大学入学②

 18歳成人の今、私は成人式を終えて、もう大人。大人になった私でも、学校に通わないといけないなんて。いつか法律が新しくなればいいのに。

そんなことを考えながら、大宙研究学院おおそらけんきゅうがくいんの校門を抜ける。

――みんな賢そうだなぁ。

私のレベルに合うかは分からないけど、ひとまずは宇宙だし、大丈夫だよね。


 私が知ってる人がいた。一人じゃない、二人。

「あ、もしかして!!」

「やっぱり?咲来ちゃん、久しぶり!!」

「うわぁ・・・・・嬉し~!」

会ったのは、花園美沙。小学校時代の親友で、いつか一緒に宇宙研究をしようと言ってた仲だから。


「え?咲来ちゃんって並木咲来ちゃん?」

「あ、麻子ちゃん!!」

また会った。麻子ちゃんだ!!あの麻子ちゃん!!

「良かった~!!ちゃんと大学まで来てて!!宇宙?」

「うん!!麻子ちゃんは?」

「ああ、私は地質学なんだよ」

意外だ。彼女はもっと化学とかかと思ってた。


「ああ、紹介するね。こっちは、私の小学校時代の宇宙友達、花園美沙ちゃん。美紗ちゃん、こっちは高木麻子ちゃん。仲良くしよ」

「よろしくね、美紗ちゃん!!」

「うん、よろしく」

正確は正反対だ。でも、私がいるからうまくやれるよね・・・・・。


 入学式会場に入ると、高校よりは少ないけど中学よりは多いくらいの人数がいた。ここは、宇宙や地質、化学、生物などの自然のことについて調べる人たちがたくさん通ってくる学校だから、こんなもんだろう。

みんな、黒いスーツを着ていた。麻子ちゃん、美紗ちゃんも。

「あれ、私だけ深緑じゃん」

「ホントだ!ピンクじゃないんだ」

「フフフ」

なんか面白い会話で、思わず笑ってしまった。


入学式では周囲から結構見られていた。やっぱり、真っ黒の中の深緑だからか・・・・・。

「カッコイイね」

と、私は言われた。

「な、何がですか・・・・・?」

と、相手に聞くと、

「アクセサリー」

って答えてきた。て、今喋ってる相手誰?!

「やあ、並木さん」

「あぁ~!」

やられたと思った。それは、中学生時代助けてくれた片思いの相手の・・・・・鈴山君!

「弟がここなんでね」

そうか・・・・・!

「嬉しい!!鈴山君!!」

と、言うと・・・・・みんなが見てくる。

「ああ、ごめんなさい。僕が悪いんだ」

イケメンにそう言われると、みんなおとなしく前を向いた。

(さっすがぁ・・・・・)


 初日にたくさんの再会があると、やっぱり嬉しくなってしまった。

「ねえ、この宇宙のやつカッコイイね」

また、私のアクセサリーに興味を持った子がいるらしい。

「あ、ありがと!」

出来るだけ明るく返事をすると、驚いたのか、相手は顔を真っ赤にした。

「いや・・・・・私も、宇宙学科なんで・・・・・杉浦七七子すぎうらななこです」

「並木咲来です。よろしくねっ」

いつの間に、私はこんなに明るくなったんだろうなぁと思った。

「ああ、あることを教えたいんです。私は布教をしてますから」

「は?」

「スマホを出してください、そして、このURLを開いてください」

言われたとおりに開くと・・・・・そこに出たのはマッチングアプリだった。

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