第23話 星の光
「今の魔法書には光の魔法は載ってないですよ!今はアテン様の加護をいただいた人しか光の魔法書貰えないんですよね?…ハクトさんはお持ちじゃないんですか?」
作ったことはあるが持っていない。
なんとも情けない話だ。
「まぁ色々あってね…ファウノさんは持ってないのかな?」
「父はもう持ってないかもしれません…まぁ色々あってね。です!」
冗談交じりに答えるエレナだかどこか寂しそうに見える。
「あ!でも昔の魔法書なら光の魔法も載ってるかもしれません!」
「昔の魔法書?」
本棚へと向かうエレナに問いかける。
魔法書にも年代とかあるのだろうか?
「魔法は南の首都オセティアで賢者様を中心に日々研究されてるので定期的に内容が更新されるんです!今の見ていた魔法書は10年前の物で丁度、光の魔法が削除された年なんです!」
背伸びをし本を取ろうとするエレナの姿にまたドキドキしてしまう。
転ばないだろうか…
「ありました!」
笑顔で振り返るエレナ
無事に取り出せたようで安堵する。
エレナが持ってきてた魔法書は表紙が皮で出来ており、年代物に見える。
「古そうな本だぞ!いつの本なんだ?」
これまで全然興味を示してなかったウルがエレナに問いかける。
ちょっと待ってねと答えたエレナが本を捲る
「えっと…和歴60年って書いてあるから…丁度100年前だよ!」
「じゃあこの本は100歳なんだな!おいらと同い年だぞ!なんだか嬉しいなぁ!」
100年前の本で和歴60年ということは今は和歴160年ということか?まぁこの世界の年号なんだろう。
「ハクトさんありましたよ!」
エレナに魔法書を渡される。
文字は少し薄れているが内容は間違いなく光の魔法だ。
「エレナは光の魔法で知ってる魔法ってあったりする?」
「あります!小さい頃よく父が見せてくれた魔法で大好きなのが!名前は覚えてないですけど…たくさんの光を出す魔法でした!昔よく見せてくれたんです!」
話を聞く限り光の魔法の中でも基本とする魔法の1つだ。
用途としては暗闇を照らし出す単純な魔法である。
「エレナ、部屋の明かりを消してもらってもいいかな?」
頷いたエレナが部屋を照らしていた精霊に手をかざすと部屋が暗くなる。
窓からの月明かりだけが2人の顔を照らし出している。
「たぶんこの魔法だと思うけど。」
手のひらを合わせ握りしめ詠唱を始める。
「数多の星よその輝きにより闇を照らし進むべき道を照らし出せ」
【オンアイン・スタラ】
握り閉めていた指の隙間から淡い光がこぼれる。
そっと手を開くと、無数の光の球が溢れだす。
手のひらから放たれビー玉程度の光球が部屋一面に広がり、3人を優しい光で照らし出す。
「綺麗…まるでお星様に包まれているみたい」
「凄いぞ!夜の空を飛んでるみたいだ!」
エレナとウルが喜んでくれて良かった。
実際、自分でもこんなにうまく行くとは思っていなかったけど…
「ハクトさん!ありがとうございます!凄く綺麗でビックリしました!でもパパの時と少し違うんですよね…パパ…あっ…父が使ってくれた時はもっと光の球が少なくて1つ1つがもっと大きかったんですがなぜでしょうか?」
まだ確信はしてないが予想していることはある。
「おそらくなんだけどイメージの違いだと思う。」
「イメージですか?」
魔法は神の加護だと信じているセレナにとってはよく分からない事だろう。
ただ、この世界では生命力が神の力の源であり生命力を元に魔法を行使する、それならば加護と言う言葉もあながち間違いではないかもしれない。
「そう!イメージ、想像力だ!たぶんこの魔法に対するイメージの形が俺とファウノさんで違うんだと思う。セレナも他の人と魔法の形が違ったこととかないかな?」
「あります!私はよく母に魔法を教えて貰ってたんですが同じ魔法なのに、はじめの頃は威力が弱かったりうまく的に当たらないことがありました!でもそれは加護をうまく扱えていないだけだとばかり…」
「まぁ確証はないんだけどね…それを確認するためにもエレナに協力して欲しいんだ!」
「何でしょうか?」
「エレナには光の魔法を使って貰う!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます