勇者パーティ追放されたんですが、魔王を倒すのは嫌だと言ったら魔族として処刑されそうになりました。

あずま悠紀

第1話

「魔族として迫害されるより人間に復讐したい」という彼女に、彼は自分の知識をフル活用して協力することを決めるのだが?



「さて、勇者パーティから追放されたわけだが……」

 俺は、とある田舎の村へとやって来ていた。ここは魔物の被害に悩まされており、それに対処するため、村長の娘であるミユキちゃんの案内でこの村にやって来たのだ。まぁ実際は追放されたわけだけど。いやマジで追放とかありえんし!勇者だから俺!普通そういう流れってさ~~~!追放したらその後どうなるかなんて目に見えてるじゃねーですか。もういいですよわかりましたよはいはい勇者様万歳ですはいはいはいはい!!!!(キレる若者風)。

そんなこんなで、今は村長宅の客間にいるわけなのだけど、村長の娘ミユキちゃんから話を伺うことになった。

なんでも、魔物被害に悩まされているのはここだけじゃないらしい。ミユキちゃんたちの住む村を含めたいくつかの集落で似たようなことが起こっているようだ。そしてその原因こそが、あのクソ勇者が連れてきた魔族のせいらしいのだ。ちなみにその話によるとこの村も勇者パーティが拠点としていた街に近い位置にあるとのこと。

「まさかあの勇者パーティの中に魔族が紛れ込んでるとはなぁ~。そりゃ追放されて当然だよあいつらは!」

はぁ~、とため息をつくミユキちゃんだったがそれは無理ないわな。いきなり魔族が現れたと思ったらそいつは自分たちのことを"神の使者"と名乗りやがったんだ。さらに言えば奴らの言い分は『お前たちは魔族の脅威に晒されている』だもんなぁ。それで実際にその通りだしなぁ(笑)。

とはいえミユキちゃんはそんな馬鹿げた言い訳を信じてしまったわけだけれど、他の連中はその嘘っぱちを信じなかったらしい。魔族は敵であり倒すべき存在であると認識していたようだ。そして彼らはそれを実践するべく、あろうことか俺を追放しやがったんだよねぇぇ!!ほんっっっと許せない!俺が何したっていうんだよまったく!!!

「あ~、なんつーか災難だったな。とりあえずこっちに来て休めば?まだ旅の途中なんだろ?」

気を取り直した様子で尋ねてくる村長の娘ミユキちゃん。その顔色は心労のせいであまり良くなく目元には薄っすらと隈が見える。相当苦労しているんだろう。俺と同じ異世界転移者のはずなのにここまで苦労させられてるなんて理不尽すぎるだろうが。同情せざるを得ないぞ。

「そうだね。とりあえずはお言葉に甘えさせてもらうよ。それとありがとう。君みたいな優しい子が村長になってくれれば良かったのにね」

よしよしと彼女の頭を撫でつつ俺は微笑む。すると彼女もまた頬を緩ませ嬉しそうにしていた。ふへへと照れくさそうにしている彼女は実に愛らしくて癒された。これはこれでいいかもなぁと思い始めている俺がいたりする。

それからしばらく談笑を楽しんでいたがミユキちゃんのお母さんがお茶とお手製のクッキーを持ってやってきたのをきっかけに一旦席を外すことにし部屋を出た。

☆ さっきの話の流れでは俺のことを勇者と勘違いしているみたいだけどどう説明したものかな?このまま勘違いされている方が好都合だと思うのであえて訂正する必要は無い気がしてきたんだけど、それだとまた面倒なことに巻き込まれるような予感がビンビンするのでちゃんと説明した方がいいよなって結論に至りつつある。でもなんて言えばいい?実は僕はこの世界とは違うところから来たんですって言ったところで信じてくれるわけないだろうし、そうなってくると俺は別の異世界からの勇者ですとか言ってみた方がまだマシかもしれないな(錯乱)。しかしそうなるとミユキちゃんが信じちゃいそうで怖かったりもしてさ。なんか俺、信用ないよね(自業自得)。

そんな感じであれこれ考えていた結果、何も言わずに立ち去ることにした。下手に口を出して余計ややこしくなる前に逃げるに限るわ。あとで謝ることだけは忘れずにしようと思います。はい反省。というわけで逃げますかね。さーってとぉどこで時間潰そうかなぁ~(逃亡)。とそんなこんなで屋敷を出ることに成功した俺は森の中へと入っていった。さすがのクソ勇者たちも森までは追っては来まいと思ってのことだ。というかマジで追放とか意味不明すぎて草しか生えない。勇者のパーティから追放されて追放者になったわ!ヒャッハー!と叫びたい気分だ。

まぁ追放とかされなければミユキちゃんとも知り合わなかったんだろうけどね!いやまぁそのミユキちゃんとの件があったからこそ村長の家にいる村人たちに挨拶回りをして誤解を解くためにこうして歩いてるわけだけれどもさ(笑)。

それにしても俺ってば勇者どころか普通の人でもないんだよなぁ(遠い目)。何しろこの世界にはいないはずの存在だからね!いやー本当に参っちゃうなー!そんなこんな考え事しながら歩いているうちに村外れにある墓地へと辿り着く。そこは村の住人が眠っていてその数は決して少なくはなかった。その中には俺の家族も含まれていて墓参りをしにやってきたのだ。もちろんその目的は勇者パーティから追放されてここに来るまでに至った経緯の報告のためである。そしてもう一つある目的があってこの場に来たのだけれど、今はそれを話すべきではないだろう。なぜなら、もうじき俺の待ち望んでいた瞬間が訪れようとしているからだ。

それは――

「おいテメェここでなにしてやがんだ?!」

という声が聞こえたので振り返ると、そこには村一番の大柄な男が剣を構えながら立っていた。その男の他にも何人かいるのが確認できる。全員村に住んでいる人々なのだが俺にとっては知り合いというよりもむしろ邪魔者でしかなかった。この男たちはこの村においていわゆるチンピラの立ち位置に存在している。なので俺としては早くどこかに行ってほしいわけなんだけど。しかし、俺の考えに反して彼らはしつこく付き纏ってきた。正直ウザったく思っていたので丁度良い機会だと思い彼らを利用することにする。そう、俺が墓場でやろうとしていることのためにな。

☆ 私は、お父さん、お母さんと一緒に暮らしている。村の人たちは優しくしてくれるし平和で楽しい生活だ。

私には友達もいる。名前はユナちゃんといってとても明るくていつも元気をくれる子だ。そんな彼女もまた、この村に引っ越してきて以来仲良しになっていた男の子のトモくんと一緒の家で暮らしていた。二人は幼なじみらしいのでずっと一緒にいたいと思えてしまうくらいにはラブラブな二人だった。そんな二人が最近おかしい。何かあったのかと訊いても大丈夫と笑うだけで本当のことは何も教えてくれなかった。

そんなある日、お父さんの仕事仲間であり私の幼馴染でもあるユウトさんとこの村を訪れた時に二人のことを尋ねてみると二人は家を出て行ったとのこと。理由を聞くとその理由についてもはぐらかされるだけだった。そんな話をしている間に目的地である村長の家に着いたのだが、家の前には人だかりが出来ており何事かと思っているとその輪の中心には一人の男性の姿があった。その人は、どう見ても村長の家とはあまり縁のない人だった。そもそもこの村にあの人がいるのも変なのだけれど、もっとおかしいことがあった。それは、彼が村長と話している様子がないということだった。つまりどういうことかと言うと、まるで誰かが一方的に話しかけているように見えるのだ。そのせいか村人たちは怯えた表情でその光景を見ており、誰もその場を離れようとはしなかった。ただならぬ気配が漂う中私は勇気を振り絞って村長に声をかけることにしたのだけれど――

「おいテメェここでなにしてやがんだ?!」

「ここは俺らの縄張りだ。部外者はすっこんでな!」「いやぁー、ここら辺にいいお店があると聞いて来てみたもののなかなか見つかりませんねぇ。困ったものです」

なんて言いつつヘラヘラ笑っている彼の目は、全く笑っていなかった。明らかに怒っていた。そしてその怒りは私たちに向けられたものだということはすぐに理解できた。そして次の言葉で彼はこの場にいるすべての人間を凍りつかせる一言を口にした。

「なーんちゃって!俺ってば、魔族ですぅー♪」

彼は笑顔のまま、その手を天に掲げると、そこから真っ黒で禍々しいオーラを放つ球が現れたのだった―— その男は、魔族と名乗った途端その黒い球を生み出したのだった。それを目にした村人たちの反応は大きく二つに分かれていた。魔族の存在を信じられなかった者かあるいは信じたくない者のいずれかだが、彼らは魔族を名乗る男から発せられる圧倒的なプレッシャーに飲まれてしまっていた。それはおそらく魔族の存在を知っているか知らないかの違いではないだろうかと思う。村長の娘で実際に魔族のことを話してくれていたミユキちゃんも呆然と立ち尽くしてしまっているようだしな。そんな中、唯一彼に対して物怖じしていない人物が目の前にいたので俺は思わず驚いてしまう。それは、この世界の魔族について話してくれた少女、ミユキちゃんの父親である。その人物は俺を真っ直ぐに見据えながら静かに口を開いた。

「お、おぬしは本当に魔族なのか?」

「あー、まぁそう言われてもしょうがないよねぇ。こんな格好じゃねぇ。うんうん俺もどうかとは思うよ」

そう言うと同時に俺を包み込んでいた闇色の霧が一瞬で消え去り服装もまた元に戻ってしまった。それを確認してからミユキちゃんの父親へと向き直る。そしてニヤリと笑いつつ再び問いかける。

「これで少しは信じてもらえたかしら?俺は正真正銘、本物の魔族だってことを」

俺が問い掛けにミユキちゃんの父親はゆっくりと深呼吸をしたかと思えばその顔を引き締めると真剣な面持ちで尋ねてきた。

「ならば一つ尋ねよう。どうしてわしの娘を狙った?そして娘がお前たちの事情を話してくれたおかげでわしはこうやって確信を持てたわけじゃが、一体どんな思惑があったんじゃ?答えによっては貴様を生かしてはおけなくなるのぉ」

その眼光は鋭くこちらの心まで射抜いてくるかのような視線を向けられていたが、俺は怯むことなく不敵な微笑を浮かべたまま返答する。すると、背後からは村人達の声にならない悲鳴が聞こえてくるし正面では父親の目が大きく見開かれていた。それも当然だと思う。なんせ自分の愛娘の命を狙ってきた犯人を前にしているのだからな。しかもそいつは自分が勇者パーティを追放されたと口にしていたわけだし。普通に考えたらあり得ないだろ。それに加えてこの俺、魔王の息子なわけだし(笑)。そんな風に心の中で笑っていられるのはひとえに大したことないと思っていた勇者がクソ強かったってだけの話で俺自体は全然強くはないわけでね?(泣)だからまぁ、この展開は完全に予想していなかったと言えば嘘になるし、むしろ都合がいいと考えていた。なので慌てる素振りを見せることはなく余裕ぶって答えることにした。ちなみに後ろの村人たちはというと恐怖が最高潮に達しているのかもう完全に泣き叫んでいた。その気持ちすごくわかる。そんな村人の様子を見かねたのか村長である父親(多分)から提案を受けることになるのだった。

「とりあえず場所を変えるとするぞぃ。ついてきてくれるな?それと村人どもには後程事情を説明するとしよう」

「あらそう?わかったわそうしてもらえるとありがたいかなーって。でもちょっと急用ができちゃったのよねー。だから先に行かせてもらうわね!」と言い終わるや否や俺は走り出したのだがすぐに追いつかれてしまった。しかしそこで引き下がるわけにもいかない。俺は、俺の目的を果たすためにもこんなところで死ぬわけにはいかなかったからだ。しかし、今の俺は丸腰でなおかつ武器と呼べるものはこの体のみしかない状態だ。このまま戦闘になるとほぼ確実に負けるのでどうにかして時間を稼ごうと考えたわけなのさ。というわけで、適当にある物を召喚することにした。

「出でよ!《聖槍グングニル》!」そう叫ぶと手に持っていた剣は眩い輝きを放ち始める。この剣はいわゆる俺の所有物である証のようなもので、この剣自体に魔力が備わっている。故に剣の能力を使うことができるというわけだ。その能力は簡単に言えば魔法や物理攻撃などを弾く能力だ。なので剣を盾代わりに使うことによってなんとか時間を稼ぐことができた。そしてそのまましばらく走って辿り着いた場所は墓地だった。

その墓石の一つには、家族で幸せに暮らしていた頃のものも含まれていたので複雑な心境になってしまうのは確かだった。だけどいつまでも立ち止まってはいられないので再び全力で駆け出そうとしたところだった。いきなり視界から彼が消える。慌てて周囲を確認するとすぐ隣には先ほどと変わらず魔族の姿が。どうやら瞬間移動的なやつで近寄ってきたらしい。こればかりは防ぎようがないと諦めるほかないので仕方ないと割り切って、とにかくこの場を離れるために逃げ回るしかなかったのだ。

そして気付けば村から出てかなり離れたところまで来ていたのでようやく一息つけたわけだが、この辺の地理に関しては俺の方が圧倒的に詳しい。なぜならこの村は魔物の被害に悩まされていたこともあって村人たちは外に出ないようにしていたためだ。つまりは隠れる場所に困ることはなかったのだ。そんな感じで俺は魔族を巻くことに成功したと安堵していたが、その考えは甘かった。

突然、俺に向かって炎球が襲い掛かってくる。咄嵯に防御したが衝撃を殺すことはできず吹き飛ばされた挙句木に背中を打ち付けて肺の中の空気をすべて吐き出してしまったのだった。そして目の前に立つ魔族は俺に向けて話しかけてきた。その口調はとても友好的なものだったが、纏う雰囲気は全く逆であり今更誤魔化すことなどできないものだった。俺は観念したように力なく立ち上がると質問をすることにする。

「なぜ俺を殺そうとしたんだ?」

「そりゃあ魔族にとって人間の王なんて邪魔な存在だからでしょ。だから始末しようと考えて実行したというだけよ。それが私達一族の役目なのだから」

私は、お母さんと一緒に暮らしている。私の家は村の中でも貧しいほうなのであまり贅沢はできないけれどそれでも私はお母さんとの生活が好き。優しいお母さんと一緒にいるだけで幸せな気分になれてしまうんだもん。

私にはお父さんがいないんだ。なんでも私が生まれてしばらくして事故に遭って死んでしまったらしい。そのことを聞いて私はひどく悲しんでいてお父さんが帰ってこないことを寂しく思っていたけどある日を境にそんなことはどうでもよくなっていた。その日に見た夢の中にお父さんが現れて優しく語りかけてくれたの。そしてその日からお母さんの顔に笑顔が増えた気がした。そしてその日以来ずっと私のそばにいてくれていたのだけれど、ある時を境にどこかへ出かけるようになってしまった。その時から何かに怯えているかのようにビクビクした表情をしている時があるのはどうしてなのかなって思って聞いてみるとお母さんは苦笑を浮かべながら

「あなたが気にする必要なんてありませんよ」って言ってくれたんだ。だからそれ以上深く追求することはできなかった。それに、私は知っているんだ。

私は、あの人、あの魔族さんのお話を何度も聞いていた。その話に出てくる男の人っていうのはきっとあの人だったんだと思う。私は直接会ったことがないんだけどあの人なら、あの人とそっくりな顔をした魔族ならばきっと大丈夫だって、なんとなく思ったんだ。だって、あの魔族さんもすごく優しかったし。それで今日も村の広場で魔族を名乗る人が村長さんとお話ししているところを遠くから見たんだけど魔族を名乗る人に殺されそうになった時に助けてもらったことがあったからまた会えたらいいなぁって思うのだった。

その男から放たれた言葉は私たちを凍りつかせるのに十分な威力を持っていた。娘であるミユキちゃんを、その母親である自分の妻を殺そう、そして自分はその復讐のためにやってきた。そんな風に言っているのだから当然だろう。そんなことを言いつつも目の前の男、魔族と名乗ったその男はニコニコしながらミユキちゃんの父親を見つめていたがそれは俺に向けられたものでもあった。

「な、何を馬鹿げたことを。ミユキに手を出すだと?ふざけおって!!」

「まぁそう言わずに話だけでも聞くといいと思うよ。そしたらあんたらの悩み事もすっきりするはずだ」

「そんな戯言を信じられるとでも思うのか?」

怒りを必死に抑えながらミユキちゃんの父親、おそらく村長だと思うのだがそう問いかけてきた。そんな村長の言葉にニヤニヤと笑みを浮かべたまま「信じられないだろうねぇ。うんうんそうだよねぇ」と言ってはいるもののまったく反省している様子はなくそれどころかさらに煽りを入れてきたのだった。

「じゃあとりあえずはそうだねぇ。そこの娘ちゃん。君が証人になれば信じてくれるのかい?それとも他の誰か、できれば村人たちにも証言してもらって俺が本物の魔族だってことを理解してもらうほうが手っ取り早いかもしれないなぁ。あぁでもその場合、勇者パーティとやらが駆けつけてくる可能性もあるからさっき言ったみたいに殺しちゃうことになるかもねぇ」

この男の言う通りであれば俺たちを騙しに来たということになるがそんなはずはないと思っていた俺は反論を試みることに決めて口を開いたがすぐに閉じることになったのだが、それは目の前に現れた人物が原因だったようだ。

その人は俺のことを睨みつけると声を上げたかと思うとこちらに向けて駆け出してきたのである。しかしその速さは明らかに尋常ではなくあっという間に俺に接近したかと思ったらそのまま腕を掴みあげてきたため反応することができなかった。そして次の瞬間には首元に刃が添えられており思わず固唾を飲み込んでしまうほどだった。その女性は銀色の長い髪をしており目は青く肌は真っ白で美しい容姿をしていたわけだが、見た目で判断することはできないが人間ではないのは間違いないはずだった。何故なら彼女からは圧倒的な威圧感を感じていたからだ。そんなことを考えつつ、この女の正体はなんだろうと観察していると「ちょっと失礼しますねーっと!」という言葉と共に俺の腕を掴んだままだった女性がその場から離れると同時に先ほどまでの威圧感が嘘のように霧散してしまい、そこには満面の笑みを湛える女性の姿しか見ることができなかった。そしてその顔に俺は見覚えがあった。いや、あるというより毎日見ていたので間違えようがなかったのである。

「えぇ、まさかとは思いますけどその方も、ですよね?」その言葉を発して彼女はゆっくりと視線を下に向けた。そうするとそこにいたはずのミユキはおらず、変わりに見知った姿が目に映ったのだった。

ミユキが突然現れたかと思えば一瞬にして姿を消したことに対して驚いていたがそれよりも今は優先すべきことがあったのでそちらを優先したのだった。そして俺は目の前の女性に視線を向けたわけなのだがこれってやっぱりそういうことでいいんだよな?そうだよな?そんな風に考えているのは俺だけじゃなかったようで目の前にいる女性は目を丸くしていた。すると突然彼女の目が光を放ち始めたかと思うと「はい、間違いなくそうですね」

と返事が返ってきたのだ。その言葉を聞いた俺は、やはりそうかと納得してしまったのであった。このタイミングで目の前に魔族と名乗る謎の人物が姿を現す。この時点で確定だったわけだがそれでも一応確認しておく必要はあると、俺は彼女に質問をしてみたのだった。

「あなた方は一体何者ですか?そしてなぜここに姿を現したのでしょうか」

「私たちは、そのう。神、と呼ばれる存在です。あなたたちの世界で例えると天使のようなものだと認識してくれればわかりやすいと思います。それでどうしてここに姿を現せたのかという質問に関しては少し説明をさせていただきたいんです。というわけで、時間もいい頃合いなのでいったん私たちの世界に来ていただけませんか?」目の前の魔族を自称する女性がそういった後、突如俺の目の前に大きな門のようなものが出現したのでとりあえずはその門をくぐると先ほどの場所へと戻ってきていたのである。そこはさっきまで俺たちがいた墓地のすぐ近くだった。そこで改めて彼女たちに向き直り俺は質問をすることに。

「では聞かせてください。なぜ魔族を名乗る貴方方がこの世界に存在するのでしょうか?」

俺としてはもっとも重要な部分だ。この世界には本来魔族は存在しないことになっている。そしてその正体は、神と呼ばれる存在である、というのがここ数十年間の見解であり俺が調べた範囲ではそれ以外の答えを見つけることができなかった。だが、実際に魔族らしき人物は目の前に存在しておりその力を目の当たりにしてしまったわけでその真実が明らかになればと内心ドキドキしていたのは確かだ。だがしかし

「それは我々が魔族と名乗らずにあなた方の目に留まることができないようにするために、その、偽装していたということになります。その点については申し訳ありませんでした。で、では早速ですけど本題に移りましょう!まずあなた方はこの世界をどういった形で見ているのかを教えてもらえないでしょうか?」

俺としてはもっと聞き出したいという気持ちもあったし、それに彼女が何をするつもりなのかわからない以上は迂闊なことを言いたくなかったということもあるのでここは素直に従っておくことにした。その結果わかったことはこうなる。どうもこの世界の人間は俺の知る異世界とは違う法則が存在しているらしく魔法や魔術と呼ばれるものは存在せず科学の発展具合なども俺のいた地球よりも遅れているということが分かった。ちなみに、俺からすればこれは大発見なのだろう。なぜならばこの世界の人たちは誰も知らない事実であり、もしかすると今後人類の進化の可能性が秘められているのだから。そんなことを思いながら話を聞いていくとだんだんと興味がなくなっていった。要するに俺は"神の使徒である自分たち"と接触することによる見返りが欲しかったらしい。それが何かはまだわからなかったのだが。ただそんな考えをしているあたりは、あまり信用できるものではないだろうと思う。なぜならこの話をするときの顔は真剣そのものだったからだ。そのことから俺は目の前の魔族が嘘をついているのではないかと、そんな気がしたのだった。

そんな風に話を聞いていた俺はここでふとあることが気になったので質問をすることにした。

それは、ミユキが消えたことについてだった。俺の目にはミユキちゃんは確かにそこに存在していたように見えていたのだ。その事を伝えると魔族の女性は首を傾げていたのだったが

「そのミユキちゃんっていう子がいる場所はどこにいるんだ?それ次第ではお前たちの存在を、というかなんであの子はいなくなったんだ?」

そう尋ねると途端に顔を強張らせたので怪しいと直感で思ったのだった。

ミユキは目の前の男が魔族を名乗った時真っ先に私を殺そうとしたことを思い出してしまった。そして、魔族から庇うために私の首元へ刃を突き付けたその男の行動を思い出す。あのまま何もできなければどうなっていたのか考えるだけで恐ろしくなってしまったのだった。そう思うと急に恐怖がこみ上げてきて涙が流れてしまいそうなのだが必死に抑え込みながら震える声で尋ねたのだった。

「え、あぁその子が今どこにいるのかについては話しても大丈夫だけど。なんだったら案内してあげても良いんだけど。それでその子をどうするつもりなの?ねぇ。教えて欲しいんだけど」

「は?どういうことだ?そんなことをいきなり言われたってわかるわけないだろう。ミユキを返しやがれ!」俺はミユキちゃんの父親に殴られそうになってしまったがどうにか避けることに成功していた。するとそんなことをしている場合ではないと思ったミユキちゃんのお父さんはすぐに我を取り戻して謝罪をしてくれたのだが「本当にすまなかったな。まさかこんなことになるとは。君たちも悪かったな。うちの娘を助けてくれたのに、まさかこんなことになっちまうなんてな。本当に申し訳なかった」

そう言い残し俺たちの横を通って村人たちの元へ戻っていったのであった。

その後俺はミユキちゃんの父親に促されるままに家に戻って行くことに。

道中に話を聞く限りだと、村長の家に魔族が出現した時は心臓が止まるんじゃないかと本気で心配してしまったんだとか。ミユキちゃんのお母さんもミユキちゃんの帰りが遅いと心配していて村長の家へ向かったところで俺が現れたと。だから俺たちが村を出ていると誤解をしていたということみたいだ。それなら村長の家に現れた時に言ってくれれば良かったんじゃねーかと思うわけなんだが、それもできないくらい混乱していたというので仕方なく納得することに。それから家に辿り着くまでに魔族がなぜ姿を現したのかという疑問に対して答えを得られたのだが。

この村から一番近い町までは徒歩で半日程度かかるのだとか。それで今日は野宿をして次の日の昼前には町に着いているだろうと予想を立てていたのでその準備をしようと思っていた矢先に魔族が現れ、しかも俺と会話をしたのだという。その時点でミユキが狙われているのが分かり、すぐにでも助けに向かうべきだと進言したものの俺の話を聞いたことでミユキを放置して俺だけを連れて行くことに抵抗を覚えたため、ミユキが連れ去れるのを許さずにいたとのこと。そしてミユキを連れて行った魔族は俺たちを町から遠ざけるために、そして村人に危害を加えないようにするための囮の役割としてミユキをどこかに連れて行ったのではないかというのが魔族が俺に伝えたことだったようだ。そしてそれを聞かない限り俺のことを信じることはできないという結論に至ったようで、俺のことを見定めるつもりだったと魔族から聞いたそうだ。そんなことがあったせいか村の人たちは俺たちに謝ってきたのだ。

そんなことがありつつ、なんとか俺たちは町長宅に到着したわけだが、そこでまた魔族と会ってしまい。その魔族曰くミユキを連れ去った魔族はこの屋敷の地下に閉じ込められていて出られないようにしていると、そしてここからが重要だというような口調で話し始めたのだ。そして、その話というのは俺を自分の仲間にするという話だった。もちろん断ったがその理由を聞かれたため、自分が魔族を信用していないということを正直に伝える。

魔族からはどうしてそこまで警戒しているのかを問われたのであったが俺は適当に嘘をつくこともできたのだろう。だが俺にとって魔族というものはあまりにも未知で不気味すぎる相手だったのである。そこで俺は、魔族とはそもそもどのような存在なのかを尋ねたのだった。そうすると魔族とは、俺たち人間に害を与える存在であるという認識だったのが魔族側もその認識だったらしい。だからこそ俺のような存在を放っておけないと、そして俺のような人物が現れることを想定していたらしくそのために今回の騒動を引き起こしていたとのことだった。そしてこの村にも俺のような人間がいつか現れるはずだから、もしものことがあった時には魔族に騙されたことを伝えてほしくて、そのためのメッセージを託したそうだ。そのメッセージとはこの世界で使える魔法の一つらしいが。その魔族に騙すつもりなど毛頭なかったということを理解した上で、魔族に俺の力が及ぶかどうかはわからないが何かあった時の保険のためにも協力して欲しいと言われたわけだ。

だが俺は魔族に協力するメリットを感じなかったため断りを入れることにしたのだったが魔族の方も諦めず俺の説得を続けたのだった。そして最後にはこう告げた。

「私たち魔族は人間の世界を脅かすことは無いという約束をするわ。もしこの条件を飲むのならば私たちは貴方たちに力を貸します。どうか考えてみてくれませんか?」

そんな言葉を残し魔族は姿を消してしまうのだった。残されたのは呆然と立ち尽くす俺とミユキちゃんだけ。

とりあえずこの話は保留にし、今は村の復興を手伝っていくことにする。この村はこれから大変になるからこそ手伝わない理由はなかったのである。そんな風に考えていた俺の耳に、魔族の言葉が届いたのだった。

魔族が残したその言葉を疑った俺だったが、この世界には科学の代わりに魔法と呼ばれる摩訶不思議な現象が存在すると聞いていたこともあり、もしかしたら魔族が嘘をついていたのではなく何かのトラブルで魔法が使えなくなってしまったのではないかと考えを改める。

そうでなければあんな嘘をつく必要はないはずなのだ。

そして俺とミユキちゃんの二人で作業を続けていた時のことである。突然俺とミユキちゃんの視界を真っ白な光が覆ってしまうのだった。そして次に目を開けた時、俺は森の中に倒れていたのである。どうやら俺にだけ魔族の言うことを信用させるために幻術のようなものをかけたらしい。だがなぜそんな面倒なことをしたのかといえば俺以外の人にはこの光景を見せられなかったからであると魔族の仲間と思われる少女が言っていたのだった。そのことについて俺は疑問を感じていたのであるがミユキちゃんと話をしたところ俺には何が起こったのかわからないらしく魔族から教えられたという魔法の呪文を唱えたところ目の前が白く光りに包まれ気がついたときにはここにいたと言っていた。

それからしばらく俺たちはお互いの話をすることで情報を交換したりしていたのだがミユキちゃんはここが俺がいた異世界とは明らかに違う異世界であること。俺も同じような世界にいたことがあることを教えてもらった。

そんな感じで俺たち二人は森の奥深くに足を進めていったのである。すると

「この辺の魔物は結構強いんだよね。私が一緒じゃなかったら死んでたと思うよ」

「そんなに強い奴なのか?その見た目的にそこまで怖くはなさそうに見えるけど」

そうやって俺は目の前にいる二足歩行で服を着て棍棒を持ったゴブリンらしきものをまじまじと見るのであった。

すると突如目の前に巨大な黒い炎が現れゴブリンに直撃し焼き焦がしてしまったのだ!あまりの強さに唖然となってしまったのだが。ミユキちゃんは特に驚きを見せることはなく淡々と話し始める。

ミユキの話によるとどうやら俺は"神の使者"と勘違いされてしまって、そしてあの村人たちは魔族と結託して俺を亡き者にしようとしていたのだと言い、さらには俺とミユキに魔王を倒してくれとお願いしてきたのだったと。まぁ俺の方も似たような話をされていたからこそ今に至るんだけどな(笑)

ちなみに、俺を殺そうとしたのはあの村人たちだけではなく他の場所に住んでいた人たちも同じように俺を殺そうとする連中ばかりで魔族が来ていなかったとしてもどのみち死ぬ未来しかなかったと。それで俺たちは話し合いをするために町に向かっていたのだが道中で運悪く盗賊団に出くわしてしまい。俺たちは逃げようと必死だったのにもかかわらず追っ手に殺されそうになっていたところを魔族に助けられたんだそうだ。それから魔族に村へと送り届けてもらえることになりそこで一晩過ごすことになったわけなんだと。そして次の日。

「昨日言った通り、私はあなたを試しました。ですが私の予想よりも遥かに良い働きをしてくれたのは事実なので、少しの間だけでも私と行動を共にして欲しいと思います。ただ、私の仲間として相応しくなければここで置いていくことに」そう言ってミユキは背中を向ける。

「あ、ああ、いいぞ別に、好きにしてくれ」こうして俺とミユキの冒険が幕を開けたのであった。

そして森の中を歩き続けること数時間が経過した。その間に俺は何度も魔物に襲われたのだが。ミユキちゃんの活躍のおかげで特に危なげなく撃退していくことができていたのである。そして俺の体力もそろそろ限界だと感じた頃。ようやく俺たちは森を抜けて町が見えてきた。だがそこには人の姿は全く見当たらないのであった。

それどころか人の気配が全くと言って良いほどない。俺はそのことを不審に思いつつも町の中を進んで行くのであったが。

そして町の中で俺が目撃したものとは。それはまさに廃墟と言うにふさわしいものであろう。

「うわー酷い有様だね、でもどうしてこんなことが?」とミユキが口を開く。俺はこの光景を見て一つの結論を出していたのだった。それは

「ミユキさんや、ここは魔族の手によって滅ぼされてしまったのかもしれないってのは考えられないかな。だとしたらこの状態にも説明がつく気がするんだが」と。俺の考えをミユキに伝えると。

「うん。それって考えられると思うんだよね。だってこの町の人はみんな魔族によって連れ去られてしまったっていうことになるわけだから。だけどそれが本当だったとしたら一体なんでわざわざ私たちが助けに来たときにその情報を与えてくれなかったのか疑問に残るところがあるの」とミユキ。その答えに俺は何も返すことができず黙っているとミユキは話し始める。

「きっと何か事情があったに違いないとは思うんだけど、その理由が分からないのが問題なんだよね。でも、もしかしたら私たちが襲われてる間にこの惨状を引き起こした理由が分かるんじゃないかと思ってて、そのためにはまずこの辺りに何か残っていないかを探したいなって思っちゃったりしてるんだけど、ユウキ君どうする?」と、俺が返答する前に俺のことを呼び始めたため俺はその問いに対して肯定の返事をする。

「よし。ならこの付近を探ってみよう。といっても私たち二人だけじゃ効率が悪いし危険もあるだろうからこの周辺にどんな魔族が住んでいるのか調べておきたいかな?」

俺はその言葉に違和感を感じずにはいられなかったが。この状況下でミユキの意見に異議を唱えるほど愚かではないと思い、何も口に出すことはなかった。

そうしてミユキは一人でどんどん奥地へ向かっていってしまうので俺もそれを追いかける形で付いていき。そこで俺が目にした物はとんでもないものだったのである。それはまるでこの世界のものではないような物。

ミユキが何か見つけたのかと声をかけてくる。俺は慌ててその場を離れることにしたのである。そう。この場で俺たち二人が一緒に行動していることがバレるのはあまりにもマズイと思ったからだ。ミユキちゃんにこの世界の魔法は効かないということを聞いてはいるのだが。それでも用心しておくに越したことはないだろうと判断したからである。

そう。俺たちが目にしたのは。この世界では見たこともない魔法を使う存在。魔族と呼ばれる存在が作り出したとしか考えることができない人形。そして、魔族たちは自分たちの存在を俺たちの世界でいう"ロボット"のようなものだと考えていたらしいのだ。俺とミユキはその後すぐに別れてそれぞれ別の場所で情報を集める。そして俺は屋敷に戻って魔族たちが使っていたという部屋を調べることにするのだった。

ミユキと別れたあと俺は町へと戻ることにしたのである。だがそこで俺が目の当たりにした物は、この世界では決してあり得ないものであった。それは"機械"と呼ばれるもの。そういえばこの異世界には電気が存在しないんだったか?俺の知ってるもので近いものだと魔法が該当するのだが。

そしてさらに気になることがあって。この町に魔族たちが来た際にこの世界の技術はそこまで進歩していないことを確認していたのだが、そんな魔族の技術で作られたと思われるものがある以上俺がいた世界と同じ文明を持つ何かが存在すると考えるべきなのか?それともこの世界には魔法が存在しているが故に、科学技術が遅れているのであって。俺がいた世界でもその科学の代わりに魔法が使われているから同じような文化が存在するのではないかと考えるべきなのか悩んでしまうのだった。

そうやって俺は考え事をしながら町へ到着し。その足取りで例の屋敷まで戻ってきた。屋敷の中ではミユキがこの世界に来て初めて出会った魔族の仲間であるクロネと名乗る女の子が待っており。そして俺が戻ってくるとミユキが駆け寄ってきて。俺の表情を見るなり

「なにか見つかったんだね?ちょっと教えてくれないかな?私もいろいろ見て回ったんだけどあんまり大したことなくて」と言ってきたのだった。それに対して俺は。魔族の遺跡について話すことにしたのである。

魔族の使う魔法はこの世界のものとは違っていること、そして魔法とは別に機械を使って様々な作業を行っていることや魔族の中にはこの世界を侵略しようと考える者がいるらしいという話も全て。

「そんなことが行われていたなんて知らなかったよ。やっぱり私はユウキくんと一緒の方が良かったのかな?」と。俺は首を横に振ると

「そんなこと言うなよ。ミユキがいなかったら俺だけ取り残されるところだったんだぞ。それに俺は勇者だ。ミユキだけが頼りなんだ。俺と一緒に魔王を倒して欲しいんだよ。そのためにも俺のそばにいて欲しいと思うのさ。なぁ頼むよ。魔王を倒して、元いた世界に帰りたくないのか?」と俺が尋ねると。ミユキが。俺のことを見つめながら

「もちろんだよ。魔王を倒さないと元の世界に帰れないしね」と そしてそれからは今後の予定についての話し合いを行い、そして明日からの方針を決めるのであった。それからしばらく話をしてから俺とミユキは眠りについたのだが。その途中ミユキは不安そうな顔をしており俺はそのミユキに寄り添いながら眠るのであったのだ。

翌日になった後、俺はまず、町へと繰り出して昨日のことについての情報を集めていく。すると分かったことはどうやらこの町は魔族によって壊滅状態にさせられたということだそうなのだ。そんな話を聞いたところで特に何かが進展するわけではないのだが俺の心の中に残っていた疑問については解消することができたと思っているわけである(笑)

そして町を出た後は俺の魔法を使って移動速度を上げながら進んでいくことにしている。これは今後魔王を倒すために必要なことでもあり。魔王を倒した後に魔族たちを従えるためにも必要なことであった。ちなみになぜそのような面倒な真似をしなくてはならないのかというと。単純に俺の魔力は膨大だと言われているからである。なので魔族たちから信頼を勝ち取るためにはその力を証明しないといけないとのこと。それを証明する方法もいくつかあるのだが。そのうちの一つは俺の力を見せつけることでしかないらしくてな(笑)

俺の知る限り最も分かりやすい方法として。魔王と戦うというものが挙げられるが。それをするためには魔王城へ行く必要もあるらしい。まぁそれに関しても問題はなさそうである。というのも。俺が使えるようになったスキルを使えばなんとかなりそうだからである。その効果はというと

「【転移魔法】ねぇ」

そう。俺は新たに得たスキルのおかげで魔族たちの住処である魔界に行くことができるのである。しかもそれだけでは飽き足らずなんと魔族たちも俺の住むこの世界に来られるようになるというのである!そしてさらに嬉しい誤算だったのが。どうやら魔族たちが元々暮らしていた地球。そこにあるこの世界と酷似した異世界にも自由に行き来することができるのだとか!そしてそこで手に入れた素材なんかを売り払って俺の元にいる仲間たちを養うことも可能だとのことで。まさに夢のような能力を手に入れてしまったわけであり、これを利用しない手はないのである。

そして今まさに魔王の住む城にたどり着いて、謁見の間みたいな場所で玉座に座ってこちらを見ている女に。俺は声をかけた。その瞬間俺の目の前に突然魔族が現れ、そして俺の前に剣を向けて立っていたのだ。それを見た俺は慌てて弁明を行う。そしてどうにか命を繋いだ俺は魔王の部屋に案内される。

「よくぞここまで来たな。我が名はもちろん知っているであろう。妾こそが魔王。その名をアリア。そう言えば分かるじゃろう」

その言葉に俺は何も返すことなく黙り込むと、俺が反応するのを待ってくれたのか

「お主は人間ではないようじゃが。この世界のものではなかろう。その身から感じられるものは我らと同じ匂いがするからのぅ。どうじゃ?ここで我に仕えるというのは。悪い提案でないことは分かると思うがの?」と言ってきていた。

そして俺はその言葉に「その話だが、少し時間を貰ってもいいだろうか?」と答え。俺の言葉に「いいだろう」と答えた魔王は。どうやら話の続きがあるようだったのでその言葉に従うことにするのであった。

そして魔王の部屋から出ていった俺はミユキと合流し。この国の王に会いに行くと告げてから歩き出すのであった。ミユキちゃんを同行させている理由だが。それは当然この国のトップの者に俺たちの存在を認めてもらう必要があると考えたからに他ならない。この国にはミユキと仲の良い人が何人もいるみたいだし、その人たちが無事でいるのか確かめたいというのもあったりするわけで。だから一緒に行こうと思ったのだった。そんなことを考えていると目的地に到着。そこには王様とミユキが待っていた。ミユキが俺に向かって駆け寄ってきたので俺はそれを受け止めると。俺は王様に話しかけて事情を説明したのだった。すると王はミユキと話がしたいということで俺は部屋から出たのだ。

それからしばらくして。王が部屋の中から出てきたので俺が話を聞くと。

「ミユキ様は無事です。怪我一つなく今は私の屋敷で暮らしているはずです。あなた方の言うことは全て信じましょう。魔王様は確かに魔族を率いて我々を苦しめておりました。それが急に消え去り。代わりに魔族の姿が見えるようになって混乱していたところにこの手紙が届いたのです。この内容は魔族からの手紙だということは分かりますが、私には意味が分からないので、一度読んでいただけないでしょうか?」と、その言葉を聞いてから俺はその紙に書かれていた内容を声に出して読み上げるのである。その内容は、自分たちが魔族に騙されていたということが書かれており。その魔族たちは自分たちの力を使って、他の世界に侵攻し、自分たちに都合が良い世界を作るつもりだという。その計画を止めるためには、魔族に騙されているふりをして魔族たちに協力するように誘導し、魔族たちを討伐する。というのが俺の目的だという内容だったのだ。つまりこの世界の人間の代表として魔族たちと協力するというものだ。

そんな俺の話の内容を信じてはもらえなかったがミユキが必死に説得し、そしてその言葉が通ってくれたのである。そして俺たちはミユキちゃんの家に案内してもらうことになり。そして俺たちはこの世界での最後の日を、ミユキちゃんの家族とのんびりと過ごすのであった。

それから数日後。ミユキは魔王を倒しに行き。俺もまた魔族に協力していたとして捕まり処刑されそうになったのだが、ミユキが助けに来てくれ。どうにか逃げ出すことができたのである。ミユキは「私がユウキ君を守るんだ」と言い放ちそのまま魔族の待つ城へ駆け抜けていくのであった。

それからしばらくの後ミユキは無事に魔族の魔王である、アリアーシャという少女を倒すことに成功する。そうして魔王を倒すという目的を達成した俺たちは元の世界へと戻るために旅を続け。ついに元の世界へと戻ることができたのである。こうして俺たちの旅が終わったのだが、しかし。魔族たちが作ったとされる世界へ通じる穴を俺はまだ使うことができるのである。

俺はその力を使って。再びあの世界を目指そうかとそう考えているところだ。だがその前に俺は俺のやるべきことを済ませなければならないと思っている。まずはミユキと共にいたクロネと呼ばれる女の子に、魔王を倒したことでこの世界からいなくなった勇者の代わりをしてほしいと頼んでみることにしたのだった。

ミユキの知り合いのクロネは、ミユキと仲良くなったことをきっかけに俺とも友達になった。そしてミユキの故郷へと戻ってきた俺とクロネは。俺が連れてきた魔族たちに、ミユキが戻ってきたことと。これからどうするかということを決めるために話し合うことにしたのである。そうしているうちに話し合いも終わってしまったので。

それからしばらくの間は、魔族たちとの交流を深めることにした俺は、クロネを連れて様々な場所に足を運ぶのだった。そうこうしている間に季節も移り変わっていき夏になった。そんな頃である。クロネから衝撃的な事実を聞かされることになるのは。それは彼女が、自分が実はミユキよりも年上であると告げたことである。

「いやまぁそりゃそうなんだろけどさ。どう見たって10代にしか見えないんだもん。まぁミユキはミユキで子供っぽく見えたりするし、そういうものなのかなって思うしかないよなぁ」と、俺はそう言ったのだが。

「あはは。まぁその辺は気にしないでね」と言われてしまい、そしてその言葉の後に「それにね。本当はもうすぐ死ぬはずだったんだよ」と。そう告げられたのだ。俺はそれに動揺してしまい。俺は慌ててミユキに電話をすることにしたのだが、どうやらこの世界では電話という手段がないらしく。連絡が取れない。なので仕方なく。

俺はミユキを探すべく町に出るとそこでミユキの捜索をしている騎士団のメンバーを見つけて話を聞くことにした。そのメンバーはどうやらこの町の領主の屋敷にいるようだという話を耳にした俺は急いで向かうことに決めるのであった。そしてそこで俺はとんでもない情報を入手することになった。それは俺の幼馴染にして初恋の相手である姫川真由美が行方不明になったというものだった。

俺はそれを聞いた時、何かがおかしいと感じたのである。だってあいつは俺の好きなアニメの主人公にそっくりな顔をしていて、それ故にオタクであるということを隠している奴だったからだ。そんなあいつが。そんな簡単にくたばるとは思えなかったのだ。だから俺はそのことについて調べるために。

「すいません!ここにいる人全員の名前を教えてください!」と、大声で言い放つのだった。俺の声が聞こえた人たちは、一斉にこちらを見ていたが。その中の一人がこちらに向かって歩いてくる。俺はそいつが近付いて来るまで待っていると、そして「お前さん。なんなんだいきなり叫んで」

「いえ。その人は俺の大事な人の家族かもしれないんです」と、そう告げてみたのだ。そう言うと俺に質問してきたおじさんの顔色が変わり、そして名前と特徴を伝えてくれたのだった。俺はすぐに礼を言って、その場を後にするとその情報を頼りに向かった場所では、やはり予想通りのことが起こっていた。そこには俺の知っている人物。そして魔王の討伐の時に知り合った人物が、俺の幼馴染とよく似た女騎士の格好をした少女を介抱していたのである。

そして、そこで俺は。なぜ彼女がこの場にいたのかを聞かされることになり、その内容に俺は驚きを隠すことができなかったのであった。彼女は魔族である魔王の娘らしいのだ。そして彼女には魔族を人間に変えることができる能力があるのだとか。そんな話を聞いた俺だったがその話を信じられないでいた。なぜなら俺は今まで見聞きしたものが全て本物で嘘偽りがないことを知っているからである。

そしてそんなことを考えながら俺はその魔族の娘の手を握って「なにがどうなっちまってるのか分からねぇーが。必ずお前のことも助けてやる」と、そう呟いてから彼女の手を握り締めたのであった。

それからしばらく後。俺はミユキと一緒に旅をすることに決めたのである。なぜかというと、彼女には俺が知る限りでは、魔族を人間にすることができるという能力は備わってないはずなのに魔族になっている。ということは、魔族と人間とを繋ぐような何かがあるはずだと、そう思ったからに他ならないのである。そしてその手掛かりがあるとするなら、魔王の娘である彼女について行く以外にはないと、そう考えたのであった。

そう決めた俺はミユキに事情を説明してから彼女と別れ。旅を再開する。それからさらに数年ほど経過すると俺はとうとう目的の場所を見つけることに成功する。その場所にたどり着いた俺は驚愕の光景を目にすることになる。そこには大量の人間がまるで奴隷のように扱われていたのである。

俺はその状況を作り出したと思われる集団に攻撃を仕掛けようとするのだが、その前に一人の男に制止させられることになる。

俺を止めたのはその男が俺と同じ世界からこの世界に転移してきたという勇者だったのだ。

「あなたに攻撃されては困ります。私は魔族を憎んでいるので。もし私と敵対するのであれば魔族側につくということにさせていただきますよ?」と言われた俺は仕方なくその場を去ることにする。その日はそれ以上何もできなかったが次の日になると今度は俺の前に一人の青年が現れて「俺の名前は、タケルだよろしくな」と、俺に手を差し伸べてきた。それから俺はミユキと二人で旅をしながら目的である場所へとたどり着くことができたのであった。そう。魔王の城である。しかしそこに待っていたのはかつて倒したはずの魔族の姿だった。

その魔族は"クロネージュ様の命により魔族の王となりこの地を収めることになりました。今後は私の命令に従ってもらいたいと思っています"とそう言ってきたのだ。俺はそんな魔族を見て呆然としてしまう。なぜならその魔族はかつての魔王、ミユキの姉貴であるアリアーシャに瓜二つなのだから。そしてその瞬間に嫌な予感に襲われる。

ミユキもそれを確信したようで俺はクロネと、クロネはミユキを庇うように抱きしめる。そして俺は自分の中に眠る全ての力を開放するのだった。そして、俺の力は、クロナと名乗る魔族によって防がれてしまう。それでも俺は全力を出してなんとか魔族たちを追い払うことに成功。そして俺たちは急いでミユキの家へと向かうことにしたのであった。

家に駆け込んでみるとそこにはボロ雑巾のような状態のクロネが倒れていて。俺はすぐに回復魔法を使う。だが一向に治る様子がないばかりか傷口は徐々に広がっているのである。

そこでミユキから告げられたのはクロネの正体だった。ミユキはその魔族の本当の名前を知らなかったらしく。俺もまたそうだったので気にも止めていなかったのだがミユキが知っている限りにおいて。魔王の側近として仕えている者は全て女性の名前で。その者たちを統率するのがミユキの母親であるアリアーシャだということだ。しかし。クロネだけは違ったのだという。つまりその者だけが魔族ではなかったのだ。それがわかったのはクロネが俺に告げたことに秘密があったのである。彼女は元は人間だったということだ。そして俺は彼女がアリアーシャの手によって人間の体から、魔族に変えられて。そして今の状況になってしまったのである。

そんなことを知った俺は。

「じゃあ。ミユキとクロネは同じ世界からこっちの世界に来たってわけか。それでミユキもクロネもお互いのことを友達だと思っている。そういうことなのか?」と、そう聞くと二人は同時に「「うん。そう」」と答えてくる。そこで俺はミユキとクロネがお互いに友達だと思っていた理由を知るのだった。それはクロネは自分が元々は魔族だったということを、俺が元勇者であることを誰にも話すことなく。俺たちと共に過ごした日々の中で仲良くなった人たちには自分が本当は魔族であるということすら打ち明けることがなく普通に過ごしてきたのだという。だがミユキはそうもいかなくなってしまったのだった。ミユキは俺が魔族になった経緯を知らず。魔族に対する恨みや憎しみといったものはなかった。むしろ魔族を人間に戻すという特殊な力を手に入れたことによってミユキの復讐は終わったと言っても過言ではないのだろう。

だから俺はミユキに対して「そうか、よかったな。まぁ俺の場合はちょっと特殊だったしな。なんせ俺は魔族の王を倒したことがあるからさ」と言ったのだ。ミユキはそんな俺に、笑顔を向けると、「そうなんだね。でも、クロネちゃんを助けてくれてありがとう」と、そう言ったのだった。

その後。俺は、俺が元いた世界で過ごしていた部屋とよく似た部屋を作り出しそこにミユキとクロネを案内したのだった。そして二人と会話を交わした後で俺とミユキとクロナはそれぞれの部屋に引き籠った。その日の夜に。俺は二人の寝顔を見た時にふと思う。「やっぱり似てるんだよなぁ」と、そして俺の心はざわつく。俺の幼馴染の姫川真由美が行方不明になったことを思い出して。俺は心の奥底から沸き上がる怒りに体が支配されてしまいそうになるがそこで俺は思うのだった。なぜ俺の怒りや殺意を二人が向けられるべきなのか?それは違うんじゃないか?と思い直すと俺は心を落ち着かせることに成功するのであった。

翌朝。俺はいつも通り学校に向かうために家を出る。俺が家を出ようとした時ミユキとクロナは一緒に行こうとしたんだけど今日は俺一人で行くことにした。というのも。俺はこれから魔族の王である魔族を人間に戻しに行くつもりだからである。

そうして俺が一人歩き出すと背後でなにか物音が聞こえた気がしたので振り向いてみると俺の後をつけて来ている人物を発見する。そいつは、以前俺の通っていた学校の担任教師にして魔族の親玉でもあった女だったのだ。しかもそいつは俺が殺した魔族とそっくりだったのである。そこで俺は直感的にその女こそが魔族だったのだと悟る。しかし、俺はここでそいつを倒そうとは考えず無視をして歩くことにしたのである。理由は至極簡単である。俺がこいつのことを知れば間違いなく俺はこの女を倒すことになるだろうから。それにこいつを殺せば魔族たちを一気に人間にすることができなくなるからである。俺はそれだけのために魔族を殺したくないのだ。だから俺のことは放っておいて欲しかったのだけれども、なぜかしつこくついてくるのだった。俺はため息をつきながら「なんですか?俺のことつけて来てるみたいですけど」と聞いてみる。

「えっとー。そうそう!君に話したいことがたくさんあって。だからつい追いかけてきちゃいましたー。ごめんなさーい。それでですねー私の名前はアリンと申します。あなたのお名前教えてもらってもいいかしらー」と。俺の問いかけにそんな返事をしてくる女。

その返答に少しイラついた俺は思わず声を大きくしてしまう。

「は!?なんなのお前。急に現れてきて。なんでお前なんかに名乗らないといけないんだよ!」と、言うとその女は一瞬ビクッとすると、目に涙を浮かべ始める。そして「ひぐっ」と泣き始めてしまったのである。俺はそれを見ると罪悪感に苛まれてしまうのであった。俺はどうしたものかと考えながら、泣く女に背を向け立ち去るのだった。それからしばらくして学校に着く。するとその瞬間。後ろの方から「ちょーだい」「待ってくだしゃい。わだしのぉ。わぢの名前ばよんでくださいぃ」と言う女の懇願するような言葉に俺は振り返り、その女を見つめると俺は目を奪われてしまっていた。その女はとても美形でまるで絵画の中から出てきたようなそんな雰囲気を放っている美少女であったからだ。

そんな少女を見て俺の思考は完全にフリーズしてしまいしばらくの間その少女と見詰め合う形になってしまう。そんな俺の目の前まで近づいて来た少女は突然土下座をし始めたのである。

「な、な、なんだこれどういう状況だ?誰か説明してくれぇ!!!頼むよ。俺の頭はすでに容量オーバーだよぉ!!」俺はもうパニック状態だった。そして俺はとりあえず少女に声をかけることにしたのだった。

そして俺はなんとか平静を取り戻すことに成功する。

「なぁなぁ、君はどうしていきなり俺のところにやってきたんだ?」そう聞くと少女は「あのね私実は魔族の王の魔族の娘だったの」そう答えてきたのだ。そこで俺はまたかと内心毒づく。そして続けて質問をすることにする。まずこの子の目的についてである。それがわかればこの子が魔族だというのが本当なのかを確かめることができると思ったのだ。なのでこの子の話を詳しく聞こうと思い。俺はそのことについて問い質そうとしたその時だった、教室の中に入ってきてた女の子から俺と魔族の娘の間に割込むように入って来ると「私は、あなたたちの邪魔をしに来たわけじゃないんです」と言い出したのだ。そのことに驚いていたのだがさらに続く言葉でさらなる驚愕に見舞われることになる。なぜならその子は「私はただこの方とお話がしたかっただけなのです。だから、あなたたちを引き離そうとするなんてそんなことは絶対にしませんのでどうか私の願いを聞いてくれはしませでしょうか?」と、俺に頼み込んで来たのである。俺はそんな風にお願いされると断れないタイプだったので結局引き受けることになってしまったのだった。そうして俺は今朝あった出来事をクラスメイトに説明することになったのである。そこで聞いたところによると。彼女の名前は"リリカ=シルフィ"という名前の魔族の姫であり。そして、彼女はある魔族を探す旅をしていたのだという。それは俺の探している相手でもあるクロナという魔族である。

彼女は、自分の父親の部下である魔王によって魔族に変えられてからというものの記憶を全て失っており自分が誰なのかさえ覚えていなかったのである。そこで魔王に記憶を消されたのではないかと推測する魔族がいて、その者の言葉を頼りに魔族の住む城のある地に向かっているのだという。ちなみに、なぜ彼女の父親がクロナのことを魔王だと知っているのか?という疑問があったのだけど。彼女によればクロナという魔王の部下からの手紙を読んだのだということらしい。その魔王は人間と敵対せず。共存を望んでいるのだということを知っているのはごく少数だけれど魔王に仕える幹部くらいしかその真実を知らないらしいのだが、それを知っていたということは魔王の側近であることはまず間違いないとのことだ。そんなことを考えていると俺はその魔族の娘さんの話を聞いて気になったことがあったのだ。だからそのことを尋ねることにする。

俺は気になったことを確認するとすぐにその疑問が解ける結果になる。

そうして俺の質問を聞いた彼女が話し始める。その内容は驚くべきもので、俺は驚きを隠せなかったのだが、彼女は嘘をつく性格には見えないことから信じるしかなかった。つまりこういうことだ。彼女が父親であるクロナを探し求めていたのは。俺に助けて欲しいからということなのだ。そして俺が今魔族になっているという事実を知りどうしても会いたかったのだとそう言ったのである。俺はその話を聞くと同時に理解してしまったのである。つまり。魔族の王を倒すのは簡単ではない。

だが、それでも俺はクロナに魔族に戻る術を見つけるまでは人間に戻ってもらうしかないのだろう。そしてクロナに会うことができればこの世界にも俺と一緒に来てもらう必要があるということだ。俺の目的はあくまでも元の世界に戻りたいだけだから。この世界で勇者として生きて行くのは難しいと俺自身が一番良く分かっているからなのだった。だからこそ、俺はクロナに協力してもらうためなら手段を選ばない。

そう考えているとそこで先生がやって来て、俺の席から離れていくと、魔族の少女も自分の席に帰って行ったのだった。俺はそこで授業を受けながらも、どうやったら魔族たちを元に戻してやることが出来るのかを考える。そもそも。この方法自体が本当に有効なものなのだろうか?そんな疑問が俺の中に生まれるのである。そんなこんなで午前中の授業はあっと言う間に終わってしまい昼休みになると魔族の娘である彼女がこちらに来て話しかけて来たのだ。そして彼女は俺のことが心配で様子を見に来ていたらしい。そのことが嬉しく思えた俺は彼女にクロナのことやこれから俺がやろうとしていることなどを正直に話していくのだった。そこで彼女が俺が人間を殺さないかが不安になり付いて行くことにしたとのことだった。そして、俺が学校を出る時にクロネと合流して三人が揃うと、早速クロネが「これから、クロナのところに行こう」と言ってくるので俺たちは同意した。そうしてしばらく歩き続ける。するとクロナが暮らす家が見えてくる。その家の中に入るとそこには誰もいなかった。俺が「留守か?」と思い。辺りを探してみるがどこからも声は聞こえてこないのでクロナはここにはいないのだと俺は判断し外に出ようとした。そこで突然。後ろの方に人の気配を感じたのだった。俺は咄嵯に身を翻すと、そこには見慣れぬ少女の姿がそこにあった。その少女は黒い長髪で身長が170cm程で。胸は大きめで顔立ちは大人びており俺と同い年位に見える少女だった。その少女は俺の顔を見て微笑むと「お待ちしておりました。勇者様」と言ったのである。俺はその少女に見惚れてしまい言葉を失っていたのだ。そしてその光景を目にしていた二人からは、なんでこいつは固まってるんだと言わんばかりの視線を俺に向けてきているのに気が付き。俺は我に返るのだった。俺は慌ててその場から逃げ出すように外へ出ようと駆け出すと。少女に「まぁ落ち着いて下さいよ。あなたとゆっくり話がしたいのです」とそんなことを言われたのだった。

それから俺とその魔族の少女の奇妙な生活が始まることになったのだった。そうして始まった彼女との生活は思っていたより楽しかった。というのも。俺は今まで女の子と話した経験が皆無だったため。何を話したら良いかわからないというのが実情である。それにこの世界の常識もよくわかっていないため会話に困ってしまうことも少なくなかったのである。

でも、俺は彼女のことが好きになっていたのだと思う。だって一緒に暮らして楽しいと感じてしまうんだからさ。俺は彼女のことが好きなんだと実感してしまっているのである。ただ俺が魔族である彼女を受け入れられている理由がある。それは俺の体質のせいである。俺の魔力を吸って生きていける。そういう種族なのであるらしい。俺は彼女を受け入れながらも、いつ魔族に変化してしまうかと怖くて堪らなかった。ただ。そんな感情を抱いているのになぜか俺の体はどんどん変わっていく様子はなく。普通に学校に行って生活をしていれば問題なかった。だからこの気持ちは気のせいであって。そのうち自然消滅してくれるんじゃないかと思うんだけど、やっぱり怖いものは怖かった。そうして俺と魔族の娘との同居は数日続いていったのである。そうしてある日のこと。クロネは突然言い出した。俺とクロナが同一人物であるかもしれないということを――。俺は動揺したけど、俺にはクロネの言ってることは信じられなかったが彼女の言葉を肯定するような現象が起きるようになったのである。

俺の身体からクロナに変化しているようなのだ。ただ、完全にではなく少しの間だけで、それも短時間だ。俺とクロナが繋がっている間は、俺の体のどこか一部に魔族の血が流れていて。その魔族の力で体が変化するような感覚なのである。ただ、それが起きた後に必ず俺は眠くなって倒れ込んでしまうんだ。しかもその間は意識はないからクロネにも何をされてるか分からないしな。そうやって過ごしながら俺はクロネのことを信頼していった。

そしてそんなある日俺は夢を見たんだ。そう、あの夢の続きの夢を――

『ユウトくん大丈夫だよ』

クロナの声が聞こえたと思った瞬間俺は目を開くのだった。そして目を開けた先にはあのクロナとそっくりの少女がいるではないか! 俺は、その姿を見て確信する。彼女はやはりクロナだと。だが、クロナはもう既に死んでしまったはずなんだと俺の心の中で誰かに囁かれた。だからこれは現実ではない幻だと、そう思い込もうとしたのだけれど、その少女は俺に近づいて来たのだ。

そのことで俺の中にいたもう一人の俺が言うのだ。

「この子は、きっとお前の知ってる彼女だ。そして、俺の正体はクロナ本人だ。彼女は俺を助けてくれただけじゃないんだ。本当の姿に戻れなくさせてしまった責任をずっと感じているんだろう。だから彼女の記憶は消えていたんだよ。俺はそう思う。だからこそ俺は彼女の為に出来ることはなんでもしてやりたいと、そう思ったんだ。だから俺に何かして欲しいことがあるなら言ってくれ」

俺はもう一人の俺の言葉を信じた。俺はその女の子と話がしたいと思い。そうして俺は、クロナに対して自分がどうすれば元に戻るのかを聞きたいと思っていたことを思い出した。そうして目の前にいるクロナが、俺の言葉に返事をしてくるのだった。彼女はまず。俺が元の世界で行方不明になったことは覚えてると、俺に伝えてきて。そのことで彼女は責任を感じていることを打ち明けてくれた。そうして彼女は俺と話をしに来たのだとそう言った。

そこで俺は疑問を口にした。なぜ俺の前から消えたのかその理由について問い質したのである。するとクロナの表情が暗くなったことに俺は気づくとそこで彼女が話し出した。俺のことを心配するあまり、自分の記憶を犠牲にするくらいならいっそこのままの方が俺にとっては幸せだと思い込んでいたらしい。

俺も記憶を失ったままだったなら確かにそうしていたかもしれないとクロナに同意することにした。そうして俺は記憶を取り戻すための旅にクロナが協力することを約束してくれると俺はそこで意識を失ってしまうのだった。そこで俺は、もう一人の俺と入れ替わるようにして元の世界に戻ったのである。そうして、俺の体は人間に戻り。俺の意識が戻って行くのだった。俺が気がつくと、俺は地面に横になっていて。そこには、リリカと名乗ったあの魔族の女性と、その隣に立っていたミユキの姿があったのである。

俺が元の世界に戻って来たのは、あの後クロナのことが心配になって俺の身体に乗り移っていた魔族の彼女が無理やりに俺をこちらに引っ張ったらしいのだが、それが上手くいったらしいのだった。

「私、クロナっていうの。よろしくね」

俺は魔族の少女に挨拶され戸惑いながらも名前を教えてもらう。

俺はその後クロナと話をしながら、彼女の話を聞くことにする。そこでクロナの話を聞くと。この世界にも魔王と呼ばれる存在がおりその人が魔族たちの王らしい。だが、彼は他の魔族たちにも好かれているため人間とも交流を持つことが出来る。ただ、そのせいで人間から疎まれているため人前には姿を現さないということだ。つまり魔族の王は姿を見せないから魔族たちが勝手に王様と呼んでいるだけだという。そして俺は、クロナがその王の代理をしているということだったのだ。それで俺とミユキが魔族に連れ去られたということを知った彼女が俺に救い出そうとしたわけらしい。そうしてクロナはこの村を俺と訪れることにしたそうだ。そしてクロナと共に村に辿り着く。そうすると村長の家に行くことになるがそこで、魔族の王に娘がいることを知り。その子に会うためにこうしてやって来たということだったのである。その娘の名こそ。

「クロカって子なんだけど。私が会っても大丈夫なのかな?」

「大丈夫だと思います。多分。でもその前に一度私の家で休んでいきませんか?」

俺はミユキがそう提案したことに対し賛成したのだった。

そして俺とクロネとリリカは家に着くとそこに居たのは黒髪の長髪の女性だった。俺は彼女にクロネのことを聞いてみる。

するとこの人はクロネの母親で名前はクロアという人だった。彼女はこの家の主でもあり。俺に優しくしてくれた。

「私は、この村の村長でもあるのですよ」

それからこの家にお世話になり。数日間滞在することになるのであった。そこで村長のクロナとは親子水入らずで話すこともあるだろうということで俺たちは、村の中で散歩をすることにし外に出たのである。その最中俺は、クロネについていろいろ教えてもらったのだった。彼女はこの村に来てから数年ほど経っているとのことで村人たちの信頼は厚くなっていたのである。俺はこの世界のことや、この国の現状などいろいろ聞くことが出来た。俺はここでクロネと分かれ。リリカと一緒に街まで向かったのである。その道中。俺は彼女の名前を呼ぶことになるのだった。そう、この世界で初めての知り合いだったクロネが母親で。その母が俺と会ったらどういう気持ちになるんだろうと。不安になってしまったのだ。

「大丈夫ですって、そんな暗い顔してると。ユウトさんの良さが伝わらないですよ。それにまだクロエさんのこと諦めてるわけではないんですから。それに私にはもうクロネさんという可愛い婚約者がいるんですよ? だから安心してくださいね!」

俺は、その言葉に心が軽くなるのを感じた。そして、この世界で出来た初めての仲間であり友人であるクロネとクロアのことについて想いを寄せることになるのである。それから数日の間クロリアの街で過ごすことになり。クロナとクロネと再会した時に俺は。この二人が本当に似ていることに気づいてしまったのだ。そしてクロネのことが好きだと言うクロナを好きになっていた。俺は、二人を応援したくなり。二人の仲がもっとよくなる方法を考えていた。そして思いついたのは、村に来る途中の山賊の一件から考えていたことでもあった。そう、俺の体質を利用して、二人の関係をよくしようと俺は思ったのである。

俺はクロナとクロアの三人で一緒に過ごすことに決め、クロエさんのことはしばらく保留にすることにしたのである。それから数日の時が過ぎていく。クロナがクロネに会いにいく日が来たのだった。その前日。俺は、村を出てからクロガに魔導船の修理を依頼することにしていたのだった。その魔導船はというと、クロウが作ったものだったらしく、クロナが俺の体質を利用しやすいよう調整されていると聞いていたのである。クロナはその話をしてクロネは魔道具や魔術が使えなくなっていると言っていたことから、クロナは俺と会う時以外は、俺と同じような力しか持っていないということになったのだ。ただ、クロナとクロネが同時に同じことをすればクロナの力の方が強くなるらしいが、それでは意味がないのだ。だからこそ、俺はこの世界に存在しているかもしれないクロナの父であるクロロウという人物の魔道船を見つけることにしたのである。

俺が、その旨をリリカに告げた後に彼女は言う。クロネのことをクロナに紹介するから手伝ってほしいと言われた俺はその話に乗っかった。

そしてクロカはクロネと会い、クロナとクロナの母親は感動の再会を果たした後。俺はリリカに連れられて、クロネの父親を探すためにこの国にある遺跡に向かうことになったのだった。

「そういえばどうして魔族と人間が共存出来ているんだ?」

俺は歩きながら気になったことを質問してみることにした。すると彼女は俺の質問に対して答える。

「私たち魔族は人間のことを理解しているからですよ。魔族の皆さんは人間に迫害されたことがあるのです。そのせいで彼らは人間の国にいられなくなったのです。そこでこの国は建国されて人間と魔族の交流が始まったわけですね。でもこの国ができた頃は魔族への差別が強くて人間は彼らを奴隷のように扱っていたらしいですよ。そんな時に現れたのが魔王様だったらしいのです。彼は人間に対して魔族の方々に手を出した場合許さないと言ったそうです。その結果人間たちの中には彼の言葉に賛同する人間も出てきたのですよ。そして人間たちとの友好条約を結び、今ではお互いに認め合うようになったのでしょうね」

俺は、彼女の話を聞き。彼女の説明がとてもわかりやすかったため俺は彼女の話を素直に聞き入っていたのである。彼女は続ける。

その昔魔王と呼ばれる男がいた。彼はこの大陸を統一するまでに至った人物だそうだ。そして彼にはある目的があり。それを達成するまでは死ぬことが許されていないとのことだった。

俺とミユキが、森を歩いていると。目の前に大きな熊が現れた。その熊の外見はかなりのもので身長2m近くありそうな感じだった。そうして俺達は、その魔物を倒すことに決めた。俺が刀を構えると同時にその巨体が突進してくる。

「はぁあ!!」俺は声をあげながら斬りかかるが、その攻撃は弾かれてしまった。そこで俺はその魔物に対して炎属性の攻撃を加えることに決めると。

「はぁ!はあああ!!!!」

俺はその掛け声と共に、その攻撃を何度か繰り返し、ようやくダメージを与えることに成功した。

「うわ!!なんだ!?いきなり強くなったぞこいつは!!」

俺がその魔物を倒した直後にミユキは驚いたように俺に声をかけてきたのだった。その表情を見る限りミユキは本気で俺に言っているようだが、それは当たり前のことなのだ。なぜならこの世界に来てからの数ヶ月の間で。この世界での俺は相当強いらしい。俺の体の強さがおかしいほどに強化されていたのだった。なので俺はそんなに驚かずにミユキに返すことができた。するとミユキもそれ以上追及することなく戦いを再開した。それから俺達二人は戦闘を続けるのだった。そうしてなんとかこの大きな魔物を討伐することに成功したのだった。するとその時。どこからか女性の声が聞こえたような気がしたのだ。俺は慌てて周囲を確認するがそこには俺とミユキ以外誰もいないようで、先ほどの声の主らしきものはいなかった。そして俺とミユキは急いでその場を後にしようとした時。俺とミユキの足元に黒い円が出現するとそこから大量の鎖が出現し、俺とミユキは拘束されてしまった。その鎖からは魔力を感じており俺達の力を封じ込めるためのものだと推測できた。そして次の瞬間その黒い輪は突然収縮していき、俺達をそのまま押しつぶしたのであった。

「くぅ。なんだよこれ?っておい、なんか力が入らないんだけど。どうなってるんだ?」

俺は身体に纏わりついていた鎖を振り払うが、全く動かなかった。そうして俺が困惑している間にミユキも同じように抵抗しようとしていたが全て無意味な結果に終わっている様子だった。俺達が何もできないでいると、そんな俺とミユキのもとに誰かが近寄ってきたのである。そう、現れたのは、白髪の長い髪をポニーテールにして纏めた綺麗な少女だった。その顔立ちはどこか見覚えのあるものだったが俺は思い出せなかったのである。

「あらあら。やっぱりあの人に似てますね。これは、予想外です」

そう言いつつ彼女は、何かを確認してから俺の方を見てくると微笑むと口を開いた。

「ふふっ、貴方、名前はなんていうんですか?私は、クロカといいます。まぁとりあえずはクロカとお呼びください」

クロカと名乗る彼女の発言に少し違和感を覚えるが、その正体はすぐにわかったのである。彼女がクロカと名乗ってきたことに対してではなく、彼女は俺の名前を知らなかったからだ。なのに彼女は何故か自分の名前を名乗ったのである。俺はそれに気づいたからこそ、彼女は俺の名前を知っているはずだと気づいていた。

「さっきから何を言ってるか分からないけどお前はこの状況をどうにか出来るのか?」俺は彼女に対し訊ねる。するとその問いかけに答えることはなく代わりに別の話題を口にしたのである。「えっとですね。ユウトくん、君はまだ完全に私の主になったわけではないので私から言えることはありませんよ。私が出来るのは、私の主である人の身を案じることだけです」彼女は、そう告げると、その手に持っていた武器を振るった。するとそこから風の刃が発生し、鎖を破壊していくのだった。それから彼女は俺に背を向けると、こう口にしたのだ。「今は逃げましょう。ここは敵の本拠地ですから。ユウトくんにはまた会えるかもしれませんしね」

俺には何が起きたのかわからなかった。

気づけばその鎖は完全に破壊されて自由に動けるようになっており、そのすぐ側には俺と一緒に行動していたはずのミユキが横たわっているのである。

俺はすぐに彼女を抱きしめるが、俺の目に写っている光景は、俺が知っているものではなかったのだ。まず俺は、その少女が、黒髪だったことを覚えていたが。今、目の前にいる少女は、その長い髪の毛先が青みを帯びていることから青い髪だと分かるのだが、それ以外は全て変わっていた。具体的にはその見た目年齢や体型までも変わっていて俺は戸惑ってしまったのである。

「ごめんなさい、ユウトはん。もうちょっと早く来るつもりだったんやけどの、うちらもなかなか抜け出せへんかったけんの、仕方ないよね。うちもまだまだ修行が足りなかとよ」

彼女はそう言うと、俺の頬にキスをしたのだった。俺はそれをただ受け入れるしか出来ず、されるがままになっていた。その感触はまるで俺の唇を舐められているようでもあったが、それがとても心地よかった。それからしばらくしてその行為を終えると彼女は、今度は、優しく俺を抱き締めてくれるのだった。そんな俺達に声がかけられたのはそれから数分後のことだった。

「ふっ、やっと来てくれたみたいね。遅かったじゃないの。それでそっちの娘が例の彼なのかしら?まさか本当に女の子になっているとは思いませんでしたが、その反応を見れば、やはりあなたが主ということですか。まぁいいでしょう。ではこちらへ、私が、貴方たちをお連れしますので、その後の事は任せてくださいね」

そう言ったのは、白衣を身に纏い。頭に白いフードを被った若い女性であり、その服装や話し方からこの施設の関係者だと考えられる。そんな彼女はゆっくりと歩いてくると俺の腕を掴むとそのまま転移術を行使し、俺を別の場所へと移動させたのである。

そこは真っ暗な空間だったが俺はその景色に見覚えがあった。そして俺はその女性のことをよく知っているはずだった。なぜなら俺は彼女と一度会っていたからである。そう、俺はその少女のことをよく覚えている。なぜなら彼女は俺が初めてこの世界に召喚された際に俺の世話役兼教育係となった人物だからである。そして彼女は俺が魔王であることを知るとすぐに俺の側に付き従ったのだ。しかし俺にとっての初めての側近であるその女性との付き合いはたったの一週間だけだった。なぜなら俺は、その時、俺が勇者であることが発覚し。そして俺はその国の王都に向かうことになり、そこでその女性の命を奪うこととなったのだった。その時に彼女はその最期まで笑顔を浮かべながら俺に対してありがとうと言ったのを俺は未だに鮮明に覚えている。

その記憶を思い出している俺に、目の前の少女は俺に向かって微笑みかけるとその両手を広げた。すると俺に衝撃が走ったのだった。そう、俺は、彼女にその抱擁を受け入れるべく。彼女の胸に飛び込んだのだった。その柔らかさと温もりを感じつつ。俺は、自分がなぜ彼女のことを忘れていたのかが分かったのだった。そう、俺はあの時、彼女に殺され、そして魂だけが、この世界で復活した存在なのである。

そして彼女は、この施設の責任者でもあることから。俺になんらかの実験を行っていた可能性がある。そしておそらくこの世界で俺の体をこんな風にしてしまった張本人でも有る可能性が高いだろう。

そして俺は、そんな彼女を前にするとなぜか恐怖を覚えたのだ。なぜなら俺はそんな彼女がとても恐ろしく思えたのだった。俺は、そんな感情を抱いた自分に困惑しながらも彼女の胸に顔を押し付け、その感覚を確かめるように強く抱きついてしまうのだった。するとその女性はそれを受け止め、背中を撫でるようにして、優しい声色と、穏やかな手つきでもって、俺を慰めてくれたのである。

その女性の態度と言動を見て俺はある疑問が頭に浮かんだ。その女性に会ったのは初めてではないが俺のことを殺そうとした人物なのだ。ならばその女性は俺に対して怒りを抱いているはずである。にもかかわらず彼女は俺に対して優しかったのである。

俺はその女性が俺になにかの実験を行ったのであればそれはきっとろくなものじゃ無いはずなんだ。それなのに俺の体は元に戻り、さらには以前より遥かにパワーアップしてるような状態になっている。

そう、つまり俺はその研究者の女性によって生かされたことになるのだった。俺をそんな状態にしたことの理由はなんとなくわかる気がする。その研究が失敗した時のための保険としてなのかもしれない。

「ふぅ、これで、とりあえず一安心かしら。あの人に頼んでおいて良かったです。あの人も喜んでくれるでしょうか?」

そんなことを言いつつ。俺を抱きしめたままその頭を何度も撫でてくれていたのであった。そうやって俺を落ち着かせようとしてくれているのは分かっていたが俺はどうしてもこの女性に対する不信感を抑えることができなかったのだ。なので俺の体からその女性を引き剥がすと俺はこう告げたのである。

「俺に何をした?俺はあんたの顔をよく覚えてるぞ」

すると、その言葉を聞いて彼女は驚いたような表情になると少し悲しげに笑うと。俺の目をまっすぐと見つめてきた。そしてこう答えたのであった。

「やっぱり気づいていたんですね。私達の事を覚えていてくれてたんですね。私は、貴方に、死んでほしかったわけではありません。だって貴方に殺されたって私は嬉しいんですよ。それだけ貴方は私を愛していたんですから、その事実があるから私はこうしてここに存在しているのに、その貴方は今、どうしてそんな事を言っているの?」そう口にしながら。彼女は目に涙を浮かべ始めたのである。俺はそんな彼女になんて言っていいか分からずに黙ってしまうと。俺達の前に突然、先ほどのクロカと名乗った少女が現れ俺に抱きついてきたのである。俺はその突然の出来事に対応できずにそのまま地面に押し倒されてしまった。だがクロカと名乗る少女は、そんなことなど全く気にしないといった感じで嬉しそうな笑みを見せていたのだった。それから俺はクロカと名乗る少女と共にその場から逃げ出すことになったのであるが。結局、彼女に助けられることになった。その途中で彼女についていたはずのクロカという名前の人物の正体も知る事になったのである。

「私はね。貴方を殺す為に、この世界に召喚されました。それがどういう意味かはもう、分かりますよね?ふふっ」

彼女は、楽しそうにそう言ったのである。

俺達はミユキと別れると、村外れで魔族の少年から逃げるように村の外へと出ていった。そして俺はこれからどうするかを考えるために、とりあえず森の中へと入っていったのである。そうすれば追ってくるのも時間の問題だと思ったからだ。しかし、そんな思惑とは裏腹に俺達が森の中に入ってしばらくしてもその追っ手がくる気配がなかったのだ。俺はそのことを不審に思いながらもさらに森の奥深くに入ろうとしたその時だった。俺達の目の前に黒い髪の小柄な女の子が現れたのだ。

その子はまるで猫を思わせるような動きをしながら俺たちの方へ向かって走って来たのである。その女の子は、黒髪を短く切った可愛らしい子であったが。そんな子に俺は何故か嫌な予感を感じていた。というのもその女の子がこちらを見る目はとても鋭く。俺の方を獲物を見つけたかのような視線で見つめてくるのだから。そのせいもあって俺が思わず立ち止まっていると。俺の腕の中にいるシロがその少女を威嚇し始めたのである。それからしばらくの間は両者が向かい合い。睨み合うだけの時間が過ぎて行き。そしてようやく女の子の方が俺から視線を外すとその腕の中から飛び降りたのであった。

それからシロはというと警戒した様子で少女を睨み付けていたが、少女はそんなシロに興味を失ったかのように。すぐに俺の方へと向き直るとこう告げたのだった。

「えっと、初めまして、あたしの名前はアユムだよ!それで、君のことを探し回っていたんだけど。なかなか会えなかったからちょっと心配になってたんだよ?でも君が無事ならよかったよ。それにしても可愛い娘だね。ちょっと羨ましいな。まぁ今はいいけどね」

その女の子、アユムちゃんとやらはそう言うと。なぜか俺に近づいてくるなり俺にぎゅうと抱きついて来ようとした。しかし俺との距離がかなり近くなったあたりでシロが俺の腕の中から抜け出すとその小さな体を利用してなんとか、俺を守ろうとする体制をとったのである。そしてそんな行動を見た少女は。その瞳をさらに鋭くさせて俺とシロをじっくりと見定め始めるのだった。それからしばらくお互いに牽制していたものの、ついにシロが諦めて降参する形となったので俺はその状況を受け入れる事にしたのである。まぁ正直に言っちゃえば俺の実力ではこいつには絶対勝てないし、下手に戦うのは良くないと考えたからである。まぁこの子が本当に悪い人じゃない可能性もなくは無いからね。

そう思いつつ俺はそのアユちゃんに対して敵意が無いことを示すべく笑顔で対応しようとした。

するとそんな俺に対してその女の子は。急に顔が赤くなり始めてモジモジとし始めながら上目遣いに俺を見上げてきたのである。その様子を見つつ、俺はそんな彼女をかわいいと思いつつも、何か不味いことをしてしまったのかと内心冷や汗をかいていたのである。そして彼女はその俺の様子を見ると、恥ずかしげに微笑むとその頬を朱色に染め、潤んだ瞳で俺のことをまっすぐに見据えながら。ゆっくりと俺の腕の中に入り込んできた。そうして俺の胸に飛び込んで来ると俺のことを見上げてこう言ったのである。

「ねぇ、ねぇ、お願いがあるの。あたしを君の仲間にしてくれないかな?そしたらなんでもいう事聞くよ。うんと甘やかすこともできるし。いっぱいかわいがってあげることもきっとできるから。おねがい、あたしを連れて行って。この通り、どうかお姉さんをよろしく頼むよ。この子はきっと、寂しいの。だから、あたしも一緒に、連れて行ってほしいの、ね?」

そう懇願してきた少女に、俺は戸惑いを覚えていた。それは彼女があまりにも無防備すぎることに原因があった。いくら何でも簡単に男に身をゆだねるというのは危険な行為だろうと考えていた。

なので俺は彼女の肩に手を置くと少し困った表情を作りつつ彼女に問いただすことにした。

「なぁ、君はさ、俺のことを信じてくれてるのかもしれないけれど。俺みたいな見た目の子供でも一応、人間で。男の、しかも大人なんだよ?その、あんまり気軽にこういうことはするものじゃ無いと思うぞ?そのなんだ、俺はロリコンではないつもりだけどそれでも、そのなんだ、あまり異性に慣れていなくてな。勘違いする奴だって多いだろう?」そう伝えると、彼女は首を傾げた後に微笑んだ。そして彼女は、そんな俺の言葉にクスリとした笑みを見せたのである。その笑顔に俺はドキリとしたが、そんな気持ちを押し殺しつつ。彼女のことを真っ直ぐに見返すと。彼女はなぜか満足気な笑みを見せると、俺から離れていった。

「ふふっ、やっぱりね、あんたはあの時の子供だったんだ。その外見のせいで色々と苦労してきたみたいね。でもね。大丈夫だよ?安心して。その言葉が本当かどうかは確かめればいい。簡単なことだもの。ね、ほら、おいで。あたしはあなたがどんなに変わってしまっても、あなたのことを大切に思うから。ほら、怖くないから。あたしの所へ、来て、その手を伸ばして、そうしたら、あたしたちはずっと一緒になれるの。あの人と約束したの。貴方を守るって、もう離れないと、決めたから、だから、貴方は、何も気にせず。その手を取ってくれれば良いの、そうして、その手を繋いだなら、今度は二人で幸せになろうね。そうして、あの人を探そう?」

少女はその言葉を紡ぐとともに。両手を大きく広げて俺を迎え入れるような体勢に入った。俺はその少女の真剣さに驚き。同時にこの子が何を言っているのかわからなかった。なぜなら彼女は先ほど出会ったばかりの俺に対して、まるで家族のような態度を見せ始めたのだ。俺にはそれがどうしても理解できず。戸惑うことしかできなかった。そして彼女はそのままの姿勢で、俺に向かって語りかけてきていた。

「ねえ、なんであたしたちの言葉を聞いてくれないの?なんであたしを受け入れてくれないのかな?なんで、あたしのことがわからないって顔をしているの?もしかして、もしかしてだけど。覚えて、いないの?忘れちゃっているの?ううん、そうだよ、そうなんだよ。あぁ、もうダメなのね。また失敗、また失っちゃたのね。やっぱりあれを使うしかないのかしら?でもそうなると、あの人は悲しんじゃうかも?だって、仕方がないもん。ごめんね。でもこれも、貴方を守るためだから、貴方が生き続ける為に必要なことなの。これはもう変えられないから。貴方もわかってくれるよね?」少女はそう言うと俺に再び向かってきた。そして再び俺をその胸に抱き寄せたのである。それから彼女は俺の頭を何度も撫で回しつつ俺の顔中にキスをしまくってきた。その行動が俺はたまらなく嫌になりその腕から逃れようと試みるも少女はそんな俺に力負けしてしまい。そのまま身を任せることになってしまった。それから少女は嬉しそうな表情を浮かべると。俺のことを抱きしめたままその場で回り始めたのである。俺はそんな彼女になす術も無かったのだが。そこで俺の腕の中で寝息を立て始めていたシロを見てなんとかしようと行動を始めた。そしてどうにか少女を引き剥がすとその場から離れることに成功したのである。だがその途中であった、クロカと名乗った少女と出くわし俺は彼女と戦闘状態に突入してしまったのだった。その時にクロカは「私の邪魔をするのなら容赦しない」と言ってきたので。俺もそのつもりで戦うことに決めた。そうして俺とクロカの戦いが始まり今に至るというわけだ。

俺がこれまでの経緯を思い返しながら思考を巡らせていると、その隙に俺の腕から抜け出たシロがクロカとぶつかり合っていた。そしてお互いの武器を使って戦っているようである。そんなシロの事を心配する俺の元にアユムちゃんは歩み寄るとその背中をポンと叩いた。

「ねぇ、あの子。すごく必死だったね。多分君が欲しかったんでしょうね。あんなに可愛くて。健気でいい娘じゃん。あたしも、欲しいくらい。まぁ無理だと思うけど。さて、と、君とはゆっくりお話ししたいんだけどね。そろそろ行かないとまずいかも、というかもうそろそろ限界っぽいわ。それにあたし、あんまり強い方じゃないし。という訳で今回はここまででさよなら。また会えるといいね。あたし、絶対に君を探し出すから!その時はちゃんとお礼させてね。

あたし、頑張って君と仲良くなるから!それとこれあげる!あとあたしの匂いが染み付いたハンカチだよ。これを嗅いでたらきっと寂しくならないよ。バイバイ、元気でね。じゃぁね!」アユムちゃんはそう言うとシロと俺に別れを告げると、俺が止める暇も無く森の中に消えて行ったのであった。そんな彼女を見送った俺はしばらく森の出口を目指して歩くことにした。シロが怪我をしていたので俺が回復してやり、さらに彼女の体調が万全になるよう魔力を与えてあげた後。シロは「私はしばらくここで休憩してから帰ることにします。ではマスター。先に屋敷の方へと戻っていて下さい。私に用事がある場合は念話をお送りください。すぐにそちらへと向かいますので」そう言ってシロはそのままどこかへ去って行ってしまった。俺は一人取り残されてしまい。とりあえず、来た道を戻ろうと思い村への道を再び歩き出した。

それからしばらくの間、特に何も起こることもなく平和に時間を過ごすことができ。ついに村の入り口までたどり着いたのだった。俺は村の中に入る前に、一応、ミユキちゃんやタマキちゃんの安否を確認しておくべきだろうかと考え、一度家に戻ることにした。するとそんな時である。

「えっと、すいません、勇者パーティ追放者様ですよね?その格好を見る限り間違いは無いと思いますが。ちょっと話があるんです。少し時間をもらってもいいですか?もし良かったらお茶菓子なども用意できますので。ぜひうちに寄って行ってくだいさい。そうすればきっと、あなたの悩みを解決する手段を私が提示できるかもしれないので。是非いらっしゃってみてください。もちろん、あなたさえよければの話ですが」そんな風に一人の女性が俺に声をかけてきたのだった。その女性は茶色の髪をしており。その頭の上には狼の耳のようなものが生えていた。その女性を見つつ俺はその申し出を受けようかどうか悩んだ末に。断るのは失礼かな?そう思ってその誘いを受けることにしたのであった。

その茶髪の女性に連れられてやってきたのは大きなお店であり、中に入るとそこは綺麗な装飾がなされた高級感漂う喫茶店になっていた。そしてその店員と思われる人物に俺と彼女は個室に案内されるとそれぞれ席についた。それから俺の注文したコーヒーが出てくると彼女はそれを飲み始め、その香りを楽しんだ後に一口飲んだ。そうして彼女はカップを皿の上に置くと、俺に向かって話しかけてきたのである。

「改めて自己紹介させてもらいましょうかね。初めまして勇者殿、私の名前はサリアと言います。実はあなたにお願いがあってお呼び立てさせていただいたという次第です。ちなみに私の種族はワーウルフですね。まぁ、そこらのことは気にしないでくれれば良いのですが。さてさて、あなたは、あの忌々しい勇者様が追放されたというのはご存知ですか?」

その言葉を聞いて少し考える。この人がなぜ俺を呼び出したか、について。恐らくはシロのことだろうが、俺としてはそのことについては誰にも知られたくなかったのだ。そうでなければわざわざシロを家に連れ込んだりしなかったのだ。だからこそ俺は目の前にいる彼女の問いかけに答えずに、別の話題を話すことにする。それは先ほど助けた少女と謎の女に関することであった。彼女は「やはり」と言う顔を見せるとともに。俺に向かって説明し始めた。その言葉を聞くところによるとどうも、先ほどの二人は知り合いで。しかもあの女の方は魔族と呼ばれる存在でしかも結構高位の吸血鬼らしいということ。それに加え先ほど出会った少女は元奴隷らしくあの女の子は、主人であるあの少女から解放され今は一人で生きているとのことだ。だが最近、あの子のいる集落が魔王を名乗る魔族の集団に襲撃されて大変なことになっているとの事だった。しかも魔王軍は人間側にも攻撃を仕掛けてきているようで既にかなりの数の死者が出ており大騒ぎになってるようだそうだ。

「それでね。あの子があんまりにもかわいそうな状況に置かれているっていうんで。なんとかしてあげられないかって考えてるんだ。でもあたしにはそんな権力なんか無いからさ、でも、それでもどうにかしたいんだよ!ってそんなこと考えてるとさぁー。あんたが目に入ったわけで。ほらあたしって、こう見えても昔は貴族だったからね。色々と人脈とかコネとかもってんのよ。だからどうかしら?お金を払うから、あたしに力を貸してくれない?勿論ただでとは言わないよ。そうそう、確か、君は金払いが良ければ誰とでも取引をするって聞いたわ。なんでも、勇者様に見捨てられるようなことをしたって聞いてたけど。あれって本当なの?ならあたしと組まない?そしたらあの子に力になれるはずなのよ」

その言葉を告げてくる彼女の表情は真剣そのものといったものであり。その言葉を信用した俺は、先ほど出会った少女とあの少女のために何かしてあげるための提案に乗っかることにしたのである。

「ありがとう。本当に助かるわ。あの娘もきっと喜ぶと思うわ!ところでだけど。あの子と会った時の感想を教えてもらえないかしら?あたしはねあの子を一目見た時から、絶対にあのまま放っちゃ置けないと思ってね。でも、今のあの子はきっと心を開いてくれないんじゃないかなぁーと悩んでるところなの。でね、貴方がもしあそこにいた娘を助けたいというのであれば。あたしも協力する。だから貴方の望みも教えて欲しいの。そうしてくれないと話が始まらないの。ねっ!そうでしょ!」彼女は嬉々として語り掛けてきて。俺が返事をしないというのにも関わらずに。どんどん話を続けていった。

俺は、その話に対して適当な相槌を打つと彼女に気になった部分を聞き出すことにした。するとまずは名前であることが分かったので俺は彼女に質問をする事にしたのである。そしてまずは彼女が何者で。どんな立場なのかを聞いたのである。その結果わかった事は以下の点となる。まず、彼女は元々はこの街で商人をしていて。ある時、俺と同じ追放勇者と名乗る男と出会ってから。それから一緒に旅をするようになったのだということだ。その男は、俺と同じように勇者パーティーを追放されてしまい。それからずっと放浪の旅をしているらしい。

その男は俺と違って、その能力がずば抜けていたのが理由だとかで、追放を言い渡された時はそれはもう酷い有様で荒れていたということだった。俺はそんな彼の事を詳しく知りたかったのだが結局はそこまで聞けずに終わってしまった。だが、俺の知らない情報はまだまだあった。なんと彼は俺のように特殊な能力を持たされていたわけではなく。俺よりも遥かに弱い普通の人だったのだというのだ。

そしてさらに驚くべき事に、彼も俺と同様追放された理由は俺と同じだった。その理由についてだが、俺の場合は元々の実力不足が原因だったが、この男に関してはそうではなく。どうやら、俺が追放された後に彼だけが仲間に加わったせいだということだった。つまり俺が原因で勇者パーティが崩壊するのと同時に。その男のパーティもまた崩壊してしまい、結果として俺は追放されてしまったという経緯なのだという。俺とこの男が出会った時にはこの男の能力はそこそこのものではあったが、追放される程ではなかったとのことであるが。

「あいつ、本当に使えないわよね!私と一緒に冒険したかったら最初から言えば良かったのよ。なのに、私と一緒なんてごめんだぁーですって。信じられないわよね?ねっ!」そう言って彼女は怒り始めると。「そういえば。あたしたちの最初の目的地である町は、ここからそんなに遠くはないわ。歩いて行けば一日くらいで着く距離だし。あたしの馬車に二人とも乗り込んで行けばすぐよ。それにねあたしの馬は特別製でね、他の奴とは比較にならないくらい速く走れるの。だからその娘がもし嫌じゃなければ連れていってあげたらいいと思うんだけど。ねっ、そうしようよ!」そう言って強引に話を進めようとする彼女であったが、そんな彼女を見て俺は、シロのことを思ったのであった。彼女のために何かしてあげたいとは思っていたが、それは、俺だけの問題であり。彼女を危険に晒すことだけは避けなければならないと考えていたのだ。

そこで俺は、シロの事は一旦おいておき、今すぐには決断しないことに決めて。とりあえず彼女との話はここまでにして家に帰ることに決めたのであった。

その帰り際である。俺は彼女に「ちょっと待ってくれ。一つだけ聞きたいことがある。もし俺の予想が正しければあの女の子は、俺にとって大事な人物だ。だからこそ。万が一あの子を失うようなことが起こってしまったら俺の気持ちが保てなくなる。それを回避するために確認させてくれ」そう言い切ると俺は目の前の女性の瞳を見つめた。その瞬間彼女は俺の言葉に驚いていたが、「ふぅ」っと大きく深呼吸をして心を落ち着かせると、そのあとに俺に向かってこんな風に言ったのだった。

「ええ、そうですよ。私はあなたの思ってる通りの人ですよ。でもね。だからと言ってあたしは、あなたと敵対するつもりは全くありません。それは、きっとシロちゃんのこともそうだと願いたいのですけど」

俺はその言葉を受けて「え?」っと言いかけたもののそれを言う前に彼女が続けて話すものだからつい口に出せずにそのまま流されてしまった。「さっき、私がシロちゃんを連れてきた時。シロちゃん、怯えていたじゃないですか。それが、シロちゃんと会うまで、私のところには奴隷の子達がたくさんいて。みんないつも苦しそうだったんです。それに加えて、あの子には家族がいなくてね。それで奴隷商が奴隷を売りに来ては奴隷を買ってくれる人達を探しているんですが中々売れなくて。困ってるみたいなんですよ。でもそんな時ね、たまたまあたしがその奴隷商の前にいたの。それこそ偶然。あたし、こう見えても結構な資産家でもあってね。お金は持ってるしそれなりに顔も広い方で。だから、その子のこと見てたら可哀想だなって思っちゃったから助けようとしたんだけど。あたし、お金はあっても、権力は無くて。だから何もしてあげられなくって。それからずっと考えていましたよ。どうにかならないかなってね。だから今回あなたに会ったとき運命だって思った。シロちゃんのためにあなたを利用したんじゃなくて。あなたとシロさんに会わせてあげること自体が、シロさんの救いになればいいって。ただそれだけなんですよ」

「あなたならわかるでしょ。あなたもあの子が救われれば嬉しいでしょう?」彼女は最後にそう問いかけると微笑んでくれたのだった。

俺の家に着くと既に日は沈んでしまい辺りが真っ暗になっており、家の窓からは灯りが漏れており。シロがいるということが分かり俺は安心するとともに急いで扉を開ける。そこにはシロが居たので、シロを抱きしめながら頭を優しく撫でてあげたのである。

俺はその後。サリアという女の人から言われたように、奴隷商の元へと向かうことにする。すると彼女は俺に対してこんな風に告げてくるのである。その言葉を聞いた時に俺は驚いたが彼女はその理由についても教えてくれた。なんでも俺と初めて出会った時から俺が何かを悩んでいるということはわかっていたらしくて、だからこそ先ほどの話を振ってきたのだというのだ。俺は、先ほどの女は、どこまで知っているのかは分からないしわからないままだが、どうやら侮れない相手のようだ。

だがそんな相手だからこそ、頼っても大丈夫だろう。

それから、俺たちは、村を出て歩き始める。途中、俺は、奴隷というものを見たことがないので、どんなものかを聞いてみると。「ん?そんな事も知らなかったの?まあ確かにそうかぁー、君って確か最近この国に戻ってきたばかりで、その前は他国にいたらしいもんね。そうかぁー、そういうことね。よし、だったらこの機会に覚えちゃいなよ。あたしについてきなさい。見せてあげるから!」そう言ってサリアという女性は自信ありげな笑みを浮かべた後。俺を案内してくれたのである。

そうこうして、たどり着いた場所というのが奴隷商と呼ばれる人のお店だった。

店内に入ると、様々な獣の子供が売られていて、中には、俺と同じような種族の魔族もいた。俺は、そんな彼らを眺めると少しだけ悲しい気分になりつつ奥へと進んでいったのである。

それから、しばらくして目的の場所にたどり着くと。その店の主人は「よくいらっしゃいました。本日のご用件は何かしら?何かご入用のものがあるならばこちらに来てくださいませ。さてさて本日のご要件をお伺いしましょうか?もしよろしければ、私どもが貴殿の力になってさしあげましょう」と胡散臭いことを笑顔で言うものだから、思わずため息をつくも。俺の答えはこうだ。「この子を買えるだけの金額を持ってきてある。だから俺の欲しいものをここで揃えてもらいたい。それと、この子に合う服やその他もろもろを買いたいんだ」俺は、そう答えると手に持っていたお金袋を見せるのだった。そして「なるほどぉーお客様のお望みのものはこの少女ですかな?では早速準備に取り掛かりますね」と嬉しそうに言って。そのあと俺から預かった金貨を受け取るとその場から離れて行ってしまう。その一連の動作を見ていた俺が、不安に思っているとその様子を見ていたサリアという女性が声をかけてくる。「ねぇ。あたしね、本当はあんまりこういうところ来た事なかったの。でも貴方に出会って色々と話していくうちに気に入っちゃってね。なんかあたしってば勝手に親近感持っちゃってたみたいだからさ。だから今日は、あたしも一緒に付いて行ってもいいかな?」俺は彼女の提案を受け入れてから、彼女の要望を聞きながら、買い物を続けるのであった。そんな感じで買い物を続けている間に俺も少しずつ楽しくなっていき。彼女と打ち解けた俺は、それからしばらく彼女と行動を共にするのだった。

ちなみに奴隷の売買については奴隷の契約書を書く際に奴隷商人からの説明を受けた上で了承すればいいのだと教わった。そしてその手続きが終わるとその場で購入となるのだが、その時にも特に問題は起こらず、俺は、無事目的を果たしてしまったのだ。そうしてシロと一緒に帰る道のりの中で俺はシロに話しかけたのであった。

俺達は奴隷商のところで買いものを終えた後帰路についたのである。シロは奴隷商を出ると、奴隷の女の子と別れることになってからは元気がなさそうにしていた。俺はその姿を見てシロに近づいて行くと頭を撫でてやるのであった。すると彼女は泣き始めてしまう。

俺は彼女が泣いている理由を聞くが何も言わなかったので、ただただ優しく抱きしめてやったのである。

そうしていると、ふとある疑問が生まれたので彼女に聞いてみた。「なぁ。お前の家族はどうして死んでしまったんだ?もしよかったら聞かせて欲しいんだ」俺はその言葉を言った後にすぐに後悔してしまった。だって俺の目の前にいるシロは見た目通りの少女であり。とても家族を亡くした悲しみを背負って生きていける歳ではなかったからである。だけどシロはそんな俺に笑ってこう言ったのだった。「私の名前はね。シローって言うの。それでねお父さんとお母さんとお兄ちゃんがいたんだよ。お家は小さな村にあってそこで暮らしていたの。私の家族の話をする前にね。私はその村で生まれ育ったの。その村は平和だったけどね。私には弟と妹が居て。私が一番上のお姉ちゃんだったの。ある日ね、村にね大きな魔物がやってきたの。村の人たちはとても困っていて、私達の両親は必死で戦ってなんとか追い返したんだけど、その時に、二人が犠牲になったの。それからね私は、村を守るために戦うことになったんだけどね。私は足手まといだってことで、仲間外れにされそうだったの。それでも頑張っているうちにみんな私を認めてくれてね。それで私が大人になるころには、この国の将軍様になっていたの。でもね。私ってば、みんなの役に立てたことなんてないの。私が頑張っていた理由は弟の、コウタロウの為に、ただそれだけだったから。コウタロウは、体が弱かったから、私が側にいないとすぐに病で倒れてしまっていたの。だからコウタロウのために頑張っていただけだったの。

私は自分の力に慢心していて、自分が一番強いって思い込んでいたの。でも、その考えを間違っていたって教えてくれる出来事があった。

あのね。ある時に私達が暮らしている国と隣国との間で戦争が起きたことがあったの。私達はいつも通り兵士として駆り出されていたんだけど、私達が攻め込んでいる最中に敵側からとんでもない奴がやってきて、一瞬にして戦況は逆転した。それは、たった一人の人間の仕業だった。それが誰かわかるかしら?私の幼馴染みのアユムよ。彼女は圧倒的な力で兵士達を次々に蹴散らして行ったの。私達もその例外じゃなくて。

みんなで戦ったんだけど、やっぱり勝てなくてね。私も、死んじゃうと思ったんだけどね。でもアユムに助けられてね。それからはずっと、二人で暮らしてる。だから、私にとっては家族よりも、家族なの。大切な人。だからね。だから、だから」とシロはその言葉の続きを言うことはなかった。その代わりに大声で泣き出してしまい。そんなシロを抱き寄せ背中をさすってあげた。そうやって落ち着くまで抱きかかえ続けた俺だったが、そろそろシロも疲れてきたようでぐったりとし始めていることに気が付き。それからシロを連れて家に帰ろうとした時、サリアさんが俺の前に現れたのだった。彼女は「おつかれさま。シロちゃんを慰めるのは、また別の日にしなさいな。今はゆっくり寝かせるといいよ」そう言って俺の胸元に手を置くと。

「はい。これは、あなたとシロちゃんに貸しです。忘れないようにしてね。それと、あなたはもっと自分に優しくなってあげなさいよ。自分を労わるってことは大事なことなんだから。さてさてそれじゃあそこの子猫は任せておいてちょうだい。しっかりと面倒を見てあげるから安心してくださいね」と言ってくれたので俺としては安心して家に戻ることができたのである。

俺は家に帰ってくるとベッドの上にシロを寝かせてから、そのまま眠ってしまった彼女を放置したまま風呂に入ってしまいその後で晩御飯を作り始めたのだ。するとサリアさんも、なぜか現れてきて。「ねぇ。あたしも食べさせてくれない?」などというから少し焦ったが何とかごまかしてから料理を始めた。それからしばらくすると、起きて来たシロは元気を取り戻したようだった。

「ありがとう。おかげでもうすっかり元気だよ」と笑顔を見せてくれたため俺は安堵しつつ。彼女に向かってご飯ができたと告げるのだった。そうして出来上がった食事をみんなで囲んだ。シロも最初は恐縮していたが。俺が作ったものだと分かると笑顔で食べるようになり食事を終える頃には完全に懐いてしまい俺のことを信頼しきっていたのである。俺はそれに悪い気は全くせずむしろ好ましく思っていた。だが、俺はこの子をいつまでも連れまわすことはできないため、明日には奴隷契約を解除しようと心に決めていた。そうしなければきっと、俺のせいで彼女を苦しめてしまうことになるのでそう決心した。そう思って眠りにつくと、不思議な夢を見る。そこには見覚えのない女の子がいてその子は俺の手を両手で握り締めてくる。「君が俺をここに呼び寄せたんだろう?なんとなくだけどそう思ったんだ。それでどうするの?俺の願いを聞いてくれるって言ってくれてたのは嘘じゃないよね? ならお願いします。どうか俺の家族の、妹の病気を直してくれ。そのために俺にできる限りの協力をするから頼む。お願いだから助けてあげて欲しい」俺がそういうと。その子は俺の言葉に対して真剣そうな顔つきになって。それから「わかりました。貴女に言われた通りに私は動きましょう。まずは貴女のその体をこちらへ。それとこの剣を渡します。これで貴女はこの世界を生きていくことができるでしょう。それともう一つ伝えなければいけないことがあります。

その世界では、魔王と呼ばれている存在がいまして。その者が復活してしまうと、再び戦いが起きることとなります。その者は、神に抗おうとしているの。そうして、この世に再び混沌が訪れようとしているの。貴方のその力は、この世の理に背いているものですが、使い方によっては役に立つかもしれません。なので貴方の力をお借りしたいと考えています。その剣を手に取ってください。その瞬間貴方が持っている知識や技術は全て、そちらの世界に適応されます」

そう言い残して俺の意識は再び闇に落ちていった。俺は目を開くと、そこには心配そうな顔をしているシロが視界に入る。

「良かった! いきなり目を覚まさないんだもん。びっくりしちゃったじゃん」

俺は彼女の言葉を聞き流しながら辺りを確認すると、まだ日が登り始めて間もない時間らしく外はまだ薄暗い。俺の隣で横たわっている女の子の髪を触ると、さらっとした髪質をしているのがよく分かった。それから俺が起き上がろうとすると、彼女が体を動かしてきたせいで思わず驚いてしまい声を出してしまったのだった。

「あっ! 驚かせてしまいすいませんでした」とその少女が謝ってきたのだが俺は何と声をかければいいかわからず沈黙が流れるのだった。それからしばらくして、俺は少女の容姿を確認してみると。銀糸のような美しい髪と整った綺麗な容姿をしていた。年齢は16歳くらいに思えたが正確なところはわからなかったのだ。俺は少女の名前を聞くと「あ、申し遅れました。私の名はアリエスです」と答えてくれ。それから俺達は朝食を取ることになった。

俺はとりあえず簡単な料理しかできなかったがそれでも美味しいといって喜んで食べてくれて、シロが、「私、ミユキちゃんに作ってもらってた時はいつもこんな気持ちで食べたのかも。なんか、すごく幸せな気分になるよ!」と言い出し。俺は嬉しくなってしまい二人に俺特製のおにぎりと、味噌汁を食べさせたのだった。

そしてその時にシロから質問をされる。「そういえばさ。ミユキちゃんはどこにいるの?昨日の感じだと一緒にいたんでしょ?」その言葉を聞いた俺は一瞬答えようかどうか迷ってしまうがすぐに返答することにした。「あの子はな。今ここにはいないんだ。ちょっと遠いところに旅立ってしまっていてさ。俺に別れを告げる暇もなく出て行ってしまったんだ」その言葉を言った後すぐに自分のことを殴りたくなっていたが、それはしょうがないことなのだと思い。なんとか堪えることに成功したのだった。

「そっかぁ。それは残念。それじゃあ私はどうすればいいのかなぁ。私、何も知らないからわからないんだけど」とそんな風に不安そうな声で言ってくるシロだったが。そんな彼女に俺は優しく手を伸ばし頭を撫でるのだった。

「これから一緒に過ごしていけばわかると思うけどさ、別に無理して理解しようとしないでも、シロはシロのままで居てくれれば大丈夫だと思うよ」と伝えた後にシロに微笑みかけるとシロもまた笑ってくれたのである。それから俺は、シロに服を選んであげることにしてそれからは楽しく買い物を楽しんだ。そうこうしていた時に、ふと、疑問を抱いたことがあったので、それを確認するためにシロに向かって問いかけてみることにする。

「ねぇシロはどこの出身なの?あと種族とかって何か教えてくれない? ちなみにシロは俺のことをどこまで聞いて知っているの? それと俺はシロがどうしてこの世界に居るのかも教えて欲しい」と聞くと。彼女は笑顔を浮かべてから口を開いてくれた。

「えぇと、私が元々暮らしていたのは、魔族の国なんですが、そこって言うのはかなり昔から争いがあってまして、それで私達の一族も戦うことになりまして、それで、その時に私はその戦いの最前線で戦っていました。その頃の私は自分が強いって思ってて、自分の実力には自信があったので負けることなんてあり得なかったんですよね。ですが、私達の一族の中でも、最強と呼ばれる人物と戦うことになり、結果は惨敗でした。そいつが誰なのかと言うと、この国でも、恐れられているアスタエル家の現当主のサニアっていう名前の少女です。彼女は、私とはまた違った戦い方で、私の方はただ相手を圧倒して勝つような戦闘スタイルでしたが、サニアは相手を殺すのは禁止って縛りを設けてその上で戦ったみたいで。私は、サニアと戦っても勝てるイメージがわかなかったですね。だってそうですよ。いくらなんでも無茶苦茶すぎますよ。彼女は相手の攻撃を一切受け付けずにそのまま一撃で葬り去っていきますからね。まるでお話にならないほどの強さだったんですよ。それからは、戦争が終わった今でも彼女とは一度も顔を合わせたことはないのですが、きっとまた、どこかの戦場に現れるんじゃないかと思います。」と。シロは淡々と喋っていた。

俺はそんな話を聞いた上で。シロが俺のことを"アユム"って呼ぶ理由と。

シロはシロのまんまが1番かわいいということと。俺のことを好きになったのはきっと、俺がシロのことを守れると思ったからなんだという事を教えてくれたのだった。

シロと俺が二人で街を散策し始めて数時間が経った頃である。

俺は途中で、奴隷の売買を行なっている店を見つけたため中を覗き見てみた。中には檻に入れられて、商品となっている奴隷たちがおりその中にはシロに良く似た猫耳と猫尾が生えた獣人の少女もいたため俺は、シロのことが気になって、急いでその場を離れようとしたのだが、それを察してくれたのかシロが俺の腕を掴み。

「待ってください。あの子を助けたいんですか? でしたら私の知り合いに心当たりがあるので案内してあげます。

ついてきてください。」と言ってシロに連れてこられた場所というのが。奴隷を販売している店主の家であった。シロは躊躇なくドアノブを掴むと、その扉を開き店内に入ろうとしていたが。俺としては、流石に抵抗があったため外で待機しているとシロに声をかけられ中に入らざるを得なくなってしまうのだった。

シロに連れられて入った先は。俺達が泊まっている部屋よりも広く豪勢な雰囲気の部屋になっており。そこには、一人の男性が待ち構えていた。彼はシロの姿を見ると笑顔を浮かべながら話しかけてきてくれていた。

俺は、警戒して、剣を抜きそうになったがシロによって制止されてしまったため剣を収めることにした。

「やあ。久しぶりだね。君は元気そうじゃないか。僕は元気じゃないんだよ。娘が病に伏せてしまっていてね。

僕ではどうしようもなかったんだ。だから君の力が必要なんだ。僕の大切なものを救うために君の力を貸してくれないか?もちろんお礼に報酬も出そう。だから頼むよ。」と。その人は俺の手を取って必死になって頼んできたのだ。

シロは、俺のことを見てから、うーんと考え込むようにしてから。

「うん。わかった。その依頼受けてあげる。それで?どんな病気なの?」と質問をしていた。俺はその内容を詳しく知りたかったがここで質問をするわけにもいかず大人しく待っていると。シロは俺の方を見ながら「ねぇ、この子の病気って治す方法無いの?例えば回復薬があればどうにかできるかも」と提案してくれていた。するとその人が、「その病気は、君たちの国の魔王軍の仕業かもしれないね。確か彼らは、人を強制的に従わせる魔法を持っていたはずだよ。それにその子はその魔法の被害者だろうし、魔王軍に狙われたのならこの国に戻ってくれば確実に魔王軍に命を奪われることになるだろうし、助けられないよ。でももし君がその子の居場所まで連れて行ってくれるなら話は別だけどね。」と答えると、シロは「それはダメなんです」と答えて、その人に相談を持ちかけていた。

俺達は、シロに連れて行かれるがままに、馬車に乗り込むと移動を開始するのだった。

「それで、これから行く場所に着けば。貴方の病気は完治するんでしょうね?」

と念押しのように俺は確認を取ると。「ああ。大丈夫だよ。安心したまえ」と答えたので俺は、シロに向かって、「その男の人に嘘はないと思うぞ。その人の言葉は真実だ」と言ったのだった。するとシロが嬉しそうな表情をしながら俺を見つめてきたので俺もその視線に応えたのだった。それから俺は、男に対して色々話を振ってみたのだが、特に収穫があることもなく。俺が聞き出せたことといえば。

彼が娘のことが好きで、大切にしているということくらいであり。それ以外はほとんどわからなかったのだった。

「それじゃあ私はこのへんで。」と男は言ってくるが俺は「あの、この辺で降りさせてもらいたいんですけど、いいですか?」とお願いをすると。シロが慌てて「ダメだよ!そんな事許さないんだもん!私は絶対にこの人からミユキちゃんを助けるの。そのために来たのになんでわかってくれないのかな」と言い出してしまい。俺は少しだけ申し訳なくなる。

俺は、男がシロの発言を受けてから。困ったように眉根を下げていたので俺は彼に、「すみません、ちょっとわがまま言ってるだけで悪気は無いと思うので気にしないでください」とフォローを入れてから俺はシロに近寄ると頭を優しく撫でてから。シロに、言い聞かせるように説得を開始したのだった。

シロは、しばらくの間は駄々を捏ねていたが。俺が優しく頭を撫でてあげると落ち着いたのか俺の意見を聞き入れてくれるのだった。

俺達は、それから数分間ほど、シロのことについて話し合うと。

シロは俺の服を握りしめたまま俺のことを見上げて来ていたため、俺は、仕方がなくシロのことを抱っこしてあげたのだった。そしてしばらくした後に馬車が止まり、目的地に到着したことを知らされるのだった。

「それじゃあ私はここまでなので。また会えたらいいですね」と別れの挨拶を口にして来たので。

俺は軽く頭を下げることでそれに応じるのだった。そして馬車の扉が開き俺は外に出ようとするのだが。

シロが、まだ、馬車の中に留まり続けたままだったので。俺はシロの事を再度抱きしめた後で、背中を押してやるのである。

シロの体は震えており、俺は心配になりシロの顔を覗くようにしてみると、彼女の瞳は不安げに揺らめいていて、今すぐにでも泣きだしそうになっていたため俺は、シロの事を抱きしめてあげることにするのだった。俺は優しく、頭を撫でながら「シロ、大丈夫だから」と囁きかけてあげると彼女はようやく落ち着いてきたのか体を俺に委ねてくれているのだった。

それから俺達は歩き出して目的の場所にたどり着いた。その場所とは奴隷販売店の裏口であり。俺とシロは、建物の裏手にある階段を下りていき地下へと向かっていくとそこには牢屋のようなものがありその中にいたのは一人の少女だった。

その少女には白い猫のような耳に、金色の髪が特徴的な、見た目が10歳ほどの少女が横になっており、その顔には覇気がないように感じられ、俺はシロに向かって。

「もしかして、これが君の探し求めていた少女か?」と聞いてみた。するとシロは無邪気な笑顔を浮かべて。

「そうですよ!私の友達がこの子です!」と言っていたのだった。俺が、その光景を見て感動していると、シロはそんな俺の手を引っ張って少女の下まで連れて行くと俺の手を無理やり掴み、シロの手の上に重ねさせるようにするのである。

俺は困惑して「シロ?一体何をするつもりなんだ?」と尋ねると、シロは微笑を浮かべて「えへっ?ただのおまじないですよー」と言うと俺達の手の上から魔力を送り込んできたのである。その行為が何を意味するのかはわからないのだが、とりあえずは様子見をすることにしたのだが、しばらくしても特に変化はなかったので、不思議に思いシロの方を見ると。

シロはニコニコとしながらこちらを見てきており、まるで何も問題が無いかのような振る舞いをしており、逆に俺は困惑した表情を見せてしまっていた。

それから俺は少女に近づいていき話しかけようとしたところで。俺よりも先に。

俺の背後から何者かの声が発せられ、声の持ち主を確認すると。

そこには先ほどまで、俺達と会話を交わしていた人物の青年がいたのだった。

俺は咄嵯にシロのことを庇おうとしてシロの方に目をやると。そこには俺のことを守らんとばかりに立ち塞がり臨戦態勢をとっているシロの姿が見受けられたのだった。

その瞬間に俺は、シロと少女が繋がっているという事を理解させられた。なぜならシロは猫耳がピョコりと動き。少女を守るようにして立っているからだ。俺に、危害を加える気であれば。そもそも俺をここまでつれてくるはずがないからな。

そんなことを考えながら。俺は二人の間に入ろうとすると、今度は、俺の目の前に先程俺に声を掛けてきた男性の青年が立ちふさがっており、彼の右手には黒い槍のような形状のものが召喚されていた。

おそらくそれが。この人の持つ能力だろう。この男性の正体は分からないがシロの味方であることだけは確かなようだ。ならば。シロを守るためには戦うしかなさそうだな。

「貴様は誰だ!なぜ俺たちのことに邪魔立てする!」

「いやいや、君こそ誰なんだよ。僕の名前はユウキ。この店の責任者さ。さっき君たちと話していた時は僕の偽物だったけどね。君たちは、僕の娘を助けにここにやってきたんでしょ。」

「お前が黒幕だったわけか。だが何故そこまで知っているんだ?」

俺は疑問に思っていたことを尋ねてみたのだ。俺達はついさっき初めて出会ったのだから当然その情報を知っているわけもない。つまりはこの男性が俺達がこの村に来る前から俺達がここに向かうことも、そして少女を救う為に行動しようとしていることもすべて把握していたということだ。俺がその事を聞くと彼は。

「僕は娘の事なら何でもわかるんだよ?それともなにかい? 君は僕を欺こうとしているのかな?それは感心できないな。

君はもうすぐこの世界からいなくなってしまう存在なのにね」と言ってくる。

どういう意味だと問いかけようとしてから、俺は気がついた。そう、俺達がここに来た目的である、シロの友人の少女を救うための薬が、すでに用意されていてそれを俺が手に取るだけで済むという状態になっているということにだ。これは罠なのかもしれないと俺は思ったのだが、そんな俺の心を読み取ったかのように彼は言葉を発したのだった。

「安心したまえ。その薬は本物だ。ただしそれは娘に直接使うもので君が使っても効果は得られない。君が本当にこの薬の効果を得たいと思うのならその女の子が飲んでくれるはずだよ」

どうしたものかと、俺が迷っているとシロが俺のことを止めてきて。

俺はそれに大人しく従うのであった。それからシロがシロの友達のところに行って何かしらのやりとりを行った後に。シロは、その小さな腕で。薬瓶に入ったその液体を、自分の口の中に流し込んだのだった。そして俺とシロは。俺達の為にその薬を飲み込んでくれたシロの事を優しく抱きしめてあげた。シロは、嬉しそうにしてから俺の事をぎゅっと強く抱きしめ返してきていた。

俺は、その光景を見つめてから、男に向けて、「それで俺はどうすればいいんだ?」と質問すると。「それはもちろん娘を救い出すために頑張ってもらうつもりだよ」と答えてくれた。俺はその返答に満足し、「それじゃあ行くぞシロ」と俺の腕の中から抜け出すと、男の方に駆け寄り、そして男にお礼を言い。そして男と一緒に、檻の中のシロを眺めながら、シロのことを助け出そうとしているのだが――シロはその少女の前に立ったかと思うと「ごめんねミユキちゃん」と口にすると、俺に向かって。シロが俺の事を突き飛ばしてきたのである。

俺は慌てて地面に転がってシロの安否を確認しようとすると。そこには先ほどまでは居なかったはずの。金髪で長い髪が特徴の女性が現れており。俺は慌ててその場から離れると女性は剣を抜いてからシロのことを斬り付け始めた。

シロは必死に抵抗しようとするのだが、相手の方が一枚上手のようで攻撃を避けきれずに傷が増えていくばかりだった。シロは痛みでうずくまっているので俺がすぐに立ち上がってシロの所に行こうとすると。男は、「君もそこで見ていなさい」と言われてしまった為、仕方なく俺もその女性の行動を見ている事しか出来なかった。シロは何とか逃げようとしているのだが、女性がシロの攻撃を難なく避けながら攻撃を仕掛けるため。次第にシロは疲弊していく一方であり。最終的には動けなくなってしまい。そのまま、女性から攻撃を受け続けていたのだった。しかしいくらダメージを受けようと、シロが倒れることはなかった。

シロは、俺の事をずっと見ていたからだ。シロのその姿を見て俺は。俺もこんなふうに強くありたいと思いながら。拳を握りしめながら耐えるしかなかったのだった。

それからシロはボロボロになりつつも立ち上がり、反撃しようと試みる。シロは、魔法を発動させようとしているが上手くいっていないようで焦っていた。シロが発動しようとしたのは自分の身体強化の能力であり。その能力によってシロは相手の女性の動きを捉える事ができているのだが、今のシロの状態を見て俺はシロに「俺がサポートする。」と小声で伝えるとシロも俺の提案に納得したらしく、二人で協力して戦うことにした。俺とシロはお互いの力を合わせながらも相手に決定打を与えられず。逆に徐々に追い込まれていく。それでもシロは決して諦めることなく戦い続ける。

シロは限界を迎えてしまい、片膝をつき息も絶えだえの状態でいた。それからすぐに女性にとどめを刺そうと動き出してくるのだが。

その時。俺達の後方から誰かが走ってくる足音が聞こえてくる。

俺はすぐに振り返り。

後ろから走ってきている人を確認するとその人は。先ほどまで俺達に説明をしていた。あのユウキと名乗った男性であり。彼が俺の横を走り抜けながら、片手を俺達の方にかざしてから「少し時間を稼いでもらえるかな?」と言い終わるやいなや。

シロに向かって走り出し、次の瞬間にはシロに襲いかかってきている女と俺達の間に割り込むように入り込んでいた。その後に続くようにして一人の女性が姿を見せ、シロは突然現れた二人の人物に対して驚いていたが。すぐに状況を把握し、二人はシロのことを気遣って助けに来ましたと言ってくれていたのだった。俺は、その光景を見てから。シロが「二人を私の家に案内してくれませんか?」と言うとシロは「ありがとうございます!」と言ってから二人を引き連れて家に戻っていった。俺は、その場に残り。俺が対峙している相手をどうにかして倒さないとなと考えていると。「そろそろいいんじゃないのかい?」と言う声が俺の耳に入ってくると。

そこには先程まで戦っていた女性の姿があり。

先程の男性はというと。その女性の横に立っていた。

どうやら時間稼ぎは成功したらしい。後はこいつを倒すだけだ。俺は覚悟を決めて。その女の方に視線をやり。「悪いがここでお前のことは終わらせさせてもらう!」と俺は言うと。俺の言葉に反応したのか。女性は「それはこちらのセリフだ」と言葉を返してくれたのだった。それからは俺は、目の前にいる女との戦闘を開始するのだった。

それから俺と女性の戦闘が開始され、お互いに睨み合った状態で硬直していたのだが、先に動き出したのは女性の方だった。その女性が剣を振り上げてきたため俺は咄嵯に回避行動に移るのだが、その女性は俺の予想よりも遥かに速く。反応が一瞬遅れてしまったために、剣が振り下される前に、腕を切断されてしまい、その勢いのままに俺の体は真っ二つになってしまったのだった。俺は自分の体が上下に分かれるのを感じ取り意識を失うことになるのだった。

次に目を覚ますと。俺は見知らぬ天井を眺めていたのである。

俺はゆっくりと上体を起こし、周囲を確認することにしたのだ。ここは、一体どこなのだろうかと疑問を抱きながら。俺は、自分が何故ここにいるのかを記憶を辿ることで思い出す事ができた。俺は、異世界に来て、魔族と戦ってから。そして目の前に敵が立ち塞がり俺を殺したことを鮮明に思い出す事ができたのだった。俺がその事実にショックを受け、これからどうしようかと考えていた時である。扉が開き。一人の人物が姿を現し。「ようやく目が覚めたみたいだね」と声を掛けてくるその人物は俺が最初に話をした青年の男性で、彼は、ユウキという名前であった。そのユウキは俺の顔色を確認して体調が良くなってきていることに喜んでいた。そして俺の方もどうして生きているんだろうと思ったわけだが。どうやら俺はシロの加護を受けているおかげて致命傷を受けるようなことになっても死なずに済むのだということを後から教えてもらう事になったのだった。そういえば、さっき見た夢に出てきたのも。おそらくはシロだったんだろうと理解できた。

俺が起きたのを確認した彼は、早速話を始めることにしたらしく。まず最初にこの世界の説明を簡単に行うのだと前置きをしたのちに話しを始めたのである。この世界の名前は『アルセナス』と呼ばれている世界で。この世界には、四つの種族が住んでいるのだそうだ。

一つ目は、人間の住む国で俺が最初に住んでいた場所である。二つ目は獣人の住まう場所だそうだ。

三つ目の場所は、竜族の国がある場所で。最後に魔人が統治している地域なのだというのだ。そして四つ目の国は人間と亜人が住む場所となっている。そして人間は俺達が元々居た場所であり。他の三ヶ国と比べると一番平和だという。

そしてそれぞれの国が対立しているわけではないものの、交流はほとんどなく互いに警戒をしている状態であるということらしい。そして先ほど話に出た獣人や竜族も、人間が暮らしている場所に住んでいるだけで、他の三つの国に存在しているということではないのである。そのことから考えるとやはり俺が暮らしていた国は特別な存在なのかと思ってしまう。

それからこの村については俺が一番よく知っている。なぜなら俺はその村の村長の息子であったからである。しかし、それも過去の事でしかない。今、俺がいるこの場所は。俺が過ごしていたあの小さな村には存在しないはずの存在が暮らす小さな街となっていたのだった。つまり、魔王と呼ばれる魔族の王様がいてそれに仕える者が暮らす街なのだそうである。そして先ほどの話にもあった通りこの街は。俺達の街とは交流がなかったようで。それどころか敵対関係といってもおかしくない状態が続いていたようである。俺はその話を聞いたとき。なんとも理不尽な話だと感じたのである。

そもそも俺はその勇者と魔王の関係に疑問を抱いた。だってそうだろう?同じ世界の出身者が争い合う必要なんてどこにもないはずだと俺は思った。だから、それを確かめようと思い、ユウキに対して俺は。

魔王について尋ねたのだった。するとユウキはその事を話す前に、まずは君に謝る必要があるといい。「君に娘を助けてもらう為に君を殺す必要があった。本当に申し訳なかった」と言い。ユウキはその場で深々と頭を下げた。その様子に慌てて「顔を上げてください」と伝えたのだが、彼は、君に殺されるつもりだったと口にしてから。

それから俺に娘のミユキを助けてもらうために俺は殺すつもりで戦ったと話してくれ。俺が気を失っている間に。俺は殺されてしまったのだが。俺に薬を与えた人物のおかげで。シロに俺が託した物を受け取ることが出来たために。ミユキは無事だということを教えてくれたのである。その事をミユキに伝えるためにミユキの居場所を聞いたのだが、残念なことにミユキは現在、この城の地下で捕らわれの身となっていて。外に出ることも叶わない状況で居るということだ。その話を聞いた後に。俺の口から思わず。

「シロは、無事ですか?」

と言葉に出してしまい。シロの事を心配したからこそ出た言葉で、シロが俺のことを庇ったせいで、俺は死んでしまったという事もあり得るのではないかと心配になってしまっていたからだと思われる。そんな俺の発言にユウキは。首を傾げながら、「君はシロと知り合いだったのか?」と尋ねてきていたので、俺は、自分の名前はクロでありシロと一緒に旅をしていたと話した。ユウキはそれを聞くと。納得がいったように。なるほど、君のことも知っていたが確かに面影が残っているように思う。

それからユウキは、クロに。俺がどうやって死んだかを伝えた。俺は、自分がどのようにして死ぬに至ったかを詳細に聞くことができたため。自分の死因がどのようなものだったのかを理解した上で改めて自分がどれだけ死にかけていたのかを思い知らされる結果となってしまい。それと同時に自分の弱さに落胆してしまったのである。俺が死んだのも仕方のない事のように思えてしまう。それに俺が死んでいる間は。シロもどうなっていたのだろうかと考えてしまい。そのことが頭の中を駆け巡り気分が悪くなってしまった俺は。その部屋から出て行き。しばらく一人になりたいと考えて部屋の外に向かって歩いていくのであった。

俺は部屋から外に出てからもずっと考え事をしながら歩き続け。そして俺は、俺が殺された場所まで戻ってくるのだった。そこには、先ほど俺を殺してくれた女性が、地面に突き刺していた剣を抜きながら佇んでおり。彼女は、俺の方を見てくるなり、

「まだ生きていやがるとはな」と声をかけてくるのだった。

それに対して俺も言葉を返そうとしたのだが。それより先に相手の方が言葉を続けてくることになり。「お前に言っておきたいことがある」と言うのだったが。俺の意識は既に彼女の方を向いていないために、何も答えることが出来なかった。そこで俺は彼女に話しかけられたことで、俺を殺そうとしていたことを思い出していたのである。そしてその事に怒りを覚えたため。「お前は一体何者なんだ?」と問いかける事にした。そうすると、その女性は俺から顔を背けてからこう言ってきたのである。「あたしゃあな、別に魔人じゃない。人間だよ。ただ少しだけ違うってところはあるけどね。まあいいか、どうせあんたはすぐに忘れることになる。だから教えてやるよ。私は、人間に恨みを持っているんだよ」と言ってからその人は、続けて俺の方を向くと、俺に攻撃を仕掛けてきたのである。俺は咄嵯のことで動けずにいたため。彼女からの攻撃をまともに食らってしまうと。その一撃は想像以上に重いもので、体が悲鳴を上げる。そして、彼女が手に持っていた剣を再度構えなおしたところで。俺は意識を失いその場に倒れこんでしまうのだった。俺は目を覚ますとそこは。俺のいた場所ではなく。先ほどまでユウキと話をした部屋に俺は寝かせられていた。しかも、何故かベッドに運ばれており。俺はどうしてここに連れてこられているのかが分からずに。戸惑っていたのだが。シロが俺の元に近寄ってくると。「ごめんなさい、あなたを助けることができなくて」と言って俺の手を握ってきたのだ。

俺は、どうしてお前が泣いているんだと聞き返したのだが。どうやら、ユウキが俺が死んでいた場合にシロに伝えて欲しい事があると言っていたことを伝えられたらしく。シロはその内容を聞いて涙を流しているのだと言う。そしてその話の内容というのは。シロの体の中にある加護を使ってくれたのが誰であるのかを知ることができるのだというのだ。俺はその話を聞き。俺は自分を殺した女の正体が分かるかも知れないと思い、シロからその方法について詳しく話してもらうことにしたのである。

その方法はとても単純なものであった。シロから加護を受ければ良いだけだと。加護を受けて加護の持ち主の名前を知ることで加護を授けた主の名前を知れるという仕組みなのだという事を知った俺は。俺に加護を与えてくれるように頼んでみることにしたのである。その話を聞いた俺は、すぐにでも行った方が良いのではないかと思った。だけど、シロの話によれば。一度誰かから加護を与えられた場合は。再び他の人から加護を与えられないようにする必要があり。加護を与えられるのも、与える側もリスクがあるということだった。

俺の場合、すでに二度もシロに加護を授けてもらっている状態だったため、もうシロの加護は受けることが出来ない。そしてシロの場合は、過去に何度も同じ人物に加護を与えている場合、加護が消えてしまう恐れがあるらしい。そしてその事を俺は、目の前に居る少女の泣きはらしている顔を見ながら聞かされていたのである。俺はその話を聞いた時に思ったのだ。もしここで俺が死んだ場合には。シロはまた、加護を与えることが出来なくなってしまうんじゃないかと。それは困ると俺の心が訴えかけた。俺はそう考えた後。シロに、頼む、もう一度俺に力を貸してくれ、と伝えてから。シロが「わかりました」と答えてくれて。シロから光りが発せられると同時に俺は、その光が体に入ってくるのを感じ取ることが出来た。その瞬間。俺の中に何かが入り込んでくるのを感じた俺は、その感覚に戸惑い。俺は、自分の中に何が入ったのかを確認せずにはいられなくなり。自分の胸に手を当てて調べてみた。

すると胸の中で暖かい物が動いているような気がして。まさかと思い、自分の胸の中から何かを引き出そうとすると、急に俺の意識が失われていき。そしてそのまま、俺は、気絶するように眠ることになるのであった。そして、俺の体を抱きしめながら「どうか無事でいて下さい。私の大事なクロさん」というシロの声を聞いた後に俺は意識を失ってしまうのだった。

俺は目が覚めると自分がどこの部屋にいてどんな格好をしているのかという事を確かめる。どうも先ほどまで着ていたはずの衣服を脱がされているみたいだったのだが。その服も今は着ておらず裸のままで居たことに気付いた俺。

「シロが着替えさせてくれたんかな?とりあえずお礼を言いに行かないとな」

そう呟きながらも。俺が自分の身に付けている物を確認すればするほど。シロは俺のことを着替えさせる必要がなかったんじゃないかと思うようになっていった。というのも俺は服を着ていたはずだし。俺が今来ているのは普通のTシャツとジーンズだからだ。それに今気が付いたのであるが、なぜか俺の腕には白い毛のような物で編まれた布が巻かれているようで、これではまるで怪我をして手当を受けた後のようになっているのである。

その事に疑問を持った俺だが。よく考えてみると。確かに俺はユウキとの戦いによって腕に傷を負っていたことを思いだすと。その傷が癒えた状態で俺はここにいるという事になる。しかしそうなると。シロがこの服を用意して俺に着替えをさせたという可能性は限りなく低いように思えてくる。それじゃあ誰がこれを俺に用意したのかと考えたところで。俺は自分が今、見知らぬ場所にいるということに思い当たる。

しかしそんなことは全く気にせず部屋から出た俺なのだが、扉の外にいた衛兵たちに止められたのである。なんでも俺の姿を見たユウキが大騒ぎになり始めてしまったために、落ち着くのを待っている間に俺は眠ってしまったとのこと。そのためこの部屋に戻されたという話だったのだが。どうも俺の事が心配でならなかったらしくて。それでこんな状態になってしまったのだという説明をしてくれたのだった。その話を聞いて俺は申し訳ない気持ちになったので。その部屋から出て行こうとするのをやめたのだが。どうにも俺が出て行った後にユウキの奴が暴れまわってしまい。城の中がめちゃくちゃになってしまっているそうだ。俺はユウキのことが気になってしまい。シロは無事なのかとも考えると不安になっていく。その事を衛兵たちに伝えると、シロに関しては、俺が気を失った後でユウキが連れ去ったのではないかとの事。そしてその事を俺に伝えるためにシロに会いに来たらしいと教えてもらった。

俺はシロが無事だということを知り安心したのだけれども。同時に、自分が殺されそうになった相手が気になっていたのもあり。俺を殺すように指示を出した人物が誰であるのか知りたかったためにその事を伝えた上でシロに会うように取り計らうように伝えた。そのお願いを聞き入れてもらえたことで俺達はユウキのところに行けることになった。そして俺達が案内されて向かうと。そこは玉座の間では無く。何故か謁見の間と呼ばれる部屋の前までやって来て。そこにたどり着くまでの間に俺は衛兵たちから。ここが王と勇者しか入ることが許されない場所だと伝えられていた。

そう言われるほど凄いところに来てしまったと驚いた俺は思わず息を呑んでしまい。緊張しながら部屋に入ることにした。そうして中に入った俺は、シロがどこにいるのか探すことにする。すると、俺の視界に入って来たものを見て、俺は驚いてしまったのである。なんとそこにはシロの体があって。俺は慌てて駆け寄り抱き上げた。そして俺の姿を見てシロが涙を浮かべながら、「心配したんですよ、クロさん。よかった。無事に戻ってきてくださったんですね」と言ってきて。それに対して俺は謝ろうとしたのだが。そこでようやく自分がどういう状態であるかを知ることが出来た。シロの体の中に入り込んでいた俺は、シロから俺が抜け出した後もずっと意識が無くなっていたようだ。だから今の俺はシロからしたら。自分の意識を取り戻した途端いきなり俺の体の上から消えたように見えるのではないだろうかと俺は思って。それを確かめるために、自分がどうなったかを聞こうとしたとき。ユウキから俺が生きていたと知らされた事でシロの目には再び涙が流れ出すのであった。

それからは俺はシロの事を宥めようと思ったものの、何故かシロの方は俺にくっついて離れなくなってしまったため。仕方なくこのままでいるしかなかったのである。そしてそんな俺達に対して国王である男が話し掛けて来た。「そなたが魔王を倒せと言われし者よ。よくぞ生きて帰って来られたものだ」と言った後。男はユウキの方を見るのだったが。そのユウキの顔は青ざめたような表情をしており、とても苦しんでいる様子に見えたことから俺は。シロが一体何をしたのかが分からなかったのだが、俺にはその疑問をぶつけるような真似をする勇気など持ち合わせていない。

俺がどうしていいかわからずにいると。シロは俺から離れようとしないせいで、国王は俺を魔王を倒す仲間として認めないという態度を示してきたのである。その話を聞いた俺としては、ユウキと敵対してしまった事よりも。自分が殺されるかもしれないという恐怖から身を守る事の方が大事だと思い始めた時。シロが国王に「彼は私の夫となる男性です。彼に手を出さないと誓ってください」と言うと。俺は、お前、なんてこと言ってるんだ!と思ったのだが。どうやら、その発言は、シロが俺に抱いている感情を周囲に知らせるためだけの嘘であって。シロが本気で俺と結ばれようとしているわけではないと俺は思う事にして。俺は黙り込む事にしたのである。そしてその事をシロは見抜いているのか「クロさんの事を信じていますから」と言われたことで、俺は恥ずかしくなり。頬が赤くなるのを感じたのだった。

ただシロはその後すぐに真剣な表情になり。ユウキに向かって何かを伝えていた。俺にはその話の内容が全く聞こえてこなかったのだけども。俺の耳に届く前にシロの声が大きくなっていったことと、シロの声に重なってユウキの声が小さくなっていき聞き取りにくくなった事から俺に内容が伝わっていなかったのだと思う。そして、俺にその会話の内容を聞いていたのかと聞かれると。シロからは何も言わず首を横に振っていたから恐らくシロも俺に聞かせたくない話だったのではなかろうか。

俺は、シロに話しかけたい気分だったけども。どうやらユウキの体調がすぐれないようで、顔色も良くないように感じていたから俺は、無理はするなと言いたかったのだが、それよりも、俺はユウキに聞いておきたいことがあったからユウキに近付いていく。その事をユウキに告げれば。俺はもう大丈夫なので心配するなと言われてしまい。結局、俺が言いたかったことは伝わらないままになるのであった。

シロの話によれば、今目の前に居るのが王様で、俺たちがこの国で一番偉い人だということが理解できた。だから俺は「俺なんかが、こんなところに立っていて良いんでしょうか?」などと失礼にならないかどうか確認したうえで言ってみると。王は笑って「そんな風にかしこまらんで良い」と言ってきて。そして俺の質問に答えてくれた。

「余とて元は人の子である。そしてその血を受け継いでおるものがいるからこそこうして王が続けておれるということだ。しかしそちが勇者の仲間となり共に戦うということはこの国の人間にとってみれば嬉しいことである。それは何故だかわかるかね?そう。それはな、この国に居座っている悪しき存在と戦うための力を貸すことができるということなのだ。そしてそちは、勇者と共に戦うにふさわしい男であるということが分かった以上。魔王を倒す旅に同行しても構わぬと思っている。しかし、そちは先程、魔王を討伐しろと言われたがゆえに魔王の元へと向かったのだろう?それではなぜこのような事になってしまったのだ?そなたは一体何と戦っていたというのじゃ。まさか本当に魔王と戦ったわけでは無いのであろう?」という言葉に俺は「実はですね」と事情を話した。すると。

その話は王だけではなく。他の人たちにも伝わっていき。最終的には、ユウキを除く全員が俺の事を信用してくれたみたいだ。そう言った意味で、やはり俺が魔王を倒したというのが信じられなかったのではないだろうかと思うのである。

そして俺はこの場では俺に敵意を向けている人が誰もいないことを確認してからユウキに近付くと、俺の事を殺そうとしたことについて問い詰めていくのだった。俺の言葉を受けたユウキが謝罪をしたことでこの場での出来事が終わるかと思われた。しかしその瞬間にユウキが突然、剣を抜き。俺の首筋に向けて切りかかろうとしてきたのである。それを俺は間一髪のところでかわすことで回避することに成功した。だが、その直後。今度は王が自分の武器でユウキを攻撃し始めた。それを目の当たりにした俺は、慌てて王の事を静止しようとしたのだけれども。俺が止めに入る前に既に王は動き出していたようで。ユウキは、自分の体に刃を突き刺されたのである。

俺の目にはその事がしっかりと見えていたし。その事は俺の体を貫いていて。間違いなく致命傷を与えているはずなのにユウキはまだ動いていた。その事に気がついた俺はユウキの事を回復するために急いで治療を行おうとしたのだが、何故か俺の回復魔法は一切効果が無かったのである。俺の使う治癒魔法の能力が低すぎるからというわけではないはずだと思いつつも俺は焦り始める。なぜなら俺はユウキが俺を殺すためではなく。あくまでも、魔王の配下を殺すことだけを考えていたからで。俺はそれが失敗したことに驚きを覚えてはいたのだが、ユウキに殺されたとしても。シロを無事に助け出すことができればそれで構わないと思ってもいた。そして俺はこの事をユウキに伝えようとしたのだけれども。俺の口から出た言葉は何時の間にか自分のものではなくなっていたのである。

ユウキは俺のことを魔族として殺そうとしていたから、俺に対して容赦がなかったのだろうかと考え始めていた時に俺は自分の体が乗っ取られていることに気づくことになる。そして、ユウキが、自分の体を動かせないように必死に抵抗をしていると気が付いた。

そしてそんな状況に俺はどうしたらいいのかを考えようとしていたが。俺が考えるよりも早く。ユウキは俺が考えたとおりの行動を始め出したのであった。

俺の口から勝手に出てきた声に驚いたせいで、俺は一瞬意識を手放してしまったようだ。そのおかげで自分の身に一体どんな変化が起こったのかを知ることが出来なかったのだが。シロと出会ってからの今までの出来事が夢ではない事だけは確かであるように思えたから。きっとこれが現実に起こったことなのだろうと。頭の中ではそう考え始めていたのである。

ただそれでもまだ頭が混乱していて、俺が一体どういう状態になっているのかわからなかったためにシロに尋ねてみると。その質問に対してシロはすぐに答えを返してくることはなかった。だから俺は改めて自分の身に起きたことを考えてみることにしたのだが。俺にはどう考えても分からない部分が多かった。ただひとつわかったことと言えば、シロの中に俺が入ってしまったらしいということだけだ。

それしか分からなかったのだが。シロの説明を受けてようやく、シロの体の中に入り込んでいたのだと理解することが出来たのだった。つまり俺はシロの中に存在しているということになるわけであり。自分の中に自分とは違う意識があるという状況に違和感を感じる。しかし、シロが言うには俺は今俺の中にいるわけではなくてシロの体の中で眠りについている状態であるそうだ。それなら俺はどうやって外に出れば良いのだろうかと考えた時。

俺は俺と同じような感覚を感じ取って俺と同じ存在なのかと思っていたシロの中から抜け出し。シロは俺がシロの身体を抜け出した後にすぐにまた俺が入り込んだせいで少し戸惑ったような顔をしているのを見て安心したと同時にシロに対して、悪いことをしてしまったかなとも思っていたりする。

ただ俺にどういった影響があったのかを調べるためには。シロの中にある俺の存在が邪魔になりそうだったので俺は一旦シロの中から出て。俺と俺とシロの二人だけが話が出来るような状況を作り上げてからシロの体を借りて会話を始めることにしたのである。

シロの身体を使って会話を行うにはどうすればいいのかと考えている最中にシロからの提案でシロの頭の上に乗るように指示をされ。俺はそれに従うとシロは自分の髪の毛を器用に使って何かをやり始め。俺は俺とシロとが話をすることが出来る空間を作り出すことに成功したようである。

俺はそんな不思議な力を持っているシロに驚かされるとともに。シロが俺と同じように俺の力を使いこなせているのか疑問に思いつつ俺は、シロと話ができることに感謝しつつ話しかけるのだった。俺がシロと話したいという気持ちを伝えているとシロは、「私も同じです」と言ってきたことからシロが何を言ってきたのかを理解した俺はシロの頭の上で丸くなろうとしたのだが。その時になって俺は、自分が今着ていた服装は、ユウキに攻撃されて破れてしまっていたことを思い出し。着替えるためにシロの背中にある服を脱がせる必要があるのではと思ったのだ。そして俺がその事をシロに伝えるとシロは「クロさんのためですからね」と言ってくれ。シロに許可を取って俺は、シロの着ていた衣服を手に取り、俺はシロから受け取ったシロの着ていた服を着ることに。シロの衣類を身につける事でシロと一体化しているかのように感じられるようになっていて。シロの匂いに包まれながら俺はこれからシロとどうなっていくべきかを考えたりしていくのであった。

それからしばらくの間俺とシロはお互いの存在を認識できるかできないかを確かめ合うと、お互いに会話を出来るようになっていることがわかり。まず最初に俺はシロがどのような経緯で、今の状態に陥いってしまったのかを確認するためにも話を聞く事に。その話によると。魔王と名乗る存在が現れ、魔王に付き従う者たちによってシロの住んでいた街は壊滅状態に追いやられたようであった。俺はそこで魔王の正体についても聞こうと考えていたのだが。シロに聞くと。それは今は言わない方が良いのではないかと言うのだ。魔王については何か知っていることがありそうな様子ではあったのだが、俺に教えたくない事があるらしくて魔王のことについては言わないようにお願いされてしまった。そのため俺はシロに頼んで。魔王のことについて詳しい話を聞かせてもらえるように頼もうとしたのだが。魔王が関係しているのかどうか定かではないが、最近この世界がおかしいという話を聞いているうちに俺は眠たくなってきたのである。そして、俺とシロの二人が話をしようとして会話をしていたらいつの間にか俺が先に眠ってしまう事になってしまったのである。

そしてその日。目を覚ました俺を出迎えたのは、俺とシロ以外の人間が居なくなっているという光景だった。俺が起きた事に気付いたのかシロは「おはようございます」と微笑むと、シロは俺に向かって。この世界は俺達以外が消えてしまっているのだということを告げてきた。その事実を知った俺は、シロの言ったことが本当なのだと確信し。俺に何が起こっていたのかを知らなければと、この世界で一体何が起こっているのかを確かめるための準備を行い始めた。準備が整うまでにしばらく時間がかかってしまったが。なんとか俺達はこの世界の現状を理解することが出来るようになったのだ。この世界がどういう風に変貌してしまったのかを説明してくれるシロの話は、俺の予想していたものとは大きく違った内容だったため。この話を聞いた後でも俺はまだ、自分の目で見ていないので信じることができなかった。シロが俺に見せてくれたのは俺の住んでいる町の変わり果てた姿と、そこに住み着く怪物たちの姿だ。そして俺とシロの目の前にいるのは人のような姿をしているが、肌が灰色になっていて角のようなものがついている生物で。俺達が町で襲われた魔物によく似ているように思えるものだった。その姿を見て、本当にこの世界に魔王が存在するのかもしれないと思うようになっていたのである。そして俺がそう思うことができたのは、シロの説明にあった魔王の配下であると言われている怪物たちがこの町に現れていたことが大きな要因となっていたのである。シロの言っていることは恐らく真実であり。この怪物たちのことを知っているというのなら確かに、この世界の事を教えても大丈夫かと考える。そして俺は、シロに俺が勇者でシロが聖女であるということを説明をした。

そして俺はそのことについての補足を行った。

俺はその時にシロに、なぜ自分が元の世界に戻るための方法を探すよりも。まず初めに魔族を倒しに行こうとしていた理由をしっかりと伝えておくことにして。その理由を簡単に説明することにする。するとシロはその言葉を聞き終えると俺が思っていたよりも、あっさりと俺のことを認めてくれた。シロは俺の味方であるのだと、確信を持つことが出来て俺としてはとても嬉しい出来事となったのであった。そんなことがあったため。俺は自分の目的が、シロと一緒に元の場所に帰る事であると告げる事ができた。そしてその目的を達成するために。俺は町の中を調べ回っていたのだが、調べ回っている途中に俺は、この世界に存在している人間の姿を見かける事が無かったことに気がついたので、シロが町中に現れた怪物たちを食い止めてくれている間、俺はこの世界に居るはずの俺以外の誰かを探して町中を散策するのだった。しかし誰ひとりとしてこの世界には存在していなくて。

結局俺は一人だけになってしまったという現実を思い知らされることになる。しかし、俺の心の中に諦めという感情が湧くことはなく。俺にはシロが傍に居てくれているし。シロになら、俺は安心して任せられる。そして俺はシロの身体を借りているわけなのでシロの体を無茶に動かすわけにもいかない。そして俺はシロを安心させるためと、少しでもシロが戦わなくてもいいように、そしてもしも俺がシロの体を使って戦うときにシロの体の動きについていけるかを確認したいために、まずは自分の力を把握するところから始めるのであった。シロに体を任せて俺は俺のやりたいことをやることにしたのである。まず最初に俺が自分の体で、どれだけ動けるのかを知るために、軽く身体を動かすことから始めようとしたのだが、シロがそれでは危ないと言ってきたので、仕方なくシロの体を使うことにした。

そうすることで自分の体の使い方というものが分かり、俺は身体の感覚を掴むことが出来た。

そのあとシロが用意してくれた剣を使いシロが身体の主導権を譲ってくれたので俺は自分の身体を自由に動かせるようになるのと同時に自分の体がどの程度のものなのかを調べる。自分の身体を使って、俺の力がどれほどの強さなのかを把握していったのだが、そこで俺は自分の力を少し舐めていたのだと気付かされることになる。シロは今まで自分の体の力だけで魔物を倒せるレベルにまでは鍛え上げていたが。しかし俺はそれ以上に強いということに気づいていなかったのだ。しかし実際に自分の身体の動かし方を把握すればするほど。自分が強い力を持っているとわかると俺はシロと二人だけでも十分魔族を退治することが出来るのではないかと考えるようになっていたのだった。

それから、俺がシロに身体を返すと。俺が体を取り戻した時にはすでに戦いが始まっていたようで、町中で戦闘が行われていたのである。俺は急いでその場所に向かうのだが。

俺は途中で自分の存在が邪魔になると思ってその場から離れる事にした。すると俺はシロから声をかけられたのだ。俺は俺の力が必要になったら呼んでほしいといってから俺はシロの体から離れ。また身体を入れ替えることに成功したのである。

俺とシロが身体を入れ替わるのと同時にシロは自分の身を守るためと、俺が戦いやすくなるために、魔法を使い始めた。そして、俺はシロが魔法を使い始めてから俺のことをシロの体の中から見ているのは分かっていたが。それでも俺は、俺の力でどこまで出来るかを知りたかったので俺が一人で出来るところまでやってみることにした。

俺はまずはシロと交代する前までに俺とシロの身体能力の違いがどういったものなのかを大まかにではあるが理解できていたので、シロの体に意識を戻すのに苦労する事は無かった。ただ、俺が元の場所に戻ってきた時俺が目にしたものは俺とシロの二人で相手していたときよりもはるかに強力な力を持った存在だった。俺がその姿を目にしたとき。

その見た目はまるで悪魔が化けた姿なのではないかと感じさせられたのだ。俺は自分が見た悪魔の外見と同じような存在なのではないかと考えながら相手の力を確認しようとするのだが、相手が強すぎて何も分からなかった。そのため俺とシロの力の差が分からない状況の中で俺はどうにかなるのではないかという気持ちを抱く。そして、俺はこの世界に来てからは初めての実戦を行うことになる。それは、俺はこの世界にやって来て初めてシロに自分の力で相手をするという行為なのだから。

俺は、目の前に存在する強大な力を持つ存在を、俺自身が相手にできるとは思っていないが、この世界に俺が生きているという事実を示すためだけに、シロとの特訓を思い出しながら俺の全力で挑もうとするのであった。そして俺は今出せる最大の技を発動させようと、俺が扱える限界の一撃を相手に放とうとした。その攻撃に対して、相手も俺と同じことを思ったらしく。お互いに攻撃が命中したのだ、 その結果俺はシロの体ごと吹き飛ばされてしまった。だがそこで終わることはなかったのだ。シロがこのタイミングを狙って、自分が使える最高レベルの呪文を使ったのだ。それによって敵の存在は完全に消し飛んだのであった。俺はその光景を見て唖然としてしまい、シロは俺が無事であることを確かめるかのように、優しく抱きついてくる。それから俺達は、町が壊滅状態になる前に町に戻る事にしたので。その道中で町の様子を見ながら話をすることになったのである。俺達の目に飛び込んできた町の状況は悲惨なもので、俺がシロと話をしながら歩いて来た道が、町の中に入った時点で既に崩れて無くなっていたため。俺はどうやって町の外に出ることが出来るのかと考えながら町の様子を伺う。

そして俺とシロは町の中にいる魔族の数に驚くのである。町の中では魔族によって住民が皆殺しにされていた。その惨劇を目の当たりにした俺は、魔族を倒すという決意をさらに強固なものとすると共に、町の中の魔族を全て討伐することを決めたのである。俺達がこの世界にやってきて最初の事件がこの様なものだったというのはとても運が悪いというべきであろうか。そしてシロに俺達と別れた後はどうしているのかを聞こうとしたのだが。彼女はまだ自分の家があるらしいので俺と一緒に来ないで、自分の家に残って俺の帰りを待つことになったのである。俺がシロにそのことを伝えると、シロは寂しそうな顔をしていたが、それでもすぐに笑顔になって、頑張ろうねと言ったのであった。そんなこんながありつつも俺たちは魔族たちを倒して行くことにしたのであった。

そしてシロがこの町にいるすべての魔族を倒し終えて戻ってくる頃には日が沈んでおり。シロと一緒に夜ご飯を食べた後。明日に備えて休むことにしたのだが。

翌日、俺はこの世界で目覚めてからの一日で何が起こったのかを知るための準備を整えていたのである。この世界で何が起こってしまったのか?この世界で俺に何ができるのかを確認するためである。まずは俺とシロの関係についてだ。俺の記憶の中にある限り。シロと出会ったときに俺が感じたのは、この子を守りたい。そんな気持ちを抱いた気がするが、今はどうなっているのだろうか。そう考えた結果シロは俺がシロと会えたときに俺の心の中にはいて。俺はシロのことを守るために存在しているのではないか。俺は、そう考えるようになっていったのである。そうして俺は俺なりに、これから自分がしなければならないことを決めることができたのである。そしてその次に俺が何をするべきかについて考える。

この世界のどこかで魔王がいると思われる場所が有るはずであり、その居場所を俺とシロで見つけ出して倒さなければならないだろう。そのあとはこの世界が魔王の手に落ちた後どのように変化するかを調べて、元の世界に帰るために必要なものが何かを知る必要があると考えた俺は。まずは自分のステータスの確認をすることに決めるのである。そうすると俺は自分の能力値を確認できるような画面が表示されるのを確認したので。

早速俺は自分の能力を確認しようとしてみたのだが、

そこには見慣れない数字が表示されていて、 名前:神野 光(じんの こう)

Lv:99

HP:50万5000

攻撃力:400000

防御力:251000

魔力:450

素早さ:400

成長力:50 スキル一覧

「勇者」

装備:武器「聖剣」防具「勇者の衣」「勇者の腕輪」、「神の指輪」「聖女の加護」アイテムボックス:無し *この世界にやってくる際にあなたに与えた能力はレベルに応じて自動的に成長していくようになっています。しかしあなたの場合。レベルが上がるのに時間がかかります。また、レベルが上がりやすいようにレベルが上がったときのステータスの伸びが通常よりも高いです。

といった内容が表示されていて俺はその内容を読んでいくうちに、 これ本当に俺の能力なのかと思いつつ自分の体の状態を調べるために、俺は自分の体を使って動くことにする。そのおかげなのか俺が自分の体を動かそうとしたときに、今まで俺が動かしていた身体とは違って、俺が思い通りに身体を動かす事が出来て。

しかも俺の身体を俺の意志に関係なく動かす事が出来るのだ。それだけではなく俺は今までより遥かに身体を思うように動かすことができるようになったのだ。俺が自分の身体で自由に動けることに驚いているとシロが話しかけてくるので、とりあえずシロが俺と交代してからの状況を聞き出そうとするとシロから衝撃の事実を伝えられ、シロが俺と別れる前に倒した魔物の魂がこの世界にやって来た俺の中に宿り、俺と融合してしまったという話を聞いた俺は、自分の身体の違和感に気づいたのであった。

そして、それから俺は、自分の身体を使って自分の能力を試すと同時にシロには俺と自分の身体を使って戦っても問題ないことを伝えておく。その時に、俺とシロの力の差があることや。自分の力に振り回されないようにするコツなども伝えていく。シロも、自分一人では俺と戦うことはできないと判断して。しばらくの間俺の戦い方を見ながら戦うことになる。シロと俺の連携は今までの戦闘ではうまく機能しなかった部分があったのを気にしていたため。俺はシロに協力して俺とシロが協力すればどのような魔物にも負けないだろうと思っていたのだ。そしてシロはしばらく俺と戦ってみてから自分の体に異変がないかどうかを念のために確認した後、俺の体を使う事に決めたのである。そしてその後。俺とシロは自分の身体で戦闘訓練をするために、お互いの体を入れ替えるのであった。

俺とシロはお互いに身体の感覚に慣れるために何度か入れ代わりをして自分の動き方を試行錯誤していくのであった。それから数時間が経過すると、 俺達はようやく互いの身体を使いこなせるようになり、それから俺達はこの世界を脱出する手段を見つけるための捜索を開始したのである。そして俺とシロの二人でこの世界にある町を回り始めたのだ。そしてシロと話し合いをした結果。この町で俺が目覚めた時にはこの世界にはすでに魔族たちが住み着いていて、この世界に残っていた住人たちを皆殺しにした可能性があるという話になる。その言葉を聞いた俺達は町の中をくまなく探すがやはり人の気配はなく、魔族の死体だけが転がっているのだった。そのことから、俺達が最初にいた場所よりも魔族の数が多くなっている事がわかると同時に。この町に住んでいた人々のほとんどが魔族に殺されてしまっていることがわかったのだった。俺は魔族を倒したときに現れる黒い塊を探せば何か手がかりがつかめるのではないかと考えながら、この辺りを重点的に調べる事にする。その途中でも魔族の数は増えているのだが、なぜかその全てが下級の存在であるゴブリンばかりなのである。

その光景に嫌な予感がしつつも俺とシロは探索を続けていき。そして、俺はこの世界に来て初めて人間と遭遇する。俺がその人物を見ると、その人物は、女性なのだが明らかに俺と同じぐらいかそれよりも歳上の見た目をしており。俺のことを、まるで獲物を見つけた肉食動物のような目つきで睨みつけていたのだ。そして俺はその女性が俺のことを見つめる瞳の中に狂気じみたなにかを感じたので。この場はどうにか切り抜けなければならないと思った俺はどうにかして会話を試みようとしたその時。

シロは俺の前に出てきて突然俺の目の前に現れた謎の存在に威嚇を始める。

俺とシロの二人は今、この世界で初めて人と出会ったのであった。その人は、見た目の年齢にしてはかなり鍛え抜かれた肉体を持っており。さらに身につけている鎧などはとても高級なもののように見えて、おそらくその人がこの世界の中でも有数の強さを誇る人物だということが分かるのだが、 その人物がまとう雰囲気は普通の人とはどこか違うのを感じさせた。そのことに少し不安を覚えながらも俺はその男性に声をかけようとするが、 俺はその男に対して本能的な恐怖心を抱いたのだ。その男性は全身から強烈な殺気を放っており、もしこのままその男性が行動を開始しようとしたら、間違いなく俺はその攻撃を回避できなかったであろう。それほどまでに彼の攻撃を回避することは困難だと思えたのである。そんな事を考えている間にシロは男の注意を引くために攻撃を繰り出す。その男はそれに対して反応はしたのだが攻撃は当たらなくて、俺が攻撃を仕掛けようとしていた相手の意識がシロに向かってしまうのを感じると、 俺はすかさずシロを助けるために全力でその相手に対して斬りかかると。俺は自分が相手に放った攻撃の威力に自分でも驚くとともに相手がかなり強敵であることを悟ったのであった。それから俺達はその男性を相手にしながら会話を行い、俺の予想は的中していたようで。どうやら俺はシロの故郷にいたはずの魔王の部下の一人で、俺と同じような方法でこちらの世界に送り込まれたのだということがわかり。それから彼は俺と似たような経緯でこの世界に来ており。彼もまた俺と同じように魔族に大切なものを奪われていることやこの世界に送り込まれた時に身に着けていたものを身につけたままだということ。その証拠として彼が首に下げている装飾品を俺達に見せるのだが、その装飾はシロが俺に見せてきたのと酷似していて、同じものを俺達はそれぞれ一つ持っているのである。そして、俺はシロを庇うように彼と戦い続けたのである。そうしていると俺は彼に自分の実力が通用することが分かり始めてきて。

俺が一方的に彼を追い詰める展開になっていき。シロはシロで俺の攻撃を補助するような立ち回りをしてくれて徐々に相手を圧倒していき。俺達の方が優位に立ったところで。俺はシロに撤退することを告げ、その場を離れようとしたが。それは俺達の油断であり、この世界において俺は圧倒的に弱かったということを忘れていたことが原因で、シロの背中が切られ、俺とシロは一瞬で劣勢に追いやられてしまう。そしてシロの悲鳴が響き渡り、俺はシロに駆け寄ろうとしたがシロは大丈夫だからと言って俺に逃げるように促す。

シロの傷を見てみると致命傷ではないが放っておくわけにはいかないほどの大きな怪我をしてしまい、すぐに治療する必要があるほど酷い状態だったのである。シロはなんとか立ち上がり俺に近寄ると俺の腕を掴みそのままシロは俺と一緒に姿を消すのであった。そのことで俺とシロの二人が消えたことを理解した俺は、シロに何があったのかを聞くがシロはそれに答えることができず、俺の腕を引っ張り。俺とシロはこの世界へと送りこまれた時と同様に俺達が異世界で目覚めてシロと出会うきっかけとなった場所に転移をするのであった。そして俺とシロは再びこの場所に戻って来た。それから俺達は自分の体を元の状態に戻そうとしてみたのだが俺がシロの体に自分の魂を移したように。俺とシロもこの世界にやって来た時に俺とシロの体が入れ替わってしまったのだ。それからシロは俺に何かを伝えようとしてくるのだが俺の耳に届くことはなくて、 そして俺の視界が再び暗闇に包まれていく。俺はこの感覚からこの世界に来る前と全く同じようにシロの意識を失ったことを知ると、再びあの空間へ飛ばされることになってしまう。しかし俺はここで何もできずに終わるのは絶対にごめんだと思いシロと俺の意思が完全に途切れないように俺とシロは俺の魂に働きかけて何とか意識を繋ぐことに成功した。その結果、どうにかしてここから出る方法を模索し始めたのであるが。結局俺達は何もいい案は思い浮かばないまま、シロはシロが持っていた「神の加護」の力を発動し、その加護の力は発動すると、俺が俺と会話が出来るようになるというものだったのだ。そして、俺は俺と話をしてこれからのことを決めていこうとするのだが。そこで俺とシロは自分のステータスに表示されているスキル欄の中に「憑依」「共有」と言うスキルを見つけて、この二つを使えば元の世界に帰ることが出来るかもしれないと思い。俺とシロは俺が覚えている全ての「憑依」と「共有」を俺に使い俺と俺の意識を共有することにしたのである。そのおかげなのかシロとの繋がりが今まで以上に強くなり。今までに感じたことの無いような力強さを感じられるようになっていたのだ。

そのことに俺とシロが驚いているとシロからシロの身体が俺の能力で強制的に覚醒させられた事を知り。そのおかげなのか、この世界で俺とシロが会話できるようになり、それからシロがこの世界の事を説明してくれたのだった。

その説明を聞いていくうちに、俺のいた世界とは違う法則が存在し。さらに俺のいる世界とは似ていて異なる世界が存在するということを俺は知ることになったのである。それから俺は、俺がいるこの世界は俺がいた地球とは異なる惑星に存在する世界で俺達にはこの世界を脱出する手段が存在しないということと、 シロの種族について教えてもらうことになる。どうやらシロが人間に擬態できるのは、元々の姿がこの世界で言えば魔族の姿で、その魔族が他の生物と混ざり合う事で人間に変身できるようになるのだということを俺は知ることが出来たのだった。シロの話によれば俺とシロが戦った男性の方は、魔族の長の一族に連なるものであり。魔族の中でも最強の一族であるらしい。

そんな一族の血を引き、さらにはその中でも強力な力を持つ存在。シロはそんな男に殺されそうになったところ、たまたまシロに殺されなかった俺は偶然この世界へと送られて。俺の中に眠っていた力が目覚めたことにより俺の中の魔素が活性化したことにより俺とシロの体は入れ変わったのである。そのせいで俺達は俺の記憶と、シロの経験を引き継いでいてシロと融合した状態なのでこの世界に送り込まれてから今までの俺が知らないはずの知識を持っている状態で。その知識のおかげで、この世界から帰るための手がかりを見つけることが出来そうだったのだ。そして俺達はシロの知識と俺がこの世界に来たときとほとんど変わっていなかった記憶を頼りにして魔族の街を回っていき魔族の生き残りを探し始める。それからしばらくしてから、魔族たちが集まっていた村を発見するのだが。そこはもう魔族たちは残っておらず完全に魔族に滅ぼされてしまっていた。それからしばらく探したところで俺達はまだ生きている魔族がいないかと捜索を続けているのだが魔族の気配は一切感じられず。

そして俺達はとうとう町の中に入って行き。俺とシロの二人で手分けをして町中を探すがやはり魔族はいなく。俺の方に一人の少女が現れた。その少女はボロボロになっており今にも倒れそうな状態だったので俺はシロに事情を説明してシロは俺にその女の子の治療を行うように指示するのであった。

その少女は気を失っていたのだが、どうにかしてその意識を取り戻してもらい俺は彼女に状況を確認しようと思ったが、その時には既に彼女の瞳は虚ろになっていてどうすることもできなかったのである。俺は彼女を連れて一旦宿屋に戻り。そして彼女をベットの上に寝かせるとその体を清めていく。その後で俺はその少女を着替えさせると。その服を着替えさせたのはシロがやってくれることになり。シロはその子を着替えさせながら。どうしてこの子がこんな目にあってしまったのかを聞いていたのである。俺はそんなシロに、俺も気になっていた質問をすると、 シロによるとこの子の母親は元々人間であったが、彼女は父親と共に冒険者をしていたがある日父親が行方不明となりそれを追うようにして母親は一人で父親の跡を追った。

だが母親の努力むなしく母親がたどり着いたときには既に父親と母は魔物に襲われて死んでしまっていて残された子供の方をどうにか助けたのだということを。シロは話してくれたのであった。それから少しして少女の容態が良くなり始めてようやく起き上がることができるようになって俺はシロと協力して彼女が食べられる物を調理することにしたのである。そして俺はこの子に名前を尋ねてみるとその子の名前を聞くことができたので。その名前を教えてもらったのだが、どうやら俺はその子のことを助けることが出来たようだ。俺はその事に安堵しつつもその少女の名前はユイということが分かった。

俺はそんな事をしているとユイは俺に話しかけてきて自分が気がついたときに見知らぬ場所でしかも俺のことを怖がる様子を見せていたので。俺が警戒するのは当たり前の事だと伝えると、そのことについては理解してもらえたので一安心したが、どうやら俺に対して恐怖心を抱いていた理由も話す気になったようで。

俺がそのことについて尋ねるとユイのお父さんは実は昔勇者だったということを知らされる。しかしそんな凄腕のはずの父が魔王に殺されたのだという。それからユイは、自分は魔族でありながらも人間を憎んでおらず、魔王に復讐するために旅をしているのだということを。俺はそれを聞き俺は、ユイが人間ではないことを知っていたが。まさか魔族であることには驚きを隠せずにいた。そして俺は、ユイの話を聞いた後に俺が知っている情報と、シロの話から俺とシロがこの世界から元の世界に帰る方法を一緒に探したいと申し出た。それから俺とシロはしばらくの間この町に滞在することになり。その間にシロがこの世界にいる間に使えなかった魔法を使いこなせるようになる訓練を始め。俺は剣を使っての戦闘に慣れるための鍛錬を始めたのであった。

そうして俺とシロが動き出したところでユイの意識が再び失われて俺は焦る。そしてシロは冷静に俺の体を乗っ取りユイの体を動かすことでユイは目を覚ました。それから俺はシロに俺が憑依していたときの状態を詳しく聞き出すと俺がシロに憑依をしていた時とは違い。シロの肉体と精神の繋がりが非常に強固なもので。簡単に言うとシロは憑依されるだけで無く俺の精神がシロに乗り移ったとしても問題はないのだという。ただしシロが俺の意識に飲み込まれてしまうことを避けるために俺は出来るだけシロが俺の体に宿っているときは意識を失うことをしないようにすると。シロに伝えて、それから俺とシロは、シロが使えるようになった回復魔法で俺を治してもらう。

それから俺は、この世界にきて初めての買い物に出かけたのであった。そこでまず俺は自分のお金を稼ぐために薬草採取と簡単なクエストを受けてみることにする。俺とシロはそれからこの世界で暮らしていく上で必要なものを買い込みに店を見て回ることにした。そしてその日はそのまま終わり。俺とシロが宿泊していた宿屋に戻ろうとした時、 ユイは突然現れて、俺はいきなり襲われてしまい。その一撃で意識を失ってしまう。そしてその次に俺が目を開けた時は目の前に魔族の男が現れていて。それからその男はシロが倒したはずの魔族の男性と同一人物だということがすぐに分かった。俺はそれからシロに体を返してもらおうかと思っていたのだがシロがなぜか俺から離れず俺は仕方なくシロと一緒に魔族との戦いに挑もうとしたのだが俺はあっけなく殺されそうになってしまう。それからどうすれば助かるかを考えていた時に。俺に憑依をした状態ならシロに勝てるかもしれないと思い。俺はシロの身体に入り込むことを思いつく。

それからどうにかして俺は俺の意識がシロと入れ替わることに成功すると。シロは自分の身体を取り戻したのである。しかしそれからすぐに魔族にシロは殺されてしまったのだった。俺はそれをどうにかしたいと思って魔族を倒したが、俺の体に意識を移してもシロと会話することはできなくなっていたのである。

そのことに俺はどうしたものかと考えているとシロは俺に何かを伝えようとするのだが、それは俺に聞こえてこないでいて。俺がシロの言葉を聞こうと意識するとシロの言葉が俺の中に直接流れ込んでくるような感じがしたので、 俺はその現象を利用してシロの言っていることを理解できるようになるのだが。それでも俺の声はシロの口から出ることはなかった。その事に俺が困り果てていると。俺と会話が出来るようになり。シロから、シロと融合することで俺は俺とシロの二人に分裂することが出来て。俺はもう一人の俺と会話できるようになった。そのことから俺とシロの二人で会話することが出来るので俺達はこの場を脱することにして行動を開始したのである。

それから俺とシロが魔族の町中を探し回っているとシロがこの世界から脱出するために必要なアイテムを見つけたと言いだしたのであった。そしてシロは俺にその事を告げてくると、 それからシロと会話が出来るようになってからシロとシロに俺の考えを伝えることが出来るようになったので。シロからこの世界の脱出方法を聞いて、それから俺達は魔族の町に残っていた魔族をどうにか助け出すことに決めるのだった。そしてシロが見つけた道具とは、この世界の地図のようなものらしく。それを使えば魔素のある場所を感知できるのである。シロはそのことを説明すると、俺の持っている魔導コンパスと合わせれば魔素がどのくらい残っているかを確認出来きるのであると言うが。俺はそのやり方を知らないのでシロから聞いて試してみる事にしたのだった。そしてそれから少しすると。地図を起動させることになんとか成功したのである。その地図によるとまだ魔族は生存しているみたいだった。

俺達は、その事実に喜び。魔族の生き残りがいるということなのでその人達を助けるために向かうことになった。それからしばらくしてようやく町の外へ出てから、その魔族たちの居場所へと向かうのであった。そうしてしばらく歩いていくとそこにいたのは魔族に捕まっている一人の人間の姿だった。その人物の正体を確認すると、そこにはなんと俺の妹である美月と俺と一緒だったクラスの奴らが捕らえられていたのである。俺はシロが魔族に俺が人間だという事が知られないようにして、どうにかして俺とシロが魔族と人間の混血種でシロの方が人間よりも力が強いのでシロの方はどうにか人間として過ごしているが俺の方は人間離れした身体能力を持ってしまっていたことを説明してどうにか誤魔化すことが出来た。

俺とシロはどうにかその状況をどうにかしようと話し合いを始める。その時にはすでに妹たちは全員気絶させられており、このまま放っておけば命にかかわることになると判断した俺達は魔族の男に気付かれないように慎重に行動する。その方法は俺がシロに乗り移り、シロはその間、俺の中へ入って俺の意識が表に出ている間。俺の代わりにシロが体を操れるというのであった。俺はそれに了承して早速シロに頼み。

そして俺は魔族の男たちのところまで近づくとシロに合図を出して、俺と入れ替わり。俺と入れ替わった瞬間、俺はその男に攻撃を加える。

「悪いけどあんたには消えてもらう」

それからシロの身体になった俺はその男の首を掴むとその体を地面に押し付ける。それから俺は、

「あんたたちが人間を攫っている理由も知ってはいるがあえて何も聞かないでおいてやるから。今から俺達のことを見逃してくれ。そうじゃないなら俺がお前を殺すしかない」

俺がシロの体を借りてシロはそう言う。それから少ししてその魔族が俺達が嘘をついているのではないかと思ったのか。俺達のことを睨みつけながら口を開く。

「何を言っているんだお前は?私達に人間が何人殺されたか知っているのか?お前みたいな人間なんてこの俺様の拳一つで簡単に潰せるんだよ?」

その言葉を聞いたシロは男の首を締める手の力を強める。その行為を見た男が慌て出すと。

そのタイミングでシロが、自分の身体が男に乗っ取られたふりをして自分の体の方に戻って来る。それからそのシロに俺が憑依をする形をとるのである。その時にシロが俺の体に憑依をしている間はシロが俺の体を動かすことができるようになる。そして俺はその男の顔に俺の身体に入った状態で強烈な膝蹴りをお見舞いしその男に隙を作りそのすきに俺は、男の腕と首を掴んだのである。それからシロに体を返してからその男はシロに任せて俺とシロはこの場から離れることにした。その男に俺が魔族だということがバレてしまったので俺とシロはその場を立ち去ることにする。それからシロは俺に憑依している時も自分の肉体に魔力を流すことで魔法が使えるようになるのだと教えてくれたので。その方法を試してみたのだが俺の体が俺の意思に関係なく勝手に動くのである。しかし、その状態が長引くのはマズいと感じ俺はどうにかシロに意識を返すことに成功して、 それからシロの体は俺の元に戻らずにそのままの状態を維持することに決め。俺はシロと話をすることになったのであった。

俺はシロの口からこの世界がどうなっているかを聞くと俺はどうしたら元の世界に帰ることが出来るのかを聞き出そうとしたが、それについては知らないと答えるだけだった。そして俺とシロが話を終えると俺とシロは別れることになった。そしてそのあとシロと別れた俺は、魔族から逃げるために魔導コンパスの使い方が分からない振りをしながら適当に歩き回るのである。

そして魔族から逃げた俺は、それからしばらくの間は魔族たちから姿を隠そうと森の中にずっと潜伏していた。その間に俺が魔族の町で買ったものなどを整理してから俺は、この町に俺のことを知っている者がいないかを確認して。俺の事を知ってそうな人物を探してみた。

それからしばらくして。俺の事はどうやらこの町の誰も知らなそうだったので、俺はこれからどうするかを考える。それからどうすればいいかと迷っていると急に俺が使っているこの世界のお金について疑問が湧き。それをどうやってお金に変えればいいのだろうかと悩む。そこでとりあえず町に出て行ってそのお金を使える場所があるかどうか探して見る事にしたのだった。そして町に出た俺はそのお金が使える店を探し回ったがどこにもそれらしきものが見当たらないので困ってしまう。そして俺が困り果てているその時に。俺はこの世界で初めて話しかけられた。

俺が話しかけられて戸惑っていると。

「ねぇ、君大丈夫かい?そんな格好をしていては風邪を引いてしまうよ?」

そして声をかけてきたその男は、全身を黒装束に身を包んで顔にも仮面を付けているので性別は分かりづらいがおそらく俺と同じ年齢ぐらいで優しそうな雰囲気をしていた。そして俺がその男から渡されたものを受け取るとそれは上質な生地で出来た服でその男はどうやら俺に服を渡すためにわざわざ俺に声をかけてくれのだと俺は思い。俺は慌てて感謝を述べると、 その男はそれからこの近くで行き倒れになっていたらしい俺のことを助けようとここまで来ていてくれたのである。

俺はそれから俺は助けてくれた男に名前を尋ねる。それから俺達は名前を名乗り合うと俺は、その男の名前を耳にして驚いた。その名前がこの世界で勇者パーティの一人として活躍している勇者の名前だったからである。そしてその男の名前は勇人と言ったのだった。

そして俺と勇人が町の中で出会う前に戻る。俺は勇人と別れると。それから俺は、勇者のいる街を訪れていた。それから俺は魔族たちに俺が人間の国から追放されたことを伝えて、魔王の息子であり人間たちにとって脅威になり得るのは自分一人だけしかいないということを伝えると、どうにかその事を信用して貰えたみたいだった。しかしそれから俺は勇者に殺される前にこの世界に脱出しようと決意する。しかしそれから俺はこの世界で生き残る術を見つけることに決める。まずはその手段を探す為に、この世界の情報を少しでも集めておく必要があると考えて、俺は魔族たちを町へと連れて行ったのであった。

そうして、どうにか俺は魔族たちの命を救うことが出来たわけなのだが、この世界にやって来た時の事を思い返してみると本当に無茶苦茶だなと思うと笑いが込み上げてくるが、俺は笑っている余裕はないのでこの世界で生きていけるように必死で行動する事にした。

そうして、どうにかこうにかなにか仕事はないのかと探し回り始める。すると、魔族たちはこの世界の金を手に入れるために仕事をすることにしたらしく。それで、この国の中でも比較的、危険の少ない冒険者のランクが低い者たちが行く依頼を受けるのだと聞いた。

なので俺は、それを手伝うと魔族たちに伝えてから。魔族たちが受けようとした依頼がなんなのかを確かめた。その内容は薬草の採集の依頼だった。

俺もそれに付いていくことにしてそれから俺達は魔族たちが住んでいる集落から外に出た。その道中に、この国の事情を聞いてみると、俺のいる国は王国と呼ばれる大国で他の小国と戦争状態にあるのだとか、しかし最近、王国が劣勢に立たされており。どうにかしなければと危機感を覚えた王たちが優秀な戦士を王国の外に存在する魔物が住む森の調査に派遣しようとしていたのだそうだ。しかし派遣しようとした戦士たちが全員殺されてしまうという事件が発生し。それから王は、勇者召喚の儀式を行ったのだった。

そんな話を俺が聞くと、その事件には心当たりがあり過ぎる程にあった。なぜならその原因は他でもないこの俺が起こしたものだったからだ。その話は、俺の知っている限りの内容と一致するし、おそらくだが、この世界ではそういう風に認識されているようだと分かったのでこれは利用していこうと考える。つまりこの世界でも俺の存在が知られていなければ俺はただの人間の子供にしか見えないはずなので俺はその勇者がこの世界を旅立ってからの時間を利用して強くなってしまおうと考えていた。まぁ簡単に言えばその力を蓄えるための時間稼ぎという奴になる。そしてそのために俺は、この世界にやって来てからは誰にも自分の正体がばれないようにしてきたのである。

そして俺は、魔族たちから話を聞く限りではこの国の現状がそこまで酷いものだと思わなかった。なので魔族たちと一緒に行動しながら、なんとかこの国に潜む悪の根を絶とうと決めていた。そうして、俺はこれから自分がやるべきことを再確認して、それから魔族たちと合流してから薬草の採取へと向かったのであった。

そしてその途中で。俺はシロの事を魔族たちに紹介することにする。そして俺は、俺の仲間を紹介すると言ってシロに合図を出すとその瞬間にシロの体が俺の中に入ってくるのであった。

シロが俺に体を返してからすぐにシロは自分の体に魔力を流し込むと魔法が使えるようになり。それからシロは魔法の効果で姿を変化させたのであった。

シロが姿を変えたのは身長が一メートル程度の少女のような容姿で背中には白い羽が付いているのだがシロの本体はあくまでもドラゴンであるので翼が体の表面に出ておらずその代わりに鱗のようになっているので見た目的にはあまり変わっていなかったりするのだが。その姿が俺の本来の体に近い感じの姿に変化したのである。しかもなぜかこの姿が本来の自分の身体であるかのように違和感なく扱うことができているようでシロはとても驚いていた。ちなみにその変化を見ても誰も何も言わなかったので多分この姿の事はシロと俺以外知らなかったんじゃないかと思っている。ちなみにこの姿を見られた場合、シロの正体は確実に魔族であると判断されるので人間を攫った犯人と間違えられる可能性が高くなるから絶対に人間に見られていない自信がある。そしてその変身を終えたシロにクロが憑依し、 それから俺は魔族たちを連れて森の奥深くへと入っていったのである。そしてそこで、俺はこの魔族の村にいる者達が普段、どのような生活をしているのかを質問してみるのである。すると村人たちはこの魔族の村が元々はどこの国に属していたのかは分からないが魔族たちが住んでいた土地は今ではほとんど人間たちに奪われていてこの魔族の村はそんな状況の中ひっそりと隠れて生きているんだということを魔族たちの口から教えてもらうのであった。そしてそのあとに俺はシロと二人っきりになると。俺は、魔族の子供たちを救ってほしいと言われた。しかしシロはどうすれば良いのかさっぱり分からないようだったので俺が代わりに考えることになった。しかし、そんなに時間は残されていない。なので俺は、今すぐに出来ることから実行していく。まずはシロの体を完全に取り戻すことである。そして、その次にシロが人間に化けている時に必要な道具を作ってもらうのとあとはそれから、そのついでとして魔導コンパスについても調べることにしたのである。

そうして、シロが人型の状態でいる間は、その人型の時の服を用意することになったのである。

「よし。じゃあ俺はこの服を売って金を稼いでくるから」

俺はそう言うと、この世界の金を稼ぐ為にこの世界の衣服を売ることに決めた。そして俺がこの世界でお金を稼いでいる間に魔族の皆にも俺と同じように人型になれないのかを尋ねてみることにしたのであった。

そうして、この世界の衣服を売って金を手に入れて俺はそれを全て使い切ってしまってお金がなくなった。だから仕方なく俺は、村を出て行ってこの村の近くにある街に行く事にした。しかしその前に魔族の子供達にお金を渡そうと、俺は村から持ってきたお金が入った袋を取り出してからその中身を確認して。

この村に残っている魔族の人達にも少しではあるがこの村に置いてあった食料などを分けてあげていたので俺はその代金を払うためにお金を全て使ったのであった。

それから俺は、村を出発する準備を終えて魔族の村を出発して街へと向かうことにしたのであった。それから俺は、この魔族たちを無事に送り届けてからこの街の冒険者ギルドに行き。そしてそこで俺の事を知っている者がこの国にいなければ、冒険者として登録しようと考えている。それから魔族を無事にこの国から脱出させたいと思っているがこの世界で人間と魔族がどのように争っているのかを知らないため、どうすれば安全にこの国から逃げ出すことが出来るのかを考えないといけないので、その方法も考える。そして魔族たちを無事に送り届けることと、この国で冒険者となってこの国の状況を探れるようにするため。俺は、まずは街を目指す事にしたのであった。

そして俺は魔族たちと一緒に森の街道を歩いているとそこで魔族の少女に声を掛けられた。その女の子の名前はリリスと言う名前でその種族は妖精種で年齢は十一歳で見た目は、金色の髪に青い瞳の可愛い子だなと思い。俺は、その子に魔族についてどんな存在なのかを聞いてみると。その少女が答える前に隣にいた大人の男が割り込んできて、その大人が答えてくれたのだった。その男の話ではその男の妹がその魔族の子で、その男自身も魔族なのだが妹の方だけには魔族だとバレてはいけないから魔族だってことは内緒にしていると。それから俺はそいつの事を信用していいかどうかを考えて。この先もこの国に留まっていてこの国がどういう状況になっているのかを調べるためにこの国に潜伏するなら。こいつは何か知ってるはずだと思って話を聞き出す。そうしてからしばらく会話をしていると。俺がこれから向かおうとしている街の名前を聞かれてその男も一緒に付いて行くことになり。その途中で休憩を挟んでいる時に男は妹に話しかけたのであった。

その光景を見た俺はなんだろうこの二人は恋人同士かな?と思うとなんとも言えない気持ちになってくるがこの二人が仲良くしてくれているのは悪い気分ではないので放っておくことに決める。ちなみにその男の名前はガウルという名前らしく。そしてその隣で楽しそうにしていたのはリリスだった。その二人は仲が良く、よく二人で森に遊びに行ったり、森に生息している魔物を倒しに行ったりもすると聞いていて、この森の近くには小さいが湖があり。そこの水は飲めるほど綺麗で。しかも魚が泳いでいたりとなかなか良い場所なのだと聞いていたので俺はその場所に向かうと、そこにたどり着くと本当にそこには綺麗な湖があった。そしてその景色を見て俺は思わず声を漏らしてしまう。

その俺の反応を見てか。魔族の少女も俺につられてかその景色を見始める。そして魔族たちはその風景を見ながら、俺達はこの場所で休んで行く事を決めて。そしてこの場から動けなくなっていた。そのあとで、俺とクロは水の中で泳ぐことにしたのであった。

俺はそれから、湖の中に入ると水中を潜っていき、潜っていくとその先に光が見えることに気付いたので、とりあえずその光が気になったので俺はその光に向かって潜ってみた。そして俺がその光に近づいて行くと突然大きな音が鳴り響くと。その途端に、巨大な水柱が立ったのである。

「ぷはっ。なんだよこれ、いきなり水の塊が降ってきやがったけど。この感じだとあの水が空に打ち出されたってことで、いいのかね?」

俺はその言葉を言い終わると。俺の頭上にあったその水はどこかへと飛んで行ったのだった。俺は、何が起こったのだろうかと考える。その答えはすぐに分かり、どうやら俺はこの水を誰かによって発射された攻撃を受けて、吹き飛ばされてしまったみたいだ。つまりその何者かはこの森の上空で俺達を監視していたということになるが。その正体は不明であり俺は、この場で戦闘をするとまずいと考えその場から逃げることを選択することにした。そう思った瞬間に、俺の横にはシロの姿がすでに出現していて。俺はすぐにそのシロの背中に飛び乗ると、そのままシロは地上へと戻って行く。そしてシロの背中に乗ったまま俺は魔族のいるところに戻るのであった。

それから俺とクロとで魔族たちの所に戻って事情を話すと、俺が話を終えた後に俺とシロとクロの三人でその湖に向かったのだが、その時にはもう誰もいなかったのである。そして結局、湖の中には誰もいないということがわかったのだがその湖は魔族の村にあるこの魔族の子供達が作った秘密基地みたいなもので普段は誰も寄りつかないような場所に作られていたのでその辺りが関係してるんじゃないかと考えたのである。まぁこの辺りに関しては推測でしか無いのだが。それでも俺達がこの魔族の村に来ているということはその関係者に見られていて、その関係者がこの国の人間にそのことを伝えると厄介なことが起きる可能性がある。

しかし、このままここにいてもしょうがなかったので、魔族の子供たちが作ってくれた俺の荷物を回収したらすぐにこの国を出ることにした。ちなみに俺がこの世界に召喚されてから持っていた荷物は全て魔族たちに預けており、魔族の村の近くで野営をするときに俺が使っていた毛布などは回収してもらい。それ以外は全て俺のアイテムボックスに入れて持ち運んでいる。

それから俺とクロの二人は魔族の村の近くの街道に戻ると、そこからまた歩き出して街へ向かう。それから魔族の子供たちが用意してくれたこの世界で流通している硬貨を貰っていた。それから俺はこの世界の金銭感覚を知るために街の店に入って色々と買い食いをしながら、貨幣価値を知っていくことにする。

それから俺とクロは街に入り、そこで冒険者ギルドを探してそのギルドの場所をギルドの職員らしき人から聞くとギルドを探し始めた。そして街の中心部あたりに到着すると、冒険者ギルドを発見することが出来た。そして、その冒険者ギルドに入ると、受付に並び自分の順番がくると。俺は自分の名前と職業を伝えてから、この街に滞在するために身分証明となる物がないから発行して欲しいと言ってみるが、そんなものはないと言われて。その職員の人に、俺は魔族であるこの二人の護衛をしている人間なので魔族の国に連れて帰るつもりであると説明すると納得してくれたようでその冒険者ギルドの会員証を発行してくれた。俺はそれを受け取るとさっそくその会員カードを確認する。すると、そこにはこのギルドに所属していることを示すマークが記されていた。

そして俺は、魔族の二人を無事に街に届けたのでこの国から出るためにこの街を出て行こうとする。そして街の入り口付近まで来たところで俺達に魔族の子供の一人が近寄ってきて俺の事を指差して他の魔族たちにこう言うのである。

「あの人。魔族を人間の国で匿うなんてとんでもない悪党よ!捕まった方がいいわ」

俺はその言葉を聞いてからすぐにこの魔族の子供が嘘を言っていると判断して。この魔族の女の子を殴り飛ばすと。俺にそう言った理由を聞くがこの子は答えてくれず。その後でもう一人の子供の方を俺が殴ろうとするが。その時にシロがその子の前に出て守るようにその子の前に立つ。

そのシロの行動を見て、俺はシロに対して。シロが殴られそうになったのでこの子を庇って前に飛び出したんだろうなーとなんとなく察したのでその魔族の女の子の方も殴るのは止める。しかし俺の言葉は通じないのでその言葉を無視され。魔族の子供達はその子供達同士で喧嘩を始めるのだった。

俺は、とりあえずその騒動が収まるまで待つことにした。その時に、この騒ぎが大きくなった事で街の兵士の人たちが俺達の所に来て、この子達を保護してくれることになった。俺はその様子を見てから冒険者ギルドに行きこの冒険者カードを無くすといけないので俺はその冒険者ギルドを登録しておき。そしてそのあとにこの国で冒険者になるためにその冒険者ギルドにもう一度登録しようと決めた。そして冒険者登録を終えると俺はこの街の出口を探す。それから俺はこの国を出て行きたかったが。魔族の子供にこの国にまだ残るように言われたので仕方なく俺は残ることにしたのであった。そしてこの国の外に出るための道は門を通らないとダメなようで門の前には兵士が数人立っていたのだ。そしてこの国は魔族の立ち入りを禁止しているみたいだったのでその兵士たちがこちらに向かって来る前に俺はその場を離れていく。そしてこの国から少し離れたところで、俺たちは一旦休憩を取る事にしたのだった。

俺は休憩を取っている間にこれからのことを考える。まずは俺がこの国にいる事が魔族の国で噂になる前に俺はこの国から出て行かないとマズイ事になるかもしれないと思った。それに俺の顔を覚えられて魔族の国に戻ろうとしたとき面倒ごとに巻き込まれる可能性もありえるからこの国からは一刻も早く立ち去るべきだとも考えた。そう思った時に俺はこの国の外に繋がっている道を進んでいくとそこには一人の兵士がいたので。俺の姿を見られるわけにはいかないと隠れる。するとその一人いたはずのその兵士はいなくなっていた。そして俺は疑問に思うのである。それはどういう事かと言うと答えはこの国に入る時もこの出る時も通行税を払う必要があり、この兵士もその仕事のために配置されてそこにいるだけなのだが、この兵士はこの国の外に出ようとしたりこの国に入ろうとしようとする者がいないかを常に監視しているのだ。そして、この国に入ってくる者には何も起こらないがこの国から出た者は問答無用でこの国が許可をした人物以外だと殺されることになっているらしいので。この兵士はそれをやっていて俺のことを見逃してくれていたという事だな。つまりそのおかげで俺は助かったのである。

そのことに気付くと。俺は今のうちにここを去ろうと考えて、この場をあとにするのであった。それから俺はこの世界の冒険者になろうと思いそのギルドがある場所に向かうとそこは街の外れでこの辺りは、その辺に住んでいる人たちの家があったりと人の出入りが少ない地域なのでそこに建っている建物を見つけることが出来た。その建物の扉を開けると俺は中にいる冒険者に話し掛ける。するとそこにはこの国の魔族が俺の事を見ながらこそこそと何かを話していたのである。その様子を見ながらも俺は受け付けに行くと。その冒険者さんは俺に優しく接してくれるのであった。

そして、俺は冒険者になった俺はその冒険者のお兄さんの薦めで依頼を受けることにしたのでその依頼書を見ることにすると。そこにはこの森の調査をして欲しいという内容のものがあったので俺はその依頼書を手に取るとその冒険者のお兄さんに説明を受けて、森の地図を手渡されたのでそれを見ると。どうも森の異変が起きているようだ。

俺はこの調査のクエストを受ける事にして。俺はその冒険者と別れるとクロ達を連れて森の中に入っていくのであった。そして俺達は森の中に入ると、俺は気配遮断のスキルを使ってこの周辺を調べてみると、森の様子が明らかにおかしいので俺はこの周辺に誰かがいないかを確認しながら移動することにしてみた。

するとどうも俺達は何者かに追われているような状況に陥ってしまい。しかもこの森の中で、俺達はなぜかゴブリンに何度も襲われてその度に倒していくと。そのゴブリン達から奪った剣で倒したモンスターの死骸をアイテムボックスの中に収納していたのである。俺はどうしてこんなことになってしまったのか分からずに、俺はただひたすら逃げ続けたのだった。

そして俺達がゴブリン達を倒し続けながらもしばらく進んでいるとようやくこの辺り一帯には誰もいなくなり。俺はクロの背中に乗り空を飛んでいく。俺は上空で魔族たちの姿を見つけ、そこで俺はクロの背中から降りるとクロを魔族の子供たちの護衛に戻す。そして俺の目の前に現れたこの国の王女のリリアーナ様の姿を確認すると、彼女はこの森で起きてる出来事の説明をする。

それからしばらくして。森の調査の依頼を受けてこの場所に来ていた冒険者たちと、その冒険者に連れられてこの場にやってきた王族たちもこの辺りで異常がないかを調査することになったのだが。その際に冒険者の一人がゴブリンキングの死体を発見するとこの国の王女であるリリアーナがゴブリンロードの存在を確認してこの付近に存在することを冒険者達に伝えると冒険者達はこの辺りの森の警備を行うように冒険者ギルドに指示を出してから森の外へと出て行った。

しかし俺はというと魔族の子供達の事が心配になり。それからこの付近ではもう俺を襲うゴブリンはいないと判断したので、クロを呼び出してから俺の乗せてもらってこの付近の偵察を行うことにする。そして俺はクロに乗ってからクロにお願いする。

「ごめん。ここから近い場所に魔族の子供が暮らしている村があるみたいなんだよね。俺はその子たちの安全を確認したいからその村の近くの安全なところまで俺を乗せて欲しいんだよ。いいかな?」と、俺はそう言い。

それを聞いた俺はクロを安心させるかのように撫でるとクロは俺を乗せるために地面に伏せてくれたので。俺がそこから降りてからその村に向かってもらうと。俺はその途中でこの辺りを探索することにしたのであった。俺はこの世界の地形をよく知らないのでこの近辺の情報を集めようと考えたのである。

それから俺はある程度、この国の周辺にあるこの森と周辺の街について知っている情報を纏めていこうと考える。この世界で俺が最初にこの国の城に連れてこられたときに、城の図書室にあったこの国の資料を読んでいたからだ。俺は魔族の国と人間族の国の関係については、魔族の国の方が圧倒的に優勢である。

この国では、人間族の国を支配下に置こうとしている魔王が復活してから、その配下の魔族たちによってこの国は制圧されつつあるのである。その勢力は徐々にこの国を制圧していっており。この国の領土も徐々に奪われており、この国の国王はそんな状態がずっと続いてしまえばこの国は滅びてしまい、そうなれば人間族の国々も黙ってはいないとこの国の王は判断し。この国を救うためにも人間族の国に援助を頼もうとしたがこの国は勇者が召喚されたことがないのでそもそもこの国に勇者は存在しないのだ。だからこの国の王様はこの国を救うために他国の人間の国に助けを求めようとしたのである。しかし、そんな話をして他の国がその話を信じてくれるわけもなく。

それで結局はこの国で起きている問題は全て人間が関わっていると勝手に誤解されて魔族の国の人たちによって滅ぼされたと。そう思われてしまうことになるわけである。まぁ実際には俺がその国の問題を色々と解決したりもしたが、俺はその事を誰にも言うつもりはない。だって面倒くさい事になるのが分かっているのにわざわざ面倒な事に関わるほど、俺はそこまでバカではないからである。そう考えていると、この森に生えている木々の隙間が見えたのであった。俺はそこでクロを着地させてから、クロから降りようとしないリリィちゃんに。俺は声をかけることにした。すると彼女はビクッとしてこちらを振り向いたのである。そして彼女は怯えるような様子を見せたのだ。その理由を聞くと俺は、この子がゴブリンに襲われた際にその事で、この子の親に叱られて叩かれたりなどしていたらしく、そのことを思い出してしまったみたいだった。俺はとりあえずそのことについてはその子に謝ると。俺はこの国で起きたことを説明したのである。

俺はこの森で起こった出来事を詳しく説明する。すると、そのリリィのお母さんである。その女性は、俺に対して申し訳なさそうな表情をして俺に対して頭を下げたのだ。

そしてこの子から聞いた情報をまとめるとこの子達の住んでいた村は、この国の中心である街よりも離れた場所にあり。この魔族の国とこの国が隣接していて、この国には二つの大きな都市が存在しているらしい。まずはこの街がある場所が、魔族の国と人間の国との国境付近に存在するこの街であり、そしてもう一つのこの国の中心の街が。ここの国の王都でここよりも少し離れた山の中に位置している。ちなみにこの王都とこの魔族の国の国の間には広大な平原がありそこを通り抜けるにはかなりの時間がかかってしまう。しかもこの辺りにはこの国で強いと言われているモンスターたちがうろついているため。とても危険なのである。この国の兵士たちでもなかなか立ち入ろうとせず。その先に進むのは余程の物好きでない限り近寄ろうとは考えないぐらいだ。それに魔族の国で起こっている問題を解決するためとはいえ。この国から出るにはこの危険区域を突っ切らないと外に出られない。そのため必然的にこの国にいるほとんどの人達はこの国にとどまって生活しているのだ。

その理由としてこの国にいればこの国に蔓延っている魔族たちをどうにかするまではこの国で生活が保障される。この国にいる人は基本的にみんなこの国に居座っているわけなのだ。そして俺の予想通り、魔族の子供もこの国にずっといたわけなのだ。俺の話を聞いてこの子は俺がどうしてこの魔族の国にいたのかを知りたがっていたので、俺はこの世界に転生したことや、元いた世界がこの世界とは違う世界であることを簡単に説明した。するとどうやらこの世界と俺の暮らしていた場所の世界とはまた違う異世界があることを知った彼女は、この世界を救いに来たという俺をまるで救世主のように扱うようになり、そして、自分のことを救ってくれるように頼み込んでくる。俺はこの国の状況については詳しくは分からなかったけれど、この子の気持ちはよく分かるから。俺は彼女にその依頼を了承することを伝えたのである。

俺のその答えを聞いた女の子は泣き始めてしまったので、俺とクロとこの子とその母親だけで一旦家に戻る事にすると、そこにはこの家の主であるこの子の父親らしき男性が待ち構えていた。そして、俺はこの男の子のお父さんに睨まれて俺は思わず苦笑いをしてしまう。すると、その父親の視線の先にいる俺を見て何かを思ったのか彼は突然この家に招き入れると。俺は彼の言葉に従うしかなく。そしてその家でこの家の親子三人と対面することになる。そしてその父親はいきなり剣を抜いて構えるのである。

その男に警戒しながら剣を構えるクロを、俺は制止するように言ってクロを後ろに下がらせると。その男はクロが俺を守っている姿を見ると、すぐに剣を仕舞うのである。どうやら、俺に襲いかかろうという意図は感じられず。ただ単純にこの男の人はクロのことを味方と認識したようだ。そして俺に近づいてきて俺にこの魔族の国と人間族の国との問題を話してくれた。

俺はその問題について聞く限り、魔族の国に蔓延っている魔物達を退治してほしいという依頼を受けたのだが。それは俺達の仕事ではなくて別の誰かに依頼を頼んでほしいと言ったのである。しかしそれでも、俺に頼むしかないとこの国の王が判断し、それでこの森にやって来た俺達を襲ったわけである。しかもその事に関してこの男は、この国に起きている事とは全く関係がなく俺達は関係ないと主張したが。俺がこの魔族の子供を護衛していたせいか信用されず、この国の王女まで巻き込んだのである。

「いやー。その、なんだ。あんたらに迷惑をかけたのはこの私の責任で、本当にすまない。まさか、こんなところで勇者様に出会えると思っていなかったものでな。その。なんというかな。つい興奮してしまって」

その男性の言葉は正直意味がわからない内容だったが、要はこの男性は人間族の国の王と連絡を取って魔族の国の件について話をつけようと考えたらしい。だけどその事をする前に俺が現れて俺の事をこの国の王様が召喚したという話を聞いたので。もし俺なら何とかできるのではと思ったらしい。まぁ実際、俺は一応はこの国で魔王と呼ばれている存在なのでなんとかできなくもないが、俺はこの国にはあまり関わらないようにしたいと考えているので、とりあえずは話を保留にしてこの家を後にすることにした。そして俺はその子とこの父親と一緒に街に戻ると、俺達が街に帰ると街の人達はこの国の王女であるリリアーナの姿を見たことにより、彼女がこの国のお姫様であることを知り驚くと同時に俺に感謝をするのであった。

そして俺はこの国の国王に話を通すために一度城へと戻ることにしたのである。

「あぁ。それでこの国にやってきた勇者殿が貴方だったというわけですね?」と、王様は俺に向かって質問をしてきた。その王様の後ろの方で待機している兵士達の目は、俺に対する疑惑の目である。まぁ無理もないだろうなと、思いながら王様がなぜ俺がこの魔族の国に訪れた理由について聞きたいような雰囲気だったので俺は答えることにする。

「まぁそんなわけです。俺のこの世界での目的を叶えるためにこの国の現状を知ろうとやってきたんですよ。この国は人間族の国と対立していますが、だからといって戦争を仕掛けているわけではなくて。魔族の国側が攻め込んでいるってだけなんですけどね。俺の個人的な目的としては、この国の魔族の子供たちを助けようと来たんですが、結果的にあなた方の国を困らせてしまっているようですみません。まぁそんなに深刻に悩んでいるのであれば、そちらに魔族の国へ使者として送るのもアリかもしれませんが。俺はあくまでも、この国で起きていて、その問題を解決するためにここに訪れただけですからね。あまり深入りする必要はないと考えていますよ。それにこの国の王様も大変でしょう?人間族の国に頼れないからこの国で解決しようと色々と調べたのだろうし。それならば、いっそのこと、俺に全てを任せてみますか?」と、俺が提案してみた。すると王様はこの国のために、その話を受けたいという。俺としてもこの国を救うことには異論はないのだが、一つ気になることがあった。俺はそのことを尋ねることにしたのである。

この国の王族の皆さんはこの国を救うためには勇者召喚の儀式を執り行わなければいけないと思っているみたいだが、俺はその事を王様に尋ねてみるとどうやら勇者召喚の儀式というものはこの世界に存在するわけではないらしく、過去に一度だけこの国の初代の国王の時、この国の先代の王が勇者召喚の魔法を使ったらしく。その時以来今まで一度も儀式を行ってはいないのだという。まぁつまりはその召喚を行ったからと言って必ずその人物を召喚することができるとは限らないらしい。俺の場合はその人物がすでに死んでいたり、その世界の人間がその世界にいるからこそこの世界に呼び寄せられただけで。そうでなければこの世界には存在しない存在であるはずの勇者は現れなかった可能性が高いそうだ。俺が今ここで話をしてもおそらくその事実が変わることはないだろう。俺はそう考えてこの件に関しては一旦考えることを止めたのである。そうしないと面倒なことになってしまう予感がしたからである。そう考えた俺はこの場での話を終えようとした時だった。

この国を救ってほしいと言われてしまったのである。

俺は面倒事に巻き込まれそうな気がしたので断ることにした。俺にも都合というものがある。そもそも、この国の問題は魔族の国が絡んできているため。俺にとっては関わり合いのない問題であるから関わるつもりはなかったのだ。だけどこの国の人たちは必死で俺にお願いをしてくるのである。このままでは、いつこの国を救ってくれるか分からない。だから、この国の問題を解決するまで俺が面倒を見るという条件で、俺は仕方なく魔族の国の問題を片付けることにしたのである。

「えっと。俺の仲間に紹介しようと思っていたんだけどさ、どうせだから一緒に来てもらえると助かるんだけど、どうかな?」と、俺は仲間であるみんなをこの国に連れてきたわけだ。ちなみにリリィちゃんはまだ、魔族の国にいて魔族の国にいる人たちを説得してくれている最中だ。

「ふむ。勇者様が我らの国を救いにやって来たというのは本当のようですが、一体どのようにしてその力を手にいれたのか、そしてどのような力を秘めているというのでしょうか。それが知りたくてなりません」と、俺のことを値踏みするような目で見つめてくるその人は俺の事をまるで自分の物を見るかのような視線で見つめてきて俺は嫌な気持ちになったのだ。俺の事を手に入れたいなどと考えるような人間はろくでもない人間に決まっているのだ。そして、その人は俺の方に近づいてくるように言い出す。それを聞いていた他の家臣たちが俺をこの城に閉じ込めて逃さないようにしようと考えていた。だけどその考えは無意味なのである。俺が転移で逃げられるということを知らないので、この場から離れるのは不可能なのだ。そして俺は自分の事を物扱いされかけていることにかなり腹が立ったので、俺に近寄ってきた人の顔を殴る。そして、そのままそいつに殴りかかっていく。この世界に来てからは体を動かしていないためなのか。俺の攻撃はかなりの速度があり一撃でその男を戦闘不能にする。そして周りにいる家臣たちに目を向けていく。

その瞬間。その男の家臣たちが襲いかかってくるので俺に襲い掛かる者達の体を容赦なく切り裂くと。その家臣の体が血を吹き出して地面に崩れ落ちるのである。そしてその光景を見たこの城の王は俺のことを恐れて、その場から離れようとしたが、俺は即座に移動先を読み切って王の背後をつき。王の体に蹴りをくらわせて壁に吹き飛ばす。

そしてその王は意識を失い。俺のことを危険人物だと判断すると、この部屋から逃げ出したが、すぐに追いついて顔面を掴んで握りつぶすと、俺の力に怯え始めた。この部屋の扉の外にいた兵士達も中の様子を気にしていたのか俺の姿を見かけると、すぐさま攻撃を始めたが俺は、兵士の頭を掴むと壁に投げつける。そして兵士たちは俺に一斉に飛びかかろうとしたが、それよりも早く俺は目の前の男たちの体を斬り裂くと俺は、俺に向かって武器を構える奴らを一人残らず皆殺しにしていくのである。俺はこの国の王の側近と思われる者を全員始末してから、王のもとへ向かう。そしてその王に話しかけるのである。

「あんた。俺に対して失礼じゃないか?俺はあんたみたいな下らない存在に敬語を使ってやる必要性を感じていない。お前をどうするか決めたぞ。あんたが今後どういった人生を歩んでいきたいのか知らないけど、もうすぐその命も尽き果てることだし、とりあえず、苦しまないように殺してあげる。俺があんたら魔族と敵対しているのは確かであんたら魔族は敵である。俺はこれからあんたらがやろうとしている事をぶっ潰しに行くがあんたらはそれについて何も言う権利はないからね。あんたらは、俺という人間族の敵にこの国を蹂躙されることで滅ぼされてしまうという事だ。あんたらがどれだけ俺のことを利用したいのかはしらんし興味もないが、それでも俺にはあんたらを助ける気はない」

「お待ちください!我々は、貴方様に敵対する気は毛頭ございません。むしろ我々があなたに協力させてほしいと思っているのです」と、この国の王様はそんな事を言う。だがそんな事を言われても信用はできない。そもそも俺は魔族の味方でもなければこの世界の人間族の味方でもなく、あくまでも中立の立場でこの世界の出来事に介入していこうと考えていたのだが。そんな俺に、こいつらが俺を手駒として使えると考えているのであれば俺はこいつらの事を全力で利用するまでだ。

「あぁ。俺としてはお前たちのような雑魚に俺の行動を止める権限がない。まぁ邪魔をすれば、それ相応に痛めつけてこの国を滅ぼすだけだ。それと。もしもこの国を滅ぼした後は俺と同じような存在が現れる前に俺の仲間たちにこの国を滅ぼさせるが、別に俺を裏切ろうとしているわけじゃないよな?」

「それはどういう意味なのですか?」

「俺の目的はただ一つ。この国を滅亡させてこの世界から俺の大事な仲間である魔族の子供達を救い出すことだよ。そのためには魔族の子供たちを苦しめている原因となっている国を俺は許せないしそんな国の人間共をこの世界から排除する必要があるんだよ。そのためにまずは人間族の国を攻めて人間達を殺して回る。それで、俺の望みは叶うからな。この国を魔族の子供たちに渡しても問題ないしな。まぁ俺の仲間を侮辱したり。魔族の国の連中に何かしたらこの国は俺の復讐の対象となるってことだ。俺は魔族の子供を奴隷にするような人間を許さないからね。だからこの国を滅ぼさないなんてことは絶対にありえない。この国を魔族の子供たちに返そうが俺はそんなの関係なしに人間どもを滅ぼし続けるつもりだ。俺にとってこの国を救うメリットなんかどこにもない。それに魔族の子供を傷つけたんだ。その落とし前はきっちりつけてもらう。俺はそう言ったことを一切躊躇ったりはしない。俺の目的を果たすためならどんなことだってするつもりだから。俺はこの国に何が起こっているのか知っているしこの国の問題を解決してやりたいという理由も一応あるけど。それ以上に俺の目的を完遂するためには魔族の子供の保護が必要だから、それを実行するだけにすぎない。俺のことを舐めるとどうなるか思い知るが良い。それじゃぁな」と、俺がそう言い放つと。

「待て、勇者よ!どうか、我の話を聞け!」と、国王が叫び出すが、聞く耳を持つ気はなかった。だがしかし、この王様の言葉に他の臣下たちは耳を傾けるように言ってくるのだ。しかもなぜか国王よりも立場が上であるかのような振る舞いをして。だが、この王様にはもう用はないのだ。俺が聞きたかった言葉はこの男からは聞くことができなかったので俺はそのまま転移で魔族の国へ戻ろうとする。だが、それを邪魔するように一人の魔族の兵士が剣を抜いて襲い掛かってきた。だけど俺はそいつの攻撃を避けて足を引っ掛ける。するとそいつは派手に床に倒れるのである。そのせいで俺は転移を封じられてしまう。だけどその魔族の兵士が持っていた剣を俺は奪い取り、そいつを真っ二つに切り裂く。

この国の王は自分が殺されるかもしれないということを覚悟していたらしく俺のことを見据えたまま微動だにせずにいる。その目は恐怖に満ちていたがその視線は俺のことをまっすぐに見ており。俺は少しこの男の事が嫌いではなくなってきたのである。そしてこの国の王から話を聞くことにしたのだ。そして俺の質問を答えようとした時だった。

いきなり魔族の女の子が部屋に入ってくると。俺がさっきこの城に来るまでに戦っていた女の人がその人だと俺に伝える。そして彼女は、この国の王に、なぜ私を殺さず。私の夫をこのような状態にさせたのかと怒り狂い問い詰めるが俺はこの魔族の女の人に、俺が何をしたいのかを伝え。その説明を聞いても納得がいっていないような感じだったが俺は気にしなかった。なぜならこの国の王からは情報を引き出せば良いと思っていたからだ。そして、俺は魔族の女王に、俺のことを勇者と呼んでくれるように頼み込み俺は勇者と呼ばれるようになったわけである。俺は勇者として行動することにするのであった。そして、俺はこれから魔族を救うための旅をすることを決意するのであった。

俺は魔王を倒すための準備を整えてから、魔族たちの国にやってきていた。そこでリリィちゃんが、俺のことを呼んでくれたので、そのリリィちゃんに、俺と一緒に来てくれた仲間の人たちを紹介して貰おうと思ったら、なんと、リリィちゃんが紹介してくれたのは俺のことを知っている人だったのである。リリィちゃんが俺のことを勇者と呼び。そのことについて色々と説明を求めてくると。俺はリリィちゃんのことが大好きだと伝えたのだがリリィちゃんの事を困らせるだけだったので、とりあえず俺が勇者と呼ばれることになった理由について簡単にだが、その説明をしたのだ。そのおかげで俺は勇者と呼ばれ。この国の王様も俺がやってきた理由は察してくれていたので俺は王様の話を聞くことにしてみた。

「貴方様のお名前をうかがってもよろしいでしょうか?」

「ああ。俺の名前は如月透と言う名前だ。よろしく頼むな」

「はい。それで貴方さまはこの世界の外からやって来たとのことですが何をしにこの世界に?」

「この世界を魔族に侵略されたくないと思ってな。魔族をこの世界の支配から救いたいと思いここに来たんだ」

俺のその言葉を信じる者はこの場にはおらず俺は嘘をついていた。魔族が本当に悪なのかをこの世界で確認するためでもある。もし魔族が悪ならば、魔族がこの世界を支配しようとして、この世界の生き物たちを奴隷のように扱っているというのであれば俺はこの世界の人間たちと敵対しても構わないと考えていた。だが、もしかすると俺の想像している以上に、この世界の人間は悪いのかもしれないという不安もあった。もしかすると、人間たちが魔族の子供たちにひどい扱いをしているというのは俺の勘違で、人間たちが魔族の子供たちに対して酷い仕打ちをしていたのではないのだろうか?それがこの国を偵察した時の印象だ。だから俺はこの国の王の言葉に耳を傾ける。もしも、人間の方が悪いのだとわかれば俺は即座に魔族の国に乗り込む。そんな気持ちで王との会話を続けた。

「この世界を救うとは具体的にどのようにするおつもりですか?」

「そうだな。まずはお前の国に攻め込んだ魔物達を全て倒す」

「はっはははははは。まさか我ら魔族を相手にたった一人で勝てるとお考えなのですか?」

「まぁ。それはこれからの俺の行動を見て判断してほしい。それで。俺はまず、人間どもを滅ぼさなければならないと思っている」

「はい。この国は人間たちによって蹂躙されているのです。どうかお願いします。我が国の民をお救いください」

この王様は自分の国の民を救いたいという気持ちは嘘ではなさそうに見える。だが、俺の事を勇者と呼んでいることや。人間たちにこの国が占領されているという事は事実であり俺は、この国を滅ぼさないという選択肢は選ばないつもりだった。だがこの王様がこの国の人間たちを救ってくれと言いながらこの国から出ようとする俺を殺そうとする可能性もなくはないと考えた俺は王様を殺すために行動を開始する事にしたのである。そして俺はまずは魔法を使う。その魔法の力によって王様を石に変えることに成功したので俺は、その死体をアイテムボックスの中に放り込んでおく。その後で、俺を暗殺しようとした女の方ともう一人の男を気絶させてから俺は城の外に出ることにした。この国の外にも人間がいることを考えると。俺がここで人間たちと戦う姿を見られるとまずいので俺の姿を見た人間がいた場合、全員殺すしかないだろうと思う。そして俺の仲間になる可能性のある人達にはしっかりと伝えておくべきだと思う。もしも、仲間になりたい人がいれば俺のところに来てほしい。俺の仲間になるための条件は簡単だ。強いという事と俺の復讐に付き合ってもらうということだけだ。それ以外は基本的に何でも良い。俺はそういう考えを伝えると仲間になりたいという魔族の子供が二人名乗りを上げたので仲間に加える事にした。その二人の子供の名前はラミアの少女とハーピーの少年である。俺は二人を仲間にして、俺は自分の国に帰ろうと思ったが俺を勇者と呼んでくれたリリィに挨拶だけはしておくことにした。

そして俺のことを勇者と呼んでくれていたリリィに、俺は改めて勇者と呼ばれるようになった経緯を話すことにした。リリィは最初、半信半疑だったものの、魔族の子供達を救いたいと真剣に語る俺に感動しているような表情を浮かべている。俺はそんなリリィちゃんを抱きしめて頭を撫でた後にキスをしたのだ。

「あふぅう。き、如月さん。いきなりどうしたんですか!? そんなことしたら私、恥ずかしくて死んじゃいます!」

そんなことを言ってくるリリィを俺は抱き上げてそのまま城から出て行った。俺が突然リリィのことを抱きしめてキスをしてきたことにびっくりして声をあげるとリリアナ。だけど俺はそんなことを気にせずに、俺の仲間たちが待っている魔族の国に戻ろうとしたのである。

そして俺はこの国の王に俺の仲間になった証のメダルを手渡すと俺は魔族の国に戻ってきたのだった。ちなみに俺がリリアンを助けたときに助けたリリカとクレアも一緒について来てくれるようだ。それからリリアと、その妹のアリサと、そしてその仲間のライヤがこの城の中で働くことを希望したのである。俺のこの世界での目的に、彼女たちは共感してくれたのであった。だがこの魔族の国の王様に頼まれたのでこの城に住むことになったので。城の中では俺たちが生活することになったのである。

俺の本当の仲間になりたかった人はどうやら俺のことを勇者と呼び始めた。そしてこの国を支配されている現状から、この国を救い出して、この国を魔族の国の人たちが安心して住める場所にしたいと俺に伝えてきたので、この国を征服することにしてみることにする。その前に俺はこの国の住人が俺の事を勇者だと認めた以上はその勇者のふりをしながら行動することになるので。そのための準備をすることに決めた。俺はこの魔族の国に来てわかったことがある。どうもこの国の住民達は人間から魔族に進化したことで人間よりも身体能力が高くなっていた。

俺はこの世界の人族に滅ぼされたという、魔族の子供たちに何が起こったのかを調べるため。そして魔族と人間が共存する方法を探すためにこの国の探索をすることにしたのである。その結果分かったことは、俺が思っていたよりも遥かに魔族が弱いということだ。その理由として、人間たちは魔力量の少ない子供を狙っていたらしく。子供たちを守る親は必死に戦ったらしいが結局は数の暴力の前に敗北してしまい。殺されたとのことだった。そして、子供たちを守るために命を落とした母親の血を飲んだ事で進化が起きたのだということが分かったのである。この事から推測できるのは人間は、魔物の力を無理やり取り込むことによって強化できるのではないか?と思ったわけだ。そして俺が倒した魔族の兵士や魔物は人間と同じでレベルが上がると強くなっていくようだったのでその可能性は高いと思う。つまり俺の予想が正しければ人間は強くなる方法を見つけたのだろう。その方法は分からないが少なくともこの世界の人類が俺の想像より遥か先を進んでいるのは間違いなかった。

俺の仲間になることを希望していた魔族の少女二人が城に残っていたが彼女達が、人間の子供たちを助けたいと思っていたのは事実のようで俺に協力を申し出たので俺は彼女達の話を聞き。まずはこの国の人間を皆殺しにしようと考えた。なぜなら、このままだと人間たちの手によって、魔族が滅ぼされてしまう可能性があると感じたからである。だが人間たちをこの国から追い出した後でこの魔族の子供たちを保護するつもりであるとリリカに説明すると。俺のその言葉に感動してくれたのかリリカも人間を憎んでいるのは本当だが、魔族の国を侵略しようとする人間は許せないと言って、協力してくれることになったのだった。

俺はリリカと一緒にこの国の城下町に来ていた。魔族というのは魔族同士でも仲が悪く。人間たちの支配を受けているせいもあって人間たちと戦っている種族もいた。だからこそこの国を乗っ取った人間の兵士たちは、この国にいるすべての魔物がこの国を滅ぼすために、この国から逃げ出そうとするのを防ぐため魔物をこの城の中に閉じ込めているようだった。だから俺は、この城の中に入り込んで人間どもを殺してくるつもりだったのだが。

「ねぇ! ちょっと待ってよ! あんたが如月透よね。勇者だって言う話は嘘なんでしょう? それにしては随分と弱く見えるんだけど」

そんな失礼な事を俺に言ってきたのは金髪碧眼の少女だった。

「君は誰だい?俺は勇者じゃないぞ」

「私はアカリっていう名前でこの魔族の国の王様の娘なのよ。それで勇者を召喚するために使った聖女なのよ。だからこの魔族の国を侵略した人間を殺して魔族を解放するつもりなら手伝ってあげるわ。感謝してもいいわよ」そんな感じで俺に向かって傲慢な態度をとるので、俺はこいつには何を言っても伝わらないと思った。なので無視する事にした。そんな時。

「おい、お前、勝手に城を出歩いてどういうつもりだ?この城の中で勝手な真似をしたんだから。俺に逆らった罪で処刑するぜ?」

俺の前に現れたのは黒い甲冑を身につけている人間だった。

「あー。そうですか。それではあなたをぶち殺します」

俺は人間に対して、"黒鉄王牙剣"(クロカネオウガケン)を抜くと、俺はその人間に斬りかかる。だが人間もそれなりの実力があるみたいで。あっさり俺の攻撃を受け止めると反撃してきた。だが俺は魔王を倒すための特訓をずっと一人でやってきたのだから人間の一撃程度、避けるのは簡単なので。攻撃を簡単に回避することができた。すると今度は人間の仲間らしき者たちが襲いかかってくるので俺はそいつらの相手をしていた。そして俺は人間たちに勝ってしまった。

「まぁいいか。それよりも俺は今からこの国の人間を全員殺して、お前たちを助け出すつもりだったけどお前も来るか?」

俺はそう言ったのだが。

「はい。私の名前はライラといいます。私に戦う力はありませんがそれでも良いのであれば付いて行きたいと思います」

そう言ってきたのは銀髪の少女だった。彼女はこの国の人間に家族を人質に取られていたのだと言う。俺がその事を知ると彼女の家族は人間たちに襲われて殺されてしまっていた。しかもこの国の王族の一人は、俺に敵対している人間がこの国の人間を殺したという証拠を残すために俺の仲間たちまで殺そうとしていたのだと知り、俺はこの国の人間たちを殺すことにした。俺は人間を皆殺しにした後でこの国の国王を殺すつもりでいたが、俺のことを魔族が勇者だと思い込んでいるこの国は魔族にとって都合の良い環境になっていたから。この国の人間たちも全て殺すことにしたのだった。

そして俺はまず、この国の人間たちが奴隷のように使っている魔族の子供を探し出した。そして俺はまず、この城の人間をすべて皆殺しにすることにしたのである。それから俺はまずは奴隷のような扱いを受けていた魔族の子供達を保護しようとしたら。一人の少年が俺の前にやって来た。どうやらその少年も他の子供たちと変わらないように俺の事が勇者だと勘違いしていらしく。

そしてその少年は自分の母親を助けたいと言い。俺に協力する事を宣言した。俺は少年を連れて行く事にする。俺に付いてくると、その少年が、自分が連れてきた少年と少女の二人も、俺が人間を滅ぼそうとする理由を理解してくれたので。その二人は仲間になった。そして俺はこの国で人間に苦しめられている魔族の子供たちを解放しながら、魔族の国を侵略した、人間の兵士たちを殲滅して回ることにしたのである。ちなみに魔族の子供を誘拐したりしているのは、おそらくは俺を罠にハメるための作戦なのだと気付いたので。魔族の子供たちをさらった奴らは容赦なく殺した。魔族の子供たちを救出した時にはすでに死んでいた子も多くいたのだ。

「あ、あなたは一体何者なんでしょうか。私達を救ってくれた恩人で勇者様だということは分かっていますが。それでも私にはあなたのことを理解することはできません」そんなことを言っていたのは、この国のお姫様なのに、なぜか兵士の姿になっている女の子が言ってくる。どうもこの世界に来たばかりの俺はレベル1でステータスの数値も最低だったから、俺に敵意を持っている人間がいても気付かなかったのだろう。

俺はその少女を連れて行って事情を説明することにした。俺はそのあとでこの国の子供たちを保護すれば良かったが俺はこの国に、俺がこの世界に呼ばれた本当の目的である。魔王を倒した後に魔族の国にこの国の人達を受け入れることができるかどうかを確認しておく必要があったので、魔族の子供たちが捕らえられている部屋に向かったのである。だがそこにはすでに人間たちによって虐殺されていた子供たちの死体が散乱していた。俺はその子供たちを蘇生させることができたが、その死体の中には、魔族の国の国民ではなく人間の子供の遺体もあった。その子供の遺体の前で俺の仲間になった三人の少女たちは泣いていたのだが。俺は彼女たちがこの国に殺された子供の遺体を弔うことを許す代わりに、魔族の子供たちを全員、俺の仲間にすることを決めた。彼女たちはその提案を受けてくれたので。俺はまずは子供たちが捕えられているという牢屋に向かうことにする。そこで子供たちを解放した俺たちはその日のうちにこの国の人たちを救うことに決めると行動を開始する。俺に敵対する兵士がこの城の中でたくさんいるから。まずはその兵士達を倒して、この国を支配している貴族と、この国の王に俺の強さを認めてもらうためだ。そして俺はこの国の人間たちを皆殺しにするため動き始める。

俺はまず魔族の国の兵士として戦っている人たちと戦うため、まずは、城の兵士を一掃することを決める。俺は自分の強さを見せつける必要があり。さらにリリカとアリサとライヤの力を見ておきたかった。そのためにはリリカたちに協力してもらって兵士たちをこの城から追い出すことが必要だと思った。だが魔族であるリリカたちの力を見せてしまうことで。人間の国の人々が恐れてしまうかもしれないと、俺は思ったのである。だからリリカたちと合流して、俺は人間との戦いを始める前に。この国の魔族に俺が強い事をアピールするのと同時に、リリカと、アカリという二人の魔族の少女と仲良くなる機会が欲しかったので。俺はこの場に残ることを決めて。三人の女性と別れることにした。だが俺の仲間になりたいと願う魔族の女性たちは俺について行くという選択をする事になったのだった。そしてその魔族の女性と俺が仲間になってくれと言ったアカリは意気投合してしまい。そのまま一緒に行動することになっていたのだった。

そして魔族の国にいた人間の軍隊は俺の力で全滅させたのだった。

それから魔族の国を支配した、人間を始末して回ると決めた俺は、まずこの国の王を殺すことに決めたのである。この国を支配する王を殺して、その配下となっている兵士たちに、この国の人間たちを襲わないように命じるためだ。そのためにまずはこの国の王様が住んでいる屋敷に向かい。屋敷の中に侵入することに成功したのだった。

それから俺は、王様を殺す準備を整える。まず俺はリリカたちを、魔族の国の城に帰らせ。リリカたちにこの国が侵略されている原因を調べるように頼んだ。魔族たちの情報を集めてくれるのはアリサの役割であり、そして俺のことを信用していない人間がいることを伝えるとライナという名前のお姉さんみたいな存在とアカリという名前で生意気そうな女の子の二人組に任せる事にした。ちなみにライナは、人間でありながら俺の協力者になってくれると言っていたし。アカリの方は俺と仲良さそうにしていれば、いつかは魔族と和解できると信じると言っていたから大丈夫だろうと俺は判断したのだった。そして俺は一人で、王様の元へ向かうのだった。王様はどうやら自室で一人くつろいでいるようですぐに殺す事ができると思い。俺は王様の部屋に侵入すると王様は驚いていたようだったけれど、俺は剣を抜いて王様を斬ろうとしたら。王様を守る護衛達が襲いかかってきたので、俺は全員を皆殺しにした。王様は命乞いをしていたが俺には全く興味がないので無視をして。俺は魔族を侵略してきた憎き人間の王の首をはねたのである。

「あなたには私の命を助けてくださった事には感謝していますが、それでも人間たちがこの国を滅ぼそうとした事は許される事ではありません。私達魔族はこの世界を、人間たちから守るために戦わなくてはなりません。どうかこの国の人々に私たち魔族を信じて戦う事を教えてあげてください。私は、あなたと一緒に戦うことができないけど。でもあなたが魔族を守っていくことを望んでいるから、私はここであなたの戦いを見守る事にします。」

魔族の王を殺した俺は、この国の王から信頼を得ていて。魔族の王が殺されてしまったことで、この国は人間の国の侵略を受けているということだった。魔族の王がいなくなってしまった今、人間たちは、自分たちよりも強大な力を持つ魔族の国の人間に対して敵対心を抱き始めていると聞いて。俺がこの国の人々を説得するしかないと分かったのである。それから俺が王様の話をすると魔族の人たちが俺に対して協力したいと言ってきたのだった。

俺は、その話を受け入れてくれと頼み込んだらその申し出を快諾してくれた。なので、まず俺は魔族の人々を集めて、これからのことについて話し合いを行った。するとまず俺の仲間に加わらなかった一部の魔族の人たちは俺の力を警戒しているのか俺と距離を取っているのが気になったがとりあえずは俺は彼らと話し合うことができただけでも良いかと思っていた。そしてその翌日。

「あーあ、お前たちって本当に馬鹿だよね。私が何も言わずにお前たちを助けていれば、私に従うしか無いのにさ」

「なっ。お前たち魔族の犬め。私達の国を侵略しただけでなく私を殺せばいいものを、貴様はいったいどういうつもりだ」

「は?そんなことも理解できなかったわけ。私は別にお前たちの国を侵略しようなんてこれっぽっちも思っていないけど。あんたらを奴隷にしようとしていたこの国の王族を処分しようとしただけだけど?」

「なんだと!?私を殺せばどうなるかわかっているだろうが!」

「まあまあいいじゃん。これでやっと邪魔者はいなくなった。後は勇者様に殺されるだけのお人形に生まれ変わったわけだし。それにあの男と手を組もうとする愚か者が現れる可能性も無くなった。つまりこの国を手に入れたい奴らはみんな、私の味方になったわけ。ふふん。魔族の国の人間は皆殺しにしようと企んでいた奴らが魔族の国に住めると思うなよ。魔族の国を人間たちが攻めてきた場合、人間どもが生き残るためにこの国の人間を盾に使う可能性も考えられる以上は絶対に、許さない!だから徹底的に滅ぼしてやるんだ!!」

「あぁ、そうだ。この国の人たちを俺の国の奴隷にすることを許可する。その代わり、ちゃんと仕事をしてもらうことになるが」俺がそう言うと魔族の人々が喜んでいる様子だった。だがその時一人の男が近づいてきて、その魔族の女を殺そうとしたのである。だが俺はそいつを殺すのではなく俺の前に立たせて、質問をしたのだった。そして俺はその男がこの国の大臣の息子だということを知ることが出来たのだが。その大臣に俺はこの国の人間たちに魔族の国を攻め込ませないように命令を出すように指示を出して、俺はこの国の人たちから支持を得ることに成功していたのであった。

魔族との和解に成功した俺たちは、人間に苦しめられている魔族の子供たちを救い出すため行動を開始することにした。

それから俺はリリカたちを城に帰らせて魔族たちの情報収集を行わせることにした。魔族たちはこの国を人間の国から守る為に戦うことを誓ってくれた。俺はこの国の人間に、魔族の国に攻め込まないように命じた。この国の貴族は、魔族の国の人々を奴隷のように扱おうとしていたので、この国の人間たちが再び、魔族の国に牙を剥かないとは限らないので。

俺は、俺がこの世界に来た目的の一つでもある魔王の討伐を達成するため、まずは魔王を探しに行く。俺はこの世界に転移してからすぐにこの世界に呼び出されたのだが。まだ俺の知らない情報がたくさんあり。まずは、魔族の国がある魔大陸に行ってみることにしたのである。そして俺は魔族たちに別れを告げる。そしてリリカたちを連れて俺は、魔大陸に旅立つのだった。

「じゃあ俺は行ってくるからこの国の事はよろしく頼むぜ。あとこの魔族の子供たちの保護とかも頼んでもいいかな。」

「うん!!もちろん任せておいて欲しいのです!!あなたはこの国の人じゃないですし。この国にはもう、人間の人たちはほとんど残っていなかったの。それであなたは私達にとって救世主みたいな存在だったのでこの国のためにできることならなんでもさせて欲しいと思っているので、魔族の子供たちを保護する事も頼まれるまでもなく。こちらで保護させてもらうつもりですので。この国を魔族の国を守ってくれる事を約束してくれたあなたの為になることならば私たちは、どんなことにも全力で取り組む覚悟があります。なのでどうかこの国を救ってくださいね。そしてこの国を、守っていてくれたので、この国の人々の事を、守ってくだされば、この国の人々も、喜んでくれて貴方に感謝するでしょう。どうかお願いします。この国を魔族たちを守ってくれるように。そしてこの国に危機が訪れた時。私たちが力になれるように力をつけておくので。もし何かあったら連絡をしてもらえれば。駆けつけることができると思います。なので安心してください。」俺はその言葉を聞いて嬉しくなり涙がこぼれそうになるのを抑えてから。魔族の女性の言葉に感謝して別れを告げる。そして俺達は魔族の国から旅立って、魔族たちにこの国を任せてから、魔大陸を目指すのだった。

俺達が魔大陸にたどり着いた頃には日が沈みかけていた。

「さて、これからどうするかだよな」俺は今後の方針について悩んでいたのだが、このまま進むと人間の領地に着く可能性があるので一旦戻る事を決めた。それから俺達が拠点に戻る途中に森の中を歩いている時に俺は、ある少女に出会った。その女の子の名前はライヤと言い。年齢は十歳くらいの少女で、とても可愛らしく活発そうな少女だった。そしてその少女はとても悲しそうな顔をしていた。だから俺はライヤに声をかけて話を聞くことに決めて、事情を話してもらった。すると、この森に住んでいる魔物たちの親玉が最近現れた強力な力を持つ悪魔らしいのである。ライヤはその悪魔を倒すのを手伝うように、母親や村の人に言われたけれど。ライナの両親はライヤがまだ幼い子供だと知っていたが故にライナの両親としては、この危険な場所にライナを連れて行きたくなかったからこそライラは一人でこの危険な森に来ていたようだが。そんなところにたまたま出くわした俺に助けを求めてきたのだった。そんな感じで出会った俺とライナは意気投合した。

そして俺は彼女の願いを聞き届けるために、彼女に協力して一緒に行動することに決めた。

俺達はそのまま森を進み続けると、そこには洞窟があった。俺達は警戒しながらもその中に入ると。そこのいたのは大きな悪魔のようで、俺を見るなりいきなり攻撃を仕掛けて来た。俺はなんとか攻撃を避けると。俺は《魔剣クリムゾンブレード》を取り出して、悪魔を切りつけてみるが、傷を与えることしかできなかった。

「ふむ、どうすればいいかな。」俺は考えながら悪魔に向かって剣を振りかざしたが、避けられてしまった。俺はそこで俺は魔弾を撃ち込んでみると、それが悪魔に命中すると、ダメージを与えたようだったが、致命打には至っていないような気がした。そんなことを考えていたせいなのかはわからないが、突然俺は後ろから何かに刺されてしまったのだ。俺はそれを咄嵯の判断で引き抜くと、どうも毒矢のようなものに仕込まれていて俺はそれを引き抜いて捨ててしまった。俺は、それからしばらく戦っていたわけなのだが。次第に俺の攻撃を避け始めて俺の動きを読み始めた。

そしてとうとう俺の動きを見切ったのか俺の体に斬りつけてきて、俺の体が切り裂かれてしまった。俺は血を流しながらもどうにかこうにか立ち上がろうとしたら、目の前に突如魔法陣が出現したかと思うと。俺の前に巨大な竜が現れ。

『よくも我が子を傷つけたな』そう言うと口から火球を放ったのである。

俺がとっさに避けるが俺の頬をかすめて後ろに立っていた木に当たって爆発を起こしてしまった。そしてそれと同時に俺はその威力を見てかなり焦りを覚えた。

「うーんこれはさすがにちょっと危ないか」

俺はそれからどうにかしようと頭をフル回転させていた。

そして俺は、俺とあのドラゴンの間に割って入るような形で現れた人物がいた。その人は魔族の女性だった。その女性は俺に話かける。俺がその女性の話によると、その女は、あの竜の子供の母親だったようで俺のことは前から気になっていたらしいのだが、俺のことを見張っていたみたいだったのだが俺を監視対象としてではなくて。息子を傷つけられた怒りによって、俺は敵と見なされてしまっていたようだ。

そのあとにその女性が魔弾を放ち。さらに俺は、魔法陣が出現した瞬間、反射神経だけで避けようとした。だがさっきよりも速く放たれたので回避不可能と判断した俺の視界から一瞬だけだがその魔弾が消えるのが見えたので。

俺はとっさに身を低くしそのおかげでその攻撃をギリギリでかわすことに成功した。だがそれでも魔弾は地面に直撃したわけで俺は吹き飛ばされてしまう。

「くっ」

「おい大丈夫か!?」

俺は急いで彼女に近づくと彼女は、自分の心配をしてもらえるとは思ってなかったらしく、目を丸くしていたので俺は少しだけ笑みを浮かべてから立ち上がる。そして彼女が立ち上がったのを確認してから俺も立つが、今ので俺は右腕に傷を負ってしまって出血していたので俺の右腕は真っ赤に腫れ上がっていて。これじゃあいくら回復魔法で回復したところであまり変わらないので。痛みを感じていない左手でポーションを使って治療をした。

「ごめん。私のせいであなたに怪我を負わせてしまいました」その女がそう言った。俺は「気にしないでも、俺が助けたいと思ったから助けたんだし。だからあんたが謝ることじゃない」とそう言って俺は右手を回復させると「よし!!そろそろいいか。じゃあ、あいつを倒すぞ」とそう言い俺は先ほど使った魔力量を考える限り。今はまだ本気ではないと理解しているからこそ俺は余裕の表情を見せつけた。するとその女性はなぜか顔から耳まで赤く染めたのだった。そのあと俺は彼女に提案を持ちかけた。そしてそれにその少女が了承したので二人で共闘することに決めたのである。

そしてそれから俺達は作戦会議をするのであった。

私は今。目の前にいる人間に恋をしているのです。そしてその人間というのが私をかばって怪我をしてしまった。私を助けてくれた時に彼は、とてもカッコ良かった。だけど私を助けるためとは言え私の事を抱きしめたりしてくれた時にドキドキしてしまい、心臓が飛び出るんじゃないかってくらい鼓動を早めていた。その後彼が立ち去るときに私が思わず声をかけようと口を開いたのだが彼の名前を呼ぶことができなくて彼の名前を呼びたくて仕方がなかったのに。結局彼に名前を教えることができずにいた。本当はちゃんと呼びたかったのに。恥ずかしくて呼び止められなかったのである。だけどその日から彼から視線が外せなくなっていた。

私はこの気持ちの正体がわからずに悶々とした日を過ごすことになるのである。そんなある日のこと、私が、一人で薬草を取りに行って帰って来る途中のことだった。魔物と遭遇して襲われそうになったところを、一人の人間に助けられたのだ。そして魔物を追い払った人間は「おい!!お前こんな所で何してるんだよ」と言うが、私には全く身に覚えがない。

「私に何か用でしょうか?」

「いやさ、最近森の方で何かあったらすぐに町に逃げるように言われてるはずなんだけどな。お前は何やってたんだよ」とそんなことを言われるが何の事だかさっぱりわからなかったので首を傾げていると、「えっともしかして何も聞いてない感じなのかな。君って最近この森に現れたって噂の悪魔って呼ばれている奴が最近森に現れてからすぐに逃げれるようにって町の人達がこの森には誰も入れないようにしてるはずなんだよね。だからこの森に子供が居るなんておかしいと思ってね。だから俺はここに来たんだけど。とりあえずこの町に来いよ。俺が守ってやるから。俺の名前はユウマって呼んでくれて構わないからさ。」と言われた。私はなぜだろうと思っていたらどうやら私はこの人間の子供を魔物と勘違いして襲おうとしていたらしい。それでその子を守るためにこの人間が戦ってくれていたらしいが。どうやら誤解で私は、この人間の少年を傷つけてしまったようである。それからその男の人に連れられて、この男の子の町に連れて行かれた。

そこでこの少年がこの村の住人にこの村の事とかを説明してくれることになったようだ。

それから数日して。私はようやく動けるようになったのである。そして今日もこの森に来ているわけなのだがどうやらその男の人とあの女の子と一緒に居て楽しかったせいなのか私はまたその森に行くようになっていた。そんなある時だった。その森に突然魔獣が現れたのだ。そしてその魔獣は私を見つけるなりいきなり攻撃して来たので、慌てて回避しようとしたが、その魔獣は私に向かって炎を吐いたのだ。それを避けることもできずもろに受けてしまい、そして私の意識がだんだんと遠退いていったのだった。もう死ぬのかと思いながら目を瞑ったがどうにもまだ生きているようだったので、目をゆっくりと開けてみると、そこにはなんとその男が立ちふさがっていたのである。その男が私を守ろうとしているのはわかる。けどどうして?この人は魔族ではないのに、それどころかただの人であるはずのこの人は何故そこまでしてくれるのだろうかと不思議でならなかった。

そしてその男は剣を取り出し魔獣に立ち向かっていったのである。

それからどれくらい時間がたったかわからないがどうやら魔獣を倒してくれたらしい。だけどその人は血まみれで倒れてしまっていた。そして私は急いで駆け寄ろうとするが途中で立ち止まってしまった。

それはきっと。この人はこのまま死んでしまうのではないかと不安になってしまったからだった。

するとこの人は、血を吐き出しながら何かを伝えようとしているみたいで私は、彼の近くに近寄り、どうにかこうにか聞き取ることに成功したのである。「俺は大丈夫だから安心してくれ、君は君の思う通りにすればいい」とそんなことを言うものだから、私は涙を流してしまったのである。そのあとその人は傷だらけになりながらも、私の手を掴んできた。そしてそのまま私は連れてこられてしまったのだった。それからその人は屋敷に戻っていくと、私達は話を始めた。そしてその人は私達の為に必死になってくれる人だった。私はそれからというものずっと彼のそばにいた。私はその人に一目惚れをした。

だけど、その想いを打ち明けることはしなかった。だって、彼は優しい人なのだ。だから、私が困らせてしまうことなんてしたくはなかったから、私は、自分が満足するまでここに住まわせてもらおうとそう思ったのである。

だけどやっぱり寂しい時もあったので私は夜中に外に出た。すると、私の目に入った光景は、彼とあの人が、一緒にいる姿を見てしまったのである。そして私はその場を静かに離れていく。その時に涙が溢れてきそうになるがなんとか堪えることができた。だけどその日から私の中でその二人が一緒にいることを許せないという気持ちが強くなっていった。だからそれからはあの人の家に通うことがなくなり、それからしばらくして私はその人の家に住むことにした。

だけどある日あの人はいつもと違った行動をしていたのでつい興味本意で隠れて様子を見てしまったのだが。どうも様子がおかしくて、そして私はついに決定的な現場を見てしまった。その時の二人の会話が今でも頭から離れなかった。そしてその話をしている時の二人はどこか真剣で、それでいて愛おしく互いを見つめあっているかのような視線に胸を締め付けられるような思いがしていたのだった。私はそんな二人を見ていて苦しかったと同時に心が壊れそうなほどの激痛に苛まれていた。

だから私は全てを諦めたかのように部屋に戻り布団を被り眠りについた。

「んーっ!!うーん」俺は目を覚ます。あれからどれだけの時間寝ていたんだろうか。それに俺は何をしなければいけないんだったけな。俺は記憶を遡る。確か俺とミユキでこの国の王を殺しに行こうとしたところだった。

そうだ俺は今から城に向かおうとしてたのだと思い出す。俺は立ち上がると俺が横になっている間、面倒を見ていてくれていたらしい少女にお礼を言う。するとその少女に「私は貴方のためにしたことなので、別にお礼など言われるほどではありませんので」と言ってきた。

そして俺は、その少女と別れて俺は城に向かった。城の門の前には騎士らしき人物が一人立っているだけで他はいなかった。だから簡単に城に忍び込めたのである。それからしばらく後のことである。俺たちの前に一人の女性が現れたのである。

その女性は、長い白髪に金色の瞳をしている、肌が雪のように白く綺麗な女性であった。だがその女性の纏う雰囲気から、只者ではないだろう。と直感でそう思ったのである。

「あら、珍しいですわね、こんな所に子供が来るなんて、ここは子供がくるような場所ではないはずですが、一体どのような用事で来たのですか?」

「いやぁ〜実は俺、王様を殺すために来たんだよね」と俺が言うと女性は、驚いた表情をするがすぐ元の顔に戻るが「そう。あなたがこの国で悪さを働いている魔族の方で間違いないのでしょうか?」と質問してきた。俺は「俺が魔王だよ」と俺が答えると彼女は俺が嘘をつくかどうか探るように俺の顔を覗き込んできたのである。俺は少しだけ焦ってしまい、「俺が本物の魔王なんだから俺が嘘つく理由がなにかあるか?そもそも俺がこの世界で生きてる以上、本物も偽物もないんだよ」と言うと彼女は俺に殺気を放ってきたのである。

すると後ろから誰かの声が聞こえてきた。そして振り返ると、そこには、黒髪をポニーテールにしている美人さんがそこにいた。

そして俺はなぜか彼女に見惚れていた。なぜなら彼女がとても美しかったからだ。

「お前たち!そいつが魔族であることに変わりはない。油断するんじゃねぇぞ!」そんな言葉とともに俺に剣を抜いて攻撃を仕掛けてくるのだが俺はその攻撃を余裕で受け止めると女を睨みつけるように見つめ「おい、いきなり攻撃してくるなんて酷くないか?」

「そんなことよりもお前は何者だ?本当に魔王なら、その首を切り落としている所だが、生憎お前の首に価値なんてねえんだよ」

「まぁそれはお前らの好きにしてくれよ。それよりもだ。あんたらに頼みがあるんだよ」

「それはお前の首を私たちに渡すってことでいんだよな?」

「それは違うぜ。俺がお前らに依頼するのはだ、その勇者を、いやその女の人をこの国から追い出すことだ」

俺は彼女の事を知っているわけじゃ無いしどんな人物なのか知らないから。彼女について何かを知る必要があるからな。

「わかったよ。だけどな私もこいつに恩があってだな、悪いがその話を受けることはできない」と言うのだった。そしてどうしたものかと考えていると「その依頼は受けることが出来ないわ」と言いながら金髪でショートボブの女の子が現れたのである。そして彼女は俺に剣を向ける。どうやらこの二人が勇者のようだ。

それからは戦いになった。俺はその女の子と戦うことになるのだが、どうにもやりにくい。なぜならば俺はその少女が持っている剣から放たれる衝撃波によって吹き飛ばされていたからである。その衝撃に耐えきれるはずもなく壁に打ち付けられた。だけどすぐに立ち上がり構えをとるとまたも衝撃波が飛んできてまた吹き飛ぶが今度は、しっかりと地面に足をつき体制を整えようとしたのだったが、目の前に現れた影に気がつかなかった。

その瞬間腹部を切り裂かれた俺はその場に倒れ込んだ。そして俺は自分の体を見ると傷口から黒い煙のようなものが立ち上っていたのである。それから意識を失った。そして次に目を覚ました時は、ベッドの上にいたのだ。俺は状況が掴めずに混乱していたが、隣には心配そうな顔をしながらこちらを見つめている女の子がいた。そして、この女の子こそがあの時に会った勇者であることがわかったのである。

すると突然部屋の扉が開かれそこから入ってきたのはあの時に戦った少女である。その子は俺に向かって剣を振り下ろすと俺はとっさに避けたのだが、剣先をかすめる程度に当たってしまった。

その痛みに驚きつつもその女の子の方を見たらその子は「まさかこの程度の攻撃すら避けられず直撃してしまうとは情けない男ですね」と言われてしまった。

そしてその後俺は、その子から色々と話を聞こうと思っていたらそのタイミングでこの部屋にクロネが入ってきたのだ。どうやらこの子の名前はクロネと言うらしく、俺に怪我を負わせたあの子とは姉妹らしい。それから俺は三人からこの国の現状を聞いているうちになぜ二人がここに来ていたのかを知ったのである。

それからというもの、あの二人と行動を共にしようと思い二人にも事情を話すとどうやらとことん俺と意見が合わないようで何度も衝突したのである。俺はこの世界を壊すつもりで行動しているのに、あの子はそれを良しとしなくて俺はあの子をどうにか説得しようとするとさらに喧嘩になってしまったのである。それから数日経ったが結局どうにもならず。俺は諦めてこの国を出ることにすると決めたのだった。そして次の日に俺はこの国の国王のところへと向かったのである。

その途中。ミユキに出会ったが、あいつは何も言わずに通り過ぎていったのである。

「お主が余を暗殺しにきた刺客というわけか」

俺は国王に話をつけると俺の申し出に対してそんな反応をされたのである。俺はそれを肯定すると。「はぁーっ、全く。こんな奴がこの国を脅かしていたとはな。だがいいだろう、お前は我が娘の命を救ってくれたこともある。それに貴様が魔王だということもこの娘に聞いておる、その力を見せてもらうのも悪くはあるまい」そう言い終わると俺はその言葉に従い。俺と王は城の外に出たのであった。

外に出た俺は、国王と手合わせすることになったのである。そして手合わせが始まり俺は全力を尽くして国王と戦ったのであった。結果は引き分け。俺は負けたような気分になってそのままその場を立ち去ったのである。

そして城に戻るとそこにはクロネとあの時にあったもう一人の少女がいたのだった。

「それで、どうしてあなたがここにいるのですか?私たちはもう、あなたたちに関わりたくないのですよ。あの人に嫌われてしまいますからね」

そう言ったのである。

俺はその言葉に納得した。だってさ、その男の人が誰なのか知らないけどさ、多分あの人はきっと二人の事が好きなんだよな。なのにあの二人はその気持ちに答えていないんだよな。俺はそれを聞くとやっぱり俺があの人達に出来ることは一つしかないんだよな。そう思うとやっぱりあの少女に俺はどうしても言っておきたいことがあったから、俺は口を開いたのである。

俺は、今現在、ミユキとあの人の関係が上手くいっていないことを知っていた。だって俺はずっと二人の会話を聞いていたのだから、でもだからこそ、このまま二人の仲が悪くなるのだけは嫌だと俺はそう思っていた。だから俺は二人の間に入ることにしたのだった。俺は「二人とも、そんなに怒んなって、二人共本当は好きでたまらないんだろ?」と問いかけたのであった。すると、ミユキが「な、何を言っているんですか!私は別にあの人なんかどうでもいいんですよ。私が本当に好きだったのはこの世界の人たちですから」と言ってきた。俺はその言葉を嘘だと思った。だって俺には見えてしまってるからな。彼女が心の中で涙を流す姿が。

それから俺はミユキを説得しようとしたが無駄だったので俺は最終手段を使うことにしたのである。俺はミユキを抱き締めると「俺はな。ミユキのことが大好きだよ、そして愛し合ってる。そんなミユキのことをどうでも良いなんて思ってるわけないじゃないか。そんなこと絶対にあり得ないよ。だから安心してくれよな」そう耳元で囁いた。

その瞬間。俺の体に変化が起こり始め、体が変化を始めたのである。そして完全に人間の姿になった俺の姿を見て。ミユキと、俺に話しかけていたあの子は驚いた表情をしていたのである。俺はそんなことお構い無しに、今度は俺が話し掛ける。

「なぁ君に聞きたいんだけど、君のその力は魔族にしか効果がないんだよな?じゃあさ、なんでミユキはその力の効果を受けなかったんだ?魔族じゃないからだよね?」と俺がそう質問すると「確かにそうですわね。あなたは魔族ではないですものね」

俺は魔族に転生してからずっと疑問だったことを聞いた。

するとその答えをくれたのは、ミユキであった。

俺はその答えに驚愕し、俺の考えが正しいと確認することができたのである。

俺はその真実を確かめるため俺は王城に戻ってきた。

そして、そこで王に頼みごとをするのであった。

「俺の望みは二つある、一つ目は俺の事を魔族の仲間入りさせてくれ、そして二つ目のお願いだ。俺の仲間にして欲しい」とそう言うと俺は頭を下げた。その言葉を聞いた俺は驚いていたがすぐに冷静になり俺に尋ねてきたのだ。

「お前の目的はなんだ?一体何を求めているのだ?もしそれが我々に利益をもたらすものだと言うならばその望みを叶えてやってもいいと思っている」俺はその言葉にニヤリと笑みを浮かべてから答える。

「俺はな、俺はこの世界を壊しに来たんだよ。俺は魔族でこいつら人間は俺らから奪ったものを返すように要求するつもりだ。まぁつまり、この世界を破壊しにきたんだよ。まぁ簡単に言えば復讐だ。ただそれだけの目的でこの国にやってきたってわけだ。俺はその目的を果たすためにもまずこの世界を壊すつもりなんだ」

その言葉を聞いた王様の顔色は悪くなり「そ、それは本当の事なのか?」そう呟いたのだった。そして、

「それは本気で言っておるのか?」と震えながら再度、訪ねて来た。

「本気も何も俺は最初からそういうつもりだしな。まぁ信じれないのならそれでいいよ、だけどその話は置いておいてくれ。もう一つの望みを聞こうか?」俺はその返事を聞き。自分の考えを伝えると。「それは本当にできるのか?」と少しだけ期待を込めたような感じの声音で言ってきた。

俺はそれに「できるぜ。だけどその為には条件がある。あんたらが俺たちに協力するっていうならだけどな」俺はそう告げる。すると。俺の予想していた通りの答えが返ってきて、その返答を聞いてからすぐにある場所に向かうことにした。俺はその場所に向かっている途中クロネと、あの子に会ったのだ。

俺はその二人が一緒に行動しているところを見るとついつい頬が緩んでしまう。それからしばらく歩くと目的の場所に辿り着いたのである。

そこは魔王が封印されている洞窟の前であり、俺はその入口の前で待っていたのだがその扉が開くことはなかった。そして俺は、その扉が開いたとき、俺は嬉しくてつい、泣いてしまいそうになってしまったのだ。その扉の奥から現れたその男は間違いなく、あの時、クロネと死闘を繰り広げたその人であった。

それから彼は、ミユキのことについて色々と聞いてきたのだ。そして俺はミユキをあの人のところに向かわせることを決めるとミユキに伝言を伝えてもらい。俺は彼と共に王都に戻るのである。その道中。

俺はミユキとあの人の関係に進展があったのかなーっと気になって仕方なかったがそのタイミングで俺はこの人からとんでもない情報を聞かされたのだった。そしてそれを聞いた俺はこの人を信用しこの世界に平和が訪れた暁には俺はこの人の配下になろうと決めたのである。その情報はというと。俺の正体とその力についてと、あの人が今どういった状況に置かれているのかということ。それから俺が魔王だということを知ったこの人は、「お前はこれからこの世界を魔王の力で変えてくれるということだな。俺からお前に協力を要請することは恐らくないだろう。なぜなら俺はもうこの国の王だからな。俺にはこの国をより良い方向へ導く義務が俺には存在するのだ。そして俺はそのために力を尽くすつもりなのだ。俺は俺の意思を貫き通しこの国を守っていくと決めているのだ」とそんな言葉を残して去って行ったのである。

それからしばらくして俺はあの人が魔王だと判明したことにより俺はあの人と敵対する立場になってしまった。だがそんなことよりも、あの人を助け出すためには俺はどんな犠牲を払ってでもやるつもりだった。

それから、俺があの人に対して何かしようとしてもあの人は俺の事を信じてくれないらしく、あの人は何もさせてくれなかった。そんな俺の態度が気に食わなかったのかわからないが、ついにあの方が動いたのである。そして俺はそれを必死に食い止めた。俺だって本当はこんなことをしたくはない、しかし、俺があの人を助けるためにはこのやり方しかないのである。

「なぁ俺とお前は似ていると思うんだ。だから俺の目的を果たそうとしていることに理解をしてくれると嬉しいんだけどな。まぁとりあえず俺はあいつを仲間に引き入れることにするよ」と俺がそう言い切る前に、

「貴様も私の邪魔をするなら敵だ。消えてもらうだけだ。貴様にはこの国を脅かす資格などありはしないのだよ」

俺は、あの人がそう言った言葉に反論しようと言葉を口に出そうとすると俺の背後で声が聞こえてきたのである。

「あのさ。あなたってそんなに偉い人で、あなたが守ろうとしてきたものは本当にそんなにも大切なものだったの?あなたのその考え方がそもそも間違えなんじゃないかな。確かにあの人があなたの立場にいることは私にとっても迷惑だったし、あの人がやってきた事は許されないことだったかもしれないよ。でもさ。そんなの個人の主観の問題なんだよ。だってあの人はさ、あの時、私たちを助けようとしてくれていたの。そしてその時にあの人が一番に考えたことはこの国を守ることと、あの子たちを助けること。それのどこに違いがあるんだろう?違うんだよ、そんな風に、国とか民とかそんなんじゃなくて。もっと、大事なものがあるんだ。例えば好きな人とか、そんな人たちが傷ついて、困っていたのならあの人は迷わず自分の全てを投げ捨ててもその人たちのことを優先しようとしてたんだ。だからあの時の私はその気持ちを、想いを踏みにじったあの人が許せなかったの。だからあなたもそうなの。その人にとって、一番大事にしているものをあなたは今、踏みにじろうとしているの。だからあなたは自分のやっていることに後悔した方がいいんだよね」と俺にそう言ってくるミユキは本当に俺にはもったいないぐらいの素晴らしい女の子で。

俺はやっぱり俺の彼女になったこの子が世界で1番大切だなって改めてそう思ったんだよ。だから俺は今度こそ俺は、この子と、この子を笑顔にするって誓ったんだ。絶対に俺のことを裏切ったり、嫌いになったりなんてしないように幸せにしてみせるって。

俺はそう思うと、目の前の男の人に、あの人を救う為のお願いをした。

そして俺が頼んだ通り。俺の体はまた魔族の姿に変わっていった。その姿を見た俺はその光景を見て思わず涙が流れてしまった。それは俺の知っている人だったからだ。その人も魔族になっていたのである。だからその瞬間。俺はミユキのことを心の底から愛おしいと、そう感じた。

俺があの男と戦っていると、俺に語りかけてきた女性が現れたのである。俺は彼女がミユキと親しい仲の人であるということを知っていたので、彼女の話を聞くことにした。しかし俺は彼女に、俺の考えていることがバレてしまっていたのだ。それは俺の体の変化で分かってしまったようで、彼女は俺にこう言ってきたのだ。

「あなたも、あなたもこの子の事が好きでしょう?あなたはどうして魔族になったのか分からないけど、あなたは人間でいてはいけなかった、いえ人間ではいられない存在なのよ。それでも人間でいたかったから、人間をやめてまで魔族になる覚悟を決めてくれたのでしょう。だけどあなたが魔族になったせいでその子はあなたに気を使って魔族になった。だけどあなたはその事を知っていながらもその子を騙し続けるつもりでいたのよね。ならもう、あなたは人間じゃないの。だからあなたはその子と一緒にいちゃいけない。それができないのならばその子に嘘をつくのを止めなさい。その嘘はいずれ、取り返しのつかないほど大きく膨らんでいって。その罪はやがてあなたとその子を苦しめる。そしていつかは、その重みに耐えきれなくなった時。きっと、その二人は別れることになるの」と言って俺に攻撃してきたのだ。

そして俺は、その攻撃を受け止めるのと同時に。

「俺とこいつの恋を邪魔するな!」

と叫ぶ。俺はその言葉で、自分の決意を再確認できたのだ。この少女を守りたいという、その決意を

「その言葉を聞けて安心しました。そしてあなたに一つ忠告しておきますね。もし私が、私のような存在がいなければあなたはもっと早くこの決断ができていたことでしょう。だからもし、今後、私のようになって欲しくないという願いを込めて、あなたにこう言っておくわ。あなたがこれから先どうしていくのか、それを見守るつもりだけどあまり時間は無いと思うよ。あの人はいつ目覚めるかも分からずずっと眠っていて、その人の力は少しずつ弱まっているのよ。でもその力は完全に消えるわけではなくまだほんの少しだけどその人の中にあってその力を制御しようとしているみたい。だけど完全に制御できていなくてもあの人から溢れ出すほどの魔力と力が周囲に撒き散らされていてその力は少しずつだけどこの国に広がってるの。そしてあの人が眠っている場所は今、王都の地下にあるダンジョンの中。だからもしもあの人の目が覚めてしまえば、その力が外に放出されてしまう可能性だって十分にあり得るの」と言うと、俺の攻撃を防ぎながら、そしてその剣技を持って俺を殺しに来るのだ。その動きには迷いがないように思えたがそれは、その女性の最後の優しさなのかもしれない 俺の目の前にはミユキと、俺がこの世界に来てから一緒に過ごした時間が俺の事を好きだと言っていた女性が立っているのだ。俺は二人に向かって言うのだ。

「悪いな。ミユキ、それにお前の事も俺は好きなんだぜ。俺はお前達の為に俺は魔族の王に俺はなるぜ!お前たちがいつまでも平和に暮らせる世界を創るためにな。それになミユキ、俺は決めたぜお前と、あの人。どちらが欠けても良いものにはならないんだ。俺にできることが、ミユキがしたいと思ったことが俺を成長させてくれるはずだ。

俺がミユキに出会って変われたようにな、俺がやりたいと思うことに対して行動すればいいんだよ。そしてお前に俺がついて行って欲しい場所がある。そこにはあの人の、魔王の本当の目的とそして俺たちの仲間がいる。

俺が今すべきことは、魔王をあの人を助け出すことだ」と俺の言葉を聞いても何も返事をしない。そんなミユキに、俺は「あの人を救え。そうしないと俺の魔王としての、あの人と、そしてこの世界の敵として、お前と戦うことになる」と言い残し俺は、ミユキとあの女性に背を向け歩き出したのだった。俺は魔王城へと向かう道中に考えていた。俺は本当に正しい道を歩いているのかと。そして俺が本当にやらなければいけないこととはなんなのか。

それからしばらく進むと俺の前には一人の男が待ち構えていたのである。

その男の名はルミナスという魔族であり、この国の宰相であると自己紹介をしたのであった。そしてその男は俺に話しかけてきたのである。

「君があの方を倒したんだってね。私の部下は全滅させられたよ。まさかあれだけの戦力を持っていたはずの部下がたった一人、しかも人間ごときにやられるとは思わなかったんだがねぇ。それであの方はどうなったのかな?」

その質問に俺は何も答えずにその場を立ち去ろうとすると、

「そうか、やはり死んだんだろうね。それか君の実力が本物かどうかを見定めようとしているのかね?それともその目的は私の殺害といったところかな?それなら無駄なことだ。例え勇者であろうとも。あの方に勝てる道理はない。それどころか君は勇者でもないじゃないか。まぁ私を殺すことはできないだろうから大人しく、その首を献上してくれたまえ」そう言って襲いかかってきたのだった。俺はその男の動きを目に捉えることはできるのだが体が付いて行かず避けることができずにいた。俺はどうにかこの窮地を脱する方法を考えつつ男の攻撃をなんとか防ぐので精一杯なのである。

するとそこにもう一人の魔族が現れると俺は不意を突かれてしまったのである。そいつが俺のことを殴ると俺は地面に叩きつけられるようにして倒れたのである。そしてさらに俺に魔法を放ち俺のことを痛めつけ始めたのである。そこでようやく俺は目の前の男に意識を向けることができるようになったのであるが俺は既に逃げることもできなくなってしまっていたのである。

しかし俺が逃げようと考えていると。目の前に現れたミユキとあの女性が俺を救い出しくれたのだ。

そしてミユキとあの女が俺のことを助ける為に、俺を逃がす為だけに戦ってくれたのである。

俺はそんな彼女達のことを守れるぐらいの力がない自分の不甲斐なさに悔しさを覚えながらも。そんな彼女達に「ありがとう、後は俺に任せてくれ。そして信じて待っていてくれ」そう言い残した後、再びあの場に一人で戻ったのであった。だが今度は、もう手加減する必要などないのだ。

「待たせたな。それじゃあ続きと行こうか」そう俺は言うと、先程まで俺を殺そうとしていた、いや、今も殺そうとしている魔族に俺は攻撃を開始したのである。

私はクロネさんに連れられミユキちゃんの家に向かったのである。そして私は家の中に入ると驚いたのは部屋の惨状である。この家に一体どれだけの時間人がいなかったのだろうかと思うぐらい部屋が埃だらけになっており。私がここに来た時と同じ状況であるからだ。そしてそんな部屋の中には魔族の姿はなく、ミユキちゃんだけがぽつんと寂しげに座っていた。

私がミユキに声をかけるより先に彼女がこちらの存在に気がついたようで彼女は涙を流しながら駆け寄ってくる。私はその涙を見ると彼女のことを抱きしめることしかできなかったのである。それからしばらくしてから落ち着いた様子で、ミユキが泣き止んだところで私たちは話をすることにした。

そしてまずはお互いにどうしてこの家に来たのかを話始める。彼女は私が来た理由を聞くとその瞳からは涙が流れ始め「あの人は無事なんですかね。もしそうなのなら良かったです。あの人は私の大事な友達で大切な人なんですよ。だから絶対に死なせる訳にはいかないんです」と言ってきたのだ。その表情には、とても嬉しさのようなものを感じたのできっと彼女は私の思っていた通りの子なのだろうと。だからこそ彼女は私のことを信じて全てを話してくれたのだと、そう思うのだった。しかし問題はその後に起こったのである。

私はその魔族について聞こうとした時に突然、ミユキが何かを思い付いたかのように、 ミユキはユウキに助けを求めるため外に出たのだ。その瞬間に魔族が現れて襲い掛かってきたのでミユキと一緒に戦いに行くことにする。そして魔族と戦い、ある程度ダメージを与えることができたところで現れたもう一体の魔物、いやあの人がこの国で従える配下の中でも上位に位置する実力の持ち主であると一目で分かる程の力を感じさせるほどの威圧感を感じ取る。

「やっと現れましたか」

「そうだよ。俺は魔王の使いの者だよ。あの人の復活のためにも死んでもらわないと困るんでな。あんたが邪魔だ」

「ふっ、それはあなたがこの子から力を奪うような存在だからじゃないですか?」と私の言葉を聞いた相手は

「何を言うのかさっぱり分からんがとりあえず死んでくれるかい?まあすぐに俺が生き返らせてもらえば済むことだからね」と言ってその手に握っていた剣を私に向かって振ってきたのだ。私はその攻撃を剣で受け止めると、剣が粉々になりそして私の体にまでダメージが来るのだった。私はあまりの衝撃を受けその場で動けなくなってしまう。

「はぁはぁはぁ、どうなってんだよお前。普通の人間が魔剣に耐えられるわけがないだろう。お前はただの女でもなければましてや人間ではないんだろ。まさかお前があの方の力を吸収して人間を乗っとったのか?あの方はどうしたんだ?」その言葉に、 私は「私が魔王の力を奪い人間として生きていこうと思っている。あの方は眠っておられる。あの方に害を成すものは全て私が倒していくつもりだ。お前のその行いはあの方に対する裏切りであり、あの方をこの世界に目覚めさせた後に私が倒す!」と、私は叫ぶと、「へぇ~。面白い事をいう奴だ。俺を倒すとか。この姿の俺を相手にそんなことを言うとは大したものだけどね。だけどね。その前に君は俺の手で殺されるんだからね」と言い放つ。

その瞬間に私は腹部に強い痛みが走るのを感じる。そして目の前には剣を振り抜いた後の相手の姿が映っていたのだ。そして次の一撃を食らう直前に剣に魔力を込めることで相手に致命傷を与えることができるようにしたのである。そしてその行動のお陰なのか。相手が私にとどめの攻撃を仕掛けようとするのをなんとか止めることができたのだった。

しかし私では魔族の力に勝つことはできずそのまま意識を失うことになったのである。

「はぁー、本当にお前がやったんじゃねえんだな?」

その問いかけに対して私は静かに首を振ることしかできないのである。すると彼は舌打ちをしながら、私に蹴りを放つ。その蹴りの威力により、私のお腹の骨を折ってしまいそうな程の力で。

そんな風に痛めつけられてもなお、私のことを助けてくれる人はいないのだ。そしてその人物から私への暴行は終わらず。

何度も殴られ蹴られ続ける。そうしているうちに次第に意識を失いそうになるが、その度に強烈な電撃のような魔法を受けて目を覚ますことになってしまうのであった。

「まだ俺に逆らう元気があるんだな。それならもっと強い魔法を使えば良いだけなんだがな。まあいいか。お前は今から俺の部下だ。逆らったり変な動きをすれば容赦無く殺してしまうからな。分かったな」その声を聞いて私は無言で頭を下げるしかなかった。すると、 その男はニヤッと笑うと「お前は今日からクロナという奴隷になれ。それがお前の名前になる。そしてこれからこの屋敷で働くように」と言い残すと去って行くのであった。そのあと、あの男はミユキの体を触っているのか、彼女の苦しげな吐息と甘い声が聞こえてきていて、私は何もできずに歯をくいしばることしかできなかったのである。しかしミユキちゃんをこんな目に合わせるなんて許せないと、そう思ってしまうのであった。

ミユキちゃんが連れていかれてしまって数日が経った。

その間、私はずっとミユキちゃんのことを心配していたのである。そしてついに彼女が戻ってきたとの報告を受けると、すぐに彼女の元へ向かうことにしたのだ。しかしそこに待っていたのはこの家に来て以来、初めて会う男の姿であり。この家の主だというのだ。

私はそんな彼を無視してミユキのところへ行くと、彼女を抱きかかえて連れ出そうとするが、この男によって引き止められてしまい、仕方なくミユキの部屋に連れていかれるとミユキに乱暴をしたこの家の主人を名乗る男の姿を見て私は思わず怒りを覚えてしまった。すると彼が話しかけてきたので、私はミユキのことを守る為に立ち向かったのである。

だがそんなことは無駄な足掻きに過ぎず。彼の攻撃をまともに食らいその場に倒れると私は意識を失ってしまう。すると、次に私が目覚めた時には既にミユキの姿はなかったのである。

私はそんな絶望的な気持ちになりながらどうにかミユキの無事を確認したいという一心から再び立ち上がった。そしてこの家にいるであろう。あの存在に復讐するために力を蓄えていくことを決意するのだった。

私はまず自分のことを確かめたのだ。まずはあの攻撃で私が死んでいるのか。もしくは瀕死の状態にさせられているのかを確認するためである。そこで私はまだ生きていることが確認でき。しかもこの体の中にいる別の誰かの力のおかげなのか。回復までされていることが分かったのだ。

だがあの男が、再び私を痛めつけてくる可能性を考えれば、ここで安易に動くべきではないと判断することができたので。しばらくは、この家から出ないことに決めたのである。

しかしこのままではいつかまた同じような目に遭うことになってしまうだろうと思い、私にはあの攻撃を防ぐ方法を考えることにした。あの攻撃は恐らく魔法によるものだ。つまり、あの時、私の体に何らかの影響があったことも確かだと考えられる。ならば、私はあの攻撃に対抗する為の方法を探さなければならないのだ。それにはまず、あの攻撃がどういう魔法による攻撃だったのかを考えてみる。すると私が考えついた結論は、あの時、確かに何かに体が覆われた感じがしたことを思い出す。

私はそのことを確信に持っていこうと。もう一度、攻撃の感触を記憶の中から呼び起こすが、やはりその時は攻撃される直前、何かが纏わりつくようなそんな感覚を受けた。しかし結局、それ以上思い出すことも、その感触を再現することもできないでいた。私はそれでも諦めずに思考を続けていると。あの時と今の私の状態が酷似していることに気がつくのである。あの時は私自身の体はボロボロだったが、今は違う。この体は健康そのものなのだ。

そしてこの体の持ち主のことを考えるとあの攻撃は私の体の状態を気にする必要がないほど強力だったということに他ならないので、その事実を踏まえて改めて私の考えたことを纏めることにする。

まずは防御の方法だ。あの攻撃を無効化するには単純にあの攻撃を受け止めるか。または回避してあの男に攻撃を仕掛けるかの二つの方法があげられる。しかし前者に関しては、もしその方法が成功しても私自身は無事で済むかもしれないが。もしもミユキに被害が出た場合私は私自身を許せなくなってしまうので論外である。よって、後者の攻撃をするしかないのだが。しかしあの攻撃を回避できるような技やスキルを持っているとは思えないのでその方法でいくしかないと考えるが。そうなってくると私の取れる手段があまりにも限られてきてしまっていることに私は落胆した。そしてあの男の隙を窺いながらひたすら訓練を重ねることしかできない状況に追い込まれた。あの男の戦闘能力はかなり高いもので。私は何度か殺されそうになったがその度に持ち堪えていたのである。

そうやってしばらく時間を過ごしていて、私は一つの答えに至ったのだった。

私が出した結論はあの攻撃をしてくる相手、つまりこの体の元の主にも弱点があるはずということに辿り着いた。なぜなら、あの男はミユキのことになると目の色を変えて攻撃してきたからである。それ故に私は、この体の元の持ち主がこの体の中に入っているという少女に対して執着のようなものを持っているのではないかと思う。だから、その執着している存在に対して、攻撃ができなくなるような弱みがあったりしないかと考えた結果、私はこの体の所有者の過去を知ろうと思い立ったのだ。それであの時の魔法について知る手がかりが得られると思ったのだ。

それからというもの私は毎日。必死になって過去の記憶を遡っていくのである。そしてその途中で、この体の元の持ち主の名前が「クロナ」という名前だと分かるが、その名前に私は聞き覚えがないのである。私はその情報から考えるにどうやら、ミユキと同じ異世界の人間なのではないかという可能性が高くなった。そしてその推測は当たりであり、彼女は異世界の人間のようで私に襲いかかった時に魔法を使ってきたことも分かるが。肝心の魔法についての知識が殆ど無いため。私はこの先どのようにして彼女の魔法の力を高めていけばいいのか分からず困ってしまっていた。しかしそれでも諦めないで試行錯誤を繰り返していくことしか私にはできなかったのである。

そんなある日、この屋敷にあの魔族が現れると報告を受けるとすぐに、その人物がクロカの居場所を知っているのではないかと思い、この部屋に来るように指示をするのであった。

俺は目の前に居る女の顔を見ているとこいつがあの方の力をその身に宿していたのだと言うのだ。俺は信じられなかったが。それを裏付ける証拠を突きつけられたことで、信じざるを得なかったのだ。俺が魔王の封印を解いた直後、魔王が目覚める前に俺を殺そうとやってきた人間を返り討ちとして殺そうとしたが逆に殺されそうになっていたところに魔王が目覚め。人間たちを一掃した。そしてその際に魔王の力の欠片を手にいれ、それを自らの体内に吸収したことで。この女のように魔族の血を引いている人間が俺のような人間になれることがわかったので、魔王様から直々に命令され、この女を殺す任務を任されてきたのだ。

そして今からこの女の体を奪う為に殺しにかかったわけだが、その攻撃を食らってこの女は死んでいなかったのである。そこで魔剣を取り出して、その魔剣の力で女を圧倒しようと攻撃を仕掛けたが、その魔剣の攻撃を食らってもなお、その剣の魔力を切り裂いてくる始末である。

そこで一旦距離を取ると俺はその女の持っている武器を見てみると。その剣の柄から伸びている糸のような物に繋がっている剣を振るっていたようであった。しかしその攻撃の威力が凄まじいものであったのかその刀身には魔力を纏っていた。だが、それはただの剣ではないことは一目見てわかった。そう、その剣の刃の部分からは禍々しい黒いオーラを漂わせていたのである。その剣を見たとき、本能的に俺にはわかる。その魔力を纏うことによってこの女が相当な手練れであることが。

そうすると女が、

「もう、あなたと戦う意味はないです」

とそう言ってきた。それに対して俺は何も答えることなく黙って聞いていた。すると、

「私はこれからも勇者の皆さまのお手伝いをしていこうと思っております。なのでこれからもこの世界で生きることを許可して欲しいんです」

「お前に拒否権なんてねえんだよ」

「え? 」

その声を聞いて振り返ると、そこにあの方がいたのだ。そして、

「その男を処分せよ」と、あの方に言われてしまうと俺は体が勝手に動いてしまっていたのである。

私はその言葉に反論しようにも恐怖のあまり何も喋ることができなくなってしまっておりそのまま抵抗することなく意識を失う。しかし、目を覚ました時にはこの体の主のベッドの上で寝かされており。私は助かったのだと感じることができた。

私はその後、自分の体があの方の手に落ちたことを知ったのである。私は、この体に元々あった記憶と私が今まで見てきた記憶を交互に整理し、ようやくあの方の力の一部を理解することができてきたので。この世界に存在する全ての人間を支配するべく動くことにしたのである。

私はまずこの世界に蔓延っている魔物の殲滅から着手することに決めると、私はこの世界の人間達にとって脅威になりそうなものから順に、私の眷属に変えていき戦力を増やしていった。そしてある程度勢力を拡大させたところで私はあの方の力を完全に我が物としたと思い込むようになり、あの方を裏切ったこの世界の人類を根絶やしにすべく。私は動き出すのだった。

しかし、この世界の人の中には強い者も少なからず存在してきていて、私がこの世界に転生してきた目的でもあるあの方はこの世界でも健在なのであることがわかり安堵してしまうが。やはり私の敵ではなかった為。私の計画通り順調に進んでいくのだった。

それから私は自分の部下に、自分の代わりに魔王様にこの世界を管理するようにお願いをしたのだが、あの方はこの世界を私に託したと言って下さったので私は感激のあまり泣いてしまった。そして私はこの素晴らしいこの世界をより発展させていく為に様々な計画を立てたのだった。その中でも私が最も重視したのが教育であり、私が作ったこの学園は、この世界における最高の学びの場となっていることを確信する。

しかしある時を境にあの方と連絡が一切取れなくなり不安になった私は、その不安を取り払う為にあの方にもう一度お会いすることと、この世界で私に逆らう者を排除し、そして私の計画を成就させるために私は動き出したのである。

私には、私自身が考えた計画の通りに物事が進まないことが許せないので、私はあの方に認めてもらえるように私は必死になってこの世界で行動することにしたのである。そして、私が、私の理想郷を作り上げることに成功した時、きっとまたあの方が私を褒めてくれるだろうと思い。あの方を驚かせる為の計画も並行して進めながら私は私だけの幸せを手に入れようとしていたのである。

私は今現在進行形で、私が考え出した計画を完璧にするために私は行動していた。

しかしあの方はいつまで経っても私にご褒美を下さらないので。私は非常に不満を覚えていた。私はその事に関してどうにかあの方とコンタクトを取ろうとするも、やはりあの方からの返信は未だになかった。そしてその事が、ますます私をイラつかせていたので私は、あの方の寵愛を受けられないのであれば他の人間を利用してあの方に会いに行くことを決意したのであった。そうすることで私はあの方のお側にいることを許されるようになると思い込んだ私はまずはこの世界において私に従うべき存在であるはずの者達から私は排除していったのである。

まずはあの方が愛している人間達の排除である。私はこの国の人間達が私と敵対する意志があることを感じ取っていたので私は私の作った魔道具を使い。この国の人間の魂を全てあの方に捧げて差し上げようと企んでいたのだ。しかし私はここで計算違いをしていたことに気付かされる。なんとこの国の住民以外の人間が私達に反抗的な態度を取って来たのである。しかし私はそんなことで狼少年にはならないので。私に逆らったこの人間達を私の作りだした私の配下に強制的に変えさせてあげることにしたのである。しかし、私はこの時まだあの方に報告するほどの事ではないと思っていたのである。

それから数日が経った頃私は、この国の民以外から集められた奴隷を使ってあの方をお出迎えするための準備を進めると同時に私はあの方に報告をすることにする。そして、私達は無事にあの方に会うことができたのである。しかし私はその事で非常に落胆したのだった。なぜならばそこには既にあの方のお気に入りである少女がこの世界に来ていたからである。

それに加えてその隣には勇者であるミユキがいたのだ。そこで私はミユキをあの方に献上すれば私にもっといいご褒美を与えてくださるかもしれないと思った私は、ミユキを私の支配下に置いてあの方の寵愛を受ける権利を私に与えるように説得を試みたのである。

しかしその交渉は決裂してしまい。私に怒りを覚えたあの方はミユキに襲いかかったのである。そしてミユキを殺そうとした時に私の作り出した眷属の男がその攻撃から守ろうとしたが失敗に終わると。ミユキは殺されずに済んだが、ミユキの事を気にかけていたあの方はそのことでミユキに対しての執着心が強くなってしまい。その日からミユキを手元に置きたがるようになったのである。その事は私の計画を大幅に変更させる出来事となってしまったのである。私はあの方に少しでも気に入っていただけるような女性を厳選して作ってみたのに結局あの方は私を見てくれなくなった。しかも私はその事実を受け入れられず。私は私自身の存在を抹消してしまおうと考えたのである。その結果、私が作り上げてきたあの方の為の計画が頓挫しそうになったので。この計画を完遂させるため私はこの体を捨ててあの方のお側に行ける方法を探し始めることにした。そこでこの体の元の持ち主であるクロナと言う人物について調べるとクロナは元々異世界から来たようで、クロナが元いた世界に戻れるようにする方法を調べていたようなのである。そこで私はクロナの体を乗っ取ることで元の体に戻る方法を探り当てた。

そこで私はこの世界にやって来た目的を果たすために私は元の世界に帰るべく。異世界への移動を可能とする魔道具を作ろうとしたがなかなか上手くいかずに苦労をしているところにこの世界の住人の誰かの妨害が入り私の作る時間を奪われてしまいそうになってしまったのである。私は仕方なくこの体を使うことに決め。この世界の人間を魔道具の製作に集中出来るようこの世界の人では干渉出来ない場所に魔道具を製作するための施設を作ってそこを私の拠点とするようにしたのである。しかしそれでもあの方は一向にこちらに戻ってこなかったので私は諦めてこの体を使ってこの世界で生きることを決めたのである。そして私の体の中に残っていたクロナの意識を目覚めさせると彼女はあの方に会ったことがないと言っていた。私はあの方なら絶対に彼女を一目見ただけで惚れているはずなのだが、彼女があの方のことを何も知らないと知り私は愕然としてしまう。だが私はこの体の中に残るクロナの意識を目覚めさせることにより。あの方にもう一度会えることを期待し、この体に残ったあの方の痕跡を探る為。クロナが持っていた記憶を頼りにこの体に宿っている彼女の魂の記憶を辿ることにしたのである。するとこの体の元々の持ち主であるあの方と出会った記憶があることが判明した。

その記憶はあまりにも美化されたものだったが。私は、この世界の人間達があの方を騙そうとしていることをすぐに見抜き私はこの世界にいる勇者とあの方が出会ったらあの方はあの方でなくなることを理解できた。だからこそ私はこの世界が崩壊するのを阻止するべくあの方にこの世界を守るように指示されていた。

あの方はこの世界を守ろうとしている私達のような人間に対しても好意的でいてくれたし。あの方も私のことが大好きと言って下さったが私はその事がどうしても信じられず。私はあの方が私のことをどう思っているのかを知る為にも私にチャンスをくれないかなと、私はあの方が一番好きな私に化けることにしたのだった。

「あなたは何者ですか?」私は私の顔を見るなり目の前にいた女性は突然そのような質問をしてきたので。私は何のことかわからなくて、つい首を傾げてしまったのだが、その時私はふと思う。この人は私に似ているなと。だから私はこの人のことをよく観察する。すると彼女は自分の持っている剣に手を当てて何か呪文を唱え始めた。それは私がこの世界で初めて使ったスキルの魔法の詠唱であり私は驚いてしまう。この女性が魔法を使ったということは私の中の魔王の血族としての能力が発動したことになるのだが。私はどうして私の体がそんなことになったのかさっぱりわからなかった。だけど私はその答えを知ろうとしなかったのである。

私は自分の体が何故そうなってしまったのか分からなかったけど。今はまだ考えるのをやめておく。それよりもまずはこの人をなんとかしなければと思い。私はとりあえず話を聞いてみることにした。

そして彼女から告げられたことはとんでもないことだったのである。私はそれを聞かなければ良かったと思ってしまったのである。なぜならこの人の正体は、私とあの方との間に生まれた子供だと言われたのである。あの方が子供を身籠っていたという話を私はあの方から直接聞いたことがなかった。だからこの話はにわかに信じがたいのだが。私にはあの方のお側に仕えたいという想いがあった。

それからしばらくして私にこの世界を任せたと言った魔王の言葉を思い出し私は自分の考えを切り替える。あの方は私にこの世界を任せてくれる代わりに、私があの方の子供を育てても構わないと言っていると私は思うことにする。しかしそう考えてからというもの私は魔王の娘さんからあの方との関係性を問い詰められる羽目になる。あの方との関係を正直に言えなかった私は、適当に誤魔化してしまったが魔王の娘さんは納得してくれたようだ。私はあの方のお役に立てるような人材を育成する為の機関を作ることを思いつく。

しかし魔王様の娘であるあの方、アユムちゃんとやらは私の予想以上に成長しており。その事に驚くと同時に私は少し嫉妬してしまう。私がこの世界で作りあげたものを簡単に壊してしまうほどの能力を持ったあの子に対して私は対抗心をむき出しにする。あの子の力は私よりも強くなっていた。私はあの子に負けないようにさらに研究を進めると。私の中にあるあの方の一部の力の結晶が暴走を始めるのである。そして私は私の中の力を抑える為。私はあの方の力を封印することにした。それが成功したことによって私はあの方のご命令を遂行することができなくなってしまったのである。でも私に後悔はなかった。なぜならばあの方のご指示は完璧に達成されたから。私は、これからもあの方のために働き続けることができることに満足している。そして私は今もこの世界で生きているのだ。

俺が目を覚ますと見覚えのある光景が広がっている。

そしていつも通りのベッドに俺は横になっていた。そう。これは夢じゃないんだよな。クロネとまたこうして会うことが出来たという実感がわいてきて。思わずニヤけてしまうのだった。

しかしそんな時。俺の頭の中には声が聞こえてくる。

《おはよう。今日から本格的に勇者活動してもらうから》 相変わらず感情の起伏が分からないクロナの声で、脳内に響き渡ってきた。そして、それと同時に、クロネの体に入ったクロリアが現れる。俺は慌てて起き上がり。辺りを見渡すと。隣にはなぜかクロナとクロアがいる。俺は訳がわからなくなり。

二人に向かって話しかけようとした瞬間に、いきなり視界が切り替わったのだった。

「ここどこだよ」

気がつくと周りは真っ暗な空間でなにも見えなかった。

しかし、突然俺の目の前の床の一部が開き。そこから光が伸びて来て。俺を包み込む。

次の瞬間には俺は草原の真ん中に立っていた。

ここは、確か初めてクロネの体に乗り移った場所だ。しかし今度は俺の意思でこの体を動かす事ができるのだろう。だって、さっきのクロナの声が聞こえるまでは、こんなにはっきりと意思を持って行動することはできなかったはずだからだ。それにこの感覚、クロネアの体を乗っ取り操っていた時に感じるものと全く一緒なのだ。

「おい。なんなんださっきの夢みたいなものは。それより今はクロネに早く謝らなくちゃいけねーのに、これじゃどうしたらいいかわかんねぇよ。それにしてもここは何処なんだ?」

「それはですね。この場所はあなたがいた地球とは別世界の。この星の衛星である月に存在する私達の居城にある部屋の一つです。ちなみに私はここで管理を任されているんです」

突然後ろの方からクロナそっくりの少女が現れそう言い放つと、彼女は続けて言う。

「まぁ、正確には私の中にいる魔王の一人の体なのですがね。私はその魔王を乗っ取って行動しています。もちろんあなたの中にもいたのですけど私が追い出しておきました」

彼女はそのように言ったあとに俺を見てクスリと笑い出すと俺に話しかけてきたのである。

「お久しぶりですね。あなたの方からこちらに来る事が出来なくて残念でしたわ」

その少女は、口調まで似ているように思えた。ただクロナと比べると少し背が高くスタイルが良く大人びた印象を受けた。髪の色も金色に染まっていて綺麗な長い髪だったのだがクロナは銀色で短いため少し違って見える。

クロナの場合は顔は可愛いんだけどちょっと幼い感じなのに対して。クロナの姿に似た女性は大人の妖艶さを感じる。そのおかげでクロナの時より少し年上に見えた。そんな事を思っていると女性は微笑んでから自己紹介を始めたのである。

クロナがクロエという名前だという事は知っているが、この女性の事はクロナの意識の中で知った名前でしか知らない。だから俺は女性の名前を聞きたくて。つい彼女に話しかけた。

「あのさ、あんたの名前はなんていうんだ?それとこの世界について教えて欲しいんだけど、いいかな?」

そう問いかけると。彼女は微笑を浮かべながら口を開いた。

「私はこの世界の管理を任された魔王。名前はそうね、クレアと言いましょう。そしてこの星の管理も任されています。つまりはこの世界で私に逆らえるものは存在しないという事なの。よろしくお願いしますわ」

クロナは確かに凄く強かったけど。目の前の女性も魔王だとすると、もしかしたら、こっちの世界でも魔王は魔王なのかと思ったのであった。

それから俺はクロエさんにいろいろ聞いてみることにした。クロナの話によれば、魔王というのはこの世界を管理している神様的な存在なのだが。その仕事は世界の均衡を保つことで。基本的には世界に危害を加えようとしていない限り干渉しないらしいのだが、この世界を管理するにあたって邪魔になりそうな人間を見つけた場合は排除するように動くことがあるらしい。だから俺はクロエさんの機嫌を損ねないよう、下手に出てみることにした。

「あの、さ。もしかすると君達の計画に水を差しちゃうかもしれないけど。それでも良ければ俺に協力しようと思う。だからこの世界が滅ぶ原因となっている人間を排除したり。人間達から勇者と呼ばれる奴等を倒すことくらいならできると思うんだけどどうだろうか。だからそのついでに君の頼みも聞ければいいかなと思ってるんだけど。それでどうかな?」

俺のそんな提案を聞いた途端に、彼女は笑顔を俺に向けると、とても嬉しそうにしているように見えた。

その反応を見る限りではこの世界はクロネと魔王達に完全に滅ぼされるというわけではないと思えるのだが。俺は彼女の返答を待つことにした。

「ふふふ。そんな事を言ってくれる人に出会えて本当に嬉しいです。私達はこの世界を消滅させることを望んでいません。だから協力していただけるのは心強い。そう思います」

「そっか、良かったよ。じゃあ、まず何をしようか。そうだ、君達がやろうとしているこの世界を崩壊させない為にしていることを教えてくれないか」

「ふふ。その前に一つ確認したい事があるの。私はこの世界を崩壊させたくないから、この世界を救いたい。でもこの世界の人間の全てがその考えを持っているわけではありません。むしろこの世界が消えれば全て終わりと考える者も少なからず存在します。そこで私達はこの世界から脱出できない人がいることを知り。彼らを救済してあげる必要がありました。この世界から出られなくても幸せになれる方法が何かあるのではないかと考えた結果、一つの答えに行きつき。それを試すために私達の力の全てを注ぎ込んだのが。異世界への移動を可能にする機械装置。それがあの装置です。私達の力はもうすぐこの世界を維持することが出来なくなります。この世界が壊れる時が来る。そう考えた上での行動でしたがまさかあんな風に失敗するとは思いませんでした」

それからクロエさんはその話を一通り説明してくれてから最後に俺に頼んできた。

「この世界で私がしてきたことの説明をするのは良いのですが。そのせいであなたの質問に満足に答えることができなくなるかもしれません。しかし、今から私が行うことは確実に成功させたいと私は思っています。だから、私がやることを手伝っていただけないでしょうか」

そう言い終わると、彼女は真剣な表情になるのだった。俺は、それに応えるようにクロリアに念話で話し掛けてみると。すぐに返事があったのである。

《この人のやることを手伝えば。この人がこれから何を行うのか分かると思うよ。あと私もその方が面白いから、私も協力することにした》 クロリアがそういうのならば俺が断る理由は無い。それに俺の勘が告げてくるのだ。彼女がこれから行うことには、大きな意味が込められているような気がする。それがなんなのかは俺にはわからない。だけど、俺は彼女達に協力する事に決めたのだ。

そして俺が決意を固めて。改めてクロエさんの方に向き直ると。俺に向かってお辞儀をしながら彼女は俺にこう言ってきた。

「私はクロナに頼まれてあなたの手伝いをする事になったの。私はあなた達とは違う世界で生きてきた。私は、私の役目を果たす為にあなたと行動することになった。これからよろしくね」

クロエさんは俺に手を差し伸べながらそう言ってきたのだ。そして俺がその手を握り返すと。俺はこの人に違和感を感じてしまう。この人は、見た目こそクロナに似ているが、俺の頭の中にはこの人はクロナではないと警告が鳴っていた。でもこの人はきっと悪い子じゃないだろうからと自分にいい聞かせる。それにしても俺とこの世界の人間が入れ替わってしまうという事は。この人も元々は地球で生きていたのだと思うのだが。

クロナの話によればクロナは元々クロネアという別の存在として、地球で生まれたと言っていたはずだ。なのにどうして地球で暮らしていた頃の記憶があるのだろうと疑問に思うのである。

俺は、気になったからその事を彼女に尋ねてみることにする。

「クロネって言ったかな? あなたはクロネって名前の割には地球での暮らしに馴染んでいたよね。もしかして、あなたには前世の記憶が残っているの?」

その問いかけに対して彼女は微笑みながら俺を見つめてくるのである。

「えぇ、そうね。少し違うけど。確かに今の私の中に、クロナの記憶は残っているけど。でもそれは本来の私であって、前のクロネアとは別なんだよ。クロネアとクロナは同じようで少し違った存在なんだ。だから私はクロネアでもあるし、クロナでもあって。どちらとも違う存在であるともいえるんだ」クロエさんは微笑むのを止めないままで話を続けた。

「まぁ、細かい事は気にせずにとりあえず行動しようよ。クロネと魔王様の計画に私が参加出来るなんて夢みたいな事だしね」

そう言うとクロエさんは突然走り出し草原の遥か向こうに見える街に向かって駆け出した。俺はそれになんとか追いついて一緒に歩き始める。

「あのさ、俺は何をすればいいんだ? 俺のことはなんと呼んでくれてもいいけど」

「んー。それじゃ、あなたって呼んでおくね。それでね。私も聞きたかったんだけどあなたはこの世界で一体どういう立場にいるの? さっき魔王様に聞いていたのは本当なの?」

クロネの姿であなたと呼ぶ呼び方にドキリとする。しかもさっき俺が彼女に聞いた話が真実なのかも分からない状態なのだ。もしここで本当のことを言えばどうなるのかと考えてしまい、クロエに本当の事を伝えられなかった。俺は嘘を言う事にして、そのあとで誤魔化すことに決める。

「俺は魔王とか神だと言われている人達が作り出した兵器の試作品でしかないから。よくわかんねぇよ。多分あいつらの仲間だったんだろうなって程度にしか今は考えられない。でも俺はあの世界を救う必要があると感じているし。それに俺の中にいるシロのために。あの子を守りたいっていう気持ちだけは確かだよ」

俺がそう言い切るとクロエが嬉しそうな顔をして、こちらに近寄ってくると俺の手を握ってきた。その感触はとても温かく感じた。俺は思わず照れ臭くなってしまい。顔が熱くなったがクロエの方をじっと見てしまった。彼女は俺の目線に気付きニコリと笑いかけてくれた。その笑顔はどこかで見たことがあるような気がして懐かしさを感じた。そんなこんなで歩いているとクロエから質問を受けたのである。

「それで。これからクロネと魔王様は、この世界からどうやって抜け出したの? 私達と同じような事をしたの? それなら同じ事が可能なんじゃない? でも失敗したからこうして困っているんだよね?」

確かにその質問に俺は、首を傾げざるを得なかった。俺はクロナに念話を繋げることにする。

《なあ、お前ならどうする? どうしたらこの状況を抜け出す事ができると思う?》 するとクロナの返事は意外なものだった。

《そうですね。私はクロナちゃんに、この世界の外は異世界だって言われた時に。その異世界がこの世界に存在しない事を知ったんです。そしてクロエがクロリアさんに会った事でクロナの計画が失敗してしまった事もわかりました。だから私達の計画は破綻しています。でもね、クロエ。あなたのおかげで、私は、クロコが何をしようとしているのか分かった気がします。私は、クロコの計画を潰しますよ。私はもう二度と大切な人と離されるような思いはしたくないですから。クロナのこともクロコに任せようと思っていましたが、どうやらそうもいかなくなったみたいですからね》 それから、クロナと会話を終えると同時にクロエが俺にこう話しかけてくる。

「クロネ、ちょっとだけクロナに変わるけど、許してくれる?」

そう言うと彼女は目を閉じてから再び目を開ける。するとそこには黒髪ロングの綺麗な少女がいたのである。

「なるほど、これがクロナの本来の姿なのか。すごく可愛らしい姿じゃないか」俺は素直にそう思えた。彼女は俺の言葉を聞いた途端に赤面してしまうと。

「ふふ。ありがとうございます。ところであなたに、クロナの事を教えておくのを忘れていました。この子は、本当はこの世界に存在するはずのない存在だったのです。それがなぜかこの世界に来ていて。クロネアと出会っていた。私と同じです。だから私達は仲間だったんですよ。でも、私にはクロネアがこの世界を壊そうとした理由がわからなかった。だけど今ようやく分かりましたよ。この世界の人間を犠牲にしてもクロネが助かるならば仕方がないと思う人もいたかもしれません。だけどクロネはそれを望んでいないと思います。クロネは自分が犠牲になって、世界が壊れていく姿をずっと見続けなければいけない状況に陥って。絶望して狂ってしまうような子じゃないはずなのですよ。あの子があんな風におかしくなった原因はきっとクロネの中にいた誰かにあったのだと思います。クロナはそれをわかってて何もしなかったのだ。私はあの子の代わりにクロネを守る義務があります。あなたにも私達の味方に付いていただいてよろしいですか?」

「もちろん、俺もこの世界を壊したくないと思っているからな。この世界を崩壊させないようにするためにも、君に協力できる事があれば手伝うよ」

「ありがとう。クロエって呼ばれるとなんかクロナに呼ばれてる感じがするけどクロナは今ここには居ないし、私の名前はこの世界に合わせて。クロアとでも名乗るかな。だからクロナの代わりのつもりで、私のことはクロアって呼んでもらえると嬉しいかも」

「そうか。俺はあんまり女性に名前で呼ぶ機会がなかったからクロナ以外で、名前を普通に呼べるようになるまで時間かかりそうだな。クロエの事はクロナって呼べばいいのか?」

「えぇ、それで構いませんよ。私の方も、クロナ以外の人は皆、男の方でしたので男性の名前を呼ぶのに抵抗が有るのです。なので私も、あなたの事は、コウガと呼びますね。これからしばらくの間よろしくお願いしますね」

「ああ、わかったよ。それでさっき言ってたことだが。君は一体何が分かって、何をする気なんだ?」

「そうですね。先ず最初にあなたは、この世界でクロエと呼ばれている人物と会っていたのですよね?それは私であって。私はこの世界のもう一人のクロエでもある。そして私はこの世界がクロナという存在に滅ぼされようとしていた事を知っています。私はそれを防ごうとしたクロナによって生み出された、クロナのクローンみたいなものなの。だからクロネに何かあってもクロネは死んでしまった訳じゃないんだよ。それに私とクロナが同じ場所に存在していられるようにと、私が元々存在していた宇宙とは別の宇宙に私の身体を作り出されていて。そこでクロナとして暮らしていて、その世界であなたと、私の旦那になる予定の人に巡り合ったの。あなたには、まだ伝えてなかったけどね。それでさ、コウは覚えてないかしら? あなたと私が初めて出会ったあの時のことを。私達が初めて出会った日って雨が降り注いでいたわよね? 実はあの日に私はあなたに出会ったのよ。私も最初は自分の置かれている立場が上手く理解出来ていなかったんだけど。あの日の出来事がきっかけで今の私は、この世界を救うための行動を取ろうと決めたのよ。だからまずはコウがどうしてそんなにボロボロになっていたのかを聞きたいかな」

クロネの姿から、クロエに戻ったクロアの問いかけに対して。俺がクロネと出会った時に起きた出来事を説明したのだが。それを聞いたクロエの顔は驚きと喜びの表情を見せていたのである。そして俺が説明を終えると同時に、俺の腕にしがみついてきたのであった。

俺は突然腕に絡みついてきた、クロエを見て戸惑ってしまっていた。そんな戸惑いを隠すように俺は質問をしてみることにした。クロアはクロナとは違うと自分に言い聞かせるように。俺は彼女に対して疑問をぶつけてみる事にしたのである。

「その。俺達が会ったっていう、その日なんだよな? 確か俺が、クロナの身体から魂を抜き出した時にその、俺の中の力? みたいなのを使い果たしちゃったから。俺の意識が無くなって、それから俺の中で眠ってるってクロナは言ってたぞ」

「やっぱり! それって多分、私があなたを異世界に召喚したからだと思うのよね。私があの子の力をあなたに流し込んだから。あの子がこの世界であなたと出会うことが出来たの。だからあなたはあの子を守るために、こんな無茶な戦い方をしていたんだね」

「それじゃ、俺がここにいるのもクロネの力によるものなのか?」

「多分、そうだと思うわ。あなたに流れている血の中に、クロネの一部があるのは間違いないもの。あの子が目覚めれば、全てがはっきりすると思うのよね。それじゃとりあえず、家に戻りましょうか。クロネとクロエちゃんについて話す事があるし、コウにはこれから色々と協力してもらうつもりだから。今日はこの家で一緒に生活するわよ!」そう言ってクロアは歩き始めたのである。そしてしばらく歩いたあとに俺は重大な問題に気づいてしまった。俺の家に女の子を招き入れる事など初めての事であると、そう考えた途端俺は心臓の鼓動が激しくなるのを感じたのである。そしてさらに俺はとんでもない事実に気づく事になってしまった。俺はクロネ以外と、まともに会話する事自体久しぶりだと言う事と、ましてや女の子と、しかも美人と二人きりなんて初めてだと、気づいてから焦り始めてしまった。しかし俺は今クロネではないクロアと一緒に居るのだと思い直す事に成功した俺は少し落ち着いてくる事が出来たのだけれど。

するとそんな事を考えている俺にいきなり声をかけられたのである。その声の主はもちろん目の前にいる、クロアである。その言葉を聞いた瞬間俺は思わず動揺してしまったのだけれどもなんとか平静を保つことが出来て彼女に言葉を返す事が出来ていた。それから彼女は微笑むようにして「さあ行きましょ」と言って俺の手を取ってきた。彼女の柔らかな手の感触や体温を感じてしまうだけでドギマギしている俺をクロエがどう思っているのかと考えると恥ずかしくなってしまい、顔に熱が集まってきてしまっている気がしてならないのだけれど。今はクロネに会う前に、彼女と話をしなければと思った俺はクロアに連れられて家にたどり着くのだった。そしてクロエの姿を見て驚いた俺は一瞬にして冷静になった。そしてクロナの姿を見るとやはり胸の奥底が締め付けられるような痛みに襲われるのと同時に懐かしい感覚が湧き上がって来るのを感じていたのだった。

「ふぅ。やっぱりコウがいるからなのかなぁ。すごく落ち着いた気分になれるね。ありがとうコウ。それとね。私のことも、もっと甘やかせてくれてもいいんだよ?」

「な、なんでだよ!?」と驚く俺にクロネは自分の胸に俺の手を持ってきて押し当てると「ねぇ、私の身体、どう?」と言いつつ首を傾げてこちらに顔を近づけてくるのだけれど。俺の心臓が跳ね上がったままなのがバレてしまいそうだったので。慌てて手を放してから、「な、なんでもない」と答えたのである。すると彼女は頬に空気を入れて膨らませてからこう言うのだ。「私だって女の子なんだからさ、こういうことされると、その、恥ずかしいんだから、もう少し手加減してほしいって言うか。とにかくもう、変な意地悪しないで欲しいかな」と言った後で彼女はクロエに近づいて行くと。彼女はクロエの頭を抱いて撫でながら「お姉ちゃん。おかえりなさい」という言葉と共に、クロアの目に涙が浮かんでいったのである。

「ただいま、クロネ」そう言った彼女の目には涙が溢れ出していた。

そしてそんなクロアの様子に気づいたクロネが、クロアに抱きつきながら泣き出してしまっていて。二人はそのまま、長い間泣き続けたのだ。俺はその間ずっと、二人の事を見つめる事しかできなかったのである。そして二人が落ち着くと。今度はクロネが俺に近寄って来たのだった。そしてクロネは「あのね、ごめんね。本当はすぐに会いに行けばよかったんだよ。だけどあの時ね、コウが私の中にいた時、あの子が私の事守ってくれてたからさ、だから私に出来ることをしようと思ってさ。でもあの子にばかり辛い思いさせて、結局私があの子に助けられてるんだよね。本当にダメなお姉ちゃんだよね私。それにあの子も、あの時泣いてくれてたんだろうけど。私のせいで泣いたのかもって思うとさ、私って本当情けないよね」などとクロネらしいことを言っているなと思ってしまい俺はつい笑ってしまっていた。

「何を言ってるんだか、俺はお前に感謝したいよ。俺をこの世界に連れてきてくれた事にな。ありがとうな、クロネのおかげで俺はまた大切な人を見つけることができた。お前のおかげだよ」と笑顔で答えた俺の事を見ていたクロネも嬉しそうな笑顔で「私もね。コウが、私のこと好きになってくれたからさ。私、コウと一緒じゃないといやって思ったからさ、コウのこと呼んだんだよ」そう言いながらもクロナとクロアが二人で、お互いの事を呼び合っている光景は見ていてとても幸せな気持ちになれた。

クロナ、いや、クロエはクロネと再会できた事でかなり元気を取り戻していた。だから俺はクロネが、俺と会っていた時になにをしていたのか聞く事にしたのである。そして、俺がクロネと出会った日の事を詳しく話して欲しいと頼むと。クロナと、クロネはお互いの目を合わせるとなにかを察したかのようにうなずき合っていた。そしてクロナは俺に向かって話し出す。

「あの日ね。私達はコウガが、クロネの中に入っていた時と同じ状況にいたんだけど。あの時はね。あの子を私が守ってあげたいって強く思っていたのね。そしたら、私の中にあるクロネの力が勝手に発動してね。私はコウをこの世界に召喚することに成功したんだけど」

それからクロナはその時起きた出来事について語り始めた。まずはクロネのクローン体として生み出されたという自分のクローンの存在であるという事をクロアが説明してくれたのだけれど。正直俺はあまり納得できない内容でもあったのであった。そもそもクローンなんてものがあるのかという事もだし。クローンを作った所で何の意味もないんじゃないかと思えたからだ。だから俺はクロネがこの世界を救うために自分の力を分け与えていたという部分だけ理解することにした。

そういえばクロネから俺の記憶を消し去ろうと考えていた、とか言っていたがあれはどういう意味なのかを聞く必要があると感じた俺はクロネに対して「どうして記憶なんか消そうと考えたんだ?」そう問いかけてみたのだが。それに対してクロネが、俺からクロアの身体が離れてから起こった出来事を話し始めるのであった。

クロネから、俺とクロネが初めて出会った時の事を聞いた俺とクロネはクロアのいる前では言いにくいこともあったため。俺達二人だけで、クロアとクロナがいない時に、話をしようということになったのである。そしてその日の夜。寝ている最中に俺はクロアに抱きしめられ、キスされ、そして、胸や下腹部に指で触れられる感覚を覚え、俺は驚いて目を覚ます事になったのだけれど。そんな時ふと思い出したことがあった。そうそれは、夢の中の世界で見た光景を思い出したのである。しかし俺はそのことを深く考える間もなく。クロエが俺達の部屋に入ってきたことに驚いた。それから俺はなぜか裸になっていた事に気付き慌てて毛布の中に潜り込んでしまう。それを見た彼女は呆れた表情をしながらこう呟いていたのだった。「あーやっぱりかぁ」と。それからしばらく沈黙が続き気不味くなってしまった俺はなんとかこの状況を打開する為にある提案をしてみることにしたのだ。それは彼女が俺にしてきた行為へのお返しと言わんばかりに俺もまた彼女を愛でてあげればいいと思ったのだ。だから俺は彼女に「お礼だ」と言うと。俺はクロネを後ろから抱きしめるとそのまま服を脱がせていく。

すると俺の予想以上にクロネの胸は豊満なものでありその柔らかい感触や匂いが鼻を刺激する。さらに俺は彼女の胸に触れながら揉んでいく。すると彼女は恥ずかしそうに身をよじりながらも抵抗する事なくされるがままになっていて。そのことがさらに興奮を高めてくるのを感じた。さらに俺はクロネに口づけをしてから、彼女の耳元で「いいよな」と言ってみると。彼女が小さくうなずくのを見てからベッドにゆっくりと押し倒していった。そして俺が覆いかぶさるような体勢になった途端。俺は我に帰る事になり冷静になったのである。

そうして俺がクロネと離れようと思っていると。彼女は自ら、クロコと交代する事を選んでくれて。それから俺達はお互いに向き合い見つめ合うような姿勢になる。しかし俺の顔は真っ赤で、それを見るクロコの方も同様らしく。お互いに顔を赤く染めてしまうのだ。それからしばらくして落ち着きを取り戻すと。クロネと、クロコと手を繋ぎながら。三人仲良く、同じ布団に入り眠ったのである。そして翌朝、俺が起きてからクロエが、クロネの服を着ているところを目撃してしまい。少し嫉妬心を抱く事になるのだった。

クロアの家は、家と言っても豪邸で、しかも、広い土地まで所持している。だから、俺は、庭を借りて剣の練習を行う事にした。俺に教えてくれていた先生が、今度から一緒に暮らすことになったから。俺に練習用の木刀を渡してくれる。そして、俺の隣で同じように剣の練習をしている少女がいた。その子の名前は、アリシアと言い、年は俺と一つ違いで。彼女は、エルフの国の王女であるそうだ。俺と彼女の共通点がある。俺も一応貴族なのだが、親父が無職だった為に平民同然の生活をしていた。そんな境遇に共感するところがあり、俺が声をかけたら、彼女から、「私の友達に、あなたとそっくりな男の子がいるわ」と言われて。その彼と仲良くしてあげて欲しいと言われるのである。ちなみに彼の名はアルヴィンと言い、見た目年齢は、俺と同じくらいで。女の子みたいだけれど、れっきとした男のようだ。だからだろうか、彼女は、彼に俺の事を紹介するとき。こんな風に言っていた。「彼は、とても優秀な魔術師で、将来きっと、この国で一番すごい冒険者になれると思うんだ」そんな彼女の言葉を聞いていたアルヴィンが、「君もそうだけど、コウくんだって負けていないはずだよ」などと俺に向かって言い放つ。そして、その後ろでは。彼女が俺のことを見つめていて。

そうして、今日からは。クロアやクロナとではなく。アリシアと一緒に剣術を学ぶ事にしたのだった。俺にとって、彼女との関係はとても大事なものだから、なるべく早く、仲良くなっておかなければならないと考えているからである。ただ、その事をクロアに相談すると、なぜか彼女は拗ねたように「私とは遊びだったのね」などと言った後に。すぐに謝ってきて「別にコウが他の子と話しても構わないけど。私とももっと仲良くしてくれないと、嫌」なんて事を言われてしまったのである。

それからは俺とクロアは、クロネ、クロア、クロアと共に訓練を続けていった。

クロエのクローンであるクロアだが。クローンであるにもかかわらず、オリジナルの能力や魔力が引き継がれていたり、俺との相性が良いらしいのだ。そのため俺はクロエと共に魔法を学んだのだ。その結果。クロアは、俺よりも遥かに高いレベルの魔術師になってしまったのだ。俺としては魔術を学びたくなかった理由が、このレベルに達する事ができなかったのが大きな原因だったのだが。それがあっさりと解決してしまったわけだから。クロネやクロアには悪いが俺はちょっと落ち込んでしまっていた。まぁ俺の場合魔術の素質は、元々持っていたのだと思うし。クロエの力が覚醒したおかげでもあるから、仕方ないといえばそうなんだけれど。

そう言えばクロネもクロエも俺と同じように。クロナとクロアのクローンがこの世界にいるという話を聞いたが、その二人は、どんな人物なのか、まだ俺に知らされていなかった。だから、クロエのクローンはクロナの側にいてくれたら嬉しいんだけどなと思いつつ。俺はこれからどうしようかと考えるのであった。そうそう、俺は結局クロアに俺の記憶を戻す方法を聞いていない。だから俺はいつか聞いてみようと思っていて、機会があれば聞こうと考えていたのだ。

それから俺は、自分の屋敷に一度戻り。父さんや母さんのところに顔を出したのだった。そして俺はクロアと別れるとクロネが作ってくれたというおにぎりを食べる。相変わらず美味しくて。そしてクロナのことを考えたらまた寂しくなった俺はシロをぎゅっと抱きしめていた。そうして俺達は食事を終えたあとに風呂に入ることにしたのである。そして風呂場でクロネが突然現れて、また驚かされてしまったのだが。俺の胸に飛び込んできた彼女を抱きしめながら、俺達は、二人でお互いの気持ちを確かめることができたんだ。その事で嬉しくなる。

俺はそんな幸せな気分のまま眠りにつくことにしたのである。そうして俺はクロネを抱き寄せて、二人で眠るのであった。そんな夜が明けて次の日になると、俺の朝稽古の相手がクロアになっていた。そしてクロアとの訓練が終わるとクロアとクロネに呼ばれクロネの部屋に向かったのである。

「おはよう。昨日はよく眠れたかしら」

「うん。おかげさまでよく眠れたよ」とクロアに対して答えてみせた。するとなぜかクロアが頬を膨らませていて「なんでクロアの時にはちゃんとお返事するの」と文句を言ってきたのである。そう言われると、確かにクロアはクロコと同じ雰囲気を持っているからなのか自然とクロネよりクロアの方が話しやすい気がしていたのだ。それにクロアはクロネのように可愛かったから。俺としてもついクロネの時の癖でクロアにも挨拶を返していたのであった。そうしてしばらく会話を続けていると。クロナが入ってきて、それから俺とシロとクロネはクロナの作った朝食を食べてから出かける事にした。俺の武器を作るためである。

そう、あの時のクロナとの戦いで俺は大怪我を負ってしまい。クロナに殺されかけていたのだが、クロネの機転でどうにか生き延びたのだが。俺はそれ以来剣を持って戦う事はやめたのである。俺はそんな事情でクロアに俺の剣を作ってもらう約束をしたのだ。

俺達がそんな風に街を歩いているとシロにそっくりな女の子を見つけた。そしてその横をクロネに良く似た小さな少女が歩いている。俺は二人から目が離せなくなって。それから俺はその子たちに近づいて話しかける。そうするとその女の子達は、少し驚いている様子で「もしかして、私達に何か御用でしょうか?」とクロネの方にそっくりな少女が俺に声をかけてきた。「ああすまない。実は俺は冒険者でね。君たちに興味があったんだ」と俺が答えるとクロナに似ている方の少女がこう口にするのだった。「興味?もしかして私達のことを知ってるんですか」

俺がそんな質問をする彼女を見て「ああ」とだけ短く答えると、俺の言葉に少女は目を輝かせていたのである。「やっぱりそうだったのね。あなたなら私の兄様が認めたのもうなずけるわ」

それから彼女はクロナに視線を移すとクロネの方を向いていたクロナとクロネの方を見つめて口を開く。「久しぶり、姉様に、姉さん」「本当にクロコ、元気にしてた。会いたかった」などと二人は喜びの声を上げると。俺は彼女達の名前を聞き、改めて自己紹介をしておいたのである。それからクロネはクロアのことを、クロコはクロナのことを説明すると、お互いに意気投合してくれたようで。それからは仲良く一緒に行動する事になるのだった。それからは俺の武器の素材となる物を探しに出かけたのである。それからしばらく歩いていくと俺はようやく目的の場所にたどり着く事ができた。そしてクロエとクロアに「ここはどこだ」と訪ねてみると。クロアから「ここで私の杖が手に入るはずよ」と言われた。それから少し待っていると俺の前に、巨大な木が現れ。そしてその中へと足を進めると大きな空間に出たのである。

そこにはクロエに良く似ている少女がおり。彼女は俺を見て、俺に向かって手をかざしてきた。

そして、その手からは魔力が流れ込み俺の体に吸収されていくのを感じたのだった。

「はい。これであなたの魔力の容量が三倍近く上がりました。これで剣の方の加工ができるでしょう。それで、剣の方なのですが、その方の実力に合う剣となると相当難易度が高くなりますがよろしいですか」と言われてしまい。クロナは、クロコと同じような口調だったせいで、なんだかくすぐったく感じていた。

ちなみにシロは、その辺の木の枝にとまり寝息を立てている。だから今、この場には、俺とクロアしかおらず。俺は、彼女の言葉に対して「構わないよ。俺の全力に付いて来れるほどの剣を用意してくれるのだろう。俺としては、その方が嬉しいからな」と答える。そしてクロアは、「あなたは凄いわね。普通の人間なら無理だっていう事を、あっさり言ってくれるんだから。まぁ、そんなあなたが私の夫だと言うのが誇らしいのだけれど」と言い出したのである。その事に俺は「そう言ってもらえると俺も嬉しいよ」と答えると彼女は笑顔を見せてくれたのだった。

そしてその後俺とクロアが話し終わると彼女は、「それではこちらにどうぞ」と案内されて、その場所に向かっていったのである。

「まずは、この剣を手にしてください」と言って差し出してくるクロエに俺は言われた通りその黒い柄の剣を受け取った。

そして、その鞘に収まっている刀身を引き抜いてみたら、綺麗な銀色をしていた。そしてその輝きはとても強く光っていて。まるで俺の心を掴んで離さないような魅力を放っていて。俺はその剣に魅了されてしまっていた。

そうして俺はその剣を手にしたまま見つめ続けていた。それからしばらくして、クロナが俺に声をかけてきたのである。

「気に入ってくれたみたいね。良かった」

「これ程までに良い物は、なかなか無いな。これを俺の為に作ってくれてありがとう」と俺は感謝を口にした。すると、彼女はとても嬉しそうな表情をしていて。俺は彼女に微笑みかけようとした時、なぜか、俺は、その場に倒れていた。クロネは俺の側に駆けつけてきて俺の顔を心配そうに見下ろしているクロアの姿が見えて。そして俺は意識を失ったのである。

そしてしばらく経つと俺は目覚めて、それから、クロアの作った俺専用の魔法の杖の試作品とやらの実験に協力することになる。俺としては、まだ本調子じゃないと思っていたのに。何故か体の調子が戻っていたので、それを不思議に思っていたのだ。

「よし。コウタロウ。さっき渡した魔石を使って、その棒の先端についている赤い宝玉に触れてごらん」と俺に言ってくるクロアに対して「この丸い水晶みたいなやつか」と言い返しながら俺が触れてみると。それは赤くなり熱を放ち始めたのである。それからしばらく待ってみたものの何も起きなかったので。もう一度同じ手順でやってみることにしたら。今度は杖が突然震えだし。そこからは信じられない程の力が伝わってきていたのであった。

「これが、お前の新たな力の全てだよ。後は好きに使ってみてくれ」と、そう言ったクロアから渡されたのは先ほどまで手に持っていた魔法の杖であり、俺がそれを受け取ると、またすぐに、俺は、気絶してしまったのであった。

俺が起き上がるとシロから回復魔法をかけてもらえたので。俺は、シロに礼を言うと立ち上がってクロアを見ることにした。そして彼女が言うには今のは、俺の持つ魔力量に耐えられなかったらしく、俺の体を崩壊させようとしていたらしいのだ。そしてその事実を告げられると、確かに俺の中にあったはずの力は殆ど感じなくなっていたのである。そして俺の手の中には杖がありその先に付いている球体を握りしめていて。俺はそれを確認したあとに、その力を試してみようと歩き出すのだが。俺はふと足を止めて振り返りクロアを見たのだ。それから俺は彼女に向けて「俺の力に付いてくることが出来るのかな?」と言ったのである。すると彼女は不敵な笑みを浮かべて「私を甘く見てもらっちゃ困るわね。私はこの杖の製作者なのよ。私があなたのことをどこまででも支えていってあげるから安心なさい」と言って俺に対して、その杖の使い方について教えてくれたのだった。

「この杖の名は『真なる龍神の杖』と言ってね。私の一族に伝わる秘宝の一つで、私の持っている杖の中でも最強を誇るのよ。そしてあなたが握っている球の部分には私の一族の者が持つ宝石を埋め込んでいるから、その力の解放も自由自在になるはずなの」と言われてしまったのだ。

そうして俺とクロナとクロアの三人がしばらく雑談をしていると、そこに一人の青年が現れた。彼は、どこかの貴族の家の出身なのだが。家とは疎遠になっており。今は放浪の旅をしているという事だった。その彼が俺達を見て。

「君達はここで何をしているんだ」

そんな質問をしてきていた。そんな彼の言葉にクロアは、丁寧に対応しており。「この方は私たちの新しい旦那様なの。それで、私たちはこれからこの人のお世話をする事になって」そんな言葉を言っており。クロナとクロアはその言葉に驚いていたが、俺は、その言葉を適当に聞き流しながらクロナとクロアの二人を俺の妻として紹介していく。

「この子達は俺の家族になったから。よろしく頼むよ」と言うとクロアは笑顔で「私達の事を助けてくれてありがとね」と口にする。それから彼女は俺の隣にいるクロナに対して視線を向けるとこう問いかけるのだった。

「ねぇ、あなたはどうしてそんなに可愛いの」

そのクロナの言葉に対してクロナとクロアの二人は、お互いに目を合わせていた。そんなクロナを見て、俺の体は自然に動いてしまっていて、クロコを抱きかかえており。その事に気づいたクロコが「ちょっといきなり何するんですか。それに私の兄様にまで触ろうとしないでください」と言っていたのだった。そしてそのクロアの言葉にクロナは何も答えずにいたので俺は彼女の頭に軽く触れることにしたのである。そしてクロナの方を見つめてみるとクロナの方は、顔を真っ赤にして恥ずかしそうにしていて、それからクロコは俺に文句を言い出したので、彼女の頬に触れることにしてみた。するとクロナは「ん」といって目を瞑ったまま黙ってしまったのである。

そして俺はクロアの方に近づいていって頭を撫でると「うん。これで仲直りしたな」そう口にするのである。そんな事をやっているうちに夜になっていた。なので俺はテントを張ってその中で休もうと思ったのである。そう思って行動に移そうとしたら。クロエが何か言いたそうにしていることに気づき声をかけてみる。

そうするとクロエが「あ、あのさ、俺様と一緒に寝ないか?俺の部屋に来てもいいから」と言っており。それを聞いたクロネが、クロアに「駄目です!兄様は私のものなんだから」と言ってきた。

それから俺が、「い、いやいや。俺は、俺の物だぞ」と訂正しようとすると。クロコも、「兄さんと姉さんは、私達が面倒を見ますから大丈夫ですよ」と自信満々に宣言していた。クロネに関しては「そうよねクロネちゃん」なんて言ってきて。それで話が終われば良かったのだがクロエまでもが話に加わり始めてしまうのである。

そして最終的には何故か俺とクロアとの話し合いが始まり、結局、クロナに抱っこされながら眠る事になったのである。

次の日になり。クロアからクロゼリーと呼ばれている女の子が現れて、その彼女は俺に向かって抱きついてくると俺に対してこんな風に言って来たのだ「私の夫だ」などとほざいているのだが。

そういえば、俺に好意を抱いてくれた人妻キャラがいるんだよなって思っていたら、その子はクロアと同じ顔をしていたので。どうせ双子なんだろうと思い、俺がクロアの双子の妹なのかと思ってクロアに声をかけると「なぁ、クロネ、その女ってお前の妹だったりするか」と尋ねて見たのだ。そしたらクロアの奴も「そうなのか」と言い出した。その言葉を聞いた俺も思わず「やっぱりそうか」と口にしたのだ。

そしてその後俺は「俺はお前の夫らしいからよろしく」と彼女に言おうと近づこうとしたら。俺よりも早くクロアの目の前に移動してきたクロゼリーはクロアに向かって、「貴様の嫁ではない。私の夫に色目は使わせるわけにはいかないな」とそう言った後にクロアのことを蹴り飛ばしたのである。そうして彼女はクロアに馬乗りになると、「今から、私の力を思い知らせてやるから覚悟しろ」と言って襲いかかって行くが。そこで俺の腕の中にいるクロナが「やめてあげてください。その方はシロナさんの大切な仲間なので傷つけないで下さい」と涙声で言ってきたのだ。

それからしばらく経って落ち着いたクロアから事情を聞いてみると彼女は、元々シロの姉のような存在だったようで。彼女は魔王であるクロミとは敵対関係でありながらもシロのことを大切にしてくれていて。シロとシロナの姉妹の事を実の子供のように大切に想ってくれていたようだ。しかしクロネだけはクロアを嫌っていてクロオはそんなクロネの気持ちを察していてクロアの事を嫌がったりはしていないようだった。それからクロアが言うには、そのクロナという女性は今は城に閉じ込められているらしい。

俺はクロナの話を聞きながらクロゼリーの話を聞こうとしていたらクロアに怒られてしまい、仕方がないので、俺の膝の上に座ってもらいクロナと会話を始めることにした。するとクロネが俺の胸に飛び込んできて。そのまま甘え始めてしまって俺は困惑したのだ。そんな時、クロナが突然。「あのね。私はあなたの妻になるためにこの国に来ました」とそう言ってきた。俺は彼女が急におかしなことを口にしたので驚きながらも。彼女が何を言っているのか確認するために声をかけることにした。

「な、何を言っているんだ。お前は。俺は確かにクロナって名前を付けたが。それは愛称みたいなものだろ」そう言ったのだが。何故かクロナは悲しげな表情を浮かべるだけで俺に対して何も言わなかったのである。そうしてしばらくの間は沈黙が続き。それを破ったのはクロネであった。クロネが、クロナがクロアの事を追いかけて来た理由を説明した後で。俺に対してお願いをしてきた。その内容は俺と二人っきりで、シロが閉じ込められている地下へと行かせて欲しいというものだったのだ。クロネとしては俺に危険が及ばないようにするには。自分しか方法がないと思っているらしいのだ。そしてそんな彼女の考えを聞いた俺も彼女に協力することに決めた。

俺はそんな彼女の提案に乗っかることにして。まずクロネは俺の事を守る為の結界を展開してくれたのだ。そのお陰で俺は襲われずに済み。それからクロアの案内の元。シロが捕らえられている牢屋へと向かうことにする。ちなみに俺達は現在クロコの転移能力で、シロの囚われていた屋敷の前にいる。そしてクロナとクロアと俺は三人一緒に行動することになっていたのだ。それから、その屋敷に入り進んでいくとそこには一人の男性が立っており、その男性に対して俺達は「助けにきてくれたんですか?」などと言われたが。彼は俺達の事を、その男性の婚約者と勘違いをしていたらしく、すぐに謝罪してくると。そのまま立ち去ろうとしたため。

俺は「ちょっと待って欲しい。俺はその人の旦那になる予定はないんだけど」そう言って呼び止めようとするのだが。その前にその人は「失礼しました」とそう言って、その部屋を後にしようとしたのだ。だから俺がその人物に対して、そんな簡単に引き下がっていいのかい。そう聞いてみたら。その人物は、自分はこの家の次男なのだけど、三男と四男の兄弟からは疎まれていて。それで長男はそんな兄弟のことが気に入っていて自分達に優しくしてくれるためにそんな兄弟達から、この家を追い出される事なく済んでいるという事で、次男にだけそんな優遇をする訳にはいかないと。そう言われてしまったので。俺は彼にこの家のことを詳しく教えてくれと頼む事にしたのだ。そうして彼の説明によると。彼の実家はこの国の公爵家でかなりの名家とのことだった。そんな彼の実家では後継者を二人まで選べることになっているのだが、そんな制度を利用して、自分が選ばれる事を確信して弟を家から追い出そうとして今回の事件が起きたという事である。そして彼が、俺達に頼みがあると言ってきていたので話を聞くことにした。

彼は、その家の当主の座についている父親と、その息子に対して。自分が次期当主の座を辞退する事を伝えるから許して欲しいという内容であった。そして彼がそう言うのならば仕方がないという結論に至った俺に対して彼は、最後に、クロナとクロアが無事に帰ってくるまではここにいて欲しいと言ってきたのである。その話を受けた俺達がその申し出を受けると彼から、自分の名前を明かして貰うことができたのであった。彼の名前はクレールであり。その弟の方のクロガさんからの手紙が残っていたそうで。手紙の内容は、クロナが俺の妻になりたいという願いにたいして。クロナは本当に俺にその身を委ねても後悔はしないのかと問いかけたらしいのだが。その問いにクロナは一切の迷いを見せずに即答したというのだ。

そしてクロナは、クロナがこの場を離れた時にクロアの様子がおかしかったからクロナの方はクロアに任せてきたとも書いてあった。

俺はクロナに「なあ、俺の事をクロトじゃなくて、クロナって呼ぶことにしないか?俺の名前って長いだろ。なんかクロアとかにも呼ばれ慣れてないせいなのか変な感じするしさ」と言ってみる。するとクロアもクロナの事をクロナって呼んでいたのを思い出してクロアに頼んでみると「私に断る理由もないから別に良いぞ。それならお前もクロエと呼ぶのはやめてやってくれ」なんて言われたのだ。

俺はそんなクロネの様子を見ながらクロゼリーに声をかけてみると。彼女は少し機嫌が悪くなったような気がしたので俺はクロゼリーに謝り。彼女をなだめるために頭を撫でながらクロネと話をすることにした。

「なぁクロネはどうして、あんな嘘をついたんだよ。お前の実力だったらクロネだってクロアに勝つのは簡単なはずだろ」そう言うとクロナがクロネのことを叱るように「駄目よクロナ。クロネがそんな無茶なことをしてはいけないの。貴女には貴女の役目があって、クロネにしかできない事もあるはずでしょう」そう言ってくれたのである。それからクロネのことを宥めたクロアと、クロコが戻ってきたことで、この場には五人が集まっていて、その状態で話を再開する事になった。ちなみにこの場の全員から俺のことを呼ぶ際に「さん」を付けて呼ばないように頼まれたのである。

それで、まずは俺がこの屋敷に来た経緯を話すとクロアとクロゼリー以外の皆が驚くことになるのだが。そこでクロアはクロゼリーと一緒にいた時のことを教えてくれる事になった。それはクロゼリーも元々はシロの姉だったらしく。そしてシロはクロアの姉的な存在でもあるので。俺に何かあっても困ると思って付いてきていたそうだ。そしてクロネはそんなクロアの言葉を聞き、なぜか急に立ち止まると。俺の方をじっと見つめてきて。それからしばらく時間が経ってから俺に向かって。「あなたに会えて嬉しいです」と言ってくる。俺はそれに答えることができずに「えっとクロネもありがとうな」と言うだけにとどめておくのだった。

クロアから話を聞かせてもらった後は、これからどうするかを話し合ったりしていたのだが、クロアからこの世界の常識的な事などを聞いておきたかった俺はクロゼリーに話をして。この屋敷の人達と話をするためにクロコの力を借りることにしてもらっているのだ。

その後クロネがクロナのことを落ち着かせるように背中をさすったり、クロナの耳を触ってリラックスさせてあげたりとしながら、俺達の方に意識が向いたりしないようにしてくれたおかげで。俺達は落ち着いて話し合いを進めることが出来ているのだ。それからしばらくしてから。ようやくクロネがクロナの事を落ち着きを取り戻すことに成功したようだ。そして俺達はこの世界についての事をクロアやクロネから聞こうとしていたのだ。

まず俺がこの世界に来ることになった経緯を説明しようとしたところで。この部屋に、俺達とは別の人物が入って来たのだった。それはクロガさんの双子の兄弟であるクオンという人で。この家の長男らしい。俺は彼に対して挨拶するとクロルと名乗る男性を紹介してもらうことが出来たのだ。そして彼は、俺のことを見て。

「兄さんのことは申し訳ありませんでした。それと姉さんのことも、まさか、そんな事になるとは思ってもみなかったのです。そして僕は貴方に、お詫びとして出来るだけの支援をさせてもらいますのでよろしくお願いします」と言って頭を下げてくれたので。俺は気にしなくてもいいですよ。そんなつもりで言ったつもりだったのだが。それでも彼は引き下がらなかった。そして俺に頼みごとをしてきたのである。その頼みごとの内容はクロコにこの国にある迷宮に連れて行ってもらうというもので。その際にクロコがこの屋敷にいるクロガさんの弟さんを連れて行くと伝えてほしいと言っていた。

俺は、それからしばらくの間クロガさんの弟にこの国のことを詳しく説明してもらい。その説明が終わる頃には日が暮れ始めていたので俺は一度クロコの家に戻らせて貰うことにして。俺は、クロネをおんぶした状態のクロアとクロガの弟のクロナの二人の手を繋いで。クロネが俺の腕にしがみついている状態で俺の作った転移装置を使用して、その家の前まで戻ってくると、そこにはシロが待っていてくれたのだ。シロはクロナの顔を見るなり抱きついてきて、心配してくれていたことを伝えてきたのだ。クロネもそんなクロアの姿に感動したのか嬉しそうにしているようであった。

俺はクロナから聞いた話をシロに説明すると、クロアとクロネにはこのままクロガとシロを連れて。この家まで戻って欲しいということを頼むとクロコの家に帰ることにする。そしてクロコにクオと名乗った人物にクロコがこの家にいた時にお世話になった人物だということを伝えた上で俺も一緒に連れていってほしいと頼むとクロアとクロナは快く了承してくれた。それからシロと、クオの二人と共に、俺達はクロコの転移装置を使って。クロコの元に向かうことにした。

そして、クロコの元へとたどり着いた俺達はそこでクロアが今までの出来事を全てクロコに伝えて。クロゼリーにクロガが今どのような状況なのかを尋ねた。その問いに対して。クロナから聞いた話ではクロガの魂が未だに体から抜けておらず。その体はクロネの中に存在している状態だと伝えられたのである。

それを聞いた俺はクロネから話を聞くとクロガに体を返すためにクロガの体のそばに行くと、俺はクロゼリーにクロガに自分の声が届くかどうかを尋ねてみたのだ。クロナやクロゼリーはそんなことができるのかという反応を見せていたが、クロガからは返事がなく俺の声に全く応じることはなかったのだ。それからクロロからの提案でクロネにこの体から出ていってもらえないかと提案されるのだが。クロナはクロネと会話をすることが出来ないために、それは不可能なのだと言われたのだ。俺はクロアにクロガのことを頼んで。クロネに事情を説明するとクロコの体に戻らないでそのままクロノと一緒に行動するようにと言ってくれたのだ。クロナもクロコに説得をしてくれるそうで。俺達がこの家に帰ってきた時に。クロガさんをどうにかクロロから引き剥がせればいいのだろうけれど、その方法が分からない。

そう言われてしまうと俺もどうすることも出来ずに、この場で待機するしかなかったのである。クロコからクロナと、クロコが帰ってくるまでの間はクロゼリーがこの場を守ってくれるということで俺とシロは、ひとまず、シロの実家の方に戻ることにするのであった。

俺は、この村の村長に話をしてから、この場を去ろうとした時に、クロガという人がこの屋敷に訪れた。クロナから聞いた話ではクロゼリーとこの人はあまり関わりが無かったようで。クロガは俺に話しかけてきたのだが。俺も、そんな人と会うのは今日が初めてなのでどうして良いか分からずに困っていた。しかし向こうの話をよく聞いてみると彼は自分がなぜここに来てしまったのかを教えてくれていたのだが、その理由は本当に些細なことで。ただ彼がクロガという名前なだけであってクロコとは無関係だということが判明したわけだ。だからと言って俺にも何かが出来るわけではなかったのだが。

それからしばらくクロロが帰ってこないので暇をしていた俺達にシロの父親で魔王でもあるリキドさんが話しかけてきてくれたので、シロのことを伝えると、シロのことをよく思っていない者達が多く集まっている場所へと案内してくれたのである。その場所にはシロのことを嫌っている人達がいたようなのだがシロの父であるリキドさんが現れた事で皆すぐに黙ってしまったのだ。それだけではなく皆頭を地面につけて謝り始めてしまってた。俺はそんな人達を少し気まずい気持ちになりながら見ていて居心地が悪くなってしまい。そんな場所に居ることが苦痛になってきたため、俺はそそくさと、その場を後にしようとしたらシロがついて来てくれない事に気がつき俺はシロの方を振り返る。すると俺が振り返った事に気づいてくれて、こちらに来てくれたのだ。そんなシロに俺は手を差し伸べると。俺の手にシロの手が重ねられる。そして俺は、そんな風にして、俺達二人が歩いている姿を見たクロネが嫉妬心をあらわにしてしまい。クロナに「あなた。シロに構ってあげないでください。私が寂しいのです」と言ってきたのだ。それからしばらくしてクロナがクロコのことを連れ帰るとクロコとシロの三人と別れることになったのだが、その別れ際にシロがクロゼリーに捕まってしまう。

クロネから、クロネと一緒ならクロネと一緒にクロゼリーが住んでいる街にシロも一緒に行けると言われてしまい。シロは、俺のことを見ると泣きそうな顔をしていたが。俺も、俺も本当はシロと行きたかったのだけど、シロはこれからクロゼリーと一緒に生活することになった。

クロネの事をよろしくお願いいたします。俺はクロロさんに向けて伝えるのと同時に、俺は、シロに向かって、笑顔を見せると「またいつか会いに来るからさ。それまで待っていてよ」と言ってあげる。そんな俺の言葉に、クロネに抱き着かれたままで俺を見上げるようにしていたシロが、大きく目を開いて驚いていたが俺はそんなシロを抱きしめると優しく頭を撫でるのだった。そして俺はそんな様子を微笑まし気に見守っているクロコに声をかけるとクロトに顔を向ける。クロコが何かを喋りだす前に、「俺はお前の事を認めてるし。仲間だって思ってるからこそ。お前がこの場を去る時も止めなかったんだよ。それに今は、俺の仲間の大切な人の家族だからな。仲良くしてやって欲しいんだ。だからクロコ。クロナと、この子のことをよろしく頼むぞ」と言うとクロコも、俺の考えが分かってくれているからこそ、クロナやクロネのことを俺と同じように扱ってくれる事を約束してくれたのである。そして俺はクロガにクロナの事をお願いしたのだ。

それから俺とシロは、クロネとクロナ達との再会の約束をするとシロとはここで別れたのである。

シロ達を見送った後。俺とシロがこの村に滞在して、クロネの家族達をクロゼリーの元に連れて行ってもらうようにお願いしたのだ。そして俺がこの村の長に挨拶をするために村長の家に行こうとするが。そこで村長の娘のクロアが現れ、俺をクロネの屋敷まで送ってくれた。それからしばらくの間。俺はクロアから、この世界のことの説明を受けて。この国の歴史について聞くことになる。その話を聞いて俺は、ここが自分の住んでいた地球とは違う世界であることを理解することが出来た。そこで俺達は、俺の知っている常識ではありえない話を聞くことになり驚愕することになるのだった。

クロアに俺がこの世界に召喚されたことを話すと。クロアはその事実を受け入れてくれるだけでなく。俺がこの世界に来る時に得た能力が凄すぎるとも褒めてくれた。そしてそのお礼として、クロアが俺の事を鍛えてくれることになったのである。

クロアと、訓練を始めたのだが。まず俺はステータスをクロアに見せることにする。

名前:黒野 大輝 種族 人 職業 創造主 体力 10億8000万0000/10億800万9000 魔力 100億8900万9998 攻撃力 1000兆2000億 防御力 9999京9011 俊敏性 1京7000億6000万 精神力 2300兆5930 運 540 魅力 4100兆9601億4500万2600 SP 172700 SKILL 〈無詠唱魔術士〉レベル50 〈身体強化魔術師LV.EX〉 MAX 〈空間転移LV.1〉 〈神速移動術LV.35(MAX)〉〈超持久LV.4〉〈全属性耐性LV.25〉 〈物理障壁LV.50〉 〈自動回復魔法LV.6 〉 〈経験値増加 限界突破 必要経験値削減 LV.33 経験値量増加 MAX 思考操作> スキル ユニーク 鑑定 獲得経験上昇 共有 複製 称号付与 特殊付与 所有者固定化 精霊使い魔契約者 契約精霊 真祖始祖 加護 英雄王 名前 クオン 性別 男 年齢 0 種族 吸血吸血鬼族 Lv 151 Dランク

(人間に換算した場合、約1500歳相当である)

HP 355億5000万0500 / 355億5000万0500MP 860億0020 / 860億0000 攻撃 657億6662 防御 714億7867 知 1299万9807 速度 2077万7056 耐久 1647万0482 / 165億0352 魔力 13459万3432 / 13499万5480 SP 29871 保有技能 〈剣聖 槍聖 斧聖 拳闘師 暗殺者の心得 弓兵の才覚 賢者 武術家の極み 魔法戦士 勇者 聖剣士 侍 刀鍛冶 細工師 大工の才覚 木工の匠 料理師の心得 SSS級魔物テイムの素質 錬金術師〉NEW 特殊SKILL取得可能リスト〈多重存在 分身 変化 透過化 透明化 偽装 念話 意思伝達 感覚同調 完全同化 吸収分離〉NEW クロゼリー 年齢? 性別 女 種族 ヴァンパイア 職業 死霊術 魔王Lv.278 Dランク

(人間に換算すると2500歳になるが容姿は13歳の少女である)

HP 1075 魔力 2350 攻撃力 187 防御力 160 俊敏性 200 精神力 150 幸運 80+10 SKILLなし スキル 通常スキル 暗黒魔術士LV.26 闇魔法 光魔法LV.31 暗黒魔術LV.22(New)闇の矢の射出(暗矢LV.2)

暗黒波動 状態異常付与(呪縛)

夜目効果(微)

暗黒魔術 固有スキル 闇視LV.3(New)身体能力向上 吸血行為 吸血能力 吸血 対象の血を飲み干すことで一定時間身体能力を向上させる 吸命の霧LV.EX HP吸収能力 生命あるものの命の力を吸い尽くす 闇喰い HP吸収の能力だが生命エネルギーを吸いつくすわけではないので。生物に外傷等を与えることはないが。生き物にこの技をかけることで衰弱死させることもできる。ただし使用者より格下の相手にしか使えないし。相手が弱っていることが前提となる。

特殊 魔王の瞳LV.1(Ex++skill)

〈魅了の邪眼(真祖の力の一部使用が可能。ただし任意発動。相手の了承が必要で。強制的に操ることや命令することは出来ない。また相手とのレベル差によって成功率は変化する。レベルが上であればあるほど。抵抗される確率が高くなる)

真祖の力の一端を使うことが出来る 血を操ることが可能になる。血液を武器にすることや武器そのものを作ることが可能になり。他者に血液を譲渡することでその者はその者の血液が混じった状態になるが、その際は身体能力や五感が鋭くなる 血の従者の創造 自らの血液から眷属を生み出すことができるが。主人に逆らう事はできない クロネ 年齢 14 性別 女 種族 ヴァンパイア 職業 ヴァンパイアハンター 体力 30 魔力 300 攻撃力 5 防御力 25 俊敏性 10 精神力 100 幸運 10 SKILL 〈剣術LV.23 短剣術LV.30 弓術LV.21 投的LV.28 隠密行動 無音歩行 軽業 身体強化 剛力 俊足 罠解除 忍び足 解体〉 称号 吸血貴族 名前 セフィーリア=スヴァルトリング伯爵令嬢 年齢 17 性別 女性 身分 伯爵令嬢 爵位 伯爵家当主(娘)

身長 173cm バスト Cカップ(B~C)

ウエスト 58kg ヒップ 85cm 容姿端麗 性格も良く人望も厚い美少女で。貴族の淑女の嗜みも習得している完璧なお嬢様である。クロナとは親友で。お互いに愛称であるセフィと呼んでいる ステータスの数字は、この世界の成人男性の平均が100前後なので平均よりもかなり高い。特に知力と運の高さは特筆すべきものがある クロガと婚約関係にある 名前 ミケナ=ヘルグロット子爵家次女 年齢 11歳 性別 女性 身分 平民 職業 見習い冒険者 身長 134cm 体重 39kg スリーサイズ B71 W54 H72 クロエの妹の双子姉である。姉のクロナを慕っており、将来を誓った仲。

名前のクロナはクロナから、文字を一部変更して、クロとクロナの頭文字をとって、クロナのクロを取り、クロナが付けたクロナの愛称である シロ 本名 クロコ、クロネコ、白狐 年齢 500歳以上? 性別 雌? 見た目12~15歳の少女に見えるが、実年齢は500歳以上である。シロという名前はクロがクロネのシロを取ってつけたもの 実は、黒髪の黒巫女のクロネを守護する神であり、その役目を果たそうとするあまり暴走していた。

黒野にクロネが連れ去られるのを止めることが出来ず、後悔にうちひしがれていたが。そのクロネの事を思う強い気持ちに共感され黒野と契約することになる。黒野に召喚されてすぐに黒野のことを主と認識し、それ以来黒野には絶対服従の立場になっている。契約時にクロノは黒野に加護を与えるのだが。その時に「クロちゃん」「ごめんね」と言いながら抱きしめられキスされている(実際は、そんなことをされていない)

契約してからずっと自分の中にいたが、クロノは気を失ってしまい意識を取り戻すとクロニとクロアと一緒に黒野を守ることを決意する。そしてクロヤと契約した後に黒乃と名前を貰うことになる クロル 本名 クロオ クロネコの兄 外見 15歳の少年 身長168cm 細マッチョ 銀髪を腰まで伸ばしていてイケメンである 性格は非常に温厚で面倒見が良く、兄として慕われている。妹のことはいつも大事に思っている。妹思いの性格だが少しシスコン気味かもしれない

ステータスの数字は HP:40000

魔力 :30000

攻撃力:500000

防御力:26000

俊敏性:10000

運 :20000 SKILL 無し 称号 守護騎士 備考 クロガの弟であり。クロゼリーの姉 名前 シロ(クロ)

年齢 不明(数百年以上前)

性別 雌 身長 140 バスト A未満(胸がない)

種族白き魔獣 性別不明(普段は女性の姿で生活しているが本来はオス)

容姿:白髪ショート 赤瞳 色白く肌が綺麗 顔付きはやや童顔 クロと双子のように似ているため。よく間違われる 契約者以外とのスキンシップを嫌うが慣れてくると抱きついたり甘えたりする。意外にも寂しがり屋でもある クロと同様にクロナが大好きなクロに懐いており、クロにお願いされたら何でも聞いてしまう程。ちなみに猫好きのため。可愛い女の子を見るとモフモフリたいと思う衝動を抑えることができない 契約者となったのがきっかけでクロに好意を抱いている。しかし本人はそれに気が付いておらず。ただの憧れだと勘違いをしている 名前 ミケーラ 年齢 12歳で身長150cmぐらいで幼さが残る顔立ちの少女である。

髪の色は金色で瞳の色も同じ。髪の長さは肩にかかるくらいでツインテールにして縛っている 明るく元気な性格で、人一倍好奇心旺盛である為。知らないことや珍しいことがあれば直ぐにでも確認したくなる 性格と容姿が合わさって、非常にモテるらしいが恋愛事に興味はなく興味のある対象は魔法や錬金術といった知識の方らしい スキルに鑑定があるので他人からも見ることが出来る クロノス 種族 ドラゴン(龍種)

性別 雄 全長100mを越える大きさ。全身が金色の鱗に覆われて輝いている クロガの親の片割れで長男である 父親である龍帝が卵の時に守っていた為に無事だった 性格は豪快な感じで戦闘大好きで戦うことに躊躇しない ただし子供や妻などの家族や親しい者には優しいところがあり 弱いものは助けるという精神を持っている。その為、力のないものが理不尽に虐げられるのを見ていられずに助けにいくことがある 種族的に魔法や呪いの類を受けないので耐性が一切ない代わりに攻撃が通用しないため防御力も高い。さらに、クロガ同様に光と闇を自在に操ることが可能。クロナの事は娘の嫁候補の一人として認めているが本人の前では恥ずかしくて言えない。そのため他の者がいないときに、それとなくクロナに伝えるようにしている。ちなみに妻のクロリリスにだけは頭が上がらない スキル〈超回復(HPMP全回復し完全回復するが体力を消耗するので。多用はできない)〉がある 称号〈竜帝の長(真祖吸血鬼の真祖)〉〈聖竜の守りし者(真祖吸血ヴァンパイアロード)〉 真祖ヴァンパイアと聖竜の間に生まれた存在なので真祖とヴァンパイアの力を持つ 名前はシロとクロでシロクロコンビでお馴染みのシロクロさんから

「んっ?ここは?」俺はそう言いながら目を開くと、そこには俺をジッと見つめる美幼女と美少j女がいたので俺は、驚いて思わず後ろに仰け反ってしまったのだ。その様子に二人の美少女は、お互いに手を握りしめあってキャーキャーと喜んでいて、俺が起きた事には一切気にしていないみたいである。そんな様子を見た俺は、「えっと?貴方達は一体だれですか?」と恐る恐る話しかけると、美少女達が俺に自己紹介してくれたのだ。

クロネ=ヘルグロット ヘルグロット伯爵家長女、クロネ=ヘルグロット伯爵令嬢のクロネは、ヘルグロット伯爵家の現当主であり俺の叔父の娘にあたる人である。そして隣にいるクロミケナがヘルグロット伯爵家の双子の妹クロミミナであり。姉と同じように伯爵家の血筋の人間でクロネコとクロミケナの愛称である。この二人は見た目が瓜二つで髪型以外は殆ど違いが見られないが、それでも見分けが付く程度には、クロネコとクロミケナの違いが有る。例えば耳の長さである。クロネコはクロミケナよりも長く垂れ下がっているがクロミケナは、短くスッキリとしている。その事からも分かる通り二人は全く同じというわけではない。しかしクロネコが、クロミミよりクロミの方が可愛くないかと言って、その日からクロミミをクロミミと呼ぶようになり。その事でクロネに叱られたらしくそれ以来クロネの事をクロネと呼びクロネが二人を呼び捨てで呼んでいるがクロネが怒った時の呼び名はクロネさまもしくはクロネちゃんとなっている。その呼び方も最近では変わってきて。クロミは呼び捨てにされるようになってから機嫌がよくなっているようなので。俺的には嬉しい限りなのだ。

それから俺は、自分がどうなったのかを考えてみるがどうしても思い出す事が出来ないでいた。

(あれ?どうして記憶が抜け落ちているんだろう。そもそも俺は誰なんだ?)と自分自身に問いかけるが分からない答えに悩んでいるとそこに執事のような服装をした女性が近づいて来て「御主人様。ご気分はいかかでしょうか」と丁寧に尋ねてきた。それに対して俺は「はい。大丈夫です。ありがとうございます」と答えてから少しして冷静になった頭で自分の姿を確認したら裸では無く。服こそ着ているものの。何故か真っ白のワンピースを身に着けていたのだ!それを不思議に思いながら自分の体をペタペタ触っているとその女性から、これから何が起こるのかを説明されてようやく納得する事ができた。なんと俺の年齢は7歳で。今の体は生後5ヶ月の赤ちゃんになっているということが分かり。それと同時に前世のことも何も覚えていないことを思い出したのである。それどころか今までの人生すら思い出せなくなっていることに気付いたがなぜか焦ったり混乱したりすることはなかったのだが。その代わりに心が締め付けられる感覚に襲われ。そのことで泣きそうになったけどなんとか涙を流すことはなかったが気持ちは沈んでいったがすぐに切り替え。とりあえず今後のことについて考えることにした。そこで、まずは、俺の名前はクロガであり、性別は男だということだけは理解出来た。だから自分のことをクロガと名乗ることに決めて。そしてこの世界でのことをいろいろ聞くことにし。自分の立場なども把握していくことにする。

「あの、ここどこなのか聞いても良いですか」と質問をしてみた。すると、執事の女性は笑顔になって答えてくれる。なんでも、今居るこの場所はこの国にあるヘルグリフ領の都にある屋敷の一室であり。俺はこの屋敷の主である。俺の父に当たる人の息子のクロヤという人物の子供で名前はクロノであると教えてくれた。さらに、クロヤの息子のクロガのことは俺のお爺ちゃんだと言われてもしっくりくるくらいには似ているらしく。クロヤの子供が双子だった場合どっちの子かを判別するのは難しいほどそっくりで。特に女の子の方は本当に姉妹のようにしか見えない程らしいが。それは、今は置いておくとして。問題は俺が転生者であるという事実についてである。俺はなぜここに存在しているのか、何故記憶が無い状態で誕生したのかを考えるがまったくわからなかったが。とりあえず。俺はここで生まれ育って生きていくことになるわけだが。正直。前世の知識が邪魔になると思ったが意外にも知識は問題ないらしく、困ることはなかったが。逆に知識がある分余計な事を考えてしまいそうになり。その事に関しては考える事をやめることにして。クロコが俺を抱き上げてきてクロニと一緒にあやしてくるのを眺めながら、俺はこの世界を楽しみつつスローライフを送っていこうと思うのであった。

名前 クロノ 種族 人間 性別 男 年齢 7歳 レベル 25(上限値に達したのでこれ以上レベルアップしません)

職業

剣士(武闘士固有スキル:無属性武術と身体強化によって攻撃力が10倍になっており攻撃力が50倍になっている)

HP 10500/11000 魔力 20000(200000)

攻撃力 5000(4000)

防御力 3800(3000)

俊敏性 20000 運 150 SKILL 剣術 LV.MAX 闘気術 LV.3 気配感知LV.2 威圧 LV.4 剛体 LV.1 瞬足 LV.1 鑑定 LV.4 アイテムボックス LV.4

(武闘士技能魔法剣、魔獣使役、聖魔法 神速加速 成長限界解除、自動翻訳、全武器防具使用可能 経験値20倍、獲得経験増加上昇)

種族 人族 称号 転移者、勇者の孫、世界の脅威となる存在 契約者 クロネコ シロネコ(真祖吸血鬼真祖ヴァンパイアロード)

スキル ユニークスキル 【契約】(真祖吸血鬼真祖ヴァンパイアロードと主従契約を結んでいるため、全てのスキルに吸血(血液摂取によるHPと魔力の回復、ステータスの強化など)、眷属化(血液摂取時に一時的に吸血鬼化、真祖吸血鬼真祖ヴァンパイアロードと同等の力を持つことが出来るようになる、血を与えることで眷属の能力を強化できる、吸血鬼の真祖吸血鬼真祖ヴァンパイアロードへの進化が可能、真祖吸血ヴァンパイアロード以上の存在になれる可能性有り)が組み込まれているため。他の契約者の血を得ることで他のスキルを取得可能となり。スキルのレベルも上がる)

真祖吸血ヴァンパイアマスター、聖魔混合の使い手、魔王の器を持つ者、神獣の主、竜神の寵愛を受けるもの 真祖ヴァンパイア 真祖吸血ヴァンパイエンド 種族固有 吸血行為により相手の力を吸収 眷属創造 真祖吸血鬼真祖ヴァンパイアの眷属を増やすことができる 超回復 真祖吸血鬼真祖の種族固有スキル 光と闇を自在に扱える、 時空を操る能力を持っている 称号 龍帝の長 龍族の守護者 竜帝 龍神の愛娘 龍の祝福 聖竜の守りし者 神に近づきつつある人 竜の庇護 ドラゴンに愛されしもの 神災を引き起こした原因

「はっ!まさかクロちゃんじゃないのか!」俺はそんなことを言いながら慌てて起き上がり。辺りを見回したが。そこには俺を抱きしめながら幸せそうな顔で寝ているクロネが居たので一安心するが、一体いつまでこうしているつもりなのだろうかと思ってしまうがクロネがあまりにも幸せそうにしているものだから起こすに起こせず、そのまま放置することにした。そして俺は、さっきの俺が見ていた夢のことを考えていた。俺には確かに夢で見覚えがあったので、おそらく前世の俺はクロネの父親であるクロオさんに殺されたのではないかと考える。そして俺は前世と現世の俺は、別人格ではないのではと考えたのだ。そうすると。前世は恐らく俺であって、今世に生まれ変わった際にクロガに精神と記憶だけが受け継がれたのだと考えられる。

そして俺はクロネが俺から離れていく前に今の内にクロネがどんな顔をして眠っているのかをじっくり観察する事にした。そしてその綺麗に整っていてとても長いまつ毛に、少しだけ幼さが残った可愛らしく美しい寝顔を眺めていると。なんだか胸の鼓動が早くなっていく気がした。俺はそれに戸惑っていると、そのせいで俺の顔に視線を感じたクロネが起きてしまったのだ。俺は恥ずかしくて、クロネの顔をまともに見れずにいると。「う~ん、ふぁああ」と可愛らしい声を上げているクロネを見て、クロエの子供の頃もあんな感じなのかと思い。それから俺達は着替えを行い。今日からはクロミの家庭教師と俺の勉強が始まる予定なので。俺はクロネとシロに案内される形でクロミが勉強を行っている部屋に通された。その部屋にはクロミがクロミに対して授業を行っていた。その様子はどこかクロミに似ている所があるがやはり雰囲気や纏っている空気が違ったのですぐに違う人であるということが分かってしまった。それから俺は、クロミの授業の様子を見させてもらってから。クロネに連れられて、この国の王に会いに行く事になったのである。そこでクロネコから「クロヤ様。お久しぶりでございます。クロミとクロミケナに変わって挨拶をさせていただいております。この度、私は、あなたに忠誠を誓うことにいたしました。どうぞ何なりとお申し付けください」と言われ。俺は「えっと?どう言うこと?」と尋ねるとクロミは、「はい。私たちは今までの暮らしで満足していたのですが。あなた様に出会ってしまってから。どうしてもあなたの事が忘れられず。ずっと考え続けてしまいました。それで私達二人は、あなたについて行くことを決めてしまっていて、クロコには悪いけど二人で抜け出す事にしてしまったの。でも私たちの気持ちはもう変わらないわ。お願いします。私たちをあなたのそばに置いてください」と言う。俺はそれを聞きながらどうして良いかわからずにいたがクロトが間に入り「それは無理なんだよクロヤ。お前がクロミ達のことを受け入れても受け入れることが出来なくても。既にクロコの奴がクロミとクロネコを連れ出していて。しかもそのことがバレた時にはすでにクロヤがこの国から出て行った後になっちまっているんだ」と言ってくる。その話を聞いて俺は、クロミとクロミにクロネコとクロネコの三人と契約を結ぶことになったのである。

その後、俺は、城の中にある客間に案内され。そこに、この国で一番権力のある人物と対面することになったのだが、俺はこの時まだ知らなかった。この人が、俺の一番上の姉になる人物であるということを。俺が部屋で待っているようにと言われて待つことにしたのだけど。俺は落ち着かない状況だったために、そわそわしてしまっていたが。俺が落ち着くことはなかった。

しばらくして扉が開き誰かが入って来る音を聞いた俺だったが。その姿を見た瞬間に驚きを隠すことが出来なかった。なぜなら俺の前に姿を現したのは。銀髪の長い髪を揺らしながら現れた女性なのだが、その姿からはとても大人っぽい魅力が出ていて。なおかつ身長も高くすらりとしていて、胸はそこまで大きくは無いように見えるもののスタイルはかなりよく見えたため、俺は目を奪われたかのようにその女性の姿を見つめてしまう。

俺の目が釘付けになってしまっていたことに気づいた女性は笑顔になり。俺の方へと近づいてきては、手を握られて。その笑顔を俺に向けてくると。俺はその美しさに見惚れてしまっているのか、目を離すことができなくなってしまい。

そんな、俺の反応を楽しむような笑みを浮かべながら彼女は。

「君が、私の弟のクロハでいいのよね?」そう言われてから俺の事をじっと見られたあとに、「やっぱり、クロハはクロハだったのね。良かったわ、私が探している人を見つけてくれていたのね、ありがとうねクロキ、いえクロア、それとも今はクロオと呼んだ方が良いかしら、私はあなたのおかげで、今生きていると言えるのだから、本当にありがとうね」そう言ってクロギの手を握ったまま俺を抱きしめてくるので困ってしまったのでとりあえず。抱きしめ返してあげる事にするのだが。すると今度は「うー」と言いながら頬をすり寄せてきて。それが可愛らしく見えてついつい頭を撫でてしまったのだけれど嫌がってはいなくて。むしろ嬉しそうにしているようだったので安心することができた。そうしてから暫く抱きつかれ続けていたのだけれども、その状態のまま俺の事を抱き上げて。

それから、一緒にベッドに行きたいと言ってきたのである。そして何故かそのまま添い寝させられてしまった。正直意味がわからなかったが、そのままの状態でいたのだが、いつの間にか俺を抱き締める腕の力が強くなり気を失っているのかと思って確認のために軽く体をゆさぶると反応が帰ってきたため眠っていただけのようだ。俺は、この人の扱い方がわからないと改めて思い。そのまましばらく様子を見る事にしてみた。すると、また眠りだしたため、俺はその隙に逃げ出すことにしたのであった。

名前 クロガ 種族 クロネコ 性別 メス 年齢 5歳 LV 20 HP 2500/5000 MP20000 STR(力)

2000 INT(知)

2000 DEX(器用)

2000 AGI(敏捷)

2000 スキル ユニークスキル 全言語理解 神災を引き起こせるもの(レベル1)、全ステータス数値2倍、獲得経験値20倍、スキル取得条件クリア(スキルの取得に必要な経験値が減る、獲得経験値増加上昇)

成長限界突破、獲得経験値増加上昇、スキル限界値増大 ユニークスキル

(真祖吸血吸血ヴァンパイエンドヴァンパイアロード)

真祖吸血ヴァンパイエンドヴァンパイアロード 称号 神を呪った存在、吸血の王 スキル 吸血 スキル詳細 吸血により相手の持つ力を一時的に奪い取ることが可能 聖魔混合の使い手 光と闇を自在に扱える、聖と魔を混ぜ合わせる事が出来る 超回復 光を糧として回復が可能 時空を操る能力を持っている 龍神の加護 龍神の加護 龍の祝福 聖竜の守護者 聖竜の守護竜を従わせることができる、全ての竜の祝福を受けている、神獣の主、神獣を従えることができる。

真祖吸血鬼 吸血鬼の上位種族 真祖吸血ヴァンパイアマスターへ進化可能、聖魔混合使い 聖竜の使い手 全ての竜に愛され竜に認められた者に与えられるスキル 竜の寵愛を受けし者 龍の寵愛を受けている者の称号、全ての竜の祝福を受けている者への変化が可能になる 神災を引き起こした原因「はっ!まさかクロちゃんじゃないのか!」俺はそんなことを言いながら慌てて起き上がり。

辺りを見回したが。そこには俺を抱きしめながら幸せそうな顔で寝ているクロネが居たので一安心するが。一体いつまでこうしているつもりなのだろうかと思ってしまうがクロネがあまりにも幸せそうにしているものだから起こすに起こせず、そのまま放置することにした。それから俺は、さっきの俺が見ていた夢のことを考えていた。俺には確かに夢で見覚えがあったので、おそらく前世の俺はクロネの父親であるクロオさんに殺されたのではないかと考える。

そして俺は前世と現世の俺は、別人格ではないのではと考えたのだ。

そうすると。前世は恐らく俺であって、今世に生まれ変わった際にクロガに精神と記憶だけが受け継がれたのだと考えられる。

その後俺はクロネが俺から離れていく前に今の内にクロネがどんな顔をして眠っているのかをじっくり観察する事にした。その綺麗に整っていてとても長いまつ毛に、少しだけ幼さが残った可愛らしく美しい顔を眺めていると。なんだか胸の鼓動が早くなっていく気がした。俺はそれに戸惑っていると、そのせいで俺の顔に視線を感じたクロネが起きてしまったのだ。俺は恥ずかしくて、クロネの顔をまともに見れずにいると。「うろん、ふぁああ。

ん、おはよう」と可愛い声を上げていたのでクロネが起き上がった後に「おはよう。

クロネ」と声をかけてあげると「ん、お腹減ったからご飯作って、クロヤ」と言ってくるので「あー。わかったよ。でもまだ料理はできないから、買い出しに行ってくるよ」と言うとクロネコが、「クロヤ様。

それなら私が買ってきておきますので、クロネ様と一緒に待っていてください」と、言うので、俺はそれを了承し、クロトにも付いて来てもらう事にする。それから俺は城の中を出てから町の探索を行う。この国の事をクロネコたちに聞いてもあまり知らないという事しか分からなかったのだから、町を見てまわればなにかわかることがあるだろうと考えて。それから暫く歩くこと30分程でようやく城下町らしき場所に着くことができた。町の名前は『ユグド王国』と言いどうやらここは町の中心部のようだ。俺は町の様子を確認するために町を見回すことにして。町を歩いているとクロネは興味津々と言った感じで俺の袖を掴み、離れなくなってしまった。そのせいもあって俺はクロネコ達に話しかけることも出来なくなってしまい仕方なくクロネを連れて歩くことになった。しかしこの町に入ってからというものすれ違う人々全員からクロナを見られることになり、それが嫌だったようでクロネコ達が俺の前に出て来てクロナを隠してくれるようになった。そんな時。「クロガ様ではありませんか?」と、俺の名前を呼ぶ女性の声が聞こえてきたのでそちらの方を見ると。そこには銀髪でロングヘアの少女が立っていた。俺はその人物に見覚えがあり、この国一番の権力のある人であるということを知っていたため、すぐにその場で膝をついて頭を下げたのだが、銀髪の少女は、「そんなことしないでください」と言うので俺は立ち上がり、「しかし私はあなたの娘を攫ってこの国から出て行ってしまった身なので、そのことについて文句があるのであれば。なんなりと処罰してください。」そう言って俺が少女を見つめると。彼女は笑顔を浮かべながら俺の方に向かって歩いてきては俺の手を取ってきた。俺は戸惑いながらも「あの、えっと、これはいったい何でしょうか?」と言ってしまうと、銀髪の女性は俺の方をじっと見ながら。「やはりこの人は、クロエに似ているけど、どこかが違うような?それにこの気配、まさかとは思いましたが。貴方、もしかしてクロガさんではないのですか?」そう言われると俺は困ってしまう。なぜなら俺にはそのクロガとクロガの区別がついていないからだ。ただ俺は自分が自分であるという自覚はしっかりとあるので「はい、その通りですが?」そう答えると銀髪の女性は、「本当に貴方がクロガ様なのですね?」と言われてしまい、さらに、「クロハではなく、本当に、クロガ様なのですよねぇ。

うううぅうう、やっぱり私達のクロガ様だぁ、本当に会いたかったんですよ、ずっと探し続けていたんですから」と言われ。それから俺は抱きつかれてしまいそのまましばらく離してくれず、周りの人達からも注目を浴び続ける事になるのであった

「あの、あなたが本当に、その、勇者召喚によってこの世界に来た勇者の一人であり、クロオ殿の奥方であらせられるのですよね、しかも俺のことを知っていたようでもあるようだけどどうしてなのかな?」と俺は、目の前の人物に対して確認のために問いかけると彼女はこちらに目を向けてから、俺の事を上から下まで眺めた後。

そしてもう一度見返してから俺の質問に対する返答を行った。

まず彼女の名前はレイア、このユグド王国の国王の妻らしいのだが、今は俺の前に姿を現しているため護衛などはいないようだが。しかし彼女がこのユグド王国の女王であるのは間違いなさそうであるが。

その女王様の話を詳しく聞かなければと思った俺は、そのまま彼女を部屋に招くことにする。

俺の案内のもと、俺は彼女に部屋を案内するとそこで、彼女と話を進めることになるのだが、その際に俺が、この世界の人間であるはずの彼女達と普通に会話が出来ていることに驚いたが。

この世界で俺は魔族として扱われているためその事が理由であると考えられるため気にしないことにしておいて、本題の方に意識を向ける。

ちなみにその前にクロガが、何故か俺の事を抱き上げようとするのを、俺を姫抱っこしたいということだったのでクロオさんが俺を持ち上げようとした瞬間。

「クロヤ様に変なことしようとしたでしょ! クロヤ様に危害を加えるのならクロネコちゃんが許さないからね!」と、クロナがクロオさんの頭をポカポカ叩きながらそう言うので、俺はクロオさんに降ろして欲しいと告げると、クロトは渋々と言った感じで俺のことを落としてしまうのであった。そんなことがありつつ俺がクロガと、クロコ、クロネ、シロ、クロネコ、クロヒトと共に席につくとその時に、俺の向かいに座るレイアが。「それで先ほどの話の続きなんですが。クロオさんは、今何処に居られるのですか?」と聞いてきてくれたおかげで話が進めやすくなったのである。俺がクロオさんの今現在の状況を説明すると。「そうでしたか、でも、まさかクロネのお父さんのご兄弟が私の旦那さんになるなんて不思議な運命もあるものなんですね」と言ってくれた。

それからクロナは、自分のことを母だと紹介するのと同時に、自分はクロトの子供ではないと説明し始めたり。そのことで、少し揉めそうになってしまったが、そのことは後で解決することとしてとりあえず今は話を進めた。それからレイナは俺の体に起きた出来事を話してくれて。その時に起こったことを覚えていないことを話すと俺もクロネの事をレイナと呼ぶことにして二人で思い出していくように話し合った。その話し合いのおかげで俺は、少しだけ前世の記憶を思い出すことが出来た。その前世は俺と、妹、弟の三人家族であったことと俺達は仲が良い兄妹だったことは分かったものの、両親については全く覚えていなかったし、クロオさんについても、名前くらいは聞いた事がある気がするが、それ以上は思い出せなかった。

ただ前世の俺は。おそらくは大学生だったであろう。そんな俺は友達と飲み会に行っていて酔っ払って寝てしまっていたら突然光が現れその光が収まったらこの場所に来ていたことを話してくれた。

俺の場合はそれ以前での出来事が一切覚えていなかったため。前世の事は、あまり気にならない程度のものだった。

それから俺は、クロネやクロトからクロオさんについての情報を教えてもらい。

その後で、この国の事をクロトから説明を受けると、ユグド大陸には元々国が四つ存在していたのだが。その全てが悪徳の帝国であるバルダに滅ぼされていて現在残っている国はユグド王国とユグド連合国の二か国だけらしく。その二つの国のうちユグド王国は俺がいたユグド連邦よりも小さい国ではあるが、それでも大国らしく。周辺国家を纏め上げるだけの実力と実績を持っているらしいが、その国にはクロネの母親であるレイアという女性と、その夫であるクロガという男性しか存在しておらず。それ以外の国民たちはみんなバルダによって殺されてしまったらしいのだ。だから俺はそのことをクロガに聞くとクロガは、「確かにそうだ。俺は妻にだけは絶対に手を出さないようにと伝えていた。そして妻を守れるのは俺しかいないと思っていたから、俺は妻を守るために戦い続け。気が付けば、この世界には俺とクロネしか残されていなかった。でも、俺が生きている間になんとか他の人達を助けようと動いていたが。

結局誰も助けられなかったよ」と言って悔しそうな表情を浮かべていたので、俺はクロネコ達にクロネを任せることにした。

そして俺はレイナと二人きりで話すために外に出るとレイナを連れて城下町に出かけるのであった。

「クロヤ、クロナも一緒に行きたい」と言うので俺は仕方なくクロネも連れていくことにしたが、流石にこの姿で町に出るわけにも行かないと思ったので、クロト達に町に出てもらおうとしたらクロト達が俺の言いなりになってくれたお陰で俺達は城下町を歩けることになったので。クロネはクロハが面倒を見て、俺とクロガとクロミとクロノとクロモの三人組で行動する事になった。この五人の中で、俺が最年長であるから、何かあったときに対応が出来ると思いこのメンバーを選んだのだが。その判断は正解だったようだ。

俺達が歩いている最中にはいろいろな店があるのだが。そのほとんどが武器屋であったり鍛冶屋であったり、飲食店や薬屋だったりと、この町ではそういった物がとても豊富にあるようであり。そのことが俺には少しばかり興味深かった。

しかし一番驚いたのが、それらの道具類が魔族の国で使われている道具に酷似しているのだから俺は驚きを隠しきれないでいた。俺は魔族達から話を聞いた際に俺の前の世界の人間がこの世界を侵略しようとしているのが事実であれば、俺達の使っているような技術力や文化はこの世界には存在しないはずだと思っていたのだが、そんなことは無かったようである。俺はそれが不思議でしかたがなかったが、そのことも含めて、俺はこの世界の事を知りたいと、強く思った。それからしばらく歩き続けると、一つの広場へとたどり着いていたので、ここで休憩をとることにして飲み物を買ってくると言うと、レイナも俺に付いて来てくれると言い出したため俺は断ることも出来ずに一緒に行くことになった。それから俺はレイナと一緒に飲み物を購入しに行ったのだが。

「クロガ殿、クロヤ殿と何をされていたんですか?私達には教えてもらえないでしょうか?」と言われたため俺はクロネを預かった理由などを簡潔に説明した。クロナはクロトの妹であるため、このユグド王国にとってはとても重要な人物なのだ。しかしそれだけではないと俺は考えている。このユグド王国の現状を見てしまえば誰だってそう考えるだろう。このユグドラ王国の民たちはあまりにも無抵抗すぎてしまう。

それどころか、自分たち以外の種族を全て奴隷として扱っているような状態であり、この国で暮らしている者のほとんどが獣人と人間の混合種であるため人間に対して敵意を持つ者も当然居るはずなのに、彼らはそれをしていないのだ。俺はそのことを不思議に思い、どうしてそんな事が出来るのかとクロガに尋ねてみるとクロガはそのことについて語り始める。

クロガは昔から、このユグド王国の国王であり。クロオの妻であるレイアのことを愛しており。彼女がこの国の王妃となったとき、彼女は元々ユグド王国で生まれ育った人間であったためこの国に愛着があったのは確かなようだった。しかし彼女の夫はある日を境にこのユグド王国から出ていったらしい。それからクロガの妻であるはずのレイアには全く手がつけられなくなったのだという。

それからこの国はクロオによって治められていたのだと、クロトは言っていたのだとクロガは言った。しかしクロナは俺に抱きついた時に俺の事を自分の兄であると言っていた。俺はそのことから俺にはクロガの弟の、クロナの兄で、つまりは俺の弟でもあるということになる。俺はそう言われて、クロネを見ると、やはり、俺とどこか似ていると感じてしまい、本当に兄弟のような感じがして、俺は思わず頭を撫でてやるとクロナは嬉しそうに笑みを浮かべている。そしてその光景を見たクロガが俺とクロコの関係について聞いてきてくれたため俺は、俺とクロコの関係を軽く説明した。すると俺の話が終わるのを見計らったかのようにクロガも口を開き、クロガがクロコとの出会いを語り始めた。

クロコと出会ったときの事をクロガから話を聞いて俺は、クロコが魔族の中でも上位の存在であることに気が付き驚いた。そして俺も話を始めると。

俺も、元々は人間だったということをクロガに教えるとクロナにも同じ話を聞かせて欲しいと言われてしまったが、クロナが俺の話に興味を持って聞いていたからクロガに頼み、クロナに話すのをやめてもらうと、クロガが俺とクロコの関係についてクロガに尋ねると。「実は俺達は、昔一度結婚していたんだよ」と答えたらクロガは、「クロヤ殿とクロノは実の兄弟だったんですね。だから似ていないわけだ」と言って納得してしまっているようで俺はそれに違和感を感じつつその事に突っ込むことが何故か出来ないまま俺とクロトはクロガに、今の状況と今後の事を話す。その話が終わるとクロトがやってきて、これからのことについての会議が始まるのであった。それから、俺達はクロガが住んでいる屋敷へと向かうことになるのであった。

それから、俺はレイナと二人きりで歩くことに少しばかりの緊張感を覚えつつも。俺の気持ちを伝えようとする。レイナのことは絶対に手放したくないし、離したくない。そのためには俺が強くならなければいけないのだと伝える。そのために俺はレベルを上げようと決心したことを告げるとクロナは、「私もそのことに賛成。私はもう大切な家族を無くすのはいや」と言うので、クロネはシロとクロナの二人がかりでも倒せなくは無いとは思うが。もしもの場合に備えて戦力は多いほうがいいと考え。レイナには申し訳ないが俺はレイナにも強くなって貰う必要があることをクロネとクロハに伝え、それからクロネから「クロナ姉ちゃんの身体を使う許可を欲しい」と言われた。俺はレイナがそれを望むのならば良いのではないかと答えると。クロナはすぐに了承してくれたのでクロノの身体で戦闘訓練を受けることになったのだった。

それからクロエやユイにも、クロナの戦闘訓練を受けた方が良いと提案してみるが二人はクロナの肉体を俺が使うことを反対し始めてしまったため、俺はそれを受け入れざるを得なかった。ただそれでも俺は諦めきれずに俺はユイに「クロトやクロミに訓練を付けてもらうのはどうだ」と言うが、それは断られてしまう。そして、クロナが、どうしても俺の力を使いたいということだったため、仕方が無いから俺はその話を受けることにする。その事についてクロナは「ありがとうございます!」と言って喜んでいたが俺は、その喜びをぶち壊す発言をしてしまう。

「でも、俺もクロナと同じやり方じゃなくて別の方法で強くならないとダメだよな」と俺が言うとクロナはとても焦り始めた。その反応を見ていると、俺はこの方法は、この世界で生き残るための一番確実な方法であり。その方法をとらないのは俺がクロオを馬鹿にしていると思われるかもしれないと思い。俺は仕方なくこのクロカの身体を借りることにしたのである。そしてクロネには俺の本当の姿を見せるのはまだ早いと俺は判断したため、まだ見せられないと告げる。

そしてクロナは少し残念そうな顔をしていたが。俺がこの身体でいるときは絶対にレイナと二人きりにならないでくれと言ったらクロナとクロネが俺がレイナのことを気に入ってると勘違いしたらしく。俺はそんなことはないと言いたかったが、それでは二人も納得してくれないような気がした。そして結局、二人に勘違いされたままクロナの家でクロガに挨拶する。

それからクロナがレイナに俺とクロネの過去を話していたのを聞いていたのだが、レイナは真剣に聞いており、俺はそんなに聞くほど面白い内容でもないと思うので不思議に思っていると、クロトとクロミがやって来たため俺はクロネとの入れ替わりを終わらせ、それからクロトとクロコと共に話し合いをする。そこで俺は、魔族の国と同盟を結びたい旨を魔族に伝えた。そしてその魔族と魔族の国との間にある問題を解決したいという事も魔族に伝えると、それについてはクロガが協力出来ることがあるといい。魔族の国まで一緒についてくるように俺に頼む。

クロガが何故そのようなことを言うのか俺には分からなかったが、その事は、そのあとクロガから直接説明されるのだった。そしてそのあと、クロコが俺達全員に料理を作り、食べさせてくれたのだが、俺は味に少し疑問を持ちクロオの方に目をやるとクロオは首を横に振って。クロナが作っていたものよりは美味しいけど。やっぱり、そこまでうまいとは思えないと言う。すると、クロコは俺達の言葉にショックを受けており、落ち込んでいるようだったが。その言葉は俺達が嘘で、とても美味しかったと言っているのを聞き。笑顔を取り戻すのだった。それから俺たちはクロオに案内され、ユグドラ王国を出ていくために準備を整える。

ユグドラ王国の民たちは、俺達が城を出る際も何も言ってこなかった。しかしそれが不気味だと思いながら、ユグドラ王国から出たのだが。その際に俺は、クロオに呼び止められ。俺だけに聞こえない声でこう言われた。「お前は、魔族の王なんだ。もっと威厳を持てよ。それとあの時みたいに無様に負けんじゃねぇぞ。」

その一言に俺は衝撃を受け。俺は一体いつこの魔族の王に敗北宣言をしたんだろうと考えてしまうが思い当たることが一つだけある。しかし俺は魔族の王として負けたわけじゃないのに、魔族たちにはそう伝わってしまっていたらしい。俺としては別に魔王に勝ちを譲ったつもりはないが、確かに俺とクロガとの戦いにおいて俺は本気を出していなかった。俺は、そのことを思い出してしまい、俺は、クロガがこの国から出ていった理由を少しだけ分かったような気がしたのであった。

俺がレイナを連れて、俺達の仮の拠点となる場所にたどり着いたときには、クロハもクロナもクロガも居らず。俺とクロナがユグドラ王国から旅立った次の日にはもうこのユグドラ王国から去っていた。俺がユグドラ王国から旅立って、俺とレイナは、クロガの馬車に乗り移動をしていた。しかし俺は未だにこのクロガという男の考えていることがよくわからなかった。俺の予想だがこの男はこのユグド王国の王であるクロガの弟なはずだ。そしておそらくクロガよりも、この男は優秀なのだと考えられるが。クロガはこの男に対してどのような態度をとっているかわからないが、この男がクロナに好意を寄せていることが俺は気になって仕方が無かった。

それからクロナに対して何か仕掛けてくる可能性があると考えていたため、クロナと二人っきりにはなるべきではないと判断していたため俺は常にクロナと行動をしていた。しかし流石にユノや、ユナと一緒にいるときに、いきなり現れて襲ってくることも無かったため俺は警戒を解いていたが、それから二日経ったある日。俺がレイナやクロナに内緒で外に出ていた時にその事件は起こった。俺は、レイナを一人にして悪いとは思っていたのだが、少し外の世界が見てみたかったために。俺はレイナを置いてきぼりにしたまま町中を歩き回り。そして、レイナに怒られる前に帰ろうと、町の外に出たときに、俺は、俺の前に突然現れたクロガを見て、俺は思わず驚いてしまい、そのまま固まってしまっていると、俺はクロガに殴られてしまい気絶させられてしまう。そして俺は意識を失う直前にクロガが、クロナに告白してレイナが邪魔者だとクロナに告げて俺とクロガは、俺が眠っているうちにこの町から離れてしまったと聞かされて俺は驚愕してしまうのであった。

俺の目が覚めたのはその日の夜になってからだった。それから俺が目を開くと、レイナとクロナの顔が目の前にあった。レイナとクロナは泣きじゃくっていて俺の事をずっと看病してくれていて。レイナは俺が起きたことに気づいたらしく。俺はレイナを抱きしめてから頭を撫でてやり、「大丈夫だから」と何度も伝えて安心させてやる。

俺が起きてからも、レイナもクロナも俺から離れることは無かったので。このままではいけないと思って俺は、レイナとクロナを説得して離れるように言った。それから少し経つとクロナも起きてきたので。クロナとクロナにも、俺は心配をかけてごめんと言ってから謝り。そしてクロネと交代した。

そしてその日の夜に、俺は俺が眠っている間に起こってしまった事件についてレイナから話を聞く。その話によると俺とクロネは俺が眠っている間。レイナの知らない所で二人で会って色々と話をしていたのだという。そこで、俺は俺がいない間は、俺の代わりにユイやシロや、それからクロガとクロコやクロナを護衛して欲しいということを頼む。するとレイナは二つ返事で了承してくれたのだが、クロナは、あまり納得していない様子で。レイナが危険な状況になればいつでも入れ替わって欲しいと頼まれる。

そして、俺はレイナと俺がクロナ達を護衛している際に、もし、魔族の襲撃があればすぐに俺と入れ替わることを約束し。俺は、それなら問題無いと思いレイナを寝かしつけるのであった。その日は結局、レイナは疲れていたようで、眠ってしまい。俺は仕方なく一人で眠るのだった。

それから俺は、俺が眠り続けている間のレイナや、クロネやクロナの様子や出来事を聞いていた。特にクロネの話には俺は驚かされた。クロコや、ユイと、ユナが魔族と手を組み始めたらしい。ユイは魔族と同盟を結ぶと言う話をした時からそのつもりだったのだが、問題は魔族の方だ。その話は俺が起きているときであれば絶対に受け入れてくれないということが分かっているから、今しかないと思っていたのかもしれない。ただクロガが魔族の国と戦争になるのを避けたいから、何とか魔族との同盟を結びたいという話をして。クロガとクロナはそれを受け入れようとしたそうだ。

そしてユイ達は俺を目覚めさせる薬を手に入れるためにある魔族の国に向うことになったが。そこに魔族たちが現れ。そこで、ユイ達は戦闘を行う事になったらしい。そしてその戦闘の際にクロネは一度死にかけ、俺とクロネの身体は一時的に離れることになったのだと聞いた。そして俺とクロネはユイ達が無事に戻ってくるのを待っていたのだが。その間にユト達が現れ、クロネはユト達に拘束されてしまった。その時のユトの表情は、まるで悪魔のようだったという話を聞いて俺は戦慄すると共に。俺の仲間を傷つけたクロネに対して激しい怒りがこみ上げてきたのである。俺はユトにクロネを助けてほしいと言うが。クロガも助けに行きたがったが。俺もクロトもクロナも、ユトの強さは知っているため無理だと思い。諦めようとしたが。その話を聞いたクロガがユイトと勝負をしたいと言い出す。

クロナとクロネが連れ去られたことと。クロナがユナが襲われていることを知って、我慢できなかったんだと思う。クロガもユイトに勝つことが出来ないと分かっていたが。ユトは俺の配下になったはずなので俺が命じればユトに命令が出来ると考えての行動だと思う。しかし、クロナを人質に取られているような状態でクロガが負けてしまうと。そのことでさらに状況が悪化する可能性があると考えた。

そして、そのことは俺としても困るため。とりあえずクロネを助けるためにはクロネを取り返すのが最優先だという事で話し合い。まず俺達全員はユグドラ王国に戻る事に決めた。しかし、そこで問題が一つ起きた。それは俺がクロガとクロナと別れることになってしまうということだ。そうなってしまう理由は、俺の今の現状が、俺のステータスを確認することが出来なくて、ユグドラ王国の俺の居場所がわからず。この状態のままユグドラ王国に戻ってしまえば、俺に危害を加えたユガとユマの二人はともかく、その他の兵士や、王族達がまた何かしでかすのではないかと不安があったからだ。

そこで俺達は俺達の家に戻り。そこからこの国の王様の所へと向かい。ユグドラ王国の民たちを洗脳している元凶であるユグドラ王国を滅ぼすことにしたのだ。俺はユナにクロガにもしものことがあった場合のために、クロガについて行ってくれるように指示を出して、ユナもそれに承諾してくれた。俺はユガとユナだけは絶対に生かさないといけないと思いながら。そのあと俺とユナは転移の魔法陣を使い。クロカと、クロオの二人がいるユグドラ王国の俺の家に向かった。その途中俺は俺が眠っている間に何が合ったのかを、クロオに聞くとクロオが教えてくれた。どうやらクロガは、ユトにクロナを人質に取られたことで、そのことに腹を立ててしまい、クロガは、俺の代わりをクロガに任せることにしたらしい。しかし流石にこの状態のクロガにクロナの護衛を任せる訳にはいかないので。クロガを一旦俺とレイナの元に戻すために俺はこの家にクロガを呼び寄せることに決めた。そしてこの家からクロガとクロナを俺の家に向かわせるために俺は家の外に向かうことにする。そして、俺が家をでる際。クロナは俺がこれから何をしようとしているかを理解したようで「お願いします。兄さんを頼みます」と言われて、俺はそれに答えるとクロナの頭を最後に撫でてあげると。俺はクロナが俺の事を止めるのも気にせず、この家を出て。クロカを召喚した場所にたどり着いたのである。

俺が、その場所に着くと、そこには、既に俺と、クロエが乗っていたであろう乗り物があり。それを見た瞬間俺は、俺はクロガをここに来させてはいけないと思った。その乗り物に乗る前に。クロナと入れ替わっておくべきだったと俺は思い後悔をする。その時に俺は自分の愚かさを悔やむとともに。この場であの時クロロと俺を逃がすために立ちふさがり死んだユクのことを思い出して俺は涙を流す。しかし、その時にはもう手遅れで。クロトは既に俺に気づき攻撃を仕掛けてきていて。俺は慌てて、クロオに姿を変えて回避するが。クロトはその隙に乗り物に乗り込む。

俺はクロトを追いかけようと動き出そうしたのだが。そこで俺は気づいてしまう。俺の姿がすでにバレていることに。クロトは俺が変身して誰かに成り代わっているのに気づいており。それで攻撃をしてきたということに。

それから俺はクロトを倒そうと必死になって戦ったのだが。流石は神獣と言われるだけあって、とても俺一人の力でどうにかなる相手ではなかった。そこで俺は俺とユノの力を使って戦うがやはり互角の戦いを強いられてしまう。

そうこうしているうちに。いつの間にか日が沈み始めていて。辺りが薄暗くなってくる。そして、戦いの最中で俺は気づいたのだが、俺の体が段々と重くなり。動けなくなっていくことを俺は実感する。その現象の原因がなんなのか俺には理解できず。それでも俺が不利な状況に変わりはない。そんな時にクロトは突然攻撃を止めて俺に話し掛けてくる。

俺はクロトが何を言おうとしているのかと身構えていたが。クロトの言った言葉を聞いた俺は、俺は思わず動揺してしまうことになる。クロナはユトのことが好きだと。俺はそれを聞いて俺は、俺の正体が、俺の事が嫌いなユトだと知られてしまっているのは問題だと考え。俺をクロトの前から立ち去ろうとする。だがそれを阻止しようとするかのように、俺に向かって攻撃を仕掛けてきたクロガだったが、なんとか俺の攻撃を回避することに成功し。俺は急いでここから移動しようと動き出すが。ここでついに俺の体は動かせなくなるほどに弱まり始める。俺はこの場を逃げなければと焦りを覚える。するとそこで、クロトが口を開き俺はその言葉を聞いて、心臓が大きく脈打つ。そして俺がユガから聞かされたことと同じ話を聞き俺は、この目の前のクロトと俺の記憶を持っているクロトが同じ存在だとは思えない。

それから俺は最後の手段を使うことにして、その方法を使おうとする。そしてそれは成功したのだが、俺の意識は途絶えてしまったのである。

俺がその男を殺さずに気絶させることに成功した後に俺は、その男を縛った後に。この男の持ち物を調べたが特に大した物は持っていなかった。まぁ、当たり前の話だが、こんな場所を一人で彷徨いている人間がそこまで金を持っているわけが無いよなと。

しかし俺にとっては好都合だったので。俺の懐事情を考えずに。そろそろ街に出て、冒険者として依頼を受けようと考えていたが、とりあえずこの男が起きるまで待つことにしたのだ。俺はその間クロトと一緒に行動していた時のことを思い出す。俺達が出会った頃。俺が魔族を仲間にすると言ったらこいつは信じないような顔をしてから「人間って奴は魔族に騙されている。いいかよく聞け魔族は俺が倒すんだ。お前なんかに邪魔されるわけにはいかない」と熱弁し始めたのだが。俺はその時は無視しておいたのだが。俺の魔族の子供達を助けに行くと言うのにも反対してきて。最終的には「人間は魔族に支配されるべきなんだ!」と言ってくるような頭のおかしいやつだったため。仕方なく、こいつの記憶を奪って俺の言う事を聞かせようとしたところ。何故かうまくいかなかったため。仕方がなく俺の仲間にしたのだが。その当時は俺も魔族が憎かったので魔族と戦うのに協力させるために俺を裏切らせないように俺の魔眼を使うつもりだったので。そのついでということでこいつも利用するつもりだったのだが、それからも俺達はずっと行動を共にしていた。それはクロナが俺に付いてきてくれるようになった後でもだ。しかし俺が魔王を倒しに行くのを決めた後は、クロナもクロガも俺から離れることを決めてくれ。そして俺は、クロネの故郷にいる魔族を助けるため旅に出たという流れになっているのだが。クロトに聞いてみると。クロネは、まだ生きているらしく。その情報を知った俺達は、クロネを助けるべく、クロネとクロコの住んでいた家がある町を目指すことに決め。クロネとクロコを探すために、クロガと共に旅に出ることを決めたのである。

俺はそこで改めてクロトを見るが。その見た目は本当に昔の俺とそっくりなので驚きしかない。俺がまだ勇者として世界を救っていた頃の事を思い返しても、ここまで似ているやつが、俺が知っている限り二人しかいないからだ。その二人とは。一人目は俺の育ての親でもある先代の勇者達であり。二人目が、かつて俺が倒した勇者で、俺が命を奪った。ユトである。俺もまさかクロトが、ユトが生きており。しかもユガに成り代わっていたなんて思ってもいなかった。だから俺の今の実力がどのくらい通用するのかを確かめたかったのだが、結局のところ勝てる可能性は低いということが分かっただけだった。そして俺達の中で一番強いと思われる、クロガとクロナは今はクロガの家に置いてあるため。今からクロガとクロナを取り返すための準備をするため俺とクロトは一旦俺の家に戻ることに決める。そうして、それから俺がこのクロガの体から抜け出た直後だったと思う。

俺とクロトの乗っている、俺がクロガから取り出した、乗り物に乗って、クロガとクロナは戻ってきた。そして俺がクロガを自分の体に憑依させた直後に。突然、乗り物の中から悲鳴が聞こえてきたので。一体何が起きたのだと思い俺とクロトは乗り物の中を見ると。そこには、乗り物の中に、拘束されていたはずの、ユガとユナが乗っていたのであった。俺はどうして二人が、乗り物の中にいるのかと混乱したが。クロガは何かに納得をしたようで。その乗り物の中に、飛び込むように入っていく。俺はクロガの後を追うために。乗り物に近づき、乗り物の中の様子を見てみると。クロナが乗り物に乗っていたユトを捕まえて「私の兄さんを返してください」と言っていた。そこで俺が「俺ならここだ」と言うと、そこに乗っていたクロガがクロナに、話しかけようとすると。

しかし、クロナはそれを静止して、 クロナが自分の兄のユトの肉体を奪い、操り。この国を支配しようとしていたことを話すと

「そんなはずはない」と言いながら 自分が操られていたということを理解できないでいるクロトに向かって、「私がこの目で見ていたんです!貴方のやったことを全部知っています!」と叫び始めると。その言葉をクロガは信じることが出来ていなかったようだったが。クロトがクロナを襲おうとしたのを見たため。仕方なく、武器を構えるが、クロガは武器を降ろしてから、もう一度クロガとクロナは話を始めると、今度は、どうやら完全に洗脳から解けたようで。今までのことを謝ってきたのだ。それを確認した後に、俺は一度クロカの元へと戻ることにすると伝えようとしたが、クロガは、それではいけないと思って、俺に一緒にクロカの元に行こうと言ったが俺としては一人で行かないといけない理由があるため断ることにした。そこで俺とクロトが会話をしている時だっただろうか。

急に、俺の体が光だし、俺は元の姿に戻ってしまったのだ。恐らくこれは俺がシロに使っていた加護の影響だろうが、しかし、それについて気にする必要は無かったようだ。俺が元の自分の姿に戻っている間。俺を縛りつけようと攻撃を仕掛けてくる輩が現れてくれたので、俺とクロトがそれを避けて逃げ回るのが精一杯だったからである。

そして俺とクロトの二人はどうにかクロカと合流することに成功した。しかし、クロカと合流した時にはもう、クロトは完全に元に戻っており。自分のした事を全て思い出して後悔をしていた様子であったが。俺が「大丈夫だ。お前のことは俺が許してやるからもう泣くな。それにもうお前には悪いことをしないと約束しているはずだろ?」と言ってやると、クロトの目からは涙が流れ出し始めたが。そこでクロトはもう、二度とクロトが悪いことをしないようにと、俺の能力を使ってクロトを縛った。これでもう、こいつはもう悪さをすることはないだろうと思い。クロトはこのまま俺の家に残していくことに決めた。それからクロトの事は、そのまま置いておく事にしたのだが。ここで一つだけ問題が起こってしまう。それはこのクロガとクロナが住んでいた場所から、俺達が移動しようと思ったのだが。この場所に留まって、誰かに襲われる可能性があるという事で。この森に俺達が住む場所を移すということになったのである。それならば別にどこでも良いかと思っていたのだが、そこでクロナがこの森の中にある俺達が住んでいた場所に、どうしても住んでみたいということになり、結局その要望をクロナに押し切られてしまったということだ。

まぁ、確かにクロナの意見には賛成だったので俺は特に反論することもなくその意見を聞き入れて。その場所に向かうことにし、その場所まで向かう道中にクロガに確認をしてみることにする。まずは何故クロエがユトを蘇らせた時に俺がユトの記憶を持っているのかという質問に対して。「ユガ様の記憶を持っているお前と会った時は驚いたよ」と返されて。その次には俺が何故ユトの記憶を持っているのかと聞くと「お前の記憶が消えたらお前の人格はどうなるかわからないからな。だからお前をこの世界に転移させるときにお前の記憶は奪わず、封印をする形を取った。そしてお前の記憶が消える前にユガ様にこの記憶を植え付けたんだよ。この記憶を消すのは危険だからな。まぁでも結局のところは失敗作だったんだろうけどさ。俺がお前の魂を取り込んでも、その体じゃあ大したことはできねぇもん。俺がその体の主導権を奪ってお前を殺し、その体を手に入れる予定だったがお前は死ななかったんだからな」と言われたのであった。俺はその言葉を聞いて、少しだけ怒りを覚えた。俺の大事な家族である、ユトとリリアを侮辱されたことにも怒っているし、それ以上にこいつは自分勝手なことばかり言っていることが腹が立ったからだ。しかし今はクロガの事をなんとかするのが先なので我慢しておく。その後で、こいつの記憶を奪うかどうかを決めることにするが、その辺りの判断に関してはクロナに任そうと思う。それで駄目なら、クロガを殺すことも考えなくてはならないかもしれない。そんな事を考えていたら、俺達は目的の家に着いた。そこでクロナが「お姉ちゃん!」とクロガを呼ぶと。「なんですかクロナ?もしかして寂しかったんですか?」と言って俺達に近づいてくるのでクロガはクロナに抱き着こうとしたのだが、俺の目の前でイチャイチャするのは嫌なので「俺のクロナに触れるんじゃねえ」と言ってクロナを俺の後ろに隠すようにしてからクロガの胸倉を掴み持ち上げる。するとクロガはすぐに俺の手を振り払い俺を睨みつけてきたが。俺は構うことなく、

「俺の妻に気安く触れていると殺すぞ?」と伝えると。

すぐに、大人しくなって、地面に座り込んだ。しかし俺が「おい、この家に勝手に住み着くんじゃない。お前はクロナが住んでいる場所を乗っ取るつもりだったのだろう?」というと。その瞬間クロガの雰囲気が変わり「そんなことして何になるんだ?」と言われてしまったが、「そんなのはやってみなければ分からないだろうが」と言い放つと。「お前が俺に勝てると思っているのか?」と聞かれたので、俺は「俺の勝ちだ」と答えると、次の瞬間に俺は、首元に剣を当てられて。

そこから動かなかったのだが、

「ほぉ、俺の脅しを耐えるとわな」

そう言われたので、とりあえずクロガを殺してクロナとクロトを取り返しに行くため。クロガに向かって攻撃をしようとすると、クロナが、慌てて俺の事を止めようとしたので俺は、クロナに向かって落ち着くように言い、クロガに「まだ俺と戦うつもりはあるか?」というと、「今のはお前の反応を見て試しただけだ。もうそんなことはしねーよ。しかし今の戦いぶりを見ると本当にお前はこの世界に来たばかりの奴なのか疑いたくなるな」と笑われてしまう。それから俺は、この世界での生活に困らないようにするために必要な道具などを、クロガに渡してもらうように頼むことにしたのだが。クロガは「それぐらいだったら俺の配下に言って持たせればいい」というと。クロナは、それを断り「私達がこの家で生活したいです。」と言うとクロハもそれに同意してくれていたので、そのようにしてほしいと言うと「わかった。」と言い。「ただし条件がある」とクロガが言ってくるので、クロトはクロガが言った条件で俺達が暮らしていけるのか心配になっていたので。クロガの条件について聞くと。「クロナをこの家の管理者にしてくれないか?」という話になり、俺は、クロナの方に確認を取るために「どうだクロナ?」と聞いてみると。

「私は構わないけど」と返事をしたので俺は、クロガにクロナをこの家の管理人にすることで話を済ませた。クロナに、どうして、この家をクロトの住んでいた家と同じような作りにしているのにこの家はクロトの住む家と違って家具とかが置かれていないのだ? と不思議になって聞くと。この部屋は私の兄のクロガと私が一緒に寝るための場所なんですよ!と言うクロナの発言によってクロナがクロガの事が大好きなんだとわかってしまったのである。俺はそれを聞くとなんかイラっときたがクロナに、そういう話は俺がいないところでやってくれと言うと。なぜか急に顔を真っ赤にしてクロガと何かを話し始めてしまい。クロガはそんなクロナを見て幸せそうな表情をしていたが。それを見た俺はさらに苛立ちを覚えるのであった。

俺とクロトがこの国を出発する前。魔族たちが、この国に訪れることがあり。その時に、俺は、自分の妻である、クロナを正式に紹介したのだが、その際。クロナが自分の事をクロガの妻と紹介するのを聞いたクロガの表情は俺が想像していたよりもずっと穏やかなものだったのは意外だったが。それでも俺は、この二人の間には入れないなと改めて思い知らされることになった。それからこの国を出る際クロガには、俺の持っているスキルについてや、これからこの世界に起こる事や、魔王の復活について、そして勇者召喚が失敗することを予言して、俺の考えを伝えてある。クロガにはこの国が大変なことに巻き込まれないように動いてもらいたいと思っていたが。しかしそれもあまり上手くは行かないような気がしたのだ。そして俺は自分の国の事を心配しながらも。クロガがクロナを自分の家に連れて帰ってくれた後、クロガの事は信頼してもいいかと思った。

俺がクロトに、シロの記憶を持つ人間を操って、シロを殺したのは本当なのか?と確認した時のことだった。シロの記憶を持った人間の少年を、シロを洗脳するときに使った力で洗脳して。自分の手下にする。そしてシロが生きていた頃の記憶を利用してシロに自分のことを攻撃させるのだ。その時に、シロがどんな感情を抱くのか確かめるために。そんなことをすればシロは確実に俺のことを殺そうとしてくるのは分かっているのでその記憶を持っている人間は殺される運命にある。だが俺には関係ないことで。むしろその方が俺には都合が良くなる。なぜならば俺のことを殺せば当然クロトは俺に対して復讐するために動き出してくれるはずだからだ。そのおかげで俺はクロガに頼らずに、自由にこの世界を動けるようになるから一石二鳥なのだ。俺がそう思っているのと同じようにクロトも自分がしたことのせいで誰かに命を奪われることになるとは思ってもいないはずだが。まぁそんな事は関係ないので気にしないことにする。

それよりもクロトが俺の思っていた通りの行動を起こして、俺が予想通りの行動を取り始めた事に俺は心の中でほくそ笑む。それから、クロガの事は信頼できる男だとは思ったが。しかしあいつは、ユトとリリアの命を奪った犯人で。リリアをあんなふうにしたクロトの兄であることには変わりない。そのクロガには俺の事を憎んでいる気持ちがあるのは当たり前の事で、その憎しみは、いずれクロトに向かう可能性もあったが。しかしクロガもクロトの事は弟であり大事な家族だと考えており、それはリリアも同じだったので、二人が本気で殺し合うことはなかっただろうとは思う。そのクロトにクロガを殺すように命じた俺としては、二人の関係を崩してしまった罪悪感があるが。それはもう過ぎた話であるのでどうでも良いが。まぁ、とりあえずは俺にとって好都合だった。だから俺としてはクロガには何も期待せずにクロガのことはクロナとクロトに丸投げすることに決めた。クロナとクロトはお互いに依存をしているのは一目瞭然なので後は任せてしまえば大丈夫だと判断した。だから俺は、俺自身の目的のためにもクロガとクロナに頑張れと応援だけはしてやることにする。そういえばクロナとクロガを会わせた後に俺がこの世界の未来を予測した時の記憶を全てクロナに伝えたのはいいのだが、その時のクロナの絶望的な状況と。そしてその後の俺に対する怒りが強すぎたようで。「なんで、私達からクロトを奪うんだろうね。絶対に、クロトを取り戻すよ。待っていてクロガ兄」と言っていた時は。流石の俺でもドン引きをしてしまうほどだった。そんなことがあったのにもかかわらずクロナは全く懲りずにまたクロガといちゃついていた。それで俺は。クロガにクロナを取られたくないという思いから俺の方から強引にクロナを奪ってしまうことになったのだが。その行動をとったせいで俺は。シロを失っただけではなく。大事な家族も失った。

俺がシロの体を操ってからしばらくしてクロガとクロナと、俺の家族たちは森の奥へと進み始めてくれた。俺は、その後を追いかけていくが、やはり、この体の本来の主はクロガではなく、元々の持ち主であるクロナであるらしく。体がうまく動かすことができなくて少し戸惑っていた。その辺りは時間が解決してくれるのかもしれないが今は、どうにかしてこの体の扱いに慣れないといけないと思う。俺達が、そんな会話をしながら森の中を進んで行き。ある程度奥へ進んだところで俺達は休憩をすることになった。俺達は今、木々に囲まれた場所で、俺達は地面に座り込み休んでいた。

するとそこで俺は。この体の本当の主に、どうして、シロを殺したのか聞いてみようと思い、話しかけることにした。

そう、それが一番知りたかったことなんだよ。だってさあ、俺とシロの関係を終わらせてしまったのは紛れもなくお前じゃないか! それなのにどうして。そんな風に、幸せそうな顔をしているのだ? と、俺は心の底からの恨みを込めて言ったつもりだがそれを聞いた瞬間にクロナは驚いたような表情をしていたのが分かった。きっと今の言葉を聞いたクロガやクロナと俺の間になにがあったのか理解していないクロトは驚いているみたいだったが特にクロナはショックを受けているようだった。それからしばらくの間無言のまま時間が過ぎていったのだが突然。

「あなたこそ何言っているんですか?」

と、クロナの声色が変わると。俺は一瞬のうちに首筋に剣を当てられていた。俺は一体何が起こったのかわからず呆然としながらクロナを見つめていると。そんな俺の様子を見ながら、クロナは自分の唇に人差し指を当てると、黙っていろ。というように目線をこちらに向けてきていて、そんなクロナに俺は気圧されてしまった。クロナの目からは、殺意しか感じられなかった。

「私の名前はシロですよ? 何を言っているのですか? あなたの目の前にいるのは、私の夫のクロトじゃないの? 私はクロガの妻のクロナだよ!」

そんな声が頭の中に響き渡ると同時に俺は気を失ってしまった。

俺達がクロナたちと別れてから数日後の事である。クロガが急に用事があるとかでクロナたちとは別行動する事になった。

「すまない、俺は、少し別行動をさせて貰う」と、クロガが俺とクロナとクロハに伝えると。

「え?どういう事なの?」とクロナが聞いていて。クロガはその問いに答えた。

「少しこの近くで仕事がしたいことがあるのだ」と、クロガはクロナに言うと「じゃあ、クロト君には私たちが案内してあげる」とクロナが言い出して「そうだ、そうしろ」と、俺の意見を聞くことなく決めてしまい。俺は、結局この三人と一緒に街に行くことになってしまった。

それから、この数日の間で、この国について俺は、色々な情報を手に入れられたので俺はそのことを整理するためにも、クロガと一旦別れることにして俺は、一人になれる場所を欲し。

それから、しばらく、この国の様子を見回ったり、一人でこの国の王都を散策して見たり。俺は魔族の国の王様として国の仕事をしていたのである。

魔族や人間以外の生物はこの国で暮らしていけるのだが、人間の場合はこの国では生きていくことはできないため。この国の人間は別の場所に移住をするしかない。だが移住先を他の魔族たちに教えてしまうと。人間に居場所を教えてしまう事になるから。教えるわけにはいかないのだが。俺が魔王になって国の仕事を手伝ってほしいと頼むとその事を了承してくれ。それからというもの、俺はその国の住人たちを、魔王の国に連れてきてこの国に住む許可を与えたのである。

それから俺は国中を見て回ったりして。この国に住んでいる人間の数を確認したり。そしてこの国が人間たちから、魔の者が支配する国だと勘違いされてこの国の住民に攻撃を仕掛けられないように。この国が安全に生活ができる国だという事を証明するためにも国の宣伝をして回りながら過ごしていたのだった。

それから俺は、自分の城に戻ると自分の書斎にこもり俺はこれからこの国がどうなるべきかについて考えた。

俺が今までやってきたことといえば。まず最初にこの国に、魔王が住まう場所を用意したのだ。そのおかげなのか分からないが。この国の住民たちは、この国から外に出て人間と戦うということに前向きでなかった。その理由は。人間が、この国の事を、魔の者が住む土地だと思い込んで、この国に攻撃を加えてくる可能性もあり。また。魔族の中の過激派は人間に報復しようと動き出しかねない危険性があるためだ。この国の住民は人間に復讐することを望まない者達ばかりでこの国の住民が望むことはこの国は、穏やかで、平和であり続けることであり。その思いから。この国の王は代々温厚な性格の人達ばかりだと言われている。

そのことからも。やはり。俺がやったことが正解だったのではないかと思える。それに。この世界に来てから。俺が魔王になってからも俺の事を慕ってくれている者達は大勢おり。そしてその者達は皆、俺に協力してくれると約束してくれたのだった。俺に力を与えてくれた神の力によって俺が得たこの能力は、この世界を創造された女神様に授けられたものなので俺は自分の意思で、その力を悪用することはしないつもりだった。そしてその事が、この世界で生きていこうとしている人々にとってはありがたいことであったようだ。

俺がそんなことを悩んでいる時に部屋の扉が叩かれた音がしたので俺はそちらに目をやると。俺の従者が俺に会いたいと伝えてきた。俺がその者に部屋に入ることを許可してからしばらくしてその者の気配は消えた。どうやら、部屋に入ってきた奴は姿を消したみたいだった。

俺が部屋に入った者は男だったがどうやら人間ではないみたいだった。俺はそいつの正体を知るために声をかけようとした時であった。突然背後に現れたそいつは、刃物のような物を握りしめていて俺に向かってきた。だが俺は、そいつの腕を掴むとそいつも必死に抵抗するが意味がなくそいつの攻撃は俺に当たることはなく。俺にはかすってもいなかったがそいつは諦めることなく何度も俺を殺そうとしてくる。だがそんな事はさせずに腕をねじ上げるとそのまま壁に押しつけるようにした状態で抑え込んだ後に俺は質問する事にした。

そう、それは。お前の目的は何なのだということだ? そう尋ねると同時に相手の体から何かが出てくるような感覚を覚え俺はすぐにそいつを蹴り飛ばし距離をとる事にした。そして俺の目の前にいたはずのそいつの姿を目にすることはできなかったのだが。俺の足が当たる直前に姿が消えており俺は慌てて周囲に意識を向けるが、やはりその姿を見つけることはできずに、それから俺はこの空間に自分以外の誰かの力が混ざったような違和感を感じ取り。おそらく、それは、転移能力だと思うが俺の力でどうにかすることはできないと思った。そしてそんなことを考えているうちに。さっきまで俺に襲いかかってきていた相手が俺のすぐそばに現れていた。俺の予想通りに。

「俺をここから出してくれると嬉しいのだが」と、そいつが言ってきた。だから俺はすぐにお前が誰でここにどうやって入り込んできたのかを話さないのであればお前をここから出すことはできないと伝えると。その言葉に対して男は、俺が出した条件を簡単に飲み込み。自分がここに来る前に行っていたことについて話すと。

それから俺に話しかけてきた男のことを、この城の中で探すことにした。この城のどこを調べても、この男の手がかりになるようなものが見つかるはずもないと思っていたが。だが、俺は、どうしても、その男が気になり探し回っていると。この国を守護するための装置が設置されている場所を偶然見つけることに成功した。

その場所を俺は調査しているとこの城に張り巡らせられている結界の内側に、別の魔法陣が組み込まれていて。俺はその魔法を解読しながらどうにかしてこの城の外にでられる道がないかを調べると、そこには隠し通路が存在していた。俺はそこから城の外にある森の中に出ることができた。

そうして俺達はこの森の奥へと進んでいく。

森に入ってから少しすると魔物と遭遇するようになり始めたので、俺達と魔族の子供だけで戦闘を任せた。俺達が今歩いている森の場所は木々に囲まれている場所で俺達はそこで休憩することにしたのである。そこで俺は魔族の子供にシロと呼ばれていたその子が本当にシロなのかどうか確認するために話し掛けたのである。すると、彼女は一瞬のうちに剣を構えてきて俺に向けてきたのである。だが俺は、クロナに止められて。剣を下ろさせることになったのである。そんなシロの様子を見て、俺が思っていた通りの人物であることを確信できたのだが。俺に剣を向けた理由は何なのだろうかと考える。だがシロに剣で脅されそうになった俺は。彼女の剣を奪い取ると彼女に突きつけてから俺はシロに一体どういうことなんだ?と聞くと。そんなの俺の方が知りたいよ。と、俺の方を見ずに言うと、シロにそんな態度をとられたので。俺は、このシロという女の子が、俺の妻であるクロナだという事を伝えたのである。それを聞いたシロは驚いている様子でこちらを見つめていたので、どうしてそんな姿になったのだと俺は聞いたのだが、そう尋ねてみると、そんなの俺だって知らないとしか言えないと返されてしまう。

それでは、この子はクロナであって。クロナではないのだなと、俺は、その言葉をクロナに伝えようとして。それから俺がクロナの名前を口にするとクロナは、まるでクロナのふりをするのを止めて、本来の姿でいようとでも言わんばかりに、クロナの口調や声色が変わっていくのだった。そして俺はこのクロナの姿を見て、どこかクロナとは違う感じがしたのである。

だがクロナの姿が変わったことに戸惑っている俺を見て、クロナは笑みを浮かべると。この姿を見せたということは。これから私がどういう存在であるかを。クロトさんなら理解できると思うのですけどと、そんな風に言い出した。そして俺が理解できなかったので俺はどうなっているのかを聞いてみた。すると。

私はクロナでもあり。クロナではないとだけ伝えてくるが、それだけではまだ、よくわからないのだ。俺がそう答えると。

それからクロガが俺達に近づいてきて、俺が手に持つその少女に目が止まると、この子はクロカ様じゃないですかと驚いた顔をしていたので。

クロガは、俺に、なぜこの子の事をもっと早く言ってくれないのかという表情をしてきたので俺はとりあえず落ち着けと言っておいたのである。

俺がそういうと、クロトは、わかりました。と言いそれからしばらくの間、黙り込んでしまい俺達の方をチラチラと見てきているのだった。そして俺に話しかけてきたのはしばらく経ってからのことだった。

「俺、その子に聞きたいことがあるんだけど」と言うのだが何を考えているのか全然わからなかったので俺は一応聞いてみる事にした。

すると案の定。クロナのことを聞き出そうとした。俺は、今は話せることはないしそれに今は、あまり余裕もないのでまた後日、落ち着いた時に会おうと思っていると言ったのだった。

そして俺の言葉を聞くとクロナは残念そうな表情をしながら俺の顔を見つめてきたが。

「ごめんね、まだ。私もこの子がどうなったかわかっていないんだ。だけどこの子は、この子だよ。だからお願い、もうちょっとこの子に優しく接してくれないか?」と言われた。だから俺が分かったと答えて。それでいいんだよという感じで俺に向かって微笑んでくれた。

それからしばらくして俺は自分の体に何か違和感を覚えた。だが自分の体の方に目をやってみると、なんと。この俺の目の前に俺に向かって抱きついてきている人物がいた。俺は、俺にこんな行動をとった人物が一体誰なのか確かめるために後ろを振り返ると、俺の後ろにいた人物は、俺と顔見知りの少女だった。それはさっきまでのクロガと同じようにクロナの姿形をしているが。髪の色は白く。瞳の色も銀色になっているのだった。そんな俺の様子を見ていた、その銀髪の子は自分の存在を隠すつもりがないようだったらしく。俺のことをずっと見てきていた。そんな少女のことをクロガは知っていたみたいだったのだが俺にはさっぱりわからなかったのである。そしてクロナが自分の正体を俺に明かしたことによって。

俺の頭の中で今まで起きていた出来事が、俺の中に流れ込んできた。そしてそれが終わると同時に。俺はある事実に気付いてしまった。そう。クロガという青年の正体は実は、魔族と呼ばれる種族の中の魔人族と呼ばれる者達なのだという事にだ。魔人は俺の目の前で自分の事を魔族ですと告白すると。自分のことについても俺に教えてくれた。それによると俺は自分の妻達と一緒に魔王を名乗る者達と戦っていたみたいだった。

そんな事を思い出している俺にクロナが声をかけてきた。

俺は自分の中に記憶が流れ込んできた影響なのかもしれないのだが俺は、クロガとシロについて少し知っていることが分かってしまう。まず俺は目の前にいるシロと同じような魔人が二人存在していることを知っていて、一人は、黒龍と呼ばれている存在で。もう一人は白竜と呼ばれている存在であるらしい。

俺はその話を聞くと同時に、クロカと同じような力を持った者が二人存在していたことに驚かされたが。だが俺はそんなことを考えていても仕方がないと思って。それから俺は、自分がここに呼ばれた理由について、クロナと話をすることになった。俺はここに来た目的は。クロナに会うためだったことを告げる。

それから俺は。自分がどうしてここに来てしまったのかについては。この世界に来るときに神と自称する男に呼び出されてここに連れてこられてしまったということを話した。だが俺は。このクロガと名乗るこの青年とシロと名乗ったこの女の子が本当の名前を名乗ってくれるとは思っていなくて俺は、俺の妻の名前を呼ぼうとしたのだがなぜか俺はその事が言えなかったのであった。

そして俺は俺とクロナとで、この世界に飛ばされる前のことについての話をしていたら、突然、この空間に俺以外の誰かが入り込んでくる気配がしたので俺は慌てて振り返ったら、その瞬間、俺の首に刃物が押し当てられて俺の命を奪うように首筋に何かを押し付けられてしまい、それが何なのか分からず、抵抗しようにも相手の方が圧倒的に力が上であり。俺は、どうすることもできない状態だった。俺はその状況から抜け出すことができないまま。クロナの方を見る事しかできずにいたのである。

俺に刃があてられたことで俺の心臓の鼓動が大きくなっていき。この音が相手に伝わってしまうのではないかと心配になるぐらいまでになっていた。そんなことを思っていた時。クロガの様子が急変して。俺のことを殺そうしている相手を蹴り飛ばすと同時に、俺は、俺を殺そうとしていた何者かに、俺のことを殺されないようにと、そいつのことを蹴り飛ばして距離を取る事に成功した。

そして、そいつの素顔を確認すると俺は驚くしかなかった。

それは先ほど、俺のことを殺そうとしていた相手の容姿が。クロガにとても似ていたからであった。そしてそいつがクロガが姿を変えていた姿だということはすぐに理解できたのだが。俺の体からは血が流れることはなく。そのかわりに俺は、自分とそっくりなクロガが目の前に現れたという事で。少しだけ嬉しくなっていた。

そんなことを考えながら、俺は、クロナを襲ってきたこの女のことをよく確認しようと、俺はその女の顔を覗き込むと。俺が、クロナの方を見たので俺が襲われていることに気付いたクロナも、同じようにクロガの方を見て驚いた顔をしていた。

そんな様子を確認してから俺は、今の状況を把握しようとした。

クロナは今、この女に襲われているようだ。だがなぜ今このタイミングでそんなことが起きたのかという理由がわからないのだが、その理由を考えるのは後にする事にした。俺は今、この状況から逃げ出すためにクロガに声をかけたのだが。

するとクロナはクロガに対して攻撃をやめるように言ったのである。そんな言葉を聞いて俺はなぜそんなことを言うのかが疑問に思い尋ねてみた。そうするとクロナの答えは、このまま戦うとクロガの体が傷つくからと言う理由で戦いを避けた方がいいと言うことだった。だが俺はそんな事を言われても信じられなかったので。

俺はクロガにその剣を貸してくれと言ってみた。そうすれば今のクロナの力を見ることができると思ったからだ。クロナがクロガの剣を借りてもいいか?という確認をしたらクロガはクロナの方を向いてからすぐに許可を出してきてクロガの了承を得られたので、俺がクロトさんの武器を使いたいと言ってきた。だから俺がそれじゃあと遠慮なしに、このクロガという少女が持つ黒い刀身を持つ剣を借りることにしたのだけれど、その剣を実際に触ってみると、まるでこの世には存在しないような美しい輝きを放つ漆黒の刃の美しさに惹かれていったのである。

それから俺は自分の手に馴染む感触を楽しみながらも。自分の愛用の剣を取り出す前に。

「これは返すから、とりあえず今は使わせてもらうね。」と言い。

クロナはその俺の言葉を聞くなり、ありがとうございますと言ってきてくれた。

それから俺は、クロナの目の前で剣を構え直してから、目の前の女のことを見てみることにしようとした。そうするとこのクロナに似ているクロダという名の女もクロナと同じく人間離れした強さを持っているようで、そんなことを考えた途端に俺と目が合ってしまいお互いに警戒態勢に入ることになった。それからしばらくの間、お互い睨み合った状態で動けなくなってしまった。それからしばらく経つと、そのクロカによく似ている女性に攻撃を仕掛けられるかもしれないので、その女性の隙を見つけようとする。

だがそんな簡単に隙を見つけることなどできるわけもなく、クロガがクロアに攻撃を仕掛けたので、クロガが、自分の命を守るためにクロナが使っている剣を使って反撃をしたのだが、その攻撃を受け流されてしまったのだ。その一連の動作はあまりにも自然すぎて、このクロナにとても似たクロカも、クロナ同様に実力が高いことがわかったのだった。そんな事を考えながらクロガの攻撃をクロガが防いでいる様子を見ていると俺に攻撃をしてきた女性はクロナと同じような魔法を使ったのか分からないが。俺達の周りの地面に無数の穴を開けたり。大きな爆発を起こし始めたのだった。だが俺は、クロガに守ってもらっていたこともあり。特に何も問題はなかったのだが。俺は自分の方にも爆風の影響があったのだが俺にはクロガの結界がある為。ダメージを受けずに無事だったのだが、その爆音によって俺とクロナは会話をすることができず。

そしてまた、俺達の目の前にいるクロカ似の女性が何かを呟くとその口から衝撃波のようなものを出して来た。それに対して俺がクロエに向けて魔法を使う要領でその衝撃波のような物を消滅させようと思って試してみるもののやはり俺の使える魔力量では無理だとわかったので別の方法でなんとかしようと考えている時、ふっと何か良い方法が思いついた気がした。なのでこの考えが成功するか試してみると案外上手くいくかもしれないと思い実行に移したのであった。そうしてこの俺に襲いかかってきている女性に対抗する為に考えた方法は。

まずはこの女性の足元に重力操作の術式を施して地面の底深くにまで落ちてもらい。その後この空間全体を真空にしてしまえばいいんじゃないかという事を考えて、俺は術を発動させようと試みたのである。

そうしてクロガの攻撃を防ぐ事に精一杯になっている、目の前にいる女に向かって俺も自分の攻撃ができるようにと。俺は、クロガの方を見るとクロガは目の前にいる女の相手だけで手いっぱいだった。

そんな様子を確認してから俺は自分の目の前にある見えない壁を思いっきり叩くと、俺はこの見えないはずの透明なガラスのような物が割れるイメージをしながら叩いたのだが。予想以上に硬い物に当たった感じだったので。俺のイメージ通りにはならなかったが、それで、俺はクロカとクロガの二人に向かって話しかける。そしてその時に俺は、クロガが持っているこの魔剣について説明をし始めたのであった。そうしないと目の前で戦っているクロガが危なかったからだ。俺はその剣は神界でしか創り出すことが出来ない伝説の剣であることを説明する。

俺はそんな俺の説明を聞いた二人は驚いていた。その話を聞いてくれたおかげで俺は、二人の協力を得ることができたのであった。それからクロナはクロロの事を俺に託してきたので、俺はその言葉を素直に受け取ることにした。それからクロガがクロナのことを気遣う発言をしてくれたので、俺はクロガがこの魔剣が神界にしか存在しないという事は知っていたのだが。クロガにその話をしたところクロガはクロナにその事について教えていた。だがそんな事より。俺達にとって一番の問題であるこの女性を相手にしなければならなくなったので。俺はまずは女性に対して攻撃を仕掛ける事にしたのであった。

そうしてクロガとクロナの二人が協力して俺に攻撃を加えようとしていたのだが。そのクロナの姿が急に見えなくなってしまった。その事に戸惑ったクロガはクロガの視界が閉ざされてしまう前にクロガにクロナの居場所を教えていた。それから俺の方にも。クロガとクロナが二人で協力してくれればこの女の相手に集中できて助かると思ったので、二人にクロナの場所を教えると俺はその女性から目を逸らさずにいつでも逃げれるようにしておいてから。俺の方もクロナと一緒に探そうとしたが結局、見つけることが出来なかったので。クロカというクロナと似ている女と戦うのに専念する事にしたのであった。

俺はそんなこんなでこのクロカという女と再び戦うことになり、この女との戦いを始める事になったのであるが、俺達が今居る空間の中はとても狭い空間になっていて。そんな空間の中で俺とこの女の戦いが始まる。この女がどんな魔法を使おうとしているのかわからなかったが、クロガやクロナが言うように。その動きは、人間とは思えない程の速さを持っていて、目で追い切れないほどの速度で動いていた。俺はそんな女の動きに付いていけない状態であり、俺の方が劣勢になってくる。俺が不利になった理由はいくつかある。その一つとして俺には元々、剣の才能が無かったということが一番大きな理由だと思う。剣の扱い方が他の人よりも格段に違うという事が自分でも理解していた。

だから俺には剣術を学ぼうと思った時には既に遅く。その時には俺の剣術の腕はかなりのものになっていたのだが。俺はその事で満足する事は無くて、さらに上を目指そうと、もっと強くなろうと思っていたので、俺の剣術のレベルを上げるためにも色々な人の剣を見て研究をしていたのだ。その結果が、このクロガという女の子の持っている剣がどのようなものなのかという事も俺はわかっていたのだ。

だからこそ俺は今この場でも、この剣を使いながら戦い続けているが、このクロガが持っていた剣を自分が使いやすいように改良していった。それから俺には、クロガのように魔法を使うことが出来るわけでは無いので。このクロガと同じ名前の女が使っていたような衝撃波を出す魔法を使いこなさなければいけない。だが、このクロナに非常に似ているこの女は、この魔法を自由自在に使うことができるようだが。俺はそうではないので。その魔法を使う事は不可能だと思って、その魔法の発動をどうにか阻止することが出来なければ勝ち目がないという事になってしまうが。この女はどうもクロガと違ってあまり強いとは思えなくて、俺の全力を出せば倒せない相手では無いと思っているので俺は、その魔法を発動させないで、倒す事が出来る方法を試すことを考えていた。だが俺はこの女が俺のことを警戒していたのか俺の事をじっと見ていたので。俺はそんな女から逃げるのは得策ではないと判断して俺の使える魔法を使って戦うことにするのであった。

俺は、そんな事を考えつつ。まずはその魔法を使わないとこの女の使う衝撃波が対処出来ないと判断できた。だが俺は、クロナがこの衝撃波を出していた時と同じように自分も衝撃波を放つことが出来るはずだと思い。衝撃波を自分の体に宿すような感じでその魔法を使うことを試みたのだけれど、それが意外に成功する確率が高かったようで成功したのだけれど。それを使ったせいかすぐに俺は限界が来た。それからすぐに魔力を使い果たしてしまい動けなくなってしまったのだけれど何とか耐え切ったのだ。

そうするとこのクロカと呼ばれている女の体が光だし。光が消えるとそこには別の服を着た女性が立っていたのだ。俺はその事に驚いたのだがその服が違う女性に変化している時にクロナとクロガがいる方向に振り向いたらなぜかクロガだけが居なくなっていたのだ。そのことを不思議に思いながら考えているうちにいつの間にか目の前にいるこの服装が変わったクロカと言う女性の姿が消えてしまっていた。そのことに戸惑いながらもクロナは一体どこに行ってしまったんだ?と思い探してみる事にしたがなかなか見つからなかったのだ。そこで俺はもう一度クロナとクロガのことを探すことにしようと考えてその場から離れると、少し離れた所でクロナを見つける事ができたのでクロナと合流することにしようと思う。それから俺はクロカの事を探していたクロナのことが気になるのか。

クロナに近づいていってクロナに声をかけるとクロナは何故かとても動揺していて。

そんなクロナの様子を見て俺はこの国で起きたことをクロナに説明したのだ。それから俺が、俺がクロガの持っている魔剣が神界のものでないと嘘をついてこの剣が神界で作られたものだと説明してやったらクロナに驚かれたがそんな事より今はこのクロカが着ている衣服の方が重要だと感じたのである。そうして俺とクロナとクロガがクロナとこの国で再会した。その時クロナに、どうして突然消えたのかを聞かれたので。この国に残っていたこのクロガと同じような気配をしている女性を倒しに行く為に俺だけ一人でこの国から転移をして、この魔剣の持ち主である女性を探しに行ったと説明した。

そうして俺は、俺の目の前にいるこの国の元王女と名乗るクロナに色々と質問をする。この国のお姫様だった頃の名前は、クロネという名前のようだった。そしてクロナはなぜ俺のところに来て俺達の仲間になろうとしなかったのか聞いてみると。俺はクロガにクロナの事をクロガの知り合いの女性のクロガのお母さんだと紹介したが。それはこの世界に来た時に俺達がクロガと出会う前に起こった出来事についてクロガが知っているか確認するためにクロナの事を俺の婚約者である、クロガの友達だという事を話したのである。

だがクロガの反応が予想と違ったので俺は何かあるのかもしれないと考え始める。

「私はクロガの事は弟のようにしか思ってないわよ。それよりも私がここに来たのはこの魔族の国が今危機にさらされているみたいだったから、私の魔眼が告げるの、貴方に力を貸さないといけないと、そんな予感がしてね」

そのクロナの言葉を聞いて俺も何か引っかかるような気がしたのだ。それにこの世界のどこかにいるクロエも同じことを考えているんじゃないかとも思った。なので一応俺達はこれから魔族たちを討伐に向かうという事で話はまとまったのだがクロナと話をした後は俺達は一旦クロナの家に戻って休んでいた。その休憩中にクロナがクロガに向かって俺にクロナの本性を話し始めた。そしてクロカはクロガのお姉さんなんだという事を俺達に向かって言ってきたのであった。それから、それから、俺はクロナとクロガを一緒にしておくのは不安だったので、クロト達三人を先に家に戻してから、俺とリリィ、そして俺達とクロナとクロガの四人でこの国を救ってくれる勇者が現れるまで防衛するというクロナの話を聞いて、俺はこの国は勇者が来ない限り絶対に守れないと確信する。なぜなら、魔王軍がこの世界に召喚した勇者たちは全員魔人に殺されているのだからな。

それからクロナがこの国に勇者が現れた時はどうすれば良いのだろうかと考えている時に、このクロガにクロナのことを話したらこの魔剣に眠る魔人を蘇らせて欲しいと言われてしまったので俺はこの魔剣に眠る女性を目覚めさせることをクロガに頼んでしまったのである。この魔剣に眠る女性の名前を俺は聞いたことがあるのだが。思い出せないがおそらくこの人は俺達と同じ世界から来た人なのではないかと俺は考えていた。

このクロガが言うにその魔剣に眠っている女性はクロガよりもずっと前にこの世界で生きていて。魔剣が覚醒するまでに長い間眠っていたのだというのだが。それから、このクロナによく似た容姿をしたこの魔剣に眠り続けるこの女性の名はクロコと言う名前で、この国の先代国王の妻でもあり、現王妃のクロネの母親でもあるという事を教えてくれたのであった。

俺はこのクロガが教えてくれた情報にかなり驚きながらも。今すぐ俺もこの国を出ると伝えると、俺と一緒にいたリリア、ルリナ、サーヤ、アリシアも俺の意見に賛同して俺と一緒についていくと言ってきたのだ。そして、その言葉を聞いた後に俺はリゼを呼び戻して、皆の分の装備を俺のアイテムボックスの中から出すと、俺はその武器の使い方などを一通り教えた。

それから俺たちは、俺がこのクロナから受け取った剣を持って、魔剣クロカネの使い手クロカの居るこの魔族たちが暮らしている街へと向かっていくのであった。そうして俺は魔人化しているクロカと再び戦うためにクロナと、クロガが住んでいるこの国を出て行ったのであった。俺は、あの女との戦いでこの国を救うにはもうこれしかないと思い、俺はクロアの所に行き。その事を相談することに決めていた。

クロガが俺達のパーティーに入るのならこの俺も俺達もとクロガと、クロナも一緒に付いてくると言い出してきていたので。とりあえずこの二人は仲間にすることに決めた。だがその二人が一緒についてきても特に問題はないと思っていたのだ。ただクロカだけはこの二人の力を知っているので二人だけで行かせる訳にはいかないと思った。

そういえばこの二人の名前を聞くのを忘れていたことを思い出した。だが俺にはその疑問を気にしている暇は無くて。俺はクロダのいる場所に向かった。そうするとそこにはクロアが待っていて。

俺は早速、クロダに俺の考えている作戦をこのクロガ達に話し協力してもらうように伝えたのだ。そうするとクロガは、自分の姉と戦う事になるかもしれないという話をされたのでクロカはクロガの姉でありクロガが魔人化する原因を作った女性なのでクロナとクロガが、俺と行動を共にするとはクロカを救いに行くことなのだと説明をしてから俺はクロガの魔剣をクロナが受け取り魔獣使いとやらを俺とクロガが倒せるくらいの強さに引き上げる事を説明したのだ。それから俺は、魔族の国の城に向かいたいと言ったのだ。

その話を終えた後俺はすぐに城を探索することにした。俺はクロアと二人で城の中に入るとすぐに地下牢が見つからなくなりクロナと、クロナに似ているクロカは俺とクロハがこの国の人間たちを殺すと思っているらしく、必死になってクロワを助けようとしてきた。俺は、そんなクロナに対して俺達がそんな事はしないと、信じてもらうためにある魔法を使ってクロカの動きを止めて、クロロ達と合流してからクロガの剣を取りに行って戻ってきた。俺はこの剣はクロガに返そうかと思ったのだけれど、クロガはクロカが持っていた方が有効活用できるだろうと判断して、この魔剣はクロナに返すように言った。そしてクロナにこのクロカの持っていた魔剣をクロガが持って、この魔剣にクロナにクロナとクロガを戦わせないようにする為に、俺の魔力を使い。クロガがクロカを気絶させることに成功した。

その時に俺は、自分の魔力が無くなっていることに気づいたのである。

それからクロナをこの城の地下に転移して、この魔剣クロカネを渡したのだった。そうするとクロナとクロガは嬉しそうな顔をしていた。それから俺はこの城で、魔族たちを捕らえている牢があるのかを確認することにした。そこで俺は見つけたのだ、この国の王族とその一族、それから一部の使用人たち、さらに、この国の大臣までもがそこに捕まっている事に気づき。俺達はそこへ向かう事に決めた。俺はそこで気になっていたクロカの事を聞いてみたのだ。クロカがどうして魔人の血を体内に入れられて、魔人にされてしまっているのかを。俺はその理由をクロカから聞くことになる。そうして俺はクロナからもらった魔剣を、クロカとクロガに渡しクロナに俺の仲間の三人を預けてから俺だけ魔人とクロカとの戦いの場となるであろう、城の地下へと向かったのである。

そうして俺は魔族の城での戦いが始まった。まずは俺は最初にこの城に捕らえられているクロカの知り合いらしき人物たちを、クロカとクロナに任せることにした。クロナはその知り合いが誰か分からないようだが、この国に来る前に魔剣がクロナに伝えてきたのだと俺は思う。その事を考えるとこの城でクロガと、クロカのお母さんであるクロナと魔剣が反応した人物が同一人物だと考えるべきだろうと俺は考えたのである。そして、このクロガの剣に宿る女性が、クロガとクロナに、クロネさんとクロカさんを殺させまいとしてクロカとクロナの前に姿を現したんだと思うんだよな。そうして俺はその女性の願いを聞いてあげないとこの国は滅びるのでこのクロカを操っている奴を倒しに向かうのであった。

俺がこのクロガの持つ魔刀クロカネが覚醒する前に倒したので。俺の魔力でクロカの体を支配している元凶の魔人に俺がとどめをさすつもりだったのだ。それからクロガが、この魔人化したクロカと戦っていたが。どうも魔人はクロガに負けるような強さではなかった。それどころか、俺とサーヤでクロガをサポートしながら戦ったとしても互角になるかどうか怪しい相手である。それほどこの魔人クロナは強いのだ。だから俺はクロガに加勢した。だが魔人が、俺の持っている魔剣が覚醒するのを恐れたのかクロガを攻撃し始めたのだ。だから俺とサーヤとクロガの三人がかりで魔人を追い詰めていった。だが、その時俺達の隙を突いてクロガがクロナとクロナに似た少女と剣を交えていて魔人と魔獣は戦いに夢中になりすぎていて俺達に意識を向けることが出来ていないようだった。

俺は魔剣の力を使うために、この国のお姫様であったクロナが俺の魔剣で攻撃されていることに気がついてしまったのだ。だから俺はクロガと魔獣と戦っている魔人に向けてクロカネの能力を解放させたのである。するとこの剣が覚醒し魔人に向かって黒い炎を放とうとしていた。

その瞬間に魔人クロナは危険を感じ取ったのか、この国に来ている勇者と仲間たちの存在にようやく気づいたのだった。だがすでに遅く、俺の魔剣がクロカを襲っていたので。魔人は魔剣で俺の剣を弾き飛ばす事に成功するのだが、クロガの魔剣が魔人を貫く方が早くて。このクロナが、クロアが持っていた魔剣クロカネに、クロガが使っていた時の力が戻ったことによりクロカネに秘められていたクロガの力がクロナによって引き出されるのである。

それから魔人は魔剣が覚醒したことに気づいて魔剣の暴走を防ぐためにクロカに無理やり命令をしてクロナを殺そうとするが、魔剣に込められている俺の膨大な魔力が発動したことで、クロナの命令に逆らう事ができなくなってしまい、魔人は苦しみ出したのであった。そうしている間にも俺がこのクロガが持つ剣を魔剣クロカネにすると、俺の魔剣にクロネの魔素がどんどん吸収されていったのだ。そして俺が魔剣をクロネが眠るクロネが封印している部屋に戻そうと考えている時に、クロガと、魔人が戦う部屋から激しい衝撃音が響いてきたのである。

俺はすぐにこの部屋の中の様子を確認した。するとそこにはこの魔剣クロカネとクロガが使った時の記憶を持った、黒き龍の化身の姿になっている、魔人クロカと魔獣クロガが激闘を繰り広げていたのだ。俺はすぐに二人の間に割り込みこの場に魔剣をクロガに返しにきたことを、二人に伝える。すると二人は嬉しそうにその事を喜んだのであった。それから俺は魔人クロガに魔剣クロカネを手渡すと、魔獣クロガの剣にクロカネを戻しに行ったのだった。俺はクロナからもらった魔道具の指輪の効果でクロカに憑依していた、クロガと魔人から魔剣を取り戻してクロガと魔獣クロガの元に戻ったのである。だがそこに現れた一人の少年とクロナのそっくりの少女と、もう一人の女性が俺の目の前に現れて俺に剣を突き刺そうとしたのである。

俺はすぐにクロカと、魔人とクロガの戦いを止めたのだ。そうするとこの国の王子が俺に襲いかかってきて俺は剣を抜き応戦しようとすると、クロナと、もう一人の女が、魔人とクロガを連れてどこかへ転移してしまったのだ。

そのあと俺とサーヤは魔人の後を追うことにする。魔人はクロカを使ってクロアが持っている魔剣と魔人の力を手に入れようとしていたのである。魔人は、この国に来た目的の一つがこの魔人の国で最強の存在になるためであるらしい。そうすることで自分が魔王となり魔人の世界を支配をしようと企んでいるようだ。俺はその話を聞いて俺は魔人の話を信じるつもりはなかった。そもそもクロナがクロアをこの世界に連れてきている以上、俺にとっては信じられない事であるからだ。

クロナが俺をこの世界に呼び出した目的はわからないが、俺をクロナの世界に戻す為だと思っていた。しかし今の話を聞く限りでは、違うような気がしたのである。この世界の支配者になること自体が目的のようであるから。それに、クロカをこの世界で操っていた、魔人に俺がやられてしまったせいか知らないが、魔人の気配が弱くなってしまったのが俺にはわかっていたのだ。

この事から考えられるのは俺が死んだと勘違いをした可能性が高いと思う。そうなると俺のことを敵と認識してしまう可能性があると思ったのである。そんな事はさせないために俺は急いで城から脱出したのだ。

俺とクロガが魔人と戦ってから一時間ほど経った後に、俺とサーヤは魔人達を追っていたのだ。だがそこで俺は、魔剣が急に反応して俺の前に姿を現したのである。

「おい!お前は何者なんだ?なぜ俺の前に現れるんだ?」と、俺が問いかけると俺に剣を渡してきたのだ。俺は、こいつは一体何者なのかを考えているうちにこの魔剣に宿っているクロナの記憶が流れ込んできたのだ。そして俺はクロガを魔人と戦わせる事にした。そうすると魔人が現れた場所から、クロカが出現した。その事で俺は魔人は、クロカの中に入り込んでいた事に俺は気づきクロナとクロカが無事だったことで安堵した。

それから俺は、魔人とクロカとの戦闘を止めることにしたのである。そして俺はクロカに魔剣を渡すと、この剣は俺の仲間の女の子が、俺のために作ってくれたものであると説明し、この剣をこの魔剣が目覚めるまでは大事に使って欲しいと言って渡したのだ。

その後、魔人と魔人が召喚した魔人とクロガと俺とサーヤとクロナが対峙することになる。俺は、この魔人と戦うことになったら俺はこのクロガと、クロナを守ると心に決めてこのクロガの持つ魔刀のクロカネの覚醒に、俺は全力で取り組むことを決めたのであった。それから俺は、魔剣クロカネをクロガと、クロナの二人が使えるようにするべく俺の持つ全ての魔力を込めて、この魔剣を覚醒させることに集中する事にしたのであった。だがこのクロカネの能力は俺にとって強大すぎて扱うことが難しく、何度も失敗してしまっており俺は自分の未熟さに嘆いていた。それでも俺はこの魔剣が覚醒して魔人を殺せる武器が手に入るならと俺はクロカネがクロガと、クロナが使えている事を強く願って必死にその願いを込めたのである。

そうしてついに俺は、この魔剣クロカネの覚醒に成功し、この剣は二人目の主人である俺に対して、感謝するように言ってきたのだ。そしてクロガとクロナの二人の体に憑依している魔人と、魔人に支配されているクロカとの戦いが始まるのだった。

俺は今から目の前にいる魔人と、魔人が従えている魔獣と戦いになるわけであるが。まず最初にこのクロガが持つ魔刀、この魔刀は魔獣の素材を使った物なので、俺の持つ聖剣より、強力な刀なのではないかと考えていたのだ。それから俺達は魔獣と魔人との戦いを始めた。まず先に攻撃を仕掛けたのはクロナであった。なんとその剣筋は、あの時の剣術大会でクロカが使っていた剣術であった。だが、クロナはあの戦いで魔人に剣を弾かれてそのまま意識を失ってしまったので、おそらくその剣術の使い方までは知らないだろう。だがクロナは、なぜかこの魔人とクロカが使っていた、剣と動きで戦う事ができるようになっていたのだ。俺はこの事に疑問を感じていたが。今はこの魔人と魔獣と戦わなければならない。そう思って俺は、魔獣の注意を俺に向かせるように魔獣に向かって攻撃をしようとした。

するとその時だった。クロガは、俺に話しかけてきてクロカは俺の妹だから守ってあげて欲しいと頼んできたのである。俺はそれを聞いた時にこの魔獣と、この魔人が同じ魂の持ち主で、元々は人間でありこの世界にクロカと一緒に召喚されていた事を知ったのだ。俺はこのクロガの言葉に納得することが出来た。そして俺は、この魔獣がクロナを、俺の妹を殺すかもしれないと思って俺は魔獣を本気で殺しに行くことにしたのである。

俺はクロガに俺の妹だと聞かされた時から、このクロガの事が気になっていたのだ。だがクロカに憑依しているこの魔人が、クロカの命を狙っていることを知っていた俺は、クロカを守るためにもこの魔獣に容赦するつもりはなかった。俺はクロガにこのクロガに妹を殺させない為にも、この魔人の命を奪わないとだめなことを伝えるとクロガはすぐに理解してくれたのである。そうする事によってクロガと、この魔人は元の人間の体に戻ることができ、クロカは助かるのだ。この事を伝えた俺だったが、俺はある事を思い出したのだ。そうそれは、魔剣クロカネをクロガが使った場合、クロガとクロナが死ぬ事を忘れてしまっていたのだ。俺はその事をクロガに伝えようと思ったのだが。もうクロカは死んでいるというのにこの魔人がクロカの中に入っていたのであればクロナの中の、このクロカと、クロカの体が生きている限り、この魔人は消えないということに俺は気づいたのである。そうすれば、このクロカの体の中の、この魔人が消滅させる必要があると思い俺はクロガとこの魔人の戦闘に割って入って魔人とこの魔人がクロガの体を乗っ取らないようにした。そしてこの魔人は魔獣に命令して、魔獣がクロガの背中を噛みちぎろうとした瞬間に、俺はこの魔人の胸を突き刺したのだ。

俺はこの魔人を殺したつもりだったが、その瞬間にクロガが持っている、魔剣の力が解放されてこのクロカとクロガの二人から魔素が全て抜けていったのである。

その事に俺は驚いたが、どうやらこの魔人は俺の魔剣の力を使って二人に憑依してこの世界に来ており、俺がその魔剣の力でこの魔人を殺したことで、魔素が無くなったために消滅したことがわかったのであった。

俺がこのクロカとクロガから魔獣と、魔人を退治したことで安心をしていると。サーヤはクロガに駆け寄っていった。俺はサーヤとクロナの二人を見守っていたのだ。そうするとクロナは目を覚ました。クロナはまだ記憶を取り戻していなかったのだ。だが俺はサーヤからこの魔人とクロガが兄妹であることを聞いてクロガを、魔人とこの世界の人の戦いを止めた英雄であるクロガがこの世界に来たことを思い出したのだ。

クロナはこの事を思い出そうとしていた時。俺はこのクロカの身体の中にクロガがいたことを話したのである。その話を聞くとクロナが驚いていた。俺はそんなに驚く事かと思っていたが、クロガとこのクロカが、このクロガと同じ存在だとわかると俺は疑問を抱くことになったのだ。俺はクロアにクロガが魔剣を使いこの世界に来ていたと教えると、さらにクロナは驚いていたがこの魔獣を、倒したことによりクロナとクロガは魔人の呪縛から解放されたらしいのだ。

その後。俺達の前に一人の少年が現れてクロナのことを抱きしめると俺のことを睨んできた。

「なぜ僕の邪魔をするんですか?貴方は魔王軍なのですか?それとも勇者様の生まれ変わりなのですか?」

「いや違うぞ?俺の名前はヒロムっていうんだけど。お前は何者だ?」そう言って俺は目の前に現れたこの男の正体を尋ねたのだ。

すると男は、「僕は神童です。魔王軍にこの世界は支配されるところでしたが僕があなた達の手助けをして、これからこの世界を魔王軍の支配から逃れさせます」といってきてこの世界に平和を取り戻すと言ったのである。その発言で俺はこの男が、あの自称神の言っている、神の使徒であると確信できたのである。その事で俺は少し警戒心を強めると俺は念のためにこの神童を、尋問することにしたのであった。

この世界での、クロカの本当の仲間を探すべく行動を開始した俺は、最初にリリカに会いに行ったのである。その途中で、俺はこの世界の現状とこの国の状況について色々と知ったことで。まず、クロカが死んだことで、俺に復讐しようとしていた人たちの殆どが死に絶えていて、生き残った人も奴隷商人に売られてしまったり、殺されてしまっていて誰も残っていないという事実を知ることができたのだった。俺がそのことを聞いて、クロナにクロガをこの世界に置いていきたいと伝えると、クロナは了承してくれたのだ。それでクロカが目覚めた後、俺達がこの国に戻ってくるまで。俺と、リリアと、サーヤの三人でクロカを守ってほしいと言うとクロナは快く引き受けてくれた。

そうして俺が、クロガを連れて、リリカに合うと、まずはなぜここに現れたのかを説明した後に、魔人と戦える武器を渡したのだ。そしてこの剣の事を俺が作ったということと、この国を救おうとしていると話すと、リリカはすぐに納得してくれていたのである。それから俺達は一緒に行動することになったのでリリカにもこの国がどういう状況になっているのか聞くことにするのであった。

俺はまずリリカの話を詳しく聞いたのだ。その結果この国は人間に恨みを持っている魔族たちによって支配されようとしていることを知り俺はその事を教えてくれるのなら協力したいと思ってこの国から出ていくことに決めた。その時に、俺がクロカネを覚醒させた事を説明するとなぜか俺に感謝されたのであった。

そういえば、俺はクロカの体の中に、クロガという、クロカのもう一人の妹がいるという情報を得ており、俺はそれをこのクロカに教えたのだが、そのことに関しては俺は何も知らないフリをしていたのである。俺はこの情報を他のみんなに伝えるかどうか悩んでいると、リリカが、クロガに会わせて欲しいと頼まれたのだ。そして俺はリリカの言うとおりクロガに会う事にしたのである。

クロガがクロカのことを大切に思っている事は知っていたからこそ俺はクロガにはクロカが生きている事を、クロガにだけ伝えたのだ。するとクロガは涙を流しながら喜んでくれた。そして俺にありがとうと言ってきたので、俺は別にお礼なんて言わなくても良いと思ったのである。

それから俺はリリカに、クロガの今の実力を確認するとやはりかなり強いことがわかり。俺はクロカを守れるくらい強くなれるかを確認したところ、クロガは自分が、クロカを守りたいのでもっと強くなりたいと真剣に言ってきたので俺はそれを認めることにしたのであった。そうする事によって俺はクロガの気持ちに応えることができるからだ。俺はリリスと、サーヤと相談をすると。二人もクロカとクロガを仲良し姉妹にしてやりたいということで二人も賛成した。そこでクロナが目を覚まして俺と、クロガを抱きしめてくる。そしてクロガの事を俺の可愛い弟だと紹介してきたのだ。その事で俺はまた、複雑な感情を抱いていた。だが俺の心の中は、家族を失う辛さを知っているため。なんとかこのクロガを俺の弟として受け入れたのである。こうして俺はクロガを受け入れて、クロカもクロガのことを認めて。クロガがこのクロカと、クロカの体の中のクロナと一緒に暮らすことになったのだ。クロガの、俺に対する尊敬度がものすごく高くなっていることに俺が気づいたのは、この時であった。

そうしてクロガを仲間にした俺達は次にリリカの仲間を探しに、この街を出ていったのである。だがその途中。俺達に戦いを挑んでくる冒険者達が現れて俺が、瞬殺したのである。その光景を見た俺の仲間達は俺の凄さを改めて感じたような顔になっていたのである。

そうして俺はクロナとクロガとリリカにクロアを任せると、リリカと共に行動する事になったのだ。俺はこの国の現状を聞いて、今のままでは、いずれこの国が滅びることを理解したのだ。だからクロカの体の中の、このクロナがこの世界に転生してくる前に、この国を救うための行動を開始する必要があると感じたのであった。そうして俺はまず、この国の王の元に行くことを決めたのだ。

だがその前に。この国に魔獣の大群が襲ってきていることに気がつき、その事を、街の人々に伝えたのだが、彼らはパニックになっていて、逃げようとしない人がたくさんいたのだ。だから俺は彼らを無理やり連れ出して、魔獣が来るであろう方角から逆方向に移動させるように言ったのである。その指示を聞いた人たちは、すぐに動き出していたので俺はその人たちを見送ると、魔獣がやってくる方向へ走り出したのだ。そして、魔獣たちの姿が見えたので、俺は、魔獣たちに攻撃をしてみたのだが。俺が思っていた以上にこの魔獣たちは強かったのだ。俺は、自分の力の弱さに、イラついて、つい大声で叫んでしまったのである。

「こんなんじゃ!あいつらを助けてやることなんてできないじゃないか!」そう叫ぶと同時に、クロナの剣である魔剣クロカネを俺が使うと。魔剣クロカネが勝手に動き出すと俺に向かってきている大量の魔獣たちを一気に切り裂いていったのだ。そうすると俺が予想していなかった事が起きたのである。なんと魔剣の力を使う度に。俺は魔剣を使いこなせるようになっていったのだ。その事に俺は喜びを感じて、さらに魔剣クロカネの力を解放すると、この魔剣は俺が望む通りの力を発揮して魔獣を倒していったのであった。そうすると俺はあることに気づいたのだ。それは、この魔剣クロカと、クロガに憑依している魔人を倒すときに使ったのが魔人の呪縛の力だという事だった。俺はクロナからこの魔剣がこの世界の魔族の武器であるという事を聞いており。魔素を吸収し続けるという事を聞いている。俺は、その事からこのクロガと、クロカをこの世界に送り込んで魔人を倒した時に得たこの魔素を吸収する能力を俺は魔素を吸い取り続けて魔素を枯渇させることができれば魔人の呪縛を打ち消すことができるのではないかと推測したのである。その事に気づいた俺が、魔剣クロカを使い魔剣クロカネを暴走させて、全ての魔獣を倒して魔剣の力で吸収し続け、クロナの体に憑いている魔人を弱体化させれば、倒せることができるのではないかと思いつくと。早速俺は行動に移すのであった。

そうして俺は魔獣を、この世界に存在する魔石を使い魔道具を使って俺の世界では、銃と呼ばれている兵器に改良したものを、俺の魔素を魔弾に変えるとそれで魔石を砕いて、その魔弾を魔剣で斬撃を放つことで、広範囲にいる魔獣を、どんどん倒していっていた。そして俺がこの魔獣たちを次々と倒しまくって魔核と魔鉱石を集め続けていたのである。そのおかげでクロナの体の中のクロナとクロガの魂を封じ込められている、あのクロガとクロナが囚われていた場所にあった魔鉱脈に大量の、魔力が蓄積されていっておりクロナがこの世界に来る前からこの世界にある全ての魔鉱を取り込んだ魔導具を起動させることで。この国の魔導具を全て使えるようになり、クロナが、この国に戻ってきたときにはこの国のすべての技術力が向上されるようになっていたのだ。そして俺はクロガがクロカのことを守りたいという願いをかなえてあげたいと考えていて、クロカが戻ってくるまでこのクロカの体の中で眠るクロナとクロガが目覚めても良い状態にしておくためにこの国の人間たちから奪った知識を元に、俺達は魔人を殺すためにこの魔獣達を狩り続けることを俺は決めたのであった。

そしてそれから俺は、魔剣クロカネを全力で解放して、俺はひたすらこの国の中を暴れ回ったのだ。するとなぜか俺が通った場所は魔物がいなくなると言われ始めるようになったのだ。

そんなことがあったが俺達は無事にこの魔獣が大量発生していた地域から脱出することに成功する。その途中でクロカの仲間の魔人とクロガの妹クロナは無事に合流することが出来たのだ。それから俺たちはこのクロナとクロガの仲間の魔人に話を聞くことにするのであった。その魔人はこの国を支配する魔族の幹部であると俺は知ったのだ。俺はその男の名前を聞いたのである。

「貴様らは一体何者だ? 我ら魔族の敵である人間と行動を共にするとはどういうつもりなんだ?」と男が言ってきたのだ。その言葉に対して男はこのクロトと名乗る少年が魔王なのだと勘違いしたらしいのだが、それを訂正しようともせずに。俺は男の問いに答えたのだ。

「俺の名前はケンと言うんだ。お前たちが魔族と呼ぶこの世界を我が物にしようとしている組織から人々を救いたいと思っているんだよ」と言うと俺は、クロカが眠っている部屋に向かったのである。そしてその部屋に入ると、俺は魔族に連れ去られていたはずのこの国の女王のライラとその女王の子供がいたのだ。

俺はまずはクロガに事情を詳しく聞いた。どうやらクロナとクロガが俺についてきたことによって、このクロナがこの世界に生まれ変わった意味がなくなり、そしてその事に気づいたリリスとサーヤがこの子達を連れて帰って来てくれたようなのだ。それでリリスとサーヤにはお礼を言うと俺はリリスとサーヤにこの国で起こったことを説明した。するとリリスとサーヤは自分たちにも責任があることを気に病んでいたのだ。なので、俺はこの二人がこの世界で生きているだけで良いことを言い。俺の仲間になってくれた二人に感謝を伝えたのである。そして俺達がクロナのことを仲間にした話をクロナの口から聞いてリリカがこの子は私に任せてと言ってこの子の教育を始めることになったのであった。そうして俺とリリカで話し合いをした俺は、魔族がいるこのクロカの体の中のクロナがこのクロガの中に宿っているのと同じ魔人の元に向かうことを決めたのである。

そして俺はこの国にいた、この国の支配者であったクロトの部下である、ミリア、クロコ、クロキ、クウガの四人組と。そのリーダー格のミアリ、アアリスとこの国の城の中にある宝物庫で、俺と魔獣たちとの戦いで手に入れることができた魔宝石を使った装備を整えると。俺と一緒にいた、クロアは先に一人でこの国に残されていた仲間のところにいくと言って別行動をすることになったのだ。ちなみに俺を案内してくれたクロナの弟でありクロカの弟でもあるクロガは。この国の人々のために働くと言い残しこの国の王と王妃の護衛をしていた仲間の元に行っていたのである。そうする事によって、俺の仲間になりたいと願う魔族と魔人たちが集まってきていた。

その仲間は全員俺が鍛えてあげることになる。そうすることで俺は俺が持っているこのスキルをうまく使って戦うことが出来るようになるのだと思ったのである。

俺は、クロアに後を任せた仲間達の様子を見るためにまずはクロナの体を乗っ取ったという魔人である、クロナにクロナの意識を呼び戻すための準備をして貰うことにしたのである。

「この子に私の呼びかけを聞いてくれさえすればいいのよね?」とクロナがクロナに向かって話しかけたのである。そして俺はクロガに確認を取った。このクロカの体はクロナをこの世界に呼び戻したときにこの世界の人間が作り出した魔素を大量に取り込んだせいで、この世界に存在する、あらゆる物質をこの世界に持ち込んでしまう能力を持っていた。そしてクロガの肉体の中にはその能力の一部が引き継がれており、クロガの体に宿った魂が魔人として復活するために、その能力は必要な要素だったらしく。その魔素が溢れ出して、クロカの体を支配してしまうという事態になっていたようだ。だがそれは俺が、魔人をこの世界に現れたときに、その魔人が持つ能力を俺の力で奪ってしまうことにより、その魔人を復活させることなく消滅させることに成功していた。しかし、このクロカの体が作り出してしまった魔素だけは吸収できず、魔人を倒した後もこの国に残っていたのである。そうして魔人が倒されてからしばらく経った今でもその魔人の魔素が残っているようで。魔素を取り込むことでクロカの中に取り込まれているクロナの意識が覚醒しようとしていたのだ。だから俺はクロナがこの世界に来る前にあったという魔人の呪縛を解かない限り、このクロナがクロガの中から出てくることはないだろうと予想したのであった。そこで俺は、クロネから聞いた魔族のことについての話しと。この国の地下にあった遺跡の話を聞くとクロネは魔人のことをよく知っていたようだったので。その魔人の事を教えて貰う事にしたのである。するとクロネはこの世界の魔族は元々は魔獣がこの世界に存在していた時に生きていた存在だという事をクロナの体の中で教えてくれたのだ。それならその魔獣を倒して、その魔素を手に入れれば。クロガの中のクロナを助けられると思い至る。それからクロカが目覚めるまで俺は、仲間たちに修行をつけて上げることにしたのだ。そしてクロガは仲間達を纏めると。この国の民を救うべく戦いに行くと宣言をしてきたのだった。俺はクロガをこの国の王様の所まで連れていき。俺とこの国の王に約束するように言うと、この国の人達を俺が守り切るから、安心してくれと伝えると。

クロガとクロナの仲間達と共に俺は、俺達が来た方向にある魔獣の大群と戦うことに決めたのである。俺はクロナに、魔人のことは俺が倒すからクロナはクロナを早く助け出すためにも自分の事に集中しておいてくれと言ったのだ。

俺がそうクロガに言うと、俺とリリス、サーヤ、クロナは魔獣と戦い始めたのである。俺とクロガと魔族たちの部隊とクロナの体の中のクロナの仲間と、魔獣との戦いが始まり。それからすぐに俺たちは魔獣を倒すことに成功したのである。その戦闘が終わると俺たちの前にクロガの仲間であるクロキという魔人とクロナの体の中で一緒に暮らしているリリスの妹サーヤの魔人と。俺の従魔のフェンと。そしてこの国の王様である、クロトとその娘のクロナの体の中のクロナの仲間であるクロコ、クウガ、ミアリ、そしてクロエとその妹のクロコと。この国の王の娘クロナとその従者達が現れてきたのである。そのあとは、クロナとクロオとクロナの双子の姉妹クロハ、クロハがこの国を統治している魔人と戦っていたのだが。この国を支配する魔人にクロガが取り込まれてしまった事でクロナに憑依したクロトと。そしてクロナを操り人形にされたクロナの仲間達。そしてその魔人は魔獣たちを使い、魔人とクロナを融合させてしまったのである。それから俺がその融合の核を切り離し、この世界の魔王の力をこのクロガの体の中に閉じ込めて俺はこのクロガの体を救い出したのである。その後俺はクロナ達と魔人と魔人の力を使って生み出された魔族たちとの戦いに勝利したのだ。その魔族たちは、魔人の力が無くなったことで。俺が倒した魔獣と同じようにこの国の人々に危害を加えることもなくなり、その者たちがこの国を支配していた時の悪政を正すことが出来た。そしてクロガからクロナに主導権を戻すと。クロガと魔族達は、この国の人々のために戦うことを宣言し。魔族と人間の協力関係を築くための話し合いを始めるため。クロトの元に向かうのであった。そして俺はそんなクロナ達を見届けてから、俺は俺が救ったこの国を守るために。この国の王と一緒に、この国を守って行くことを決め、クロガ達にこの国の未来を任せることにしたのである。

クロガ達が魔族の住む地域に向かってから数日が過ぎたのだが。クロアは、リリカの魔法により俺が与えた知識を全て身に付け、俺と一緒にいた、クロガ、クロキ、クロコ、クウガ、クロナの五人組もクロナの体を取り戻そうと奮闘していたのであった。

そして俺とリリスは俺とリリスの仲間になったミアリとクロコとクウガの三人を引き連れて。クロカの国である、ミアリがこの世界に来る前に生活していたこの国の国王の所に訪れ、その国の王に挨拶をすることにしたのだ。俺は俺とこの世界に来てくれている仲間たちを紹介した後に。俺にこの国の国民になる許可をくれるようにお願いをすると、国王はあっさりとその事を承諾し。これからもこの国で自由に暮らして構わないと言うことを言ってくれたのである。俺はその言葉を聞き、嬉しくてつい涙を流すと、国王は俺が何か困ったことがあったら、いつでも相談に乗ってやろうと言っていただけたので。この国に居る間お世話になりたいと頼んだ。

俺は、クロカにこの国に来たときに、この国の人達を守ると約束をしたのだから、その約束を守りたいと思うと言い、この国の民を危険にさらさない為にはどうしたらいいかを尋ねると。国王は、ミアリが魔人を倒した時に手に入れたあの魔宝石をこの国の国宝にしてしまえば良いのではないかと提案してきたので、その意見に賛成したのだ。それから俺は魔宝石の装備を整えてもらうために、クロコとクロキとクロナの体にクロナを返してから装備を作って欲しいとクロコに伝えに行ったのだった。クロカが装備を整えるには最低でも一月はかかると言われたが、それでも問題はないと思って、装備が完成されるのを待ったのだった。

それからクロアがクロガを宿しているクロカと一緒にこの国に戻ってきたのだ。そうしてクロカの体にクロナの魂を呼び起こす準備ができたとのことだった。それでクロガの魂を呼び起こした後、俺が持っている、俺の力でこの世界に現れる前のクロナを消滅させて、クロナにこの世界に戻ってくるための精神力を与えて、クロガとクロナの体が元に戻るはずだ。

そしてこの国の王が、魔人と戦ったときに入手した魔宝玉にクロナに渡すためのものを持って来ていたらしく、それをクロカとクロナに受け継がせることにしたのだ。その魔石と指輪を受け取った俺は、早速、魔人の力で生み出したクロカにその魔宝石の力を与えようとしたのだが、その魔石をクロカの体に埋め込むのが難しかった。なのでまずはクロガが、魔宝石の力をコントロール出来るようにしてから、クロガの魂をクロナの体から解き放つ必要があった。そこで俺がまず最初にしたことはクロガとクロナをこの国から少し離れた場所に移動させることにしたのだ。その移動中にクロアは、俺の仲間になりたいと俺の所に来て、仲間に加わった。そしてその移動の最中にクロナの仲間達も仲間に加えることになって。俺の従魔たちが、それぞれこの世界の人たちの種族の者になっていたが。クロナとクロナの仲間のクロコとクロナの妹であるクロナと、クロガが元々この世界の人だということでその仲間たちも、この国の人たちと同じ種族の者たちになっていたのである。

そしてそのあとクロナとクロガを俺の力で作り出した結界の中に閉じ込めた俺はクロナの仲間達の意識に俺が与えている魔素を馴染ませる作業を開始したのである。するとすぐにクロナの仲間である、クロカ、クロナの双子の妹クロノと、その仲間たちに俺が魔人を倒した際に吸収して得た能力である。

魔素を操ることが出来るようになる能力を魔人の力を使い、無理やりにクロカとクロナと仲間の全員に覚えさせたのだ。

そうする事によってこの国にいる、全ての者が魔素の使い方を理解できるようになり。俺の能力により俺の眷属と認められた。クロナは俺のスキルで作り出された魔道具を使うことにより魔人として復活させることができた。そこで魔獣を生み出していた魔人の力とクロナの仲間のクロアの体を借りた魔人が、クロガと融合することによって、この世界の人々に魔獣を生んでいたのだが。クロトとクロナにクロア、クロアの仲間のクウガに、クロナとクロアの双子の妹であるクロナとクオンの六人に俺の加護を与えると。クロナが使っていた武器を扱えるようになっていたのである。

それから俺の仲間であるクロナが持っていた武器の全ては、俺の眷属にすることに成功している。

その俺の仲間となった六人とクロナの仲間である五人の計十名はこの国の王クロガの元に行ってもらうことにした。

そうする理由というのは、この国では、クロナの仲間のクロコとクウガ以外はクロナがこの国の王女であることを知らないからである。そのことはこの国でクロナの体を戻すための儀式をするまでは隠し通さなければならかったのである。そして俺の眷属になったクロナの仲間達にも魔族達と協力してもらい。この国を守るために魔獣と戦ってもらったり、この国の人々にこの国の外の状況を説明してもらったりした。俺もクロコの案内により魔族のいる地域に出かけると、俺の仲間のクロナとその仲間達は。クロガの仲間でもある魔族達と一緒に行動することになったのである。そして俺は魔族の国に行くまでに魔人を倒す方法を考えていたのである。その方法を俺が考えている間にも、クロトの仲間のリリカの魔道具を使いクロナの仲間にクロナの記憶を戻していたのであった。そして俺は魔人と魔人を融合させて作られた魔人の体を分離できるようなアイテムを作り上げ、それを使えば魔人と魔人によって作られた魔人と融合した魔人は離れ離れになることを理解した。そして俺は魔人と魔人に作られた魔人で分離させることが成功していたのである。それで魔人と魔人と魔人で作られた魔物が分離したのである。そしてその分離された二つの物体を俺の従魔のリリスに任せて俺は魔獣を生み出す装置があるところに向かっていった。

魔獣の生まれる原因を作った装置のある場所は、この国の王の家にある地下通路に繋がっている場所であり。そこにその魔獣の卵を作り出している魔人の力で作った機械があり。俺はその場所に向かったのである。するとその場所に魔人と、魔人の力をその身に宿していた。魔人の力に操られていた。魔人と魔人の魔人の力にその身を支配されていた魔人の力に体を侵食された。この国の王クロガとその仲間である魔族達は、魔人と戦いを繰り広げており。その戦いに俺は割って入って、クロトに加勢したのである。

そしてその戦いが終わった頃に、クロカとクロナの仲間のクロコとクロキにクロナの仲間たちも、俺のところに駆けつけてきて、そのクロトの手助けをしてくれた。それからは、この国を守ることを優先しながら。魔人の城に向かっていき、俺と俺の眷属のクロアにクロナにクロナの仲間達が魔人の城の入口にいた魔人達を倒そうと戦いを挑んだ。しかしその城は俺達が予想していたよりも大きく。魔人の城の中で俺達が戦っていたのだが。俺達が戦うたびに城を壊すことはわかっているのだが。俺が戦うとどうしても、俺の攻撃に耐えられなかったようで、簡単に壊れていってしまい、その度に魔人の城に俺が修復をしていた。そのおかげで城の内部にいるはずの魔人の居場所を探すことができなかったのだ。だが俺とリリスのスキルを使えるようになったクロアに俺の従姉妹になったクロナは、その力で俺が修復し終わった瞬間を狙って攻撃を仕掛けていたのである。それでクロナとクロアはついに、魔人の居場所を突き止めて魔人を倒してしまったのだった。

そして魔人を倒したことで魔獣が生まれる装置は止まったのだった。その後この国の住民にはこの国に居てもらわなくてはならなかったが、他の国の人達も無事なようだから俺は魔人との戦いで得た経験値を使って、この国の者達の強化を行ったのであった。

それから魔人の城から出る前に倒した魔物達の素材やお金、魔石を回収したのだ。その作業を終わらせたあと、魔人の体と魔獣を生み出す機械が破壊されてしまったため。この国はこのままだといずれ魔人や魔人が作り出した強力な魔人が溢れ出てくるだろうと思ったので、クロガ達に、俺がこの世界を救わなければならないと、クロガと仲間たちに言い聞かせてから。この国から立ち去ったのである。俺は俺が助けると言ったから。この国の人々を死なせない為に。俺はこの世界にいる魔人の残党を全て討伐してから魔獣の卵の生み出す機能を停止することを決めたのである。そのために俺はこの世界で最強になるために、俺の眷属であるクロアにクロナと俺の仲間達にはこの世界に散らばっている魔素を集めるために旅に出てもらうことにしたのである。そしてクロカの体は俺がこの国の人たちに、その魔素を使うために改造したのであった。その魔道具は俺が作った魔宝石を使ったものだったのである。

それからこの世界の人々にクロカの体を貸していた、俺の仲間のクロナとクロアとこの国の王族であるクロガとクロコと、その仲間たちのクロナの仲間たちは、クロナの体にクロカを取り込み。クロナが使っていた魔剣と魔弓とクロナが使っていた防具と武器をこの国の人々が使うことができるように作り変えたのである。

そしてクロナはクロナの体に自分の魂が宿らないようにする封印を施したのである。

そしてクロアは、この国の人々と魔族達と協力をしてこの世界の平和を守るために旅立ったのであった。クロト達も、クロカとクロナとクロアを見送ると俺の所に来て、俺が魔王であることを知った上で俺の元に残ってくれることになったのである。そうする理由はこの国の人達をこの世界を救うために手伝うという理由があったのだ。そしてクロトの仲間達は魔素を扱うことのできるようになっていたので、魔素の集め方にも慣れてきたこともあり。俺と共にこの世界のために、魔素の扱いに慣れるために、特訓を始めるのであった。それからは、魔素を自在に扱うことが出来るようになったクロトとクロコは、魔素を集めてクロガの仲間の魔人を強化することができるようになるまで。俺はクロナに俺の仲間になって欲しいとお願いしたらクロナは俺の仲間になってくれた。

俺が作り出した武器を扱えるようにもなっているし。この国では、クロナもクロコと同じように俺の仲間であるクロコの部下扱いになっていたのである。

そしてこの国の王であるクロガは、この国の民達を守るために俺についてきてくれることを申し出てくれ。クロコも、この国の王として、一緒に付いて行くことを決意して。俺はこの世界の人達の力を借りてこの世界の人々の暮らしをより良くしていきたいと思っていた。そのためにも魔素の力が役に立つと思い、魔人の残した魔人の魔力を、その魔素を扱えるようになるための媒体である指輪に封じ込めた。

俺の仲間であるクロカもクロオも魔素を操ることができるようになり。俺の眷属になった魔人のクロコも俺の眷属になり俺の力で魔人の力をその身に纏うことで。この世界の人の身でありながらも、この世界の人の体を借りずとも、クロナのようにこの世界の人の体をその体に乗り移らせて戦うことが出来るようになっていた。クロコとクロカはその能力を使いこなすための努力を始めた。

そしてクロトとクロコは魔道具を作ることができるようになっていて、クロトは魔道具を作りだし。クロナは、その魔道具を使うことによりクロナの体が乗っ取られないようになったのだ。そしてクロナは自分が作った。クロナと魔人の武器を使って。魔人の城に向かう準備を整えた。それからクロナの仲間達は俺とクロナの仲間達の護衛に、そして魔人の城にこの国の人達とクロナの仲間と、クロコとクロアは魔人と魔獣を生み出す機械を壊して回るために。クロナの武器をその手に掴んで魔獣を生み出す魔人の元に向かっていったのである。そしてクロガは王として俺が作る新しいこの国の制度や仕組みなどを勉強するためと、俺の元で俺が作る魔獣達と戦ってくれることになっており。俺がクロナと一緒にこの国で暮らしている間も。俺はクロナの体に俺の力を宿すことによってクロナに俺の力を分けてあげることが出来た。そして俺が魔人を倒して戻ってくるまでの間にクロナの仲間たちも魔人の城に向かっていくと。俺の仲間になったばかりのクロナとその仲間達だけで、この世界の人々にクロナが持っている武器を渡して、魔獣を倒すための練習をするということと、クロナの仲間たちに俺の魔素を注入することで魔人と融合してしまった人々を助けて欲しいということを頼み込んだ。その言葉に対してクロナの仲間たちは、「わかった」と言ってくれ、そしてクロナとその仲間達は俺が与えた装備を身につけ、そして魔獣の討伐に向かったのである。

それからクロナの仲間たちには魔人と融合した人を元に戻せそうなアイテムを作っておいたので。それを魔人に融合されてしまった人達がいる場所に向かい。それを使って、魔人と融合した人を救い出すことをお願いした。それからは俺の従姉妹のクロアがクロナの眷属になるためにこの国の人に協力して欲しいとお願いすると。この国の人のほとんどは、魔獣の卵を生み出す装置を止めてくれた俺に感謝をしていて。俺が魔人を討伐した時に手に入れた経験値のおかげもあってか。ほとんどのこの国の人達が俺と眷属の契約を行いたいと願い出ていた。俺はそれを受け。クロナにクロアにクロコ、クロナの仲間たちに魔人の城の近くにある国でクロガと仲間の人達と暮らすことになる。そしてその国の王となるように伝えた。その国には、俺の仲間になる予定の人達が集まっていた。

この世界にはもう魔人はいなくなったし、この国の人達や魔族には、その身に魔人の力が流れていないから安心して過ごすことができていたのだ。それでクロガと仲間達は俺の提案を受け入れたのだった。そうしている間に、リリスから報告を受けて俺達は、魔人が残した、その遺産を回収して回る。まずはクロガの仲間であるクロトにクロエにクロリの3人は、魔人との繋がりを完全に切り離すことに成功したのだ。クロトはクロカの体を取り込んだ時と同じ方法を使うと、その魔道具を壊すことができた。そして俺がこの世界に散らばっている魔素を全て集めたことによって、クロガの眷属である。魔人のクロリに魔人の魔石を与えることで。魔人の力がクロリの中に吸収されていく。その吸収が終わった後に。クロガが俺にこの国の人達を救って欲しいと願ったので。俺とクロガはクロカ達のところに戻る前にクロカの魔道具を使い。魔人になったこの国の人達の体に入り込んでいた。魔獣を生み出している装置を俺とクロガは破壊したのであった。これでこの国も大丈夫だと俺とクロガが安堵しているとクロトとクロアが、クロカとクロナとクロコとクロコが倒した魔物達の素材を回収する作業を始めた。そして回収作業をしていた。俺の仲間となったクロコの眷属である魔人のクロアと魔人のクロトの二人がクロナの魔剣を使い、魔素を操ることが出来るようになったのである。その魔石に自分の魔素を貯めることによってクロコと同じようにクロナとクロカとクロアとクロナの眷属であるクロコ以外の人からその体を取り込むという行為をしなくてもクロアとクロトだけはその力を使うことができるようになっていたのである。その力はクロアとクロトの力であり。俺の力とクロナの力を半分に分けたものなのでクロナの魔石を俺が使い。その力でこの世界にある魔素のほとんどを集めると。クロトとクロアが俺の力を使うことができるようになっていたのである。クロコは自分の意思では使うことができなかった。なぜならそれはクロナに魔石の使い方を教わっていなかったからだ。

クロナの体に乗り移っていたクロアも同じようにクロナに教わらずに。クロナの魔道具を使ったことによりクロアも魔素を操れるようになっているのである。その後。俺は、クロガにクロアが魔道具を使ったことを話すとクロナの仲間である。クロコとクロアの二人は、クロナの仲間ということで、この国の王様にしてもいいと許可を出したのである。そしてクロガは俺のことを尊敬していたのか、すぐに王として俺のことを認める発言をして、この国の王に正式になることができたのであった。

俺はクロガの仲間達と共に、俺の仲間達がいる国に戻ってきたのである。そして俺がこの国の王になることが決まってから、俺は魔人の城に行って。クロナと俺の仲間達に俺が魔人の城を乗っ取ったことを、魔人の城の中に残っていた、俺が魔王として君臨していたことの証明書をクロナ達に見せて、そしてこの城が誰のものかを告げたのである。その事を聞いたこの城の者達は驚き、それからこの城の人達はクロガの仲間たちとクロナの仲間になった人達と一緒にこの国の人達を助けるために動き始めたのであった。俺はこの国での生活の基盤が整うまでの間、ここでクロトの仲間になった魔人の人を使って、魔獣の卵を生み出さなくすることができる。この国を魔獣が溢れ返らないように対策するように指示を出し、そしてクロナとクロナの仲間達には、クロナの仲間になった魔人の人達がこの国に来るまではクロナの仲間のクロナの眷属のクロコとクロコとクロナの眷属のクロコの三人と協力して、俺がクロナの仲間である魔人達に与えたアイテムを使いこなしてもらうことに決まった。

そのアイテムはこの世界の人々の体内に魔人の魔素が入り込まないようにする為に作られたものだった。この世界の人々をこの魔素のない環境で生活させるにはこのアイテムは必要だと考えて作ることにしたのだ。そして魔人のクロアも魔人の国の王の眷属になったクロコも、この国の住民達や、俺が連れてきたクロナの仲間たちや魔族のみんなにも。その力を扱えるようになるまで訓練を始めることにしたのである。そして俺は俺の仲間たちを連れて。俺は俺の作った拠点に戻り俺の作った街に俺が作った施設。その施設は、俺の仲間の人たちしか使えない特別なものだった。俺の眷属となった魔人のクロトも俺がこの世界の人の体に入るための媒体となる指輪を作り、そしてその指輪を使うことによって、この世界に俺の力を注ぎ込むことによって俺の魔力をこの世界で使えるようになったのであった。そして俺が新しく作り出した魔道具をその指輪の先に付けることで魔道具に俺の力を送り込んで使うことができるようになったのである。だからクロナの仲間である魔人と魔人の魔道具は。全てクロガの仲間の眷属となっている人達の魔道具になっているため。クロナの仲間である魔人の人には扱えなくなっていたのである。

そうして、クロナの仲間の人には。魔道具を使って魔獣の卵を生み出す装置をこの国から完全に撤去してもらうことにしたのである。クロナは魔人となってしまったクロコとクロエにクロオを元の状態に戻すためにクロナの魔石に俺の持っている俺の魔力の半分を込める作業をすると。魔素のコントロールが出来るようになっていて、それで二人も元の状態に戻ることができるようになってしまったのだ。そうして元に戻ったクロナの眷属のクロト達は、その力を駆使して、この国の人達のために動いてくれたのであった。クロコの作った魔道具はクロナ達の仲間達と、クロナの眷属と、この国に住む人なら使う事ができる。この魔導兵器のおかげで、俺の仲間の眷属になった人やクロナの仲間たちは、魔獣の討伐が楽になり魔獣を簡単に討伐できるようになったのである。魔人が残していったものを全て回収することができた。

それから俺の仲間の魔人となったクロト達は。クロガの仲間となり、そしてその仲間達が持っていた魔道具は、この国の人達に配られた。その魔道具のお陰でこの国は今までよりも魔獣による被害を防げることができるようになったのだ。

そうして俺が、魔人の魔石からクロナが作り出せる魔獣の数が増えたため、魔獣を生み出す装置を全て破壊しても、問題はないと判断した俺は。クロナの持っている武器を全てクロガに託した。その魔獣を倒す武器を作ることが出来るのは、この世界でクロナだけなのだ。クロガがこの国の王になる前に俺がクロナを王にしていいと言ってしまったので、この国が混乱することを避けたかった。

「これから俺がいない間に起こるかもしれないことを想定して、お前には、この魔銃を渡しておく。この魔弾は、その威力は絶大だが、魔素を大量に使用するし。その弾丸に、魔素が宿っていないのに、込めればその魔素は全て失われる。その魔素は俺がこの世界を救っている最中に俺の仲間に頼んで、この世界にある魔素を集めてもらうから、それを待って、魔素を補充すれば使うことができるはずだ。魔弾は無限にあるが、魔素を魔石に入れておくことはできない。だからそのことは覚えておいて欲しい」俺はクロガにその魔弾を渡す。

クロガはその言葉を聞くと嬉しそうな表情をしてその魔弾を受け取った。

クロガとその仲間たちは。この魔道具を使って魔素を集める仕事をしてくれることになっていた。

そして俺はクロガと話をしているうちにこの世界を救うために動く時が来たのである。俺はまずクロトの仲間の魔人と魔人になったこの国の人を助けに行ったのだった。クロトが俺にその魔道具を託してくれたおかげで、この魔獣が生まれる場所の装置がこの国の王であるクロガのところにもあることがわかり。それをクロナと俺の仲間の魔人の人達に任せることで俺とクロナはこの国の人達を救いに行くことにしたのである。そうしている間に俺の仲間の魔人は魔獣と戦えるまでに成長したのだが。クロコとクロエは未だに俺の仲間になれていなかったのである。

俺はクロガに魔人になってくれていたら魔獣と戦うこともできるだろうと思って、俺はこの国に残すことにした。魔族になれなかった魔人はクロアとクロナとクロコとクロコの眷属と俺の仲間達の中で一番強い魔人を護衛に置いておいた。

それから俺は魔族のクロア達と魔人のクロナの仲間達とクロコとクロコの眷属であるクロコとクロコとクロナの眷属になったクロアの五人を連れてこの国の人達を助けるために。魔人のクロトが生み出した転移門を潜ったのである。そうすると目の前には魔人のクロアが生み出している魔獣が大量にいた。

その光景を見たクロナは、魔獣を見て俺に向かって話しかけてきたのである。

「こんなにも沢山いるとはね。私もクロナ様も初めて見るわ。それに魔獣ってこの世界でもこんなにいるのですね。それにしてもあのクロナ様にも知らないことが、まだまだたくさんありましたか、クロナ様にも知らないことがあるのだと、この世界は不思議に満ちていますわね。それに、この世界の人たちはなぜこの世界に来ることができて。しかもこんなにも多くの人間がいるのか。この世界には私たちのような存在はいないはずです。ならば、この者たちが異世界から来たということになります。でも、それはあり得ないこと。なぜなら、魔人でもない普通の人間がこの世界の環境に耐えられるわけがないのだから。この世界の人たちがどうやって来たのかを、この世界のことを調べてから考えるとしましょう」クロナが俺の方を見ながらそう言うと俺のことをじっと見つめているのであった。

俺は、クロアが生み出した魔獣達を見るなり、俺は魔人になっている魔人のクロアのほうを向きながら。

「これならクロナ一人いれば十分なんじゃないのか?」と言うと。

「いえ、私の魔力量ではこれくらいが限界なのです。私が作れる魔力の量も。クロナさんほど多くはないのです。クロガくんの作ったこの魔銃を使ってもこの数の魔獣は倒せないと思うので。私はこの国を守護するためだけにここに来たんですよ。あなたがこの国の王様なのでしょう? クロナさんの王として頑張ってください。応援していますよ。それにこの世界の人を見捨てると。この国にはクロガくんの大切な人たちが暮らしているのですよね。ならばここは私一人で十分です。安心して見ていてくださいね」そう言うとクロアは魔獣をどんどん倒し始めていた。そして俺の魔道士であるアイツは俺の隣に立って。「ご主人様。そろそろ行きましょうかね。私も久しぶりに戦うことが出来て楽しいです。それとあのクロナの眷属の人達は私にくださいね。あんなに強いのであれば、戦力的にも欲しいですからね。それに私に忠誠を誓ってくれた人達だから、その分だけ、大切にして上げないといけないでしょう。あ、それとクロナはご自分の眷属と一緒に、私達の邪魔になりそうなこの国の人達を守ってあげてくれませんか?この国に残っている人達を守りつつ。私達も助けてほしいんです。お願いします。クロガ君が私達を信じて預けてくれた人たちを守るのは当たり前の事だから私は気にしないで。だってクロガ君のお陰でこの世界の人たちを、この国の人たちを、守ることができるんだから」アイがそう言って、魔道具を使い始めると俺の周りを魔素の結界が包み込んだ。

そうして俺の視界には。アイの魔法によって俺が魔獣に襲われないようにするためのバリアが展開されたのだ。それを確認すると同時にクロナは、クロナの眷属を引き連れて。この国のみんなを安全な場所へと移動させるためにクロナの作り出した魔獣を狩るために動き始めたのである。

俺は俺の側に居てくれるクロトとその眷属たちに、魔人の魔獣たちを任せることにしたのだった。そうして俺はクロアが作り出した転移門から飛び出していく。そうするとすぐに、クロアが俺に話かけてくる。

「あなたのことは信じていましたが、本当にこの数を相手にして大丈夫なのですか?」

そうして心配するクロアに。

「ああ、この程度俺にとってはなんてことはないから任せておいてくれないかな。それに俺の仲間達がクロナのところにもいるはずだから、この国の人々を救うのはそう難しいことではないだろうし。それに俺もお前を信頼しているから。だからこの国にはお前しかいない。お前しか頼める相手がいないんだよ。頼むな。お前がいなかったら俺達はここに来ることすらできないからさ」俺がクロアに笑いかけるとクロアは、嬉しそうな表情をしたのだ。

俺はそれから魔素を宿した刀を抜き取り。魔素をその身に纏わせるようにイメージをする。そうして俺の周りに魔素のオーラを宿らせることに成功する。それから俺は俺の仲間がどこにいるかを気配察知のスキルで探ろうとしたのだが、その時、魔素を全く感じ取れないほどの距離に。クロガの仲間の人達の反応を感じたのだ。だから俺はそちらに向かって走り出す。クロトの魔道具により。クロガの仲間は魔獣の卵を生み出す機械を、クロナが持っている武器で攻撃していた。俺はその様子を見守りながら魔人のクロガに話しかける。

「これで少しはマシになるだろう。この調子でどんどん行こうか。それとも俺の武器を使ったら一気に殲滅することもできるけど、その武器はまだこの世界で使いたくないから、俺に任せて欲しいんだけど。いいかい」俺の言葉を聞いたクロガは俺に向かって。

「分かりました。俺にできることがあれば何なりと言っって下さい。俺の仲間達と、俺がこの世界で一緒に過ごした人達を、クロナとこの国の人達のために俺の命に代えても必ずや救い出してみせます。俺が王になって初めての仕事がこの国を守るために魔人となったクロガの仲間の者達を救えることにつながりました。これは、俺にとってこれ以上無いほど光栄なことなのです。だからどんな事でもさせていただきます」クロアは俺に感謝の意を示した。

そしてクロガは自分の仲間のところに戻ろうとしていたので俺はそれを引き止めて俺の近くに待機させておくことにした。そうしているとこの世界の魔素を集めていたはずの仲間の一人から念話が飛んでくる。

俺はそれを聞くと急いでそこへと向かうことにした。そして俺は魔素を集めてくれたその人に礼を言い。クロナ達と合流しようとするとクロナから。「魔素を集めている者がいるのですね。それでしたらその人のところに行けば、もっと効率よく集めることができるかもしれませんね。今度からはそのやり方を教えてもらいたいと思います。これからはその方も仲間に加えることを勧めますね。それとこの国にいた人たちは全て、私達の眷属になった魔獣たちの背中に乗っています。この国の王都にあるクロナさんのお城に向かわせました。クロガの仲間達と、この世界の人を助けるためにクロナさんの城にいるクロアの仲間たちと一緒に行動しています。私はクロガくんに頼まれてクロアナちゃんと一緒に魔獣を生み出している施設の破壊と、この国を乗っ取っていた者たちの確保をしました。それから私の眷属である者たちは、私の部下になりたいという人がいましたので。私の配下にしておきました。私の眷属になればこの世界でも生きていけるようになれるのです。ですので私の眷属となりたいと申し出てきた人は皆、私の下に来て、クロアちゃんと共に戦えるようにしてあります」クロナからの念話はそれだけ伝えると切れてしまったのである。

それから俺は、魔獣を倒していたクロアの元に向かうとクロナとクロナの眷属になった魔人たちの姿を見て。魔人のクロガと魔人たちのことを全てクロナに託して。魔獣の発生装置があると思われる場所に急いだのである。

そうするとクロナから念話で連絡が入り。魔人の国の王城で見つけたと報告を受けた。そこで俺は一度魔獣を殲滅しながら魔人族の国に行くことを告げてから魔人の国の王の玉座の間にいた。

するとそこにはクロガがいた。俺はクロガとクロアのことを呼び捨てにすることにした。

「クロガにクロアか、二人とも魔人の姿になると随分変わるんだな」俺がクロガに話し掛けるとその横にクロナが現れる。

「この姿でいる方が魔獣も従いやすくなりますのよ」クロナがそう答えるとクロコとクロナの眷属たちが姿を現す。

「俺とお前が戦ったときはそんなことなかったよな。あの時と今との違いが気になるところだけど」俺がそう言うと。クロナとクロナが同時に。

「クロガくんはこの姿のほうが好きですよね?」そう聞いてきた。俺はどちらにも惹かれてしまうので正直困った状況になっていた。そして俺の答えが返ってくる前にクロナがクロガに近づきクロナが俺のことを抱きしめながらキスをしようとするのを、クロナとクロナの胸に挟まれて動けない状態になりながら見ていたのだった。

俺はクロガとクロナとのやりとりを見てから。クロガはクロナのことを愛おしそうに見ながら。俺に近づいてきて俺の耳元で囁くように話しかけてくる。

「俺はお前が魔人族になったことで。この国の王に、魔王になることを決心することができた。だから俺はお前の期待に応えられるような、立派な王になってみせる。俺は魔人となってからも。クロナを愛し続けることができるんだと実感できた。そして魔人として生きて行くことを決めたことで、魔人の国を守る為に、俺には力が手に入った。そしてその力を俺は自分のためだけに振るうのではなく。愛する人達を守るためだけに使っていこうと思う。それが俺の願いだ」そうしてクロガが真剣に語ってくれた話を俺は聞き届けると。クロナの方を向いて話しかける。

「そう言えば俺と初めて出会ったときに、俺にクロガは言ってくれたよな。この世界は力が全てなんだって、だからクロガは自分だけの王国を築き上げようとした。そして俺がクロナの事を好きだということを知っていたからこそ、クロナを俺から奪おうと考えたんだろ。だからクロナが俺の物だと分かったら、今度は自分が俺の隣に立とうと思った。そうすることでクロガは自分の存在を示すことができた。そしてそれはクロガが望んでいたことなんじゃないか?」俺はクロガに対して問いただす。そうして俺が話終えてもクロナの表情に変化は見られず。その事に俺は違和感を覚えたが。クロガとの話を続けることにする。

そうしてしばらく、俺が今までしてきたことや、魔獣が発生した理由や。この世界で起きている現象などをお互いに話し合い、それからクロガに俺は頼みごとをすることにした。

まずは魔獣が発生しないようにする手段を見つけ出すこと。そしてこの国の人々を元の人間に戻す方法を見つける。さらに魔獣に姿を変えられた人を元に戻す薬を造りだすことだ。それらを早急に見つけ出すために俺は協力してくれるかを聞いてみると、クロナは即答した。

「私は貴方がしたいと思っていることを手伝いたいと思います。私が貴女に協力することは、私にとって利益になるのですから、断る理由はありません。私は私の目的の為に、貴女の望みのために尽くしましょう」クロナは俺に協力を申し出てきたのだった。

「それなら良かった。それじゃあ俺もクロガとクロナの二人の力になれるように努力するよ」そうして俺はこれからの行動を改めて考えてみる。

そうすると。やはり俺の持っている武器や防具をこの世界で使うためには。武器を創るスキルを持つ魔人。この国の王が持っているはずなので。その王と会い。それから魔人を仲間にしていくのが一番効率的だと考えたので、俺はクロガ達に、この国の王に会って話してくると言って、その場を離れるのであった。

そうして俺が王城の中を調べていると、そこにいるはずの無い。魔人と魔獣が現れて、俺はその二人を相手にすることになってしまったのである。そうすると俺は魔人の国に召喚されてすぐに倒したはずの魔人が再び現れて俺は驚いていたのだ。

その男の名はバルトロ。クロガの仲間の一人であり。クロナとは同格の力を持っていた者でもあった。

「久しいぶりだねクロナ。まさか君の眷属になっているとは思わなかったよ。それとも君が何かを仕組んだのかな?僕は君には負けてしまったから。僕の知らない方法で君は眷属を増やしたというわけなのかい。そうなれば僕と対等の存在が増えるかもしれない。それならば僕はここで死んでおこう」そう言い放った瞬間、俺の目の前にいたバルトは突然消えた。

だが、バルトが俺の後ろに現れたとき。俺の首を切り落とすべく振り下ろしていた剣を止めることができないようで、俺に首切りの攻撃は当たらなかったが、俺の背後にあった柱を、簡単に切断していた。

そうしてからまた姿を消したのだが、俺が気配察知を使って探そうとすると。俺の足元が盛り上がりそこから俺のことを見上げて、俺に視線を向けながら笑っている。その魔人は先ほども戦って、バルトの眷属であるとわかった。その男の名前はロズといい、クロナと同じ。魔人でありながら魔獣を生み出す魔道具を作り出されていた。

俺は、この二人と戦いながらこの国の王の居場所を探ることにしたのである。

そして俺がその二人と戦っていると、後ろからいきなり攻撃を仕掛けてきた人物がいた。その攻撃を避けつつ俺は、背後にいる人物を見ると。そこにクロナがいたのである。俺はなぜクロナがいるのか疑問を持ちつつも。クロエの配下の者が、クロナに事情を説明しに行ったと聞いていたのでそれを聞いたのであろう。

そして、この二人が敵となった今。魔獣を産み出せる魔人がいると知った以上。クロアとクロガの仲間の魔人達に危害を加えようとしているのではないかと思い始めた。もし魔人の国の王城にいた者達が洗脳されていて。自分達の国で暴れまわっていたらと考えると恐ろしいと思い。急いで二人を倒し。それからクロアの元に駆けつけようと決めたのである。

それから俺が戦う前に俺が、クロアのことを呼び捨てにするとクロナが俺のことを睨んでいたのである。どうやら俺は知らず知らずのうちにクロナのことをクロアと呼び捨てにしていたことに気がつき、クロナの機嫌を取るようにクロリアが呼んでほしいと言った呼び名を使ったのである。

「まぁ、私としたことが少し取り乱してしまいましたわ。でも、そうやって、クロナちゃんのことをクロアちゃんって呼ぶことに嫉妬してしまう私のことを許してくれませんかね」クロナがクロアのことを羨ましそうに見つめていたのを見て俺は。クロナをクロアと呼んでみたのである。

それから俺がクロアのことをクロアと呼ぶとクロナはとても喜んでくれた。そうすると俺の前にいる魔人の男と女に。魔獣の姿が一瞬だけ現れるが。俺の姿を見て。すぐに消えてしまい、それから俺は、バルトに質問をすると、

「僕が魔獣を生み出していたのではないんだよ。そもそもそんなものを生み出せたとしたらもっとうまく使っていたさ。だけど魔獣は生まれていたんだ。魔獣を生み出す装置の近くで、しかもこの装置で生み出した魔獣よりも強くね。それに僕達はその魔獣に倒されてしまっていた。だけど、君が来たというのなら話は別だよ。魔獣を生み出した魔人が君に殺されることになれば、魔人を増やすことはできないのだから」そう言ってからクロガがこちらに向かってきており。俺に斬りかかってきた。

それを俺は、クロナとクロアのおかげで手に入れた新しい力で対抗することに決めると。俺が手刀を放つと俺の手から衝撃波のようなものが生まれ。それが、クロガに襲い掛かる。するとクロガはそれを避けようとするも。避けられず吹き飛んでいった。俺はそこで、手加減をしてクロガが死んでしまうとまずいと気がついたが、その心配はなかったようである。

それから、俺はクロガを吹き飛ばした後、クロトの方を向くとそこにはクロガがいて。クロトに斬られるもギリギリ間に合ったらしくて助かることができたらしい。しかし完全に防ぐことはできず、傷をおったようだ。そこで、俺は自分の回復スキルを使い、その傷を治してやった。それから、クロガとクロナは二人で俺達から逃げようとしていたようだったが、逃がす訳もなく俺は二人のことを追いかけていくのだった。

それから二人は城の中で、他の人間や魔物を倒して回っていたが、城の中に入り込んだ時のように俺達が魔獣を倒しまくり倒した奴らの命を奪っていくことで、魔人が倒された際に発する死の声を聞き取る能力を持った者達が現れることで魔人の王の元に行くための鍵を見つけることができると考え城の中に残っていた者たちを倒すことで城の中の人達を殺したのだが。その時はなぜか死体が残ることがなかったのだ。そして俺が魔人達の魂のような物を感じ取ってその元に向かうように歩き出す。

そして城の地下に下りるとそこにいたのは魔人だったのだが、その男は、クロガ達のことをクロナとクロガと呼んでいた。クロナとクロガはこの世界に元々住んでいた人間の子供でクロナとクロガは親が殺されたところをクロハとクオンに助けられたという経緯があってその後、クロガは魔人になることができクロナはその力の一部を譲渡してもらえたことで、クロナとクロガも仲間として一緒にこの国を築き上げてきた。そしてこの国は魔王軍と呼ばれていてこの国で最強の部隊と呼ばれていたのだという話を聞いてクロガもクロナも複雑な気持ちになっていたのであった。

そうしているうちに魔人は、この国を作った理由やクロガに魔獣化をさせていた理由などを二人に話していたが。魔人の男の目的は、この世界の支配者になり。すべての世界を我が物にしようとしていた。そしてクロナはクロナのことを守れるだけの力が欲しかったと言っていた。俺は、この世界でクロガ以外には負けないぐらいの強さを持っていると思っていたのにクロナには全く歯が立たなかったのだ。

だから俺がクロガと戦うために、魔人とクロガの戦いを止めるべく俺は動き出すのであった。だが魔人がクロナを殺そうとするのを見た俺は魔人がクロナを殺しかけた瞬間。

「なぁクロナは、クロナが殺したのか?だとしたら許さないぞ。俺のクロナを傷つけたことは。お前だけは殺す」と俺がそう言うと、

「貴様、私とやり合おうってか。貴様に勝ち目などないことはもう理解できただろう。貴様では私の敵にはならないのだから早くこの場を離れろ。貴様のせいで私は死にかけているんだ。私はここで死ぬわけにはいかないんだよ。私は私の目的の邪魔をしようとするものは排除していかなければならないんだよ」魔人は俺のことを馬鹿にしながら話してくる。それに対して俺も、

「確かに俺は魔人に負けたよ。でも今はクロアやクロナの力を借りているおかげで。お前に勝つことも簡単だと思うよ。それでも俺は逃げる気なんてないよ。だってお前の目的なんかどうでも良くて。クロガとクロナを守りたいって思うだけでここに来たのだから。お前がクロナを殺すと言うのなら俺はそれを止めないといけないから」

「なんだと、この俺を止めるとかほざいている奴は初めて見たよ。いいよならやってみなさいな。ただし今の君は私に全くかなわないと思うよ。なぜなら君の体にはあの方の力が流れ込んでいるのだからね。それで君の体を強化してあるのさ。つまり君は既に私が全力で戦うために必要な状態になってるのだよ。だから本気で君を殺しにかかることにするから覚悟したまえ」そう言った直後。

魔人が一瞬で消えてしまった。だが俺はクロナの魔力感知とクロガから受け継いだクロガの剣の技を使うことで。魔人を見つけ出すことに成功したのである。そうして俺がクロアの力で魔人を追い詰めることに成功したのだが。魔人がクロアに攻撃をしてきたのである。それを見ていた俺とクロナはすぐにクロアを助けに行こうとするのだが。俺達は動けなくなってしまい、クロアとクロナを守ることが出来なくなったのである。

俺はなんとか動こうとしたが体は全然いうことを聞かなかった。クロナの方も同じように動くことができなかったのである。すると俺とクロナの前にクロアが現れてくれていたのである。そして魔人はクロアのことを見て。

「なぜだ!どうして貴様は私に抗うことができたんだ。それは私の予想ではできないはずだ。その力を使える者は限られているのだから」と魔人は驚いていた。俺はその隙に攻撃を仕掛けようとしたがその前にクロガの技を使おうとする。その時には既に魔人は俺の後ろにいて、俺のことを斬りつけてきたのである。俺は何とか避けるも腕を少し斬り落とされてしまい俺は血を流しながら。クロナを守るために、そしてこの世界の平和を守るため俺は戦うことを決意する。そしてクロアから授かった力と、クロオに貰った力を使うことに決めたのである。そうすると魔人は俺に向かって攻撃を仕掛けてきて俺が魔人と戦った経験を一瞬で超えるほどの動きを一瞬で見せられて俺は驚き。俺は自分の力を全て使って魔人に対抗すると決めたのであった。そしてクロナは魔人と戦い始めて。その魔人の速さはクロガよりも速くクロアに近づいていき。クロトに斬りかかろうとした。

するとクロナはそれを受け止めようと手を伸ばして受けようとした。俺は、それに危険を感じ、俺もクロアの刀を取り出し、クロナの援護をするのだった。すると魔人は刀を折ってクロナの首を掴み締め付け始めた。それを見ていることしかできなかった俺は魔人にクロナを助けようと走り出した。

「私も少しは本気を出しますかね」と言って、俺はクロガとの戦いを思い出し。クロナの持っている武器をクロガの持っていた黒い大太刀と、クロルの持っていた赤い刀を取り、俺は魔人に突っ込むと魔人を切りつけるが、あっさりとかわされ、逆に反撃を受けて吹き飛んでしまう。しかしすぐに立ち上がる。それから何度も俺が魔人の攻撃を受け続けると。クロエが、クロコが助けに来てくれたのだ。俺はクロナのことをお願いすると二人は任せてと言って、すぐに行動に移ってくれた。

それから、クロネの魔法を魔人は避けていきクロネがクロノに姿を変えた時に攻撃を当てた。しかしクロニの防御力は高くダメージを与えられずにクロネに戻っていったのである。すると今度はクウが魔人に向かって行く。するとクロネはクロカの姿になって魔人を攻撃し始める。するとクロハが俺達全員の傷を治してくれる。そうして俺はクロガの技を使ってクロナの所に行ってクロアが作ってくれたクロナの武器を手に取ると俺はクロナに話しかける。

「クロナ大丈夫か?」と聞くとクロナは、「うん、まだ私は戦える。それにコウが私のために頑張ってくれたんだから私だって頑張らないとね」そう言ってから魔人に立ち向かって行った。

クロナとクロガの二人が、クロナとクロガの二人を相手に互角の戦いをしていたので俺は、魔人相手に戦いを始めようとしていた。俺はまずは、刀に雷を流すことから始め、魔人に向かい切りつけた。しかし魔人はクロナに気を奪われていて俺の攻撃に反応できず、その攻撃を避けきることができていなかった。そこでさらに力を込めた刀で魔人を斬ろうとするもその前にまた防がれてしまいその瞬間俺は吹き飛ばされてしまった。しかしすぐ立ち上がって魔人と再び戦うことに集中することにした。しかし何度繰り返しても魔人には通用しなかった。それでも諦めることなく挑んでいったのだった。そして俺が何度目かに吹き飛ばさせた時だった俺の手にあったクロガの刀がその衝撃に耐えられず折れてしまったのだった。そしてクロガの力は失われていく中。クロガの記憶や知識が俺の中に流れ込んでくると同時に俺の力が強化されていくのを感じていたのだそしてその流れ込んできた記憶の中で俺には理解できたことがあったのだそれは俺が手に入れたスキルの力の本当の使い道を知ることができたからである。だから俺はもう一度立ち上がり自分の手に光属性を集中させて剣を作り出すと魔人の方へ向かって走って行き。俺の持つもう一つの能力。

「闇影操作」を使ったのであったその力は闇を作り出して自分の思うまま操れるというものだったのだ。その力で俺は魔人が俺の作った闇の中に閉じ込めて俺の思った通りの形を作り上げることに成功すると俺はその中にいるクロナに声をかける。

「おいクロナ今からクロガの能力とクロナの力でこの世界を守ろう」と言うとクロナも、「わかった。じゃあこの世界にこれ以上誰も殺させはしないよ。この力があれば私たちに勝てる者なんてそうそういないはずよ」

そう言ってクロナの体に纏われていた力がどんどんと膨れ上がっていったのである。それを見て魔人も焦った表情になりながら俺に攻撃を仕掛けてくる。だがそんなことで俺がやられることはなく魔人は俺の作った闇から抜け出してクロナに向かっていこうとしたのだが。そこに現れたのはクロミとクウだった。クウは、クオンとクオトの技を同時に使うと魔人の足を止め、そしてクロミのクロミの力により魔人は拘束されることになる。クロトはクオンの力を使うことにより。

クロアの力とクロアの刀を使えるようになり、俺はその刀に俺とクロナの力を込めていく。

クロナとクロナは二人とも光に包まれて姿が変わっていきクロナには白銀の翼とクロナと同じ白い髪を持った少女の姿へと変わった。

その姿を見たクロナも、黒騎士のような姿に変わる。

「クロナこれは一体どうなっているんだ?でも、なんとなくわかる。俺がクロナと合体したみたいだな。よしなら一緒にこの世界を救おうか」と俺が言うと、クロナは微笑み、魔人を睨む。クロミ達は、クロナ達が何をしているのかわからないのか困惑したような顔でクロナのことを見ていた。

クロクは俺に、クロアの剣を渡すとクロナは、 クロガの使っていた黒い大太刀を構えると。俺達は同時に駆け出すとクロナが光の槍を作り出して投げつけていく。すると俺もクロガの大技を使う。クロガがクロネを助けた時の技を使い魔人を追い詰めるのだった。

魔人はクロナが作り出した巨大な光輝く槍を見て逃げようとしたが、その前にクロアとクロネの力を俺とクロナが使ったことで得た、

「神化の儀」を発動させる。そうすると、二人の背中から、クロナが真っ赤な羽と、クロガと同じ真っ黒の翼が生え、 俺は銀色に輝く。そして二人で空高く飛び上がり、そこから、俺が魔人を貫き、クロナがクロアの持っていた。赤い武器と金色の槍を使って魔人を切り裂く。すると魔人が断末魔をあげ。魔人の中から何かが出てきて地面に落ちる。するとそこには。見たこともない綺麗な女の子が現れたのである。その子の目は、青紫色に染まっていた。その子は起き上がると、魔人の体から出てくる。すると俺達を見て驚いた様子を見せた。俺はその子に話し掛けたのである。

すると魔人から出て来た少女は、俺の方に近寄ってくる。そして、いきなり抱き着いて来て、俺の胸に頭を押し付けてきたのである。

俺はどうしていいかわからずにいると、その少女に抱きしめられながら話しかけられたのである。その子は涙を堪えているかのように俺に話かけてきたのだった。そして俺のことを見上げてきて言った。

『あなたが勇者様なのですね』と言われ、俺も思わず。この子の言っていることがよくわからなかったが、俺のことを見つめながら必死に話しかけてきているようだったので、取り敢えずうなずいたのだった。そうして話しているとクロナとクロミが俺たちに近寄ってきてクロガがクロネに向かって話しかけていたのだった。クロガの話を聞いているクロガをじっと見つめながら話を聞いていた。すると急にクロトがクロガの所に来て魔人の死体を見ながらクロアと話し始めた。するとクロアの持っていた魔人の体の核みたいなものをクロナが奪い。クロナの持っている魔人の心臓と混ぜ合わせるようにするとクロネに渡したのである。そうしてしばらくすると魔人の死体とクロネが融合したのである。それからクロナは俺の方をチラッと見るとなぜか笑みを浮かべた。そうして、クロナはクロナの方に行くとクロナが話しかけた。クロナはクロガの体を気遣っているような感じだった。そうこうしているとクロコたちがこちらに歩いてきたので俺達と、魔人と戦って死んだはずのクロナたちの仲間の人達も集まってきて俺達は一度休憩するために、クロナの家に一旦帰ることに決めると、俺はみんなをクロナの家まで転移魔法で連れていくことにしたのであった。家に着いた後、クロナは魔人とクロナが一体化したこと、クロガが持っていたスキルと魔人の中に残っていた魔族の魔力を全部使ってクロナの持っていた魔人になった時に手に入れたスキル、全てを使えるようになる「魔王の衣」を手に入れクロコにあげたことを説明するとクロナとクロコ、クウの三人で魔人を倒したことを喜んでいたので俺はクロナにお礼を言いたかったのだがクロナの顔を見ようとした時にクロナがクロニのところに行ってクロニをギュッとしてクロニが顔を赤くしながらクロミが羨ましそうな目をしていたのだった。そして俺はそんな皆を横目にクロコと一緒にご飯を食べてからすぐに寝ることにしたのである。

俺が目が覚めた時にはもうすでに昼前になっており、俺が慌てて起きるとクロナ達はすでに目を覚ましていたのであった。それからしばらくしてから俺とクロナは外に出て行き俺はいつも通りに訓練をしてからクロナに話しかけた。

それからクロナはクロカやクロエ達に呼ばれて俺から離れると俺にはクウやクオト達がいた。それからクロエ達やクミにクロミと少しの間話すことになる。そうして俺は久しぶりに、本当に懐かしい、俺にとって初めての仲間であるクロカとクロナと会うことになったのであった。俺は二人と話しているとクロナはずっと俺の事をニコニコ笑いながら見ているのであった。クロナとクロカが仲良さそうにしていると俺はクロナに聞いてみた。するとクロナからは、「だってね、コウは、私の事助けてくれたでしょ、私あの時嬉しかったんだよ、コウは覚えていないかもしれないけどね、私は忘れないよ、私のために命を張ってくれたコウのことを、だからねコウが困った時は私に頼ってくれてもいいんだよ。それに私コウのこと好きになっちゃったかもね」と言うと俺の腕に腕を組んでくるのだった。俺は照れながら答えるのである。

クロナが俺に対してこんなにも優しくしてくれるなんて思っていなかったのにクロナがそんなこと言ってくれるのだから。やっぱり俺には勿体ない気がするよ。

そんなことを考えていたらクロガが突然現れてクロアの武器を手渡してきたのである。そして、クロナがそれを握りしめると。俺と同じように、白銀の鎧を纏ってクロアの刀を持っていたのであった。そして、俺達はクロト達のところに行きクロナも、俺と同じことが出来るというと、みんな驚いていたが、クロナとクロミが俺の剣とクロアの力を扱えるようになると知って喜ぶとクロナも一緒に喜んでくれたのである。そうするとクロミとクロナとクロコはクロアが持っていた。

神界から呼び出して使うことのできる神器の力を使うと、クロミとクロナとクロトは神具と呼ばれる武器を取り出したのだった。するとそこにクロガも加わり。クロガが持っていた武器や魔道具なども出して来たのだった。

それを見た俺が驚くと、クロミが、説明を始め。

神具とは。神が造ったものを、俺達が使えたら、それすなわち神が使うような威力が出るものになるのだそうだ。そして神界で作られたものはこの世界ではほとんど出回らないのだとか、理由はよくわからないらしいのだが。とにかく滅多に手に入らないものということだけはわかった。俺はそんな物を貸してくれてありがとう。とお礼を言うのだったが。

するとクロガも。僕も持ってるしクロナにも渡すようにクロミに言ってあったのを思い出して俺もクロミから神刀と神盾と神銃を受け取りクロナに手渡ししたのであった。俺達はお互いにその力を確認し合った後にクロナの力のことは内緒にして貰うことにした。

俺達はクロガが、またクロミに会いたいということで俺とクロナが転移魔法を使いクロガの元に向かい、それから、俺はこの世界の魔人のことについてクロナとクロトに詳しく話を聞いたのである。俺はそのあとは魔族についての話を聞くのであった。

そして俺は今、魔王城で魔人と戦っていた。俺の隣には魔人となったクロネがいた。魔人が、クロネのことを睨み付けながら言うと、

「我の名はマモンである。お前のような小娘ごときに私が負けることなどありえん」と言い。魔人が、 クロネに向かって手を振るとクロネの目の前に、魔人の眷属が現れ。その攻撃によってクロネの左腕と右足を斬り落としたのだった。

クロネは地面に倒れながら俺に助けを求めるかのような顔をしながらこちらを見て来ていたが。俺はクロネが死ぬようなことはないだろうと思い、そのまま無視したのだった。そして俺は、魔人に、クロネにしたことを俺に対してもするように命令したが。

魔人は俺に攻撃をしようとせずに俺の質問に答えたので。クロネの足と腕を切り落としてからすぐに回復させたのか聞くと。そうすれば自分のものに出来るとのことだったから俺がその方法を魔人に教えた。

そして俺は魔人との戦いを終えようとすると。

「ふざけんなよ!!なんでこの俺が人間如きに従わなきゃいけないんだよ。しかも、魔王になんか絶対にならないからな。いい加減俺を開放しろ。じゃないとこの場で殺すぞ!」魔人が俺に反抗してきたのである。俺はそんな魔人を威圧すると、 魔人が気絶してしまった。俺は仕方ないので魔人を魔石に戻し。魔人の体を魔石にした後で俺はその場から転移をしたのだった。

そうするとそこには。俺に斬られたはずのクロネが起き上がっており。クロナも起き上がるとクロニ達が集まってきて俺に謝ってくるとクロナ達はこれからも仲良くして欲しいと言っていたのであった。それからクロナが、自分が死んだと思った時に魔人に魂を取り込まれたことを話し出すとその話を真剣な表情で聞いていた。そしてクロガが魔人から出てきた時の話になると皆驚いた様子をしていたのだが。そこでクウが急に立ち止まるとクウの胸が光り出してそこからクロトが出てきた。皆はその光景に驚愕していたのだが俺はクウのお陰で俺を助けられることがわかったのである。クウのおかげでクロトに再会出来た。俺にとってはクロトが生きていて良かったと思っているのである。

俺はその後クロトと色々話すことにした。クロナ達はその間自分達の家に戻るといい帰ってしまったため今はクロトと2人で会話しているところである。

「久しぶりだね」俺がそういうとうんとうなずいていたがあまり嬉しそうではないようだったから俺が何をしているかをいろいろ聞いてみたのである。するとクロトはやはり勇者らしく魔王を倒す旅を続けているらしいのであった。ただ俺がいない間に新しい魔王が誕生してしまいそれからどうなったか知らないとのことだったので魔王軍についても聞くことにするとクロトは困った顔をしていたが話してくれたのだ。それによると。今の魔族は人間とも敵対していて、人間を滅ぼすことを目的に動いているみたいで、そのために色々な魔族の王達が結託して人間の国を滅ぼしているみたいなのだった、しかし魔族以外の種族には危害を加えてないみたいで、俺のところにも、クロコとクウが来ただけで他には来てないし。俺はとりあえず、その話は一旦忘れてクロトともう少し話してから俺達の拠点に行くことにしたのだった。

それから俺とクロナは家に着くとクロトをクロナ達に紹介したのである。

そしてそれからしばらくして俺達も夕食の準備をしてクロミ達とご飯を食べながら話をしていた。クロガやクウとクロミが嬉しそうに喋っているのを見ながらクミに俺とクロナの関係を説明するとクロミが凄く羨ましそうに見ていた。そして食事が終わった後クロナ達と別れてから、クロナとクロナの友達のクロミがお風呂に入った後俺はクロナと二人で寝室に入ることになる。

クロナはクロミとクロナがお姉さんのように思えてしまうくらいお姉ちゃんキャラなのだが、実は意外に甘えん坊なので俺も少し照れてしまったが俺も甘えるととても喜んでくれた。そんなクロナとの時間を過ごした後、クロナは俺の腕の中で眠りについたのである。そして俺達はそのまま眠りについた。

それから数日が経過し、俺達が目を覚ますと、クミが俺を起こしに来てくれたが、なぜか、俺が起きる前に俺の横に入り込んで一緒に寝ていた。するとクロカやクロミが、 俺と、クロミが、同じ布団で眠っていて驚きの声をあげていたが俺は、 二人を起こして朝食を済ませるとクロナ達が仕事があるということでクロエに見送られて出掛けて行き。

クロミがまた来ると言うとクロナが、

「じゃあね」と言ってクロナとクロアとシロを連れて出かけていったのである。俺は今日は特にやることもないがクロナ達を見送ったあと。俺とクロアは街に出掛けた。俺はクロアが何かを欲しそうな顔をしていたから服屋に寄りクロアの服を買ったのであった。俺がクロナと買い物した時と同じような反応をしていたがクロアもクロナと同じでクロナのことを本当に大事にしているのだと思う。そう思うとクロアをクロナに任せて良かったと思っていた。クロアが俺が買った服を着て喜んでいるのを見て俺は満足しながらクロアと手を繋いで街を歩いたのである。すると街の人達が俺たちの方を向いて、ひそひそと話し始めるのであった。するとクロトがこちらを見つめていたのである。俺は何となくクロガと会う気がしたため俺もクロアと街を回るのを早めに切り上げてクロガのいる場所に向かったのだった。すると案の定クロガと出会えたが俺がクロオの知り合いと分かるとクロタとクロチが俺のことを警戒する態度を取ったが。俺と、クロアの様子を見たら俺が悪い人じゃないと思ったのか警戒心を解きクロトと共に俺達のところにやって来たのだった。

そして俺がこの世界で何をしたのかとかクロアとの関係などを簡単に説明すると、クロトが魔王になった時のことをクロミと一緒に詳しく教えてくれたのである。

俺は、そのあとクロガとクロトがクロナに会いたがっていたから転移魔法を使ってクロナ達の元に連れていくことにしたのだった。

俺達はクロナ達の家の前まで来たのだがクロガとクロトは、クロナがもういないかもしれないと思い家に入ってこようとしなかったのであった。

俺が中に入れるとクロナが居たことが分かって喜ぶとクロトもクロガも涙を流して抱き締め合っていたのである。俺はその様子をみてクロガのことはクロトとクロミで何とかしてくれると確信が持てるくらいの絆が育っていることに安堵のため息をついた。

俺は、俺の家族に会いたいということで、クロネの所に行き、クロト達を連れて行くのでしばらく留守にすることを伝えると、クロネに寂しい思いをさせたくないと俺にすがってきそうになったが、俺に、任せて欲しいと頼んでから、クロガとクロトを連れていくことにしたのであった。クロガとクロトに俺の能力の一部を貸し出すことにしたのである。そして、クロガには、クロトが俺の分身として動けるように俺の血とクロガの体の一部を交換させたのである。

俺はクロダにクロガ達を任せてから俺達も、また魔王城に戻り魔人の情報を得るべく行動することにしたのだった。

クロガが、クロトと再会を果たして俺が、この世界にきて初めての笑顔を見たところで。俺もクロネにクロガの事を預けると俺達は魔王城へと転移をしたのだった。そしてクロトの話を聞いたところやはり俺と同じように世界は滅びかけていたのであった。しかし、クロトによると魔族と他の人種で戦いがあり魔族は劣勢にたっていたという。クロトの話を聞いてクロトに俺も力を貸すことを伝えてクロトが魔人と戦って得た経験を話すようにお願いをするのである。そしてクロトにクロトがクロミと戦った時に感じたことやクロミとの思い出話をするとクロミとクロトの仲が良いことが伝わってきた。俺もそれを聞くことができて嬉しかったが俺の表情を見るとクロトの顔つきが一瞬変わったような気もしたが、すぐに元の優しい表情に戻ったのである。

俺は、そんな、クロナと、俺の会話が、終わったタイミングで俺が魔人にクロネにやったようなことを行ったらどうなるのかを尋ねると。魔人が言うには魔人が支配できるのはあくまで、自分が作った魔物達だけということだったので俺は安心したのだった。俺は、それなら、今から俺がこの世界を魔人と戦わせる為に魔人に俺から奪った魂を全て返すと言い、さらに、魔人に魔王として、この世界の王になるか聞くとあっさり魔王になると答えてくれた。それから、俺達はこの世界での、俺と、クロガの役割について話すことにする。俺は魔王になり、クロガはこの国の宰相となって欲しい事を告げる。そして、俺と、この国にいるクロトとクロナとクウ以外の仲間達を集めて話し合いをするために、この世界の中心に向かう事にする。そして俺は俺のスキルであるクロガにクロガ専用の装備を作ってもらうためまずはクロトに、俺の武器を使えるようにするため剣を渡すことにしたのである。そしてクロトにも俺の力の一端を与えると俺は、クロガや、クウと、クミと、クウの友達のシロとクロアと一緒に俺達は中心に向かったのである。そして俺が、皆を連れて行くために、中心に行こうと皆に伝えると、クロミと、クロトと、クロナが、自分達が、皆を運べると言うのだった。俺もそれは、いい考えだと思い。

クロミが先頭になって飛んでもらいクロトは、その後ろを飛んでいたのである。俺と、クロナがクナの後ろを飛んでいるとクロミが話しかけてきて、クロナがクナのお腹の袋の中にいることを伝えたら、クロナは凄く驚いていた。クロナのクローンが、自分の中の空間を操れることを知っていなかったようだ。俺はその説明はまた後でしてあげるといいとりあえずクナに乗り移ることは、できないから、このまま飛ぶことにした。するとクロミが突然止まり。

「私も手伝うよ」と言ってクロミは両手を広げるとそこから魔力が集まりクロミの手の前に、小さな黒い球が現れた。そしてクロナは驚きのあまり声も出ないようであった。クロミが作り出した球体にクロナは吸い込まれて消えていく。クロミが、「クロナは大丈夫なの?」と心配そうにしていたが俺は「クロナは問題無いはずだ。それより早く行こうぜ!」と声を掛けてクロミに乗って先に行く。

俺が先に行くと俺につられるかのようにクウも後を追っていった。すると今度はクロトが、自分も連れて行けと言うのである。俺はクロミに乗るのかと思ったけどクロナと同じ方法でクロトにも同じ力を与えることにする。

するとクウに乗らずクロトは、自分で空を飛んだのである。そしてクミがクロナと同じで小さいサイズにしてあげないと無理だと言うが。クロトの体が徐々に変化していったのである。俺の想像以上に凄い速さで成長していてあっという間に俺よりも大きくなっていたのだった。それから俺達は中心の場所にたどり着いたのであった。

俺は、この世界に来て初めて、自分の力で移動することができた喜びを噛み締めているとクロトも同じように感動しているようであった。俺は、早速俺達の仲間を集めることにした。そしてこの世界を、魔人を味方につけて人間やエルフなどの敵を倒すために動き出したのである。俺はまずこの世界で生き残っている者を探すことから始めることにしたのであった。クロミとクロトと俺とクロナの四人で探すことにして俺はクロト達と一緒に行動する。俺は俺達と一緒に来たメンバー以外を、クロトとクロナとクロミが俺から受け継いだスキルをコピーしてクロネに使わせてもらうことにして。俺はクウと、シロと、クウの知り合いの妖精達に手伝って貰うことにしたのである。俺はこの世界に残ってくれたクロトに頼んでこの世界の住人に話を通してくれることになった。俺は、その間に俺はクウにお願いをして妖精達の所に連れて行って貰ったのである。

俺が、この世界で初めて見つけた人は森の木陰で横になっている男性だった。俺は、クロガとクロナが言っていたので警戒しながらも近づいて行くと、彼は起き上がり俺に向かって攻撃してきた。俺には全く効かないが一応反撃をする。すると彼から聞いたことも無い言葉で話し掛けられた。俺はその言葉を聞き取ることができなかったが。彼が話していることを理解することができた。俺は彼の言葉を理解したことと敵意がないことを示すためにクロエと、俺に名前を付ける。そして、彼になぜ俺達を攻撃してきのかを聞いたのである。そして俺がこの世界に来た理由や目的を説明すると納得した様子だった。そして彼は自分が何者かを話してくれた。

「俺の名はカオル。元勇者です。あなたにこの世界の事を教えて欲しいのですがお願いします。どうか俺の話を聞いていただけませんか?俺は魔王に殺されたはずなのに何故か生きていて気がついたらここに来ていたという感じで。正直何をどうして良いかわからず彷徨っていたところなんです。そして俺が持っている知識でお役に立てるなら協力させてください」

そう言ってカオルは頭を下げてくるのであった。俺は、とりあえず仲間を紹介をするから一緒に来るように伝えてから俺達を案内してもらうことにした。俺は、俺達が今から住む予定の街に転移することにしたのである。俺がクロガに頼むとすぐに了解してもらった。

俺が街の広場に着いてもまだ誰も来ていなかったのである。俺が、この辺りで待っているとみんなが来ると伝えると。クロナも、ここにいていいかと言うので。もちろんいいよと答える。するとクロナは俺の横に座ってくるのだった。俺は彼女の行動が可愛かったのもあり。俺は思わず抱きしめて頭を撫でる。俺が彼女にクロガと、クロネに会った時の話をしようと話しかけようとした時に後ろから抱きついてきたのはクロヤとクロミとクロトとクロナであった。俺とクロナをクロヤ達から守ろうとしてくれていたクロオの姿があったのだ。俺は、皆を呼び寄せて俺がこの世界に来るまでの経緯や、俺の目的を伝えるのだった。

俺はこの世界に初めて来た時は、いきなり魔人に襲われ、クロアには命を助けられ、そして、今は、この世界では勇者と呼ばれているらしい。俺達はクロトが用意してくれた家に移り住む事にして。そして、この街はクロアとクロミとクロトが統治する事になって、俺はこの世界に呼ばれた本来の目的は、この世界に、いるはずの魔人達の捜索と倒す為に動く事にした。それから俺達は街を出て魔人の情報を探り出す事にしたのである。それから数日後ようやくクロナから報告を受けるのである。それによると、魔人と戦えるほど強くない種族が襲われているとの事だったので。俺と、俺の仲間のクロトとその仲間たちがその魔物たちの救援に向かった。すると、俺が魔物たちを指揮してクロトは魔法を駆使して魔物達を蹂躙していく。俺は魔物たちが怯えながら逃げていくのを見ながら俺がこの世界でもトップクラスに強いことを感じ取ってしまったのだった。

俺達の活躍で、魔物たちに大きな被害を与えなかったようでよかったが。俺達は助けられなかった人々の為にも魔人たちを見つけて倒すことを心に誓うのであった。そしてクロナは、クロミが魔王になる事を了承したようだ。これで後は、クロナとクロガが戻ってきて魔王になることが決まったから後は俺の力が戻るのを待つだけである。それから俺達は魔人や魔王に関する情報を集めた結果、魔人が支配しようとしている国は俺の世界にある国と一致したためにクロミとクロガの帰りを待って俺は、二人を仲間に引き入れて魔人に対抗できる力を身につけて、俺の力で、こいつらの力を解放させてやりたいと考えている。そしてクロトは、俺がクロミを魔王にすると宣言した際に、魔王軍幹部になると自ら名乗り出たのだ。俺はそれに驚き、そんな必要は無いと断るが。彼女はそれでもついていきたいと言い。クロナの配下として働くと俺に伝えたのである。クロナは俺の答えを聞くと「私は構わないよ。クロトさえ良ければ」とクロミに聞くとクロナは笑顔で答えてくれた。それを見て俺はクロトにクロネにやったように自分の血を飲ませてあげた。俺がクロネのスキルの発動の仕方を教えてやると。

俺の力の一部が流れ込んだクロナはクロナがクロネにしていたようにクロネを自分の体に入れることに成功した。俺達はその後、クロトを連れて家に戻った。すると、既に戻って来ていたクロミが待っていた。

俺はクロミを呼んでから事情を説明して、クロトを預けたのであった。すると、クウが突然、俺の前に降りて来て。

「主殿。大変です。魔王軍と思わしき者達の集団がこの近くに出現しました」と言ってくるので俺は「クロミ、クロナクロミに力を与えたいから付いてこい。それとクロネも連れてきてくれないか?」と指示を出すと俺はクロネとクロナと一緒に現場に行く。するとそこにはクウと同じ姿をしたクウがいた。俺が、「お前はクウだろ?」と言うと「違いますよ主殿。僕はクウと申します。あなた様がクウと名付けてくれたのですよ」と笑いながら言うので、俺は、「そっかぁ。それでどうしたんだ?」と尋ねると、この先にクロミに似た姿の少女が現れました。なので彼女達を守るためにここに来たそうですと説明すると、俺の後ろに隠れていたクロミとクロナが出てきて。「あなた誰なの?」「えっと、クウさんだよね?」と言うのである。クウは、自分以外にも同じような存在がいることを知り驚いていた。

俺は、クロトがクロミに近づき過ぎていたのでクロミが嫉妬していると思ってクロミを呼び止めようとすると。クロトは俺が思っていたよりクロナのことを大事に想っているようなので。俺とクウで、クウが魔王軍に味方しているかもしれないと疑って攻撃してくる奴が現れた時のための保険として、二人の間に入ってもらうことにすると、クロガや、他のメンバーと合流して全員をこの世界に避難させることをお願いする。そしてクロロと、俺の妹達も呼ぶことにした。そして俺はクロノを呼ぶことにし、クロニは留守番を任せる事にした。クロミも行きたいと言ったのだが。さすがに女の子だけだと心配だったので今回は諦めてもらうことにした。そして、俺とクロネはクズミと一緒に行くことにした。

俺と、クロミとクズの三人でクロナ達の元へ向かうと、クウが一人でクロナ達の所に向かっていくと俺達にも付いてくるように促す。そして、クウに着いて行った先は俺が以前、魔人に襲われていたところだった。俺はクウの案に乗り魔人と戦ってみることにした。

俺は魔人と戦ってみたのだが、魔人は人間とは桁が違うほどの強い魔力と、強さを誇っていたので、俺が本気で戦ったのにもかかわらず魔人には傷をつけることも出来なかった。

俺達がクウ達と合流すると魔人たちは姿を消してしまった。クウに聞くと、どうやらこの先の森に魔人の隠れ家があるとの情報を手に入れたので、その場所にクロナ達が向かったようだ。俺は魔人と戦う為にこの世界に戻ってきたので、このまま見捨てて行くのも目覚めが悪いと思った俺は魔人の本拠地と思われる場所に向かうと、そこにいたのはクロナとクロエとクロガだった。俺は魔人と戦いにきたことを告げると、俺がこの世界に現れた時に助けてくれた二人が魔人だったのだ。

俺は、クロナとクロガに礼を言い、クロナ達と、魔人退治を行うことにした。俺がこの世界に呼ばれた本来の目的でもあるからだ。俺は、この世界に来て初めて、全力で戦えた魔人を倒せた事に満足したのであった。しかしクロガが「この世界であなた程の力を持つものはいないのに。なぜこんな事をしているのか?」と質問して来たので。俺は正直に、自分が元の世界に帰る方法を探していて。その手掛かりになる魔人を倒しに来たことを伝える。クロナはそれを聞いてから魔人を倒すために俺に協力してくれると言うので、クロガと、俺の二人で魔人達を倒してからこの世界を平和にしようと決めたのである。

俺はクロゼリーをこの世界から追放してクロナが持っていたこの世界の地図を見てみると。この世界の各地に魔王軍のアジトのような物があってそこからこの世界の魔人達に命令を出しているらしい。

俺達はまずこの国で拠点となる国を作ろうと考えて行動を開始した。

俺はまず仲間を呼び寄せてから俺達は魔王軍の幹部の一人、魔王軍ナンバー2の地位にいた魔王直属の親衛隊長である魔王の娘クロアが住んでいる城にたどり着くのであった。

俺達はクロアとクロネが待つ城の前までやってきた。すると中から、メイドの格好をした女性が出てくると俺達に頭を下げてくるのだった。

俺は「君はクロアの側近かな?それとも部下か?」と質問すると、彼女がクロアに仕える従者だという事がわかる。そして俺は「ここにクロアという少女はいるか?俺は彼女に呼ばれてきたんだけど。どこにいるか知らないか?」と聞くと。彼女はクロア様に確認しますと言って奥に戻っていく。しばらくしてからクロアが出てきてくれた。クロアとクロナと、クロアは少し話をした後。俺にクロネを預けてきた。俺はこの城で、仲間が到着するまでクロナの護衛をするように指示されたのでクロネとクロミとクロトと一緒にこの国の視察を行う事にした。この国で、俺達は魔王軍と、魔王軍に対抗する組織の両方を作ればいいのではないかと考える。

俺は、クロナとクロミの3人で、俺が元々暮らしていた国を訪れていた。そこで、俺は魔王軍にさらわれてこの国に連れ去られたという事にしようと考えたので、この国から魔王軍を撤退させる事にする。俺達はこの国にいる兵士に、俺を誘拐したのはこの国の王だと伝えて、この国の兵士を、全て俺の仲間にする。そして、兵士達を鍛えるために俺が指導する事にして、その見返りにこの国を魔王軍と対抗する勢力にするため協力するように伝えた。

クロナは、この国がクロナの故郷なのでこの国を離れないと言っていたので、代わりにクロトを俺の国に派遣してもいいとクロナに伝えて。俺達はクロナと別れるのである。

俺とクロネとクロトはクロミに連れられるままに街を歩くとクロミにこの国は、元々は一つの国であったが魔王軍に侵略されて現在は三つの国に分裂しており。俺達が今歩いている場所は、三つに分けた国の中で一番広い領土を誇る場所で、ここには王族がいるので、まずそこを訪ねて、この国の王に話をつけてくるそうだ。俺はクロミについていくと。この街の王が、俺達を待っていたようで歓迎をしてくれていたのである。そして、俺は国王にこの国で仲間になってくれる人を探してもらっていると説明すると。国王は「クロネ様が一緒なら、安心ですね」と言いクロネに俺が元勇者であることを隠せるようお願いしてくれた。

俺はクロミとクロネと共に、この街のギルドを訪れ、仲間を増やすための行動を始める。この国は今は、三つに分けられているのでそれぞれの町を巡って戦力を蓄える事にしたのである。

俺達三人はまず、隣の町のギルドを訪れたのだがこの町にクロトがいないのである。クロトはこの町で待っていると言う。そして俺はギルドの受付に、俺が元の世界で使っていたスキルを使って仲間を増やしたいのだけど何か方法はないかと相談したところ。俺が、俺の世界でスキルを使っていたようにこの世界で使うと、俺がスキルを使った時の記憶が残るのでこの世界でスキルが発動できるようになるとの事を教えてもらった。それを聞いた俺が早速試そうとしたらクロミが「そんな事しなくてもいい方法があるよ」と言ってからクロナの手を取り「姉さんお願い」と言ってから手を離したクロミは「私にクロナさんの力を授けてください」と言うとクロナの体が輝き始めて、クロナの中にクロナの魔力が流れ込みクロナの髪が青くなるとクロナは目を閉じてしばらく動かなかったがクロナが目を開けると。クロナも魔力が使えるようになっていた。

俺は、魔力が使えるようになったクロナを連れて次の町に向かう。俺は、この世界でもスキルを使うことが出来るようになりクロナのステータスを確認したが。どうやらクロナの種族であるハイヒューマンはレベルが存在しないらしく、経験値も得ることができないので俺とクロネのように成長することがないようだ。しかし俺はクロナに「クロナのレベルが上がらないけど、クロミに魔力を分け与えた時と同じように俺の能力をクロナに分け与えることができるんだよね?」と聞いてみると、クロナは笑顔になりながら「はい、出来ます」と答えたので、俺の能力の半分をクロナに譲渡する事にした。そして、俺はこの能力を渡す事で、俺の力が半減してしまったのでクロミの案内に従って、宿で一泊することにする。俺達がこの世界に来て一日が経過していたのでこの世界に来てからもう半日も経過していたのでクロナには申し訳なく思っていたが、俺達の体力では無理なペースで進んでいて、疲れが溜まっていたので休ませてもらうことにした。俺はこの世界での自分の部屋に戻り、今日得た能力の確認と、俺のスキルの習得にとりかかった。俺が新たに覚える事が出来たスキルを確認すると。この世界で新たに俺に与えられた能力でこの世界の人間が持っていないスキルがいくつもあった。そして俺はこの能力を使い、新たな仲間達をこの世界に招く準備を始めたのであった。俺はまず俺に好意を持ってくれている人を集め始めたのであった。

クロネはシロからもらった刀を手に取ると。クロアから譲り受けた剣で、魔物の首を跳ね飛ばすと。今度は魔人の首を狙う。しかし、いくら斬りかかってみてもその体に刃が通らなかったのである。そうしているうちに魔人はどんどんと近づいてきてしまう。クロネコは逃げようとするのだが足が思うように動かないので動くことが出来ないでいたのだった。

クロエは必死に逃げようとしていたのだが。後ろを振り向いたところで。突然意識を失ってしまい。そのまま地面に倒れてしまったのである。それから、クロネコとクロネの前に現れたのは魔人だ。魔人の手から放たれたのは電撃であった。それはクロネの持っている刀に触れると弾け飛んだ。魔人が使ったのは魔法だったのである。魔人に接近を許したクロネはそのまま吹き飛ばされてしまい、気絶してしまったのであった。クロネの手に持っていたはずの刀はすでにそこにはなかった。

それから、俺達はクロネが、クロエとクロナの元へ向かったあとに俺も向かうことにし、クロナから借りていた魔道書を手にとってから、転移したのだった。

そして、俺はすぐにクロエ達の居場所に向かう。するとクロネとクロナが倒れており、クロアは、クロネの持っていたはずの刀を持っていた。そして俺は、魔人からクロナを守るために戦う事にしたが、俺はこの世界にきて初めて戦った魔人に対して何も出来なかったのである。そして、俺は魔人と戦っている途中で魔人の背後に現れたクロネの姿を見つける。しかしクロネとクロナの二人に襲いかかろうとした魔人を庇って俺は死んでしまったのである。

そして、俺が再びこの世界に現れる前にいた場所に戻ってくると、クロゼリーが現れてからクロコが、クロネと、クロアの二人のことを心配していたが、俺に「クロネが魔人を倒せなかった。だからあなたの力で倒してあげて欲しいの」と言われた。俺はクロネの代わりに魔人を討伐する事にして、俺達は急いでクロネの元に戻ることにした。

クロネは魔人に吹き飛ばされた後気を失ったので俺はすぐに、助けに入るために駆け寄る。俺は魔人からクロネを守るため、そして、俺自身も助かるために俺は、自分が死ぬ事を選択したのである。すると俺は、クロネと、俺の間に黒い霧が現われて魔人の放った雷撃をかき消してから、俺は黒い光に包まれて俺は消えていったのである。俺と、クロネの周りに、結界のような膜が出来ていてクロネを守っているようで安心することができたので心置きなく死ぬことが出来たのであった。

クロネは気が付けば、自分の目の前で倒れ込んでいるクロオを目にした。その時すでに意識を取り戻していたクロナはクロネの元へと駆け寄りクロネのことを介抱し始める。クロネは自分の身に何が起こったのかよくわからず戸惑っていたが。しばらくしてクロガがやってきたことで少し落ち着きを取り戻すことができたのである。

そしてクロガが、クロネの事を抱きしめるような形で守っていた、俺の体を回収した後、俺は目を覚ましたのである。そして俺は自分のせいでクロネが危険にさらされていたことを思い出し、謝る。そして俺はクロネが無事である事を知ることが出来て安心したのである。そしてクロガから俺がクロネの体を使って魔人と戦ったという事を聞いて俺は驚くことになる。そしてクロネの体を借りたことで俺は、クロナと同じ力を使えたので、俺はこの世界で使える力を増やすことができ。俺はこれからこの世界で活動するうえでこの力を最大限活用する事を決意する。

そして俺は、俺と、俺がクロネに貸し与えていた力を、半分返してもらう。そうする事で、クロナもこの世界でスキルを使う事ができるようになったので、この世界の人達にも協力を求めることにする。

俺が、クロミから魔力を受け取ってクロナに渡した事で、クロナは俺の知っている魔力を扱えるようになり、クロナはこの世界で新たにスキルを使えるようになった。俺はクロミからクロトの力を受け取った事でこの世界の住人でクロミ以外が持つことのない特殊な能力を手に入れる。俺が手に入れた力はクロネが持っているスキルを使用できるスキルともう一つは時間を操る能力を手に入れたのであった。

それから、クロガはクロネをこの国に連れ帰って保護してくれると申し出てくれた。クロネの事もクロガがこの国に報告してくれたおかげで、俺がこの世界にくる前からこの国のトップの人達が、魔王軍に洗脳されてこの国の王になっていたと言う事が判明したからである。クロミもクロネをこの国に連れ帰ることに同意してくれて。俺達がクロナ達と別れようとしたとき、シロの父がやってきてクロトとクロナにこの国から去ってもらう事になった。

俺達が、シロの父に連れられてこの城を出る際にクロノがクロネを攫いにやってくるのだが。俺は、クロトがクロナに気を取られている隙に俺がクロネに触れて、彼女の持つ魔力を使って、俺がクロネから貰った魔力と、クロナの魔力を使いこの世界で俺が習得する事が出来るスキルの中で最強のスキルをこの世界で発現させ、そのスキルは空間を司る力で俺の予想通り発動した。そして、俺達はこの国を離れるのであった。俺はこの世界に来た時に所持していたスキルの習得と、この世界に来る前よりもさらに強化されたスキルを覚える事が出来たので俺はこの世界に転移した際に得られる恩恵を全て受けとることができるようになったのである。

それから俺が、この世界の人達を全員救うためにはまだまだ多くの仲間が必要だと感じた俺は仲間を集めながらこの世界の人々を救い始める。俺はこの世界を滅ぼそうと企む魔人の軍団を倒しに、そしてクロネが、クロナとシロのためにも必ずこの世界を魔人の手から守り抜くと誓うのだった。

俺は魔人を倒す為に様々な手段を用いていくがやはりこの世界で魔人を消滅させる為には勇者の力を持つ者の協力が必要不可欠だと思い。俺が魔人の配下である悪魔を倒せるほどの強さを持っていなければ意味がない。しかし、俺は今の所レベルが上がらないので魔人以外の魔人の配下の悪魔の討伐は諦めなければならないだろうと思っていた。そうしている間にクロガも俺の仲間としてこの世界に来てくれることになり。俺の持っている武器と魔人の剣を持っている俺とは対をなす魔人との相性が良い装備を俺は身に付ける事で魔人に勝つ確率をあげることに成功したのである。

そして俺はクロネとクロネの持つ、魔道書で習得した魔法の知識によってクロナのレベルを上げる事に成功して。俺はクロナと俺自身のステータスも上昇させる事に成功するのだった。俺とクロナのレベルの上昇が止まった後はクロネがクロネ自身と俺とクロガの分を含めた三回分の死を繰り返すことによりクロナのレベルがどんどんと上がっていき。今ではもう一人で魔人の下っ端程度なら相手にできるくらいにまで強くなっていた。

ちなみにクロミも最初は、レベルが上がるたびに進化をしていたのであるが。今の時点でもうすでにかなり成長していて、この世界で上位に位置するほどの実力を持っていたので俺達は彼女には手を出す必要がなかった。それから、俺は、仲間を集める旅の途中であったが、俺のいた場所では仲間に出来る魔物は仲間にして、それ以外の場所は俺のいた場所から、仲間に出来ないものには手を出さないことにしているのだ。俺達は俺が元いた世界に戻る為の道のりが遠いとわかっていたので、その前にまず、俺の元いた世界から俺達のいた世界へと来ることが出来たのである、魔人を倒すための仲間を探す旅に出る事に決めてから俺達は行動を開始したのであった。

俺達は俺の元いた世界では魔物と呼ばれる存在で、魔人の支配下にいた者達を解放する事を目的に行動することにした。それから俺達は、色々な町や村などを巡って行く。そこで俺はこの世界にきてからは初めて俺が元のいた世界で過ごしていた時の知り合いと会うことになる。その人物は、俺が通っていた高校の教師だった人物で、名前は佐藤という先生で。見た目は俺より歳上で二十代の後半か三十前半くらいに見える。この人は俺のことを知っていたようだったので俺はこの人と話すことにした。そして俺は、自分が何故、高校生になったばかりでこの異世界にいるのかを説明すると、俺の高校時代の恩師の佐藤先生も自分の生徒を助けたいからと俺に協力してくれることになった。

俺達は、俺が暮らしていた地域を中心に魔人や魔獣の支配から解放していくために、旅を始めた。そうする事で俺とクロエの故郷の街が魔人の支配を受けていた事がわかったので俺とクロエと、そしてクロアとクロネで、そこへと向かうことになった。

そしてクロナとクロネは自分達の生まれ育った故郷が魔人の支配下にあった事でショックをうけていたのだが、それでも、クロナが自分とクロゼリーとクロコの三人が育った故郷は無事なのかどうかを確認したいと言うことで。俺達はその場所に向かって移動することにし。そして俺とクロナの故郷でもある場所にたどり着く。

そこは俺とクロナの両親と妹の家族が住んでいた家があった場所だったのだが、そこには、クロナと、クロゼリーの二人の生まれ故郷の家は存在していなくて。クロナは自分が、魔人の手に落ちたせいだと落ち込んでいたので俺は彼女を励ました後で俺は、俺とクロアと、俺がこの世界に来てから知り合ったクロナとクロナのクローンであるクロネルを連れて、クロネの家に向かう。

クロネの家にたどり着いた俺達は。すぐにこの家に異変が無いことを確認してから俺はクロネに魔人がクロネの両親とクロゼリーのことを操った事を話し。俺は俺とクロナの両親の事を蘇生して蘇らせて欲しいとお願いするとクロネはクロナをこの家の地下に連れて行き。俺と、クロアと、クロネルの三人でこの家の中の捜索を始める。するとクロネが、クロネの両親が使っていた寝室から一つの指輪を見つけ出したので、俺がクロナの体を使ってその魔法を使う。そして、その指輪の力で俺の体の中にあった俺の体の方のクロネの記憶が戻って来て、俺の体もクロネの体に戻ったのであった。それからクロネはクロガとクロトを呼びにこの家を出ていくのであった。

それから俺はこの世界にくる前に持っていた能力やスキルの確認をしようと思ったのだが。俺が覚えていたはずの、この世界の言語の知識が消えていて俺は言葉を理解することができなかったが、この世界にくる前の記憶を取り戻したクロナのおかげでなんとか会話をすることができるようになる。そうやって俺達がしばらくこの世界の言語について学んでから俺は俺の体を取り戻す事に成功した。俺は、元の世界に戻りたいので俺は俺と一緒にこの世界にきた仲間を集めてこの世界を平和にする為に動くのであった。

俺達が、俺とクロナと、クロネと、クロガで、俺の住んでいた町の近くにあるという俺の妹夫婦が住んでいる実家の方に行く事になった。

そうして、俺は元の世界に帰る為の手がかりを得る為に、この世界の人達が、魔人の手を逃れて隠れて暮らす事になっていた、俺が元々の世界で生きていた時に住んでいた街の近くの森を抜けると。俺の実家がある町の近くにまで到着した。

俺は俺の元いた世界の俺の友達のクロオにこの世界に転移した経緯を説明し、そして一緒に協力してもらう事になる。それから俺はこの世界に来る前の俺に教えてもらった、俺がこの世界にやってきた時に手に入れた能力の事を教えてもらって。俺はクロガの剣の鞘の能力を俺がこの世界に転移してきた時に俺が習得していた能力の一つを融合させて発動する事により、剣を収納するための空間を生み出す。それにより俺はクロガと俺の武器が収納できるようになって、この世界で手に入れたスキルの中に時間を操作するスキルがあるので、それを使って俺のいる時間と、俺のいない時間との時間を入れ替える能力を使うことによって、この世界での時間の流れを変えれば俺がこの世界にいる限りこの世界の住人が俺に干渉することはできなくなってしまい。この世界で魔人を討伐するために動けばこの世界の住人が魔人の手にかかることがなくなり俺はこの世界の人々を救うことができる。

俺は俺に、クロネからもらったこの世界で最強の魔剣の力を宿す、この魔剣は、所有者の意思に従ってこの魔剣を使える者を俺の味方に変える事ができる。そうして俺はこの剣の能力を使えば、この魔剣に認められることができたのである。それからクロガと、俺のこの世界に来る前の記憶を持つクロナが、クロナの両親のことを助けたいといっていた。クロナはこの世界での両親であるクロナの父親クロハとクロガの母親クロエを助けることに全力で協力するといってくれた。俺はクロガの持っている、魔人の剣で俺とクロガのレベルを上昇させる効果のある力を手に入れることに成功したので俺はその力でクロガと、クロナのレベルを急激に上げることに成功し。

この世界で最強クラスの実力を持っている俺達三人は魔人の配下となっている魔人の手下を倒すための旅に出かけることに決め。俺はクロナに魔人の配下の悪魔のレベルを鑑定するスキルのスキルを、俺の仲間になったクロナの弟のクロガに魔人の魔道書と、魔導の盾の力を借りてクロナに魔人の幹部以上の魔人のレベルの判別が出来るスキルの習得をしてもらい。俺はクロナと、クロナのコピーであるクロゼリーを連れて、クロガと、クロガが仲間にした魔人の手下と戦いながら魔人の手下のレベルをクロガとクロガに協力してもらって計測しながら、クロナとクロナの双子の妹クロゼリーにクロガに仲間になってくれるように頼むと。彼女は快く俺の願いを受け入れてくれ。そうして俺達は旅を続けることになる。

俺とクロナとクロガは旅を続けている間に、クロコや、俺達の家族のことや、俺の元の世界での出来事などを思い出すのであった。俺は俺とクロナがこの世界に来た時の状況を説明した。そして俺は俺達がクロガが俺とクロナの元いた世界にきてしまったのと同じように。俺のいた世界でも魔人の手が忍び寄っていて。その事でクロガは自分の世界に戻ろうとしていたが魔人に支配されていたので戻ることが出来なかったと俺に伝えてきた。それからクロナとクロガと、俺が仲間にしした魔人の幹部のクロアとクロコも一緒に俺がクロナと出会う前にクロナの体の中で見た光景のことについて話すのだった。それから俺はクロネと、クロナの弟クロガの二人の故郷に向かい。俺の知っているクロナの故郷の町に向かう事に決めるのであった。

俺とクロナとクロナの仲間の四人で、俺は元居た俺の故郷であり、クロアや、クロナが元から住んでいた、クロコの故郷である街に向かったのだけれど。そこにたどり着くとそこには俺が暮らしていた町ではなく別の街が存在していたのだ。だからと言って俺は元のいた世界でクロネが住んでいた街と同じ場所にある俺の元の住んでいた街に行ったら元の世界に戻ってこれなくなるかもしれないという不安があったが、俺達はこの世界に存在するはずのない人間なのでもしこの世界と別な世界に迷い込むことがあるのならば。俺は元の世界に戻ることができないのではないかと思いながらも。この世界で知り合ったクロナの弟であるクロガの故郷に向かって進むのだった。

そうしているうちに俺とクロナと、クロガが、この世界で元からいたはずの存在ではないと言うことを知られてしまい、俺は元居た世界の自分の家に、帰ることが出来るのかわからないので、その事が気がかりだった。俺と、俺が元から住んでいた街はクロネの街のように滅ぼされている可能性があるから。

それから俺とクロナが、クロガにこの世界には存在しないはずの人間だということを話すと、その話を信じられないと彼は言ったのだが。俺は彼の前で実際に見せた方が話が早いと思い、俺は彼が所持していた魔道具である魔石を使いこの世界の人間のレベルの上限値の限界を突破してしまうほどのステータスと攻撃力、防御力を持った魔物を生み出し。それに俺と、この世界で俺と一緒に冒険をしているクロエ、クロナ、クロガの三人が挑戦する。

そして三人とも限界突破の効果により能力が大幅に上昇することに成功すると俺はそれを証明するためにこの世界には存在しないはずの存在であるという事を彼に信じてもらうことにした。そうやってクロナの弟であるクロガに、クロアとクロミが、俺達と一緒の世界で生きている可能性を伝えたのだが。クロエはともかくとして、この世界に本来いるはずの存在で無いという事を、この世界に元々存在しているクロネ達に知られた俺達はこの世界に元々いるはずのない人間であるという事が発覚したことにより、この世界から、元の世界への帰り方を見つけない限りこの世界から出られない事が確定してしまう。俺とクロナは元の世界でクロガが元居た世界に帰れなくなってしまうのではないかと思ってしまうが。この世界での、魔人が元々いた世界のクロネが生きていた国では魔人がこの世界を支配しようとしているから、俺は元の世界に帰ることができなくなってしまったことをクロナに説明するとクロナはその話を聞き涙を流していた。そしてクロナも、この世界での俺の本当の家族が生きていてくれてうれしいと泣いている。

そうして俺はクロネにクロナが魔人に操られている間、この世界にクロナがいたはずなんだが知らないか?俺は元の世界に帰らないと行けないんだけど。元の世界へ帰る方法がわからないんだ。とクロネに聞くと。クロネの話ではこの世界で元の世界に行くためには俺がクロナの体に宿っていた時に使っていた、この世界の俺の家に行く必要があった。

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勇者パーティ追放されたんですが、魔王を倒すのは嫌だと言ったら魔族として処刑されそうになりました。 あずま悠紀 @berute00

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