第44話 くるなだって
・・・
新しく押しかけてきた魔女天狗クロージュさんに最初はやや不安だったけど
私たちの名前もまあしっかり覚えてもらって
よく考えると大人の女の人が家にいて
一時的にだけど風車の家もまあまあ安泰だなあ と思いました
それはそれとしてクロージュさんのかわいい?人形たちを
クロージュさんは元の棚の場所に戻したがっていましたが
もう棚は他の食器などでしっかり埋まっていて それでも戻したがっていましたが
ネロが正直に
「それがあると怖くて眠れない」というと
クロージュさんはショックを受けていたようだけど
渋々自分が選んだ部屋に
人形コレクションを並べることにしたようで一安心です
ここに住むとは言っていたけど、
基本的にクロージュさんは仕事で忙しい人のようで
家にいない日もけっこうあって たまに部屋に風が起こったと思うと
リビングで魔女がキスラを捕まえて撫でているのが
たまに目撃されるという様子であった
・・・
私は私で
聖セントラル中央魔法学園の中等部錬や私の寮舎を往復しながら
よくやってくる私は今日は風車の家の自分用の部屋のベッドで
日課の抜け殻作りをこなしていく
このままのペースでいけば
もうすぐ新しい饅頭マンが作れるかなあ
と思っていた
「タントン」
リズの部屋の扉に少し柔らかいノックの音が鳴る
「リズう」
特にノックに答えていなかったけど
そのまますぐ部屋のドアを開けて中に入ってくる
入ってきたのはアスラだった
作業の手は止まったけど
テチテチ入ってきたのがアスラだったので特に気にしていない
「どうしたの? アスラ、もしかして手伝ってくれるの?」
「ううん」
(なんだ そこは手伝ってくれないんだね)
「じゃあどうしたの?」
「あたし・・リズとリズの学園の大会、に出てみたいの・・」
いつかのお願いをするようなアスラ
「・・・」
(ああ・・そうなっちゃうかあ・・
やっぱり前のゲンゴとの訓練で触発されてしまったかなあ)
私としては出ないとは言っていたけど
でもアスラがこうやって出てみたいというのなら
実質お祭り行事みたいだし
余興の学園の大会くらいは参加賞くらいはしてもいいかなとは思っていた
私だってお祭りって聞いて
正直それに全く関心がなかったわけでもない
今までの私はそれを自分で体験してみたことがなかったから・・
(でもねえ・・)
「アスラが出てみたいのは分かったわ けどね・・
私は学園では魔法がろくに使えないから
本当に学生の中だと下っ端もいいところなのよ
参加者が多かったら書類選考ですぐ落とされるかもしれないわ
それでもいい?」
「リズはつよいのにダメなの?」
「まあ大人の事情ってやつね」
(学生だけどね)
「わかった・・ならそれでいいから一緒にでるう・・」
(うーん そうなるとちょっと困ったわね・・
なんだかんだ なあなあで大会には出るつもりは
なかったんだけど・・んん、ならば・・)
「じゃあ アスラちょっとこれ手伝ってくれる? もうすぐできそうだったの」
私は鳴き虫のセミを一匹掴んで上に持ちあげる
「うん手伝う」
アスラがベッドでその辺を歩いているセミを「ぐわしゃっ!」っと掴む
・・・
(合体・・!)
アスラに抜け殻作りを手伝ってもらったおかげで
新・饅頭マンが今日中に生産できるラインまでいけそうだ
そして饅頭マンのパーツ組み立てに入ったので
今までの作成パーツを取り出していく
(やっぱ ちょっと赤いわよね・・このパーツ)
これはいつか前にアスラが弱って手を怪我していた時にできたパーツだ
(まあ・・いいわよね 形はみんな一緒だし
今日はこれでちょうど一気に完成させられるから)
「ポン」
赤いパーツを織り交ぜて饅頭マンは完成に近づいていく
「・・そしてこれが饅頭マン3号よ」
テキパキと作業をこなして
ついに記念すべき新・饅頭マン3号が出来上がった
「(ドオオオオオン!)」
相変わらず逞しい
赤いパーツも混ぜたけど 姿は前と全然変わらない
普通に問題なかったね よかった
座って正面からみた饅頭マンは背が高くて
見上げるようでとても迫力がある
前回はこれが事故で倒れてしまって アスラたちを安眠させてしまったので
今回は即戻しておく
(シュイン)
手をかざすとあの饅頭マンの巨体が嘘のようにその場からいなくなった
(・・・)
しかし抜け殻のセミたちもそうだけど
こんなものどこに収納してるんだろうなあ
手の粘土からどっかにいってるみたいだけど・・
私の体の中とかじゃないよね 脳みそとか、胃の中とか、大丈夫だろうか
ちょっと自分の体をおさえてチェックする
「消えちゃった、 饅頭マン」
「中にしまったのよ ありがとう おかげで今日で完成までいけたわ」
最近ネロたちは飽きて手伝ってくれないからね
まあネロは学園の勉強があるからしょうがないけど
(さてと・・)
アスラに言われて大会にでることは承諾してしまった
だけど・・
それは大会に出たいアスラをだしに
この子に全部押しつけてしまっているように感じたのだ
(やっぱり自分が実力を本当に試したいかどうかよね
私自身がセントラルド武闘大会に出たいから参加する
そうじゃないと私の性に合わないし
他の本気の参加者にも失礼だわ)
(だから・・私も試したいものを持つわ)
「ねえ、アスラちょっといい? 明日ネロにも聞いてみるから・・」
・・・・
・・・
学園南のダンジョン前
「リズ またここなの? 好きだよね
まあいいけどさ大丈夫なの? 前回あれでしょ」
いつもの大きいリュックを背負って
頭にミスラとキスラが連結した状態でのせているネロ
(今ネロの身長を計ったら結構伸びていそうね)
アスラはネロの服を着ていたが 今日は動きやすいように
帽子などはつけていない
「うん ダンジョンの竜は、あれは進んで納得してもらって
もう大丈夫になったからいいのよ」
「そうなんだ ならいいけど」
リズはまた祠の脇のベダジュウ似の犬のような石像を足で蹴り飛ばして
スライムたちの変なテンションの歓声を浴びながら
リズたち一行で効率よくダンジョンに入っていった
前はリズだけが魔物と戦っていたけど 今回はスライムたちも自由にさせていた
奥まで行ってダンジョンの全体図も把握できたし
アスラは魔法のオーラ展開も徒手格闘もできるようになったし
ミスラたちもネロから習っていた魔法を精練してもらったらしく
このダンジョンにいる魔物程度なら特に苦戦せずに魔法で倒せるらしい
しかし・・
「ファイヤーボール!」
ミスラがちょうど襲ってきた虫の様な魔物に魔法を浴びせるところだった
見事な水魔法が飛んで行って
魔物は動かなくなって魔力の光がポシュっとでる
(うーん ファイヤーボールではないんだけど・・)
ミスラはネロがいうには ちょっと賢い子でいたずらぽくてめんどくさがりらしい
本当はふつうの詠唱でウォーターボールで発動できるけど
ネロの前で愛嬌でこういうことをする
(これなら少しなら この場を任せてもだいじょうぶかな)
(ならここでの用を済ませてこよう)
「アスラ、ちょっときて」
「なに?リズ」
アスラは手に纏っていた炎を消す
「あの竜のところに行くわよ」
「え・・・」
アスラはあの4つ頭の竜に初めて会った時 ひどい目にあったのを思い出したのか
少し身をこわばらせる
「大丈夫よ 私がいるから それにあの竜は手を出さなければ何もしないわ
それに前にアスラとお風呂の時言ったでしょう 一緒に謝るだけだから」
「・・うん わかった」
ネロに少しの間
アスラと私だけで奥の竜に会ってくるから ここで待っていてっていうと
ネロは少し悩んだ後 いいよっていってくれて
でもミスラやキスラはついてきたがったけど
リズがついていて少しだけだから大丈夫だよってネロがいうと
「こわくないよ・・」
一度アスラにすり寄ってから離れて
ミスラとキスラはその場でおとなしく待っていることになった
アスラと一緒に森を抜けて
地形が変わり例の土と岩石ばかりの土地になる
「・・・」
アスラは少し進むペース具合が遅くなったけど
「アスラ」
「・・だいじょうぶ」
歩みの速度を早めて進んでいく
・・・
・・・・
4つの頭を持つ巨大な竜のところにやってきた
今日は竜の住処の岩の影になるところからきたので
いきなり出会うかんじだ
岩の影に差し掛かったけど 影から竜たちの声が聞こえてくる
「ふふふ・・やってくる人間の気配がするぞ」
「ああ・・いじめさせてくれ」
「勇者が懲りずにまたきたか」
「お前は・・勇者か?(マイクテスト)」
あの竜たちは どうやらまだここで活動しているみたいだ
前は迷惑をかけてしまったから きちんと謝らないとやっぱり悪いよね
「こんにちは~」
巨大な4つ頭の竜の前に出て ひょいひょい~と姿を現していく私とアスラ
余裕のある感じから一変する竜の首たち
「!!!」
「ぬ・・お、お前は・・」
「は、はう・・まともでない人間だ」
「や、やめろ・・二度とくるなといっておいただろう」
「まて、くるな くるんじゃないぞ」
くるなといわれたので そこでしぶしぶストップする
(なんでだろう・・誠心誠意の気持ちで謝りにきただけなのに)
巨大な竜とはいえ前回とは全然違って慌てふためている様子を見て
身構えていたアスラは逆にぽかんとしている
アスラのトラウマが払しょくできそうな様子に少し安心する
・・
「なぜだ・・なぜ来たんだ? 証ならもうやっただろう
紛失したから再発行をしてほしいのか?」
(なんか お役所みたいだなあ・・証とか私は別に要らないけどね)
「いえ 前回 私があなたたちに迷惑をかけたでしょ? それで謝りに・・」
「お前・・話を聞いていないのか
二度とわしらの前にくるなといっただろう たしかにいったぞ
ここはお前のような人間が気安く来ていい場所ではないのだぞ」
「でも・・あなたたちはここで勇者の試練をしていただけで
なにも悪いことをしてこなかった善良な竜なんでしょう?
それならあんなことをしてしまって申し訳がたたないの」
「!!・・そうだワシらはなにも悪いことはしていないぞ
勇者をいじめたりもしていない あれは試練の内だからな
その昔 人間の町で悪さをしたことなんてないぞ・・!
むしろここに無理やり連れてこられた可哀そうな竜じゃ」
「そうだと思ったわ なら謝りにきてもなにも不思議ではないわよね」
「あ、ああ・・そうだな・・」
「ごめんなさいね 勇者でない人間が
あなたたちの試練をめちゃくちゃにしてしまう真似をして・・ この通りよ」
私は
「竜さん 炎をぶつけちゃってごめんなさい」
(ペコリ)
きちんと竜に謝ったアスラ
それをみて 少し安心したのか竜たちが気を取り戻す
「ふん・・わかればいいんだ」
「迷惑だと前にいったな 今も迷惑だ これだから下界の者は」
「気をつけろ あまり人間ごときが調子にのるなよ」
「お前の隣のチビはあのとき炎をワシに浴びせたものか
もっと心から謝れんのか」
「・・・・」
「・・・(スッ・・)」
アスラが両手を前に出す
「ぬあ、や、やめろ・・! 腕をおろせ 許してやる許してやるぞ!」
「いい謝礼だったぞ ワシは満足した」
「むしろわしらも無礼をはたらいたな」
「すまなかったな・・だから腕をおろすんだ」
「アスラ・・」
リズの声かけでアスラはスッと腕を元の位置に戻す
竜たちもホっと息をつく
・・
「ところで あなたたち無理やり連れてこられたっていってたけど
勇者の試練のための魔物なんじゃないの?」
「・・中にはそういう者もいるが わしらはそうではないからな
翼を封印されて縛られて ここで勇者の試練の協力をしている
いまいましいことだ」
「あなたたちって あんな魔法撃てるし頑丈だし結構強いんでしょ
自力でなんとかできないの?」
「ふーむ・・外に出るには少しばかり体が大きくなりすぎてな・・
もう少し魔力を高めるか、
魔力をスムーズに変換して上限値を上げられれば
縛りを解くことができるが
わしらをここに縛った勇者は
その余剰分が機械やダンジョンに流れるようにしたから足りないのだ
忌々しい・・ぬ だが勇者の顔を思い出せんな 齢かな
とにかく機械はわしらでは攻撃できない縛りだし
ダンジョン中枢としっかりつながっているから他の者でも壊せないのだ」
「ふーん・・」
(どのみち この竜たちに謝礼の気持ちとして
そのままでなんとかなりそうだなあ・・)
・・
リズは提案する
「ねえ あなたたち 縛りを解いて自由になりたいと思わない?」
「な、・・・そんなことが」
「乱暴な娘よ あの機械を壊すつもりか? 再生するから意味はないぞ」
「だが自由は魅力だ・・」
「ふむ・・」
「じゃあ・・これ はい」
リズは手のひらを上にあげると
「(ドオオオオン!)」
昨日作りたての新・饅頭マンをその場に召喚する
普段は逞しい饅頭マンだが この巨大な竜たちと並ぶとさすがに見劣りする
(いっておいで 饅頭マン)
「な、なんだそれは お前なにを出したんだ」
「やめろ こっちに来させるな そんな得体のしれんもの」
逞しい饅頭マンの歩みから じりじりと後ろに下がる巨大な竜
ちょっと面白い
(あっ、しまった これも向こうから見える設定になってた
もともと話していて見えないように饅頭マンを接近させて
タッチダウンさせようと思っていたけど 想定外になって油断していた)
「それにあなたの体の一部が触れると・・自由になれるわ」
(まあ嘘は言っていない 魔力の流れはちゃんとスムーズになるのだろう)
「じ、自由だと、お前そんな抽象的な言葉で・・」
「この世から自由にしてくれるのか」
「だ、だいじょうぶなんだろうなこれは」
「大丈夫よ 安心して」
(あれ・・?)
ここでリズは気が付く
今まで後ろ側が見えてなかったから気がつかなかったけど この饅頭マン・・
「 」
(背中の小さい羽が赤い・・)
あの赤いパーツのせいだろうか
作ったときは正面しか見ずに すぐに私の中にしまってしまったから
後ろの羽までは気が付かなかった
そんなことを思っているうちに饅頭マンは竜にタッチして張り付く
(がっし)
今回は竜の前足に張り付いたようだ
「ぬ、ぬう・・なんだこれは・・」
(あれ 今まで饅頭マンにしがみつかれた者は
タッチダウンで即安眠していたのに・・
この竜はだいじょうぶそうだ 体の大きさや元の存在の格によるんだろうか
大きいもんねこの竜)
その時
「「 」」
私の中に饅頭マンによって寄生に成功した、この竜の魔力がやってくる
「ズオオオ・・!!」
(うお・・これは・・・)
この竜 思った通り けっこうすごい
それにやっぱり魔物の魔力は私にとって相性がすごくいい
この量なら私でも試すだけの魔法を出力することができそうだ
もしかしてオマケでこの4つ頭の竜の名前とか分かっちゃうかなと思ったけど
完成した饅頭マンは寄生力特化型のようで
名前が分かる機能はなくなっているらしい
お兄様やアスラたちが対象だった時は
事前にわかっていたから気にしていなかったけど
でも少しの変化でも能力が使えなくなってしまうのなら
名前が分かる力っていうのは案外繊細な能力だったのかもしれない
いやでもあってもなくても別に役には・・
いや考えるのはやめとこう
・・・
その直後にちょっと異変があった 私の方じゃない
「アスラ・・!?」
胸を抑えているアスラ
「うう・・・」
(これは・・アスラにも あの竜の魔力が流れてる・・?)
心当たりはすぐに浮かんでくる
あの赤いパーツ 饅頭マンのあの赤い羽根
(だけどそれで寄生魔法を持ってる私じゃなくて
アスラにも魔力が渡るなんて・・)
そこまでは予期していなかった
せいぜいあったとして饅頭マンの一部の機能不全くらいかと思っていた
「大丈夫・・?アスラ」
「うん・・だいじょうぶ」
大事ではないみたい でも一応抱きよせておく
アスラの体は熱い
一方の寄生された竜たちにも変化があったようで反応を始める
「ぬ・・これは・・魔力の巡りがはやいな・・」
「魔力が抜けたような感覚があったが 機械から余剰分が戻ってきたぞ」
「なるほど・・これなら縛りを破れるやもしれぬ」
「縛りを破れるワシらにもう恐れるものはないということか・・!」
・・・
どうやら饅頭マンの寄生は
体が大きい竜たちにもしっかり効果はあるみたいだ
「・・どう? 自由になれる感想は?」
「ああ・・まさかとは思ったが感謝しておるよ」
「だが・・わしらを自由にさせてしまったようじゃな」
「ふふふ・・力があふれておる 今なら何者にも」
「くく・・勇者に翼を封じられて こんなちんけなところに捕らえられるまでは
わしらはそこそこ名の知れた竜だったのだ・・!今こそ我らの威光を・・!」
「そう 例え そこの邪悪な勇者でない娘といえども・・」
「・・・・・」
ズズ・・(装甲をまとったおぞましい機械と化し邪悪な波動を放つリズの腕)
(パキン・・!)もらったテイマーの腕輪がはじける音
「・・・・」「・・・・」「・・・・」
・・・
「いや・・気のせいじゃった」
「いやあ 自由になれるのは素晴らしいのう」
「わしらは善良な竜じゃからな」
「そう・・よかったわね」
(ああ・・テイマーサークルのできる先輩にもらった腕輪が
はじけ飛んでしまった)
「ところでこれは・・どうなるんじゃ」
竜の頭のひとつが前足にくっついた饅頭マンのほうを見ている
まあ明らかに異物よね
気になっている様子
「ああ それは気にしないで 消しておくから」
リズがそういうと饅頭マンは不可視状態になり 姿だけがフッと消える
「消えたぞ」
「だいじょうぶ 効果はそのままだから 気にしないで」
「そういうものか」
「そういうものよ」
「でもあなたたちって
自由になってもこのダンジョンからどうやって出るの?
その体でしょ?」
「ワシらはこのダンジョンにいる魔物とは違って
ダンジョンの中枢に相応の魔力を捧げることで移動はできるはずじゃ
多少手間は割高ではあるが
昔はそれで人の町へ・・いや、これは何でもない
まあまだ思いつかんから しばらくはここにいるとしょう」
「ふーん」
「ねえ 竜さんたち」
体調が戻ったアスラが口を開く
(アスラ・・?)
「あの一番大きな光る炎を・・見せてくれない?」
「ん・・それはメテオライト・ファイヤーのことか?
まあ今なら機械からではなく ワシらの直接詠唱でうてるぞ」
「ちょうど力を試したかったところだ
自由になれる礼に一発なら撃ってもかまわない」
「ちょっと・・あなたたち こっちにうっちゃだめよ」
「ちっ・・わかっておるよ」
(あっ 今ちっって)
「見せたらもう二度とくるなよ お前たち」
アスラの目の中の光
あのときリズは一人でもこわい竜と戦っていて
あたしはただこわくて怯えて自分で動けなくて
ミスラとキスラに運ばれて後ろに映るその光を見ているだけだった
真っ赤な光の太陽
こわくてこわくて でもずっとみていた
「ゆくぞ」
「
今は別に怖くない
それをずっと立って見つめている
その真っ赤な炎の太陽のような丸い光が
アスラのまん丸の目に爛々と映って揺れていた
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