神のお告げに導かれ2

「是非とも!


 シューナリュードさんに助けていただきたく!


 こうしてお探していたのです!」


「……少し声のボリュームを落としてくれると聞きやすいかな」


「すまんな、声の大きさは元々デカくてな」


「うるさいよぅ……」


 ルフォンはミミを手で押さえつけて聞こえる声を緩和しようとしている。

 我慢していたけどちょっと限界だった。


 ミミのいいルフォンがこれ以上はかわいそうだ。


「う、ゴホン……これでどうだ?」


「まだダメ……」


「これならどうだ」


「うん……それぐらいなら大丈夫」


 かなり声の大きさを落としてようやくルフォンからオーケーが出る。


「それでは話の続きといこうか。


 実はシューナリュードさんに頼みがあって、テレサという聖者がいるのだが、彼女のことを助けてほしいのだ」


「テレサ? 聖者?」


 全く聞き覚えのない名前。

 知り合いじゃない。


「どうしてわざわざ俺なんだ?


 使徒や聖者なら教会の方で何とでもしてくれるだろ?」


「教会でも何ともできないのだ」


 聖者が何かしらの問題を抱えたとすれば教会は全力を上げて解決しようとしてくれるはずだ。

 リュード個人でできることよりもはるかに多くのことをやってくれるはずなのに、どうしてリュードの力が必要なのか。


 いや、そもそもの話、どこからリュードの名前が出てきて助力を求めることになったのだろうか。

 多少の武力的な知名度はリュードのことを調べれば出てくるだろうけどもっと上の人もいるし教会ならそんな人とも接触することだって難しくない。


 流浪の冒険者を探さなくたっていいのだ。


「どうしようもなく困っていたところに神からの神託があった。


 そしてその神託にあった人物を探した結果見つけたのが君だったのだ」


「へぇ?」


「ケーフィス様からこの問題を解決できる人の特徴を教えてもらった。


 信託などでは個人の名前を直接告げられることはできないのであくまでも特徴だけだったが分かりやすい特徴だったからな」


 ケーフィスが何でと思って記憶を辿ってみる。

 そういえばだいぶ前にケーフィスから何かをお願いされていたことを思い出した。


 あれも確か聖者がどうとか言っていた気がする。


 内容は何だっただろうか。

 神物を探せとかそんな話だった気がする。


 ただ何年か先まで大丈夫とかそんなことも言っていたような気が。


「テレサを助けられるのはあなたしかいないのです!」


「本当に俺がどうかも怪しいけど、とりあえず話は聞くよ。


 違ったり協力できなさそうなら断るからな」


「もちろんです。


 しかし私は確信しております。

 シューナリュードさんが神のおっしゃられるお方であると。


 テレサを救ってくれるお方であると信じています」


 ケーフィスに聞いた話も内容が朧げだ。

 何があったのかも細かく聞かなかったし事情を詳しく聞いてみることが必要である。


「分かりました。


 ではお話しいたします」


 町まで向かう中でダリルの話を聞くことになった。

 時々興奮するとボリュームが壊れるのでそこら辺を注意しながらだが声のバカさ加減にも関わらず頭はそれなりにちゃんとしているのか話はまとまっていて聞きやすかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る