女子高生体内異物奇譚
栗北 花太郎
第1話 短い人生でございました・・・・?
目が覚めたら真っ暗だった。夜中に起きるなんて久しぶりだ。小便かな?めんどくさい。しばらく股間の様子を伺ったが、別に尿意を感じない。トイレじゃない。
ああ、まだ夢の中なんだな。こういう場合はそのまま眠ってしまうに限る。
・・・眠れない。こういうパターンは初めてだ。
そして俺は、今の状況が極めて不自然なことに気が付いた。
意識はしっかりしている。決して夢の中じゃない。それなのに灯りはまったくない。本当の暗闇だ。電灯のスイッチの小さな灯り、デジタル時計、窓からうっすら入ってくるはずの街頭の灯りもない。
なにより枕元にあるはずの電灯のリモコンに手を伸ばそうとしても身体の感覚がない。
意識だけがポッカリと闇の中に浮かんでいる感じだ。
昨日は何してたっけ?
俺は直前の記憶を探り始めた。
・・・俺、車に轢かれたわ。
車道に飛び出した赤い球と、それを追う黄色いワンピースの女の子、中型のダンプ、女の子の代わりに飛ばされた俺。断片的に映像が思い出された。最後に見知った子の顔も見た気がするけど、最後の心残りってやつか?
人間、死ぬ前に走馬燈みたいに自分の人生を見るっていうけど、そんなこともなかったな。
いずれにせよ今は死後の世界に違いない。十六才、高校二年、短い人生だったな・・・
それにしてもこの真っ暗な世界のままか?これから天国行きか地獄行きかの審判が始まるとか?
そうこうしているうちに声が聞こえた。
「みゆき!気が付いたの?大丈夫?」
俺は悟、みゆきじゃない。やっぱり夢?
「お母さん・・・私、どうなったの?」
「良かった!強く頭を打ったみたいで心配してたんだからあ!」
「頭・・ねえ・・ねえ、テラシマ君は?
寺島君?俺のことか?
「・・・亡くなったわよ。」
そこでなんとなく状況を理解した。この「みゆき」って呼ばれている女の子の声は、クラスメイトの、そして俺が多分最後に見た女の子、佐野美由紀だ。そして死んだのは多分、俺だ。
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