第7話 魔法②

「それでは 早速 魔法を使ってみるのじゃ。まずは手本じゃ。」

「火よ! 大地より呼び起こり 我が身前に 顕現せよ! ファイヤー!」


『やっぱりか? 中二病みたいな詠唱とポーズ うわぁ 引くわぁ』


「か・か かっこいいにゃ。」

エル姉は目をキラキラさせてじじ先生を尊敬の眼差しを向けている。

『ないわぁ やっぱりないわぁ。』

じじ先生は、今度は自分でやってみろと目線を向けてくる。


「ねぇ じじ先生 魔力操作とか魔法のイメージとかはないの?」

「なにそれ そんなこと聞いたこともないぞ。魔力は体内に元々あるから それを決めれれた手順で 自分の属性に合わせて 形にするだけじゃ。」

「へ?」


どういうことだろう。異世界転生ものでは定番の魔力操作やイメージはない?

体内の魔力を決められた手順で出すだけ?


「コツは・・・最初に属性を叫んでポーズを決め 最後に魔法名を叫んで手を向けることじゃ あと真ん中へんは自分に合わせて適当に決めるのじゃ。」


「は?」


しばらく じじ先生の説明を考え込んだ。要するに詠唱やポーズがコマンドの役目をしているのだろうか?そんなの格闘ゲーム≪波○拳≫と同じではないか。

『コマンド入力で魔法が発動するなら ダメだ コマンド入力苦手だ。』

なら コマンド入力を頭の中のコントローラーにあらかじめ設定したらどうだ。

まぁ 最初は恥ずかしいけどやってみる。


「風よ! 刃となりて巻き起こり我が敵を打ち滅ばせ カッター!」

キュイーーーーーン 

出たよホントに(笑) 

「ヤッター 成功だー これでぼくも魔法使いだー。」


前世は30歳童貞じゃないよ。結婚もしてたし 子どももいたからね。

ちなみに前世の奥さんもおっぱいがグフフフ・・・・いや やめておこう。

なんか思い出して泣きそう( ;∀;)


よし。このコマンドをコントローラーのAボタンに設定してっと

「ポチッとな。」

し~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ん。

出ない 何がいけない 理論上は合っているはず どうしてだ?

僕が2属性だからか? なら最初の属性だけは叫ぶか?


「風よ! ポチッとな。」


キュイーーーーーーーーーーーーン


成功だ 完全無斉唱ではないけど中二病は卒業します。お母さん。

ふと横を見ると エル姉とじじ先生がポカンと口を開けて驚いている。


「どうやったんじゃ そんなの初めてみたのじゃ。」

「教えてにゃ どうやったのにゃ。」


ゲームとかコマンドとかコントローラーとか説明できないので、その場は

かわいくあざとくウインクして乗り切った。


その日の午後は探検には行かずに 頭の中のコントローラーに≪サルでもできる初級魔法教本≫を片手にコマンド入力に夢中だった。


ちなみに土属性のエル姉は 完全詠唱で練習をしている。


「土よ! 礫となりて出てくるのにゃ バレットにゃ!」


詠唱に合わせて 招き猫のようなポーズをとっている。自分でやるのは嫌だけど

白猫娘がやっているのを見ると ほっこりする。 


 




 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る