↓第34話 みんな、食べられる。
「…………」
迷子は肩を落としたまま、トボトボと西側通路を歩く。
犯人が乗客ではない可能性が出てきた。
未知の生命体を前に、迷子たちが生き残る術はあるのだろうか?
「どうしましょう、わたしたち食べられちゃいます……」
「だ、大丈夫だよメイコさん。まだエイリアンだと決まったわけじゃ……」
落ち込む迷子を
表情こそ笑っているものの、しかし内心この状況に困惑を隠せなかった。
「――ねぇ、なにかあったのォ?」
そんなとき。
後方から女性の声がした。
迷子が振り返ると、そこには焚川がいた。
部屋の扉を少し開けて、バスローブ姿でこちらを見ている。
「なんか騒がしくなぁい? なにかのトラブルぅ?」
「焚川さん……実は……」
迷子は事のあらましを簡単に説明した。
「ハァぁ!? なんですってぇ!?」
焚川は目を見開いて部屋から出てくる。
「ちょっとどういうことヨォ!? それで、犯人はァ!?」
「いえ、それはまだ……」
バスローブ姿のまま、焚川は迷子に詰め寄る。
煽情的なその姿にびっくりしたのか、パクはいじっていた腕時計を慌てて引っ込めた。
「た、タキガワさんおちついて! それと、ふ……服!」
「ハァ?」
忠告しながら視線を逸らすパクと、それを睨む焚川。
布からこぼれ落ちそうな自分の胸元を確認して、彼女は「フン!」と鼻を鳴らした。
「いま着替えてくるから、ちょっと待ってなサイ!」
扉が閉まると、数分と経たないうちに焚川が部屋から出てくる。
ワインレッドのドレス姿で、頭はタオル巻き。
彼女は不遜な態度で胸を張ると、
「ワタシも行くワ」
ヒールの踵を鳴らしながら中央フロアへと向かった――
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