第11話 ミッションコンプリートなり!!

やった!俺はついにやった!

佐野の身体を自由に動かすことができた!


イメージとしては佐野の身体全体に俺の身体(?)が重なっている感じ。

さすがに佐野の考えていることはわからないけど、視覚や聴覚に加え、触覚や味覚もバッチリ。


何より、佐野のお母さん、メシウマです。ありがたいです。久しぶりに味わう料理がバリウマで幸せです。


佐野が風呂に入ったときは、まるで俺が佐野を洗っているようで・・・。


もう死んでも構いません。いや死んでるか??


昨日の夜にほぼ完成したのだけれど、今日の佐野の部活で完全に同化を会得した。

ようやく復帰して、早く感覚を取り戻したい焦りで、助走が早くなり角度も浅くて、エネルギーが横に流れているのがよく分かった。

少しだけちょっかいを出そうと思ったらそのまま身体を使うことができて、うまく助走のエネルギーを縦のエネルギーに変えることができたと思う。

俺がちょっかい出したのは1回だけだったけど、その後自己ベストを出せたみたいだし、良かった。


なにより、久しぶりに感じる焼けた土や風の匂い、太陽が肌を焼く感じ、水の冷たさ、なにもかもが素晴らしい!

やっぱり一度は死んでみるもんだな。


いやあ、清々しい朝ですなあ。

陽はサンサンと照り、草木は青々と茂り、セミはうるさく、そして少女の汗は美しい!

ただのくそ熱い朝。それでも俺にとっては久々の朝だ。


ウキウキした気分のまま教室に入ると、例によって佐藤礼子とその一団が佐野を睨んでくる。

本当に腹が立つよな。佐野に文句言ってどうすんだ。いい気分が台無しだ。


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