第7話 光の神

眩しい


目は閉じてる。


まぶたの先に光を感じる。 



「ハクトよ…目覚めなさい…ハクト」



そっと目を開けると空が広がっている。


ただ今日見ていた夏の空とは雰囲気が違う…


身体を起こし周りを見渡す

雲と雲の間からは光の筋が流れている綺麗だ…



「気がついたようですね」



声のする方を見ると…


眩しい!人影があるように見えるが明るすぎて直視出来ない!

人の後ろが光ってるというよりはその者自身が光ってる感じだ


「あの…すみませんが眩しくてよく分からないんですが…」


「これは申し訳ない!人と話すのは久々なもので!これで大丈夫だろうか?」


少しづつ明るさが弱くなっていく

声の主はやっぱり人だ

白髪が長い、綺麗な顔をしているが男だとは思う



「あなたにお願いがあります」


いや…いきなり言われてもな…


「お願いって言われても…まずここはどこであなたは誰なんでしょうか?」


その言葉に白髪の男は意外そうな顔をする


「えっ!あなたは毎日、私に祈りを捧げてくれていたではありませんか!」


毎日祈り…?

会ったこともない人に祈り…?

俺が祈ってるのは【光の神】アテンだけ…


「ってアテン様!?」



「気がつきましたか」とふふふと笑う



居ないと思ったことはなかった…周りにバカにされても気にしてなかったが…本当に目の前にすると少しは驚きはする…



「【光の神】アテン様!私に出来ることなら何なりと!この力はこの日のために鍛えて来たのです!」


やばい!めちゃくちゃテンション上がる!



「ありがとうございます。ただあまり時間がなく話を進めさせてもらいます」



神様からの願いか!なんだ!



「世界を救っていただきたいのです」



きた!勇者か!俺は勇者になるのか!



「ふっ…もちろんですとも!私の最強の力で悪を断ちましょう!」



「ありがとうございます。そして本当に申し訳ないございません。」



「いや!アテン様に謝って貰うことはないです!」



「いや…救ってもらうのは…私が悪いのです」

寂しそうな顔をしている


「1200年前、私が【闇の神】と戦ったのは知っていますね?」


もちろんだ、俺と大和の間では常識である


「その戦いで私と【闇の神】アンラアテップは力を使い果たしました。

ただし使い果たしたと言っても影響力がなくなったわけではありません。

世界から魔物も消えることもなく。

私もあなたや、世界の人々の信仰心により力が戻りつつありました。」


間違いない…人の怒りや憎しみなどが【闇の神】の力になる…

戦争や争いが無くならない限り魔物は消えないだろう。


「しかし…100年前」


100年前?それは知らないぞ…


「世界に暗黒竜が現れ【闇の神】の力が強くなったのです。」


つまり…その暗黒竜を倒して欲しいってことか…?

別にアテン様のせいではないのでは?


「あの…やっぱりアテン様が謝る必要はないんじゃ?」


「いや。【闇の神】の力が増したのは私への信仰心の欠如が原因だと思います…光と闇は表裏一体

光が強くなれば闇が弱く…闇が強くなれば光が弱くなってしまいます。」



と言うことは100年前かそのもっと前に原因があるのか?



「申し訳ございません…時間が来たようです…転生先には私の使者がいます。旅の共にしてください」


転生か!ワクワクする!


…でも…あれ?…これって…俺は死んだってこと?



「ちょっと待ってください!俺は1度死んだんですか?癒真と大和は無事なんですか?」


アテン様が消えていく…意識も…


「【弱きを守り邪悪を滅せよ、各(おの)の正しき行いが和の道となす】宜しくお願いします」


朦朧とする中、アテンの声を聞きながらまた目の前が暗くなる…




























  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る