第6話 デュフフ、今日もかわいい仔猫ちゃんたちですなぁレイク氏!


 バン!


 扉を押し開けて入り込む。

 最初は壊すの申し訳なかったけど、


 今ではちょっとした快感だ。

 ストレスェ…



 現在俺は従魔ギルドに到着したところだ。

 久々に来たのでギルドを見回すと、所々変わってるところがあった。


 (なんだかんだ1年妨害されてたからなぁ)


 机は相変わらず質素だが、しかし多少の手入れはされているらしい大きな木製のものに取り替えられていた。


 なんなら従魔エサも売られていたので触れ合いルーム感が倍増している。


 見知った顔の連れている従魔も前見たときとは比べ物にならないほどたくましく成長していた。


 壁にはラビ族の絵画が立てかけられており、

 かなり精巧で色付きなのでそれなりに優秀な画家に頼んだのだろう。


 実物はもふもふしているが。


「――おっ、久し振りでござるなぁレイク氏!」


「おお!本当に久し振りですなぁアインセル氏!」


「「「おお!そこにいらっしゃるのはレイク氏でござるな!?随分とやつれて…」」」


破茶滅茶なイケメン共に囲まれる。

別にそこまでイケメンじゃないのからフツメンから眼鏡の女の子まで。


魔獣オタク共が集まりお互いの従魔を見せ合い自慢して語り合い触れ合う。


夢の楽園である。


「おいたわしや…あんのゴミカスクソ勇者ギルドの野郎共にモフリー成分摂取の時間を奪われたのでござるな!?許せんッ!」


「ああ…本当に、本当にッッッ!!!

あいつら悪魔だよ。何が勇者だ!あ、それはそうとアインセル氏お猫様の様子は…デュフ、どうでござ…どうですかな?」


「おお!それはもう元気で健やかに、美しく育っておりますぞ!!!ニャン丸様は相変わらずの食いしん坊にござるが、その分他の猫様と仲睦まじく遊んでいて…デュフフ、実に微笑ましい光景でござった。それに毛深くなったおかげで随分と触り心地が強化されて…」



このあと1時間語り合った。



◇◆◇



「というわけでござ…むっ?

そういえばレイク氏は何か用があったのではないですかな?」


「………あ゛っ!?そうだ、アーサー騎士団を登録しにきたんだった!」


「はて、アーサー?聞き覚えがあるような」


「そうなのですかな?っとと、

 すまんアインセル氏、ちと待っていてくだされ!」



 猫を吸って女の子が見せちゃいけない顔をしてる受付嬢に俺はアーサーたち従魔の登録をしにいった。




「うん。随分と懐かしい、名だ。」



 「――」


 視界の端、俺は僅かな違和感を覚えた。


 _アルフォンス_



 従魔ギルド…構成員の殆どが見目麗しい男女(+カッコかわいい従魔)って噂は本当だったのか。(レイク含め)


「すいません、本日は自分の従魔をもふr…手懐ける方法を教わりに来たのですが」


「ッッッ…!

ええ、では早速向かいますか、試験場に」 


 うぇ?

 俺は試験受けるなんて一言も…


「? あぁ、わかるんですよ。

 貴方、もふると…そう、仰いましたよね?」


(な、なんという洞察力…!?)


「え、ええ…言い直しましたが」


「では、参りましょうか」


「は、はい」


 こうして俺はテイム方法と、3体のEランク以上の魔獣をテイムするという内容の試験を受けた。



《個体名:アルフォンス・ステラがスキル:使役レベル:1を習得しました。》


《個体名:アルフォンス・ステラが技術:隠密を習得しました。》


《個体名:アルフォンス・ステラがスキル:隠密レベル:1を習得しました。》




◇◆◇ _レイク・ビースト_



 アーサー騎士団を登録し終えると、俺の従魔ギルドのランクは…相変わらずの2位だった。


 くそー、流石にか。

 流石にまだ一位には届かないかッ!


 一頭飛龍アーサーが混じってるからワンチャンあるかと思ったんだけどなぁー!!!


「あれ?アルは…あ、そうか。

アルも試験受けに来たんだったな。」


 すっかり失念してたぜ。

 すまぬ…我が心の兄弟よ…っ!


 とかなんとか巫山戯ているとアルが手乗りラビを一羽と幼体のプレデター・クロコダイルを連れてやけにのっそり歩いてこちらへ向かって来ているではないか。


 手乗りラビはラビという兎のモンスの中で最弱の、完全ペット生物(とかいて愛玩動物)である。


 プレデター・クロコダイルは超大食らいのワニで、幼体でもEランク、成体にもなると飛び級してCランクにもなる化け物だ。


 今のアルは頭の上に手乗りラビを乗せ、

 首輪と金属性の腕輪をつけたプレクロ(略称

 を隣にあるかせ周囲のテイマーから、


 「ぐぬぉおお!手乗りラビちゃんを寝取られるとはッッッ!?!?!?!?」


 「私のプレクロちゃんがぁっっ!?他のオトコと歩いてるだなんて…っ!?」


 などと意味不明な供述をしていた。

 ちなみに俺もアルじゃなかったらハンカチーフを噛み締めて血涙流す自信がある。


 取り敢えず俺はアルに近寄った。


「アルー」


「おお、レースト」


 おい、気づくの遅れんじゃねえよ。

 俺これでも最凶の男ぞ?


「………よし、じゃ、戻るぞ」


「え?いいのか?」


「あぁ、………少し、やることができた」


 はあ…、どうやら。




 勇者ギルドの回し者が。

 この、従魔ギルドに居るらしい。

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