第22話 魔法の理
光がエレナの手を包み、切り傷が痕も残さずに癒されていく。
「わぁ!凄い!傷痕も残ってない!私がやるとどうしても傷痕残っちゃうの…初めてなのに私より精度が良いかもしれない!」
エレナは嬉しそうに治った指を明かりに照らし見つている
「でも…何でハクトさんは加護を受けてないのに使えたんでしょうか…」
頭の上に?を浮かべるエレナだが、結果は思った通りだ。
この世界で魔法は行使する為の魔力、この世界では生命力とイメージ、想像力があれば加護を受けなくても行使できる。
ただこれは転生した俺だから出来る可能性もある。
そこでエレナにも1つ試してもらおう。
「この魔法書、少し借りて良いかな?」
「あ!はい!どうぞ!」
エレナから渡された魔法書の表紙を捲ると知ってる魔法書とは違う内容が記されていた。
その内容とは、この世界の魔法の理(ことわり)である。
ー魔法ー
魔法とは神が与えし人知を超える奇跡である。
神の与えし奇跡は、その神の加護を受け代償とし個の生命力を差し出すことにより行使することが出来る。
また生命力とは神の力の源であり、祈りと共に神へ捧げる事が魔法行使の条件とされる。
生命力は個の生きるための力であり、過度な生命力の消費は個の生命活動に支障をきたし最悪の場合は死に直結するものである。
生命力は他の個の生命力を吸収、または個の生命力を鍛えることによりその力を増すと考えられる。
以上が魔法における基本である。
和歴150年 天賢者 アルタナシア
これを読んでもやはり魔法に対する概念が違う。
と言うよりもこの世界の人々は神への依存があるのかもしれない。
俺と大和は昔、長老にある言葉を教えられた。
「神仏を敬い、神仏に頼らず」
長老曰く昔の剣豪の言葉だそうだ。
その時に長老は言っていた。
人は神頼みと言う言葉を作る程に深層ではその存在を信じ祈ることがある。
しかしじゃ、努力もせずに願いは叶うことなど決してないであろう。
他力にせず努力し自分の力を日々、精進し積み重ねることが必要なのじゃ。
その努力を神様が見ていて願いを聞いてくれるんじゃないのかの。
この言葉は父を亡くし母に亡くなった人は神様になると教えられた俺には希望になった。
努力すればするほど父親も見てくれると思ったんだ。
まぁ、この世界の理はエレナに試してもらえば分かる。
エレナに、加護を受けていない光の魔法を使ってみてもらえば分かるはずだ。
ページを捲る
火の魔法、水の魔法…どれもしっている
更に捲る
野生の神による身体強化…精霊の召還…
この辺りは俺の知らないことが記されているな…
光の魔法はどこだろう?
そう思いながらページを捲り続ける
…パタンと本を閉じる。
「光の魔法載ってないじゃん!!!」
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