第14話 ソフトクリーム

「その調査!俺も参加したい!」


思わずエリーニュにかって出る。


「私に言われてもなぁ…もうメンバー決まってるだろうしなぁ…それにこれ話しちゃいけないんだった…だから…忘れてくれ!!!えへっ!」


えへっ!じゃないわ!

暗黒竜に関しては少しでも情報を手に入れたい。


「いやいや忘れてくれって言われても聞いちゃったし!それにどうしても情報が欲しいんですよ!」


「ん~…そういわれてもなぁ…」

自分のミスと思わぬ相談にエリーニュは困った顔をしていたが何か思い付いたようだ


「ハクトって言ったっけ?円卓会議って知ってる?」


「いや…知りません。」

円卓会議、名前は知っているがそう言うわけではないだろう。



「王や各族長、力のある人達が集まって話し合いをする場でさ世界の状況とか方針を決めるわけだ。それで、さっきも言ったけど円卓会議って来月行われるんだよ。」


国会みたいなものだろうか?この世界の事を決める場なのだろう。


「でだ!さっきいたエルフの子ってもしかしてだけど族長の娘じゃないか?あの子なら円卓会議に出る可能性あるんじゃない?それに次の円卓会議は友好160周年の記念日!城下もお祭りだからね!社交の場とかあるんじゃないかな!?」


たしかにトゥランは族長の娘だと言っていた。

友好160年ってのは分からないが、よく貴族なんかは社交パーティーなんかやってるイメージがある。


「もしくわ!」


まだあるのか!


「あんたも冒険者になるんだろ?無理だと思うけど来月までに冒険者として名を上げれば参加できるかもねぇ?むふふ」


エリーニュがニヤリと挑発的な笑顔を見せてくる。


「やってやりますよ!来月までに名のある冒険者になってやる!」


情報が欲しいのもあるが焚き付けらて黙ってはいられない。


「まぁせいぜい頑張るんだねぇ!あとさっき言った話しは内密に!チャペ…帰ってきたら遊んであげる!じゃまたね~!」


チャペの頭をポンと撫でるとエリーニュは店から出ていった。


「あいつ!何も買わねぇで出ていきやがって!」


店員のドワーフが不満そうに捨て吐く


「よし!とにかく明日冒険者になったら名を上げる!そしてエリーニュを見返してやる!チャペ!頑張ろうな!」


ヤル気満々でチャペに話しかけるが何故か申し訳なさそうな顔をしている。


「にゃ~ハクト…多分なんだけどにゃ…ねぇさんは面倒だから巻くしてて逃げたんだと思うにゃ…」


「何ぃ!?」


ダッシュで店を出てエリーニュが歩いて行った方を見るがすでにいない…誤魔化されただけ!?


「じゃあ!おじさん頼むにゃー!」


「あいよー」


ドワーフに挨拶をしチャペも店の外に出てくる。


「ねぇさん…居たかにゃ?」


「いや…もう居なかったよ…」


ニャハハと苦笑いをするチャペ


「でもエリーニュの言ってたことは考えとしては間違いない!チャペ明日頑張ろうな!」


まぁ冒険者になるのにどんな手続きがあるのかとか全然分かってないけど…

あとは円卓会議についてトゥランにも聞いてみなければ。

そういえば1人で出ていったけどどこ行ったんだ?


「…11歳…」


「ん?」

トゥランの声がする


「…あの身体で…11歳…」


「うぇっ!!!」


ビックリして変な声を出してしまう。居ないと思ってたけど店の前で座り込みまだぶつくさと念仏を唱えていた。

その異様さに街行く人が店内に入れなくなっている。


「トゥラン…邪魔になってるから…行こうか…」


しょげるトゥランの引きずり店をあとにする




中央都市ウガリットーメイン通り


「ん~美味しい!最高!さすが最新スイーツね!」


ずっとふてくされていたトゥランだが機嫌が直ったようだ。アイスを美味しそうに食べている。


コシャル商会を出たあと、トゥランが急にアイスが食べたいとただをこねたから言われるがままに来たが…はっきり言って舐めていたアイスといっても変なのが出てくるだろうと…


「たしかに…美味しい…」


間違いないこれはソフトクリームだ!

冷えた鉄製の容器に入っている。横には小さな容器があり濃いコーヒーが入っておりお好みでかけるようにとのことだ。


この世界にソフトクリームがあるとは思わなかった。

街並みも中世ヨーロッパって感じだし、車何てない街行くのは馬車だ。

そんな世界にこんなものが有るとは思わない!


もしかしてこの世界は意外と技術力があるのか?


「私、試作の段階からこれ大好きだったの!」


「試作ってトゥランは作るのに関わったのか?」


「このアイスはエルフの神子(みこ)様とコシャル商会が共同で作ったのよ!まぁ私は食べてただけなんだけどね…」


チャペはコーヒーが苦手なようでアイスだけ食べている。


夕暮れも終わりを迎えそうになり建ち並ぶ街頭に灯りが灯る

街灯の光はポールの先で丸い形をしている優しくも明るい光だ、火を灯しているわけではなさそうだし電気があるとは思えない。


すこし近づき光源をよく見ると黒い点々が2つある

見つめていると点々が動きこちらを向く。

観察しているとなにやらパチパチと動いている?


「まばたきした?」


驚いているとトゥランがあきれた顔で話しかけてくる


「ハクト…あなた精霊も知らないの?街の灯りや料理のための火、水路を動かす水、それにこのアイスを作るのだって精霊の力を借りてるのよ!」


「精霊ってそんなにいっぱいいるものなのか?」


街灯の数だって相当な量だ。精霊って貴重なものではないのか?


「はぁ…世間知らずだと思ってたけど本当に何も知らないのね…冒険者になるって言ってたくせに。ちょっと来なさい!」


そう言われてもこの世界には来たばかりだ。


ウルのやつ…なんも教えてくれなかったしな


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