大学卒業①

 初めて、こんなに長い間の付き合いをした。私は今でも、ミナトに思いを寄せている。でも、彼は前よりも私への熱に冷めてる。ちょっと悲しいよ。


「なあ、俺のことはどうなんだ?」

目の前にいるのは、私をミナトから引きはがそうとする敵、立花春希たちばなはるき。でも、この人は強引で、自分勝手。思い通りにならないと暴力を働かそうとする強者なんだよね・・・・・。


「なあ、お前聞いてんのか?」

「・・・・・春希君はいつまで私のとこにいんの」

「お前が俺のことを好きになるまでだ」

「ふぅん・・・・・」

「なあ、どうなんだよ!!」

そう言って、春希は怒鳴る。

「私はあんたのことどうとも思ってないんだけど」

「ああん?!」

そう言うと、春希は拳を振り上げた。

「キャァッ!!」

私が悲鳴を上げると、救世主がやってくる。いつしか、私のボディーガード状態になった、空手部の津田淳奈つだじゅんな。そう、ミナトのお姉ちゃんだ。

「ちょっと、私の弟の彼女に何やってんの!」

そう言って、彼女は春希の股間にキックした。

「ぐあ」

私たちは、その瞬間を狙って逃げた。


 このやりとり、何回繰り返しただろう。と、やはり思い始めたときに、私がブチギレした。

「なあ、お前。ホントによぉ、俺のこと好きにならねぇのかよ」

平穏な学校生活が・・・・・耐えないと・・・・・

ズボッ

その時に、春希が私の服の下をいじくってきた。

「かわいいねぇ、図書室の女神よ。そんなに硬い態度じゃ嫌われるぜ」

堪忍袋の緒が切れた。

私は、春希の手を振り切り、ありったけのパワーで背負い投げをした。

「うわぁっ!!」

さらに股間にキックをお見舞いした。

「ぐあ」

完全に、伸びてしまった。


そんな感じで、学校にはだいぶん怒られたけど・・・・・。まあ、そんな感じでもう、大学の卒業へと近づいている。春希は・・・・・何のお咎めも受けていない。悪いのは私だけみたいになっている。そんなのおかしいでしょ?ねぇ?


「なあ・・・・・春希にいじめられてるんだって?」

そんな時、久しぶりにミナトが話しかけてきた。

「あ、ミナトじゃん!おひさ」

「ああ、久しぶり。悪いな、最近、話できなくて」

「あ、大丈夫大丈夫。心配ないよ」

安堵してた。私は、本当にほんとうに、彼が私のことを思ってくれてる、そんなことに向けて、にっこりと笑った。疑念が生まれたのは。そのあとだった。

「あのさ、春希はお前が退治したんだろ。まあ、その前の話になるんだけど、咲来を守ってた人って、姉ちゃんだろ?」

「え、うん」

この時点では、まだ私は何も感じていなかった。

「ったく、厄介なことしてくれんな。なんの勘違いをしてるのか知らねぇけど・・・・・」

私は、初めて彼を疑った。まさか、彼は私のことを思ってないということ?春希から私を守り、ミナトとの恋を守ると淳奈は言っていたけど、彼は私を思っていないから、それを辞めてほしいと?私には、そう見えた。ミナトのハッという顔を私は見逃さなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る