第15話 平和の城
中央都市ウガリットー中心部ー
「はい!到着!」
トゥランに連れられたどり着いた先は…
「ここがフラワシ教の教会よ!」
だった。ここもかなり立派な建物だ。
「たしかフラワシって精霊の神だよな?」
トゥランが意外そうな顔をする
「そ…そうよ!フラワシ様は精霊をまとめる神。私達エルフはフラワシ様の加護をいただいて精霊を召還しているの。」
「加護ねぇ…じゃあ街の中にいる精霊は誰かが加護を使って召還してるのか?」
街の中の1人1人が精霊を召還してるのだろうか?
「それは別、神子様がフラワシ様にお願いして精霊を日常に役立たせて貰ったの。
私達が召還する時は自分自身の生命力を分け与えてるの、でも街の中や生活に必要な精霊はフラワシ様に捧げられた生命石の力で生きているのよ。そしてその為には冒険者は必須。それなのに何も知らないから驚いたのよ!」
つまり戦闘等の個人で召還する場合は自分の力を分け与え
日常の生活での精霊は生命石を力に生きてるわけか。
てか生命力って渡して大丈夫なのか?思うと魔法を使ったときに立ちくらみがした。その程度なのだろうか?ウルは慣れるといっていたが…
「あと…よく分からないんだが冒険者って依頼とか受けて解決したりとかするもんじゃないのか?」
ウルと話していた限りはそのイメージしかない。
「たしかにそれも1つね!でも冒険者が人気なのは精霊の為に生命石を手に入れそれをギルドが買い取るから増えてるわけなの。ハクトも見たでしょ?レッドヘルドラゴンから生命石が落ちるところ」
「あれか!」
たしかにドラゴンを討伐した時に光りの中からクリスタルの様なものが落ちた。あれが生命石…透明で煌めきのある石だった、大きさはバスケットボールくらいだったな。
「あの大きさなら結構な金額になるわね!金貨50枚…もしかしたら金貨100枚分!白金貨になるかも!」
アイスを食べたときに1つが銅貨8枚だった。
その時に聞くと
銅貨10枚で銀貨1枚
銀貨10枚で金貨1枚
との事だ。
アイスが800円くらいだとすると銀貨は1000円
金貨は10000円
つまりレッドヘルドラゴンを討伐したら100万円にもなるってことか!?
たしかに冒険者は命懸けだが良い商売かもしれない
◆
その後、トゥランには他の教会も案内して貰った。
この世界には5つの種族と神が7人いる。
人族
エルフ族
獣人族
ドワーフ族
鬼人族
【光の神】アテン
主に人族…北の首都エトルリアにて信仰
加護…光の魔法
【知恵の神】ツァラ
主に人族…南の首都オセティアにて信仰
加護…火、水、風、土、癒しの魔法
【精霊の神】フラワシ
主にエルフ族が信仰
加護…精霊召還
【野生の神】アフサティ
主に獣人族が信仰
加護…身体能力強化
【技術の神】コシャル
主にドワーフが信仰
加護…技術向上、精密作業、超集中
この5神は地域差はあるが各街や村には大抵の場合教会や信仰する場所がある。
ただこの考えは少し古く、どの種族がどの加護を受けるのも自由であり一概にはいえず、今は自分の将来を踏まえ神を選び加護を受けるのが主流らしい。
そして受けた神の加護以外は使えない。
残り2神
【日の神】アマテラス
主に鬼人族が信仰?
加護…?
しかし鬼人族に関してはトゥランも詳しくないらしく、この中央都市ウガリットにも教会はない。
そして最後が邪教とされている
【闇の神】アンラアペップ
加護…闇の魔法
もちろん教会はなく知能のあるモンスターや魅せられた人々が信仰しており、暗黒竜もこのアンラアペップの手の者だと考えられているらしい。
他の神の加護は使えない…だから闇の魔法を使った俺は邪教の信者と思われたのか。
でもその考えなら何で光の魔法と闇の魔法を両方使えたんだろうか…
◆
各教会を説明して貰ったあとトゥラン、チャペと共に招待されていたファウノの家へと向け坂を上っている。
トゥランが住所を確認すると中心部から少しは慣れた丘の上にあるようだ。
「この世界にも色んな神がいるんだな!」
「この世界か…にゃ?」
チャペが不思議そうに問いかけてくる
「いや…ごめん!なんでもない!」
色々と説明をされたが気になることが3点程ある。
1つ目は神は全て知っている、フラワシ、アフサティについては少しマイナーかも知れないがアマテラス何てまさかの日本の神様だ。
2つ目はアテン、ツァラ、アンラホテップ
この3神については、はっきり言って実際には存在しない…
俺と大和、癒真が作り出した神だ。
でもこの世界には信仰の対象として存在している。
3つ目…どの教会も立派で夕暮れにも関わらず多くの人が教会を訪れていた。
だが【光の神】アテンの教会だけは閑散としていた。
やっぱりウルが言っていたようにアテン様への信仰は相当薄れているのだろうか…
考え事をしているとチャペに声をかけられる
「ハクト!見るにゃ!綺麗だにゃ~」
振り向くと上ってきた坂から街が一望できる。
街の中心に建つ城が灯りで照らされ、その光は四方の道路へと続き光の道が延びている。
来たばかりの時も思ったが異世界は綺麗なところだ。
「なぁトゥラン、あの城にはここの王様が住んでるんだろ?どんな人なんだ?」
トゥランが少し遠い目をする
「平和の城、ヴレーデゥ城よ…それに誰も住んでないわ象徴の城だから。
昔ね…私も産まれる前、長い間ずっと各種族がいがみ合い殺し合う戦争をしてたの。
とても多くの人が亡くなったみたい…でも160年前に1人の英雄フラグラナスが戦争を終結させて各種族が和平を結んだのよ
その時に作られたのがヴレーデゥ城とこのウガリットの街
だからこの街の光は平和の光なんだってさ」
「そうか…この光はみんなの思いが作った光なんだな…」
ってちょっと待て!こんなしんみりした話のところ悪いけど…ヴレーデゥ城ってラブホテルの名前じゃん!!??
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