第29話 『束の間の饗宴Ⅱ』

「へぇ~意外とよく撮れてるんだね」

「あのメンバーが集って一体どんな恐ろしい計画を企ててるのか心配だったが…… こういうことだったのか」


 同好会を作った御陰で表向きの集まる理由も出来て、かなり動きやすくなった。

 大急ぎで用意した物だから、正直クオリティは期待出来ないけど、例外的に円福寺の写真は構図もしっかりしていて、きちんと整っているような印象。それ故耳目を集めている。

 結局クロは円福寺に意見をぶつける所か、説得することも出来ずに大衆の眼前に醜態を

晒されることとなった。深水辺りが珍しく大笑いしていたことは伏せておこうかな。

 あ、そろそろ約束の時間だ。


「じゃ、僕は同好会の集まりに行ってくるから」

「うん、大丈夫、大丈夫。それにしても羨ましいなぁ…… 円福寺さんと一緒だなんて」

「そこにあの三体が付いてくるが、それでも行くか?」

「うん、やっぱり諦めよ。身の危険を感じるし」

「安心しろ、骨は拾ってやる」

「ははは…… じゃあ、また後で」


 手を振ってくれる二人を背にして、僕はもう一度あの異空間へ旅立った。




「—— っと、予想外に暇な時間が出来たな」

「そうだね。どうする?また当てもなく探す?」

「まあ、そうだな。あの五人と一匹は当分の間問題は起こさんだろうから、災いの芽を摘み取るのが優先だ」

「探知的な物があれば良いんだけどね…… 何せ触れないと駄目だから」

「使えないな」

「失礼だなぁ。自分だって弾撃つしか能のない歩く光線銃の癖に…… 」

「何か言ったか?」

「いえ!何も!」

「さっさと片付けてもう一周だ!」

「いや、俺はもういい…… 」

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