高校転校①
あれから、一年が経った。私は、あの学校に耐えることがついにできなくなった。あそこは、もう腐っている。あんな奴らがいるって、もう終わりに近い空間だった。
不良が見下ろしてきたあの日。奴は、私を抱きしめてきた。そして、頬ずりをしてキスをしてきた。
もはや、平穏な学校生活とは言えない。教頭に相談したが、証拠がないと言って、何気に対応してくれなかった。麻子ちゃんたちが何度も励ましてくれたが、もう私は限界だった。
あの日から、私は不登校になった。何度も親に促されたが、家を出ることはできなかった。
私の唯一、安らぐ時間と言えば、ポストに入った友からの手紙を読む時間だった。
そんな時期の中、私の家にある人物が訪ねてきた。
長い間運動もしていないから、よろよろと歩き、ドアを開ける。
「おい、お前。そろそろ学校に出てこいや。来んと殺すぞ」
嘘でしょ!!来たのは奴らだった。
「俺たちの恋が始まらないじゃんかよ」
「ああ?お前、聞いてんのか?」
「図書館の美女が消えたって騒いでんぞ」
ああ、もう・・・・・
「うるさい!!」
大体は怯えて引いたが、恐らく棟梁とみられる男が近づいてきた。
「ああ?俺らに何言ってんだボケェ」
もう、いてもたってもいられなくなって私は全てのパワーを使って、一本背負いを書けた。
「グハッ」
不意を疲れたのか、棟梁は頭を打って、倒れた。
「ああ、トノ!」
トノか。ダセ。
「くっそ、お前、許せん」
襲って来ようとしたやつを一人が止めた。
「学校来たら許してやるけど、そうじゃなかったらぶっ殺すから」
不良たちは、棟梁を担いで帰っていった。
まあ、そんなこと言われても、学校なんか行く気にはならない。
精神的な疲れが重なり、ついに私は寝たきりになった。
精神医を訪ねると、やはり深刻な状態だという。医者からは、転校を提案された。私は、それを受けた。母にその場で言った。
「一人暮らしをするから、転校させて」
母親は困っていたが、家に帰ると承諾してくれた。
今日は、その初登校の日になった。
麻子ちゃんらは、死ぬほど悲しがってくれた。一緒に行きたかったらしいが、やはり無理。文通を続け、たまにどこかで会おうと言う。独り暮らしなわけだから、スマホをもらい、連絡先を交換した。
私はすごく浮き立っていた。この地獄から、天国に舞い戻ることができる。私は、不登校から一度も登校することなく辞めたから、不良たちも気づかないはずだ。
「おはようございます」
担任とみられる人が挨拶をしてきた。
「おはようございます」
「前の学校で大変だったんだね。僕の元にいたら安心していられるよ。困ったことがあったら、何でも言って。僕が守るから」
その、若い眼鏡をかけた教師は言った。爽やかな風と暑い風、そして恋の風邪が私の元へやってきた。
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