第31話 てへ
「リズ・・本当にやめてよ・・リズが変なのはわかってたけどさ・・
僕は寿命が縮まったよ・・」
突如 部屋を敷き詰めて動く大量のリアルな抜け殻を見て 腰を抜かしたため
リズのベッドで横になって寝ているネロ
なお今もベッドには大量の抜け殻はあったが
見えていないか よけているだけだ
大量のセミに看病されて見守られるように
かわいそうなネロは休んでいる
ああ可哀そうに まだこんなに小さいのに こんなものを見せつけられるなんて
いったいだれがこんなひどいことを
私は毎日みてるから正直慣れたけど・・
なにも知らない状態であれをみたら即倒すると思うわ
私とかベッドの上でセミを合体させるのに効率を求めて
すぐ取れるように自分で自分の体にたくさんセミの抜け殻つけてたわ
(はっ・・)
なんなら私 口からセミとか垂れてたと思うわ
ああなんということなの こんな偶然ってあるのね
偶然にもそんな私をドアップで見てしまうなんて
しかも 私の魔法のことを信じてるって
そう 信じ切ってるかんじの目をしていた
何が起きても私の事 信じてくれるって
ん?じゃあ大丈夫なのかな
なにが起きても信じてくれたよね
そう たとえ私の体から私の周りから超リアルなセミの抜け殻がたくさん
シャカシャカうごいているのが見えたとしても
・・・
(あらま・・)
部屋の中はけっこうカオスになっていた
ネロが倒れてベッドで寝ている横でスライムが跳ねていて
そのわきに大量のよけたセミの抜け殻たちがいて
もちろん部屋のどこかしらにも抜け殻は歩いていて
そこにもスライムたちは始めは自分たちより体の小さい変な虫を
警戒していた感じだったけど
そのうち自由に跳ね回ったり抜け殻を追いかけ回したりしていて
そんな部屋の中を
体中セミの抜け殻だらけのわたしはベッドの脇で座って
しみじみと部屋の惨状を眺めている
まあ8割がた 私はこの光景が最初から見えていたけど
冷静にみると慣れって怖いものよね
寿命が縮まったネロに事情を分かってもらうために
この寄生魔法の説明をするとネロは少し納得してくれたようだった
いや寿命が縮むようなことに事情に説明して
分かってすんでしまっていいのだろうか
ええいいのです
・・・
時間がたってちょっと元気を取り戻したネロ
「ふーん そうだったんだね
いや僕も虫が苦手ってわけじゃないんだ
これもよく見たらかわいい?し・・
だけど限度っていうものがね・・びっくりして・・」
「ごめんね ネロ・・」
「うん いいよ それでリズは毎日これを作っていたんだね
いや、リアル・・うん リアルだね・・」
ネロは抜け殻をつかんでまじまじと見ている
え?ネロ触ってる 見えるようになったらついでに手にもてちゃうの?
なんかまた要検証だけど いまはもててるってことでいいか
「セミが逃げちゃうんだってね
こうやったら僕でも手伝えない?ほら」
ネロは掴んだ抜け殻を私の方に向ける
「あっ・・いけるかもしれない ネロ、手そのままにしておいてね」
「うん」
「合体・・!」
合体の意思を見せた途端に逃げようとする抜け殻たち
だけど今回はしっかり固定されてる
ネロとしっかり手を合わせる
「できた・・!」
(コロン・・)
「合体したらこうなるんだね」
「うん」
「あっスライムたちが」
なんとスライムたちが抜け殻をもっている
手はないから持っている?ってかんじだけど
まず赤色のアスラが追い回してつかまえた抜け殻をかかえてやってくる
「手伝ってくれるの?」
(ピョンコ)
赤色のアスラは一回跳ねる(たぶんOKなんだ)
「じゃあ少しだけ動かないでね」
そういってセミが逃げ出さないうちに素早く合体体制にはいり
合体させる
赤色のアスラにタッチする
「合体!」
赤色のアスラとの合体はあったかい感じ
またパーツが1こ コロン!とできた
(おお・・)
これはけっこう効率が前と比べていいかもしれない
水色のミスラとの合体はひんやり
ミスラはけっこういたずらな子
黄色のキスラとの合体はピリッとくるかと思ったけど まあ普通だった
キスラは動きが素早いから活発なのかなと思ったけど
よくミスラにくっついていて普段はおっとりとしていておとなしい子だ
みんなでかなり手伝ってくれてガンガンパーツができていく
そして・・
「最後にこれを合体させて・・」
テキパキと作成したパーツたちを掴んだ手を動かす私
最終パーツたちは逃げないので ネロたちは何もせず成り行きを見ている
「これが・・饅頭マンよ・・!」
(ドオオオオオン!!)
最近 後回しにしていて拝めなかった念願の饅頭マン2号が出来上がった
私をゆうに超える身長
まんじゅうを縦にしたようなずんぐりとした胴体 頭はない
サイのように屈強な足での二足での自立 それに負けないふとましい腕
胸に謎の黒ゴマ5つ
背中にはとってつけたような小さいセミの羽
「・・・・・いやあ すごいね なんというか 立派だね・・」
若干どころでなく引き気味のネロ
まあ私も最初は引いたレベルだからね・・見せるか迷ったわよ
スライムたちはよくわからないのか
立派な饅頭マンの生誕に飛び跳ねて喜んでいる
「これで寄生するんだよね リズは誰に寄生するの?」
「うーん まだ決めてないけど 魔力が高い人がいいかなって
学園でいい人見つけたら寄生するかも」
すごい嫌な会話内容だなあ
「でも私じゃ どのみち魔力生かせないんだよね・・
今の魔力も操作しにくいから生かせてないし」
「ふーんそうなんだ」
(結局最後までいってしまったけど念願の饅頭マンまで作れて満足・・
でもその分結構 夜遅くまでかかってしまったし
ネロもスライムたちも付き合わせてしまったね
今日はそろそろ お開きにしよう)
「今日はありがとうね 付き合わせてしまって
そろそろみんなにも休んでほしいからこれで解散しましょ」
「うん そうするね」
・・・
だけどそこでちょっと忘れていたんだ
今の抜け殻たちは見えるように触れるようになっているままだ
そう あの完成した饅頭マンも
饅頭マンは作ったその時の状態でベッドの上にいた
それをネロがベッドから降りて
私もベッドから降りようとしたときにベットの上のバランスが、
崩れたのだ
(え・・・?)
そのまま饅頭マンはその巨体をゆっくりと倒して
(グラ・・)
ちょうど通りがかったネロのほうに・・
ではなく さらにバランスが崩れて
「ベタアアン!」
ベッドの下の方で今は寄り添って遊んでいたスライム3匹の上に
饅頭マンが倒れこんでしまった
「ああっ!!!!」
「スライムたちが!!!」
「ピピ」「キュ」「ピア」
倒れかかった饅頭マンの効能でスライムたちが一足先に安眠してしまった
「ど、どうしよう 饅頭マンがスライムに寄生してしまったわ!!」
「・・見た目はあれだけど リズがいうにはこれは寄生されただけで大丈夫・・
なんだよね?」
「そのはず・・だけど・・」
そのときリズの中に寄生した魔力が入ってくる
(え?これ・・)
(スライムたちがもってる魔力はわずかだから入ってくるのも
わずかだけど・・これは・・)
(相性がいい・・)
(どういうこと?人の魔力は全然合わないのに魔物であるスライムたちの魔力は
私と相性がいいだなんて・・)
「!!」
やってきた魔力に気を取られていたけど
饅頭マンの様子がおかしい これは・・
(ニュニュ~・・)
(ええ!)
饅頭マンが3匹のスライムに合わせて3体に分裂してしまったのだ
その分 体の体積は小さくもなっている
だけどそれでもスライムたちの体より饅頭マンの方がゆうに大きいため
キュートなスライム3匹を今日ペットにしたはずが
立派なミニ饅頭マン3体がペットになってしまったような感じになってしまった
こ、これは・・
「リズ・・こ、これ・・」
ネロが絶句している
「ど、どうしよう・・」
リズは頭を抱えていたのだった
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