第3話

 新しい靴を履いて玄関を飛び出し、50メートルぐらい先を駅に向かって歩く透と友弥を見つけた。






「透、友弥!!ちょっと待ってーーー!!」






 叫んで、走ろうと道路に出た、その時。






「うわっ!!」

「わああ!!」






 結構なスピードで走ってきた自転車が、視界に入って、うわあってなってそれを避けようと身体を反転させた。






 ガッシャン!!と自転車が倒れる音。



 そして、ズキンと足に走る、痛み。






 ヤバイ!!足!!






「飛び出して来んじゃねぇ!!このバカ!!」

「あ、ご、ご、ごめんなさい!!大丈夫ですか!?」






 怒鳴り声にびっくりして顔を上げると、同じ高校の制服を着た人が居た。



 どっかで、見たこと、あるような?






「まーくん大丈夫!?」

「まー、怪我は?」






 多分怒鳴り声と自転車が倒れる音を聞いて走って戻って来てくれた透と友弥が、心配顔で僕を覗き込んだ。



 足、足!!足が、ヤバイ。






「もう飛び出すんじゃねぇぞ、1年坊主」

「あの!!本当にごめんなさい!!」






 何事もなかったように、その人は自転車を起こして行ってしまった。



 けど。






 怪我、なかったのかな。自転車、壊れなかったのかな。






「大丈夫?」

「ほら、朝練早く行かないと」






 友弥が鞄を拾ってくれる。



 透が僕を立たせようとしてくれる。






「ごめん、朝練無理だ」

「まー?」

「どうしたの?」

「足…………捻っちゃった。痛くて立てない」






 ええーーー!?って二人が叫んでる。






 でも一番叫びたいのは僕だよ。



 もうすぐ部活の試合があるのに。



 レギュラーで出られるって発表があったばかりなのに。



 これじゃあきっと出られない。



 悔しくて泣きそうになる。






 座り込んで靴を見る。






 ラッキートランプ。

 あなたを必ず幸せに導きます。






 そんなのを信じた僕がバカだった。






 バカ。






 もう………最低。

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