↓第18話 しょうこを、さがします。

「……ここにはなにもありませんねぇ」


 迷子がモジュールの中でつぶやく。

 中は円柱を横にした――巨大な土管のような空間だ。

 その先にスター・レイの出入口がドッキングしている。


「なんだか広いドラム式洗濯機に入れられた気分です……」


 迷子は辺りを観察する。

 すると壁に人が出入りできる扉を見つけた。

 水密ドアのように頑丈そうで、開閉用のハンドルがついている。

 一部が黄色と黒の縞模様しまもようでペイントされており、数カ国語で注意文が記載されていた。


「フムフム……ここは整備士などが出入りするときに使うんですね」


 なにかしらの作業で整備士が宇宙空間に出ることがある。

 そのときにモジュールに入り、空間の空気を抜いてから外へ出るようだ。

 もちろん命綱などの安全装置は必須。外へ出る際も油断してはいけない。


「これと同じモジュールが東西南北にあるんですね。とりあえずメモしておきましょう」


 カタルシス帳に、また一つ情報が書き込まれる。


「ついでに宇宙船もいっちゃいましょー!」


 迷子はドッキング部分から、宇宙船スター・レイへと乗り込んだ――

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る