大学入学①
早い速い。もう大学にまで進んじゃった。今日、入学式だよ。あなたが言ってた名前の意味に合って、桜は満開。これまで、色々あったから、平穏な学校生活だったらいいな。そして、ステキな恋ができますように。
――私は、そう話した。リビングには今、誰もいない。私は誰に話しているのかと思われるかもしれない。でも、見えないけど、私には見える人がいる。
高校では、私はいつも遠慮気味だった。
麻子ちゃんの相手に手を出したいという気持ちはないし、私が好きだったのは先生。なのに、市川君には目が行く――という複雑な心境。
高2の時にTwitterを始めたもんだから、フォロワーさんにツイートして訊いたりもした。帰ってくるコメントは、恋と友達は別。遠慮せずに行った方がいい、と。
でも、私はやっぱりできなかった。高3になるとき、私が好きだった先生は、中学校の教師に転職した。転職先は、私が酷い目に合ったあの、古刀先生の中学校だった。
勇気が出ない、というよりは恐怖があって、私は告白できなかった。そう、私はその時には市川君が好きになっていた。先生の代わりの恋人はこれまた、親友の思ってる子であった。
そんなわけだった。お人好しの言葉が回るけど、それが私の持ち味だと思っていたから。親友の恋人を奪うなんて汚いことはできない。だから、結局諦めた。それで、あっちも許してくれると思った。でも、やっぱり甘くて、冷ややかな目で見られる日が続いた。
私の高校生活は、それなりのトラブルはないものの、毎日が冷徹で独りぼっちの日々を送ることになってしまった。
高校が終わろうとするとき。ついに、父、春男が亡くなった。これまで、隠していたけど、病気はかなり強力な癌だったという。でも、それなりに父は頑張った。入退院を繰り返した末。1月、みんなでおせちを食べてたほど、元気だったけど。後半に病院でもがき苦しみながら亡くなったという。
元々苦しかった私の高校生活に、春男の死はさらなる打撃となった。
私は、二回目の不登校を経験することになった。前とは違って、手紙をくれる子も、遊びに来てくれる子もいない――
唯一の救いは、母との会話と仏壇に手を合わせる時間。私は精神的に追い詰められていた――
ついに、大学生活となったわけ。ここまで波乱だったから、今回こそ大丈夫だろうと信じたいけど、叶う夢なのか・・・・・。
私が専攻するのは、幼いころから興味があった宇宙について。宇宙のことをずっと調べていて、不登校のときもたくさん調べた。だが、やっぱり、ここまで休んでいたからと言って色々あったけど、受かった。
――波乱がない学校生活になりますように
すでに仏様となった父に、祈りをささげた。
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