第30話 スライムたちの行方
「ええ このスライム3匹ともここで飼うの?」
ダンジョン探索から帰っていったん ネロたちは風車の家に帰ってきたのだった
リズは自分の寮舎にはすぐには戻らないみたい
「だって私の寮舎はたぶんペットはダメだもの
まだ聞いてないからわからないけど」
「ペットって・・まあそんなもんか
まあいいけどね この家だってリズが持ってるものだからね」
「え、ここはネロの部屋じゃない 家だけど」
「オジキからの権利の木板はリズに渡されたからね
僕はありがたく住み込んでるだけだよ」
ああ確かにそうだったなあ
たぶんオジキがその時は私とネロが一緒にいたから
私の方が保護者扱いだったのかもしれない
「ふーんそうなんだ じゃあ私も使っていいのかなこの家」
「広いし部屋はたくさんあるから別にいいよ気にしなくて」
「そっかあ じゃあ今日は疲れたから泊まっていくわね
は~きつかった 服の胸のところだるんだるんになっちゃった
替えないとなあこの服」
だるんだるんになったシャツをパタパタしているリズ
・・・・
・・
その少し前
ダンジョンから帰るやいなや ネロの住む風車の家の中に
「ポーーン!」
服の中に詰めたスライムを放流していたリズ
リズの胸の中はスライムたちもきつかったようで素直に放流された
頭にくっついていた赤いやつは離れないので無理やりとって
その辺に投げ込んでいた
けどすぐにリズのところにピョンピョン戻ってきた
ちょうど3匹集まっていたからそのときに名前をつけたんだ
拾っちゃったからね
水色のスライムが見えたから適当に摘まみ上げる
その様子をネロがちょっと離れから見ていた
「君の名前は・・水色のスライムだから・・ミスラ だね」
ネロがちょっとガクっとなってた気がするけど気にしない
水色のスライムはプルプルしていた 多分喜んでる
次に足元にいたこっちの黄色い色のスライムをじっとみながら
「君は・・黄色いスライムだから・・ キスラ かな」
ネロはああそういう感じなんだって顔でみている
黄色いスライムはちょっと跳ねていた たぶん喜んでいる
最後に放り投げられても戻ってきて
リズの膝の上にいた赤い色のスライムを見て
「君の名前は・・あっ、ちょっとジュース飲んで考えよう
ネロちょっとそれいい?」
「え、 リズって考えてたの? はいこれ」
リズにネロから持っていた冷えたジュースが手渡される
これはりんごジュースだ
「え、失礼な 考えてたよ 今度は素敵な名前にする
ネロは知らないかもしれないけど私は昔から名前をつけるのが得意なんだよ?」
「ふーん」
「あ~やっぱ探索後はおいしいわ~」
リズがりんごジュースを飲み終わって フ~っと一息ついて
今度は赤い色のスライムを両手で包んで持って
「君の名前は・・・・・・赤いスライムだから アスラ 」
(リズ・・やっぱりそうなんじゃないか!)
でもそう呼ばれた赤い色のスライムはピョンピョン跳ねていたのだった
・・・・・
食事やお風呂なども済ませ
リズは部屋の中にいた
リズは風車の家に前から荷物の日用品などを持ち込んで置いていたため
高級なものとかはないけど簡単な着替えなどは用意がある
ネロにお願いして
ベッドが一番フワフワで大きい部屋をリズ用にあてがってもらっていた
そこで今日のライフワークであるセミの抜け殻作りに勤しむ
今日はコマンドの感覚というか全体的にいい収穫を得ることができたから
とことんいい収穫を目指す
今日はぐっすり寝られるはずだ
「・・・・」(よおし)
とことん突き詰めてベストのいいものを目指すなら
今日はもうちょっと頑張って戦わなければならないだろう
・・
リズは頭を寄生セミの抜け殻モードに切り替える・・
(いやなモードだ・・)
しばらく黙々と手作業をする
「左手にセミの抜け殻キープ号」
「右手にセミの抜け殻そのキープ号」
「合体・・!」
が、逃げる キープ号
(シャカシャカ)
その隙をついて逃げるもう一方のキープ号
(シャカシャカ・・)
とんでもない不良魔法スキルである
(うーん 合体できないわけじゃないんだけど
ものすごい暴れて4回に1回くらい逃げちゃうんだよね
この一番やりやすい方法でも)
逃走したセミの抜け殻たちが すでに部屋のその辺を何体も闊歩している
一度逃走した個体は呼んでもふてくされて
しばらくは帰ってこない
・・
「コンコン」
リズの部屋に小さくノックがされる
「リズ、ちょっといい?」
「ネロどうしたの?はいって」
「これ・・」
(プルプル・・)
そこにはネロの足元に赤色のスライムのアスラがいた
ネロの頭には水色のスライムのミスラがのっている
肩にも黄色いスライムのキスラがのっていた
「あら・・ネロって なつかれてるのね」
「いや・・まあそうなんだけど ミスラとキスラは
僕と一緒にいたんだけど さっき通りかかったら
この赤い色の子がリズがいる部屋の前にいたんだよね
それで入りたいのかなって」
どうやら入りたかったのか赤色のアスラは部屋の中にピョンピョン入っていく
「あっ」
「まあいいわ ネロもはいってくる?」
「え、いいの? 何かしてたんじゃないの?」
「ええ作業はしてたわ」
「・・ん? なんの作業してたの・・?」
(あ・・・寄生魔法でセミの抜け殻を量産してました なんて
バーゼスお父様にもいったことなかったなあ)
(ネロにはもしかしたら見えるかもって思ったけど
こっちの魔法スキルは秘蔵性が高いみたいね)
「ああ・・うん 私の魔法・・なんだけどね ちょっと特殊なの」
「普通の魔法じゃないってこと? 練習? リズの体術のこと?」
「そうじゃないわ これ・・見える?」
セミの抜け殻をてきとうに手に持ち それをネロにむけるリズ
「ううん、なにもみえない リズの手だけ」
(やっぱみえないよね)
「ここにね 抜け殻があるの セミの抜け殻 私が魔法でつくったの」
・・・・
「 ええ・・」
困った・・って感じのネロの顔
(やっぱちょっと困っちゃうよね・・)
「ほ、ほんとうよ ほんとにここに、あるの・・」
少し悲し気なリズの顔
「うん、信じるよリズ・・ それってどうしても見る方法はないの?
絶対他の人にはみれないっていうこと?」
そういえば他の人が見えないっていうのは
今までの反応からみたもので受動的だった
つまりこの魔法は見えないものなんだって自分で納得してそれ以上
その先を追わなかった
だって新機能がなかったわけじゃないもんね
最初ら辺に1回つかってからは使ってないけど
「ファンシーモード」っていうリアルな抜け殻をデフォルメして
かわいく見せる機能があったもんね
あれはどう見ても他の人の目向けの機能だよね
まあ私はリアル本格派だから これからもデフォルメに逃げたりはしないけどね
(( ※リズはこれからも変わらず本格派です 虫が苦手な人は
勝手にファンシーモードにしてお楽しみください ))
でももしかしたら着色とか見えるように「切り替え」とかできたりしてね
これが受動的でない自分から求めていく積極的な視点
その視点でリズは再度この寄生魔法をよく見て確かめる・・
「あっ」
(人から見えるようにする on /off)
ああこれは大きな進歩 見えるように実はできたなんて
デフォルトはオフなのね
え でもよく考えたら別に見えるようになってもいいことなくないか
この魔法って こんな超リアルで普通より遥かにでかいセミの抜け殻
普段見えないから許されてるようなものなんじゃないのか
(カサカサ・・)
あっ、ちょっとネロに1個のぼっていってるよ 勝手にのぼるなよ
もう何だこのセミ
個別だよね たぶん個別でオンオフできる 何事も信じなさい
私を信じるのです
よし
on/off
↑
カチリ
リズから何やら波動の感覚がとぶのを感じる
(ああよかったあ
これは1個1個 個別でオンオフできる そう感じた でも・・)
(初回は・・手加減ができなかったね・・・)
「う、うわああああああああ!!!!」
夜の風車の家にネロの全力の悲鳴が響いたのだった
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