第14話

 真鍋先輩が開けてくれたドアの向こうに、白い校舎の眩しすぎる反射と、青い青い空があって。






「わあ………」






 初めて来た屋上に、思わず声が出た。






「遅いよまーくん。って、真鍋先輩!?」

「こ、こんにちは!!」






 ドアを出た所で透と友弥が待っていてくれて、真鍋先輩を見て、ひいいってなってて。



 ちょっと、おかしかった。






「お前ら怪我人置いてくなよ」

「はい………」

「すみません………」






 射るような、うわってなる目で透と友弥を見て、そして僕にちょっとだけ笑って。






「じゃあな」






 離れていく、真鍋先輩。



 離れていく、真鍋先輩のあったかさと、におい。






 背中を、見送る。






こうちゃん、遅いよ」

「ごめんごめん」






 その時、横からふらりと現れた人影に、先輩が見たこともないような顔で笑うのが見えて。






 うわ。痛い。



 何か、痛い。






 ずきーんって、僕の中のどこかが、痛んだ。






「あれーー?野球部の有名トリオじゃん。光ちゃん、一緒に来たの?」






 少し小柄な、ほんわかした感じの人が、僕たちに気づいた。






「下で新井と偶然会って」

「へぇー。せっかくだから一緒に食べようよ」






 野球部の有名トリオ?



 そこにも?マークが飛んだけど、せっかくだから一緒に食べようよって、ものすごーく優しく微笑まれて。



 僕たちは3人で顔を見合わせて、同時に?マークを飛ばした。






 誰?






「おれは光ちゃんのクラスメイトの木戸亮平きどりょうへい。ね?いいじゃん、一緒に食べよ。ああ、お腹すいたーーー」






 うーんって伸びをしながらすたすたと行ってしまう木戸先輩。



 ただただぽかーんと見てる、僕たち。






「ほら、飯、食うぞ」

「は、はい………」






 僕の側に戻って手を差し出してくれた真鍋先輩に促されて、僕たち5人の屋上でのお弁当タイムが始まった。

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