失敗作供養・未来人委員会(仮題)

シカンタザ(AI使用)

失敗作供養・未来人委員会(仮題)

夜になって雨が激しくなった。外灯もない裏通りにはひとけがない。雨音だけが聞こえてくる。どこか遠くの方から車のクラクションがきこえてきた。傘を差して歩いているのは若い女だった。二十歳くらいに見える。彼女はぼんやりと歩いていた。どこに行こうとしているのか分からないような足取りだった。彼女の前にある街灯の下に誰かがいた。男らしい。男は傘を差していない。黒いレインコートを着ていて顔はよく見えない。フードをかぶっているからだ。男が女の方に近づいてきた。ゆっくりとした動作だったが、それはとても素早い動きでもあった。あっという間に二人の距離は縮まった。男は女の背後に立った。突然、女は振り返った。手に持っていた傘を落としてしまった。彼女は恐怖に満ちた目をしていた。それから目を閉じた。口を大きく開けていた。叫び声をあげようとしたようだ。だが、それはできなかった。男の手が伸びてきて、女の口を塞いだからである。男の指には長い爪のようなものがついていた。それが女の首にくいこんでいる。首筋からは血が流れ出していた。それでも女はまだ生きているようだった。かすかに身体を動かしている。やがて動かなくなった。

死体が発見された時、現場の状況から見て自殺と判断された。目撃者はいなかったし、争った形跡もなかったからだ。警察の調べでは特に不審な点はなかった。遺書はなかったが、自殺した動機についてははっきりしていた。結婚することになっていた相手が、実は浮気していたことが発覚したためだ。ただ、彼女に対する未練があったらしく、相手の男性に対して怒りをぶつけるような内容の手紙を書いていたという。

彼女が勤めていた会社の同僚や上司など数人が事情聴取された。彼らは皆、何も知らないと答えた。もちろん、警察は彼女たちの話を信じなかった。それで、自殺の原因となった相手の男性に直接事情を聞くことにした。彼は女性と結婚しようとしていた。だが、実際に会ってみると気に入らなかった。顔も好みではなかった。性格もよくないと思った。だから別れることにした。ところが、彼の方はその話をなかなか信じようとしなかった。結局、彼が納得するまで何度も説明することになった。そうこうしているうちに、相手は彼女に悪いことをしたという気持ちになってしまった。それが原因で自殺したのではないかと疑われたのである。結局、捜査は打ち切られた。そして、事件は迷宮入りとなってしまった。

事件が起こった日の夜、ある雑誌の記者が殺された。記者の名前は石島幸夫といった。年齢は三十五歳で独身だった。彼はマンションの一室に住んでいた。そこに押し入った強盗によって金品を奪われた上に殺されたのだ。幸い、犯人はすぐに捕まり逮捕された。取り調べの結果、その男は被害者が経営していた会社の従業員だということが分かった。彼は被害者の部屋の鍵を持っていた。つまり、侵入したのは彼ということになる。ただし、その目的ははっきりしない。男はずっと黙秘を続けていたからだ。そのため、事件の真相は不明のままになっている。

ただ、この事件をきっかけにしていくつかの殺人事件が重なった。それらの事件をマスコミは関連づけて報道した。その結果、一連の事件について警察による取調べが行われることとなった。だが、その過程でおかしなことが次々と起こった。そのことについて関係者から話を聞いたり、調書を読んだりしたが、どう考えても理解できないことが多かったのである。それで、一部の人々はこれは偶然の出来事ではなく、何者かが仕組んだのではないかと考えた。それが誰なのかは分からない。あるいは、そんな者はいないのかもしれない。だが、誰かが糸を引いていることは明らかだった。そして、それは今も続いている。

最初の事件が起きてから一ヶ月ほど経過した頃、新しい事実が判明しはじめた。それは、殺害された男の遺族が取材に応じたことだった。彼らが語った内容は衝撃的だった。何しろ、殺された男の父親というのが、あの連続殺人鬼だったからである。この話は週刊誌に掲載された。その記事を読んで、多くの人たちが驚いたようだ。しかし、それ以上に大きな驚きを感じた者もいたようである。それは、殺された男の母親と弟だった。二人はそれぞれ別の日にインタビューを受けていたのだが、その時に同じことを言ったからだ。

まず母親の方だが、彼女は夫と息子を殺したのは自分の娘であり、自分はそれを止めることができなかったと話した。彼女の告白によると、息子の殺害を指示したのは彼女自身だったという。しかし、なぜそのような指示を出したのかという点については、いくら尋ねても答えてくれなかったらしい。ただ、娘の方は母親の指示に従っただけだと答えたそうだ。そして、自分が殺したことを認めた上で、こう付け加えたという。私は今でも、あなたの娘さんを愛しています…… 次に弟の方の話だが、彼は姉と同じように自分も兄を殺すように指示されたと語った。ただ、姉の時とは違っていた部分もあった。それは、殺す相手についてである。彼は自分の父親を選んだ。それがどうしてなのか理由は分からない。ただ、彼はこう言っていたそうだ。自分にとって、父というのは特別な存在だからと。彼は父親が大好きで尊敬していたのだという。そして、父親の方も彼にとても優しくしてくれたのだとか。だから、もし自分が殺されそうになったら、きっと守ってくれると思ったのかもしれない。とにかく、そういうわけで弟の方も姉と同じく自分の意志とは無関係に行動してしまったということだった。

これらの証言を受けて、警察はさらに調査を進めた。その結果、驚くべきことが判明した。実は、今回の事件で殺された男たちは皆、過去に犯罪を犯していたのだ。それも、かなり悪質なものだったらしい。そして、彼らの家族や友人などが警察に情報提供をしていたのである。もちろん、そうした人々の中には嘘の証言をしている者もいるだろう。だが、中には本当のことも混じっている可能性がある。それに、事件の起きた時期を考えれば、犯人が逮捕されて裁判にかけられたとしても、死刑を免れることはまずないだろうと思われた。だから、彼らは自首することを決めた。ただし、事情があって身動きが取れず、すぐには捕まらないような連中もいた。彼らには弁護士をつけてやったし、何とか執行猶予がつくように働きかけもした。

こうして、事件は一応の決着を見たが、その後も奇妙な出来事が続いた。というのも、殺された者たちの家族や友人などの間で、似たような事件が相次いで起こったからなのだ。例えば、被害者たちの父親は痴漢行為を繰り返して逮捕されたことがあったし、被害者の一人は詐欺の常習犯だった。他にも、窃盗の疑いがある者、暴力を振るうのが好きだったり、あるいは振舞ったりしている者が何人もいたという。それらの人々は、いずれも自分が加害者だったと証言した。また、事件の起きた時期に共通しているのは、彼らが何かしらの問題を抱えていたということだ。つまり、誰かに脅されたり、脅迫されていたというケースが多かったということである。これは、どういうことなのだろうか。

その後、警察では様々な可能性を検討し始めた。しかし、まだ結論は出ていない。私としては真相を突き止めたいと思っているが、今のところは無理だろう。おそらく、この事件の裏には大きな力が存在しているに違いないからだ。それが何なのかは分からない。だが、その力は我々の社会に大きな影響を及ぼしつつある。

そこで、我々はこうした危機に立ち向かうべく、新しい組織を立ち上げることにした。その名も未来人委員会である。この組織は我々と同じような立場にある人々と協力して、さまざまな問題に取り組んでいくつもりだ。ただし、あくまでも非政治的な組織である。活動内容についても秘密厳守を約束しよう。だが、一つだけ約束できない点もある。それは、この委員会がどのような形で問題解決にあたるかという点だ。例えば、ある問題について解決したいという要望があったとする。しかし、その問題があまりに複雑だった場合は、こちらの方で対処できない場合が出てくるだろう。

そこで、もしそういった場合には遠慮なく申し出てほしい。その場合に備えて、委員会の本部に専用の電話を設置する予定になっている。電話番号は、0120-〇〇-〇〇〇〇である。また、それ以外の相談事があれば、まずは最寄りの警察署へ連絡してほしい。もちろん、その場合は匿名でも構わない。その方が安心できるという人もいるかもしれない。ただ、どんな場合でも決して他言しないようにお願いする。

さて、これで私の話は終わりである。最後に、どうしても聞いておきたかった質問に答えさせてもらうことにしよう。それについては、私ではなく別の人が答えることになっている。どうぞ、お入りください。

私は今、ホテルのロビーにいる。ここに来るまでに、いろいろあったような気がするが……よく覚えていない。確か、電車に乗っている時だったと思うのだが、記憶は途中で途切れてしまっている。それから先は夢を見続けている感じなのだ。しかし、なぜこんなところに来てしまっ……いや、違う! 来たくて来てるんじゃないんだ。そもそも、どうして私がこんな目に遭わなきゃならない? それもこれも全部、あの女のせいじゃないか。そうだよ。あいつのせいだ。あいつが悪いんだよ。

突然、大きな音がして照明が消えた。真っ暗になって何も見えなくなる。いったい何が起こったのか分からず戸惑っていると、誰かの声が聞こえてきた。若い男の声だったが、少し訛のある日本語を話していた。

「みなさん、落ち着いて行動してください」

その声を聞いているうちに、少しずつ冷静さが戻ってくる。それで、周りの様子を窺う余裕も出てきた。まず最初に気になったのは、周囲のざわめきだった。何か起きたらしいということは分かったが、具体的に何が起きたのかまでは分からない。停電なのか、それとも火事でも起こったのか。あるいは、テロでも発生したのかもしれない。とにかく、みんな不安そうな表情を浮かべている。中には泣き出している人もいて、かなり混乱している様子だった。

次に気になったのが、空調の音である。空調機の故障にしては、あまりにも大袈裟すぎる。それに、この音はどこかおかしい。まるで機械の中にいるみたいな感じがするのだ。そして、それは私だけではなかったらしく、隣にいた中年の女性も同じことを考えたようだった。彼女は私に向かって、こう言った。

「ねえ、なんか変じゃない?」

私は彼女の方を向いて、ゆっくりと首を縦に振った。私だって同じことを思っていたからだ。でも、彼女が何を考えているのかは分かっていた。どうせあれでしょう。空調の音がおかしいとか言い出すんでしょう。そんなことないですよ。ただのエアコンの調子が悪いだけですって。

だが、その予想は外れたようだ。彼女は続けて、こんなことを口にしたのである。

「このホテルさあ、冷房の利きすぎなんじゃない? ちょっと寒くないかな」

私は黙っていた。何も言わずに、じっと彼女を見つめていただけである。確かに寒いかもしれないが、そこまで言うことはないんじゃないかと思ったのだ。それに、そういうことはフロントへ行って、ちゃんと言えばいいだけのことだ。

私が何も答えないので、彼女は不思議そうな顔をしていた。そして、しばらく考えた後に、ようやく私の気持ちが分かったらしい。急に慌て始めた。もしかしたら、空調が壊れていることには気づいていたけれど、私の同意を得るために遠慮して言えなかったのだろうか。

だが、今さら遅い。私はすでに、そのことを理解しているのだから。

結局、私たちの意見は通らなかったようだ。フロントへ行くと、彼らはすぐに修理に取りかかると言ってくれた。でも、それはまだ時間がかかるということだった。とりあえず、私たちはロビーのソファーに座って待つことにした。

しかし、空調が直るまでの間は本当に困ったものである。何しろ、暖房がないのである。エアコンさえ動いていれば問題はないのだが、それが故障しているのではどうしようもない。

それから、どれくらい時間が経った頃だったか。突然、照明が復活した。そして、照明がつくと同時に、アナウンスの声も聞こえてきた。

「みなさん、落ち着いて行動してください」

ただ、それだけである。私を含め、ほとんどの人が不安になっていた。もちろん、私だって例外ではない。一体、これからどうなるんだろうと思っていたのだ。アナウンスが終わると同時に、部屋のドアが開いた。そして、ホテルのスタッフらしき女性が顔を出し、みんなに向かって言った。彼女は、まず避難場所について説明してくれた。この部屋を出てすぐのところに、階段があるのだという。スタッフの女性は、その階段を使って一階へ移動するようにと言った。私は彼女と別れると、言われた通り移動することにした。でも、正直言ってあまり気が進まなかった。だって、いきなり停電になったり、空調機が壊れたりして、その上さらに階段を使うなんて言われても、嫌になってしまうのが普通だと思うのだ。だが、他に選択肢はなかった。私は仕方なく、エレベーターを使わずに移動することにした。

廊下へ出ると、確かにすぐに階段があった。ホテル内の非常電源が作動しているのか、照明もついているようだ。私は急いで、その階段を下ることにした。

だが、ここで思わぬことが起きた。私の後ろを歩いていた男性が急に倒れたのである。私は慌てて振り返り、彼に近づいた。男性は意識を失っているようだったが、幸いなことに大きな怪我はしていないようだ。だが、どうしてこんなところで倒れてしまったのだろうか。私は不思議に思った。とりあえず、私は彼を近くのソファーまで運ぶことにした。といっても、私一人では無理なので、他の人に手伝ってもらうことにした。

だが、その時である。どこからか爆発音が聞こえてきたのだ。私は反射的に音の方角を見た。すると、ホテルの入り口付近から煙のようなものが立ち上っていることに気づいた。もしかすると、さっきの男性が倒れていた原因はあの煙が原因だったのかもしれない。そんなことを考えながら、私は男性の身体をゆっくりと動かした。そして、その隙に別の人を呼んできてもらおうと考えた。ところが、私が動き出す前に異変が起こった。突然、入り口付近にあった消火器が爆発したのである。そのせいで天井の一部が崩落したらしく、大きな瓦礫が落ちてきた。しかも運の悪いことに、ちょうど近くにいた私の方へ落ちてきたのだ。私は咄嵯に身をかばった。そして、床に伏せるような姿勢になった。だが、次の瞬間には強い衝撃を受けた。頭を打ったような感じがしたのである。

それから、気を失ったらしい。どれくらい時間が経った頃なのか分からないが、目が覚めた時には既に周りが騒然としていた。どうやら、かなり長い時間気絶していたようである。しかし、今はそれよりも状況を確認する方が先だと思った。それで、立ち上がってみたのだが、頭がクラっとした。私は少しだけふらつきながらも、周囲を見回した。すると、何やら違和感を覚えた。それは、明らかに普段とは違う雰囲気だったからである。もちろん、ホテル内は停電になっているし空調機も壊れている。だから、空気が悪いとかそういう意味ではない。もっと違う種類のものである。なんというか、異様な気配を感じたのだ。その証拠に、あちこちで悲鳴のような声が上がったのである。それも一人ではなく何人もの声であった。私は不安になった。一体、このホテル内で何が起こっているんだろう。そう思って、さらに辺りを観察してみる。

すると、ある事実に気づいた。みんな、壁際に集まっているのである。まるで、誰かから身を隠すように。でも、なぜだろう。私は疑問に思いつつも、自分も彼らと同じように壁に寄ってみることにした。

その直後のことである。すぐ隣にいた女性が叫んだ。彼女は震える手で、私の腕をつかんできた。私の名前を呼んでいるようだったが、よく聞き取れない。彼女は私の腕を引っ張り、どこかへ行こうとしているようだった。だが、私はその場に留まることにした。なぜかは自分でもよく分からなかった。ただ、ここにいてはいけない気もした。

そして、再び周囲の様子を見た時、信じられないものを目撃した。天井が落ちたせいで、照明が全て消えている。そのため、部屋全体が薄暗い状態になっていた。だが、そのおかげで分かったことがあるのだ。部屋の隅に、小さな人影があった。最初は子供がいるのかと思ったが、すぐにそうじゃないと気づく。なぜなら、全身が黒い服を着ていて、顔にもマスクをつけていたからだ。

私は驚きのあまり言葉が出てこなかった。こんなところで何をしているんだろうか。そもそも、どうやって入ってきたのだろう。そんなことを考えているうちに、その人物が動き出した。ゆっくりとこちらに向かってくる。しかも、かなりの速さで。私は思わず後ずさりしようとしたが、足がもつれてしまった。そのまま床の上に倒れ込む。それと同時に、相手の方からも何か物音が聞こえてきた。どうやら、倒れたらしい。

それから、相手が近づいてきた。そして、私の顔を覗き込んできたようだ。その時になって初めて気づいたのだが、相手は男性みたいだった。体格的に見て間違いないと思う。とにかく、私は怖くなって目を閉じた。しかし、次の瞬間には男が私の身体を揺すっていた。その振動のせいで、私は目が覚めた。慌てて起き上がり、周囲を確認する。しかし、そこには誰もいなかった。夢だったのかなと思って首を傾げていると、外から大きな声が響いてきた。

「あいつらが、俺を殺そうとしている!」

そう叫びながらこっちへ走ってくる男がいた。私は立ち上がって窓の外を見た。すると、男の言う通り、たくさんの人が走ってきていた。みんな必死の形相をしている。そのせいか、かなり怖い。私は腰を抜かしてしまっていた。

一人の男性がこちらへ来て名刺を渡してきた。

「未来人委員会の桜庭という者です」

未来人委員会……?

「私どもは未来の技術を使ってあなたを助けにやって参りました。もう大丈夫ですよ」

何がなんだかさっぱり分からない。でも、とりあえず助かったということだけは理解できた。

私は自宅のベッドに寝転んでぼんやりしていた。そして、先日のことを思い出す。一体、何が起こったんだろう。今さら考えても仕方ないことだけど、やっぱり気になってしまう。でも、いくら考えたって答えは出ないし、誰かに相談したところで信じてもらえるはずもない。それに、誰にも言いたくなかった。だって、変な奴だと思われてしまうから。私は枕元に置いてあったスマホを手に取った。そして、SNSで友達とのやり取りを見返すことにした。楽しかった思い出が蘇る。この前のデートでは映画に行ったっけ。あの時は、ずっと手を繋いでいたんだよな。それで映画館を出た後、公園に行ってお昼ご飯を食べたりした。ああ、懐かしい。

そんなことを考えているうちに眠くなってきた。時計を見ると午後六時を指している。そろそろ夕飯の時間だった。私は台所へ向かい、冷蔵庫を開けた。中には肉じゃがが入っていた。どうしようかなと思っていると電話が鳴る音が聞こえてきた。私は慌てて受話器を取る。

「もしもし〉」

相手は母だった。

「元気にしてるの? 最近連絡してこないけどさ。たまには帰ってきなさいよ。父さんが寂しがっているわ。あと、お父さんのことは心配しないの?」

私は黙っていた。すると、母はため息をつく。

「まあ、あんたの性格を考えたら、無理にとは言わないけどね。でも、お父さんが可哀想じゃない。もう歳なんだから、あまり迷惑かけないようにしないと」

母が電話を切った後、夕飯を食べることにした。肉じゃがを電子レンジに入れて温める。その間にお茶を入れた。ご飯を食べながらテレビを見る。ニュースをやっていた。どこかの国で内戦があったらしい。でも、私にはあまり興味がなかった。しばらくして、ニュース番組が終わったので別の番組に切り替える。クイズ番組が始まった。私はぼんやりとクイズの答えを考えていた。でも、何も思い浮かばなかった。それからしばらく経って、ようやく問題を解くことができた。答えは〇だった。私は少し嬉しくなった。

次の瞬間、画面が真っ暗になった。「この番組は終了しました」そんな文字が表示される。

私はびっくりしてしまった。一体、何が起こったんだろう。しばらくして表示されたテロップに

「この放送は電波ジャックにより中断いたしました」

というメッセージが表示されていた。またすぐに画面が切り替わり、仮面をかぶった男が映った。男はこう言った。

「こんにちは。私は未来人委員会に所属する桜庭という者です」

私はぽかんとしていた。一体、何が起こったんだろう。それにしても、なんだかよく分からないことが多すぎる。そもそも、これは現実なのか? それとも夢を見ているだけなんだろうか。私は頬っぺたを引っ張ってみた。痛い。どうやら夢ではないようだ。でも、どうしてこんなことに……。

私はしばらく考えた後、母に電話をかけてみることにした。

「もしもし」

母の声が聞こえてくる。

「あ、お母さん。元気?」

私は明るく返事をする。母は私の声を聞いて安心したみたいだった。

それから私たちは他愛のない会話を続けた。しばらくしてから電話を切る。ふぅっと息を吐く。何だか疲れてしまった。私はスマホを操作してSNSのアプリを開く。友達とのやり取りを読み返してみる。友達とのやり取りを読んでいるうちに、段々と悲しくなってきた。みんなは私のことをどう思っているんだろう。友達からのメッセージを読むたびに不安になってくる。私はスマホをテーブルの上に置いた。

その時、スマホの着信音が鳴り響いた。私はびくっとなる。誰からだろうとスマホを手に取った。画面に表示されているのは知らない番号だった。私は少し躊躇する。でも、出てみることにした。電話に出ると若い男性の声が聞こえてくる。

「もしもし。桜庭ですけど」

男性はそう言った。あのテレビに出てた人だ。

「あ、はい。えっと……」

私は何を言えばいいのか分からなかった。それからしばらくの間、沈黙が続いた。どうすればいいんだろう。私は口を開いた。

「未来人って、何なんですか? どうして私を助けてくれたんですか?」

「未来人について説明しましょう。未来人というのはですね、簡単に言うと、過去を変えようとする人です」

「過去に干渉しようとする人がいるということでしょうか」

「そういうことです」

「じゃあ、あなたは、私たちがやっていたことを知っているわけなんですね。それで、未来人なんですか?」

「そうです。僕は未来人で間違いありません」

「どうしてそんなことが分かるんですか」

「それは、僕が未来人である証拠を見せますよ」

「どうやってですか」

「ちょっと待っていてくださいね」

「分かりました」

私が待っていると、しばらくして電話の向こうで機械を操作する音が聞こえた。

「これで大丈夫です」

「一体、何をしたんですか?」

「電波ジャックですよ」

「電波ジャック?」

「はい。テレビをつけるかスマホでSNSを見てください」

私がテレビをつけると、画面に仮面をかぶった男が映っていた。男はこう言った。

「こんにちは。私は未来人委員会に所属する桜庭という者です」

私は呆然としていた。これはどういうことなんだ。夢でも見ているんだろうか。私は頬っぺたを引っ張ってみた。痛かった。どうやら現実らしい。でも、どうしてこんなことに……。

私はしばらく考えた後、母に電話をかけてみることにした。母は電話に出ると明るい声で挨拶してきた。私は何と言っていいのか分からず黙り込んでしまう。

それからしばらくの間、沈黙が続いた。気まずいなぁと思っていると、突然電話の向こうから母の笑い声が聞こえてくる。私はびっくりした。どうしたんだろうと思って首を傾げていると、母が言った。

「あの桜庭って人のことが気になるの?実はあの人はね、私の知り合いの弟さんだったの」

私は唖然となった。まさかそんなことになっていたなんて。それから私たちは他愛のない会話を続けた。しばらくしてから電話を切る。ふぅっと息を吐く。何だか疲れてしまった。

その時、スマホの着信音が鳴り響いた。私はびくっとなる。誰からだろ。画面に表示されているのは知らない番号だった。出るかどうか迷っているうちに留守番サービスに切り替わってしまう。精神的に疲れてしまったのでシャワーを浴びて寝てしまった。

あの日から特に変わった事件もなく世の中は平穏だった。もしかしたら人々の見知らぬところで未来人が平和を守っているのかもしれない……。

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