第15話 すべてバレてしまいました

『うっ、うめぇ・・・』


私の意に反して、私の口が勝手に動いた。


「なに、美由紀。いつものご飯じゃない。それになにその乱暴な口調。やめてよね、もう子供じゃないんだから。」

「ごめんごめん、ちょっと学校で流行ってるもんだから。」

「なにそれ、変なの」

「ちょっとトイレ」


私はトイレに駆け込むと悟に説教する。


「やめてよね!私の品性が疑われるじゃない!」

『すまんすまん、お前のおふくろさん、料理うまいなあ』

「まあね」

「みーゆーきー、なに一人でブツブツ言ってるのー」

「ごめーん、すぐいくー!」


「ほんとお願いね」

『あいすいません・・』


お風呂に入って天井を見上げる。

服を脱ぐ前に寺島君に視覚をカットしてもらった。あとは寺島君を信用するしかない。


「ねえ寺島君?」


私はそっと話しかける。


『ん?どうした?』

「ちょっと、小声で喋ってよ。」

『そうか、すまん。で、なんだ』

「今朝はありがとう。びっくりしたけど、ちょっとすっきりした。礼子たちのこと、私も実は結構腹が立ってたんだ。」

『そうか。もともと無理筋の八つ当たりだからな。』

「でも助かったよ。明日からまたどうなるかわからないけど。」

『そうなったらまた俺が助けてやるよ。』

「もう勘弁してよ。まだ少し肩の辺が痛いんだから。」

『あいよ』

「でもありがと。・・・私も寺島君のこと、悟って呼んでいいかな。私のことも美由紀でいいからさ。」

『ん。』


私は湯舟から上がって、身体を洗うことにした。


「そういえばさ、悟は視覚を私と共有できるんだよね?それから私の身体を動かすことができる。味覚も共有してるみたいだし。触覚とか・・・」


そこで私は気が付いた。今、泡をつけた手で胸の辺を洗ってる。


「ねえ、もしかして触った感じも・・・」

『・・・・・』

「悟?バカる?答えなさいよ。」

『・・・・・』

「・・・・・いぃぃぃやぁぁぁぁぁぁ!」


恥ずかしくて恥ずかしくてもうどうしようもない。


「ちょっと美由紀、どうしたの?!」


お母さんがお風呂に飛び込んできた。


「あっ、いやそのっ・・・変な虫がいて」

「えっ?どこ?」


お母さんは虫が苦手だ。私もだけど。


「もうどこかにいっちゃった。大丈夫だから!」


とりあえずお母さんを風呂場から追い出したものの、しばらくは動くことができなかった。

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