閑話 バトルボデイ編
第234話 ライフル
「バトルボディ、オン!」
レイモンが叫ぶと体が淡い光に包まれて、一瞬のうちにグリーン系統の戦闘服へと変身しました。そして、そのまま襲い来るゴブリン共へ目掛けて一気に間を詰めてゆきました。
「やー!!!」
レイモンは、手にした剣でゴブリン5体をスパスパと切り倒してゆきました。
「おおっ! レイモン、なんか格好いいぞ!」
「レイモン、成長したっすね」
「あたしの作った変身ベルトのおかげね」
駿助がレイモンの様子を目を見張って絶賛し、アキラは腕を組んでうんうんと頷きながらレイモンの成長ぶりを称え、ナノリアがふんすと胸を張ってベルト型魔道具の成果をドヤ顔で主張しました。
「ナノリアさん、変身すると素早く動けるようになったです」
「でしょ! でしょ!」
「パワーもアップしているみたいです。スパスパ切れたです」
「変身すると身体能力が1割ほどアップするのよ!」
「素晴らしいです!」
「うふふ、もっと褒めてもいいのよ!」
ゴブリンを倒して戻って来たレイモンは、興奮気味にナノリアと変身した姿でのパワーアップ具合を話しています。
バロンの町を旅立った駿助達は、町の西方にそびえる山岳地帯をちんたらと進みながら武者修行と称して訓練に励んでいます。
今日は、ようやく完成したレイモン専用の変身ベルトのお披露目をしています。
変身ベルトは、ナノリアが駿助の勇者スキルを研究して作り上げた最新作の魔道具です。現在、ナノリア用とレイモン用の2つしかありません。
「くうぅっ、変身した姿が全身白タイツじゃないって、なんて羨ましいんだ!」
駿助が、レイモンの変身した姿を見て、心底羨ましそうに叫びます。
それもそのはず、駿助は勇者スキルを使って魔道具なしで変身できるのですが、変身した姿は全身白タイツで、お笑い芸人か変質者でなければしないような格好になるのです。その姿は、魔王軍と間違えられることもあるくらいです。
そのため、駿助は変身と同時にマスクやマント、ベルトなどをつけて何とかコスプレ風に誤魔化しているのです。
「ふむふむ、身体能力アップっすか、確かに羨ましいっすね」
アキラは、顎に手を当て、変身ベルトの身体能力アップ効果に魅力を感じているようです。
「ふふ~ん、アキラも欲しくなったの?」
「魅力的なんすけど、このうさ耳はなんとかならないっすか?」
「えっ?」
ナノリアが興味を示すアキラに問うと、アキラは変身したレイモンの頭に生えているうさ耳を指さして尋ねました。
レイモンは、頭に生えたうさ耳に気付いていなかったのでしょう、アキラの言葉に驚きの声を上げて、両手でパシパシと頭の上のうさ耳を触って、その存在を確かめています。
「うさ耳、かわいいでしょ?」
「レイモンには似合ってるっすけど、自分はどうも苦手っす」
「はうっ!」
ナノリアがうさ耳の可愛さをアピールするも、アキラは苦笑いをして自分は苦手だとはっきり言うと、レイモンは顔を真っ赤にして恥ずかしそうな声を漏らしました。
確かにレイモンは小柄で童顔なため、うさ耳も可愛らしく見えますが、高身長で筋肉質のアキラが付けるには、見た目に厳しいものがあります。
「変身時の服装は自由にアレンジできるから、うさ耳なしにも出来るわよ」
「なんと! 自分にも変身ベルトの製作をお願いするっす!」
ナノリアから、うさ耳を含めて変身時の服装を自由に出来るという変身ベルトの特徴を聞くや否や、アキラはずいっと身を乗り出し瞳をキラキラさせて、変身ベルトの製作を依頼するのでした。
「アキラの変身ベルトはおいおい作るとして、まずはレイモンの方からね」
「うさ耳、取ってくれるですか!?」
「えーっと、その辺は後でゆっくりと肩付けるとして、腰の後ろに付けたホルダーに銃が入ってるから抜いてみてちょうだい」
「これです?」
うさ耳の件は後にして、ナノリアが銃を抜くように指示をすると、レイモンは素直に腰の後ろから銃を引き抜きました。
すると、ハンドガンほどの大きさに見えた銃身が周囲から光の粒を集めるようにしてぐんぐんと形を伸ばしてゆき、ライフルの形となりました。
「うわっ、なんかおっきくなったです!」
「魔道具にオプションとして仕込んだ魔法銃よ。引き金を引くと銃口からマジックアローが飛び出すわ」
レイモンが手にした銃が変化したことに驚くと、ナノリアが銃について簡単に説明しました。
「魔法銃ですか!?」
「そうよ。マジックアローの魔道具をライフル銃型にしたの。さっそく試し撃ちしてみてちょうだい」
魔法銃と聞いて驚くレイモンに、ナノリアはさっそく試してみろと催促します。
レイモンは、しばしライフル銃の感触を確かめた後、手ごろな距離にある木へ向かって銃を構えました。
「撃つです」
「ようし、てー!!」
みんなが見守る中、レイモンが銃を撃つことを宣言すると、ワクワクが止まらないナノリアが嬉々として発射の号令を掛け、レイモンはすっと引き金を引きました。
ズギューン!!!
ドカーン!!!
ライフル銃から眩い光の極太の矢が放たれて、目標の木の幹をえぐるように打ち抜いて、さらには後方の木々をも次々と薙ぎ倒してしまいました。
「「「……」」」
「ふふっ、いい感じね!」
予想外の高威力に、大きく口を開いたまま言葉も出せずに顔を引き攣らせる駿助達3人をよそに、ナノリアが想定どおりとばかりに、なぎ倒された木々を見ながら胸を張っています。
「マ、マジックアローにしては、少し威力が高いっすね……」
「いや、あれ、もうビームだよね?」
「あわわわわ……」
アキラと顔を引き攣らせながら、ナノリアが作った特製マジックアローライフルについて話している中、レイモンは、あわあわしていたのでした。
その後、威力が強すぎて怖いというレイモンの意見を聞いて、ナノリアは残念そうにライフルの威力を普通のマジックアロー程度に調整するのでした。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
予定より遅れましたが、続きを投稿します。
まずは閑話として、新規開発の変身ベルトのお話です。
毎日投稿はやめて、3日に1話程度の投稿でいきます。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます