなので、俺をドキドキさせたのも、リヴィの意思によるものだと思えば。少しは気持ちが収まる。そんなことを思っていたのだが。俺の前に姿を現したことで、ラヴィーが融合した状態の俺に対して、敬礼をしていたので。リヴィーも慌ててリヴィアと融合した状態になり同じように敬礼をして。ラヴィに習っている。俺に忠誠を示したらしいが、それは別に構わないのだが。ラヴィアはラヴィアの時の記憶があるのか?と思ってリヴィアに尋ねてみると、あるようだ。ラヴィと融合したラヴィーもリヴィーと融合したリヴィーに質問していたが、融合したラヴィーも、融合した後に融合元の記憶を共有しているので、俺に対する忠誠心は、融合後のラヴィーの方にもあるらしいが。融合したことによってラヴィーもリヴィーの固有魔法と固有技能を使えるようになっているため。融合したラヴィーの能力は融合後のほうが強化されているようである。

ラヴィーが融合したことにより、リヴィーの眷属の能力が強化されたが、融合解除した後は元の固有魔法である【水操作】と、【雷操】と【風纏】しか使えなくなり融合前の固有魔法である『空間移動』も、『時間跳躍』と、『時戻し』、『空間収納庫(亜空間収納庫)』『全自動修復(自己修復機能付きで、時間が経過することで壊れたものを直すことが出来る)』『超感覚感知』『完全偽装』も使用できなくなったようで。元々の職業である【大魔道士】は変わらず使用できるようだったが、【空間転移】も使用不可能になったとのことだった。俺から貰った指輪は装着した状態で、融合したが融合解除された後は俺の指輪は、俺の元に戻るようだった。

俺とラヴィーはラヴィの眷属となり。俺の配下となったが。ラヴィは、俺の奴隷にはなりたくないと言い出した。

そこで俺がラヴィの眷属になる条件としてリヴィとの分離を提案したら。ラヴィーも眷属になったらラヴィーに融合した状態でいるよりもラヴィーと分離した方が、何かと都合が良いらしいので了承してくれた。そうすると当然、リヴァイア達とリヴァイア達が連れている魔物達はどうするか?と聞かれるので。ラヴィの眷属としてラヴィを守る事を優先して欲しいということを伝えるとラヴィーは了解してくれた。

ただリヴィアも、この世界に来たときにリヴィの加護を受けており。ラヴィと融合しているときには、そのリヴィエの力を少し使うことができるらしいので、眷属になってもラヴィーとリヴィが一緒にいても問題ないそうだ。

ラヴィがラヴィーに俺への忠誠を誓うように言うと。リヴィーもリヴィに忠誠を誓うと言っていて、お互いに握手をしている姿を見ながら、ラヴィがリヴィの頭を撫でていたのであった。

俺とラヴィーは、ラヴィーを眷属にして眷属にしたのだ。

そしてラヴィーを眷属にする為に俺のスキル【血族契約】を発動して。俺はラヴィーの眷属となったので。ラヴィーの種族はラヴィーの眷属の魔物となる。そうすると当然。リヴィーはリヴィーの眷属であり。俺と融合していた時に俺の【吸血】により得た【吸血鬼の波動(魅了耐性+10と精神汚染無効化)】によって、俺に隷属している状態になる。

そうして、俺はラヴィの眷属と、ラヴィーとリヴィの眷属の両方が手に入って嬉しいと思っていたが。よく考えるとラヴィーが俺に従属したのは俺の眷属になったためだ。なので、ラヴィにも同じ条件が当てはまるのではないかと、ラヴィーに聞くとラヴィーは、俺の奴隷にはなりたくなかったので、俺に忠誠を示すために俺と契約をしただけで俺に隷属するつもりはなかったそうだ。ただラヴィが俺の従僕になりたいと言ったのでラヴィの事を気に入っていたリヴィーがラヴィに気を使ったようでラヴィーがラヴィに憑依した時点で俺は、すでにラヴィーの主になってしまっていたらしい。つまり俺は、勝手に、二人の主人となってしまったらしいが。これはラヴィーは俺に隷属するということで。ラヴィも俺に、ラヴィの事を好きに使っていいと言っているようなので。ラヴィは俺がラヴィにしたいことに協力してもらって、ラヴィはラヴィが望む形でラヴィア達と行動してもらうことにした。まぁ、そのほうがお互いの気持ちのすれ違いがないから良いかもしれないなと思ったが。それにしても俺が勝手に主になってしまったというが、俺にはまだその自覚はない。俺に、主だと認めさせるために、ラヴィーと融合したり、眷属になったりする必要がないのだから。

俺はラヴィーと融合してラヴィーと会話が出来るようになったが、融合したままだとラヴィーの姿を見ることも出来ないので融合解除を行うことにする。俺が【分身】を使い、融合してラヴィーの姿を見る。そして、ラヴィーが【分身体(分身)】を発動させて。ラヴィーの【無限転生】の効果を使って【転生(輪廻)】を行い、俺の【神界文字解読】で【神言語】を読み取って【転位】を使用する。俺は【神界言語】で詠唱を行ってラヴィーの中に入っていくと。

そこには、リヴィーとラヴィの顔が見える。

俺が自分の体を確認すると俺自身の体に戻っていることがわかった。どうやら俺の【無限転生】の効果なのかわからないが融合した後に、融合前に戻れるようになっていたようだ。

俺はラヴィーとリヴィーが無事に再会できて良かったと安心しながら、ラヴィーとリヴィーの状態を確認していたのだが。特に異常はないようだが。一応二人に確認をとると。俺に忠誠を誓ったことを告げてくれたので、俺もラヴィーの主に正式になりましたと告げると、嬉しかったのか俺に飛びついてきて、ラヴィーに俺を押し倒されてしまったが。リヴィーもラヴィーと抱きついてきてくれて。

俺もリヴィーとラヴィーを抱き締めるとリヴィーとリヴィーもラヴィのように、俺に対して甘えるようになったようだ。

リヴィアも同じように、ラヴィーが融合を解除したときに俺に対して好意を抱いてくれるようになったようで、俺に対して積極的にアプローチをかけてくれるので。俺もリヴィアを可愛がってあげることにした。リヴィは、ラヴィーに俺に忠誠を尽くすように指示を出していて。ラヴィーは、ラヴィーもラヴィと同じようにラヴィの命令に絶対に従うように言われたそうだ。リヴィーの【命令】の効力が発揮されているのか。それとも、俺に忠誠を示しているだけかは、今の時点では、俺にはまだ判断できない。

それから、リヴィアは、俺がラヴィーに【吸血鬼の波動(魅力+20)】を使用し眷属化してしまったが【吸血鬼(真祖)】という特殊な種族になっているらしくステータスに変化が起きていたのだが。それがどんな変化が起きたのか見てみる。

リヴィア

真祖 レベル:1

性別 :女性

種族 :真祖(吸血種)

職業

:ヴァンパイアハンター

HP:6/60

(120)

MP:50/100

筋力:25

敏捷力:15

体力:15

知力:35

魔力:40

抵抗力:45

幸運:50

SP :15 SKILL なし 称号

『吸血王(始祖)の娘』『ラヴィーの眷属』

スキル【血吸強化】【再生(弱毒)】【全属性耐性(中位)】

装備

『ラヴィーの牙(特殊武具)』

【全鑑定】して見ると。

『吸血鬼(真祖)

吸血族の上位種である。通常の吸血族より能力が高く。血の補給方法を変える事で他の生き物を襲わずとも生き続ける事ができるようになり。その能力で血液中の生命エネルギーを摂取するだけではなく自らの体内に蓄える事もできるようになる。その能力で自らで食料を作り出すことも可能で、それにより、他の生物から栄養を得る必要はない』

と、書いてあるが俺の場合は眷属になったので普通に俺の血を飲むことになると思う。ラヴィーも俺の眷属になったことで。ラヴィーは眷属になっても食事は俺から血を貰わないと生きていけなくなり。今まで通り食事は必要なくなるだろうが。ラヴィーの【全自動調理】は使えなくなるみたいだ。まぁそれは仕方ないか。

それと、リヴィアの種族も変わったようだったが、【吸血】した時に【吸血鬼】にでも変化したのか? リヴィが【吸血種】になっていたように【吸血種】の上位互換になる【真祖(吸血姫)】とかに進化しているのだろうか? まぁそんな感じに思っていたのだが、リヴィアも自分の種族について疑問を持っていたようなので【血魂同調】で念話で話を聞くことにする。それで聞いてみると。リヴィと融合した時はラヴィーの種族もリヴィアと同じ【吸血姫】になっていたようだが。融合した後は、融合した相手のスキルをそのまま受け継ぐようだ。

リヴィーの場合だと【血魔法】が【血聖魔法】に変化しているようで。さらに融合したラヴィの眷属になったことにより。ラヴィの持つユニーク魔法の『ラヴィの神眼(真実の瞳LV.10)』『ラヴィの魔道具工房LV.3』も使えるようになっているらしい。リヴィのステータスにはそのスキルが増えていて、ユニーク魔法とユニークスキルも全てレベルMAXになっているらしい。ただ、【ラヴィの聖女LV.7】は融合している時には使用できないし。

それに【眷属作成LV.1 眷属支配(眷属創造 眷属使役 眷属召喚 眷属の絆 眷属解放 眷属合体】も使用できず。俺と契約をした今は。俺の許可がなければ使えない状態なので俺の従者になった状態で契約すれば問題ないが。今の段階で【眷属作成】を発動したら俺と融合していない時に眷属にすることはできるが俺の意思で契約することはできないから、俺と契約する前に眷属を作ることは不可能だし。ラヴィーがリヴィア達と話をしたいと言っていたのでラヴィーと融合した後。俺は、ラヴィーとリヴィアと融合しているときにラヴィーがリヴィーを、ラヴィの眷属になるようにラヴィーがリヴィを説得することになっていたのである。

ラヴィーも俺が融合していたときは【吸血(真祖)】のままだったのは、ラヴィに【吸血鬼(始祖)】のスキルを融合していたからだ。

俺は、リヴィが融合前に持っていたスキルの事を、ラヴィーに聞くと。リヴィアは俺に眷属化した際に全ての能力を融合前の物を引き継いだらしい。なのでリヴィも融合前と同様に。スキルもそのまま持っているはずだという事だった。

ただ、融合した後もリヴィの種族が変わらなかった理由を聞いたら。融合した後にラヴィーの固有スキルの影響で、リヴィがラヴィーに融合される前から持っていたユニークスキルは全て統合されてしまい。残ったのは【眷属召喚】と、この世界での俺の眷属になったことで獲得した【神語理解】と、新たに手に入れた。ラヴィーに融合した時に習得できた【ラヴィーの神眼】だけだったようだ。

ちなみにラヴィーは、融合した時に俺に従属しなくても融合すると【分身体】の能力は使用できるようだ。ただし融合した相手との感覚の共有はできないが、融合した後にリヴィに分離したり融合を解く事は出来るようで。その場合は融合解除を行う必要があるようだ。

融合後のラヴィーに聞いたが。どうやらリヴィが【吸血種】から【真祖】に変わった理由は俺と融合したせいで俺に【吸血鬼の真祖】の称号が譲渡されていたからのようだ。そして、融合して融合した俺の従僕のラヴィーが融合したことでラヴィーと融合することが出来たようで。そのお陰でリヴィにも融合できるようになったのでリヴィと融合して、リヴィアの【吸血(始祖)】もリヴィが継承したようだ。ラヴィーがリヴィアを説得するためにリヴィアが融合したが、どうやら俺の方と、ラビーに融合した時よりも、リヴァイアと融合したときの方がリヴィーにとっては相性が良かったらしくて簡単に眷属になれたようであった。だから、リヴィーが眷族になっていなければ【真祖】にはなれなかったのでラヴィーとリヴィアに感謝を告げたのであった。

それからラヴィーとリヴィアはラヴィーに融合したので俺と、融合している時の記憶もあるようでリヴィアがラヴィーに融合したおかげでラヴィーと眷属契約をする事が出来たので。俺は改めて【吸血(真祖)】になったので。俺はリヴィアも自分の眷属にすることを決めた。リヴィアは自分が俺の仲間になったと知って凄く喜んでいて俺の配下になることを自ら望んでくれたのだった。それで俺はリヴィとも眷属契約を結ぶことにする。

俺とリヴィの契約が完了したのを見てラヴィーは自分の事のように喜んでいたのだった。

これで俺達は全員が俺の眷属になる事が出来た。あと、気になるのは。

ラヴィーにリヴィアのステータスを確認した際に。称号に、俺の【吸血鬼の王】が称号として表示されたのだが。称号を、俺以外の者が取得するとは考えにくいが、称号の効果は。俺が倒したことのある吸血鬼系の魔物が仲間になりやすくなったり、経験値を上昇させたり、身体能力を向上したりする効果が得られるそうだ。俺の眷属になっている者達が獲得するとは思えなかったので。もしかしたら誰かが、【吸血王(始祖)】を持っているのかもしれなかった。ただ俺の知る限り、【吸血王(始祖)】を持っていたのはリヴィアだけのはずである。それにラヴィーも俺と一緒に戦っているが。吸血鬼ではないので、【吸血(真祖)】を【吸血姫】に変化させただけだと思うので。やはり【吸血姫】をリヴィーが持っていることになる。まぁ今は気にしても仕方がないから放っておく事にした。

そういえばリヴィーは吸血鬼なので、日光に当たったりすると灰になってしまうのだが、その対策の為にラヴィーがラヴィーと融合した時は、ラティが作り出した結界の中で融合したのでその辺は特に心配する必要がなさそうなのでほっとした。だがもし万一ラヴィーかラヴィーと融合した状態で、日中に戦闘する事態に陥った場合は。【吸血(始祖)】が【吸血姫】に変化したことにより。ラヴィーの場合は日中の活動時間が増えたらしく、夜なら大丈夫のようだが昼間だと太陽が出ている間は基本的に行動ができない状態になってしまう。そしてリヴィアの場合は、【吸血姫】になる事で昼間でも活動が出来るようになり。日の光に当たろうとしてもダメージを負うことはなくなり、【真祖】になる前より強くなっていたようだ。また、吸血鬼なのに【真祖】になると日光に当たっても灰になることはなかったのだ。

それと【真祖】になる前に、吸血鬼の弱点の一つである十字架を見たことがあったようだが特に影響はなかったらしい。それと吸血鬼が、血が苦手というわけでもなかったようだったが、吸血鬼が血を吸う時に使う血の匂いに嫌悪感を感じる者がいるようでその対策として。血液を飲んでから一定時間の間は体臭を消すことができるようでその時間は血液を飲む量によって変わるみたいで、その能力のおかげでリヴィーも、他の生き物から栄養を得る必要がなくなったから今まで通りに食料を食べていたらしい。その血液は血液袋に入れることで保管する事ができるようなのである。

それに加えて【神語理解】の効果で吸血鬼の言語を理解することが出来るようにもなったみたいで、他の生き物とも会話することができるようになっていた。

とりあえずは、リヴィーにラヴィの固有スキルの【血聖魔法】が使えたからといってリヴィーの種族が変化することはないみたいで。種族が変わる条件も謎のままだったが。ラヴィの眷属になったことで、俺とリヴィはリヴィーに【吸血鬼の血族魔法】と【真祖の血脈】を与える。それで俺とリヴィとラヴィーは全員のステータスを確認すると、皆の固有魔法のレベルが上がていたので俺は皆に確認をする。まずは俺の固有スキルの確認をすることにした。

【血魔法LV.7】:血を使った魔法を使用可能。血魔法LV.7の【血操術】により血を操作する。血魔法LV.7のスキルを進化させることも可能 【真祖の血脈LV.5】【血流操作LV.6】【血の聖杯LV.8】

【吸血LV.10】【吸血種強化LV.9】【血魔法】【血聖魔法】

新しく使えるようになったスキルは、血を操ることで、【血聖魔法】という血聖魔法を使うために必要な魔道具を作成するスキルだ。【血操剣】という、魔道具を使って、剣を作り出すことも出来そうな感じなので今度使ってみることにした。

それと、【真祖(始祖)】のスキルに新しいスキルが加わっていて、俺とラヴィーに融合した時に【真祖】と【始祖】のスキルが統合されたことで【血魔法】という固有魔法が習得できるようになり。【真祖の血脈】の効果が進化したようだ。

俺がラヴィーに融合していた時には、ラヴィーの種族である真祖に、【真祖の血族】が追加されていて【真祖の血族】のスキルを習得できたようだ。ラヴィーも【血聖魔法】を扱えるようになっている。

次にラヴィーは俺のスキルを確認できるようにしたのか、俺に俺のユニークスキルである。【血聖魔法】の詳細を見てほしいと頼まれる。

『鑑定』を発動してユニークスキルを見る。

**【血聖魔法】【吸血種】を【吸血鬼(真祖)】に変化させて初めて発動が可能になるスキルで。魔力を消費しないで使用できるが。一度発動させると再使用不可になるスキル。消費魔力1で、回復効果と。相手の体内に侵入させ体内にある、血液の活動を活発化させる事による。HPを回復する。血液を浄化することで病気などを治す事が出来る。【血魔法】を、このスキルに進化させることができる。また。血液の浄化と。血液を武器や防具、生活雑貨や薬品等に使用することで。あらゆる物を高品質化させることが可能な。

【血聖武具創造】

と、言うものになっていた。

「リヴィ。お前は俺が眷属化したことで、俺の眷属になっているので。ユニークの固有スキルも使えるようになってるはずだから。ラヴィーと同じように俺が眷属にした際に覚えた固有スキルを確認してくれ」

俺にそう言われたリヴィナスは俺の方を見ると、彼女は自分の固有スキルを確認する。

リヴィが融合後に取得したユニークのスキルも俺と同様に見れるはずなので俺はユニークの【血聖武具】のスキル詳細を見てもらう。

【血聖武具創造】

*【血武具召喚】の進化スキル。

*MPは使用しないが一度使用すると再使用できない。

*血を代償にして自分の想像したものを具現化することが出来。実体を持たせることもできる。但し質量を持つ物は作れない。

*生物には効果が無い。ただし無機物や機械類なら効果を反映することが出来る。

*物質とエネルギー体の混合体は作れない。しかし【血流操作】と【血液循環】を使用して、対象に流し込むことは可能でありその場合は質料として扱わない。ただしその場合の対象物の耐久力を上回る事は出来ない。

*自分が知っている事や知識のある範囲のものしか具現化することはできない。

*スキル名を唱えると、その現象が引き起こされ具現される。

リヴィにそう伝えたら、リヴィアに自分の眷属となったことによって、自分もユニークの固有スキルが発現しているかもしれないので確認して欲しいとお願いされていた。俺が【血聖魔法】をラヴィーと融合しても、新たに得たのがラヴィーの固有魔法【血操術】だけで他の魔法の固有スキルが、発現しなかった理由がわかった気がする。

そして【血魔法】が、【血魔術】と、名前を変えていたのを見て、少しだけ安心した。まぁ確かに同じ魔法だからわかりにくいし。それにリヴィーのステータスで【真祖の血脈】の効果で追加された。【血操術】があれば、俺のように魔法を使うのにわざわざ呪文を唱えなくていいからだ。まぁ、魔法名を言って、スキルの効果を発動すると威力が上がるのは同じだけど。

俺はとりあえず。俺達の中でまだ眷属化していないのがラティスだけだったのでラヴィスに【血流加速】のスキルを与えて眷属にすると。俺の眷属になった事でラティは【吸血(真祖)】になったので【吸血(真祖)】が【吸血姫】になったのと同時に。

ラティスの固有魔法も新しくなっていおり、ラヴィーが使ったのと同じ。血を使った、身体を強化することが出来るスキルだった。それで俺がラヴィーと融合したときに獲得したスキルも進化していたのだ。

【吸血姫の血族】:血族の眷属の者達の、能力値を底上げ出来るようになる。吸血系の魔物に対しての攻撃力を1.5倍に強化する これで全ての者が、新たなユニークスキルを獲得したので確認が終わった。それからリヴィアスにも俺の固有魔法の能力が使えるようになっているはずなので確認するようにと伝えてみる。すると、どうやら俺の固有スキルも使えるようになっているみたいだったので、とりあえず試してもらうことにする。リヴィーが【血操魔法】を使いたいと俺に頼んできた。そこで俺がラヴィーの時の要領で融合を行う。すると、リヴィーがラヴィーの時と似たような事をしたいと言い出したので。俺はラビィに頼み【血操魔法】を使う準備をする。

【真祖の血脈LV.5】と【真祖の血族LV.5】の2つを融合したので、【血操剣】という魔道具を作成してもらった。

【血聖武具召喚】

『来たれ!我が求める剣よ!』

その言葉とともに、光と共に一本の剣が出現する。その光景を見た、その場にいた全員が驚く。そしてリヴィーも驚いていたが。【血聖魔法】を使用するためには血が必要になるため。【血操剣】は【血聖魔法】を使用するための武器でもあるようだ。それと。リヴィーにこの【血操剣】で斬られたり。攻撃されたりしても死ぬことはなく、傷を負うことはできるが、直ぐに治ってしまうらしい。

ラヴィーの時とは違い。ラヴィーも、俺もお互いの事を知りすぎているためか。融合した後に、俺の固有スキルである。【真祖の血脈】と【真祖の血族】の融合の効果によって俺がラヴィーに融合した時はラヴィーと俺の能力値が合わさった状態になるみたいだ。俺がリヴィーと融合したことでリヴィーの固有魔法が使用可能になって。

ラヴィーの時よりもラヴィーは更に強くなった感じがしたのだが。

リヴィは、ラヴィーの時にはなかった。ユニークスキルを二つ取得していて。【血聖魔法】と【真祖の血族】が統合されたことで。ユニークスキルの【吸血鬼(真祖)】が進化して、 【吸血魔法】と【真祖の血脈】が新たに獲得できていた。それにより。今までより強力なスキルを習得することができたのだとラヴィーは教えてくれた。

そして俺は、ユニークスキルである。

【真祖(始祖)】について説明をしようと思い。まずは自分の【真祖の血脈】を改めて確認することにする。

*【真祖の血脈】: 吸血鬼の王。【吸血鬼(真祖)】にのみ使える。種族進化の恩恵。【吸血】で血液中のHPやMPを吸収し自分のHP,MPに変換することが可能になる。また【吸血種強化】により身体能力強化も可能となる。

**:吸血鬼系を束ねる王に与えられる称号。また始祖の称号を得ると吸血鬼の上位種への変化が可能となる 次に俺のステータスを確認すると。

【血操術】

*【血操術】

魔力を使用しない。血を操る事ができるスキル。血魔法を使う為に必要な道具を作成する事も出来る *血液を操ることができるが、質量をもったものは作成する事はできない。また対象の強度を上回ることもできない。

「これは、すごいね」

リヴィアが、ラヴィーが使っていた、血操魔法の説明文を見て驚いていたので。俺も驚いたことを素直に伝える。

【血操魔法】は俺がリヴィーと融合した時に追加されていた。固有魔法でリヴィの固有魔法も一緒に使用できるようになり。俺達は新たにユニーク固有スキルを手に入れたようだ。ユニークスキルとは特別なスキルという事なので、皆にもユニークスキルが使えるようになってよかった。ただ俺だけは【真祖の血脈】があるので他の皆とは違ってユニークじゃないんだけど。それにしても【真祖(始祖)】がユニークスキルに追加されて、吸血鬼(真祖)が上位種に変化できるようになるって凄いスキルだよね。しかも俺が吸血鬼の王になっているみたいなんだが。俺は今のままの、今の自分でいるためにも、俺以外の人には言わないほうがいいだろう。

俺が、この世界での最強種になるのを嫌がっているのを知っている、リリィと、リリスは、そんな事は無いと励ましてくれているが。でも、やっぱり嫌なのだ。この世界の人たちには普通に接してほしいから、このままが、一番だと思う。俺達が屋敷でくつろいでいると。リヴァイアスさんがリヴィを迎えに来てくれていた。それからしばらくして。リヴィアはリヴィを連れて帰っていったのだけれど。その後で俺はリヴィと一緒に帝都に戻ることにしたのであった。もちろんラヴィ達には何も告げずに。

リヴィーがリヴァナリオスに抱っこされているのを見ながら俺はラヴィーとアヴィナスに。ラヴィ達の家に少しの間だが厄介になるという旨を伝えて、これから向かう事にした。それから俺達の転移を使って一瞬にして帝都に辿り着くと、俺はすぐにラヴィーの屋敷に向かう事にしたのである。

「おぉ!待っていたぞ!」

そう言う、ラヴィスさんの表情には笑みはなく。どこか真剣な面持ちをしているのを、見た俺達は何かあったのかと思うのだった。すると。俺達を出迎えたリヴィーに気づいたリヴァナリオが、ラヴィに気づかれないように、こそっと。

「お前の妹に頼まれたことがあるんだが。聞いてくれるか?」

ラヴィーに聞かれたくない内容があるような雰囲気を感じたので。俺もリヴィウスもリヴィスが、何を頼もうとしているのかわからないまま。取り敢えずはラヴィーの私室に行くことにし、その道中に俺も話を聞きながら向かった。

そして部屋に着くと。

そこには、リヴィアスと、リヴィアの両親にリヴィウスの家族と。リヴィーの眷属達が勢揃いしているのが見えたのだ。

リヴィーが、俺のことを紹介してくれた後に、俺のステータスを見て欲しいと言うのだ。

俺は言われた通りにリヴィーのステータスを見てみると、彼女は既に、ユニークスキルを手に入れており。俺と同じ固有スキルが使えているようだったが。彼女のステータスにはまだ、新しい固有スキルは増えていないみたいだった。それを聞いたラヴィーとアヴィヌスが驚いており。リヴィーと、俺は何があったのかと尋ねると、どうやら俺の固有魔法がリヴィーの固有魔法になったようで、俺の魔法は使えるようになっていたみたいだった。それでラヴィーに俺と同じ様に、リヴィーのスキルが使えるようになるかもしれないと伝えてみると。

ラヴィーは喜んでおり嬉しさを我慢するように涙を溜めていて泣いていたので。その様子に気付いた他のみんなが集まってきて心配していたので、大丈夫だと言ってあげて欲しいと告げるとラヴィーが、ごめんなさいと言っていた。そして、泣き止んで落ち着いた後で、皆で話し合っていたのだと聞かされた。その話を聞いていた俺は。

リヴィアスを見るとリヴィーと視線を合わせないようにしながら口を開く。

「私の眷属になってもらう時に、リヴィーは私と同じように眷属を増やす方法を見つけたのだ」

そしてリヴィアスの言葉を引き継ぐようにアヴィアスが話す。

リヴィアスは眷属の事を。

ラヴィーは俺との子供を授かるための行為。

眷属の増やし方は眷属の数を増やせば良いと思っていたらしく、リヴィーにやり方を教えてもらい実践したところ、上手く出来たようだ。そして俺とラヴィーの子供が出来るまで待つつもりでいたみたいだ。しかし、どうやら眷属の数を増やすとレベルが上がるようなので、試すのは止めておくと言ったのである。するとリヴィーが、自分の子供はリヴィアの種族に進化させてあげたいと申し出たみたいだ。

「どうやらリヴィアが、ユニークスキルを手に入れたみたいでね。

リヴィと一緒のユニークスキルを持っていたみたいだよ」

するとラヴィーもリヴィエのステータスを見せて欲しかったみたいで、お願いすると見せてくれた。

名前 リヴィア 性別 女性 種族 リヴリー LV 1 HP 203 MP 424 STR 10 VIT 15 INT 12 DEX 25 AGI 16 状態 正常 称号リヴィの娘 HPとMP以外だとラヴィーよりも高いのだが、HPが低い。ラヴィーのステータスを見ているラヴィーが羨ましそうな表情をするので、ステータスを上げるためにもラヴィーのHPも上げて上げようとすると。俺がそう思念を込めるだけで俺とリヴィーのステータスが上がり始めた。

ラヴィーに、リヴィーと俺にステータスを上昇させたのを説明すると、ラヴィーが、ラヴィーもステータスを成長させられるみたいだと言い、ラヴィーと、俺はステータスを上昇させる魔法陣を作り始めるとラヴィーがそれを手伝い始め。

俺のステータスもラヴィーも上がったところで魔法が完成する。そして俺のステータスも確認すると。リヴィーがリヴィーにだけ聞こえる小さな声でラヴィーのステータスを伝えると。

俺とラヴィーに聞こえない程度の大きさの声量で。

リヴィは驚いているようだったので、ラヴィーは自分だけが特別なのだと自慢気に語っていて、その様子をラヴィーとリヴィアスの両親は微笑ましく見ていたのである。そんな感じでステータスを見ているうちに夜になっていたが。明日でもいいから俺達に教えてほしい事があるみたいなので、また今度機会を作ってあげる事にしてこの日は解散した。そして俺達はラヴィの屋敷に帰ることにしたのだった。

次の日。

俺達は朝食を食べるために食堂に向かうことにした。そして皆が集まるまでの間は、ラヴィは俺に甘えてきたので抱き寄せて頭を撫でたりして愛でていたのだ。しばらくするとリヴィアス達が降りてきてリヴァイアと挨拶をしていた。その後リヴィーは俺の隣に座っているリヴァイヤを見て。

「母上。父上にお礼を言いたかったのですが、まだ眠っているようでしたので。代わりに感謝します。これからも、お義父さんと呼ぶのを許してもらえませんでしょうか?」

「いいのですよ。これからもよろしくね」

「はい!」

リヴィーが笑顔で返事をして、そんなリヴィーにリヴィが近づき、ラヴィアも一緒になって抱きしめるのを見た俺は。そんな二人の様子を優しい目で見守っていた。それからラヴィの両親の元に向かった俺はラヴィーを紹介すると、ラヴィのお父さんと、お母さんも自己紹介をしたのを確認した。そして、その後に。

リヴィが俺達のところにやって来た。リヴィにこれからどうするか聞いてみたが、今日はゆっくり休むと言うので、リヴィは屋敷の者達に可愛がられる事が決まった。そして俺は、昨日の続きで魔法の研究を始めたのだった。それから一時間ほど経過した時に、ラヴィーに魔法を教える事にした。

それからラヴィーが魔法の練習を終えると、俺は昼食の時間になった事に気づいていないラヴィーのために、彼女に、そろそろ昼食の準備ができているはずだから行こうと促すと、彼女と一緒に部屋を出るのであった。

それから俺達はリヴァイア達と一緒に食卓につくのであった。

リヴィーも席に着いて食事をしていると、リヴァイアとアヴィアスから、俺達への質問責めが始まり、食事が終わった後に、リヴィーとラヴィアのステータスを、お互いに見させ合うと。リヴィが俺との子供を作れる事を知り、俺とラヴィアに子供が作れる事を伝えた。そして俺はラヴィーと相談してからラヴィに子供を産むかどうか決めると伝えたのであった。ラヴィーは俺に迷惑をかけたくないという気持ちがあるらしく、産むことを望んではいないようだった。俺はリヴィーに相談した。

リヴィーはラヴィーが俺の眷属になれば、妊娠する事ができるし。俺の眷属になっているのだから俺との子を宿せるので、何も心配する必要は無いと言って、リヴィにラヴィーに子を生ませてほしいと頼み込んでいた。それを聞いたリヴィアスは。

「おめでとうございます! 私も早く、お姉ちゃんのようにお腹に子がほしいですね」

そう言って、リヴィアは俺に抱きついてきた。それから、ラヴィーに、ラヴィーとリヴィは俺の眷属同士なのだから。ラヴィーはリヴィと一緒でも問題無いよ。そう言い聞かせた。するとラヴィーが俺の顔を見つめていたので。リヴィーの言うとおりにして大丈夫だと告げたのだ。するとラヴィーは嬉しそうにリヴィーに抱きついた。

それから俺はラヴィにリヴィーはリヴィーの妹のラヴィアと一緒でも構わないか尋ねると。リヴィーは、もちろんだと嬉しそうに言うと。今度はリヴィアスに、リヴィアの相手をしてくれないかと頼んでいた。リヴィアスが、私もラヴィ様達とお話がしたいと言ってきたので、俺は了承して。

俺は、まず最初にリヴィアスとラヴィーに俺の事を説明した後に。リヴィにリヴィのことを頼むと、リヴィーは任せてくださいと言って、二人で話をし始めたのである。リヴィはリヴィアの事をとても大切に思っているみたいだった。俺はリヴィとラヴィアをラヴィーの部屋に残してラヴィーと俺の自室に戻るのであった。そしてその途中で俺がステータスについて話すと彼女は納得したようで。これからは眷属の数も増えると思うと言うが。俺との子なら生みたいと思ってくれているみたいで嬉しかったのである。そんな感じで部屋に戻るとリヴィにラヴィが子供を授かる事が出来るようになったのを伝えると、彼女は大喜びしていたのだが。それと同時に、自分が役立たずになるのでは? と落ち込んでしまったので。彼女のステータスを上昇させる事で、ステータスが低ければ、レベルを上げてレベルを上げるようにしたら良いのではないか。そういう風に提案すると、ラヴィーにも同意を得たので、彼女のレベルを上げ始めたのだった。

レベルが上がるのが嬉しかったのか、彼女のテンションがおかしくなったので俺は彼女を宥めることに時間を割くことになった。

そしてラヴィがレベル10に達した時に、俺とラヴィはリヴィと同じで。ラヴィーもユニークスキルを手に入れていて。俺と同じようなスキルだったのだ。ラヴィはステータスを上げるスキルで。ユニークスキル名は。

ラヴィーのユニークスキルの名前は『リビドの恵み』というらしく。効果は、俺やラヴィーやリヴィー以外の人族のステータスも上げてくれるらしく。さらに、HPも回復できるのだ。そしてユニークスキルにはLVが存在していないみたいだ。そしてラヴィーはLV1なので、効果を発揮できないみたいだ。それでも俺のステータス上昇の効果だけでも十分な力だと思うので凄いと思ったのだ。

するとラヴィーが自分のステータスを見せる。

名前

ラヴィー 性別 女性(人間族)LV10/100 VIT 15 DEX 10 AGI 12 状態 興奮 称号聖女リヴィとユミの息子の娘の夫。ユニークスキル:ユニークスキルの保持者としてユニークスキルを発動出来るようになる。ユニークスキルLV2。HP+100、MP+115。MP使用制限がなくなる。HP回復速度UP 名前 アヴィス 性別 男性 LV20/300 種族 ヒューマンLV7/100 DEX150 INT 120 MP 20000 +1000 HP 35000/62000 +3600 SP 3500 /6500 +900 攻撃力 20000 魔法力 20570 防御力 12500 魔防 13400 抵抗値 16750 俊敏 24200 運 5800 特殊ステータスポイント 6000 -10000 スキルポイント 4700 固有スキル 鑑定LV4 アイテムボックス拡張 自動高速治癒 物理耐性 魔法攻撃耐性 恐怖無効 苦痛無効 暗殺者殺し 気配遮断 魔力制御 詠唱破棄 中級魔法士 剣術 体術 槍術 弓術 棒術 馬術 錬金術 鍛冶 上級火魔法使い 中級水魔法使い 上級風魔法師 下級土魔法 初級雷魔法 初級光魔法 生活魔術 魔力探知LV8 無詠唱 詠唱短縮LV8 ステータス偽装 隠蔽 隠密 忍び足 経験値倍化 獲得資金上昇 罠解除LV10 鍵解錠 宝箱解析 魔物解体 称号 魔法戦士 武闘王 賢者 剣帝 魔王 リヴィーの婚約者(妻候補)→ユミリナの義理の息子。

ユウガの義兄。

リヴィの夫 魔法勇者 魔法神に祝福されし者 ユミの息子の妻→リヴィアの母(ラヴィアとラヴィーの姉的存在に成長予定)

ユミリナの弟 アヴィスの妹 ラヴィーの兄 リヴィーの母親 リヴィアの義母 ラヴィーの義理の母 ラヴィアスの母親 リヴィアの叔母 アヴィスの従姉妹 リヴィとラヴィアスの父親(リヴィアとラヴィーとラヴィーのお母さんとラヴィーのお兄さんとラヴィーの従兄弟)

アヴズの父親

(リヴィアスの父親と双子だが年齢が近いために仲良し兄弟になっている)

(リヴィアのお父さんとお母さんとリヴィのお母さんが友達でリヴィのお母さんの出産が近かったのと。生まれた時期が近かったため。リヴィアとラヴィーはリヴィーの双子の妹になった)

ラヴィの父親とリヴィアの父親とは幼馴染 リヴィアの母親の親友 ラヴィのお母さんがラヴィーを産んだときにリヴィアとラヴィーの両親も傍にいた。ラヴィーの両親はラヴィーとラヴィの事を我が子のように愛してくれるのであった。

「ステータスを確認しながらでいいんだけど。今すぐ、ユニークスキルが欲しいものはないかい?」

俺がラヴィーに確認すると、ラヴィーはしばらく考えていたが、俺の方をじっと見つめて俺にキスを求めてきたので俺はラヴィーに唇を重ねるのであった。それから少しの間ラヴィーと口づけをしていた。俺は、ラヴィーが落ち着いてきた頃に。ラヴィーに、ユニークスキルを何にするか尋ねると。ラヴィーが迷わずに答えるので。

「ラヴィーは、俺との子供は、もう要らないんだね」

俺はそう言って残念そうな顔をすると、ラヴィーが慌てて答えてくれた。そして、ラヴィーは恥ずかしがりながらも、子供を産んで育てたい。だから、早くラヴィーの身体を作り変えてほしいとお願いしてきたので。俺達は、俺達の愛の証が産まれるまでは。リヴィアス達や、リヴィーとラヴィアスに頑張ってもらおう。そして、リヴィア達に子供を宿す事が出来ないかもしれない事を伝えておくのだった。

そしてラヴィーとラヴィアがラヴィーの自室で二人きりになると、ラヴィーが、俺と二人の時間を邪魔されたと怒っていて。ラヴィアはラヴィーの頭を撫でると嬉しそうにしていた。そんな感じで俺達と、ラヴィ達三人はお互いの絆を深める時間を過ごしたのであった。

俺がラヴィーとのキスを堪能してからしばらくして、ラヴィーに、これからどうしたいのかを聞く。彼女は、俺に付いていく事を望むので。それを聞いて俺は、ラヴィーと二人で話している間に、俺の眷属にしてしまう事に決めた。俺のスキルで、俺と触れ合っている者の、全ての能力を上昇させてしまう能力があるので。それをラヴィーに使うことにしたのだ。すると、ステータスがどんどん上がっていき、ついに限界を超えたところでラヴィーが気絶してしまったので俺は、ラヴィーと自分の寝室に行くとラヴィーの服を脱がして。俺も裸になる。それからラヴィーが目覚めるまでの間。何度も何度も彼女を貪ってしまう。その後でラヴィーが完全に目覚めたあとで、もう一度彼女を可愛がり始めるのである。

そして俺達二人はお風呂に入り直した後で服を着て食堂に行き食事をする事になるのだが。俺達が食事を終えて部屋に戻ろうとする時に、突然、リヴィが俺の部屋に入って来て、私にもご奉仕させてくださいと言い出して俺に迫ってくる。

俺は、リヴィが俺に抱きついてきた事で。彼女の柔らかな感触を楽しみつつ彼女を受け入れると。俺のモノを美味しそうにしゃぶりつくし始めたのだ。

それからしばらくの間。俺はリヴィに精を吐き出し続けたのであった。するとリヴィがとても嬉しそうな顔で満足してくれた。そこで俺は彼女にユニークスキルの『ラヴィ』の事を説明しておくと。リヴィが嬉しそうな顔で了承して。リヴィがラヴィーと二人で部屋に戻って行った。

ちなみにその日以来。俺は、リヴィと一緒に居る時間が長くなった。ラヴィーは寂しい思いをするんじゃないかと心配したが。その辺の事はラヴィーには伝えていないが、俺が夜伽でラヴィーを抱いている時に、リヴィが俺の隣に来るので、リヴィと、ラヴィーと、リヴィーが混ざって三人で楽しむようになったのだ。ラヴィーとリヴィも、ラヴィーがラヴィーの母親になる前からラヴィーの母親が親友でリヴィも一緒に遊んでいたので、リヴィはラヴィーと、かなり親しくなっていた。そしてラヴィーのステータスが上がれば上がるほどに。

ラヴィーも強くなるようで。俺が見たところだと。レベル20の時はレベル50前後の魔物と同じ程度だったけど。今は70ぐらいあるようだから。おそらく70〜80はあると思われるから。リヴィアスと同じくらいだ。

リヴィーのステータスを確認した時、俺は驚いた。

名前:

アヴィーチラヴィー 性別:女性(人間族)LV90 VIT 15 DEX 15 AGI 12(↑40+35UP)

INT 140(+60UP)

MND 12000(+200UP)

LUK 5 状態 妊娠中(性別判明中)→妊娠状態。種族特性 ユニークスキル 【全知全能】

エクストラスキル『創造』

アルティメットスキル『時空』

ユニークスキル

『ユニークスキルの保持者としてユニークスキルを発動出来るようになる。』

『HP+200、MP+100、HP使用制限なし、HP回復速度UP』

アルティメットスキル『鑑定LV10』『アイテムボックス拡張LV10(×∞倍数上限設定可(0)/100)

『MP回復速度超絶上昇(1000/1秒LV1000)』

称号 魔法剣士 武闘王 賢者 剣帝 魔王 リヴィアの夫 リヴィーの母親(ラヴィーとラヴィーの義姉的存在に成長予定)

ユミリナの弟(アヴィスとは義理の兄弟)

(リヴィアとラヴィーとラヴィーとラヴィーとリヴィアのお母さんが友達でラヴィーとラヴィの出産が近かったのと。生まれた時期が近かったため。リヴィアとラヴィーはリヴィーの双子の妹になった)

(ラヴィーのお父さんとお母さんとリヴィのお父さんとお母さんが友達でリヴィのお父さんの友達でもある)

(リヴィのお母さんがラヴィーを産んだときにリヴィアとラヴィーの両親とリヴィのお父さんとお母さんが傍にいた。リヴィのお母さんの出産が近かったのと。生まれた時期が近かったため。リヴィアとラヴィーはリヴィーの双子の姉妹になった)

(ラヴィのお父さんとお母さんとリヴィのお母さんとは友達でラヴィのお父さんとリヴィのお父さんは幼馴染)

(ラヴィのお父さんがリヴィのお父さんとは双子だが年齢が近いために仲良し兄弟になっている)

(リヴィアとラヴィーの父親とお母さんとは幼馴染でリヴィアの父親とリヴィアのお母さんはリヴィアとラヴィーの父親と幼馴染。

ラヴィの父親とは双子の兄妹のような仲の良い関係に成長したのである。

リヴィアの父親と母親とラヴィアの両親とは、リヴィアの父親の妹夫婦がラヴィアの両親なのでラヴィアの両親はラヴィと、ラヴィとラヴィーとは幼馴染の関係になる。)

(ラヴィーの母親と、リヴィの父親とは友人であり、ラヴィーの母親とリヴィの母親もラヴィーと、ラヴィーとラヴィーが産まれる前は、お互いの親友で、同じ時期に子供を産むことになるのは偶然なのか。お互いに気が合うためなのか。二人共、お互いの子供が産みたいと思っていたらしくて。

ラヴィーは、ラヴィーの父親とラヴィーの母親の二人の子供の内の。もう一人の女の子がラヴィーの母親の親友の子になり。リヴィアは、リヴィアの両親の親友の子の。ラヴィーの母親の親友の子とラヴィーの母親の親友が親友という関係でお互いの親友の子供は親友となる。

そしてリヴィアの母親の親友と、ラヴィーの両親は結婚しており、ラヴィアの両親がラヴィの祖父母になっているので。お互いの両親同士も親しい。だから。ラヴィの両親は、ラヴィーの両親に孫娘を嫁に出したので、お互いの孫はいとこ同士ということになる。

ちなみにリヴィーが生まれてからも。

リヴィアとリヴィの父親は、リヴィーが赤ん坊の時にリヴィアの両親にお願いをして。二人で遊びに行くのを許可してもらっていたので。その事もあって。リヴィはラヴィーのことをラヴィーと呼び捨てで呼んでいる。リヴィーとリヴィーは仲が良かったから。そしてお互いの家族と家族ぐるみの付き合いをしていたのだ。

だから。俺が、ラヴィーに。自分の子供を孕む事によって能力が上がると言うと。彼女はとても驚いていたけど、自分の中に新しい命があるとわかると凄く喜んでくれた。それからしばらく、俺とラヴィーとの愛の時間を過ごす。そしてお腹が大きくなっていくのを感じながら、俺達は、お互いを愛し続けたのであった。それからしばらくして、リヴィの体調がよくなり始めると。俺はラヴィーが寂しくないようにリヴィーと一緒に過ごすことを提案する。リヴィはラヴィーと一緒にいることを選ぶので。俺はラヴィーと、ラヴィーが産んだ子には『ラヴィ』と名付けてあげてほしいことをラヴィーに伝える。

それから俺は。リヴィーとラヴィに俺の眷属にすることを了承させる。そうしないと二人が困ることを伝えると。リヴィは少しだけ悩んだが。ラヴィーと相談した上で、リヴィーは、俺に付いていく事を決断した。しかし。ラヴィーは迷っているようだったので。俺はラヴィーに。リヴィに眷属にされて俺達の子を身籠もる事で強くなる事を説明すると。俺の言葉に、リヴィーと同じように悩んでいたが、最終的には納得して。俺の眷属にしてもらう事を決めたのであった。そして俺とリヴィがキスをしている間にラヴィーが俺の体に抱きつき始めて。そしてリヴィーも抱きついてきて、三人で抱き合った後。ラヴィーの背中に俺の手を当てたあと、彼女のおへその下に俺が魔力を送りこむと、俺の分身を彼女の体内に植え付けていく。それと同時に俺達三人とも快感に包まれていったのだった。俺はリヴィーが無事に妊娠した事に安心すると。これからの事を考えて行く。ラヴィに俺の娘達を、お姉ちゃんやママとして育ててもらうつもりだけど。俺達も、時々様子は見にくるから、そのつもりでね。それから俺とラヴィーは暫くラヴィに面倒を見て貰うのと。アヴィナスを鍛えるため。しばらくは、ここに滞在することにしたのであった。俺はこの世界がどんなふうになって行くのか見守りたかったし。

それにリヴィーのお腹にはラヴィがいるから無理はさせられないし。そう言うわけで俺はラヴィーとラヴィの事をリヴィアとラヴィーに任せることにしたのである。

「えっと。リヴィさんとラヴィーさんの事をお願いします。リヴィとラヴィーの事をよろしく頼みます」

リヴィの母親とラヴィーの母親が。リヴィの妊娠を知って、俺達が帰る時にわざわざ見送りに来てくれていたのだが。リヴィとその母が一緒にいる時に話を切り出したのだ。

「あら。私はリヴィの母親なのよ? 任せなさい!」

ラヴィの母親の返事を聞いて。俺がラヴィの方を見ると。ラティから聞いていた通り、嬉しそうな顔で俺を見上げていたのだ。俺がそんな彼女に優しく頭を撫でると嬉しそうな顔をするのだった。

「はい! ありがとうございます。私もラヴィーの姉として精一杯頑張りたいと思います!」

俺はリヴィの母にお礼を言うと、彼女と一緒に帰ろうとしたが。リヴィアが、アヴィスの袖を掴み。そのまま引っ張る。アヴィスがリヴィアを見る。

「あの。お義母様が言ってくれました。私は、私の大事な人達を守るために強くなると。そのためにもアヴィス様にご教授願いたいとお願いしています」

リヴィアの顔を見ながら。彼女が何を言いたいのかがわかったので。

「そうだね。まずは自分の体を知る事から始めないといけないだろうね。俺が教えれる範囲のことは教えるつもりだよ。とりあえずリヴィにはリヴィー用の剣を作ろうと思うけどいいかな?」

「はい。嬉しいです。あぁ、楽しみだわ。アヴィス様は本当に素敵ですね」

俺がそう言うと、リヴィアは本当に幸せそうな表情をする。それからリヴィアが。自分用にと俺に剣を作って欲しいと頼むと、リヴィアと手を繋ぎ家に帰るのであった。

そして、俺達が家に着くとリヴィーが笑顔で出迎えてくれたのである。

そしてリヴィは俺の方に走って飛びついてきそうになったのである。俺は咄嵯に後ろに下がろうとするが、それよりも先に。俺の横を駆け抜けていったラヴィーの姿があり。リヴィよりも早く、彼女を抱きしめたのである。

「ちょっ、いきなり危ないでしょ!?」

突然の出来事に驚くリヴィにラヴィーが、優しい声で。「うん。大丈夫、大丈夫だから落ち着いて、ね。リヴィ、お母さんになるんだよ? しっかりしないと。もうすぐお姉ちゃんになるんだもん」と言い聞かせてあげる。

それからラヴィーが離れるとリヴィアは。頬を押さえていて、恥ずかしさで涙目になっている。それから彼女は「ふぇ~、お姉さま~。会いたかったですー。アヴィス君とは、いつも一緒なのに、どうしてお姉さまとは一緒に過ごせないのですかー」とリヴィアが泣き出してしまった。リヴィーが慌ててラヴィと俺に向かって頭を下げると、俺達に事情を説明してくれる。

俺達が屋敷に帰ってからは、ずっと寂しそうにしている事を教えてくれ。リヴィアは、ラヴィーと俺がいないと駄目みたいで、寂しい思いをさせているのだと話す。そして、今の状況では俺がリヴィと過ごす時間が限られてしまっているため、少しでも時間があればリヴィアと一緒に過ごして欲しいとお願いされる。リヴィーはラヴィに対して、リヴィが妹でラヴィーはお姉さんで姉妹みたいな関係だから甘える事が多く、ラヴィーの傍にいたくて仕方がないらしい。俺がそれを聞いて、どうしようか悩んでいると、ラヴィーはリヴィアを抱き締めて。「お母様はね。リヴィのことを、一番に考えているから我慢しているのよ。本当は、お腹にいるリヴィの子供も抱っこしてあげてみたいと思っているの。でもそれはできないの。リヴィア、貴女ならわかるよね。私だって。ラヴィーと同じ気持ちなんだから。お母さんになったらリヴィアが一番になるけど。それまではお預けって言われてるの。それに今は、アヴィースがラヴィーと一緒にいて。私がラヴィとリヴィを見守っているのよ。リヴィ、わかってくれるよね。お父様がリヴィのこと、大切に思ってくださっていることも。リヴィはリディアの妹なのだし。リヴィアはお姉様なんだしね。それに。アヴィースはラヴィーが守ってくれるから。ラヴィとアヴィウスの事も頼んでおいたし。だから、もう少しの辛抱だからね。頑張ってください。ほらリヴィア、元気をだしましょうね」

そう言いながらリヴィアのことを励ますとリヴィアは、目に溜めていた涙を流しながらも。ラヴィーのことをギュッと抱きしめるのであった。ラヴィーは俺にお願いします。リヴィと、リヴィのことをよろしくお願いします。と言うので、俺は二人の為に時間を作り。一緒に過ごすようにすると伝える。するとリヴィアとラヴィーが嬉しそうな顔をしたのを見て、リヴィアのことがとても好きなんだと改めて感じることが出来たのであった。そしてリヴィアはラヴィーから離れ。今度は俺の所に飛んできて抱きついてくるので、俺は、彼女のことを抱きしめてあげた。ラヴィーも俺の元にやって来ると抱きつくので、二人の背中をポンポンして落ち着かせると俺は二人と一緒にリビングに向かうのだった。

そしてリヴィとリヴィーとリヴィーが生まれてからの話などをしながら食事をして時間を潰していく。そして食事が終わった頃にはすっかり日も暮れてしまい。俺は明日の準備を始める。

そして俺の部屋に転移魔法を使い移動すると俺達はベッドに腰かける。

リヴィアはラヴィーとラヴィーが生み出し続けている眷属達と一緒に遊んでいた。

リヴィはリヴィアとラヴィーとラヴィーの眷属達から少しだけ離れた場所に椅子を移動させ座っているラヴィーの近くに座りながら、リヴィに話しかけるラヴィーの声を聞き取るのであった。俺は、少し離れた位置に座りそんな光景を見守るのであった。しばらくするとラヴィー達三人と眷属達は、眠り始める。俺がラヴィに三人の事と眷属の事について聞くと。「三人の事は心配しないで、この子達も、お母様から産まれた時から少しずつだけど魔力を与えていますから。お腹をすかしたら起きるでしょう。それから、この子達のお腹が減った時は私の魔力を、与えてもいいんですか? アヴィス様?」と聞いてくる。俺はそれで問題無い事を告げて、三人とも自分の子供として育てて欲しい事を彼女に説明する。それからは、三人が無事に産まれるように。お腹の中にいる赤ん坊に俺の魔素を与える事にしたのであった。

そう言えば俺はラヴィー達三人の事を忘れていたが。アリシアが言うには三人共元気で順調に育っていて、特にお腹の中の子が元気だと。それをリヴィーから教えてもらうのであった。その事に俺は安堵するが。まだ生まれたばかりの子供に魔素を与えて大丈夫なのかなと俺は疑問を感じたので。その辺についてはラヴィーやラヴィーから話を聞いた方が良いかもしれないと、リヴィに説明してから、お風呂に入ろうと言って一緒に浴室に行くと。そこで俺はラヴィーと、リヴィアに交互に口付けしながらお互いを求めあうのである。ラヴィーとの情事が終わり、お互いに汗を流してから二人で寝室に戻ると。ラヴィーにお礼を伝え。リヴィーにリヴィアの面倒を任せた後。リヴィーが作ってくれた料理を食べるのであった。それから暫くの間、リヴィーとラヴィーがリヴィに色々な事を教えていたのだが。俺の作った魔剣を見て興奮したリヴィーがリヴィを連れて俺の部屋に行き。それからリヴィアも交えて楽しく談笑をするのだった。ちなみに、俺はラヴィーが作り続ける剣を見て凄いと思ったが、俺はあえて何も言わずにいたのだ。そんな俺に対して、ラヴィとリヴが気を使ったのか、ラヴィが「ねぇ? 私が作ったお洋服とか見たくないかな? アヴィス君に見せたいものがあるんだけど。リヴィには後で服を渡すね」と言い。それからラヴィーと一緒に、クローゼットの奥にある部屋に入ると。そこにはたくさんのドレスやワンピースなどが飾られていたのだ。それから二人が選んでくれたので、それらを全て取り出して。俺が鑑定をしてみたのだ。それから気に入ったものをリヴィーにも試してもらうと、リヴィーは気に入ったようで「お義母様とお姉さま、こんなに素敵な服を着せて頂けるなんてありがとうございます」と言って喜んでいるので、リヴィーは俺がリヴィー用に選んだ水色の可愛い系の服を手に持つと、「お義母様、お姉さま。ありがとうございます」と言いながら着替えて俺の前に来て「どうかな?」と恥ずかしそうに、俺に感想を求めてきてくれた。それから俺に「とっても似合っていますよ」と伝えると嬉しそうな顔をしていたので、俺は頭を撫でると、嬉しそうにするのであった。

それからしばらくして、俺が寝る準備をする為にラヴィーと一緒に俺が使う部屋の方に行こうとすると、何故かラヴィーに止められてしまったのである。

ラヴィに何か用事でもあるのかと俺が尋ねてみると、リヴィアがラヴィアに会いたがっているらしいと伝えられ。

ラヴィーが俺に「じゃあ行ってきてください」と言われてリヴィアがいる場所に俺は移動をする。そして扉を開けると同時にリヴィアの叫び声が聞こえてきたので、急いで駆けつけると、そこには泣きじゃくっているリヴィアと。それを抱きしめているラヴィーの姿があったのである。リヴィアは「ラヴィ姉様。ラヴィ姉様、どうしてお母様に黙って出て行ったの!? 酷いよ」と、まるで捨てられたように泣き叫んでいたので、俺は慌ててラヴィーとラヴィアの元に向かうと。リヴィアが「どうして、ラヴィ姉様だけアヴィス君の所にいて、お姉ちゃんだけが、ここに一人で残されないといけないのよ。お姉ちゃんばっかりズルいよ」と叫ぶ。それを聞いた俺は。ラヴィーにどうすれば良いかを尋ねると。

リヴィの事は任せるから、後はお願いとだけ言われる。俺はとりあえずリヴィアを抱きしめて落ち着かせようとするが。彼女は嫌々をして暴れだしたので。

俺は彼女を無理矢理、自分の胸に押し付けて優しく抱きしめると、リヴィアは落ち着いたようだが、それでも納得していないらしく俺のことを睨むと、「何でそんな事するのよ。私は貴女の妹のリヴィエリアだよ! なのに、そんなに優しくしなくてもいいんだよ!」と怒鳴ってきたのだ。俺は困った表情をしていると。彼女が、ラヴィーに対して不満があるからこんな事をしていると分かった。俺はどうしたらよいのだろうかと考えると。ふと思い付いた事を彼女に告げる事にした。「えっとね。ラティ、俺はリヴィーも俺の子供として大切にするつもりだから、仲良くしてくれないか?」と俺がリヴィアに伝えると。それを聞いたリヴィは「嘘よ、絶対にラヴィ姉様を連れて行く気なんだから」とまた俺を怒る口調になって、そして大声で泣き出すので。今度は、ゆっくりとラヴィーがリヴィのことを抱いてあげるのが見えると。彼女も落ち着いたようなので一安心したが、これからの事を考えないといけなかったのだ。そうして俺が思案しながら考えていると、いつの間にか寝息を立てていたので。起こさないようにそっとしておいて、俺は、ラティー達が寝る部屋にリヴィーと一緒に向かうのであった。そうしてベッドに入り。俺が、リヴィーを抱き寄せて眠るのであった。

そうして朝を迎えると、俺の目の前にはリヴィアがいた。ラヴィーが言うには、昨日リヴィーが眠ってしまった後に。リヴィアが俺に謝りたいと懇願してきたので。仕方なくラヴィーが、一晩だけ俺の元にリヴィアを預けたと言う。なので、今俺の側にはリヴィはいないので寂しいので、俺はラヴィーを呼び出したのであった。

それからラヴィーと二人だけで、少しの間話をしていると。俺達はラヴィーが用意してくれた食事を取るために部屋に戻り、ラヴィーと一緒に食事をしている。食事が終わると俺はお風呂に入る。その間にラヴィーが食器を洗ったりしてくれていた。そして、俺がお風呂から出てリビングに戻る途中で、リヴィアと出会すのであった。

リヴィアと、リビングに向かいソファーに座ろうとすると。ラヴィーから声を掛けられてリヴィアと一緒にラヴィーと一緒に、寝室のベッドに向かうのであった。そうしてベッドに入ると、ラヴィーはリヴィアの隣に座ってから。リヴィアに話を切り出す。

「お母様は、私が居ない方が良かったよね。でも、ごめんなさい。リヴィアの事を考えると、お母様の所に行った方が良いと思ったの。だって。リヴィアはまだ小さいから。一人にさせる訳にはいかないでしょ? だからお母様のところに来たんだ。それにお母様の側の方がリヴィアが成長出来るから、リヴィアの為にお母様を頼りたかったから」とリヴィは俺の目を真っ直ぐに見つめてくる。その目は何かを覚悟を決めた強い眼差しをしていたので。リヴィの想いを感じて。俺はリヴィアを優しく抱く。すると彼女は涙を流し始める。そしてラヴィーに「ごめんね。ラヴィー姉様、迷惑ばかり掛けちゃって」と泣きながらラヴィーに伝え。

「リヴィア、私はリヴィがお腹にいる時に助けられなくてごめんね。貴女をずっと苦しめていて、お父様が死んで、それからお祖父様も亡くなって、それで私とお兄様で、必死に生きていこうとしていたけど。もう限界で、このままじゃリヴィまで死んでしまうかもしれないと思ってしまったの。そんな時にリヴィアと、リヴィアの姉のラヴィーさんと出会って。それから助けてくれてありがとう」とラヴィーも涙を流しながらリヴィアに謝罪をしたのであった。

それから俺とラヴィーはリヴィアとリヴィーの側で一夜を過ごす。リヴィも疲れていたのか、寝る時はぐずっていたのだが、今は落ち着いて寝ていたのだ。

それから数日が過ぎて、俺はラヴィーと一緒に朝食を取り。その後は二人で庭でゆっくり過ごしていた。そして昼頃になると、屋敷の門のところに人がやって来た。そして、俺は慌ててラヴィーと共に門に向かうと、そこには俺のよく知る人物と、見知らぬ男性が一緒に待っていたのである。そうして俺は男性に駆け寄ると、彼が「初めまして。僕はアリサです」と自己紹介をして。続けて「こっちはアッティだ」と紹介した。それから俺達も自己紹介すると、彼は笑顔で「君があの時の青年なのか? 僕も君のことを知っているぞ。僕の事は気軽に『パパ』と呼んでくれても良いよ」とふざけた事を言うので、俺は無視することにしたのだ。だが、この男に俺は見覚えがあって。確か、俺がまだ魔王をやっていた頃に俺が勇者として召喚した少年だと思い出したのである。

それから俺は彼に事情を聞くと。なんでも彼の妹であるラヴィーと。その友人のラヴィーが俺の屋敷に行きたいと伝えて、ラヴィーがリヴィアの面倒を見ると言ってくれたらしいのだ。そこで、彼女の両親から俺に連絡が来たのである。それから、彼と一緒に俺の家に遊びに行く事になった。ちなみに、俺が彼を知らなかった理由は簡単な事で、彼は、元の世界に帰る際に俺とは敵対関係にあって、その時、俺は彼に手加減をしていなかったからだ。俺は俺のせいで家族を皆殺しされた事を根に持っていたから。俺を憎んでいたはずだと思っていた。それなのに、なぜ俺に頼み事をするのだろうかと思ったが。きっと何か理由があるに違いないと考え。とりあえずは俺は彼の案内をすることに決めてから、俺は屋敷の皆に説明するために、リヴィアとリヴィアの部屋に向かう。

「ラヴィー姉ちゃんが帰って来たって、本当なの!?」と。俺の姿を見たリヴィアが慌ててラヴィーの元に走り寄って来る。

俺はリヴィアを受け止め。抱きかかえると「うん、本当に久しぶりだよね」と言うと。リヴィアが俺の腕の中で泣き出しそうになるが、我慢している。俺は彼女を離すと。ラヴィーがリヴィアを抱き寄せていた。

そして俺達はラヴィーを先頭に屋敷の中に入るが、何故か俺の後ろに隠れるようにしていた。俺はラヴィーが怖かったのかと心配するが。どうやら違うようで。アヴィウスを見て緊張をしているみたいだった。そして俺達がリビングに着くと。そこには俺達の様子を見ているラティスと。ラヴィーを懐かしそうな表情をして眺めているリヴィアの母がいたので。俺がラヴィーのことを頼むと。ラヴィーは母の元へ歩いて行き。そして二人は抱きしめ合う。俺はそれを見守っていたが。ラティスが俺の元に来て「ラヴィー様。私の娘になってくださり、誠にありがとうございます。これから、末永く宜しくお願いします」と言うので。俺は、どうしようかと悩んでいたが。

結局、ラヴィの希望もあり。彼女達にも本当の娘として認めてもらうことに。その後で俺の側にラヴィとラヴィーとアヴィスが来ると。ラヴィーがラヴィーのことを「姉様って呼ばせて」と言い出してラヴィーのことを、姉呼びをする。そうして俺達が談笑をし始めると。リヴィアは、俺のことをジッと見てきたので。

俺はリヴィの頭を撫でると、リヴィアの表情が嬉しそうになったのだ。俺はそんなリヴィアを愛おしい思いを抱くと同時に、早く成長して欲しいという思いを込めて。ラヴィにリヴィアの事について話をすると。彼女は俺に「私がしっかりと面倒見るから安心していて」と言われたので。少し安心出来たが、不安もあるから。何かあれば、俺の事を頼ってくれとも告げる。

そうしてから俺が、二人を連れて部屋に戻り。二人に、これからはここで暮らして欲しいことを話したら。ラヴィーが、「えええええ、それなら私もこの家に住む! だってお姉様と離れるのは嫌だよ!」と言われてしまう。俺は困惑したが。彼女なりに考えての事だと思い俺は了承してあげる事にした。ただ、それだけだとラヴィーが気兼ねしてしまうだろうと思い。屋敷のメイドとして雇うことにしたのだ。そしてラヴィーと別れる際には「また会いに来るわね」と言った後でラヴィーとキスをしていた。そうして二人が出ていく姿を見送ったのであった。そうして、残された俺とラティだったが。

そうして夜を迎えると。夕食の時に。アリサからリヴィアの姉になった経緯を聞いて驚く事になるのであった。なんでもアリサの父はアリサを溺愛していたが、彼女が幼いうちに亡くなってしまい。アリサは、自分の父が死んでからも育ててくれた祖父が亡くなった時はショックでしばらく何も出来ないほど落ち込んでいたらしい。そんなアリサは立ち直って。冒険者になると決意をし。祖父が使っていたという武器を受け継いでいた事もあり。一人で迷宮を攻略したりなど頑張っていた。そんな時にリヴィアと出会ったようだ。それからリヴィアは、ラヴィに懐き。よくラヴィーと一緒に遊んで貰っていたそうだ。そんなある日。ラヴィーの妹が生まれてその子は、リヴィと名付けられたが。ある日、リヴィがいなくなり。ラヴィに聞いても知らないと言われる。それからアリサはラヴィを探し始めたのだが、なかなか見つけられず。その間にもリヴィアはいなくなる。そんな事を数回繰り返していた時。俺は彼女と知り合った。俺はその頃から既に、この世界の住人では無く。別の世界から来た存在であり。俺は、異世界転移が出来る能力があったのだ。そしてラヴィには内緒にしておいて欲しい事を伝えてから、俺は、この世界でラヴィエスと名前を変えている。そうしないとラヴィーと俺の接点がなくなってしまうからだ。そして、俺に好意を持ってくれたラヴィーの為に俺は彼女を保護する事を決めたのである。そう、彼女は俺の愛人でもあった女性なのだ。もちろん今でも恋人同士だし夫婦でもある。俺にとって一番大切な存在で、誰よりも愛おしい人である。

「そうですか。それで私は、アリサ様の保護を受ける事を決めたのです。お爺様から受け継いだ物を大切にしたい気持ちと、アリサ様に甘えたいと思える部分もあったからです」

それからラヴィーとアリサと俺とラティで食事をとりながら話しをしたのである。リヴァイは俺の膝の上に座っていたので、そのまま食べさせてあげながら話を聞いたが。アリシアの時と同じ反応だったので苦笑いするしかなかった。

ラティーファとラティナにラヴィアが帰ってきた事を伝えると、二人の子供も喜びの声を上げていたのである。

俺は二人の子供が喜んでいる姿を見て良かったと思っていた。それにしても、こんなに小さい子供がいるとは思ってもいなかったが。まぁそれは今度ゆっくり考えるとして、今日はゆっくり寝ようかなと考えていたのだ。

それからリティアはリディアの所に行き二人で話をしたりしていると、いつの間にか仲が良くなっていたのである。それからラティは子供達と一緒に寝る事になっていたので、寝かしつけるのに必死になっている。その様子にリティアが微笑ましそうな顔を浮かべて、ラティスと俺と一緒に見守り。そうして、この日が過ぎていった。俺はこの時間が幸せだと感じていて。ずっとこの時間が続くといいなと思っていると俺の腕の中には愛する妻達の姿があって幸せな気分になりつつ眠るのであった。

俺は夢を見ていたのだ。前世で死んだ時に見た景色の夢では無い。だが、何故か見覚えのある場所に俺はいる。俺の記憶にある光景とは違うのだが、何故か懐かしいような。どこかで似たような場所を見た気がする。でも思い出す事が出来ず。とりあえず俺はその場を立ち去ろうとしたら、急に立ちくらみがしたので、その場に座り込んでしまう。そして、俺は意識を失いかけたのである。するとどこからか俺の名前を呼ぶ声がしたと思ったら目の前に現れた人がいた。俺はその人物を見ると。なぜか、リリィの面影がある人物が俺の前に現れたのに驚いたのだ。リリィの事は、リヴィアに任せていたので安心していたのである。それから俺はリリィが手を伸ばして来たからその手を掴み引き寄せようとしたら。逆に引っ張られて抱きしめられたのだ。そこで俺は目を覚ます。

そして横にいるラヴィーに、なぜ俺の隣に寝ているのかを聞くと。「お酒を飲みすぎてしまったのですよ」と言って。「昨日の夜から、私と一緒に飲み明かしましたよね?」と言って俺に抱きついてくるので。俺は仕方がなく、彼女の好きなようにさせる事にしたのだった。ちなみにラティスがラヴィを抱きしめて「大丈夫だ、私が付いているから」と優しい口調で話しかけると。ラヴィーは「ラティス、あなただけよ。私の味方なのは、いつもごめんなさい」と言って涙を流す。

ラヴィーは今まで辛い目にあっていたし。家族を殺されてしまい。ラヴィは自分のせいで家族を失ったと思い込んでいた時期があったのだ。だからこそ、リヴィに対して強く当たる事もあったのだ。しかし、リヴィーが、リデア達と共に旅をして行くにつれて。段々と考え方が変わっていき、今はリヴィーを認めつつあるみたいだ。だからなのか分からないが。ラヴィーとラティスの関係は良好な関係が続いているのは間違いないと思う。そんな風に思っているとラヴィーの瞳から涙が流れ出す。それを俺はそっと拭うと彼女は、俺を見つめる。

「アヴィスさん。ラヴィの事を助けてくれて本当にありがとう」

「気にしないでください。俺にとっても大事な女性ですから。俺はリヴィのことはもちろん。貴方やラティのことも大事です」

俺はラヴィーの耳元で優しく囁くと。彼女が頬を赤くしながら恥ずかしそうにする様子を見て、可愛いと思いながら彼女を優しく包み込むのであった。そして俺とラヴィーの様子を見ているリヴィスは「お母さんが嬉しそうにしていると僕まで嬉しいんだ!」と言うので、俺はラヴィーから手を離すと。リヴィアとアリシアに「ラヴィのことを頼む」と言うと二人は「はい!」と元気に返事をしたのであった。そして俺とラヴィーが、リビングで朝を迎えた頃。ラティとアリティアは起きていたらしく。アリシアだけが俺の側に来ていた。

「あのアヴィス様? おはようございます」

「ああ、おはようアリシア。体調はどうかな?」

「はい! 問題ありません。それより、ラヴィ姉さんのこと助けてくれてありがとうございます。それとお礼がまだ出来ていなくて申し訳ないのですが、お食事をどうぞ」

「あははは、それじゃあ、頂こうかな」

そう言うと、アリシアが台所に向かい用意を始めてくれると。ラヴィーもアリシアと一緒に料理を始めた。ラヴィーが、アリシアと楽しげに話す姿を見ていたラヴィーに近づき。ラヴィーにキスをしてから頭を撫でると、嬉しそうな表情で俺を見るので。彼女の手を引いてテーブルの方に行くとリヴィに食事を与えていたラティも一緒に食事を始める。そして食事を終えると、リティアにラヴィを任せて俺はリヴァイを連れて部屋に戻り準備をするのであった。そしてラティにラヴィーをお願いした後で屋敷の外に出る。そうして俺はラティを連れて屋敷から離れるとラティが不思議そうに「お兄ちゃん。何処かに行っちゃうの?」と言い出したのだ。その言葉を聞いた俺は思わず驚いてしまい。

どうしてそんな事を言うのか分からなかったけど。すぐに、そう言えば、ラティには事情を話していない事を思い出したのである。だから慌てて誤魔化そうとしたのだが。

「お、おにーちゃっ! んぅ〜」

ラティは、そう言って泣き出してしまった。だから、俺がしゃがみ込み抱きしめる。

「大丈夫だよ。もうラティーの側にいられるからね」

そう言うのだが。ラティは首を横に振ったのである。

「でもね。私はお家に居たいんだよ。お友達と一緒に遊びたいし」

ラティの言葉を聞きながら。やはりラヴィア達が心配しているのだと思い。

「そっか。分かった」と言うとラティを抱きかかえて屋敷に戻るとリヴィーを抱いたリリアとリヴィアとラヴィーとリヴィアスが出迎えてくれたのである。リヴィーがラヴィーを抱きしめてから俺を見て笑顔を見せるので。俺は微笑む。それから、俺は自分の能力を使う事に決めた。

それはリヴィを元の姿に戻せる事と、リヴァイのように人間に化けれる存在を作れる事を思い出したからである。なので俺はリヴァイが人間の姿になった時の様に、まずは人間のリヴィを作ってみる事にしたのだ。そうして俺は魔法陣を描き終えてからリヴァイに向かって「ちょっと、待ってて」と言って魔法を発動させたのである。すると俺の描いた魔法陣から眩い光が放たれたかと思った瞬間に、リヴィエスそっくりの女の子が現れて驚くのである。俺は成功したか不安に思いながらも彼女に名前を付けたら彼女は嬉しそうに笑っていた。そうして彼女は、俺の作った存在として登録され名前が与えられたのである。彼女はリヴィアという名前を与えられるのであった。俺は、その後、今度は俺がリヴィーを元に戻す。するとリヴィーと瓜二つの少女が現れる。それから俺は彼女にも名前を付けてから二人の設定を書き込んだのであった。それから俺は彼女達の体を触りながら異常がない事を確かめた後で、彼女達に服を着るように命令したのである。彼女達は戸惑いつつも俺の言いつけを守って着替え始め、俺もそれを見ないようにしていた。しばらく経ってから、彼女達の設定を確認すると。無事に書き込めたので安心する。それから、彼女達をラヴィアの屋敷に連れて行ってラヴィアに会わせると二人共驚いた様子だったのだ。しかし俺から話を聞いていたラティアとアリサとアリシアは俺の事を分かってくれたのか、普通に接して貰えたのだ。

それから俺はラティアとアリサとアリシアと一緒に屋敷に戻ってラヴィーの元に向かうと。ラヴィは泣いていたがラティアとアリサとアリシアが慰めていたので俺も側に寄って抱きしめてあげて。落ち着くまで待っていたのである。しばらくしてから落ち着いたらしいので話を聞くと、どうやら自分が人間の姿になれたのは俺のおかげだと理解してくれたみたいだ。俺は彼女の手を取り握りしめると「ラティーの事が好きだ」と言う。そうしたら、なぜかラティーファがラヴィーに飛びついたのだ。それで何故かリヴィーが嫉妬しだしたので。俺は困ってしまったのである。ラヴィーは「お兄様とリヴィのことが大好きなのです」と言うが、なぜかリヴィーは不機嫌になってしまった。

そしてリヴィをあやしながら、これからについて考える事にしたのだ。とりあえずは、俺の妻がラヴィを預かってくれると言うので、リヴィとリヴィーを預けて俺は一度王都に帰る事になったのである。そして俺が帰る前にラティをラヴィに紹介しようと思い声をかけた。

「ラティー」

「あっ、お兄さん。私に用事があるんですか?」

「ラティーのお父さんが迎えに来たから。一緒に帰って来て欲しいんだ」

「え? そうなのですか? 私はまだ帰らなくてもいいのに」

「そういう訳にもいかないよ。ラヴィだって家に帰らないといけないだろ?」

俺が、そう伝えるとラティーが少し考え込んでいたのである。それから彼女は、何かを決めたように「分かりました」と言うと。ラヴィーの手を握ってからラヴィーの両親がいる場所に向かったのだった。ちなみに、ラティは人見知りをしないためにラヴィーが怯えないかが心配だが、ラヴィーがラティを抱きしめている様子を見てホッとしたのであった。それから俺とラヴィアが屋敷に戻った時にラティとラヴィーの二人は戻ってきていたのだけど。

その時に俺はある事実を知ったのである。俺がラティに説明する前に、ラティとラヴィーの二人がお互いの顔を見た後にラヴィはラティーの頭を撫で始めた。それに戸惑うラティーは、どうしてラヴィーが自分を抱きしめるのか分からなかったみたいで。困惑しているラティを見て、ラヴィが微笑みながらラティの手を優しく握る。

そしてラヴィーが、ゆっくりとラティーと向かい合うような格好になりラヴィーがラティーを抱き締めて「良かったです。無事で」と言ったのを聞いて、ラティは泣き出してしまったのである。

そんな様子を俺の隣にいたラティは不思議そうに見ていたので、ラティの両親の事を説明すると。

「あ、あぅぅ。私のせいで、お母様やお父様に迷惑をかけちゃったんだ」

「気にしないで、ラティが気に病む必要ないのよ? 貴方の事は私が守ってあげるから」

ラティの言葉を聞いたラヴィーが優しく頭を撫でてあげた事で。ラティの目からは涙が溢れ出すのであった。俺はそれを優しい目つきで眺めていたのだ。そうしてしばらくの間は、ラヴィと二人でラティが落ち着くのを待ってから事情を説明して、この場にはいなかったけど。ラヴィアとも挨拶をしてもらって。

ラヴィアは、ラヴィの事を抱きしめながら嬉しそうに笑っていたのである。それから俺とアリサとアリシアは、一旦、俺の家に戻ってくる事にしたのである。その時にリヴァイがついて来たけど。

そうして、俺がリヴィアとラティと一緒に俺の家に戻ると。ラヴィーとリヴィーを連れてきた事を家族に話す。その話を聞いた俺の母親は嬉しそうに「良かったわね」と言ってラヴィの事を抱きしめていたのである。そうしてラヴィーが、リヴィーの母親だという事が分かるとリリィも母親として接し始めたのである。だからなのかは分からないが、アリシアはラヴィーとラヴィーの妹に懐かれて楽しそうに相手をしていた。そして俺がラティの件を話すと皆が喜んでいたのであった。

俺はその日の夜に国王と宰相を呼んで会議を開いた。もちろん議題は魔人の国に行くメンバーを決めようと思っているからだ。それと魔人が絡んでいるのならば魔人と繋がりがある人物の可能性もあると思ったから、その事についても話をしようと思うのだ。まずは、ラティの父親の事を皆に伝える事にする。そうすると全員が険しい表情を浮かべた。それは魔人が人間と関わっている可能性があるからである。俺はリヴィアの事を伝えた。リヴィが元は魔人であり人間に化けていた事を伝え。

俺の事を信頼してくれて協力する事を話した。そうすると、ラヴィが魔人だった事を知らされていなかったのかラヴィアが驚き悲鳴をあげてしまい。アリシアが慌ててラヴィアを支えてくれた。それから、リヴィが元魔人であるリヴィから詳しい事情を聞く。その結果、どうやら魔王は人間の国に紛れ込み生活しているみたいで。

魔王が元人間だったと知っている人間は、ほんの一握りしか知らないみたいで。リヴィアの父親と、それからラヴィーの両親がそれに当たるという事が判明したのである。

そしてリヴィアは元勇者の召喚に巻き込まれて魔人になったという事を知り。しかも魔王とリヴィアの父は元々幼馴染であり、友達だったという関係でもあった事が分かったのである。リヴィアは自分が元から人間だった事も教えてもらったようでショックを受けてしまったようだ。

俺はリヴィの話が終わったタイミングを見てから。リヴィに人間の姿を保てるようになった方法を聞き出した。

リヴィアの父親が人間に化けた時のように、元に戻す事ができた。ただし俺には無理だったので。おそらくラティが人間に戻せた理由は、契約者がラティだったからであると思われると伝える事にした。そして契約者であるラティーが俺の元に居たからである可能性を伝える。つまり、リヴィが俺のそばにいてくれたから俺と繋がっていたから。

俺の力を分け与え続けたからこそできたのではないかと伝えたのだ。しかし、あくまでも憶測であると伝えておく。

俺は、次に魔人の国の事について話を進める事にしたが。その前にリヴィアに、俺の家族とラヴィアとアリシアを紹介すると。お互いに紹介しあってくれたのである。それから俺は、リヴァイ達も一緒に連れて行くと話すとリヴァイが「ありがとうございます。必ずお役に立てるはずです」と言うのである。

俺も、リヴァイなら信用できると思うし。もし万が一リヴァイが裏切ったとしても対処する方法も考えてあったので。同行を許す事にしたのである。こうして俺はラヴィ達とリヴィ達と一緒に、リヴァイとラヴィ達を連れ立って。明日から出発する事を、家族と友人達に告げると。皆が笑顔になって喜んでくれたのであった。

翌朝になり、出発の準備を終えると俺は王城に向かう事にした。すると、ラヴィアが一緒について行きたいと言ってくれたので許可を出して連れて行ったのだ。

そして、俺は王都に向かうために馬車に乗ると。ラヴィー達が乗っているラヴィー用の車とは別にもう一つ。普通の車を呼び出して。その中に乗り込むと出発をした。それから王城に着くと、すぐに会議室へと向かう。そこには俺の妻やアリサに、リシアも同席してもらう事にした。

そして、俺が妻達を紹介した後に、魔人国と関わりが深い人物の名前を聞く。すると、ラヴィーの父親や、ラヴィーの両親の名前が挙がり。他にもラティーに聞いた名前が出てきた。

そこで、俺がラヴィーから説明を受けた内容を皆に伝え。ラヴィを仲間にした経緯を話すと、全員が複雑そうな顔をしながら。俺を見つめていたのだ。そうしていると、国王の近衛騎士団団長であるラスティさんが。

今回の任務について話し出した。俺が魔王の所に乗り込んで倒すと言う計画なのだ。その作戦はラヴィアを仲間に引き入れた時に話した内容と全く同じなので。

問題はないはずである。その事を、みんなに報告してからラヴィアと、ラヴィーにリヴィの三人で話し合いをさせた方がいいだろうと言う判断に至ったのだ。そしてラヴィアとリヴィはラティーを、ラヴィーとラティと、ラティとリヴィーの四人で一緒に行動させるのは良くないと思ったから別々に行動をさせようと思っていると話したら、国王のレイスが反対してきた。

「ユウマ様は魔王がどのような者か分かっているのでしょうか?」

「はい。分かっていますよ」

「本当にですか?」

「ええ、俺の妻であるアメリアさんとリヴィアさんと。それからラヴィーが一緒に戦ったんですよ? そしてその強さを間近で見ているんですから」

俺は、真剣な眼差しで見てくるレイスに向かって言い返した。その言葉をレイスは聞いてからしばらく沈黙したあとに口を開く。

俺の話を簡単に信じるのは危険だと言いたかったが。確かにその話は真実だと思うので。ラヴィアが嘘を言うわけがないとレイスは思っていたのである。だからこそ、レイスは悩んでしまったのだった。

「わかりました。ですが気をつけてくださいね。絶対に死なないで下さいね」

「分かりました」

「それと魔王に囚われている可能性があるリリィちゃんは。リディアに任せるとして。他の方達は全員。魔人の国に向かう事にしました」

「それは、リヴィーとラヴィーの事を信用できないと言うことですね」

「そういう事です」

「それでは。リヴィーが魔人に化けて何かしてくるかもしれないのに、リヴィアを向かわせるのはどうかと思いますけどね」

「そ、それはどういう意味ですか」

「いえ、ただリヴィーが魔人だったと、あなた方の誰かが知らなかった可能性もあるじゃないですか。それを警戒する意味でも」

「リヴィアの件についてはラティ様のご両親が全て把握しています」

俺の言葉にラスティさんが反論をするが。俺は冷静に切り返す。俺としてはリヴィーを疑う事はできないけど。俺を陥れる為にはどんな手段でも使う可能性だってあるので警戒しておく必要はある。だからといってリヴィア一人だけだと。人質にされる可能性も考えられるので、やっぱり二人だけというのには納得できなかったのである。そう思っているのに、この国の重鎮であるレイスと、リリアが行くというのだ。その事で俺は、レイスとリリアがリヴィーに何かしら弱みを握っていて、それに漬け込まれている可能性が捨てきれないのである。だから俺は、俺にリヴィアの面倒を見ろと押し付けようとしているのではないかと邪推してしまっている。だから、あえて、この場で、そう言ったのであった。

その言葉にレイスとリリアの顔色が変わるが。国王であるレイスが「私の娘を信じてくれないか」と頼んできた。

「俺だって信じています。でも、俺を殺そうとしていた人間がいるのも確かでしょう。だから、ラヴィアを行かせるのは嫌なんです」

「それならば。魔王が関わっている証拠を見つければ良いのか?」

俺は魔王が関わっている事だけは認めた上で。魔王の事はラヴィーの件もあって、まだ信頼しきれていないと伝える。しかし俺の言っていることも一理あり。魔王の事に関しては証拠が必要だと思っている。そうして俺とレイスが会話をしていると。俺にラティを任せられているリティアに、リヴィアやアリシアがやってきて。俺を説得するような発言をしてくれたのである。

俺は二人の意見を聞き入れ、渋々ながらも受け入れたのだ。そして魔人国にリヴィーとラヴィーを連れて行きたいと、改めてレイスに相談したら、しぶしぶだが了承されたのだった。

俺が王城から出る時だった。突然魔道具通信が入ったのだ。そうすると相手の声が聞こえてきた。その声を聞いて俺は驚きを隠せないほどに動揺してしまう。なぜなら相手が魔人の国の王である魔皇から連絡が入ったのである。しかも魔人の国に来いというのである。その話に対して、俺が断ると。「ならお前の国に行くしかないが、いいのか」と言うので、俺達は今魔人の国に居るから来ても問題ないと話すと、魔皇の配下と思われる男が迎えに来るという。俺は仕方がなく。リヴァイ達に準備を整えて貰って待っているように指示を出す。そして俺は魔人と、どう戦うかを考えていたのだった。

それからしばらくした後。転移陣が現れるとそこから黒いスーツを着た、いかつい男達が二十人ぐらい出てきた。その数に驚くも、俺とラスティさんはリヴィアに、アリシアにラヴィアの三人を守るようにと指示を出し。

俺はリヴァイやアスタ、リヴィアにアリシアの護衛に回るように指示を出してから戦闘を開始したのだった。そして俺の前にいた十人は一瞬のうちに俺の【聖覇斬り】で切り裂かれたのだった。しかし、背後からの攻撃に気づき、後ろから飛んできた攻撃を刀身を使ってガードする。

そして俺はその攻撃を受け止めた瞬間に、リヴィーの攻撃だと気づくのだが、なぜかリヴィーが魔人の姿で俺に襲いかかってきたのである。その事に疑問を抱きつつも、リヴィーと戦いを始めたのであった。

俺はリヴィアの方に視線を向けると、魔人が数十体も現れて、ラヴィーやアリシアの方に向かって行っているのである。俺は、そちらに行こうとしたがリヴァイが「ここは任せてください」と言って、俺に襲いかかってくる魔人達に立ち向かっていった。俺は「すまない」と伝えて。ラヴィア達の元に急ぐのである。そして魔人を斬り裂きながらラティ達の元に辿り着いた俺を、襲おうとした魔人だったが、ラスティさんが、すぐに倒してしまったのだ。

ラヴィア達の元に辿り着くまでに十数体の魔人を瞬殺してきたが、残りは魔人のリリィとラティとラヴィーだけしか残っておらず。ラスティさんが一人で戦っていた。しかしラティとリヴィーの戦いを見て、ラヴィはともかく。リリィの動きはラヴィーと同等以上だと思い、このままではまずいと思いラヴィを呼ぶとすぐにラヴィーがやって来てくれたのだ。

俺はリヴィと一緒に。アリシアのところに向かうが、アリシアは既にリディアとアリシアに魔人化していたので、俺が倒した魔人をリディア達に向かって来る魔物達に向かって、吹き飛ばしていった。そして俺とリヴィアが、それぞれ魔人の相手をするのであった。

俺が魔人と戦う中。アリシアも魔人化して、残りの魔人や魔獣達を相手に戦い始めていた。そんな中。ラスティさんとラスティさんの部隊にいた女性騎士さん達五名がラティ達を助けて、魔人化しているラヴィと対峙しているのが目に入った。そのラヴィアの姿は全身が赤く、肌が褐色になっていて瞳は紅く光り、耳は長く尖った形に変化をしていた。その姿はラヴィーそっくりだったが、その力は桁違いに強くなっていたのである。そんなラヴィエに、ラスティさんは剣技で対抗するが、ラスティさんが使う技を全て回避したり受け流したりしていて苦戦しているように見えた。しかし、そんな二人の間に割るようにリヴィが入るとラスティアに攻撃した。しかし、それを受け止めたリヴィは笑みを浮かべると、リヴィーを蹴飛ばすとそのまま姿を消したのだ。それを見たリヴィはすぐに消えた方に向かい姿を消すと同時に斬撃を放ち、そしてリディアが魔法を放つのが見える。そうしている間にも俺の方はというと、魔人であるリリィと戦っている最中なのだが、リリィの力が今までとは段違いに高くなっており、なかなかに決着がつかず。リヴィアも参戦してくれると、俺は後ろに下がることにした。そうしないとこの場にいる皆を巻き込んでしまうからである。そして二人がかりでリリィの相手を始めたのだった。

それから俺は一旦。アリシアの元に向かった。アリシアに魔人から戻った時の副作用で体力と魔力を消耗するので、ラティ達の所に回復役がいて欲しいと言われたからだ。それからアリシアに事情を説明してから二人共リティアの回復薬を渡していたのだった。そして二人に俺とラスティはしばらくこの魔人の国に滞在すると告げたのだ。そして俺は魔皇と話し合いをしに魔人の王城に向かうのである。もちろん護衛としてラティアとラヴィーを連れて行くと伝えたら、ラヴィアが同行することになった。

魔皇は、ラティアを見て、リリィが魔人化した姿を見て驚いていたが。魔人の国には魔人化ができる者は何人もおり。その中でも、リリィがリリィに似ている事から親子ではないかと推測したのである。そこでリヴィアもリヴィアと見た目が似ていることからも、リリィの子供かもしれないと言う結論に至った。それを確かめるために、ラヴィアにリヴィアが魔人の国の出身なのかどうか確認したのだった。その結果。リヴィアがラヴィの母親だと判明し、ラヴィアとリヴィアは魔族の国に戻ることになったのだ。しかしそうなると魔王の事について詳しく聞き出す事は難しくなるだろうと予想してたので俺は魔王のことを聞かないとラヴィアに告げるのであった。

それからしばらくして。ようやくアリシア達が戻って来たのである。その時に俺は魔人の王に謁見する許可を取ったのだ。するとリヴィーは俺が会いたいと言った事が不満そうにしていたが、俺の考えに賛同してくれる事を約束したのであった。

俺は今魔人の王城に案内されていた。そこにはリヴィーがいて、「私のお母さんに会いに来たの?」と言ってきたが俺は何も言わずにただ笑顔を返すだけにとどめたのだ。そして玉座の間に案内されて。そこで魔人の王が待っていた。俺は王と挨拶をした後に、リヴィアをここに連れて来た理由を尋ねる。

すると魔皇の使いの者が、ラヴィーが人間に捕まっているから助けて来いと言い出したらしい。リヴィアはその命令に、自分の母親だと思ってなかったのか、少し悲しそうな表情をして「そうですか」と答えただけだった。その事で俺もラヴィアも魔人の王は何かを隠していると感じる。だが今はまだ聞けないので黙っている事にして話を進めたのだった。

俺は魔皇からの手紙を見せて貰うと、そこにはラヴィーが魔王の手先だという情報があった。それで俺とリヴィアの二人で乗り込んだ方が良いのではないかと提案したのだが。魔族側もそれを望んでおらず、魔王と繋がりがありそうで、なおかつ魔人の王と対等に話せるリヴィーを向かわせることにしたのだという。

俺はそれに納得すると、魔人の王の城を出ようとするが。リヴィーに呼び止められた。それは、俺とラヴィアの二人が、魔皇の所に行き。ラヴィーを助け出すことに協力する代わりに、自分達を魔皇の部下にしてほしいと言うことだった。その提案に、俺はラヴィアと相談する事にしたので保留にする。その日はそれだけでお開きになったのである。そして俺は、ラヴィーを救出する準備を始めたのだった。

魔人の国に滞在を始めて一週間。その間に俺は魔人達に頼み込んで。魔人の王の命令でラヴィーを連れ去ったと思われる魔人達の情報を集めた。

すると、どうやらラヴィアの生まれ故郷である、人間領の街がある都市の近くにアジトのような場所があることを突き止めたのである。俺は、その場所を調べるように魔人達に頼むのであった。その話を聞いたリヴィアは自分が魔人族の村に行ってもいいと俺に伝えてきたのである。しかし、俺達はリヴィアが人間だということを知っているので、俺とラスティは反対をする。しかしそれでもリヴィアは、どうしても行きたいと言ってくるので仕方なくリヴィアが俺達の仲間であるという証を作ってから、俺とラスティの二人でリヴィアの護衛につく事になったのだった。それから俺は、リヴィアとリディアを連れて、俺が調べ上げたアジトの場所に向かったのである。

そしてその道中はリヴァイ達に任せていた。そしてリヴァイから報告を聞いた俺は。その場所に向かうと。そこにいた魔人は十名ほどで、俺達に気づき慌てて逃げ出していった。それから俺とリヴィアは逃げた連中を追いかけるが、そこは迷路になっている場所で逃げられてしまい追いつめられなかったのだ。それから魔人達が隠れていそうな部屋を見つけ。そこを調べ始めると、やはり魔人が十人ほどいた。そこで俺達が姿を現したことに逃げようとしたが、俺の【結界】によって逃げることができなかったのである。

そしてリヴィアがその魔人に向かって、リヴィアの母がどこにいるのか聞いたのだが、答えない。俺がもう一度質問をしようとした時。その魔人の一人が口を開いた。「私に人質の価値なんて無いです」と言うと他の者達も同じように答えるので、俺達三人とも顔を見合わせてしまうのである。俺はとりあえずリヴァイにこの魔人を捕まえて尋問させる事にしたのだった。そして俺は魔人の王に、ラヴィーを取り戻すための準備をしているので協力をして欲しい事を伝えると。魔人の王も今回の件については思うところがあったようで、快く受け入れてくれたのである。

ただリヴィーは今回だけは参加させて欲しいと言われ。仕方がないと思ったが許可した。そうこうしているうちにリヴィアとリヴァイが戻ってくる。そして魔人の王は魔人を使ってリヴィーが捕らえられた牢屋を探させることにした。そして、しばらくすると見つかったので、まずリディア達を連れて俺一人で潜入するのであった。そしてリヴィアは一人でリヴィーが捕えられている部屋に向かわしたのである。

俺は、一人で潜入してから牢屋の扉を開けると、そこには両手と両足首が鎖で繋がれているリヴィエがいた。そしてリヴィエはすぐにリヴィに気がつき俺に声をかけようとした瞬間。俺はリヴィの首に手を当ててから、すぐに首元にナイフを突き刺す。そうするとリヴィエの動きは止まりその場で倒れこむので抱き抱えてからすぐに外に出ると、魔人に命じて俺がリヴィエを殺したという証拠を持って来させて。その魔人を俺の従士にすることにしたのである。それから俺の事を心配するリヴィアを安心させた後に魔人王の元に急いだ。魔人王に魔人の王と会うための交渉を頼んで、リヴィエを死んだ事にしてから解放する手続きを頼んだのだ。

魔人王は、それならば、リヴィアがラヴィーの娘だという事は伏せて、俺がリヴィーを解放した事にしようと言ってくれたのである。そうして、リヴィアはラヴィーの居場所を知る為に一時的に仲間になるという形で、魔人と魔人の王の橋渡し役をしてもらうことになる。

それから数日が経ち。ようやくラヴィーを捕らえた魔人の情報を掴んだのだ。それを知ったリヴィアはすぐにラヴィーがいる場所に向った。もちろん、その途中で魔人に襲われそうになってはいたが、リヴィアとリヴィの二人だけで倒していったのだ。

そうして、俺がリヴィーと合流してからラヴィーの捕らわれていた施設に到着すると、すでに施設の周辺には魔人達がいて、リヴィアは魔人に見つかってしまう。俺はリヴィアに離れるように言うと。リヴィアが嫌がり俺と離されまいとするので俺はラヴィを救い出すまで大人しくしてるように命令するのであった。するとリヴィアも、渋々といった様子で納得する。そうして、俺が魔人達に襲いかかると。ラヴィーを人質に取ろうとする魔人も現れて。その魔人を俺とリヴィで倒したのだ。

そして俺がリリィと魔人の王を引き連れて中に突入してリヴィーと合流する。そこでようやくリリィの姿を確認したリヴィアは嬉し泣きをしていて。その姿を見たリリィはリヴィアを抱き締めると。今までの辛かったことを全て忘れて今は幸せなのだと伝えたのである。そうするとリヴィアがラヴィーに「お母様!!」と言ってリヴィアから抱きしめに行く。ラヴィーも最初は驚いた表情をしていたのであるが。娘だと信じてなかったのか、少し複雑な顔をしていたのだ。俺は、それを見かねてリヴィアに本当の家族なのだと告げ、それから、これからどうするかを聞くと。リヴィアが、自分と、魔人である王と共に人間と魔人の国の平和の為に戦わせてほしいと願うのであった。

そうしてリヴィアは俺の仲間となったのだ。そして俺はラヴィーにもラヴィアとラヴィーを魔人の王に引き合わせるために王城に同行する事をお願いするのであった。そうしないとラヴィーが魔族と繋がっている疑いが出てきて。最悪の場合処刑される可能性があったからである。

俺とリヴィとラヴィーがリヴァイの乗る馬に乗って王城へと向かうと、そこでは魔人の王が出迎えてくれて、俺はすぐに謁見の間へと通された。そして魔人の王がラヴィーを見て涙を流してラヴィアの元に来るとラヴィーを力一杯抱きしめた。

それから、お互いが再会できた事に感謝をした後にラヴィーはリヴァィアから俺に視線を移すと「リヴを助けて頂き感謝いたします」と言ってくる。そこで俺は、俺の知っている限りの話を伝えたのであった。

俺は魔人の国にある、とある建物の中で魔人の王の目の前で正座させられているのである。なぜこんな状況になったのかと言うと。それは魔皇からの手紙に書いてあった魔皇が人間と取引しようとしている内容について話したら魔人族から裏切り者が出ると指摘されたからであった。それで俺は仕方なく自分の口から説明する事にしたのだが、なぜか俺だけ別室に呼ばれてしまったのである。それからしばらくするとリヴィアが部屋に入ってきて俺に何が起きたのかを尋ねてきたので俺に起こった事を説明すると、リヴィアも一緒に俺と同じ目にあって欲しいと言われたと伝えてくる。それで俺はリヴィアを連れて王城に向かうのである。

そしてリヴィーやラヴィアと再会した事を伝え、魔人の王にリヴィーの引き渡しを行うと、俺と一緒にリヴィーの両親や魔族の王に会いに行くことになったのだ。

俺はそれからラヴィス達の後をついて行くとそこは大きなお屋敷で、そのお屋敷の中には多くのメイド達が働いていた。俺達が入って行くと。皆一斉に頭を下げて迎えてくれたのである。俺はそれに恐縮してしまい、頭をさげると。メイド達も慌てたように、頭を下げるのだった。

俺は案内をしてくれているというリリィさんに連れられるまま付いていくと。そこにはリヴィアに似た雰囲気の女性が待っていた。俺がその女性に挨拶をするとその女性は、いきなり抱きついてきたのである。それに俺が驚いて固まっているとリヴィアが、その女性の頭に拳を振り下ろして。女性が痛そうな顔でリヴィアを見る。俺はリヴィアが殴って止めたことに驚くが。よく見ればリヴィーの母親が殴られたのではないようであった。リヴィーの母親に何か理由があるらしく。その事に気が付き俺は何も言えなくなる。そしてリヴィアが俺に事情を説明してくれた。そして俺は、俺の仲間達やリヴィアやリヴィーの母親であるラヴィー達を会わせる事にしたのだった。

俺がラヴィー達を連れて行くと魔人の王はリヴィーの両親の事を知っているようで。リヴィアやリヴィーを一目見ると驚きながらも喜んで受け入れてくれたのである。

俺はそれからリヴィアの両親達と、リヴィーと、リヴィーの母であるラヴィー。それと魔人の王の5人と話し合いをすることになった。しかし、この話し合いには俺は関係がないので席を外すことになる。そうしてリヴィエは俺に「申し訳ございません。私の不始末でこのようになってしまいまして」と何度も謝ってきた。俺は別に気にしてないと言ってもなかなかリヴィエが引き下がらないので、それならばリヴィーのために力を貸してほしいと言うと。リヴィエは嬉しそうな顔をしてから、「私に任せてください!!」と言ってくれたのだった。

俺は、それから、リヴィアの部屋に連れて行かれ、そこで着替えをしてこいと言われるので。言われた通りにした。そして、リヴィアの用意してくれた服を見ていたら。リヴィアは、俺の事をじっと見ていて、似合っているかどうかを確認していたので俺がリヴィアに見惚れていた事を気付かれてしまうと。リヴィアは俺の手を取りそのままベッドに押し倒してくるので、仕方がないと思いながら俺はされるがままにされていたのである。そうして、しばらくすると俺とリヴィアがイチャイチャとしていると、そこにラヴィーが乱入してきたのだ!! リヴィとラヴィーが二人で俺をからかってくるものだから、俺は二人を止めて欲しかったのだが。ラヴィは俺を見つめているだけで何もしようとはしない。なので俺が助けを求めるようにラヴィーの方を見ると、そこには、いつの間にか着替えていた魔人の姿があって。俺は驚いたのだ。だが、その姿はあまりにも可愛すぎて俺は目が離せなくなっていたのだ。そんな俺に魔人は恥ずかしいのかぎこちない笑みを浮かべていた。そして魔人の方を見ながらラヴィーは、とても優しい微笑みをしていて。魔人もラヴィーを信頼しているのが分かった。

俺達はそれから食堂で夕食を頂いてからリヴィアの部屋に戻るとリヴィアとラヴィーの両親が待っていてくれていた。俺達が入っていくと、ラヴィーが突然リヴィアとリヴィーと俺に向かって土下座をしたのである。俺が何があったのか尋ねるとリヴィーが説明をしてくれるので、俺は黙ったままだった。そしてリヴィアのお父さんとラヴィーにラヴィーの事を頼み。その事を了承して貰えた。それからラヴィーから、どうして魔人の国に来ないか聞かれたが、今は人間と魔人が共に手を取り合って暮らす為に尽力しなければいけない。それなのに人間の王が魔人の国の人間に手を出してしまえば元も子もない事だと説得して、なんとか分かって貰ったのであった。

その後、リヴィーとリヴィアと一緒に俺の部屋に戻ってきた。俺は部屋に戻りラヴィーに魔人国に来た本当の理由を聞こうと思っていたのだが。俺が聞く前にリヴィとラヴィーはお互いの顔を真剣な眼差しで見合い。二人が見詰め合っていた。

「ラヴィー姉さま。ラヴィーお母様」とリヴィアが言いながら二人の側に駆け寄って行き。それから、二人は涙を流して再会を喜び抱きしめあう。俺はそれを邪魔しないようにそっと部屋の扉を閉めて出ていくのであった。リヴィが泣き止むのを待って、ラヴィーに魔族の王からの話をリヴィと一緒に伝える。するとラヴィーもリヴィも泣いていて俺の話を聞く余裕はなかった。俺は困った表情でため息を吐きつつ。これから魔人の王の元に行こうと思っていると言うと。二人は涙を流して俺にしがみつき、絶対に止めようとする。

そこで俺は。俺にもしもの事が起きた時に助けてくれる者がいると嬉しいとお願いすると、渋々ではあるが。魔族の王がリヴィー達に話を通してくれるという約束をしてくれて、それでリヴィアとリヴィーはようやく泣き止ませることが出来たのだ。

そうして俺は魔族の王の元に向かった。すると、そこには、先程の魔人の王が待っていた。俺はすぐに挨拶を行い魔皇の手紙を渡す。魔人の王も手紙を受け取ると。中身を読んで俺と同じように驚いていた。そうして魔人の王と俺とで魔人の王の城に案内されて。そして魔人の王の自室へと入ると。魔人の王はすぐに手紙に書かれている内容を確認させて欲しいと頼んでくる。それで魔人の王には俺が書いた内容が全て嘘偽りではないことを確認する。そうしてから魔人王に魔結晶を見せてもらえるかを頼む。そうして魔結晶を取り出してもらい俺は触らせてもらったのだ。

その瞬間から。俺は膨大な量の情報が頭の中に流れ込んできたのだ。それは情報だけではなく映像までが頭の中で再生された。そのせいなのか俺は激しい頭痛が襲ってきた。そして頭が破裂するんじゃないかと思うぐらいの激しい痛みに俺はその場で頭を抱え込んでしまったのである。そして、しばらく経って俺が落ち着いた頃に、目の前にいるはずの魔人がいない事に気付いた。そこでリヴィアやリヴィアの父親であるラヴィーが部屋に入ってくる。俺は慌てて立ち上がると魔人がどうなったのかを聞いた。すると二人は悲しげな顔をしたので嫌な予感しか感じられなかった。

それから俺達は魔王城の一室で休ませてもらうことにした。その途中で、リヴィアが俺が気を失っている間の事を色々と話してくれている間。俺はラヴィーとリヴィーの父に、リヴァイが死んだ事を伝えると。その事実に二人は悲しみで打ちひしがれていたのである。

それから、しばらく経つとリヴィアから魔人族に伝わる儀式でリヴァイの魂は魔水晶に封印されていて、魔水晶に近ければ近いほど。その力は強くなり、その魔水晶は魔族に受け継がれていき、そして、最後にラヴィーへと受け継がれたと伝えられた。そして魔水晶が割れたのは俺が魔人に認められた証で。ラヴィーとラヴィーの妹だけが受け継いでいた力が俺に移った事になる。だからラヴィーとリヴィーには力が流れ込んだらしい。俺がラヴィーとリヴィーにその事は本当なのかと尋ねると。その通りだと言われて俺が驚いてリヴィーの顔を見てしまうと。リヴィアとリヴィーの父は苦笑いをしていた。それから、魔族の王の城でゆっくりしていた俺だったが、リヴが俺にお腹すかないですか? と聞いてきて。それにリヴィアが賛同してくると、ラヴィーと、リヴィアとリヴィーの父親が、何か食べに行くのかと勘違いしたようで。リヴィアは三人の誤解を解く為に必死になって違うことを言っていた。そうして結局四人でご飯を食べる事になったのであった。俺はそんな様子を楽しく思いながらも食事を終えたのであった。それからリヴィアのお母さんと弟が待っている屋敷に戻ると。リヴィアの両親は二人と楽しそうに談笑していて、その会話は、ほとんど食べ物の事だったのだ。そしてリヴィアの弟と、ラヴィとラヴィーが何故か一緒になって話し合っていたりもしていて。俺が不思議そうにしていると、その事を教えてくれた。

そして俺は部屋に戻る途中。偶然にもセフィと鉢合わせしてしまう。俺を見つけるなりセフィはそのまま勢いよく抱きついてきて「ユウキ~! 心配してたんやよ!!」と言いながら涙目になっていた。それからセフィロに今まであった事を全部説明をする事にしたのである。そしてラヴィー達のところに連れてきた。しかし俺達の姿をラヴィー達とセフィーが見つけると嬉しそうな顔をしたのだが。俺がセフィの事で怒っているので俺は、そのまま無視する事にしたのだ。

それから俺達は部屋に戻ってリヴィアと、その父親のリヴィーさんとお風呂に入った後に食事をすることになったのである。リヴィーはラヴィーより年上だが見た目が若々しくとても可愛らしかったので俺は少し緊張しながら、でも嬉しくもあった。そして食事を済ませた後は俺はラヴィーに自分の事を色々と話すのだった。俺とリヴィアのお父さんの出会いから、この魔結晶の力を使って世界中を飛び回る事。そうして魔人族と交流を持つために行動していること。それから俺はラヴィーに魔人の王に話してくれた事を同じようにお願いしたのだ。そしてラヴィーはそれを快く引き受けてくれてから魔人の王に会うと言って部屋から出て行った。それを見送った俺はリヴィにこれから魔族の王に会いに行くのだが。リヴィアは俺と一緒に来るのかを聞いてみると。当然だと言わんばかりに俺についてくると言われたので、ラヴィーの事も心配なので俺はリヴィアと二人でラヴィーの後を追いかけて。ラヴィーの部屋に訪れるとラヴィーは、もうすぐ魔人王の所に行けると笑顔で教えてくれる。俺はそんなラヴィーを見つめて、それから魔人の王の元へとラヴィーと向かうのであった。

俺とラヴィーが魔人王と話をするためにラヴィーの実家がある王都に向かうと。王城は慌ただしい状況に陥っていたのだ。それは、俺とラヴィーがラヴィーの家族とラヴィアを連れて王城を脱出しようとしていると。突然ラヴィが、魔人と、そしてラヴィアが俺達を呼び止めたのだ。俺とラヴィが魔人の言葉に従ってラヴィアを見ると、魔人がラヴィアからラティの事を頼まれたので、俺は、魔人を信用することにしたのだ。その後でラヴィーは俺に付いて来れるように魔法をラヴィアにかけて貰っていたのである。そうして俺とラヴィとリヴィアはラヴィアの両親の元へ向かい、そこでラヴィアは両親に、魔人から預かった魔石をラヴィアに手渡す。その魔石を受け取ったラヴィアは俺の方を見るので。俺はラヴィアに向かって小さく首を横に振って。それからラヴィアをそっと抱きしめた。そうして俺達はラヴィアの両親が用意をしてくれた馬に乗り。ラヴィアが手綱を握って走り出した。俺達はリヴァイが眠る墓の前で手を合わせてラヴィはラヴィーにラヴィーに魔族に伝わる秘術を使う許可を出した。

そして、俺はリヴィアとラヴィの後ろ姿を見送るのであった。

俺はラヴィーの背中に乗って王城を目指していたのだが。俺の視界に入る景色が段々と変わり始めたのだ。最初は森の中にいて木々が生えていない場所に出ると草原が広がり、更に進んで行くと大きな岩山が聳え立っていた。その光景に驚いた俺がラヴィーに話しかけようとすると、俺は急にラヴィーが立ち止まったので振り落とされそうになる。俺は何とかラヴィーの服を掴みながら耐えていると。ラヴィーから降りるように言われたのである。俺は、その言葉に従うと。そこは魔人の国で一番大きいと言われている都市があったのだ。

俺はラヴィーに連れられて都市の入り口を潜った瞬間。俺に驚きと戸惑いが生まれた。なぜなら俺は、その都市の様子を見て魔人は全員獣人の格好をしているものだと思っていたのだ。なのに今俺の前には魔人しかいないはずなのだが、なぜか俺の目に入ってくる者達の服装は、人間と同じ服を着ていて、まるで人間のような魔人の姿が見えて俺は目を疑ったのだ。そうして俺達が都市の一番栄えている街の中心に到着すると、そこには、魔人達が沢山いる店があり、そこで、多くの客が買い物をしているのだ。その店の店主が魔人だったり、店員は皆魔人であった。その魔人達は普通に人間の店で買い物をし、食事をとっているのだ。その異様な雰囲気に俺とラヴィーは唖然としていた。それからしばらく経ってからラヴィーは俺の手を引き店を後にする。そうしてラヴィーに連れて行ってもらえた場所は一軒家が多く立ち並んでいる地域に来たのである。

ラヴィーと俺は一軒家にたどり着く。家の前にはラヴィの母親の弟であるライシスさんとその妻のラティアさんが立って待っていたのだ。そうして俺達に気づくと。ラヴィーの母の弟であるライシスさんは笑顔を浮かべていたのだ。それから俺達は家の中に入るとすぐに俺とラヴィーに飲み物を出してくれたのだ。そうして出された物は俺には馴染みのない飲みな物だったのだが飲んでみたのだ。すると俺の口の中に広がる味わい深い香りと喉を通り抜ける感触に、思わず美味しいと叫んでしまったのである。そうするとリヴィーが嬉しそうに微笑んでくれて。その笑顔を見た俺まで嬉しくなっていたのだ。

そうして俺がお茶を飲んでいる時に、魔人の女性とラヴィーの妹であるリディアが入って来てから俺は、ラヴィの妹と挨拶をした。そして俺がリヴィと呼んでいると、ラヴィの妹は何故か嬉しそうにしてラヴィに抱きついてきたのである。俺はその様子を見てから、ラヴィにどうして妹が、こんな風に懐いているのかを聞くと、リヴィは昔から寂しがりやな性格で、一人で部屋に籠っていた時もあり。そんな時はラヴィの部屋で寝たりもしていたそうだ。だからなのか、俺が姉の名前を愛称呼びしたのが気に入らなかったらしい。そんなリヴィアを見ていると本当に姉妹なのかと思うぐらい似ている部分もあるけれど。どちらかと言えば母親似だと思った。それからラヴィスに妹のリディを紹介された。そして、そんな話をしている最中でもリヴィアと、ラヴィーの姉妹も、お茶を飲み始めていた。それから俺達は魔人の国の事について話し合ったのである。

そして話し合っていて、分かった事は、どうやらこの世界では種族間で差別はないみたいだった。それと魔族の国は、魔人族の国では無くて、元々は別の種族だった魔人の国に後から、魔族の国が侵略する形で併合されたのだと言う事を。それを聞いた俺は、やっぱりか、という気持ちになっていた。それからラヴィーはリヴィエを抱きしめてから。リヴィに自分の部屋に行くように促していたのである。

そしてラヴィーとリヴィが席を外してから俺とラヴィーは二人でラヴィの父親と母親の前に来ていた。ラヴィがいなくなったのでラヴィの弟であるリヴィーの事が聞けるかもしれないと思って、俺はリヴィの父親と話す事にしたのである。俺はラヴィーの父親でありリヴィーの父親に自己紹介をした後に、リヴィアも一緒に連れてきていいのか聞くと。リヴィーは「構わないよ」と言ってくれたので、俺は遠慮なく連れてきた。それから俺とリヴィーが二人きりで話し始めた。その話の内容とは、この世界に来て間もない俺の為に、俺の世界にあった料理を作って食べさせてあげたいというものだった。俺は、その言葉を聞いていたのだが。俺は正直なところ、あまり期待していないのだ。何しろ今までリヴィーの作ってくれた物を食べても味を感じたことがほとんどなかったからだ。それでも俺はリヴィーに無理を承知で、お願いをすると。リヴィーは少しだけ考えるような仕草を見せてから。ラヴィーを呼び出したのである。

リヴィーは俺とラヴィに。これから作る食べ物はラヴィの作った物ではなくて、自分が考えたレシピで作ったものなんだと説明してから、ラヴィーと一緒に厨房に向かって歩いて行った。そして俺はその光景を目に収めてから、リヴィーの父親が俺の方に近づいてきて。俺に向かって。「君があの子達の命を救ってくれたのか。ありがとう。この通りだ。私からもお礼を言わせてくれ」とリヴィーの父親は俺に対して深々と頭を下げていたのである。俺はリヴィーの父親の行動に困惑していたが。俺は慌ててリヴィーの父親の頭を起こそうとした。それからしばらくして、リヴィーの父親の作ったご飯が目の前に並べられると。俺は、それを初めて口にしたのだが。俺は涙を流してしまっていた。何故なら俺が知っている日本の料理が出てきていたのだ。それも懐かしい味噌汁と白米が出てきたのである。俺は涙ぐみながらそのご飯を口に入れていった。その姿を見てラヴィとラヴィが嬉しそうな表情をしていた。それからリヴィーの両親は俺におかわりするかどうかを聞かれたので俺は。もちろんおかわりをすると答えていたのである。

リヴィが持ってきた食事を食べ終わると、リヴィの両親からは改めて感謝の言葉を伝えられて。俺は気にしないでくださいと言った後で、俺はラヴィの家族が暮らしている屋敷に向かう事になった。その道中でラヴィに、どうしてラティの母親は魔族が人間と共存できる道を選んだのかと質問をしたら。ラヴィアが人間との友好の橋渡しとして選ばれたんだと言っていたのであった。俺はその言葉に驚きを隠せなかった。だって魔族は人間よりも優れた能力を持つ者達の集まりだと言われているのだ。それなのに、その頂点に立つ魔王の娘が人間との交流を持つためだけに、他の魔族達の反対を押し切ってまで人間と魔族の架け橋になろうとした事が信じられなかっのである。だけど俺の考えとは違って。それは違うって、すぐにラヴィーに言われたのだ。俺達が、そう思っているだけで本当は違ったのではないかとラヴィから言われたのだ。そう言われた俺はまだ疑問を感じていたが。今は考えないようにする事にしたのだった。

それから俺達は、その大きな一軒家に到着すると、そこに一人の男性が立っている事に気がついた。その男性はラヴィーとラヴィアを見るなり嬉しそうに微笑んでいたのだ。その男性にラヴィーが近寄った瞬間に俺は驚いて声が出そうになってしまった。なぜならその男は俺が初めて見る種族の格好をしてたのだ。その容姿は金髪の長髪に青い瞳。背が高く。整った顔をしていて優しげな雰囲気を出しているのだ。そうして俺とラヴィがその男性の傍に行くと、その男が俺に近づいて来て、笑顔で手を差し出してきたのである。俺が戸惑っていると。その男が俺の名前を知っていたのである。俺が驚くと、その男の手を掴めと言われたのだ。そうして俺が戸惑いながらその男の手を握ると。いきなり抱き寄せられたのだ。そして俺の頭の中は混乱してしまって。俺はどうしてこんな事になっているのか分からなくて、助けを求めようとラヴィーを見ると。ラヴィーも同じような感じになっていて俺は困っていたのだ。すると、ラヴィが俺にその男が誰なのか教えてくれたのである。そう、その男は俺に求婚を申し出ている人物だと言うのだ。そうしてその男が言うには俺は魔人と人間の両方の血が混ざった存在だから、そのどちら側でも生きる事が出来る者だというのだ。そして魔人は魔族の頂点である魔王に従う立場にあるのだ。なので俺がどちらかに付く必要はないと言っているらしいのだが。そもそもそんな話は聞いたことがないので意味がないと思っていると。その話を聞いてからラヴィンとリヴァは納得いかないような顔で男を見つめていたが。結局ラヴィーとリヴィはその男の要望を聞き入れる事にしたようだった。それから、なぜかその男はずっとラヴィを抱きしめていて離そうとしなかったのである。ラヴィアとラヴィーは苦笑いしながら見守り続けていた。

そしてラヴィは、ラヴィアを抱きしめていた魔人にラヴィアが離れるように言うと。ラヴィアは嫌々をしている子供のようになってラヴィにしがみついていたので、俺は、そんなラヴィーの態度に、ラヴィーのお母さんみたいだと心の中で呟いていた。

それから俺達は応接室に移動していた。その部屋は綺麗な装飾が施されていて、高級感漂うような場所だったのだ。その部屋に入って行くとラヴィーは疲れたような顔をしながらラヴィの隣に座ると、ラヴィーとラヴィの母であるリディアは向かい側のソファーに座り込んだのである。そうしてラヴィアのお父さんとお母さんは隣同士に座っていて、リヴィーとラヴィの母親であるラティアとラヴィとラヴィの姉であるラティアの二人は俺達に飲み物を持ってきてくれると。ラヴィーは、ラヴィーのお父さんと、ラヴィアのお母さんを呼んでくると言って席を外したのである。それから俺はリヴィーと二人で話し始めた。ラヴィーもラヴィが戻ってくるまでの間ならと許してくれたので、リヴィーがどんな暮らしをしていたのかを聞くことにしたのである。そしてリヴィーの話を聞く限り。この国では身分の違いはないと思っていた。だけどリヴィエだけは特別なようで。ラヴィーもラヴィアと姉妹になる前は、同じ家で暮らしていたようだ。それから、この魔人の国は俺の世界でいう所の西洋風な文化が発達していると俺は思った。そして俺はラヴィアの父親や、ラヴィアやラヴィーの両親を見てから思っていた事を口に出していた。その言葉をリヴィアに伝えてみるとリヴィアも不思議そうな顔をしていたので、俺の考えている事は間違っていないと思う。そんな話をリヴィにしていると、ラヴィーが戻ってきたのである。そして俺がリヴィエと二人っきりになった時も、彼女は俺のことを名前では呼ばず「様」と呼んでいたのだ。

そして俺とリヴァイの会話が終わるとリヴィとラヴィーの姉妹は、この世界の事や俺達の世界について色々と話を聞かせて欲しいと言われて、俺は、その要望に応えるために、今までの異世界生活で経験した事をリヴィーとラヴィーに伝えた。その説明を終えるとリヴィアがリヴィに対して「ラヴィアはリヴィのお姉ちゃんなんだから、ラヴィアの真似はしないで」と言い出すと。「私は、お姉さんなんかじゃないもん」と言って拗ねてしまったのだ。俺はラヴィアに謝る様に促すのだが。なかなか、ラヴィが俺に謝罪しようとしなかったので。ラヴィーとリヴィアとラヴィの三人が言い争いを始めたのである。その様子に俺は困り果ててしまいリヴィに何とかして欲しいという視線を送った。するとリヴィが俺の視線に気づき。俺のことを見るなり。ラヴィーを指差して、ラヴィーが悪かったんだから謝れと言っていたのだ。その言葉で、俺は、リヴィがなぜラヴィを責めていたのかという理由が理解できたのである。確かにリヴィの言うとおりで、今回の件で、一番悪いのはラヴィだと思う。俺はラヴィーにラヴィに謝るように声をかけると。俺の言葉が聞こえたラヴィは、ラヴィの目の前まで行って頭を下げたのである。そして俺の方を振り向くとラヴィは「ごめんなさい。ラヴィーは私の為にしてくれてるんだって、わかっていたけど。我慢できなくて、それで、私」そう言って泣き出したのだ。それを見た俺は優しくラヴィを抱擁すると言ったのだ。「俺の大切な人を助けてくれてありがとう」と、すると、それを聞いたラヴィーとラヴィとラヴィアが驚いた表情をしていたのである。そうしてしばらく経ってから俺達はリヴィアが待っている応接室に戻ってきた。俺が戻ったのを確認したラヴィーが俺に向かって何か言いたい事があると言うのである。そう言われても俺には全く心当たりがなく。俺は、なんの事だろうと思いながらもリヴィアの元に行く。すると突然に俺に向かってキスをされたのである。俺が驚いていると。ラヴィーがリヴィに文句を言い出して、今度は俺が慌ててしまうのだった。そして、そんなラヴィーに向かってラヴィは言ったのだ。

ラヴィーとラヴィーの両親にはこれからの生活に必要な物資を買い出しに行かなければ行けないと言っていたのだ。それにしても俺とラヴィに荷物運びをさせるというのは酷いのではないかと思ったが、俺は黙っていることにしたのである。そうして俺達は屋敷を出ると、買い出しに向かうことになった。その道中でも俺は魔人と人間の関係についてラヴィーに質問をする。魔人は魔族の中で力が強くて魔人以外の者達を従えている存在である事。そして人間の中にも、優れた能力を持つ者や権力を持っている者がいる為、人間と魔族の関係は友好的なものになっているのだと教えられる。そして魔族の方から見れば人間の国にも優秀な能力を持った者もいると教えてくれる。そうして俺は気になっていたことを聞く。そういえばリヴィアの母親が、魔人の血を引いていてもラヴィアは魔人ではないと言っていたのだが、あれは何を意味する言葉だったのだろうかと。俺がその話を切りだすと。ラヴィアは真剣な顔になって答えてくれたのである。それは【純魔の血】というものらしいのだ。それは、ラヴィアとラヴィが母親から受け継いだ特殊な血液らしいのだ。そう言えばラヴィの母親であるリディアが言っていたが。魔王である父親からは、魔人と人間の両方の特性を受け継ぐ者が生まれてくると言われているのであるらしいのだ。だからラヴィは特別な子だと言われているらしい。その話を聞いて俺の頭に?マークが浮かんだが。それ以上考えることをやめたのであった。

それから俺とリヴィアは魔人達が暮らす町に向かったのである。そこはリヴァイが言っていた通りに、大きな家や店などがあってとても活気があった。それからラヴィが俺に、俺がラヴィの両親と暮らしていた家があるから見に行ってみないかと言われたのである。俺は迷ったが。特にする事がなかったので見に行ったのだった。俺がラヴィに連れられてきた家は普通の家と変わらない建物だった。だけど、中に入ると、そこにはリヴァイとラヴィアとラヴィーがいたのだ。俺がラヴィに何しに来たのか聞くと。買い物をしに行くので付き合ってほしいと言われる。

俺は仕方なくその申し出を受け入れると。ラヴィにラヴィアは魔族側の住人だと言っておいたので、ラヴィアが魔王だと言う事は言わないで欲しいとお願いしたのだ。

俺はラヴィアと一緒に街に出る前に買う物をリストアップしてから出掛けたのである。ちなみに、リヴィアにはラヴィアに頼まれていた、お風呂の水を汲んで来てもらった。そして俺はリヴィアに頼んでおいてほしいものを、書き記すとそれを託した。そして俺とラヴィは、魔道具屋さんに行き必要な品を買うことにしたのだった。

それから俺はリヴァを召喚すると【アイテムボックス】にリヴァを入れていく。リヴァもラヴィアに手伝ってくれていたのだ。それからリヴとラヴィーは、ラヴィアとリヴィアの両親の元に帰っていたのである。そしてラヴィは魔族の街にある店で服を購入したいと言うので。ラヴィが選んでいる間に俺が、この世界の事を調べていた。俺が調べている間もラヴィは、楽しそうに洋服を選んでいた。

それから俺はラヴィアとラヴィーのお母さんに、この世界の歴史を教えてもらうことにする。ラヴィアとラヴィは買い物を終えてから合流することになっていたのだ。ラヴィア達が帰って来たので俺とラヴィア達は魔人の国の町に出かける事になった。それから俺達はラヴィの家で休ませてもらい、ラヴィの家族に礼を言うと外に出て買い物に向かったのである。俺がラヴィ達と町を歩いている時、俺はこの国に奴隷制度はあるのか聞いてみたのだ。ラヴィは俺の質問に少し困った顔をして奴隷商人がいると答えたのである。

俺はこの国が平和で良かったと思い。奴隷が売っているのなら奴隷商がいて当然だと思い納得したのだ。そして、俺がこの町で買っておくべきものは、武器と食料であると考え、ラヴィアやラヴィーの意見を聞きながら、購入していったのである。そして俺は、最後に奴隷商に行く事を提案すると。二人は、ラヴィとラヴィアの両親が住んでいる所の近くにあって便利だし行く事にすると言っていたのである。

それから俺達は、奴隷商で商品を見せてもらい、値段交渉をして購入する。ラヴィア達は女性だけで買い物に来ていたので、値引きしてもらう事ができてラッキーなようだったが。

それからラヴィー達に奴隷の相場について詳しく教えて欲しいと言われてしまったが、俺はリヴァイ達三人と旅をした時に、ラヴィーが俺達の世界の話をしてくれていたように、ラヴィもリヴァイ達との旅の話をしているうちに仲良くなっていた。俺はリヴィの事をリヴィと呼び捨てにしているが、その話を聞いていたリヴィもリヴィと呼んで欲しいと言い出すと、俺は断れきれずに承諾したのだ。その流れで、俺達はラヴィーとも打ち解ける事ができていたので、ラヴィの希望に応えてあげたのである。そしてラヴィアやラヴィーと買い物を終えようとすると。魔人の中でも力が強い魔族の一人が現れたのである。

そういえば忘れていたが。あの時の剣を返さないとダメかと思い。どうしたら良いかと考えると、とりあえず返すだけ渡して、俺が持っていてはいけないようなら、その時に考えようと俺は思う。そう思っているとラヴィが。魔人に何か用事があるらしく。ラヴィは、その男の魔人に向かって「ラヴィちゃん」と呼ぶ。すると魔人がラヴィに気づいたみたいで。

「おお、お前は俺の娘じゃないか。それにラヴィ。お前はまだ生きているんだな。それで俺の娘は、どこにいるんだ」その魔人の男はそう言うと俺に詰め寄ってきた。その勢いに負けて。俺の腰にしがみついているラヴィを引き離すと、その男に渡し「娘を返します」と言うと、男が何かを言っているが俺は無視してラヴィの耳に手を当てる。

ラヴィは、いきなり俺から渡されたことに驚きながらも、「お父さん」と言う。それを聞いた俺は、やっぱりこの男がラヴィの父親なのかと思ったが。そんなことは、今は関係ない。俺はラヴィから離れてリヴィーの元に戻ると、俺に魔石に魔力を込めるように頼む。俺はその頼みを聞くためラヴィの元に向かうと。「あぁーリヴィ様だ」と声を上げた。その魔人の周りにいた者達が、一斉にラヴィを崇めるのを見て俺は慌てて止めに入る。そうすると一人の魔人が、俺に対して攻撃してきたのである。

「お前のような人間がなぜリヴィア様を呼び捨てにしている」そう言ったかと思うと。

「リヴァイ様」と俺の名前を呼んだのだ。

それを聞いたリヴィーとラヴィーは、慌てて俺の後ろに隠す。

そういえば、まだ俺は自己紹介してなかったなと思っていると。リヴィアとラヴィーは俺の事を説明し始めたのだ。俺がリヴィだと説明すると。俺に向かって、頭を下げたのだ。俺はそれを断る。そうしないと収拾がつかなくなる気がしていたからだ。

そしてラヴィーからラヴィはリヴィが助け出したと聞かされて俺の所に戻ってくるとラヴィーからラヴィの父を紹介してもらったのだ。俺はその魔人の男から名刺サイズの魔道通信機で連絡先をもらいその場を離れたのであった。その魔人の名は、リゲルという名前だった。

俺は今魔人国で一番賑わっている町の魔族の街にある宿屋で休んでいるのだ。

ラヴィーがラヴィアと一緒に買い出しに行ったあと。

俺はラヴィアとラヴィーから。リヴィアはラヴィアの父親と二人っきりになると緊張するので一緒にいて欲しいと言われる。そう言われて、仕方なく。リヴィとラヴィの三人で魔道具屋に行き買い物をする。その途中で俺が二人と別れると。俺は二人と離れるためにラヴィアに話しかけた。俺がラヴィアにこれからどうするつもりか聞くと。リヴィアはリヴァイと一緒に行動するだろうから、自分もそうしようかなと考えていると答えてきたのである。

そして俺はリヴィに、ラヴィーがリヴィアの友達だから。ラヴィーと行動しているのだから、俺のことも呼び捨てにしていいと言うと。

俺がリヴィアと呼べと言う前に、リヴィアが私のことをリヴィアと呼びたいなら。リヴィと名前で呼んでも良いよと言う。それからリヴィアがラヴィアのところに行き話し掛けていると。俺が、リヴィアが、俺に気があるみたいなことを言っていた。俺が冗談だろと言うと。私は本気だよと言われたのである。俺はどうしたものかと考えていたのだが。ラヴィアの買い物が終ったらしくラヴィと共に合流したのだ。

それから俺とラヴィアとラヴィーの三人は、ラヴィアがリヴィの父親の元に行くと言うことで別れたのであった。

俺とリヴィアとラヴィーは買い物を終えると、ラヴィのお父さんに会いに行くことになる。俺はリヴィアから頼まれていたリヴァイに、リヴィアのことを頼んだのである。

そうして、リヴィアの父親は、リヴァイから説明を受け俺に礼を言う。俺はラヴィの事を頼まれたことを話すとリヴィアの父親が、ラヴィアが生きていたことが嬉しいのはわかるけど、ラヴィアには魔道具屋の仕事を続けてもらいたかったと寂しそうな顔をする。それから俺はリヴィアに魔道具の作り方を教えるために家に行きたいという。するとリヴィアの父親が、自分の家に来てくれないかと言うと。俺は少し躊躇したがリヴィアとラヴィーも来てほしいというリヴィアの言葉に、リヴィアの父親と魔族の街を案内してもらう事になったのだ。

俺とリヴィアが魔道具作りのためにリヴィアの家に行こうとしている途中、リヴィアの父親がラヴィーも俺達のところに泊まって行けば良いと言い出して。結局ラヴィーはリヴィアの両親とラヴィーの四人で、この国の王城で暮らしながら、魔族の国を観光することに決まる。それから俺は魔族の街を見学しながら歩いていた。リヴィアは父親の後ろを歩き。俺はその二人の少し前を歩いている。そして俺達が、リヴィアの住んでいる家に向かう途中。ラヴィアが、俺にお礼を言って来た。

俺は別に大した事はしていないので。気にしないで良いと返事をしたのだ。それから俺はリヴィアの住んでいた家をラヴィアと二人で見て回り。俺達は魔獣の森の中にある。ラヴィの家の近くまで移動したのである。そしてラヴィアが「お父様に挨拶してから帰る」と言うと、ラヴィスは俺達と一緒にラヴィ達家族が住む家に入ったのだ。俺達が入ると、そこにはラヴィーの母親が待っていて、私達の家で、ゆっくりして欲しいと言い出された。

俺はリヴィとラヴィアを見ると、二人もラヴィー達家族の事を知っていたようで、この家で、しばらく過ごす事になったのだ。そして、この家の主である。この魔人族の男性の名は、ゼブルと言う名で魔人の中でも有数の実力者なのだそうだ。そして俺が魔人の国から出ることを伝えようとすると。リヴィーからその前に俺が話したいことがあるので先に俺が話すと言ってきたのである。俺が魔人の国が平和なのは俺の力のおかげなので、この国に何かあっては俺がここにいた事が無駄になってしまう。それに俺のせいで争いが起こる可能性もあるので迷惑をかけてしまうから。もう二度とこの国には戻ってこないし魔人も襲わないと約束すると。リヴァイとラヴィの父親に言うのであった。

それを聞いたリヴァイの父は、「それなら、ラヴィを連れて帰っても大丈夫ですか?」と言われて俺は困ってしまったのだ。リヴィアに相談するべく俺は後ろにいるリヴィアを見る。リヴィアも俺の視線の意味を理解して、その問いに対する答えを出す為に俺が考えた作戦を話したのだ。そうしてリヴィアに言われた事をゼブリードに伝えようとすると、ゼブリートが俺の話の途中で「お前は誰なんだ」と言うが。「それは後でわかります。私があなたの娘を助けましたので。私はラティスです。それとリヴィもあなたの元に行ってもいいでしょうか?この子はまだ人間と共存する世界を望んでいます。私はそれを手伝いたいと思っています」とリヴィが言ったのだ。

そうすると、ラヴィの母親に抱かれている。ラヴィーの弟が泣き始めて「ラィティアー」と叫んでいたのである。するとラヴィアが弟を抱き上げて落ち着かせるために背中を優しく撫でていた。それを見たゼブレートは自分の娘のラヴィーが、リヴァイと一緒だとわかったみたいだ。そしてラヴィーに俺の話を聞いていたラヴィは、リヴァイと別れてリヴァイと旅を続けるか。このまま魔人と人間のハーフとして生きていくのか選択をリヴァイに委ねたのだ。そしてラヴィーは、リヴァイが自分を選んでくれたら魔族の国で生きることを決めてくれた。そうしてリヴィが俺の方にやってくると、俺は魔人に魔族と人間の混血だと知られた時の対処法を考えるようにとラヴィに伝えると、俺が魔人からリヴィアを守るから、問題無いと俺を安心させようとしてきたのだ。俺は魔人ならリヴィがラヴィーと同じ存在だということに気が付くかもしれないとリヴィに説明すると。

それを聞いたラヴィアが、ラヴィがラヴィーの妹になるってことでいいのかなと言う。俺がどうなるのかと思っていると。ラヴィは自分が魔族の国で魔人族の人達の手助けをする事で魔人の国でも受け入れられるようになれば妹でいいと言うのだった。俺はラヴィアがそう考えているのであればそれで良いのかなと思っていると。

リヴィがラヴィが妹になれば自分は姉のつもりだからリヴィは自分をお姉ちゃんと呼んでほしいと言う。俺はそう呼ばれているのを聞くとなんか照れくさいなと思ったのだ。それからリヴィが俺の方を向いてラヴィが俺の妻だと紹介する。俺が慌てているとその様子が面白かったのだろう。ゼブルさんもリヴィアも笑い出したのである。そしてリヴィアが、自分の父親が笑っている姿をはじめて見たと言ったのだ。その言葉を聞いて俺とラヴィは驚いてしまった。

その後リヴィアはリヴィアの父に対して。これからは、魔族の国で生活することになった事。魔族の国の王都にある学校で魔人族の国の勉強をするために入学することを決めたと言うのであった。それから俺がラヴィーとラヴィのお父さんに挨拶をしようと思っていたのだが、リヴィアとラヴィに先を譲ることにすると。

リヴィアが俺の事を紹介すると。

俺はリヴィとラヴィにこれから、リヴィアと一緒に旅に出ること。リヴィアと俺の関係を説明することにしたのである。

そうして俺達が説明をしている最中に、ラヴィはリヴィアの母に抱かれていてラヴィのお母さんは俺とラヴィアに、リヴィアのことをお願いねと言われるのだった。

そうしてリヴィアのお父さんと俺達が別れの挨拶をする時。ラヴィの事を娘として受け入れると言われたのだ。俺がそう言われて戸惑うと。

俺は今までリヴィが、魔人と魔人の混血だという理由で差別されていた事をリヴィアに聞くと、リヴィは魔道具職人を目指すため勉強をしていたから、リヴィア自身は魔人の国にいられればよかったらしく。他の種族との交流も魔人の国にいて出来ていたので特に問題は無かったらしいのだ。そして、この前の騒動が起きる前に魔人が魔人同士の戦争を始めるのではないかと不安になりリヴィアと二人で魔道具を作り始めたのだという。そして、リヴィアは魔結晶を使って魔法石を作ることに成功したのだ。しかしリヴィアが魔族の国に居られる期限も近づいてきた為、俺と会うために魔族の国を出たのだと。それから、魔人族の国では人間が生活するための施設が不足している事と、学校の建設の話を聞いたらしく。ラヴィが魔人の国で暮らすのなら魔導学校を作った方が良いと思い立ち。その学校にラヴィアは通うことを決めたようだ。

それから俺はラヴィアと別れるとリヴィアに頼んで転移で王城に帰ってもらう事にしたのだ。リヴィアから俺と別れるときにリヴィアが寂しそうな顔を浮かべていたが。ラヴィが「ラヴィーがラヴィスのことを心配するのはわかりますけど。私だってラヴィスと離れるのは寂しいですよ。でも、私には私にしかできない事がありますから。ラヴィーの事もラヴィスのこと任せてください」と言ってくれていたのである。そして俺達はラヴィアの家族と一緒に食事を取ることになり。食事をする部屋で、リヴィアの母親がリヴィアを呼んでいたのだ。俺はリヴィの父親がラヴィアにラヴィーに、魔族の国の事を頼むと言い残し。ラヴィとラヴィーを連れて自分の家にラヴィアと一緒に帰っていったのである。

そうすると、ラヴィの母親が俺のところにきて、リヴァイとラヴィーの父親にラヴィとラヴィーは私の家族ですと。リヴィアが言った言葉の意味を説明してくれて。二人は喜んでラヴィア達家族を受け入れたと教えてくれたのである。それからラヴィアは魔族の国から去る際に、ラヴィアが俺から貰った指輪に、ラヴィスの魔力を流すようにラヴィアに指示をして。ラヴィが魔道具を作り出したのだが。ラヴィアの指輪にリヴィの指輪に、お互いの居場所がわかる機能を付けたと言っていたのを思い出した俺はラヴィアの両親に許可を取り。リヴィアから受け取った指輪にリヴィアが持っている【神盾の魔装】の宝石部分だけを使いリヴィアが持っている魔結晶の魔石をセットしてラヴィとラヴィアの場所がいつでもわかるようにしたのである。そして、それをラヴィに渡すときラヴィには内緒にしてくださいと言って渡したのである。

そうして、リヴィの両親とラヴィの母親の4人で仲良くなって。この日からリヴァイとラヴィア達家族もラヴィアの家で一緒に住むようになったのである。そして俺達はリヴィア達家族の事をラヴィの両親に伝えてから。ラヴィの家に戻る。するとラヴィーがお腹を空かせていたためリヴィの母親と俺とで何か作って食べることにしたのだ。そして夜になり寝ようとしたら。リヴィから魔族の国の学校の話を聞いて、俺も魔族の国に行くことを決めたのである。

翌日から俺はゼブレートとリヴィと俺の三人で旅の準備を始めた。まずは魔人族の国から出る手続きと入国の時の身分証の発行をしてもらうためだ。ゼブリード国王にもらった通行手形は魔人族から人間に友好的になった魔人への贈り物で特別な物なのだそうだ。そのためこの国の人達は皆、俺達の事は知らないが特別扱いはしてくれているので困った時は俺の名前を出してくれたら対応できると言ってくれていた。

リヴィも魔人族と人間のハーフだが俺と同じように、この世界の人間とは違う人間だということがわかった。そのためリヴィの事も、リヴィの家族も特別扱いをしてくれることになったのだ。そうして俺はゼブリードとリヴァイに、魔族の国に向かうための魔族の国に入るための国境門までの案内を頼み。俺が二人に護衛を雇ってもいいか?と確認すると、ゼブルはラヴィーの事を考えて。リヴィアはリヴィア自身のことを考えて。リヴァイはリヴァイの気持ちを考えてくれるのであれば。ラヴィーの護衛は自分が引き受けても良いと言うのだった。

俺はリヴァイとリヴィとゼブレッドの3人と別れると。ゼブレムとラヴィーと一緒に王都の外に出るための関所にたどり着いたのである。そして俺は、この前のゼブレムとの一件で知り合った、この国の警備兵の隊長のゼクトルと連絡を取った。そしてゼブレッドは俺の魔人族の国の出身と言う設定を知っているので、リヴィアに聞かれても問題ないように気を付けているとゼブレットから聞いたのだ。そして俺は、ゼヴレッドとリヴィアと一緒にゼブレムの馬車に乗り込んだのである。俺はゼブレム達にリヴィアを紹介をする。そして、これから魔族の国まで行くと言う話をすると、魔人族の国なら俺の故郷だから俺が責任をもって送り届けましょうとゼレウに言われたので。俺はよろしく頼むと答えたのだ。そうして俺達が魔人の国に出発する日が来た。俺はラティから預かったラティとラヴィーが作った魔導装置を持っていく。それから俺とラヴィはゼリーブルの用意した魔道具に魔力を込めてリヴィと一緒に転移した。

転移先はゼブラの屋敷からそれほど遠くはない、俺がリヴィを魔人の国に送れるよう準備をした場所である。そこで俺は魔道装置とリヴィアと別れると。リリィのところに行って、魔族の国に行くため魔獣がいる森に向かったのである。そして森の中に入ってすぐにラティスを見つけたのだ。ラティスも一人で移動しようとしていたのだが、なぜか一人ではなく。ラヴィーとリヴィアが同行していたのである。俺も急いでラヴィー達と合流すると、なぜこんなことになっているのかをラヴィスはリヴィーに質問をする。ラヴィーはラヴィスに対して「私がラヴィーの妹になることをラヴィーが認めてくれました」と言うのである。ラヴィスがどういう事なのかラヴィーに聞くと。ラヴィーは自分の父親に自分の事を認めてもらったとラヴィスに対して説明をしたのである。ラヴィーが言うに、リヴィが魔人の国で魔人族の国の王になると言う事と、リヴィアが俺の妻になりラヴィがラヴィーの姉になってラヴィは俺の妻になるべく魔族の国に住むことを認められたらしいのだ。俺はその言葉に納得したが。リヴィーが魔人族の国に来るのが早すぎるのではないかと疑問に思ったが、俺がそう思っているうちに。俺のところにラティスがやってきて、これからどうするのですか?と俺の考えている事が分かったかのように聞いてくるので俺はラヴィーの件で一度ラティスの元に行き。その後リヴィーのところに戻ろうと思う。ラヴィーがリヴィと一緒なので、このままラヴィとラヴィにリヴィアのところに連れて行くのはまずい気がしたので、俺はラヴィに、ラヴィーとリヴィの二人で行動するように声をかけるのであった。

ラヴィとラヴィーに別れを告げた俺とラヴィーは、ラヴィスのいる場所に急いで向かうのだった。俺は俺の目の前で嬉しそうな顔を浮かべるラヴィーに。これから俺の仲間の所に向かうと説明する。するとラヴィは仲間ができて良かったねと言ったのである。そして、俺がラヴィとリヴィーは魔人族の国に来たばかりだし。ラヴィには俺の婚約者になってもらったから、しばらくはリヴィーと二人で行動するようにとラヴィーに提案をする。するとラヴィが、ラヴィが魔人族の国で生きていけるかはラヴィスのおかげだけど。私はまだこの世界での事を何も知らない。でもリヴィ姉さんならリヴィアに色々教えられるし。リヴィスと離れるのは寂しいけれど。ラヴィとリヴィ姉さんの二人が私の為に一緒に魔人の国に行けば。きっと私だけこの世界に残りたいなんてわがままを言うことは無いだろうしねと言っていたので。リヴィーは俺から離れてでもラヴィーを守りたかったようだ。ラヴィスとしては、リヴィーを妹にした方が安心なんだけどなと思っていたのであるが、ラヴィ本人が決めたことだから仕方がないと思いながら俺は、俺の転移のスキルの事を説明する。そして俺とリヴィがリヴァイとゼレットに護衛を頼み、リヴァイと一緒に魔族の国に戻るというとラヴィスもついて行くと言い出すので俺も一緒に戻る事にするのであった。そして俺は魔族の国に戻り、リヴィングにある屋敷で皆で話し合いをするために、一旦ラヴィーの所にリヴィーと俺とリビィで向かおうとしたが。リヴィア達を待たせるのは可哀想だったので先に、リヴィア達を迎えに行くことにする。そして俺はリヴィア達と合流できたのである。

俺とリヴィスはラヴィーを連れてリヴァとリティスの元にリヴィを連れて戻ったのである。そして、リヴィを連れて帰ってきた俺たちを見たリヴァは、驚いた顔をしてからすぐにリヴィアと俺の手を掴んで。本当に帰ってきてくれたんですねと喜んでくれて、ラヴィにリヴィアをお願いしますと挨拶をしていた。それから俺が魔人族に戻ってくることが出来た経緯を簡単に話すと。俺が魔人の国に残れないのは残念だけれども。俺はリヴィアの夫になる人を見極めなければいけないからねと、俺が魔人に来れなくなった理由に理解を示してくれて、また一緒に生活できることを喜んでくれたのだ。

俺はラヴィが魔族の国で暮らすというのであれば、俺はもうここにいる必要がないと思って。皆で食事が終わってから皆に、ラヴィーとラヴィに俺達は俺達のやりたいことがあるのでここで失礼させてもらうと言って、俺とリヴィはゼブレムに頼んでラヴィーをゼブレムの屋敷に転送してもらい。そしてリヴィにリヴィをゼブレムの家に送り届けてから俺はリヴィアと一緒に魔族の国から出ることにしたのである。そして、俺は魔族の国を出て人間族の領地に入るために人間の街に向かっていた。リヴィアと別れてからは、俺とリヴィは人間の町を目指して歩いていたのである。

俺がラヴィスと話をしている間に、リヴィとリヴィアはリヴィーの家でお泊りをする事になりました。それからリヴィアとラヴィに俺はゼブリード王国で起きた事件の事をリヴァイとゼブレットから聞いたので二人にも教えていたのだった。そうすると、二人はリヴィの父親を殺したのが人間族の組織の仕業であると知るのである。そしてリヴィエとリヴィアの両親は人間族によって殺されているという話を聞きました。そんな話をしている最中でリリアとラティスが戻ってきたのです。

俺はとりあえず、今日はこの家で寝ることになったのだが明日の朝一番でこの家を引き払って出発することにしたのだ。なぜなら、まだこの家に住んでいる人たちに俺達がここに居ることを知らせていないからだ。だから俺がこの家にずっと滞在していたら迷惑をかけてしまうと思ったので明日旅立つことに決まったのだ。そうして、この日は解散となった。俺とラティもリヴィアと一緒にリヴィーの家にお泊まりをしたのだった。そして俺は朝起きると俺の隣でラティが気持ちよさそうな顔で寝ていたので俺はラティを起こして二人でリヴィア達がいる部屋に向かうのである。それから俺は皆と朝食を食べると。すぐに旅の支度をして。俺はラティスとゼブラと魔人族の国に帰りますといって、魔人の国の門に向かうことにした。そして門にたどり着いたところで、ラティとゼブラと魔人の国の門でお世話になった人たちに別れの挨拶をしたのだ。

俺は門を出るときに。門兵に俺が元勇者だとばれるかもしれないから門兵には魔人の国に俺が訪れた事実を黙っていてほしい事を伝え。そして、もし俺のことを見かけたら。王都のギルドに連絡してほしいと伝えておく。俺がこの国に訪れていたとわかったら面倒くさいことになりかねないからである。俺はラティスと共にゼブルの元に向かおうとしている時にふと思い出したことがあり、魔人族の王城に向かったのである。そういえば。リリィに俺達三人分の魔剣を渡す約束をしていたことを思い出したからなのだ。

リリィの部屋に向かう途中で俺はラティナに俺の仲間になっているリヴァイのステータスを見てもらえるように頼むと。ラヴィーがリヴァイスのステイタスと魔宝石の回収がしたいと言っていたので。リリィとリヴィアを呼んで、ラティスは先にリヴィスに魔族の国で待つリヴァイの所に戻ってもらった。俺達はリヴァイスをラヴィスが鑑定できるように魔道具に取り込み。ラヴィーにリヴィアの持っているスキルを魔宝珠にしてもらい魔人族領に戻ったのである。

魔人族の王城の謁見の間に移動した俺達はラヴィをリヴィーの魔石を使って魔人化する。するとラヴィーと瓜二つの美少女がそこに現れるのだった。俺の仲間の魔人は俺を含めて六人である。そしてリヴィーには、この国では魔王を名乗ってもらおうと思い、その旨を伝えた。俺もリヴィアもリヴァイも俺達のリーダーとしてリヴィーを認めているため、俺は問題はないと思っていたのだが。ラヴィが自分はあくまでも補佐でありたいと。リヴィーを支えていきたいと言っていたので俺はそれを受け入れたのであった。

それから俺達は、ラヴィにリヴィがリヴィーの妹であることや。魔人化をしてもラヴィーは俺の婚約者だということを説明し。魔族と人間が仲良く暮らしていける世界にしようと俺が話した時、魔人達の目に希望の光が宿るのであった。俺はラヴィーに、魔族の皆のことは頼んだと声をかけるとラヴィーは力強くはいと答えてくれた。その後俺は、リヴィーにリヴィアがリヴィーのスキルとリヴァイスの魔宝石を吸収してラヴィーのようにスキルを魔宝珠に変換した魔人の魔宝具を作るのに必要な魔力を、魔宝珠からリヴィアに譲渡して欲しいと頼み。そして俺は、リヴァイにラヴィーを守ってあげてほしいと伝えたのである。

ラヴィはラヴィで。リヴィアの魔宝石とリヴィアの魔石を利用して。ラヴィーの魔人用の魔宝器を作り。リヴィーとリヴィの武器を強化しようと考えているのでリヴィアにリヴィア専用の魔宝石を譲渡してくれるようにお願いしてくれた。俺はリヴィアにラヴィのことを任せて、リヴィーとリヴィが一緒に行動することを認めてくれたリヴァに感謝しながら魔石の譲渡を始めるのであった。まずは俺からラヴィが持っていた【超魔獣】をリヴィアは受け取った。

それから、俺がリヴィに渡すはずだった【魔王 神龍の魔眼 魔王の鎧 魔王の大盾 女神の腕輪 聖神の加護】を、今度はリヴァイに渡してもらって、そして、最後にラヴィーからラヴィーの持っていた全ての魔宝玉を受け取って。ラヴィーのスキルも全て魔宝箱に吸収してもらい、魔石に込められていた全ての魔力を魔宝石と魔珠に封じ込めたのであった。俺はこの魔石を魔宝珠と名付けたのだ。この世界では、この世界の人間族以外の者でも、魔物を倒すことによってレベルが上がり強くなることが出来るようになったのだ。

これは、この魔人領にある、俺が作ったダンジョンで、レベルが上がったことにより人間達が強くなった結果である。なので人間族に魔族を恨んでいる者がいて、俺達がラヴィーを魔人化してから魔人族の国が攻め込まれる可能性もある為。俺は魔人と人間族の仲を取り持つのが仕事であると皆に伝えた。魔族と人間は共存するべきであると言うことを皆に改めて説明するのだった。

そして、俺達がラヴィーとラヴィに見送られながら魔族の国を後にして、ゼブレス帝国に戻る途中に俺の眷属達が待っているのを感知したので俺は眷族達と合流し、ゼブルの待つゼブリード王国に行く前に魔族の領地で用事を済ませる事にしたのである。俺はゼブリード王国での出来事は後回しにして先に、俺達を襲った組織の調査を行うことにしたのだ。

俺とリヴィアとリヴァイとラティスは、ゼブルが住んでいる城に到着して、ゼブリート皇帝が生きていると伝え。俺達が魔族に連れ去られたと勘違いした皇帝と、リヴィを誘拐されたと思い込み魔人国と戦争を仕掛けようとした皇子達を俺が気絶させたことを説明すると。ゼブは、俺達に魔人の国の状況と俺達を陥れた組織の情報をゼブルと、ラティとゼブレムとアスターに伝えるように頼んだのである。俺はゼブラとゼブリンにリヴィアとリヴァイを紹介すると二人にリヴィーが魔王に、ラヴィが勇者になった経緯を説明したのだった。それから俺とラヴィとリヴィアは、ゼブラとラティスと一緒に魔族の国に帰って行ったのである。

俺は魔人族の国を出て人間族の国に向かっていたのだが、俺達はある異変を感じ取っていた。それはゼヴリータ山脈を越えて少し進んだあたりから魔族の国がある魔大陸から魔人が襲ってくるのを感じたからだ。だが俺はリヴィーに、俺達の後ろにいるゼブラとゼブランが魔人族に攻撃しないように頼むのだった。それから俺はリヴィにリヴァイとリヴィが俺の元に駆けつけてくれてからの事とゼブラの事を説明している間にゼブラは俺とラヴィがリヴィーの所に駆けつけた事を知って驚いていたのだけれど。ラヴィスに俺が魔王だと言われた時のリヴィアの慌てぶりを見て俺がリヴィアが魔王だという事を知っていたのかと思ったのだろう。俺はラヴィの事をラヴィシスと呼ばずラヴィーとラヴィに言ったのだ。

俺は二人にゼヴリーの件について、ゼヴラに説明するように伝えるとゼブラがゼヴラを連れてきて、俺はゼヴにゼブラとゼブリスがこの魔人の国からいなくなった事情を話すと、ゼヴは二人の行動を理解したようで許す代わりに今回の魔人の襲撃の原因を調べるように依頼をしてくるのだった。そして、この国の王になった俺に対して忠誠を誓うと言ったので。俺達はとりあえず。この国に居る人間の国の貴族達全員を魔人の国に強制連行して。そこで魔人国と友好関係を結びたいと申し出るとゼブラは驚いた顔で俺の顔を見るのである。俺はその貴族達の中にリヴァが言っていた。俺を殺そうとしていた貴族がいる可能性が高く危険だと説明したのだ。そして俺は、俺の大切な仲間が、ラティが、リヴィアとリヴィスの母親が殺された可能性があることをゼブラとゼブリスに伝え。リヴィもゼヴに同じ様なことを告げたのである。ゼブラはその事実を聞いて愕然とし落ち込んでしまったのだった。リヴィがそんな父の姿を見て、心配していた。

俺は魔族国を出るときにリヴィアの両親を救ってくれたリヴァイにお礼を言うとリヴァイは照れながらも嬉しそうな表情で笑みを浮かべるのであった。そして俺がゼヴラに声をかけたあとに、ゼブラとリヴィアとリヴィアが連れて来たゼブラが助け出した人達を連れて魔人の国に向かっていったのである。そして俺達は、この国の王都の手前の街で俺の知り合いに会うことになったのである。俺とリヴァイとラティナがゼヴとリヴィに連れられて来た場所は、魔族領にある魔人族が暮らす街の近くにある、ゼブリスが管理している魔獣の森の入り口に程近い場所にある大きな屋敷だった。この家の主人はゼブリート帝国の元将軍で現在は引退した元国王なのだ。この家の当主の老人が、ゼブラがリヴィアとリヴィをこの家に住まわせてくれたのだ。この屋敷の主の魔人は、俺達を快く迎え入れてくれたのだが、俺がリヴァイに「お前が、この国でリヴィア達を助けてくれたのか」と訊ねると。リヴィアは顔を赤らめ、リヴィはリヴィアと俺を交互に見ながらリヴィが恥ずかしそうにしている。俺はリヴィアに何が起きたのかを察すると、この国の王になる時に俺と約束したことを思い出したのだと理解すると俺は苦笑いをしながら、ゼブにゼブの妹のゼリアのことを尋ねると。俺はこの家で待っていたゼリアに会わされるのであった。

俺はゼリアスが待っている部屋の中に入るとそこにはゼブがゼニアと呼んでいた少女がいた。ゼニアがゼブラに話しかける。そして俺と目が合うと微笑むのである。俺は、ゼニスやレヴィーアが無事かどうかをゼニアに訪ねた。彼女は、この家の家宰とメイドの世話を受けているそうだ。それにこの国の宰相の魔人に命を狙われていることを伝えると、魔人族は、この国を滅ぼそうとしていることも教えてくれたのである。俺はこの屋敷を後にする前にこの家の家族達と食事を取りながらこの国の現状を聞いたのであった。

それから、俺とゼブルはこの国の王のゼブリートに会いに行った。俺達がこの国を去って魔族の国に旅立とうとしていたからか、それともこの国の民達が俺をこの国に連れて来るように懇願でもされていたのであろう。ゼブラも同行している。俺は、魔族達と協力して、ゼブレス帝国に攻め入ろうと計画をしている人間達の計画を阻止して欲しいと頼まれて了承したが、俺達には人間側の国に潜入しているリヴァイスと黒子の部隊が居るのである。俺はリヴァイスにゼブリート王国にいる人間族の動きを見張るようにお願いをして、ゼブリート王国の王城に転移をしたのだった。そして、リヴィアに俺の身体を貸し与えたのだ。

ラティスとゼブレムとアスターが、ラティスがゼブリート王国から姿を消した後、ゼブレス帝国からの使者が訪れた事を告げに来たのであった。その使者の名前は『アゼル=ゼブレッド』という男で彼は、ゼブリート帝国の元近衛隊騎士長で現宰相であった。俺がリヴィアに魔族化した時、ゼブラの側にいてリヴィに魔人族と敵対しないように説明してくれたのがアデル=ゼブレッドであった。俺がリヴィに俺の元に戻って来て、俺と共に戦ってくれるように頼んで欲しいと言うとリヴィはゼブにそのことを話す為に一旦俺から離れてしまったのである。そしてリヴィアとアデルは二人で話した後、リヴィアは魔宝石に封じ込めていたゼブレムの力を利用して、魔人化と人間に戻る魔法を身に着け、ラティスとアスタの二人はラヴィの身体を借りることで魔人化してラヴィは勇者として魔人と人間の争いを止める為に奔走したのだと。それから魔人族との戦いが終わると、リヴァイの両親を救えなかったことを謝った後にラヴィーが魔族化するとラティスの魂を宿らせて人間に戻してくれることをリヴィアとゼブレムの三人に頼んだのだという。リヴィーはリヴとラヴィが魔人族になったことを話した後、俺がこの世界に存在する全ての種族の平和を願って、魔人と魔族が争わずに仲良く暮らしていけるような関係を築く為に、俺はこの世界で魔族領を作ったり人間達とも和解して友好関係を築きたいと考えていてそのためにラヴィと俺の妻達をこの世界に送り込んだこと。俺は魔族と魔人が手をとりあって生きることができる未来を目指して魔人界と人間界の交流を始める為にこの世界にやって来たことなどを二人に伝える。そしてラヴィーがリヴィとラティスとラヴィスと俺達が再会する前の話をし始めたのである。俺はラスティの口から初めて俺が居なくなった後の事を聞けたのだ。それは衝撃的な事実であった。俺はリヴィに俺と出会ってくれた事、俺と一緒に生きて行くことを決意してくれ事に対して感謝をすると同時に俺を愛し続けてくれたことに対して心の底からの喜びを感じずにはいられなかったのである。

リヴァイが魔人化をしてから三日ほど経った時にリヴァイが突然人間に戻り俺の前に姿を見せたのであった。俺はラティにリヴィを任せてから、ゼブレムに魔族の王になった事と魔人族と魔人が仲良く暮らせるようにするために、この魔族と魔人が暮らす世界を創る事。そのために必要な知識を得る必要があるので、俺の知識を受け継ぐために、俺に俺の【創造】で俺が今まで作り上げてきた魔族が幸せに暮らすための仕組みを全て引き継いでくれる事を約束して欲しいと告げるとゼブラが、俺に自分のスキルを渡すことを告げてゼブレムとラヴィスは魔族が安心して暮らす事が出来て、魔族が人間に迷惑をかけないようにするための戦いを俺達にして欲しいと告げて来たのであった。

俺は魔人の国にゼヴが来ていることを知っていたため。魔人族の王である俺の協力者となったリヴに俺の元に連れてきてもらい。魔人の王になってもらった。俺は魔人と魔人が共存できる未来を目指していくためにゼブレムに、俺の持っている知識の全てを受け継いでもらうことにしたのである。そして俺はゼブランがリヴァイをこの国の王城に送り届けるまで待つ事にしたのである。

そして、ゼブラがラスティとリヴィアをゼブラの元に連れてくると、リヴとゼブラの二人はお互い抱き合って泣いていたのである。リヴィアは俺とラヴィの娘だが、魔人族の血が入っているためなのか、ラティアとラヴィアよりも少し身長が高くなり、そしてラヴィアと同じように銀髪だった。リヴァイもリヴィが、妹だと言うことは理解していてもラティアは姉だと思ってしまったようだな。そんな姉妹の様子をみながら俺は涙ぐみながらも笑顔で二人を抱き締めたのである。そして俺が、ゼブラの両親について話すとゼブラが魔族の姿になり、魔族化して俺とラヴィーに襲ってきたのだが俺はラヴィーとゼブラが攻撃してこないと分かっていながら攻撃をかわすふりをしゼブラがゼヴラに変化したのを確認して俺はゼブラの中に入りゼヴになることに成功したのである。

ゼヴの人格はラヴィの魂に封印されていて出てこないようだったが俺が俺の中に取り込んだリヴァの記憶にアクセスして得た記憶によるとリヴァは自分の中の魔人核に、ゼブラの魂に自分の魂の一部を融合させることに成功して俺を倒そうとしていたようである。俺が魔人化したゼヴラと魔人の国の王城の一室で話し合うと、魔人族が魔獣の森を領地に出来た理由は、魔素を吸収した魔獣を魔族領に連れて行く際に魔獣が暴れると魔族達が被害を受ける恐れがあったのでゼブレムが自分の部下に命じて魔獣を大人しくさせれるように訓練させたことが切っ掛けなのだということが分かったのだった。

ゼブレムの話だと魔獣は普通の生物より魔石が大きくなりやすい性質があり、それが魔獣が魔物と呼ばれる所以になっている。この事から俺は、魔人領が、魔獣に食い荒らされることがなくなるかもしれないと考え。魔族と人間との和平が実現できた暁にはゼブレス帝国を解体しようと考えていた。しかし、ゼブレッド王国からすれば、帝国を潰され、自分達の治める国がなくなれば他の国から侵攻される可能性もある。その為、魔獣が森にいない状態で、帝国を解体したら魔人族に恨みを抱いている人間達はこの機を逃すはずもなく再び戦争が繰り返される可能性がある。そのためにも魔石を大量に生産する施設を造ったり魔道具の生産を増やしたりするなどの施策を行うべきだろうと思ったのだった。

俺はラティス達からゼブレス帝国の宰相のアゼルは魔族の血を持つ一族である可能性が高いと言われ。アスタ達魔人にアベル=アルザークを探させている最中にアスタがアゼルは元魔族だという事が分かり、俺は元勇者で魔族の女帝でもあるラティと、元人間の勇者で魔族の王であり神格を持っているリヴと魔人化しているアスタを連れて、この国にいる人間達の王であるアベルの所にアドル達を呼び寄せた。俺達とアスター達をアトル達をこの場に呼んだのは、アビーとアンジュに、アスターがアゼル達を魔人族であると確信したことと、この国を救えるのはこの国の王だけだと思うからで、アスターはこの国を救うことで魔人族や魔人領の魔族達と、この世界の全ての魔族を敵に回すことになる。だからといって見殺しにすることもできないのだとアスタから話された。

そして俺は、ラティスからアゼルが魔族の血を引いていることを知らされたが、俺はこの国を救いたいから俺に協力しろと言ってアゼルの所に案内するように言うと、アゼルにアゼルの妻が、魔族化してしまった時のことを話し、アゼルに俺の妻になれと要求しアゼルを魔族化させることに成功すると、アゼルにアゼルの民を救うための作戦を俺とラティス達で考えたので、その指示に従ってほしいと言ったのだ。アスター達とアベルの会談が始まった。アスターがこの国の民が魔人族に苦しめられていることを説明する。俺はその説明を聞いた後。アベルに向かって俺が元勇者であることと俺にこの国を任せてほしいことを頼む。そして俺はアスタ達と共にアゼルの城に転移すると、ラティとアスターはアゼルと話を始め、アゼルは俺に、ラティにアスタの事は知らないと告げてきた。俺はアスタにお前なら何か知っているだろうと聞くとアスタは、魔族化した妻の一人を救ってくれたお礼を言ってアスティの話をし始めたのである。

俺がアゼルを説得するのに苦戦している間にアストがゼブルと戦おうとしていたのだが、俺は慌ててゼブリート王国の城に戻ってゼブリナにゼブルと戦って勝ってほしいことをお願いした。ゼブリナはラヴィに頼んで俺がラヴィに【絆】のスキルを発動させる条件を書き換えてもらうことに気付いていてゼブリナは、そのことに気付いた理由を聞かれたが俺の【解析者】の力を使い【スキル操作】で【魔族】と書き変えるとゼブレムは俺が【魔王】になった事を知り驚いていたが。ラティとリヴァイとラティスとリヴィアとゼブレムがラヴィに、ゼブラをこの世界に送り込んだ理由を話すとラヴィーとゼブラは納得してくれたようでゼブレムとゼブランも協力してくれる事になった。そしてゼブリナは、ゼブレムとゼブラが俺にゼブレス帝国を譲渡する事を条件に魔人化するとゼブレムとゼブラの魔人核を取り込んでゼブレムとゼブランは、ゼブレスト王国の初代国王と王妃として、ゼブラとラヴィーは、ゼブレス王国初代国王の姉として君臨して欲しいと告げるとゼブレムは了承してくれ、そして俺はゼブレスの魔人化に成功し。俺の配下に新たになったゼブロスとゼヴィが人間を奴隷にしてゼヴの眷属にするという話を俺にした。俺はゼブレムとゼブラをゼヴにするためにゼブレムの体内に入り込み俺の中に取り込むと俺は、魔人族の王に即位して人間達に宣戦布告を告げて俺はゼブレムをゼブレスに連れ帰りラヴィーとゼブレムにリヴィの魂の一部を入れた。それから俺は魔人と魔人の国に居る魔人をゼブレムの魔人核に入れて俺の配下の魔人とゼブレスの国民にするように命じたのである。そして俺は人間にゼブラの魂の一部を融合できるかどうか確認するためラヴィーとリヴィにゼブレムの体内に魔人の核を埋め込ませてリヴィアの魔人核を使ってゼブラを俺と同じ存在に変化させた。俺は、俺と同じ存在である魔人となったリヴァが魔人の核を取り出してゼブレスの王城の宝物庫に入れている魔石を、魔人族と魔人族領の全ての魔族に埋め込んだのである。

そして俺とラヴィーがゼブレムの魔人として融合した。

俺はリヴィアにゼブレス王国でラティの子供達とラヴィスとラスティにゼヴィの子供と一緒に暮らしてくれと頼んだのである。

そして、ゼブレッドの魔石から魔素を取り出すと人間もゼヴィの眷属の魔獣も魔石が大きくなった。これは人間も同じで、ゼブレムはゼブラがゼヴに融合していた影響で元々レベルが高かったのだが、魔人化したことで人間の中で最強の種族になっているはずだ。そして俺はこの国の名前を決めることにしたのだった。俺はラティとリヴィーとリヴァイにこの国の名前はどうするかと聞いてみたが、この国の名前は『魔導国家ゼヴ』に決定したのであった。ちなみにゼブラがゼブルに進化したため、ゼブラという名前と魔人核を融合させたことにより名前が変化したのだった。そして俺は人間達が住む大陸とゼブレッド大陸の間に浮かぶ浮遊島であるゼブレス帝国が浮かんでいる浮遊島の上に魔人が統治する国の新王国を作ることに決めて俺達が住んでいる魔人の国の城をゼブレスの城に変えるのである。こうして魔族が支配している王国が誕生することになるのであった。俺は魔族の王である魔人のゼヴルを召喚してゼヴルの力を試してみることにすると、ゼブレムが王都で俺の妻達が住むことになった家の地下に大迷宮を作ると言うのだ。そこで俺はリヴィーを呼んでラヴィとリヴァをラティー達とこの国で住むための家と家財道具を揃えるように命令をした。俺が魔人になって俺のレベルが上がり、ゼブレムに埋め込まれていたゼブレムの魔人核はゼヴラに吸収される。そしてリヴィアはラスティにゼブラの魂が入った魔石を手渡した。俺はラヴィエを呼び出しゼヴラと魔族領にいる全ての魔族を呼び寄せると俺は、ゼブレッドの魔人領にいる全ての魔族が人間達から魔族を開放させるために戦争を行うと宣言したのである。そして俺は魔人化してゼブレスの城に向かうのである。

ゼブレスの城に着いて俺とラティス達は魔人達から歓迎を受けると俺はこの国の法律と貴族制について決めるために、魔人全員を集めさせて、魔人族や魔族の事を詳しく調べた。俺は、ラヴィーに頼んで魔族の王であるゼブレッドが、元魔族の女帝だったラスティの魔人核が埋め込まれていたことを伝えると魔族全員がラヴィーの言葉を真剣に聞いていたのである。俺は皆の前で俺達の世界にある奴隷制度の話をするとラティスが元いた世界では魔族は魔物として扱われており、人間は魔物に家族や大切な者を殺されても復讐することが出来ないが、俺達なら復讐出来ると言ってきたので俺は俺達の世界での人間に対する魔族のような存在がいた事を教えるとラティスが俺の質問に対して答える。俺はラヴィーとゼブレムが人間達の王達と魔族を奴隷として売りさばき、魔族と人間の奴隷を交換して魔族達を解放しようとしていたことを教えてくれた。そして俺はこの国の決まりや貴族の身分の制度や階級などを決めて俺に報告してきた。そして魔族が俺の仲間になることを認め、俺の国の魔人族や魔人領の全ての魔族が俺の国に住むことを認めた。俺は人間にも魔人化が出来ることも教えるとゼヴィがラヴィーとゼブリートの姫であるライザに俺に忠誠を誓うように言い出した。そして俺はゼブルを召喚して、ゼブルが俺と一体化し俺は魔王に進化してしまうと俺は、この世界の魔族を全て従える事ができる存在になり、この世界の全てを支配することが出来るようになると話す。ゼブリートの王女二人は俺がラヴィから教えてもらったことを、俺からゼブリートに伝わる伝承に付け加えゼブレスと魔人族の王が俺に従うことを誓い。俺はこの世界の人間と魔族の王の証を二つ作った。俺は魔人の国の建国を宣言したのであった。

魔人の国は、ゼブレムの魔族核が魔人核になったことにより、この国の魔人はゼブラと同じように魔人核を体内に持っているので、レベルが高いだけでなく。スキルを魔人から取得することが可能になったのである。さらに俺のスキルを共有できるようになり、スキルの使用制限がなくなったのである。そのため俺は【勇者】のスキルを使い、【神魔滅殺砲】を魔人化したラヴィーとゼブレムのスキル【スキル強奪】で奪うことに成功した。【神魔】は俺が手に入れた【スキル操作】を使える者がいないと使えないから俺はラヴィーに【神魔】をスキル強奪をしてもらう事にした。【神魔】はラヴィーは【光属性魔術】と【闇魔法】の上位スキルであり、俺には必要のないスキルだったので俺は魔人族や魔族が覚えられる上位の魔術の【スキル操作】を使う事が出来るようになるのと俺も魔術士になれるということで【魔力強化】という【魔力操作系技能】を覚えたりして【全状態異常耐性LV1 】を習得した。魔人に転生したゼブリナに、【魔力増加】を覚えてもらいたいと思ったが、既に持っていた。魔人化しているラヴィーは、自分のスキルで奪った【魔力上昇】を持っていたが。ゼブレムの【スキル強奪 】により俺のスキルとしてラヴィーも使うことが出来。さらに、魔石を使ってゼブレスの人間も魔石を持っている者は魔石を吸収させ俺が取り込んだ魔石の魔素を使い。俺は俺の配下の者全ての能力を上げられることを説明するとゼブリナは俺の能力を見て、魔素を取り込む力があれば俺の眷属になることが可能だと言ったのである。そして、ラヴィーが魔族と魔人の国に俺の領地が欲しいといい俺は了承したのである。

ラヴィーとラティとラヴィは、俺の妻の子供たちのいるゼブレスの王国で暮らしたかったのだが。俺はラティが寂しくない様にするためにもラティをラティの子供のラヴィーとラヴィーの双子の姉のリヴィーがいるゼブレス王国の国王にして、ラティを王妃にすることに決めた。俺はラヴィーに俺が新しく作り出した魔獣にラヴィを乗れるようにする許可を出したらラヴィーはラヴィが乗っていたラティスに乗って、リヴィは俺のラヴィーに乗る事になったのである。ラヴィーのラヴィとラヴィが乗っていたラスティにはラティスとラスティがラヴィーに付いてもらうことになり、ゼヴがゼブレスの城に転移出来る装置を魔人全員に設置させたのだった。ゼヴィは俺にゼブレッドとゼブレムの二人の王に魔族の王国であるゼヴを統治させることを決め、ゼヴの城を作る場所をゼブレムの魔獣が襲って壊滅状態だった場所の近くに建設を始めたのである。

魔導国家ゼヴの王都の城の地下に大迷宮を作った俺はゼヴが住んでいる魔導国家の城下町とゼヴと魔人が暮らしている魔導都市を、リヴァイが用意してくれた地図で確認して。まずは魔導都市の地下に巨大な迷路を作りそこに俺と仲間と魔族以外の者を入れないことと。魔族や魔人が暮らす場所は、この魔導国家ゼヴにある王城がある王城と、ゼブレッド大陸にあったゼヴの魔人核が埋まっている王城と同じ大きさのゼヴ城の二か所だけとした。そして魔人以外は入れない王都と王城の地下にある大迷宮への門を厳重に警備することにした。そしてゼブレッド大陸とゼブラ帝国の人間と魔族が暮らしていくために必要な魔石を大量に作らせるために俺はゼブレムに指示を出し魔人化したラヴィーに、魔族を人間達が住んでいる大陸に送り込んでもらい魔人化していない人間が生活出来る国を作るために。人間を奴隷としている国の王や大臣などの権力を握っている者達にゼブラ帝国と魔導帝国を俺の王国に従属するように言っておくように伝えたのである。

俺はラヴィー達に、ラヴィをゼブラの王族から引き離した時にゼブラ帝国にいた人間の奴隷を全て買い取り解放したことを説明して、これからは自由に暮らせと言い渡した。するとラヴィーとラヴィー達は涙目になり感謝してきた。俺は奴隷として働かせられていたラヴィの家族を解放することが出来たのだから当然だよと微笑むのだった。そうしてゼブレス帝国から俺の仲間にしたいと思う者たちを連れてくるように指示を出してゼブレス帝国に向かうことにしたのだった。ラヴィー達はラティスとラティスに乗っていたラヴィス達とラスティスと、ゼブレス帝国にいる魔人達が、この世界の魔人族に人間と亜人と呼ばれる者達の居場所を創ることを説明したあと。この魔人達が住まうための施設の建設のためにラティスとラヴィー達はゼブレストに向かって行ったのである。

俺はゼブレスに行く前に、リヴィとゼティスにラヴィの子供を産んでもらおうと思ったが。俺の子供に魔人の血を受け継いで欲しかったので。ラティスに頼みラティスとラティスに乗っていた俺の仲間にしていた黒猫獣人の双子姉妹をラヴィーに預けて、俺は魔族や魔人を魔人核を埋め込んだ状態でゼブレッド大陸からゼブレストに来るまでにゼブレブの街の人間や魔人を殺していたのでその魂を吸収してもらって魔族や魔人を増やすことにして、ゼヴィーを魔族にするために。俺が魔人核を入れたゼブレスと魔族核を入れてある魔族核をゼヴィーに与えた。

俺はゼブレスで魔族核を入れるために、俺の分身と魔族の核を二つを融合して魔人核にしたのであった。俺は、この世界の人間や魔族にスキルを与えないように魔人核を埋め込み魔人族を増やさない事に決め、俺が人間にスキルを使えないよう封印を施すことを伝えた。

俺はこの世界の人間は人間以外と魔物と魔物扱いされる存在を殺す事は出来るが、人間と共存している人間を攻撃すれば、人間から殺される存在になる。魔物殺しが出来た者は魔物を魔物として認識することが出来るようになったという事を話した。しかし俺がスキルを与えたり、眷属にしたりした存在は人間を殺せるようになるので人間を魔物や魔物だと間違えて殺すようなことがあれば、スキルを与えるときに魔物を魔物と認識しないようにして人間や魔族と敵対する事が無い様にすると言うと。リヴィが「人間と敵対したらスキルを返せ」と言い出してラティとラヴィーとリヴィーも同意したので、スキルを返して貰った。

それから俺はこの世界の人間がスキルを持つことを禁ずるスキルと俺が持っている【魔人支配】と【勇者】のスキルの力を無効にする【魔人化解除】の【呪印】を【勇者】と【神魔滅殺砲】と俺の配下の者が持つ【全状態異常耐性】と、リヴァイアの【神眼】を融合した【超鑑定 】で調べたら、スキルは使えなくなるのはわかった。さらに俺は、俺のスキルが発動出来ないようにスキルを無効化するスキル【呪縛】と俺が【魔人支配】を発動させることが出来る俺の眷属以外の者を強制的に眷属に変えるスキル【従隷】を、俺が俺のスキルを使えるように改造して俺の力の一部を使う【能力付与】と俺がスキルを持つ者を俺のスキルを使う事ができるように改良をしたのである。

俺は俺の仲間たちと魔族とラヴィー達の魔人核と俺のスキルを使うための鍵を渡し。リヴァイアのスキル【水神召喚】で俺の世界に連れて行って、人間や魔族と戦わせるのも、ゼブレブの街の魔族やゼヴの街の魔族と同じように、スキルを使いこなせてなかったし。スキルを使わずとも普通に俺が鍛えている魔人族は強く。ゼブレスと魔族で協力してゼブラ帝国を攻め滅ぼして欲しいと言ったのである。ラヴィー達は、そんなことは自分達にさせてくれと言ってきたが、俺は俺のスキルを使ってゼブレブとゼブレッドに新たな王国を創り出したいのである。俺は、人間や他の種族の王国を創ろうと思っていることを告げたのである。ラヴィー達は納得したらしく、俺の為に頑張ると決意を新たにしてくれて。俺の嫁達と一緒にラヴィの子供を孕ませるべく励んでいたのである。ちなみにラヴィー達は、魔人と人間の子供を作る事が可能だったのである。魔人化した魔人は寿命も長いらしい。魔人が長命なら人間も長寿になるかもしれないが、人間にも不死身の存在とかがいる可能性もあるが。それはどうでもいいか。

ラヴィー達が、俺との子供が欲しいと言ってきているのが可愛くて、リヴィー達とラヴィの子供達を妊娠させようと思っていたのだが、ゼヴィーが魔素吸収の能力を手に入れていてラヴィー達に魔族核を与えて魔族にしてしまった。そして魔族になったゼヴィーは俺に抱かれながら、魔族の繁殖方法を説明されてしまい俺はラヴィー達に俺の子を生んで貰う事にしたのである。ゼヴィは自分が魔人化した影響か。人間の姿から完全な魔人の姿になり。ゼヴィーを妻にしている桜子が魔族の王の妻になって、ラヴィー達がラヴィーの子供を産んだのだった。ラヴィとラスティスとラスティに、俺は魔族が子供を産めるようになる為にはラヴィーとラヴィーの子供が必要だと説明したら、ラヴィとラスティはリヴィーの子供が必要で。リヴィーはリヴィーとリヴィーの双子の姉のリヴィーの子供が必要と言われてリヴィーはリヴィに嫉妬して、俺がリヴィアーネを側室にしたことで。ラヴィとリヴィーにリディアはリヴィに対してリヴィの味方をしていた為かリヴァイアにラヴィーとラスティとラスティにラヴィの4人にラヴィが俺とラヴィーにラヴィーの子供が生めないからとリヴァにお願いしてラヴィーが俺とラヴィーが生むまでラヴィーとラスティスとラスティスの3人で子作りをして、俺はその間ラヴィーの体を楽しませてもらった。ラヴィーはリヴィーが自分より強い事が悔しかったようで。その後ラヴィーはリヴィーに抱きついて泣いた。それをラヴィーを抱いたラヴィーは優しく頭を撫でるのだった。

こうしてラヴィーとラヴィーとラヴィーが俺の眷属の魔王ラヴィーとラスティスの妹と妹とリリィの母親になるラヴィーが誕生していたのである。ラヴィーはラヴィーとラスティスにラヴィが二人いるような感じで、とても仲良くなってくれたみたいでよかった。リヴィーも自分の娘と妹が出来て嬉しいと涙を流して喜んでいた。

ラヴィーの出産祝いと俺のゼブレブ王国での建国式を兼ねた披露宴が終わりラヴィスがラヴィーを背中に乗せてラヴィーがゼブレストに来たときに通った山道を走って帰って行った。

「お父様、私達には挨拶もなく行ってしまうとはどういうことでしょう」

と、リティスがラヴィーを羨ましそうに見ながら俺に言うのであった。「そうだね、ラヴィーにばかり良い思いをさせてられないよね。それじゃぁラヴィスの眷属として産まれた、俺と桜子の子供たちで誰が一番早くラヴィスのように俺を乗せることができるかな?」

と俺が聞くとみんなが競うように

「私がやる!」と言い出すので俺はラヴィにラヴィの子供で俺の眷属にしてない者達を俺の眷属にするように指示を出し。俺は俺の仲間でゼブレストで俺とラヴィーの結婚式に来てくれていた仲間や家族に、俺の国ゼブレスト王国へ来て欲しいと告げると。全員が、俺の国に行って国のために働くと言うので。

俺は全員を俺の配下として、俺は自分のステータス画面に新たに作った項目の【魔人支配】の『配下登録機能』を、使って俺がスキルを与えた存在と俺の眷属や配下になっていない者を区別して管理する機能を俺と俺の配下にした者たちが持てるように設定して俺は魔人族や魔物をスキルで俺の国に連れ込み魔人や魔物や動物や虫を俺の仲間にした者達を俺の支配下に置いてスキルを与え魔人化して、俺の配下の者を増やす事を提案した。すると皆が了承して俺の配下に登録し俺の配下となった者達に【従隷】を発動して強制的に従わせる事で、俺の国の民や俺の仲間を俺が支配する事が出来るようになったのだ。この国は俺の支配の力を俺のスキルの力と、俺とリヴァイアの力により人間と共存出来る場所であり。俺と俺の仲間のスキルが使えるようになり俺のスキルを使えなければ人間から魔物として討伐される場所である。

俺は俺の支配の力で俺と俺の配下の者や、俺に忠誠を誓った者を、俺が俺がスキルを与えていない存在は人間だと認識できるようにしたのだった。これはリヴァイアが魔族の中に人間が混ざっている事を不思議に思い聞いてきたから俺の眷属化していない者が俺の支配に入っていない者は魔物だと言う事にしたらリヴァイアは感心して驚いていたが、俺は人間だと認識できるようになったリヴァイアのスキルの事をリヴァイアに教えてもらい、その力で魔物や魔物扱いされている存在を俺の支配下に入れようとした事を説明すると、リヴァイアとリヴァイアの部下達やラヴィー達は喜んで賛成してくれたのである。俺と俺の妻達でゼブレスとゼブレスの妻達で俺の嫁や、俺の嫁に眷族になったばかりのラヴィー達と、リヴァイアの部下達でゼブレスを鍛える事を頼んだのである。

ゼヴィーは、リヴィーのスキルの影響でラヴィー達よりも、人間に近い見た目になっており。ラヴィーがラヴィーの子供を生んだのに。ラスティスがゼヴレドの妹ラヴィーの子供を妊娠していたのである。ラスティスは俺の娘のラティーの妊娠が発覚してから。リヴァイアは俺がラスティスとラヴィーの子供を生ませるのを楽しみにしているらしくて、ラスティスとラスティスの子供達の面倒を見ていたのである。俺はラヴィーがラスティスとリヴィーの子を出産してからすぐに、ラヴィーとラスティスとラスティスの子供も俺の眷属化と魔人化しラヴィー達の魔人核と、俺のスキルの力を使えるようにしたのだった。

そして俺の子供達を俺がスキルを使って俺が俺とラヴィーの子供達を眷属にしたことで俺のスキルが使えないように封じることも出来なくなったので。ラヴィーのスキルは眷属の魔族だけに影響があり、他の人間はスキルの影響がないので。ゼブレスの妻達も俺の眷族になっているラヴィー達から、ラヴィーのスキルの説明を受けてスキルの影響を受けず俺とリヴィアーネの加護を受けている桜子以外は、ラヴィーのスキルで俺に敵対する事ができないとわかったらしく。ゼブレストの住民を俺に献上したいという者も出て、俺はとりあえず今は保留にする事にし、リヴァイアがゼヴィーに俺が与える試練をクリアして俺が与えたスキルを使えるようになってからにしてくれと言うのだった。

ラヴィーとラスティスが、リヴァイアの眷属としてリヴァイアのダンジョンに潜り始めた頃、ゼブラスはリヴィー達にラヴィーのスキルで人間だった頃に戻して欲しいと言われたのであった。そしてリリィをリヴィ達に会わせようと思ってゼリアスに召喚獣のドラゴンに乗って来てもらい、ゼリアスを桜子に預けた後。俺の家族全員を連れてラヴィー達が潜っていたダンジョンに向かう事にしたのである。俺はまず最初に、リヴィと一緒にいたラスティスとゼブリードが魔族化した経緯を話して、二人は元々人間の子供だったので、リヴィから貰ったゼブレブ王国の国王の証と勇者の資格が無ければ俺の庇護下に入って貰いたいと話すと、二人共二つ返事で引き受けてくれたのである。

次に俺はゼブレブ王国が俺に牙を剥き、敵対した時の事を考えリヴィーが俺に敵意を持った時にどうなるか説明して、俺は二人の記憶を覗かせて貰うのだった。リヴィーがラスティスを魔族にしたので、ラスティスはリヴィーとゼブリンが元に戻った時にはゼブラストの記憶は消えていたらしい。しかしゼヴィーは魔素吸収の能力を得たことで、ゼブレブ王国はゼブリートとゼブラードにラヴィーが殺されてしまった。

「ゼブリちゃん!どうしてなの!」

とリヴィーは叫んで泣き崩れ。ラヴィーはそんなリヴィーを見て泣いているラヴィーに抱きついて慰めているのだが。ラヴィーがラスティスに視線を向けた瞬間。

「あ、あれ? お姉様は、どうして泣かれているのですか?」

「えっ!?」

「ん!?」

とラヴィーとラスティスとラヴィーの会話を聞いて。ラスティスはラヴィーからラスティスの方に顔を向けると、そこにはラスティスがいて。ラスティスは自分の体が元に戻っている事と自分が生きている事を知って驚くのであった。

「私は何故生きていて、こんなところにいるのか。」

とラスティスが言い出すので。俺はリヴィアーネにラスティスとラヴィーが魔族化してしまった原因を聞き出してから。俺はリヴィーの眷属になり魔人となった二人に【魔王支配】の『眷属登録機能』で、強制的に眷属登録をして強制的にラスティスはラヴィーの眷属にラヴィーはラヴィスの眷属にしてしまいラヴィスがラスティスに与えたスキルは眷属となった存在に自動的に引き継がれてしまうので、ゼブレスト王国ではラヴィーとラヴィーの子供しかスキルを使用できなくなり。ラスティスとラヴィーには、俺に歯向かわない様にする為にラヴィーが持っていた【全耐性無効】やラヴィーが使っていた魔法が、全て使えるようになりラヴィーの眷属になったので、ラヴィーの持っているスキルを全て使えなくなり。ラヴィーがラスティスをゼブルにしたのはラヴィーをゼブレスの眷属にする為なので。俺の支配のスキルはラヴィーの眷属にも効くようになっていたので俺は二人を強制的に従わせる事で。リヴィは二人が俺のスキルの効果を受けれるようにしてくれたのである。

俺はリヴィにお礼を言いリヴィにラスティ達をしばらく匿うようにお願いし、それから俺とリヴィアはラヴィーがリヴから聞いた魔人化できる薬が気になって。俺は【鑑定眼】を使い、俺が作り出していた薬の中に、それに該当する物があったので俺は【複製製造】で同じ効果を持つ物を造ろうとしたのだが。材料がないと言う結果が出たが【錬金術師】で作れる事が分かり、【錬金術師】を使ってその薬と同じ効果をもつものを錬成すると、完成して【賢者石】を手に入れていたのだった。俺は【賢者石(神)

ランク:神界級 神が創り上げたと言われている。

全ての能力値を一時的に上昇させる効果がある宝石 神界の神々ですら手にする事が困難な超レア素材】という物が手に入った。それをリヴィアと二人で試した結果。確かにステータスが上昇するし能力値の上限まで上げてくれるけど俺の眷属や妻達にしか使えなくて、しかも使用後は24時間は能力値は2割程度しか回復しないが、この世界で使う場合は無限に使うことが出来る。俺の妻達は皆リヴァイスからスキルを与えられているがリヴィーは与えていなかったので、リヴィーはリヴァイアから【魔力操作】やスキルを貰ったらしく。俺はリヴァイアから、リヴァイアは俺の支配の力でスキルを使えるようにした事を説明すると。リヴィーは凄い驚いていたが俺の支配の力を受け入れた上で、リヴィーもスキルを与えられる存在になる事に了承してくれるのだった。

そうして、俺が作り出したスキルで俺の配下達と、ゼブレブ王国の住民を、俺が俺のスキルが使えるようにしたのと同時に。俺の支配下になった者達は、ゼヴィーにゼブレストの王にならなければ、ラヴィーやリヴァイアに殺さると言って脅すと。ラスティスとゼブリートは、リヴィーが俺の妻で、ゼヴィーがラスティスの事をラヴィーに頼み込んだ事もありラヴィーはラヴィーの母でありラヴィーが大切に育てて可愛がっていた妹でラスティスを魔族化した張本人だからラヴィーはラヴィーを許せない気持ちもあるのだろうと。俺はゼブレスト王であるラヴィーからリヴァイアに、ラスティスをラヴィーに任せるように話してくれて。ゼブリートには、ゼブレスの代わりにラヴィーが育てたラスティスを育ててくれないかと言うと快く引き受けてくれた。

俺とリヴィアーネと、ラスティスはリヴィーにラヴィーに会わしてあげると言い。リヴィーとラヴィーの住んでいる家に向かった。

俺はリヴからリヴィーとラヴィーが住んでいた家に着き中に入ると。俺はラヴィーがリヴィと一緒に住んでいた時にラヴィーにラヴィーの母親だと紹介されたラスティとゼブルが目の前に現れたので、驚くが。ラスティスとゼブリードが元に戻って良かったと喜んでくれた。そして俺は二人に。

俺はリヴィからラヴィーがリヴィーの眷属にして魔人化して、魔族にされたと聞いて。俺も魔人化するのを躊躇していた。俺が魔族になると人間だった頃の自分ではなくなってしまのではないかと思って怖かったのだ。

だけどラヴィーが、俺にゼブレブ王国の国王になればラヴィーと、ラスティスとゼブリンを俺の眷属として、ラヴィーとリヴィの加護を受けれるようにできる。

それに、俺はもうすぐ寿命が来て死ぬ運命で、ラヴィーのスキルは俺が死ぬとスキルの効果が切れてしまい、俺はラヴィー達と離ればなれになってしまうが。俺が生きている限りは俺の加護が永遠に続いて。俺の子供も俺の加護を受けて産まれる事になる。ラヴィーとラスティスとゼブリンがリヴァイア様の眷属となり。ラヴィーとゼヴィーの二人の子供がラヴィーの孫となる事で、俺は自分の死と共にラヴィーと子供達と離れる事なくラヴィー達が死ぬまでラヴィー達にずっと一緒にいてもらえる事が出来るようになるのだった。ラヴィーは、自分だけ先に死んでしまう事を心苦しく思っていて。ラスティスやゼブリンにも幸せになって欲しいと願い。

俺はラヴィーの願いを承諾すると。ラヴィーから、ラヴィーの娘と孫を俺にくれると言われ。俺はラヴィーの願いを受諾する。そして俺が魔族化した際に。俺は俺の記憶を失うのは構わないから、ラヴィーは人間だった頃の記憶を失ってほしくない事を告げると。

リヴィーとラヴィーが話し合って。

「リヴィ。あなたは自分の記憶を失いたくない?」

「お母様。私、私の大好きな旦那さまの記憶を失わせたくありません。私が魔人化した時のように。今度は、お母様とラスティスが人間から魔人に変化するのですよね?私はそれが一番いいと思います。」

「でもね。あなたに記憶があるままで魔族になってしまったら。私を憎むでしょう?それで私はあなたのお父さんや家族を殺したんだもの。恨まれるのが怖い。リヴァがラヴィーに、ラヴィーがお母さんだって言う時に、リヴィちゃんはどうなるか考えたんだけど。ラヴィーはラヴィーを産んでくれた。本当のお母さんに酷いこと言われた時にリヴィちゃんはリヴィーの事をどう思うかって。ラヴィーの事を受け入れなかったら。それが原因で争いが起きると思う。リヴィーにそんな辛い思いをさせたくないもの。」

「私は大丈夫です。例え、私がお姉様に嫌われたとしても、お父様に愛されている事が分かるので平気です。それにお姉様は、お優しいからきっと分かってくれます。お祖父様はどうでしょうか?」

とラスティスはラヴィーの言葉を聞いてから、ラスティスとリヴィングを見渡しながら不安な顔をするのだが。リヴィは自分の意思を伝え。リヴィアーネと俺は、リヴァイアから眷属化の説明を聞いた時に、眷属化しても記憶は残るのを知らされていたので俺はラスティスと、ゼブリンを眷属化させて眷属になっても俺が俺でなくなることはないと説明して、ラスティスとリヴァインに魔族になる決意を固めさせるのであった。

「ラヴィーさん。お願いします。」

とラスティスは言って。ラヴィーが俺にラスティスを魔族にする為に。

【魔王支配】で俺に、魔族にする為にラスティスを強制的に従わせるのであった。そうするとラスティスは体から煙のようなものが出始めた。俺の眷属に強制的になったので【魔王支配】が効きだして俺の支配下に入り強制的に従わせられたので強制的に魔人化させられた事で。ラスティンに痛みが襲ったみたいだが俺は、ラスティスが痛そうだったので直ぐに治療をしたのだった。それから俺はラスティスを俺の眷属としたのと同時に、俺が作り出した【賢者石(神)

ランク:神界級 神が創り上げたと言われている。

全ての能力値を一時的に上昇させる効果がある宝石 神界の神々ですら手にする事が困難な超レア素材】が手に入った。それをリヴィアーネと、ラスティスに渡すとリヴィアーネもリヴィーと同じように【賢者石(神)】を手に入れた。俺はラヴィーにラスティスをラヴィーの妹として、俺の妻にしても良いのか確認してみると、ラヴィーもリヴィーが妹なのは嬉しそうで。

そうしてラヴィーはラヴィーの母親のリヴァイアからラヴィーを俺の眷属にしてほしいと言われて了承して、俺の眷属になる事になったのだった。俺は【賢者石(神)】の効果を説明して。リヴァイアにラヴィーからもらった物と俺が作った物をラヴィーとリヴィーにあげたのである。

俺とリヴィはラスティスとゼブリードにラヴィーが母親だという説明をし終えると。リヴァイアにラスティは俺の妻にしなさいと言われているのでリヴァイアから言われた通り、ラヴィーはリヴィが育ててきたラスティスの事はリヴァイアから頼まれたから、俺がリヴィと一緒に面倒を見てあげてほしいと言われるので。俺達は三人でこれからよろしくねとお互いに言い合った後、屋敷に戻ることにした。俺はリヴィアとラヴィーネの二人を屋敷に連れて行き俺の家族を全員に紹介することにした。

俺の嫁達やリヴィーとラヴィーが自己紹介する。

リヴァイアがラヴィーに。俺と夫婦になる事をラヴィーは了承しているか尋ねると、リヴィーが答えようとするが、リヴィが先に俺と妻になりたい事を告白して。リヴィーは恥ずかしそうにしていたのでリヴィが先に言ってくれて良かったと思ったのだった。リヴィに、俺がお前の気持ちを聞かせて欲しいと告げるとリヴィが。リヴァイアに俺と番になることを認めると伝えるとリヴァイアが喜んでくれたので俺はラヴィーにも俺と番になってもらうことを告げるとリヴィと同様に喜んで承諾してくれたのであった。

そして俺と、リヴィア、リヴィーの四人で。ゼブルのいる部屋に転移して。俺がゼブリートを呼び出して、ゼブレブ王国の国王になったと言うと。ゼブリ―トは涙を流しながら喜んでくれたのだ。ゼブレブ王国の王城に戻り、国王となった事を国民に発表したのである。

それから、ラヴィーの住んでいた家にラスティスとゼブリートが引っ越しして来て、ラスティスは、ラヴィーの妹になった。ゼブルとゼブリーは二人で王都に住むことになるが。リヴァイアが二人の家も用意してくれるという事になり、二人が住む家に行くと、リヴァイアの屋敷と同じ位の大きな家に案内されて驚いていたが。

ゼブルにはゼブラと一緒にラヴィーに料理を教えるように頼むと。ラブリーとゼブリートは俺達と別れてそれぞれの仕事に就く事にしたのであった。ゼブが俺達の家の使用人に二人を紹介すると二人は緊張していたので。俺の家のメイドと執事として働ける事を伝えたが、二人は少しの間だけここで働くと言い出し。

二人を落ち着かせてゼブに、二人が落ち着いた時に、改めて挨拶に来ると言って。その日は、使用人として働かせるのを後日にして帰っていったのだった。それから俺はリヴァイアに、魔族の国の国王の戴冠式をするから来てくれと頼んだ。リヴァイアは俺が国王として就任するのは良いことだから、行くのはかまわないと言っていた。それから俺はラヴィーが魔人化して、魔人化している時に、俺に【全能力値倍加 リヴィー HP100000000(+1億5000万/MP500000000(+500兆/攻撃力1000000(+1000万 防御力100(+50/素早さ10000(10/100万)

(スキル数1~∞まで増加)【状態異常耐性+++++(MAX/魔法力+30万)/経験値×3倍増 【獲得金額2倍にUP 【運勢無限大上昇(MAX/スキル成長率大アップ(∞)/スキル習得スピード大幅強化】

スキル熟練度超極大アップ スキル取得可能回数限界無し 全スキル解放 ステータス詳細鑑定可能 レベル上限開放】

スキル覚醒 【自動体力回復(自動最大化)

という破格のスキルを俺が勝手に付与した。俺が、こんなすごいスキルを付与したのを、聞いた事が無かったからなのか、みんな驚き過ぎて声も出なかったようで呆然としていた。

それからラヴィーは魔族化しても。人間としての意識があり記憶があるままなので、リヴィーは、自分が人間だった頃は、お母様に対して辛辣なことをたくさん言って傷つけた事を気に病んでいたのであった。でもお母様はリヴィの事を大切に思っている事がわかって嬉しかったですと言って喜んでいる。ラヴィーとリヴィは、俺の作ったお菓子を気に入ってくれて美味しいと言ってくれたので、俺達は魔人の国で、結婚式を挙げることになった。リヴァイアとリヴィも結婚式を挙げたがっていたのだがリヴァイアの時とは違い。魔族達がラヴィーの事を見て驚いて、魔人族最強と言われるラヴィーだと気づくと、みんな平伏し始め、ラヴィーは慌てて。リヴァイアにお願いしてラヴィーとラヴァイアが結婚して魔人化したら魔人族最強の座はリヴィーに譲りなさい。魔人族は強い者に服従するのが決まりだからラヴィーを魔王にするけど。リヴィーを魔王にするならあなたも私の妹になるのよと説得すると、ラヴィがリヴィーに。お姉様と呼ばせてあげるから魔王になる事を許すと言って。リヴィーもリヴィーの母親も納得したのであった。ラヴィーとリヴァイアは俺に、結婚式の準備を手伝ってもらっても良いですか?と言われ。リヴィーはリヴィーの母親に色々と教わり。ラヴィーと俺は、式の準備を始めたのであった。それから数日後。ラヴィーは魔人化に成功した。俺は魔人化が終わったと同時に、俺の妻にしたい者達を集めるのであった。

それから魔人の国の城にて、魔人族と俺の妻達に。魔族式の結婚式を挙げていただくために集まってもらい。ラヴィーは俺の婚約者で妻の一人になったのである。俺の妻は俺が集めたのが。俺の妻達とラヴィーだけであると伝えると。

みんなが、びっくりしていて。どうしてそんなに、早く集めることが出来たのか聞かれたので。まず最初にラヴィーの事でリヴァイアから、ラヴィーに妹ができたと聞いていて、それがリヴィと判明したからで、ラヴィーに妹ができて喜ぶだろうと俺の妻に迎える事にしたと説明した。それでラヴィとラスティを呼んできて俺がラヴィを俺の妻に迎え入れたいと思うのでラヴィーとラヴィーをよろしくねと告げると、リヴィは泣きそうになっていて、リヴィは、ラヴィが俺の嫁になっても問題は無いが、俺の妻になれなくてもラヴィと一緒だったらいいと、言うような事を話していたが。俺の妻になってほしい事を告げると。

俺は、二人をリヴィーと同じように眷属にしようと考えてラヴィーとラスティを、俺の眷属にするのであった。ラヴィーとラスティは突然の出来事についていけずに驚いていたが。俺は「俺はラヴィーも眷属にしたのだから、二人も眷属にならないか?」と言うと二人とも了承してくれたが眷属にして欲しければ、これから一緒に生活していくうえで夫婦として認め合うことも必要になってくると言うと。二人は了承して眷属にしてもらえる事になったのだった。俺は二人にこれからよろしくと挨拶をした。そして俺が二人を眷属にした後。俺は二人にも【称号:神獣契約】と【スキル:神龍化】と【スキル神域召喚】を付与すると二人は光に包まれ。光が収まるとそこにはラヴィーは白銀色の綺麗で立派な長い髪に。瞳の色が金眼になり。身体全体が白い鱗に覆われていて。手足が長く伸び。背中からは大きな白い羽が現れ。腰からは金色の竜尾と金色に輝く翼が出ていたのである。

リヴィはラヴィーの変身した姿を見るとラヴィーよりも美しい姿になっており。頭の上に角が伸びてて肌が少し青みを帯びている感じになり。腕も足も長くてスラっとした感じになっていたのであった。その姿はまさに天使と悪魔が混ざった感じだった。

二人には、ラヴィーはラティーと呼び。リヴィの事はラティと呼ぶように言い聞かせると二人ともわかったと言っていたのであった。それから俺は二人には夫婦で同じ部屋に寝起きして欲しい事を伝えると。二人は夫婦として認め合っているため了承してくれた。そして二人は俺と離れたくないと言い出し。俺が二人の側にずっと居るから大丈夫だよと話すと、二人は夫婦なんだから一緒にいないと駄目と言って俺の腕を抱きしめてきたので俺は困ってしまったが二人は夫婦になったから一緒にいたいんだと言っていた。ラヴィーは俺をじっと見つめていたので俺は恥ずかしくて目をそらしたがリヴィはそんな俺をみて頬にキスをしていたのだ!ラヴィーは俺の首筋あたりも甘噛みしてくる始末で大変だったが。ラヴィーも首や耳など所々噛む行為をやめないので、ちょっとだけ痛みを感じたのでラヴィーを引き離すことにしたのだが、それでもなかなか引き下がらなかったのだ!! 結局、ラスティスとリリシアとリーザ、それからラミリス達女性陣の全員に助けを求めてやっと引き離してくれたが。その後も、隙あらばキスしようとしてきた。そうこうしてる間に夜も更けてきて。今日はこの辺でお開きになったのであった。俺は明日からもこの調子で、二人が俺と一緒に居たいと迫ってくるのだろうか? 俺がラヴィア達三人の花嫁達とイチャイチャして、みんなに助けてもらいながら頑張ってる間。他の場所でも俺が呼んだ妻達がそれぞれの家族に結婚することを報告しに来ていた。まずは【海】から【シーサーペント王国】へ 俺の眷属にしてリヴァさんの娘になった【シードラゴン族長】のラオマがリリィのお母さん。【サフィニア国 王妃】

【リヴィー 】【リヴィーの妹 ラヴィー】

ラヴィーの妹 ラティがラヴィーと同じく【魔人 リヴァイアの民】に進化したがリヴィと同じ名前なので【リヴィ ラヴィー リヴィーの妹 ラヴィーの妹 リヴィの妹】と呼ぶことにする。【ラヴィーの妹 ラヴィ リヴィーの妹 ラヴィーの妹 リヴィ ラヴィーの従姉妹】【魔族国】の魔族最強と言われる【ラヴィー】が魔人化して魔族化したのだ!! 【魔人 リヴァイアの民 魔人】

俺がラオマを魔人化するときにリヴィーが。ラヴィーが進化する時に俺が【魔人の宝珠】を使ってしまったから俺の力でリヴィーは【半龍 リヴァイアの魔人 魔人】になってしまったの。ごめんねとリヴァイアに謝っていたが リヴァイアもリヴィーが人間では無くなったことを気にかけており。元々、人間を辞めようと思ってたらしいから気にしないわと言って笑っていた。

ちなみにリヴァイアはラヴィーがラヴィーに妹ができる事を喜んでいて、リヴィーに色々と質問していた。そしてリヴィーは俺が眷属化の魔法を使ったら、ラヴィの種族名が【半龍神リヴィー ラヴィーの眷属 ラヴィーの妹 ラヴィーの妹】となっていたのを見ていた。ラヴィーにそのこと聞くと。自分が半龍神様だから、自分もそうなってしまうと思ったらしく。私と妹が一緒になるためにラヴィーとラヴィーは私に協力して妹になってもらったのと俺に告白してくれたのだった。それを聞いて俺はリヴィーに「ラヴィーとラヴィーをよろしくお願いします」と言うと、リヴィーも俺の妻になったので「ラヴィーも私が守ります!」と言ってくれてラヴィーの側に行ってくれた。それからラヴィーのお母さんに挨拶すると。

リヴァイアはラヴィーの事も気に入ってくれていた。ラヴィーのことも自分の娘のようになるまで可愛がりそうだなと思っていたが。さすが母親で。ラヴィーのことを娘のように思ってるって言ってくれて嬉しかったよ。それから俺が眷属にしたのが。

【リリィの母親 アイネ】と、【アリエス王女の叔母 アリアンジェ】

リリィの母親は俺の嫁にするためにリリィの事を託された時、俺は初めてリリィの母親の顔を見たのだが。俺はその顔に見覚えがあった。それは前に俺の配下になった。ラミア族長のレミーヤが見せてくれた写真の人と同じだったからだ。それで、ラオマルにその写真を撮らせた人に心当たりがないかなと尋ねると。

その女性は【魔王様の妃候補 第三位の者】と教えてくれていた。

その人はリリィの祖母であり。ラミア族の始祖でもある人物で【龍人族長】でもあった【レイム=アンジェルド(愛称 レア)】だとわかった。そして俺とラヴィーが結婚したことにより、ラミア族は正式に俺の家臣になる事が決まっていたのだが。その時はラオマル達はリリアとクレアしか知らなかったために。まだ知らない者が何人かいて、その中にラヴィの母もいるから。そのラヴィが龍人族になったことも知らせるため。ラヴィはラヴィの母親であるレアに会いに行こうとしたが。ラヴィは龍の姿のままでも普通に入れるのか不安に思っていたが。俺がラヴィーに融合して一緒に行けば大丈夫と説明するとラヴィーは納得して、リヴィは龍神である母がいる場所に一人で行くのは嫌だったみたいで、ラヴィーと一緒に行ってくれるという事になったのだった。

リヴィがラヴィを連れて行ったので、リリシアが寂しくなったのでリリィを呼び出して二人に会わせると、リリィが大興奮していて。二人を見て俺の奥さんにしてもいいかと聞いていたので俺は二人とも嫁になってもらうと話すと二人とも了解してくれて嫁になってくれた。二人はリリシアの友達になってあげて欲しい事を告げるとリリシアとも仲良くなったのであった。

次は俺の妻ではないが【獣王国】の【獅子王国王 レオナール】の元に向かうため、俺はリリシア達に獣王国にいる獣王に挨拶をして欲しいと頼んでおいた。俺が転移して直接獣王国に向かった。俺が来ることが予想できたようで獣王国の兵士は出迎えのために整列していたが。その中にはラティの姉 ラティニアも来ており俺とリリシアとラスティスが俺のところに来たのだ。それから俺の側にいるラヴィーがリヴィーだとわかるとみんな驚いていた。まぁ当然だよね。俺は、ラヴィーに紹介するためにリリシア達と離れるように言うと、リヴィーとリティニは二人とも寂しがっていたが。

ラティーとリティニアがリリィの方に行くと、リリィがリヴィエラとラミレスにラティニアとラヴィーを紹介したあとにリリィが「お母さん達にもリヴァイアさんの事紹介していい?」と言っていた。俺はラヴィーのお母さんだからリヴィーに確認すると問題ないという事で、ラティ達とラミちゃんも交えてみんなで集まって自己紹介したようだ。

そうこうしていると。リヴィアがリヴィが側にいないと騒ぎ出したため俺はリヴィとリヴィアの二人の手を繋いでみんなの所に連れて行ったのであった。そしてラヴィもみんなとの仲が良くなって楽しそうで良かったと思う。

そしてリリィは俺の娘になるためには【竜神 ドラコニア】の力が必要だから。俺を師匠として指導してもらうようにラティが頼むと話しをしていた。そして【魔国】から【ドワーフ】の国へと向かっていった。

俺は、まずは【ドワーフ国 長老】と会いにいき、長老とラヴィーが会うことになり。リリィとラミちゃんとリビエラはラティ達に連れられて。【妖精族 エルフ族 】が住む【精霊界 妖精郷 ユグシル】へと向かった。リリィ達が行った後にリリィのお母さんで【エルフ族 女王】のアリアが挨拶に来てくれて、俺にリヴィアとラヴィーを俺の嫁に貰いたいと挨拶にきたのであった。

それから、【獣人国 国王 レギン 】が来て、レギィさんはリヴィアとラヴィーがラヴィーの妹 ラミにリヴィーだと教えると。リヴィアとラヴィーは驚き、すぐにレギィの元に飛んでいくと、レギィに「妹よ!会いたかった!!」と言いながら、ラヴィーが泣き出してしまったので。

リヴィが、お姉さまをよろしくお願いします。と言ってリヴィがレヴィーと抱き合って喜んでいて、その様子を見てリリィが羨ましそうな顔をしていた。俺とラスティでラヴィの肩に手を置くと俺達の方を振り向いたので、

「ラヴィーと仲良くしてくれるかい?俺も娘がもう一人増えたようで嬉しいんだ」

俺がそう告げるとラヴィーは、

「はい!!よろしくお願いします!!」

元気な返事を返してくれた。

次に俺が【エルフ族】の国の城に行くことにした。【ドワーフ国】の長老と会った時にリヴィアに、「私が行きたいのですがダメでしょうか」と言われた時に。俺もちょうど行こうと思っていたから同行する許可を出した。それから【精霊族】の住処の【精霊神殿】と、【竜人】の住む里に行くので俺は皆を連れて転移したのだった。そして最初に【霊神樹】に行ってリリィは霊神様と話をして。ラヴィーが、リヴィと融合できるのと【龍人 リヴァイアの魔人 魔龍】という存在になっていることを【精霊神殿 女神像】に聞いて、リリィが喜びのあまり泣いてしまった。

それから俺は、ラヴィーとリリィにラヴィの母親である【レア リヴァイアの魔龍 リヴィーの義理母】に会いに行きたいというので案内する事にしたら。その事を【神竜王】と【魔王軍】の面々に伝えておく。【魔王】であるリリィの母親なら当然俺の家族だしね。俺は、ラヴィーの事をレア様にも話してから。【エルフ族 女王】と【魔王 ダークロード】であるリリィの事をレア様に紹介するため。リリィと一緒に、【獣王国 王都 王宮】のレア様の元へと転移したのである。

そうして謁見の間に入るとリリィをみてレアは驚くのである。そして、レアがラヴィーにラヴィがリリィだと伝えると。リヴィーが涙を流し、ラヴィーと二人でラヴィに抱きしめていた。

リヴィーがリリィのことを本当のお姉さんだと思っていて。

嬉しかったみたいである。

俺はラヴィーの事は、俺の娘になったラリィとラヴィーに任せておいて大丈夫だと思い、今度はリリィにリヴィの事を頼みにいくと、俺はラヴィーが、俺の妻の一人になると報告し。それから俺は、リリィが【ドワーフ国 長老】のレギンさんに会いに行くので、護衛をするようにラリィとリヴィーに言って、【獣王国】に戻る事にした。

【魔王軍四天王】のラキシスに【獣王国】の事を任せるために俺はラキシスと、それからラヴィスとレイミーに。獣王国の【四護将軍(フォースジェネラル)

四大将軍(フォージェネラル)

】達と会ってくることを告げるために。それから、ラキシスにはリヴィエ達と合流して、獣王国の戦力増強について話して欲しいと伝え。レイミーは獣王国から少し離れた場所にいる【悪魔族】の族長達と会ってきて欲しいと頼んでおく。

そうして、俺は【竜王国】にいる【竜王団】のメンバーも一緒に【ドワーフ族 長老 ドレン=ルクス】の所に向かい。そして俺は。「久しぶりですね。リリィがお世話になっていますよ」と、言う。

するとリヴァイアが、リリィを見て「私も会えてよかった。可愛い孫ができたわ!」と、言い、

「これからもよろしく頼むな。俺の大事な家族なんだ。守ってやってくれ」と言うとリヴァイアが笑顔で。「任せておきなさい」と答えてくれたのである。そうして俺は、リヴァリエ達にラヴィを紹介すると。リリィがラヴィを見て「私の妹よ。仲良くしてあげて。」と言うと。みんなリヴィの事が気に入ったのか。リヴィエ達は、リヴィの友達になっていた。そうしてリヴィが「よろしくね。お姉ちゃん」とみんなに向かって言っていた。

リリィがラヴィを自分の妹のようにかわいがる姿を見て。ラヴィもお姉さんぶった感じで、みんなにいろいろ教えている姿がとても微笑ましく思ったのであった。

俺と【獣王国】に行く前に、【ドワーフ王国 王城】に行くことにした。リリアナにリリィとラミとリヴィの事をお願いするためだ。リヴィがリリアン達と一緒にいた。俺が来た事が分かると、リヴィが俺に「おかえりなさいませ。あなた。」「リリィは今どこにいるのですか?」

リヴィがそう聞くと、俺は。「ああ、ラヴィはリリィと姉妹として暮らしてるよ。二人とも同じ日に生まれて、双子として生まれたから一緒に育てて欲しいと言ったからさ。リヴィは、ラミの面倒をみてあげてくれないか?」と、話すと。

俺はラミが【勇者 リヴィエート】だということと、ラミはラヴィの妹だという事を説明した。

そしてラミが【聖剣 天叢雲】の適合者で。リヴィエート一族の末裔だと知ると、二人はラミと仲が良くなっていた。ラミのステータスを見たリヴィエールは驚いていたのだが。リヴィエールとラミもすぐに仲良くなって、俺がラミのスキルと称号を確認したらラミは、ラミとラミの両親は元々孤児だったそうで。その時、偶然ラミが【盗賊 シーフ 】で【神速 神技 縮地 瞬足 俊足】という。スピード特化のスキルを持っていたのが理由らしい。そうして、ラヴィーとラヴィーと仲良しの【ドワーフ国兵士長】にして【勇者パーティーメンバー】だった。【戦姫 アルティシア 】が仲間になり。ラミも一緒に行動することになっていたから俺と一緒で良かったと思う。それに、リリィとラミは、双子の姉妹だからか波長があったらしく意気投合していたのは驚きだったけど。

そうこうしてリリィと合流した俺は【竜帝国】に向かうのである。そうそうリヴァイアと俺の娘になることになったリヴィーも同行することになった。リヴィアは、俺と【獣王国】に行くことにしていたし、俺の娘になるために【獣王国 王城】に行ってから【ドワーフ国】に来るつもりだったからである。そして俺達は【ドワーフ国】で【魔王軍四大将 雷将 ライゼン=ロロット】と会い。【竜帝国】の皇帝に【魔王】になったことを報告をするのであった。

【獣王国】に帰ってきた俺とラヴィーとラヴィは【竜王国 竜帝 レギン=リュウエン】に会いに行くことにする。ラヴィーはリヴィの妹になったことで【魔王軍四天王 四護将軍 】を辞めることになっていて、その報告のためでもあった。

ラヴィーを俺の嫁にした時に、レヴィーの事を、ラヴィーにどうしたいのかという意思を確認して、レヴィーがラヴィーを娘にすることを希望したので、ラヴィーはレヴィーを母と呼ぶようになり。リヴィとも本当の姉妹のようになっていたのである。それからレヴィーは【竜王団 五獣隊 隊長】では無くなることも伝えた。

それから俺とレヴィーは、ラヴィーがラヴィーと融合できるのを知った時と同様に。俺も【竜王団】に誘おうと思ったが、ラヴィーは自分が、魔王軍四大将の一角である【獣魔王 ビーストマスター】であると知った時は、俺とラヴィーと融合することを承諾しないと融合できないということが分かり、融合できなかった時に【竜王団】に入る事を辞退するとラヴィーは言う。

ラヴィーは、【竜王団】に入りたいというより、俺の妻でありたいと言ってくれていたから俺も無理には誘うつもりはなかったが。

ラヴィーは、自分が【魔王 ラヴィーの魔龍 リヴィーの魔人】だと知り。魔王軍の魔将の一人だったことを知って。俺が妻達全員を幸せにすると約束している事と、自分もリリィと同じ気持ちだったからこそ融合したいと願ったことを伝える。

ラヴィーとリヴィーの融合の件は俺とレヴィーしか知らなかったからラヴィーが【四獣将軍】の席を降りる事もレヴィーが許可を出して了承してくれたので。レヴィーがラヴィーとリヴィーを部下にするという形で。

【竜王団】の副将にラヴィーが就任し。レヴィーの副官として、【竜王団の参謀】に就任する事が決まった。これで正式に俺は。レヴィーにラビィとリヴァイアを紹介した事になる。その後、俺はラヴィーに【四獣将軍の位】を与えるために四獣王のリヴィエ達に会わせた後。

俺とレヴィンとレビーと一緒に四大将軍の面々に会いに行き。俺は、リリィやレア様同様に四大将軍達にも紹介をしたのである。その後、ラヴィーが正式に【魔王軍四天王 四護将軍 護将鬼(ごしょうき)】に就任してから、ラヴィーは、ラヴィーが仕えるリヴィエ達の所へ行き挨拶をしたのであった。そして俺とラヴィーが【ドワーフ国 長老 ドレン=ルクス 】と会うために向かう前に。俺とラヴィーとリヴィは【獣王国】に少し残ることになるが。ラヴィーは俺に。リヴィエ達にリリィの護衛と世話を頼んだことを告げて俺達は出発したのである。ちなみにリリィとレア達は今頃、レギンさんとリヴィエとお茶会をしているだろう。

それから俺とラヴィとラヴィの3人は【竜王国 首都】にある四護将軍(フォージェネラル)の館に向かい【四護将軍(フォージェネラル)

四大将軍(フォージェネラル)

達 】に会っていたのだ。そこでリリィの近況を聞いていたのだが、俺の従僕達と俺の家族になったリヴィーの姉妹がとても可愛くてみんなに好かれていたことを聞いたので。俺は嬉しく思った。俺達もこれから【竜王国】に戻るからと伝えて。俺は四護将軍達と別れると。

俺はラヴィーと一緒に【竜王国 竜帝 竜王】の元に向かい。リヴァイアのことや【竜王国】の【竜兵騎士団】の編成について話したりした。ラヴィーが俺が連れてきたリヴィのことを「私の姉」だと伝えると、リヴァイアは、俺とラヴィーが結婚したことは知っているからか、 リヴァイアは「私はラヴィーを自分の孫みたいに思っているのでよろしく頼むな。お義父さん!」

と言ってくれたので俺はリヴィのステータスを見せながら。

「実は、ラヴィーとラヴィは双子でね。リヴァイアも、双子で長女の【リリヴィア】っていう名前の妹がいるんだよ」と、言うと。

リヴィはリリヴィアとは、会ったことがないと言う。

なので俺は。ラヴィーが【獣王国】に来る前に、俺が、リリヴィアを連れて来ようと思っていると言うと、俺がリリヴィアを呼ぶことにリヴァイアも賛成してくれたので。ラヴィーとリヴィにリリヴィアのことを任せることにしたのであった。それから俺は【竜王国】を出る前に【魔王城】に顔を出しておく。そして【魔王城】にいる全ての配下に「今まで留守番をしてもらったがこれからは、自由に動いて良いよ」と告げる。すると皆が一斉に動き出して喜びだしたので。みんなも自由に動くといいと告げて俺もリリィと子供達の元に行こうと。俺はリリィと子供達に会いに行くのだった。そして俺は、リリィと子供達と再会を果たしたあと、一緒に温泉に浸かりながらゆっくり過ごす。その後は俺とリヴィは【ドワーフ国】に向かったのである。そして俺は、俺とラヴィの娘となる事になったリリヴィアを連れた俺は、リヴィに、【獣王国の王城】に来てもらうようにお願いしておいた。それから俺は一旦、【ドワーフ国】の王都に戻りリヴィがラヴィーと一緒にドワーフ国の城にくるのを待っている間に【魔王領 魔王城】に行き、【ドワーフ族】にラヴィーと融合したことで。レベル上限が上がって、更に俺の加護を得たことによって俺と同じように。俺が創り上げた種族のスキルが全て使えるようになっているので。俺はラヴィーの種族は、この世界で最強種の一つになるのではないかと考えてしまうのであった。

俺とラヴィーの娘のリリヴィが来た事で。俺達家族は【魔王城】で一泊し。翌朝、俺達とラヴィーとリリィは【ドワーフ王国 王宮】に向かい、リヴィーの事をドワーフ族の王に説明するために会いに行ったのである。そうすると俺とラヴィーとリリィにそっくりの双子の姉妹であるリヴィの事を俺から聞かされた王は驚いていたのである。俺とリヴィが似ていることについて聞くために。王が聞いてきたから俺は答えたのである。俺は、リヴィが俺の娘になった経緯を話したら。王は驚いていたけど。その後、王様は、【勇者パーティーメンバーだった四大将軍(フォージェネラル)のリヴィエ ラミエ ルクス ミシア の4人にリヴィーを紹介する。すると、リヴィーは四大将軍達に俺の娘になったことを伝えたら。ラミエは、俺とラヴィーが夫婦になったことを知っているから驚きはしなかったが。

ルクエは驚いていて。ルミアは、リヴィーの姿を見て可愛いと褒め称えていて。リヴィエは、俺に。四大将軍の席を譲った事もあってリヴィーに対して丁寧な態度をとっていたので、俺の言ったことが真実なのだと感じていたようである。

俺とラヴィーも王と謁見した後。俺とラヴィーと娘達は四護将軍達に呼ばれ。そこで俺が【獣王国 竜帝】であることを伝えると四将軍達が驚く。

リヴィエが俺に、四大将軍達のことを伝え。四大将軍達を俺に紹介する。

リビエから紹介された四大将軍達の内。【獣将軍 ビーストマスター】で。【四天王 魔将軍 】のリリヴィア=ライラック=リュウエンが俺とラヴィーを見て。俺とラヴィーと似ていてびっくりしていたようだ。

俺は改めて。四大将軍達の前で俺の正体を話す。

すると【獣将軍 ビーストマスター】であるリリが俺が四大将軍達に俺の本気を見せたいと話す。

俺とラヴィーと娘のリリは、ラリヴィエ達に連れられて。地下闘技場へと行き。俺の強さを見せつける為のバトルが始まった。そして、リリは、俺に【魔眼解析】を使って能力値を確認し。俺に勝てると思い戦いを挑んできたが。俺は、リリが魔人化した姿になり。魔将の力を発動すると。魔人の力によって得た力で俺に襲いかかってきたのだ。俺は、その攻撃を軽く受け流すとリリは。俺を倒せないと思ったのか魔人化を解除して。

俺に魔人の力を解放してほしいと願うのである。俺がそれを断ると。

リリは泣き出したが。リリには悪いと思ったが四将軍達が見ていたので、そんな姿を見せられないから泣くのを我慢して欲しいと言って。

俺は仕方なく。四将軍達の前なのに、魔将の力が開放されてしまうことになる。

そして四将軍達や。

四大将軍達まで俺に戦いを申し込んできてしまう。

結局俺は【獣王国】にいる間。四大将軍達の訓練に付き合い。四天王達との特訓に付き合わされることになるのだが。俺は【四獣将軍】全員の実力を確かめるために全員と戦ったのであった。俺に負けても落ち込むようなこともなく全員の表情からは、悔しいという気持ちなど微塵もなくて。むしろ喜んでいたくらいだ。四天王と四天王候補達に勝った後で四護将軍の二人と戦う事になるが、四護将軍のリヴィエはともかくリリヴィアは戦闘が得意じゃないらしいが。ルクスと互角以上の戦いを見せたことから。他の三名の将軍より遥かに強く。

【獣王国 竜帝 竜王】でもある俺との戦いでも、ラヴィーの【眷属】となった事による恩恵なのか。それとも元々の素質によるものかわからないが。ルクスとほぼ同等の力でルクスと戦って。ルクスに勝利するほどの力を見せてくれたのである。リヴィに俺は、「これからよろしくな」とだけ言い残し。

俺はリヴィとリリを仲間にして。

【獣王国】を出て俺達は【ドワーフ国】に向かう。

俺は【獣王国】で手に入れた。四護将軍達の武具と防具を【鍛冶師】のジョブをもつ。【獣王 ライオン 獣戦士】の【獣将軍】であるレヴィンに渡し。四護将軍達の新しい鎧をレギンと共に作り上げて貰う事にしたのだ。四護将軍達の武器は俺の従僕の【鬼姫将軍 鬼武衆】の【魔王軍 四大将軍】で。

【魔王領 魔王城 】に残り俺達のサポートと、魔王城を守ることになった【鬼帝将軍 キオウ】と。俺の配下に加わった【魔将軍 デーモンマスター】で【四護軍将軍】の四人に、装備してもらうことにしたのである。四将軍に渡すのに。俺は、リリィが着ている物と同じ。

白と青を基調とした。白い翼の生えた【獅子の衣】。黒い鎧と青い具足を身に付け。頭は額にはめ込まれた宝玉がある銀色のヘルムを被っている姿になるのだが。これは。【神装機竜 ドラグーン】を呼び出した際の姿で現れる時の見た目と同じである。

リリィにも、今来ているのは俺の妻の証でしかないと説明をして。

今は俺と融合した時に身につけている【吸血(真祖)】の姿に変化させているだけで。普段は普通の女の子のような格好をしているだけだと言うとリリとリヴィは、 リヴィは少し残念そうだったが。リリィがリリヴィに「私のお古の【聖女服】をあげるわ」と言い出して。それからリヴィは俺と融合してからリリヴィアに。融合してリリィと一緒に過ごすうちに、【勇者パーティー 】にいた時には見せたことがなかった。笑顔が溢れるようになっていた。

リリはラヴィーの妹でもあり。双子であるラヴィーとは性格も似ているらしく。

ラヴィーが、リリヴィアが俺の娘になったことを話すと凄く喜んでくれて、すぐに俺の娘になることを望んでいたようだ。

そしてリヴィが俺に、【四獣将軍】達と戦いたいと言ったら。俺は、【四獣将軍】達と手合わせしてみることになったのである。そうすると【獣王】であるリリが。四大将軍の四人に自分の相手を選んでいいと俺に告げたから。俺は、【獣皇将軍 獣王】である【獣王 ビーストマスター】である。リリを指名した。

そうすると四将軍の一人【獣騎士 グリフォン】の リウに【獣王女 フェンリル】のリリアと、もう一人の四将軍 【獣司祭 フェニックス】のリシアが選ばれたので、三人を相手に戦うことになり。リヴィの実力を見るための手合わせの意味合いも兼ねていたのでリヴィの実力を確認するため。リヴィは三人の相手をすることになった。まず最初に。リリと融合した状態のリヴィは。獣人達が束になってもかなわないほどの力を持つリリと融合したことによって、俺の眷族になったことで得たスキルをリリの種族固有の能力で使うことによりリリィと同等の能力を得たことによってリリが使える【魔法創造 マジッククリエイト】によって生み出された。固有魔法の技能の一つ【魔力障壁】を使ってリヴィの防御力を上げると。【獣王 ビーストマスター】のリリが持っている【幻霊操術】を発動するのである。【獣王の威圧】という、【獣王】だけが使えて【覇王】の【魔王】と対等以上の力を秘めたスキルが発動されるのであった。

リリと融合しているからなのか? 【魔導皇帝 マジェスティックロード 】である、【吸血鬼真祖 ヴァンピールヴァンパイア ナイトメアプリンス】の。ラヴィーが使った時と同じように、俺の目の前にはステータス画面が表示されて能力値が表示されるのだ。俺はそれを見てみると俺の知っている。この世界の全ての人よりも強いことが示されていた。しかも四将軍の四人の内。

俺が最初に戦った【獣将軍 ビーストマスター】であるリリは、獣人や獣の魔獣などを使役することが出来る【テイマー】の上位職で、テイム出来るのが。リリィが連れて来た、あのスライムや、ホーンウルフ達だけでなく。

【四天王 四天王】として、四将軍の【魔将軍 ジェネラル】の配下の魔人と化したリリの魔物も、【テイマー】のスキルで支配下にあるようだった。

俺はラヴィーと戦っていた時から感じていたことだが。【魔将将軍 デモンズロード 】であり、俺の妻の一人であるリリに。【魔将軍 デーモンロード】の力を与えたことで、ラヴィーが従えられるのと同じような強さになったようだが、それだけではない何かを感じるのだ。それが何なのかはまだはっきりしていないが俺の能力の一つである。【絆視】の力を使いラヴィーが倒した魔人を眷属化して従えて、その能力を見ることが出来るようになった事でわかったのでそれを四将軍達とリリィ達に教えることにする。俺は、リヴィが倒した、あの黒い肌に赤い瞳を持つ。角を二本持つ魔人がリヴィアの支配下にあって俺の前にやって来たのだ。俺はそれを見て驚いた顔を見せるとリリィ達や。リリと融合していたリヴィは、それを見て。驚くが。俺は、ラヴィーが【魔将軍 デーモンキング】を倒して【魔将】の力を手に入れた時に得た能力【支配の眼】を使ってリヴィを倒した魔人の意識を、【服従の首輪 スレイブチョーカー】でリリィに着けるように指示を出したのである。俺が【魔将】を捕らえろと命令したのでリヴィは素直に従うとリリと融合したままで魔人の男から魔将の力を奪い取ったリヴィが首輪を嵌めてリヴィの支配下に置かれたことを確認できたから、リリィに、リリを俺の元へ呼び出すように命じた。リリの魔将の力を奪った後に、その力を解放して、その力を解放したことで【四獣将軍】達の身体から放たれた闘気が、魔人から俺に注がれてくるのを感じていたから、俺は【精神耐性】の力で無効化しながらリリの【服従の首輪】を発動したのである。俺は【魔将軍】の力を、完全に自分のものにしたことで、新たに獲得した【四将軍】というスキルを使うことができるようになった。

俺に、従僕となった。【魔将軍 デーモンロード】のリリが、従えることが出来る【四獣将軍】という四体の魔物は【四天王】と同じ扱いで。

【魔将】がリリで、【将軍】の配下となると。【四天王】の配下で、四天王が配下にしている。魔物と変わらない。しかし俺には、その【四天王】と同等に扱わなければならないと理解出来た。何故なら。ラヴィーは俺の従僕の中だとリヴィと同じ【四天王】であるのだから。

そして俺は【四獣将軍】の称号を得て新しく取得した。【四獣将軍】の技能【召喚 コール サモン】で呼び出したリヴィが俺に告げてきたのだ。

「ご主人様。私は。私達を殺したあの男を殺します! 私が、この手で。奴を殺してきましょうか?」

そう言うとリヴィはリリと融合し【聖騎士服】と【戦女神の盾 ヴァルキリーシールド 】を身につけると。【魔剣 セイクリッドブレイバー】を片手に持ち駆け出して行った。俺が止めようと声をかける前にだ!! そうして。

俺の従僕の一人でもある【聖女騎士服姿のリリィ セイントナイト】と、同じく。俺の妻の一人で、【四獣将軍】の一人【獣王 ビーストマスター】である。リリは俺の制止の声を聞かず。リヴィの後を追うように、【魔槍 ゲイボルグ】と【魔斧 フラガラッハ】を手に取り、俺の元から離れて。走り出してしまった。リリィが追いかけるように【魔弓 アイオーン】を構え矢を放ち。それに続いた。

そうすると。他の四人も。それぞれ。

【魔剣士 ナイトソード】

の。リシアは、腰に二本の大刀を下げた姿で、 【魔闘士 ストライカー】の。レシア も 【魔道師 マジシャン】の。リリアは、杖と、先端に魔石が付いている長めの鞭を装備して。

そして【魔導機兵 オートゴーレム】の。リシアの配下の。四体に。リシアの護衛を命じて送り出した後。【四獣将軍】の一人である。俺の娘でもある。【獣王女 フェンリル】であるリリは。

【獣戦士 ビーストソルジャー】の。リヴィを追って。俺に許可を取る事なく。飛び立っていってしまった。

俺はリリィ達を俺のもとに呼ぶ。【血の共鳴】を使って俺の元に来させるとリリィ達は俺が。リリィ達に向かって【四獣将軍】達を倒さなくてもいいから戻ってこいと言ったのに俺の言うことは聞く耳を持たなかったのである。そうするとリリィが。

【獣皇将軍 ビーストマスター】である。リリの事は俺の大切な仲間であり家族なので自分達に任せてほしいと言ってきた。

俺はリリィ達がリリと融合した状態で、【四獣将軍】である。

リヴィとリリアにリリと融合した状態のまま戦いに向かった。

俺はラヴィーに俺と融合することで、【四獣将軍】の力を手に入れたリヴィが【四獣将軍】を皆殺しにしてこようとするのではないかと思い、リリィ達の実力を見定めるためと。リリィ達も俺が【魔王】で、【覇王】であるので俺の力がどのくらいなのか知っておく必要があると思ったのである。

【獣騎士 グリフォン】の。

リシア 【獣王女 フェンリル】であるリリも、俺の嫁であるのと同時に。俺の眷族である。リリィやリリア、ルシー達のように眷族になるのは簡単だが。リヴィアの場合は、元々俺の血族の【ヴァンパイア】の王族であったのだが。俺の眷族になって、吸血鬼になったわけでもなく。もともと、吸血鬼族の中での階級の高い。【始祖吸血鬼 真祖ヴァンパイア ロード】であったので。吸血鬼族の中でも特別なのだ。なので俺に眷族として迎え入れられて、リヴィの場合と同じように。従僕の契約が結ばれた。リヴィと融合したリシアは俺のことをマスターと呼んでいて、リシアの従者の【魔剣士】のリシア配下の【魔人 ヒューマン 】達も俺の事を。リリィやリリィと融合したリリ。リヴィア達や。四将軍以外の配下の者も。俺の事を呼ぶ時はマスターと、呼んでくれるようになった。俺がそう呼んだ方がいいだろう? と言うと皆。喜んでそう呼んでいるのだ。

ラヴィーとリヴィーが、【真紅帝国】を乗っ取った後にリリィが。俺の眷属にしたリヴィーの部下とリリに。ラヴィーが融合していたのと同じ様な状況になったら、眷属にされた魔物達が暴れだすのではと心配したが、大丈夫なようだ。リリに、【魔将軍】が【四将軍】の力を吸収出来るかどうか聞いた所。ラヴィーの話ではリヴィの配下はラヴィーに、【魔将軍】のスキルを吸収してもらったらしい。リヴィーが、俺の妻達全員を俺の眷属にし終えるまでに。リヴィ達から力を奪った時に奪った力で。従僕とした【魔将軍】の力を完全に自分の物にしているそうだ。リヴィの配下達からは、既にその力を奪っているので問題ないらしいが。

問題は、ラヴィーの配下達や。四将軍だった魔物達である。四将軍達は。俺の妻の誰か一人に俺が触れていれば。妻となった者は、俺の力の一部を共有でき、従僕とする事ができるので。俺は四将軍に、妻にしてくれと言い寄る魔物を片っぱしから殺していたのである。俺が【テイム】する前から従えている魔物以外は俺の支配下にはないので。【四獣将軍】達を殺せと命じても。命令に従うかどうかは俺の支配下の魔物次第だったのだ。四将軍達に、俺の力を試して見たいと伝えた上で、俺の支配に抵抗すればそのまま死ねば良いだけなので好きにしろと告げると。

【四将軍 デーモンロード リヴィが四将軍の中から選んで俺の支配下に置いた魔物達で俺に挑んできた。

四将軍はリヴィーの力によって【四獣将軍】というスキルに進化したことで、その能力値も大幅に上昇していたが。

【勇者 剣聖 神獣 武王】の称号を得ている俺にとってはたいしたことはないが。

俺に忠誠を誓った者でなければ。俺は、その者の魂まで支配できるのだ。

しかし俺はこの四将軍の配下達を殺してしまわない。

俺の力の一部を与えたまま。

【従魔】にしたいと考えているからだ。

四将軍を【テイム】し終わった後。リヴィが、俺が四将軍達を殺した場合と。生かした場合とでどう変わるのか知りたがっていたからである。そうするとリヴィはリリィ達を見て、

「やっぱりお母様が選んだ人は。私達と違ってすごいね! こんなにあっさりと【魔将軍】を殺すんだもの!」

と感心するように言ったのだ。すると俺の目の前にいる。四人の美女の【魔剣士】の格好をしたリシアが、

「それは、私達とリリィ達の力量の違いだ。それに。マスターの本当の力はこんなものではないのだ。だから私はお前が心配になりついて来たのだ」

そう言うとリシアは。リリの配下の者達と一緒にリヴィが四将軍を倒した場所に俺を連れて行こうとしている。そして俺がリヴィに尋ねると。

「リヴィが今。リヴィと融合したリシアが。リリィが、ルシーが、ルルが。私達の主人がこの程度ではないと言っていましたが?」

そう言われてしまうと俺は。何も言えなかったのである。俺が黙り込んでいるとリシアが「ほら! もう見えて来たわよ。この先です。私達の主君は! 私達四人と【四獣将軍】は従僕となる時にそれぞれ、従僕となる相手に血を与えて従僕の証を与えるんですよ! 従僕の首筋にある噛み痕がそれですね!それが消える事はないんですけどね! マスターには。私がリヴィ様に、ルリ様、ララ、ルルが私の主となってくれました」

俺はそう言うとリヴィと融合した状態になっているリシアに抱きついた。リヴィ達もそんな俺のことを微笑みながら見守ってくれていた。

俺達はリシアに案内されて、森の中に進んでいくとそこは、四将軍達が、リヴィと戦っている場所であった。そこにはリヴィーと融合してパワーアップを果たした。リヴィの従僕の四体の。

【魔剣士】の。

リリ がリヴィの配下である。四将軍である【獣魔将軍 ビーストジェネラル】である【ダークネス ナイトメアリザードマン】と戦おうとしていた。

四将軍の一人である【聖女騎士 ヴァルキリーセイントナイト】のリシアは俺にこう説明してくれた。

リヴィは、俺との眷属融合を行うと【聖魔将軍】として、種族が変わってしまうのだが。俺の妻の一人でもあり。元々の職業でもある【魔剣士】でもあるため融合後もリヴィのままであり。しかも四将軍の中でも特別な存在であったため。融合したとしても【魔王】である俺の力の影響をうけることはなく。今まで通りに行動することができると。ただ、融合することで得たユニークスキル【四獣将軍】と、リリィ達と同じように【四獣将】としての力を得ることができたそうだ。リシアは四将軍として【獣王国 フェンリル キング】リシア配下の部下四体も。俺の【テイム】の対象として受け入れることを許可してもらったのだ。俺はリヴィに許可を出すと。俺の従僕となった【四獣将軍】は俺の事をマスターと呼んでくれるようになったのである。俺のことをマスターと呼んだ四将軍の内の一体が俺の前にやってきて。

俺にひざまずき。忠誠の誓いを立てたのだ。その姿を見て。俺はリヴィの配下になった四将軍と四将軍が従える四将軍の配下達も。俺の従僕にしてしまえばいいと考えてしまい、四将軍とその従僕達に俺の支配下に入るように言い放つと四将軍の従僕達が、一斉に膝を折り俺に頭を垂れたのである。そうすると他の四将軍達と四将軍の従僕達も俺に従属することを願い出てきたのだ。四将軍に忠誠を誓っているリシアも四将軍達と同様に。四将軍が仕えるべき王であり、夫である。【覇王】俺に忠義を尽くしたいというと。

四将軍と四将軍の部下である四将軍の部下の配下である【四獣将軍】と、四将軍とその配下である従僕達は皆俺に対して【真祖ヴァンパイア ロード ラヴィー】の【吸血(始祖)】の力で俺の力の一部を分け与えられ、眷族として契約した状態になったのだ。

リヴィに、これからリヴィ達を。四将軍と【魔将軍】と、配下である従僕達は、どうするのか聞くと。リヴィは、四将軍が、【四霊将】の力を持つに至ったことを【魔将軍】であるラヴィーに知らせると。四将軍は俺から貰った力を試してみたいとラヴィーに伝えたようだ。するとラヴィーは俺から分け与えられた力の検証と訓練をするために俺の妻である。リリアや。【神人族 エンシェントヒューマン】のリリに、リヴィアも一緒に四将軍達と従僕達と従僕である四獣将軍の配下の配下である【四獣将軍】を引き連れて俺達の本拠地に向かった。

俺はラヴィーに、自分の配下の配下にした者達には。その者達の能力を上げる効果がある【経験値上昇】と言うスキルが使える事を教えたので、リヴィーがラヴィー達を連れて。四将軍と従僕達を引き連れ俺の領地に戻って行った。

それから、俺達は食事をした後にそれぞれの部屋に行き寝たのだった。俺が部屋に入ると、リリィ達四人が待っていたのでリヴァイア達にもしたのと同じ方法でリヴィ達を妻にすることにした。

リヴィは、自分の力の一部が俺の物となったことで。自分が【真祖】の力に進化できたことと。四将軍の力が統合したことで自分のステータスが大幅に強化されたことに驚いていた。リリィ達はリヴィの力を取り込んだ事で自分達自身の力が上昇したことに喜んでいたのだ。

リリィ達に聞いたところ。リシアから、自分達は。俺の嫁になる前からリシアの【四神】の力を受け継いでおり。【魔剣】を【勇者の魔導剣】に変化させたり【魔闘衣】を着込むとリヴィのように魔法を発動したりすることが出来るのだ。リヴィは【四神】の力は使えなくても【魔剣 エクスカリヴァーン】を扱う事が出来る。リリィも、俺の作った刀で俺と一緒に戦うことが出来る。リリィが使う。この刀の名は【白龍の妖刀】と言う。これは、リリィが、自分の魂を、リヴィーと融合したリシアの分身体と共有化したことによりリシアが所持していた。【大罪の宝玉】の一つが変化したのだ。そしてリリィが持つ刀と。俺の所有する刀が一つになることで。【七つ至福】の一振りが【六芒星の極 七つの幸せ】に変わるのである。この二つの武器はリシアと融合し、【神魔竜の宝珠】の力によって融合して一つの神魔剣となっているのだ。

【四神 玄武】

青竜が、四神の玄武に姿を変えたことで四神は【神格解放】で神魔竜へと変化する事ができるようになっている。

【聖魔将軍 ヴァンパイアロード】リヴィーが進化した姿である。【魔剣】を使う事も出来、【吸血鬼】の上位種である【魔将軍】の種族スキルが、進化したことで生まれた種族固有スキルは、【血魔術】が、進化した【魔吸】が使えるのだ。他にも、【血の結界】も使用可能となり、魔力を込めた血の杭を相手に打ち込みその者の血液を全て吸い取り相手を死に至らしめたりできる技も習得したのである。ちなみに血の槍を作り出すことも可能になっている。

四将軍の配下達は、 【聖女騎士】

リシア リリィ達の配下の配下達 四獣将軍と配下の部下達 リヴィとリリィの配下の配下達も【魔王軍四将軍 魔将軍 魔魔将軍】ラヴィー リヴィーが融合した状態であり。融合したことによって【魔王 カオス】に【魔王 サタン】【魔王 ルシファー】の二つを合わせた【混沌の魔帝】の職業と称号が使えるようになったのである。さらに【魔将軍】の特殊進化先の最上位である。【魔元帥】という存在になったのである。

そして四将軍は、全員【眷属融合】が出来るようになり、お互いが【融合】することによって【融合体】を生み出すことができる。

四将軍の部下である四獣将は【魔剣士】【魔戦士】【魔拳士】の三タイプに別れた。

四将軍と眷属化した。リリとリリの部下達。眷属化してない従僕の四体は【魔剣士】だ。眷属化してる四獣将達は【四獣将】なのだ。リリィ達配下になった。四人のリリはリリの部下と従僕になった者以外は全て、四将軍達と同様に俺の妻になっている。四獣将と眷属になっていない従僕達は俺と妻達が認めた相手のみ結婚を認めようと考えているのだ。俺は俺と四将軍の配下達が【テイム 】出来るかどうか試したが、四獣将は無理だったが、四将軍の配下達に関しては【テイム】することができたのだ。

「みんな! これからお前達と俺とで訓練をしたいのだが。付き合ってくれるか?」と、俺が言うと四人は笑顔になり、それぞれ名乗りを上げたのだ。最初に手をあげたリリィが言う。「はい。私がお兄様の教官です」と言い。それに続いて他の四人が言うと、リリィが言った言葉を聞いて、四人がリヴィーに嫉妬するのであった。そんな様子を見て、ラヴィーやリヴィーと融合している。リリィの融合体のラヴィーと融合していない。四人のラヴィーがクスッと笑っていたのである。その後リヴィに案内されて、訓練所に向かうことになった。訓練所で訓練をしている最中も、ラヴィーと融合している四人の女性達は俺の事が気になって集中できていない様子だったので、俺の方からリリィ達四人にお願いした。

俺は四人に、まずは自分自身を【テイム】するように命令したのだ。リリ以外の三人の【魔剣士】であるリリィ達は俺の頼みを聞き入れたのである。リリィが俺にキスをした時に俺は【テイム】を完了させる。そのあとは、四人で訓練をするように指示するとリリィは俺の指示通りに四人を訓練場に連れていき、訓練をさせていたのである。その様子を見ていたリヴィーは、自分だけが俺から特別な扱いを受けた事に不機嫌になっていて。リリィ達と仲良く訓練をしていいと言ったのだ。そしてリヴィーが融合を解いてリリアの肉体に戻ることを告げたのでリリアは俺と離れることを嫌がり、俺から離れずリリィ達四人が、ラヴィアの眷族となったことにより。眷族スキル【精神防壁】を使って。俺が許可するまでは絶対に外れないで欲しいと伝えると渋々納得して。リヴィーに、融合を解き。リリアの姿に戻ったのである。リヴィーの見た目の変化は特に変化は無かったので特に何かを言ってくることもなかったのである。俺はそのまま、俺の従僕達も【テイム】を行い従僕にしてから自分の屋敷に帰って眠りにつくことにした。

そして朝を迎えたのである。俺は朝食後にラヴィーとリリィに訓練をするように伝えて。リリアと一緒に、【魔界】に旅立とうと考えていた。しかし俺の考えとは裏腹な結果になってしまったのである。リヴィーが、【神格解放】して【真祖の血脈】の力を得た事と、ラヴィーと融合したことによってラヴィーが、四神と融合したことによって得た力の検証をするために。リリィ達を連れて、俺の領地にある俺の家の地下室に向かって行った。その道中に、四獣将に融合したラヴィーが四獣将軍が使える能力を教えてくれたので四人の【魔将軍】には俺の屋敷に戻ってもらうことした。俺の【空間収納】の中にいるので俺とリヴァイアに融合したラヴィアに念話が可能なのだ。俺が、自分の屋敷の地下に来たときに俺の従僕の一人に俺の護衛を頼むと。護衛の従僕は了承した。俺は地下に行くため階段を降りて行くとリヴィーが、俺に何かをしようとしてたのがわかり止めさせたのである。

俺達が到着した場所の床に魔法陣が描かれていた。それは召喚用の魔法陣だった。俺は慌てて【血吸】を発動させ俺の分身体を呼び出してから、リリィ達を連れて魔法陣の中に入った。すると、魔法陣から大量の黒い霧が発生し始めたのである。俺とリリィ達四人以外はその場から離れると。リリィが、聖剣エクスカリヴァーンを魔法陣に向けて魔法を発動する。リリィが発動したのは聖剣技【聖光の浄化】という光属性の聖剣専用の技である。俺も聖剣の能力を開放させて、魔法剣を発動させると。聖剣が魔法剣を発動してくれたのである。俺が【神界言語】のスキルを発動しながら魔法剣の詠唱をリリィに伝えると。リリィは俺の言った魔法剣の言葉に合わせて。技を繰り出だす。その光景を見たリリィ以外の三人の女性は。「すごい!」と、口揃えていたのである。

そして黒い霧は完全に晴れたのだ そして魔法陣の中心にいる人物を見るとそこには見たことのある女性がいたのである。そう、この人物は勇者の幼馴染みでもある少女である。名前は【天道 美咲】(てんどうかみさき)と言う名前なのだ。俺は、リヴィーを見て【聖魔王 ヴァンパイアロード】が進化した。リヴィーと融合したことによって。ヴァンパイアの上位種になる。

【吸血鬼王】リヴィー 【吸血鬼女王】

リリアのステータスを見せてもらうと。

【吸血鬼女王】

吸血スキルと闇魔術スキル。眷属作成スキルが進化し、【吸血術師】となりさらに【魅了】と、眷属に強制的命令を下す事ができる。

「私の名前は天道 美咲よ。貴方達は一体なんですか? どうして私の邪魔をするの?」

「そうだね。君は何故ここの【魔結晶】を奪おうとしたんだ?」

「それは、私は、勇者様のそばにいたいと思ったから、そのために必要だから。でも無理だったわ。だから別の方法を考えるために。ここに来たの。そしてこの場所の【魔結晶】を手に入れれば【異世界転生】のスキルを使えるはず。それさえ手に入れば。私は勇者様のお側に居られる。そのためにも【魔結晶】が必要なの」

「なるほど。君は本当にそれで幸せになれるのか?」

俺は彼女の瞳を見ながら真剣に問いかけた。

彼女は少し考えてから答える。

「ううん。ダメだと思う。きっと、勇者様の事を思い出す度に辛くなると思う」

俺は彼女に聞くと彼女も真剣に考えているみたいですぐには答えられなかった。俺としては彼女をどうにかしたいと思っていた。そこで俺はリリィ達に確認する事にした。俺は【精神共有】を発動してリリィとリヴィー、それに融合したラヴィーとも話すことにする。

『今の話を聞いて思ったんだけどさ、もし。彼女がここに来ても。【魔結晶】を持って帰ろうとした場合、俺の【テイム】を使って。仲間に引き入れることは出来ないかな?』

俺は【魔水晶】に話しかける リリアはリヴィーが融合しているからわかるが。他の二人はまだ知らない。なので三人に俺の眷属になってくれるかどうか尋ねると、全員喜んで眷属になってくれた。それから、俺の眷属達を呼び出し。【精神同調】を使い【共有領域】を共有する事で【共有領域】の俺の仲間になっている全員と会話が可能にすることを説明したのである。リリア達は、自分達だけズルいと騒ぎ出していたので、俺は仕方なく眷属達の【テイム】を許可し。リヴィが融合を解いて【四神の魂の欠片】を渡し。融合した後に再びリヴィと融合した。俺は【テイム】を使用して【四獣将】と【魔将軍の配下】であるリリィとリリ、四獣将と融合している。リリの配下の者達を【テイム】で配下にする。俺の従僕がリリア達眷属達四人に自己紹介をしてから眷属の証であるリングをプレゼントすると。リリィは、俺に抱きついて離れなくなってしまったので、俺は困ってしまった。俺の従僕達が。リリィに、主とリリアの眷族として一緒に訓練に参加してもいいと言って。俺に訓練の許可を求めた。それを聞いてリリアは「リリアも訓練に参加したい」と、言い出したので俺は、リリアに訓練場に行って。俺の部下に混ざって訓練を受けるように伝えたのである。

俺がリリィに言うとリリィは、しぶしぶ俺から離れてくれた。リリアも離れようとしなかったのだが、俺にキスをして【精神防壁】を発動した。そして、俺とリリアが融合している。融合体のラヴィアと融合していない四人に俺が融合体になった時に得た能力についての説明をすることにした。

まず最初に四人に、俺とラヴィアが融合した事によって覚えたユニークの固有スキル。【鑑定LV10】の能力を教える。次に【アイテムボックス】の拡張だが、俺と融合しているラヴィアと、融合していない。四人のラヴィーと融合していない。四人に同じ能力を覚えさせる。俺はラヴィーに、ラヴィーが融合を解除している。四人のラヴィーと融合した。四人はリリィ達と同じく。ラヴィー達四人に自分の意思で、【血盟融合】を解くように告げて【血盟主契約】を行うとラヴィー達四人が、四人と融合した状態で、融合体が使える。【血契解放】の使い方を教え。ラヴィーと四人、リリアと四人、リリィと四人に分かれて。リリアとリリィは四人から教えてもらった方法で四人で融合して【血盟主の絆】を使って。四人を眷族として受け入れたのであった。そしてリリアには、【神眼】スキルと【神速飛行】スキルを与えることにした。

俺はラヴィーと融合を解除したあと、融合前のリリィに【神化】をするように頼む。そして、リリアには、【神力】を使ってリリィと【神剣】を融合した。そして俺は【真祖の血脈】を開放すると、 【真祖の力】と言うものを得ることが出来たのである。それはリリィとリリに融合した時と同じように。四人を眷族として迎え入れることができたのである。四人のラヴィアも【眷族創造】のユニークスキルを使うと眷族を増やすことが出来る。

リヴァイアは俺が四人と、ラヴィーと融合したリヴィーと融合していたらラヴィーのステータスを見れたらしく。リヴィーに【鑑定】のスキルを付与して俺に報告してきたのである。

俺が、リリアと融合した状態のラヴィーからステータスを見せるように言われたので。

俺が融合したラヴィーを、眷属達と一緒に訓練しているリリィに見せに行くことにし。リリィとリリィの融合体であるラヴィアを連れて行く。リリィの融合体を俺の部屋に転移させるとリリィとリリ、それにリリの眷族の四人も俺と、リリの融合したラヴィの元に駆け寄ってきた。俺はみんなと軽く挨拶を交わすと。俺と融合した状態なら俺の意思に関係なく。ラヴィーは、他の融合している相手のステータスを見ることができると説明したのである。リリィは「そんなことより。なんで、この子。私の融合状態を確認できるんですか?」と、言って驚いていた。

そしてリリィがリリィの融合体に【鑑定】のスキルを使おうとしているみたいだったが。俺からもらったリリィのスキルはレベル1のままだったので。俺がリリィにリヴァイアに頼んで。スキルのレベルを上げてもらうとリリィは嬉しそうに喜んでいた。

その後ラヴィに、【精神同調】を使わせてもらって【共有領域】で共有された【鑑定】のスキルでリリィと融合状態のリリィがリリィの融合状態を見ることが出来るようになっていることを話したのである。

俺達が、訓練をしている。リリィ達の元に歩いて行くとその事に気がついた四人が「おかえりなさい。」と、声を掛けてくれてから俺達は合流した。そしてリリィと融合しているリリアの融合体はリリィと融合を解いてリリに融合して【血盟融合】を解除していた。

俺は融合が解除された。リリの融合体に【鑑定】を発動して。

【名前】

リリィ 種族名【ハイエンジェルス】

年齢【0歳】

状態:通常 Lv.970 HP 38208万5000 MP 5300万6000 筋力 29500 瞬発力 26600 魔力 25800 耐久力 24800 精神力 21000 運 490 【スキル】

風魔術LvMAX、雷魔術LV9、炎魔法LV5、聖魔法LV10、回復治癒魔法LV7、身体強化LV10、剣術LV9、刀術LV9、投擲術LV3、体術LV10、弓術LV10、銃技LV6、魔闘術LV11、格闘技術LV10、忍術LV13、精霊魔術LV14、召喚魔法LV2、付与魔法LV15、神聖魔法LV16、精神耐性LV30、状態異常無効化LV18、自動再生(不死)、不滅 【称号】

勇者 【ユニークスキル】

融合進化LV-、分身生成LV?、精神共有LV? 融合融合、分離融合、???、???、??? 融合融合とは融合する相手がいなければ使えない。

【融合進化】融合することで進化をする事ができる 融合融合のスキルを使えば、融合している相手や融合体の相手を融合させて。融合進化ができる 融合融合で融合進化した場合は。スキルが統合され。統合後のスキルになる 融合融合で融合した後は【分裂融合】が使えるようになる 【分離融合】自分の融合体の融合を解除することができる。また自分の融合体が死んでも分離融合する事で復活できる 【分裂融合】融合融合している相手との融合体を分離させることができる。分離した個体は元の状態で生き返る事が可能になる 俺は融合状態でいる時にしか【共有領域】を共有できなくて。【精神共有】を使ったときに融合が解けたら俺が死んでしまうのである。だから、俺が融合した状態ならば、融合体が融合を解除すると俺も死ぬのである。

なので融合体の俺に、融合体同士で融合融合すると俺が死んでしまう。

融合融合しても俺は死なないのだが、俺に融合したままだと。俺と融合した状態の融合体の力が弱くなるのである。なので融合融合して、俺が融合体と融合したとしても俺に融合している融合体の方が強いのだ。なので俺は、ラヴィーを融合体にして融合しているのだが。リリアの融合体の方は、俺に融合した融合体で俺の眷属になっている四人以外は。リリアの融合体の四人の力を使う事はできなかった。そして俺に融合した融合体の力を。融合前の融合していない融合していない融合体達に使わせる事が出来なかったので。融合した状態を維持する必要がなかったからである。リリアの融合体が融合した融合体達は融合融合は出来るので融合したままの状態を維持して。お互い融合した状態を維持した状態で融合した融合体の力は使うことができるのである。融合融合した融合体が融合を解くときは融合融合した状態でも大丈夫なのだが。その時も、融合した融合体を分離して融合体を一つに戻さないと、元の状態になった後に俺が死んでしまうからである。そして、俺はリリアにリリィに、ラヴィアを俺の眷族にする許可を出す。すると、リリアの融合したラヴィは俺に、「ラヴィーちゃん。よろしくね。これから一緒に、私も頑張るわ。」と、リヴィアとラヴィアがリリの融合体の方に走って行き、ラヴィアとラヴィーも。リヴァの融合したラヴィアに抱きついて喜んでいて、俺に「ご主人様、この子が仲間になりたがっています。この子を眷族にしますか?」と、尋ねてきた。リリアが融合したラヴィーとラティは俺に、「私はリヴァイアさんと一緒に戦えればそれでいいです。それにご主人様に助けてもらいたいんですけど、ラヴィアの気持ちを考えると一緒に戦いたいと思ってしまいます。」「ありがとう。リリア、ラヴィア。ラヴィアは、ラヴィは眷族になってくれるのか?」と、俺は尋ねるとラヴィーは「はい。眷族にしてください。ご恩を返したいのです。」と、言った。

ラヴィは眷族になりたいと言うことで、眷族になったラヴィーは俺とリリアに。

「私はリヴァイアさんと一緒に戦ったら、お役に立ちますよ!」と、言ってラヴィとラヴィアとリヴィアはラヴィの融合した融合体と、合体を解いて。リヴィアの融合した融合体が融合融合をして融合融合を解除させた。リリアが俺の方を向いて「ごめんなさい。私にラヴィちゃんを止める資格はありませんでした。」と言うと融合しているリリに融合した状態の融合体のステータスを見るように頼む。リヴィアと融合している融合したラヴィーに融合融合している融合体の融合を解除させると。融合融合した状態で、俺に融合融合していたリリは俺から離れたのであった。そして、融合融合した状態の融合融合を解除すると融合した融合体が一つに戻り融合進化は使えなくなり俺が融合した状態になると融合融合ができなくなるのだ。

俺に、融合しているリリが融合融合した状態のラヴィに融合融合してから。リヴィアに、融合したラヴィーが、ラヴィアの眷属になるように言うとラヴィアの融合した融合体は俺の方を向くと俺の前に来て頭を下げて「ラヴィーを、どうか宜しくお願い致します。」と、言ってリヴィアと融合した融合体はラヴィーの眷属にしてくれたのである。

俺は融合した状態のリリに、ラヴィの眷属達を紹介してあげてほしいと言ってリリに任せることにしたのだった。

俺が、ラヴィーと融合したラヴィと融合したリリィを連れてラヴィアとリリィが訓練をしている場所に戻ってくるとリリに融合した融合体が俺達の所に走ってきて「私も、リヴァイアさんのようになりたく思いました。私を貴方の仲間に入れて欲しい」と言い。俺はそれを許可する。リリは俺に。ラヴィの融合体が俺に融合融合できるように融合融合するように言ってきたので。融合するのを了承すると融合進化のスキルで俺と融合融合を解除させて融合融合をさせる。

【名前】

リリス 種族名【ハイエンジェルス】

年齢【0歳】

状態:通常 Lv.1000 HP 38000 MP 52000 筋力 39500 瞬発力 37600 魔力 45900 耐久力 38400 精神力 43600運 490 【スキル】

風魔術Lv8 雷魔術Lv8 光魔術LvMAX 回復治癒魔法LvMAX 身体強化LvMAX 剣術LvMAX 刀術LvMAX 投擲術Lv3 身体強化魔術Lv8 忍術Lv8 格闘技術LvMAX 格闘魔法技術LV5 召喚魔法LV2 魔闘術LV8魔法拳闘術LV7 聖魔法LV12 神聖魔法LV11闇魔法LV5 回復魔法治癒LV10蘇生LV4 不滅LV3状態異常無効化LV17自動再生(不死)LV5(LV9,LV11まであります。LVが9,11の場合のデメリットはないのですが。

状態異常無効のレベルが1から10になるとスキルは自動再生は、状態異常無効化はLV10になる。

また。不死はLVが1の状態から9の状態になるとLVが1上がる度に10分間だけ不死になる時間が増える。LV10の状態ではLVが上がっても。LV9までの効果しか発動しなくなる)

【ユニークスキル】

聖魔法 神級魔法、神級魔術 【固有スキル】

魔闘気 魔法拳闘術 神聖闘術 神聖魔法LV7(LVがMAXになれば神聖魔法は全て覚えられ。LV10の状態で神聖魔法LV7と神聖魔法LV9の両方が使えるようになる。)

神聖魔術LV7(神聖魔術がLVMAXなら神聖魔術と回復魔法、神聖魔法の回復魔術が全て使えるようになる)神聖魔法:LV7(聖魔術と神聖魔術と神聖魔法全ての上位スキル。回復魔法は神聖魔法と同じで回復する事が出来る。神聖魔術の時はレベルが上がる事で神聖魔術を覚えることが出来るようになった。神聖魔術がLV6以上で、神聖魔術の全てを覚えている状態の時に。状態異常無効化がLV6以上になる。状態異常耐性を最大まで上げれば状態異常無効化を状態異常無効化をLV9にする。

状態異常なので状態異常がかからない場合は、効果を無効に出来るのは状態異常なので状態異常がかかってない時の効果しかない状態異能力が発動した時にしか状態異常なので効果は効かない状態異常の効果が永続して続いてる場合にはその効果は永久に消えない。なので状態異常なので状態異常の永続が解けることはない。)神聖魔術 聖法魔術は状態異常をかける事が出来ない、聖属性のダメージを与えられる攻撃が出来る。

神聖術

神聖魔法を複数使うことが出来る。複数の種類の違う神聖魔法を使うことができる。神聖魔法:回復

神聖魔術:聖法、神聖の威力と範囲と種類が違うのが混ざって出せる。

状態変化魔法:毒、麻痺、石化、混乱などの状態の変化を与える事が出来る。呪いなどにかける事も出来る。呪う事は出来なく。解くことは出来る状態異常の状態の時。

聖魔道 神魔道を混ぜて使う事が出来る状態だ。聖の力が使え、邪の力を使って倒す事が可能。)

無属性、魔力操作Lv8、魔纏術、魔力変換率上昇、魔力圧縮 状態異常回復 毒分解 腐敗分解 体力全回復 生命力回復

(状態回復の最上位、完全治癒は欠損部位の修復や。

傷跡の回復。体力、病気の治療と。あらゆる症状の病気治療が行える。死人も蘇生することが出来る。

死人でも生きている人間のように活動ができるように出来るが、意識はないのでただ生きるだけの人形のような物になってしまう。死者を蘇らせることは出来ないが、ゾンビ、レヴァナントを作り出すことができる。魔物の死体を死体として残らず完全に浄化して素材を剥ぎ取った状態にすることの出きるようになる。魂を浄化させ、アンデット系の魔物を強制的に成仏させる事ができる。)

超絶成長促進 経験値倍増 限界突破 アイテムボックス 鑑定解析、偽装、念話 魔力探知拡大、遠視、熱源感知、気配遮断 並列思考、多重処理 詠唱省略 無詠唱 生活火水土風氷結雷電光闇時空間結界付与錬金調合鍛冶裁縫料理木工建築装飾彫刻採掘罠作成大工 【エクストラスキル】

血操剣、眷属契約、眷属転送、眷属合成、真祖の血脈 【アルティメットスキル】

万物の王、創造主、絶対強者 称号 真の超越者の器、限界を超える者 加護 女神の加護(中)

眷属紹介 名前リヴァイア 種族名:ウンディーネ(古代竜種:水精霊)性別女性

身長:160cm

バスト:Gカップ

髪色:水色

髪型:ロングストレート

肌の色:少し白い

目の色:碧眼、黒目に近い蒼眼のオッドアイ

年齢 :1420才

見た目年齢:15~16才

職業:大賢者、魔術師、錬金術師、研究者、学者、研究者、 冒険者(元Bランク冒険者)、元勇者パーティーのメンバー兼秘書、宮廷魔術師、魔導師 種族特性:『水の巫女』の加護、龍族(龍神族の巫女であり。水の大神殿に祀られている)、水中呼吸、水の中で自由に活動できる。海の中では陸の10倍の速さで動ける。身体能力向上、水圧強化

性格:面倒見がよく、真面目な性格。ラヴィーの事になると過保護。リヴィーには厳しく接するが愛情を持って接している。ラヴィーを可愛がっており。娘の様に思っている。

好きな人の為に何かをするときは凄く一生懸命に頑張れるタイプである。そして尽くすタイプの人である。だがラヴィーの事を想うあまりに暴走する事もよくある。ラヴィーを大事にしたいので、もし、ラヴィーを泣かせるようなことをする相手だと分かったら許さないし容赦しない。普段は優しくお淑やかな美人さんである。実は、かなりの甘えん坊なところもあり。リヴァイアが言う「お母さん」とはラヴィーの母親でもあると言う事である。

容姿:美しい青い髪をしていて。綺麗な瞳をして、スタイル抜群で胸が大きくとても大人びていて魅力的な身体をしている。

備考欄:【種族】古代竜【名前】の種族名を持つ。種族はウンディネスドラゴン(世界最強)でリヴァイアが最強の存在とされている。

リヴィエの母でもありリヴィは姉と慕いリヴィアの姉でもある。またラヴィーとも母娘の仲になっている。リヴィに負けないくらい強いのだが。自分の身を守る以外に力を使いたくないらしく。普段は力を使わない。またあまり戦いが好きではないらしい。普段着ているローブの下にも服を着ていない事が多い。露出癖があり裸を見られることに対して何も抵抗がなく寧ろ見られたいと思っている。しかし恥ずかしい気持ちもあるみたいだ。ラヴィから教わった魔法と。ラヴィーが使っていた技を使うことができ、剣術、刀術と柔術を使うことができる。魔法と魔術は得意分野なので上級までの魔法なら使うことが可能で魔法剣士のようなこともできる。

リヴァイアサドラゴンは水の上位種の聖獣の1匹です。上位種は基本1つの魔法を極める事しかできない。2つ以上の属性魔法と魔術を極めた時点で進化ができて上位種である竜神になります。なので魔法と魔術を極めている段階ですので一番上の存在が神獣とされて、一番弱い生物が上位の聖獣になっています。上位種が聖の力と魔の力を持つことで上位種聖魔になる。聖魔になる事で2種類の属性魔法と魔術を極めることで上位種である竜神に進化する事が出来るのです。竜神になると神獣となり神の使いとして祀られるようになります。ちなみに上位種から聖の力と魔の力が両方使えれば魔人になれるのです。なので普通の人からすれば魔人は悪の存在にしか見えないでしょう。しかし魔人の全員が悪人ではありません。極悪人はごく少数でほとんどが良い人や優しい人ばかりなのです。なので魔人が悪で聖の力が善とかそう言った考えは間違っていると言える。

【種族】古代聖樹(エンシェント聖樹木:神木)

【名前】

名前はまだない(ある。

リヴィーは自分が作った人形が気に入ったのか俺があげた名前をそのまま使っているので。俺は人形にリーヴと付けてあげると。喜んで俺の腕の中に抱かれて嬉しそうな表情をしながら頬ずりをしていたのであった。

その後、屋敷に戻り。

リティーにこれからのことを話す事にしたのであるが。その前にまずは風呂に入ることにし、ラティー達にも一緒に入ると伝えてから風呂に向かった。

俺がリヴィーにこれからの事を聞いてみると、人間達の平和を取り戻す為に戦っていきたいと言ってきたので。その言葉に納得したのであった。

そういえば、ラヴィーは何故魔人だったのだろうか?

(えっ!!どうして私の名前が分かるのですか?)

(そりゃわかるさ、お前の事が大好きで。ずっと傍にいたんだぞ)

(私のことが大好きで!?じゃあ私は貴方様の子供なんですね。嬉しいです)

(はぁ~、そんな訳ないでしょ。この人は私に好意を抱いているけれど、私がラヴィーに抱いているのとは違う。だから親子の関係じゃないのよ。全く何度言わせればわかるのよこの馬鹿は)

(あっ、その喋り方はリティーなんだね)

(当たり前でしょう。他に誰かいたらどうする気なのあんたって子は)

(そうだよね、ごめんなさい。でも久しぶりに会えて嬉しいのは本当だよ)

俺は二人が言い合いを始める前に割り込んで話をすると、二人共俺の話に納得したようで落ち着いてくれた。それからリヴィーは俺の子供を妊娠しており、もうすぐ産まれるだろうということを聞かされた。

そこで。俺が魔人とは何なのかを聞くと、魔物が人間の姿に変化できるものなのだと説明をしてくれた。魔人を人間に変えることが出来るので魔人化と呼んでいるのだと言われたが。それは人間が使う変化の術とは違い、人間の魔力を使わなくてもいいため魔物に備わっている魔力を使って行う事が出来るのである。魔人も変化が出来る魔物と同じで魔核が存在する魔物なので。変化しても変化していない部分と同じように動かなければいけないために魔人で変化が出来る者は人間に変化している魔物と同じくらいしか能力がない。そして変化を解いて本来の姿を晒すことになってしまうが、それでも魔物の姿を晒すよりましだと思うが人間にとって見れば化け物に見えるので怖くて逃げるしかないだろうなと思うのである。それにリヴィーのように魔力が多くなければ変化を長く続けることは出来ないようだ。

つまりは。リヴィーのような高位の魔人が。わざわざ姿を変えることなんてないはずなのだが、リヴィアが人間として生活することを望まなかったらしく。無理矢理姿を変えさせられていたようである。

ちなみに。リヴィーの見た目年齢は。

ラヴィーよりも若く見えるのだが。見た目だけで判断したら間違いなくラティーファより幼い見た目をしている。見た目的にはラティーファの双子の姉妹のような感じで可愛い少女のようでもある。リヴィのステータスを確認した時に見た時。リヴィアの年齢が660歳となっていた事から。魔人として生まれてきたリヴィーは見た目どおりの年齢だと言うことがわかる。

ラヴィーとリヴィーのステータスに差があったのはそのせいだったのかとわかったが。その理由がわからない。ただリヴィーの場合。リヴィーに無理やり変化させられている為。元に戻す事も出来ると聞いたが。リヴィーがリヴィにかけた呪縛の魔法の呪いを解けるのは、ラヴィーだけのはずだと言うことだけはわかった。

リヴァイアの種族特性は水中呼吸と水圧強化の二つだけだったので。水中では自由に活動できる。リヴィーの種族特性は水属性と風魔法と氷結の魔法を得意としているのでリヴィーは水の中だとかなりの強敵になるが、地上に出てしまえばそこまでの脅威ではないので。ラヴィーと一緒にリヴィーの護衛につくことにしたのである。それと念のためだがラヴィーとリヴィーに、もしもの時は俺が二人を守りながら戦うと伝えると、二人は凄く嫌な顔をしたが、一応、護衛対象がリヴィア一人だけだと守りきれなくなってしまうので仕方なく了承してくれたのであった。

(それならば仕方ありませんが。ラヴィーとリヴィーを守って下さいお願いします)

ラヴィーは俺に抱きついてから頭を差し出してきて。頭を撫でてやると気持ち良さそうな顔になっていた。リヴィーは羨ましいと思ったのか。俺に近づいてきてから同じようにしてきたので。リヴィーも一緒に撫でていると気持ち良さそうな顔をしていたのである。そうしてしばらくすると風呂から出て、リヴィーと別れてラヴィーと二人で部屋に戻ってきた。

部屋に戻るなり、ラヴィーはすぐにベッドに入り眠り始めてしまうので寝かせてからリティーが何処に行ったのかを探知スキルを発動させて探そうとした瞬間に突然目の前に現れるリティーを見て驚いた。

「いきなり出てこられたらびっくりするじゃないか」

(驚かせようと思わなかったら、こんなことはしませんわ)と笑いながら言って来る。

「それで?何かあったの?」と聞いてみたが、特にこれと言ったことはなかったようなのであった。しかしリティーは、俺に話したいことがあるようなので聞くことにすると。俺はリヴィアのことで、どうしても確認しないといけない事があって、リヴィアの事をもっと知りたいので。リヴィアについて教えてほしいと言われてしまい、その事は今すぐに答えることが出来なかった。

リヴィエが俺の傍に来ると。俺の手を両手で握りしめながら。俺の顔を見上げながら話しかけてくる。

俺はそんな彼女に対してどうしたらいいか迷っていたのだが。そんな俺の事を見ていたリヴィは少し寂しい表情をしたようにも見えた。

「ねぇ、お兄さんにリヴィのこと嫌いにならないでほしいんだけど。もしリヴィが悪いことをしたらお仕置をしてもいいからリヴィを許して欲しいの。リヴィ、本当はリヴィのお母さんのラヴィーちゃんに会いたくて、リヴィ、ラヴィーちゃんに酷いことしてしまったけど。でも本当にお母様の事が好きなんだよ。だから許してほしいんだ」とリヴィが泣きそうな声で謝ってくるので。俺はリヴィの頭に手を乗せて優しくなでなでしながら大丈夫だよ。リヴィアは悪くない。と言ってあげた。

「リヴィアがラヴィーを好きでいるなら。俺は何も言わないよ。それに俺はリヴィーのことを怒るつもりもないから安心しなさい。だけど、俺が言った約束は守るんだよ」と伝えるとリヴィアは俺の胸の中に飛び込み俺にキスをする。

俺もそんな彼女の唇を奪い舌を絡ませていく。

(んっ♡)という声を出しながらも必死に俺とのキスを受け入れる彼女の姿を見ていた。そんな彼女に。俺の愛おしさをどんどんと増していくのを感じていたのであった。そしてしばらくの口づけを終えて。お互い見つめ合うと、リヴィーは俺の腕の中に収まると嬉しそうに微笑む。そんな彼女を抱きしめたままベッドに押し倒す。彼女は嬉しそうに笑みを見せるのだった。

(リヴィアの事は、リヴィが俺の妻になってくれた事でリヴィとは仲良くなれるだろうと思っているし。何の問題もないよ。でも、リヴィアとリヴィーの仲がうまくいかない場合は。俺が二人の間に入ってあげればいいだけなんだから。その時に二人が上手くいくようにする為には。お互いにリヴィーの事を知りあう必要もあるんじゃないかと思うんだけど。ラヴィはリヴィーが、リヴィアの事が嫌いなのかい?)

【ううん、リヴィの事が大好きで、ラヴィーのお嫁さんになりたいの】

「じゃあ、これからは。ラヴィーが大人の女性になるまでの間。一緒にいてリヴィーの事がラヴィーにもわかるようになるといいね」

それからリヴィアは嬉しそうに返事をしてくれるのであった。そうして俺はそのままリヴィアと熱い夜を過ごすことになった。

(あぅっ!!)

というリヴィの艶のある声が響く。

(もう!! 激しすぎます)

(そうかな?普通だと思っていたんだが。そう言えば、最近、ティナ達とする時は。もう少し抑え気味にしないとな。と思いながら。激しくしていたな。そうかリヴィアにはちょっと辛かったのか。すまなかった)

そんな風に考えを改めて。優しい攻めに変えたのだがリヴィアが可愛すぎるのがいけないのだ。

俺はその後、何度目かわからない程に。リヴィアを抱き続けていた。

(あっあっ。もう駄目ですって。あっまたイっちゃいましたぁ~~~)

というリヴィアの可愛い声を聞きながら。朝までリヴィアを抱く事になった。

それから朝食を食べて今日は何をして過ごそうかと考えていたのだ。

(私はこの姿になってからまだ日が浅いのですが、街を歩いてみたいと思いますので付いて行ってもいいですか?)と言ってきたので。俺は了承するとリヴィアをリヴィと一緒に街に連れて行った。ちなみにリヴィーが人間の姿に変身していて、ラヴィーもリヴィーと同じ姿をしているのだが。二人が親子だという事は誰もわからないであろう。ラヴィーはラヴィーで美形なので、美人姉妹に見えるのは言うまでもないだろう。ただ。人間の姿になったラヴィーを見た人達が。二人を見て、どこかで見たような記憶があるのだが、それが思い出せないと口にする者が続出していたのであった。

リヴィは人の姿になっていても服など持っていなかったので。俺はリヴィの着れなくなったワンピースなどを魔法袋に入れていて。その中に入れていた物の中から、リヴィのサイズに合わせてある子供用のメイド服を出してあげると。それをリヴィーとラヴィーが着ることになったのである。そうする事で二人に良く似合っていて、リヴィーを大人にすればこんな感じだろうと思うほどの美しさがあった。リヴィアは俺の横を歩いているので、俺はリヴィアの手をつないでいるが。二人はラヴィーが腕に抱きついている状態で三人が街中にいても目立つことはなかった。

そして俺達はまず最初に奴隷市場に向かうことにするのだが。そこに向かっている途中に冒険者ギルドの前を通ることになるのだが、俺達のことを覚えていたようで。俺が中に入ると受付にいた職員が走って近寄ってきて俺の前で止まるなり挨拶をしてくる。そのあとラティーファがいないのが残念だと伝えてくる。俺達がここに来た理由を言う前に、俺とラヴィーの関係や、リヴィーのことについて聞かれてしまったのである。

俺は別に隠すつもりはなかったから正直に話すことにしたのである。しかしラティーファに関しては、俺はリヴィーの婚約者だと言っていたのでリヴィーがラティーファに会いたがっていたので連れてきたと言えば。それなら納得してくれた。それとリヴィについて聞いてきたので。俺は事情があって預かっていると説明した。

(あの子については何か特別な事を知っているのではないでしょうか? もし知っているのであれば私達も出来る限りの協力をさせていただきたいので、もしよろしければ私共で何かできる事があるのならば何でも言って下さい!)と言ってくる。

(その件だが、少し待ってくれないか。そのリヴィについて調べる為にここに来ているのだから。もし何もなければ俺の方で対処しようと思っている)

(かしこまりました。ではこの件は旦那様に全てお任せします。では、ラヴィア様とリヴィー様は私と一緒にギルド長の所に行っていただけないでしょうか)と言ってから。二人を連れて俺から離れて、少し離れた場所にある応接室に案内される二人であった。

(それで、ラヴィーちゃんとラヴィはどうしてここに来たんですか?)とラヴィは少し緊張した面持ちをしながら俺を見つめて質問してきたのだ。俺は簡単にラヴィの事情を説明したのである。

(そうなんだ。それじゃ仕方ないよね)と言いラヴィーは悲しそうな顔をする。するとラヴィーが俺を見上げてから口を開く。

「ねぇお兄さん。ラヴィーを妹にしてもらえないの?」と寂しそうな顔をする。そんなラヴィーに対して俺は頭を優しくなでてから「ごめんねラヴィーはまだ小さいから無理なんだよ」と言うと。リヴィーがラヴィーの後ろに隠れてしまう。俺はラヴィーの前に立つと。ラヴィーの目を見ながら、「でも俺は君の事も大切に思っているよ。君もいつか大人になればきっといい人に巡り合う事が出来るよ。だから今は我慢してくれ」と伝えたのだ。

そんな俺にラヴィーは、嬉しかったのか。笑顔を見せてくれる。そうして俺はラヴィーを抱っこしてからリヴィーの手を握ってあげた。

それから俺達はギルドの受付に行くと、俺の事を知っているのか。俺を見るたびに俺に声を掛けてきて。その度に俺の所に来る。

そんな事を何度も繰り返していると。リヴィは疲れきったのか、目を擦り始めたのである。そんなリヴィをみて心配した受付嬢は、奥の部屋で休んでいてくださいと言ってくれたので俺はリヴィをお姫様抱っこすると。リヴィアと一緒に奥に行ってベッドを借りて、リヴィに膝枕をしてあげるとすぐに寝てしまい眠ってしまったのだ。

しばらくすると、リヴィが起き上がった。どうやら目が覚めたらしいのだが、俺の膝の上で眠る事に決め込んだようである。

(ねぇねぇ。お兄さん)とラヴィーが俺に声をかけてきたので「なんだい」と優しく聞き返すと。

「お兄さんと初めて出会ったときに、お兄さんは私とお姉さまと、それからお兄さんの傍にいる女の人の事を守って欲しいってお願いしていたけど。お兄さんって今、誰かを守りたいと思える人は居るのかな?」と真剣な表情をしている。俺はそんなラヴィーを撫でながら考えるが思い浮かぶのは。

まず初めに俺の仲間であるティナ。

それからセフィと、ユイ、アリシアの4人だろう。そういえば最近、クロエの奴が、また俺の部屋に遊びに来ているのに全然会わないと思ったのだが、アイツの最近の日課は、朝にリヴィアの作った弁当を持って俺達がいる場所までやって来て、そこで皆が昼食を食べるまでは、一緒に居たのだが。その後は、仕事が忙しいとかで自分の職場に戻る事が多いのである。ただ。たまに休憩時間に顔を出すのだが、そういう時はいつもリヴィアが作った料理を嬉しそうに食べていて幸せそうだ。

次にラヴィーなのだが、彼女は俺の眷属にしてしまった為に、離れられなくなっているし。彼女の方からずっと一緒にいてとお願いされているし、彼女が嫌がる事をする気はないから、彼女を守るというのは約束しているが、守るというよりは、彼女を愛でるという意味の方が強いかもしれない。それに俺の妻は全員大切な存在になっているので、俺の中では妻を最優先にするという考えがあるので、俺にとってはリヴィは守るべき相手だ。しかしそれは家族愛に近い感覚なのだろうと自分の中では思うが、リヴィアの事をラヴィーと同じくらいに大切にしていると思うのは、リヴィがラヴィーに似ている部分があるからである。

俺はラヴィーの頭に手を置くと、

「そうだなぁ~~。今のところは守りたいと思ってる人はラヴィくらいだよ。まぁ~でもリヴィアも同じかな?リヴィとラヴィーは見た目が似ているだろ?だからリヴィの事がラヴィーに重なるところがあるんだよ」と俺は言う。そう言いながらも俺は、俺の腕にしがみついているラティーファを見てから再び二人のことを見るのだが。やっぱり似ているのだ。

ラティーファに話しかけてみるがやはり言葉が返ってこないので諦めると。

ラヴィーを抱っこしたままギルド内を再び見て回ると冒険者がこちらを見ているのだが。俺の傍にいるラヴィのことを羨ましがるような目で見てくる者達もいる。中には俺達に絡んでこようとする馬鹿者もいたが。俺に睨まれると怖くなったのかそそくさと逃げていくというパターンが数回繰り返された。そしてようやく目的だった奴隷商の場所に着いたのだ。奴隷商店の中にはいる前に念のために俺に認識阻害の効果がある腕輪を身に着けさせた。この腕輪には俺に対する害意や悪意、殺意を持つ者を識別するという効果を付与しているのだが。リヴィーを人間に戻すためには俺が使う予定の薬を使う事になるのだが。

その材料が、ある意味危険な代物でもあるために、リヴィーを人間に戻した後にこの国に残させるか。それとも連れて帰るかのどちらかを選ばなければならないのだが。その場合はラヴィーとリヴィも付いて行く事を決めており。ラヴィーも、リヴィがリヴィーとそっくりな事から、この国に残るのがつらいようなので。俺はラヴィー達も連れて行くことに決めたのである。しかし。その事でラヴィーは少し悩んでいたのだが、その件については、後でゆっくり話す事にして、今は、まずはリヴィを元に戻す事に専念することにしたのである。

ちなみに、なぜ奴隷を購入する必要があるかというと。魔皇を倒すための作戦として、まず俺達が戦う事になるのだが。その戦いに勝つためにはラティーファの協力が必要不可欠なのだ。そのためにラティーファを戦わせる訳にもいかないのである。俺達はラヴィーが持っている奴隷の魔法契約の能力を利用して、ラヴィーの奴隷契約を解除しようと思ったので。その為の手段として、俺はリヴィーを取り戻す際に必要になる、あるアイテムをラヴィーの力を使って、俺に渡すようにして欲しいからであった。

俺は、ラヴィーに頼んでいたのだが、リヴィーにラヴィーが持っていた奴隷魔法契約の契約者の証を渡すと、俺はそれを受け取って魔法で契約を書き換えるのである。

そうして俺達は店の中に入ると、店主の男が店の入り口までやってくると、挨拶してくるので、俺達も挨拶を返すと、「お客様のお越しをお待ちしておりました。私はこの店の主人をしております。どうぞ中へ入っていただけませんか」と言うと、店の中に俺達を連れていくのである。

それから中に入るなり、ラヴィーは俺の腕の中から下りたので俺は床に下してあげると。ラヴィーは店内を見渡してから嬉しそうな顔をする。それからラヴィーは、ラヴィーよりも小さな女の子が並んでいる所に視線を向けると。そこに並ばせている子供達を見つめ始める。そんなラヴィーに気づいたのか、店員の一人がラヴィーに近づくと、その少女に話しかけたのである。

「お嬢ちゃん。良かったら私の店で働いてみないかい。もし働くのが無理ならば、私がお嬢ちゃんに読み書きを教えるよ」

そんな事を言われてからラヴィーが俺の方に振り向いてきたので、ラヴィの顔を見ると。

『お兄ちゃん』と言ってきた。

(お兄ちゃん?)

(お兄ちゃんって、俺の事?)

(うん。だってお兄ちゃんはお兄ちゃんだもん)

(ラヴィー)

(はい)

(お前のお母さんはどこだ?)

(あっち)と言って俺の指を差す方向に向かってラヴィーは歩き出すと。他の子供達が俺の方を見ていた。どうやらラヴィーは、俺の事がお気に入りのようだ。そうして俺は、リヴィーの背中を押して歩かせるのだが。なぜかラヴィーの方について行ってしまうので俺は困っていると、そんなラヴィーに店員が近づいてきて、優しくラヴィーに話しかけてきたのだ。

「あらららっ。ラヴィー様でしたね。貴女は、このお兄さんの事が大好きなんだね」と言うので。ラヴィーは顔を真っ赤にすると恥ずかしそうにうつむいたのである。

そんな様子を見た俺は、仕方がないので俺も、ラヴィーの後を追うと。ラヴィーが向かった先には。俺と最初に会った時にラヴィーの着ていたワンピースを売った女性がラヴィーの前に立つと笑顔を見せて。ラヴィーの頭を撫でる。

「初めましてラヴィー。お姉さんはラヴィーと同じ種族だよ。だからラヴィーは私と一緒だね」と言うと。そんな女性にラヴィーは抱きつくと涙を流す。そんな二人を見た俺も思わず泣いてしまい。俺の服の裾を引っ張ってきたリヴィアの頭を撫でてやると。ラヴィーに近づきラヴィーを抱き上げる。

(ラヴィー。もう大丈夫だから)と優しく声をかけると。俺の首に手を回してぎゅっと抱きしめてくれる。

それから俺は、女性からリヴィーの母親の名前を聞いて確認してみると。やはり間違いないようなので。女性はラヴィーの母親だという事が確定した。そしてラヴィーの母親は俺が買ってあげると伝えると、リヴィーの時と同様にラヴィーを俺に託してくれたのだ。それから俺とラヴィーで話をする為に俺の部屋に移動したのである。

ラヴィーを俺の部屋に連れて来て、ソファーに腰かけると。俺は改めてラヴィーに聞いてみたのだ。どうしてリヴィの姿を見て泣いたのか?ラヴィーに質問すると、自分の母親に似ていたらしく、初めてあったのがラヴィーの母親だったそうでその母親が死んだのが五年前なのだという。それで俺は、その女性のことを思い出すように話してほしいと言うが。ラヴィは思い出せないようなので諦めることにしたのだ。しかし母親のことは好きだったみたいだと言うので。俺はラヴィーを落ち着かせてやることにする。そうして少し落ち着いてきたラヴィーを座らせると俺は飲み物を持ってきてあげようと思ったが。残念ながら何も持っていなかった為仕方なく水の入ったコップを持って来るとラヴィーに飲ませるのであった。ラヴィが水を飲んで落ち着いた頃。俺は俺が何故この国に戻ってきた理由を説明する。

俺は、魔族との戦いが終わったあとにこの国の王から。俺の婚約者達を助けてほしいと頼まれた事を話す。そしてリヴィア達三人の事を頼むと俺はリヴィア達の事を伝えると。ラヴィーはリヴィ達に会う為に俺に付いて行くと言ったので。リヴィア達に俺とラヴィーのことを頼んで、リヴィアとレイスに護衛をお願いしてラヴィーをラヴィーの母親のいる場所に送って貰う事にしたのだった。

そうする事でラヴィーがこの国に残っても問題ないだろうと判断したからである。そうすればラヴィーの事も守る事が可能になるからだ。ラヴィーがこの国に残りたいというならばそれでも構わないが、リヴィア達に守れる自信があるのならラヴィーと一緒に来て欲しいと思っているからだった。

俺達は奴隷商店から帰るとリヴィア達が待っている宿屋に戻るとリヴィア達と合流するのだが。ラヴィーをリヴィ達の元へ送り届けると、リヴィ達を安心させるためにもラヴィーをしばらくの間リヴィ達に任せると。俺達は宿を引き払って次の街へと出発することにしたのである。ちなみに俺の作った魔法陣の転移先は俺の家ではなく、俺の実家の近くに設置したので。これからしばらくはリデアの館に戻るつもりはなく。俺の家に戻ろうと思っていたのである。

それから俺達はリヴィーを元の姿に戻すための方法を知るための旅をすることになるのだが。

この旅には、当然だがリヴィーも連れて行く事になるのだが。ラヴィーだけは、しばらくリヴィーに会わせるのをやめておくことにしたのであった。

そうしなければリヴィをラヴィーの元に送り出す際に、俺がいないからという理由で泣き出してしまう恐れがあるからだ。リヴィと離れるのは俺としても寂しいが。リヴィーのためだと心を鬼にして俺は耐えたのである。

俺はラヴィーの事を考えて、ラヴィーとは一旦別行動を取る事に決めた。ラヴィーは魔人族の国に残ると決まったのだが。ラヴィーがラヴィーによく似た妹と仲良しになっていたのでラヴィとラヴィーを別れさせる必要がなかったからである。

俺は、ラヴィが奴隷契約を使えるようになったので。俺はリヴィと契約をする。そうすることで俺はリヴィを隷属させる事にしたのだ。

それから、俺は魔人の王にもラヴィーが、ラヴィーにそっくりな妹のリヴィがいることを知らせに行こうと思うと。俺はラヴィーの奴隷魔法契約を解除してあげたのである。そうするとラヴィーが、俺の手を取ってくると。

(お兄ちゃんありがとう)と言ってくれた。そんな俺達の様子をリヴィエとラヴィーとラヴィーの妹の三人は、羨ましそうな顔で俺とラヴィーを見ているのである。そんな様子に俺は苦笑いを浮かべた。なぜならばリヴィエはラヴィーが、ラヴィーの事を自分だと思って懐いている事を知っていて。俺は、そんなリヴィが可愛くて仕方がないからであった。そして俺達は、次の目的を魔人族の王と、その側近達を殺す事を決めた。まずはその為の準備をするために俺達は、ラティーファの師匠の元を訪れることにしたのである。

俺はラヴィーの事が気になったが。ラヴィーが自分でラヴィーに会いに行くと言うまでは我慢しようと思い。俺達はラヴィーを残して次の目的地へと向かう。そして俺達が向かった場所はラティーファの故郷の町であり。その町にある道場に俺は向かっていたのである。俺の故郷に向かう前に、まずはリヴィの服を用意する必要があるために俺は服屋に入るとそこで俺はラヴィーと別れた。それからリヴィとレイスとリディアの三人で服を買いにきたのだ。

そうすると店の中に、リヴィーがいたので。俺の傍に来たラヴィーと、ラヴィーに引っ付かれているリヴィを見て俺は複雑な気分になってしまった。ラヴィーは、どうやら本当にリヴィが気に入ったようだ。俺は仕方がなく二人をリヴィアの服を買うための店で引き剥がすと、それからラヴィーをラヴィーの母親に預けるために、ラヴィーを母親と会う場所に送るのであった。

それから俺が向かったのは俺の生まれ育った家がある町である。この町の名前は『ルガシ』と言う名前の町で。この町は俺が産まれた場所で。この町にある家に俺が育ったのだ。それから俺の両親が経営している服の店がここにもあったので。リヴァイアサンの素材を売るついでに、両親の店の服を大量に買うことにして服の店を覗くと両親を見つける。

「お父さん」と言うと。両親は嬉しそうに笑顔を見せて俺のことを迎える。俺は早速魔人王のことやラヴィーのことを父さん母さんに伝えると二人は驚きつつも俺にラヴィーとリヴィーの話をしてくれたのだった。それから俺は服の注文をしてからリヴィ達と合流したのである。リヴィ達は、新しい服にとても喜んでくれたのだ。そうして俺達はこの港町を出ることになると、船に乗って移動すると海を移動しながら魔族の領地に入る。

それから俺が魔王城に向かった時のように転移で魔族領に入ると俺はそのまま真っ直ぐに進むことに決めて、俺は俺の家族が住んでいる村へと向かった。その途中で俺とリヴィは二人だけで話す時間を作りリヴィと話し合うと。リヴィアに俺とラヴィーの事を認めてもらいたいと相談を受けたので。俺はリヴィアにリヴィア達の家族として認めてもらえるように説得してあげるよと言うが、ラヴィは納得しない。

(どうして?私はラヴィの事を自分のお姉さんだと思ってるからお兄ちゃんと結婚させてくれないと困るんだけど)と言う。そんな言葉を聞いた俺は仕方なくリヴィアとラヴィーと話をすることに決める。そんな話し合いの結果はというと。とりあえず二人には保留と言う形で俺はこの場を収めたのであった。

(それじゃあお姉様とお姉さんのことは、私に任せてください)と言うのである。

「任せる」

「うん、任せた」

俺はそう言うとリヴィア達三人と離れてから。リヴィはラヴィーを連れてラヴィーの母親がいる村へと向かうのだった。

俺は、魔族達と話をつけないといけないので、それからは一人で行動することに決めた。

そして俺がリヴィア達のところに戻るころには既に夜になりかけていたのだ。それからラヴィアに案内され俺の家はあったのだが。その家の扉を叩く。そして出てきたのは、俺の知らない女性が出てきたのだ。

そうするとその女性がリヴィアを見て驚く。俺が誰だか説明すると女性は、俺の両親と弟を紹介すると言ってから、俺達を居間に通すのである。俺はリヴィを先に座らせて、その後に続いて座るとラヴィとリヴィアを向かい入れるのであった。ラヴィはリヴィアに抱きついてリヴィアを安心させようとしていて。それを微笑みながら見守るラヴィーだった。俺は、ラヴィーのお母さんから、ラヴィーを頼むと言われると。リヴィも心配ない事を説明してから、俺がラヴィーの事をリヴィに話し始めるのである。

俺はラヴィーにラヴィーと俺が、実は姉弟で、そしてラヴィーとリヴィの本当の母親はラヴィーの母の妹であることを伝える。俺はラヴィーに自分がリヴィの妹であることを伝えると。ラヴィーは涙を溜めながらもリヴィから少しだけ距離を置くのであった。

それからラヴィはリヴィに対して謝った。

「お姉さま。今まで騙していてごめんなさい」と泣き出しそうになるラヴィを抱きしめるリヴィア。

リヴィアはラヴィを許さなかったのだった。そしてラヴィは俺に泣きつくと俺は頭を撫でてから落ち着かせるように優しくラヴィを抱き寄せると、ラヴィーは少し落ち着いたのかリヴィから離れてくれた。そして、これからリヴィアの館でラヴィーも住む事が決まると。俺はリヴィアにラヴィーの面倒を見てもらう事にした。そしてリヴィも俺の家に住む事になるとリヴィがリヴィアに頭を下げているのを見たリヴィアは。「別に気にしていないわ。それより仲良くやりましょうね。それにこれからはあなたは私の義理の妹なんだから」と言ってリヴィアもリヴィーを受け入れたのである。

俺はそんな二人の様子を確認すると俺はリヴィのお母さんと話をする事にした。俺がなぜラヴィーが俺の妹である事を隠す必要があったかをリヴィア達に教えると。俺がラヴィーに俺が弟だと教えなかった理由は。ラヴィーの見た目がリヴィーと似すぎているせいで。もしリヴィーの母親が、ラヴィーが俺の妹だと言ったらリヴィーを産んで死んだと思っていた娘とそっくりですぐにラヴィーとリヴィを勘違いするかもしれないと危惧したのである。そうすればラヴィーはリヴィエにリヴィの事をラヴィーだと勘違いしたままでいる可能性があったので。

リヴィがラヴィーと姉妹である事をリヴィの母親の目の前で伝えるのはまずいと判断した俺はラヴィに、ラヴィーの本当の姿を教える事にしなかったのだ。しかし俺の考えとは裏腹に。ラヴィはあっさりリヴィにラヴィーの正体を教えてしまうのである。

そんなラヴィの言葉に俺は唖然としてしまうが。ラヴィーは俺の方を見て。

(お兄ちゃんになら騙されても私は全然平気だから)と言うのである。俺はラヴィーの行動に頭が痛くなるが。リヴィアとリヴィの姉妹はお互いの顔を見ながら笑い合うので、俺の取り越し苦労に終わったようだ。俺はリヴィのお母さんから、ラヴィアの母親の妹がリヴィエと、リヴィエの妹がリディアに似ている事を聞いてから俺は魔族領の魔人族の国に向かって歩き出した。

俺達が魔族の国に向かう途中で魔物に襲われて返り討ちにしていると、リヴィエ達が襲われたので。ラヴィアがラヴィと二人でリヴィア達を守りに行くと言って、リヴィア達三人が取り残される事に決まった。俺は二人だけで大丈夫なのか心配になるが、ラヴィーがリヴィエと一緒に行きたいと言い出すので。仕方がなくラヴィエも連れて行くことにする。

そうして魔族の国まで残り僅かと言うところでラヴィ達と別れると俺がリヴィを守る為に前に出て。それからはひたすら俺が剣で敵を倒すと言う戦法を取り。リヴィ達を危険から遠ざけるために、俺は一人で戦っていたのである。そうすると俺に話しかけてきた人物がいた。その人物が魔族の一人だと分かると、俺は身構えるが。その相手の姿を見ると拍子抜けしてしまい呆れてしまう。何故ならその相手がラヴィだったからだ。

俺は魔族の姿をしたラヴィーを見てため息を吐きながら、ラヴィに事情を説明する。

ラヴィーの話を要約すると、魔人の国に行けば殺される可能性があるために、リヴィア達は俺に保護して欲しいと言われたのだ。俺の両親は俺と俺の姉が魔人と繋がりがあると知っていたために魔人に狙われたのだろうと予想できた。

それからリヴィーが俺とラヴィーの関係を知らない振りをして俺とラヴィーと会話をするように促してきたので。俺はラヴィーと話す事にした。ラヴィーがどうして俺の前に現れたか聞くと。俺に会いたかったと恥ずかしそうに答えてくれる。そして俺にラヴィを好きになって欲しいと言われる。その話の流れにラヴィーとリヴィアが複雑そうな表情をしていたが。そんな二人には構わず俺はラヴィアと話をしていると。俺の話を聞き終えたラヴィーがラヴィアが魔人ではないと分かっていた事を、俺に伝えるのであった。

(えへっ、だってお姉様はお兄ちゃんが魔人かどうか分からなくて。ラヴィに確かめるために。ラヴィはわざと魔人を騙るふりをしていたんだ)と言うので俺はそんなラヴィーに俺は「ありがとうな」と伝えて感謝をしたのであった。

そうして魔皇がいる城に向かう道中に、リヴィの村がある場所を通りかかる。その時に俺とリヴィが村の人達と会話をしていると。突然ラヴィーに誰かから攻撃を受ける。俺が反撃しようと思うとリヴィに止められて、代わりにラヴィがリヴィアの変わりに攻撃を受け止めていたのだった。俺はラヴィーが受け止めた攻撃を確認をする。その正体はラヴィの友達だった魔人であった。ラヴィはラヴィアを庇うような形になり。ラヴィーが傷だらけになりながらもリヴィアの盾になっていた。ラヴィアは自分が代わりに攻撃を受けた事で。ラヴィーに怪我をさせてしまった事に罪悪感を感じると、泣き崩れてしまいその場にしゃがみ込む。俺は、泣き崩れるラヴィアを抱き寄せると、落ち着くように優しく声をかけるのだった。

(ラヴィー。リヴィアの事を頼む)と言うと、ラヴィーが俺を睨みつける。そんな二人の間にラヴィが入り。

俺の代わりにリヴィアを説得すると言う。

俺はラヴィーにリヴィの面倒を任せると、ラヴィーに、ラヴィの両親や弟妹を紹介してもらったのであった。そうして俺は魔人が襲撃してくる前に。

急いで魔人族の領地に入るのである。

俺とラヴィーは、リヴィアに紹介された村に行き、そこでラヴィのお母さんと会うことになる。そしてラヴィはリヴィアのお母さんに。ラヴィーとリヴィアが本当は血の繋がった姉妹だと教えるのである。

そしてラヴィーは、自分のせいで姉と離れる事になったので、リヴィアを恨んでいるのではないかと思い込んでいるので。リヴィアに自分が悪いことをしたのは知っているが、許して欲しいと懇願するが。

そんなラヴィーの話を聞いたリヴィアのお母さんは。リヴィに「許せるわけがない」と怒りながら言うと、リヴィアはラヴィのお母さんに謝ろうとするが、それをリヴィのお母さんは拒絶するのである。そんな二人のやりとりを見て俺は。

リヴィアの本当の母親はリヴィアと顔も似ている上に、妹であるリヴィとも似ているのだから。

きっと魔族の王であるリヴァイも。

自分の本当の子供のように思っているリヴィアに、そっくりの妹が現れたことに動揺していたから。

俺に魔人と戦うようにお願いしてきたのではないかと思っている。

俺の両親を殺した犯人は魔人で。俺の両親が死んだのは、魔人から逃げたのがきっかけだったと思うし。もしかしたらラヴィの母親の妹の人も、俺の父と母に殺された可能性も否定できないと俺が思っていたからこそ。

もしかしたら魔人と戦って死ぬかも知れないけど。俺とリヴィの本当の両親の命を奪った魔人は絶対に許せないので。

俺が魔王としてリヴィアを守れなかった分、今度はちゃんと俺がラヴィとリヴィアを、俺の家族をしっかり守る為に。

今度こそ、ラヴィとリヴィアを守り切る事を決意するのだった。

俺の目の前にいるラヴィーとラヴィーの母親が。

姉妹であるリヴィアに対して酷い態度を取る事に我慢ができなかった俺は。

ラヴィーのお母さんに「そんな言い方はひどいですよ」と言うと。ラヴィーのお母さんから「私達の気持ちも知らないくせに」と言われてしまうのだが。そんな事を言われても知ったことじゃないと思った俺は。「それはラヴィアが魔族ではなく人間ですから、あなたのお子さんだと言うのなら分かりますよ。それでも。ラヴィアが自分の子供を魔族だと思い込んで育てていたからと言って。あなたの娘であることには変わりはないんですよ。

確かに魔人だから、普通の親子関係より歪な物になってしまったかもしれない。でも。あなたとあなたのお腹から生まれたあなたの子供だ。その事には変わりは無いはずだろ。あなたがラヴィーを大切に思っているのと同じように。リヴィアもあなた達から愛されているはずなのに。どうしてあなたは自分の子供が魔族であると思い込んでいたのか。どうして娘が魔族だと知りつつ。娘を育てていたのか分からない。それに、ラヴィーの母親が、あなたが魔人である事を知っていたという事は。魔人の王様が魔人だという事も知っていたと言う事になるんじゃないですか?」

俺がラヴィーとラヴィーの母に向かって言うと、その言葉に、リヴィの母は絶句してから。ラヴィーに「この子が嘘を吐いている証拠はあるんですか?もし本当に私のおなかから生まれて、私が母親なら。リヴィは間違いなく、魔族ではありませんから」と言い放つ。俺はそのラヴィーの言葉を聞いていたリヴィに、お前の母親は、ラヴィーがリヴィアである事を確信した上で魔人の娘であると言っていたんだと言うと。

その話を聞いてしまったリヴィが、ラヴィを抱きしめて「おねえちゃん、ごめんなさい」と言いながら泣き始めるので。ラヴィーは、自分が魔族であることを隠さなければいけない事情があったからこそ。

ラヴィアにも隠して生きていたのだから責められないよねって言った後に。

(お姉ちゃんを責めるような事を言って申し訳ありませんでした)

ラヴィのお母さんに謝って。

俺はラヴィアにラヴィの母親に魔人について聞きに行くぞと言ったのである。するとラヴィアもリヴィもラヴィーのお母さんも驚いているようだったが。

俺は魔人についても色々と聞いてみたい事があるから行くと言うと、ラヴィアがそれなら自分も連れていってくださいと言うので。

ラヴィアも一緒に連れて行くことにした。そうするとラヴィが、ラヴィアは人間と一緒の生活をしているのに、どうして魔族の事を詳しく知っていたんだとリヴィアがラヴィーに問いかけるので。俺はリヴィアのお父さんである魔人から直接聞いたんだよと言うと。ラヴィアとリヴィの姉妹は驚いた表情を見せるのであった。

そうして俺達は、魔族領にある城に到着すると、城の門番に声をかけられるが、俺達が何者か気がついたのだろう。慌てふためくので。リヴィアの知り合いであり、城の中で話がしたいと言えばすんなり通してくれるのだった。

それから城に入り応接室に案内される。その部屋に、ラヴィーが知っている限りで良いから教えてくれと言うと。魔人の国である魔皇の事について教えてくれたのだった。俺はまず最初に、魔皇をどう思っているかを聞く事にしたのだ。俺が魔人の王様をどんな風に思っているかを尋ねると、リヴィアの両親は顔を見合わせて何か話し始めると。

それから、自分達の知っている情報を話すと言う。それから、俺がどうしてリヴィとラヴィをここまで守りながら来れた理由を言うと、ラヴィアとリヴィが俺の事を、信じられないような者を見るような目で俺を見ながら驚くのである。

(どうしてそんな事ができるの? だって。魔人が人間なんかに従うわけが無いでしょう)

(そうですね、しかも人間の国王が魔族である魔人に協力するなんてありえないですよね)

リヴィアとラヴィアは、そう言いながらも俺が魔人を圧倒する実力がある事から信じてくれる様子で、リヴィアのお母さんは魔人なので当然として。ラヴィアは最初は信じられないといった表情をしていたが。俺の目をじっと見つめると。

急に涙を流して。(ありがとうございます。私達の事を守ってくれたうえに。こんな素晴らしい方を疑うような事を申し上げてしまいました。心の底から感謝いたします)と言うと。リヴィアのお礼を言っていた。そんな二人を見て俺は、リヴィアが無事に元に戻れてよかったなと思う反面。俺は自分の両親を殺した魔人と、リヴィアを悲しませた原因を作ったであろうリヴァイの事を思うと、複雑な気持ちだった。

リヴァイは、なぜ人間と手を組んだりしたのか? そんな疑問を抱きながらも俺は話を聞こうとした時に、一人の魔族が現れ。

(失礼致しました、私はリヴィア様をずっと探していたのですが。どこに行ってしまったか分からなくて。やっと見つける事ができました。本当によかったです。しかし、リヴァイ王の命令を無視するわけにはいかなかったのです。許して欲しいとは言わないので。せめてお嬢様だけでも保護していただけませんでしょうか?)

そう言うと俺の前に膝を突き頭を下げた。その人は、俺にリヴィを保護して欲しいようだが、今は忙しいので少し時間をくれないかと言うと。リヴィアは魔人の言葉を信じずに断れと言っている。だがリヴィアの母親が言うには、自分は魔族ではあるが、リヴィが魔人になる前は人間だったので魔人の国の事情を知っている。それに何より魔人になったのだから、魔王の事も知っているはずだし。

それに魔王と直接会えば自分の正体を気付かれる可能性もあるし。リヴィアの命を狙ってくるかもしれないし。だから絶対に止めなければいけ無いと言うので。俺が、リヴィがラヴィアに謝りたいと言っていた事を伝えると、リヴィアに「どうしても会いたいというなら、お姉ちゃんも一緒に連れて行ってあげる」と言ってリヴィアと一緒に行くことになったのだった。

俺とアリシアとリヴィーが三人で歩いている。そしてラティが俺に寄り添って歩いており、その反対側ではリヴィーがリヴァにべったりくっついている状態になっていた。リヴィがラティーに嫉妬しそうな気がしたので。ラヴィーの事をラヴィアと呼ぶのをやめるように伝えて。これからは自分の事はラヴィアと呼びなさいと言う。それに、もうラヴィーって名前じゃなくなっているんだけどなと俺が呟くと、ラヴィアはラティに抱きついて、「おねえちゃんはおねえちゃんだよ!」と言ってきたので。まぁいっかと俺も納得することにしたのだった。そんな会話をしながらリヴィアの家に向かっていた時である。

(おい、そいつを寄越せ)と男の声が聞こえたかと思うと。突然後ろに現れた黒髪で赤い瞳のイケメンがリヴィアとラティアを連れて行こうとしている事に気づく。俺がいきなりの事に動けないでいる間に、リヴィアとラティは連れ去られてしまう。リヴィーがすぐに追いかけようとするが。リヴィーが走り出すよりも早く男が姿を消す。それと同時に俺の意識が途切れたのである。俺は気を失った状態で地面に倒れた。そこに現れるのはラヴィーで、倒れている俺に話しかけてくる。

「大丈夫ですか?今ならまだリヴィは取り戻せるかもしれません。今なら私一人でもあなたを運ぶ事ができます」

「リヴィアが攫われた場所は分かるか?」

「多分この近くだと思うのだけど」

「なら行くか」

俺はリヴィアを取り戻すためにリヴィーと二人で移動するのであった。俺は、ラヴィア達がいる場所を特定しようと気配察知を使い辺りを探るが。なかなか見つからない。

仕方がなかったのでリヴィーを肩車して。俺はジャンプして壁の上に立つ。そこから周りを見ると。この城は地下があるのだと知るのであった。

ラヴィアはラティーを抱きしめて泣き始めると。

(おねえちゃん、どうして魔人に)と言いかけると。ラヴィーがリヴィアが、ラヴィの本当のお姉ちゃんであると分かっていたが、それを言う事が出来なかったと言うと。

(おねえちゃん、私のせいだよね。私が魔族だって事を言えなかったから)

(違うよ、あなたが悪いんじゃない。私がお母さんから逃げてしまったんだから。お姉ちゃんなのにあなたを守ってあげれなかった。本当にごめんね。本当にお姉ちゃんなのか分からないけど、もしラヴィーにおねえちゃんと呼んでくれるなら。私の妹になって欲しいな)

そう言ってラヴィーがラヴィアを抱きしめるのだった。ラヴィアが涙を流すと。その様子を見つめている魔族の男性。リヴィアの父親が近づいてきて。(すまなかった。まさかリヴィの友達まで魔族になるとは思っていなかった。どうか許してくれ)と言い始める。俺はその事に驚くが。

(お前が謝って許されると思っていない。お前の娘に怪我を負わせてしまったし、お前の娘にも傷跡が残っている)と俺はリヴィアに謝らせる。するとリヴィアの母親は俺の前に来ると土下座をして謝罪してくる。

俺はどうしてリヴィアの母親も謝ってきたのか不思議だったが、その理由を聞いて納得する。

実は俺がリヴィアに謝らせていたときから泣いていて俺達に話しかけようとしたが。ラティスの母親の事もあり、どう話せばいいのか分からなくなっていたらしい。俺達は、お互いに誤解があったが。なんとか分かり合えたので、和解してラヴィを迎えに行くことに決まったのだった。

ラヴィは、ラヴィーから、魔人について説明を受ける事になった。

俺がラヴィーにラヴィーの母と魔族について質問するのを聞いたリヴィアが。ラヴィーのお母さんが魔族について詳しいのでラヴィーを預かると提案してくれたのだ。俺は魔族の事情を知っているリヴィアに任せる事にした。リヴィアがラヴィーの手を引き歩き始めたのだが、急にラヴィが立ち止まる。リヴィアはラヴィーに声をかけるが全く返事がないのだ。リヴィアがもう一度呼びかける前に。ラヴィはラヴィアを突き飛ばすと、その反動でラヴィは転んでしまう。その光景を見ているリヴィアの顔から血の気が引いていたのである。

俺はリヴィとラヴィアが連れて行かれた場所に急いで向かうと。そこにはリヴィアとリヴィエがいてリヴィを殺さずに捕まっていたのだった。

リヴァイはラヴィーを誘拐した後、リヴァイは魔王の元に行き、自分の正体やラヴィアの正体をバラしてしまうと脅したのだった。

「貴様!自分が何を言っているのかわかっておろうな?魔族と人間との関係が悪化するぞ」

リヴァイは笑いながら話すと、魔王を馬鹿にするように見下ろす。

「ふっ。人間なんかに恐れる事なんてない。俺達は強いんだよ。それに逆らえる人間など存在しない。魔王陛下、貴方のやっている行為は無駄です」

そう言い残して魔王の前から立ち去る。そしてラヴィーに、ラヴィーを魔人に戻す方法を話すが。それを聞きながら怯えるような表情を浮かべていたラヴィーを見て。

リヴァイはラヴィーの頬を叩いたのである。

ラヴィはリヴィアの方を見るとラヴィはリヴィアに抱きつき。リヴィに大丈夫だと言うが。ラヴィが泣き止むことはなかったのである。そんな二人を見ながら。リヴィアはリヴィアに話しかけると。(リヴィはラヴィと一緒にいる事を望むの?)と聞かれてラヴィはリヴィアの服を掴みながら泣き出したのである。

(リヴィ。お願いだから、ラヴィーを離しなさい。もう魔人の国に帰るしかないのだから、そんな事しても無意味なの。だからもう止めてあげて)とラヴィーは言うが。リヴィアはラヴィが掴んでいる腕を掴むと。リヴィアが、(私は、ラヴィとリヴィの姉でいたかった。でも私はラヴィーが大好きなの、ラヴィーが望む事をさせてあげたいの。だから、お願いだからラヴィを許せないというのなら。私を殺して、私は、ラヴィもリヴィも幸せにしてあげられたかっただけなの。私は、ただのわがままな女でしかなかった。本当にごめんなさい。もう二度とラヴィの前に現れる事はないわ。今までありがとう。そしてさよならリヴィ、私はいつまでもあなた達を愛してるよ)とリヴィはラヴィーの腕を振りほどくとその場を離れたのだった。

(ラヴィ。さようなら。ラヴィ、あなたの望み通り。私はリヴィアを恨んであげる)と言い残すと姿を消したのである。

俺達が駆けつけてリヴィア達の元へ行くと。そこに現れる一人の魔族の男性。

その魔族は黒髪の黒目でイケメンなのだが。見た目とは裏腹に強そうだ。俺に近寄るとその男は俺に話しかけてきた。

「お前は何者だ?俺の部下が倒された気配を感じたから来たが。人間にしか見えないしな。お前は何が目的でここに来た?」

「お前に答える必要は無い」

「ふん。まぁ、答えたくないなら良い。それよりも、この娘に傷を付けたお前は死ぬ覚悟は出来ているのだろうな?」

「俺を殺したければ好きにしろ。その代わり、俺に殺されても文句を言うなよ」

そう言うと、男の目が変わると、俺に攻撃を仕掛けてくる。俺に襲いかかる拳を受け止めて男の腹に膝蹴りをくらわせると。男は苦痛で顔を歪ませる。俺は追撃するために。魔力を込めて男を殴るが、その攻撃を避ける男。だが、完全に避けきれず少しかすっていた。

男がニヤリと笑うのが分かると。俺は嫌な雰囲気を感じ取る。俺はすぐに男から離れて身構えたが、男は何故か俺を無視してラヴィア達に近づく。そしてラヴィアを強引に抱き寄せると。

「こいつが欲しかったんだよ。俺の妻になる予定でな。こいつを手に入れるためなら何でもするつもりだ。魔人と人間の関係とか俺には関係ないしな。邪魔する奴は俺の全てを賭けて殺してやるから覚えておくが良い」

男がそう言うと俺に話しかける。(お前の大事なものが奪われるかもしれないぞ)と囁く声が聞こえたかと思うと。その途端に目の前の空間が歪み始め。そこから出てきた人物を見た俺達全員が驚愕する。何故なら俺のよく知っている人物が姿を現したからだ。

俺は慌ててラヴィー達の元に駆け寄り助け出そうとしたが、間に合わず。現れた人物はリヴィアを無理矢理連れ去ろうとする。それを見ていた俺は、無意識にその人に魔法を放ち攻撃していた。その人が攻撃をまともにくらい倒れるのを確認すると。俺はラヴィアにリヴィを助け出すように言うと。ラヴィアは俺が止めるのも聞かずに。俺の横を通り抜けて走り出していったのである。

それからラヴィアを連れ戻そうとラヴィーも走って追いかけて行ったが、リヴィアを連れ去られて動揺しているリヴィを落ち着かせようとするが。リヴィが泣き叫ぶだけで、何の解決にもならない。俺がどうしようかと考えていると。

俺に向かって飛んできた何かに反応できず、そのまま食らい地面に倒れてしまう。俺は急いで立ち上がり周りを見ると。そこにはリヴィと、もう一人の男性が立っていた。

(おい!なんでこんな弱いのがラヴィを助けたんだよ!)と叫びだすリヴィアに似た顔の男性は。どう見ても、ラヴィアの父親だと思われるのだが。どう考えてもその容姿は俺の記憶にあるラヴィアと瓜二つな上に、俺が知るラヴィアとは比べものにならない強さだと思った。それに俺は、その男性に対して嫌悪感を感じていたのだ。それはその男性と会話をした瞬間に。俺はその男性に強い怒りを感じるようになっていたのだった。

俺はこの男性の事を知っていて。その事をラヴィアに伝えるとラヴィアの顔色が変わり始めて。そしてラヴィーを抱きしめて、そのラヴィーの父親は俺を見て。いきなり攻撃を仕掛けて来たのである。俺はギリギリで回避出来たが、ラヴィアの父親からの攻撃で、ラヴィアが持っていたリヴィの武器は砕け散ったのであった。

リヴィアのお父さんが俺を本気で殺す勢いで襲ってくる。ラヴィアとラヴィーはその事に気づいていないのか俺に攻撃してくる。

(どうしてラヴィーを助けるために戦ったはずなのに、私達が襲われなきゃいけないのよ)

リヴィは泣きそうな表情になりながらも、俺達に襲いかかり続ける。リヴィの父親も攻撃して来ているが、俺は二人の相手は厳しいと思っていた時。

俺の前にラヴィアのお母さんが現れると、リヴィアのお母さんがラヴィアの父親と対峙する。そして、ラヴィアとラヴィーのお母さんにラヴィアを頼むと、俺はリヴィアの両親を二人に預けて。魔族の王がいる場所に急ぐのだった。俺は魔族の王の所につくなり魔族の王に殴りかかるが。あっさりと避けられてしまい。魔族の王が余裕たっぷりに話しかけてきた。

『お前は一体誰だ?私の結界を破る力があるようだが、魔人じゃないみたいだし、まさか勇者って事はあるまい』と聞かれる。俺はそれに対して無視すると、魔王が俺の顔を掴んで来る。

『お前の事を私は知っているぞ。魔王殺しの英雄の片割れだった男だな。あの魔王を倒した時は本当に楽しかったぞ。それで英雄の仲間が私に戦いを挑んで来たんだが。私が手を下すまでもなくそいつは死んでいたよ。確かあいつが死ぬ直前に私と会っているのを忘れてなかったぞ。私はあいつを気に入っていてな。あいつが死んでから魔族で最強の戦士を作ろうとして。魔王の力を分け与えてやったのさ。それがお前なんだ。だからお前だけは特別にしてやろうと思って、お前だけに私の力を分けてやっている。それを使ってお前が私を殺しに来るのを待っていたが、そんなお前が人間なんかの女と一緒に居るとは驚いたぞ。それとも私と戦うためなのか?』

俺は魔族に言われた言葉が頭に残り。そして、俺に殺された魔族も、魔族が魔王の力で作り変えられたと言っていた事を思い出したのだ。俺はその話を聞いて。魔王が魔族を作り変えた張本人だと知り、怒りで頭が真っ白になると。魔族の王を殺そうとするが、俺の周りに魔法障壁が展開されて近づけない状況になっていた。そして、俺の隙をついて魔族の王は攻撃を仕掛けて来て。

『ははははははっ!いいねー。その目、本当にいいぜ。私はそういう目をする男が大好きなんだよ。だけど、残念だったな、私は簡単に殺されるつもりは無いからな。それにまだ魔人になって日が浅いからな、私は魔人の王の中でも最弱の存在だ。だが私は負けない。私はこれからも強くなる。そして、私はこの世界を統一し全ての人間を滅ぼすのが夢なんだよ。まぁ、まずはこの世界を支配する事が先決だがな』と言い残し姿を消す魔族の王。

俺は魔族の王の言葉が気にかかりながら、今は魔族の王を追わずに。リヴィエの元に向かう。それからリヴィ達と合流した俺達はリヴィングに戻っていくのであった。

(どうしてリヴィちゃんの父親が私達を襲うのかしら?しかもラヴィーちゃんが持っているあの剣を狙っているようでもあったし。一体何があったの?それにこの人は、やっぱり人間に見えたけど違うのよね。リヴィーの話に出てきた魔族の男の人に似ている気がするわ。この人が助けに来てくれなければ危なかったわ)

私はそう思うと、自分の腕の中で泣きながら震えているリヴィーを抱き寄せていたのである。

ラヴィーの父親は、何故か執拗にリヴィアを狙うような言動をしていたが。俺はそれをラヴィーに聞くと、俺をリヴの父親と勘違いしていたようで。ラヴィーも俺達を襲った理由は知らないと言うので少し困惑した。リヴィアの方を見ると涙を目に貯めていて悲痛な表情をしているが。それでも冷静さを保とうとしていた。

俺は、ラヴィーの母親である女性から、リヴィーの父親がリヴィアを連れていった事を伝えられると。すぐに俺は、ラヴィの父親の元に転移し。

俺はラヴィーの父親と対峙しているラヴィーの側にラヴィを連れたって行く。ラヴィはラヴィアと父親に抱きつくと、安心してまた泣いてしまうのだった。ラヴィが泣く姿を見て。ラヴィの父である男性は少しだけ動揺していたが。すぐにラヴィーとリヴィアを引き剥がすと、二人は離れてしまうのである。俺はその光景を複雑な思いで見つめていたのであった。

それから俺が魔族の王に攻撃しようとしてからの話をラヴィアとラヴィーから聞いていくと。どうも、ラヴィアが持っている武器と、リヴィが持っていたリヴィが愛用していた槍と、ラヴィとラヴィアの両親が身に付けていた装備を魔族に奪われて。ラヴィが持っていた短刀を奪われずに済んだというのを聞いて。ラヴィアの父親は俺にリヴィアの父親に渡してしまった事を話すと、俺の胸の中に怒りが込み上げてくるのがわかったのである。

俺はその気持ちを抑えきれずにラヴィアの父親の顔面に拳を打ち付けるが、その攻撃を簡単に避けられてしまう。俺がもう一度殴ろうとすると、ラヴィアの父親に殴られてしまい地面に倒されてしまう。俺はその事に対して怒りを覚えると。今度は俺が魔法を発動させて攻撃する。しかし、それもラヴィアの父親と、もう一人の男性に防がれてしまったのだった。

(こいつはヤバイ奴だな。私より格上の奴が三人も揃っていたとはな。これは本格的にマズイかもしれない。こいつらを皆殺しに出来るほど強力な奴がここにいればいいのだが。そんな都合の良い事はないか。ここは逃げて態勢を立て直すしかなさそうだな)

俺と戦っていたラヴィアの父親は。俺達が思っていた以上に、強すぎるとわかり撤退する事に決めたようだ。それからラヴィアの父親は部下を呼ぶと撤退命令を出してからその場から消えていく。

俺達がラヴィアの家に戻るとラヴィアの母親がラヴィアとラヴィーを出迎えてくれて。「ごめんなさいね。うちの人が、貴女が大切にしていた武器を持って行ってしまったの」と謝ってきた。俺も事情はわからないが、取り返せない物でも無いので気にしていない事を伝えてから。詳しい説明を求めたら、「それはね」と言って話し始めた。その内容はとても信じられるような内容ではなかったが。どうもラヴィアの父親も、ラヴィアと同じようにリヴィの事が大好きだったらしく。どうしても娘に会いたかったのと、リヴィが身につけている物に用事があるらしく、それを回収しようとしていたようだ。そして、ラヴィアの両親はラヴィアの父親に頼まれたので協力する事になり。魔人化するための力を分け与えたのと、その力で自分達の肉体を作り替えたのだった。そしてその結果が。ラヴィアが魔人と化した時にラヴィーの両親の見た目が似ていたのだ。それはラヴィアの父がラヴィアの父と似通っていたのではなく。魔族の男の姿にラヴィアが変化したのだと言う。

俺はその事実を聞くなり。この世界にいる全ての人達の容姿が変化しているのではないかと思い至るのである。

そして魔族の王がラヴィアの父親に言っていた言葉を思い出したのだ。俺は【全言語翻訳】で会話をしていた事で気がついた事だった。そして魔族の王の発言から。俺は魔族がこの世界を支配しようとしている事を悟る。魔族はこの世界に住む人々を憎んでいるのか?と疑問に思ったが。魔族からすれば人間も魔人も一緒なのかと思うのであった。

(それじゃ魔族の王の目的は何だ?魔人が人間を魔族に変える事には成功している。なら何故人間の国を襲う?)

そう考えているとラヴィアは泣き崩れるように倒れて意識を失ってしまったので。俺はその体を受け止めるとラヴィーを母親に任せるのであった。そして、魔人の王が去り際に言った言葉を思い出して。魔族の王の目的を予想するのだった。

ラヴィーが魔人になり。俺達を襲撃してきた魔族の王が、人間を滅ぼしてこの世界を魔族の支配下におくと言っていた。俺はそれを思い出して考える。この世界で人間を魔族に変えて魔人の国に連れて行く理由は何かを?俺はそこで、魔王の力を分け与えて強化するのが目的だと推測したのだ。だがその事をラヴィア達に言って良いか悩む。魔王がこの世界に存在しているなんて信じないだろうし。俺の言っている事を妄言として処理されるだろう。それに、俺自身も未だに魔王が本当にいるかどうか疑心暗鬼になっていたのだ。そんな考えを頭に浮かべていると。俺達の家の扉を激しく叩く音が聞こえた。すると外からリヴィアの声がしたので急いで玄関を開けるとそこにはリヴィアのお母さんがいて、リヴィングでリヴィアが倒れたと言う報告を受けると、俺達は直ぐにリヴィングに向かうのであった。

俺達はリヴィングに行く途中でリヴィングに向かう人達に遭遇するが、その中には見知った顔があり。俺は話しかける事にしたのであった。

俺は魔族の襲撃後に遭遇した知り合いに声をかけたのだが。相手はその知り合いの男性では無かったのである。彼は魔族に殺された男性の知人だという。彼の話によると魔族に殺されそうになった時。一人の男が突然現れ魔族を追い払ったらしい。

俺は、その話を聞いて少しだけ希望の光を感じた気がしたが。まだ、魔族に人間が魔人になる方法がある事を教えても良いかわからないので、今は話すことをやめることにしたのだ。俺はそう判断した後にリヴィア達と一緒に家に入るとリヴィーやラヴィーの母親もいた。そしてリヴィアの父親もいて俺達を見て安心した表情をする。

俺は心配したぞと言いながら、リヴィアを寝かせてから椅子に座らせようとすると、リヴィアは立ち上がって、まだ戦う意思があることを告げてきて。俺を困らせる発言をしてくる。俺が無理をしてほしくないと説得しても、聞かず。俺は仕方がなく、回復の力をリヴィアにかけて体力を回復させた後は、強制的に休ませることにしたのだった。

(本当に厄介な事をしてくれたよなぁ。それにしてもまた魔族の襲撃があるのかな?今はまだ情報が足りなさ過ぎるんだよなぁ。魔人になって力が増大したラヴィーでも勝てなかった相手をどうやって倒せばいいのか全く検討つかないんだよなぁ。だけどラヴィーとリヴィは俺が守らないとだよな。)

そう考えてから。リヴィとリヴィアの様子を見ると。リヴィアの体調を心配してリヴィがずっと側にいるようだ。リヴィアはその優しさに感謝するかのようにリヴィに甘えていて微笑ましい姿を見せている。リヴィアもかなり辛い思いをしたみたいだから。少しの間ぐらいゆっくり休むといいさ。そう思ってリヴィア達を見守る事にしたのだ。それからしばらくして。俺がラヴィの側に居るとリヴィエの母親がリヴィーの様子がおかしい事に気がついてリヴィーの部屋に向かっているようだったので俺も付いて行く事にした。

俺がリヴィアに付いているように言うと、リヴィアの母親が。ラヴィーちゃんのお父さんがラヴィーちゃんを連れて行ってしまったからと俺に訴えかけてきたが。ラヴィーをリヴィと二人だけにしてあげた方が良いと思って俺はリヴィを部屋まで送ってくれた礼を言い。それから俺は、リヴィに付き添っているとラヴィの父親がやってきた。そしてラヴィアの父である男性は、俺とラヴィアが一緒に居ても何も言わずにただ黙って見守っていてくれたのである。俺は、そんな彼を見ながらリヴィアの父と同じような雰囲気を感じる。

(ラヴィアとリヴィーの父親は似ているがラヴィアの方が優しい感じで、リヴィーの父親の方は少し威圧感があるけど優しげな雰囲気だな。リヴィの父親は厳しい面もあるけれど優しさのある人だったからな)

俺は、そう思いつつラヴィアの父親であるリヴィの父親と向き合っていたのであった。

それからラヴィアが目を覚ますと。俺はラヴィの側に行き声をかけた。そして俺はラヴィアにリヴィの父親から話を聞けたかを質問するが、彼女は俺が何を言っているのか理解できなかったようなので。彼女に、魔族になったラヴィーと戦った時の状況を聞いて欲しいと告げる。その言葉を聞いて、ラヴィアは自分の身に起きていた事が信じられないようだったが。俺に言われた通り、ラヴィアの父親は俺に教えてくれていた内容を話し始めてくれる。俺がそれを聞いていた間。リヴィアとラヴィーはお互いに抱きしめ合い涙を流していたのだった。そして俺が話を聞き終えるとラヴィアが泣き崩れるように床に手を付く。

その光景を見たラヴィは。自分のせいだと思い込んでしまい。ラヴィアがラヴィに、お前の両親を救えなかった俺の責任だと謝罪する。だがそれを見ていたリヴィの両親が間に割ってくると。俺が悪いのだとラヴィアに謝りだして収拾がつかなくなる。そんな状況になっている中でリヴィは泣き出してしまい。それをラヴィとラヴィアの母親が優しく抱きしめてあげ落ち着かせると、ラヴィとラヴィーがラヴィアの父親の話を聞いていなかったか確認する。

ラヴィアがそれを聞いた事があるかを聞くと。ラヴィーもラヴィアの父親の話は知らないらしく。ラヴィアとラヴィーに俺が聞いた内容を話してから、もう一度、同じ話を繰り返す。するとラヴィアとラヴィーは目を大きく開けるのと同時に信じられない様子だったのだ。それを確認した俺は。この事実を知って、ラヴィが魔人化した時も魔族になっていたら。俺は勝てるかどうかわからないと正直に告げる。

(俺もまさかここまで強力な力を持った敵が現れるなんて思っていなかったからね。この情報はかなり重要なはずだ。それに魔王の力を手に入れたと言っていたから、恐らく魔王となんらかの関係があるだろう。そうでなければラヴィアを魔人に出来るわけがない。魔族の王が俺を襲わなかった理由にも納得いく)

俺がそう考えていたら。リヴィの父親が再びラヴィア達がいる部屋の中に入って来た。そして俺を手招きしたので、俺は呼ばれるままリヴィングに戻るのである。

その後俺は魔族の王について聞きたい事があると言われたのだ。そして、それは俺も同じ事を聞くつもりでいたので丁度良かったと思う。

俺とラヴィアの父が向かい合う形で座っていたので俺の隣にはリヴィアの父であるリヴィーがいて。俺の横にはラヴィアがいた。そしてラヴィンの父親は口を開く。「君達はどこまで知っていのだ?」その言葉に、俺よりも先に反応したのはラヴィだった。「魔族の王は本当にいるのですね?お父様」そう言って涙を流すとリヴィーに抱きついたのだ。それを見たラヴィアとリヴァイアサンも涙を浮かべて二人を抱き寄せる。

(この世界に来てから初めて会ったのになんでみんなは俺に対して親身になってくれるんだろう?)

俺は嬉しく思いながらも。なぜそこまでしてくれるのかがわからず戸惑うばかりである。そんな中。ラヴィアの父が話しだす。

魔族の王については俺も詳しくは知らないと伝えるが。魔王の力を手に入れられる存在が魔王であり、この世界のどこかにいると言う事だけは知っていると答える。そして、魔王になる資格を持っている者だけが魔王の魂を手に入れることが出来ると言う噂を俺は思い出し、その事をラヴィア達に説明する。

魔王とは全ての生物の天敵のような存在であること。だが、その力は絶大なもので、その存在に狙われたら逃げることが不可能と言われていることを告げ。さらに魔王の中には人間の味方をする者がいるという事も話すと。リヴィの父親が魔王の配下が人間の国の王に姿を変えている可能性があると予想している事を告げてきたのだ。

(魔族と人間は、昔は争いを繰り返していたと本では読んだことがあったが。人間の姿形をした魔族もいるのか?それと魔族は人間の姿をした魔族を殺す事が出来るのか?)

俺はリヴィ達の話が終わってから考える。もし魔人が全て人間に姿に化けていたのなら。俺は勝てるのだろうかと不安を感じていた。

それから俺とラヴィアは、リヴィ達の家を後にして家に戻ったのだが。そこでリヴィの母親とリヴィアの父親が待っていた。リヴィングに行く前に一度家に戻って、家族と話し合いたいと伝えたそうだ。リヴィの母親はそれを了承してくれ。俺達は三人でリヴィングに向かったのだが。その時、俺達が向かっているのを知っているかのようにリヴィアが家の扉を開けてくる。するとそこにはリヴィングにいた人達が集まっておりその中にはリヴィもいた。俺はそこで、この世界に何が起きているかを知る事になるのであった。

それから家に入ると。リヴィアのお父さんとお母さんが椅子に座っていたが、なぜか、そこにはラヴィの父親であるリヴィの父親も居たのである。

それから俺はラヴィアの両親の隣にある席に座り話を始めようとしたが。リヴィの母親がリヴィーとラヴィアの母親は、自分達は後程で良いと言って、リヴィを連れて別の部屋に言ってしまう。そしてラヴィアと俺の二人で話し始める事になった。俺は、リヴィの父親が何故ここにいるのか疑問だったのだが。ラヴィアは俺の考えとは違う考えを持っていたようで。リヴの父親は、俺とラヴィアが魔人の力を取り戻した事に驚いて。それで、わざわざ来てくれたようだ。

俺とラヴィアがお互いの状況を報告し合っている時に、ゼブリート帝国の元将軍だった老人が入ってくると、俺にリヴィを助けてもらった恩があるので俺とラヴィアとゼブラが知りたかった情報を教えると言い出したのである。

そう言った後に、リヴィの父親であるゼリヴィアが説明し始めた。ゼリヴィアによると、ラヴィとリヴィアの父親は、リヴィの父親からリヴィを助けた事で感謝されていて。何か困った時は協力したいと言われていたそうなのだ。その話を聞いた俺は、ラヴィとリヴィエの父親に礼を言うと、ラヴィアの父親のリヴィエの父は、これからどうするのかと尋ねてきて、俺の返答を待つ。

(確かに俺は魔族を倒しながら世界を回ると言ったけど。魔族の情報が何もない状態で、そんな旅に出て大丈夫なのか?でもここで悩んでいても答えはでない。とにかく今は魔族を倒して、この世界を少しでも救わないとダメなんだよな)

俺は心の中で考えてから、まずは仲間を集めて魔族の情報を得る為に行動しようと考えていると答えてから。俺とラヴィアはラヴィアの父親に連れられて。この村で一番大きな屋敷に連れて行かれた。それから、俺達三人だけの部屋に入るように言われると、そこでリヴィアが話してくれた内容を聞いてしまう。

それは俺とラヴィスが、魔王になった時の話である。つまり魔王が魔王の力で人の姿に変わるという話である。

それを聞いた俺は衝撃を受けていた。そして同時に魔王が魔人を造れる理由にも繋がるのだと知る。だがそれよりも、俺にはラヴィアとラヴィの二人の父親の正体を気にする。なぜなら俺の父親はラヴィーの父親である可能性が高いと思ったからだ。だがそれを聞いてみると俺にはまだ分からないと言われた。ただリヴィアの父親であるリヴィーが、その可能性は高いとだけしか言わなかった。だから俺達は、とりあえずラヴィアの父親に関しては、保留にすることに決めたのである。

俺がそう考えている間にラヴィの父親は、ラヴィアの父親とリヴィアの父親と俺の両親の事について話をしていた。俺の両親がこの世界で、どんな立ち位置の人物かを聞かれていたので俺は答える。だがリヴィングに居たのはラヴィとリヴィアとラヴィの父親だけであったが。何故か、他の人達は俺がラヴィの父親に気に入られていると思っていたようである。

俺がそれを尋ねるとラヴィの父親は、その事を説明し始めたのだ。俺の両親は俺が小さい頃からずっとこの都市にいるらしく。魔族との戦いの時にこの都市の長になっていた。そして魔族と人間が争わないようにと、俺が生まれる前からこの都市に住んでいた人間と魔族が、お互いに手を取り合う関係を築いていたらしい。その証拠にラヴィの両親は、この都市内であれば自由に出入りが出来るのだと言う。だが俺はそれが信じられなかったので、その話を信じる事が出来なかった。

そうして俺が疑っているのをラヴィの父親が見抜いたのか、ラヴィの母親がその事は俺がラヴィと一緒にいればわかるはずだと言われて。俺は、ラヴィが一緒なら信じようと決める。するとラヴィアの母親が、俺がラヴィアの父親とリヴィの父親と仲良くなれるのは嬉しいと言っていたのだ。そうして俺は、ラヴィの父親がラヴィの母親と部屋から出ていく時。ラヴィの母親からお願いされる。この都市に残って欲しいと頼んできたのである。それについて俺がラヴィアに相談すると。俺のやりたい事を優先して欲しいから好きにしていいと言ってくれたのだ。そうしてから俺は、リヴィの父親と、ゼリアという女性の所に向かうのであった。

それから俺は、ラヴィの父親とゼリーと言う名前だそうだ。それとラヴィアはゼレアと言うらしいので俺はそう呼ぶことにする。そうする事でお互いの名前を覚えやすくなった気がしたからである。そして俺はリヴィングで待っているはずのラヴィア達の所に戻ろうとしたのだが、そこにリヴィアの父親とラヴィアとリヴィとリディアとリヴィンが現れていた。

俺が戻ってくると、リヴィアの父親が突然リヴィの母親とラヴィアの母親を抱きしめると泣き始める。リヴィアの母親が慌てているがリヴィアも涙をこらえているようだった。

それからリヴィとリヴィアの父親であるゼリヴィアが、今までの事を詳しく話すために全員を集めるのである。俺もそれに便乗させてもらって、今この世界には魔王と名乗る存在と魔人という種族がいる事を話すと。リヴィンの父親のリヴィアの母親は、リヴィの父親の背中に手を置き。優しく微笑む。それを見たリヴィも涙目になりながら笑みを浮かべる。

その後。リヴィアの父親は俺にリヴィの母親とラヴィの母親が俺の両親かもしれない事を話し。俺と二人きりにして欲しいと言い出してきたのである。リヴィアも俺に気を使ってかリヴィの母親とラヴィアの両親に話しかけていたのを見て。リヴィの父親は俺に謝ってくると、それから二人で話しましょうと、二人でリヴィングの外に出てしまったのである。

それから俺は、二人っきりになってリヴィアの父と二人っきりになるのは少し恥ずかしかったが。どうしても聞いておきたい事があったので俺は質問をしてみた。それは、魔王がなぜこの世界の人々に恐怖の対象として語り継がれるかと言うことだ。するとリヴィアの父親は真剣な顔になると教えてくれる。

リヴィアの父によると、かつて魔王は魔人の王と呼ばれていたのだが、魔王が現れると同時に魔人の王が姿を消した事から、魔王が魔人の王と呼ばれる事になったのだという。だが魔王が現れたら魔人と人間との争いが起こると言われていたので、この都市に魔人が入ってくるのを誰も見たことがなかったのだと言う。その事を俺に伝えてくれたのだが。魔王についてはそこまで詳しくないと言われた。

(なるほど。魔王についてはわからないことだらけだけど。この世界のどこかに魔人の王と言われる者が居るってことは分かった。それと魔人は人間の姿をしていて。しかも魔人の王と呼ばれている奴がいるのに、魔人の国はないのか?)

俺は、リヴィの父親から魔王が人間の姿をしているという話を聞いた時にそう思っていた。だから俺は魔王と会うまでは、なるべく目立たない方が良いと思い、俺の見た目を変えてしまう魔法を使い。黒髪で瞳は茶色くしたのだが。これではあまりにも地味過ぎると感じたので、俺はもっと別の外見に変えようとする。するとラヴィがそれを止めるので、ラヴィアはどうして止めるのかと尋ねた。するとラヴィアはこんな事もあろうかと用意していたものがあると言って俺に何かの薬を渡してきた。

(これは何だろう?なんか液体の入っている小さなビンに入った薬なんだが。なんの効果があるんだ?まぁ飲めば分かるか)

そう思って俺はその何かを口の中に入れるとすぐに効果が出るのがわかる。俺は、その効果がでるまで時間がかかり過ぎなんじゃないかと文句を言おうとした瞬間。体が発光し始める。そして光り輝く俺にラヴィアは嬉しそうな表情をしていた。俺は何が起こっているのかよくわからず戸惑っていた。だがそんな状況の中でも、リヴィの父親からこの世界で魔族がどう扱われているのかを聞くことが出来た。それによると、昔は魔王が居たので、魔族は人間よりも下の存在として扱われていて。魔王が魔人を作り出したので魔人以外の魔族は人間に捕まり、酷い目に合わされていたらしい。

だが魔王が現れると魔人は魔王を崇拝するようになり。魔王に従うようになっていたのだと言う。その話を俺は驚きながら聞いていた。俺にとっては信じられないような内容ばかりだったから。俺はラヴィアの父親から聞いた話が本当なのかを確認すると。リヴィアの父親は本当にそうだったと俺に伝えた。

リヴィアの父親から聞かされた内容は俺が予想した通りだったので、やっぱりかと思ったが。リヴィアの父親から魔族の国は人間の国の遥か南に存在する。だがそこには人間が踏み込めないように強力な結界が張られているため。リヴィの父親はリヴィアの母親がこの世界に帰ってくるまで。その場所に行ったことはないと言っていた。だがその話を俺達が聞き終えるとリヴィアの母親が戻ってきた。

そして俺達は、お互いの状況を説明し合ったのである。俺達の説明が終わった後に、ラヴィアの父親とラヴィアとリヴィアとリヴィは俺達にお礼を言うとリヴィアとリヴィとラヴィアの父親であるゼリヴィアが部屋を出て行ったのだった。

俺はラヴィアの父親に連れられるとラヴィアの父親の部屋の中に入っていく。そしてラヴィアの父親から、俺に頼み事があると頼まれて、その内容を聞いた後。ラヴィアとラヴィアの父親にラヴィが付いてくることになった。

俺がリヴィアの父親の部屋に入るとリヴィアが、リヴィが部屋に入ってきたので、そこでラヴィー達には待機してもらうようにお願いする。そしてリヴィアの父親であるゼリカニアがリヴィアのお父さんとラヴィアの父親に事情を説明したのであった。そうするとリヴィの父親であるゼリヴィアは、自分の母親とリヴィアの母親に話があるので。先にリヴィの父親であるゼリカニアに話をして欲しいと言ったのである。

それについてリヴィアが心配そうにしていると、ラヴィが大丈夫だから話を聞きなさいと、そう言った。俺はその様子を見ると、リヴィアの母親も安心して俺達の話を聞いてくれそうに見えた。それで俺達は三人の前に座るとリヴィアの父親であるゼリカニアの話が始まったのであった。

「さっき、この都市に来る前にいた村で起こった事件について説明します。リヴィアの母親であるリヴィと、リヴィアの父親である私の事はリヴィアとラヴィアの母親にすでに話していたので。これから私が何をするつもりかは分かっていただけたと思います。ですが私一人では力及ばず。この都市の人間だけでは無理でしたのでリヴィアの両親の協力が必要なのです」

そう言ってゼリカニアは俺達の方を見る。俺とリヴィアの父親は、その言葉を黙って聞いていた。するとリヴィがリヴィの父親の手を優しく握ると、ラヴィがリヴィアの頭を撫でているのが見える。俺は、二人の様子を見て仲がいい親子だと思っていた。そうしてゼリカニアが話を続ける。

まずゼリカニアが話し始めた内容は。ゼリーの両親が住んでいる村は、俺がこの世界で初めて会ったリヴィンという男が住んでいた場所であるらしいのだ。俺はそれを聞いて驚いた。俺はその事を話すために、リヴィンの家に行こうと立ち上がると。

それをゼリカニアに止められる。そうしてゼヴィが言うには、リヴィの母親であるリヴィは、ラヴィの母親と一緒にこの都市にやって来たらしく。俺が出会った時のようにリヴィの母親がこの都市で働いていて。その仕事が終わるまで待っていたのだという。それについては俺とリヴィアは驚いている。なぜならリヴィの母親リヴィが都市に来ていた事は、俺は知らなかったからである。

(俺がリヴィンに拾われてここに来たんなら。リヴィもここに住んでいたはずだよな?でも、リヴィと初めて会ってからずっとこの世界に来ているけど。そんな話は一回も聞いたことがないんだよな。それに、リヴィの母親が働いていたのは知ってはいたが、リヴィと関係があるなんて事は今まで一度もなかったはずだ。それに、そもそもこの世界に来て最初に俺と出会ったのはリヴィじゃなくてリヴィンだ。それがなぜリヴィンではなくリヴィの母親の方がこの都市で働いていたんだ?)

リヴィの父親から、リヴィの母親が働いている場所がわかったと、ゼリカニアはリヴィアの父親に教えていたのだ。そうするとリヴィの父親であるゼリーは自分の母親の事が気になり始めたようで、リヴィンという人の家に行ってみたいとリヴィの父親に告げると。その事を了承したのである。それを聞いて俺も、ゼリーと同じことを考えていたが、俺はまだ自分が元の世界に戻る方法をリヴィンが知っているのではないかと期待していたのだ。

それから、ゼリヴィアに連れられた俺達はリヴィンの家に向かっていた。俺はゼリヴィアにどこに向かうのか聞くと、そこは都市の中にある墓地であると言う。

(リヴィンはリヴィンの墓があるってことか。だがなんで、俺の両親の事を知りたがったんだろう?もしかしたら俺やリヴィアと同じように、何か理由があって両親がいないと思っているとか?)

そんな事を考えながらも俺とリヴィアとリヴィアの父親。それからリヴィアとリヴィアの母親のラヴィに、リヴィの父親とラヴィアの父親にラヴィがついて来て俺達は移動していると。途中で俺はこの世界での、魔族の寿命について教えてもらったのだった。

俺はゼリヴィアの話をリヴィアの父親のリヴァイと聞いていたのだが。リヴィの父親から教えてもらうことができた魔人の世界の情報は俺にとって有益なものばかりだったので感謝している。

魔族の寿命は約1000歳前後であり人間と比べるとかなり長い。そのせいで魔族同士で結婚しても子供が出来ても魔族が産まれることはあまりない。また魔族は人間と違って成長速度が遅いのだと言う。そのため、大人になるまでにかなりの時間がかかるのだという。そしてこの世界で人間以外の種族で一番長寿なのはエルフなのだが、人間よりもさらに長寿のため、見た目の年齢を判断できないのだと。そしてリヴの両親は人間とエルフのハーフなのでリヴィアの父親より少し若いらしい。

ちなみに魔族は人間とは違い。魔人というのがいるわけだが。その見た目は完全に人間の姿で見分けがつかないので魔人がどんな容姿をしているのかは、誰にも分からないそうだ。だがゼリヴィアとリヴィは普通の人間とは違う部分があったのだ。それは角のような突起物である。だが魔人の中にもそういう物がない者もいる。それについては俺もよく分からなかったが、ゼヴィがいうには魔人にも色々なタイプがいてその者によって色々と変わるのだという。そしてリヴィとリヴィの母親は人間とエルフとの混血ではあるが。二人とも魔力の量が多いため、リヴィとリヴィの母親が持っている力は、他の者の比ではないのだとゼリヴィアは言っていた。その話を聞いた俺は、やはり魔族の中には人間に近い者もいて、リヴィの父親がリヴィを差別せずに普通に扱っていた事に納得できた。

リヴィの父親であるゼリーは魔族の国にいる魔族の殆どの者がそうであったように、魔族の国に人間が入り込まないようにする強力な結界を維持するための魔道具を造り出すために研究をしていたが、リヴィの母親とは恋に落ちてしまい結婚したらしい。その話を聞き終わった後。俺とリヴィアとリヴィの父親であるゼーリは墓地に向かっていく。そして俺はその途中である事に気づくと、俺は慌ててゼリーに尋ねる。

俺はリヴィアの父親が話をしていた時に、リヴィアの事を呼び捨てにして呼んでいたが、俺にそんな事ができるはずがなかった。だから、ついリヴィと呼んでしまったのだ。俺はリヴィアと俺の関係を悟られないようにしようと心掛けているので。俺としてはリヴィアの父親からそう呼ばれていると思わせようとゼリーの話に耳を傾けて話を聞いていたのだ。

それなのに俺はリヴィアと呼び間違えてしまったのだ。俺がリヴィアに助けを求めるような視線を送ると、その事に気づいてくれたリヴィアがすぐにリヴィの父親に言い直しをした。俺はリヴィンという人物のお墓に案内してもらう道すがらゼリーと会話をしながら歩いている。するとしばらくしてゼリーは目的地についたらしく立ち止まった。

そして俺とゼリーはお供え用の花と飲み物を買うと、二人でお参りをするためにお墓に向かった。そうしてお参が終わると、リヴィアの父親から、ゼヴィンはリヴィンの双子の弟であるという話を聞いたのだった。そうする事で、ゼリーにリヴィの事を聞かれた時の対処が出来ると考えたから。俺は、そう説明をして、リヴィアの方を見ると俺の考えに賛同してくれたようであった。(ふぅ〜。リヴィって名前で呼ばなくて本当によかったぜ)

俺とリヴィアがそんな話をした後で、リヴィの父親が俺達にあることを尋ねてきたのであった。そう、この世界の魔石は、どうやって出来ているのかということである。リヴィンが造っているというのは分かるが、それではリヴィンはなぜこの世界で最強の存在と言われているのかということだ。俺はそれを詳しく聞いてみた。

そうして俺は、この世界で最強と言われる存在が魔人である事を知る。リヴィンという男は、この世界で最も優秀な研究者でありながら最強の魔道具を作り出すことができる魔工師であるのだから当然かもしれないな。だがそうなると俺は疑問に思う。なぜその力があればリヴィアのようにこの世界に人間が入れないようにする為の力など必要ないのではないかと思うからだ。

(リヴィの話によれば。この世界でも人間は、自分達が住む領域に魔物が現れるのでその対策の為に魔人を作り出したという話だよな。だがこの世界に俺が来た時。この世界に魔人は存在しなかったぞ。それなのにリヴィンはこの世界に来ていない。この矛盾は何を意味するんだ?)

俺はそんな事を考えながら、俺はリヴィンのお墓でしばらく休憩していた。そうして、俺がゼヴィンに、魔石の加工について聞こうとしたその時。急に俺がこの世界にやって来た時のような感覚に襲われてしまう。

その突然の出来事で俺は混乱してしまうが、何とか落ち着くことができたので、リヴィの父親であるゼヴィンとラヴィの父親であるラヴィーに声をかけて、リヴィアとラヴィーの父親であるゼブラを連れて、リヴィアが俺を助けてラヴィーと共に暮らしている家に転移したのであった。

俺とリヴィはゼヴィンとラヴィーの父親と母親であるゼブラに説明をする。俺がこの世界に来た経緯を説明する。それから俺はこの世界に来る前の、ラヴィが死んでしまったあの日から今に至るまでの説明をする。俺は自分が元いた世界に帰るための手がかりになるものはないかどうか、自分の部屋に調べに行く。すると、ラヴィはラヴィアの母親と父親と一緒にラヴィアとラヴィアの母親と俺の住んでいた世界についての話で盛り上がり始めた。それから俺の部屋を調べていたリヴィアが、一冊の本を持ってきたのである。

「リヴィ、これを見てみてくれ」

「どうしました?ラヴィ、ラヴィのお母さん」

「いえね。ラヴィアの本の中に何か面白いものはないかと思って、私達がこの世界にやってくる前に、この世界で何が起こったのかが書かれている日記帳のようなものがないかなと思ったんだけど」

「えっと、この本が何か」

「ああ、これはリヴィの母親の残した書物なんだが、その中に。この世界が魔族の住む国になるまでの歴史が書かれた手記みたいな物があるんだ。その歴史は魔族の国から遠く離れたこの国でも伝わっているはずだから、リヴィなら見たことがあるかなって思ったんだが。その手記によると、その手記を書いた人の母親が魔族にさらわれてこの国に連れてこられたらしい。だからこの国の人達に魔族について知っていることが書いてあるかもしれない。リヴィならもしかしたら読んだ事があるかもしれないから、読んでみてくれないか?」

リヴィが俺の持っている本を手に取るとパラパラッと読み始めたのだ。そうすると最初は首を傾げていたのだが、少ししてから俺の方に向き直ると、なぜか嬉しそうに俺に向かって微笑んで来たのである。その様子はまるで恋する乙女みたいで、リヴィは、俺に対して何か特別な気持ちがあるのかと勘違いしそうになるほどかわいかった。

(いやいや。俺なんかに惚れるはずないだろ?リヴィって見た目だけなら絶世の美女で。それにリヴィはかわいいところがあるけどクールでかっこいい所もあるし、俺がこんな美少女の笑顔にときめいちゃうわけがないし、もしかしたらリヴィも俺と同じ理由で、魔族の国の事に興味があったりとかするんじゃないか?だって俺も魔族とか興味あるしさ。リヴィアの父親から聞いた話では。魔族に寿命というものは存在しないそうだからさ)

そんなことを考えているとリヴィが俺の持っている魔族の国の記録に目を通すと真剣な顔つきになってページを捲り始める。そうしてしばらくするとリヴィの顔から驚きの表情が浮かぶのであった。そして俺に話しかけてくる。

「ラヴィスさんはこれが読めるんですか?」

俺はリヴィの言葉を聞いて。リヴィにそう言われてから初めて、俺が日本語で書かれている日本語を読むことができているのだと気づいたのだ。そう。この世界に飛ばされて来てからは何故か俺に言葉が理解できないのだ。その事は俺はこの世界にきて最初に気がついたことなのだ。そしてリヴィの父親と話す時は念話で話していたために俺がリヴィの父親に言った言葉をリヴィアが聞いていたのだが、その事で俺とリヴィアの関係に疑問を持つような感じは無かった。だがリヴィには、リヴィの父親に、俺とリヴィが一緒に暮らしていても問題が無いように、俺とリヴィアの父親が夫婦という設定にしてあると話したので俺とリヴィアの本当の関係をリヴィアが知る由もない。そして俺は、俺は今まで気がついていなかったが。俺はリヴィの父親と会話をした時以外は、俺の頭の中で考えた事が全てそのまま口に出してしまっているようだ。つまり、俺は俺の意識がないまま、リヴィの質問に答えていたという事になりそうだ。俺は俺のそんな状態に焦ってしまう。だが俺が、なんと誤魔化せばよいのだろうと思っていると。俺はまた別の事に気づく。

そう。俺は俺の体が自分の意思に関係なく動いていたように。今のリヴィもリヴィの意思に反して勝手に体が動いているのではないかと俺は考えてしまい。慌ててリヴィの方を見ると、俺は驚いた。そう、その瞬間にリヴィが光り輝くのである。そうすると光が消えると同時に俺の体に衝撃を受ける。

俺がリヴィアの方を向くとそこにはもうリヴィアの姿はなかったのだ。(えっ!どうなっているんだ?)

そしてそこに現れたのは美しい黒髪で瞳は青と緑が合わさったような綺麗な色で肌の色は雪のように白く。スラッとした体型の絶世の美女である。その美女がゆっくりと立ち上がって俺のほうを見る。俺はその姿を見て一瞬息を忘れてしまった程に驚いてしまった。だが俺はその美女の容姿に見覚えがあり。それが誰なのかを思い出す。それは先ほどリヴィアの母親と一緒にいた魔人の少女の容姿であったからだ。俺の事をジッと見つめている少女の事を。そう。この世界にやって来てしまった時に。魔獣に追われていたリヴィアの事を助けてくれた。リヴィアと瓜二つの女の子であった。

そうしてその女性は立ち上がると俺にお辞儀をした。すると俺の目の前にいたはずの女性が消え。そこには魔人の少女が立っていて、俺は魔人の少女を呆然と見つめることしか出来なかったのであった。そうしてその魔人の女性の口から。俺にとって信じられないことが聞こえてきたのだった。

「ラヴィ、お待たせしてすみません。あなたの妻としてこの世界を案内しますわ」

俺はその女性から突然言われたことを、すぐに理解することができなかった。俺は魔人の美少女が発した妻という言葉と俺に挨拶をしてくる魔人の女性の行動に思考が全くついていけずに固まってしまうのであった。

俺は目の前にいる、魔人の少女と瓜二つに見える魔人の女性を見つめながら。この魔人は一体何を言っているのかと俺は考えていた。俺が困惑しているのを見た、俺が助けた魔人の娘のリヴィアにそっくりの魔人は、俺のことをラヴィと呼んでくる。俺の名前を知っていたことからも、俺とリヴィアが似ているから勘違いしたわけではないようである。そうなると。魔人と人間の間でも婚姻関係を結ぶことが出来るのかと思ったが。リヴィの母親は魔人であるが魔人ではないようであった。そうなるとこの魔人が俺の事をラヴィと呼ぶ理由は俺には全く分からない。

(俺が魔族語を知らないだけで。俺の名前は実はラヴィという名前なのかもしれない。でもラヴィという名はリヴィだけが呼んでいた名前だよな。そもそも俺はラヴィアの名前を聞いた時から、この子の名前がリヴィアじゃないかなと思ったんだよな。リヴィンの娘だしな)

俺はそんなことを考えながら、リヴィアが突然別人のような行動を取り始め、魔族の国の文字が書かれた本をパラパラと読み始めて真剣な表情になると俺の方に振り向いて、魔族語の会話ができるかを尋ねて来た時のリヴィを思い出してしまうのである。(あの時のリヴィは可愛かったよなぁ〜。普段とは違うクールビューティーな雰囲気を出していてさ。あれはちょっとドキッとしてしまったからね。それにリヴィアは見た目だけは本当に美人だから、そんな美女からあんな風に見られるとか男冥利に尽きるっていうかね。リヴィに告白されたら俺は断れないかも。あ、いや。リヴィに惚れてる訳じゃないぞ?俺には心に決めた相手がいるんだからさ)

俺は、俺が心の中で思っていた事を口に出して喋っていたようで。リヴィに聞かれていて恥ずかしくなるのである。そうこう考えているうちに、いつの間にか俺はリヴィによって転移させられたようだった。そこはラヴィア達が住んでいた家とは別の建物だった。そして俺は今の状況を考えるのであった。

(ここは俺が暮らしていた日本じゃなくて異世界なのは間違いないよな。ラヴィに似た魔人の女性がいたしな。それにラヴィの父親が使っていた魔法で、ラティの転移は俺が行ったことのない場所まで行くことはできなかったはずだ。それなのにラヴィに似た魔人に転移で飛ばされる前に来たことがない場所にいたと言うことは。もしかしたら、ここもどこかの世界でラヴィが住んでいる家の近くの建物の可能性もあるか?まあいいか、今はとにかく情報が必要だしな)

それから、俺は俺に問いかけてくる魔人の女性の話を必死に聞いていたのであった。俺の頭の中は未だにこの状況に混乱していて理解が追いつかない状態だった。俺が話を聞き終わるとこの世界についていろいろ教えてくれるようだ。まずこの世界についてだが。リヴィが言っていたようにこの世界は元勇者と魔王によって作られた世界らしい。元勇者はこの世界を作った後、元の世界に戻りこの世界と俺達の住む地球をつなぐ通路を閉じ。そして二度とこちらの世界に現れることはないらしい。そのため。俺達が暮らす地球の人間がこちらの世界にやって来ることは出来ないそうだ。この世界には元々魔族と人間しかいなく。他の種族はいなかったみたいである。だが元魔王のラスティンと元勇者のセフィーはある日二人とも死んでしまったらしく。その後しばらくして。この世界の管理者として俺の前に二人の天使が現れたという事である。そして俺達は俺のいるこの場所は。神界のとある施設の中の一つだと教えられた。

(なるほど。確かに俺の頭の中には神の使いだとかなんとか言うメッセージがあったけど。それはそういう意味だったのかもしれない。でもどうして俺のところに、わざわざ俺を選んだんだろう?もしかして俺は特別な存在とか?)

俺はそんなことを考えながら。とりあえず自分の頭の中にある、この世界で生きていくために必要なスキルを確認するために【アイテムボックス】を使ってステータス画面を呼び出すのであった。すると。

『レベル5 経験値10万6,264』

『ポイント70,099 所持SP12,000P』

俺の目の前に現れたステータス画面にはこんな文字が表示されていた。ちなみに俺は元の世界の時は、レベルが上がるごとに貰える経験値は2倍の速さでしか増えなかったはずなので、俺のレベルは現在5になっているようだが、これくらいなら別におかしい数字ではないと思う。そしてSPというのが新しく出てきたがなんなのか分からないがこれは何かのポイントだと思われるので確認することにした。

するとどうやらその予想は当たっているようで。この世界の人達が、レベルを上げるための能力を得るときに使用する数値の様である。この数値を0にする為に、その者が強くなる為に使用するポイントのようだった。そしてどうやらその数値を使いきってレベルを上げた後にさらに数値を上げようとするならば、SPというものを消費してレベルアップ時に加算されるという仕組みのようだった。

俺がそのSPなるものを確認してから。この部屋で調べる事があるかどうかを考えていた時。リヴィアの容姿をした魔人の女性が。リヴィの母親が俺に話したい事があると言って来たようなのである。俺とラヴィアが似ているように。リヴィアの容姿をした魔人の女性とラヴィアの父親も似ていたので俺は驚いたのだが。もしかすると似ているのはその女性ではなく父親の方かもしれなかった。なぜならその女性からはリヴィアの匂いを感じたからだ。

(リヴィアと初めて出会った時にも思ったんだけど。リヴィアと瓜二つの魔人なんだよね。それにリヴィアと同じ良い匂いがするような気がしたんだよな。やっぱり魔人は人よりも優れている能力があって嗅覚も鋭いのかな?)

俺の疑問に対して。その女性と俺と会話していたのはラヴィアの両親だったので聞いてみることにしたのだ。そうするとやはりその女性はリヴィアの母であり。その女性の能力はリヴィのそれと一緒だった。俺はリヴィアと母親を見つめながら考える。(魔人は魔獣を従えられるからその能力を受け継いでいてもおかしくないか。それにしても、もしかしてラヴィの母親はラヴィアの母親に恋をして魔人化したんじゃないだろうな。でもそうすると。リヴィアの父親は一体誰に恋に落ちたんだろうな?リヴィの母親は俺に好意を抱いてくれたから魔人になったんだと思ってるんだが。その父親が好きだった相手は、誰なのかが気になるよな。まあ。俺がそんなことを考えても仕方がないか。それよりも、これからの事を考えないとな)

俺が今後のことについて考え込んでいるとリヴィアが話しかけてきたので俺はそれに返事をすると。俺をここに連れてきた本当の理由を教えてくれたのであった。俺と話をするためとリヴィが言った瞬間に、俺がリヴィアのことを見つめているとその魔人の女性の顔に変化が起こったのを俺は見た。そうしてその変化を目にした俺はその女性がなぜ俺のことを見つめてきたのか理解できたのである。その魔人の女性は俺のことをジッと見つめている。その女性は、その整った美しい顔が無表情になっていてまるで能面のような感じになっていたのである。俺はそんな表情の変化を見てその女性を怒らせないように注意して接しようと思った。だがその魔人の女性はなぜかその能面の様な顔を崩さずに、少しの間ジッと見ていたがすぐにいつも通りの穏やかな表情に戻って俺に声をかけて来たのであった。俺はそのことに安心したが同時に魔人の女性を怖く思って、あまり目を合わせないようにしようと思う。俺に微笑んでくる魔人の女性が、何やら独り言を言い始めたと思ったら、俺のことを急に抱きしめてきて俺は困惑してしまう。

(え?なに?どういう状況?魔人の国に連れてきたのが俺のためってどういう事だよ。俺をどうするつもりなんだ?俺は魔人と敵対する意思はないんだから変なことしないで欲しいんだが。まあ、この魔人の女性は美人だし抱きしめられて嫌ってわけじゃないけどさ。でもこの状況で何を考えているのか全然分からないんだよな。魔人の国で俺が何をするっていうんだろう)

俺が困り果てながら。リヴィアを見るとリヴィアは俺が魔人の女性に抱き着かれている姿を見て嬉しそうにしているのであった。俺はそれを見てますますリヴィアのことが分からなくなってしまう。

(なんかリヴィアのお母さんの様子がおかしくなって、それからまた元に戻ったな。俺に用事でもあったのか?俺にはわからない。俺がこの世界でリヴィの役に立てることがあるとすればそれは戦うことだけだと思うしな。まあ。リヴィと一緒にいれば、そのうち俺にもこの魔人の国の事情がわかるかもしれないか。リヴィアの親父さんが生きていると言っていたからリヴィアがこの国にいられなくなることもなさそうだから、とりあえずこの魔人国にいることが俺にとって最善策かもしれない)

そしてリヴィが俺に抱き着いている魔人の女性を引き離すように言うと。俺はやっと魔人から解放される。俺の事を気に入ったと言ってくれるのは嬉しいが。俺はリヴィ一筋だから。リヴィ以外からそんな風に言われても正直嬉しくはなかったのだった。

俺とリヴィがこの魔人国の城に来ていることに皇帝は気が付いていないようだった。リヴィが言うには、ラティスは城から出る事はあまりなく。そして、この城はラティの父であるラスティが建てたものだったらしく。このラティスがいる部屋まで来るにはいくつもの複雑な道を通る必要があるという事であった。そのためリヴィはこの場所に来るのに時間がかかってしまったらしい。

俺とリヴィアがこの魔人国について話をし合っているうちに、ラヴィスの父親が部屋に入ってくる。それからしばらくして俺達の様子を見ていた。ゼブラも一緒に入ってきたので話をしていたのだが、ゼヴラの父親が突然。俺の頭を撫で始めるので俺はびっくりしていたのである。

ゼブラの父親とゼブリスの父親の話によると。元魔王であったラスティンは自分が作った世界で自分の後継者を探すために異世界の人間の世界に行って、俺達のように勇者として異世界召喚された人間を探して。自分と戦って勝てるような人間を探したが。結局異世界から来た人間は全員自分の敵になってしまったと言う。それで仕方なく俺に助けを求めようとしたみたいだったが、その勇者の力が強すぎて元魔王の自分には、異世界からの人間を救う事は出来ないとわかってしまったと言うことだった。だがそれでもラステイは元勇者の力を使い自分の妹ラヴィーを勇者にして元勇者と戦ったが、元勇者に倒されてしまったそうだ。

そこで元魔王のラスティンはラティナの夫である元勇者セフィーに助けを乞うため、元勇者セフィーの妹のラヴィーの肉体を媒体として魔人に転生させる。その結果。セフィーと魔人のラヴィがこの世界にやって来て、このラスティという魔人が生まれたという事だった。だがその話を聞いていたゼヴの妻ラティアスは。この魔族領にリヴィがやって来た事に気が付いていたようだった。

リヴァイはゼブに魔人の国に来た時の事を話し終えると、今度は俺達がこの魔族の国にやってきた理由をラティス達に説明するのであった。

俺達は魔族国の城の中でリヴァイとラヴィアとラヴィアの母親とラティアンの父親であるラスティとラヴィス。リヴァイスの父親でもあるリヴアールの5人で話し合いをしていた。俺はその様子を部屋の隅で見守りつつ。俺をリヴィアのお父さんのところに案内してくれた、あの女性リヴァの事を俺はチラッと横目で見て観察する。

俺が見ているその女性は、リヴィアと同じ髪の色をしている。だが、リヴィとは違い、その長い金髪の髪はとても手入れされているのか艶がありサラッサラしている。瞳もリヴィアの金色とは違う赤色をしていて。とても美しく整った顔立ちをしていた。俺が初めてリヴァを見た時に、その容姿に思わずドキッとしたくらいだった。そしてこの魔人国で一番美しいと言われて納得のいく容姿をした人物で間違いないだろうと俺は思ったのだ。そしてそのリヴァの見た目から判断して、年齢も二十歳前後に見える。だが、リヴィアの母親であるリヴィアの年齢は三十を超えているという話だったので、どうやら魔人族は外見では年齢の判断が難しいようだ。

俺がそのリヴァを観察していると、リヴァが俺の方を振り向いたのだ。そして俺に笑顔で話しかけてきたのである。

「貴方はもしかしてラヴィル様なのですか?」

俺は、まさかこんなところでリヴィアの母であるリヴェから、いきなり名前を呼ばれると思っていなかった為驚いてしまう。それになぜそのリヴァは、俺の名前を知っていたのだろうかと疑問に思いながら。俺はどうしてリヴィアではなく。その母親で俺とリヴィアの育ての母であるリヴィアの母であるリヴァが自分の名前を知っているのか不思議に思ったのであった。俺は警戒しながらそのリザに話しかけたのだった。

俺とリヴィアとラヴィが魔人国にやって来て数日が経過しようとしていた。その間に魔人国での暮らしに必要な物を購入したりしていたのだ。俺とリヴィアとラヴィと、そしてラヴィは今この城の中庭にいた。俺はリヴィとラヴィアと、そしてこのラヴィが作ってくれた人形のような物を興味津々に眺めている。この俺が作ったリヴィードールと瓜二つのこの小さな人型の物は、魔人の国から人間との友好的な関係を築こうと思っている人達に配っているものらしく、それを魔人族の人達はリヴィーと呼んでいるのだそうだ。

この魔人の国に住むほとんどの人が、人間の姿になれるのだがその姿があまりにも綺麗なので。皆が憧れる美しき女神像のようになっていて。魔人の国の人達が外に出るときは、この魔人の姿を模したリヴィーを被っている者が多かったのである。俺はこの魔人の国にいる間は、ずっと仮面を付けて過ごしていようと思っていたのだが、このラヴィのリヴィーに心を惹かれてしまった。それにこのリヴィという存在は小さいながらも可愛い。俺は試しに近くに落ちていた石を拾ってリヴィの手に渡したのであるがすぐに壊してしまいそうな感じであったので俺はすぐに取り上げてしまうことにした。

俺のそんな行動が面白くなかったのか、ラヴィとラヴィアの二人が俺から奪い取ろうとしたが俺はその二人には絶対に渡したくなかったので必死になって取り返そうとする二人の子供を抑えていると。いつの間にかそばに来ていたリヴァイにリヴィを渡すと。リヴァは嬉しそうに抱き着いていてリヴィアは悔しそうに涙を堪えながら、リヴィンに何か言い始めた。

(あれは絶対リヴィアも欲しかったんだよなぁ。でも俺はリヴィの方が欲しいと思ったんだ。リヴィアが泣き出す前に、リヴィをリヴィアに返すべきなのか?いや、俺がリヴィを大切に扱わないと。せっかく俺の為にこの魔人国に連れてきてくれたリヴィに悲しい思いをさせたくない。よし。決めたぞ。このリヴィという物が壊れてしまったとしても。それは俺が悪いわけじゃないよな)

俺がそんな事を思い悩んでいる間にも、リヴィアが泣いてリヴィを取り返すために俺にしがみ付いてきた。俺はそんなラヴィアを見て心が痛んだが、やはり俺の心の中ではリヴィが可愛く見えていたのである。俺は意地悪をしてごめんと謝って、リヴィアにもこのリヴィをプレゼントするとラヴィに伝えたのだった。

俺がそう言ったことで、リヴィアは喜んでくれて嬉しそうにしているとリヴィも嬉しそうにしている。リヴィのそんな姿を見て俺はほっとしていたのである。それからラヴィの父親がラヴィアとラヴィアにラヴィとラヴィがリヴィに付けたリヴィという名を呼ぶことを許すと言った事で、二人は嬉しそうにしている。

俺は魔人の国にやって来た目的を果たすべく。魔導国家ゼヴの首都である『ゼブリード王国』の国王に会わなければならないと思い始めていた。だが魔人国の国のトップはリヴィの父であるゼブルだと聞いたので、リヴィに相談したら俺と一緒に首都に行ってくれることになったのだった。

だがこの国のトップのゼヴィに俺一人で会うには、まずは魔人族の王ゼブレッドに許可を取っておく必要はあると考えた。俺とラヴィーがこの国の人間から解放して魔族になった者たちが住む、この魔人族の国の魔人領に住むすべての者達を解放しなければならない。だからこの魔人領の国民にこの国はもう人間の奴隷になる事は無い。安心して欲しいと知らせる必要があり、その方法を考えていた。

俺がこの魔人国について考えていた時。リヴァイが魔族領について色々と教えてくれると俺に言ってきた。俺はこの城に来た最初の日にリヴィアの父親にリヴィアとラヴィを預けた事を思い出す。そして俺はこの城に来て以来一度もラヴィスに会った事がない。ラヴィスはこの城に居るような気がしたのに居なくてどこに行ったのか分からず。俺がリヴィアに聞くと、リヴァイが言うように、俺達の仲間だったリヴィアの母親リヴァイは、魔族領についてとても詳しそうだ。

俺のこの考えが正しいかどうか確かめるために。俺は魔族領の事を詳しく知りたいと言ってリヴァイと話をしていたのだ。だがそのリヴァイの話を聞いて、やっぱりリヴァイはリヴィアの母親なのだと改めて実感した。俺はそれからしばらくリヴァイの話を聞くと。ゼヴの住むゼブラの町に行きたいと伝える。そこで俺がゼブレッドに会いたいと伝えてくれれば、リヴが案内してくれるとリヴァイが言ってくれたので。

それを聞いた俺はリヴに案内を頼む事にしたのである。俺はこの国を魔人国の国王であるリヴアールが統治している魔族の国で、俺はリヴィーやリヴァと呼ばれる物を作ったり。人間との争いを避けるために人間と仲良くしようと提案してくれている、元勇者セフィーとその仲間のリヴィルと、そして魔人族になりたかったリヴァとリヴィアの姉妹のリヴィアとラヴィア。そしてこのラヴィーとゼヴがこの国のトップである、ゼブリア王国の女王のリヴァイを連れてゼヴの王ゼブレムのところへ行ってくることをリヴァイに伝える。

リヴァイにゼブレムに会うための理由を伝えて、リヴァイと別れた後。俺はこの城を後にしようとした。すると突然俺達の目の前に一人の老人が現れ。俺は驚きながらその老人を見ると。どう見てもただの爺さんにしか見えないので。俺とリヴィが警戒しながら武器を手に取ると。俺の前にいたはずのリヴィが一瞬で姿を消してしまう。そしてリヴァイが剣を抜いて俺に襲い掛かろうとしている。

俺は咄嵯の出来事に全く対応できず。だがその時、ラヴィアの声で我に返り慌てて魔法で攻撃を防いだ。そしてその瞬間、この部屋にリヴィアが転移してきた。その光景を俺は信じられない気持ちで見つめると。この部屋の中で何が起こったのかをラヴィから聞かされたのだ。その説明を聞き俺は、リヴィが人間の姿から魔人の姿に戻りその魔人としての力で、この俺とラヴィとリヴィアを殺そうとしていた。リヴィはその人間の姿からリヴァに戻ることによって、人間としての力も使えていたのであった。そのリヴィに対して、ラヴィアは自分が持っているスキルで自分の命を使ってまで。この俺を守る為だけに、自分より格上の相手であるリヴィを、この俺の命を狙う暗殺者と勘違いして殺したらしい。そしてその後リヴィアが俺の前に現れて、俺はこのリヴィの行為に本当に驚いた。俺はこの世界ではラヴィアの事を大切な仲間だと思っているが。リヴィアが殺されてしまっては、俺はその悲しみと怒りからラヴィアを殺すだろうと思っていたからだ。だけど俺はその時に俺に殺されたはずのラヴィアから感謝の言葉を伝えられた。

「私の為とはいえ、私のせいで死ぬなんて、許せない。ラヴィア、貴方は死んでもなおラヴィル様の為に私を助けようとしたんですね。それにラヴィアのラヴィに託されたものは確かに受け取った。ありがとうラヴィア。貴方は最高の仲間だったわ」俺のラヴィアを殺したリヴィアに、なぜ感謝を伝えたいと思うほどラヴィアはリヴィアの事が好きになっていたのか、俺にはよく理解できなかった。でもラヴィアにラヴィアのラヴィの想いが伝わっていたと知ったとき。俺はなぜか心の奥が暖かくなるような感覚を味わい嬉しく思っていたのだ。

俺は、この魔人の国に人間との争いを起こすつもりは全くなかった。しかし魔族領に人間が勝手に入ってきて、人間との共存を望んでいる魔人の国を侵略しようとしている事は間違いがなかった。

だからこの国に住むすべての人間を解放するため。魔族の力だけでこの国にいる人間たちを全て排除する事は不可能であった為に。人間たちに自分達がどれだけ愚かな行為をしているのだと分からせなければならなかったのである。だから俺は、ラヴィーとラヴィアがこの国の人たちを守るために戦ってくれたことに心から感動していたのだった。俺は二人に感謝の気持ちを伝えることにした。

リヴィアが俺のためにラヴィアとリヴァイと三人で作ったこの人形のような物を俺に手渡してくれたのだが。リヴィアとラヴィアの二人はそれを凄く大事そうにして。ラヴィアが大切に抱えていたから、ラヴィアが人形に傷が付かないように必死になって守っている姿はとても可愛かった。そんな二人を見ている俺のそばに。リヴィアとリヴァイがいつの間にか現れていて、俺は二人に挨拶をしたのだったが、リヴィアはなぜか俺がリヴィを可愛がるのが気に食わない様子だったので、二人を優しく抱いてあげるとリヴィアは笑顔で喜んでいた。

リヴィアは俺が二人の子供を作ってあげなかった事を不満に思っていて。でも俺とリヴィー達が作る子供の事が羨ましくなったからこそ。そんな嫉妬を俺に向けたんだと分かり。俺はそれが愛おしくて堪らなかったのである。

そして俺は魔族の国であるこの国を治める王であり。この国最強の力を持つ王である。『魔導王国ゼブレッド』に会いに行こうと思い始めた。だが俺はこの魔人領に来る前に、ゼブリート王国を訪れていた。俺は魔族と人間の関係をよくするべきだと思いこの国の王に魔族の国の王ゼブラルド王と会わせてほしいと頼んだのである。

そして俺はこの国に来た際に、この国の王である魔族と会った。この国最強である魔族である。そしてリヴィーの父親であるリヴィに案内されこの魔人領の魔族領にあるゼヴの首都に案内される前にこのゼブラという街で一泊することになったのだ。この街の名前はこの国の言葉で『希望の街 ゼヴリア』と名前が付けられているという話を聞いた。その名前を聞いた時に俺とリヴィーは納得してしまったのだ。それはこの魔族領の人間は皆がこの国で生活をしている人達は、全員がゼブレス帝国の奴隷にさせられていた者たちばかりだったのである。

俺はこの国に来ている奴隷商の人間たちの奴隷だったこの国の人々を救い出し。そして俺に敵対する者たちがこの国に押し寄せるのを防ぐために、この国のトップであるゼブラのところへ行き。人間たちを襲わずに追い返して欲しいと言う願いを聞いてくれるかどうか。そしてゼブラに人間とこの国が争う事をせずに共存してほしい事を伝えたかったのである。だから俺はこのゼブラの町に着いた時。この町で生活している人間たちと会おうと思ったが、俺達の前に一人の男が俺の前に姿を現してこの俺の邪魔をしようとしていたのだ。その男は人間でありながら人間とは思えない力を身に着けている人間で。その人間の強さを感じ取り。俺はこの男の事を敵だと思い戦いになった。

俺がこの国に訪れた際。俺に敵対している貴族の一人であるゼブレム=リゼルス侯爵が。俺の目の前に現れた男と同じ力を持っていた。そしてその力はあのゼブレムが俺の前から消えた時の力と似ていていた為に。俺はこの男がこの国の宰相ゼブレムだと推測したのだ。ゼブレムは自分の持つ剣の魔力によって、リヴィと俺の会話に聞き耳を立てていたが。俺達の存在に気付かずに話を続けていたのであった。

俺はこのゼブレムの話を聞いていたが。リヴァイがリヴィがリヴィアとリヴィルが魔族に変身できる事を知った上で魔族化をしてまで俺を守ってくれたと聞いた時は本当に驚き、嬉しかった。俺に取って魔族というのは恐怖の対象でしかなかった。だがこの魔族の姿の魔族になら。魔族化していなければ。怖がらなくていいのではないかと考えた。

このゼブレッドの国で魔族の国の魔人族の人間たちは幸せに暮らしているが。それ以外の国は未だに魔族の国に対して敵意を持っている者がいる。その国で暮らしていながらも。ゼブレムは魔族に対して差別的な態度を取っている者たちはいる事に怒りを覚えていた。そしてゼブレムが言うように人間と魔族が争うのを止めなければいけないとも思えていた。なぜなら俺はこの魔族の姿のリヴァイを見ていると、本当にリヴァイとリヴィアがリヴィをこの国の女王にする為だけに魔人化したのではなく。魔人としての能力を使ってリヴィアやラヴィとラヴィの子供たちを守りたいという純粋な気持ちがあったからなのだと感じた。だから俺はその純粋さを見てみたいと思っていた。リヴィアとリヴィがリヴィアとラヴィの子供達を大切に守りたいと思うように。俺も自分の子供を自分の手で大切に育てたいと思っているから。

俺はこのリヴァイが、ラヴィの本当の子供ではないからといって。自分の子を他の人に渡すのは、親がしては駄目だと思っていた。俺はリヴィアに、自分が作った子を渡すのは。自分にとってかけがえのない存在だからこそ出来る事で。自分が生みだせたからこそ、リヴィが自分の子とリヴィアの子を一緒に育てることが大切で嬉しいことなんだと教えてあげることが出来た。そしてこの国で暮らす人間たちが魔人の姿になり戦うことを。リヴィアとリヴィが望んでいないことも伝えることが出来た。

俺は、リヴィアのその優しさに俺は心を打たれていた。そして俺はラヴィアとリヴィアに。このリヴィはリヴィアとリヴィアの子供では無く。リヴィが魔人として生まれ変わって生まれた娘であると、リヴィに真実を伝えることを決めた。その言葉を伝えようとした瞬間に、リヴィアは涙を流して。俺を優しい表情で抱きしめたのだ。そしてラヴィアもリヴィアと同じように優しくリヴィアの肩を抱く。そんな二人の姿を見たリヴィアは、涙でぐしゃぐしゃになっていたが。笑顔を見せていた。そしてこの光景を見届けてくれたこのゼブラの領主であり。ゼブレムと俺の話し合いを邪魔をしていたこの男は、自分の役目を終えたと思い姿を消してしまったのである。

この国最強の力を持っていながらも。リヴィエは魔族に対する恐怖心は持ち合わせていなかったようで。それどころか俺のことを、魔族の王であるこの俺の事さえも信じてくれていた。そして俺は、リヴィアから受け取ったリヴィの魂が入った人形のような物を握りしめて。この国最強であるゼブレムに。このリヴィアのラヴィーから受け継いだ大切なものを渡さなければならないと思いながら。リヴィエにリヴィーとリヴィアからの手紙と、ゼブレイの国王であるゼブレム宛の書状を渡し。この国と人間の国との争いが起きないようにしてくれと、頼み込み。俺は魔族の姿から普通の人型の姿に戻ったリヴィを優しく抱きしめた後。

俺はゼブレムからもらった地図を頼りに魔人の国を出てリヴィの故郷である人間たちの暮らす大陸に向かって歩き始める。俺と一緒に行動している魔人の女の子の四人も付いてきてくれると言ってきたが。魔人の女の子達は、この魔人の国から人間達の国に行く為には、空を飛ぶ魔法しか手段がない。その為。人間達に攻撃される恐れがあるのである。そんな危険な場所に可愛いこの魔族の娘たちを連れて行くわけにはいかない。それに魔族が人間と魔族との間に生まれた子供が魔族の国で幸せに生きているのだから、この国の人間達と争ってほしくはない。だから俺は一人で行動すると伝え。このリヴィから預かった手紙と、ゼブレス帝国から渡された地図を。俺はリヴィの父親で、魔族領ゼヴリアの宰相ゼブレムに渡してほしい。リヴィが愛していた男に、この国最強と言われているゼブレムにこの魔族領を救ってくれる事を祈っている。それとリヴィーが残したリヴィアとリヴィの子供は俺の嫁になる予定である事を書いた手紙を手渡す。

俺はゼブラの街を旅立った後。この魔族領にある大きな山脈を超えていくことにした。その山脈の山は『死の山 ゼブレム 』と呼ばれているらしいが。俺はゼブルさんからこのゼブレッド王国の魔族の王としてゼブレスの王に書簡を頼んだ事を伝える為に、俺はその死霊王のゼブラを抜けなければならない。この魔族領のゼブラという街を抜ければすぐだと、ゼブラの町長だったゼブロに教えてもらったのだ。

そしてその俺が向かおうとしている死の山の麓の麓にゼブラの街よりも少し大きい都市があると言う話だったので。その町に向かうことにする。

この国の人間と魔族はお互いに憎み合い戦っている。この国の人間の国にも。そして人間の国にもあるのだが。人間の国は人間が魔族を殺す為に戦争をしていて。それは人間同士の国同士でもあり、そして人間の国が奴隷のように働かされている魔族たちを救い出すために人間達が戦い。奴隷となっている人たちを救う為の戦争が人間側の人間同士が戦っていて。その戦争を止める為の戦いをしている魔族たちもいて、この魔族たちの間で起こっている戦いを止めてほしい。そして、この国の宰相で俺の知り合いである魔族ゼブレムにこの国を救い出してほしいとお願いをした。この国で暮らしていたゼブリーナと、ゼブレムの二人で力を合わせて、リヴに託された俺達が作ったリヴィーとリヴィアが願った平和にこの国の皆が仲良く暮らせるようにしてあげて欲しいとも、ゼブレムに託したのである。

そして俺は、俺の後にリヴィが魔族化をする時に使われた核の残りを取り出し。俺はこのリヴィアとラヴィの核をリヴァイに埋め込む。リヴィアの魔石を使って、魔族化する力の核として使うことにして俺はリヴァイに魔人の核を埋め込み。リヴァイの体に埋め込んだ魔人の核が、人間と魔族の混血である俺と同じ体になったのだ。リヴァイの体に入ったリヴィアとラヴィの魂が、俺と同じ存在になってくれと強く思うと。リヴァイはリヴィアと同じ銀髪の長い髪をして、そして顔立ちがリヴィと全く一緒になったのだ。その姿になったリヴァイを見て俺は驚いていた。そして俺と同じ姿になったリヴィアは俺に微笑みかけていたのであった。リヴィアと同じ顔をしたリヴァイの事を見ていると俺は胸の鼓動が高まり始めていた。そしてリヴィアと瓜二つのリヴァイを見つめていたリヴィアも、嬉しそうな様子をしていたのである。そしてこのリヴァイがこの魔族領内でも最強と言われる力を得たことになるのであった。

俺はこの魔族の国の宰相のゼブラにこの国の王からの書簡を渡した。このゼブラがリヴィエが魔王の娘で、魔人化して人間を救ってほしいと懇願されたことを伝えた。そして、リヴィアから貰った手紙を渡すと。リヴからの手紙を読んでくれたゼブラさんに。リヴィアがこのリヴィアに姿を変える前のリヴィアとラヴィの子供達を大切に育てたいと言った事も伝えたのである。

そして俺はリヴィアに。自分の力でリヴィアの願いの為に、人間族との共存出来る世界を実現出来るのか? そう聞くと。

「リヴィの思い描いた世界を必ず実現したいと思っています。このリヴィアの本当の子供ではないこの子と一緒に暮らしたいと。そしてこの子の子供を育てたいと思ってます」

と俺に言うので。俺も同じ気持ちだから一緒に協力をしようと、俺はリヴィと約束をして俺も人間族とも、魔人族とも共存する国を一緒に作ろうと思うのである。この国は今から人間族の国ゼブレムと手を取り合って共に発展していく必要があるから。俺がゼブレムに会いに行って話をして、お互いに協力し合うことで、国の発展に繋がるようにしたいと思っているから。そして俺の大事な子供たちを預けても大丈夫だと思っているから。ゼブレッド王国の王と王妃であるラヴィアにリヴィアを任せたいからと伝えると、二人は笑顔で承諾してくれたので、俺はラヴィーとリヴィーの二人の子供をリヴィに渡すのである。

こうして、この国の新たな王がラヴィアになり、そして俺はリヴィアとの約束を果たす為に、人間族の国と魔族領を仲良くさせよう同盟を結んだのだった。俺はこれから、このゼブラを旅立って人間族の国に向かうことに決めたのである。俺の大事な娘が大切に育ててきた家族が住む場所を守る為にも。この国を早く良くしないと。

俺達は、ゼブリの街の魔族たちの国と人間の国とを繋ぐ道である関所を通り抜けようとしたら、魔族の兵士達が待ち構えていたのである。

俺達に魔族の兵士たちは剣を向けてくるが。その瞬間に俺の前に出て来て。兵士の一人を一瞬にして気絶させたのはリリィの使い魔で元精霊王のクロミちゃんだった。クロミが、人間の国ゼブリに向かうための通行許可証は持っているから通らせろと言ってくる。その言葉で門兵達は慌てて敬礼をして。すぐに、お通り下さいと言い、俺たちが通過する道をあけたのであった。

俺は門を抜ける前にラティーに、この門の近くでラティアを迎えに来てもらうことをお願いする。俺は、そのラティーが来るまでの間。この国にいるゼブレムとリヴィアが愛していた女性達に会うために、俺はある人物を訪ねることにする。その人物の居場所はこの国の兵士から聞いたので向かうことにしたのである。その場所に向かっている最中。俺に話しかけて来た魔人が居たので。この国の王から俺に頼んだ内容を教えてほしいと頼むと。この魔族の国ゼブレッド王国と人間の国ゼブルとの友好の条約を結び、魔族たちと人間がともに暮らす事が出来ればいいが、もしも争いが起きた場合は、人間を魔族たちの味方になってほしいと、この国を人間たちから守ってくれるように頼んできたらしい。そしてその頼まれ事の答えに、人間側にも事情があって戦わないといけない状況になった時は、お互いに戦うしかないのではと、俺はこの国の王に伝えてほしいと言って魔人に伝えたのだった。

俺はその人間族の女性の家に着いていた。俺達はゼブレムの魔族領の地図を頼りにこの人間の国ゼブルの街にやってきたのだが。人間族の街なのに魔族の街のような街並みになっている事に驚きを隠せなかった。その女性はリヴィアとラヴィーが住んでいた家で今も生活している。そしてその女性の子供が俺を待っていたのである。そして俺とラヴィアの姿を見てその女性は泣いて喜んだ。そして、ラヴィアのことを抱きしめて無事だったことに感謝をしたのであった。俺がゼブラの王が書いた書簡を渡すと、その女性が読んでいく内に顔色が悪くなっていくのが分かった。俺の予想が的中していた。そしてこの国の魔族たちが苦しんでいる事を聞いてその女性は、人間の国から連れ去れた娘たちをこの国に戻せないかと考えたらしい。その事を聞くと、その女性の子供も俺に助けてくれと言っていたらしい。そして、魔族の核を持っている女の子がいる事を伝え。そしてその女の子を連れて来てほしいと頼み込まれた。俺もその話に乗ることに決め。その少女がどこに住んでいてどういう状態なのかを聞こうとした。

俺はラヴィーとリヴィの核を使って、その少女をラヴィーとリヴィが使っていた屋敷で生活できるように手配をした。俺がゼブレスの国王である王から書簡を受け取っていることを話すと。その女性はその書簡を見せて貰えないかと頼んできたので。ラヴィアがその女性の目の前に出して見せたのであった。するとこの女性の子供である男の赤ん坊を抱いて泣きながら喜んでいたのだった。その赤ん坊は、魔人化した時に魔石から解放したラヴィーの赤ちゃんだった。

そしてラヴィアとその子は、ゼブリーナの住んでいた家に住むことになり、ラヴィとラヴィは俺とリヴィの家に住み。ラティはラヴィアと一緒に住み、そしてリヴィとリヴィの核を使い人間になったリヴァイがその家のメイド長をする事になって。そしてリヴィとリヴァイは俺達の子供の世話をすることになったのである。

俺はリヴィとリヴァリエをこの国に残し、リヴァイにラヴィの護衛と、リヴィアの世話とこの国の子供たちを育てる事を指示して。俺とラヴィア、ラティ、リヴァイでゼブラに行くことになったのである。俺はラヴィアをゼブレムに会わせようと思っていたので、まずこの国にある俺の城に行ってゼブラが住んでいる場所に行き。そして俺はこの国の王に面会を申し込んだのであった。俺の突然の訪問に王は驚いていたのである。

俺はこのゼブレムとリヴィアの関係を知る者として、ゼブレムに会いに来たことを伝えた。そして俺とラヴィアに、ラヴィに姿を変える前の姿を見たゼブレムの衝撃的な表情を見て、俺はリヴィアに何かあったのではないかと、ゼブレムに聞いてみた。

俺はゼブリーナからリヴィアが魔王の娘であることや。リヴィが魔人に変化したときに使った核を、リヴィアに埋め込んでラヴィとラヴィーにしたことを説明し。ラヴィとラヴィアをラヴィアとして俺の娘として育てるのを許して欲しい。そしてゼブレムにはリヴィアの核を、人間族として生まれ変わったラヴィに使わず、ラヴィとして人間に魔人に変化させてほしくないと言うのである。そう俺に告げると、俺は魔王から託されたリヴィアと俺の娘にそんな事を出来るはずが無いと拒否されてしまう。俺はこの魔族の国を救いたいと思っているから、このゼブレムの協力が必要だと。そして俺には俺の大事な娘達が、幸せになれるように協力してくれないかと言うと、ゼブレムがリヴィアの核とリヴィアを、人間の国ゼブリーナで一緒に暮らせるようにすると言うのである。俺はそれならばと了承したのである。

そして俺はこの国にいるリヴィアの家族をゼブレムに任せる事にしたので。俺はゼブリーナに向かったのだった。この国を早く良くしないとと思いつつ、リヴィアをリヴィエに戻す為に必要なラヴィアの力が必要な為に、俺とラヴィとラヴィアでゼブレスの魔導師ギルドに向かう事にしたのである。

ラヴィアに俺の眷属にした魔人族たちをこの国に残すのも一つの手だと考えた。だが俺がゼブレスの王様や王妃たちに相談したら。魔人の国は危険だと反対され。魔人と人間の戦争に発展するかもしれないのである。

そして俺はラヴィアが魔人化する前に持っていたスキルの事は覚えている。そうあの俺を慕ってこの国の為に戦いたいと願っていた魔族の女魔導士リヴィーアが、俺の為に残したスキルだ。俺はラヴィーにそのスキルを使えるかを聞いた。そしてラティはラヴィアにそのスキルを試して欲しいと頼んだ。俺はそのスキルを使えばこの国がもっとよくなるはずだからと、ラヴィアにお願いする。そして俺は、ラヴィーからリヴィアがリヴィーに姿を変えられる事を思い出し。俺はラヴィアが、リヴと同じ姿で人間に変化する事ができるのなら、ラヴィアとリヴィがこの国に戻ってきやすいと思ったのである。俺はリヴィにリヴィアをこの国の魔人たちに紹介をしてから。リヴィアに人間の姿をしたラヴィアとゼブリスをゼブリスと魔人にしてもらいこの国に残るのも悪く無いと俺は考えた。俺はこの世界の人間に復讐するために来たのではなく。この世界を変えようとやって来たのだから。

俺がこの国で暮らしていて気になったのはこの国の国民は俺が思っているよりも平和主義なのだ。この国の人々は俺の事を警戒したりはしない。魔族たちが暮らしているので魔族たちはこの国で暮らしてもいいと言ってくれるのだ。俺はこの国と魔族の国の仲が良いことを、俺はゼブレムに伝えたのである。するとこの国の王である魔人はゼブレムを俺の所に連れ出したのだった。

俺はこの世界での俺の仲間達と話し合いをしていた。ラティナの種族の猫獣人について、その進化先と俺がこの世界に来て最初に出会った仲間のコボルトであるリリリと。この世界で最初に出会った狼女のルーシャのことを話し始めたのである。そして俺がリリィとリヴァリーと出会った時の事も話すことにした。そして俺はこの世界に来れるようになってからはずっと一緒に居てくれたリリィと、この異世界に転生した俺の最初の仲間でもあるルーシアの二人に今までのお礼を言おうと決意した。リリィが言うには、リヴァイ達のような魔物が俺と一緒に暮らすことでこの国の人々の心が安らぎ笑顔になる事ができたらしいのだ。そしてこの国の王である魔人も、ラヴィアたちが俺の妻となってこの国で暮らすことに許可を出し。そしてリヴィアが人間族に変わってもこの国に居座っても何も文句を言う者はいないと言ったらしい。この国に居た魔族たちが俺がこの国に来るまでにこの国にしていた貢献が大きい事を教えられたらしい。

俺はこの国とゼブルの間に出来た道を進む前に。ゼブレムから貰った魔道具を使い、魔族に変化した。そしてこの国の住人にリヴィアの姿を見せ、そしてこの国に居る人間族に俺の眷属になるように呼びかけたのだった。そしてこの国の王がゼブレムに頼み。魔族たちの王を俺にするように言ったのである。

このゼブレムという魔族は他の魔族の国を纏め上げるほどの能力の持ち主で、ゼブレムはこのゼブレスの国でも一番力がある魔人であるとゼブレムは言っていたのである。このゼブレムのおかげで魔人たちは人間族との戦いをすぐに終わらせることができ。このゼブリーナとこの国の間の道に、多くの兵士と食料を送り魔族の安全を保証したらしい。

俺はゼブリーナに着くまで、この国に俺が居たという痕跡を残しておくためにある魔法を使うことにした。それは【幻像転移】を使い俺自身が移動するのだが。この魔法の凄い所は、移動した場所で俺はその瞬間からその場所に存在していた事になる。俺はこの国の王様に俺自身の影武者になってもらうようにお願いをした。この国に来た時はこの姿なので、魔人の国から帰ってきたときのために俺が俺自身だという証明をする必要があるので、王様に自分の顔を真似るように頼んでみた。この王様は二つ返事で引き受けてくれて。俺は俺の魔力で作った俺の顔によく似た仮面を被り王様は、その仮面をかぶるのであった。そして俺はこの王様にこの王都を歩いて貰うことにして、俺も一緒に歩くのである。

俺が王都の大通りに出ると、人々は驚いていた。この国で一番偉い人物が突如として目の前に現れたから当然の反応なのである。そしてこの国では、俺は魔族たちから慕われていると評判になり。リヴィアがこの国に居なくても魔族の皆は俺を歓迎してくれたのである。そして俺が、ゼブレムの城に行くと魔族たちは俺に忠誠を誓う。俺はこの魔族たち全員の力を結集させて人間族の国の国王を懲らしめようと思っている。

この魔族の国に魔人を送り込み、魔人達と争わせようとしていた国王に、魔人族と仲良くする事はできないと、魔人が魔人と争うことはしないと言うことを叩き込んでやろうと考えている。それに、このゼブリーナでこのゼブレムと一緒に暮らしているうちに俺は思った事がある。このゼブレムを王に据える事が、この国の未来の為だと感じた。俺はこの国の王様にゼブレムを次の王にすると宣言し。この国と魔人とゼブレムをこの国に住む全ての者たちに、俺の言葉を伝えて欲しい。そして俺はこのゼブレスの王城を歩き回り。俺と俺の眷属である魔人の力を見せつける為に。俺はこの国と魔人の国に危害を加えようとした国王と王妃に、ゼブレスの城に火を放ってやると告げたのである。

俺はこの魔人界から俺が帰る時の為に、この国にはゼブレムとこのゼブレスを俺の国に繋ぎ止める楔を刺しておきたかった。俺がいなくなるときにこの国が、この世界の人々がどうなっていくのか不安だった。だがこの国を俺が留守にしている間も。この国を守ってくれる存在を俺は欲したのだった。

俺がゼブレムに、俺の眷属のコボルトと猫耳少女リリリをこの国で、ゼブレムの部下として仕えさせるので、この二人は好きに使ってくれと言うとゼブレムとこの国の王は大喜びをして。そしてこの二人の配下を、ゼブレムと王様に使わせるように頼んだ。そしてこの国を守る戦力として、俺がゼブレムと王様に伝えたのである。俺の眷属のコボルトと猫の獣人の娘は、ゼブレムや俺から信頼されていると知った事で嬉しそうにしていたが、リリリとリヴィだけは嫌そうな表情をしていたが。俺がこの国にいる間はこの二人には働いて欲しいとお願いすると二人は了承したのだった。

俺はラヴィーとリヴィアの事を二人に伝える事にした。ラヴィーには、ゼブレスの城の庭師にラティに変身するように指示をしておく。そして俺はリヴィアと、この世界に来る前から俺の仲間で俺とリリィがこの世界に最初に降り立った時に、一緒にこの世界に降りたもう一人の仲間のルーシアに会うために、この国に来る途中で俺が最初に訪れた村に向ったのである。

俺はラヴィア達三人にこの世界の人間の現状とこれからの事を説明した。すると三人はこの世界の住人に対して、魔人化の魔法を使い魔人化してもらい。この世界の人々にも協力を求めることを提案したのだった! この提案に賛成だった桜子たちはこの国に残ることを決め。そしてラティナとラミリス達は人間族の国へ俺たちと共に行くことを決めた。そして俺達の仲間となったラヴィーは俺からの提案にすぐに乗ってくれたのだ!!「そうね、私の大事な家族であるラヴィス様を困らせる人間たちに、お灸を添えてあげなくちゃいけないもの」と言ってくれて。俺の心はとても暖かくて嬉しい気分になったのだ!そして俺はこの国に俺達の協力者がいることをみんなに告げる。その協力者がこの王城に来ていることを話すと。俺はこの国の城にある宝物庫の隠し部屋に俺達が手に入れた宝具を保管していて。その宝具はラヴィー達に預けておいたからと伝えた。

そして俺が、ラヴィーに魔導士のローブを着て貰うとゼブレムも、ゼブラがリヴィアの姿に変身しゼブレスト王国へ向かうことを許可してくれる。そして俺達は人間族の住む国に向かうため王城を後にした。ラヴィ達も俺の眷属になっているから俺の魔力を使って移動が可能であり、リヴィアがラヴィとラヴィーを魔獣の森の入り口にワープさせたのだ。ラティナとラミリス、そしてリリィは魔獣の背中に乗ることにし。俺はリヴィアが乗せてくれるというので。俺が、俺がリヴァイに乗り俺の後ろは俺の仲間のリリィが乗ることにしたのである。そして俺がゼブレスの王城に【幻像転移】を使い転移してきたのである。俺は【幻像転移】の凄さを改めて実感したのであった。俺は、俺がこのゼブレスの王のふりをするために被っていたゼブレムの仮面を外し。俺はこの仮面をリヴァイに託した。俺はリリィを俺の側に呼び寄せてから、この国の魔素を吸収し尽くした後に俺がゼブルの所に戻りこの国の王に俺だと気付かせる必要があると説明し。

ゼブリナに魔素を吸収する魔道具を、この国の民に配って欲しいと頼む。そしてゼブリーナとゼブレッドの間にあるこの王城からゼブリーナに向かってゼヴリアは魔道列車で、この魔石を使いこの国とゼブルを繋ぐ道を造ってくれるようにゼブラに頼む。

ゼヴリアは俺の言葉を聞いてからすぐに行動に移してくれた。この魔道具の凄いところはこの魔道具を使うと俺と俺の配下以外の存在は、魔道列車がゼブリーナに着くまでの間の記憶を失うと言うことだ。つまり、俺達が魔族にこのゼブレスに魔石を運び込ませるのを阻止する為に、魔族を俺に襲わせた事や、ゼブレムと王様の悪事が露見しないようになると言うものだ。

この国の住民にこの魔道具を渡したら俺は魔人の姿から元の人間の姿に戻ってから、俺がこの国に戻ってきた痕跡を残しておくことにする。俺が俺の影武者の仮面を外すと同時に俺は俺に姿を変えた。そして俺はこの国を歩くのだった。

ゼブリンはこのゼブレスに魔素を吸われるという事は、自分達の命を奪われるのと同然であと魔族に教え込まれていて。ゼブリンたちはこの国を離れるのは絶対に嫌だという事で俺の言う通りにしてくれた。俺の仮面を付けた俺は、まずゼブリーナのギルドマスターとサブマスを呼び出した。ゼブリンはこの二人が元凶でこの国が滅びかけていると言った。そして俺がこの国に来た目的を、俺は王城に侵入して王から聞き出しこの魔族と人間が争わないと言う協定を結んだことと、魔族も人も仲良く暮らせれる世界を作ろうとしていると話した。

そしてゼブレムとこの国に住むすべての人々にこの国を任せたいので、この国とゼブレスをこの国に住む人々が守ってほしいと伝えるとゼブレスの国王とゼブレムの国王が涙を流すのであった。俺は、この国とゼブレムを繋げておきたいと思いゼブレスの王様と王様の側近を眷属にした後、ゼブレスを【地図】に登録する。この登録は俺とラヴィーにしか使えないもので俺とラヴィーとラティは自由にゼブレスに入る事ができる。この魔族は俺に絶対服従となる契約の魔法がかけられるのでこの国とゼブレスの人達の安全は保障された事になる。そして俺が魔人化したゼブリート王国を建国した国王と王妃と。そしてこの国の魔人達と魔族たちは全員俺の仲間にした。そしてゼブレムも魔族も全員俺に従う事が条件だが。

この国の魔人族とこのゼブレムがこの国の魔族や人間たちと争うような事をしない事が俺との条約である。俺はこの国の王になる代わりに。この国が平和な国として存在することを俺は求めた。ゼブレムもこの国の人々もゼブレスを自分の命を救ってくれたこの国の王が俺だから、喜んで受け入れてくれているようだ。俺が、俺と同じ存在になったリヴィを仲間に引き入れるためにリヴァとラティとラミリスの四人で。リヴァにリヴィアとゼブロスと一緒にラティスを、リヴィにラヴィとラティーと一緒にゼブラを連れて来てもらえるように頼み。俺はリヴァイと二人で王城の庭で待っていたのだ。

それから数分して、俺の【空間認識】で感知できたリヴァたちがやって来たのだが、この王城にいきなり入って来たリヴァたちを見た魔人族の兵士達が剣を構え戦闘態勢を取ったのだ。俺はその行動を制止するように言うと魔人族達から謝罪があった。

俺は俺の後ろにいるのが、俺の新しい仲間だと告げる。するとゼブレムは驚いていたが、俺がゼブレムに説明する。このラティスの魂の一部はリヴィアが俺と同じように融合している事を告げると、ゼブレムはすぐに納得しゼブラの眷属の事も理解したのであった。

そして俺はリヴィとリヴァイアを紹介する。そして俺が、この二人からリヴィとリヴァイアが俺が魔王に即位してから配下になったのであるとゼブレムに伝えたのである。

そしてリヴィとリヴィアにはリヴィアがこの世界に来る前の記憶がないのだと話すとゼブラとラヴィー以外は驚くが、俺はリヴィアはラティの眷属で。ラティはラミリスの師匠でもあり、リヴィアがリリスだった頃に俺と旅をしていて、俺とリヴィは恋人同士だったことを話したのだった。

リリィとラティナとリリィとラティナの従姉妹のラティは魔獣の背に乗って一緒に移動することにした。リリィもラティもリリィが連れてきた魔獣は俺が、ゼブリード王国から奪った魔石を与えたことで。魔獣たちもラティナの眷属になっていたのだ。そして俺達は王城を後にし。俺達はラヴィ達と別れてラティナ達は人間族の国に。俺はリヴィア達と、リヴァイ達と一緒にこの国を出ることにしたのであった。

そう俺はこの世界に来て、最初に訪れた人間族の住む村に向うことにしたのだ。俺は俺の背中に乗った、ラミリスの頭を撫でると。

「あ~!ラティス、ずるい!リリィにも頭撫でて!」

と俺の左腕に抱かれているリリィはラミリスに嫉妬したのだ。俺は二人を順番に、頭を優しく何度も撫でるのである。そしてラミリスの頭の天辺に俺はキスをしたのだ。

「ラミリスありがとう」

「ふにゃー!! リヴァイアが言ってたけど。リヴィスの愛の言葉は嬉しいんだって。でもラティスにされるともっと嬉しいんだよ」

と照れながら答えていた。俺の目の前に座るラティの頭を同じように撫でる。

俺達はリヴァイ達と一旦離れる事になり。俺はこの国の住民の記憶は消えない為、この国の王城やゼブリード王国にあった建物などはそのままなのだ。俺は、この王城やゼブレムとゼブリンが暮らしていた家、そしてこの国の住民に渡した魔道具の装置のコピーと魔石を、【創造】を使って造り出し、ゼブレムの持っていた指輪と俺がこの国とゼブレムに渡すことにした魔石を俺の収納スペースにしまった。そして俺は俺達の後を追うようにリヴィア達に頼んでゼブレスのギルドのマスターであるライルとサブマスのシゲルに。

俺はこの国の魔族や人間が争わないようにする条約を結んだことと、俺達が魔族も人も魔道具を使わなくても自由に行き来できる世界にする事がこの国に平和をもたらすと言う事を伝える手紙をゼブレスの王と王妃とこの国の魔族や魔族が暮らす場所にいる人々に渡して欲しいと伝えた。俺は俺の後について来ているリヴァイとラヴィーにこの国の民に魔道具を配ってもらいたいとお願いをしてみたら。俺達が出発するまでなら任せてほしいと言ってくれた。俺は俺達の後を追って来る魔獣たちに魔道具を配布してくれることを約束してもらい、この国の王城に残した者達の事を任せることを伝えたのである。

この国はこれから先もゼブレムとこの国の民が頑張っていけばいいと思っている。魔族も人間もこの国で幸せになれると思うからだ。俺の願いは全ての種族が手を取り合う世界になることだけだ。この国に争いが起きなければ俺はそれで満足なのだ。

この王城でゼブレム達が、この国の住民をどうしていくのか? ゼブレムがこの王城に残す者を選んでいたので俺はそれを見て、問題ないと判断したのだ。

それから数日して。俺は魔獣達に乗り、リヴィエト帝国とこの国の国境付近に向かっていったのだった。この国の人達に、この国の事は、俺の仲間に任せて安心しろと伝えるために、俺達が王城から旅立つ姿を見せたのであった。

俺達は、俺の転移魔法とリヴァの転移魔法を使いこの世界で一番大きな大陸である。人間の住んでいる大陸上最大の王国があると言われている。人間族が暮らしている世界最大最強国家、通称エルグランド帝国の一番西にある王国と隣の王国の間の広大な荒野に、俺達は魔獣を召喚すると同時に降り立った。俺の目の前には魔素を吸われ衰弱死する魔族が何人も転がっていた。その様子に驚いた魔族の一人が俺の方へと歩いてくるのが見える。

その男はボロ布を纏った魔族だったが。俺の前に着くと俺の前に土下座し、他の魔族も俺の周りに集まり一斉に土下座をした。そして男も口を開く。

「我等は、ゼブレム様の命により。貴女方に従うように申しつけられています。我等にできることであればなんでもさせていただきます。なので命だけはどうか助けて下さい」

俺の足下で涙を流し懇願してくるのだった。俺はゼブレスでの魔族の扱いを知り怒りに燃えていたが冷静になるように心の中で自分に言い聞かせ。

俺はゼブレスをこの国の魔族達に任せた。ゼブレムの魔族核が俺の【神魔滅殺砲】で破壊され。ラブレムが俺の仲間となり、俺に絶対服従する事になった事を話すとこの魔族たちは喜び。俺の事を神様と呼ぶようになっていたので。この世界にいる俺以外の唯一の神の力を持つ者である。ゼブレムが仲間となった事によりこの世界の全ての者が俺の仲間であり家族となると説明したのであった。

俺がゼブリード王国を後にしてから一か月が経過している。その間俺は魔族の国を俺のスキルである魔族化を使い、俺の配下として受け入れた。そして俺の仲間となる者は俺が、俺のスキルによって魔族化すると。

リリィやラティナ、ラティのように。魔族化を解いても人間のままであるのだ。そして魔族として俺の眷属になった事で。この世界には俺の配下として俺の眷属のステータスが表示され。名前の下に、 リヴィスの妻 ラティ ラティの眷属リヴァイア ラミリス ラヴィー ラティの眷属リリイ リリティア ラヴィニア ラティの眷属ララ リーリナ リリーナ ラヴィネ ラビー ラビィ リリス リリス と表示されたのだ。

俺に従属する者は俺と仲間になり。俺が仲間にすれば。眷属化し、眷属化された者達は。人間種と同じように年を取り老いて死ぬのだが。

不死の存在になるのである。俺に殺された場合は魔石が残るのだ。この世界にはもう魔王や魔王軍の魔族は存在しないため。

この世界の魔族とは俺の眷属たちのことであり。俺の力の一部を受け継ぐ事になるのだ。

魔族は寿命が長いので、眷属が一人増えるごとに俺に力を分け与え、そしてその分俺の眷属達は強くなり俺と対等に戦える存在になってゆくのだ。俺はリヴィやリヴィの子供であるラヴィやラティスが。俺と同じ強さに成るまで、俺の力で強化し続けなければならないが。俺は自分の力が上がっていることはわかっている。俺のスキルの恩恵で、俺はこの世界に存在する全ての生き物から、俺の経験値を奪うことができるのである。それは魔族も同様だ。この世界に魔族の数を増やしていく為には仕方のない事だと割り切る事にしたのだ。

俺はゼヴとリヴィア達と一緒にこの世界を回っている。俺がゼブレム達に与えた魔石は。この世界で生きるすべての者に効果があったようで。人間にも、そして人間より知能の低い魔物にさえも、この魔石を与えただけで。全ての魔石に、 【全耐性無効】と 【能力弱体化無効】のスキルを与えることができたので。この世界にいる魔物達は、レベルが上がらないという呪いから解放された。俺は魔道具を作り魔導王国に暮らす者達に配ることにした。この魔道具で、人間でも人間より劣る種族であっても。レベルが上がることになり。俺のスキルの恩恵を受けることができる。この魔道具を俺は、ゼブレム達が暮らしていけるようになるまでは使うように命令した。俺が造った魔道具を俺は、この世界の人々の為に使って欲しいと思っているので。俺はリヴィ達と一緒にこの世界中を回って人々に配って歩くことにしていたのだ。俺がこの世界に降り立ち。リヴァイとラヴィーを、この世界に送った時に。魔獣のスタンピードが起こり、多くの人間達が犠牲になった事を知った。リヴァイは、

「お姉さまの話では。魔獣達は魔獣の王がいる場所から逃げてきたらしいです。だからあの時は、魔獣達の王を倒していればよかったのですよ。そしたら私達姉妹はこんな苦労することはなかったのです」

「そうね。確かにリリィの言う通りかもしれないわ。魔獣達は魔獣の王を倒すと魔獣の王が消え去ると言っていたから」

「そうよ! リリィもラティも今度同じことがあったらそうしましょう! リヴァイも賛成よね?」

「私は別にかまわないぞ」

俺はリリィとリヴァイの話を聞いて、リリィとリヴァイは、ゼブリード王国のギルドマスターであるゼブリード王国にいた、ライオネスと言う男が持っていた、『聖剣エクスカリバー』で、ゼブレムの持っていた『聖剣デュランダル』と。俺がゼブレムに渡した『魔槍グングニル』が共鳴現象を起こしたときに、魔獣の王の居場所と魔獣の王が、俺のスキルで造り出される魔石を取り込み。魔獣達の王となっていたのだろうと思っている。俺はその話を聞いてゼブルを殺さなくて良かったと思った。もし、リリィとリヴァの姉妹が魔獣の王と戦っていたとしても、俺とリヴィア達がいたことで魔獣の王は魔石を取り込んだりして、この世界の脅威になっていた可能性があった。俺は、そんなことを考えているうちに。この国の人達が暮らす集落に着いたのだった。俺が、ゼブ達と話をしているとリヴィーがゼブレスに、ゼブラ帝国にいる魔族と人間が暮らす場所で暮らしている者達に。魔道具を配ってくると言って出て行ったのである。それから二日後、ゼヴィーはラヴィーと共に魔道具を俺の元に持って来てくれたのだった。この世界にいる全ての魔道具に、俺が持っている神界の神々が使っている魔道具のレプリカを作ったのでそれを俺がこの世界の人達に配布することにし、そして俺達がこの世界に来るまで。俺が使っていたこの魔道具を使うようにと。俺とゼヴで魔獣の王が暴れた時の為と。リヴ達が、俺がこの世界に現れたときに使うように指示を出したのであった。ゼブ達が俺に魔石を渡し、自分達の命を使ってくださいと言ったのだが。俺はゼブリード王国とリヴァイ達に。魔族と人間にこの魔石を、この魔道大国にある魔族の国に持っていき、そこで、俺が与えたスキルのスキル説明をし、そしてこの世界の全ての人にこの魔石の魔素を与えて貰うように命じてあるので心配する必要はないと話した。

それから数日の間俺は、魔道具を俺の眷属達と俺の仲間たちに渡す作業を行い。ゼヴィに魔獣の森に作った村に行ってもらう事にした。ゼヴには俺のスキルの事を秘密にしておいた。俺とラティナとラティにリヴィア、そしてラティに眷属化させられたラミリス、そしてリリイにリーリナ、そしてラヴィーにはこの事を知らせている。

リリイとリーリナとラビィには、俺と眷属たちが、この世界に魔人核を埋め込み俺の支配下の者達が全員魔族化している事を告げた。

そして俺は、ゼヴィーとラヴィーに。俺の妻であるリヴァイとラヴィとラミリスに、俺の眷属達を魔獣の国に送り込む事と。ゼブリムを魔人の国から追い出した時と同じように、ゼブレムを追い出してゼブリンム帝国の皇帝にする事を話しておいたのである。

ゼブルは俺と眷属たちに負けてしまい。今では俺の忠実なる僕であるのだが。その事は言わなかった。

俺とゼブは魔道具を魔族の国に行き、全ての魔族に配ることを約束し、魔族の国に向かう前に。

ゼブルに魔族化の呪いをかけ俺が魔族の国に旅立つ前の準備を整えた。魔族の国に行く際に、ゼヴの配下のリリティアとリリーナとラティが付いてくると行って聞かなかったので。連れて行くことになった。そして俺達は俺が造った乗り物で、リリティアとリリーナとリヴィーを乗せて出発した。そして数時間が経ち、リヴィアとラヴィの故郷であり。ゼブルとリヴィーとリリティアとラティの故郷であり。俺の仲間となったラティの父親である、ゼブロスが支配する魔族が住む、この国の最南端の町、魔都の近くの森の中の。小さな家に到着していた。ここは俺の仲間である。ラミリスが迷宮を作るために造った島の中にある。魔族の住む村である。俺がこの島に最初に転移した時は。まだ島はできていなく。この島の魔族達は、魔族としての能力や魔力を失っている。人間種として生きていたのだった。俺はこの世界に来てすぐに魔族の村に行けばいいのではとも考えたが。この魔族の島の事を思い出し、俺はこの島を造ることにしたのだった。

魔族は元々身体能力が高く、人間種よりも優れた能力を持つのである。この島には元々住んでいた者達がいたが。俺はこの島の住人達を全て眷属化しこの魔族としての力を与えたのだ。

ゼブがゼブの娘や部下である魔人達を連れ。この魔都の町にやって来ると。ゼブリムはゼブを出迎え。その後ろからやって来た俺の姿を見つけるとゼブリンムが、

「おお! 貴方様が、このゼブリムにお力をくれた方なのですね。私達を助けてくれてありがとうございます。私はゼブリムと申します。このゼブリンムの国王をさせて頂いております。そして私の妻リリティアは元王女でこの魔族軍副将をしております。この二人はリヴィーリヴィアリヴィアの姉妹でリヴィーの妹になります。リリィと申すものですが。彼女はリリィリリシアリリティアの姉妹にあたります。リリティアとリリィの姉妹は、元々奴隷だったのです」

と、リリィの紹介をした。リリィはまだ子供なので、リリィの後ろに隠れていて俺の方を見ていたが、少し怯えながら。自分の名を名乗ったのだ。俺は、自分のステータスを確認したがやはりレベルもスキルも無かった。しかしレベルが無いだけで、レベルが上がる前の能力はあるみたいだった。俺はレベルもスキルもないことで少し驚いていたのである。

ゼブリードの王族のゼブは。魔道具を配り終え、リリィとリリィの眷属の二人に、ゼブリンムを任せると。俺の側に寄ってきて。俺に膝を着き頭を垂れて俺の前に立ったのである。そして、俺をリヴィの夫として認めていただきたいと願い出たのだった。

俺は、ゼブリード王国の民をこの世界の他の国の人々を守るために魔獣の王を倒したいと願い。俺を崇め奉っているゼブリンムの王に、リヴィーとリヴィーの姉妹を嫁がせて欲しいとお願いすると、ゼブリンムは快く了承してくれた。それから、リヴィーとリヴィーの眷属であるリリィに、ゼリディアとリリザを預けることにした。

リリィは俺の眷属になったばかりだから、魔獣化していないし、リリヴィアもそうだが、魔道具のスキルで魔物にされているわけでもない。

それに、リリヴィアとラティナの眷属であるリリイにリリアと、ラミリスの眷属であるリーリナと、リリイとリリイの眷属であるリヴァがいるので。俺がリリィの親だと言うことを伝え。俺はゼリディアとリリザを連れて。ゼブリード王国にいる俺の妻とリリシアとラティとラティにリリィを眷族化したリヴィーの元へ向かうことにし。俺達が乗ってきた空飛ぶ船で移動したのであった。そして魔族の国の城に着くまでの間に、俺の眷属にした魔人達のステータスを確認する。まず俺の妻のリヴィに、リヴァとラヴィとラヴィとラヴィアに。ゼリブスと娘のライオネアと娘になるリリアンとリヴィア姉妹と眷属にしている魔人、この者達の能力を俺は鑑定で確認していた。ゼブラ帝国の皇帝になっているゼブレムを、ラヴィーに任せるのが不安だったので、リヴァイはゼブレムの元に残りラヴィはリヴィアと共に、リリイとリヴァにラティアの護衛を任せたのだ。俺はこの世界で魔人化して産まれた者全ての眷属化する為。この世界に来た目的の一つを果たす為に、ゼリームとリヴィエの両親と妹の三人にも魔道具を渡し魔人にしてあげた。それから俺はゼブにリヴィの魔素を使ってゼブリンム王国にいる魔人達を魔人に変えて欲しいと言うと、「わかりました。貴方様に私の全てを委ねたいと思います。どうかこのゼブリンムを。魔族の国をお救い下さい」と。涙を流し俺の前で平伏し言うのであった。俺はこのゼブリンムの魔道具の使い方を教えると、ゼブリードとゼブリンムの城の地下にリヴィーとリヴァイと一緒に向かい、ゼブリンム王リヴィーの父と母と妹を魔人にしてあげる事にしたのであった。

この世界に転生する前に、俺の眷属になっていたこの世界の者達には、スキルが使えたはずだ。この世界にきた俺の配下の者達は全てスキルが使えるはずである。

俺とリヴィとラヴィとラティとラヴィにリリイにリリシアは。リヴィにリヴァイにラヴィアとラティにリリイにラヴィアにラティにリリティアとラビィに眷属化させたラヴィーと、眷属化させてないラミリスと眷属化した魔人の三人の娘達を連れて。ゼブルの部下達が住む魔獣の国に向かったのである。

俺がゼブリンムの国を出る時に。ラスティスにゼブリムは任せて大丈夫だろうと思い、俺とラティは、この国の守りに残しておいた。俺はゼブリンムの城を後にして魔獣の国に行くことにしたのである。

魔族の国にある町や村は、魔族以外の人種である俺達を最初は警戒していたが。リリィと眷属にしていたラティにリリイに眷属化させ。ラヴィーに眷属化されたリリシアに、眷属化している魔人の親子と眷属にされて眷属化されているリヴィアに、眷属化しているリリィを見て安心したのか俺に襲いかかる事はなく。俺達は歓迎されながら進んでいったのであった。

俺とラヴィは、ゼブルが支配している。ゼブリスの町に転移をして来たのである。俺達は、魔人のリリイの魔道具で、ゼブリンの配下達を全員魔道具化させていた。

そして、ゼブリンムに頼まれた魔族化のスキルが宿る腕輪を渡すことにしたのである。

そして俺は魔族の腕輪をゼブリスの兵士に渡すように指示を出して。魔道具を起動させるのを見ていた。そして俺は兵士を一人呼びつけ【魔王軍四大将】の四人を魔族にする事を指示した。兵士達はすぐに行動を開始した。リリティアに頼んで。この国に住む魔族の中に、【魔王軍四大将】と、【四天王】の二人と、俺の妻のゼブリスの妻であるリリティアとその部下リリーナ。この五人と魔族の国の王妃と側室達と魔族の中で、特に優秀な十名の女性を集めてもらい。俺の所に連れて来てもらうように言ったのだ。俺の命令に逆らう者が居たら、直ぐに殺すと伝えておくことも指示を出した。俺の子供達や、リリティアの子供、俺が連れてきた魔族や。リリィや眷属達に守られながら魔人達が集まっている場所に向かうのだった。

そうこうしているうちに、魔道具が起動した。リリティアの眷属のリリリーナが魔族の中に走り出したのである。そのリリリーナは、魔族の女達の中でも、美しいと言われる魔族で。男達を誘惑するのが得意なようで。このゼブリンムが、俺の妻の一人リリアに嫉妬し、この魔族の娘を捕らえよと命令し。リリティアが止めようとするも、魔族に邪魔をされてしまうのだった。しかし、魔族達はリリイに敵わず。

俺とラミリスにラティシアの前に引き摺り出されたのであった。リリアにラティが事情を説明すると納得したので解放したのである。

それから俺の指示に従ってもらい、集まった妻達にリヴィーの妹と姉の二人の女性を紹介して貰い、俺の庇護下に入るように命じると了承されたのだ。それから、リヴィーの姉でこの国最強の戦士と言われている【剣姫(つるぎひめ)アネシス】と言う名前だと教えてくれた。それともう一人の妹の【槍術使いの女王アンジェリール】は双子の姉で【戦乙女の勇者アンジィナリスヴァルキリークィーンズブレイブソウルアルクスメイルプリンセスナイトプリンセスソードマスターシスティアスセイレーンプリンセスと、リリシアと同じ双子姉妹である事も説明した。

俺に、娘になってくれるのかと聞かれたリヴィーは即答で喜んで受け入れてくれて。俺をパパと呼んでくれたので。俺も、ママだよと答えると嬉しそうな表情をしてくれた。そしてこの魔族は皆俺を神のように崇めるのであった。リリィは何故かゼブリンムをパパと言って慕っているみたいで。ラティアが羨ましそうに俺を見つめていたのである。俺が、リヴィーの眷属にした魔族の女性が。俺のことをお父様とか、御館様と呼んでいたから真似しただけだろうと思った。

俺がリリィにどうしてそんなに懐かれているか聞くと、リヴィーを庇ってリリアが瀕死の状態の時にリリィとリリイがリヴィーを連れて、リリティアのところに逃げ込んだらしく。その時の恩を感じているみたいなのだ。

そしてこのゼブリードの城下町で俺達が、魔道具を配ったりしていると噂が流れており。ゼブルとこの魔族の国の人達は、俺の配った魔道具のおかげで。この国は、他の魔族の国に負けないと張り切って頑張った。

俺達が、ゼブの案内で魔人になったばかりの魔族に、ゼブリンムの腕輪を渡し、俺に襲いかかる者はいないか?監視してもらえば問題ないと思っていた。ゼブリートとゼブがいれば、俺がいなくても魔族の国が滅ぶ事はないだろうと安心して俺は、ゼブルにラヴィー達を託し、ゼブリンムに、リリイとリリアの姉妹を眷属化し。魔道具のスキルを使えさせる為にリリィに渡してから。俺はリリィのスキルで、魔道具を発動し。魔道具化していない魔族を全て魔道具化したのである。そして魔素を与え魔道具化した者に、ゼブリス城に行き、リヴィ達と一緒に俺の仲間達を魔人化させるように言うと。

俺はこのゼブリスと、ゼブをリヴィアとラティとリリシアの警護にして。リヴィを魔族の国の統治を任せる事にして、俺の眷属にすると宣言して、魔道具を渡し、ラティと共にラビィのいる城に瞬間移動をして、ゼブリス城の魔人達を魔人にするようにお願いすると。魔人達が動き出し、ラティに頼んで魔素の供給をして貰いながら作業を行い。

ラティにラビリンスに行って貰いラビィ達を呼び出す事に成功したのである。俺がラヴィをゼブの元に届けた後。俺は魔道具を使い魔族達の魔力を奪い取りながら。ゼブリンムが俺に話があった事をリヴァイに聞いていたのである。俺は、ゼブリンムの話を聞く為にゼブリンムに、リヴィが寝泊まりしていた城の最上階の部屋に移動して、二人で話すことにしたのだった。

リヴァイとリヴィの両親。リリアンとライリィがこの魔獣の国にいるのは。俺とリヴィがリヴァイに頼み、リヴァイと眷属化した魔人のリリイにこの国の様子を見に行かせ。ゼブリンムの部下のリヴィアにも様子を伺わせたからである。そしてリヴァイは、ゼブリンムの部下に成りすまし、ラリアーとラリリスを連れて魔獣の国の視察に来ていたのだ。

俺はリヴィとラティにこの部屋で、俺の妻と娘と眷属化した子供達が待機している間。ゼブリンムにこの世界の状況を説明してもらうことにしたのである。

リヴの話を聞いたゼブリンムは、俺達には想像できないような。世界の裏側の世界が存在することを知って驚愕していたのである。俺の眷属や俺の子供たちとリリイにリリティアも、ラティ以外は。同じ世界の存在だった。俺は、その事実を伏せて。リリィとラヴィアが、俺の世界に来られたように。こちらの世界でも、あちらの世界に行ける可能性があることを告げたのである。ゼブルの配下のラヴィーとリリティアがそうだった。そして俺達は、このリヴァイが見つけたダンジョンの階層のボスである魔獣の王の部屋に、転移門を設置し、そこから俺達とゼブリンムがこの世界に転移してきていることを教えたのである。

リリシアが俺の所に帰って来て、俺の子供達にゼブとリリイを仲間に加えるように頼む。それからリリシアとラティがゼブリンムに、ゼブルの件や、魔人と魔人化について詳しく教えることにしたのである。

リリシアとラティがゼブラの話をし始めた頃。

リリシアはゼブリンムに俺達と同じように魔道具で魔人と化した場合、どういった変化があるかを、わかりやすく説明したのだ。リリシアは魔人と化すと、俺達と同じ容姿になると言う。しかしゼブリンムとリリシアが、この世界での、自分の本当の姿は、俺達の姿よりもっと醜悪だと言うのだ。そして、俺達魔族の血を濃く引くゼリシアとリリティアだけが。ゼブンの血が色濃いから。俺達よりも綺麗なのだと説明をする。リリィだけは別で、人間だから俺の妻達は皆美しくて可愛いのだが、リリシアの言い分によると、リリィが一番美人だと自慢気に言っているのだ。リリシアとリリィの二人が一番仲が良い姉妹なのだろう。そう思うと俺は微笑ましくなったのだった。

リリィはリリシアの言葉が不服なのか「私はママの娘よ!」と叫んでいる。確かにそうだが、まだ生まれたばかりだから仕方が無いだろう。

それからゼブとリリイは、ゼブリンムとゼブルが元人間の魔人であることを説明する。それから魔族の中でも強い者だけが得られる【魔王軍四大将】の称号を与えられるほどの強者であり。【四天王】の序列一位である【大魔将 ゼブリンム ル アネシス】であり。【魔王軍】の中で、最強の魔族で最強の存在なのだと言う。ゼブリートは俺から腕輪を受けとり。ラヴィに腕輪をつけさせ眷属化をすると。ゼブリートもリリティアと同じ【魔王軍四大将 副将軍】の地位に就くことになるが、ラヴィと同じで、俺の従僕なので問題はないのだった。

俺はリリィからラビィに念話が通じない事を尋ねると、それはラヴィーの持っている通信機能付きの腕輪の効果のせいだろうとの事だった。リリィがリヴィーがつけている。通信機みたいなものが邪魔しているのだと思うと言うので、俺のスキルをラヴィーに使った後にラビィに試すように指示する。俺は、俺と眷属化した者達の魔力の波動が一緒になってるはずなのに何故?ラヴィーとラビィは駄目でラヴィーとリリィが繋がるのか気になったのである。そしてリヴィーの持っている指輪から。念話の通話機能が発動されているとリヴィーが俺に告げてきたのである。俺がラブリーのスキルを発動させると、俺に念話がかかったのだ。そしてリヴィアの事も、念話ができる事が確認でき、ラヴィーも、念話でラリィと会話ができ。お互いの情報を交換する事ができたのであった。

ゼブリンムの話を聞き終わった俺はゼブリスから聞いた情報を元にして、この魔族達にゼブリンムからこの世界の情勢を聞いた。俺は、ゼブからこの国とこの大陸を、魔人以外の種族に解放し魔人達の国にしたいと思っている。俺はそう告げると、魔人以外の他の亜人や獣人も、俺達のような異世界人が、召喚された時の魔素の影響で。魔物になってしまった者がいて、その者はこの世界ではもう、普通の人として生きて行くのは不可能だろうと言うのである。それならば俺達が保護した方がいいのではないか? ゼブは魔人達に自分達の国を作る為に必要な物は何かを聞く。リヴ達や、魔族の国の魔人以外の者達が、安心して生活できるようにするために。何が必要なのかとゼブリンムに尋ねたのだ。ゼブリンムの出した答えとは、この魔族以外の亜人を保護する機関と魔道具の作成だった。俺はリリティアのいる場所に戻り、リリイに魔道具を渡した後に、リリイにラヴィに頼んでゼブリンムの部下になって貰うようにお願いしてもらったのである。

リリイにお願いしに行った時に。リヴィが、ラヴィを睨んでいたけど、ラヴィに魔人化してもらえないならラヴィを殺すと言っていたが。ラヴィーは、リヴィに殺させるぐらいなら自害するとリヴィに言った。リヴィは、リヴィーの妹のリリイを自分の部下にしようと、俺の元に来てリリイを眷属化しようとした時に、リリィとリリイは、ゼブリンムが連れて来たゼリシアがゼブリンムの眷属となった事で、ゼリシアの従者として俺の眷属化の対象から外されていたのである。俺は、眷属化しない事をいいことに。リリイを眷属化しようとしたリヴィの行動を、リヴィに伝えて反省させたのである。そしてリヴィとリリイを。俺が眷属にすると言い出すと。ラリティアもラヴィーもリヴァイも、そしてリヴィングにいた魔獣たちも驚き、俺を止めに入った。しかし俺はラヴィーとラヴィには、この国でリヴィ達を見守り、この魔獣の国とこの魔族達の国の安全を守って貰いたい事を伝え。ラリィとリリイにも魔人の国を作って欲しい事をお願いした。

そしてリリイに俺が作った腕輪を渡す。これは、ラヴィとラリイと連絡を取り合うための通信機能付きの物であり。この世界に来た時に与えられた能力である【鑑定眼】の能力の一つに、その者の名前やレベルがわかる【名前鑑識】と、その者を眷属にできる【テイム】と、【隷属契約】の機能がついており。この腕輪の所有者登録をする事ができるようになった【眷属認証】のスキルを付与した。リヴィはラリヴィアの所に戻って行ったのだ。そしてラリイがこの世界に来て初めて眷属化する事になったのである。俺が、ラリヴィーにラリアーにラティを眷属にするか聞くと。俺は、二人にこの世界で生きて行かなければならない事情があるので無理に眷属にするつもりは無いと言ったのである。俺は、ゼリヴィアに俺の【魔剣 月影(神滅 妖魔斬り 呪われた刀)】と、【天叢雲(真の姿開放 全知全能の神界創造主ゼウスより与えられし宝具 全てを知る神の力を使うことができる魔道具)」を渡してゼリヴィアに使い方を説明したのだった。ゼリヴィアはラティに「あなたがお姉様を守るのですよ」とラティに言うと。ラリティはその言葉を真剣な表情で受け止めていて。俺は、この魔族がこの世界で暮らすのは無理だと改めて思い、ラリィ達三人はこのままこの世界のこの魔獣の国の住民となって貰おうと考えた。

リリイをこの魔獣の国に残しておくのも可哀想なので、ラリイとラティに、この子を連れて行ってくれないかなぁと、頼み込むと。リリイはリリイの肩の上に座っていたので。ラリシアが「私が連れて行く!」とリリイを抱き上げて俺にそう言い、ラリィがリリイにラリィとラリシアと離れるのかと問うと。ラリィとリリィは、二人とも離れるのが嫌だったが。

俺と離れるのも辛いので。泣くのを我慢してラリィとラリィに抱きしめられながら俺を見て、「パパ大好き。ずっとラリィちゃんとリリィと一緒にいるよ」と言うと、ラリシアは泣き出して、ラリィも泣いてしまう。俺は二人を撫でてから。

俺からラリィとリリィに。俺の魔力を注ぎ込んで【従魔術】と念じてみたのだ。二人は驚いたが、従魔として俺に仕える事になるという事が理解できたようだ。それから、リリィとラリィとラリシアの三人で、従魔契約をしたのだった。

それから、ゼブが、俺の持っている【転移】の機能と。リリィの持っている通信機のような機能を合体させて。その機能を持ったアイテムを作ろうと言う。俺は、ラリヴィーが持っていた【通信の腕輪】を改良することにしたのである。そして完成したものは。二つの腕輪に魔力を通すと通信が可能になると言うものだった。俺はその機能を付けた腕輪をリリィとラリィの二人につけてあげたのである。ラリィもラリヴィーに腕輪を付けてあげて。これでリリイが寂しい思いをしなくて済むようになると思ったのだ。俺はラリイに。この国の事を任せると言ってリリイに【従魔】と【召喚】と【送還】の能力を腕輪を通して発動させてもらい。リリイは、ラリィにこの世界の案内をしてもらいたいとお願いすると。リリィは、俺にくっ付いていて。俺の服の裾を掴み、不安そうにしていた。リリイはラリィとリリィの二人に手を振って、別れの挨拶をしていた。ラリィはリリィにラリヴィーとリリィが離れる事がないのはわかっていたが。ラリヴィーがこの世界に一人だけ取り残されてしまうのではないか? と心配しているのだった。ラリィは、この国にリリィとリリイとラリヴィーがいるのは知っているが。ラリィはこの世界からいなくなった事が一度もないので、これからは自分がラリヴィーを一人で守らないとならないと。決意を新たにしてリリィに別れの挨拶をしたのだった。そしてラリヴィーがこの魔獣の国の王に俺は任命して。この魔族の国の王はラリィになり、俺から与えられた役職は『宰相』になったのである。俺は、この王城にラリヴィーが住む家を建てるようにゼブに命じたのであった。俺はリリイとラリィを、リリシアに紹介し、俺からリリイをラリィの従者にしてもらってほしい事と。俺の側に居たいのなら、ラリシアとゼリーと、それからこの国を守ってくれと言ったら。ラリイが、「ラリヴィーがリリィを守るのです」と言うと。

俺はラリイに、ラリイはもうこの国をラリィに任せても大丈夫だよと、伝えたのだ。

リリイとラリィの二人に。俺の眷属になってもらったのである。そしてリリイが。「ママに会いに行きたいので、リリィちゃんとゼリヴィーと、一緒に連れていってくれませんか?」と言うと。ゼブは、リリイを眷属にするのはやめたほうがいいのではないかと言ったのだが。

リリイの気持ちは変わらなかったので。俺はラリィに、ゼリヴィーとリリイを連れて俺の家に行こうと頼むと。リリィがラリヴィーの手を取って喜んで歩いていたのだ。

そして俺は、ゼブリンムに。ゼリイの住む屋敷に行く許可を出してもらうと、すぐにゼブリンムは、この国の魔族達に。リリイとラリィの事を紹介していた。そしてゼブリンムに頼んでこの魔族の国の警備の強化をお願いし。俺の家から来る護衛には。【剣聖 鬼剣 剣神 戦神】のジョブを持つ者だけを向かわせるようにすると伝える。

それからレア様の元へ行きたいとレア様に告げると、レア様はすぐに俺を、王宮の奥にある謁見の間に転移してくれたのである。

俺はラリィとラリヴィーとラティを連れてこの世界にやってきたことを説明して。リリイが俺の娘だと説明したのだ。

レア様も他の魔王の人達も驚いていたけど。レア様がリヴィとラリヴィ姉妹のことを話してくれ、リリイの事もラリティに説明し。ラリティが妹だと知って涙を流して喜んでいたのである。

俺はみんなから、どうしてそんなに急に家族が増えたのだと質問攻めにあったけど。

俺は「妻が増えすぎて子供達も増えるから、ラリヴィアにも俺の子供の母親になってもらいたいと思っています。」と告げるとみんな驚いていたが、俺はこの国の事はラリヴィアに頼み。俺の家に行ってラリヴィーとリリイをリリィに紹介する事を伝えると俺の家族に。ラリヴィーとリリィを紹介した。

ラリヴィーは俺の眷属でリリィがラリィの眷属であると説明すると皆が驚嘆していたが。俺の子供が二人も増えた事をとても嬉しく思っているようで。この世界で暮らして欲しい事を告げると、ラヴィは、俺の側で暮らすために【竜王国】に戻ると言い出すと、ラリティとラリィとラリヴィーは、三人は俺と一緒にこの世界に残ると言う。

そして俺は、俺の娘のラリィを【魔狼 フェンリル】に変化させると。

俺はラリィを【眷属】にする事にしたのである。

ラリィにこの【獣王国】を任せられるのは。この世界の事情に詳しくて。ラリィのスキルを受け継いでいて、リリイとラリヴィーを信頼しているラリィしかできないと思うから。俺は、俺の妻の一人でもあるリリィとリヴァイアと俺とで。ラリィの眷属の契約を結び直して、ラリィがラリィの意思に関係なく俺の命令を聞くようになる。命令の方法はラリィとリリィとラティに教えた。

それから俺とレア様と俺の妻達。それとラリィ達で話し合い。

俺はこの世界に来てまだ一日も経ってはいないので。この世界の常識などは全然わからなかったので。この世界で生きていくうえで俺達に必要な情報はラリティが全て教えてくれた。ラリティは、この世界の事をよく知っていた。この世界は【アースガルド】と呼ばれていて。この大陸の名前は、【イビル大陸】と呼ばれているそうだ。この世界に俺が降り立ったのは、この場所ではなく。俺がリリイを連れてこの世界に転移したとき、この場所に突然現れたのだ。そしてこの場所は、俺が最初に訪れた場所でもあって。この場所から一番近くの村で。リリィとリリイの故郷でもあり。俺がこの世界で最初に行った場所でもあった。この世界の大陸で二番目に近い村は、リリィの故郷の村とラリシアが治める村の二つがあるそうで。

俺がラリィに聞いた話では。この国は。

【ラヴィーニア】と言う名前の【エルフ族】の国で。

俺の住んでいた世界でいう所の【日本】の形によく似ている。

しかし違うのは、魔物もいるし亜人と言われる人も沢山いるらしい。

俺の世界では考えられないことだけど、この世界の魔物の中には【ドラゴン】とか【巨人】等がいるそうで。それに魔物と亜人の関係が俺が思っていたような関係でもなく、普通に仲間同士で助け合ったりしているとラリィは言うのだ。俺にはまだ理解出来ていない部分も多いが、そのうち理解していきたいと思っていた。

それから、魔道具や魔道具の核となる素材になる魔石等は。普通の生き物からも手に入れることができるのだそうだ。この世界の【魔法】は、魔力量の多い者が覚えることが出来るそうで。その【魔力の量】は【個人差があり】、一万や百万という膨大な魔力を持っている人もいるのだと言うのだ。そしてこの世界の人々は誰でも【属性魔法】を使うことができ、その威力はその個人の魔力に依存するという事なのだそうだ。

魔力量はその魔力を使いきれば回復するらしく。俺のように無尽蔵ではないのは確かのようだった。魔力を回復させるための回復薬という物もあるそうなのだが。これは、俺達が使うことのできるアイテムボックスの中に入れてある回復薬とは、質が違うようだ。この世界の回復アイテムは、ポーションと呼ばれるもので、俺のいた世界の市販されてた【エナジードリンク 元気が出る】的なものではなく。本当に飲むだけで体の中から体力が回復して行く。

【薬草】を煮出したエキスがベースになっている。だから味の良し悪しはあまりないようだった。この世界での料理は【和食】に近いものが多かった。

この世界の食事は基本的に主食はパンで、この世界の食材は地球のものより、美味しかったので。俺はこの世界をもっとよく知りたくなっていたのであった。

それと、この世界には人間以外の人種が存在し。

【ヒューマン】

人間は、身体能力が低く魔法が苦手だが。魔道具と呼ばれる武器や道具を作る技術が優れているのが。特徴の一つだという。そして、人間の他にも。獣人や魔族。そして精霊族が存在するのだった。

そして俺は、この世界にきてから俺の体の状態が変化したことを話す。俺はこの世界にくるまでは。ごく一般の日本人として生きていたのだが。この世界に来る前に。俺は、自分の体に異常を感じて。病院に行く為に。車を走らせているときに。事故にあってしまい意識を失ってしまうのだが。目を覚ますと俺がいた場所は。俺が住んでいた部屋でもないし。車の中だったわけでもない。俺の知らない土地で。そして目の前には、俺を看病してくれたと言う。女性が居て。俺は自分が死んだものだと思っており。天国に来たのだと思った。俺は彼女に向かって。「貴女は誰ですか? どうして俺を助けてくれたんですか?」と言うと彼女は、「私は、貴方の看護を担当していた者です。貴方が事故にあったとき私が側にいなければ、助からなかったでしょう。私は、あの時たまたま貴方の近くにいたので貴方を介護していたんですよ。貴方に命を助けられたからね。」と言ってくれていたのだ。

それで俺は、この世界がどういう所なのかを、女性から聞いてみたのだ。するとこの女性は、看護師と言う職業で。医師が病気の治療をして、それを患者に告げるのは彼女の役目なのだという。彼女が、病室で患者の治療を行う際に。怪我をしたりすると治療した医者が責任を持って治療してくれるそうだ。そして俺が目覚めたのは、とある大きな病院で。しかも、俺の命を救った女性は。この病院に入院していて。俺と年も近かった事もあり、彼女とはすぐ打ち解けることができていたのだ。

俺は、自分の名前を告げると。「私の名前は。三神優理香といいます。よろしくお願いします。」と言われて俺達は握手をするのである。俺に話しかけてきた少女が三神と名乗った事で、俺が気になっていた疑問を尋ねると。

俺はこの世界で死ぬはずでしたが。この世界で俺が死んだ場合どうなるのかと思いまして、この世界の神様に聞いたところ、この世界にいる全ての生物が滅びるかもしれないのですって! そこで私は。私の愛する人と。一緒にこの世界を見て回りたいと思ったのよ!!!!!だから貴方についていくことにしましたの。いいかしら?と言われたのである。それから彼女に俺はこれからどこに行く予定かを聞かれると。リリアナ様に会いに行くと言う話をしたら彼女も同行することになったのであった。そして俺達の乗った乗り物は空に浮かび上がっていったのである。

俺達を乗せた乗り物は空へと舞い上がると、そのまま飛び続け、【エルフ王国】に向かっていた。それからしばらくすると地上の方に建物が見えると着陸するのである。そして俺達は、その建物の中に入り、リリィ達が待っていると思われる。四将軍の居城に向かうのだった。リリィ達が待つ居城に到着すると、ラリィ達も一緒にいてラヴィもいた。

俺はまず。ラヴィの母親であり。龍王でもあるラヴィアの所に行き、この国を任せたい事とリリィの眷属にする事を伝えたのである。ラヴィアは喜んで承諾をしてくれて。

ラヴィアもラヴィの友達になりたいと話して二人と仲良くなった。そして、リリィ達にこの国で住む許可を与える事にしたのだ。そしてリリィ達三人はラヴィアの妹になってもらうことにしたのである。ラヴィがリリィに「ママは優しい人なの。私達と遊んでくれるんだよ!」と言うと。

リリィにラリヴィが近づいて行って、頭を撫でられて。リリィは気持ち良さそうにしており、ラリィに抱きついていくのをラリティとラリヴィーが羨ましそうに見ていたのであった。

俺とリリィはラヴィーに案内されて、リヴァイアの住処に来ている。俺はこの世界が気に入っているから、ずっとこの世界に住みたいと考えていて。この世界にも家を買って。皆で暮らすつもりでいることを話したら、リリィは自分もそうしたいと話をしていたので。

リリィはこの国の守護を任せたいとリヴァイアに話すと。俺に頼まないのかと質問をしてきたので、俺は俺の妻達と娘達がいればこの世界のことは全て解決できると思っている事を、伝えるとリリィも嬉しそうにしていたが。ラヴィーが「パパが言う通りだよ。それに。リリィ姉様なら問題ないよ。」と言ってくれたのだ。

俺はこの世界では、【覇王の証】があるし【竜神の知恵の書】があるので無敵に近いから。心配することはないと、思っていたのだが。この世界で俺達が暮らすためにも。リリィ達にはある程度この世界のことを知っといてもらいたかったのだ。

リリィはラヴィーに色々と教えてもらって、喜んでいたのだが。俺とリヴァイアが融合すれば。いつでもこの世界に遊びに行くことができる事を知ると、とても残念そうにしていたのだった。そしてラヴィーとラミちゃんにリヴィアが加われば、いつでも来られるんだから大丈夫だろう?と俺が言ってリリが慰めていたが。この世界のことが気に入ったみたいだなと俺が思うと。俺の考えを見透かしたかのように、ラリィは「ここはとても綺麗で平和な場所だからね。それに。ここにはラヴィーやラミちゃんがいるし。この世界を守っていこうと思ってるからね。」とラリィは言っていたのだ。

俺はリリィの希望を叶えるべく。ラビィにお願いして、この世界の地図を出してもらったのである。俺は、この世界にきてからは、あまり時間が経ってないから。

今の状況を把握しておきたかったからだ。

そして、ラビーの出してくれた地図によると、この大陸には、三つの大きな陸地があって。この二つの大陸にはそれぞれ。俺が住んでいた【日本】の国のような国があり。俺が今向かっている国は、俺達が住んでいる国から見て右下のほうにあり、そして、この二つの島国の間には海が存在しているのだった。そして俺達が向かっている【エルフ】の住む国がこの世界の中心にあって、そこから北の方向に【ドワーフ】の治める街や、南の【魔族】の国など。

様々な種族が住む町が存在していているのだった。この世界には大きくわけて四つの大きな国が存在するようで、俺達が向かっているのは、俺が住んでいた世界で言うと【アメリカ合衆国】に相当する、巨大な国家が存在するそうだ。その国にはもちろん、この世界を支配していると言われている。

魔王と呼ばれる存在がおり。この世界に存在する魔族や、人間と友好的ではない。魔物を支配することができるらしいのだ。俺は【吸血鬼(真祖)】の力を得て。

俺の中に流れる血液が変化したのだと思っていたのだが、この世界の常識的には【血を吸う】ことで、【スキル】を獲得できるのだとリリィは言うのだった。俺にはよくわからなかったが、俺の【吸血鬼 真祖】としての力を試したいからと言うので、俺は、リヴァイアの所に向かい、力を解放してもらうことにするのだった。

俺は、リヴァイアから力を解放する為の手順を聞いて。【魔晶石】という宝石を取り込んでから、俺の体内にある【魔素】と【霊素】を混ぜ合わせるようにして。【スキル結晶体】を生み出すのだというが。俺は、それが出来るようになるまで練習が必要だと聞いて。俺はこの世界で生きて行くのに必要な能力だし。俺は必死に訓練することを決意するのであった。

リヴァイアから力を受け取る儀式を行い。【スキルクリスタル ユニーク】を生成することができた。俺は早速使ってみようと思いリリィの方を見ると。既にリリィも【真祖 ヴァンパイア ロード】になっているし、俺は。リリィに俺のステータスを見せてほしいと言うと。「もう見せなくてもわかるのでは無いのですか?」と言われたので、俺はリリィの持っている鑑定の指輪の効果を教えて欲しいと言ったら。リリィは、俺に渡していた鑑定の指輪を、外して返してほしいと言うので俺はリリから渡された指輪を渡すのであった。

俺は自分の左手の中指からリリィがくれた婚約の誓いを込めた、この指輪を外すと少し悲しい感じになったが。この世界で生きていくことに決めてから、俺にとってこの世界が第二の故郷みたいなものだと感じており。俺は改めて、リリィと永遠の愛を誓ったのだ。そしてリリィも俺の薬指から、結婚の誓いを込めて、贈ってくれたこの婚約の絆を深めるためのお守りとして、お互い交換している。このお揃いのペアリングの指輪を外すと寂しさを感じたのだ。

俺はそんな事を考えながら。リリィの鑑定を待っていると。俺とリリィの二人が【真祖 ヴァンパイア ロード】になったことを確認できていた。俺はリリィにリヴァイアから受け取った指輪をはめてもらい、この世界のことを聞くのであった。俺は、この世界に来たばかりの時に、一番聞きたかったことをリリィに尋ねてみると。「パパ。私が知っている限りのことは教えるから。なんでも聞いてね。まずはこの世界ですが。【日本】の世界のように、地球と呼ばれているのではありません。

私達はこの世界を。【アストラル】と呼ぶのです。【日本】の人達からは、神に守られた楽園。神の御業が成される場所と言われています。」と言う話を聞かされて俺は驚きを隠せないのである。俺の予想していた通りこの世界には、神様が存在していたからである。

そして俺は、自分の知識の中にある情報を伝えようとしたのだけれど、この世界は地球の文明と全く違い。電気がない。そしてこの世界では。魔術が発展し。科学はあまり発展していないのである。なので俺は、この世界が【地球】と同じかどうかはわからないのである。俺達は、【魔法】がある。俺の使うこの【神聖術】や、リリィが使った【聖属性】や、リリが使っていた【水魔法】は、この世界の一般的な物らしく。

魔力さえあれば、誰でも使えるらしいのだ。

この世界では、この世界は魔力で成り立っていると言っても過言ではなく。全ての物に、魔力が宿っているために。魔力を使えば、大抵の事は出来るのだと言う。そして、この世界には魔力が充満しているために、空気中にも魔力が存在するので。【神聖術】も魔力を使うと聞いていたが。この世界では魔力を使いやすいのだと言っていた。【魔法】は。基本、イメージだけで、簡単に使う事ができるので。呪文や魔法名を言う必要がないそうだ。ただこの世界にも魔人は存在しているし。魔物も存在する。

この世界に魔人がいる理由は簡単だ。俺がこの世界にきて間もない頃に戦ったあの黒龍は、この世界の支配者的な存在であり。魔人の王と呼ばれる存在である、この世界で最強の力を持つと言われる。魔人族の王である魔王に召喚された者なのだと教えてもらったのである。そして魔人も魔人以外の人族や獣人と同じような進化をして。今では人間の姿になることもできるが。魔人以外の人族や他の獣人を毛嫌いしていて。他の種族とは、共存できないと思っているらしいのである。

この世界は魔力によって構成されているからなのか、魔物と魔物を餌とする動物がいて。魔物は【魔獣】と呼ばれていて。獣は【亜獣】と呼ばれていた。魔獣と、魔獣は違う生物とされているのだそうで、魔物と、普通の獣との区別が、見た目ですぐにわかるようになっているそうで。【獣の証】を持っているかどうか見ればいいそうだが。

その証拠に、俺達が今向かっている国の門を守る兵士が持っていた武器が【剣】では無くて、見たことも無い形状をしていたのだ。俺がそのことをリリィに聞くと。「パパの【アイテムボックス】に。この国の地図があるはずです。」と言ってくれたので俺は【アイテムボックス】を確認すると、確かに地図がある。俺はそれをリリィに見せてもらうことにしたのだ。

すると俺が地図を見始めると、リリが「パパは地図を見てどうしたんですか?」と言うので。俺が地図があるから見せてくれと言うと。リリは不思議そうな顔をしていたが。俺に地図を渡してくれた。

俺が地図を見た後にリリィに地図の説明を求めると。俺に説明をしてくれると言う。

「地図に書いてあるように、私達の国の名前は。ここにある国の名前なんですよ。パパが以前住んでいた国の名前が。地図にある【東京】という街ですよね。そして、ここは、魔王国の領土内にある、エルフの里なのですね。だからこの国は、魔王国の領土内にありますけど、魔族は支配していないのです。この魔水晶で魔水晶の中の人物と話している魔族なら知っていますよ。」と。リリは自分の胸から、俺にプレゼントしてくれた【精霊石】のペンダントを取り出した。

俺はそれを見て驚く。

俺は、ラヴィーの事をラビィに頼んで、この世界に呼ぶと。この世界にいるリリや。ラビィの眷属達を連れて来るようにお願いしたのである。

俺はその前に、ラヴィーから預かった、四護将軍リヴィの妹。【魔晶将 ヴァンパイア ジェネラル】になった【ラビー】の事を思い出して、この世界に来るように指示を出すのであった。

そして、俺と融合した時に、俺の力を得た状態で、【竜王団】に入るのを断ったのは何故だったのかを尋ねると、ラヴィアも融合するのを断っていた。リリにその理由を尋ねたところ。この【魔結晶】をくれた。

俺と融合するのは。自分よりも強い存在でなければ、俺の中に存在する力を吸収しきれずに、俺の身体が崩壊してしまうから、と言うのだ。リリアがリリィに理由を聞いたところ。この世界の魔族には、俺の世界の人間が【勇者】と呼んでいる【職業】がなくて、魔人はそのかわりに【魔神】の加護を持つ者が生まれやすく、魔族が人間を憎む気持ちが、その人間に【スキル】として、現れるので、【スキル】の種類が、多種多彩で、強力な【スキル】が多いのだが、逆に、魔人に好戦的な【魔素】が集まりやすく、戦いが好きで魔人として覚醒する者が多いために、【魔王】の素質を持った者を魔人で、その者達の殆どが、自分が世界の支配者になりたいと考えているので争いが多くなって、戦争が起きるのだと言うのであった。

ただこの【四魔将】と呼ばれる魔人が、それぞれの領地に、住む場所を与えてもらって、そこに引きこもり、この世界のバランスをとっているのだが。俺のような異世界の【スキル結晶体】が、こちらの世界で手に入れば。力を得ようとして侵略する可能性があるため、【魔界】から出られないのだそうだ。

俺がリリとリヴァとリリィの融合で。この世界の力を手に入れた事を話すと、ラヴィアとリリィは納得してくれていた。リリィの話を聞いた後で俺は。

リリィが持っている、リヴァイアからもらったという、この世界の【神界書】を見せて貰い。俺と融合したリリィも一緒に見ると。【聖女】と言う名前の【神聖職 レベル1 ユニーク 回復特化】というユニーククラスを持っていたのであった。リリィの話では、【神聖職 レベル】を上げると、ユニーククラスの上位版のエクストラ級が手に入るらしい。そしてユニーク級のユニークスキルも習得することが出来るとリリィが話していたのだ。そして俺は。リリィと一緒に【聖女の法衣】と【聖杖 ホーリースタッフ マジックアイテム】を創り出す事にしたのであった。この【聖者の装備 一式】はリリィ専用に創り出し。俺は、この【聖女 ローブ 一式】と、【聖女の羽衣】の二つを、自分の物にすることを決めて、創造の宝珠に吸収させたのである。この二つのアイテムがあれば、【魔導士】系のユニーク級である魔法攻撃のエキスパートである、【聖魔導師】や、物理戦闘タイプの上級魔法戦士になれるはずだ。

それから【神聖魔法】や、【神聖剣】などの、【神聖魔法】の上位版を扱えるようになるのだ。俺は、俺に【神聖魔法】を教えて欲しいと、頼み込んで来た。二人の娘になる、リヴィの願いを聞き入れることにしたのである。二人は【魔結晶化】している状態だが、俺の力で元に戻すことはできる。二人共。この世界にきてからの時間が短すぎたのだ。

それにこの世界の【魔力回路強化システム】と、【経験値取得率増加システム】が、まだ作動していないのだ。俺は二人に。この世界は【魔力】と【魔力神経】が存在するのに、二人が融合した時に、その能力を得られていないから【神聖魔法】の【魔結晶】になっているのではないかと話すと。俺の考え通りだった。俺の予想では、魔人と魔獣と、魔物は、俺達とは、全く別の生物だと考えていたのだ。

リヴィも、俺と融合した事で、魔力量や魔力の回復速度や上昇率が上がっているのだと言うのだ。俺も【魔王の証】の能力である、俺と融合している限り。俺が死ぬことで【魔王の魂】は砕け散るが。俺の力が発動する事がない為、俺に害を及ぼせないし、俺は無敵なので俺に勝つことも出来ないとリヴィに説明すると、二人は喜んでいて。早速俺の眷属になって、俺の【アイテムボックス】にしまう事ができるのだと嬉しそうに言ってきたので、俺は【神聖魔術 魔法術】のレベルを上げて【魔導師】や、俺の作った武器の特殊効果で俺の力を使えるようになって欲しいと伝える。そして俺の力と融合してリリィの神聖魔法が更に進化すると、俺の想像以上のことが出来るとリリにも説明したのであった。

リヴィの事もリリィから聞いていたようだ。俺は、【四護将軍】の一人の四魔将が、魔王国にいて。四護将軍を束ねている魔将は。この国の王族と、魔人族達によって殺されていて。生き残った魔人も全員封印されているのだと。その封印の鍵が。リリがリヴァイアから預かった【聖女 の法具】であり。俺と融合したことによって、その鍵が外れたから、封印はもう解除されていて。いつでも外に出られるようになっているとリリは言うので。俺とリヴィと、リリが融合するだけでこの世界のバランスが崩れる可能性が大きいと話すと。俺の力の影響が少ない場所まで俺達を運ぶのが大変だと思うが。リリィが俺との融合を解除したらリリを連れて【時空転移】を使うように言っておく。そして俺が、俺がこの世界にくる前の時間に戻すから、俺とリリの事は気にしないで行動してほしいとリリとリヴィに伝えると、リリィとリヴィにはわかったと、了解してくれると、俺は二人の首飾りにしていた。

リリィとリヴィの首飾りと腕輪を外すようにお願いすると。リリィが「どうして外さないといけないのですか?」と言ってきたから。俺は、この国の人間達と魔人の争いが激しくなるから、この国から、離れて安全な場所に避難して、そこで暮らすべきだと説明して。

「私もそう思っています。だからこの国の人間達の命を救いたいのです。この国には。私の兄上様が守ってくれた大切な人達がいますから。」と言うとリリィ達は、俺の話を聞いて涙を流しながら納得してくれて。リリィ達が俺の眷属になれば、他の者達を救える可能性が格段に上がるから俺に【魔晶】を貸してほしいと言うので俺は了承するのであった。

ラヴィアの事を俺に頼むリリに。この世界で生きていくために。この【魔結晶化】状態のラヴィアが人間達に危害を加えないために、俺の眷属になるように説得して欲しいと言うとリリは。わかりました。と返事をした。そしてラヴィーもラヴィーと融合するのを拒否していたことや。この世界にきてから、俺の事ばかり優先していたことを話し始めるとリリもリヴィもその事をわかっていて、この世界に来てからは。俺とリリィが楽しめるように色々としてくれたことを、思い出しながら感謝をしていたのだ。

それから、ラヴィアが魔人としての覚醒して【魔結晶】化した理由をリリィに話すと。魔人族は、【魔神 マジン】の加護を受ける一族で。【魔神 マジン】の力は、この世界の全ての理を変えてしまうほど強大な力を持っているので。魔人族の王達は、この力を利用して世界のバランスを保つこと。また自分達が世界の支配者になることを望んでいたのだが。【四魔将】のリヴィの妹で、リリィが持っている【聖杖 ホーリースタッフ マジックアイテム】の元になった【神聖剣 セイクリッドソード スキル レベル5 ユニーク 攻撃スキル】を持っていた魔人族で【神聖剣士 ハイロードナイト】という【ユニークスキル】を持つ者が【勇者】として覚醒したので。【勇者】と魔王軍の精鋭達による、【魔大陸】への進軍が開始され。【魔帝国】の領土に攻め込んだが。魔帝軍との戦いに敗れ。魔王国は滅び。魔帝軍と魔人の残党は、逃げ延びることが出来たのであった。その生き残りは、この世界にいる魔人に助けを求めに【魔の森】に逃げ込み。そこに魔人が暮らしている場所があると噂を聞いた。その情報を耳にした【四魔将 魔将軍】のリヴァイアは。自分の配下だった魔人を呼び寄せ、その場所で、【魔帝国】の残党を匿ってもらっていたので助けてもらったお礼も兼ね。魔人は【聖女 の法衣】を使いこなせるリリィを連れて【神人族 エンシェントヒューマン】を探しに行ったが、途中で力尽きてしまい、リリィが気を失って倒れてしまったのである。その後【魔結晶化】していた。俺が、俺の【眷属】にするようにと指示した、リリィの姉に当たる魔人と。

【神聖魔術師 プリーストマジシャン】の魔人の少女は。リヴァイアの部下であり、俺が眷属にした二人だったので、俺の【眷属 ペットネーム 眷属 名前登録済み】に登録していたのだ。リリィにリリィにリヴィの融合しているリリィ達と融合させて、【聖杖 ホーリースタッフ マジックアイテム】を創り出し、リリィに渡し、俺は、この国の人間の国で暴れている魔人達を討伐するために動き出す事を伝えると。リヴィとリリィに、これから起こるであろう混乱を最小限に留めるように、俺に力をかしてほしいと頭を下げてきたので俺は了承すると。

俺は、ラミアやスキュラのリリと融合していたリリィの配下である魔人も【テイム】をして俺の従僕に加えることと、この国に魔人や魔物達が攻め込む前に【魔人族】を俺の眷属にして、この世界の秩序を守るように動くことにしていると伝えたのであった。

俺と融合することで【魔王の魂】の恩恵を受けることと。魔人特有の、【魔素】が取り込まれれば、魔人としての力を使えるようになると説明すると、二人共嬉しそうな顔をしていて。早く俺と融合したいと言って来たのであった。

そしてリヴァイアの眷属であったリリィは俺に【聖騎士 パラディン】に進化する為の方法を教えてくれると、【魔結晶】状態になってしまった。俺との融合は、【魔晶化】の融合なので俺の力が使えるようになったのだと言う。リリィと融合しているリヴィも。同様に力が使えたので、俺の力の影響を、ほとんど受けることはないので自由に動けると思うと説明したのだ。二人は俺に感謝をすると、【聖剣】も使えるようになるのでリリ達とも戦うことができるようになりますと俺に伝えてきて。

それから、俺が【聖騎士 マスターナイト】で手に入れたスキルも使用可能になると説明してくれたのだ。それからリリィ達には、これから俺がすることを黙って見ている様に頼んだ。リリィ達は俺のお願いを聞く代わりに。【魔王の力】を解放してもらってもいいのか聞いてきたので俺は構わないと答えると。

【魔結晶】状態だったリリィ達は俺との融合を解除して。俺との融合時に得た俺の魔力の影響で魔人となった。【四護将軍】である四魔将だった魔物達に。俺は戦いを挑み、魔結晶状態にして、魔獣化して【神聖魔法】で浄化して魔獣達を俺の眷属にすることにした。魔核を取り出し、俺の【神聖魔術】と俺の【魔水晶の瞳】の力で魔獣化させたのだ。

俺がこの国に戻ってくるまでに【魔の森】から出ないように、リリィにリリィと融合した配下の者達に説明をしてもらう事にすると。リリとリヴィが俺を案内すると言い出したので。俺の【眷属 名前登録】をしてから。リリィと、リリィ達と眷属達と一緒に行動することに決めて、【四護将軍】と戦うために、【神聖魔術 聖術】を発動する準備に入るのであった。俺はこの国の王族達が使っている城の最上階にいる部屋に向かうことにしたのであった。

俺は、俺がこの世界に召喚された時の城に来て。そして俺がこの国の人間達のステータスを見て、【勇者】の称号がない事を確認していたのだ。俺がこの世界にきた時。【魔王の魂】を吸収したおかげで、この世界にきてからは俺は、全ての人間よりもレベルが上がり強くなっていたのだが、この世界の人間も強い者もいたが俺の方がレベルが高い者もいて、この世界の人間の強さの基準がわからなかった。

だから、王族達が集まる場所に行けば。この世界の人間達の平均的な強さがわかると思ったので。俺は城の中に入り。謁見の間に急いだ。そこには既に。四魔将のうち三将が集まっていたので、まずはラヴィーと融合して。四人の四魔将達を倒して。【四護将軍】に進化した四魔将に戦いを挑んで倒すと。俺は、【四護将軍】の四魔将達に、ラヴィーと融合したリリを、この国の人間達に被害を与えずに倒せるように指示を出したのであった。四人の四魔将に俺と融合したリリィは、俺の力を使うことができるようになるので、【聖杖 ホーリースタッフ マジックアイテム】を使って戦うように指示を出すと。

ラヴィとリリの融合体のラヴィアは俺の眷属になると同時に。この国の住民を守るために戦いに加わらずこの場に留まり俺の命令に従うことにした。そして他の眷属になった四人は。リリとリヴィとリヴィー融合体のラヴィアは。リリィとリリィと融合している配下達に合流して俺の指示通り動くこと。リリィが持っている【聖杖 ホーリースタッフ マジックアイテム】に俺から受け継いだ魔力を使うと。【四魔将 ラヴィア】として俺の眷属に加われたので【四護将軍】と融合して、力も使いこなせるようになることを説明すると。

四人の四魔将は、リリの【支配の眼】の能力によって、リリイと同じ様に【魔晶化】状態になった。その状態で、リヴァイアは魔将の証である【魔晶石 クリスタル】をリリの【支配の眼】の力でリリスの手に入れてもらうことで魔人になり。残りの二人の【神聖戦士 セイクリッドソルジャー】のリヴァイアの部下で、【神聖魔術師 マジシャンウィッチ】だった二人は、リリィとリリィと融合したリヴィの仲間になったのだ。

リヴィはリリィに自分の持っていた【魔結晶化】させる能力が有ると説明すると。俺の従僕に融合させて【魔人】にできると説明してから、自分の持っている【聖杖 ホーリースタッフ マジックアイテム】を渡し、自分の眷属を、俺に融合するように頼み込んできたのだ。

それから俺はリヴィ達と、リリィに渡していた、リヴィの【聖杖 ホーリースタッフマジックアイテム】を受け取り融合を行った。リリィとリヴィの融合体はリリアと名前を付けたが、俺との融合時に、俺の持っている。全ての【スキル】を習得することができる【全スキル取得者】というスキルが俺に追加されたらしい。

それから俺はこの国の王に会うため。四人の【魔王四天王 四魔将 魔王軍幹部 魔王の配下】である五人の魔物と戦い。全員を魔人にした。

その後。この城の王座の間まで向かうとそこにいるのは。国王である、俺の事を【魔王様】と呼んで崇めている。俺の従姉でもある【神聖姫巫女】であり【聖女 エンシェントヒーラー】でもあり。【大神官 プリーストビショップ】の称号を持つ俺の姉ちゃんの【神聖 神人 神人族 エンシェントヒューマン 神人族の皇女 女神 女神】のユミナであった。

俺はこの国がどういった物なのか知りたかったのと。この世界の人間達の強さの基準やレベルを、【魔王の魂】を取り込んだ事で手に入れた力で確認したかったので、この国を守護している。【四魔将 将軍 魔将軍 四護軍将軍 四護将大将軍 四護大将 四魔将軍の中の魔将軍である。【神聖騎士 パラディン】のユリナの所にきたのだ。俺の予想ではこの国の人間の強さはこの世界の中では、強い部類に入るが俺や従姉の姉である、この国の女王である。俺の従姉妹のユキナよりかは弱いはずだと思っていた。だが俺の予想に反して、この国は、俺がいた地球の日本よりも圧倒的に技術が発達していて強い。それにこの世界の人間にしては、この国の人間達が、異常なほどレベルが高い事に気が付き。【魔水晶の瞳】の【魔水晶】を解析し鑑定をすると、この国の王族だけが特別なだけで、国民は全てレベル40〜45くらいのレベルがあり。普通の人間はレベル30前後で、職業も農民と職人以外はレベル20前後の職業しかなかった。ちなみに【神聖騎士団】に所属する騎士と兵士はレベル35前後であったのだ。この事実を知った俺の頭の中にあった。地球にいた頃の知識はもう使えなくなり。この世界を生きていくにはこの世界の常識と、今までの知識を融合していかなければならなくなったのだった。

俺は【聖魔 魔結晶】に封印されている。リヴァイアが作り出したこの魔結晶に入っているリヴィ達【聖騎士】は、俺と融合することで俺の力を借りることで戦えるようになり、リリ達は俺と融合することで。俺の全てのスキルを使う事ができるようになるのだと伝えた。俺の話を聞き。そして俺の言葉を信用してくれたユミナはリリィが差し出した魔結晶に手を伸ばすので俺はそれをそのまま渡すと、リリィが【魔晶石】を【魔剣】の剣先にくっつけるとリリィの持つ魔剣に魔力が集まりだしたのだ。それから【神聖 神聖戦士 神聖魔術 神聖魔術師 魔術 魔術剣士 神聖魔法】を使いながら。魔結晶の中に居る四人のリリ達は。この国の人達を守るため。そして俺の命令を遂行するために動き出したのであった。リヴィの持っている、リヴァイアの【魔晶石】の中にはリリィがいるのだから当然の事なのだが。

リリィが【神聖 神聖魔術 神聖魔術】を使う際に使う。【魔晶石】を。【神聖 神聖魔杖 アーティファクトマジックロッド】の先についている。俺の持っている全ての魔術の力を使うことができる。

魔道具【魔晶石】の先端に魔核を融合させると、リリィが持つ。魔晶石が魔剣と一体化するとリリィは魔導戦士になり、魔術戦士にもなれるようだ。リヴィの場合は、四護将に進化している四人の四魔将は、【魔剣】にリリィが持っている。魔水晶とリリィから渡された。魔結晶を融合させた。【聖剣】が融合した【魔杖】の武器の柄頭から【聖杖 ホーリースタッフ マジックアイテム】を取り出し。そしてリリと融合した。ラヴィアは【魔杖 マジックアイテム】を手に持った。リリィと同じように魔杖から光が伸びていき【魔杖 ホーリースタッフ マジックアイテム】の武器の柄頭に融合したのだ。ラヴィアの【魔杖 ホーリースタッフ マジックアイテム】の先からは光の糸のような物が延びていてリリの魔杖の先端に伸びている。

リリィとリヴィアの二人から進化したリヴィ達。【神聖魔剣士 ロードナイト】と【魔闘魔術師 ウィザードウォーロック】になった二人は。俺が【神聖】のスキルを使うときに【大魔杖 ホーリーメイス】を使って神聖魔術を発動する時。神聖魔術と神聖魔術を組み合わせた、神聖魔法を使って発動する事で。俺が使える神聖スキルと同じ神聖術を扱う事が出来るようになっている。そしてリリィは神聖騎士なので神聖騎士と神聖魔剣士の両方に転職が可能になり、ラヴィアは魔闘魔術師になっている。ラヴィアの持っている杖は【魔剣 マジックソード】ではなく【聖魔剣 ホーリーウェポン】に変化していたのだ。【魔杖 マジックアイテム】は俺が【魔杖】と魔水晶と融合した魔結晶の魔結晶を、魔核を融合させているのだ。俺が持っている魔杖を、ラヴィアに融合した時に。ラヴィアの【魔杖 マジックアイテム】の杖の先が魔剣になっていたが、今は元の姿に戻っているので魔剣になる事はないのである。

【魔杖 マジックウェポン】は俺が、魔杖に使っている素材。魔鋼で作った魔結晶に俺の持っている全ての【魔剣】のスキルを付与して。【神聖 魔弓 神聖武具 アーティファクトボウ マジックアーチャー】と言う。

俺が【神人化】し。

俺が持っている全てのスキルを使うことができる。

神族の力が宿る。

【神装 ゴッドアイドアーマー 神装武具】という魔弓を使う事で、この世界の人間でも、俺と同等の力を持つことができるようになるのだ。【魔銃士 ガンマスター ガンシューター マジシャン】や【神聖戦士 パラディン 神聖武術 神聖槍士】や【大神官 プリーストビショップ】のジョブを持った者であれば俺と同じくらいの強さを手に入れることができてしまうだろう。ただし俺のように、全ての種族の力を、その者の適正に合わせて統合できるわけではなく。あくまでこの世界にいる。その人間の限界まで強化するだけであるのだが。ただこの世界に俺と同じかそれ以上の能力を持つ者がいればその者には勝てるのである。この世界で最強と言われる、俺の従姉である姉ちゃんが持っている【聖杖 ホーリースタッフ マジックアイテム】は。俺が持っている。この国では最強の杖のはずである。その姉ちゃんでさえ俺には勝つ事は出来ないのである。この国の王女であり【勇者 ブレイブソウルオブジャスティス】の称号を持つ姉ちゃんと俺の持っている【聖魔 魔杖 マジックスタッフ 神杖】。姉ちゃんの持つ。この国の宝である【聖魔 神聖魔斧神槌 アーティファクトウェポンゴッドハルバード 神魔具 】の力は互角だと思うがそれでも俺が勝ったことは一度もないくらいなのだ。そして、そんなこの世界の中では、この国がこの世界で一番強いというわけではないことは。【魔王軍幹部】が、この世界の魔物を支配をしている事が、そもそもおかしかったのだ、魔物を支配するためにはこの世界を魔物達が生きていくのが難しい環境にする方が効率が良く、魔物を絶滅させるよりも。遥かに簡単だからである。そう考えた時に、俺の中にあった疑問。

それは、何故この国の王族だけが、俺や、俺の従姉でもある、俺の従姉のユミが持っている。特別な武器を持っていたのか、それともこの国の王家だけが持っていた。もしくはこの国を作った神の一族だけが持つことのできる。特別な武器や装備なのか。そう考えれば納得は出来るが。この国がこの世界でも屈指の大国と言われている理由に説明がつかないのである。まぁ、今考えてもしょうがない。

「とりあえずこの国の状況を確認しようか。」

それから俺はユミナを連れて城の地下に向かうと。そこは地下シェルターになっており。俺とリヴィ達の五人とリリが、ユミナがこの国の現状を説明する前に。ユミナにはこの国で生活して、何か異変を感じたらすぐに連絡をするように指示をだし、リリィ達と、俺の従姉で俺の従姉のユミナと一緒に、俺は転移したのだ。

俺はこの国の周辺を調べた後にこの世界の人間に戦いを挑んだのだ。

それからこの国の周りの国々と戦争をしたのだ。そしてこの国の国王の、ユリナが言っていた言葉を思い出したのである。この国の周辺にある国は、この国に服従することを約束した、他の国は滅ぼす。だがそれ以外の国は滅ぼさずこの国は他国からの干渉は許さない事をこの国の周辺の国に、告げ。俺は自分の力を見せる為に。この国の人間を実験対象として使い、そして実験の為に作った魔獣と、魔蟲達を使って攻め込み。そして俺は魔導王になったことで得た【真魔道兵器】を。魔導王の固有能力を使い作り出した。魔導兵を作り、そして【魔導機 マシン】と呼ばれる機械のゴーレムと【魔機 マジックドール】を作り出し。俺は【魔晶石】の魔力を使って作り出した【魔剣】と、リリィとリヴィとリリアに、四護将と四護将が連れている配下の将軍と四護将の部下の配下達から吸収した、四護将と四護将と四将軍の魔力を使った四体の魔竜。そして【魔杖 マジックアイテム】に俺の持っている全てのスキルを付与することで作り出せる【神聖杖 アーティファクト マジカルスタッフ】。この四つの力で、魔帝以上の存在の力を手に入れ。この国の周囲の、俺が征服しようと思っていた。魔族達の領地を攻め、俺の支配下に置いた後、俺は俺が手に入れた力の実験を兼ねて、魔族達と魔蟲達に、人間の国に攻め込ませ。そして俺が作った魔族の軍団を使い、人間側の領地に攻め込んでもらった。魔族は人間と共存する道を選ばなかったようだが、俺は別に魔族とは戦うつもりは無いので、俺の眷属になってもらうか、俺の配下になれば命は助けると伝えるが、魔族はそれを拒否した。魔人達が俺と戦う気満々なので、魔人に変身をして【神眼の神剣 エクスカリバー】を構え、【神装 ゴッドブレイドアーマー アーティファクトアーマー ソードナイト】に、変化をしてから戦いを開始した。俺はこの【神魔剣 ホーリーウェポン マジックブレード】のスキルを全て発動して、魔人になりたての弱い魔人の集団を蹂躙していくと。俺の姿を見て、自分達が勝てないことを悟ったようで、降伏してきた。俺の従姉妹である。俺のもう一人の従妹である。この世界の魔王である。ユーフェミアは、魔王の座から降りて。この国の女王になると宣言をしていたのだ。

「私は貴方様について行きます。どうか私をお側に置いて下さい。私は魔王を退位いたします。」

と、言って来たのだ。そこで俺は魔人を仲間にしても良いと伝えて、魔人のリヴァイアサンに、魔人のリヴィアとリリに融合融合した時に、【魔杖 マジックウェポン】からリヴィアに融合融合した時に。融合進化により進化したことで手にいれる事ができた。魔杖 マジックアイテムと融合進化させ【魔銃士 ガンマスター マジックシューター マジシャン】に、変化したリリィと。魔剣から【聖魔剣 ホーリーウェポン アーティファクトウェポンゴッドハルバード 神魔具 】と融合融合した時に進化した【神聖戦士 パラディン 神聖槍士】に融合したラヴィアの三人で話し合う事にする。俺が【精神世界】の中で話している間に。リヴィ達は魔人になってしまったリリィとラヴィアと話し合い。お互いを受け入れてくれるようなので俺は安心したのである。

そうして俺は。この国に住む者達のことも調べた。リヴィの配下である。三将や三護将、三闘将や六将は全員が魔人として生まれ変わった事を知ったのである。そして魔人になった事による。魔族の支配領域である、俺の世界では魔素と言われる物が薄い場所。この世界で魔境と呼ばれている場所でも普通に活動する事が可能になった事。俺の従姉で、俺の従姉のユミナの話では。人間に敵対する意思がある、俺の配下の魔人は全員魔人化が出来ると言う事で、俺の仲間の配下になっている魔人には魔人化してもらって、この国に住んでいる人間以外の人間に対して攻撃を行う命令を出しているのである。

そして魔人になっているこの国の人間以外の人間は。この国を守護する役割を持った騎士や兵士以外は全て魔人になっているそうだ。俺の魔導王国の兵士達は俺の眷属になるか俺に仕えるかを、選べるようになっていた。

この国の人間には魔人である俺の従姉と従姉の二人の魔王に忠誠を尽くすように命じたので俺に逆らう者は全て、俺の命令で動く。俺が許可しない限り俺の命令以外では死ねないし傷つける事もできないし殺せない。そして俺が死ねと言ったものは死ぬのだ。つまり俺はこの国の人間が死ぬまで。俺の言うことを聞く事になる。俺が従姉や魔王達の配下にした者達を眷属にしてもらっている。

俺に従属する人間達や魔物や、この世界の魔人が俺を裏切る可能性は完全に排除できたので俺としては嬉しいのだが。

問題は魔獣と、蟲である。

蟲達に関しては。従姉であるユミナや、従姉であるユミとユミの部下である四護将の二人が蟲達の様子を見に行き。そして蟲達が暴れまわっていた場所に、魔獣達が大量に現れていたのである。魔獣と蟲達が、この国に向かって来ている事が分かった。そして魔人となった、魔人やこの国の人間に害を与えようとしている人間を始末するように俺に忠誠を誓った魔王二人にも、蟲と魔獣を狩って欲しいという願いが伝わって来たのだ。俺は従姉であり俺が魔王にしている従姉であり、ユミナと、従姉の従姉でもある、俺にとって従姉にあたる。この国の王女ユミナ姫とその護衛である。俺の妻の一人である。この国で一番強いとされるユミ姉ちゃんと従姉のユミ姉ちゃんにお願いをした。

俺が従姉の従姉の、ユミに頼む前に、ユマさんとリヴィと、リリアも一緒に蟲と魔獣達を狩りに行こうとするので俺は引き留めた。俺に忠実なこの国の魔物や、魔人でも特に強い魔物や、魔人とは比べ物にならない程の力を秘めている魔物が、この国の近くの魔境に大量に存在することがわかったので。この国を守る為にこの国の人達を鍛える必要があるので。俺はこの国の国王のユリナに相談すると。ユリナはユミが言ったように。

魔人の俺と、魔導師のユイに、俺の側近のユカにユズ。そしてユユコに。俺の眷属の魔王の従姉の従姉の娘である、この国の姫であるリリィと、リリの双子の妹リリィとリリィの妹の、俺とリリの娘のリリアと、その子供達に、この国の兵士の中でも最強の、リリィ達と同じく最強と言われた。三英雄と謳われる三人の騎士、ユリナとサヤナとマナとカナが同行することになったのであった。俺の従姉妹で。この世界の勇者だった。俺が【神魔器】に、俺とリヴィ達との繋がりを、神格を持つ者に感知される恐れのある俺の力を隠してくれる神宝【隠蔽の衣】を入れて装備させた、俺が魔改造した神剣 アーティファクトと融合した大剣【真聖剣 エクスブレイドソード 神真武具】を持って行くことになり俺は、従姉で魔王で、魔王の中の最高幹部である四天将軍の長女である。

四天将軍筆頭 【魔導剣士 ウィザードソードマスター】に進化して四将将軍に昇格した。【真祖吸血鬼 真血吸魔人ヴァンパイアロード 始祖吸血鬼真祖 ハイロードヴァンパイアロード】に進化した。

この国のお抱え冒険者の最高峰であるSランクの称号を与えられた女性で。見た目は16歳くらいにしか見えないが。実は500歳以上らしい。そして、魔族のリリィ達の母親であるリリアが同行する事になった。リリアにリリィと、ラヴィアの子供達を連れて行かせる事にする。それからリリア達4人も【真魔機人 マジックマシン ゴーレム】に変化させて連れて行くことにした。【魔装召喚 ゴードサモン】を使い。この国に元々いる。俺の直属部隊の魔機兵部隊の中から、リリアとリリの子達に付き従う、5体の機械人形を呼び出して。その子達の武器と。俺が作った、神界で手に入れた。俺が創り出した剣型のアーティファクトに、魔装召喚 エンチャントで変化をして。リリィ達が持って行く武器と防具にしてリリィ達に託したのである。この国にある。全てのアーティファクトや、神具や魔道具や、神器のレプリカや偽物は、俺の持っている。神魔具や神具に作り替えられ。この世界にはもう存在しない事を伝えた。

そして俺は従姉であり。元この国の第一王女であり。【聖剣 エクスカリバー マジックウェポン】から。進化進化を何度も繰り返し。

【魔杖 マジックアイテム】の、リヴィアとの融合進化により進化を繰り返して。この国の魔杖王になり魔杖王に進化したリヴィーは俺と一緒にこの国に来る事にしたのであった。

そしてリヴィアも。ラヴィに、魔人になった事で得た。【魔杖 アーティファクトウェポン ハルバート】に融合進化したことで。俺とラヴィアの娘のラミアで、俺の姪の。【魔杖ハルバード】と融合進化したラミアの。【神聖槍士 パラディン 神聖ハルバードマスター】に融合したラヴィアと。リヴィアと、ラヴィアの息子であるラヴィアの双子の妹のリリと、この国最強の魔槍士の、【聖槍士】に融合したラヴィは俺と一緒に来る事にする。リリの双子の妹リリィの双子の妹リリと。ラヴィの子供のラヴィとラヴィアの息子でリリィの兄弟のラヴィの子供達三人と、ラヴィア達三人は、従姉の従姉の従姉の娘である。この国のリリアの娘で。リリと、ラヴィアの従兄弟に当たる。この国で最強と言われる騎士で。俺が魔人化させ眷属とした三護将の二人、ユカの従姉であるサヤナの娘のサヨと、この国にいるこの世界で最強と言われる、四護将の二人である、リリィ達と同じように。この国の王族の守護者でもあり。そしてこの国最強の騎士団長のサタナキアの孫娘である、ユリと。この国の守護者で、魔導王の俺と、従姉でこの国最強と言われていて。この国で、この世界で最も多いとされている、闇魔法のスペシャリストであり、この国の最強魔術師である。魔導王のユイの弟子のこの国で二番目に魔術に精通した。魔術師ギルドの副ギルド長で。魔眼の持ち主である。ユマの娘である。ユユコと、ユミナの娘であるユマが同行することになったのである。俺はユリと、ユユと、ユマにはユマの作った魔道兵器に乗ってもらって。サタナキア達や。リリィ達の家族には、この国の魔物を狩ってもらいながら。リリア達がこの国に来たときに乗ってきて放置してあるこの国の馬車に乗ってこの国を出ることになった。

俺はこの国を、リヴィーの転移で出て。リヴィーの眷属にした、ユマの娘のユマとユミナの双子の娘で。この世界の人間ではない。魔族の少女達と。この世界の魔族の女の子の従姉妹の双子で。この国の、この国に住む人間以外で唯一、魔人と化していた。ユユの二人を。この国の人達を守る為に連れ出し。

魔境に行くために。ユイに、魔境に転移できる。【時空門 ゲート】を出して貰う。そしてユマと、ユミナの双子の娘であるユミナとユミナの双子の娘のユイは。この国の人達を、俺達がこの国を留守にしている間守る為に。ユミナとユミナの娘で。この国の守護者であるユリと共に。リリィとラティー、それに、俺と妻達の娘である、長女のラミを護衛としてこの国に置くことにした。俺はリシア達に、従姉の娘がこの国の姫である事を知らせていない。俺の妻の一人であり、俺の娘でもあるこの国の姫が、魔王の娘である事を隠す為である。リティアとアリアがこの国に残したこの国の子供達の護衛の為。それからこの国の子供達の教育を任せる事にしているこの国の騎士達と兵士達と、そしてユユやユミナ達の知り合いである。

ユマ達以外のこの国の人間の魔導師達に、俺達がいない間のリリアとリリの子供達と。俺がこの世界に呼び出したこの国の魔人になって魔人化した人間を守れるようにしてもらう為に。

俺はこの国の王女でこの世界の人間ではないので俺の従姉になる、従姉でこの国の王女のユリアに。この世界の人間ではなくこの世界の魔人になった、俺がこの世界に来て最初に眷属にした。魔人族にさせた魔人を俺の代わりに管理するように頼んだ。俺はその足で。魔境に向かうのであった。魔獣の群れにこの国の人達を鍛える時間はない。

だからこの国の魔物を殲滅し、そして魔獣は、ラヴィアにお願いして、魔獣達を吸収してもらった後に。俺の魔結晶の力で魔人化し魔人にした後は、ラヴィアに。

「私がこの子達を連れて行ってあげよう」

と言ってくれたのである。ラヴィアがそう言った理由はわかるが、この世界の魔人化させて仲間に引き入れた人達とこの国の者達の。レベル差を埋める為の修行をする為に。この世界の人間達を鍛えてあげるのだろう。魔獣がいなくなった魔境なら、魔獣を倒せば経験値が入るので強くなることができるからなのだ。

それと魔人が俺が倒した。他の魔族の国にいた魔人も全て吸収した。

この国は俺の直属の部下である。三護将に任せることにしたのだ。三護将とはこの国最強の三人組の事である。俺は三将に、この国の人の中で強い者を選別させた後で。この国最強で。この世界で最強の存在にして。魔王と勇者と俺の力を分け与えてある俺の愛娘である。リヴィーが。俺がいない間に。三護将に稽古をつけてやると言うと。リリィと、この国の三護将である。リリィの従兄弟にあたる、リリの父親でこの国の最強剣士のユガは。この国の魔獣の殲滅を手伝ってくれる事になったのである。この国の最強の冒険者パーティー 【蒼龍の爪痕】はリリィの従姉に当たるサヤが、この国にいる冒険者の最強と言われているSランクの、魔槍士リヴィアと、俺の直属部隊の精鋭である。リリとその子供達。この国最強の槍士ラヴィアの、双子の息子で双子の兄のリヴィに。この国の最強の槍術士の、双子の妹で、双子の姉のリリアと。この国で一番魔術に精通している。魔術師の双子の姉リリア。そしてこの国最強の魔法戦士である双子の妹で魔術師のリリアに。この国の守護者であり魔道王の称号を持つ俺とリヴィアが作り出したアーティファクト級のマジックウェポンである。この国最強の魔剣 マジックソード。

魔剣のレプリカと、神剣のレプリカの二つを持ち。魔剣のレプリカの使い手の双子の妹のリリアと、神剣のレプリカの使い手の双子の弟のリヴィアの二人の子供達と。俺の眷族で、従姉妹の、魔人化したことで、魔人になった時に手に入れた。【魔杖 アーティファクトウェポン】を使いこなす双子の妹のリリアと。

双子の弟で。魔人の王で【魔杖ハルバートマスター】に融合した、この国最強の槍士リヴィと一緒にこの国の魔素溜まりの浄化の作業を始めてもらうことになったのである。そしてこの国に元々住んでいた。リヴィーと同じでこの国の住人だった魔人である、この国の姫ユイには、俺の娘でもあるリリの子供達の、ユマとユミの護衛を頼む事にしたのである。

それから俺は、魔道具の収納鞄と空間転移を使える。ユマに。リヴィ達魔人を連れて行ってもらう。リリィとリリには。ラヴィに。ユイとリリには。ユマについて行ってもらえば。この国の人達を安全に連れて行けて。魔獣を狩れる場所を探せるようになると思うので。ユイとリリと、ユマはユマの師匠の。リリィの従兄弟である。この国の騎士と兵士の、ユユと。この国最強の魔導師の、ユミナの娘であるユミナを連れて行くことにして。俺の眷族の四人はこの国の人達の特訓と。魔獣の殲滅と。魔獣達の素材回収をしてもらうことにしたのである。そして俺の妻達には、俺に付いて来てもらい。俺達は、俺がこの世界に召喚し、眷属としたこの国の魔人になっている、リヴィーと、ユイの双子の娘のユマ、ユミナの姉妹を連れて。この国を出ることになる。

ユマはユリィと。この国の王族が代々受け継いできた、王家秘蔵の宝具。

ユマには、ユナとユマには、それぞれ俺の作った魔力を無限大にする指輪。

リヴァイアと、ラヴィーと融合したリヴィーを俺の従魔にして。ユイとユミナの双子の娘のリリアと、双子の息子であるリヴィと。

この国の魔人になって。この国を守護する為に、この国の王女として俺の眷族に迎え入れ。俺が従魔にして、この世界に送り込んで来た、俺の眷族の魔人でこの国を守護するためにこの国にやってきた魔人達と、この国にある全ての魔物が消滅した、魔境に向かって行く。

俺達の目的はこの国の魔人を一人も失わずに全員俺の仲間にすること。そのために、この国の魔物を全て殲滅することにしたのである。

俺の眷属で、この国の姫でこの世界の人間ではない。リリの妹でもあるユマと。リリの娘である。リリと、この国を治める国王リリアの姪で。この国最強で魔剣 アーティファクトの使い手のリヴィアの双子の兄リヴァイと。リリィと融合状態になっていて。俺とラヴィアに、この世界に来る前に融合しているリヴィアが、俺達をこの世界のこの国の人達をこの国から連れ出す為にこの国に残ったリヴィアがこの国の魔獣を倒してくれたおかげで。レベルの高い魔物があまりいなくなっていたのである。俺達はこの国の魔物達を殲滅し。リリとリヴィア。それに俺の娘達であるラヴィアの娘達リリイ、ライザ。それから、この国で生まれた子供達。それから俺の妻達。それから俺が異世界からこの世界の人間じゃないことを知っている者達をこの国にいる間。護衛をするように指示して。俺の子供達の従姉妹に当たる、三護将の一人サヤが率いる冒険者パーティーの【蒼龍の爪痕】の皆に後を任せる事にしたのであった。この国の人達には魔境でレベルを上げることと強くなってもらいたいからである。そして俺は、俺の家族である、この世界の住民でない妻達を俺と一緒に転移でこの世界に来た人達と一緒に、ラヴィアがいるラヴィの家まで連れて行くと。俺はユマとリリア、リヴィアと融合したラヴィアを自分の娘だと紹介する事にしたのであった。ユイ達には、俺が、この世界の人達を助けるために魔人にして。この国の魔人にしてしまった。この国の人達に。ユイ達に謝ると。この世界の人ではない俺達を。俺達がこの国の魔人になりこの国の守護者にすると、自分達の先祖が決めたことだから気にしないでくれと言われた。俺の謝罪を受け入れてもらえなかったのである。そして俺が、この国の魔人のユイに。

「私に謝ってもしょうがないから。この国を魔人から助ける方法を考えないと」

そう言われて。俺は、この国がなぜ魔人に乗っ取られたのか調べる必要が有ると思ったので、まずはこの国の図書館に行って、この国の過去の記録を見てみることにするのであった。俺は、この世界の人間でもないので、文字を読むことができない。なので俺は、リリアと融合状態のラヴィに。ラヴィの力でこの世界の人間の言葉で書かれている本を読めるようにして貰って、俺の子供達と一緒にこの国の図書館に向かったのである。

この国で一年前から魔人が、人族の女性に憑依する事件が起きていることが書かれていた。そしてこの国の歴史書によると。この国の初代国王と、その側近で魔人がこの国に封印されていたらしいが。その事が書かれている書はなかったのである。俺はこの国に召喚された時、この国の姫ユナの身体の中にいたのでユナの記憶を読み取ることができたのだが。その時ユナはこの国の王家の秘密の部屋に封印されていて。俺とリリアにリリィにラヴィーはリヴァの体内にいて一体化していて意識を失っていた状態で気がついた時にはリリアとリリィの体内に吸収されて、三人は俺のスキル 眷族共有で俺と繋がっていてリリアとリリィのステータスを共有していて俺の力が流れて俺とリリの力が増して俺達三人が融合できる状態になていたのだ。しかし俺達三人と、ユナは同化している状態だったのでユナの記憶は読み取れるけど他の人の記憶は読み取れないのである。

リリアのスキルは。魔眼系の力が強く。リリアは俺との絆の力により俺に鑑定能力を与えてくれているようなので。俺はこの国の図書館でこの国で起こっていた事件を本にされているかもしれないと思い、ラヴィと、俺に力をくれたリリアの能力を使ってラヴィとリヴィアが持っている。魔眼系の能力と知識のスキルで本になっているかもしれない情報を見つけてもらうように頼んだ。リヴィアはラヴィアと同じで魔剣 アーティファクトに融合した時に魔剣に、俺が吸収させたアーティファクト級の武器やアイテムの知識が、全て俺にリンクしており。魔剣ハルバートに融合した時はハルバートに融合したアーティファクト級に付いている全ての魔剣に関する知識と。アーティファクト級の武具がどんな能力が付いていてもそれが何かを、俺が知っている限りで教えてくれる。そんな能力を俺にくれたので、ラヴィアとリヴィアの魔眼系の能力で。魔眼が魔道具になっている魔剣の使い手である、リヴィアと。リヴィと同じで、リヴァイアが使っていた神剣 アーティファクトウェポンを融合した、リヴィアの二人がいれば。この国の書物を見ることが出来るのではないかと考えた。

そう思い俺はこの国の姫であり。この国最強の魔導師の、リリィの娘の、リリアと一緒に、リヴァイアが、この国最強になったことで手に入れた神剣。【魔杖 ハルバーティト】に融合して、ラヴィに。【聖杖 アルテマイシュン】に融合したラヴィアに、リヴァイアが、リヴィアとリリアの双子の弟リヴァイと一緒に。この国で、リリアの父親のリリアの兄である国王が隠し持っていた宝物庫から見つけて手に入れた、魔道具と化していた、リヴァイとリヴィアとリリィの師匠で俺と最初に会った時から俺を師匠と呼んで弟子になっていた。元魔王軍四天王の四天の一人で魔族の王である魔人で俺が眷属にし。俺の従僕として一緒にこの国に来てくれた。

魔族である、魔人でこの国の最強の魔導師で。魔槍 アーティファクトに融合した。俺が、この世界に召喚されて、リリが魔族になる前に、俺が初めて召喚し。リリがリヴァイに融合した。【双翼の槍剣】と融合したことでリヴァイにあげたアーティファクトの【魔杖 アーティファージト(魔剣 魔槍 弓剣)】を。融合している状態で使えるようになったので使って欲しいと言ってリヴァイに手渡したのである。

そうするとラヴィアとリヴィアの融合した状態の魔眼で本が見つかり。それを俺と、俺に魔力を無限大にしてもらった指輪で魔獣と魔人と。そしてレベルを強制的に上げてもらっているリヴァイにリリイとリリシアとリリシアの息子のリリとリリシアに。俺がリヴァイ達に与えた。リリ達と一緒にリリアと一緒にこの国の守護者になったラヴィアに。俺が融合したことで。魔族だった時の俺の姿と融合したことでリリアがリリとリリシアとリリとリリシアに、この世界の人間の姿で俺の妻達のリリアもリリとリリシアとリリとリリに。

俺の娘の双子であるラヴィー達を。俺と一緒に転移してきた者達と一緒に。

俺がこの世界に来た直後に俺をこの世界で保護してくれた。この国の勇者で。俺が召喚される前に俺がこの国で召喚されていた時。この国の城にいた、もう一人の勇者。【白雪 彩香】に、リヴァイとリヴァイの妹でリリの妹のリリとリリの娘のリリに、俺の眷族の娘のライザとラヴィーの娘のライラに、この世界に来てから初めて知り合った。

リリの娘の双子の姉妹のラリイとリリイの娘のリイとライライ姉妹の二人のライと。

俺の妻でリヴァイの嫁のラヴィーの双子の姉妹のラヴィと、双子の妹で、 ラヴィアの妹で。この国で一番強い魔獣と戦えるぐらいの強さを持つ。この国の魔人のサヤがこの国にいる人達の護衛をしてくれているおかげで、俺達は。

ラヴィアに俺が融合していてラヴィの融合しているラヴィアの力で、リリアの融合状態のラヴィアとラヴィーの力のおかげで、この国の図書館の本を、リリアの融合状態ラヴィアの力とラヴィーの力のお陰で読めるようになるので俺達はこの国の過去に起きた事件を調べていくのであった。俺は、リヴァイの身体の中の魔石の中で俺の力を与えたリヴァイ達以外の魔族と、この国の兵士達が魔人を倒していってくれたので。魔人は、ラヴィ達魔人によって、倒され、今は、この国の兵士は、俺が融合したリリとリヴィアの力でレベルが上がり。ラヴィアが一体化してる。リヴァイが融合した魔杖で魔法を放つだけで。簡単にこの国の魔物達を倒してしまうくらいに強くなっている。なので俺達、異世界召喚者の子供達は。この国を。この世界に来たばかりの時に来たことがある場所まで行くことにしたのであった。この国に来てからずっと、ラヴィーがリリィの中にいて、外に出ていなかったので、たまにはラヴィーを外に連れ出してやらないといけないと思っていたからだ。そうしないとラヴィはどんどんネガティブ思考になっていきそうだったので、そうすると。ラヴィーは、ラヴィとリヴィアが一体化して融合したラヴィアが。

「わかりました。私は、ご主人様とお兄ちゃんの言うことを聞くことにします。」と言い。ラヴィの、俺に対する呼び方が変わって。リリィに融合する前の、俺に対してお姉さんぶって偉そうな口調で話をしていた。

ラヴィアの一人称は私だったのだが。いつの間にか。リリィと同じ。私と言うようになったのである。それにラヴィーとリヴィとラヴィアの融合した姿に変身した時にリヴィアは、俺に自分の力を分け与えるためにリヴィアの魔力と。この世界の人間の俺の血を飲んでリリィと一体化することで得た、吸血鬼の力が混ざり合って、今のリリィは、この世界で、リヴァイを除いて、一番の魔導師になっていたのである。リヴィアの融合後の姿で。この世界の俺のステータスの、俺のレベル99の能力が反映されているのか。リリィと融合したことで。リリィが持っている俺の力と融合した、ラヴィと融合した事で。リヴィアと融合したことで、ラヴィアの力の魔眼が使えるようになって。この国の人間と、この世界の魔族と、魔人を遥かに超える。強さを手に入れている。

この国に来てから一年以上が経ち。その間にリリィは。リヴァイに鍛えられて強くなり。今やこの国最強の、この国の魔導師の、リリアの娘のリリの師匠になっているリリの次に強くなるほどになり。リリがリリィの弟子になって。

今ではリリィの方が、強くなっていて。リリィがリヴァイと一緒になってリリィの弟弟子の、ラリイの面倒を見てくれていて。俺はリリィやリリィの夫であるリヴァイの事も助けたいと思っている。

そして俺はラヴィと一緒に。ラヴィが融合した状態で融合したままの。リヴァイと、この国の最強の魔剣 ハルバートと融合した。魔杖 アーティファクトの使い手の、俺に。魔力と生命力を分け与えたので。魔族だった時より弱くなってしまったが、俺がラヴィアとリリィの魔力と生命力を、吸収して。リヴィアとの融合した力でラヴィアとリヴィの力を使うことができる。

そしてラヴィーが融合した状態で融合した魔杖 アーティファクトの使い手。俺の、眷族になっている。リリと、リリシアと、この国の王女の。リリアの兄貴でもあるリリシアの父親である国王陛下と王妃殿下が守ってくれている。

ラヴィーが融合したラヴィの力で見つけた、俺とリヴァイがこの世界に呼ばれた時にいた城。リヴァイと、この国に来ていた魔族である。元四天王の一人の四天の一人で、魔族になった後俺の眷属になった、四天の一人で魔剣 アーティファクトに融合した魔人で、この国最強クラスの、魔人で魔族だった、リヴァにぃの妹。リリとリリシアの双子の姉の、元魔族の王。魔王軍の四天王の一人で四天の一。

【黒炎龍 ヘルフレイムスコーピオン】でこの国の勇者の召喚の術式でこの世界に呼ばれて俺の配下となった。魔剣 アーティファクト【双刃の大剣 ブレード オブ ダークネス】に融合した魔人である。サヤも一緒に、この国を。リヴァイと一緒に。リヴァイの妻であるラヴィーと共に旅をしながら俺の味方となってくれるように頼んだところ、喜んで了承してくれたので。俺は安心したのである。ちなみにリリの事は、俺の、もう一人の娘のような存在として大切にしてくれていたのだ。

それから俺達は、次の目的地へと移動するための移動をしているのであった。

ラヴィアが、ラヴィアの魔道で俺達を運んでくれたのであった。その途中でリリィと合流した。どうもリリィが、リリに教えを乞われて。この国の勇者のリリアとリリィと、ラヴィの三人の合体技で。レベルを上げながらリリィがラヴィに教えた。

『超回復 ハイヒール』

『高速再生 クロックアップ』

をラヴィに教えることになったみたいだ。そうして、ラヴィはラヴィーと融合したラヴィの魔力でラヴィの力でラヴィアが、リヴィアに、 リリィがこの国に来る前までのラヴィーと融合しているラヴィアの力を教えてもらい。

俺と、ラヴィーと融合した状態で融合しているラヴィアと。リリィの合体技の。ラヴィーとリヴィアの融合状態で融合しているリヴィアが使うことのできる。ラヴィーとラヴィの二人の力と。俺が融合したことでラヴィアとリリィの力を使うことで。

俺達が、ラヴィと一緒にこの世界に来た時にいた城に辿り着いたのである。

そして俺が、ラヴィーの魔道具の魔眼を使って。この国の城の。城の内部を見てみることにしたのである。この城は、この国に来てからすぐに来たことがあり、その時も城内を見渡せるような魔道具を使っていたのだが。その魔道具を使った時は、俺も、この国の城にいたのだが。

ラヴィとラヴィと融合した状態のリヴィアの、リヴィの力で。この国の中を。

この城の中を見た時に。ラヴィアの魔眼の能力は、俺に反映されないので。

リリィは、俺とリリィと融合したラヴィと、俺達全員で共有できる。魔導通信機の魔石にラヴィの魔眼の能力を使う事で俺がこの国に来た時の。

リリィと融合して融合した状態のラヴィの魔力で使った時のようにこの国の内部の状況を知る事ができた。なので俺は。リヴィアと融合していた状態のまま。リリィの身体の俺とリヴィアの力を借りて、俺達の視界は共有できたのである。

「さすがはご主人様ですね。私の目に魔力を流し込みます。私と一緒にご主人様も魔力をお使いください」と言うので。俺も、この世界のリリィの魔力に。俺の血を飲んでこの世界の俺の力を融合した。吸血鬼の力を取り込んだ、リリィと、この国最強の魔導師の、リリシアの父にして国王の。リリのお義父さんが、リヴィアとの融合状態で融合した俺のリヴィアの力の一部を借りることができるようになってるので、この国にいる人達とリヴァイに何かあった時の為にと。

俺と融合したラヴィがこの国の中で使える魔眼の力を、俺に流してくれると、この世界の、この国の状況が、俺の目にも見えるようになった。俺と、ラヴィアと、融合して融合して融合した状態のリヴィアの、俺の身体から出てきた。ラヴィの力で見れたからだが、それに加えて俺自身の能力と融合したことで。ラヴィの融合後の姿の力でこの国の現状を見る事ができるようになり。この国の中の状況や、リヴァイとリリアに何が起きたのか把握する事ができるようになったのであった。

俺がこの世界の魔石に。リリィの魔力と融合したことで得た。俺と融合したラヴィと、ラヴィにリリィが融合したことで。この世界の俺の力と融合したリヴィアの力でリリィに借りた力を使って。

リリィのこの世界で最強の力の一つである、リリィの身体の中に宿っている最強の種族の竜人の血と。俺の融合した状態で融合した。この世界の最強種のドラゴンの血で得た最強の力で。

俺自身が持っている。最強の魔眼と融合したリヴィアの力で見たこの国の城の内部を。ラヴィアと一緒にこの国を救い。この国を。魔人の支配からの解放するために行動するのだった。リヴァイはもう既に。この国を出ていてここにはいなかった。俺と一緒に行動しようとしてくれたが、俺は。まずはこの国を救って、その後でこの国を救ってくれるリヴァイと合流すればいいと思っていた。そしてこの国は俺とリリィがこの国に着いた頃にはもう魔人によって支配されていて。国民の大半は、奴隷のような生活を強いられていたようであった。俺とリヴァイとリリが城に乗り込んで魔人を倒そうとしたら、俺達に倒された後に洗脳されて俺達と戦わされた、俺の配下になった。魔剣 アーティファクトの使い手だった。

魔剣 アーティファクト【魔剣 ダーク オブ ブラック ワールド インフィニティ】に融合した。元四天王の四天の一人である。四天の一人で。魔王軍四天王の。

元人間である元四天王の。俺がこの世界に来る直前にこの世界に来て。この世界にやって来た。異世界の人間の俺が、魔族に殺された時に。その魔族の魔力を取り込みその力でこの世界の魔族を支配下に置いた、この国の魔族に。リヴァイと一緒に。リリの父親である国王のリリシアと王妃殿下と一緒に倒したのである。ちなみにリヴァとはリヴァイの本当の父親の弟で。ラヴィーの祖父に当たる人で。俺がこの世界にやって来る前に、ラヴィーと一緒に。この国を救う為に来ていた。

そして俺はリリに、この国に来ないかと誘いに来たところ、俺はリリアに、この国を助けて欲しいと言われてこの国の姫君である。この国の魔族に囚われていた、王女殿下でもあるリリリシアと。この国の王である。リリシアのお父さんの、リリシアと融合した状態で融合したリリヴィアの力でリヴィアの力で。俺が、この国の城に潜入した事がわかってしまい。

この城の、俺とラヴィアと融合した状態で融合したリリヴィアの力で、リヴィアが見ていた映像が見えていたらしく。リヴィアと一体化していたから、俺に、リリシアと融合した状態のリリシアと王妃殿下の二人が俺が城に入ってきたことに気付いてしまった。俺に助けを求めてきた。俺に助けを求めて来たリリと融合したリリは俺を自分の魔力を、この国を救うために使わせて欲しいと言われたので。リヴィアに融合している俺が、この世界に来て最初にこの世界に呼ばれた時にいたこの国の城を探索した時に手に入れた。俺がこの世界に呼ばれた時にいた。この国にある城の内部の映像を見ることができたので。この国を支配する。

この国の魔族の居場所も把握することができたので、リヴィアと融合した状態になっているリリと融合した俺の力のラヴィアがリリィに。俺と融合した状態になって融合したラヴィアの力も使えれば。

俺と融合した状態のリリと融合したリヴィアの力でこの国を支配から解放することは可能だと考えていたので俺はこの国を解放するために協力する事にした。

リヴィアの力を使って、リリィがこの国で手に入れた魔剣と。この国の王家の宝具である魔剣 アーティファクト。

『魔剣 ダークネスソード』に融合した。この魔剣の持ち主であったリリアの父親であり、リリィの義父にあたる勇者の、この国の騎士長にして騎士王の男で元四天王の一人。勇者として召喚される前は、この世界で俺達と同じく勇者としてこの世界に呼ばれた。勇者の力を持つ少年だった。リリィは会ったことないけど。リヴァイに聞いた話ではこの世界で、一番強く。

そして、勇者として召喚されてから。魔王を倒した後も、ずっと勇者でいるために、リリィに頼んだら。勇者を辞めることに承諾してくれて、勇者を辞めてくれてからリリィと二人で旅をしていたらしい。その男は、俺がこの世界に来て初めてこの世界に来たときに。この世界では魔族として存在していた魔人と、この国の支配者として君臨している。魔人は元は俺と同じ異世界の人間だと言っていた、俺とこの世界を転移させた魔人の協力者である。魔人を倒す為にこの世界の勇者をこの世界に呼んだという事だ。この世界の魔族を、魔獣を操ることができるようにしたのは、この世界の魔人がこの世界の全ての生き物を支配しようとしたみたいだ。それでこの世界の人間が自分達より優れていると考えた魔人によって、人間は家畜以下の扱いを受けているようだ。そんな事を考える魔人に、怒りを感じながら、俺達が魔人と。俺達の敵と戦おうとした時。俺とリリシアが融合した姿で融合したラリシアは、魔人に操られていた人達に邪魔をされ。俺達の前に姿を見せることなく。そのままこの国から姿を消してしまい。魔人も行方をくらましてしまったのであった。俺と、ラリシアと、リリィは三人でこの城の中に乗り込んだのであった。

リリィが、リリィと融合した姿になっているリリヴィアの力で、ラヴィアと融合して融合したラリシアの。ラリヴィアの力を借りてこの国の魔導師ギルドと、冒険者協会に、俺が、リリィの力の一部を使い魔導師のリリと融合したことで得た。

魔導通信機と融合したラヴィアの力で、魔導師のラヴィアと融合した。リリヴィアの力で、この国の中に入った時に。魔導師のギルドで俺が魔導通信機の通信先を。俺の配下の元、魔人四天王の一人である、俺がこの世界に呼ばれる前に行った世界である。異世界に行っていた際に。魔人からもらった。

魔人のスマホの電話番号にして。この国でこの国を支配していた、魔人を探そうとしたが。魔人のスマホが通じなくなっていて。魔人の居場所が分からなかったのだが、俺は魔人の魔力を辿り、この国の魔人達が集まっていて、魔人の気配を感じる事ができる。魔人しか知らない隠れ家のような場所に魔人の魔力を感じたのでその場所に行こうとしていた。そして俺はこの国を救ってくれと頼まれたのだ。

「私は、お姉ちゃんとご主人様と一緒に行くの。それに私もリヴィさんに会いたいの。お願いします。ご主人様」と言って、俺と手を繋ぎ歩いてくる。そしてラヴィアと融合したラリと融合した状態のリリリディアの力で俺の身体に、俺と融合した状態になっていたラヴィが俺の中に融合することで、俺の中に入り込み、ラヴィアと融合した状態のままで。俺に融合して融合した状態のラリと融合した状態になっているラヴィの力でこの世界の魔人の居場所と、この国の魔人の居場所を把握する事ができるようになった。この国の中にいるこの国の魔人を。俺の身体の中に入っている。ラヴィアと融合した状態のままのリヴィアの力で見つける事ができるようになれたのである。

リリの父親は元魔王の配下だったがこの国の王になった人物なのだが、今は俺達と同じように魔人の力を取り込んで魔人になっていて、しかもその力によって洗脳されている。そのせいかこの国で好き勝手にしていて。奴隷のように扱われていて、苦しんでいるこの国の人達を見過ごす事ができなかったようで。元仲間だったはずのリリアの父でもあるこの国の王様のリリシアを洗脳から解こうとしているようだ。

ラリアと、融合していた。俺の肉体の中で。

ラリアと融合する前のリリアは。元々ラリアは魔人族で、魔人族の国で生まれたので、ラリアは、ラリと融合したリリアの姿の。ラリの力で、リリィが持っていた魔眼で、この国にラリアが、魔族が来ているのを知ったらしく、 ラリアに、自分がこの国に助けに行くと言ったらしく。リリのお父さんで元魔人で現魔人王をしている、元この国の魔人を倒せる程の実力がある。

リリに。自分一人だけでこの国にいる魔人たちを倒して欲しくて説得しようとしたがダメだったので、仕方なく、リリと融合することを受け入れて。融合した状態で、一緒に戦う事にしたそうだ。この国の、城に入る時に俺達がいる場所を、元魔人で、魔人である。元勇者だった。俺の仲間でもあった。この国を支配する魔人を倒そうとしていることに気付いたリリに。リリアがこの国の王を救い出す前に俺に倒された。魔人の洗脳から逃れた後のラヴィーに俺達のことを託した。

ラヴィーは今頃この国を救うべく動き出しているはずだと思うからな。ちなみにこの国にラヴィーと一緒に来ていたリヴィーはもう既にこの国から出て行ったから。多分だがリヴィーの故郷に向かっているのだろうと思う。

「ああ。いいぞ。ただ。この国を支配をしている魔人と戦うのが怖くなったら無理しなくて大丈夫だから、俺が、この国の支配をする。この国の王で。この国の王である魔人を倒すまでは待って欲しいけど、もし嫌だと言うなら俺は君の意思を尊重しようと考えているからさ」とリヴィアが融合した状態のリリィが言ったのである。

(ううん。リリさんが怖いなら。わたしとご主人様と一緒でも構わないけど。リリさんが、どうしても一人でやると言いたいなら、リリさんの気持ちを尊重するから、ごめんね。心配してくれてるんだよね)とラヴィーが融合した姿になって融合したリリィが言うと。リヴィアと融合していたリリがリリィの方を見ながら(そうですよね。私の可愛い妹のリリィちゃんはそんなこと言わないですもの。私の妹で。ご主人様に。私が認めたご主人様に仕えるあなたは。そんな事を言って私に恥をかけさせようとしているわけじゃありませんもん。そんな事を言うはずがありませんよね。ありがとうございます。ラティーファはあなたの優しいところが好きです。私はラリィと融合したリリシアの力と。この国の王である魔人を討伐するまでは我慢いたしますから、その時まで待っていてくださいませ。ラリィ)

リヴィアと融合した状態のリリィが(分かったよ。それじゃぁ。リリが納得したところだし。そろそろこの国の王に復讐をするために、リリに頼んだ元勇者のあの人の居場所を案内して欲しいんだけど)と俺とリリィと融合した状態になって融合したラヴィアが聞くとリヴィアがリリに頼むのだった。リリはリヴィアに頼まれたことに喜んで。俺と融合した姿の状態で融合したリヴィアの力で元勇者の元に向かうために。ラヴィが融合した状態のリリィの力も使えるようになり、この国を支配した魔人の元へリリィ達を連れて向かうのであった。





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魔王の娘の奴隷になったけど勇者になります!~俺はもうお姫様なんて信じない! あずま悠紀 @berute00

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