中二世界?

第8話 異世界転生

ひんやりして気持ちがいい


全身が包まれてる感じがする


目を開ける


ちょっと明るい


気泡が昇っていく…綺麗だ


口から溢れてるんだな


息出来ないもんな


…息が…出来ない!


ここは…水中か!

溺れる!?

慌てて身体を起こそうとする

息が持たない…まずい…


「浅いから大丈夫さ!」


誰かの言葉に落ち着きを取り戻す


「あれ…?」


身体を起こすと下腹部辺りまでしか水がない

半身浴にしても少ないくらいだ。

水を呑み込んだからかやけに頭が重く感じる。



「ここは…祭壇?」



立ち上がり水から上がり周りを見渡す

古い遺跡だろうか。

建物の中心、四角く囲われた中には青く色ついた水が溜まっている。

壁には石像や何かの絵が描かれているが古く朽ち果てているようで良くわからない。


「ここが転生先か…」


あまり実感がないな…

もしかして凄いイケメンになってたりする?


期待を胸に水面を覗く


顔は…変わってないな…

いつもどうり頭の上にも小さい子竜?子ドラゴン?が乗っている…って


「ドラゴン!?」


立ち上がり思い切り頭をふる


「おぉぉ~」


離れない


鷲掴みしに引っ張る


「おぉぉぉぉぉ~!」


も離れない!髪が引っ張られて痛いんだよ


「いい加減に!しろ!」


思いっきり引っ張ろうとするとポンッと離れた子ドラゴンは

小さい翼をパタパタとはためかせこちらを見つめている!


「おいっす!」


子ドラゴンが小さい手を上げ挨拶をしてきた


「お…おいっす?」


そしてその手にはむしりとられた髪の毛が…


「お前!人の髪の毛むしりやがったな!」


むしりとった毛を見つめ気まずそうにしている


「これは…不可抗力ってやつだな!」


子ドラゴンの額に軽くチョップを食らわす


「いてっ」


転生したらハゲでしたでは困るのだ。




「お前は何者なんだ?」


転生したのだろうが、ここがどこかも分からないし、まず本物のドラゴンを見るのは初めてだ

思うと襲われないんだろうか?


「おいらの名前は白竜ウルティゲルヌス!【光の神】アテン様の使いだ!ウル様と読んで良いぞ!」


この子ドラゴンがアテン様の使者か。

あまり威厳を感じない…少し丸っこくてむしろ可愛さが勝ってる。


「それでウル。ここはどこなんだ?」


「ここは1200年前に繁栄していた都の後だ!今はほとんどが土に埋もれて丘になっているが、この神殿は残っている!あとウル様と呼ぶと良い!」


ここは丘にあるのか…

ウル様と呼べとうるさい子ドラゴンは気にせずに神殿の外に出る。


「おぉぉぉぉ!」


思わず駆け出す

丘の上から周囲を一望できる


足元には森、広がる平原、流れる川

牧場のようなものもある、そして遠くには塀にに囲まれた綺麗な城が


全てが輝いて見える!

ここが異世界!


「ウル…綺麗だな!」


肌にあたる風も心地がよい


「この世界も好きになれそうか?」


「ワクワクするよ!」


少し心配そうに聞いてきたウルも安心したように笑顔になる



ここから中二病による異世界の旅が始まっていく

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