第2話 「そうと決まれば」




「許せねえッ!なんて話だ!」


 机をバン!と叩いて立ち上がったアルフォンス…もとい、アル。

 意気投合して仲良くなったので酒飲みながら話しているところだ。


 久し振りにもふもふ成分を摂取できて俺はホクホク顔である。


「………そうだっ!

 レースト、いっそのこと勇者ギルドをボコしちまおうぜ!」


 レーストとは、俺のあだ名である。

どちらかといえば愛称の方が近いか。


 今思えば、酒の勢いもあったのだろう。

 しかし、この選択を俺は間違いだとは決して思わなかった。


「そんな…アル、お前はどうするんだ!?」


「いいよ、俺は勇者ギルドより暗殺者ギルドの方が性にあってるみたいだしな」


 実はこのとき、ついで で暗殺者ギルドの話もしたのだ。


「そんな馬鹿なこと…!?」


 しかし、しかしだ。

 いくら百位圏内にも入っていないとはいえ、


 114位といえばなるのに数年は死ぬ気で努力しなければなれない。

 勇者ギルドは競争相手が最も多く、

最下位は1501位だ。


 それを俺のために辞めさせるなんて…!


「気にすんなって!俺は勇者ギルドでスパイでもやるからさ!」


「アル…アルッ、心の友よぉぉぉー!」


 突如大声を出して抱き合う二人の青年をみた腐界の者が『ウホッ、いいシーン』と呟いたとかなんとか。


 まぁ、なにはともあれ。

 これが俺たちの始まりであるッ!


 そして、しばらく抱き合ったあと。


「よっしゃ!そうと決まりゃあ!」


「カチコミじゃあああ!!!」


………とは、ならんよな。


「まぁ、今はお互いのステータスの確認でもしようぜ、アル」


「それもそうだな、ここじゃなんだし。さっさと会計済ませて路地裏にでも行こうぜ」


「賛成」


 会計のところにいた店員のねーさんに話しかけてるアルを尻目に俺は店をあとにした。



◇◆◇



「―よし、これが俺のステータスだ」


「おう、俺のはこんなのだ」


魔道具の1つである鑑定石を使い、

お互いのステータスを羊皮紙に書き写して路地裏にて見せ合う。



▶【アルフォンス・ステラ】◀


種族:人族 レベル:32

職業:勇者・ランサー レベル:4

《HP:500/500》

《攻撃力:120》

《防御力:100》

《魔法力:120》


スキル:

『魔槍に愛されし者』Lv.Ⅱ

称号:

『勇者ギルド114位』

▶『辺境伯の養子』◀



▶【レイク・ビースト】◀


種族:半獣人 レベル:76

職業:暗殺者・テイマー レベル:10

《HP:17500》

《攻撃力:5200》

《防御力:1200》

《魔法力:3500》


スキル:

『変装』Lv.Ⅹ(←10)

『変声』Lv.Ⅹ

『変臭』Lv.Ⅹ

『暗殺』Lv.Ⅹ

『爆弾作成』Lv.Ⅹ

『懐柔使役』Lv.Ⅹ

『獣化・0%』Lv.ⅴ

『短剣術』Lv.Ⅳ

称号

『暗影孤凶の暗殺者』

『獣魔幸愛の使役者』


「お前…チート過ぎるだろ…!」

「そっちこそ凄えじゃん…!」


 正直言って予想以上。

 他の勇者よりも単純なステータスなら相当上だぞ…!


「な、なんだこれ。なんて読むんだ…?

あんえい…こきょう?」


「ああ。暗影孤凶あんえいこきょうの暗殺者と、獣魔幸愛じゅうまこうあいの使役者だ。どちらも、トップスリーに入った者に与えられる固有の称号だな。」



 さぁ。

 宣誓といこうか。


 出会って初日の俺たちは、無言でアイコンタクトをとって合図を送る。


「俺たちは、何を為す」


「―勇者たちとの戦いを。」


「私は、城での暮らしを!」


「「いつか、いつか。」」


夜空に手を伸ばして。


「「この手に、幸福を!!!」」


やっと目的が決まった。

しかし、打ち合わせ無し、、、でここまでシンクロするとはな。


ワッハッハ!

これでこそ友情よ!(適当)

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