第4話 空の帝王は騎士を増やす




「あ、今後の比較の為にステータス見せてくれ」


「グルルゥ」



▶【アーサー】◀


種族:飛龍ワイバーン・ドラゴン レベル:1

職業:飛竜王 レベル:5


《HP:5800》

《MP:4500》

《攻撃力:3500》

《防御力:4000》

《魔法力:3000》


スキル:

『飛龍の王喝Lv.Ⅰ』

『飛龍の禍翼Lv.Ⅰ』

『飛龍の大蛇尾Lv.Ⅰ』

『飛龍の貫裂爪Lv.Ⅰ』

『飛龍の帝王鱗Lv.Ⅰ』

『騎士王の覇圧Lv.Ⅰ』

『飛龍の劫火Lv.Ⅰ』

『飛龍の穿牙Lv.Ⅰ』


称号:

『飛龍』

▶『騎士王』◀



「うわぁ…えげつねえな。」


「グルォオオオンッ!」


えっへん!とばかりに吠えるアーサー。

進化したアーサーの容貌は、


前は傷ついた翼、通常より少し鋭い爪、

血に濡れた牙、ドラゴン特有の黄色い瞳。


進化した今は

禍々しい模様のついた翼膜に、縁に爪がついている形状の翼。

深いオレンジ色の、刺突にも引っ掻きにも使えそうな長い龍の爪。

一回り大きくなった牙。

そして輝く黄金の鱗に2回り、いや3回りくらい大きくなった胴体。


更に大蛇と見間違うような太く長い尻尾を持っていた。


「カッケエエエエエエ!?」


「ガァ…ガウゥ…///」


いや照れんなよ。

折角の格好良さが台無しだよ。


「うん…まぁ、これなら余裕でワイバーン乱獲できるな。」


「ガウ?」


「アーサー、早速だが飛龍の王喝と竜語でこう伝えてくれ。」


「グルル」


「――部下になれ、さっさとかかってこいと。

なるべく大きく、広い範囲に届くよう」


「“ガアアアアアアアアアアアアア”ッ!!!」


―――グルアァァァァッ



こちらに向けて進行方向を変えた大勢のワイバーンが一斉に咆哮をあげた。


俺はアーサーに飛び乗ると、


「征くぞ!奴等に格の違いを魅せつけてやるッ!!!」


「グルォオオオン!!!」


魔法で炎の大剣を召喚し空へ飛び立った。



◇◆◇



ようやく総てのワイバーンが揃った。

大剣を振り翳した俺は集った者に向けて竜語で言い放つ。


「“何対二だろうが私は気にせんッ”!

“かかってくるがいい飛竜共”!!!」


「「「グオオォォォ!!!」」」


俺が跨っているアーサーが飛龍、つまり自分たちの“絶対者”である事には気付いているらしい。

しかし、その恐怖を克服したワイバーンたちは咆哮と共に突っ込んできた。


突撃してくる速さにもばらつきは当然あり、

俺は近いところに到達した個体の翼を炎の大剣で切断し、そのまま大剣を薙ぎ払うように振るってボコす。


本来俺は全力の3割しか出しておらず、

さっきの進化前アーサー戦では5割の力を使った。


実は5割でも相当行動を制限しなければ環境を滅茶苦茶にぶち壊してしまうので繊細な力加減と俺という暗殺者ならではの技術力を持ってして初めて成功する技である。


「ドロップ・エリア・リジェネ」


淡く光る綺麗な緑色の雫が俺の掌から落下して、

地面に付着すると同時に範囲継続回復する効果を齎す魔法が行使された。


ボトボト地面にハエたたきされてるワイバーンは割とガチで瀕死なので、まぁ便利である。


ちなみにこの魔法の効果で一面がお花畑になって空気が澄んだので俺はこのとき(今度ウサギさんたちを連れてこよう)とか考えていた。


「グォオオッ!」


「ガァルルッ!」


「グラァアア!」



「ふんッ!」


「ガアアアアアアアアアッ!」


勇ましいワイバーン達だが、生憎それに慈悲を与えるほど俺はお優しくない。

大人しく俺の従魔になりやがれ!と内心で叫びながら大剣を振り回す。


この戦闘、アーサーは実はあまり大きく動けていない。

決して俺が無双しすぎたわけではなく、空中戦で鞍もなく自分の筋力、つまりステータスの暴力で技術もクソもなく無理矢理乗ってる状態なので派手に動かれると最悪落下するのだ。


なので、アーサーは出血で死なないようにかなり手加減しているであろうブレスで傷口を焼き払い、ついでに細菌が死ぬようにしただけだ。


あれ、俺の従魔、有能すぎ…?



「最後の1頭か…ようやくだな。」


「グルルゥ…ガアアアア!」


「グルァッ!?」


あれから約30分。

今は丁度ボコボコに打ちのめしこの1頭を除く全員を陸に引き摺り下ろしたところだ。


感傷に浸る…訳ではないが、ボーッとしていたらいい加減疲れたアーサーが龍爪でワイバーンを切り裂いてついでにブレスでも焼いて落下させた。


墜落したワイバーンはドロップ・エリア・リジェネで十秒もしないうちに全回復している事だろう。


「はぁ…予想以上に長引いたな。」


「ガオオ…」


アーサーもお疲れの様子だ。

そして、何やらアナウンスが鳴る。


これは世界の声と呼ばれていて本人やその従魔、もしくは主にのみ聞こえるのだ。


《個体名:レイク・ビーストがスキル:騎乗を習得しました。》


おお、これは便利。

すぐに育てなければ。


ちなみに騎乗スキルの詳細は、


レベル1:全ての騎乗行動に補正が掛かる。

レベル2:騎乗している従魔の負担が減る。

レベル3:騎乗している間自身の全ステータスに150%の補正がかかる。(×1.5)

レベル4:騎乗している間従魔の全ステータスに125%の補正がかかる。

レベル5:騎乗している間自身の攻撃力に125%の補正がかかる。(1×1.5×1.25)

レベル6:騎乗している間従魔の全ステータスに150%の補正がかかる。

レベル7:騎乗している間従魔の移動速度に125%の補正がかかる。(1×1.5×1.25)

レベル8:騎乗している間自身の防御力に125%の補正がかかる。

レベル9:騎乗している間従魔の防御力に125%の補正がかかる。

レベル10(MAX):騎乗している間自身と従魔の魔法力(攻撃・防御共に)に125%の補正がかかる。



というかなりのチート性能をしている。

マジでやばい。例えば、全ステータスが100の者が居たとしたらそいつの攻撃力は187.5になる。


たかが87.5じゃあーんww…本当にそう思うか?

これだけでほぼ2倍なんだぞ?


つまり、俺で例えれば…5200が、約9700…ということは、四捨五入しなくてもほぼ一万なのだ。


わー、頭がおかしくなっちゃうよぉ〜。


とかなんとか言ってたら、ワイバーン共が一斉に目覚め始めた。


「………聞け!お前等は私に負けた!自分に誇りを持つものは、今すぐに私の飛龍。アーサーに仕える騎士となれ!!!」


「ガアアアアアアアオオオォォォォッ!!!」


「「「………グルァァァァ!」」」


俺の背後から飛び出したアーサーは大音量のスキルを用いた咆哮で威厳を示した。


初めは目覚めたばかりで若干動揺していたワイバーンたちだが、すぐに状況を理解したようで一瞬の間のあと地にひれ伏し忠誠を誓う雄叫びをあげたのであった。


うむ、満足である。


「ぜぇ…はぁ…ワイバーン、の…看病を任せた…はぁ…俺に…なにか、言うことは…?」

「うん、ごめんなさい」


このあと滅茶滅茶説教された。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る