第27話 謎の奥地と不思議のお饅頭
「(感じる・・)」
リズの中から
前に馬車にのっていて襲撃されたメーリスの山の森で
近くで魔物と相対したときのような
自分の体の中が渦巻くような熱さをかんじる
(今ならつながれる気がする・・イヴの力と)
(あの穴の先・・魔物がいるっていうの?)
あそこは確かに行き止まりの壁だった
だけど今はそこにぽっかりと開いた入り口が見える
自然とそこにもうあったようにその入り口は存在していた
「スッ・・」
リズが手に持っていた制覇の証の紙をみると赤い印の部分が消えていた
(この石像をどかさないと
この入り口が見えるようにならないのかしら)
「(還らずの、地・・)」
・・
「リズ・・あれ この先に進めるようになったのかな」
「ネロはここで少し休んでいていいわ 私 少し見てくるから」
「ええ 危ないよ だってここで終わりなんだよ このダンジョン
あの穴・・ここから先があるなんて・・」
「大丈夫、ちょっと私の力も使えるみたいなの 危なかったら戻るわ」
リズは少し腕に力をいれて
金属化したものがまとわりつく右腕をネロにかざしてみせる
(リズ・・なにか邪悪なものが見えてるよ・・)
「・・じゃあ 僕も行く 」
そういって尻もちをついていたネロは 大きな荷物はそこに置いたまま
体をリュックからスルリと引いて
身軽になると後ろに回ってリュックを漁ってから何かを取り出すと立ち上がる
「なにそれネロ」
「これは・・木剣だよ 杖はもう僕のポケットに入ってるから
もしかしたらこの先で魔物がでるかもしれないから」
「荷物は置いていくの?」
「いや荷物も背負うよ 持っていく」
「それだと大変じゃない?」
「少しだけなんでしょ なら頑張るよ」
「そう?わかったわ」
荷物を再びネロが背負って冒険の準備を整えると
意を決して
現れた新しい穴の先にすすんでいく
・・・
(コツーン・・)
進んだ穴の先はしばらく広い洞窟になっていって
洞窟によくあるような大きな長い鍾乳石がいくつもぶら下がっていた
「なんだろうこれ・・」
だがこの変な空間の鍾乳石の石柱はよく見るとただの石柱ではない、
何かの不気味な大きな虫の足のようなものが
入り組んで混ざっているものがあって
それも天井から石柱に混じってぶら下がっている
「化石・・?かしら・・?」
「 」
洞窟はその化石のような虫の足がぶら下がった向こうの石柱の先からは
岩壁に何本も大きく爪痕を引いているような空間になっていて
その岩の爪痕の流れがねじれるように渦のようになって
洞窟の奥地の先の方に集まっていっている
ここで一体何が起こったらこんな風な形になるのだろう
(変な地形・・
ここにとんでもなく大きな力がかかってねじれた跡みたい・・)
その爪痕のうずの先には
ぼんやりとした洞窟の出口の光がチラチラと見えていて
少し湿ってうす暗い岩盤の足元に気を付けながら
そこに向かって歩いて進んでいく
・・
その出口辺りに近づくと
「これもなんだろうね」
「なにかしら」
(( ))
出口の向こう側からの不思議な光が差し込んでいる穴の
少し手前の横
そこにはその洞窟の出口前を見張っているように
リズの胸の高さくらいある古そうで竜のような顎の大きな生き物の
遺物のような石像があって
その竜の大きな顎が奇妙な丸みを帯びた謎の石碑のようなものを
石像なのに妙に質感があるような長い舌と挟んでがっちり咥えていた
「ふーん・・」
(コココ・・)
その竜に咥えられた丸い形の石碑の全面に
なにかビッチリと漢字体を崩したような象形文字のようなものや
絵文字のような文字が刻まれていたけど
この国の言葉じゃなくて私には全然読めない
少し影のかかった石碑の側面部や裏の方までビッチリとその文字が刻まれていた
これもちょっと不気味だ
「ほら これはきっとこの場所は危ないから
ここで戻りなさいって警告が書いてあるんだよ
この絵文字なんかきっと凶悪なモンスターの絵だよ」
たしかに何かに囲まれたような4つの首の長いモンスターに
見えないこともない文字があって
その中のぼんやり光る文字をネロが手で触れると
一瞬ぼうっと文字が消えて
「わっ・・」
少し驚いたネロが手を離すと
また文字は元に戻って発光している
特になんともはないみたい
でもネロはどうやらもう帰りたい様子
まあ小さい子が帰ってこなかった還らずの地とか言ってたし不安なのかも
「ネロだいじょうぶよ ネロが小さくても私がついてるから帰れるわ」
「わざわざ小さいって言わなくてもいいよ・・?」
・・
結局読めないものは読んでもしょうがないので無視して先へいく
そうして竜の石碑を越えて
渦巻く穴の光の向こう側へくぐっていくと
・・・・
・・・
(( ))
「・・!」
そこは洞窟とはうってかわって
ところどころ ひらけた草原もある森の中になっていて
それまで洞窟の中だったはずなのに太陽があって 空があり明るかった
だけど風が全くなくて見えている空には雲も全くない
だからなのだろうか、
やたら景色はさっぱりとしている
外の空気とは違和感があって夢の中のような異世界感があった
「なにこれ全然ちがうね さっきの洞窟の雰囲気とは
空に太陽があるわ
もしかして普通に洞窟から外に出ちゃった?」
「いや、これは完全にダンジョンの中だね・・
そのダンジョンの力によって内側は異なる世界が構築されてるんだって
あの太陽はダンジョンを構成する世界そのものを照らす光だから
ダンジョンの異世界にも
外の太陽じゃないけど太陽みたいな星はあるんだよ
洞窟のところとはまた別の空間につながったのかもしれないね
どうするリズ? 見たし帰る?」
ネロは怪しいダンジョンの中を一目見たのでもう帰りたそうだったけど
「せっかく来たなら もうちょっとだけ見てみようよ」
「あっリズってば」
・・
そういってリズは森はさけて
少しひらけたダンジョンの草原をもう少し奥に歩いて探検がてら進んでみる
(・・・)
「・・なかなか魔物っていないものね、
ダンジョンっていうなら もっとわらわら出てくるものかと思ったわ」
「いやそんなに出てきたら怖いじゃん 何にもいない方がいいよ」
「そう」
すると
「あっ・・あれ!」
(はむはむ・・)
そこにはちょっと大きくてキュートな野兎がいた
食事中なのか地面に生えた草をはむはむしている
「見てネロ かわいいウサギがいる」
「!あれは・・ウサギだけど ウサギじゃないよ
「ハーフラビット」れっきとした魔物だよ あれは
やっぱり魔物がいるんだね・・
でも学園で見た図鑑に載ってるのより
成体なのに見た目が小柄というかちょっと姿が違ってるなあ・・
どうなってるんだろう
でもあれは学生向けの初心者のダンジョンでもでてくる魔物だよ」
「あれでも小柄なんだね 近くで見たいなあ・・」
見つけたハーフラビットに好奇心で近づいていくリズ
それを制止しようとするネロ
「まって 遠距離から魔法を・・
あんなのでも一応魔物なんだよ・・ああ! リズ」
「!」
そして無遠慮に近づいてくるリズにハーフラビットが気が付き
食事中の草をはむはむするのをやめる
(ズイ・・)キラーン・・!
すると突如として
その見た目にあわない隠していた発達した牙をむき出しにして
「ガルル・・」
威嚇をしてきたかと思うと様子が急変して
まっすぐにリズに飛びかかり・・
「えっ!」(腕を振りぬくリズ)
「(ブシャアアア!)」 (謎うさぎハーフラビットの体が爆散する音)
それをじっと見ているネロ
「・・・・。」
(・・・)
「いや・・襲われたから・・」
「いや・・そうじゃないけど・・やっぱり リズは戦えるんだね
あのゴブリンを見たときから ちょっと思ってたけど・・
ふだんリズは魔法もなくて丸腰だから もし魔物がいたらどうしようか
僕が剣や魔法を使うんだとかって
昨日ちょっと悩んでたのがあほらしい・・」
・・
地面に飛散しているハーフラビットだったものをリズが確かめる
「ウサギが・・爆発しちゃった・・」
でも爆発したとき魔力の光がでてきて消えたから
やっぱりこのウサギは魔物だったんだろうなあ
襲ってこなかったら ちょっとふれあいというか撫でてみたいとか思ってたのに
「いやリズがしたんだよね・・? それ・・うわあ・・
でもこのハーフラビットが基準なら
ここの魔物は大したことがない強さなんだと思う」
「ふーん そうなんだ じゃあもう少し先も見てみようか」
・・・
もうこの付近には飛散したハーフラビット以外見当たらなかったので
今度は草原じゃなくて森の中寄りにしばらく歩いていく
ダンジョンの中だけど普通の森の虫や小動物も暮らしていて
小さな白い蝶々がリズの前をひらひらと飛んでいく
(他に観察できそうなもっと大人しい魔物とかはいないかしら・・)
見てたらいきなり襲われて飛散してしまうのではなんにもできない
というかさっきのやつはてっきり観察できるタイプかと思ったんだけど
はー あんな牙なんかむいてきちゃって
魔物ってよくわかんないわね
・・
( )
(・・?)
するとさっき視界にいた白い蝶々が
ひらひらと現れたつがいのもう一羽の白い蝶と合流して
またひらひらと一緒になって舞っていって見切れた先
森の中の少し奥まった先の方の空間にリズは見つける
「あっ・・あれは・・何?」
「え・・?どこのこと?」
「「 」」
・・
それをリズは一瞬大きな魔物の影なのかと思ったけど
よく見ると違ったのだった
(なんだ違うや)
「ほらここよここ」「!ほんとだ・・」
でも慎重に近づいてみると木々の間と茂みの空間に
何かのしっとりとした艶のある大きな黒い角ばった石が立っていて
「 」
それはなんとなく石でできた祭壇に見えないこともなくて
祭壇の黒い石の周りには
どこか幻想的にぼんやりと光った小さい白い花がいっぱいに咲いていて
そのコントラストでちょっと周りの風景から浮いてるように見えた
・・
「うーん?なんだろうね これ・・
ちょっと前に一緒に見た黒封石に似てるよね」
ネロとその見つけた大きな謎の黒い石の前まで歩いていく
石の近くにまでくると
「あら・・」
白い小さい花の中に立っている石の前に
何かの土でできたような白っぽい欠けた器のようなものがあって
その器の中に
「カラン・・」
これは・・
「(お饅頭・・?)」
「 」
その器の中には赤色と水色と黄色の丸いお饅頭のようなものが
3つ供えて?あったのだった
(・・・)
小さいけど お饅頭としては結構大きい メロンパンより大きい
すべすべしてるお饅頭っぽいけど
正直あんまり色合いとしてはどれも鮮やかすぎて美味しそうじゃないけど
「え・・?これもしかしてお墓とか祭壇なの?
誰かここに来てお供えとかしてる人がいるの?」
「うーん?だってここって場所が隠れてたし
人も来たような感じじゃないんだけどなあ
ダンジョンの中だし人の足跡とかもなかったし」
(すっ・・)
付近を調べていたネロはそのお皿の中で供えてある、お饅頭が気になったようで
その手を伸ばし始めていた
(ああ!ネロ、君はまさか・・!)
「あのねネロ、ちょっと前から食いしん坊だとは思ってたけど
お供え物を食べたりとかは その、あんまりしない方がいいと思うわ
ばちが当たるっていうか・・衛生的にもあんまり」
「な・・!ち、ちがうよ そんなんじゃないってば
これはダンジョンの出土品なのかどうか調べようと思って・・!
っていうか
さっき祠を蹴り飛ばした人にばち当たりとか言われたくないよ・・!」
「あらそうなのね
あ、あれは だから蹴ったのは石像だってば・・!」
そうして少し揉めていると
・・
「ぴぴ?」 「きゅきゅ?」
(え・・!)
なんと供えてあったお饅頭から小さい鳴き声が聞こえて
3つのお饅頭がプルプル動き出していたのだった
(プルプル・・)
でも動いているといっても大きな白い器からは出ずに
中でぐるぐるしてる感じだけど
「お、お饅頭が動いて・・!」
そう 常識に囚われてはいけない
この世界はお饅頭が動くこともある不思議な魔法の世界なんだって
何にも珍しくない
リズはそう納得しようとしたところで
「これは・・お饅頭じゃなくてスライムだったんだね」
「え?」
「だからスライムだよ そういう魔物
これも初心者レベルの魔物だね」
「ふーん・・」
(なあんだ そうだったのね これも魔物かあ
動物には見えないんだけどなあ
こんなのも暮らしてるなんてやっぱり変な世界だなあ)
思ったより大きかった祭壇のような石を見上げるネロ
「ここはもしかしたら
そういうダンジョンの魔物が発生する源泉なのかもしれないね
こういう土地の魔力が高そうな場所から
ダンジョンの魔物はたまに発生したりするんだよ」
「へえ・・そうなのね この石がねえ・・
でも発生っておかしくない?
魔物だって生き物なんでしょ 石からどんな風に出てくるの?」
「それは・・僕だって見たことはないよ
そう言われてるんだよ 見たことがある人もいるよ
ほらハエとかだって何もない所から湧いて生まれてくるみたいにさ」
(それは実は元から虫の卵が・・
まあそういう力の元みたいなものはあるのかしらね この中に)
(そういえば私だって何もない所からセミとか作ってたわね)
その大きな石に近づいて興味本位で手で触れてみるリズ
すると
「「ビキ・・!」」
「ええ・・!」
(ガラガラ・・)
リズが石の表面に手を軽く触れるといきなりヒビが入った音がして
大きな石の後ろ半分くらいが崩れてしまったのだった
「なによこれ めちゃくちゃ脆いじゃないの・・!」
「うわあ リズが祭壇の石を破壊して・・
やっぱりリズは罰当たりなんだ」
「もう~違うわよぉ 触っただけじゃない
これは勝手に崩れたのよ 自然倒壊だってば~」
「きゅきゅ~~!」
無残に崩れた石を見て お皿でなにか跳ねているお饅頭スライムたち
抗議してる?みたいな
「ああ・・ごめんね まあいいじゃない半分残ってるんだし
もう・・しっかり作っときなさいよね」
崩れた動かせる小さい石とかは手で拾って
気休め程度に元に近い場所に戻しておく
・・
「・・それにしてもダンジョンに生成されて生まれた魔物はすぐ自立して
ダンジョン内に散っていくものなんだけどね
なんでこのスライムたちはここで動かないんだろうね」
「さあ・・?でもなら魔物ってここで生まれたんでしょ?
この石がお母さんみたいなものなんじゃないの?
何か守ってるとか? 半分壊しちゃったけど・・」
「そうかもしれないけど・・
まあダンジョンとか魔物の生態ってまだよくわかんないから」
よくわからないお饅頭スライムたち
(しかしちっこいなあ・・こんな器に3匹も収まってるなんて
お饅頭と見間違えちゃったわよ)
「どうする?こんなのでも一応魔物だけど」
「ふーん・・」
(じっ・・)
リズが少し獲物を品定めする目つきで
そのお皿のお饅頭改めスライムの魔物を見る
リズに品定めをされて少し警戒したような魔物のスライムたち
「ぴぴ!」「うきゅ・・!」
(・・・)
「・・これは別に倒さなくてもいいわ
小さすぎるし 襲ってもこないし
そもそもさっきのウサギだって襲ってこなければ別に何もしなかったわ
このお皿から何故か出てこないから
もしかしたらほんとに供えてあったのかもしれないし
もうここはいいから他を見ましょ」
「それもそうだね」
・・
リズはネロを連れて
崩れた大きな石とスライムたちがいたその場を後にする
このダンジョンにはまだけっこう先がありそうだった
「どうする?もう少し奥にいく?」
「そうね 今度は森の中じゃなくて草原寄りに・・」
その時
「ピピピ~!」
か細い小さな鳴き声がさっきの後ろの方から聞こえてきた
歩いてきた後ろを振り返ってみると
さっきのスライムたちがお供えの欠けた白い器の中で
身を寄せ合っていた
(プルプル)
だけど様子がちょっと違う
怯えてる・・?
「あれは・・」
よく見ると その少し横に茂みで隠れて見えなかったけど
こん棒をもった小柄なゴブリンが2体いて
お皿のスライムたちをこん棒で追い詰めて脅しているみたいだった
「ゲヒヒヒ・・・」 「プルプル」「うぴきゅ~」
・・
「ゴブリンだ・・! あれは・・肌が緑色だから森ゴブリンかなあ
いたんだねこれも小さい個体だけど」
「・・魔物同士で戦うの?」
「魔物同士っていっても仲間ってわけじゃないからね
ダンジョンでふつうに食べたり食べられたりしてるんだよ
力の弱い魔物やおいしい魔物はそれより強い魔物に食べられちゃうんだ」
「ふーんそうなんだ」
魔物社会って大変なのね
生まれてきてお饅頭みたいにしていたら
本当にお饅頭としてゴブリンに食べられてしまって終わってしまうなんて
あのスライムたちは多分そういう運命だったんだね
「うん・・でも ゴブリンは普通はスライムなんて食べないんだよ
おいしくないからね
あれはきっとゴブリンがスライムたちをいじめているんだ
僕にはわかるんだ・・! リズ・・ちょっと見てて!」
「あっ・・ネロ!」
ここのダンジョンの魔物は小柄でさっきの戦闘で大したことがないとふんで
ネロは大きなリュックと持っていた木剣をその場に置くと
代わりに杖を握りしめ
颯爽とスライムとゴブリンがいるほうの空間に躍り出る
(・・・)
リズはちょっと心配になったので その後ろからこっそりついていく
「ゴブリンよ・・!くらえ・・!僕のファイヤーボールを!!」
ネロの威勢のいい詠唱がされると
ネロが持つ杖から赤い色の光がでて魔法が発動する
ファイヤーボールの炎が形成され
それが勢いよくゴブリンに向かっていき・・
「グゲギギギャアア!!(なんだその弱っちい魔法は!!)」
「ボシュ!」
(ファイヤーボールがホームランバッターのスイングフォームのように
ゴブリンが振り払ったこん棒にかき消される音)
「え・・!!」
「グルルア!」
(もう一体のゴブリンがなぜか武器を放り捨てて
素手でネロのすぐ近くに接近する)
「な・・!」
「グラアァ!!」勢いよくネロの腹にパンチをかます掛け声
(ドゴォ!!)
「かッ・・くほお・・!」
ネロは腹をおさえ涙目になり その場で足をつき うなだれて地面に転がる
「ネ、ネロ・・!大丈夫・・?」
「くふう・・お腹・・痛い・・」
(ネロ・・まあ今はいわないわ)
・・・・
ゴブリンたちはもうすでに乱入者の一人は速攻倒したと判断して
残りの後ろからノコノコとやってきた、
貧相なスライムと犬小僧と違って美味しそうな人間の女
丸腰でこれも弱そうだと その人間の女に狙いを定める
ゴブリンたちはその不運な丸腰の人間の女に飛びかかる
「グゲギャアア!」「アギギイ!」
「えい!」 「えいえい!」 「ボシュッ」「ギャビ?」
「(ブシャアア)」 「(バシャアア)」 (ゴブリンたちの飛散する音)
サアア・・ ゴブリンたちの魔力の光が消える
「・・・・」
(ゴブリンたちに襲われたと思ったら いなくなってしまった
なんということだろう
でも今は手当てが先)
「きゅきゅ・・」
小柄なゴブリンたちに囲まれてお皿の中で震えていたスライムたちは
その場に寄り添いあったままで
とりあえずは何もしてこないようだったので放っておく
「くぬう・・」
とりあえずは横に丸まってお腹おさえてしくしく泣いているネロを
リズは介抱していることにした
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