第12話

「俺らは朝から先輩にしごかれてヘロヘロだっていうのに、何なんだその幸せそうな顔はっ!!」






 先輩に支えられて教室に着いたら、朝練終わりの透と友弥が机に突っ伏していて、おはよーって言ったら友弥に怒られた。






「え?友弥、ちゃんと朝練出たの?いつもみたいに部室でゲームじゃなくて?」

「俺だって真面目にやる時ぐらいあるわ!!」

「たまーにだけどね」

「うっさい!!」






 叫んでる友弥を無視したまま、ひょこひょこ歩いて自分の席にすわる。



 何でだろう。



 真鍋先輩と一緒に居ると、落ち着かなくて、でも、嫌っていうんじゃなくて、嬉しくて。ふふって。なる。






「今日もトランプひいたの?」






 すわった僕のところに、2人が寄ってくる。



 何だかんだ言ってラッキートランプが気になってるんだよね?






「うん。ラッキーアイテムはリュックって」

「だからそれ?」

「うん」

「で、まー、さっきからニヤニヤしてるけど、何かいいことあったんだ?」






 そう言いながらニヤニヤしてる透は何だよ!?って僕は突っ込みたい。



 突っ込みたいけど、どうせ友弥と2人で更に色々言うんだって分かるから、黙る。






「あったんだ」

「もう、友弥!!僕の表情読んで勝手に答えるのやめてくれる!?」

「分かりやすいんだからしょーがないじゃん」






 で、なに?






 ニヤニヤニヤニヤ。



 2人の顔が、ムカつく。






「教えない!!」






 教えないよ。



 真鍋先輩と同じリュックで嬉しかった、なんて。



 言ったら絶対笑われるに決まってる。






「んだよ、ケチだなー」

「なあ?」

「うっさいよ、もう!!」

「じゃあもう1枚ひけばいいじゃん」

「え?」

「いいことあったんなら、次、もう1枚」






 そっか。

 そうだよね。



 透の言葉に妙に納得して、リュックからトランプを取り出す。



 シャッフルして。






 んんんーーーー。






「これ!!」






 スペードの7。






「よし、今日は屋上行くぞーー!!」

「おーーー!!」

「ちょっと何で透と友弥が張り切ってるの!?」






 いつもと違う所でランチを。






 屋上でお弁当か。



 ちょっと、楽しみ。






 窓の外は眩しい青空。






 いいことありそう!!

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