第5話

「ラッキートランプ?何それ」






 僕と友弥はお弁当を食べ終わって、透はお弁当を食べながら、朝の話のついでに僕は二人にトランプの事を言ってみた。



 このトランプの言う通りに新しい靴を履いたのに、幸せどころか怪我したなんてさ、やっぱり何か納得いかないじゃん。






「あなたを必ず幸せに導きますって、もうその時点であやしくね?」

「俺も透くんの意見に賛成」

「だって何か面白そうだったんだもん」

「まー、朝のあれって相手誰か分かってる?」






 透がふいに、にやっと笑いながら言った。






「見たことあるような気はしたんだけど…………」

「まーくん気づかなかったの?」






 友弥が信じられないって顔で僕を見る。透はやっぱりなって顔。






 え?えーと校章の色が赤だったから、3年生の先輩だってのは、分かった。






 目がおっきくて、でもなんかぎらぎらした感じ。



 にらまれてドキッとした。ドキッとっていうか、びびった?



 顔は超かっこよくて、唇はちょっとぷっくり柔らかそうで。低い声。






 要約すると、とにかく羨ましいぐらいの、イケメンってこと。






「えーと、誰、だっけ?」






 しばらく考えた後に言ったら、がくーーーっと2人が大袈裟に倒れた。



 え?そんな有名な人?






真鍋まなべ先輩だよ、元サッカー部主将の」

「3年生だから引退したけどね」

「えええええええええ!?いてててててっ」






 あまりにもびっくりして立ち上がっちゃって、足の痛みに更にびっくりして、座って机に撃沈した。






 待って、真鍋先輩って、あの、真鍋先輩、だよね?






「我が高校元サッカー部のエースで主将。スポーツ万能、成績優秀、クールでイケメン、超モテモテの、あの、真鍋先輩だったよ」






 撃沈する僕に、友弥は更に追い討ちをかけてくる。






 怪我、しなかったかな?



 あの真鍋先輩に怪我させたなんて知れたら、僕この学校中の女の子に袋叩きにされちゃう。まじで!!ヤバい!!






「まーくん、これ1枚ひいてみたら?」

「え?何で?」

「真鍋先輩がもし怪我してて、それがまーくんのせいだってバレたら………ねぇ?」

「もう友弥、そういうこと言わないでよ!!僕今本気で心配してたのに!!」






 まさに考えていたことを言われたから、余計に焦って、無言でトランプの箱を手に取ったら、2人が爆笑した。






 もう!!他人事だと思って!!






 箱を開けて、トランプを取り出しシャッフルする。






 どれにしよう。どれにしたら、僕は………袋叩きを回避できる?






「すげぇ真剣」

「本気だよこの人」






 うるさいなあ、もう!!






 えい!!ってひいたトランプは、ダイヤのJ…嘘をついちゃダメ。






「嘘はダメだって」

「嘘つくなよ」

「もう!!うるさいよ、本当に!!」






 僕が叫んだと同時に昼休み終了のチャイムが鳴って、僕はまた爆笑された。






 覚えとけよ、2人とも!!

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