第17話 『疲労困憊』
夜が明けて僕は平常運転で無意識に学校へ向かった。
しかし、到着後椅子に座って間もなく、廻神のように机に突っ伏す。
夜中にあんなに活動したのなら当然の反動だと思う。
廻神はいつものことであまり判別がつかない。
「おーい、大丈夫かー?わぁ~あ」
「そういう佐伯が一番眠そうだね」
「斯く言う僕も頭がぼうっとするんだけどね…… 」
空気揺らぎ始める初夏の太陽がその力を以て僕達の睡眠を妨害する。
「そういえば、あのヤバいメンバーと連んでいるっていうのは本当なの?」
「どうしたの、藪から棒に」
「ああ、それは俺も訝しんでいたんだがよ。忙しそうだったから聞くタイミングを逃しちま
った」
「ヤバいメンバー…… ?」
「寝坊助の廻神は兎も角、何人も不登校に陥れた精神破壊兵器深水と、暴力事件を立て続け
に起こした藤原は学校内でも屈指の危険人物だ」
そうかな…… 二人ともそんな風には見えないけど。
「そんなことより、円福寺さんもその集団に入っているっていうのは本当なのかい⁉」
「うん…… 」
尾崎と佐伯が有名絵画みたいに開いた口が塞がらないという様子で耳を抑える。
「まさか、真実だったとはな…… 」
「可哀想に…… 魔の巣窟に堕とされた天使のようじゃないか」
その喩えはよく解らないけど…… そんなに悪くないと思うけどなぁ。
そりゃあ廻神は突然部屋に移動してくるし、深水は怖いし、円福寺の不運で酷い目に遭う
し、藤原は自殺するしで心を落ち着かせる暇が無かったけど、後から思い返すとそう悪いものでもなかったと思う。
「慣れると結構居心地良いよ?」
「肝が据わってるねえ…… 」
「それより、さっきの話は本当?」
「え、さっきって?」
「ほら、深水と藤原の…… 」
「あー…… 単なる都市伝説とかじゃないと思うよ。多少尾びれは付いてる—— と信じたいけど」
「実際不登校の生徒も出たし、病院送りになったのも事実らしいし、何よりどちらも目撃者がいる」
「じゃあ、本当に…… 」
「要するに、警戒を怠るなってことだな」
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