結婚へ
そんな時に攻め上ってきたのが春希だった。
「やっと見つけたぜ。さあ、さっさと来てもらおうか」
春希は傷だらけで、あまりにも無残な姿だった。道中で、何が起こったかはなんとなく想像がついた。
隣を見ると、ミナトはやはり来たかというように、静かにカフェオレを飲んでいた。
春希はコチラに近づくと、頭、顔面、胸、膝、腕・・・・・全身の至る所を蹴ったり殴ったりしてきた。
「おい!君、何している!!」
マスターが出てきたが、春希に首の近くをやられ、一蹴されてしまった。ミナトは――消えた。
「ククククク。やっと手に入れた。俺はやっとわかったぜ。こいつを湊から人質に取ってやればいい。ずっと一緒だからな」
ずっと一緒——それは、ところ変わればとても怖い言葉だった。そう、その言葉は春希に監禁させられることを意味する。
「誰か!けいさ・・・・・」
そこで、みぞおちをやられ、私はガクッと来た。痛かったのが口にガムテープの刑だった。
私の体力もどんどん削られる。もう、力尽きそうだ。そこに・・・・・
「とぅあー!!!!!!」
出た。そう、津田湊・・・・・いや、スーパーヒーローミナトと、その姉の淳奈だった。
「うわ、マジか・・・・・まあいいや」
春希が言う間もなく、淳奈が空手の技を果敢に食らわせる。春希も抵抗しているが、有段者には勝てないか・・・・・?その間に、ミナトはササッと、私の身の自由を取り戻してくれた。
「ありがとう・・・・・」
ミナトは、答える代わりに私の大好きな、キュートな笑みを浮かべた。
そして、ミナトから視線を外すと、春希が抑え込まれていた。そこに駆け付けたのが、美紗&麻子だった。
「「私たちの咲来ちゃんをよくもー!」」
コントみたいになっているが、ひとまず飛んできて、春希にひたすらビンタする二人——何か面白くて、私とミナトは笑っていた。
淳奈、美紗、麻子が春希を取り押さえて間もなく、警察がやってきた。
「みなさん、ありがとうございました。咲来さんはパトカーの中に来ていただけるでしょうか?」
大学院生は、当然逮捕され、刑を執行される。春希はどんな刑をかけられるのか――そう思うと、少しかわいそうにも思えるが、また再発したらダメだ。仕方ないか。
パトカーで事情聴取を終え、出てくるとミナトが待っていた。
「色々大変だったな。今はなすけど、俺と咲来は誕生日も、生まれた場所も一緒だ。うちの母と玲子さんは結構仲いいだろ?それはそこからなんだよ。だから、淳奈姉ちゃんも、咲来のこと産まれた時から知ってる」
そうだったんだ・・・・・今初めて知ったロマンチックな事実。それに、かぶせてくれた言葉があった。
「色々大変だったな、んで、色々ごめん。これは運命だと思うんだ。神様が仕向けた温かい運命。だからさ、宿敵は倒したんだしさ――」
何を言ってくれるのだろう。ソワソワと私は待つ。
「結婚しよう」
その言葉というのは、私にとってそれ以上にない言葉だった。
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