第6話 ピンチの時に登場するのが友ってもんよ
このところ、教室の空気がおかしい。当たり前だけど。
寺島君が亡くなって、なぜか美由紀が巻き込まれて、先日やっと退院した美由紀がクラスに戻ってきて。
クラスメイトが亡くなっているからどんよりするのはわかるけどさ。それ以上にクラスがギスギスしてる。
美由紀に同情する派と、寺島君が亡くなったことに美由紀にも責任があるんじゃないかって派に分かれて。
女の子を助けようとして(女の子はかすり傷で済んだらしいからそれは嬉しい)寺島君が撥ねられたんで、美由紀は巻き添えをくっただけで責任なんかあるはずもない。
まあ寺島君は密かに人気があったらしいから、女の子の一部はやるせなさを美由紀にぶつけてるだけで、あとはその取り巻き。
礼子がまたチョッカイを出している。
「美由紀、よく普通の顔して来れるわよね。」
「どういうこと?」
「どうもこうも、寺島君、亡くなったのよ。あなたもちょっとは責任を感じたらどう?」
完全に筋違いだ。とはいえ礼子だけじゃなくてその取り巻きや男どもに睨まれて、美由紀もタジタジだ。
「責任って・・私は偶然あの場所にいただけで・・・」
「だからまったく責任がないって言いたいわけ?」
こりゃいけない。声の大きい方が勝っちゃうパターンだ。
「で、美由紀にどんな責任があるっていいたいわけ?」
ここはひとつ『加奈子姐さん』の出番である。
「なによ加奈子、あんたには関係ないじゃない。」
「そうだよね。で、あんたは関係あるわけ?」
「あっ、あるわよ!クラスメイトのことじゃない!」
「じゃあ私もクラスメイトのことだから関係あるよね?で?美由紀に何の責任が?」
突然始まった鍔迫り合いに、やっと美由紀が口を挟んだ。
「ちょっ、ちょっと加奈子、礼子、やめてよ!」
ここでチャイムが鳴った。
「とにかく私はあんたを許さないから!」
礼子は美由紀にそう言い放つと、自分の席に向かった。
「とにかくあんたは何も気にすることはないんだからね。毅然としてなくちゃダメだよ。」
「うん・・・」
美由紀はうなだれながら席につく。
巻き込まれて、更に礼子に悪態をつかれたにしてもちょっと様子がおかしい。
まだ何かあるのかな?
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