第48話「RPGとMG42とCHU」


 まず、強大だと分かっている相手には準備が必要だ。

 俺は武器で、ユミは魔法で——俺たち二人はまず自分たちの力の支えになるものを残り一週間で完成させることにした。


 ユミの方はこのエルーダの里に古くから伝わる魔法書を村長から借りて勉強を始めた。書いてある魔法はユミの適性ではない土魔法だったため習得にはそこそこな時間を要した。


 ただ、ユミには属性外魔法適性Lv2のスキルがあるので覚えられないわけではない。普通科それ以上の適性が付与されるので使えるのなら使えるべきだった。


 それに、今回の相手は大群。光の初級、中級魔法だけでどうにかできる数ではないので今のうちに範囲魔法を覚えた方がいいとのことで土魔法を覚えることに専念してもらった感じだ。


 まず、土属性初級魔法の振動アンダーヴァイブ。自分を中心に半径10メートルにいる敵の体を揺らし、動きづらくする魔法。攻撃性はないが身動きの動けなくなった敵を他の者に確実に葬ってもらう支援系のものだ。


 そして、土属性初級魔法の木々ノ刃リーフブレード。十枚程度の高振動した緑の刃を中距離にいる相手に連続で当てる魔法。攻撃力はそこそこで初級モンスターの皮膚なら簡単に切り裂くことができる。


 最後に、土属性中級魔法の地神乃壁アンダーウォール。高さ10メートル程度の壁を広範囲に展開させることができる魔法。攻撃よりも敵を誘導して一カ所に集めるために使われる戦略魔法の一つ。


 と使い勝手がよさそうな魔法を三つ。


 これにユミが元々覚えることができる火属性中級魔法の炎天ファイアーホールを含めた四つ。これらの使いこなし方をヴォルフと一緒に訓練してもらった。





 一方、俺は何をしていたのかというと新たな銃器の製造と防衛に向けた一人一丁の銃器の作製。


 まず、新たな銃器の製造というのは悪魔の使い戸の戦いで知った上級以上のモンスターの硬さを超える武器を作りたいというところから考え抜いて作ったのは二つ。


 一つ目は圧倒的な火力不足を覆すためのRPGの作製。正確な型番と作り方は知らなかったが今までの経験上から考えて似たようなものを作ることができた。有効射程は100メートルで中級モンスター相手に試し打ちをしたところ一瞬で爆散したので上級以上の相手にもそこそこな攻撃能力を持たせることができるだろう。


 ちなみにこれは10器作ったので俺以外にも他の獣人族の兵士たちにも配るつもりだ。


 二つ目は多勢に無勢相手にどう戦うと言うことで捻りだした銃器。

 古めかしいと言われたらそこまでだが、その性能は現代にも負けず劣らずの1942年のMG42(グロフスフ機関銃)を作った。毎秒25発という当時は世界最高の連射速度を叩き出し、連合国軍を懲らしめたレジェンド中のレジェンド。


 実際、この世界にはこれを凌駕する火力武器があるわけはないし、今の銃よりは作りやすく大量生産に向いていると踏んで20丁ほど準備した。これで毎秒500発の雨嵐を賊軍に食らわせることができる。


 ヒトラーの電動のこぎり様様だ。

 まぁ、今では汚名かもしれんが。



 あとはAKMも30丁ほど作って他の獣人族にも持たせたいし、乱戦になった時ようのナイフに、手榴弾、そして弾薬の作製だな。


 奴隷連合のやつらがここまで来るまでに色々と整備しながら作れるだけ作っていきたい。


 整備の仕方も押しえなきゃだから、大忙しの日々になりそうだ。


「なにそのごついの」


 俺が外で製造しまくっているせいか子供たちや獣人族のギャラリーに囲まれて色々と面倒なので特訓が終わったあとはユミにも見てもらっていたが。手の中にあるMG42と横にあるRPGを見てそう呟いた。


「ん、あぁ、これは機関銃と——ロケットランチャーみたいなものだ」

「ろけっとらんちゃー?」


 そうだな、この世界にそんな言葉はないか。


「簡単に言うとファイヤーボールの上位版みたいなものかな」

「上位版……」

「中級モンスターなら一瞬で爆散できる威力があるぞ」

「一瞬で、爆散!?」

「あぁ、これなら上級以上のモンスターにもそれなりに効くしなんとかなるだろうしな。これで俺はまた一つ強くなれる」

「すごいね……私ももっと魔法覚えないと」


 感心して、少し悔しくなったのか俯きながらユミはそう言った。

 

「いや、ユミも十分凄いよ。一人でよくここまで強くなってるって」

「それを言うならカイトもだし……」

「お、俺はまぁ――」


 +30年生きてるなんて言えないしな、どうしよう。

 

「——か、神様のお告げみたいなこのスキルがあるからな!」

「神様? カイトってストレーア教の信者だっけ?」

「いや、そういうわけじゃないけど」

「なら、うん。よく分からないけど……カイトはすごいよ」


 正直言い包められなさそうだ。

 ここは受け取っておくほうがいいかもしれない。


「ま、まぁな。ありがとう」

「うんっ。私も頑張るねっ」

「あぁ」


 少し笑顔を見せると俺の方に近づき、頬にチュッと一発。


 え、何?

 俺、何された?


「——え」

「ないしょね」


 内緒!? な、何が⁉


「ぇ、あぁ」

「じゃ、私も行ってくる」


 そう言ってユミは杖を持ち、ローブを羽織って去っていく。


 もしかして、俺って初チューされました、か⁉


 




☆ステータス☆


名前:カイト・フォン・ツィンベルグ(旧姓:カイト・ストルベ・クロスべリア)

年齢:13歳

職業:孤児

経緯:転生

固有ユニークスキル:創造レベル3

スキル:博識(銃器のみ)Lv3、格闘術Lv3、思い切りLv2、性欲Lv2、妄想Lv1、脚力Lv1(New)

魔法属性:無し

魔法レベル:1(闇魔法のみ)

魔法:収納クローゼット(初級)、煙幕スモーク(初級)



名前:ユミ・フォン・ツィンベルグ

年齢:12歳

職業:孤児

経緯:貴族の捨て子

固有ユニークスキル:無詠唱レベル2

スキル:博識Lv2、潜伏Lv2、攻撃魔法向上Lv3、属性外魔法適性Lv2、思い切りLv2、探知Lv1(New)、防御魔法向上Lv1

魔法属性:光、火

魔法レベル:3(光、火魔法)

魔法:初級【小回復ヒール通信メッセージ光剣ライトセイバー光矢ライトアロー光翼ライトウイング俊足スピード火弾ファイヤーボール振動アンダーヴァイブ(New)、木々ノリーフブレード(New)】

 中級【炎天ファイヤーホール(New)、中回復ヒーラー光輝剣エクスカリバー地神乃壁アンダーウォール(New)】

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