第49話「作戦会議」
あの日から2週間。
当初の予定よりもかなり遅くなったが奴隷連合の方に動きがあるとヴォルフから連絡が入った。
すでに一つ目の村のところまで連合の集団がやってきていて、多くの獣人族がこの俺たちがいる村に来ていて、あとは防衛線を引いて進軍している奴らを跳ね返すことだけが残っている。
今日は最終的な作戦会議を多くの獣人族とヴォルフ、俺とユミを交えて行っていた。
まず、議題については一つだけ。
どうやってあの奴隷連合のやつらを追い返すのか。ということただ一つ。
しかし、それが獣人族の戦士だけではなかなかできないと嘆いていたが、まず疑問を一つ投げかける。
「ヴォルフさん一人だけじゃどうにもならないんですかね?」
「俺一人か?」
「はい。だって、あそこまで強いモンスターを圧倒したじゃないですか」
「まぁ、それはそうだが——カイト、一つ覚えてほしいことがある」
「?」
すると、ヴォルフは俺の肩を掴んで重々しくこう言った。
「俺も生き物だ。救えない命はある」
ふと胸に刺さった。
確かにと思う。
ありふれた言葉だったが、その通りだった。
強いは強い。この世界に置いてヴォルフさんはおそらく上から数えた方が早いまである。1000年以上生きているのだから普通かもしれないがそれでもヴォルフさんは一生物だ。
どこかのヒーローも言っていたように、救いたい人をすべて救えない。
「——そう、でしたね。分かりました」
「あぁ、俺は魔法を使えないし、範囲攻撃をできない。一対一なら自信があるがさすがに1000人を優に超える大群を相手できるほどの余裕はないんだ」
その通りだ。
だからヴォルフは一人で頑張らずに俺たちを頼ってくれているんだ。いくら子供だとしても俺たちの能力を見込んでくれて。
なら、やはり。
俺も提供できるだけ提供したい。
「分かりました。それなら、俺から意見があります」
「なんだ?」
「おおう、カイト殿、秘策をおしえてくだされ」
「俺も聞きたいな、創造スキルってやつで何とかできるのか聞いてみたい」
ヴォルフと村長と守備兵長が顔を向ける中、俺は立ち上がり広場の真ん中まで歩いて
ちょうど背の高さくらいの位置にできる黒いブラックホールのような穴。
そこから中に入っている銃だけを一気に排出させる。
あ、ちなみにこの魔法は最近習得したぞ。闇属性初級魔法「
――と、話を戻そう。
出てきたのは俺が今まで作った銃器の数々。
一番初めに作ったM1911コルトガバメントから、最近作り出したMG42まで。ちなみに複製品に関しては収納魔法に入りきらないのでユミと一緒に寝ている小部屋に置きっぱなしにしている。
ぞろぞろと出てきた銃器に獣人族の面々は面食らったように声をあげた。
「その、思うにではありますが、俺が作り出したこの銃というものがあれば数はなんとか跳ね返せると思うんです」
そう、中級モンスター以下のレベルならこれで一蹴できる。
RPGだって使えれば上級以上の悪魔の使いのようなモンスター相手でも役に立つかもしれない。
そこを踏まえて、雑魚相手にはこの銃器を用いると言うのが俺の作戦だ。
「だからこそ、強いモンスターや人族や亜人族の戦闘員の相手はヴォルフさんに任せて、俺たちはこの銃器を使って雑魚を一掃する。簡単に言えば、それが秘策です」
銃は一対多に強い。
ヴォルフさんに一対一を、残りの俺たちで一対多を。
「ほう。まぁ、ありっちゃありだな」
「いや、わしから一つ質問がある」
「はい」
「この——銃というものはまず、どういう武器なんだ?」
「あ、そうですね。お見せしましょうか」
確かに思えばあの瞬間に居合わせなかった獣人族もいるので、一度見せてみよう。
「じゃあ、ヴォルフさん。適当に近くの魔物呼び込んでくれませんか?」
「ん、了解だ」
そう言って森の中に消えていくと数分たらずで戻ってくる。
その後ろには勢いよく突進するイノシシのようなモンスターの集団。おそらく
その姿が見えてきて、周りにいた獣人族もゾワゾワとし出す中俺はとりだしたMG42を地面にセットしてベルトマガジンをはめ込んで、装弾を完了させる。
念のため、耳栓を着けた後、近づいてくる角魔猪の群れに照準を合わせ、残り50メートルに来たところでトリガーを一気に引き込む。
すると、
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッッ!!!!!!
と
皮膚を割き、肉へ減り込み、その後が線のようにつながって円を描く。一匹のはらわたから5匹目のはらわたまで。
「うぉおおおおおお」
「やば」
「うるせぇ」
「きゃ!」
獣人族のギャラリーの声もかき消し、弾がやがてなくなると——残り10メートルんのところで角魔猪はぐちゃぐちゃになって転がっていた。
「ふぅ」
「と、こんなもんで制圧できるんじゃないかと」
「「「「「「「「やべええええええええええええええ!!!!!」」」」」」」」
暑くなった銃身を取り出して、覚ましながら立ち上がって振り向く。
すると、ドワッと歓声が上がり作戦の本筋が決まったのだった。
☆ステータス☆
名前:カイト・フォン・ツィンベルグ(旧姓:カイト・ストルベ・クロスべリア)
年齢:13歳
職業:孤児
経緯:転生
スキル:博識(銃器のみ)Lv3、格闘術Lv3、思い切りLv2、性欲Lv2、妄想Lv1、脚力Lv1(New)
魔法属性:無し
魔法レベル:1(闇魔法のみ)
魔法:
名前:ユミ・フォン・ツィンベルグ
年齢:12歳
職業:孤児
経緯:貴族の捨て子
スキル:博識Lv2、潜伏Lv2、攻撃魔法向上Lv3、属性外魔法適性Lv2、思い切りLv2、探知Lv1(New)、防御魔法向上Lv1
魔法属性:光、火
魔法レベル:3(光、火魔法)
魔法:初級【
中級【
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