第2話 生きているのか?死んでいるのか?

そして、声の響き方からわかる。俺は今、二人の会話を佐野美由紀の体内で聞いている。これって死んだことになるのか?


佐野美由紀。ごくごく普通の女の子。勉強も運動もそう悪くはないがトップクラスでもない。適度に友達がいて、家庭も・・それはよくわからん。

顔は・・割と可愛い。ケバい感じはなくて、ちょっと爽やか系。スタイル、割と良し。

おそらくクラスに一人か二人は狙っている男子がいると思う。

そういえば次郎が佐野を好きらしいって噂もあったな。


それにしてもこれはどういう状況だ?

どうもトラックに跳ね飛ばされた俺は佐野にぶつかったらしい。

そこまでは理解できる。


問題は今の状況だ。なぜ俺は佐野の中にいる?

ひと昔前に流行った「ぶつかって入れ替わった」系か?

入れ替わってないしなあ。第一俺はどうやら死んでるし。そのまま閉じ込められてるし。


どうやら佐野は佐野のまま、精神も身体もそのままのようだ。

俺の精神が佐野に取り込まれてる?そこで気が付いた。俺の元の身体はないが、なんとなくアメーバ状の身体があるような感じがする。胃にいるんじゃないよな。溶けてないし。

もしかしたら動けるかもしれない。そこで意識を全体に張り巡らせて動いてみることにする。

あっ、なんか動けるような気がする。


「あっ!」


おっとやばい、佐野が変な声を上げた。


「美由紀、どうしたの?痛い?先生呼ぼうか?」

「大丈夫、なんか胸の辺がムズムズしただけ。今はなんともないよ」

「先生は身体に異常はないって言ってたけど。痛かったらすぐに言ってね。」

「うん、わかった。」


危ない危ない。動くと佐野に気づかれる。佐野が寝てから少しずつトライだな。

一応物体としての存在はあるらしい。レントゲンとかに映らないのかな?


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