第11話

 今日のラッキートランプ!!






 シャッフルした後にえいっってひく。



 ハートの3…ラッキーアイテムはリュック






 リュック?リュックか。






 うーんってしばらく考えて、クローゼットからリュックを取り出す。



 最近スクールバッグばっかりで、使ってなかったリュック。






 真鍋先輩、昨日僕の鞄まで持ってくれたし、自転車のかごに先輩の鞄と2つ入れると、ガタンって飛んでいきそうになっちゃうんだよね。



 だから今日はリュックで行こう!



 あ、ラッキートランプも忘れずに持って行かないと。






 荷物の入れ替えをしていたら、机の上のスマホが鳴った。






 ついた






 たった一言。



 ケンケンして、窓際に移動して、ガラッと開ける。



 自転車に跨がる真鍋先輩。






「真鍋先輩!!おはようございまーす!!今いきまーす!!」

「はよ。階段、落ちんなよ」

「はーい!!」






 またケンケンで移動して、リュック背負って。






 あれ?先輩もリュック背負ってた?






 気持ちだけは急いで、階段を降りた。






「いってきまーす」






 玄関を開けると、真ん前に真鍋先輩が立ってた。






 あ、やっぱりリュックだ。しかも。






「先輩、リュック一緒だ!!」

「え?あ、本当だ」

「先輩赤のラインにしたんですね。僕は緑にしました」






 ほらほらって背中を見せたら、ぶって笑われた。






「昨日鞄が落ちそうだったから、新井にこれ背負わせて新井の鞄はカゴに入れればいいやって思ったけど」






 真鍋先輩がリュックを下ろして、かごに入れた。





 自転車を支えてくれて、乗れよって、笑う。



 僕が乗る時に腕を持って支えてくれて、先輩やっぱり優しいなって、ふふって、なっちゃう。



 先輩も乗って。






「 おんなじこと考えてたな」






 って、前を向いたまんま、ボソッと言った。






 そういうところに、やっぱりふふって、僕は、なっちゃうんだ。






「掴まれよ」

「あ、はい」

「おい」

「はい!?」






 先輩の腰の辺りに掴まったら、先輩が怖い顔でぐるんってこっちを向いた。



 ちょっとだけ、その顔にひいいって、なる。






「だから、ちゃんと掴まれって」






 手首を掴まれて、お腹の方に持っていかれて、昨日よりも先輩に、くっついちゃう。






 何か、何か、何かなんですけど………。






「行くぞ」

「お願い、します………」






 走り出した自転車からの朝の景色が、すごくすごく眩しかった。

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